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図面 (7)

課題

複数のスタフィロコッカスアウレウス(S. aureus)株を溶菌させる性質を有するバクテリオファージ、及び該バクテリオファージを用いてS. aureusを効果的に除去する方法を提供すること。

解決手段

受託番号 NITEBP-693及びNITE BP-694から選ばれる、S. aureusを溶菌させる性質を有するバクテリオファージ、該バクテリオファージを含有するバクテリオファージ組成物、並びに該バクテリオファージ組成物を適用することを特徴とする、S. aureusの増殖防止方法

概要

背景

S. aureusは、ミクロコッカス科(Micrococcaceae)に属する嫌気性グラム陽性球菌で、ヒトの鼻腔咽頭、皮膚、腸管等に常在し、自然界にも広く分布している。S. aureusは細胞壁に、IgGに対する結合能を持つプロティンAを持ち、また、コアグラーゼを産生する。プイロティンAとコアグラーゼは、マクロファージ等の食作用を阻止することにより、S. aureusの宿主に対する感染を長引かせる。また、S. aureusは、創傷部から体内侵入することにより化膿性疾患や、敗血症肺炎急性心内膜炎等を引き起こす。更に、S. aureusの産生する外毒素エンテロトキシン)はヒトに対して食中毒を引き起こすことが知られている。更にまた、抗生物質に対する多剤耐性を獲得したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus,MRSA)は、院内感染等の日和見感染を引き起すが、MRSAは殆どの抗生物質が奏功せず、深刻な問題となっている。

また、ウシ乳腺炎乳房炎)は、乳牛乳量や乳質の低下をもたらす疾患である。例えば日本における最大の牛乳生産地である北海酪農場において、乳房炎が原因の経済的損失は約100億円/年にものぼる。乳房炎の原因菌は150種ほどが知られているが、中でも最も重要な病原菌がS. aureusである。S. aureusが原因菌である乳房炎(黄色ブドウ球菌性乳房炎)に対しては、抗生物質等で治療するのが一般的である。しかし、現在知られている抗生物質はS. aureusに特異的ではなく、また抗生物質による治療は、費用がかかるという問題点もある。また、上記したとおり、薬剤耐性を獲得したS. aureusが発見されているこもあり、新規治療技術の開発が求められている。

一方、バクテリオファージは細菌に感染するウイルスの総称である。バクテリオファージは宿主である細菌に感染すると、細菌内で増殖する。増殖したファージは細菌の細胞壁から菌体外に放出され、また細菌は溶菌により死滅する。また、バクテリオファージは(1)宿主となる病原菌以外の細菌叢に影響を与えない、(2)増殖が簡単で、大量のバクテリオファージを安価に調製できる、等の利点がある。

そこで、このバクテリオファージを細菌の殺菌剤に利用するという取り組みもなされてきた。バクテリオファージを利用したS. aureusの殺菌に関する研究結果もいくつか報告されている。例えば、J. J. Gill, et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 2006, 50(9), 2912-2918(非特許文献1)、S. O'Flaherty et al., J. Bact., 2005, 187(20), 7161−7164(非特許文献2)、D. M. Donovan et al., FEMS Microbiol. Lett., 2006, 265(1), 133−139(非特許文献3)等が挙げられる。しかしながら、バクテリオファージは宿主特異性が高く、同じ種(species)の細菌に対しても、株(strain)が異なれば感染しないという問題がある。上記の報告でも、それぞれ注目したあるバクテリオファージの、一つのS. aureus株に対する溶菌活性しか確認しておらず、複数のS. aureus株に対して溶菌活性を持つバクテリオファージは開示されていない。

S. O'Flaherty et al., Appl. Env. Microbiol., 2005, 71 (4), 1836−1842(非特許文献4)には、複数のMRSA株に対して溶菌活性を示すPhage Kが開示されている。しかし、本文献で検討されているファージは、海外採取されたものであり、且つアメリカイギリス等の海外で採取されたS. aureus株に対する宿主域(host range)について検討している。しかし、この海外で採取されたPhage Kの日本国内で採取されたS. aureusに対する宿主域についての検討は行われていない。そのため、Phage Kが、日本国内に生息するS. aureusに対しても溶菌活性を持つか、また、該S. aureusに対してどのような宿主特異性を持つかについての知見を、この文献から得ることはできない。

バクテリオファージの宿主特異性の問題を解決するために、二種以上のバクテリオファージを組み合わせたカクテルを用いて、大腸菌(Escherichia coli)を殺菌する試みも行われている(Y. Tanji et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 2004, 64(2), 270-274、Masatoshi Yoichi et al., Biochemical Engineering Journal, 2004 19, 221-227)。しかし、複数のS. aureus株を、ファージカクテルを用いて殺菌できた、という報告は未だない。

以上のことから、バクテリオファージを用いた、有効なS. aureusの殺菌方法等の確立が望まれている現状にあった。

概要

複数のスタフィロコッカスアウレウス(S. aureus)株を溶菌させる性質を有するバクテリオファージ、及び該バクテリオファージを用いてS. aureusを効果的に除去する方法を提供すること。受託番号 NITEBP-693及びNITE BP-694から選ばれる、S. aureusを溶菌させる性質を有するバクテリオファージ、該バクテリオファージを含有するバクテリオファージ組成物、並びに該バクテリオファージ組成物を適用することを特徴とする、S. aureusの増殖防止方法。 なし

目的

以上のことから、バクテリオファージを用いた、有効なS. aureusの殺菌方法等の確立が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

受託番号 NITEBP-693及びNITE BP-694から選ばれる、スタフィロコッカスアウレウス溶菌させる性質を有するバクテリオファージ

請求項2

受託番号 NITEBP-693及びNITE BP-694から選ばれるスタフィロコッカス・アウレウスを溶菌させる性質を有するバクテリオファージを含有する、バクテリオファージ組成物

請求項3

受託番号 NITEBP-693及びNITE BP-694から選ばれるスタフィロコッカス・アウレウスを溶菌させる性質を有するバクテリオファージ組成物を適用することを特徴とする、スタフィロコッカス・アウレウスの増殖防止方法

請求項4

バクテリオファージ組成物を適用する方法が、スタフィロコッカス・アウレウスの増殖を防止する対象に、バクテリオファージ組成物を投与噴霧霧吹き、浸漬、拭き取り、塗布により接触させる方法である、請求項3に記載の増殖防止方法。

請求項5

スタフィロコッカス・アウレウスの増殖を防止する対象にバクテリオファージ組成物を投与する方法が、注射による方法である、請求項4に記載の増殖防止方法。

技術分野

0001

本発明は、スタフィロコッカスアウレウス、(Staphylococcus aureus、以下、「S. aureus」と略記する場合がある。)を溶菌させる性質を有するバクテリオファージ(以下、単に「ファージ」(phage)と言う場合がある。)、及びその利用に関する。

背景技術

0002

S. aureusは、ミクロコッカス科(Micrococcaceae)に属する嫌気性グラム陽性球菌で、ヒトの鼻腔咽頭、皮膚、腸管等に常在し、自然界にも広く分布している。S. aureusは細胞壁に、IgGに対する結合能を持つプロティンAを持ち、また、コアグラーゼを産生する。プイロティンAとコアグラーゼは、マクロファージ等の食作用を阻止することにより、S. aureusの宿主に対する感染を長引かせる。また、S. aureusは、創傷部から体内侵入することにより化膿性疾患や、敗血症肺炎急性心内膜炎等を引き起こす。更に、S. aureusの産生する外毒素エンテロトキシン)はヒトに対して食中毒を引き起こすことが知られている。更にまた、抗生物質に対する多剤耐性を獲得したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus,MRSA)は、院内感染等の日和見感染を引き起すが、MRSAは殆どの抗生物質が奏功せず、深刻な問題となっている。

0003

また、ウシ乳腺炎乳房炎)は、乳牛乳量や乳質の低下をもたらす疾患である。例えば日本における最大の牛乳生産地である北海酪農場において、乳房炎が原因の経済的損失は約100億円/年にものぼる。乳房炎の原因菌は150種ほどが知られているが、中でも最も重要な病原菌がS. aureusである。S. aureusが原因菌である乳房炎(黄色ブドウ球菌性乳房炎)に対しては、抗生物質等で治療するのが一般的である。しかし、現在知られている抗生物質はS. aureusに特異的ではなく、また抗生物質による治療は、費用がかかるという問題点もある。また、上記したとおり、薬剤耐性を獲得したS. aureusが発見されているこもあり、新規治療技術の開発が求められている。

0004

一方、バクテリオファージは細菌に感染するウイルスの総称である。バクテリオファージは宿主である細菌に感染すると、細菌内で増殖する。増殖したファージは細菌の細胞壁から菌体外に放出され、また細菌は溶菌により死滅する。また、バクテリオファージは(1)宿主となる病原菌以外の細菌叢に影響を与えない、(2)増殖が簡単で、大量のバクテリオファージを安価に調製できる、等の利点がある。

0005

そこで、このバクテリオファージを細菌の殺菌剤に利用するという取り組みもなされてきた。バクテリオファージを利用したS. aureusの殺菌に関する研究結果もいくつか報告されている。例えば、J. J. Gill, et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 2006, 50(9), 2912-2918(非特許文献1)、S. O'Flaherty et al., J. Bact., 2005, 187(20), 7161−7164(非特許文献2)、D. M. Donovan et al., FEMS Microbiol. Lett., 2006, 265(1), 133−139(非特許文献3)等が挙げられる。しかしながら、バクテリオファージは宿主特異性が高く、同じ種(species)の細菌に対しても、株(strain)が異なれば感染しないという問題がある。上記の報告でも、それぞれ注目したあるバクテリオファージの、一つのS. aureus株に対する溶菌活性しか確認しておらず、複数のS. aureus株に対して溶菌活性を持つバクテリオファージは開示されていない。

0006

S. O'Flaherty et al., Appl. Env. Microbiol., 2005, 71 (4), 1836−1842(非特許文献4)には、複数のMRSA株に対して溶菌活性を示すPhage Kが開示されている。しかし、本文献で検討されているファージは、海外採取されたものであり、且つアメリカイギリス等の海外で採取されたS. aureus株に対する宿主域(host range)について検討している。しかし、この海外で採取されたPhage Kの日本国内で採取されたS. aureusに対する宿主域についての検討は行われていない。そのため、Phage Kが、日本国内に生息するS. aureusに対しても溶菌活性を持つか、また、該S. aureusに対してどのような宿主特異性を持つかについての知見を、この文献から得ることはできない。

0007

バクテリオファージの宿主特異性の問題を解決するために、二種以上のバクテリオファージを組み合わせたカクテルを用いて、大腸菌(Escherichia coli)を殺菌する試みも行われている(Y. Tanji et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 2004, 64(2), 270-274、Masatoshi Yoichi et al., Biochemical Engineering Journal, 2004 19, 221-227)。しかし、複数のS. aureus株を、ファージカクテルを用いて殺菌できた、という報告は未だない。

0008

以上のことから、バクテリオファージを用いた、有効なS. aureusの殺菌方法等の確立が望まれている現状にあった。

先行技術

0009

J. J. Gill, et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 2006, 50(9), 2912−2918
S. O'Flaherty et al., J. Bact., 2005, 187(20), 7161−7164
D. M. Donovan et al., FEMS Microbiol. Lett., 2006, 265(1), 133−139
S. O'Flaherty et al., Appl. Env. Microbiol., 2005, 71 (4), 1836−1842 2004

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、複数のS. aureus株を溶菌させる性質を有するバクテリオファージ、及び該バクテリオファージを用いて、S. aureusを効果的に除去する方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明は、上記課題を解決する目的でなされたもので、以下の構成よりなる。
(1)受託番号 NITEBP-693及びNITE BP-694から選ばれる、スタフィロコッカス・アウレウスを溶菌させる性質を有するバクテリオファージ。
(2)受託番号 NITE BP-693及びNITE BP-694から選ばれるスタフィロコッカス・アウレウスを溶菌させる性質を有するバクテリオファージを含有する、バクテリオファージ組成物
(3)受託番号 NITE BP-693及びNITE BP-694から選ばれるスタフィロコッカス・アウレウスを溶菌させる性質を有するバクテリオファージ組成物を適用することを特徴とする、スタフィロコッカス・アウレウスの増殖防止方法

0012

本発明者等は、上記した如き課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、複数のS. aureus株に対する感染性をもつバクテリオファージを単離することに成功した。そして、該バクテリオファージを利用すれば、S. aureusを効果的に除菌できることを見出し、本発明を完成するに到った。

発明の効果

0013

本発明のバクテリオファージは、S. aureusの複数の株に対して、感染性と、高い溶菌活性を示す。また、本発明のバクテリオファージは、MRSAに対しても溶菌活性を示す。そこで、本発明のバクテリオファージを用いれば、MRSAを含むS. aureusの有効な除菌剤や、これらの病原細菌による感染症予防剤治療剤等を提供することができる。

0014

例えば、哺乳動物がS. aureusに感染することで引き起こされる表皮感染症や食中毒、肺炎、髄膜炎関節炎、敗血症、乳腺炎等の感染症(疾患)に対して、有効な予防剤、治療剤等を提供することが出来る。

0015

尚、バクテリオファージは、対応する宿主が存在すれば、その宿主に感染し、爆発的に増殖する。しかし、バクテリオファージは宿主が存在しなければ、単独では増殖できない。また宿主特異性が高いため、その特定の宿主がバクテリオファージによってすべて溶菌されて死滅してしまえば、そのバクテリオファージも増殖することはできないし、他の細菌等の宿主に感染することもできない。したがって、例えば飼育施設等に、本発明のバクテリオファージ組成物を散布してS. aureusの除菌処理を行った後、更にバクテリオファージを除く何らかの処理を行う必要はない。以上の点で、本発明のバクテリオファージ組成物は、環境及び宿主に悪影響を及ぼすことがなく、安全で、使用し易いという利点を有する。

図面の簡単な説明

0016

実施例3で得られた、本発明のバクテリオファージのTEM写真であり、図中のスケールバーは、100nmを示す。(1)はφSA012のTEM写真であり、矢印は、φSA012の収縮したシースを示す。(2)はφSA039のTEM写真である。
実施例4で得られた、φSA012によるS. aureusの溶菌活性試験の結果を示すグラフである。
実施例5で得られた、φSA0039によるS. aureusの溶菌活性試験の結果を示すグラフである。
実施例7で得られた、注射液注入2日後のマウス乳房及び乳腺組織写真であり、(i)はSA群の注射液を注射したマウス、(ii)はSA・ファージ群1の注射液を注射したマウス、(iii)はSA・ファージ群2の注射液を注射したマウスの乳房及び乳腺組織の写真を夫々示す。また、太い矢印(▲)は、乳腺炎症反応腹膜まで達していることを示す部分を指す。また、細い矢印(→)は、注射した部位で、炎症反応が見られていることを示す部分を指す。
実施例7で得られた、注射液注入4日後のマウスの乳房及び乳腺組織の写真であり、(i)はSA群の注射液を注射したマウス、(ii)はSA・ファージ群1の注射液を注射したマウス、(iii)はSA・ファージ群2の注射液を注射したマウスの乳房及び乳腺組織の写真を夫々示す。また、太い矢印(▲)は、乳腺の炎症反応が腹膜まで達していることを示す部分を指す。また、細い矢印(→)は、注射した部位で、炎症反応が見られていることを示す部分を指す。
実施例7で得られた、乳腺炎モデルマウスにバクテリオファージを注射して2日、及び4日経過後の乳腺組織中のSA生菌数を示すグラフである。
実施例8で得られた、乳腺炎モデルマウスにバクテリオファージを乳腺内投与、又は血中投与して2日経過後の乳腺組織中のSA生菌数を比較したグラフである。

0017

本発明のバクテリオファージは、2008年12月25日付で、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部 特許微生物寄託センター(郵便番号292-0818、日本国千葉県木更津市かずさ足2-5-8)に、受託番号 NITEBP-693として寄託してある。本発明者等は、このバクテリオファージを「φSA012」と命名した。

0018

また本発明のバクテリオファージは、2008年12月25日付で、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部 特許微生物寄託センター(郵便番号292-0818、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に、受託番号 NITEBP-694として寄託してある。本発明者等は、このバクテリオファージを「φSA039」と命名した。

0019

本発明のバクテリオファージφSA012は、S. aureusを溶菌させる性質を有するものであって、少なくともS. aureusのSA001株, SA003株, SA009株, SA019株, SA020株, SA021株, SA026株, SA028株, SA029株, SA031株, SA033株, SA047株, SA048株, SA049株と、ATCC6538(基準株、laboratory reference strain)に溶菌活性を示すという、宿主特異性を有する。

0020

本発明のバクテリオファージφSA039は、S. aureusを溶菌させる性質を有するものであって、少なくともS. aureusのSA001株, SA002株, SA003株, SA009株, SA019株, SA020株, SA021株, SA026株, SA028株, SA029株, SA031株, SA033株, SA047株, SA048株, SA049株とATCC6538(基準株、laboratory reference strain)に溶菌活性を示すという、宿主特異性を有する。

0021

尚、S. aureus のSA001株, SA002株, SA003株, SA009株, SA019株, SA020株, SA021株, SA026株, SA028株, SA029株, SA031株, SA033株, SA047株, SA048株, SA049株は、本発明者等が、乳腺炎(乳房炎)に感染した乳牛の原乳から分離した株である。

0022

また、本発明のバクテリオファージφSA012は、S. aureusのMRSA TypingstrainであるSA050 (GTC01186) 株, SA051 (GTC01187) 株, SA052 (GTC01213) 株, SA053 (GTC01217) 株, SA054 (GTC01221) 株に溶菌活性を示すという、宿主特異性を有する。

0023

また、本発明のバクテリオファージφSA039は、S. aureusのMRSA TypingstrainであるSA050 (GTC01186) 株, SA052 (GTC01213) 株, SA053 (GTC01217) 株, SA054 (GTC01221) 株に溶菌活性を示すという、宿主特異性を有する。

0024

尚、SA050 (GTC01186) 株, SA051 (GTC01187) 株, SA052 (GTC01213) 株, SA053 (GTC01217) 株, SA054 (GTC01221) 株は、上記したとおり、S. aureusのMRSA Typingstrainで、岐阜大学大学院医学研究科より分譲可能である。

0025

また、透過型電子顕微鏡を用いた観察で、φSA012とφSA039は、ともにT4ファージと同程度の大きさで、且つ若干長いことが知られた。また、φSA012およびφSA039は、収縮性のシース(sheath)を持つことから、ミオビリデ科(Myoviridate family)に属するものと推察される。

0026

本発明のバクテリオファージのその他の構造については、後述する実施例3に示す。

0027

本発明のバクテリオファージは、一般家庭下水流水や、下水処理施設から採取した排水等、あるいはS. aureusに感染した動物由来の血液,鼻腔,咽頭,皮膚,腸管等の生体試料から、S. aureusを宿主として用いたプラークアッセイ分離方法等の常法により、分離・精製される。

0028

例えば、一般家庭の下水流水から採取した排水を、10000〜15000rpmで10〜15分程度遠心分離して夾雑物を除いた後、例えばPEG6000及びNaClを加えてファージ粒子沈殿させた後、更に10000〜15000rpmで10〜15分程度遠心分離する常法により、バクテリオファージを回収する。回収したバクテリオファージと、十分培養したS. aureusとを軟寒天に混合し、寒天培地上に広げる。27〜37℃で6時間〜一昼夜培養後、検出された軟寒天培地上の単一プラークを回収し、例えば、通常のプラーク形成法、ろ過、塩化セシウム(CsCl)密度勾配遠心等の密度勾配遠心分離等の常法で、バクテリオファージを単離する。また、超遠心分離限外ろ過等の公知の方法で、更にバクテリオファージの精製処理を行ってもよい。

0029

本発明のバクテリオファージは、プレートライセート法等の一般的なバクテリオファージの増殖法で増殖させることができる。例えば、宿主となるS. aureusを培養し、十分に増殖させた後、本発明のバクテリオファージを接種し、出現したプラークを回収して更に培養を継続することにより、大量のバクテリオファージ溶液を得ることができる。

0030

本発明のバクテリオファージの宿主となるS. aureusの培養は、定法に従って行えばよい。例えば、S. aureusの培養に通常用いられる卵黄マンニット食塩培地LB培地ブレインハートインヒュージョン培地などを用い、温度27〜37℃で培養すればよい。培養方法は、液体培養でも固体培地での培養でも良い。宿主の培地にバクテリオファージを接種する時期は、S. aureusが十分増殖している時期であれば特に限定されないが、菌体濃度が1×105〜1×107CFU/ml(CFU:colony forming unitsコロニー形成単位)程度まで増殖した時期(OD660が0.01〜1.0程度)に接種するのが望ましい。バクテリオファージ接種から6時間〜30時間程度の培養で、ほぼすべての菌が溶菌し、バクテリオファージ溶液を得ることができる。

0031

本発明のバクテリオファージは、上述したようにS. aureusの複数の株に対して感染性と、高い溶菌活性を示し、S. aureusを死滅させる。また、本発明のバクテリオファージは、MRSAに対しても溶菌活性を示し、MRSAを死滅させる。そこで、本発明のバクテリオファージを用いれば、MRSAを含むS. aureusの有効な除菌剤や、これらの病原細菌による感染症の予防剤、治療剤、院内感染の予防剤、治療剤等に利用できる。

0032

例えば、哺乳動物がS. aureusに感染することで引き起こされる表皮感染症や食中毒、肺炎、髄膜炎、関節炎、敗血症、乳腺炎等の感染症に(疾患)対しても、有効な予防剤、治療剤等を提供することが出来る。
その一つの具体例として、本発明のバクテリオファージは、ウシ乳腺炎(乳房炎)由来S. aureusの複数の株に対しても高い溶菌活性を示し、ウシ乳腺炎由来S. aureusを死滅させることができる。従って、このバクテリオファージは、ウシ乳腺炎の予防、ウシ乳腺炎に感染したウシの治療、S. aureusで汚染されたウシの飼育施設等の除菌、駆除等、また感染予防のための使用に供することができる。

0033

本発明のバクテリオファージ組成物は、本発明のバクテリオファージを含有するものであればよい。例えば、上述した増殖方法によって得られるバクテリオファージ溶液や、バクテリオファージ溶液を遠心分離等によって培養残渣と分離したもの等が挙げられる。

0034

本発明に係るバクテリオファージ組成物に含有される本発明のバクテリオファージの詳細は、上記したとおりである。また、本発明のバクテリオファージ組成物に含有される本発明のバクテリオファージは、それぞれ一種類(株、strain)でも、φSA012とφSA039とのバクテリオファージ混合液(ファージカクテル)であってもよい。また、更に他の適当なバクテリオファージ(註:S. aureusに対するもののみならず、他の適当な細菌に対するバクテリオファージでも可)を適宜混合してもよい。

0035

本発明のバクテリオファージ組成物中のバクテリオファージの濃度は、その使用形態により異なるが、液状の殺菌剤、除菌剤等として使用する場合は、1×105〜1×1011PFU/ml(PFU:plaque forming unitプラーク形成単位)とするのが好ましく、1×108〜1×1010 PFU/mlとするのが更に好ましい。

0036

本発明のバクテリオファージ組成物を構成するその他の材料は、本発明のバクテリオファージのS. aureusに対する感染性及び溶菌活性を失わせないようなものであれば、それぞれ殺菌剤、除菌剤、感染症の予防剤、治療剤等のそれぞれの用途に慣用のものを、それぞれ使用する態様に応じて適宜選択して用いることができる。

0037

例えば、S. aureusによる感染症やMRSAによる院内感染症等の治療及び予防剤などの医薬組成物等として使用する場合、その投与に適した製剤形態に調製される。例えば、注射剤等の液剤粉剤カプセル剤リポソーム製剤局所製剤経皮パッチ等の製剤形態に調製したものでればよい。
また、各製剤は、医薬品分野で通常用いられる適当な担体と共に調製できる。例えば注射剤等の液剤として用いられる場合の担体や希釈剤としては、リン酸緩衝液等の緩衝液生理食塩水蒸留水その他の水性媒体ポリエチレングリコールプロピレングリコールオレイン酸エチル等の注射可能な非水性媒体が挙げられる。また、これらの製剤には安定化剤緩衝剤等張化剤キレート剤pH調整剤界面活性剤保存剤抗酸化剤等を含んでいてもよい。

0038

また、例えば、除菌剤、殺菌剤や駆除剤として使用される場合も、同様にその使用方法に応じた製剤形態に調製すればよい。例えば、液剤、粉剤等が挙げられる。これらの製剤を構成する担体も、除菌剤の分野で汎用されているものであれば、使用することができる。液剤は、スプレー霧吹きのような形態でもよい。また、液剤を浸漬等の方法で含有させた織布、編布、不織布等のような形態であってもよい。

0039

更に、除菌等を行う対象物に塗布することを目的として、増粘剤粘着剤等を加えたものであってもよい。これらの除菌剤や殺菌剤には、例えば界面活性剤、展着剤、安定化剤、保存剤等の、この分野で一般的に用いられる添加物を含有していてもよい。

0040

S. aureusは食中毒の原因菌としても知られているものであるが、本発明のバクテリオファージは複数のS. aureus株に対する感染性と溶菌活性を持っているため、本発明のバクテリオファージを含有するバクテリオファージ組成物は、食品からS. aureusを殺菌、除去したり、食品にS. aureusが付着することを防止したりするために用いることができる。また、S. aureusを原因菌とする食中毒の発生を防止するために、食品の加工・調理・保存に使用する器具や、その過程で食品が晒される環境中のS. aureusを殺菌・除去するために本発明のバクテリオファージ組成物を用いることができる。その具体的な形態は、上記した殺菌剤・除菌剤の説明に記載したものと同様である。

0041

更に本発明のバクテリオファージ組成物は、使用する態様に応じて、更に香料溶剤染料顔料、他の添加剤を含んでいてもよい。

0042

本発明のバクテリオファージ組成物を用いたS. aureusの増殖防止方法としては、S. aureusの増殖を防止する対象に、上記した如き本発明のバクテリオファージ組成物を接触させる等の方法で適用する方法が挙げられる。

0043

具体的には、例えば本発明のバクテリオファージ組成物を、噴霧、霧吹き、浸漬、拭き取り、塗布等の方法で、S. aureusの増殖を防止する対象を接触させる方法が挙げられる。

0044

本発明のバクテリオファージ組成物を、S. aureusの増殖を防止する対象と接触させる時間は、該対象のS. aureusが溶菌され、増殖を防止することができるだけの十分な時間であればよい。

0045

また、治療剤等の薬剤として使用する場合は、S. aureusに感染した、ヒト、及びその他の哺乳動物に投与する方法が挙げられる。投与方法としては、例えば血管内又は局所注射、経口、経鼻、局所、皮下、経皮、皮内、および他の経路などの経路により投与する方法が挙げられるが、これらに限定されない。

0046

例えば乳腺炎治療剤として用いられる場合には、例えば患部に注射することによって投与する方法が挙げられる。具体的には、乳腺炎を発症した哺乳動物に対し、バクテリオファージを含む注射剤を乳頭下の乳頭槽に注射で注入するか、乳頭口から注入すればよい。
また、例えば頸静脈等の血管から血液中に投与する方法でもよい。ウシなどの大型哺乳動物に投与する場合には、この方法が簡便である。

0047

また、本発明のバクテリオファージを含有する注射剤中のバクテリオファージの濃度は、対象の哺乳動物の種類等によって異なるが、1×106〜1×1012PFU/ml程度であればよい。

0048

また、本発明のバクテリオファージを含有する注射剤を局所注射する場合には、対象の哺乳動物の種類、患部の状態等によって異なるが、例えば1×104〜1×1012PFU程度、好ましくは、1×105〜1×1012 PFU程度を患部に注射すればよいが、これに限定されない。
本発明のバクテリオファージを含有する注射液を例えば頸動脈等の血管から血液中に投与する場合には、対象の哺乳動物の種類、患部の状態等によって異なるが、例えば1×104〜1×1012 PFU/Kg程度を血管内に注射すればよいが、これに限定されない。

0049

尚、バクテリオファージは宿主特異性が高く、宿主の細菌にしか感染しないウイルスなので、動物に投与した場合の毒性は殆どない。そのため、対象の哺乳動物の種類、患部の状態等によっては、より多量のバクテリオファージを投与することが可能である。例えば投与する動物が大型動物の場合には、より多量のバクテリオファージを投与することもできる。

0050

以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって、何ら限定されるものではない。

0051

実験例1.S. aureusの採取
(1)S. aureusの分離
乳腺炎(Mastitis)を発症した乳牛(北海道)の原乳を採取し、100μLをbrain-heart infusion agar(日本製薬(株)製)に広げ、37℃で15時間培養した。
生じた各コロニーから細菌を採取し、それぞれマンニット食塩寒天培地を用いた通常のコアグラーゼ試験ヒツジ血液寒天培地を用いた通常の溶血試験を行った。
以上の試験の結果、コアグラーゼ試験と溶血試験の両方で陽性と判断されたコロニー 15株(strain)を選択・分離した。

0052

(2)性状の確認(characterization)
分離した株それぞれについて、コアグラーゼのC末端部分をコードする遺伝子(coa)、プロテインAのhyper variable SpaX領域をコードする遺伝子(spaX)、IgG結合領域をコードする遺伝子及びエンテロトキシンC,G,H及びIをコードする遺伝子を以下の通り、PCRポリメラーゼ連鎖反応、Polymerase Chain Reaction)法で増幅させ、その結果に基づいて、分離した株をcharacterizeした。

0053

即ち、分離した15株のS. aureusそれぞれから、要すればガラスプランジャーチューブを用いたホモジネーションを行ったのち、常法であるフェノール-クロロホルム抽出を行って、DNAを分離した。これをPCRの鋳型として用いた。

0054

PCRに用いるFプライマーとRプライマーは、Oliveira et al., J. Clin. Microbiol., 2001, 39(2), 574-580 及びDewanand et al., J.Vet.Sci., 2007, 8(2), 151-154、Omoe et al. J. Clin. Microb., 2002, 40(3), 857-862に開示された下記表1に記載のものを用いた。増幅対象の遺伝子と、配列表に記載された各プライマーの塩基配列の、それぞれの配列番号も、SEQID NO:として表1に併せて示す。

0055

0056

PCRは、94℃で5分間加温、72℃で20分間加温の後、増幅対象の遺伝子毎に、それぞれ下記の条件で行った。

0057

coaの増幅:94℃ 40秒、58〜62℃ 60秒、72℃ 60秒 を30サイクル
spaXの増幅:94℃ 60秒、60℃60秒、72℃ 60秒 を35サイクル、
IgG結合領域遺伝子の増幅:94℃ 40秒、60℃40秒、72℃ 40秒 を30サイクル、
エンテロトキシン遺伝子の増幅:94℃ 30秒、58℃60秒、72℃30秒 を30サイクル
得られた増幅産物を、エチジウムブロマイドを添加した2%アガロース電気泳動の後、UV照射によって可視化した。また、CEQ8000 (Beckman Coulter)を用いて、得られた増幅産物のシーケンシングを行った。.
以上の解析により得られた各S. aureus株の遺伝的特性を、下記表2にそれぞれ示す。

0058

0059

PCRによる解析の結果、コアグラーゼのC末端側をコードするcoa遺伝子に関しては、350bp、593bp、674bp、836bp、1079bpの5種類の大きさのものが検出された。また、coa部分には、複数の81bpの繰り返しが存在していた。

0060

spaXの解析の結果、150bp、200bp、250bp、300bp、400bpの大きさのspaXが確認された。また、この部分には、KPGKEDNK(配列番号15)又はKPGKEDGN(配列番号16)のアミノ酸配列のどちらか又は両方をコードする25bpの、2〜10回繰り返しが確認された。

0061

エンテロトキシン遺伝子の解析の結果、15株のうち4株が、エンテロトキシン遺伝子を持つことが確認された。

0062

実施例1.バクテリオファージの分離・精製
(1)宿主菌体の調製
宿主菌体として用いるStaphiococcus aureus JCM2151(ATCC6538)を、LB培地で定常期(OD660=1.5程度)になるまで十分培養(full growth)させておいた。
尚、本明細書の実施例を通して使用したLB培地の組成は以下の通りである。即ち、LB液体培地の場合、NaCl 0.5w/v%、Yeast extract 0.5w/w%、ポリペプトン1w/v%を含有する。LB寒天培地の場合、上記組成に更に1.5% agarを含有する。

0063

(2)バクテリオファージの採取
一般家庭下水流水1.2 Lを採取し12000rpmで15分間、4℃で遠心分離後、上清を回収した。上清にPEG6000及びNaClをそれぞれ終濃度10W/V%,4W/V%になるよう加え、十分撹拌した後、4℃で一昼夜静置した。12000rpmで15分間遠心分離後、上清を除いた。次いで、沈殿にSM-buffer(50mM Tris-HCl pH=7.5、0.1M NaCl、7mM MgSO4/7H2O、0.01%ゼラチン含有)を10mL加えて攪拌し、バクテリオファージの懸濁液を得た。

0064

(3)バクテリオファージの単離
バクテリオファージの懸濁液110μLと、上記(1)で調製した宿主菌体培養液110μL(1×108-9CFU /mL)をマイクロチューブ分取し、混合した。得られた混合液200μLを、3mLのLB軟寒天培地(0.5%agar含有)に加え、混合した後、LB寒天培地上に重層した。軟寒天培地が固まった後、37℃で一晩インキュベートした。使用した下水流入水にファージが存在する場合は軟寒天培地層上にプラークが形成される。次に、形成されたプラークを回収し、SMbufferに懸濁した。続いて通常のプレートライセート法を行って、それぞれのプラークのバクテリオファージを精製した。最終的に、バクテリオファージをPEG 6000-NaClにより沈殿させ、遠心処理してバクテリオファージを濃縮した後、更にCsCl密度勾配遠心を行って、バクテリオファージを精製した後、SM bufferに再懸濁した(以下、「バクテリオファージライセート」という)。

0065

以上の操作により、52株のバクテリオファージを単離した。

0066

実施例2.ウシ乳腺炎由来S. aureusに対する溶菌活性を有するバクテリオファージの選択
実施例1で単離した52株のバクテリオファージそれぞれの、S. aureusに対する宿主域を調べた。

0067

以下の試験において、バクテリオファージの宿主として用いた菌株は、実験例1でウシ乳腺炎(乳房炎)感染原乳から分離・選択したS. aureusの分離株、すなわちSA001株, SA002株, SA003株, SA009株, SA019株, SA020株, SA021株, SA026株, SA028株, SA029株, SA031株, SA033株, SA047, SA048, SA049株の15株と、ATCC6538(基準株、laboratory reference strain)の計16株である。

0068

宿主菌株培養液110μL(1×108-9CFU/mL)を、それぞれ3mLの軟寒天培地(0.5% top agar)に加え、混合した後、LB寒天培地上に重層した。軟寒天培地が固まった後、実施例1で調製した各バクテリオファージライセート(>108PFU/mL)を、軟寒天培地に2μLずつ滴下スポット)し、一昼夜37℃で培養した。

0069

その後、軟寒天培地上に生じたプラークの検出を行った。

0070

バクテリオファージの溶菌活性は、発生したプラーク(plaques)の透明具合によって判別した。すなわち、もしそのスポットのバクテリオファージが、使用したS. aureus分離株に対して溶菌活性を持っている場合は、一昼夜培養してもS. aureusが増殖することが出来ず、軟寒天上に透明なスポットが形成されるはずである。プラークが一部濁っていたり、非常に濁っている場合は、そのバクテリオファージによる宿主(S. aureus)の溶菌活性が低いことを示す。

0071

結果を表3に示す。表3において、各スポットに生じたプラークの透明具合がClearな場合をC、Turbidな場合をT、Very turbidな場合をVT、プラークが発生しなかった場合を−で示す。

0072

0073

試験した52株のバクテリオファージのうち、3株以上のS. aureusを溶菌できたバクテリオファージは表3記載の16株であった。これらのバクテリオファージは、表3から明らかなとおり、広範な宿主域を示した。

0074

中でも、表3から明らかな如く、φSA012は、S. aureusのSA001株, SA003株, SA009株, SA019株, SA020株, SA021株, SA026株, SA028株, SA029株, SA031株, SA033株, SA047株, SA048株, SA049株とATCC6538(基準株、laboratory reference strain)に溶菌活性を示した。特にSA003株, SA020株, SA028株, SA031株, SA033株, SA047株, SA049株, ATCC6538株に対してClearなプラークが得られ、高い溶菌活性を示した。

0075

また、φSA039は、試験したすべてのS. aureus株に対して溶菌活性を示した。特にSA002株, SA003株, SA009株, SA019株, SA020株, SA021株, SA026株, SA028株, SA029株, SA031株, SA033株, SA047株, SA049株に対してClearなプラークが得られ、強い溶菌活性を示した。

0076

以上のことから、φSA012及びφSA039を、本発明の目的を達成する候補ファージとして選択した。

0077

尚、φSA012は、2008年12月25日付で、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部 特許微生物寄託センター(郵便番号292-0818、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に、受託番号 NITEBP-693として寄託してある。

0078

またφSA039は、2008年12月25日付で、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部 特許微生物寄託センター(郵便番号292-0818、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に、受託番号 NITEBP-694として寄託してある。

0079

実施例3・バクテリオファージの画像解析
実施例1で得られたバクテリオファージφSA012、φSA039それぞれのPEG6000-NaCl濃縮液から、CsCl密度勾配遠心法による常法によってバクテリオファージを精製した。SM緩衝液で、6μLの濃縮されたバクテリオファージ懸濁液(minimum 1010PFU/ml)を調製し、下記の常法で、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM、)用の試料を調製した。

0080

即ち、調製したバクテリオファージ懸濁液を、TEM用のhydrophilic Formvar-carbon-coated copper grid 又はcollodion-carbon-coated copper grid (NisshinEMCorporation)にスポットした。2分間静置して、バクテリオファージをグリッド(grid)に吸着させた。余分なバクテリオファージ懸濁液を除去後、蒸留水で洗浄した。次いで、1.6%酢酸ウラニルでバクテリオファージをネガティブ染色した。2分後、過剰の染色剤を除いて、30分風乾した。乾燥させたグリッドをTEM HITACHI-H7500((株)日立製作所製)にセットして、80kVでバクテリオファージを観察し、写真撮影した。

0081

そして、バクテリオファージ1株毎に、各25個のバクテリオファージの頭部(head)の直径及び長さ、尾部(tail)の直径及び長さを測定して、それぞれの平均値を求めた。

0082

φSA012のTEM写真を図1(1)に、φSA039のTEM写真を図1(2)にそれぞれ示す。図中のスケールバーは、100nmを示す。また、図1(1)の矢印は、φSA012の収縮したシース(sheath)を示す。

0083

また、以上の解析で得られたφSA012及びφSA039の形状に関する知見を、下記表4にまとめて示す。

0084

0085

TEMによる観察で、φSA012とφSA039は、ともにT4ファージと同程度の大きさで、且つT4ファージより若干長いことが知られた。また、φSA012およびφSA039は、収縮性のシースを持つことから、ミオビリデ科(Myoviridate family)に属するものと推察される。

0086

実施例4.φSA012の溶菌活性試験
LB培地4mlをL字型試験管に採り、実験例1で分離したS. aureus のうち、SA-003株、SA020株、SA028株、又はSA-031株の昼夜培養液40μlを接種し、それぞれ37℃で、対数増殖期になる(OD660=0.1)まで、40rpmで振盪培養した。次いで、実施例1で得られたバクテリオファージφSA012のライセートをMOI=10(Multiplicity of Infection:菌量に対するバクテリオファージの相対量。MOI=10は、菌の総数に対して、10倍の個数のバクテリオファージを感染させたことを意味する。)で加えて、φSA012をS. aureusに感染させた。次いで、LB培地の660nmにおける吸光度経時変化を、TVS062CA Biophotorecorder (Advantec, Tokyo)を用いて測定した。尚、測定は、S. aureusの培養液にφSA012を添加後、15分のインターバルの後、行った。

0087

また、φSA012を添加せずに、S. aureus菌体のみで培養した場合をcontrolとした。

0088

得られた結果を図2にそれぞれ示す。
尚、図2において各シンボルは、下記表5に記載の条件で試験した結果を示す。

0089

0090

図2から明らかな如く、バクテリオファージの不在下では、SA003株、SA020株、SA028株及びSA031株共に、培養によって増殖し、吸光度が上昇した(Control)。しかし、φSA012を接種すると、すべての株で、吸光度が殆ど0付近にまで急速に減少した。すなわち、今回用いたS. aureus株はすべて、φSA012によって溶菌された。このことから、φSA012は、S. aureus株であるSA003株、SA020株、SA028株、SA031株等の、複数のS. aureus株に対して、強い溶菌活性を持つことがわかる。

0091

実施例5.φSA039の溶菌活性試験
実験例1で分離したS. aureus のうち、SA003株、SA020株、SA026株、SA029株又はSA031株を宿主細菌として用い、バクテリオファージとして実施例1で単離したバクテリオファージφSA039を用いる以外は、実施例4と同様の試薬及び機器を用いて培養を行い、LB培地の660nmにおける吸光度の経時変化を測定した。

0092

また、φSA039を添加せずに、S. aureus菌体のみで培養した場合をcontrolとした。

0093

結果を図3に示す。
また、図3において、各シンボルは、下記表6に記載の条件で試験した結果を示す。

0094

0095

図3より明らかな如く、バクテリオファージの不在下では、SA003株、SA020株、SA026株、SA029株又はSA-031株共に、培養によって増殖し、吸光度が上昇した(Control)。しかし、φSA039を接種すると、すべての菌株で、培養30時間前後で吸光度が殆ど0付近にまで減少した。すなわち、今回用いたS. aureus株は、すべてがφSA039によって溶菌された。以上のことから、φSA039は、SA003株、SA020株、SA026株、SA029株、SA031株等の、複数のS. aureus株に対して強い溶菌活性を持つことが判る。

0096

実施例6.MRSAに対する溶菌活性を有するバクテリオファージの選択
S. aureusのMRSA Typingstrain であるSA050 (GTC01186), SA051 (GTC01187), SA052 (GTC01213), SA053 (GTC01217), SA054 (GTC01221)の5株を、宿主菌株として用いた。

0097

これらの菌株は、岐阜大学大学院医学研究科より分譲された。

0098

各宿主菌株培養液110μL(1×108-9CFU /mL)を、それぞれ3mLの軟寒天培地(0.5% top agar)に加え、混合した後、LB寒天培地上に重層した。軟寒天培地が固まった後、実施例1で調製した各バクテリオファージライセート(>108PFU/mL)を、軟寒天培地に2μLずつ滴下(スポット)し、一昼夜37℃で培養した。
その後、実施例2と同様の方法で、軟寒天培地上に生じたプラークの検出を行った。

0099

結果を表7に示す。表7において、各スポットに生じたプラークの透明具合がClearな場合をC、Turbidな場合をT、Very turbidな場合をVT、プラークが発生しなかった場合を−で示す。

0100

0101

試験した52株のバクテリオファージのうち、MRSAのいずれかの株を溶菌できたバクテリオファージは、表7記載の21株であった。

0102

中でも、表7から明らかな如く、φSA12は、SA050 (GTC01186) 株, SA051 (GTC01187) 株, SA052 (GTC01213) 株, SA053 (GTC01217) 株, SA054 (GTC01221) 株のすべてに溶菌活性を示し、特にSA052 (GTC01213) 株及びSA053 (GTC01217) 株に対して強い溶菌活性を示した。

0103

また、本発明のバクテリオファージφSA039は、S. aureusのMRSA TypingstrainであるA050 (GTC01186) 株, SA052 (GTC01213) 株, SA053 (GTC01217) 株及びSA054 (GTC01221) 株に溶菌活性を示し、特に病原因子が特定されているSA054 (GTC01221)株に対して強い溶菌活性を示した。

0104

即ち、本発明のバクテリオファージであるφSA012及びφ037-039は、複数のMRSA株に対して高い溶菌活性を示し、MRSAの除菌剤等への応用が可能であることが示唆された。

0105

実施例7.
下記の方法でマウスに乳腺炎を発症させるS. aureus(以下、本実施例では「SA」と略記する。)を注入して実験的に乳腺炎を発症した乳腺炎モデルマウスを作製し、それに本発明に係るバクテリオファージを注入して、マウス乳腺炎に対する本発明のバクテリオファージの効果を確認した。

0106

(1)乳腺炎モデルマウスの作製
下記4種の組成の注射液を調製した。
(i)SA群:SA(SA019) 1×105 CFU/25μLPBS
(ii) SA・ファージ群1:[SA 1×105 CFU+バクテリオファージ(φSA039) 1×105PFU]/25μL PBS
(iii) SA・ファージ群2:[SA 1×105 CFU+バクテリオファージ1×107 PFU]/25μL PBS
(iv)ファージ群:バクテリオファージ1×107 PFU/25μL PBS

0107

次いで、調製した上記各注射液を、SA注入の2時間前に仔マウスを分離した、出産後7〜10日の母親マウス(ddy系)の、L4、R4の乳頭下の乳槽内に、35G(ゲージ)の注射針で全量(25μL)を注入した。

0108

注射液を注入後、6時間経過したところで、仔マウスを母親マウスに戻した。

0109

注入2日後又は4日後に母親マウスの乳房を写真撮影し、その後マウスを解剖し、乳腺組織を写真撮影した。

0110

また乳腺組織を採取して、以下のように乳腺組織中のSAの細菌数算定した。

0111

(2)乳腺組織中のSA生菌数の測定
上記(1)で採取した乳腺組織を適当量(15mg−20mg)チューブに採取し、1mL滅菌PBSに浮遊させた。次いで、全体重量からチューブ及びPBS等の重量を減ずることで、採取した組織湿重量を測定した。
ビーズを用いて、約2分間乳腺組織を振盪破砕し、乳腺組織ホモジネートを調製した。得られた乳腺組織ホモジネートをPBSを用いて段階希釈(1×101−1×1010)した。

0112

段階希釈液各100μLを夫々5%羊赤血球加寒天培地に塗布し、37℃で24時間培養し、コロニー数を数えた。コロニー数に乳腺組織ホモジネートの希釈率を乗じて菌数を算定し、それを乳腺組織g重量あたりのSAの生菌数に換算した。

0113

(3)結果
1)乳腺組織の様子
上記(1)で得られた、乳腺炎モデルマウスにSA群、SA・ファージ群1又はSA・ファージ群2の注射液を注入して2日、及び4日経過後に乳房及び乳腺組織を写真撮影した結果を図4及び図5に示す。

0114

図4は注射液注入2日後のマウスの乳房及び乳腺組織の写真、図5は注射液4日後の乳房及び乳腺組織の写真を夫々示す。図4及び図5において、上の写真がマウスL4及びR4の乳房の写真、下の写真が乳腺組織の写真である。

0115

また、図4及び図5において、(i)はSA群の注射液を注入したマウス、(ii)はSA・ファージ群1の注射液を注入したマウス、(iii)はSA・ファージ群2の注射液を注入したマウスの乳房及び乳腺組織の写真を夫々示す。

0116

また、図4及び図5において、太い矢印(▲)は、乳腺の炎症反応が腹膜まで達していることを示す部分を指す。また、細い矢印(→)は、注入した部位で、炎症反応が見られていることを示す部分を指す。

0117

図4(i)及び図5(i)から明らかな如く、SAのみを注入したマウスでは、SA注入2日後で、乳腺の炎症反応が腹膜まで達しており、SA注入4日後では、その炎症が更に広がっていることが判る(太い矢印)。

0118

一方、図4の(ii)及び(iii)から明らかな如く、SAとバクテリオファージ(1×105PFU、1×107PFU)を注入した場合は、SAのみを注入した場合と比較して、明らかに乳腺の炎症反応が抑えられていた。

0119

更に図5の(ii)及び(iii)から明らかな如く、SAとバクテリオファージ(1×105PFU、1×107PFU)を注入して4日経過した場合、SAのみを注入した場合と比較して、明らかに乳腺の炎症反応が抑えられており、更に2日経過した場合(図4の(ii)及び(iii))と比較すると、炎症が更に小さくなっていることがわかる。

0120

更にまた、図4の(ii)と(iii)、図5の(ii)と(iii)を比較すると、(ii)バクテリオファージを1×105PFU注入した場合よりも(iii)1×107PFUを注入した場合の方が、乳腺の炎症がより小さくなっていることが判る。

0121

以上のことから、本発明のバクテリオファージを、S. aureus感染により乳腺炎を発症したマウスに投与することで、乳腺炎の炎症を抑制することができることがわかる。

0122

尚、図には示していないが、ファージ群のみを注射したマウスでは、2日後、及び4日後のいずれでも、乳腺炎は発症しなかった。

0123

2)乳腺組織中のSA数の変化
上記(2)で得られた、乳腺炎モデルマウスにバクテリオファージを注入して2日、及び4日経過後の乳腺組織中のSA生菌数を算出した結果を図6に示す。

0124

図6において、横軸は注射液をマウスに注入後の経過日数、マウスに注入した注射液のSA数及びバクテリオファージ数を、縦軸は乳腺組織gあたりのSA生菌数(CFU)を対数で示す。

0125

図6から明らかな如く、マウスにSAとバクテリオファージとを注入すると、SAのみを注入した場合と比較して、SA生菌数が激減していることが判る。例えば、SAのみを注入して2日後のマウスの乳腺組織中のSA生菌数は約7×1010 CFUであるが、SAと1×107PFUのバクテリオファージを注入して2日後のSA生菌数は約4×107 CFU程度であった。また、SAのみを注入して4日後のマウスの乳腺組織中のSA生菌数は約4×109 CFUであるが、SAと1×107 PFUのバクテリオファージを注入して4日後のSA生菌数は約5×104 CFU程度であった。

0126

すなわち、SA生菌数は、1×107PFUのバクテリオファージ投与2日後で、SAのみを投与したSA群に比べ、約1,800分の1、投与4日後には約80,000分の1に減少していた。

0127

また、このことから、本発明のバクテリオファージは、マウスの免疫系の中でもS.aureus溶菌活性を維持していることがわかる。

0128

以上の結果から、本発明のバクテリオファージを注射することにより、SA感染により発症した乳腺炎の炎症を抑制させ、乳腺組織中のSA生菌数を激減させることが出来ることが明らかとなり、本発明のバクテリオファージはSA感染による乳腺炎の治療に極めて有効な治療剤となり得ることがわかる。

0129

尚、(iv)ファージ群、すなわち本発明のバクテリオファージ1×107PFUのみを注入して2日、4日経過後のマウスには、乳腺炎のみならず、ショック症状等の目立った変化は観察されなかった。

0130

実施例8.
(1)乳腺炎モデルマウスの作製
SA注入の2時間前に仔マウスを分離した、出産後7〜10日の母親マウス(ddy系)の、L4、R4の乳頭下の乳槽内に、34G(ゲージ)の注射針で、下記(i)又は(ii)の全量(25μL)を注入した(バクテリオファージ非投与群、乳腺内投与群)。
(i) [SA(SA003) 1×103 CFU/25μLPBS]
(ii)[SA(SA003) 1×103 CFU+バクテリオファージ(φSA012) 1×107PFU]/25μL PBS

0131

また、上記と同様の準備をした母親マウスのL4、R4の乳頭下の乳槽内に、34G(ゲージ)の注射針で[SA(SA003) 1×103 CFU/25μLPBS] 25μLを注入した。その後すぐに、[バクテリオファージ(φSA012) 4×107PFU/100μL PBS] 100μLを、同じ母親マウスの頚静脈に注入した(血中投与群)。
尚、上記の組成の注射液は、夫々各2匹のマウスに投与した。

0132

注射液の注入を完了後、6時間経過したところで、仔マウスを母親マウスに戻した。

0133

注入2日後に母親マウスの乳腺組織を採取して、以下のように乳腺組織中のSAの細菌数を算定した。

0134

(2)乳腺組織中のSA生菌数の測定
上記(1)で採取した乳腺組織を適当量(15mg−20mg)チューブに採取し、1mL滅菌PBSに浮遊させた。次いで、全体重量からチューブ及びPBS等の重量を減ずることで、採取した組織の湿重量を測定した。
ビーズを用いて、約2分間乳腺組織を振盪破砕し、乳腺組織ホモジネートを調製した。得られた乳腺組織ホモジネートをPBSを用いて段階希釈(1×101−1×1010)した。

0135

段階希釈液各100μLを夫々5%羊赤血球加寒天培地に塗布し、37℃で24時間培養し、コロニー数を数えた。コロニー数に乳腺組織ホモジネートの希釈率を乗じて菌数を算定し、それを乳腺組織g重量あたりのSAの生菌数に換算した。

0136

(3)結果
結果を図7に示す。

0137

すなわち、図7は、SAのみを乳腺内投与した場合(バクテリオファージを投与しなかった場合:バクテリオファージ非投与群)、1×103 CFUのSAと1×107PFUのバクテリオファージを乳腺内投与した場合(乳腺内投与群)、1×103 CFU のSAを乳腺投与した後、4×107 PFUのバクテリオファージを血中投与した場合(血中投与群)の、夫々の場合における、乳腺組織gあたりのSA生菌数(CFU)を示す。データはそれぞれ乳腺組織3組織分(n=3)である。

0138

図7から明らかな如く、マウスにSAとバクテリオファージとを注入した場合(乳腺内投与群、血中投与群)は、SAのみを注入した場合(バクテリオファージ非投与群)と比較して、SA生菌数が激減していることが判る。例えば、SAのみを注入して2日後のバクテリオファージ非投与群の乳腺組織中のSA生菌数は約5.5×104 CFUであるが、SAと1×107PFUのバクテリオファージを組織内へ注入して2日後の乳腺内投与群のマウスの乳腺組織中のSA生菌数は約8×103 CFU程度であった。さらに、血液中へ4×107 PFUのバクテリオファージを注入して2日後の、血中投与群のマウスの乳腺組織中のSA生菌数は約2×103 CFUであった。

0139

以上のことから、本発明のバクテリオファージを血中投与することにより、組織内へバクテリオファージ注入(乳腺内投与)する場合よりも、更に乳腺組織中のSA生菌数を減少させる効果が高く、本発明のバクテリオファージが安定して効いていることが判る。

実施例

0140

このことから、本発明のバクテリオファージは、血液中への投与で、組織内感染のS.aureusに対しても溶菌活性効果を発揮できることがわかる。
以上の結果から、本発明のバクテリオファージを血液中内に注射することによっても、SA感染により発症した乳腺炎の炎症を抑制させ、乳腺組織中のSA生菌数を激減させることが出来ることが明らかとなり、本発明のバクテリオファージはSA感染による乳腺炎の治療に極めて有効な治療剤となり得ることがわかる。

0141

本発明のバクテリオファージは、MRSAを含むS. aureusの複数の株に対して感染性と、高い溶菌活性を示す。従って、本発明のバクテリオファージを用いれば、MRSAを含むS. aureusに対して有効な除菌剤や、感染症の予防剤及び治療剤を提供することができる。

0142

また、本発明のバクテリオファージは、ウシ乳腺炎(乳房炎)の原因菌であるS. aureus株に対しても強い溶菌活性を示すので、S. aureusを原因菌として引き起こされるウシ乳腺炎に対する有効な防止剤、治療剤等を提供することができる。更に、ウシ以外の哺乳動物についても、S.aureusに感染することで引き起こされる乳腺炎に対して、乳腺炎の有効な予防剤、治療剤等を提供することが出来る。

0143

図2において、各シンボルは、下記表8に記載の条件で試験した結果をそれぞれ示す。

0144

0145

図3において、各シンボルは、下記表9に記載の条件で試験した結果をそれぞれ示す。

0146

図4及び図5において、太い矢印(▲)は、乳腺の炎症反応が腹膜まで達していることを示す部分を指す。また、細い矢印(→)は、注入した部位で、炎症反応が見られていることを示す部分を指す。

0147

NITEBP-693
NITE BP-694

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