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技術 電解コンデンサ

出願人 日本ケミコン株式会社
発明者 伊東久富
出願日 2009年9月24日 (11年8ヶ月経過) 出願番号 2009-219694
公開日 2011年4月7日 (10年2ヶ月経過) 公開番号 2011-071238
状態 特許登録済
技術分野 電解コンデンサの端子・電極等 電解コンデンサ 電解コンデンサのセパレータ等
主要キーワード コンデンサ温度 リップル特性 アゼライン酸塩 密封ケース内 負荷試験前 酸化アルミニウム皮膜 実効表面積 火花電圧
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課題

低インピーダンス特性を有し且つ105℃の高温での負荷試験において10000時間経過後でも静電容量等の特性変化が少ない長寿命電解コンデンサを提供する。

解決手段

表面に酸化皮膜を有する弁金属からなる陽極と弁金属からなる陰極とをセパレータを介して巻回することによりコンデンサ素子を構成し、このコンデンサ素子に電解液含浸させ、密封ケース内に収容して電解コンデンサを構成する。上記電解液は、水とエチレングリコールとを含む溶媒アゼライン酸疎水性置換基を有する第二級アミンとの塩を溶解させることによって得られ、上記塩の含有量電解液全体の14〜22質量%の範囲である。電解液中に電極劣化抑制効果の大きいアゼライン酸塩を多く含み、その上第二級アミンが陽極表面吸着して疎水性層を形成するため、電極の水和劣化が生じにくく、高温寿命特性が良好なコンデンサが得られる。

概要

背景

電解コンデンサは、表面に酸化皮膜を有する弁金属からなる陽極と、弁金属からなる陰極と、陽極と陰極との間に配置された電解液を保持したセパレータとが密封ケース内に収容された構造を有しており、巻回型積層型等の形状のものが広く使用されている。そして、電解コンデンサに使用される電解液として、エチレングリコールを主溶媒とし、アジピン酸安息香酸などのカルボン酸又はそのアンモニウム塩などを電解質とした電解液が知られており、電解コンデンサに対する低インピーダンス特性への要求に対応するため、上記電解液の水含有量を増加させる検討が行われてきた。

しかし、電解液中の水や電解質のカルボン酸は電極にとっては化学的活性物質である。例えば、アルミニウム電解コンデンサの場合には、電極表面の酸化アルミニウム皮膜カルボン酸アニオンとの反応により溶解し、アルミニウムカルボン酸錯体が生成する。また、水が電極の酸化アルミニウム皮膜を通してアルミニウムに達すると、アルミニウムが溶解して水酸化物が生成し、この反応と同時に水素ガスが発生する。そのため、電解液の水含有量を増加させると、電極箔劣化し、漏れ電流が増加し、コンデンサ短寿命化を招くという問題があった。この電極劣化の問題は、特に中高圧用(180WV級以上)のコンデンサにおいてより深刻であり、また上記反応が急速に起こる高温領域でのコンデンサの使用においてより深刻である。

この問題に対し、電解液における電解質として、電極の水和劣化を好適に抑制可能なアゼライン酸又はそのアンモニウム塩の使用が提案されている。アゼライン酸又はそのアンモニウム塩を含む電解液は、火花電圧が高いため、特に中高圧用の電解コンデンサのために有用である。しかしながら、水とエチレングリコールとを含む溶媒に対するアゼライン酸又はそのアンモニウム塩の溶解性が低いため、十分な電極劣化抑制効果が得られず、電解液の比抵抗値の低下も満足のいくものではなかった。

これに対し、特許文献1(特開2004−128076号公報)は、水とエチレングリコールとを含む溶媒にアゼライン酸を溶解させ、さらにアンモニアにより電解液のpHを特定の範囲に調整することにより、アゼライン酸の溶解量を増加させる方法を開示している。アンモニアにより電解液のpHを6.5〜7.5の範囲に調整することにより、アゼライン酸の溶解量を電解液全体の8〜12質量%まで増加させることができ、比抵抗値が低く且つ電極劣化防止効果に優れた電解液を得ている。

概要

低インピーダンス特性を有し且つ105℃の高温での負荷試験において10000時間経過後でも静電容量等の特性変化が少ない長寿命の電解コンデンサを提供する。表面に酸化皮膜を有する弁金属からなる陽極と弁金属からなる陰極とをセパレータを介して巻回することによりコンデンサ素子を構成し、このコンデンサ素子に電解液を含浸させ、密封ケース内に収容して電解コンデンサを構成する。上記電解液は、水とエチレングリコールとを含む溶媒にアゼライン酸と疎水性置換基を有する第二級アミンとの塩を溶解させることによって得られ、上記塩の含有量は電解液全体の14〜22質量%の範囲である。電解液中に電極劣化抑制効果の大きいアゼライン酸塩を多く含み、その上第二級アミンが陽極表面吸着して疎水性層を形成するため、電極の水和劣化が生じにくく、高温寿命特性が良好なコンデンサが得られる。なし

目的

本発明の目的は、低インピーダンス特性を有し、且つ105℃の高温での負荷試験において10000時間経過後でも静電容量等の特性変化が少ない長寿命な電解コンデンサであって、中高圧用として使用可能な電解コンデンサを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

表面に酸化皮膜を有する弁金属からなる陽極と、弁金属からなる陰極と、陰極と陽極との間に配置された電解液を保持したセパレータとを備えた電解コンデンサであって、前記電解液が、水とエチレングリコールとを含む溶媒と、電解液全体の14〜22質量%のアゼライン酸疎水性置換基を有する第二級アミンとの塩と、を含有し、前記陽極の表面に、前記第二級アミンが結合して形成された疎水性層を有することを特徴とする電解コンデンサ。

請求項2

水の含有量が電解液全体の5〜20質量%である、請求項1に記載の電解コンデンサ。

請求項3

前記第二級アミンが、ジメチルアミン及びジエチルアミンの少なくとも一方である、請求項1又は2に記載の電解コンデンサ。

技術分野

0001

本発明は、低インピーダンス特性を有し且つ寿命の長い電解コンデンサに関する。

背景技術

0002

電解コンデンサは、表面に酸化皮膜を有する弁金属からなる陽極と、弁金属からなる陰極と、陽極と陰極との間に配置された電解液を保持したセパレータとが密封ケース内に収容された構造を有しており、巻回型積層型等の形状のものが広く使用されている。そして、電解コンデンサに使用される電解液として、エチレングリコールを主溶媒とし、アジピン酸安息香酸などのカルボン酸又はそのアンモニウム塩などを電解質とした電解液が知られており、電解コンデンサに対する低インピーダンス特性への要求に対応するため、上記電解液の水含有量を増加させる検討が行われてきた。

0003

しかし、電解液中の水や電解質のカルボン酸は電極にとっては化学的活性物質である。例えば、アルミニウム電解コンデンサの場合には、電極表面の酸化アルミニウム皮膜カルボン酸アニオンとの反応により溶解し、アルミニウムカルボン酸錯体が生成する。また、水が電極の酸化アルミニウム皮膜を通してアルミニウムに達すると、アルミニウムが溶解して水酸化物が生成し、この反応と同時に水素ガスが発生する。そのため、電解液の水含有量を増加させると、電極箔劣化し、漏れ電流が増加し、コンデンサ短寿命化を招くという問題があった。この電極劣化の問題は、特に中高圧用(180WV級以上)のコンデンサにおいてより深刻であり、また上記反応が急速に起こる高温領域でのコンデンサの使用においてより深刻である。

0004

この問題に対し、電解液における電解質として、電極の水和劣化を好適に抑制可能なアゼライン酸又はそのアンモニウム塩の使用が提案されている。アゼライン酸又はそのアンモニウム塩を含む電解液は、火花電圧が高いため、特に中高圧用の電解コンデンサのために有用である。しかしながら、水とエチレングリコールとを含む溶媒に対するアゼライン酸又はそのアンモニウム塩の溶解性が低いため、十分な電極劣化抑制効果が得られず、電解液の比抵抗値の低下も満足のいくものではなかった。

0005

これに対し、特許文献1(特開2004−128076号公報)は、水とエチレングリコールとを含む溶媒にアゼライン酸を溶解させ、さらにアンモニアにより電解液のpHを特定の範囲に調整することにより、アゼライン酸の溶解量を増加させる方法を開示している。アンモニアにより電解液のpHを6.5〜7.5の範囲に調整することにより、アゼライン酸の溶解量を電解液全体の8〜12質量%まで増加させることができ、比抵抗値が低く且つ電極劣化防止効果に優れた電解液を得ている。

先行技術

0006

特開2004−128076号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、近年のプラズマディスプレイパネル等の用途において、220WV或いは250WVの中高圧で使用することができ、且つ、低インピーダンスで耐リップル特性が良好であり、さらに105℃の高温での負荷試験において10000時間経過後でも静電容量等の特性変化が少なく長寿命特性を有する電解コンデンサが要求されている。

0008

特許文献1の電解液は、低インピーダンスで耐リップル特性が良好な中高圧用コンデンサのために使用することができるものの、高温寿命特性が上述の要求を満たすには不十分であった。

0009

そこで、本発明の目的は、低インピーダンス特性を有し、且つ105℃の高温での負荷試験において10000時間経過後でも静電容量等の特性変化が少ない長寿命な電解コンデンサであって、中高圧用として使用可能な電解コンデンサを提供することである。

課題を解決するための手段

0010

発明者らは、鋭意検討した結果、表面に酸化皮膜を有する弁金属からなる陽極と、弁金属からなる陰極と、陰極と陽極との間に配置された電解液を保持したセパレータとを備えた電解コンデンサにおいて、電解質としてアゼライン酸と疎水性置換基を有する第二級アミンとの塩を使用すると、この塩を水とエチレングリコールとを含む溶媒に多量に溶解させることができるため、低インピーダンスで耐リップル特性が良好で且つ電極の水和劣化が生じにくいコンデンサを得ることができ、さらに、上記第二級アミンが陽極の酸化皮膜表面に化学吸着し、疎水性層が酸化皮膜表面上に形成されるため、電解液の水含有量を増加させても陽極の水和劣化が抑制され、その結果、高温寿命特性の良好なコンデンサが得られることを発見した。

0011

したがって、本発明の電解コンデンサは、表面に酸化皮膜を有する弁金属からなる陽極と、弁金属からなる陰極と、陰極と陽極との間に配置された電解液を保持したセパレータとを備えた電解コンデンサであって、上記電解液が、水とエチレングリコールとを含む溶媒と、電解液全体の14〜22質量%のアゼライン酸と疎水性置換基を有する第二級アミンとの塩とを含有し、上記陽極の表面に、上記第二級アミンが結合して形成された疎水性層を有することを特徴とする。

0012

本発明の電解コンデンサは、好適にはアルミニウム電解コンデンサである。また、本発明の電解コンデンサは、電解液の火花電圧が大きく且つ電極の水和劣化が好適に抑制されるため、特に中高圧用コンデンサとして好適である。

0013

本発明の電解コンデンサに使用される電解液におけるアゼライン酸と疎水性置換基を有する第二級アミンとの塩の含有量は、電解液全体の14〜22質量%の範囲である。塩の含有量が14質量%より少ないと、電極の水和劣化を抑制する効果が十分でなく、塩の含有量が22質量%より多いと、電解液の火花電圧が低下し、電解コンデンサの漏れ電流が大きくなる。

0014

本発明の電解コンデンサに使用される電解液の水分含有量は、電解液全体の5〜20質量%であるのが好ましい。水の含有量が電解液全体の5質量%より少ないと、電解コンデンサのインピーダンスが上昇し、水の含有量が電解液全体の20質量%より多いと、高温での寿命が短縮する。また、上記第二級アミンは、疎水性置換基としてアルキル基を有しているのが好ましく、特にジメチルアミン及び/又はジエチルアミンであると、電解液の比抵抗値が効果的に低下するため好ましい。

発明の効果

0015

本発明の電解コンデンサは、電極劣化抑制効果を有するアゼライン酸塩を多量に含む上に、陽極表面に疎水性層を有するため、低インピーダンス特性を有し、中高圧を印加して105℃の高温で負荷試験を10000時間行っても、試験前後の静電容量等の特性変化が少なく、極めて長寿命である。

0016

本発明の電解コンデンサは、表面に酸化皮膜を有する弁金属からなる陽極と、弁金属からなる陰極と、陰極と陽極との間に配置された電解液を保持したセパレータとを備えた電解コンデンサであって、電解液として、水とエチレングリコールとを含む溶媒にアゼライン酸と疎水性置換基を有する第二級アミンとの塩とを溶解した液を使用している。以下、アルミニウム電解コンデンサを例として説明するが、本発明はアルミニウム電解コンデンサに限定されない。

0017

アルミニウム電解コンデンサは、表面に酸化アルミニウム皮膜を有するアルミニウム箔からなる陽極と、アルミニウム箔からなる陰極と、陽極と陰極との間に配置された電解液を保持したセパレータとを備えた構成を有している。

0018

陽極及び陰極を構成する高純度アルミニウム箔には、その表面積を増大させるため、化学的或いは電気化学的なエッチング処理が施され、次いで、陽極を構成するアルミニウム箔に対して化成処理が施され、表面に酸化アルミニウム皮膜が形成される。化成処理は、ホウ酸アンモニウム水溶液アジピン酸アンモニウム水溶液リン酸アンモニウム水溶液等の化成液を使用して行われる。

0019

このようにして得られた陽極及び陰極間に、マニラ麻クラフト紙等のセパレータを介在させてコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に以下に示す電解液を含浸させ、さらに密封ケース内に収容して、本発明のアルミニウム電解コンデンサを構成する。

0020

本発明の電解コンデンサに使用される電解液における溶媒は、水とエチレングリコールとを必須成分として含む。水とエチレングリコールとを混合した溶媒は、各種溶質の溶解度が高く、温度特性に優れる電解液を与えるため好ましい。しかしながら、本発明の効果に悪影響を及ぼさない限り、他の有機溶媒が含まれていても良い。使用可能な有機溶媒としては、プロトン性極性溶媒である一価アルコールメタノールエタノールプロパノールブタノールヘキサノールシクロヘキサノールシクロペンタノールベンジルアルコール等)、多価アルコール及びオキシアルコール化合物類(プロピレングリコールグリセリンメチルセロソルブエチルセロソルブ、1,3−ブタンジオールメトキシプロピレングリコール等)、非プロトン性溶媒であるアミド類(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミドヘキサメチルホスホリックアミド等)、ラクトン類環状アミド類カーボネート類γ−ブチロラクトンN−メチル−2−ピロリドンエチレンカーボネートプロピレンカーボネート等)、ニトリル類アセトニトリル)、オキシド類ジメチルスルホキシド等)などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で含まれていても良く、2種以上の有機溶媒が含まれていても良い。

0021

上記電解液における水の含有量は、電解液全体の5〜20質量%であるのが好ましい。水の含有量が電解液全体の5質量%より少ないと、電解コンデンサのインピーダンスが上昇し、水の含有量が電解液全体の20質量%より多いと、高温での寿命が短縮する。

0022

本発明の電解コンデンサに使用される電解液において、水とエチレングリコールとを含む溶媒には、アゼライン酸と疎水性置換基を有する第二級アミンとの塩が必須成分として溶解される。特許文献1に示されているアゼライン酸アンモニウムの使用では、アゼライン酸アンモニウムの最大溶解量が電解液全体の12質量%に過ぎなかったが、アゼライン酸と第二級アミンとの塩の使用により、電極劣化抑制効果が高いアゼライン酸塩をさらに多く溶媒に溶解させることができる。また、アゼライン酸と第二級アミンとの塩は、アンモニウム塩のような蒸散が生じないため、電解液の比抵抗を長期にわたって安定に保つことができる。さらに、アゼライン酸と第二級アミンとの塩は、アゼライン酸と第三級アミンとの塩に比較して、電解液の比抵抗値をより効果的に低下させるため、低インピーダンス特性を有する電解コンデンサのために有用である。電解コンデンサの低インピーダンス化により、リップル発熱によるコンデンサ温度の上昇とこの温度上昇に伴う電解液及び電極の劣化が効果的に抑制される。

0023

アゼライン酸と疎水性置換基を有する第二級アミンとの塩を水とエチレングリコールとを含む溶媒に溶解し、表面に酸化アルミニウム皮膜を有するアルミニウム箔からなる陽極とアルミニウム箔からなる陰極とがセパレータを介して配置されているコンデンサ素子に含浸させると、第二級アミンが窒素原子非共役電子対を陽極の酸化アルミニウム皮膜の表面に提供して化学吸着し、その結果、疎水性置換基が電解液側に向いた疎水性層が酸化アルミニウム皮膜の表面上に形成される。そのため、低インピーダンスで耐リップル性の良好な電解コンデンサを得る目的で電解液の水含有量を増加させても、電解液中の水分子が陽極表面に到達し難くなり、陽極の水和劣化が効果的に抑制される。

0024

アゼライン酸との塩を構成する疎水性置換基を有する第二級アミンとしては、ジアルキルアミン、例えば、ジメチルアミン、N−メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチルn−プロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、エチルn−プロピルアミン、エチルイソプロピルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、N−エチルイソブチルアミン、ジt−ブチルアミンフェニル基含有アミン、例えば、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、ジフェニルアミン飽和環状アミン、例えば、アジリジンアゼチジンピロリジンピペリジンなどを挙げることができる。これらの第二級アミンとアゼライン酸との塩は、単独で使用しても良く、2種以上の塩を使用しても良い。ジアルキルアミン塩を使用するのが好ましく、特に、ジメチルアミン塩及び/又はジエチルアミン塩を使用すると、電解液の比抵抗値が効果的に低下するため好ましい。

0025

本発明の電解コンデンサにおいて使用する電解液におけるアゼライン酸と疎水性置換基を有する第二級アミンとの塩の含有量は、電解液全体の14〜22質量%の範囲である。塩の含有量が電解液全体の14質量%より少ないと、第二級アミンによる疎水性層が陽極の酸化アルミニウム皮膜の表面に十分に形成されないため、陽極の水和劣化抑制効果が十分でなく、また、電解液の比抵抗値が高くなるため、電解コンデンサの使用中にリップル発熱によりコンデンサの温度が上昇し、電極劣化が促進する。塩の含有量が電解液全体の22質量%より多いと、電解液の火花電圧が低下し、電解コンデンサの漏れ電流が大きくなり、高温負荷試験経過後には漏れ電流が顕著に増加し、電極劣化の進行が認められる。

0026

本発明の電解コンデンサに使用される電解液には、本発明の効果を損なわない範囲で、アゼライン酸と疎水性置換基を有する第二級アミンとの塩以外の溶質を使用することができる。使用可能な溶質としては、リン酸ケイ酸炭酸等の無機酸電解質耐電圧を向上させるためのノニオン界面活性剤コロイダルシリカポリオキシエチレングリセリンホウ酸マンニット等の糖アルコール、電解コンデンサ内部で発生しうる水素を吸収するためのp−ニトロフェノール、p−ニトロ安息香酸パラニトロトルエンニトロキシレンニトロベンゼンニトロアニリンなどの芳香族ニトロ化合物、電極箔の水和劣化を防止するためのメチルリン酸エステルジメチルリン酸エステル、トリメチルリン酸エステルエチルリン酸エステル、ジエチルリン酸エステル、トリエチルリン酸エステル等のリン酸エステル化合物などが挙げられる。

0027

以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。

0028

1:電解液の調製
以下の表1に示されている、組成の異なる電解液を調製した。実施例1〜6は、本発明の電解コンデンサにおいて使用される、水とエチレングリコールとから成る溶媒に電解液全体の14〜22質量%のアゼライン酸ジメチルアミン又はアゼライン酸ジエチルアミンを溶解させた電解液の例であり、比較例1は、水とエチレングリコールとから成る溶媒に電解液全体の14質量%より少ないアゼライン酸ジエチルアミンを溶解させた電解液の例であり、比較例2は、水とエチレングリコールとから成る溶媒に電解液全体の22質量%より多いアゼライン酸ジエチルアミンを溶解させた電解液の例である。また、従来例は、特許文献1に開示されている、水とエチレングリコールとから成る溶媒に電解液全体の12質量%のアゼライン酸アンモニウムを溶解させた電解液の例である。このアゼライン酸アンモニウムの溶解量は、水とエチレングリコールとから成る溶媒に対する最大溶解量にあたる。

0029

2:電解液の特性評価
得られた各電解液について、火花電圧と比抵抗値とを測定した。得られた測定結果を、電解液組成と共に表1に示す。

0030

0031

実施例1〜6の電解液は、従来例の電解液と同様に、中高圧用コンデンサを構成するために十分な400V以上の火花電圧を示した。実施例6のアゼライン酸ジメチルアミンを電解質として使用した電解液の比抵抗値は、従来例の電解液の比抵抗値と略同等であった。実施例1〜5のアゼライン酸ジエチルアミンを電解質として使用した電解液の比抵抗値は、従来例の電解液の比抵抗値より高い値であったが、低インピーダンスで耐リップル性の良好な電解コンデンサを構成するためには十分な比抵抗値を示した。これに対し、アゼライン酸ジエチルアミンの含有量が電解液全体の14質量%より少ない比較例1の電解液は、電解液の低比抵抗化をもたらす水の含有量が少ない実施例4の電解液と比較しても、さらに高い比抵抗値を示した。また、アゼライン酸ジエチルアミンの含有量が電解液全体の22質量%より多い比較例2の電解液は、実施例1〜6の電解液に比較して、低い火花電圧を示した。

0032

3:電解コンデンサの作成
アルミニウム箔をエッチング処理して実効表面積を拡大させ、表面に陽極酸化により誘電体酸化アルミニウム皮膜を形成した陽極箔と、アルミニウム箔をエッチング処理した陰極箔とを、セパレータを介して巻回することによりコンデンサ素子を構成し、このコンデンサ素子に実施例1〜6、比較例1,2及び従来例の電解液を含浸させ、含浸後のコンデンサ素子を金属ケース内封止して、定格電圧が220V、定格静電容量が200μFのアルミニウム電解コンデンサを製造した。

0033

4:電解コンデンサの特性評価
得られた各電解コンデンサについて、静電容量、誘電損失(tanδ)、漏れ電流、及びインピーダンスを測定した。次いで、各電解コンデンサについて、105℃で定格電圧の220Vを10000時間印加する高温負荷試験を行い、試験後に再び静電容量、誘電損失(tanδ)、漏れ電流、及びインピーダンスを測定した。測定結果を表2に示す。

0034

0035

比較例1のアゼライン酸ジエチルアミンの含有量が電解液全体の14質量%より少ない電解液を用いた電解コンデンサは、実施例1〜6の電解コンデンサの値に比較して大きなtanδ値を有し、また、高温負荷試験後に、静電容量はほとんど変化していなかったものの、漏れ電流及びインピーダンスは増加していた。特に、電極劣化の程度を反映する漏れ電流の増加率は、水含有量が約2倍の電解液を使用した実施例5の電解コンデンサに比較しても、大きな値であった。これは、陽極の酸化アルミニウム皮膜上にジエチルアミンによる疎水性層が十分に形成されないため、高温負荷試験中に陽極の水和劣化が生じたためであり、また、電解液中の電極劣化抑制効果の大きいアゼライン酸塩の含有量が少ないためであると考えられる。また、上述したように、比較例1の電解コンデンサに用いた電解液の比抵抗値が高いため、リップル発熱により電解コンデンサの温度が上昇し、電極水和劣化が促進されたものと考えられる。

0036

比較例2のアゼライン酸ジエチルアミンの含有量が電解液全体の22質量%より多い電解液を用いた電解コンデンサの漏れ電流は、高温負荷試験前においても実施例1〜6の電解コンデンサに比較して大きいが、高温負荷試験後に漏れ電流が顕著に増加していた。したがって、多すぎるアゼライン酸ジエチルアミンは悪影響を及ぼすことがわかった。

0037

従来例のアゼライン酸アンモニウムを含む電解液を使用した電解コンデンサは、アゼライン酸ジエチルアミン又はアゼライン酸ジメチルアミンを含む電解液を使用した場合のような疎水性層が陽極の酸化アルミニウム皮膜上に形成されず、また電極劣化抑制効果を有するアゼライン酸塩の含有量が不十分なためであると思われるが、高温負荷試験後に漏れ電流が大幅に増加し、静電容量が増加し、電極劣化が認められた。また、アンモニウム塩の蒸散によるものと考えられるが、インピーダンスが高温負荷試験後に顕著に増加していた。

実施例

0038

これに対し、実施例1〜6の本発明の電解コンデンサは、初期において、低インピーダンス特性を有し、また漏れ電流の値、tanδの値とも小さかった。105℃の高温での負荷試験10000時間経過後における漏れ電流の増加が、比較例1,2及び従来例のコンデンサに比較して顕著に少なく、電極劣化が抑制されていた。また、負荷試験前後における静電容量、tanδ、及びインピーダンスの変化も小さく、本発明の電解コンデンサが良好な高温寿命特性を有していることが確認された。

0039

本発明の電解コンデンサは、低インピーダンス特性を有し、且つ105℃の高温で中高圧を印加する負荷試験において10000時間経過後でも静電容量等の特性変化が少ない長寿命な電解コンデンサである。したがって、本発明の電解コンデンサは、プラズマディスプレイパネル等の用途に対して極めて好適である。

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