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技術 誘導加熱方法および誘導加熱による溶融炉

出願人 一般財団法人電力中央研究所
発明者 荒関英夫
出願日 2009年9月1日 (11年5ヶ月経過) 出願番号 2009-201453
公開日 2011年3月17日 (9年11ヶ月経過) 公開番号 2011-054381
状態 特許登録済
技術分野 誘導加熱一般 るつぼ炉・流転床炉(炉4)
主要キーワード 切り替え段 切り離し操作 加熱パラメータ 交流コイル 浸透距離 被加熱金属 切替駆動 電気伝導率σ
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重要な関連分野

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図面 (10)

課題

被加熱金属の温度が変化しても効率良く誘導加熱を行なう。誘導加熱中に被加熱金属の撹拌を行なう。

解決手段

被加熱金属1を貯える容器2と、容器2の外に設けた加熱コイル4に加熱用交流電流を供給することで被加熱金属1を誘導加熱する加熱装置3とを備え、加熱装置3は、被加熱金属1の温度上昇による加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}の変化に対し、その変化量を抑制する方向に加熱用交流電流の周波数fを段階的に変化させながら誘導加熱を行なうものである。加熱装置3は、加熱用交流電流に撹拌用三相交流電流重畳して加熱コイル4に供給し、容器2内に被加熱金属1を撹拌する電磁力F1を発生させるようにしている。

概要

背景

誘導加熱を利用して金属を溶融させる炉として、例えば特開平8−82484号公報に記載されているものがある。この溶融炉を図9に示す。溶融炉は、収納容器101の周囲に誘導コイル102を設け、高周波発振器103から誘導コイル102に高周波電流を供給することで収納容器101を誘導加熱し、その熱で収納容器101内の被溶融金属104を加熱して溶融させるものである。高周波発振器103から誘導コイル102に供給される高周波電流として、例えば380kHzの高周波電流が供給される。溶融後の金属塊は収納容器101と共に廃棄される。

概要

被加熱金属の温度が変化しても効率良く誘導加熱を行なう。誘導加熱中に被加熱金属の撹拌を行なう。被加熱金属1を貯える容器2と、容器2の外に設けた加熱コイル4に加熱用交流電流を供給することで被加熱金属1を誘導加熱する加熱装置3とを備え、加熱装置3は、被加熱金属1の温度上昇による加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}の変化に対し、その変化量を抑制する方向に加熱用交流電流の周波数fを段階的に変化させながら誘導加熱を行なうものである。加熱装置3は、加熱用交流電流に撹拌用三相交流電流重畳して加熱コイル4に供給し、容器2内に被加熱金属1を撹拌する電磁力F1を発生させるようにしている。

目的

本発明は、金属を誘導加熱する場合、被加熱金属の温度が変化しても効率良く誘導加熱することができる誘導加熱方法および誘導加熱による溶融炉を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

容器の外に設けた加熱コイル加熱用交流電流を供給して前記容器内の被加熱金属誘導加熱する誘導加熱方法において、前記被加熱金属の温度上昇による加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}の変化に対し、その変化量を抑制する方向に前記加熱用交流電流の周波数を段階的に変化させながら誘導加熱を行なうことを特徴とする誘導加熱方法。

請求項2

前記加熱用交流電流に撹拌三相交流電流重畳して前記加熱コイルに供給し、前記容器内に前記被加熱金属を撹拌させる電磁力を発生させながら誘導加熱を行なうことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱方法。

請求項3

前記加熱用交流電流の周波数を共振回路を用いて変化させることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱方法。

請求項4

前記容器が非導電性のものであって前記被加熱金属が非磁性体の場合には、前記加熱用交流電流の周波数を段階的に下げることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱方法。

請求項5

前記容器が非導電性のものであって前記被加熱金属が磁性体の場合には、前記加熱用交流電流の周波数を段階的に上げることを特徴とする請求項1記載の誘導加熱方法。

請求項6

被加熱金属を貯える容器と、前記容器の外に設けた加熱コイルに加熱用交流電流を供給することで前記被加熱金属を誘導加熱する加熱装置とを備え、前記加熱装置は、前記被加熱金属の温度上昇による加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}の変化に対し、その変化量を抑制する方向に前記加熱用交流電流の周波数を段階的に変化させながら誘導加熱を行なうことを特徴とする誘導加熱による溶融炉

請求項7

前記加熱装置は、前記加熱用交流電流に撹拌用三相交流電流を重畳して前記加熱コイルに供給し、前記容器内に前記被加熱金属を撹拌する電磁力を発生させることを特徴とする請求項6記載の誘導加熱による溶融炉。

請求項8

前記加熱装置は、前記加熱用交流電流の周波数を増加させる共振回路を備えていることを特徴とする請求項6記載の誘導加熱による溶融炉。

技術分野

0001

本発明は、誘導加熱方法および誘導加熱による溶融炉に関する。更に詳しくは、本発明は、被加熱金属温度変化による加熱パラメータの変化に着目し、加熱パラメータの変化を抑制しながら誘導加熱を継続する誘導加熱方法および誘導加熱による溶融炉に関するものである。

背景技術

0002

誘導加熱を利用して金属を溶融させる炉として、例えば特開平8−82484号公報に記載されているものがある。この溶融炉を図9に示す。溶融炉は、収納容器101の周囲に誘導コイル102を設け、高周波発振器103から誘導コイル102に高周波電流を供給することで収納容器101を誘導加熱し、その熱で収納容器101内の被溶融金属104を加熱して溶融させるものである。高周波発振器103から誘導コイル102に供給される高周波電流として、例えば380kHzの高周波電流が供給される。溶融後の金属塊は収納容器101と共に廃棄される。

先行技術

0003

特開平8−82484号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、金属を誘導加熱する場合、誘導加熱される金属の温度によって加熱電力Pが変化する。そのため、誘導加熱の全過程において効率よく誘導加熱を継続することができない。

0005

また、上記の溶融炉では、誘導加熱中に被溶融金属104を撹拌することできないので、被溶融金属104に部分的な温度のばらつきが生じ、溶融を効率的に行うことができない。

0006

本発明は、金属を誘導加熱する場合、被加熱金属の温度が変化しても効率良く誘導加熱することができる誘導加熱方法および誘導加熱による溶融炉を提供することを目的とする。また、本発明は、誘導加熱中に被加熱金属の撹拌が可能な誘導加熱方法および誘導加熱による溶融炉を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、容器の外に設けた加熱コイル加熱用交流電流を供給して容器内の被加熱金属を誘導加熱する誘導加熱方法において、被加熱金属の温度上昇による加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}の変化に対し、その変化量を抑制する方向に加熱用交流電流の周波数を段階的に変化させながら誘導加熱を行なうものである。

0008

また、請求項6記載の誘導加熱による溶融炉は、被加熱金属を貯える容器と、容器の外に設けた加熱コイルに加熱用交流電流を供給することで被加熱金属を誘導加熱する加熱装置とを備え、加熱装置は、被加熱金属の温度上昇による加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}の変化に対し、その変化量を抑制する方向に加熱用交流電流の周波数を段階的に変化させながら誘導加熱を行なうものである。

0009

誘導加熱を行なう場合の加熱電力Pには数式1の関係がある。
〈数1〉
P∝{(ρμω)^(1/2)}×{(NI)^2}
ここで、{(ρμω)^(1/2)}:加熱パラメータ、ρ:電気抵抗率(=1/σ、σ:電気伝導率)、μ:透磁率、ω:角周波数2πf(f:周波数)、N:コイル巻き数、I:コイル電流値である。

0010

誘導加熱を行なう場合、加熱電力Pを適切な範囲の値に維持する必要がある。誘導加熱によって誘導加熱の対象の温度が上昇すると、その電気抵抗率ρ電気伝導率σ透磁率μが変化するので、加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}が変化し、加熱電力Pも変化する。ここで、誘導加熱の対象とは、容器が非導電性のもので誘導加熱されない場合には被加熱金属、容器が導電性のもので誘導加熱される場合には被加熱金属と容器の両方である。加熱電力Pの因子ついて考えると、まず加熱コイルの巻き数Nは誘導加熱の対象の温度とは関係ない。また加熱用交流電流値Iは基本的には電圧によって調整される。したがって、加熱パラメータの変化を抑制することで、加熱電力Pの変化が抑制されることになる。

0011

加熱パラメータは、加熱用交流電流の周波数fを上げることで増加し、周波数fを下げることで減少する。したがって、加熱パラメータの変化に対し、その変化量を抑制する方向、即ち誘導加熱の対象の温度上昇によって加熱パラメータが増加する場合には周波数fを下げ、加熱パラメータが減少する場合には周波数fを上げる。

0012

例えば、請求項4記載の誘導加熱方法のように、容器が非導電性のものであって被加熱金属が非磁性体の場合には、加熱用交流電流の周波数を段階的に下げるようにする。また、請求項5記載の誘導加熱方法のように、容器が非導電性のものであって被加熱金属が磁性体の場合には、加熱用交流電流の周波数を段階的に上げるようにする。

0013

また、請求項2記載の誘導加熱方法は、加熱用交流電流に撹拌用三相交流電流重畳して加熱コイルに供給し、容器内に被加熱金属を撹拌させる電磁力を発生させながら誘導加熱を行なうものである。また、請求項7記載の誘導加熱による溶融炉は、加熱装置が、加熱用交流電流に撹拌用三相交流電流を重畳して加熱コイルに供給し、容器内に被加熱金属を撹拌する電磁力を発生させるものである。したがって、容器内の金属を誘導加熱しながら撹拌することができる。

0014

さらに、請求項3記載の誘導加熱方法は、加熱用交流電流の周波数を共振回路を用いて変化させるものである。また、請求項8記載の誘導加熱による溶融炉は、加熱用交流電流の周波数を増加させる共振回路を備えているものである。即ち、共振回路を用いて加熱用交流電流がつくられる。共振周波数は共振回路のコンデンサの容量に依存し、その共振周波数は共振回路を使用しない場合より大きくなる。共振回路を電源回路に接続した場合、周波数を共振周波数に設定することにより、スイッチング損失を増加させることなく電気加熱交流電流をつくることが可能になる。

発明の効果

0015

請求項1記載の誘導加熱方法および請求項6記載の誘導加熱による溶融炉では、誘導加熱によって被加熱金属の温度が変化しても加熱電力Pの変化を抑制することができ、適切な範囲の値の加熱電力Pで誘導加熱を継続することができる。

0016

また、請求項2記載の誘導加熱方法・請求項7記載の誘導加熱による溶融炉では、撹拌しながら被加熱金属を加熱・溶融することができるので、熱を均一に行き渡らせて部分的な温度むらの発生を防止することができ、溶融時間を減少させることができる。また、溶湯(被加熱金属)を撹拌するので、被加熱金属の結晶粒微細化され、機械的強度を向上させることができる。

0017

また、請求項3記載の誘導加熱方法・請求項8記載の誘導加熱による溶融炉では、例えばインバータによって加熱用交流電流の周波数を変化させる場合のようにスイッチング損失が生じることがなく、効率よく加熱用交流電流の周波数を増加させることができる。

0018

ここで、請求項4記載の誘導加熱方法のように、容器が非導電性のものであって被加熱金属が非磁性金属の場合、その温度上昇に応じて加熱用交流電流の周波数を下げることで、加熱電力の低下を抑制し、誘導加熱を維持することができる。

0019

また、請求項5記載の誘導加熱方法のように、容器が非導電性のものであって被加熱金属が磁性体の場合、その温度上昇に応じて加熱用交流電流の周波数を上げることで、加熱電力の低下を抑制し、誘導加熱を維持することができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の溶融炉の実施形態の一例を示す断面図である。
加熱コイルを示し、第1の加熱工程における磁力線の発生の様子を示す断面図である。
加熱コイルを示し、第2の加熱工程における磁力線の発生の様子を示す断面図である。
加熱コイルである三相交流コイルを説明するための図で、(A)はその位相差を示す図、(B)は各位相の相対な関係を示す図である。
加熱コイルに加熱用交流電流及び電磁撹拌用交流電流を供給する電源回路を示すブロック図である。
本発明の溶融炉の他の実施形態を示し、容器底部に設ける加熱コイルを示す平面図である。
容器底部に設ける加熱コイルを示し、第1の加熱工程における磁力線の発生の様子を示す断面図である。
容器底部に設ける加熱コイルを示し、第2の加熱工程における磁力線の発生の様子を示す断面図である。
従来の溶融炉の断面図である。

実施例

0021

以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。

0022

図1に本発明の誘導加熱による溶融炉の実施形態の一例を示す。溶融炉は、被加熱金属1を貯える容器2と、容器2の外に設けた加熱コイル4に加熱用交流電流を供給することで被加熱金属1を誘導加熱する加熱装置3とを備えている。

0023

容器(坩堝)2は、被加熱金属1を誘導加熱する高温に耐え、被加熱金属1によって腐食されない材料を使用して形成されている。また、容器2の材料は、被加熱金属1を誘導加熱する発熱体として使用するか否かにも応じて適宜選択される。即ち、容器2を、非導電性で誘導加熱されない材料製としても良く、あるいは導電性で誘導加熱される材料製としても良い。誘導加熱されない材料としては、例えば耐火れんがセラミック等の使用が可能である。また、誘導加熱される材料としては、例えば被加熱金属1を誘導加熱する高温に耐え、被加熱金属1によって腐食されない金属の使用が可能である。

0024

容器2には例えば蓋2aが設けられており、溶融前の固体状態の被加熱金属1は蓋2aを開けて容器2内に投入される。ただし、溶融炉が専ら溶融状態の被加熱金属1を誘導加熱するものである場合等には、例えば蓋2aに溶融状態の被加熱金属1を導入する供給口を設けて当該供給口から溶融状態の被加熱金属1を容器2内に導入するようにしても良い。また、この場合には、蓋2aに排ガスを逃がす排ガス口を設けることが好ましい。蓋2aによって容器2の上を塞ぐことで放熱を防ぐことができ、容器2内の温度低下を防止することができると共に、容器2内の温度管理が容易になる。ただし、必ずしも蓋2aを設けて開閉可能にする必要はなく、例えば上述の供給口や排ガス口を設ける場合等には蓋2aの代わりに天板等によって容器2の開口を塞ぐようにしても良い。また、容器2内の温度管理が不要等の場合には、蓋2aや天板等を設けなくても良い。

0025

容器2の底板2bには流下ノズル8が設けられている。流下ノズル8には、図示しないバルブが設けられている。バルブを開き、流下ノズル8から溶湯(溶融させた被加熱金属1)を排出することができる。

0026

加熱装置3は、被加熱金属1の温度上昇による加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}の変化に対し、その変化量を抑制する方向に加熱用交流電流の周波数fを段階的に変化させながら誘導加熱を行なうものである。ここで、加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}のうち、ρ:誘導加熱の対象の電気抵抗率(=1/σ、σ:電気伝導率)、μ:誘導加熱の対象の透磁率、ω:加熱用交流電流の角周波数2πf(f:周波数)である。

0027

加熱装置3は、誘導加熱の対象を誘導加熱する電磁場を発生させる加熱コイル4、加熱コイル4に加熱用交流電流を供給する電源回路7を備えている。ここで、誘導加熱の対象とは、容器2が非導電性のもので誘導加熱されない場合には被加熱金属1、容器2が導電性のもので誘導加熱される場合には被加熱金属1と容器2である。

0028

加熱コイル4は、例えば容器2の周壁2cの外側に設けられている。ただし、加熱コイル4を設ける位置はこれに限るものではなく、容器2の底板2bの下側に設けても良く、あるいは周壁2cの外側と底板2bの下側の両方に設けても良い。加熱コイル4と容器2の周壁2cとの間には隙間が設けられている。加熱コイル4は例えば空冷コイルである。ただし、空冷コイルに限るものではなく、水等の冷媒によって冷却されるコイルであっても良い。

0029

また、本実施形態では、加熱装置3は、加熱用交流電流に撹拌用三相交流電流を重畳して加熱コイル4に供給し、容器2内に被加熱金属1を撹拌する電磁力F1を発生させるようにしている。即ち、加熱コイル4は電磁力発生手段としても使用される。そのため、加熱コイル4として移動磁界の発生に適した三相交流コイルを使用している。

0030

加熱コイル4を図2及び図3に示す。加熱コイル4は周壁2cを囲むように設けられている。加熱コイル4である三相交流コイルは、A−X,B−Y,C−Zの組み合わせで各コイル4aがそれぞれペアとなって結線され、A,B,Cのコイル4aは巻き方向が同一であり、X,Y,Zのコイル4aは巻き方向が同一であり、A,B,Cのコイル4aとX,Y,Zのコイル4aの巻き方向は逆になっている。ここで、(磁場の強さ)=(巻き数)×(電流)の条件を見たすように、巻き数Nが決められる。また、各コイル4aに流す電流Iは、(電流)=(電圧)÷(インピーダンス)から求められる。

0031

各コイル4aは容器2の軸方向上側に向けてA→Z→B→X→C→Y→A→…→Yの順番に配置され、各コイル4aの位相差は60度となっている。例えば図4(A),(B)に示すように、Aが0度のとき、Zが60度、Bが120度、Xが180度、Cが240度、Yが300度である。加熱コイル4に電源回路7より電磁力発生用の三相交流の電流(撹拌用三相交流電流)が供給されると、例えば図3に矢印で示すように、コイル4aの周囲に磁力線B1が容器2の周壁2cを貫通して被加熱金属1に達するように生じて、各コイル4aに流れる電流の変化によって容器2の軸方向上向きの移動磁界が形成される。

0032

加熱コイル4によって上向きの移動磁界を形成することで、被加熱金属1の容器2近傍位置、即ち磁力線B1が径方向に貫通する位置に円周方向に流れる電流が発生する。例えば、図3のP1位置では同図の奥側から手前側に向かう電流が、P2位置では同図の手前側から奥側に向かう電流が発生する。移動磁界と被加熱金属1中に生じる電流とによってフレミングの左手の法則から上向きの電磁力F1が発生する。被加熱金属1中に発生する電流は場所によって方向が逆になるが、A,B,Cのコイル4aとX,Y,Zのコイル4aの巻き方向も逆になっているので、常に上向きの電磁力F1が発生する。この電磁力F1は容器2に比較的近い位置に発生し、容器2に比較的近い位置の被加熱金属1を上向きに駆動する。

0033

本実施形態では、被加熱金属1の誘導加熱には単相交流電流が使用され、被加熱金属1を撹拌する(電磁撹拌)ための電磁力F1を発生させる場合には三相交流電流が使用される。誘導加熱に単相交流電流ではなく三相交流電流を使用しても良いが、三相交流電流を使用すると溶融前の固体状態の被加熱金属1に電磁力F1が作用してこれを動かすことになるので、このような現象の発生を防ぐために本実施形態では誘導加熱に単相交流電流を使用する。誘導加熱と電磁撹拌の両方を同時に行なう場合には、誘導加熱用の単相交流電流(加熱用交流電流)に撹拌用三相交流電流が重畳されて加熱コイル4に供給される。

0034

加熱装置3の電源回路7を図5に示す。なお、図5では、三相交流の線を1本の線に省略してに記載している。交流電源9から供給される交流電流はインバータ10を介して加熱コイル4に供給される。インバータ10は加熱コイル4に供給される交流電流の周波数を変化させる。また、インバータ10は単相の加熱用交流電流と三相の撹拌用交流電流を発生させる。

0035

電源回路7にはスイッチ機構12が設けられている。スイッチ機構12の切り換えによってインバータ10及び加熱コイル4に対してコンデンサ11aを含む回路とコンデンサを含まない回路の接続・切り離し操作される。コンデンサ11aを含む回路を接続した場合、加熱コイル4とコンデンサ11aは直列共振回路を構成することになるので、これを共振回路11と呼ぶことにする。また、共振回路11が接続されている状態をスイッチ機構12のオン状態といい、スイッチ機構12をオン状態にすることをオン操作するということにする。また、共振回路11が接続されていない状態をスイッチ機構12のオフ状態といい、スイッチ機構12をオフ状態にすることをオフ操作するということにする。

0036

次に、本発明の誘導加熱方法について説明する。誘電加熱方法は、容器2の外に設けた加熱コイル4に加熱用交流電流を供給して容器2内の被加熱金属1を誘導加熱するもので、被加熱金属1の温度上昇による加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}の変化に対し、その変化量を抑制する方向に加熱用交流電流の周波数fを段階的に変化させながら誘導加熱を行なうものである。本実施形態では、上述の溶融炉を使用した場合について説明するが、これ以外のものを使用して当該誘導加熱方法を実施しても良い。

0037

加熱コイル4が発生させる磁力線の磁気浸透距離δは数式2によって求められる。
〈数2〉
δ=(2/ωσμ)^(1/2)
ここで、ω:交流電流の角周波数2πf(f:周波数)、σ:誘導加熱の対象の電気伝導率、μ:誘導加熱の対象の透磁率である。

0038

即ち、使用する加熱用交流電流の周波数fを変化させると、加熱コイル4が発生させる磁力線B1の磁気浸透距離δが変化する。容器2が非導電性のもので誘導加熱されないものである場合には、後述する第1の加熱工程及び第2の加熱工程において、容器2内の被加熱金属1に電磁場が到達するようにする。また、容器2が導電性のもので誘導加熱されるものの場合には、磁力線が、第1の加熱工程では容器2の周壁2cまで到達するようにし、第2の加熱工程では容器2内の被加熱金属1に到達するようにする。また、第2の加熱工程では、被加熱金属1に対して磁力線B1をある程度深く浸入させて効率的な加熱を行うことができるように磁気浸透距離δを設定する。

0039

また、誘導加熱の加熱電力Pには数式3の関係がある。
〈数3〉
P∝{(ρμω)^(1/2)}{(NI)^2}
ここで、ρ:誘導加熱の対象の電気抵抗率(=1/σ、σ:誘導加熱の対象の電気伝導率)、μ:誘導加熱の対象の透磁率、ω:加熱用交流電流の角周波数2πf(f:周波数)、N:加熱コイル4の巻き数、I:加熱用交流電流値である。

0040

なお、必要とされる加熱電力Pの値は誘導加熱の対象の容積によって異なるので、加熱電力Pの値は誘導加熱の対象の容積に応じて適宜設定される。また、加熱コイル4の巻き数N、加熱用交流電流値I等が誘導加熱の対象の容積に応じて適宜設定される。

0041

加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}は、例えば10^(−4)オーダー又はこれに近い値になるようにする。代表的な金属の加熱パラメータを表1に示す。
例えば、銅の場合は、20℃のときには加熱用交流電流の周波数fを60kHzとして加熱パラメータを8.96×10^(−5)とし、1200℃のときには周波数fを20kHzとして加熱パラメータを1.83×10^(−4)にする。また、鉄の場合は、20℃のときには加熱用交流電流の周波数fを1kHzとして加熱パラメータを3.99×10^(−4)とし、1536℃のときには周波数fを20kHzとして加熱パラメータを4.68×10^(−4)にする。

0042

誘導加熱を行なう場合、加熱電力Pを適切な範囲の値に維持する必要がある。誘導加熱によって誘導加熱の対象の温度が上昇すると、その電気抵抗率ρ,電気伝導率σ,透磁率μが変化するので、加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}が変化し、加熱電力Pも変化する。加熱コイル4の巻き数N,加熱用交流電流値Iは誘導加熱の対象の温度が変化しても変化しないので、加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}の変化を抑制することで、加熱電力Pの変化を抑えることができる。

0043

加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}は、角周波数ω=2πfより、加熱用交流電流の周波数fを上げることで増加し、周波数fを下げることで減少する。したがって、温度上昇に伴う加熱パラメータの変化に対し、その変化量を抑制する方向、即ち、誘導加熱の対象の温度上昇によって加熱パラメータが増加する場合には周波数fを下げ、加熱パラメータが減少する場合には周波数fを上げることで、加熱電力Pの変化を抑制し、その値が誘導加熱の対象に応じた適切な範囲から外れることを防止することができる。

0044

例えば、加熱用交流電流の周波数fを2段階に変化させる。つまり、固体状態の被加熱金属1が溶融するまでの第1の加熱工程と、溶融後の第2の加熱工程とで加熱用交流電流の周波数fを変化させる。

0045

(誘導加熱の対象の例1)
容器2が非導電性のもので誘導加熱されない場合(容器2が発熱体にならない場合)、即ち誘導加熱の対象が被加熱金属1である場合において、被加熱金属1が非磁性体のときには、第1の加熱工程よりも第2の加熱工程の方の周波数fを低くする。非磁性の金属は、低温と高温、即ち固体状態と溶融状態とでは電気伝導率σが1桁程度異なるので、即ち低温の方が高いので、誘導加熱を行なう場合、加熱パラメータの変化を抑えて加熱電力Pの変化を抑制するという観点から誘導加熱の工程を次のような2段階に分けることにより、効率的な加熱が可能になる。なお、非磁性の金属として、例えば銅、アルミニウム等があるがこれらに限るものではない。

0046

・第1の加熱工程:比較的高い周波数f(例えば60kHz)の加熱用交流電流を使用して誘導加熱を行なう。
・第2の加熱工程:比較的低い周波数f(例えば20kHz)の加熱用交流電流を使用して誘導加熱を行なう。

0047

このように加熱用交流電流の周波数fを2段階に変化させることで、各工程とも加熱パラメータを10^(−4)オーダー又はこれに近い値にすることができる。

0048

なお、被加熱金属1の温度変化に伴い透磁率μも変化するが、非磁性金属の場合、透磁率μの変化が加熱パラメータの変化に与える影響は、電気伝導率σ(電気抵抗率ρ)の変化が加熱パラメータの変化に与える影響よりも十分小さい。したがって、非磁性金属の場合には、電気伝導率σ(電気抵抗率ρ)の変化を対象にして加熱用交流電流の周波数fを調整する。

0049

例えば、電源回路7の交流電源9として商用周波数50Hzのものを使用し、インバータ10によって第2の加熱工程で使用する周波数20kHzの単相交流(加熱用交流電流)を作る。そして、第1の加熱工程で使用する周波数60kHzの単相交流(加熱用交流電流)を作る場合には、スイッチ機構12をオン操作して共振回路11を接続し、インバータ10が作った20kHzの単相交流の周波数を3倍に引き上げて60kHzにする。ここで、共振回路11のコンデンサ11aは3倍共振させる容量を有している。

0050

即ち、第1の加熱工程では、スイッチ機構12をオン操作して共振回路11を接続し、インバータ10が作った周波数20kHzの単相交流を3倍共振させて、周波数60kHzの加熱用交流電流にして加熱コイル4に供給する。そして、第2の加熱工程では、スイッチ機構12をオフ操作して共振回路11を切り離し、インバータ10が作った周波数20kHzの単相交流をそのまま加熱用交流電流として加熱コイル4に供給する。

0051

スイッチ機構12の操作は、例えば、オペレータ手動操作しても良いし、コンピュータによって自動操作しても良い。コンピュータによる自動操作としては、例えば被加熱金属1の温度を温度センサによって検出し、検出温度が被加熱金属1の融点に達した場合にスイッチ機構12をオン状態からオフ状態に切替駆動することが考えられる。ただし、これに限るものではない。

0052

本実施形態では、加熱用交流電流の周波数fの切り替えに共振回路11を利用しているので、例えばインバータによって周波数を変化させる場合のようなスイッチング損失が発生せず、効率的に加熱用交流電流の周波数fを高くすることができる。特に、本組み合わせ1の第1の加熱工程のように加熱用交流電流の周波数が高い場合には、インバータのスイッチング損失は顕著になるので、共振回路11を利用する場合の効果は大きい。

0053

また、例えば周波数60kHzのように高い周波数の交流電流を加熱コイル4に供給すると、コイル表面に電流が集中する表皮効果が顕著になり、加熱コイル4の冷却や絶縁性維持などの健全性の確保が難しくなる。本実施例では、被加熱金属1がより高温になる第2の加熱工程では加熱用交流電流の周波数fを下げることができ、加熱コイル4の健全性確保の観点からも有利である。

0054

(誘導加熱の対象の例2)
容器2が非導電性のもので誘導加熱されない場合(容器2が発熱体にならない場合)、即ち誘導加熱の対象が被加熱金属1である場合において、被加熱金属1が磁性体のときには、第1の加熱工程よりも第2の加熱工程の方の周波数fを高くする。磁性体の金属は、低温と高温、即ち固体状態と溶融状態とでは透磁率μが2桁程度異なるので、即ち低温の方が高いので、誘導加熱を行なう場合、加熱パラメータの変化を抑えて加熱電力Pの変化を抑制するという観点から誘導加熱の工程を次のような2段階に分けることにより、効率的な加熱が可能になる。なお、磁性体の金属として、例えば鉄、ニッケルコバルト等があるがこれらに限るものではない。

0055

・第1の加熱工程:比較的低い周波数f(例えば1kHz)の加熱用交流電流を使用して誘導加熱を行なう。
・第2の加熱工程:比較的高い周波数f(例えば20kHz)の加熱用交流電流を使用して誘導加熱を行なう。

0056

このように加熱用交流電流の周波数fを2段階に変化させることで、磁場浸透距離δを極端に小さくすることなく、各工程とも加熱パラメータを10^(−4)オーダー又はこれに近い値にすることができる。

0057

なお、被加熱金属1の温度変化に伴い電気伝導率σ(電気抵抗率ρ)も変化するが、磁性体金属の場合、電気伝導率σ(電気抵抗率ρ)の変化が加熱パラメータの変化に与える影響は、透磁率μの変化が加熱パラメータの変化に与える影響よりも十分小さい。したがって、磁性体金属の場合には、透磁率μの変化を対象にして加熱用交流電流の周波数fを調整する。

0058

例えば、電源回路7の交流電源9として商用周波数50Hzのものを使用し、インバータ10によって第1の加熱工程で使用する周波数1kHzの単相交流(加熱用交流電流)を作る。そして、第2の加熱工程で使用する周波数20kHzの単相交流(加熱用交流電流)を作る場合には、スイッチ機構12をオン操作して共振回路11を接続し、インバータ10が作った1kHzの単相交流の周波数を20倍に引き上げて20kHzにする。ここで、共振回路11のコンデンサ11aは20倍共振させる容量を有している。

0059

即ち、第1の加熱工程では、スイッチ機構12をオフ操作して共振回路11を切り離し、インバータ10が作った周波数1kHzの単相交流をそのまま加熱用交流電流として加熱コイル4に供給する。そして、第2の加熱工程では、スイッチ機構12をオン操作して共振回路11を接続し、インバータ10が作った周波数1kHzの単相交流を20倍共振させて、周波数20kHzの加熱用交流電流にして加熱コイル4に供給する。

0060

スイッチ機構12の操作は、例えば、オペレータが手動操作しても良いし、コンピュータによって自動操作しても良い。コンピュータによる自動操作としては、例えば被加熱金属1の温度を温度センサによって検出し、検出温度が被加熱金属1の融点に達した場合にスイッチ機構12をオフ状態からオン状態に切替駆動することが考えられる。ただし、これに限るものではない。

0061

本実施形態では、加熱用交流電流の周波数fの切り替えに共振回路11を利用しているので、例えばインバータによって周波数fを上げる場合のようなスイッチング損失が発生することがなく、効率的に加熱用交流電流の周波数fを高くすることができる。

0062

(誘導加熱の対象の例3)
容器2が導電性のもので誘導加熱される場合(容器2が被加熱金属1を加熱する発熱体になる場合)、例えば第1の加熱工程では電磁場の磁気浸透距離δを容器2には届くが被加熱金属1には届かない距離にして容器2のみを誘導加熱するようにし、第2の加熱工程では電磁場の磁気浸透距離δを容器2を貫通して被加熱金属1にまで届く距離にして容器2と被加熱金属1との両方を誘導加熱するようにする。第1の加熱工程から第2の加熱工程への切り替えは、例えば被加熱金属1が溶融するタイミングとする。即ち、溶融前の第1の加熱工程では容器2のみを誘導加熱し、溶融後の第2の加熱工程では容器2及び被加熱金属1を誘導加熱する。上述の通り、電磁場の磁気浸透距離δは加熱用交流電流の周波数fによって変化するので、第1の加熱工程と第2の加熱工程とで加熱用交流電流の周波数fを切り替えることで電磁場の磁気浸透距離δを変化させ、誘導加熱の対象を変化させる。

0063

ここで、電磁場が被加熱金属1にまで到達する第2の加熱工程では、被加熱金属1が非磁性体か磁性体かを考慮する必要があり、容器2と被加熱金属1との両方の電気伝導率σ又は透磁率μを考慮して加熱用交流電流の周波数fを決定する。

0064

つまり、容器2が導電性のもので誘導加熱される場合には、(1)電磁場の磁気浸透距離δと、(2)容器2、あるいは容器2及び被加熱金属1の電気伝導率σ又は透磁率μとの両方を考慮し、被加熱金属1及び容器2の温度上昇に伴う加熱パラメータの変化を抑制するように、第1の加熱工程と第2の加熱工程とで加熱用交流電流の周波数fを切り替える。即ち、(1)第2の加熱工程では電磁場が容器2を通過して被加熱金属1にまで届くことと、(2)第1の加熱工程では容器2の加熱パラメータが、第2の加熱工程では被加熱金属1の加熱パラメータがそれぞれ適切な範囲(例えば10^(−4)オーダー、あるいはこれに近い値)になることが必要である。

0065

容器2や被加熱金属1の加熱パラメータ{(ρμω)^(1/2)}を決定するρ(=1/σ),μは材質や温度等によって異なるものであり、各加熱工程における加熱用交流電流の周波数fは容器2や被加熱金属1の材質や温度等に応じて適宜設定される。即ち、一律に決定することはできないが、例えば、容器2が非磁性体の金属の場合には、次のような2段階加熱になる。

0066

・第1の加熱工程:比較的高い周波数f(例えば60kHz)の加熱用交流電流を使用して誘導加熱を行なう。
・第2の加熱工程:比較的低い周波数f(例えば1kHzオーダー)の加熱用交流電流を使用して誘導加熱を行なう。

0067

このように加熱用交流電流の周波数fを2段階に変化させることで、各工程とも加熱パラメータを10^(−4)オーダー又はこれに近い値にすることができる。また、第2の加熱工程では容器2のみ温度を上昇させるのではなく、被加熱金属1も加熱することになるので、効率的な加熱が可能となる。

0068

例えば、容器2:厚さ5mmのSUS304製、被加熱金属1:アルミの場合には第2の加熱工程での加熱用交流電流の周波数fを1kHzとすることで、被加熱金属1及び容器2の温度が800℃であるとすると、SUS304製容器2の電磁場の磁気浸透距離δが17.6mmとなり、被加熱金属1(アルミ)の加熱パラメータは4.6×10^(−4)となる。加熱パラメータは10^(−4)オーダーあるいはこれに近い値が一般的に適しているので、この例では被加熱金属1の誘導加熱を十分行うことができる。

0069

例えば、電源回路7の交流電源9として商用周波数50Hzのものを使用し、インバータ10によって第2の加熱工程で使用する周波数1kHzの単相交流(加熱用交流電流)を作る。そして、第1の加熱工程で使用する周波数60kHzの単相交流(加熱用交流電流)を作る場合には、スイッチ機構12をオン操作して共振回路11を接続し、インバータ10が作った1kHzの単相交流の周波数を60倍に引き上げて60kHzにする。ここで、共振回路11のコンデンサ11aは60倍共振させる容量を有している。

0070

即ち、第1の加熱工程では、スイッチ機構12をオン操作して共振回路11を接続し、インバータ10が作った周波数1kHzの単相交流を60倍共振させて、周波数60kHzの加熱用交流電流にして加熱コイル4に供給する。そして、第2の加熱工程では、スイッチ機構12をオフ操作して共振回路11を切り離し、インバータ10が作った周波数1kHzの単相交流をそのまま加熱用交流電流として加熱コイル4に供給する。

0071

スイッチ機構12の操作は、例えば、オペレータが手動操作しても良いし、コンピュータによって自動操作しても良い。コンピュータによる自動操作としては、例えば被加熱金属1の温度を温度センサによって検出し、検出温度が被加熱金属1の融点に達した場合にスイッチ機構12をオン状態からオフ状態に切替駆動することが考えられる。ただし、これに限るものではない。

0072

本実施形態では、加熱用交流電流の周波数fの切り替えに共振回路11を利用しているので、例えばインバータによって周波数を上げる場合のようなスイッチング損失が発生することがなく、効率的に加熱用交流電流の周波数fを高くすることができる。

0073

また、例えば周波数60kHzのように高い周波数の交流電流を加熱コイル4に供給すると、コイル表面に電流が集中する表皮効果が顕著になり、加熱コイル4の冷却や絶縁性維持などの健全性の確保が難しくなる。本実施例では、被加熱金属1がより高温になる第2の加熱工程では加熱用交流電流の周波数fを下げることができ、加熱コイル4の健全性確保の観点からも有利である。

0074

(誘導加熱の対象の例4)
また、容器2が磁性体の金属の場合は、例えば次のような2段階加熱になる。

0075

・第1の加熱工程:比較的低い周波数f(例えば1kHzオーダー)の加熱用交流電流を使用して誘導加熱を行なう。
・第2の加熱工程:比較的高い周波数f(例えば20kHzオーダー)の加熱用交流電流を使用して誘導加熱を行なう。ただし、比較的低い周波数f(例えば1kHzオーダー)で誘導加熱を行ってもよい。即ち、比較的低い周波数fにおいて2段階加熱を行なっても良い。

0076

例えば、容器2:厚さ5mmの鉄(常温で磁性体)の場合には第1の加熱工程での加熱用交流電流の周波数fを1kHzとすることで、磁場浸透距離δを極端に小さくすることなく加熱パラメータを10^(−4)オーダーに設定することが可能である。第2の加熱工程では、例えば鉄の容器温度が800℃であるとすると、20kHzの周波数で加熱パラメータを10^(−4)オーダーに設定することが可能になる。ただし、加熱用交流電流の周波数fを1kHzとした場合、加熱パラメータはやや低下するが、磁場浸透距離δは20mm程度になるので、容器2のみ温度を上昇させるのではなく、被加熱金属1も加熱することになるので、効率的な加熱が可能になる。

0077

例えば、電源回路7の交流電源9として商用周波数50Hzのものを使用し、インバータ10によって第1の加熱工程で使用する周波数1kHzの単相交流(加熱用交流電流)を作る。そして、第2の加熱工程で使用する周波数20kHzの単相交流(加熱用交流電流)を作る場合には、スイッチ機構12をオン操作して共振回路11を接続し、インバータ10が作った1kHzの単相交流の周波数を20倍に引き上げて20kHzにする。ここで、共振回路11のコンデンサ11aは20倍共振させる容量を有している。

0078

即ち、第1の加熱工程では、スイッチ機構12をオフ操作して共振回路11を切り離し、インバータ10が作った周波数1kHzの単相交流をそのまま加熱用交流電流として加熱コイル4に供給する。そして、第2の加熱工程では、スイッチ機構12をオン操作して共振回路11を接続し、インバータ10が作った周波数1kHzの単相交流を20倍共振させて、周波数20kHzの加熱用交流電流にして加熱コイル4に供給する。

0079

スイッチ機構12の操作は、例えば、オペレータが手動操作しても良いし、コンピュータによって自動操作しても良い。コンピュータによる自動操作としては、例えば被加熱金属1の温度を温度センサによって検出し、検出温度が被加熱金属1の融点に達した場合にスイッチ機構12をオン状態からオフ状態に切替駆動することが考えられる。ただし、これに限るものではない。

0080

本実施形態では、加熱用交流電流の周波数fの切り替えに共振回路11を利用しているので、例えばインバータによって周波数を上げる場合のようなスイッチング損失が発生することがなく、効率的に加熱用交流電流の周波数fを高くすることができる。

0081

なお、比較的低い周波数fにおいて2段階加熱を行なう場合には、共振回路11を利用せずに、インバータ10によって周波数fを切り替えるようにしても良い。

0082

以上のような容器2と被加熱金属1との組み合わせが考えられるが、いずれの場合であっても誘導加熱の対象の温度上昇に伴って加熱パラメータが増加し、適切な加熱電力Pが得られる範囲から外れる場合又は外れそうになる場合には、加熱用交流電流の周波数fを下げて加熱パラメータの増加を抑制し、反対に、誘導加熱の対象の温度上昇に伴って加熱パラメータが減少し、適切な加熱電力Pが得られる範囲から外れる場合又は外れそうになる場合には、加熱用交流電流の周波数fを上げて加熱パラメータの減少を抑制する。

0083

また、本実施形態では、第2の加熱工程で加熱コイル4によって被加熱金属1中に当該被加熱金属1を撹拌する電磁力F1を発生させながら被加熱金属1の誘導加熱を行なうようにしている。即ち、加熱コイル4に誘導加熱用の単相交流電流を供給すると同時に、撹拌用の三相交流電流を重畳して供給する。例えば20Hz〜100Hzの低周波の三相交流電流を撹拌用の三相交流電流として供給する。ただし、撹拌用三相交流電流の周波数は必ずしもこの範囲に限るものではなく、被加熱金属1中に被加熱金属1を撹拌する電磁力F1を発生させることができる周波数であれば良い。溶融金属(被加熱金属1)を撹拌することによってより効率的な加熱が可能になり、また金属の結晶粒が微細化されるため、機械的強度を向上させることができる。

0084

容器2外周の加熱コイル4は容器2の周壁2cに比較的近い位置の被加熱金属1を上向きに駆動する電磁力F1を発生させる。電磁力F1によって上向きに駆動された被加熱金属1は、液面近くで反転して容器2の中心付近下降し、その後、底部3b近くで反転して周壁2cに沿って上昇する。このように被加熱金属1は撹拌される。

0085

上記組み合わせ1〜4のいずれについても、第2の加熱工程において、被加熱金属1を誘電加熱しながら電磁撹拌を行うことができる。例えば、上記組み合わせ1の場合では、インバータ10は第2の加熱工程において撹拌用の周波数例えば20Hzの三相交流電流と周波数20kHzの単相交流電流(加熱用交流電流)を作り、これらは重畳されて加熱コイル4に供給される。

0086

被加熱金属1を電磁撹拌しながら十分に誘導加熱した後、流下ノズル8のバルブを開くと、容器2内の溶湯(被加熱金属1)が流下ノズル8から排出される。

0087

なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の説明では、加熱コイル4を容器2の外周に設けていたが、外周に加えて、あるいは外周に代えて底部に設けるようにしても良い。

0088

容器2底部に設けられる加熱コイル4(以下、容器2外周の加熱コイル4と区別する場合には、外周のものについては加熱コイル4Aといい、底部のものについては加熱コイル4Bという。)を図6図8に示す。本実施形態では、容器2外周の加熱コイル4Aに加えて容器2底部に加熱コイル4Bを設けている。加熱コイル4Bは交流コイルで構成され、容器2の底板2bの底面に対向し、流下ノズル8を囲むように周方向に沿って並べるようにして設けられている。本実施形態では、容器2底部の加熱コイル4Bも容器2外周の加熱コイル4Aと同様に、誘導加熱を行なうと共に、電磁力F2を発生させて溶湯(被加熱金属1)を駆動(電磁撹拌)する。

0089

本実施形態では、加熱コイル4Bとして三相交流コイル4b,4c,4dを使用している。ただし、三相交流コイル4b,4c,4d以外の交流コイルを使用しても良い。また、三相交流コイル4b,4c,4dを4組設けている。ただし、三相交流コイル4b,4c,4dの組数は4組に限るものではない。各相のコイル4b,4c,4dは例えば30度ずつずらして配置されている。本実施形態では、容器2底部に三相交流コイル4b,4c,4dを配置しているので、各コイル4b,4c,4dの形状を扇形形状とし、隣りのコイルとの間隔を詰めて各コイル4b,4c,4dを配置している。各コイル4b,4c,4dの位相差は120度となっている。

0090

図8において、○の中に・を記載した記号は、図面に対し奥側から手前側に向かって電流が流れていることを意味する。また、○の中に×を記載した記号は、図面に対し手前側から奥側に向かって電流が流れていることを意味する。ここで、(磁場の強さ)=(巻き数)×(電流)の条件を見たすように、各コイル4b,4c,4dの巻き数Nが決められる。また、各コイル4b,4c,4dに流す電流値Iは、(電流)=(電圧)÷(インピーダンス)から求められる。

0091

第2の加熱工程において、電源回路7は加熱コイル4Aと加熱コイル4Bに加熱用交流電流と撹拌用の三相交流電流を供給する。加熱コイル4Bに電源回路7より撹拌用の三相交流電流が供給されると、例えば図8に矢印B2で示すように、容器2の底板2bを貫通して内外を通って循環する磁力線B2が発生する。磁力線B2は各コイル毎に発生するが、各コイルの位相差や各コイルに流れる電流の方向やその変化によって容器2の周方向一側に向かう回転磁界が形成される。

0092

加熱コイル4Bによって周方向の回転磁界を形成することで、底板2bの近傍位置、即ち磁力線B2が径方向に貫通する位置に底板2bに沿って径方向に流れる電流が発生する。例えば、図8のP3位置では同図の奥側から手前側に向かう電流が、P4位置では同図の手前側から奥側に向かう電流が発生する。回転磁界と被加熱金属1中に生じる電流とによってフレミングの左手の法則から容器2底部に沿って周方向に向かう電磁力F2が発生する。被加熱金属1中に発生する電流は場所によって向きが逆になるが、磁力線B2の向きも逆になっているので、常に同じ周方向の電磁力F2が発生する。この電磁力F2は被加熱金属1中に発生し、被加熱金属1を周方向に駆動して撹拌する。

0093

このように容器2外周と底部の両方に加熱コイル4を設けた場合には、電磁力F1とF2とによって異なる流れを発生させて溶湯(被加熱金属1)を撹拌することができるので、より良好に撹拌を行なうことができる。

0094

また、上述の説明では、第2の加熱工程で被加熱金属1を撹拌する電磁力F1,F2を発生させるようにしていたが、被加熱金属1撹拌用の電磁力F1,F2を発生させなくても良い。即ち、誘導加熱のみを行なうようにしても良い。また、必ずしも第2の加熱工程の全てで被加熱金属1撹拌用の電磁力F1,F2を発生させる必要はなく、例えば第2の加熱工程の後期にのみ電磁力F1,F2を発生させるようにしても良い。

0095

また、上述の説明では、被加熱金属1の溶融の前後で第1の加熱工程と第2の加熱工程とに切り替えていたが、切り替えのタイミングはこれに限るものではなく、例えば被加熱金属1の温度、誘導加熱を開始してからの経過時間等に基づいて切り替えを行なっても良い。

0096

また、上述の説明では、加熱用交流電流の周波数fを2段階に切り替えるようにしているが、切り替えの段数は2段階に限るものではなく、例えば3段階、4段階、あるいは5段階以上にしても良い。ここで、共振回路11を使用して加熱用交流電流の周波数fを切り替える場合には、コンデンサ11aの容量が異なる共振回路11を切り替え段数に応じて並列に配置し、スイッチ機構12によって択一的に切り替えるようにすることが好ましい。

0097

例えば、加熱用交流電流の周波数fの切り替えを、第1の加熱工程、第2の加熱工程、第3の加熱工程の3段階に切り替える場合であって、第1の加熱工程ではインバータ10によって作られた周波数Aの加熱用交流電流を使用し、第2の加熱工程ではAのn1倍の周波数の加熱用交流電流を使用し、第3の加熱工程ではAのn2倍の周波数の加熱用交流電流を使用する場合を考える。この場合には、n1倍共振させることできる容量のコンデンサ11aを有する共振回路11(以下、第2の加熱工程用の共振回路11という)と、n2倍共振させることができる容量のコンデンサ11aを有する共振回路11(以下、第3の加熱工程用の共振回路11という)とが並列になるようにして図5の共振回路11の位置に接続する。即ち、2つの共振回路11が並列の配置となり、これが加熱コイル4に対して直列の配置となる。そして、スイッチ機構12を操作し、第1の加熱工程では2つの共振回路11を切り離しておく。そして、第2の加熱工程ではスイッチ機構12を操作して第2の加熱工程用の共振回路11を択一的に接続する。さらに、第3の加熱工程ではスイッチ機構12を操作して第3の加熱工程用の共振回路11を択一的に接続する。

0098

加熱用交流電流の周波数fの切り替え段数を増やすことで、よりきめ細かく加熱パラメータの変化を抑制することができる。

0099

1被加熱金属
2容器
4加熱コイル
3加熱装置
11共振回路
F1,F2 被加熱金属1を撹拌する電磁力

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