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技術 義歯安定剤

出願人 小林製薬株式会社
発明者 梶田恵介
出願日 2009年9月16日 (11年2ヶ月経過) 出願番号 2009-214879
公開日 2011年3月31日 (9年7ヶ月経過) 公開番号 2011-063538
状態 特許登録済
技術分野 歯科補綴 歯科用製剤
主要キーワード クッション状 密着タイプ B型粘度計 各測定試料 口腔温度 プラスチックパウダー 水不溶性粉体 クッション効果
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年3月31日)のものです。
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図面 (3)

課題

本発明は、水が浸透しやすく、早期に優れた義歯安定効果クッション効果を発揮する義歯安定剤を提供する。また本発明は、義歯床への塗り易さに優れ、部分義歯床に薄く塗り広げた場合であっても優れたクッション効果を発揮する義歯安定剤を提供する。

解決手段

酢酸ビニル樹脂ワセリンエタノールおよび水を含有する義歯安定剤であって、ワセリン1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合を2.5〜30質量部、水1質量部に対するエタノールの割合が0.8〜4.5質量部、エタノール1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合が2.5〜4.5質量部であることを特徴とする義歯安定剤。

概要

背景

一般に、義歯安定剤には、(1)容器から取り出しやすいこと(チューブから押し出し易いこと)、(2)無害であり、口腔粘膜への刺激がないこと、(3)義歯床塗り広げ易いこと、(4)義歯の歯茎側への装着がしやすく、またクッション性に優れて使用感が良好であること、(5)接着性および固着性が強くまたそれが長期に持続すること、(6)使用後に義歯から剥がれやすいこと、(7)保存安定性に優れていること、等の特性が要求される。

これらの特性のいずれかを充足するために、従来から種々の組成からなる義歯安定剤が提案されている。例えば、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤に関して、酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂中重合度酢酸ビニル樹脂高重合度酢酸ビニル樹脂とを特定の割合で組み合わせて使用すること(特許文献1および2);酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂と高重合度酢酸ビニル樹脂とを特定の割合で併用し、これに特定の割合でエタノールと水を配合してペースト状にすること(特許文献3);酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂と中重合度酢酸ビニル樹脂と高重合度酢酸ビニル樹脂を併用するとともに、さらにアクリル酸低級アルキルメタアクリル酸低級アルキルとメタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルとを構成成分とする三元共重合体を用いること(特許文献4および5);酢酸ビニル樹脂に、ポリプロピレンオキサイド系重合体グリセリンアセチル誘導体又はエチレングリコールのアセチル誘導体を併用すること(特許文献6);酢酸ビニル樹脂に、アセチルリシノール酸メチル又はアセチルリシノール酸ブチルを併用すること(特許文献7);酢酸ビニル樹脂に、ポリオレフィン鉱物油スクワランポリブデンおよび無水ラノリンから選ばれる少なくとも1種と混合して溶解すること(特許文献8);酢酸ビニル樹脂に、フッ素系高分子油剤を配合すること(特許文献9)などが提案されている。

このような酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤は、ペースト状の形態を有しており、義歯と歯茎との隙間を埋めて中の空気を追い出し、吸盤のように義歯を歯茎に密着固定させるという作用機構から「密着タイプ」と称される。かかる義歯安定剤は、主基剤である酢酸ビニル樹脂が口腔内唾液を吸収することで収縮してクッション状を形成し、その結果、義歯が歯茎からずれないように固定する効果(以下、この効果を「義歯安定効果」という)、および軟弾性発現して歯茎への負担を軽減する効果(以下、この効果を「クッション効果」という)を発揮するようになる。なお、ここで「軟弾性」とは軟性と弾性を兼ね備えることを意味する。

しかし、前述するように義歯と歯茎との密着性がよいため唾液との接着面積が少なく、ゆえに義歯安定剤の内部まで唾液が浸透してクッション状を形成し、上記義歯安定効果およびクッション効果を発揮するまでには時間がかかるという問題がある。

概要

本発明は、水が浸透しやすく、早期に優れた義歯安定効果とクッション効果を発揮する義歯安定剤を提供する。また本発明は、義歯床への塗り易さに優れ、部分義歯床に薄く塗り広げた場合であっても優れたクッション効果を発揮する義歯安定剤を提供する。酢酸ビニル樹脂、ワセリン、エタノールおよび水を含有する義歯安定剤であって、ワセリン1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合を2.5〜30質量部、水1質量部に対するエタノールの割合が0.8〜4.5質量部、エタノール1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合が2.5〜4.5質量部であることを特徴とする義歯安定剤。なし

目的

本発明は、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする、いわゆる「密着タイプ」と称される義歯安定剤に関する上記問題点に鑑み、水浸透性に優れ、使用時に口腔内で義歯と歯茎とを密着固定化させた場合でも、義歯安定剤に速やかに唾液が浸透して酢酸ビニル樹脂が収縮することでクッション状となり、早期に義歯安定効果とクッション効果を発揮することのできる義歯安定剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

酢酸ビニル樹脂ワセリンエタノールおよび水を含有する義歯安定剤であって、ワセリン1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合が2.5〜30質量部、水1質量部に対するエタノールの割合が0.8〜4.5質量部、エタノール1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合が2.5〜4.5質量部であることを特徴とする義歯安定剤。

請求項2

酢酸ビニル樹脂が、平均重合度300〜900の低重合度酢酸ビニル樹脂および平均重合度1000〜2500の中重合度酢酸ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載する義歯安定剤。

請求項3

部分用義歯の安定剤である、請求項1または2に記載する義歯安定剤。

技術分野

0001

本発明は、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、水が浸透しやすく、早期に優れた義歯安定効果クッション効果を発揮することを特徴とする義歯安定剤に関する。また本発明は、義歯床への塗り易さに優れ、部分義歯床に薄く塗り広げた場合であっても優れたクッション効果を発揮する義歯安定剤に関する。

背景技術

0002

一般に、義歯安定剤には、(1)容器から取り出しやすいこと(チューブから押し出し易いこと)、(2)無害であり、口腔粘膜への刺激がないこと、(3)義歯床に塗り広げ易いこと、(4)義歯の歯茎側への装着がしやすく、またクッション性に優れて使用感が良好であること、(5)接着性および固着性が強くまたそれが長期に持続すること、(6)使用後に義歯から剥がれやすいこと、(7)保存安定性に優れていること、等の特性が要求される。

0003

これらの特性のいずれかを充足するために、従来から種々の組成からなる義歯安定剤が提案されている。例えば、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤に関して、酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂中重合度酢酸ビニル樹脂高重合度酢酸ビニル樹脂とを特定の割合で組み合わせて使用すること(特許文献1および2);酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂と高重合度酢酸ビニル樹脂とを特定の割合で併用し、これに特定の割合でエタノールと水を配合してペースト状にすること(特許文献3);酢酸ビニル樹脂として低重合度酢酸ビニル樹脂と中重合度酢酸ビニル樹脂と高重合度酢酸ビニル樹脂を併用するとともに、さらにアクリル酸低級アルキルメタアクリル酸低級アルキルとメタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルとを構成成分とする三元共重合体を用いること(特許文献4および5);酢酸ビニル樹脂に、ポリプロピレンオキサイド系重合体グリセリンアセチル誘導体又はエチレングリコールのアセチル誘導体を併用すること(特許文献6);酢酸ビニル樹脂に、アセチルリシノール酸メチル又はアセチルリシノール酸ブチルを併用すること(特許文献7);酢酸ビニル樹脂に、ポリオレフィン鉱物油スクワランポリブデンおよび無水ラノリンから選ばれる少なくとも1種と混合して溶解すること(特許文献8);酢酸ビニル樹脂に、フッ素系高分子油剤を配合すること(特許文献9)などが提案されている。

0004

このような酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤は、ペースト状の形態を有しており、義歯と歯茎との隙間を埋めて中の空気を追い出し、吸盤のように義歯を歯茎に密着固定させるという作用機構から「密着タイプ」と称される。かかる義歯安定剤は、主基剤である酢酸ビニル樹脂が口腔内唾液を吸収することで収縮してクッション状を形成し、その結果、義歯が歯茎からずれないように固定する効果(以下、この効果を「義歯安定効果」という)、および軟弾性発現して歯茎への負担を軽減する効果(以下、この効果を「クッション効果」という)を発揮するようになる。なお、ここで「軟弾性」とは軟性と弾性を兼ね備えることを意味する。

0005

しかし、前述するように義歯と歯茎との密着性がよいため唾液との接着面積が少なく、ゆえに義歯安定剤の内部まで唾液が浸透してクッション状を形成し、上記義歯安定効果およびクッション効果を発揮するまでには時間がかかるという問題がある。

先行技術

0006

特開昭60−253440号公報
特開2004−352612号公報
特開昭53−148197号公報
特開2004−350695号公報
特開2004−350694号公報
特開平7−157408号公報
特開平7−291818号公報
特開平9−12419号公報
特開平9−227327号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする、いわゆる「密着タイプ」と称される義歯安定剤に関する上記問題点に鑑み、水浸透性に優れ、使用時に口腔内で義歯と歯茎とを密着固定化させた場合でも、義歯安定剤に速やかに唾液が浸透して酢酸ビニル樹脂が収縮することでクッション状となり、早期に義歯安定効果とクッション効果を発揮することのできる義歯安定剤を提供することを目的とする。また、本発明は口腔内温度で軟弾性に優れたクッション状を形成し、義歯床に薄く塗り広げて使用した場合でも優れたクッション効果を発揮する義歯安定剤を提供することを目的とする。

0008

特に、部分義歯について義歯安定剤を使用する場合、塗り広げた義歯安定剤の厚みが厚いと、義歯と自歯とで高低差が発生して違和感が生じたり、部分義歯を支える自歯に過度に負担が生じるという問題がある。本発明は、こうした部分義歯用の義歯安定剤に関する問題を解消し、総義歯のみならず部分義歯に対しても良好な使用感を発揮する義歯安定剤を提供することを目的とする。

0009

また本発明は、義歯床にできるだけ薄く塗り広げることができるように、低粘度でありながらも手につきにくい義歯安定剤を提供することも目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、上記課題の解決をめざして日夜研究を重ねていたところ、酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤において、酢酸ビニル樹脂にワセリン、エタノールおよび水をそれぞれ特定の割合で併用することで、口腔内温度(37℃)下での水浸透性が顕著に向上することを見出し、その結果、口腔内で唾液との接触面積が小さくても速やかに唾液(水)が浸透して酢酸ビニル樹脂が収縮してクッション状を形成し、早期に義歯安定効果とクッション効果を発揮することを確認した。また義歯床にできるだけ薄く塗り広げられるように、酢酸ビニル樹脂の重合度を調節して義歯安定剤を低粘度に調整した場合でも、酢酸ビニル樹脂にワセリンを併用すると、手に付きやすくなるという問題も抑制することができることを確認した。

0011

さらに、本発明者らは、酢酸ビニル樹脂にワセリン、エタノールおよび水をそれぞれ特定の割合で併用することで、口腔内温度下での軟弾性も向上し、軟弾性に優れたクッション状を形成することを見出し、使用時に口腔内で義歯と歯茎とを密着固定化させたときに優れたクッション効果を速やかに発揮することを確認した。

0012

本発明はかかる知見に基づいて完成したものであって、総義歯のみならず、部分義歯に薄く塗り広げて使用した場合でも、優れた義歯安定効果とクッション効果を速やかに発揮する、使用感に優れた義歯安定剤である。

0013

(I)義歯安定剤
(I-1)酢酸ビニル樹脂、ワセリン、エタノールおよび水を含有する義歯安定剤であって、ワセリン1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合が2.5〜30質量部、水1質量部に対するエタノールの割合が0.8〜4.5質量部、エタノール1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合が2.5〜4.5質量部であることを特徴とする義歯安定剤。
(I-2)酢酸ビニル樹脂が、平均重合度300〜900の低重合度酢酸ビニル樹脂および平均重合度1000〜2500の中重合度酢酸ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、(I-1)に記載する義歯安定剤。
(I-3)部分用義歯の安定剤である、(I-1)または(I-2)に記載する義歯安定剤。

0014

(II)口腔内温度での軟弾性向上方法
(II-1)酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤の口腔内温度下での軟弾性を向上する方法であって、酢酸ビニル樹脂、ワセリン、エタノールおよび水を含有する義歯安定剤中のワセリン1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合を2.5〜30質量部、水1質量部に対するエタノールの割合を0.8〜4.5質量部、エタノール1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合を2.5〜4.5質量部に設定することを特徴とする方法。
(II-2)義歯安定剤中の酢酸ビニル樹脂が、平均重合度300〜900の低重合度酢酸ビニル樹脂および平均重合度1000〜2500の中重合度酢酸ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、(II-1)に記載する方法。

0015

(III)口腔内温度での水浸透性を向上する方法
(III-1)酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤の口腔内温度での水浸透性を向上方法であって、酢酸ビニル樹脂、ワセリン、エタノールおよび水を含有する義歯安定剤中のワセリン1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合を2.5〜30質量部、水1質量部に対するエタノールの割合を0.8〜4.5質量部、エタノール1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合を2.5〜4.5質量部に設定する方法。
(III-2)義歯安定剤中の酢酸ビニル樹脂が、平均重合度300〜900の低重合度酢酸ビニル樹脂および平均重合度1000〜2500の中重合度酢酸ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、(III-1)に記載する方法。

0016

(IV)口腔内でのクッション効果およびその発現の早さを向上する方法
(IV-1)酢酸ビニル樹脂を主基剤とする義歯安定剤の口腔内でのクッション効果およびその発現の早さを向上する方法であって、酢酸ビニル樹脂、ワセリン、エタノールおよび水を含有する義歯安定剤中のワセリン1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合を2.5〜30質量部、水1質量部に対するエタノールの割合を0.8〜4.5質量部、エタノール1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合を2.5〜4.5質量部に設定することを特徴とする方法。
(IV-2)義歯安定剤中の酢酸ビニル樹脂が、平均重合度300〜900の低重合度酢酸ビニル樹脂および平均重合度1000〜2500の中重合度酢酸ビニル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、(IV-1)に記載する方法。

発明の効果

0017

本発明の義歯安定剤は、口腔内温度(37℃)下での水浸透性に優れているため、口腔内で唾液との接触面積が小さくても速やかに唾液(水)が浸透してクッション状を形成し、早期に義歯安定効果およびクッション効果を発揮することができる。また本発明の義歯安定剤は、口腔内温度(37℃)下での軟弾性が向上しているため、軟弾性に優れたクッション状を形成し、使用時に口腔内で義歯と歯茎とを密着固定化させたときに優れたクッション効果を発揮することができる。

0018

また本発明の義歯安定剤によれば、義歯床にできるだけ薄く塗り広げられるように低粘度に調整した場合でも、手に付きやすくなるという問題も抑制されている。

図面の簡単な説明

0019

実施例1〜9および比較例1〜6の処方とそれらの水浸透性および軟弾性・クッション効果の評価結果を示す。
比較例7〜14の処方とそれらの水浸透性および軟弾性・クッション効果の評価結果を示す。
実施例10〜20および比較例15〜16の処方とそれらの水浸透性および軟弾性・クッション効果の評価結果を示す。

0020

本発明の義歯安定剤は、酢酸ビニル樹脂を主基剤とし、他成分としてワセリン、エタノールおよび水を含有するものである。以下、各成分について説明する。

0021

(I)酢酸ビニル樹脂
本発明において酢酸ビニル樹脂は、平均重合度が300〜2500程度のものを使用することができる。本発明では、かかる酢酸ビニル樹脂を1種単独で用いても、また平均重合度の異なる酢酸ビニル樹脂を2種以上組み合わせて使用することもできる。この場合、平均重合度が300〜900程度の低重合度酢酸ビニル樹脂と平均重合度が1000〜2500程度の中重合度酢酸ビニル樹脂とを組み合わせて使用してもよい。ここで低重合度酢酸ビニル樹脂の中でも、好ましくは平均重合度が400〜850程度の低重合度酢酸ビニル樹脂であり、また中重合度酢酸ビニル樹脂の中でも好ましくは平均重合度が1000〜2000程度の中重合度酢酸ビニル樹脂である。

0022

酢酸ビニル樹脂の配合量は、制限されないが、通常、義歯安定剤全体の40〜80質量%の範囲になるように調整することができる。好ましくは45〜75質量%であり、より好ましくは50〜70質量%である。酢酸ビニル樹脂として上記低重合度酢酸ビニル樹脂と中重合度酢酸ビニル樹脂を組み合わせて使用する場合、両者の使用割合(低重合度酢酸ビニル樹脂:中重合度酢酸ビニル樹脂)としては、質量比として1:9〜9:1を挙げることができる。好ましくは8:2〜2:8であり、より好ましくは6:4〜4:6である。かかる範囲で用いることで、義歯安定剤がチューブから押し出しやすくなるとともに、義歯床への塗布が容易で、部分義歯床に対しても薄く塗り広げることが可能である。なお、酢酸ビニル樹脂の平均重合度は、酢酸ビニル樹脂の溶液を作り、オストワルド粘度計を用いて水との相対粘度を求め、相対粘度と溶液濃度等から計算で平均重合度を測定することができる。

0023

(2)ワセリン
本発明の義歯安定剤は、主基剤である酢酸ビニル樹脂に加え、ワセリンを含有することを特徴とする。

0024

ワセリンは、本発明の義歯安定剤の水浸透性を向上させる助剤として機能し、義歯安定剤を口腔内で義歯と歯茎とを密着固定化させたときに、水接触面が少ないにもかかわらず、速やかに唾液が浸透し、その結果、酢酸ビニル樹脂が収縮して、優れた義歯安定効果とクッション効果を発揮する。また、ワセリンは、義歯安定剤を義歯床に塗り広げるときに、それが指に付着することを抑制する調整剤としても有用である。

0025

なお、ワセリンは、色によって白色ワセリン(White Petrolatum)と黄色ワセリン(Yellow Petrolatum)に分類され、白色ワセリンのほうが純度が高いとされているが、本発明ではこれらのいずれも区別することなく使用することができる。

0026

ワセリンの配合量は、制限されないが、通常、義歯安定剤全体の0.1〜30質量%の範囲になるように調整することができる。好ましくは1〜25質量%であり、より好ましくは2〜20質量%、特に好ましくは2.2〜20質量%である。

0027

前述する酢酸ビニル樹脂との配合割合は、後述する口腔内温度(37℃程度)で軟弾性に優れたクッション状を形成してクッション効果を発揮するうえで重要であり、ワセリン1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合が2.5〜30質量部(特に2.6〜28質量部)となるように設定することが好ましい。より好ましくは3.5〜21質量部(特に3.7〜20.9質量部)であり、特に好ましくは3.5〜13質量部(特に3.7〜12.3質量部)である。

0028

(3)エタノール
本発明の義歯安定剤は、さらにエタノールを含有することを特徴とする。

0029

エタノールは、本発明の義歯安定剤の主基剤である樹脂軟化させる溶剤として機能する。

0030

エタノールの配合量は、制限されないが、通常、義歯安定剤全体の10〜30質量%の範囲になるように調整することができる。好ましくは13〜25質量%であり、より好ましくは14〜22質量%である。

0031

前述する酢酸ビニル樹脂とエタノールとの配合割合は、義歯安定剤が口腔内で軟弾性に優れたクッション状を形成してクッション効果を発現するうえで重要であり、通常、エタノール1質量部に対して酢酸ビニル樹脂の割合が2.5〜4.5質量部となるように設定される。好ましくは2.8〜4.1質量部である。さらにエタノールと酢酸ビニル樹脂の配合割合は、義歯安定剤のチューブからの出し易さ、義歯への塗り広げ易さ、手指への付着防止を発揮するうえでも重要である。かかる点を考慮すると、エタノール1質量部に対する酢酸ビニル樹脂のより好適な割合としては3〜3.8質量部を挙げることができる。

0032

(4)水
本発明の義歯安定剤は、さらに水を含有することを特徴とする。

0033

水は、本発明の義歯安定剤の主基剤である樹脂の軟化調整剤として機能する。

0034

水の配合量は、制限されないが、通常、義歯安定剤全体の5〜25質量%の範囲になるように調整することができる。好ましくは7〜20質量%であり、より好ましくは8〜15質量%である。

0035

前述するエタノールとの配合割合は、義歯安定剤が口腔内で軟弾性に優れたクッション状を形成してクッション効果を発現するうえで重要であり、通常、水1質量部に対してエタノールの割合が0.8〜4.5質量部となるように設定される。好ましくは1〜3質量部である。さらに水とエタノールの配合割合は、義歯安定剤のチューブからの出し易さ、義歯への塗り広げ易さ、手指への付着防止、分離安定性の向上を発揮するうえでも重要である。かかる点を考慮すると、水1質量部に対するエタノールのより好適な割合としては1.2〜2質量部を挙げることができる。

0036

(5)その他の成分
本発明による義歯安定剤には、上記酢酸ビニル樹脂、ワセリン、エタノールおよび水以外に、義歯安定剤に所望の性状を与えるために可塑剤乳化剤粘度調整剤剥離向上剤水不溶性粉体湿潤剤防腐剤金属石けん香料着色料歯垢分解酵素など公知の添加剤を、この発明の効果を損なわない限りにおいて、適宜配合してもよい。

0037

可塑剤としては、ミツロウ、木ロウカルナウバロウキャンデリラワックスが例示される。

0038

乳化剤としては、グリセリンモノステアレートのようなグリセリンの脂肪酸エステルソルビタンモノステアレートのようなソルビタンの脂肪酸エステルが例示される。

0039

粘度調整剤は義歯安定剤の粘度を調整するもので、必要に応じて、グリセリン、プロピレングリコール等が併用される。なお、本発明の義歯安定剤の粘度は、1000〜5000000センチポイズの範囲になるように調整されることが好ましい。より好ましくは10000〜3000000センチポイズの範囲である。特に部分義歯用には当該粘度は、100000〜800000センチポイズの範囲になるように調整されることが好ましい。より好ましくは200000〜700000センチポイズの範囲である。当該粘度は、義歯安定剤をマヨビン(柏洋硝子(株)製 M−70)に60cc充填し、12時間以上、温度37±1℃に保温した後、B型粘度計(BROOKFIELD社製「DV−II+」、スピンドルC型回転数0.5rpm)を用い、測定して得られる粘度である。

0040

なお、本発明の義歯安定剤のちょう度は、30mm以上であることが好ましく、より好ましくは33〜40mmの範囲である。さらに好ましくは34〜38mmの範囲である。当該ちょう度は、義歯安定剤0.5mLをアクリル板(80mm×80mm×5mm)に乗せ、上からもう一枚のアクリル板(80mm×80mm×5mm)で挟み込み、1500gの重りを乗せて30秒間荷重し、円形に広がった安定剤の直径を4ヶ所測定し、その平均値を算出することで求めることができる。

0041

剥離向上剤は、義歯の使用後に義歯安定剤を義歯床の接触面から剥し易くするもので、ポリブテンポリイソブチレン炭酸カルシウムリン酸カルシウムベントナイト二酸化ケイ素、三元共重合体等が例示される。

0042

ここで三元共重合体としては、アクリル酸低級アルキルとメタアクリル酸低級アルキルとメタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルとを構成成分とする三元共重合体を例示することができる。ここで低級アルキルは、メチルエチルプロピルブチル等の炭素数1〜6のアルキルを示す。特に好ましい三元共重合体はアクリル酸エチルメタアクリル酸メチルと比較的少量のメタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルとからなるものであり、かかる三元共重合体としては、ロームファルマ(RohmPharma)社から「オイドラギット(Eudragit) RS」の登録商標で市販されている分子量約150,000のランダム共重合体を挙げることができる(以下、この市販品を「市販三元共重合体」という)。ただし、この発明で用いられる三元共重合体は市販三元共重合体に限定されない。

0043

水不溶性粉体としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、プラスチックパウダータルクシリカ等が例示される。

0044

湿潤剤としては、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビット等が例示される。

0045

防腐剤としては、メチルパラベンエチルパラベンが例示される。

0046

金属石けんとしては、ステアリン酸カルシウムが例示される。

0048

油脂・ワックス類としては、ミツロウ、マイクロクリスタリンワックスカルナバロウ、キャンデリラワックス等が例示される。その他、香料、色素等を添加してもよい。

0049

本発明の義歯安定剤は、酢酸ビニル樹脂、ワセリン、およびエタノール以外の成分を水と混合し、均一に分散するように混合させた後、これにエタノールを配合して、減圧下で脱泡させながら温度35〜45℃にて20〜50分間程度攪拌することによって調製することができる。かかる調製は、例えばプラネタリーミキサーなどの攪拌機を用いることで簡単に実施することができる。

0050

以下、本発明の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、下記の処方において%とは、特に言及しないかぎり、質量%を意味するものとする。

0051

実施例1〜9、比較例1〜14
図1および図2に記載する処方に従って義歯安定剤(実施例1〜9、比較例1〜14)を調製した。具体的には、プラネタリーミキサー(株式会社井上製作所 MODEL:PLM−2)の2Lタンクに酢酸ビニル樹脂、ワセリン、炭酸カルシウム、顔料および精製水投入し、常温で均一に分散するまで混合した。次いで、得られたタンク内の混合物にエタノールを投入し、30kPaまで減圧し脱泡させながら、40℃条件下で45分間攪拌し、義歯安定剤を調製した。

0052

なお、図1および図2には、各義歯安定剤に配合した酢酸ビニル樹脂の総量(総酢ビ量)、酢酸ビニル樹脂とワセリンの総量(酢ビ+ワセリン量)、ワセリンに対する酢酸ビニル樹脂の質量比(酢ビ/ワセリン比)、水に対するエタノールの質量比(エタ水比)、およびエタノールに対する酢酸ビニル樹脂の質量比(酢ビ/エタ比)を示す。

0053

実験例1口腔温度下での水浸透性の評価
上記で調製した義歯安定剤(実施例1〜9、比較例1〜14)について、口腔内での装着を想定し、口腔温度(37℃)条件下での水浸透性を評価した。

0054

(1)試験方法
(1)1枚のアクリル板(80mm×80mm×5mm)上に義歯安定剤0.5gをとり、上からもう1枚のアクリル板(80mm×80mm×5mm)を乗せる。
(2)このアクリル板の上から1000gのを30秒間乗せて、2枚のアクリル板間で義歯安定剤が円状になるように薄く広げるとともにアクリル板と密着させ、これを被験試料とする。
(3)上記で調製した被験試料をそのまま37℃の湯浴中に12時間浸漬させて、2枚のアクリル板に挟まれた義歯安定剤への水浸透の早さを測定する。

0055

なお、2枚のアクリル板間で挟まれた義歯安定剤(円状)は、2枚のアクリル板間の隙間から侵入する水にその外縁が接触するため、外縁から中心部にかけて水が浸透する。そこで、水浸透の早さは、水浸透によって義歯安定剤中のエタノールが浸透した水で置換されること(以下、これを「エタノール置換」ともいう)によって生じた義歯安定剤の色の変化(赤→色)を指標に測定し、下表に示す基準で評価した。

0056

0057

(2)試験結果
結果を図1および2に示す。なお試験は、各測定試料を10検体ずつ行った(n=10)。図中、「水浸透性(評点)」は10検体の平均値を示し、「水浸透性(判定)」は、当該評点に基づいて下記基準に従って求めた値である。

0058

<水浸透性(判定)>
◎:評点が4以上
○:評点が3以上4未満
△:評点が2以上3未満
×:評点が1以上2未満
ND:測定不能(クッション状の形態を形成しない)。

0059

この結果から、義歯安定剤中に配合する酢酸ビニル樹脂の割合を、ワセリン1質量部に対して2.6〜28質量部(実施例1〜9)、好ましくは3.7〜20.9質量部(実施例3〜8)、より好ましくは3.7〜12.3質量部(実施例5〜8)の割合になるように設定することで、口腔内温度下で水浸透性に優れた義歯安定剤が得られること、すなわち義歯安定剤中のエタノールが速やかに水(口腔内では唾液)に置換し、早期に収縮してクッション状を形成してクッション効果を発揮する義歯安定剤が調製できることが確認された。なお、ここでワセリンとして使用した白色ワセリンに代えて、黄色ワセリンを使用した場合も同じ結果が得られた。また平均重合度1400の酢酸ビニル樹脂に代えて平均重合度1200の酢酸ビニル樹脂(サクノールSN−12T:電気化学工業(株))を使用した場合;平均重合度800および650の酢酸ビニル樹脂に代えて、それぞれ平均重合度500および350の酢酸ビニル樹脂(ゴーセニール:日本合成化学(株))を使用した場合;平均重合度650の酢酸ビニル樹脂に代えて、平均重合度200の酢酸ビニル樹脂(ゴーセニール:日本合成化学(株))を使用した場合;並びに平均重合度1400および800の酢酸ビニル樹脂に代えて、平均重合度1200の酢酸ビニル樹脂(サクノールSN−12T:電気化学工業(株))を使用した場合も、同様の傾向が認められた。

0060

一方、ワセリンに代えて、軽質流動パラフィン(比較例7〜10)またはパラフィンワックス(比較例11〜14)を用いて調製した義歯安定剤は、各パラフィン1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合を上記と同様に設定しても、所望の水浸透性を有する義歯安定剤を得ることはできなかった。このことから、本発明の効果は、酢酸ビニル樹脂にワセリンを組み合わせることによって得られる効果であると認められる。

0061

実験例2口腔温度下での軟弾性(クッション効果)の評価
上記で調製した義歯安定剤(実施例1〜9、比較例1〜14)について、口腔内での装着を想定し、口腔温度(37℃)条件下でのクッション状への成形性およびクッション効果を評価した。なお、ここで「成形性」とは、義歯安定剤が口腔温度条件下で水に触れエタノールが水で置換されてクッション状の形態を形成するか否かの特性を意味する。かかる成形性は、義歯用安定剤が、口腔内で軟弾性を発現して歯茎への負担を軽減する効果(クッション効果)を発現するうえで必要な要素になる。

0062

(1)試験方法
(1)アクリル板(80mm×80mm×5mm)上に、義歯安定剤2.5gをとり、直径約40mmの円状になるように指で均一に塗り広げる。
(2)これをそのまま37℃の湯浴中に12時間浸漬させて、エタノールを水に置換させて酢酸ビニル樹脂を収縮させて、クッション状に変化させる。このとき、クッション状の形成(成形性)の有無を目視して観察する。
(3)クッション状になった義歯安定剤をアクリル板から剥がし、表裏を逆にし、アクリル板に付着していた平滑面を上向きに、その裏面(エタノール置換で収縮し凹凸状になった面)を下にし、アクリル板面上に付ける。
(4)斯くして調製した測定試料の表面を、ゴム硬度計ASKER製、タイプ:C型)で押さえ硬度を測定する。1測定試料あたり任意の9箇所について硬度を測定し、その平均値を口腔温度下での軟弾性とする。

0063

(2)試験結果
結果を図1および2に示す。図中、「軟弾性(測定値)」は上記の9箇所の測定値の平均値を示し、「軟弾性(相対比)」は、ワセリン非配合の測定試料(比較例1)の「軟弾性(測定値)」を100とした場合の測定試料の相対比を示す。また「クッション効果(判定)」は、「軟弾性(相対比)」に基づいて下記基準に従って求めた値である。

0064

<クッション効果(判定)>
◎:軟弾性(相対比)が90%未満
○:軟弾性(相対比)が90〜93%
△:軟弾性(相対比)が93〜96%
×:軟弾性(相対比)が96%以上
ND:測定不能(クッション状の形態を形成しない)。

0065

また、図中、「成形性」は、クッション状の形成の有無を目視して観察した結果を、下記基準で評価したものである。

0066

<成形性の評価>
○:クッション状を形成する。
△:部分的にクッション状を形成するが、形成できていない部分がある。
×:クッション状を形成しない。

0067

この結果から、義歯安定剤中に配合する酢酸ビニル樹脂の割合を、ワセリン1質量部に対して2.6〜28質量部、好ましくは3.7〜20.9質量部、より好ましくは3.7〜12.3質量部の割合になるように設定することで、口腔内温度下で軟弾性、すなわちクッション効果に優れた義歯安定剤が得られることが確認された。なお、ここでワセリンとして使用した白色ワセリンに代えて、黄色ワセリンを使用した場合も同じ結果が得られた。また平均重合度1400の酢酸ビニル樹脂に代えて平均重合度1200の酢酸ビニル樹脂(サクノールSN−12T:電気化学工業(株))を使用した場合;平均重合度800および650の酢酸ビニル樹脂に代えて、それぞれ平均重合度500および350の酢酸ビニル樹脂(ゴーセニール:日本合成化学(株))を使用した場合;平均重合度650の酢酸ビニル樹脂に代えて、平均重合度200の酢酸ビニル樹脂(ゴーセニール:日本合成化学(株))を使用した場合;並びに平均重合度1400および800の酢酸ビニル樹脂に代えて、平均重合度1200の酢酸ビニル樹脂(サクノールSN−12T:電気化学工業(株))を使用した場合も、同様の傾向が認められた。

0068

これらの割合は、実験例1で行った水浸透性の測定結果とも一致する。従って、義歯安定剤中に配合する酢酸ビニル樹脂を、ワセリン1質量部に対して上記の割合になるように設定することで、口腔内で速やかに水(唾液)が浸透し、早期に収縮して優れたクッション効果を発揮する義歯安定剤を調製することができる。

0069

一方、ワセリンに代えて、同じ炭化水素類である軽質流動パラフィン(比較例7〜10)またはパラフィンワックス(比較例11〜14)を用いて調製した義歯安定剤は、各パラフィン1質量部に対する酢酸ビニル樹脂の割合を上記と同様に設定しても、所望のクッション効果を有する義歯安定剤を得ることはできなかった。このことから、本発明の効果は、酢酸ビニル樹脂にワセリンを組み合わせることによって得られる効果であると認められる。

0070

実施例10〜20、比較例15〜16
実施例1〜9と同様の方法で、図3に記載する処方に従って義歯安定剤(実施例10〜20、比較例15〜16)を調製した。なお、図1と同様、図3には、各義歯安定剤に配合した酢酸ビニル樹脂の総量(総酢ビ量)、酢酸ビニル樹脂とワセリンの総量(酢ビ+ワセリン量)、ワセリンに対する酢酸ビニル樹脂の質量比(酢ビ/ワセリン比)、水に対するエタノールの質量比(エタ/水比)、およびエタノールに対する酢酸ビニル樹脂の質量比(酢ビ/エタ比)を示す。

0071

得られた義歯安定剤について、上記実験例1と実験例2に記載する方法に従って、口腔温度下での水浸透性、成形性および軟弾性(クッション効果)評価した。結果を図3に合わせて示す。

0072

この結果から、義歯安定剤中に配合する酢酸ビニル樹脂の割合を、エタノール1質量部に対して2.5〜4.5質量部(実施例10〜20)、好ましくは2.8〜4.1質量部(実施例12〜18)の割合になるように、また義歯安定剤中に配合するエタノールの割合を、水1質量部に対して0.8〜4.5質量部(実施例10〜20)、好ましくは1〜3質量部(実施例12〜18)の割合になるように設定することで、口腔内温度下での成形性がよく、しかも軟弾性(クッション効果)に優れた義歯安定剤が得られることが確認された。なお、ここでワセリンとして使用した白色ワセリンに代えて、黄色ワセリンを使用した場合も同じ結果が得られた。また平均重合度1400の酢酸ビニル樹脂に代えて平均重合度1200の酢酸ビニル樹脂(サクノールSN−12T:電気化学工業(株))を使用した場合;平均重合度800および650の酢酸ビニル樹脂に代えて、それぞれ平均重合度500および350の酢酸ビニル樹脂(ゴーセニール:日本合成化学(株))を使用した場合;平均重合度650の酢酸ビニル樹脂に代えて、平均重合度200の酢酸ビニル樹脂(ゴーセニール:日本合成化学(株))を使用した場合;並びに平均重合度1400および800の酢酸ビニル樹脂に代えて、平均重合度1200の酢酸ビニル樹脂(サクノールSN−12T:電気化学工業(株))を使用した場合も、同様の傾向が認められた。

実施例

0073

この結果および実験例1と2の結果を総合すると、義歯安定剤中に配合する酢酸ビニル樹脂を、ワセリンおよびエタノールに対してそれぞれ前述する特定の割合になるように設定し、また義歯安定剤中に配合するエタノールを、水に対して前述する特定の割合になるように設定することで、口腔内で速やかに水(唾液)が浸透し、早期に収縮して優れたクッション効果を発揮する義歯安定剤を調製することができることが判明した。

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