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技術 生体由来サンプル保持シートの表面処理装置、生体由来サンプル保持シートの表面処理方法、生体由来サンプル処理装置および生体由来サンプル処理方法

出願人 シャープ株式会社
発明者 後藤真一鵜沼豊丸尾祐二大木博
出願日 2009年9月10日 (11年5ヶ月経過) 出願番号 2009-209276
公開日 2011年3月24日 (9年10ヶ月経過) 公開番号 2011-058968
状態 特許登録済
技術分野 電気化学的な材料の調査、分析
主要キーワード ビニール膜 所要条件 多孔質カバー 排水チューブ 給水材 対角面 粉末試薬 注水孔
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年3月24日)のものです。
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図面 (13)

課題

生体由来サンプル転写された被転写体表面処理を自動的に行うための技術を提供することを主たる目的とする。

解決手段

生体由来サンプルを表面に保持している生体由来サンプル保持シート10をシート送り経路に沿って送るシート送り手段と、該シート送り経路上において生体由来サンプル保持シート10の表面に液体試薬を供給する表面処理器具120とを備えている処理装置100を用いる。

概要

背景

近年、タンパク質核酸等の生体由来サンプルを、その性質の違いにより分離して検出するための様々な手法や装置が開発されている。

分離手法としては、ゲル電気泳動キャピラリー電気泳動液体クロマトグラフィー等が知られているが、中でも、その操作の簡易さおよび分離能の高さから、ゲル電気泳動が広く利用されている。特に、タンパク質を分離解析するためのゲル電気泳動としては、陰イオン系界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いたSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動が広く利用されている。

また、分離したサンプルを解析する手法として、例えば、ウエスタンブロッティング法がある。ウエスタンブロッティング法は、特に、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離したタンパク質を同定する手法として有用である。ウエスタンブロッティング法では、ゲル中において分離されたタンパク質を転写膜吸着させて固定し、抗体を用いた抗原抗体反応によって、当該転写膜上に固定されたタンパク質を同定する。

SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびウエスタンブロッティング法は、試料中の生体由来サンプル(例えば、タンパク質)を解析する手法として、再現性および最小検出感度の観点で非常に優れているため、生化学的分野で広く利用されている。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびウエスタンブロッティング法は、例えば、以下のような工程を順次進めることによって実施される。

(1)SDS−ポリアクリルアミド電気泳動所要時間、約1時間)
直流電源装置を利用し、タンパク質(生体由来サンプル)が、分子ふるい効果をもつポリアクリルアミド内を移動する過程において、生体由来サンプル中のタンパク質を分離する。

(2)転写膜への転写(所要時間、約1時間)
直流電源装置を利用し、ゲル中のタンパク質を転写膜へ転写する。一般的に、転写膜としては、生体由来サンプルが結合し易く、疎水性の高いニトロセルロース膜PVDF膜等が用いられる。

(3)ブロッキングおよび洗浄(所要時間、約1時間30分)
振とう器を利用し、ブロッキング剤を転写膜表面に被膜する。続いて、洗浄液を用いて過剰なブロッキング剤を除去する。

(4)抗原抗体反応(所要時間、約2時間〜終夜
恒温槽を利用し、温度制御しながら転写膜表面のタンパク質と抗体とを結合させる。

(5)検出(所要時間、数分〜数十分)
一般的に、光学的測定または蛍光検出によって転写膜の膜表面状態を読み取る。

なお、ウエスタンブロッティングでは目的タンパク質を高いシグナルノイズ比(S/N比)で検出することが求められている。ノイズは、通常、抗体が転写膜表面に非特異的に結合することにより生じるバックグラウンドに起因する。バックグラウンドを低下させるためには、上記(3)ブロッキングおよび洗浄の工程を適切に行うことが必要となる。

ブロッキング工程では、タンパク質からなるブロッキング剤(アルブミンカゼイン等)または高分子素材ポリマーを溶解した緩衝液フォスフェートバッファートリスバッファー等)に転写膜を浸し、振とう器によって振とうさせ、転写膜表面にブロッキング剤を被膜させる。ブロッキング工程の終了後、洗浄工程において、界面活性剤(tween等)を溶解した緩衝液(フォスフェートバッファー、トリスバッファー等)によって、転写膜を浸し、振とうすることによって過剰量に被膜したブロッキング剤を除去する。

このように、上記(3)ブロッキングおよび洗浄工程において、転写膜に予めブロッキング剤を適量被膜することによって、上記(4)抗原抗体反応工程において、抗体が転写膜表面に非特異的に結合するのを防止し、バックグラウンドを低減することができる。

このような実験作業に関連し、特許文献1には、電気泳動から転写までの一連の工程を全自動的に行う技術が開示されている。また、特許文献2には、多孔質担体上における抗原抗体反応を高速で行う方法および装置が開示されている。特許文献2に記載の技術では、転写膜を流動制御装置にセットし、転写膜へ溶液(ブロッキング剤、抗体溶液)の送液、散布、送液停止を交互に繰り返すことによって、膜表面における反応を促進し、反応時間の短縮化を実現している。

概要

生体由来サンプルが転写された被転写体表面処理を自動的に行うための技術を提供することを主たる目的とする。生体由来サンプルを表面に保持している生体由来サンプル保持シート10をシート送り経路に沿って送るシート送り手段と、該シート送り経路上において生体由来サンプル保持シート10の表面に液体試薬を供給する表面処理器具120とを備えている処理装置100を用いる。

目的

本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、生体由来サンプルが転写された被転写体の表面処理を自動的に行うための技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
6件
牽制数
2件

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請求項1

生体由来サンプルを表面に保持している生体由来サンプル保持シートシート送り経路に沿って送るシート送り手段と、該シート送り経路上において該生体由来サンプル保持シートの表面に液体試薬を供給する試薬供給手段とを備えていることを特徴とする生体由来サンプル保持シートの表面処理装置

請求項2

上記試薬供給手段を複数備えており、複数の該試薬供給手段の各々は、上記シート送り経路上の互いに異なる位置において、上記生体由来サンプル保持シートに上記液体試薬を供給することを特徴とする請求項1に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項3

上記試薬供給手段は、上記液体試薬を含浸している試薬保持材と、吸水材とを備えており、該試薬保持材および該吸水材は、上記生体由来サンプル保持シートを両面から挟むように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項4

上記試薬供給手段は、上記試薬保持材が含浸している上記液体試薬を、毛管現象によって上記生体由来サンプル保持シートに浸透させることを特徴とする請求項3に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項5

上記液体試薬は、調製用試薬および溶媒が混合されてなるものであり、上記試薬供給手段は、上記試薬保持材および該調製用試薬を格納し、該溶媒を注入するための注水孔が設けられている格納部を備えていることを特徴とする請求項3または4に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項6

上記生体由来サンプル保持シートの何れの面側にも、少なくとも一つの上記試薬保持材が配置されていることを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項7

複数の上記試薬供給手段において上記吸水材を共有していることを特徴とする請求項3〜6の何れか一項に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項8

上記シート送り経路上において上記生体由来サンプル保持シートを乾燥させる乾燥手段をさらに備えており、該乾燥手段は、該生体由来サンプル保持シートの少なくとも一面に接するように配置された給水材を備えていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項9

上記シート送り経路上において、上記生体由来サンプル保持シートの表面を光学的に測定する検出器をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項10

上記生体由来サンプル保持シートは、上記生体由来サンプルを保持している面上に、液体を透過させる保護膜が配置されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項11

上記生体由来サンプル保持シートは、上記生体由来サンプルを保持していない部分に設けられた、液体を透過させない断水領域を備えていることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項12

上記生体由来サンプル保持シートは、上記生体由来サンプルを保持している生体由来サンプル保持領域を複数備えており、該生体由来サンプル保持領域同士は、上記断水領域によって隔てられていることを特徴とする請求項11に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項13

上記液体試薬は、抗体溶液ブロッキング液洗浄液化学ルミネセンス基質溶液反応停止液染色液蛍光標識液固定液転写膜保存液放射性同位体溶液核酸プローブおよび生体認識物質からなる群より選ばれる試薬であることを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置。

請求項14

請求項1〜13の何れか一項に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置を備えた生体由来サンプル処理装置であって、上記シート送り手段は、生体由来サンプルを吸着する生体由来サンプル吸着シートを送るものであり、生体由来サンプルを分離し、分離した該生体由来サンプルを、上記シート送り経路上において該生体由来サンプル吸着シートの表面に吸着させて、該生体由来サンプル吸着シートを生体由来サンプル保持シートとするサンプル分離吸着器具をさらに備えていることを特徴とする生体由来サンプル処理装置。

請求項15

請求項1〜13の何れか一項に記載の生体由来サンプル保持シートの表面処理装置が生体由来サンプル保持シートを表面処理する方法であって、上記シート送り手段が、上記生体由来サンプルを表面に保持している上記生体由来サンプル保持シートを上記シート送り経路に沿って送るシート送り工程と、上記試薬供給手段が、該シート送り経路上において該生体由来サンプル保持シートの表面に上記液体試薬を供給する試薬供給工程とを包含していることを特徴とする生体由来サンプル保持シートの表面処理方法

請求項16

請求項14に記載の生体由来サンプル処理装置が生体由来サンプルを処理する方法であって、上記シート送り手段が、該生体由来サンプルを吸着する生体由来サンプル吸着シートを上記シート送り経路に沿って送るシート送り工程と、上記サンプル分離吸着器具が、該生体由来サンプルを分離し、分離した該生体由来サンプルを、該シート送り経路上において該生体由来サンプル吸着シートの表面に吸着させるサンプル分離吸着工程と、上記試薬供給手段が、該シート送り経路上において、分離した該生体由来サンプルを吸着している該生体由来サンプル吸着シートの表面に上記液体試薬を供給する試薬供給工程とを包含していることを特徴とする生体由来サンプル処理方法

技術分野

0001

本発明は、生体由来サンプル解析技術に関するものであり、特に、生体由来サンプルを表面に保持している生体由来サンプル保持シート表面処理する技術に関するものである。

背景技術

0002

近年、タンパク質核酸等の生体由来サンプルを、その性質の違いにより分離して検出するための様々な手法や装置が開発されている。

0003

分離手法としては、ゲル電気泳動キャピラリー電気泳動液体クロマトグラフィー等が知られているが、中でも、その操作の簡易さおよび分離能の高さから、ゲル電気泳動が広く利用されている。特に、タンパク質を分離解析するためのゲル電気泳動としては、陰イオン系界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いたSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動が広く利用されている。

0004

また、分離したサンプルを解析する手法として、例えば、ウエスタンブロッティング法がある。ウエスタンブロッティング法は、特に、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離したタンパク質を同定する手法として有用である。ウエスタンブロッティング法では、ゲル中において分離されたタンパク質を転写膜吸着させて固定し、抗体を用いた抗原抗体反応によって、当該転写膜上に固定されたタンパク質を同定する。

0005

SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびウエスタンブロッティング法は、試料中の生体由来サンプル(例えば、タンパク質)を解析する手法として、再現性および最小検出感度の観点で非常に優れているため、生化学的分野で広く利用されている。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動およびウエスタンブロッティング法は、例えば、以下のような工程を順次進めることによって実施される。

0006

(1)SDS−ポリアクリルアミド電気泳動所要時間、約1時間)
直流電源装置を利用し、タンパク質(生体由来サンプル)が、分子ふるい効果をもつポリアクリルアミド内を移動する過程において、生体由来サンプル中のタンパク質を分離する。

0007

(2)転写膜への転写(所要時間、約1時間)
直流電源装置を利用し、ゲル中のタンパク質を転写膜へ転写する。一般的に、転写膜としては、生体由来サンプルが結合し易く、疎水性の高いニトロセルロース膜PVDF膜等が用いられる。

0008

(3)ブロッキングおよび洗浄(所要時間、約1時間30分)
振とう器を利用し、ブロッキング剤を転写膜表面に被膜する。続いて、洗浄液を用いて過剰なブロッキング剤を除去する。

0009

(4)抗原抗体反応(所要時間、約2時間〜終夜
恒温槽を利用し、温度制御しながら転写膜表面のタンパク質と抗体とを結合させる。

0010

(5)検出(所要時間、数分〜数十分)
一般的に、光学的測定または蛍光検出によって転写膜の膜表面状態を読み取る。

0011

なお、ウエスタンブロッティングでは目的タンパク質を高いシグナルノイズ比(S/N比)で検出することが求められている。ノイズは、通常、抗体が転写膜表面に非特異的に結合することにより生じるバックグラウンドに起因する。バックグラウンドを低下させるためには、上記(3)ブロッキングおよび洗浄の工程を適切に行うことが必要となる。

0012

ブロッキング工程では、タンパク質からなるブロッキング剤(アルブミンカゼイン等)または高分子素材ポリマーを溶解した緩衝液フォスフェートバッファートリスバッファー等)に転写膜を浸し、振とう器によって振とうさせ、転写膜表面にブロッキング剤を被膜させる。ブロッキング工程の終了後、洗浄工程において、界面活性剤(tween等)を溶解した緩衝液(フォスフェートバッファー、トリスバッファー等)によって、転写膜を浸し、振とうすることによって過剰量に被膜したブロッキング剤を除去する。

0013

このように、上記(3)ブロッキングおよび洗浄工程において、転写膜に予めブロッキング剤を適量被膜することによって、上記(4)抗原抗体反応工程において、抗体が転写膜表面に非特異的に結合するのを防止し、バックグラウンドを低減することができる。

0014

このような実験作業に関連し、特許文献1には、電気泳動から転写までの一連の工程を全自動的に行う技術が開示されている。また、特許文献2には、多孔質担体上における抗原抗体反応を高速で行う方法および装置が開示されている。特許文献2に記載の技術では、転写膜を流動制御装置にセットし、転写膜へ溶液(ブロッキング剤、抗体溶液)の送液、散布、送液停止を交互に繰り返すことによって、膜表面における反応を促進し、反応時間の短縮化を実現している。

先行技術

0015

特開2007−292616号公報(平成19年11月8日公開
特開2008−89532号公報(平成20年4月17日公開)

発明が解決しようとする課題

0016

しかし、生体由来サンプルが転写された被転写体(例えば、転写膜)の表面処理(例えば、ブロッキング、洗浄等)を、自動的に行う技術は報告されていない。

0017

特許文献1には、電気泳動から転写までの一連の工程を全自動的に行う技術が開示されているが、その後、生体由来サンプルが転写された被転写体の表面処理を自動的に行う技術については記載されていない。

0018

特許文献2には、ブロッキングおよび抗原抗体反応について、通常6時間必要である所要時間を約30分に短縮することのできる技術が開示されているが、処理の自動化が不十分である。すなわち、特許文献2に記載の装置では、転写膜を装置にセットする操作が煩雑である。特許文献2の実施の形態の記載によれば、タンパク質等の生体由来サンプルが転写された転写膜を、シリコンゴム多孔質カバー状支持体とで挟んだ上で、装置に設置しなければならず、操作が煩雑である。さらに、特許文献2に記載の技術では、作業者が、ゲル、転写膜等のやわらかく取り扱いが難しい素材手作業で扱い、工程を進める必要がある。解析結果の再現性向上の観点から、作業工程はなるべく手作業を排除し、自動化して、所要時間および所要条件を一定にすることが好ましい。

0019

このように、従来技術を用いた場合、ブロッキング、洗浄等の転写膜の表面処理は、上述したように手作業による煩雑な操作を必要とする。そのため、生体由来サンプルが転写された被転写体の表面処理を自動的に行うための技術が求められている。

0020

本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、生体由来サンプルが転写された被転写体の表面処理を自動的に行うための技術を提供することを主たる目的とする。

課題を解決するための手段

0021

本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置は、上記課題を解決するために、生体由来サンプルを表面に保持している生体由来サンプル保持シートをシート送り経路に沿って送るシート送り手段と、該シート送り経路上において該生体由来サンプル保持シートの表面に液体試薬を供給する試薬供給手段とを備えていることを特徴としている。

0022

上記の構成によれば、生体由来サンプル(タンパク質等)を表面に保持している生体由来サンプル保持シートは、シート送り経路に沿って送られている途中に、試薬供給手段によって、表面に液体試薬(ブロッキング液、洗浄液、抗体溶液等)が供給される。これにより、生体由来サンプル保持シートの表面処理を、煩雑な手作業なしに、自動的に行うことができる。

0023

本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置は、上記試薬供給手段を複数備えており、該各試薬供給手段は、上記シート送り経路上の互いに異なる位置において、上記生体由来サンプル保持シートに液体試薬を供給することが好ましい。

0024

上記の構成によれば、シート送り経路上の互いに異なる位置に複数の試薬供給手段が設けられているので、シート送り手段を用いて、生体由来サンプル保持シートをシート送り経路に沿って送ることにより、生体由来サンプル保持シートの表面に同一または異なる液体試薬を順次供給することができる。これにより、生体由来サンプル保持シートに対して、複数種類の表面処理(例えば、ブロッキング液、洗浄液および抗体溶液からなるウエスタンブロッティングを構成する表面処理等)を、自動的に行うことができる。

0025

本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置では、上記試薬供給手段は、上記液体試薬を含浸している試薬保持材と、吸水材とを備えており、該試薬保持材および該吸水材は、上記生体由来サンプル保持シートを両面から挟むように配置されているものであってもよい。上記試薬供給手段は、上記試薬保持材が含浸している上記液体試薬を、毛管現象によって上記生体由来サンプル保持シートに浸透させることが好ましい。

0026

上記の構成によれば、シート送り経路に沿って送られる生体由来サンプル保持シートは、試薬保持材と吸水材とによって両面から挟まれる。ここで、試薬保持材は、液体試薬を含浸しているため、毛管現象により、当該液体試薬が、生体由来サンプル保持シートに浸透して、最終的に吸水材に吸収される。これにより、生体由来サンプル保持シートの表面に上記液体試薬を供給することができる。このように、毛管現象を利用することにより、簡易な装置構成で、自動的に生体由来サンプル保持シートの表面処理を行うことができる。

0027

上記生体由来サンプル保持シートの表面処理装置では、上記液体試薬は、調製用試薬および溶媒が混合されてなるものであり、上記試薬供給手段は、上記試薬保持材および該調製用試薬を格納し、該溶媒を注入するための注水孔が設けられている格納部を備えていることが好ましい。

0028

上記の構成によれば、上記格納部に上記溶媒を注入することにより、当該格納部内において、当該溶媒と調製用試薬とから上記液体試薬が調製され、試薬保持材に容易に液体試薬を含浸させることができる。

0029

上記生体由来サンプル保持シートの表面処理装置では、上記生体由来サンプル保持シートの何れの面側にも、少なくとも一つの上記試薬保持材が配置されているものであってもよい。

0030

上記の構成によれば、上記生体由来サンプル保持シートに対して、両面側から液体試薬を供給することができる。これにより、例えば、液体試薬として洗浄液を用いて生体由来サンプル保持シートの洗浄をする場合に好ましい結果を得ることができる。

0031

上記生体由来サンプル保持シートの表面処理装置では、複数の上記試薬供給手段において上記吸水材を共有していてもよい。

0032

上記の構成によれば、複数の試薬保持材と対になって生体由来サンプル保持シートを挟むための吸水材を共有することができる。すなわち、液体試薬毎に試薬保持材は別個用意する必要があるが、吸水材は共有させることができる。これにより、装置構成をコンパクトにすることができる。

0033

本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置は、上記シート送り経路上において上記生体由来サンプル保持シートを乾燥させる乾燥手段をさらに備えており、該乾燥手段は、該生体由来サンプル保持シートの少なくとも一面に接するように配置された給水材を備えていてもよい。

0034

上記の構成によれば、生体由来サンプル保持シートを乾燥させることができるため、余分な液体試薬を除去して、更なる表面処理、または、例えば光学的な測定を用いた解析を好適に行うことができる。

0035

本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置は、上記シート送り経路上において、上記生体由来サンプル保持シートの表面を光学的に測定する検出器をさらに備えていてもよい。

0036

上記の構成によれば、上記検出器が、表面処理がなされた生体由来サンプル保持シートの表面を光学的に測定するため、当該生体由来サンプル保持シートが保持する生体由来サンプルを好適に解析することができる。なお、光学的に測定するとは、上記生体由来サンプルの色または蛍光を検出することを含む。

0037

本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置では、上記生体由来サンプル保持シートは、上記生体由来サンプルを保持している面上に、液体を透過させる保護膜が配置されていてもよい。

0038

上記の構成によれば、上記生体由来サンプルを保持している面上に、液体を透過させる保護膜が配置されていることにより、上記生体由来サンプルを保持している面に液体試薬が供給されることを妨げずに、生体由来サンプル保持シートから生体由来サンプルが剥離することを防ぐことができる。

0039

本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置では、上記生体由来サンプル保持シートは、上記生体由来サンプルを保持していない部分に設けられた、液体を透過させない断水領域を備えていることが好ましい。

0040

上記の構成によれば、上記生体由来サンプルを保持していない部分に、液体を透過させない断水領域が設けられている。断水領域には液体試薬が浸透しないため、液体試薬が生体由来サンプルを保持していない部分に浸透して無駄になることを抑制することができる。

0041

上記生体由来サンプル保持シートの表面処理装置では、上記生体由来サンプル保持シートは、上記生体由来サンプルを保持している生体由来サンプル保持領域を複数備えており、該生体由来サンプル保持領域同士は、上記断水領域によって隔てられていてもよい。

0042

上記の構成によれば、生体由来サンプル保持シートが、複数の領域に分割されており、それぞれの領域に異なる生体由来サンプルを保持させることができる。これにより、複数種類の生体由来サンプルを連続して解析するために上記生体由来サンプル保持シートの表面処理装置を用いることができる。

0043

本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置では、上記液体試薬は、抗体溶液、ブロッキング液、洗浄液、化学ルミネセンス基質溶液反応停止液染色液蛍光標識液固定液、転写膜の保存液放射性同位体溶液、核酸プローブ溶液および生体認識物質溶液からなる群より選ばれる試薬であってもよい。

0044

上記の構成によれば、上記生体由来サンプル保持シートの表面処理装置は、生体由来サンプル保持シートのウエスタンブロッティング処理、染色処理蛍光標識処理、タンパク質固定処理、転写膜の保存処理または生体由来サンプルの検出処理をそれぞれ首尾よく行うことができる。

0045

本発明に係る生体由来サンプル処理装置は、本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置を備えた生体由来サンプル処理装置であって、上記シート送り手段は、生体由来サンプルを吸着する生体由来サンプル吸着シートを送るものであり、生体由来サンプルを分離し、分離した該生体由来サンプルを、上記シート送り経路上において該生体由来サンプル吸着シートの表面に吸着させて、該生体由来サンプル吸着シートを生体由来サンプル保持シートとするサンプル分離吸着器具をさらに備えていることを特徴としている。

0046

上記の構成によれば、上記サンプル分離吸着器具によって、生体由来サンプルを分離して、生体由来サンプル吸着シートに吸着させ、当該シートに対して表面処理を自動的に行うことができるので、生体由来サンプルの分離、転写および表面処理の全工程を自動的に行うことができる。

0047

本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理方法は、本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置が生体由来サンプル保持シートを表面処理する方法であって、上記シート送り手段が、上記生体由来サンプルを表面に保持している上記生体由来サンプル保持シートを上記シート送り経路に沿って送るシート送り工程と、上記試薬供給手段が、該シート送り経路上において該生体由来サンプル保持シートの表面に上記液体試薬を供給する試薬供給工程とを包含していることを特徴としている。

0048

上記の構成によれば、本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置と同等の効果を奏することができる。

0049

本発明に係る生体由来サンプル処理方法は、本発明に係る生体由来サンプル処理装置が生体由来サンプルを処理する方法であって、上記シート送り手段が、該生体由来サンプルを吸着する生体由来サンプル吸着シートを上記シート送り経路に沿って送るシート送り工程と、上記サンプル分離吸着器具が、該生体由来サンプルを分離し、分離した該生体由来サンプルを、該シート送り経路上において該生体由来サンプル吸着シートの表面に吸着させるサンプル分離吸着工程と、上記試薬供給手段が、該シート送り経路上において、分離した該生体由来サンプルを吸着している該生体由来サンプル吸着シートの表面に上記液体試薬を供給する試薬供給工程とを包含していることを特徴としている。

0050

上記の構成によれば、本発明に係る生体由来サンプル処理装置と同等の効果を奏することができる。

発明の効果

0051

本発明によれば、生体由来サンプルを保持している生体由来サンプル保持シートの表面に液体試薬を好適に供給することができるので、生体由来サンプルが転写された被転写体の表面処理を、煩雑な手作業なしに、自動的に行うことができる。

図面の簡単な説明

0052

本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る処理装置の概略構成を示す模式図である。
本発明の一実施形態に係る表面処理器具の構造を説明する分解斜視図である。
本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る処理装置の動作を説明する模式図であり、(a)は、表面処理前の状態を示し、(b)は、表面処理時の状態を示し、(c)は、表面処理後の状態を示す。
本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る処理装置の概略構成を示す模式図である。
本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る処理装置の動作を説明する模式図である。
本発明の一実施形態(第3実施形態)に係る処理装置の概略構成および動作を説明する模式図である。
本発明の一実施形態(第4実施形態)に係る処理装置および生体由来サンプル保持シートの概略構成を示す模式図である。
本発明の一実施形態(第5実施形態)に係る処理装置の動作および生体由来サンプル保持シートの概略構成を説明する模式図であり、(a)は、表面処理前の状態を示し、(b)は、表面処理中の状態を示す。
本発明の一実施形態(第6実施形態)に係る処理装置の概略構成を示す斜視図である。
本発明の一実施形態(第6実施形態)に係る処理装置の概略構成を示す断面図である。
本発明の一実施形態(第7実施形態)に係る処理装置の概略構成を示す断面図である。
本発明の一実施形態(第8実施形態)に係る処理装置の概略構成を示す断面図である。

実施例

0053

〔第1実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る処理装置(生体由来サンプル保持シートの表面処理装置)100の構成を示す模式図である。処理装置100は、生体由来サンプル保持シート10の表面に液体試薬を供給する表面処理器具(試薬供給手段)120と、生体由来サンプル保持シート10をシート送り経路に沿って送るシート送り部(シート送り手段)140とを備えている。処理装置100は、生体由来サンプルを表面に保持している生体由来サンプル保持シート10の表面処理を実施する。

0054

処理装置100の各部材の寸法は、処理対象の生体由来サンプル保持シート10の寸法に合わせて適宜設定すればよい。以下では、例示のために、幅6cmの生体由来サンプル保持シート10を用いた場合の一例について言及するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0055

(生体由来サンプル保持シート)
生体由来サンプルは、供給源としての生物材料(例えば、個体、体液細胞株組織培養物若しくは組織切片)から得られる任意の調製物であり、例えば、該生物材料から抽出されたタンパク質サンプルゲノムDNAサンプルおよび/または総RNAサンプルであり得る。生体由来サンプルは、当該分野において周知の技術(例えば、電気泳動)によって、成分毎に分離されていてもよい。

0056

生体由来サンプル保持シート10は、その表面に生体由来サンプルを保持し得るものであればよく、例えば、化学的電気的、物理的またはその他の特性、特に極性、疎水性またはポアサイズ等により、生体由来サンプルを吸着保持するものが好ましい。また、本明細書において、「シート」とは、薄膜状の物体を指し、形状は特に限定されないが、後述するように、巻き取り機構等の簡易な機構によりシート送りが可能なため、生体由来サンプル保持シート10は、長手方向が短手方向に比べて長い帯状の形状を有するシートであることが好ましい。なお、生体由来サンプル保持シート10は、一体形成されていてもよく、複数の部材から構成されていてもよい。

0057

このような生体由来サンプル保持シート10としては、一般的に生体由来サンプルを転写するための転写膜を用いればよく、例えば、ニトロセルロース膜、セルロース混合エステル膜セルロースアセテート膜ポリフッ化ビニリデン膜ナイロン登録商標)膜、ポリオレフィン膜等を用いることができる。

0058

生体由来サンプルを保持させる方法としては、特に限定されず、当該分野において周知慣用の技術、例えば、上述したような転写技術を用いてもよいし、特許文献2に記載の方法を用いてもよい。また、ベーキング、UVクロスリンク等の処理を行い、生体由来サンプル保持シート10に生体由来サンプルを固定してもよい。

0059

一実施形態において、生体由来サンプル保持シート10は、生体由来サンプルを保持するための領域(サンプル保持領域)を透水性の領域とし、生体由来サンプルを保持しない領域に、非透水性の領域(断水領域)を設けている。これにより、生体由来サンプル保持シート10の表面に液体試薬を供給した際、生体由来サンプルを保持するための領域にのみ、液体試薬を浸透させることができるので、液体試薬の無駄を抑えることができる。

0060

このような生体由来サンプル保持シート10としては、例えば、生体由来サンプルを保持するための領域を構成する転写膜14と、非透水性の領域を構成する断水膜12とが連結されてなるものを用いることができる。転写膜14としては、上述したような、生体由来サンプルを転写するための転写膜等を用いることができる。断水膜12としては、液体を透過させない性質の膜、例えば、ビニール膜、ナイロン(登録商標)膜、非透水性の樹脂素材からなる膜等を用いることができる。断水膜12と転写膜14との連結は、例えば、粘着テープ接着剤等を用いて接着すればよい。

0061

転写膜14の寸法としては、例えば、縦横6cmの一般的に利用される転写膜を用いることができる。

0062

(表面処理器具)
表面処理器具120は、生体由来サンプル保持シート10を通過させるためのスリット122を備えている。言い換えれば、上記シート送り経路は、スリット122内を通過する。

0063

図2は、表面処理器具120の構造を説明する分解斜視図である。図2に示すように、表面処理器具120は、試薬保持材130と、吸水材132と、試薬保持材130を格納する試薬保持材格納部126と、吸水材132を格納する吸水材格納部128とを備えている。試薬保持材格納部126および吸水材格納部128は、組み合わせたときに、スリット122を形成する。また、試薬保持材格納部126には、試薬保持材格納部126内に液体を注入するための注水孔124が設けられている。試薬保持材130および吸水材132は、スリット122を通過した生体由来サンプル保持シート10を両面から挟むように配置されている。

0064

試薬保持材130は、生体由来サンプル保持シート10の表面に供給すべき液体試薬を含浸する部材である。試薬保持材130としては、液体試薬を保持し得るものであればよく、例えば、弾力性を有し、水分を保持するようなスポンジ体、布、紙のような繊維素材吸水性ポリマー、ゲル、ゾル等を用いることができる。

0065

また、生体由来サンプルがタンパク質を含むものである場合に、試薬保持材130に当該生体由来サンプルが移らないように、試薬保持材130としては、タンパク質の吸着性が低い素材を用いることが好ましい。ここで、タンパク質は疎水性素材に吸着し易く、親水性素材には吸着し難い性質を有することから、試薬保持材130としては、親水性物質を用いることが好ましい。

0066

また、形状としては、例えば、ロール状、ブロック状等を用いることができる。一実施形態において、このような試薬保持材130としては、手軽に作成でき利用することができることから、ポリビニルアルコール製シートをロール状に丸めたものを用いることができる。

0067

生体由来サンプル保持シート10として幅6cmのものを用いる場合、上記ポリビニルアルコール製シートの寸法としては、例えば、厚さ2mm、横幅6cm、縦幅8cmのものを用いることができる。

0068

試薬保持材130に保持させる液体試薬は、生体由来サンプルの解析作業のための試薬であれば特に限定されず、ウエスタンブロッティングに必要な試薬のほか、染色液、蛍光標識液、タンパク質固定液、転写膜の保存液(保護剤)等を用いることも可能である。すなわち、本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置は、ウエスタンブロッティング、染色、蛍光標識、タンパク質固定、転写膜の保存等の様々な表面処理のために用いることができる。

0069

ウエスタンブロッティングに必要な試薬としては、抗体溶液、ブロッキング液、洗浄液、化学ルミネセンス基質溶液、反応停止液等が挙げられる。

0070

抗体溶液は、当該特定のタンパク質と特異的に結合して、特定のタンパク質を検出するための試薬である。抗体溶液としては、例えば、モノクローナル抗体ポリクローナル抗体人工抗体自己抗体、またはそれらの抗体を混合したもの等をバッファーによって調整した液を用いることができる。

0071

ブロッキング液は、生体由来サンプル保持シート10(の転写膜14)の表面をブロッキング処理して、抗体の非特異的結合を防止するための試薬である。ブロッキング液としては、例えば、ウシ血清アルブミン、カゼイン等のタンパク由来ブロッキング剤、ゼラチンポリマー由来のブロッキング剤、またはそれらのブロッキング剤を混合したもの等を用いることができる。

0072

洗浄液は、生体由来サンプル保持シート10(の転写膜14)に過剰に付着した試薬を除去するための試薬である。洗浄液としては、例えば、バッファーによって希釈された界面活性剤(例えば、tween20)をフォスフェートバッファーによって希釈した溶液)を用いることができる。

0073

化学ルミネセンス基質は、抗体に結合した酵素との化学反応を介して、基質を呈色させるための試薬である。化学ルミネセンス基質としては、例えば、標識された酵素がペルオキシダーゼの場合、テトラメチルベンジジンを用いることができる。この場合、化学反応の結果、反応前には透明であった溶液が青色に変化する。

0074

反応停止液は、化学ルミネセンス基質の化学変化ストップさせるための試薬である。反応停止液としては、例えば、ペルオキシダーゼによるテトラメチルベンジジンの呈色を停止するための塩酸等が挙げられる。

0075

可視染色、蛍光染色に必要な試薬としては、タンパク質可視染色液、タンパク質蛍光標識等が挙げられる。

0076

タンパク質可視染色液は、シート上のタンパク質を染色するための試薬(染色液)である。タンパク質可視染色液としては、例えば、クーマシーブルー染色液を用いることができる。クーマシーブルー染色液は、全タンパク質を青色に呈色させることができるため、肉眼による観察、光学機器による検出等が可能になる。

0077

タンパク質蛍光標識は、タンパク質の高感度な検出のための試薬(染色液)であり、通常蛍光検出器によって測定される。タンパク質蛍光標識としては、例えば、ディープパープル(登録商標、ジーイーヘルスケア社)等を用いることができる。

0078

その他、生体由来サンプルの放射性同位体検出のための試薬として、32Pにより放射標識したリン酸等の放射性同位体(ラジオアイソトープ)溶液を用いることができる。

0079

また、生体由来サンプル保持シート10に保持されている特定配列のDNAまたはRNAと相補的に結合させ、サザンブロッティング法またはノザンブロッティング法に基づく処理を行い、特定配列の核酸を検出するための試薬として、DNA、RNA、DNAアプタマー人工ペプチド等の核酸プローブを用いることができる。

0080

また、その他の生体認識物質として、上記の他、生体由来サンプル保持シート10に保持されている生体由来サンプルに結合して検出するための、抗原リガンドレセプタービオチンアビジン等の物質を用いることができる。

0081

また、生体由来サンプル保持シート10に保持された生体由来サンプルを生体由来サンプル保持シート10へ固定化し、染色に適した状態にするための試薬である固定液として、メタノール酢酸混合液等を用いることができる。

0082

また、生体由来サンプル保持シート10(の転写膜14)の保存性を高めるための試薬である保存液として、メタノール、エタノール等を用いることができる。

0083

試薬保持材130に上記液体試薬を保持させる方法は、特に限定されないが、使用前に、注水孔124から液体試薬を注入して試薬保持材130に当該液体試薬を含浸させる方法、試薬保持材130を試薬保持材格納部126に格納する前に予め当該液体試薬を含浸させておく方法等がある。

0084

また、一実施形態において、上記液体試薬が、溶媒(例えば、水)と、調製用試薬(例えば、粉末状の試薬)とを混合することによって得られる場合、当該調製用試薬を試薬保持材格納部126に格納しておき、使用前に注水孔124から当該溶媒を加えることによって、試薬保持材格納部126内で当該液体試薬を調製して、そのまま試薬保持材130に含浸させる方法を用いてもよい。このとき、調製用試薬として、上記液体試薬を乾燥させたものを用いる場合、例えば、以下のような手順により上記方法を実施することができる。なお、調製用試薬とは、上記溶媒と混合されることにより上記液体試薬を調製するための試薬である。

0085

すなわち、上記液体試薬として、ブロッキング剤であるウシ血清アルブミンを利用する場合、一実施形態において、横幅が6cmに、縦8cmのポリビニルアルコール製シートに10%ウシ血清アルブミンを0.5ml吸水させ、乾燥させる。これにより、試薬保持材格納部126に格納される試薬保持材130に、乾燥されたウシ血清アルブミン(調製用試薬)を保持させることができる。乾燥後、上記ポリビニルアルコール製シートをロール状に丸め試薬保持材格納部126に収納する。そして、使用する際に、試薬保持材格納部126の注水孔124から5mlの純水を加えることによって、試薬保持材格納部126内で1%ウシ血清アルブミン溶液(上記液体試薬)が5ml調整され、ポリビニルアルコール製シート(試薬保持材130)に含浸される。

0086

このように、予め、液体試薬または当該液体試薬を調製するための調製用試薬を試薬保持材格納部126に格納しておくことによって、表面処理の直前に、液体試薬の濃度調整をする手間が省くことができる。特許文献2に記載の技術のように、工程毎に、用いる試薬を調製する必要はない。例えば、試薬保持材格納部126内に適量の粉末試薬を準備しておき、実験直前に、例えば、適量の純水を入れるだけで、表面処理器具120内で処理に適した濃度の溶液を準備することができる。このように、本発明を用いれば、簡易な準備をするだけで、作業工程を全自動で進めることができる。

0087

例えば、特許文献2に記載の技術では、工程を進めるごとに試薬を濃度調整し、試薬の入ったボトルを装置にセットしなければならない点において、自動化が不十分である。すなわち、作業者は事前に、濃度調整した試薬を準備しなければならない。本実施形態によれば、このような問題も解決することができる。

0088

吸水材132は、物理的に吸水することができる物質であればよく、綿(コットン)、布等の繊維素材、スポンジまたは化学的に吸水することができる高分子ポリマーを用いることができる。一実施形態において、手軽に作製でき利用することができることから、吸水材132として、シート状のコットンを丸めたものを用いることができる。吸水材132の横幅は試薬保持材130と同じサイズになるよう設計されることが好ましい。例えば、試薬保持材130の横幅を6cm、断面の直径を1cmとするとき、吸水材132も同じく6cmの横幅になるように設計することが好ましい。

0089

試薬保持材格納部126および吸水材格納部128の材料としては、特に限定されないが、アクリル樹脂ポリカーボネートポリスチレンポリエチレンテレフタラート塩化ビニル等の樹脂素材、ガラス金属素材等を用いることができ、特に、加工の容易な樹脂素材を好ましく用いることができる。また、日光等の光により試薬が変性することを防止するため、遮光されていることが好ましい。

0090

試薬保持材格納部126および吸水材格納部128の寸法としては、その内径が、収納すべき試薬保持材130および吸水材132と同じになるように設計することが好ましい。例えば、試薬保持材130または吸水材132として横幅6cm、直径1cmのものを利用する場合、試薬保持材格納部126または吸水材格納部128を、内径が横幅6cm、直径1cmに設計すればよい。

0091

本発明を実施する際は、試薬保持材130を試薬保持材格納部126に格納し、吸水材132を吸水材格納部128に格納し、試薬保持材格納部126と吸水材格納部128とを張り合わせる。試薬保持材格納部126と吸水材格納部128とを張り合わせる方法は、試薬保持材格納部126と吸水材格納部128と張り合わせ面(対向面)を接着剤、接着テープ等を用いて接着させればよい。このような表面処理器具120は、ウエスタンブロッティングにおいて一般的に用いられる試薬とは異なり、実験毎に試薬を計量し準備をする必要がなく、作り置きをすることができるため、実験毎にストックされた表面処理器具120を即時に用いることができる。

0092

そして、図1に示すように、生体由来サンプル保持シート10を、表面処理器具120のスリット122を貫通させる。このとき、生体由来サンプル保持シート10は、表面処理器具120内において、試薬保持材130と吸水材132とに挟まれた状態である。この状態で、生体由来サンプル保持シート10の上流(シート送り方向側)を図示しないシート送り部140に連結する。一実施形態において、シート送り部140は、機械的に生体由来サンプル保持シート10を上方に引き上げ引き上げ装置である。引き上げのスタート、ストップ、引き上げ速度等はシート送り部140を制御する制御部(図示せず)が備えるプログラムによって制御される。

0093

図3は上記表面処理の各過程における表面処理器具120内部の挙動を説明する概略断面図である。(a)は、処理前、すなわち、シート送り部140を作動させる前の表面処理器具120内部の状態を示している。(b)は、処理中、すなわち、シート送り部140を作動させ、生体由来サンプル保持シート10の表面処理を実施中の表面処理器具120内部の状態を示している。(c)は、処理後、すなわち、生体由来サンプル保持シート10の表面処理が終了し、シート送り部140が停止されたときの、表面処理器具120内部の状態を示している。

0094

図3(a)に示すように、表面処理前では、表面処理器具120内に生体由来サンプル保持シート10の断水膜12部分が入っている。表面処理器具120内において、断水膜12は、試薬保持材130と吸水材132とによって挟まれ、両面から押し付けられている。しかし、断水膜12は、水分を通さないため、試薬保持材130に保持される液体試薬は、吸水材132へと移ることはない。

0095

続いて、シート送り部140が、生体由来サンプル保持シート10の引き上げを開始する(図3中における実線矢印方向)。引き上げ速度は、例えば、毎秒12μmの一定の速度とすることができるが、特に限定されず、転写膜14の寸法、目的とする表面処理方法によって適宜変更することができる。生体由来サンプル保持シート10の搬送が進むと、表面処理器具120内に転写膜14が入ってゆき、図3(b)に示す表面処理中の状態になる。

0096

表面処理中では、図3(b)に示すように、転写膜14が、試薬保持材130と吸水材132とによって挟まれ、両面から押し付けられるようになる。転写膜14は、試薬保持材130と吸水材132とに接していることが好ましい。転写膜14は、水分を浸透させるため、試薬保持材130が保持している上記液体試薬が、毛管現象によって、転写膜14に浸透し、最終的には吸水材132まで送液される。図3(b)では、液体試薬の送液方向を破線の矢印で示す。この送液によって、転写膜14の表面に液体試薬が供給される。

0097

例えば、上記液体試薬がブロッキング剤である場合には、転写膜14の表面にブロッキング剤が被膜されることになる。なお、被膜とは、ミクロ的には転写膜14にブロッキング剤であるウシ血清アルブミンタンパクが物理吸着されることであり、上述した送液によって積極的にウシ血清アルブミン分子と転写膜14の表面とが接触する頻度を高めることによって、効率的に上記被膜を実施することができる。

0098

本発明の新規な点の一つは、シート送り部140による生体由来サンプル保持シート10の引き上げの動力のみにより、試薬保持材130から吸水材132への液体試薬の毛管現象を利用して、自動的に転写膜14の表面への該液体試薬の供給(液体試薬による被膜)が行われる点である。生体由来サンプル保持シート10を引き上げるだけ、という簡易な動作によって、上記被膜は均一に行われる。更に、上記液体試薬が転写膜14を一定方向に貫通しながら送液されることにより、短時間で被膜することができる。

0099

また、転写膜14の上流に断水膜12を設けることによって、転写膜14への表面処理の直前まで試薬保持材130から吸水材132へ液体試薬が送液されることを防ぎ、液体試薬の供給(被膜)に利用する試薬の量を最小限に制御することができる。

0100

このように、処理装置100では、転写膜14の片面から反対面への送液を、吸水材132を用い、毛管現象を利用して行うため、送液のためのポンプポンプ制御装置ノズル排水チューブ等を必要とせず、部品点数を少なくすることができる。

0101

例えば、特許文献2に記載の技術では、上記送液のための動力(ポンプ)と送液のオンオフを制御する機構が必要である。特に、生化学反応溶液を送液する機構には、厳格メンテナンスが必要である。例えば、ウエスタンブロッティングに必要な緩衝液は無機塩を含み、送液を続けると次第に流路内面塩析し、安定した送液を妨げる。塩析を防ぎ、安定した送液を確保するためには、十分な洗浄をこまめに行うことが必要となる。また、同一の流路に異なる試薬を送液する場合、コンタミネーションが生じ、再現性が低下する。更に、ウエスタンブロッティングで利用するタンパク質である抗体は、物理吸着によって流路に吸着し易く、取り扱いが困難な試薬である。これに対し、本発明によれば、流路系の機構を中心とするものではないため、メンテナンスが容易である。

0102

続いて、転写膜14に対する表面処理(被膜)が終わり、転写膜14の下流に連結される断水膜12が表面処理器具120の中に入ると、試薬保持材130から吸水材132への液体試薬の送液は停止する。シート送り部140が、引き上げ速度を毎秒12μmとした場合、6cmの転写膜14が、長さ1cmの表面処理器具120を通過するために必要となる時間は97分であり、同時間により転写膜14の一面を表面処理することができる。なお、転写膜14の下流に断水膜12を設けることによって、転写膜14への液体試薬の供給(被膜)が終了すると直ちに、液体試薬の送液を停止することができるので、試薬の使用量を節約することができる。

0103

転写膜14に液体試薬を均一に被膜するためには、転写膜14が表面処理器具120を通過する間、毛管現象による試薬保持材130から吸水材132への液体試薬の送液を、一定の速度で進めることが好ましい。送液速度は、主として液体試薬(試薬溶液)の容量、液体試薬の粘性、吸水材132の容量、吸水材132の素材、試薬保持材130と吸水材132との接触面積によって設定することができる。

0104

なお、仮に、図3(b)に示す上記表面処理の過程において、送水速度が大き過ぎ、試薬が試薬保持材130から急速に枯渇し、転写膜14の上流部と下流部とで被膜が均一にされない場合には、試薬保持材130に保持させる試薬溶液の容量を増加させることや、グリセリン等の表面への影響が少ない試薬を上記液体試薬に添加して、当該液体試薬の粘性を高めること、吸水材132の容量を小さくすること、吸水材132の素材を吸水力の小さなものへ変更すること、毛管現象の送液速度を遅くすること、試薬保持材130と吸水材132との接触面積を小さくすること等によって、毛管現象で送液される速度を任意に遅くすることにより、上流部と下流部とにおける被膜を均一化することができる。また、逆に、毛管現象による送液速度を大きくすることによって、表面処理にかかる処理時間を短縮することも可能である。すなわち、本実施形態に係る処理装置100では、上述した各種パラメータを適宜変更することによって、転写膜14への処理条件を任意に調整することができる。

0105

〔第2実施形態〕
本発明に係る処理装置では、表面処理器具の数は一つに限定されるものではなく、複数個の表面処理器具を備えていてもよい。これによって、転写膜に複種類の表面処理を順次、自動的に施すことができる。すなわち、例えば、電気泳動により分離されたサンプルが転写された転写膜に対して、ブロッキング、洗浄工程等を順次自動的に進めることができる。

0106

図4は、本発明の一実施形態(第2実施形態)に係る処理装置101の概略構成を示す模式図である。図4に示すように、処理装置101は、4個の表面処理器具120a〜120dを備えており、生体由来サンプル保持シート10(の転写膜14)に対して、順次表面処理を行う。なお、他の実施形態と同一の部材には同一の部材番号を付し、その説明は省略する。

0107

表面処理器具120a内の試薬保持材130aには、ブロッキング剤が保持されている。表面処理器具120b内の試薬保持材130bには、洗浄剤が保持されている。洗浄剤とは、転写膜に過剰に被膜されたブロッキング剤を除去するための液体試薬であり、例えば、界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としては、例えば、純水に溶解した0.05%のTween−20を用いることができる。また、表面処理器具120c内の試薬保持材130cには、試薬保持材130bと同様の洗浄剤が保持されている。表面処理器具120d内の試薬保持材130dには、すすぎ用緩衝液が保持されている。すすぎ用緩衝液とは、転写膜14に染み込んだ洗浄剤(例えば、界面活性剤)をすすぎ、当該洗浄剤を除去するための液体試薬である。すすぎ用緩衝液としては、例えば、フォスフェートバッファー(PBS)、トリスバッファー(TBS)、純水等を用いることができる。

0108

図5は、処理装置101の動作を説明する模式図である。処理装置101による、生体由来サンプル保持シート10の処理は、まず、生体由来サンプル保持シート10に、表面処理器具120a〜120dのスリット122a〜dを貫通させて、生体由来サンプル保持シート10上流にシート送り部140を連結させることから開始される。

0109

続いて、シート送り部140によって生体由来サンプル保持シート10が引き上げられると、生体由来サンプル保持シート10は、表面処理器具120a、表面処理器具120b、表面処理器具120c、表面処理器具120dの順に、それぞれに対応した表面処理を受ける。個々の表面処理器具120a〜d内部では、上述したような試薬保持材130a〜dから吸水材132a〜dへの毛管現象による液体試薬の移動によって、転写膜14に当該液体試薬が供給される。表面処理器具120bおよび120c内の試薬保持材130bおよび130cは共に、洗浄液を保持しているが、図5に示すように、試薬保持材130cは試薬保持材130bの対角面に設置されている。これにより、表面処理器具120cでは、毛管現象によって表面処理器具120bとは逆の向きに洗浄液が送液される(図5中、破線矢印参照)。よって、表面処理器具120bおよび表面処理器具120cによって転写膜14を両面から洗浄することができ、洗浄の効果を高めることができる。

0110

従来、転写膜14の表面処理は、ブロッキングから洗浄へと、次の工程に進めるために手作業で溶液を取替えなければならなかった。これに対し、本発明に係る生体由来サンプル保持シートの処理装置は、予め表面処理器具に生体由来サンプル保持シートをセットすれば、あとは全自動的にブロッキング、洗浄、検出等の各工程を実施することができる。その間、作業者が手作業をする必要はない。

0111

また、実験の目的で複種類のブロッキング剤を表面に供給する場合、表面処理器具120aと表面処理器具120bとの間に、表面処理器具120aとは異なる種類のブロッキング剤を保持した表面処理器具(図示せず)を設置すればよい。更に、洗浄をより強力に処理したい場合、表面処理器具120dの上流に、洗浄剤を保持した複数の表面処理器具(図示せず)を設置することで、洗浄を複数回行うことができる。

0112

このように、本発明に係る処理装置100を利用することによって、目的に応じた実験条件を容易に構築することができる。すなわち、事前に様々な試薬が保持された複種類の表面処理器具120をいくつか準備しておけば、表面処理器具120の種類、数、順番、方向を組み換えることによって、容易に任意の実験条件を構築できる。

0113

また、本発明に係る処理装置によれば、合算での表面処理時間を短縮できる。例えば、新しい表面処理を一工程追加するために、新たに表面処理器具を追加した場合であっても、この追加のために必要になる処理時間の増加は、追加した表面処理器具に転写膜が貫通する時間だけある。例えば、1cmの表面処理器具を一つ追加した場合、引き上げ速度を毎秒12μmとした場合、処理時間の増加量は13分だけである。

0114

なお、表面処理器具120、シート送り部140等の配置は、図示した態様に限定されず、鉛直方向、水平方向、斜め方向およびそれらの組み合わせの何れの方向に配置されていてもよい。例えば、図9〜12に示すように、ローラー144を備えることにより、シート送り経路の途中において、方向を変化させることも可能である。

0115

〔第3実施形態〕
本発明に係る処理装置はまた、複数種類の表面処理を行う場合であっても、表面処理器具を複数備えている必要はなく、例えば、図6に示すような複数種類の表面処理を行う一体型の表面処理器具を備えていてもよい。

0116

図6は、本発明の一実施形態(第3実施形態)に係る処理装置102の概略構成を示す模式図である。図6に示すように、処理装置102は、複数種類の表面処理を実施する一体型の表面処理器具121を備えており、生体由来サンプル保持シート10(の転写膜14)に対して、順次表面処理を行う。また、表面処理がなされた生体由来サンプル保持シート10(の転写膜14)の表面状態を測定する検出装置(検出手段)を備えている。なお、他の実施形態と同一の部材には同一の部材番号を付し、その説明は省略する。

0117

図6に示すように、一体型の表面処理器具121は、複数の試薬保持材130a〜cを備えている。また、一つの吸水材132が、試薬保持材130a〜cのそれぞれと対になって生体由来サンプル保持シート10を挟むようになっている。

0118

処理装置102では、転写膜14を右から左方向へ移動させ、一体型の表面処理器具121内で順次表面処理反応を進めてゆく。さらに表面処理後、シート送り経路上において、表面処理器具121の上流に設けられた検出装置160によって、表面処理後の表面状態を測定することができる。

0119

表面処理器具121では、下部には、吸水材132が設置されており、上部には、例えば、左からブロッキング液、抗体液および洗浄液を保持した試薬保持材130a、130bおよび130cが設置されている。

0120

処理装置101では、生体由来サンプル保持シート10を、表面処理器具120a〜dのそれぞれを通過させる必要があったが、処理装置102ではその手間が省ける。また、処理装置102の吸水材132では、各試薬保持材130a〜cと対になる吸水材132が共通であるので、より少ない部品点数の、よりシンプルな構成とすることができる。

0121

生体由来サンプル保持シート10の上流にはシート送り部140が連結されており、シート送り部140は、生体由来サンプル保持シート10を右から左への方向(図6中実線矢印で示す方向)に引っ張ることによって移動させる。

0122

表面処理器具121内部には、生体由来サンプル保持シート10の下部に吸水材132が配置され、上部に試薬保持材が設置されていない乾燥部134が設けられている。乾燥部134では、吸水材132によって、液体試薬によって濡れた状態の生体由来サンプル保持シート10を、脱水し乾燥させることができる。ここで、ウエスタンブロッティング法では、表面処理後、呈色された色素視認するかまたは蛍光標識を蛍光検出器によって検出することが一般的に行われる。このとき、転写膜14が液体試薬によって濡れていると、残留試薬が光の乱反射を起こし、安定した検出を妨げる。それゆえ、検出装置による転写膜14の表面状態の測定は、転写膜14を乾燥させた状態で実施することが好ましい。転写膜の乾燥は、遮光した状態で終夜室温自然乾燥させる方法が一般的であるが、この方法は、時間を要し、また、手間がかかる。一方、処理装置102では、表面処理器具121が乾燥部134を備えていることによって、乾燥を短時間で自動的に行うことができる。

0123

表面処理および乾燥が施された生体由来サンプル保持シート10(転写膜14)は、表面処理器具121の上流に設置してある検出装置160によって、その表面状態が測定される。表面状態とは、転写膜14表面上の生体由来サンプルの位置および/または状態を示すものであり、例えば、転写膜14表面の各位置における色彩または各位置から発せられる蛍光であり得る。検出装置160としては、蛍光検出カメラ光学カメラレーザースキャナー、吸収光測定、蛍光測定器等を用いることができる。また、検出装置160が測定した表面状態のデータは、自動的に解析装置(例えば、パーソナルコンピュータ)に送信されるようになっていてもよい。

0124

以上のような構成を備えることによって、処理装置102は、ウエスタンブロッティングから、転写膜14の表面状態の検出までを、全自動的に進めることができる。検出された転写膜14の表面状態は、転写膜14に保持された生体由来サンプルの解析に用いることができる。

0125

〔第4実施形態〕
図7は、本発明の一実施形態(第4実施形態)に係る処理装置103の概略構成を示す模式図である。図7に示すように、生体由来サンプル保持シート10における転写膜14は一箇所だけに設けられている必要はなく、断水膜12を介して2枚、またはそれ以上の転写膜14が連結されていてもよい。

0126

このような構成をとることにより、複数の生体由来サンプル(例えば、別個の電気泳動により分離したサンプル)を連続して解析するために、本発明に係る生体由来サンプル保持シートの表面処理装置を用いることができる。

0127

また、シート送り部140は、図7に示すように、生体由来サンプル保持シート10の上流側だけでなく、下流側にも設けることができる。例えば、シート送り部140を、生体由来サンプル保持シート10を巻き取る巻き取り機構によって実現している場合、下流のシート送り部142において、生体由来サンプル保持シート10を繰り出し、上流のシート送り部140において、生体由来サンプル保持シート10を繰り入れることにより、首尾よく、生体由来サンプル保持シート10をシート送り経路に沿って送ることができる。

0128

〔第5実施形態〕
図8は、本発明の一実施形態(第5実施形態)に係る処理装置の動作および生体由来サンプル保持シートの概略構成を説明する模式図である。図8(a)は、表面処理前の状態を示し、図8(b)は、表面処理中の状態を示す。

0129

本実施形態では、転写膜14の表面が、試薬保持材130とこすれて、当該表面上に保持された生体由来サンプルが剥離することをより好適に抑制することができる。本実施形態では、図8(a)に示すように、本実施形態では、生体由来サンプル保持シート10を処理装置にセットする際、生体由来サンプル保持シート10の生体由来サンプルが保持されている面上に、液体を透過させる保護膜16が配置されている状態で、表面処理器具120のスリット122へ通し、シート送り部140に接続させる。

0130

このように、転写膜14と試薬保持材130との間に、もう一枚、直接こすれるのを防止するための保護膜16を重ねることにより、生体由来サンプルが剥離するのをより好適に抑制することができる。試薬保持材130、吸水材132および転写膜14は、それぞれ密着している必要はなく、毛管現象を利用した液体試薬の移動ができるものであればよいため、転写膜14と試薬保持材130との間に、液体を透過させる保護膜16を挟んだとしても、試薬保持材130からの液体試薬の送液を邪魔することなく、転写膜14と試薬保持材130とが直接接触することを避けることができる。

0131

保護膜16の素材は、抗体または生体由来サンプル(例えば、タンパク質)が付着し難い親水性の素材が好ましく、試薬保持材130と転写膜14との間の毛管現象による送液に影響を与えないような、薄く、水分の透過性がよいものを用いることが好ましい。

0132

そのような保護膜16としては、例えば、市販のドゥラポアメンブレン(durapore membrane、ミリポア)のような親水性のフィルターを用いることができる。ドゥラポアメンブレンは、厚さ125μmと薄く、親水性の素材であるため、タンパク質または試薬の付着が少ない。また、ドゥラポアメンブレンはフィルター用途に利用されるものであり、0.65μmの孔が形成されており、液透過性も十分に有している。

0133

〔第6実施形態〕
図9は、本発明の一実施形態(第5実施形態)に係る処理装置(生体由来サンプル処理装置)104の概略構成を示す斜視図であり、図10は、処理装置104の概略構成を示す断面図である。図9および図10に示すように、処理装置104は、第2実施形態に係る処理装置101と同様の構成に、特許文献1に記載のようなサンプル分離吸着器具180が加えられている。

0134

本実施形態は、ポリアクリルアミド電気泳動から転写膜への転写、そしてウエスタンブロッティング、の一連の工程を全て自動的に進めることを可能にする。すなわち、特許文献1に記載の電気泳動から転写膜への転写までを順次、自動的に行う技術と、本発明に係る生体由来サンプル保持シート10の表面処理装置とを組み合わせるものである。

0135

処理装置104では、生体由来サンプルを吸着する生体由来サンプル吸着シート10に対し、サンプル分離吸着器具180が生体由来サンプルを吸着させ、生体由来サンプルを吸着した生体由来サンプル吸着シート10(生体由来サンプル保持シート10)に対し、表面処理器具120a〜120dが表面処理を施す。以下、各部の詳細について説明する。

0136

サンプル分離吸着器具180は、第1電極陰極)182が配置される第1緩衝液槽186、第2電極(陽極)184が配置される第2緩衝液槽188、および分離媒体192が収納されるサンプル分離部190を備えており、サンプル分離部190は、第1緩衝液槽186内に開口する第1開口194、および第2緩衝液槽188内に開口する第2開口196を有している。

0137

そして、処理装置104は、生体由来サンプル吸着シート10を、第2開口196と第2電極184との間に保持するためのローラー(生体由来サンプル吸着シート保持手段)144を備えている。ローラー144により、生体由来サンプル吸着シート10を、第2開口196と第2電極184との間に保持される。言い換えれば、生体由来サンプル吸着シート10が送られるシート送り経路が、第2開口196と第2電極184との間を通過する。なお、生体由来サンプル吸着シート10は、第2開口196と第2電極184との間に保持するために機能する手段であれば、本発明は首尾よく実行され得る。すなわち、生体由来サンプル吸着シート10は、第2開口196と接していても、第2電極184と接していてもよく、いずれにも接していない状態であってもよい。また、第2開口196、生体由来サンプル吸着シート10および第2電極184の全てが接していてもよい。

0138

シート送り部140および142ならびにローラー144によって、生体由来サンプル吸着シート10は、第2開口196に対向する位置を通過した後、表面処理器具120d、120c、120b、120aの順に通過する。

0139

第1電極182および第2電極184としては、白金、金、銀、銅、カーボン素材等を用いることができる。第1緩衝液槽186、第2緩衝液槽188およびサンプル分離部190を構成する材料は、それぞれ同一であっても別であってもよく、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート、塩化ビニル等の樹脂素材、ガラス等を用いることができる。第1緩衝液槽186および第2緩衝液槽188は、緩衝液が充填されるという観点から防水性が高い物質からなることが好ましい。

0140

分離媒体192は、電気泳動によって生体由来サンプルを分離するための媒体であり、一般に電気泳動法に用いられる媒体、例えば、ポリアクリルアミドゲルアガロースゲル等を用いることができるほか、いわゆるナノピラーと呼ばれる超微細柱をサンプル分離部内部に立てた構成であってもよい。

0141

生体由来サンプルの分離を実行する際には、第1緩衝液槽186および第2緩衝液槽188にはそれぞれ第1電極(陰極)182および第2電極(陽極)184が配置され、それぞれ第1緩衝液および第2緩衝液が充填され、分離媒体192の上部に第1開口194を介して生体由来サンプル(図には示していない)が載せられる。次いで、第1電極182および第2電極184に電圧198を印加することにより、生体由来サンプルに含まれる各成分は第2開口196へ移動する。ここで、各生体由来サンプル成分の間に生じる移動度の差に基づいて、生体由来サンプルは分離媒体中にて分離される。続いて、分離された生体由来サンプルは順次、第2開口196から排出され、生体由来サンプル吸着シート10へと転写される。

0142

生体由来サンプルが転写された生体由来サンプル吸着シート10は、生体由来サンプル保持シート10として、順次、表面処理器具120d、120c、120b、120aを通過する。上述したように表面処理器具120a〜120dは、生体由来サンプル保持シート10に対して、各種の表面処理(例えば、ブロッキング、洗浄、すすぎ等)を行うことができる。

0143

このように、以上の構成によって、アクリルアミド電気泳動から転写、ブロッキング、洗浄、すすぎ工程を全自動的に達成することができる。これらの一連の工程を全て自動化することによって作業者の実験熟練度に左右されない再現性を高めた操作が簡易な測定系を完成したと言うことができる。

0144

〔第7実施形態〕
図11は、本発明の一実施形態(第7実施形態)に係る処理装置の概略構成を示す模式図である。本実施形態は、生体由来サンプル保持シート10の表面処理を、表面処理器具120a〜120dの代わりに、試薬槽(試薬供給手段)220a〜220cを用いる点が、第6実施形態と異なっている。第6の実施形態と同じ構成には同じ部材番号を付して、説明を省略する。

0145

本実施形態では、生体由来サンプル保持シート10への表面処理に表面処理器具120a〜120dを利用せず、試薬槽220a〜220c内に貯められた液体試薬に浸すことによって、順次ウエスタンブロッティングを進めてゆく。シート送り部140および142は、生体由来サンプル保持シート10を巻き取る巻き取り装置であり、生体由来サンプル保持シート10は、自動的に巻き取られ、移動してゆく。生体由来サンプル保持シート10は途中、ローラー144によって進行方向が変更される。

0146

実施の形態6と同様、サンプル分離部190で分離された生体由来サンプルは、第2開口196で生体由来サンプル吸着シート10に転写される。生体由来サンプルが転写された生体由来サンプル吸着シート10は、生体由来サンプル保持シート10として、第2緩衝液から引き上げられ、一次抗体溶液が貯められた試薬槽220aに送られる。試薬槽220aにおいて、一次抗体溶液に浸される間、一次抗体と生体由来サンプル保持シート10上の生体由来サンプルとの間において抗原抗体反応が進められる。続いて、同様に、二次抗体溶液が貯められた試薬槽220bにおいて、二次抗体との抗原抗体反応が進められ、洗浄液が貯められた試薬槽220cにおいて、余分な抗体が洗い落とされる。最後に検出装置160によって生体由来サンプル保持シート10表面で進められたウエスタンブロッティングの結果が検出される。

0147

本実施形態では液体試薬が枯渇した場合、必要に応じて工程を進める過程で一次抗体溶液、二次抗体溶液または洗浄液を適時継ぎ足してもよい。

0148

なお、本実施形態は、電気泳動、転写、ウエスタンブロッティングおよび検出からなる1サイクルで完結するものでは必ずしもなく、自動的に新たなサンプルを適時、分離媒体192に投入することによって、複数の生体由来サンプルについて、同時に電気泳動、転写、ウエスタンブロッティング、検出の過程を進めることができる。

0149

〔第8実施形態〕
図12は、本発明の一実施形態(第8実施形態)に係る処理装置の概略構成を示す模式図である。本実施形態は、生体由来サンプル保持シート10の表面処理を、表面処理器具120a〜120dの代わりに、スプレー装置(試薬供給手段)320a〜320cを用いる点が、第6実施形態と異なっている。第6の実施形態と同じ構成には同じ部材番号を付して、説明を省略する。

0150

本実施形態では、生体由来サンプル保持シート10の表面処理を行う手段として、スプレー装置320a〜320cを利用する。図11に示すように、スプレー装置320a〜320cによって、抗体溶液、洗浄液等が順次散布され生体由来サンプル保持シート10が処理されてゆく。図中の矢印は溶液が散布される方向を示す。スプレーによって高価で希少な抗体など試薬の消費量を節約することができる。なお、インクジェット方式で溶液をスプレーして処理することもできる。

0151

本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

0152

本発明は、生体分子試験研究分野および該試験・研究に用いる器具の製造分野において利用することができる。

0153

10生体由来サンプル保持シート
12断水膜
14(14a〜b)転写膜
16 保護膜
100〜104、200、300処理装置
120(120a〜d)表面処理器具(試薬供給手段)
122スリット
124注水孔
126試薬保持材格納部(格納部)
128吸水材格納部
130(130a〜d) 試薬保持材
132(132a〜d) 吸水材
134乾燥部
40、142 転写膜送り部(シート送り手段)
144ローラー(生体由来サンプル吸着シート保持手段)
160検出器
180サンプル分離吸着器具
182 第1電極(陰極)
184 第2電極(陽極)
186 第1緩衝液槽
188 第2緩衝液槽
190サンプル分離部
192分離媒体
194 第1開口
196 第2開口
220(220a〜d)試薬槽(試薬供給手段)
320(320a〜d)スプレー装置(試薬供給手段)

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