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技術 電荷分布イメージング装置

出願人 国立研究開発法人理化学研究所
発明者 河野行雄石橋幸治
出願日 2009年9月4日 (11年2ヶ月経過) 出願番号 2009-204383
公開日 2011年3月17日 (9年8ヶ月経過) 公開番号 2011-053172
状態 拒絶査定
技術分野 その他の電気量の測定
主要キーワード 読み出しセンサ 微細プローブ 電気特性評価装置 電荷センサ 試料表層 量子ホール効果 局所電荷 チューニングフォーク
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年3月17日)のものです。
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図面 (10)

課題

解決手段

エレクトロメータ73に単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクト素子を採用し、そのゲート電極74に導電性微細プローブ72を電気的に結合した検出ヘッドを用いた。チューニングフォーク71からの信号によって試料表面と導電性微細プローブの先端との間隔が一定になるように制御しながら試料76を走査し、エレクトロメータ73の出力を画像化し表示部79に表示する。

概要

背景

半導体微細化による電子デバイスの性能向上の限界が近づいている現状を打破するために、有機半導体カーボンナノチューブグラフェンなど新しい材料によるデバイス開発が急速に進展している。これらの材料を用いた電子デバイス(例えば電界効果トランジスタ)では、所々に存在する欠陥不純物電気的特性に大きく影響するという課題に突き当たっている。ところが、これらのデバイスの局所的な電荷状態高感度高空間分解能イメージングし、分析するための高性能な装置が存在しない。そのため、ほとんどの研究がマクロ電流−電圧特性からのみ局所電荷状態を推測せざるを得ない状況にある。この事情のため、デバイスプロセスにおいては各技術者や経験に頼る部分が大きいため、歩留まりの低さが大きな問題となっている。

本発明者らは以前に、半導体界面GaAs/AlGaAsヘテロ構造)2次元電子ガスが示す量子ホール効果を利用した、新しい走査型エレクトロメータの開発に成功した。このエレクトロメータは、低温磁場中で2次元電子ガスが示す大きな磁気抵抗振動を用いた検出原理に基づく。

概要

高感度・高空間分解能な電荷分布イメージング装置を提供する。エレクトロメータ73に単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクト素子を採用し、そのゲート電極74に導電性微細プローブ72を電気的に結合した検出ヘッドを用いた。チューニングフォーク71からの信号によって試料表面と導電性微細プローブの先端との間隔が一定になるように制御しながら試料76を走査し、エレクトロメータ73の出力を画像化し表示部79に表示する。

目的

効果

実績

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請求項1

単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクト素子と、前記単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクト素子のゲート電極電気的に接続された導電性微細プローブと、試料を載置してXYZ方向に可動試料ステージと、前記試料ステージに載置された試料の表面と前記導電性微細プローブの先端との間隔が一定になるように制御する制御機構と、前記試料ステージのXY位置と前記単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクト素子の出力の関係を画像表示する表示部と、を有することを特徴とする電荷分布イメージング装置

請求項2

請求項1記載の電荷分布イメージング装置において、前記制御機構は、前記導電性微細プローブの先端が試料表面から1〜10nmの間の一定距離になるように制御することを特徴とする電荷分布イメージング装置。

請求項3

請求項1記載の電荷分布イメージング装置において、前記制御機構は、前記導電性微細プローブを試料表面に垂直な方向に微小振動させるチューニングフォークと、前記チューニングフォークに流れる電流を前記試料ステージにフィードバックし、前記試料ステージをZ方向に駆動する手段とを有することを特徴とする電荷分布イメージング装置。

請求項4

請求項3記載の電荷分布イメージング装置において、前記導電性微細プローブは前記チューニングフォークに固定され、前記導電性微細プローブと前記ゲート電極とは導電線で接続されていることを特徴とする電荷分布イメージング装置。

請求項5

請求項3記載の電荷分布イメージング装置において、前記単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクト素子は前記チューニングフォークに固定され、前記導電性微細プローブは前記ゲート電極に固定されていることを特徴とする電荷分布イメージング装置。

請求項6

請求項1記載の電荷分布イメージング装置において、前記導電性微細プローブは、タングステン針白金イリジウム針あるいはカーボンナノチューブであることを特徴とする電荷分布イメージング装置。

請求項7

請求項1記載の電荷分布イメージング装置において、前記導電性微細プローブは先端径が1〜10nmであることを特徴とする電荷分布イメージング装置。

請求項8

請求項1記載の電荷分布イメージング装置において、試料に通電するための手段を有することを特徴とする電荷分布イメージング装置。

技術分野

0001

本発明は、試料表面の電荷分布電流分布を画像として可視化するための装置に関する。

背景技術

0002

半導体微細化による電子デバイスの性能向上の限界が近づいている現状を打破するために、有機半導体カーボンナノチューブグラフェンなど新しい材料によるデバイス開発が急速に進展している。これらの材料を用いた電子デバイス(例えば電界効果トランジスタ)では、所々に存在する欠陥不純物電気的特性に大きく影響するという課題に突き当たっている。ところが、これらのデバイスの局所的な電荷状態高感度高空間分解能イメージングし、分析するための高性能な装置が存在しない。そのため、ほとんどの研究がマクロ電流−電圧特性からのみ局所電荷状態を推測せざるを得ない状況にある。この事情のため、デバイスプロセスにおいては各技術者や経験に頼る部分が大きいため、歩留まりの低さが大きな問題となっている。

0003

本発明者らは以前に、半導体界面GaAs/AlGaAsヘテロ構造)2次元電子ガスが示す量子ホール効果を利用した、新しい走査型エレクトロメータの開発に成功した。このエレクトロメータは、低温磁場中で2次元電子ガスが示す大きな磁気抵抗振動を用いた検出原理に基づく。

先行技術

0004

Y. Kawano and T. Okamoto, Applied Physics Letters Vol. 84, pp. 1111-1113 (2004).

発明が解決しようとする課題

0005

ところが、上記の量子ホール効果を利用したエレクトロメータは、動作に強磁場(2〜3T以上)の環境を必要とするため、電子デバイスの電気特性評価装置として手軽に使えるものではなく、また、磁場によって影響を受ける試料には使用できないという制約がある。さらに、例えば欠陥にトラップされている電荷数は少ないときには数個のレベルの場合があるが、これらを検出できるほどの感度は持ち合わせていない。また、空間分解能が2μmとさほど高くない。以上の事情から、これまでとは全く異なる原理に基づいた高性能な電荷分布イメージング装置の開発が必要となっている。

課題を解決するための手段

0006

本発明では、単電子トランジスタ量子ポイントコンタクト素子が潜在的に持つ超高感度性を利用した、全く新しい電荷分布イメージング装置を提案する。すなわち、単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクト素子による高感度エレクトロメータと、導電性微細プローブとを結合して、高感度・高空間分解能検出ヘッドを構成した。

0007

本発明の電荷分布イメージング装置は、単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクト素子と、そのゲート電極電気的に接続された導電性微細プローブと、試料を載置してXYZ方向に可動試料ステージと、試料ステージに載置された試料の表面と導電性微細プローブの先端との間隔が一定になるように制御する制御機構と、試料ステージのXY位置と単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクトの出力の関係を画像表示する表示部と、を有する。

0008

制御機構は、導電性微細プローブの先端が試料表面から例えば1〜10nmの間の一定距離になるように制御する。制御機構は、一例として、導電性微細プローブを試料表面に垂直な方向に振動させるチューニングフォークと、チューニングフォークに流れる電流を試料Z方向ステージフィードバックし、Z方向ステージを駆動する手段とを有する。

発明の効果

0009

本発明では、読み出しセンサ(エレクトロメータ)として単電子トランジスタや量子ポイントコンタクト素子を用いることにより、磁場が不要で、電荷数個のレベルで検出可能な超高感度化を実現した。また、エレクトロメータと導電性微細プローブとを組み合わせ、試料表面をプローブ走査することにより、10nm以下の高空間分解能を実現した。

図面の簡単な説明

0010

単電子トランジスタの原理を示す説明図。
量子ポイントコンタクト素子の概略図。
量子ポイントコンタクトのゲート電圧抵抗値の関係を示した図。
本発明による検出ヘッドの一実施例を示す模式図。
本発明による検出ヘッドの他の実施例を示す模式図。
本発明によるセンサの検出原理を説明する図。
本発明による電荷分布イメージング装置の構成例を示す概略図。
電流が流れている試料上の1点において測定を行った結果を示す図。
本発明の電荷分布イメージング装置によって得られる画像の例を示す図。

実施例

0011

以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明では、単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクト素子を用いた高感度なエレクトロメータを使用する。最初に、単電子トランジスタと量子ポイントコンタクト素子について説明する。

0012

図1は、単電子トランジスタの原理を示す説明図である。単電子トランジスタは、MOSトランジスタと同様にソース11、ドレイン12、ゲート13を備えるが、更にソースとドレインの間にナノスケール量子ドット電荷島)14を備える。量子ドット14には、カーボンナノチューブ、半導体ナノワイヤ、グラフェン、金属微粒子などを用いることができる。ソース11と量子ドット14の間、及びドレイン12と量子ドット14の間にはトンネル障壁が存在し、ゲート13と量子ドット14とは静電結合している。

0013

単電子トランジスタでは、ゲートに電圧印加すると、トンネル障壁をトンネルしてソースから量子ドットへ電子が飛び移ろうとするが、量子ドットには電子は1個ずつしか入れない。量子ドットには、1個から複数個の電子が極めて小さな空間に閉じこめられているが、ソースから電子が1個入ってくると量子ドット内の狭い空間に閉じこめられた電子同士のマイナス電荷反発力がその分強まり、更にもう1個の電子が量子ドットにトンネルしてくるのをブロックしてしまうからである。これはクーロンブロッケード現象と呼ばれる。ゲート電圧を調整すれば、電子はソースから量子ドットへ、量子ドットからドレインへと、1個ずつ抜けていく。こうして、従来のトランジスタでは動作に必要な電子の数が数万個以上であったのに、単電子トランジスタでは、その名の通り電子1個のレベルで動作が可能である。つまり、電子1個レベルの増減を検知してマクロな電流変化として観測することができる。したがって、世の中で最も感度の高い電荷計として機能させられる。

0014

量子ポイントコンタクト(Quantum Point Contact)とは、2つの電極接点フェルミ波長程度(太さ)をもつ狭い隘路が形成されたものである。図2は、量子ポイントコンタクト素子の一例を示す概略図である。これは、GaAs/AlGaAsとGaAsで作った2次元電子ガスの上に、隘路の巾が250nm程度となるように2つのゲート電極21,22を設けたものである。2つのゲート電極21,22は同電位として、2次元電子ガスに対して負の電位を与える。こうすると、ゲート電極21,22の下は電子に対するポテンシャルエネルギーが高くなるので、2次元電子ガスの電子がいられない領域(空乏層)ができる。ゲート電圧を変化させながら電極23,24間の抵抗を観測すると、電気伝導度コンダクタンス)Gが2e2/h=(12.9kΩ)-1を単位として階段的に変化するコンダクタンスの量子化現象が見られる。ここで、eは電子の素電荷、hはプランク定数である。コンダクタンスの量子化は、電極間接点がフェルミ波長程度の太さをもつため、そこでの電子状態が量子化されるために生じる。

0015

図3は、縦軸を量子ポイントコンタクトのコンダクタンスとして、ゲート電圧に対する変化を示した図である。ゲート電圧は、負で、絶対値が大きいほど空乏層が広くなるから、横軸はゲート電極の間の電子が通るチャネルの幅に対応する。本発明では、図3に矢印Aで示したように、1次元電子チャネルがゲート電圧に対して絶縁化する付近の急な傾きの領域を用いる。この状態では、周囲の電荷環境に極めて敏感であり、単電子トランジスタと同様、電子1個レベルの検出が可能である。

0016

次に、本発明によるエレクトロメータのセンサ部の実施例について説明する。電荷分布イメージングのためには、エレクトロメータそのものを試料表面上でスキャンする方法が考えられるが、これは極めて困難で現実的な手法ではない。何のフィードバック機構も持たずにエレクトロメータと試料間の距離を一定に保つのは困難であり、さらに空間分解能はエレクトロメータのサイズに限定されてしまう。この問題を解決するために、本発明では、導電性の微細プローブを試料とエレクトロメータとを結ぶ検出プローブとして用いた。

0017

図4は、本発明による検出ヘッドの一実施例を示す模式図である。本実施例の検出ヘッドは、エレクトロメータとプローブとが分離したタイプである。チューニングフォーク41に導電性の微細プローブ42が固定され、プローブ42とエレクトロメータ(単電子トランジスタ又は量子ポイントコンタクト)43のゲート電極44とが金属線45で結ばれている。導電性の微細プローブ42を試料46の表面に近づけ、後述するようにチューニングフォーク41の信号によってプローブ42の先端位置を試料表面に対して正確にフィードバック制御する。プローブ42の先端と試料表面とは1〜10nm程度の一定間隔に保つのが好ましい。これは、この間隔が10nmを超えるといくら先端径の細いプローブを用いても、プローブ先端と試料表面との距離で空間分解能が決められてしまうためである。この検出ヘッドでは、空間分解能は、エレクトロメータ43の大きさではなく、微細プローブ42の先端径で決まる。チューニングフォーク41は、例えば腕時計の中に入っている数mm程度のサイズの水晶振動子を用いることができる。導電性微細プローブ42としては、例えば先端を微細加工して先端径を1〜10nm程度まで先鋭化したタングステン針白金イリジウム針、カーボンナノチューブ等を用いることができる。場合によっては、1nm以下の先端径のタングステン針や白金イリジウム針を用いることも可能であり、この使用によってより高い空間分解能が得られる。プローブ42は、導電性接着剤金ペーストなど)等を用いてチューニングフォーク41に固定される。

0018

図5は、本発明による検出ヘッドの他の実施例を示す模式図である。本実施例の検出ヘッドは、エレクトロメータとプローブとが一体化したタイプである。チューニングフォーク41にエレクトロメータ43としての単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクトが固定され、そのゲート電極44に導電性の微細プローブ42が固定されている。量子ポイントコンタクトにプローブを固定する場合には、2つのゲート電極の一方に固定すればよい。導電性微細プローブ42は、先端径1〜10nm程度の寸法のタングステン針や白金イリジウム針、カーボンナノチューブ等を別途用意し、それを金ペーストによって単電子トランジスタのゲート電極あるいは量子ポイントコンタクトのゲート電極に固定する。あるいは、集束イオンビーム加工によって、プローブ42がゲート電極44と一体に形成された単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクトを作製してもよい。

0019

図6を用いて、本発明によるセンサの検出原理を説明する。電荷が存在する試料66に導電性微細プローブ62が接近すると、プローブ62の先端に、試料66との静電結合により電荷が誘起される。すると、プローブ62の他端に結合しているゲート電極64に、電荷保存則からそれと逆極性の電荷が誘起され、それがエレクトロメータ63である単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクトに対して実効的な余分のゲート電圧として働くため、ドレイン電流が変化する。この電流変化をセンサの検出信号として読み出すことにより、試料の帯電状態を反映した出力信号が得られる。

0020

図7は、本発明による電荷分布イメージング装置の構成例を示す概略図である。試料76はピエゾ素子によって3次元方向に可動な試料ステージ77上に載置され、XY方向に水平移動可能であるとともに、Z方向にも上下動可能になっている。試料76の上方には、導電性微細プローブ72が取り付けられたチューニングフォーク71が配置されている。チューニングフォーク71は電圧入力端子である入力1,入力2を備えたピエゾ素子70に張り付いている。入力1,入力2間に交流電圧を加えることで、チューニングフォーク71を微小に振動にさせ、プローブ先端が試料表面に対して周期的に近づいたり遠ざかったりする運動をさせる。この状態では、チューニングフォーク71の持つ固有振動数に応じた周波数スペクトルが、チューニングフォーク71を流れる電流を電流−電圧変換器80により測定することで得られる。プローブ72が試料76の表面に近づき数nm以下になると、プローブ72と試料76の表面間の相互作用によりチューニングフォーク71の周波数スペクトルが変化する。その変化量が一定になるように、チューニングフォーク71を流れる電流を、Z方向ステージにフィードバックする。この機構により、試料76の表面に凹凸があっても、XY方向に水平移動可能しながらプローブ72先端と試料76表面間を一定距離、例えば1〜10nmに保つことが可能となる。プローブ72の振動に同期してエレクトロメータ73の信号も振動するため、この信号を制御部78を用いてロックイン検出する。

0021

プローブ72は、金属線75によって、単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクトからなるエレクトロメータ73のゲート電極74に電気的に接続されている。金属線75としては、例えば太さ100μmの金線が用いられる。制御部78は、試料ステージ77を制御してプローブ72による試料表面の1次元あるいは2次元走査を行う。また、制御部78にはエレクトロメータ73からの信号が入力されており、制御部78はプローブ72のXY方向位置とエレクトロメータ73の出力信号を対応付けした信号を表示部79に出力する。こうして表示部79には、試料上でのエレクトロメータ出力信号の分布を表す1次元プロファイル画像あるいは2次元濃淡画像が表示される。この1次元プロファイル画像あるいは2次元濃淡画像は、試料表面における電荷分布を反映した画像である。

0022

本発明の電荷分布イメージング装置は、読み出しセンサ(エレクトロメータ)として単電子トランジスタや量子ポイントコンタクト素子を用いたことにより、電荷数個のレベルで電荷が検出可能であり、超高感度な検出を行うことができる。また、エレクトロメータと微細プローブとを組み合わせ、試料表面をプローブで走査することにより、10nm以下の高い空間分解能を有する。

0023

図7に示した実施例では、試料ステージのうちZステージの制御をXYステージの制御から独立して行っているが、チューニングフォークからの信号も制御部に入力し、制御部においてXYステージの制御とZステージの制御を一括して行うようにしてもよい。また、図7には、図4に示したタイプの検出ヘッドを用いた電荷分布イメージング装置の例を示したが、勿論、図5に示したエレクトロメータとプローブ一体型の検出ヘッドを用いてもよい。図4に示した検出ヘッドを用いる場合にはプローブ42の脱着が容易であり、図5一体型ヘッドを用いる場合には金属線を介さないため安定した動作が可能である。また、計測中に試料に通電するための手段を備え、電流が流れている状態で試料表面の電荷分布を測定することもできる。

0024

上記実施例では、プローブと試料表面の間の距離を一定に保つフィードバック制御と試料表面における電荷分布の測定を同時に行った。しかし、試料表面の凹凸形状測定と電荷分布の測定を分けて行う方法も可能である。すなわち、最初にチューニングフォークを振動させながらステージをXY移動し、チューニングフォークを流れる電流をZ方向ステージにフィードバックして試料表面の凹凸形状を測定する。測定した試料表面の凹凸情報メモリに記憶しておく。次に、試料ステージをXY駆動して試料表面を走査し、そのときのエレクトロメータの出力信号から電荷分布を測定する。このとき、チューニングフォークは振動させずに、先に記憶した試料表面の凹凸情報に従ってプローブと試料表面間の距離が一定になるように試料ステージをZ駆動するのである。

0025

図8は、図7に示した電荷分布イメージング装置を用いて、ステージ移動を行わずに試料上の1点において測定を行った結果を示す図である。試料はGaAs/AlGaAsであり、エレクトロメータはプローブにタングステン針を用いた単電子トランジスタである。プローブであるタングステン針の先端は、試料上10nmの位置に固定した(チューニングフォーク71は振動させていない)。図の信号aは試料に流した電流の波形を示し、図示のように試料にパルス的に電流を流した。信号bは、このとき単電子トランジスタから得られた信号波形を示している。なお、図8の縦軸は、信号aに対しては矢印で示す大きさが2Vであり、信号bに対しては矢印で示す大きさが5mVである。

0026

図8から、試料を流れる電流変化に対して単電子トランジスタの出力信号が追従して変化しているのが観測されていることが分かる。なお、単電子トランジスタの出力信号に遅れが生じているのは、ノイズカット用のフィルタを挿入しているためである。フィルタを取り除くと、信号bは信号aに完全に同期する。このように、本発明の電荷分布イメージング装置は、試料表面の電荷分布を検出してそれを画像表示することもできるが、電流が流れている試料の表面における電流分布を検出し、その分布を1次元あるいは2次元画像として表示することもできる。

0027

図9は、本発明の電荷分布イメージング装置によって得られる画像の例を示している。図9(a)は、試料表面の電荷分布を示す画像の模式図である。このとき試料に電流は流していない。濃く表示されている領域は電荷が捕獲されている場所を表し、濃度が大きい個所ほど多くの電荷が捕獲されていることを示している。図9(b)は試料表層における欠陥・不純物分布を表す画像である。ただし、本発明の電荷分布イメージング装置によって直接的に得られる画像は電荷分布画像である。従って、捕獲されている電子が欠陥・不純物に由来することが予め分かっている場合には、本発明の電荷分布イメージング装置によって得られる電荷分布像がすなわち欠陥・不純物分布像を表す。図9(c)は、電流が流れている試料の表面を本発明の電荷分布イメージング装置によって走査して得られた画像である。この試料の場合、中央部分よりも端部に大きな電流が流れていることが示されている。図の例は、いずれもXYステージを2次元移動して試料表面をプローブで2次元走査したため2次元画像が得られている。XYステージを1次元走査した場合には、走査線に沿った試料表面の電荷分布のプロファイルが得られる。

0028

試料表面の電気特性イメージング分析装置としては、これまでケルビンプローブフォース顕微鏡や走査型ゲート顕微法が知られているが、これらは静電ポテンシャル分布を測定するものである。電荷数個のレベルで空間分布を測定する本発明の電荷分布イメージング装置は、得られる情報がこれら従来のものとは質的に異なる。

0029

本発明の電荷分布イメージング装置の特徴及び優位性は、(1)単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクト素子による電荷数個レベルでの超高感度性、(2)(1)と導電性微細プローブの組み合わせによる高空間分解能、(3)チューニングフォークを介在させることで正確なポジショニングを可能にし、単電子トランジスタあるいは量子ポイントコンタクト素子が潜在的に持っている電荷センサとしての機能を最大限に引き出せるようにしたことにある。

0030

現在、半導体微細化による電子デバイス性能向上の限界が近づいており、この問題解決として、有機半導体、カーボンナノチューブ、グラフェンなど新しい材料によるデバイスの開発が急ピッチで進展している。ところが、これらの材料では局所的な電荷状態が不明であり、そのことがデバイス特性の向上の阻害要因になっている。また、従来の半導体材料による電子デバイスにおいても、スケールダウンするにつれて局所電荷状態(欠陥や不純物による電荷トラップなど)の影響が顕著になっているものの、同様の事情からデバイス作製が各技術者の経験や勘にゆだねられる部分が多く、統一的な指標がないため、歩留まりのばらつきが大きい。

0031

本発明の電荷分布イメージング装置は、高感度・高空間分解能での電荷分布イメージング観察を可能にするため、上述した電子デバイス(例えば電界効果トランジスタ)の電気的特性評価(不純物や欠陥の影響)の強力な手段になり得る。この計測から得られた情報をデバイス作製へフィードバックすることで、作製の歩留まりの向上、ひいては作製コストの低下へと大きく貢献することが期待できる。したがって、現在まだ研究段階に止まっている有機半導体、カーボンナノチューブ、グラフェンなどによる電子デバイス実用化の実現に向けて飛躍的な発展につながると期待される。

0032

11ソース
12ドレイン
13ゲート
14量子ドット
21,22ゲート電極
23,24 ソース・ドレイン電極
41チューニングフォーク
42プローブ
43エレクトロメータ
44 ゲート電極
45金属線
46試料
62 プローブ
63 エレクトロメータ
64 ゲート電極
66 試料
70ピエゾ素子
71 チューニングフォーク
72 プローブ
73 エレクトロメータ
74 ゲート電極
75 金属線
76 試料
77試料ステージ
78 制御部
79 表示部
80電流−電圧変換器

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