図面 (/)

技術 負極、非水電解質二次電池及びその製造方法

出願人 ソニー株式会社
発明者 齋藤俊介山田一郎川島敦道窪田忠彦
出願日 2009年8月26日 (10年8ヶ月経過) 出願番号 2009-195589
公開日 2011年3月10日 (9年1ヶ月経過) 公開番号 2011-048987
状態 拒絶査定
技術分野 電池のセパレータ 電池の電極及び活物質 二次電池(その他の蓄電池)
主要キーワード 固体電解質被膜 外装層 圧着荷重 スピネル型化合物 鎖状アミド 非流動化 体積密度 環状カルバミン酸エステル
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年3月10日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

高温保存時膨れ抑制効果を十分に発揮し得る負極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法を提供する。

解決手段

負極21は、負極集電体21Aと、負極集電体21Aの少なくとも一方の主面を被覆すると共に、少なくとも負極活物質211を含有する負極活物質層21Bとを有する。負極活物質層21Bの表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる負極活物質211が固体電解質被膜を有する被膜付き負極活物質213である。固体電解質被膜は、イソシアネート化合物イソシアネート基架橋反応して生成する生成物を含む。

概要

背景

近年、カメラ一体型ビデオテープレコーダデジタルスチルカメラ携帯電話携帯情報端末ノート型コンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。
そして、これらのポータブル電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発活発に進められている。
中でも、負極活物質炭素材料正極活物質リチウム(Li)と遷移金属との複合材料電解液炭酸エステル合物を用いたリチウムイオン二次電池は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池や、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、広く実用化されている。
特に、外装部材アルミニウムラミネートフィルムを用いたラミネート型電池は、軽量であるためエネルギー密度が大きい。
ラミネート型電池においては、電解液をポリマー膨潤させるとラミネート型電池の変形を抑制することができるため、ラミネートポリマー型電池も広く実用化されている。

ところが、ラミネート型電池は、外装部材が柔らかいため、高温環境下膨れやすいという問題点があった。

高温保存時に膨れやすいという問題点に対して、所定のイソシアネート化合物を含む非水電解液を用いて初回充電時に固体電解質被膜を負極に形成した非水電解質二次電池が提案されている(特許文献1及び2参照。)。

概要

高温保存時の膨れ抑制効果を十分に発揮し得る負極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法を提供する。負極21は、負極集電体21Aと、負極集電体21Aの少なくとも一方の主面を被覆すると共に、少なくとも負極活物質211を含有する負極活物質層21Bとを有する。負極活物質層21Bの表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる負極活物質211が固体電解質被膜を有する被膜付き負極活物質213である。固体電解質被膜は、イソシアネート化合物のイソシアネート基架橋反応して生成する生成物を含む。

目的

そして、その目的とするところは、高温保存時の膨れ抑制効果を十分に発揮し得る負極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

負極集電体と、該負極集電体の少なくとも一方の主面を被覆すると共に、少なくとも負極活物質を含有する負極活物質層と、を有し、上記負極活物質層の表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる上記負極活物質が、固体電解質被膜を有し、上記固体電解質被膜が、イソシアネート化合物イソシアネート基架橋反応して生成する生成物を含む負極。

請求項2

上記イソシアネート化合物が、下記の一般式(1)〜(4)で表されるイソシアネート化合物のうち少なくとも1種である請求項1に記載の負極。(式(1)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R1は、炭素数1〜22の鎖状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数1〜22の鎖状炭化水素基を示す。)(式(2)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R2は、炭素数7〜22の鎖状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数1〜22の鎖状炭化水素基を示す。)(式(3)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R3は、炭素数6〜20の環状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数6〜20の環状炭化水素基を示す。)(式(4)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R4は、炭素数6〜20の環状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数6〜20の環状炭化水素基を示す。)

請求項3

上記一般式(1)で表されるイソシアネート化合物が、1−イソシアナトドデカン及び/又は1−イソシアナトオクタデカンである請求項2に記載の負極。

請求項4

上記一般式(4)で表されるイソシアネート化合物が、メチレンビス(4,1−シクロヘキシレンジイソシアネートである請求項2に記載の負極。

請求項5

上記負極活物質が、炭素材料である請求項1に記載の負極。

請求項6

正極と負極とをセパレータを介して巻回又は積層して成る電極体と、非水溶媒及び電解質塩を含む電解質と、これらを収容する外装部材と、を備え、上記負極が、負極集電体と、該負極集電体の少なくとも一方の主面を被覆すると共に、少なくとも負極活物質を含有する負極活物質層と、を有し、上記負極活物質層の表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる上記負極活物質が、固体電解質被膜を有し、上記固体電解質被膜が、イソシアネート化合物のイソシアネート基が架橋反応して生成する生成物を含む非水電解質二次電池

請求項7

上記セパレータが、その少なくとも一方の主面を高分子支持体で被覆して成る高分子支持体付きセパレータである請求項6に記載の非水電解質二次電池。

請求項8

上記外装部材が、ラミネートフィルムである請求項6に記載の非水電解質二次電池。

請求項9

上記電解質が、下記の一般式(1)〜(4)で表されるイソシアネート化合物のうち少なくとも1種を更に含む請求項6に記載の非水電解質二次電池。(式(1)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R1は、炭素数1〜22の鎖状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数1〜22の鎖状炭化水素基を示す。)(式(2)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R2は、炭素数7〜22の鎖状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数1〜22の鎖状炭化水素基を示す。)(式(3)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R3は、炭素数6〜20の環状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数6〜20の環状炭化水素基を示す。)(式(4)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R4は、炭素数6〜20の環状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数6〜20の環状炭化水素基を示す。)

請求項10

正極と負極とをセパレータを介して巻回又は積層して成る電極体と、非水溶媒及び電解質塩を含む電解質と、これらを収容する外装部材と、を備え、上記負極が、負極集電体と、該負極集電体の少なくとも一方の主面を被覆すると共に、少なくとも負極活物質を含有する負極活物質層と、を有し、上記負極活物質層の表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる上記負極活物質が、固体電解質被膜を有し、上記固体電解質被膜が、イソシアネート化合物のイソシアネート基が架橋反応して生成する生成物を含む非水電解質二次電池の製造方法であって、外装部材に収容された電極体と、非水溶媒、電解質塩及びイソシアネート化合物を含む電解質とを、加熱及び加圧する熱圧着工程を含む非水電解質二次電池の製造方法。

請求項11

上記セパレータが、その少なくとも一方の主面を高分子支持体で被覆して成る高分子支持体付きセパレータである請求項10に記載の非水電解質二次電池の製造方法。

請求項12

上記外装部材が、ラミネートフィルムである請求項10に記載の非水電解質二次電池の製造方法。

請求項13

上記熱圧着工程における加熱温度が、40〜110℃である請求項10に記載の非水電解質二次電池の製造方法。

請求項14

上記熱圧着工程における加圧圧力が、0.05MPa〜10MPaである請求項10に記載の非水電解質二次電池の製造方法。

請求項15

上記電解質は、上記非水溶媒100重量部に対して上記イソシアネート化合物を0.01〜5重量部の割合で含む請求項10に記載の非水電解質二次電池の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、負極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法に関する。
更に詳細には、本発明は、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一方の主面を被覆すると共に、少なくとも負極活物質を含有する負極活物質層とを有し、負極活物質層の表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる負極活物質が、固体電解質被膜を有し、固体電解質被膜が、イソシアネート化合物イソシアネート基架橋反応して生成する生成物を含む負極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、カメラ一体型ビデオテープレコーダデジタルスチルカメラ携帯電話携帯情報端末ノート型コンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。
そして、これらのポータブル電子機器のポータブル電源として、電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究開発活発に進められている。
中でも、負極活物質に炭素材料正極活物質リチウム(Li)と遷移金属との複合材料電解液炭酸エステル合物を用いたリチウムイオン二次電池は、従来の水系電解液二次電池である鉛電池や、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、広く実用化されている。
特に、外装部材アルミニウムラミネートフィルムを用いたラミネート型電池は、軽量であるためエネルギー密度が大きい。
ラミネート型電池においては、電解液をポリマー膨潤させるとラミネート型電池の変形を抑制することができるため、ラミネートポリマー型電池も広く実用化されている。

0003

ところが、ラミネート型電池は、外装部材が柔らかいため、高温環境下膨れやすいという問題点があった。

0004

高温保存時に膨れやすいという問題点に対して、所定のイソシアネート化合物を含む非水電解液を用いて初回充電時に固体電解質被膜を負極に形成した非水電解質二次電池が提案されている(特許文献1及び2参照。)。

先行技術

0005

特開2006−164759号公報
特開2007−242411号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の非水電解質二次電池にあっても、所定のイソシアネート化合物により負極に固体電解質被膜が形成されるのは初回充電時であるため、初回充電時におけるガス発生を抑制することはできず、高温保存時の膨れ抑制効果が十分ではないという問題点があった。

0007

本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。
そして、その目的とするところは、高温保存時の膨れ抑制効果を十分に発揮し得る負極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。
そして、その結果、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一方の主面を被覆すると共に、少なくとも負極活物質を含有する負極活物質層とを有し、負極活物質層の表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる負極活物質が、固体電解質被膜を有し、固体電解質被膜が、イソシアネート化合物のイソシアネート基が架橋反応して生成する生成物を含む負極を用いることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。

0009

すなわち、本発明の負極は、負極集電体と、該負極集電体の少なくとも一方の主面を被覆すると共に、少なくとも負極活物質を含有する負極活物質層とを有し、該負極活物質層の表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる該負極活物質が、固体電解質被膜を有し、該固体電解質被膜が、イソシアネート化合物のイソシアネート基が架橋反応して生成する生成物を含むものである。

0010

また、本発明の非水電解質二次電池は、正極と負極とをセパレータを介して巻回又は積層して成る電極体と、非水溶媒及び電解質塩を含む電解質と、これらを収容する外装部材とを備え、該負極が、負極集電体と、該負極集電体の少なくとも一方の主面を被覆すると共に、少なくとも負極活物質を含有する負極活物質層とを有し、該負極活物質層の表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる該負極活物質が、固体電解質被膜を有し、該固体電解質被膜が、イソシアネート化合物のイソシアネート基が架橋反応して生成する生成物を含むものである。

0011

更に、本発明の非水電解質二次電池の製造方法は、正極と負極とをセパレータを介して巻回又は積層して成る電極体と、非水溶媒及び電解質塩を含む電解質と、これらを収容する外装部材とを備え、該負極が、負極集電体と、該負極集電体の少なくとも一方の主面を被覆すると共に、少なくとも負極活物質を含有する負極活物質層とを有し、該負極活物質層の表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる上記負極活物質が、固体電解質被膜を有し、該固体電解質被膜が、イソシアネート化合物のイソシアネート基が架橋反応して生成する生成物を含む非水電解質二次電池の製造方法であって、外装部材に収容された電極体と、非水溶媒、電解質塩及びイソシアネート化合物を含む電解質とを、加熱及び加圧する熱圧着工程を含む製造方法である。

発明の効果

0012

本発明によれば、負極集電体と、負極集電体の少なくとも一方の主面を被覆すると共に、少なくとも負極活物質を含有する負極活物質層とを有し、負極活物質層の表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる負極活物質が、固体電解質被膜を有し、固体電解質被膜が、イソシアネート化合物のイソシアネート基が架橋反応して生成する生成物を含む負極を用いることとしたため、高温保存時の膨れ抑制効果を十分に発揮し得る負極、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の第1の実施の形態に係る負極の一例の一部を拡大して示す概略断面図である。
本発明の第2の実施の形態に係る非水電解質二次電池の一例を示す分解斜視図である。
図2に示した電池素子のIII−III線に沿った模式的な断面図である。

0014

以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」という。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(負極の例)
2.第2の実施の形態(非水電解質二次電池の例)
3.第3の実施の形態(非水電解質二次電池の製造方法の例)

0015

<1.第1の実施の形態>
[負極の構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る負極の一例の一部を拡大して示す概略断面図である。
同図に示すように、負極21は、例えば、対向する一対の主面を有する負極集電体21Aの両面に負極活物質層21Bが設けられた構造を有している。
また、負極活物質層21Bは、少なくとも負極活物質211を含有するものであり、その表面から少なくとも50%厚みまでの領域に含まれる負極活物質は、固体電解質被膜(SEI)を有する負極活物質(以下「被膜付き負極活物質」という。)213である。
なお、負極活物質層の表面から50%厚みまでの領域とは、負極活物質層の厚み方向における半分の厚みまでの領域を意味し、負極活物質層の表面から80%厚みまでの領域に含まれる負極活物質が被膜付き負極活物質であることが好ましい。
また、負極活物質層の表面から100%厚みまでの領域とは、負極活物質層の全領域を意味する。図示はしないが、このような場合も本発明の範囲に含まれる。
更に、図示はしないが、負極集電体21Aの片面のみに負極活物質層21Bを設けるようにしてもよい。

0016

[負極集電体]
負極集電体は、例えば、銅箔ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成されている。

0017

[負極活物質層]
負極活物質層は、例えば、負極活物質として、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料金属リチウムのいずれか1種又は2種以上を含んでおり、必要に応じて導電剤結着剤を含んでいてもよい。結着剤としては、例えばポリフッ化ビニリデンスチレンブタジエンゴムなどを挙げることができる。

0018

リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素易黒鉛化性炭素天然若しくは人造黒鉛熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体炭素繊維又は活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークスニードルコークス又は石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂フラン樹脂などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素又は易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。
これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れた特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
なお、高分子材料を適用することもでき、例えばポリアセチレンポリピロールなどがある。

0019

また、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な負極材料としては、リチウムと合金を形成可能な金属元素及び半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。この負極材料は金属元素又は半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。
なお、本発明において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含める。また、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には固溶体共晶共融混合物)、金属間化合物又はこれらのうちの2種以上が共存するものがある。

0020

このような金属元素又は半金属元素としては、例えばスズ(Sn)、鉛(Pb)、マグネシウム(Mg)、アルミニウムインジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)及びイットリウム(Y)が挙げられる。
中でも、長周期型周期表における14族の金属元素又は半金属元素が好ましく、特に好ましいのはケイ素又はスズである。ケイ素及びスズは、リチウムを吸蔵及び放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。

0021

スズの合金としては、例えばスズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルトマンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロム(Cr)から成る群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えばケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムから成る群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。

0022

スズの化合物又はケイ素の化合物としては、例えば酸素(O)又は炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ又はケイ素に加えて、上述した第2の構成元素を含んでいてもよい。

0023

なお、上述のような負極材料としては、チタンのようにリチウムと複合酸化物を形成する元素でもよい。もちろん、金属リチウムを析出溶解させてもよく、リチウム以外のマグネシウムやアルミニウムを析出溶解させることもできる。

0024

[被膜付き負極活物質]
被膜付き負極活物質の被膜は、イソシアネート化合物のイソシアネート基が架橋反応して生成する生成物を含むものである。
イソシアネート基は、アルカリ化合物や、水酸基アミン基などの活性水素含有官能基などと非常に反応性が大きく、反応後はウレタン結合などの安定で強固な結合を形成することができる。
イソシアネート化合物のイソシアネート基が、負極活物質などの電極合剤内に存在する水酸基や水分と反応することにより、イソシアネート化合物に由来する固体電解質被膜(SEI)を形成する。なお、黒鉛の表面には水酸基が存在することが知られている。

0025

[イソシアネート化合物]
イソシアネート化合物としては、下記の一般式(1)〜(4)のうちいずれか1つで表されるイソシアネート化合物を挙げることができる。このようなイソシアネート化合物は、疎水性の主鎖と親水性のイソシアネート基の両方を有することによる、界面活性効果が期待され、所望の負極を形成させやすい。これは、詳しくは後述する熱圧着工程において、イソシアネート化合物が電極内部まで浸透し、更に主鎖の炭素数が多いため若しくは炭素や水素置換されているため、固体電解質被膜(SEI)が溶解しづらくなり、高温保存時においても被膜が電解液に溶解しないためと考えられる。

0026

0027

(式(1)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R1は、炭素数1〜22、好ましくは炭素数8〜18の鎖状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数1〜22、好ましくは炭素数1〜18の鎖状炭化水素基を示す。)

0028

0029

(式(2)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R2は、炭素数7〜22、好ましくは炭素数8〜18の鎖状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数1〜22、好ましくは炭素数8〜18の鎖状炭化水素基を示す。)

0030

0031

(式(3)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R3は、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜18の環状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜18の環状炭化水素基を示す。)

0032

0033

(式(4)中、Nは窒素、Cは炭素、Oは酸素を示し、R4は、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜18の環状炭化水素基、又は炭素及び/又は水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種に置換された炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜18の環状炭化水素基を示す。)

0034

上記の一般式(1)で表されるイソシナネート化合物としては、1−イソシアナトオクタデカンを好適例として挙げることができるが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば1−イソシアナトヘキサン、1−イソシアナトヘプタン、1−イソシアナトオクタン、1−イソシアナトノナン、1−イソシアナトデカン、1−イソシアナトウンデカン、1−イソシアナトドデカン、1−イソシアナトトリデカン、1−イソシアナトテトラデカン、1−イソシアナトペンタデカン、1−イソシアナトヘキサデカン、1−イソシアナトヘプタデカン、1−イソシアナトノナデカン、1−イソシアナトエイコサンなどの炭素及び水素がハロゲン、酸素、硫黄、窒素又はケイ素に置換されていない鎖状炭化水素基を有するイソシアネート化合物を挙げることができる。

0035

また、上記の一般式(1)で表されるイソシナネート化合物としては、例えば、1−イソシアナト−6−メトキシヘキサン、1−イソシアナト−6−エトキシヘキサン、エチルイソシアナトアセテート、エチル3−イソシアナトプロパノエート、2−イソシアナトエチル−2−メチルアクリレートブチルイソシアナトアセテート、エチル4−イソシアナトブタノエート、エチルー6−イソシアナトヘキサノエートなどの炭素及び水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素又はケイ素に置換された鎖状炭化水素基を有するイソシアネート化合物を挙げることもできる。
なお、本発明において、ハロゲンとしては、例えばフッ素塩素臭素を好適例として挙げることができる。
分子中の水素がハロゲンに置換されていても、炭素に結合したハロゲンは不活性電池特性に影響しないと考えられるため、置換されていないものと同等の効果を有する。

0036

なお、本発明において、「置換」とは、いわゆる置換反応により得られるものに限定されるものではない。具体例を挙げて説明すると、例えばクロロベンゼン(C6H5Cl)をベンゼン(C6H6)の1つの水素(H)を(Cl)に置換して得た場合、このようなクロロベンゼンは置換されたものに含まれることは勿論である。更に、本発明においては、例えばメタノール(CH3−O−H)をエタン(CH3−CH2−H)の炭素及び水素の一部である(CH2)を酸素(O)に置換したものと解釈して、これも置換されたものに含む意味に解釈されなければならない。

0037

上記の一般式(2)で表されるイソシアネート基を2つ有するイソシナネート化合物としては、例えば、2,6−ジイソシアナトキサン酸メチルジメチルジイソシアナトシラン、2,2−ジメチルペンタン−1,5−ジイルジイソシアネートジブチルジイソシアナトシラン、ジエトキシジイソシアナトシラン、エチルジイソシアナトホスフィンオキシド、メチルジイソシアナトホスフィンオキシド、イソプロピルジイソシアナトホスフィンオキシド、ブトキシジイソシアナトホスフィンオキシドなどの炭素及び水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素又はケイ素に置換された鎖状炭化水素基を有するイソシアネート化合物を挙げることもできる。

0038

上記の一般式(3)で表されるイソシナネート化合物としては、例えばイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−4−メチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−エチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−4−プロピルシクロヘキサン、1−イソシアナト−4−ブチルシクロヘキサン、イソシアナトシクロオクタン、1−イソシアナトアダマンタンなどの炭素及び水素がハロゲン、酸素、硫黄、窒素又はケイ素に置換されていない環状炭化水素基を有するイソシアネート化合物を挙げることができる。
なお、環状炭化水素基としては、上記化合物のような脂環式環状炭化水素だけでなく、芳香族の環状炭化水素基を挙げることができる。

0039

上記の一般式(4)で表されるイソシアネート基を2つ有するイソシナネート化合物としては、メチレンビス(4,1−シクロキシレン)ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−フェニレン)ジイソシアネートを好適例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。すなわち、例えば、1,3−ビスイソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサン−1,3−ジイルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイルジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイルビスメチルイソシアネート)、1−メチルシクロヘキサン−2,4−ジイルジイソシアネートなどの炭素及び水素がハロゲン、酸素、硫黄、窒素又はケイ素に置換されていない脂環式の環状炭化水素基を有するイソシアネート化合物を挙げることができる。

0040

また、上記の一般式(4)で表されるイソシアネート基を2つ有するイソシナネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアナートなどの炭素及び水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素又はケイ素に置換された脂環式の環状炭化水素基を有するイソシアネート化合物を挙げることもできる。

0041

更に、上記の一般式(4)で表されるイソシアネート基を2つ有するイソシナネート化合物としては、例えば、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンビス(1−メチルエタン−1,1−ジイル)ジイソシアネート、p−フェニレンビス(1−メチルエタン−1,1−ジイル)ジイソシアネート、m−キシリレンジイルジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイルジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2−メチル−1,4−フェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイルジイソシアネート、ナフタレン−2,7−ジイルジイソシアネート、メチレンビス(2,1−フェニレン)ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイルビス(メチレン)ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイルビス(メチレン)ジイソシアネート、2,4−ジメチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4,6−ジメチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,5−ジメチル−1,3−フェニレンジイソシアネート、2−メチル−4,6−ジエチルベンゼン−1,3−ジイルジイソシアネート、2,4,6−トリエチルベンゼン−1,3−ジイルジイソシアネート、2,6−ジメチルベンゼン−1,4−ジイルジイソシアネート、2,6−ジエチルベンゼン−1,4−ジイルジイソシアネート、メチレンビス(2,6−ジメチル−4,1−フェニレン)ジイソシアネート、メチレンビス(3−メチル−4,1−フェニレン)ジイソシアネート、メチレンビス(2,6−ジイソプロピル−4,1−フェニレン)ジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4,1−フェニレン)ジイソシアネート、9H−フルオレン−2,7−ジイルジイソシアネートなどの炭素及び水素がハロゲン、酸素、硫黄、窒素又はケイ素に置換されていない芳香族の環状炭化水素基を有するイソシアネート化合物を挙げることができる。

0042

更にまた、上記の一般式(4)で表されるイソシアネート基を2つ有するイソシナネート化合物としては、例えば、4−[(2−イソシアナトフェニルオキシ]フェニルイソシアネート、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアネート)、2,2’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイルジイソシアネート、1−(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチリデンビス(4,1−フェニレン)ジイソシアナート、[ヘキサヒドロビフェニル]−4,4−ジイル]ジイソシアネート、4−クロロベンゼン−1,3−ジイルジイソシアネート、2,4−ジクロロベンゼン−1,3−ジイソシアネート、4,6−ジクロロベンゼン−1,3−ジイソシアネート、2,5−ジクロロベンゼン−1,4−ジイソシアネート、4−(トリフルオロメチル)ベンゼン−1,3−ジイルジイソシアネート、2−(トリフルオロメチル)ベンゼン−1,3−ジイルジイソシアネート、トリメチレンジオキシビス(4,1−フェニレン)ジイソシアネート、チオビス(4,1−フェニレン)ジイソシアネート、9H−カルバゾール−3,6−ジイルジイソシアネート、ジフェニルジイソシアナトシラン、ジフェノキシジイソシアナトシラン、フェニルジイソシアナトホスフィンオキシド、フェノキシジイソシアナトホスフィンオキシド、フェニルジイソシアナトホスフィンなどの炭素及び水素の少なくとも一部がハロゲン、酸素、硫黄、窒素又はケイ素に置換された芳香族の環状炭化水素基を有するイソシアネート化合物を挙げることもできる。
なお、イソシアネート化合物においては、環状構造は1〜4つ有するものを好適に用いることができ、これらの環状構造は脂環式のものであるか芳香族のものであるかを問わない。

0043

上記イソシアネート化合物は、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して用いることができる。

0044

<2.第2の実施の形態>
[非水電解質二次電池の構成]
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る非水電解質二次電池の一例を示す分解斜視図である。このような非水電解質二次電池は、ラミネート型電池と呼ばれるものである。

0045

同図に示すように、この非水電解質二次電池は、負極リード11と正極リード12が取り付けられた電池素子20を外装部材30の内部に封入して構成されている。
負極リード11及び正極リード12は、外装部材30の内部から外部に向かって、例えば同一方向にそれぞれ導出されている。
負極リード11及び正極リード12は、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)又はステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成される。
なお、電池素子20から電解質を除いたものを電極体ということにする。

0046

[外装部材]
外装部材30は、例えばナイロンフィルムアルミニウム箔及びポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のラミネートフィルム31により構成されている。外装部材30は、例えばポリエチレンフィルム側と電池素子20とが対向するように配設されており、各外縁部が融着又は接着剤により互いに接合されている。
外装部材30と負極リード11及び正極リード12との間には、外気侵入を防止するための密着フィルム32が挿入されている。密着フィルム32は、負極リード11及び正極リード12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば負極リード11及び正極リード12が上述した金属材料から構成される場合には、ポリエチレンポリプロピレン変性ポリエチレン又は変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。

0047

なお、外装部材30は、上述したラミネートフィルムに代えて、他の構造、例えば金属材料を有さないラミネートフィルム、ポリプロピレンなどの高分子フィルム又は金属フィルムなどにより構成してもよい。
ここで、ラミネートフィルムの一般的な構成は、外装層/金属箔/シーラント層積層構造で表すことができ(但し、外装層及びシーラント層は複数層で構成されることがある。)、上記の例では、ナイロンフィルムが外装層、アルミニウム箔が金属箔、ポリエチレンフィルムがシーラント層に相当する。
なお、金属箔としては、耐透湿性バリア膜として機能すれば十分であり、アルミニウム箔のみならず、ステンレス箔、ニッケル箔及びメッキを施した鉄箔などを使用することができるが、薄く軽量で加工性に優れるアルミニウム箔を好適に用いることができる。

0048

外装部材として、使用可能な構成を(外装層/金属箔/シーラント層)の形式で列挙すると、Ny(ナイロン)/Al(アルミニウム)/CPP無延伸ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)/Al/CPP、PET/Al/PET/CPP、PET/Ny/Al/CPP、PET/Ny/Al/Ny/CPP、PET/Ny/Al/Ny/PE(ポリエチレン)、Ny/PE/Al/LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PET/PE/Al/PET/LDPE(低密度ポリエチレン)、及びPET/Ny/Al/LDPE/CPPなどがある。

0049

[電池素子の構成]
図3は、図2に示した電池素子20のIII−III線に沿った模式的な断面図である。同図において、電池素子20は、負極21と正極22とが高分子支持体層23が両面に形成されたセパレータ24を介して対向して位置し、巻回されているものである。高分子支持体層23は、負極21及び正極22の間で電解液を保持して電解質層を形成している。また、図示しないが、負極21及び正極22の間に挟まれないで存在している高分子支持体層やセパレータは巻回する際に付勢して圧縮させてもよい。これにより、電解質層をより所望の位置に形成することができる。
なお、最外周部は図示しないが保護テープにより保護してもよい。

0050

[負極]
負極については、第1の実施の形態で説明したので、その説明は省略する。

0051

[正極]
一方、正極22は、負極21と同様に、例えば対向する一対の面を有する正極集電体22Aの両面又は片面に正極活物質層22Bが被覆された構造を有している。正極集電体22Aには、長手方向における一方の端部に正極活物質層22Bが被覆されずに露出している部分があり、この露出部分に正極リード12が取り付けられている。
正極集電体22Aは、例えばアルミニウム箔、ニッケル箔又はステンレス箔などの金属箔により構成される。

0052

正極活物質層22Bは、正極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な正極材料のいずれか1種又は2種以上を含んでおり、必要に応じてグラファイト等の導電剤及びポリフッ化ビニリデン等の結着剤を含んでいてもよい。
また、結着剤として、カルボキシメチルセルロースCMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム系結着剤を用いるようにしてもよい。

0053

リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な正極材料としては、例えば硫黄(S)や、二硫化鉄(FeS2)、二硫化チタン(TiS2)、二硫化モリブデン(MoS2)などの二硫化物、二セレン化ニオブ(NbSe2)、酸化バナジウム(V2O5)、二酸化チタン(TiO2)及び二酸化マンガン(MnO2)などのリチウムを含有しないカルコゲン化物(特に層状化合物スピネル型化合物)、リチウムを含有するリチウム含有化合物、並びに、ポリアニリンポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリピロールなどの導電性高分子化合物が挙げられる。

0054

これらの中でも、リチウム含有化合物は、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができるものがあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、例えばリチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物が挙げられるが、より高い電圧を得る観点からは、特にコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、チタン(Ti)又はこれらの任意の混合物を含むものが好ましい。

0055

かかるリチウム含有化合物は、代表的には、下記の一般式(5)又は(6)
LixMIO2…(5)
LiyMIIPO4…(6)
[式(5)及び(6)中のMI及びMIIは1種類以上の遷移金属元素を示し、x及びyの値は電池の充放電状態によって異なるが、通常0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。]で表される。(5)式の化合物は一般に層状構造を有し、(6)式の化合物は一般にオリビン構造を有する。

0056

また、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物の具体例としては、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)、これらの固溶体(Li(NixCoyMnz)O2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi1−zCozO2(z<1))、スピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2O4)及びこれらの固溶体(Li(Mn2−xNiy)O4)などが挙げられる。

0057

リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物の具体例としては、例えばオリビン構造を有するリチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)又はリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1−vMnvPO4(v<1))が挙げられる。

0058

[セパレータ]
また、セパレータ24は、例えばポリプロピレン若しくはポリエチレンなどのポリオレフィン系の合成樹脂から成る多孔質膜、又はセラミック製の不織布などの無機材料から成る多孔質膜など、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を有する絶縁性薄膜から構成されており、これら2種以上の多孔質膜を積層した構造としてもよい。特に、ポリオレフィン系の多孔質膜を含むものは、正極21と負極22との分離性に優れ、内部短絡開回路電圧の低下をいっそう低減できるので好適である。

0059

[非水溶媒]
非水溶媒としては、各種の高誘電率溶媒や低粘度溶媒を用いることができる。
高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネートを含むものを好適例として挙げることができるが、これに限定されるものではない。
高誘電率溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネートブチレンカーボネートビニレンカーボネートなどの環状炭酸エステルを挙げることができる。

0060

また、これらの環状炭酸エステルの水素をハロゲンに置換した溶媒等を添加して用いることもできる。具体的には、4‐フルオロ‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オンフルオロエチレンカーボネート(FEC))、4,5‐フルオロ‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン(ジフルオロエチレンカーボネートDFEC))、4‐クロロ‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン(クロロエチレンカーボネート)、トリフルオロメチルエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステルを挙げることもできる。DFECについては特にトランス体が望ましい。

0061

また、高誘電率溶媒として、環状炭酸エステルの代わりに又はこれと併用して、γ‐ブチロラクトンやγ‐バレロラクトンなどのラクトン、N‐メチルピロリドンなどのラクタム、N‐メチルオキサゾリジノンなどの環状カルバミン酸エステルテトラメチレンスルホンなどのスルホン化合物等も使用可能である。

0062

一方、低粘度溶媒としては、ジエチルカーボネートを含むものを好適例として挙げることができるが、これに限定されるものではない。例えば、ジメチルカーボネートエチルメチルカーボネートメチルプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル酢酸メチル酢酸エチルプロピオン酸メチルプロピオン酸エチル酪酸メチルイソ酪酸メチルトリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル等の鎖状カルボン酸エステル、N,N‐ジメチルアセトアミド等の鎖状アミド、N,N‐ジエチルカルバミン酸メチル、N,N‐ジエチルカルバミン酸エチル等の鎖状カルバミン酸エステル、1,2‐ジメトキシエタンテトラヒドロフランテトラヒドロピラン、1,3‐ジオキソラン等のエーテルなどを挙げることができる。

0063

なお、上記の高誘電率溶媒及び低粘度溶媒は、1種を単独で又はこれらの2種以上を任意に混合して用いることができる。
また、上記の非水溶媒の含有量は、70〜90質量%とすることが好ましい。70質量%未満では、粘度が上昇し過ぎることがあり、90質量%を超えると、十分な伝導度が得られないことがある。

0064

[電解質塩]
電解質塩としては、上記の非水溶媒に溶解ないしは分散してイオンを生ずるものであればよく、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を含むものを好適に使用することができるが、これに限定されるものではないことは言うまでもない。
例えば、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl4)等の無機リチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド(LiN(CF3SO2)2)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホンメチド(LiC(C2F5SO2)2)、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド(LiC(CF3SO2)3)等のパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体リチウム塩なども使用可能であり、1種を単独で又は2種以上を任意に混合して用いることも可能である。

0065

なお、このような電解質塩の含有量は、0.5〜2.0mol/kgとすることが好ましい。0.5mol/kg未満では、十分な伝導度が得られないことがあり、2.0mol/kgを超えると、粘度が上昇し過ぎることがある。

0066

[イソシアネート化合物]
また、電解質は、更にイソシアネート化合物を含んでいてもよい。このようなイソシアネート化合物としては、第1の実施の形態で説明したものを適用することができ、第1の実施の形態で説明したので、その説明は省略する。

0067

イソシアネート化合物の含有量は、非水溶媒100重量部に対して0.01〜5重量部であることが好ましい。上記範囲内であると、電解液中に溶解させやすく、膨れ効果を発揮させやすい。なお、これらの値は、特に後述する熱圧着工程前の状態において効果的であり、後述する熱圧着工程において、電極(主に負極)の活物質に固体電解質被膜(SEI)の形成が形成され、イソシアネート化合物が一部消費されるため、電解液中のイソシアネート化合物の量及び濃度は、使用時にはある程度異なる値になると考えられる。

0068

高分子支持体
高分子支持体は層構造を形成しており、電解液を含侵ないしは保持して電解質層を形成している。
かかる高分子支持体における膨潤や電解液のゲル化ないしは非流動化により、得られる電池で電解液の漏液が起こるのを効果的に抑制することができる。

0069

なお、このような高分子支持体を形成するポリマーとしては、次の化学式(7)〜(9)で表されるポリビニルホルマール…(7)、ポリアクリル酸エステル…(8)、及びポリフッ化ビニリデン(PVdF)…(9)などを例示することができる。

0070

0071

但し、(7)式中のNは重合度を示し、好ましくはN=100〜10000である。Nが100未満では、ゲル化が十分でなく、10000を超えると、粘度が大きく容量が低下することがある。

0072

0073

但し、(8)式中のRは、CnH2n−1Om(nは1〜8の整数、mは0〜4の整数を示す。)を示し、Nは重合度を示し、好ましくはN=100〜10000である。Nが100未満では、ゲル化が困難であり、10000を超えると、流動性が減少することがある。

0074

0075

但し、(9)式中のNは重合度を示し、好ましくはN=100〜10000である。Nが100未満では、ゲル化が十分でなく、10000を超えると、粘度が大きく容量が低下することがある。
なお、上述の高分子化合物の含有量は、電解液100重量部に対して0.1〜5重量部とすることが好ましい。0.1重量部未満では、ゲル化が困難であり、5重量部を超えると、流動性が減少することがある。

0076

高分子支持体としては、上記の非水溶媒、上記の電解質塩を含浸ないしは保持し得るものであれば、これらに限定されるものではない。すなわち、例えば構成成分としてフッ化ビニリデンヘキサフルオロプロピレンポリテトラフルオロエチレンなどを含む共重合体多元共重合体を適用することもできる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVdF−HEP−CTFE)などを挙げることができる。

0077

<3.第3の実施の形態>
[非水電解質二次電池の作製]
第1の実施の形態に係る非水電解質二次電池の製造方法の一例につき説明する。なお、第3の実施の形態における各構成要素は、第2の実施の形態における各構成要素と同様であるため、その説明は省略する。
まず、負極21を作製する。例えば粒子状の負極活物質を用いる場合には、負極活物質と必要に応じて導電剤及び結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N‐メチル‐2‐ピロリドンなどの分散媒に分散させて負極合剤スラリーを作製する。この後、この負極合剤スラリーを負極集電体21Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層21Bを形成する。なお、負極活物質への固体電解質被膜の形成は後で行う。

0078

また、正極22を作製する。例えば粒子状の正極活物質を用いる場合には、正極活物質と必要に応じて導電剤及び結着剤とを混合して正極合剤を調製し、N‐メチル‐2‐ピロリドンなどの分散媒に分散させて正極合剤スラリーを作製する。
次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体22Aに塗布し乾燥させ、圧縮成型して正極活物質層22Bを形成する。

0079

次いで、負極21に負極リード11を取り付けるとともに、正極22に正極リード12を取り付けた後、負極21、両面に高分子支持体層23を形成したセパレータ24、正極22及び両面に高分子支持体層23を形成したセパレータ24を順次積層して巻回し、最外周部に保護テープを接着して巻回電極体を形成する。更に、この巻回電極体を外装部材30の一例であるラミネートフィルム31で挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とする。

0080

しかる後、ラミネートフィルム31の開口部から巻回電極体の内部に非水溶媒、電解質塩及びイソシアネート化合物を含む電解液を注入して、ラミネートフィルムの開口部を熱融着し封入するととも、封入された電極体と電解質とを加熱及び加圧する熱圧着を行う。 これにより、電解液中に存在するイソシアネート化合物のイソシアネート基は、負極活物質層の表面から少なくとも50%厚みの領域まで浸透し、負極活物質などの電極合材内に存在する水酸基や水分と反応して、固体電解質被膜(SEI)を形成する。
熱圧着工程を経ることにより、電解液が電極内部まで浸透するようになり、更にイソシアネート化合物の反応が促進され、電極内部にわたりイソシアネート化合物に由来する被膜が形成される。
このような被膜は、これまでの充放電により形成させた被膜に比べ、高温保存時における炭酸エステルの分解によるガス発生を効果的に抑えることができ、非常に大きな膨れ抑制効果を得ることができる。
また、このとき、電解液が高分子支持体層23に保持されて電解質層が形成され、図2及び図3に示した非水電解質二次電池が完成する。

0081

熱圧着工程において、その加熱温度は、40℃〜110℃の範囲内で処理することが好ましい。40℃未満になると、電解液の含浸促進効果が乏しく、また、活物質表面でイソシアネート基が反応しないことがある。また、110℃を超えた温度で熱圧着すると、セパレータの微多孔が閉じてしまい、例えば、リチウムイオンの輸送阻害してしまうことがある。
また、熱圧着工程において、その加圧圧力は、0.05MPa〜10MPaであることが好ましい。0.05MPa未満になると、含浸促進効果が乏しく、逆に10MPaを超える圧力にすると、電解液が電極体内部から電極体と外装部材との間へ流出してしまい、かえって含浸を阻害してしまうことがある。

0082

一方、注液後、加温工程のみ行うと、電解液が含浸された電極表面のみにしか被膜化せず、電極奥深くの未含浸部位には、イソシアネート化合物に由来する被膜は形成されない。

0083

[動作説明]
以上に説明した非水電解質二次電池では、充電を行うと、正極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、電解質層を介して負極活物質層21Bに吸蔵される。放電を行うと、負極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解質層を介して正極活物質層22Bに吸蔵される。

0084

以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
具体的には、図2及び図3に示したような非水電解質二次電池を作製し、その性能を評価した。

0085

(実施例1−1〜実施例1−6)
まず、正極活物質としてのリチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2)94重量部と、導電剤としてのグラファイト3重量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3重量部とを、均質に混合し、N−メチルピロリドンを添加して、正極合剤塗液を得た。次いで、得られた正極合剤塗液を、正極集電体となる厚み10μmのアルミニウム箔上の両面に均一に塗布し、乾燥して片面当たり厚み30μmの正極合剤層(合剤の体積密度:3.40g/cm3)を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して正極を作製した。
次に、負極活物質としてのメソカーボンマイクロビーズMCMB)系黒鉛97重量部と、結着剤としてPVdF3重量部とを、均質に混合し、N−メチルピロリドンを添加して、負極合剤塗液を得た。次いで、得られた負極合剤塗液を、負極集電体となる厚み10μmの銅箔上の両面に均一に塗布し、乾燥し、200MPaで粉砕して片面当たり厚み30μmの負極合剤層(合剤の体積密度:1.80g/cm3)を形成した。これを幅50mm、長さ300mmの形状に切断して負極を作製した。
電解液としては、溶媒としてエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を混合した混合溶媒と、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、及び一般式(1)に示したイソシアネート化合物として、1−イソシアナトヘキサン(C6H13NCO)(実施例1−1)、1−イソシアナトオクタン(C8H17NCO)(実施例1−2)、1−イソシアナトドデカン(C12H25NCO)(実施例1−3)、1−イソシアナトオクタデカン(C18H37NCO)(実施例1−4)を、また一般式(4)に示したイソシアネート化合物として、メチレンビス(4,1−シクロヘキシレン)ジイソシアネート(OCN(C6H10)CH2(C6H10)NCO)(実施例1−5)、メチレンビス(4,1−フェニレン)ジイソシアネート)(OCN(C6H4)CH2(C6H4)NCO)(実施例1−6)を用いた。
その際、混合溶媒の組成重量比でEC:DEC=40:60とし、電解液中におけるLiPF6の濃度を1mol/kgとした。また、各イソシアネート化合物の添加量を非水溶媒100重量部に対して0.5重量部とした。
セパレータは、厚み7μmの微多孔性ポリエチレンフィルムの両面にポリフッ化ビニリデンを2μmずつ塗布したものを使用した。
この正極と負極を、セパレータを介して積層して巻き取り、アルミニウムラミネートフィルムからなる袋に入れる。この袋に電解液を2g注液後、加熱温度80℃、加圧圧力1.5MPaで100秒間熱圧着を行い、袋を熱融着してラミネート型電池を作製した。これらの電池の容量は800mAhであった。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表1に示す。なお、保存後膨れは、保存後膨れ(mm)=(保存後の厚み)−(保存前の厚み)により算出した。
各イソシアネート化合物は何れも保存膨れ抑制に効果がみられるが、主鎖の炭素数が大きいほど、長期にわたる膨れ抑制効果は大きい結果となった。アルキル鎖伸長することにより、被膜溶解性の違いが現れたと考えられる。また、メチレンビス(4,1−シクロヘキシレン)ジイソシアネートとメチレンビス(4,1−フェニレン)ジイソシアネート)の脂環式炭化水素基芳香族炭化水素基を比較すると、脂環式炭化水素基の方が保存膨れ抑制効果が大きく、更に繰り返し充放電後の放電容量維持率が良好であることが分かる。これは芳香族を主鎖に持った場合、高抵抗のSEIが形成され、更にSEI自体の安定性が悪いためであると考えられる。

0086

0087

(比較例1−1〜比較例1−6)
実施例1−1〜実施例1−6と同様にラミネート型電池を作製したが、注液後の熱圧着工程を行わず電池を作成した。比較例1〜1〜比較例1−6で用いたイソシアネート化合物は表1のとおりである。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表1に示す。

0088

(比較例1−7)
イソシアネート化合物を添加しなかったこと以外は、比較例1−1と同様にラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表1に示す。

0089

(比較例1−8)
イソシアネート化合物を添加しなかったこと以外は、実施例1−1と同様にラミネート型電池を作製した。
この電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表1に示す。

0090

このようにイソシアネート化合物を含まない非水電解質二次電池の場合、熱圧着を行っても膨れ抑制挙動は全く見られない。またイソシアネート化合物を含む電解液を注液後に、熱圧着工程を施した非水電解質二次電池は、イソシアネート化合物を含む電解液を注液後、熱圧着工程を行わない電池に比べ、その膨れ抑制効果が著しく大きくなる。

0091

(比較例1−9)
実施例1−1と同様にラミネート電池を作成したが、1−イソシアナトヘキサンの代わりに1,4−ジイソシアナトブタン(BDI)を含む電解液組成とした。
この電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表1に示す。

0092

(比較例1−10)
実施例1−1と同様にラミネート電池を作成したが、1−イソシアナトヘキサンの代わりに1,6−ジイソシアナトへキサン(HDI)を含む電解液組成とした。
この電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表1に示す。

0093

このように実施例1−1〜実施例1−6と比較例1−9、比較例1−10を比較すると、炭素数の少ないBDI、HDI及び1−イソシアナトへキサンは保存初期の膨れを抑えるものの、長期保存時の膨れはむしろ膨れる結果となった。これは、炭素数の少ない被膜は、−NCOの極性基が強く作用して電解液との親和性がよいため、長期間高温で保存後に電解液に溶解し、露出した負極活物質で電解液が分解してガス発生をするためと考えられる。
これに対しアルキル基の炭素数を増やした、又は主鎖に脂環式炭化水素を含むイソシアネート化合物を用いた電池は長期保存時の膨れを抑制することがわかる。ある程度炭素数の多い被膜は、疎水性が大きくなり高温でも電解液に溶解しにくくなり、長期保存しても電解液と負極との反応を抑制する。
このように、炭素数の少ないイソシアネート化合物は高温時の電解液に対し溶解を伴い、電解液との分解を促進することから、主鎖が電解液に溶解しにくい構造をとる1−イソシアナトドデカン、1−イソシアナトオクタデカン、メチレンビス(4,1−シクロヘキシレン)ジイソシアネートなどのイソシアネート化合物が長期保存膨れに効果があると考えられる。

0094

(実施例2−1〜実施例2−5)
実施例1−4と同様にラミネート型電池を作製したが、イソシアネート化合物の添加量を表1に示すようにした。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表2に示す。

0095

0096

(実施例2−6〜実施例2−10)
実施例1−5と同様にラミネート型電池を作製したが、イソシアネート化合物の添加量を表2に示すようにした。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表2に示す。

0097

(比較例2−1〜比較例2−5)
比較例1−4と同様にラミネート型電池を作製したが、イソシアネート化合物の添加量を表2に示すようにした。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表2に示す。

0098

表2より、添加量が0.05重量部で高温保存膨れ抑制の挙動が見られ、非水溶媒100重量部に対する添加量を増やすにつれその抑制効果が向上するが、0.05重量部未満では膨れ抑制効果が見られず、5重量部を超える添加量の場合、充放電特性を大きく損なってしまうので、良好な添加量は非水溶媒100重量部に対して0.05〜5重量部であると分かる。また、熱圧着工程を施すことにより、サイクル特性を悪化させることなく、保存膨れが更に抑制される。これは、熱圧着工程により、被膜の生成と同時に電極細部まで電解液がしみ込み、活物質表面上に緻密に被膜が形成されるからである。

0099

(比較例2−6〜比較例2−10)
比較例1−5と同様にラミネート型電池を作製したが、イソシアネート化合物の添加量を表2に示すようにした。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表2に示す。

0100

(実施例3−1〜実施例3−5)
実施例1−4と同様にラミネート型電池を作製したが、熱圧着工程における加熱温度を表3に示すようにした。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表3に示す。

0101

0102

(実施例3−6〜実施例3−10)
実施例1−5と同様にラミネート型電池を作製したが、熱圧着工程における加熱温度を表3に示すようにした。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表3に示す。

0103

このように40℃以下では、保存時における膨れ抑制効果は小さく、イソシアネート基が熱圧着時に反応しないと考えられる。逆に110℃を超えた温度で熱圧着すると、放電容量維持率の大幅な低下が確認される。これはセパレータのシャットダウン開始相当の温度に達する為、セパレータの微多孔が閉じてしまい、リチウムイオンの輸送を阻害することが考えられる。

0104

(比較例3−1〜比較例3−5)
比較例1−7と同様にラミネート型電池を作成したが、熱圧着工程における加熱温度を表3に示すようにした。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表3に示す。

0105

このようにイソシアネート化合物を含まない非水電解質二次電池の場合、熱圧着の温度条件を変えても膨れ抑制挙動は全く見られない。

0106

(実施例4−1〜実施例4−4)
実施例1−4と同様にラミネート型電池を作製したが、熱圧着工程における加圧圧力を表4に示すようにした。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表4に示す。

0107

0108

(実施例4−5〜実施例4−8)
実施例1−5と同様にラミネート型電池を作製したが、熱圧着工程における加圧圧力を表4に示すようにした。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表4に示す。

0109

このように0.05MPa以下になると、保存時における膨れ抑制効果は、適度に荷重が掛かった系に比べると小さい。これは、電解液を電極細部までしみ込ませるには圧着荷重が不十分で、完全に活物質上に被膜が形成できなかったためと考えられる。
また、20MPa以上になると、放電容量維持率の低下を招く。これは圧着荷重が重すぎるため、電解液が電極体内部から電極体と外装部材との間へ絞りだされてしまい、かえって含浸を阻害してしまったためと考えられる。

0110

(比較例4−1〜比較例4−4)
比較例1−7と同様にラミネート型電池を作成したが、熱圧着工程における加圧圧力を表4に示すようにした。
これらの電池を23℃環境下800mAで4.2Vを上限として3時間充電した後、800mAhで3.0Vまでの放電を300回繰り返した後の、初回放電容量に対する維持率、並びに4.2V充電状態において85℃で5時間、及び96時間保存した時の膨れを表4に示す。

0111

このようにイソシアネート化合物を含まない非水電解質二次電池の場合、熱圧着の圧力条件を変えても膨れ抑制挙動は全く見られない。しかも10MPaを超える加圧圧力で熱圧着を行うと、実施例4−4や実施例4−8と同様に放電容量維持率の低下を招く。

0112

以上、本発明を若干の実施の形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。

0113

例えば、上記の実施の形態では、ラミネート型電池の場合について説明したが、角型電池の場合についても、本発明を適用することができる。

0114

また、例えば、上記の実施の形態では、負極21及び正極22を積層して巻回した電池素子20を備える場合について説明したが、一対の正極と負極とを積層した平板状の電池素子、又は複数の正極と負極とを積層した積層型の電池素子を備える場合についても、本発明を適用することができる。

実施例

0115

更に、本発明は、上述の如く、電極反応物質としてリチウムを用いる電池に関するものであるが、本発明の技術的思想は、ナトリウム(Na)若しくはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、マグネシウム(Mg)若しくはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、又はアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても適用することが可能である。

0116

11…負極リード、12…正極リード、20…電池素子、21…負極、21A…負極集電体、21B…負極活物質層、22…正極、22A…正極集電体、22B…正極活物質層、23…高分子支持体層、24…セパレータ、30…外装部材、31…ラミネートフィルム、32…密着フィルム、211…負極活物質、213…被膜付き負極活物質

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社日立製作所の「 積層型二次電池及びその製造方法」が 公開されました。( 2020/02/13)

    【課題】積層型二次電池の体積損失を小さくする。【解決手段】正極は正極タブを有し、負極は負極タブを有し、電池ユニット中で正極タブ同士および負極タブ同士が接合され、正極、電解質層、および負極で構成される電... 詳細

  • 株式会社日立製作所の「 二次電池用電極、二次電池、それらの製造方法」が 公開されました。( 2020/02/13)

    【課題】電池の安全性を向上させる。【解決手段】電極活物質、電極イオン伝導材、および多孔体を含み、電極イオン伝導材が多孔体で保持され、多孔体は、三次元網目構造を有し、多孔体の平均空孔径は1nm以上100... 詳細

  • 株式会社日立製作所の「 全固体電池およびその製造方法」が 公開されました。( 2020/02/13)

    【課題】 出力特性に優れた全固体電池を提供することを目的とする。【解決手段】 本発明に係る全固体電池の製造方法は、正極層と、負極層と、固体電解質層と、を備え、正極活物質と、酸化物ガラス粉末と、分解... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ