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課題

毒性物質選択吸着性能及び吸着容量に優れた活性炭からなる経口投与用吸着剤の提供。

解決手段

フェノール系樹脂原料とする、平均細孔直径が1.8nm以上、細孔直径7.5〜15000nmの細孔容積が0.25mL/g以上、BET比表面積が1000〜3000m2/g、平均粒径が20〜1000μm、かつ、充填密度が0.4〜0.6g/mLである活性炭からなる経口投与用吸着剤。

概要

背景

腎疾患又は肝疾患患者は、血液中毒性物質蓄積し、その結果として尿毒症意識障害等の脳症をひきおこす。これらの患者数は年々増加する傾向にある。

これらの患者の治療には、毒素物質を体外へ除去する機能をもつ血液透析型の人工腎臓などが使用されている。しかしながら、このような人工腎臓は特殊な装置であるため、安全管理上から専門技術者の手を必要とし、また血液の体外取出しによる患者の肉体的、精神的及び経済的負担が高いなどの欠点を有していて、必ずしも満足すべきものではない。

人工臓器代わる方法として、経口で摂取し体内で毒性物質を吸着し、体外に排出するための経口投与用吸着剤が開発されている(特許文献1及び2)。しかし、これらの吸着剤は、除去すべき毒素の吸着容量や毒素の有用物質に対する選択吸着性が十分とはいえない。

概要

毒性物質の選択吸着性能及び吸着容量に優れた活性炭からなる経口投与用吸着剤の提供。フェノール系樹脂原料とする、平均細孔直径が1.8nm以上、細孔直径7.5〜15000nmの細孔容積が0.25mL/g以上、BET比表面積が1000〜3000m2/g、平均粒径が20〜1000μm、かつ、充填密度が0.4〜0.6g/mLである活性炭からなる経口投与用吸着剤。なし

目的

本発明の課題は、従来の技術による経口投与用吸着剤よりも、除去すべき毒素の吸着容量や毒素の有用物質に対する選択吸着性に優れた経口投与用吸着剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

フェノール系樹脂原料とする、平均細孔直径が1.8nm以上、細孔直径7.5〜15000nmの細孔容積が0.25mL/g以上、BET比表面積が1000〜3000m2/g、平均粒径が20〜1000μm、かつ、充填密度が0.4〜0.6g/mLである活性炭からなる経口投与用吸着剤

請求項2

活性炭の全酸性基量が0.30meq/g以上である、請求項1記載の吸着剤

請求項3

フェノール系樹脂を原料とし、酸素の存在下での炭化工程及び/又は酸素の存在下での熱処理工程を含む方法により活性炭を製造する、請求項1又は2記載の吸着剤の製造方法。

請求項4

請求項1若しくは2記載の吸着剤又は請求項3記載の方法で製造された吸着剤を含有する経口投与用腎疾患または肝疾患治療又は予防剤

技術分野

0001

本発明は、毒性物質吸着特性に優れた経口投与用吸着剤に関する。より詳しくは、毒性物質の選択吸着性能及び吸着容量に優れた活性炭からなる経口投与用吸着剤およびその用途に関する。

背景技術

0002

腎疾患又は肝疾患患者は、血液中に毒性物質が蓄積し、その結果として尿毒症意識障害等の脳症をひきおこす。これらの患者数は年々増加する傾向にある。

0003

これらの患者の治療には、毒素物質を体外へ除去する機能をもつ血液透析型の人工腎臓などが使用されている。しかしながら、このような人工腎臓は特殊な装置であるため、安全管理上から専門技術者の手を必要とし、また血液の体外取出しによる患者の肉体的、精神的及び経済的負担が高いなどの欠点を有していて、必ずしも満足すべきものではない。

0004

人工臓器代わる方法として、経口で摂取し体内で毒性物質を吸着し、体外に排出するための経口投与用吸着剤が開発されている(特許文献1及び2)。しかし、これらの吸着剤は、除去すべき毒素の吸着容量や毒素の有用物質に対する選択吸着性が十分とはいえない。

先行技術

0005

特許第3835698号公報
特開2008−303193号公報

発明が解決しようとする課題

0006

したがって、本発明の課題は、従来の技術による経口投与用吸着剤よりも、除去すべき毒素の吸着容量や毒素の有用物質に対する選択吸着性に優れた経口投与用吸着剤を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、、活性炭の各種特性を特定の範囲にすることにより上記の課題を解決できることを知見し、本件発明に至った。

0008

即ち、本発明は、以下の通りである。
(1)フェノール系樹脂原料とする、平均細孔直径が1.8nm以上、細孔直径7.5〜15000nmの細孔容積が0.25mL/g以上、BET比表面積が1000〜3000m2/g、平均粒径が20〜1000μm、かつ、充填密度が0.4〜0.6g/mLである活性炭からなる経口投与用吸着剤;
(2)活性炭の全酸性基量が0.30meq/g以上である、上記(1)記載の吸着剤;
(3)フェノール系樹脂を原料とし、酸素の存在下での炭化工程及び/又は酸素の存在下での熱処理工程を含む方法により活性炭を製造する、上記(1)又は(2)記載の吸着剤の製造方法;および
(4)上記(1)若しくは(2)記載の吸着剤又は上記(3)記載の方法で製造した吸着剤を含有する経口投与用腎疾患または肝疾患の治療又は予防剤

発明の効果

0009

本件発明によれば、従来の技術による経口投与用吸着剤よりも、除去すべき毒素の吸着容量や毒素の有用物質に対する選択吸着性に優れた経口投与用吸着剤を提供することができる。

0010

本発明におけるフェノール系樹脂としては、一般的にフェノール樹脂と呼ばれている任意のものを使用でき、例えばノボラック型フェノール樹脂レゾール型フェノール樹脂ノボラック型アルキルフェノール樹脂、若しくはレゾール型アルキルフェノール樹脂を挙げることができる。フェノール樹脂の形状は、粒状であればどのようなものでもよいが、好ましくは球形のものである。粒状のフェノール樹脂粒子の平均粒径は、平均粒径が20〜1000μmの活性炭が得られるような平均粒径であり、通常は0.02〜1.3mm、好ましくは0.02〜1.0mm程度である。

0011

本発明における活性炭は、その平均細孔直径が1.8nm以上である。平均細孔直径が1.8nm未満であると、ジメチルアミンのような中位分子量の毒性物質の選択吸着性が劣るという欠点があり好ましくない。平均細孔直径は、好ましくは1.8〜2.5nm、より好ましくは1.8〜2.2nmである。

0012

本発明における活性炭は、細孔直径7.5〜15000nmの細孔容積が0.25mL/g以上である。この細孔容積が0.25mL/g未満であると、ミクロ孔(細孔直径20nm以下)で吸着する吸着量が低下するという欠点があり好ましくない。この細孔容積は、好ましくは0.25〜1.0mL/g、より好ましくは0.25〜0.6mL/gである。

0013

本発明における活性炭は、BET比表面積が1000〜3000m2/gである。BET比表面積が1000m2/g未満であると、毒性物質の吸着性能が低くなるので好ましくなく、3000m2/gを超えると、充填密度及び強度の観点から好ましくない。BET比表面積は、好ましくは1100〜2400m2/g、より好ましくは1200〜2100m2/gである。

0014

本発明における活性炭は、充填密度が0.4〜0.6g/mLである。充填密度が0.4g/mL未満であると、服用する際に嚥下しづらいという欠点があり好ましくなく、0.6g/mLを超えると、選択吸着性のバランス欠くという欠点があり好ましくない。充填密度は、好ましくは0.40〜0.50g/mL、より好ましくは0.42〜0.45g/mLである。

0015

本発明における活性炭は、その平均粒径が20〜1000μmである。活性炭の平均粒径が20μm未満になると、消化酵素等の有益物質の吸着が起こり易くなるので好ましくない。また、平均粒径が1000μmを越えると、吸着速度が低下するので好ましくない。平均粒径は、好ましくは100〜800μm、更に好ましくは200〜400μmである。

0016

本発明における活性炭は、全酸性基量が0.30meq/g以上であることが吸着特性において好ましい。全酸性基が0.40meq/g以上であるとより好ましい。

0017

本発明における活性炭は、窒素法細孔容積が好ましくは0.55〜1.5mL/g、より好ましくは0.55〜1.2mL/gである。本発明における活性炭は、窒素法細孔容積/水銀法細孔容積が1.0〜5.0が好ましく、2.0〜5.0がより好ましい。

0018

本発明における活性炭の平均細孔直径、平均粒径、BET比表面積、細孔容積、充填密度、全酸性基量、窒素法細孔容積は、以下の方法によって測定する。

0019

(1)平均粒径
島津製作所社製のSALD3000Sを使用し光散乱法により求める。

0020

(2)BET比表面積
77Kにおける窒素吸着等温線を日本ベル社製のBELSORP18PLUSにより測定し、BET法により求める。

0021

(3)細孔容積
<1>細孔容積Vmi(mL/g):細孔直径0.6〜20nmの範囲においては、Gurvitschの法則を適用し、日本ベル(株)製BELSORPminiを使用し、相対圧0.990における液体窒素換算した窒素吸着量から求める。
<2>細孔容積Vme(mL/g):島津製作所社製のオートポア9500を使用し、接触角130°、表面張力484ダイン/cmに設定し、細孔直径7.5〜15000nmの水銀圧入法による細孔容積を求める。

0022

(4)全酸性基
Boehmの方法を適用して、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液中において活性炭を振とうし、ろ過し、そのろ液を0.05Nの塩酸水溶液滴定した値に基づいて測定する。

0023

(5)平均細孔直径Dp
平均細孔直径Dpを細孔の形状を円筒形仮定し、下記の数1の式により求める。SaはBET比表面積である。
Dp(nm)=(4×Vmi)/Sa×1000・・・[数1]

0024

(6)充填密度
JIS K 1474(2007)充てん密度試験に則り測定する。

0025

本発明における活性炭の製造方法は、基本的には、炭化工程、賦活工程および任意である加熱処理工程からなる。本発明の製造方法では、炭化工程および加熱処理工程の少なくとも1つの工程、すなわち、炭化工程のみ、又は炭化工程と加熱処理工程の両方、又は加熱処理工程のみを酸素の存在下で行う必要がある。

0026

炭化工程は、通常、フェノール系樹脂を、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下、300〜800℃まで速度10〜200℃/時間で昇温し、ついでこの温度で1〜2時間保持することにより炭素化して炭素質材料を得る工程である。本発明においては、この工程あるいは後述する加熱処理工程の少なくとも1つの工程は酸素の共存下で行うことが必要である。炭化工程における酸素濃度は、好ましくは2〜15%、より好ましくは4〜10%である。酸素の共存下で処理することにより、活性炭の細孔の状態が調整され、吸着特性が向上する。

0027

賦活工程は、得られた炭素質材料を700〜1200℃、好ましくは800〜1100℃、さらに好ましくは850〜1000℃で水蒸気賦活をする工程である。賦活時間は、たとえば0.5〜100時間、好ましくは1〜70時間である。

0028

本発明における活性炭の製造方法は、炭化工程及び賦活工程に加えて、加熱処理工程をさらに含むことができる。加熱処理工程は、通常、賦活処理された活性炭を窒素の存在下で300〜800℃の温度で1〜10時間加熱する工程である。本発明における製造方法では、加熱処理工程及び前述の炭化工程の少なくとも1つの工程は酸素の共存下で行うことが必要である。加熱処理工程における酸素濃度は、好ましくは1〜15%、より好ましくは1〜10%、最も好ましくは1〜5%である。酸素の共存下で処理することにより、活性炭の細孔の状態が調整され、吸着特性が向上する。加熱処理工程は、賦活化された活性炭を、薄い酸、たとえば希塩酸洗浄したものに適用することが好ましい。

0029

本発明の経口投与用吸着剤は、上記の活性炭から常法により製造する。この吸着剤は、経口投与することにより、腎疾患または肝疾患を治療又は予防することができる。腎疾患としては、例えば、慢性腎不全急性腎不全慢性腎盂腎炎急性腎盂腎炎慢性腎炎急性腎炎症候群急性進行型腎炎症候群、慢性腎炎症候群、ネフローゼ症候群腎硬化症間質性腎炎細尿管症、リポイドネフローゼ糖尿病性腎症腎血管性高血圧高血圧症候群、あるいは前記の原疾患に伴う続発性腎疾患、更に、透析前の軽度腎不全を挙げることができ、また、肝疾患としては、例えば、劇症肝炎慢性肝炎ウイルス性肝炎アルコール性肝炎肝線維症肝硬変肝癌自己免疫性肝炎薬剤アレルギー肝障害原発性胆汁性肝硬変振せん、脳症、代謝異常、又は機能異常を挙げることができる。

0030

本発明の経口投与用吸着剤の投与量は、年令性別又は病状などに影響されるので、一概に規定できないが、一般にヒトを対象とする場合には、1日当り1〜20gを3〜4回に分けて服用することができる。投与形態は、散剤顆粒剤錠剤糖衣錠カプセル剤懸濁剤スティック剤分包包装体、又は乳剤等であることができる。

0031

以下に、実施例、比較例および試験例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0032

(実施例1)
反応釜レゾール型球状フェノール樹脂群栄化学工業社製「マリリンHF−MDC」)を1000kg仕込み、窒素及び空気を封入して酸素濃度を12%に調整したのち、600℃まで50℃/時間で昇温し、その温度で1時間保持して炭化した。その後、炭化物を900℃に加熱し、水蒸気を添加して65時間その温度に保持して賦活化した。賦活した活性炭を希塩酸で洗浄した後、窒素及び空気を封入して酸素濃度8%に調整し、600℃で0.5時間加熱処理して活性炭を得た(収率は、15%であった)。

0033

(実施例2)
反応釜にレゾール型球状フェノール樹脂(群栄化学工業社製「マリリンHF−MDC」)を500g仕込み、窒素及び酸素を封入して酸素濃度を6%に調整したのち、600℃まで100℃/時間で昇温し、その温度で4時間保持して炭化した。その後、炭化物を900℃に加熱し、水蒸気を添加して5.5時間その温度に保持し賦活化して活性炭を得た(収率は、21.2%であった)。

0034

(比較例1)
反応釜にレゾール型球状フェノール樹脂(群栄化学工業社製「マリリンHF−MDC」)を1000kg仕込み、窒素を封入したのち、600℃まで50℃/時間で昇温し、その温度で1時間保持して炭化した。その後、炭化物を900℃に加熱し、水蒸気を添加して30時間その温度に保持して賦活化した。賦活した活性炭を希塩酸で洗浄した後、窒素を封入し、600℃で3時間加熱処理して活性炭を得た(収率は、25%であった)。

0035

(試験例)
以下の試験例においては、前記実施例、比較例で得られた活性炭および市販の経口投与用活性炭につき、毒性物質として、クレアチニン、ジメチルアミンおよびアルギニンを、有益物質として、トリプシン吸着試験に供した。吸着試験は、以下の通りであった。

0036

被吸着物質をpH7.4のリン酸緩衝液に溶解し、被吸着物質の濃度が0.1g/Lである標準溶液を作成した。前記標準溶液50mLに実施例、比較例及び市販の活性炭をそれぞれ所定の量添加し、37℃の温度で3時間接触振とうした。その後ろ過したろ液について、全有機体炭素計(島津製作所社製「TOC」)により各ろ液のTOC濃度(mg/L)を測定し、各ろ液中の被吸着物質の質量を算出した。吸着率(%)は、
原液濃度−ろ液濃度)÷(原液濃度)×100
により求めた。また、選択吸着率(%)は、
(毒素の吸着率)÷(有益物質の吸着率)×100
により求めた。

0037

実施例及び比較例で製造した各活性炭および市販の経口投与用の各活性炭の特性値を表1に、各活性炭につき、試験例で求めた吸着試験の結果を表2に示す。

0038

0039

実施例

0040

表2から、本発明の吸着剤は、比較例及び市販の吸着剤に比べて、クレアチニン、ジメチルアミンのような毒素の吸着容量が大きく、かつ、有用物質に対する毒素の選択吸着率が大きいことがわかる。

0041

本発明の経口投与用吸着剤は、毒素の吸着容量が大きく、かつ、有用物質に対する毒素の選択吸着率が大きいので、腎疾患の治療用又は予防用経口投与用吸着剤として効果的に用いることができる。

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