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技術 出来映え予測装置、出来映え予測方法、出来映え予測プログラム、および、プログラム記録媒体

出願人 シャープ株式会社
発明者 千葉周一郎山中秀一
出願日 2009年10月6日 (11年1ヶ月経過) 出願番号 2009-232592
公開日 2011年1月20日 (9年10ヶ月経過) 公開番号 2011-014122
状態 拒絶査定
技術分野 総合的工場管理 特定用途計算機 半導体装置の製造処理一般
主要キーワード ノイズ因子 最小分散推定 単位応答 担当エンジニア トレンドチャート 予測モデル作成 統計的プロセス制御 説明変数間
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (17)

課題

説明変数間共線性があっても、回帰係数更新が安定し、出来映え予測精度を向上できる出来映え予測装置を提供する。

解決手段

互いに無相関変数から構成されたモデル式18を用い、係数更新部22によって、各変数の係数19を更新することで、共線性を持つデータにおいても、回帰係数の更新は安定しており、予測精度が向上する。

概要

背景

現在の半導体工場製造ラインにおいては、より高効率の生産システム構築によってタイムリー生産立ち上げを行う必要がある。このような生産システムには、歩留まりの向上,品質の向上,原価低減,TAT(Turn Around Time:ターンアラウンドタイム)の短縮およびスループット向上の使命がある。そして、このような使命を果たすためには、製造設備の自動化運転生産管理品質管理とを融合した生産システムが必要である。

半導体工場を含む生産工場の生産システムにおいては、生産計画に基づいて生産設備を制御するFMS(Flexible Manufacturing System:フレキシブル生産システム)化が進み、これを実現するためのネットワークを利用したCIM(Computer Integrated Manufacturing:コンピュータ統合生産)化が強力に推進されている。

このような生産工場の上記CIM化における品質の安定化に寄与するような出来映え予測に関する背景技術として、特開2000‐252179号公報(特許文献1)に開示された「半導体製造プロセス安定化支援ステム」がある。

以下、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムを、図7に示す概略図に従って、その概要について説明する。尚、この概略図は、特許文献1における図7(1)を、本願との構成の差異が容易に分かるようにするため、本願の出来映え予測装置に対応させて書き直したものである。

図7に示すように、製造システムとして、生産装置51と検査装置55とを有する。そして、プロセス安定化支援システム59では、製造設備単位での生産装置51のパラメータであるプロセスデータ52と検査装置55からの検査結果56との関係を多変数形の線形式近似し、この近似によって算出された係数初期値とするカルマンフィルター57によって、プロセスデータ52と検査結果56との関係を求めることで、現時点までのプロセスデータ52から1ステップ先の出力を推定するようにしている。

上記生産装置51のプロセスデータ52と検査装置55の検査結果56との因果関係は、p個のプロセスデータ52による説明変数行列と検査装置55の出力yとの関係によって表される。プロセスデータ収集部53によって収集蓄積されたn個の実績データによるn行p列の説明変数行列(x11,…,xnp:プロセスデータ)と、検査装置55の出力である目的変数(y1,…,yn:検査結果56)とから、n個の観測方程式としての線形重回帰式54でなるモデル式を下記のように作成する。
y1=β0+β1*x11+β2*x12+…+βp*x1p+ε1
y2=β0+β1*x21+β2*x22+…+βp*x2p+ε2

yn=β0+β1*xn1+β2*xn2+…+βp*xnp+εn
このモデル式のβ0は定数項を、βiは偏回帰係数(xiの回帰係数(i=1,2,…,p))を、εは残差を表す。

また、上記観測方程式における未知パラメータβiの最小二乗推定値を求めると、以下のようになる。

ここで、Xiはプロセスデータを、eiは残差を、Y^は検査結果の予測値を、Yiは検査結果の実測値を表しており、これらの式よりプロセスデータ52と検査結果56との因果関係を表現できるようになる。

上述した線形重回帰式54から算出された係数βiをカルマンフィルター57の初期値として与える。プロセスデータXiの実測値とノイズ因子条件と検査結果56との因果関係を求めるため、Duhamel形の単位図法を用いて動作状態を推定する。この手法により、現時点までの実績データからその先の出来映えを予測することができるのである。

即ち、検査装置55の出力をykとすると

となる。尚、yk(t)は時刻tにおける検査結果56の実測値を、hk(t)は単位図を、u(t)は時刻tにおける代表点のプロセスデータを、v(t)は平均0,分散σ2の定常的なガウス雑音を表している。上記式から単位図{hk(t)}を求め、出力y(t)を推定するのである。

上記{h(t)}を状態ベクトルXとすると、カルマンフィルター57を適用した際の予測方程式と観測方程式とは夫々下式のように表される。
X(t+1)=X(t)
y(t)=H(t)*X(t)+v(t)
尚、これらの予測方程式と観測方程式とにおけるy(t)は観測値を、H(t)は{u(t-1),…,u(t-n)}の説明変数ベクトルを、X(t)は{h1,h2,…,hn}の状態変数ベクトルを、v(t)は定常なガウス雑音を表している。

上記予測方程式と観測方程式とにカルマンフィルター57を適用すると、検査装置55の出力{yk(t)}から状態ベクトルXの最小分散推定量である単位応答{hk(t)}を逐次求めることができるのである。

最終的に、上記検査結果56の出力の推定値y^(t)は、下式によって算出される。

以上の手順によって、現時点までのプロセスデータ{u(t-n),…,u(t-1)}から1ステップ先の検査結果56の出力の推定値{y^(t)}を予測し、予測値58として出力することができるのである。

概要

説明変数間共線性があっても、回帰係数の更新が安定し、出来映えの予測精度を向上できる出来映え予測装置を提供する。互いに無相関な変数から構成されたモデル式18を用い、係数更新部22によって、各変数の係数19を更新することで、共線性を持つデータにおいても、回帰係数の更新は安定しており、予測精度が向上する。

目的

この発明の課題は、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して予測精度を向上できる出来映え予測装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

素材に対してプロセス処理を行って製品生産する生産装置からプロセスデータを収集するプロセスデータ収集部と、上記収集されたプロセスデータに基づいて、上記プロセス処理が行われた製品の出来映え結果を表す出来映え予測値を、モデル式を用いて算出する予測モジュール部と、同一の製品に関して、上記プロセス処理が行われた製品の出来映えを検査する検査装置から出力された出来映え実測値と上記出来映え予測値とに基づいて、上記モデル式の係数更新する係数更新部とを備え、上記モデル式の係数は、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差を補正するものであり、上記モデル式は、上記プロセスデータから算出された互いに無相関な複数の変数と、この変数と同数の上記係数とを、互いに乗算した積の総和に、装置間差値加算し、上記モデル式の上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置の間差および上記検査装置の間差を補正する補正値であることを特徴とする出来映え予測装置

請求項2

請求項1に記載の出来映え予測装置において、上記係数更新部は、上記係数に加えて上記装置間差値をも修正することを特徴とする出来映え予測装置。

請求項3

請求項1または2に記載の出来映え予測装置において、上記出来映え予測値を予測値記録データとして記録する記録部と、上記記録部に記録された予測値記録データに基づいて、予め定義された異常判定ルールを用いて、異常か否かを判定する異常判定部と、上記異常判定部の判定結果に基づいて、アラームを発生するアラーム発生部とを備えることを特徴とする出来映え予測装置。

請求項4

請求項3に記載の出来映え予測装置において、上記記録部は、上記予測値記録データに加えて、実測値記録データとして上記出来映え実測値を記録し、上記異常判定部は、上記予測値記録データに加えて、上記予測値記録データと上記実測値記録データの差分値に基づいて、予め定義された異常判定ルールを用いて、異常か否かを判定することを特徴とする出来映え予測装置。

請求項5

素材に対してプロセス処理を行って製品を生産する生産装置から、プロセスデータ収集部によって、プロセスデータを収集するプロセスデータ収集ステップと、上記収集されたプロセスデータに基づいて、予測モジュール部によって、上記プロセス処理が行われた製品の出来映え結果を表す出来映え予測値を、モデル式を用いて算出する予測ステップと、同一の製品に関して、上記プロセス処理が行われた製品の出来映えを検査する検査装置から出力された出来映え実測値と上記出来映え予測値とに基づいて、係数更新部によって、上記モデル式の係数を更新する係数更新ステップとを備え、上記モデル式の係数は、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差を補正するものであり、上記モデル式は、上記プロセスデータから算出された互いに無相関な複数の変数と、この変数と同数の上記係数とを、互いに乗算した積の総和に、装置間差値を加算し、上記モデル式の上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置の間差および上記検査装置の間差を補正する補正値であることを特徴とする出来映え予測方法

請求項6

コンピュータを、請求項1に記載の上記プロセスデータ収集部、上記予測モジュール部および上記係数更新部として機能させることを特徴とする出来映え予測プログラム

請求項7

請求項6に記載の出来映え予測プログラムが記録されたことを特徴とするコンピュータ読み取り可能なプログラム記録媒体

技術分野

0001

この発明は、製造される製品出来映え予測する出来映え予測装置、出来映え予測方法、出来映え予測プログラム、および、プログラム記録媒体に関する。

背景技術

0002

現在の半導体工場製造ラインにおいては、より高効率の生産システム構築によってタイムリー生産立ち上げを行う必要がある。このような生産システムには、歩留まりの向上,品質の向上,原価低減,TAT(Turn Around Time:ターンアラウンドタイム)の短縮およびスループット向上の使命がある。そして、このような使命を果たすためには、製造設備の自動化運転生産管理品質管理とを融合した生産システムが必要である。

0003

半導体工場を含む生産工場の生産システムにおいては、生産計画に基づいて生産設備を制御するFMS(Flexible Manufacturing System:フレキシブル生産システム)化が進み、これを実現するためのネットワークを利用したCIM(Computer Integrated Manufacturing:コンピュータ統合生産)化が強力に推進されている。

0004

このような生産工場の上記CIM化における品質の安定化に寄与するような出来映え予測に関する背景技術として、特開2000‐252179号公報(特許文献1)に開示された「半導体製造プロセス安定化支援ステム」がある。

0005

以下、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムを、図7に示す概略図に従って、その概要について説明する。尚、この概略図は、特許文献1における図7(1)を、本願との構成の差異が容易に分かるようにするため、本願の出来映え予測装置に対応させて書き直したものである。

0006

図7に示すように、製造システムとして、生産装置51と検査装置55とを有する。そして、プロセス安定化支援システム59では、製造設備単位での生産装置51のパラメータであるプロセスデータ52と検査装置55からの検査結果56との関係を多変数形の線形式近似し、この近似によって算出された係数初期値とするカルマンフィルター57によって、プロセスデータ52と検査結果56との関係を求めることで、現時点までのプロセスデータ52から1ステップ先の出力を推定するようにしている。

0007

上記生産装置51のプロセスデータ52と検査装置55の検査結果56との因果関係は、p個のプロセスデータ52による説明変数行列と検査装置55の出力yとの関係によって表される。プロセスデータ収集部53によって収集蓄積されたn個の実績データによるn行p列の説明変数行列(x11,…,xnp:プロセスデータ)と、検査装置55の出力である目的変数(y1,…,yn:検査結果56)とから、n個の観測方程式としての線形重回帰式54でなるモデル式を下記のように作成する。
y1=β0+β1*x11+β2*x12+…+βp*x1p+ε1
y2=β0+β1*x21+β2*x22+…+βp*x2p+ε2

yn=β0+β1*xn1+β2*xn2+…+βp*xnp+εn
このモデル式のβ0は定数項を、βiは偏回帰係数(xiの回帰係数(i=1,2,…,p))を、εは残差を表す。

0008

また、上記観測方程式における未知パラメータβiの最小二乗推定値を求めると、以下のようになる。

0009

ここで、Xiはプロセスデータを、eiは残差を、Y^は検査結果の予測値を、Yiは検査結果の実測値を表しており、これらの式よりプロセスデータ52と検査結果56との因果関係を表現できるようになる。

0010

上述した線形重回帰式54から算出された係数βiをカルマンフィルター57の初期値として与える。プロセスデータXiの実測値とノイズ因子条件と検査結果56との因果関係を求めるため、Duhamel形の単位図法を用いて動作状態を推定する。この手法により、現時点までの実績データからその先の出来映えを予測することができるのである。

0011

即ち、検査装置55の出力をykとすると

となる。尚、yk(t)は時刻tにおける検査結果56の実測値を、hk(t)は単位図を、u(t)は時刻tにおける代表点のプロセスデータを、v(t)は平均0,分散σ2の定常的なガウス雑音を表している。上記式から単位図{hk(t)}を求め、出力y(t)を推定するのである。

0012

上記{h(t)}を状態ベクトルXとすると、カルマンフィルター57を適用した際の予測方程式と観測方程式とは夫々下式のように表される。
X(t+1)=X(t)
y(t)=H(t)*X(t)+v(t)
尚、これらの予測方程式と観測方程式とにおけるy(t)は観測値を、H(t)は{u(t-1),…,u(t-n)}の説明変数ベクトルを、X(t)は{h1,h2,…,hn}の状態変数ベクトルを、v(t)は定常なガウス雑音を表している。

0013

上記予測方程式と観測方程式とにカルマンフィルター57を適用すると、検査装置55の出力{yk(t)}から状態ベクトルXの最小分散推定量である単位応答{hk(t)}を逐次求めることができるのである。

0014

最終的に、上記検査結果56の出力の推定値y^(t)は、下式によって算出される。

0015

以上の手順によって、現時点までのプロセスデータ{u(t-n),…,u(t-1)}から1ステップ先の検査結果56の出力の推定値{y^(t)}を予測し、予測値58として出力することができるのである。

先行技術

0016

特開2000‐252179号公報

発明が解決しようとする課題

0017

しかしながら、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおいては、以下のような問題がある。

0018

すなわち、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおいて用いられている予測手法は、線形重回帰予測に基づくモデル式(線形重回帰式54)を作成し、この線形重回帰式54に基づいて1ステップ先の検査結果56の推定値を予測するようにしている。この場合、上記モデルの作成において、目的変数のデータ(y1,…,yn)を最も良く説明できる平面(モデル平面)が予測モデルである。ここで、回帰係数のベクトルは上記モデル平面の法線ベクトルとなる。

0019

上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおいては、回帰係数の数は説明変数(x11,…,xnp)の数に1を加算した数に等しい。ここで、説明変数はプロセスデータ52を示し、目的変数は検査結果56を示す。また、上記予測モデル作成に用いられている線形重回帰分析においては、上記説明変数の間に相関関係がある場合、つまり説明変数が共線性を有する場合、データの解析を正確に行うことができないという問題がある。

0020

以下に、上記説明変数間の共線性について説明する。図8は、説明変数間に共線性を有しない場合のモデル平面Sを示しており、線形重回帰によって求められるモデル平面Sは安定していることを示している。図中、黒丸は、データDを示す。図9は、説明変数間に共線性を有しない場合における予測モデルの更新の説明図である。図9では、上記モデル平面から外れる「新しいデータ」を用いて予測モデルの更新を行っても、更新されたモデル平面Sa,Sbは元のモデル平面S(予測モデル)から大きく動くことが無いことを示している。元のモデル平面Sは、元のデータDに基づいて、求められ、更新されたモデル平面Saは、新しいデータDaに基づいて、求められ、更新されたモデル平面Sbは、新しいデータDbに基づいて、求められる。

0021

一方、図10は、説明変数間に共線性を有する場合のモデル平面を示しており、一意な予測モデル(モデル平面S,S’)が作成できないことが分かる。図11は、説明変数間に共線性を有する場合における予測モデルの更新の説明図である。図11においては、このような不安定な予測モデルに対して、入力された「新しいデータ」を用いて予測モデルの更新を行うと、更新されたモデル平面Sc,Sdは元のモデル平面S(予測モデル)から大きく動いてしまうことを示している。つまり、線形重回帰で得られる偏回帰係数は不安定になり予測的なモデルにはならないのである。元のモデル平面Sは、元のデータDに基づいて、求められ、更新されたモデル平面Scは、新しいデータDcに基づいて、求められ、更新されたモデル平面Sdは、新しいデータDdに基づいて、求められる。

0022

また、説明変数間に共線性が無い場合には、予測モデルの回帰係数をカルマンフィルター57等で更新しても、安定したモデル平面を得ることができる。しかしながら、説明変数間に共線性がある場合には、予測モデルの回帰係数をカルマンフィルター57等で更新すると、回帰係数が不安定になり、予測の精度が劣化してしまうのである。

0023

図12は、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおける説明変数間の共線性の例を示しており、説明変数X1と説明変数X2の間に共線性があることを示している。図12は、実際に生産装置の操業を行った際に取得されたデータに基づくものである。このような共線性を有する説明変数が含まれる場合には、正確な予測モデルを作成することができない。

0024

以上のごとく、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムのように、モデル作成に線形重回帰予測を用いた場合には、説明変数間に共線性があると、予測の精度が劣化してしまうという問題がある。

0025

また、製造工程において品質を統計的に管理する手法として、統計的プロセス制御(SPC)が知られているが、予測モデルの出来映え予測値に対して統計的プロセス制御を適用すると、上記と同様に、説明変数間に共線性のある予測モデルを用いた場合、管理対象期間内における予測モデルの更新により回帰係数が不安定になって予測の精度が劣化し、出来映え予測値に対する安定した統計的プロセス制御が出来ないという問題がある。

0026

さらに、装置の状態変化等により、出来映え予測値が出来映え実測値から乖離し、予測の精度が劣化することで、出来映え予測値に対する安定した統計的プロセス制御が出来ないという問題がある。

0027

そこで、この発明の課題は、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して予測精度を向上できる出来映え予測装置を提供することにある。また、説明変数間に共線性がある場合であっても、安定して適用可能な統計的プロセス制御を備えた出来映え予測装置を提供することにある。また、装置の状態変化等がある場合であっても、安定して適用可能な統計的プロセス制御を備えた出来映え予測装置を提供することにある。さらに、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して予測精度を向上できる出来映え予測方法、出来映え予測プログラムおよびプログラム記録媒体を提供することにある。

課題を解決するための手段

0028

上記課題を解決するため、この発明の出来映え予測装置は、
素材に対してプロセス処理を行って製品を生産する生産装置からプロセスデータを収集するプロセスデータ収集部と、
上記収集されたプロセスデータに基づいて、上記プロセス処理が行われた製品の出来映え結果を表す出来映え予測値を、モデル式を用いて算出する予測モジュール部と、
同一の製品に関して、上記プロセス処理が行われた製品の出来映えを検査する検査装置から出力された出来映え実測値と上記出来映え予測値とに基づいて、上記モデル式の係数を更新する係数更新部と
を備え、
上記モデル式の係数は、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差を補正するものであり、
上記モデル式は、上記プロセスデータから算出された互いに無相関な複数の変数と、この変数と同数の上記係数とを、互いに乗算した積の総和に、装置間差値を加算し、
上記モデル式の上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置の間差および上記検査装置の間差を補正する補正値であることを特徴としている。

0029

この発明の出来映え予測装置によれば、上記プロセスデータ収集部と、上記予測モジュール部と、上記係数更新部とを備え、上記モデル式の係数は、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差を補正するものであり、上記モデル式は、上記プロセスデータから算出された互いに無相関な複数の変数と、この変数と同数の上記係数とを、互いに乗算した積の総和に、装置間差値を加算し、上記モデル式の上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置の間差および上記検査装置の間差を補正する補正値であるので、説明変数間に共線性を持つデータであっても、回帰係数の更新が安定しているため、予測精度が向上する。

0030

つまり、本発明は、ひとつの予測式を用いて複数の生産装置による出来映え予測を可能にするものである。さらに、生産装置の時系列等による変化と、それぞれの生産装置の個体差切り分けた予測式の作成を可能にするものである。本発明では、生産装置の時系列による変化等を予測モジュール部内のモデル式の係数とし、生産装置の個体差を装置間差値とする。

0031

本発明における予測モデルは、互いに無相関な変数と目的変数をもとにしたモデル式で表される。本発明におけるモデル式の例を以下に示す。

0032

このモデル式における変数はそれぞれ、y^tは出来映え予測値(目的変数)を、tt0,tt1,…,ttjはプロセスデータの実測値(目的変数)から算出された互いに無相関な変数を、qt0,qt1,…,qtjは前記互いに無相関な変数の係数を、Ktは装置間差値を示している。

0033

前記互いに無相関な変数tt0,tt1,…,ttjは、プロセスデータの実測値と出来映え実測値から部分最小2乗法(Partial Least Squares;PLS)もしくは独立成分分析(Independent Component Analysis;ICA)もしくは主成分分析(Principal Component Analysis;PCA)等の何らかの手法を用いて導出されたものである。

0034

本発明における前記モデル式は、互いに無相関な変数で構成され、モデル式の更新は、前記互いに無相関な変数の各係数の修正を行う。互いに無相関な変数を用いてモデル式を作成しているため、説明変数間の共線性に起因する、係数の不安定と、予測の精度の劣化を防ぐことが出来る。

0035

また、一実施形態の出来映え予測装置では、上記係数更新部は、上記係数に加えて上記装置間差値をも修正する。

0036

この実施形態の出来映え予測装置によれば、上記係数更新部は、上記係数に加えて上記装置間差値をも修正するので、モデル式の更新において、係数と装置間差値の両方の値を更新することができる。

0037

また、一実施形態の出来映え予測装置では、
上記出来映え予測値を予測値記録データとして記録する記録部と、
上記記録部に記録された予測値記録データに基づいて、予め定義された異常判定ルールを用いて、異常か否かを判定する異常判定部と、
上記異常判定部の判定結果に基づいて、アラームを発生するアラーム発生部と
を備える。

0038

この実施形態の出来映え予測装置によれば、上記モデル式は互いに無相関な変数で構成され、上記モデル式の更新は前記互いに無相関な変数の各係数の修正を行う。互いに無相関な変数を用いてモデル式を作成しているため、説明変数間の共線性に起因する係数の不安定と予測の精度の劣化を防ぐことが出来、上記モデル式の出来映え予測値に対して安定した統計的プロセス制御を適用することが出来る。

0039

なお、上記記録部は、上記異常判定部にて異常か否かを判定する為に少なくとも必要となる上記出来映え予測値の履歴を上記予測値記録データとして記録する。上記予め定義された異常判定ルールは、上記予測値記録データに基づいた値に対する、統計的プロセス制御で一般的に使用されるトレンドチャートやxbar-R管理図等からなる監視方法と、統計的プロセス制御で一般的に使用されるWE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準を定義するものである。上記異常判定部は、上記記録部に記録された上記予測値記録データに基づいて、上記予め定義された異常判定ルールを用いて、異常か否かを判定する。

0040

また、一実施形態の出来映え予測装置では、
上記記録部は、上記予測値記録データに加えて、実測値記録データとして上記出来映え実測値を記録し、
上記異常判定部は、上記予測値記録データに加えて、上記予測値記録データと上記実測値記録データの差分値に基づいて、予め定義された異常判定ルールを用いて、異常か否かを判定する。

0041

この実施形態の出来映え予測装置によれば、上記モデル式は互いに無相関な変数で構成され、上記モデル式の更新は前記互いに無相関な変数の各係数の修正を行う。互いに無相関な変数を用いてモデル式を作成しているため、説明変数間の共線性に起因する係数の不安定と予測の精度の劣化を防ぐことが出来ると共に、上記予測値記録データに加えて、上記予測値記録データと上記実測値記録データの差分値に基づいて、異常か否かを判定することから、装置の状態の変化等で、出来映え予測値が出来映え実測値から乖離した場合も、上記モデル式の出来映え予測値に対して安定した統計的プロセス制御を適用することが出来る。

0042

なお、上記記録部は、上記異常判定部にて異常か否かを判定する為に少なくとも必要となる上記出来映え予測値と上記出来映え実測値の履歴を各々上記予測値記録データと上記実測値記録データとして記録する。上記予め定義された異常判定ルールは、上記予測値記録データに基づいた値に対する、統計的プロセス制御で一般的に使用されるトレンドチャートやxbar-R管理図等からなる監視方法と、統計的プロセス制御で一般的に使用されるWE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準に加えて、上記予測値記録データと上記実測値記録データの差分値に基づいた値に対する、統計的プロセス制御で一般的に使用されるトレンドチャート等からなる監視方法と、統計的プロセス制御で一般的に使用されるWE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準を定義するものである。上記異常判定部は、上記記録部に記録された上記予測値記録データに加えて、上記予測値記録データと上記実測値記録データの差分値に基づいて、上記予め定義された異常判定ルールを用いて、異常か否かを判定する。

0043

また、この発明の出来映え予測方法は、
素材に対してプロセス処理を行って製品を生産する生産装置から、プロセスデータ収集部によって、プロセスデータを収集するプロセスデータ収集ステップと、
上記収集されたプロセスデータに基づいて、予測モジュール部によって、上記プロセス処理が行われた製品の出来映え結果を表す出来映え予測値を、モデル式を用いて算出する予測ステップと、
同一の製品に関して、上記プロセス処理が行われた製品の出来映えを検査する検査装置から出力された出来映え実測値と上記出来映え予測値とに基づいて、係数更新部によって、上記モデル式の係数を更新する係数更新ステップと
を備え、
上記モデル式の係数は、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差を補正するものであり、
上記モデル式は、上記プロセスデータから算出された互いに無相関な複数の変数と、この変数と同数の上記係数とを、互いに乗算した積の総和に、装置間差値を加算し、
上記モデル式の上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置の間差および上記検査装置の間差を補正する補正値であることを特徴としている。

0044

この発明の出来映え予測方法によれば、上記プロセスデータ収集ステップと、上記予測ステップと、上記係数更新ステップとを備え、上記モデル式の係数は、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差を補正するものであり、上記モデル式は、上記プロセスデータから算出された互いに無相関な複数の変数と、この変数と同数の上記係数とを、互いに乗算した積の総和に、装置間差値を加算し、上記モデル式の上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置の間差および上記検査装置の間差を補正する補正値であるので、説明変数間に共線性を持つデータであっても、回帰係数の更新が安定しているため、予測精度が向上する。

0045

また、この発明の出来映え予測プログラムは、コンピュータを、上記プロセスデータ収集部、上記予測モジュール部および上記係数更新部として機能させることを特徴としている。

0046

この発明の出来映え予測プログラムによれば、コンピュータを、上記プロセスデータ収集部、上記予測モジュール部および上記係数更新部として機能させるので、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して、予測精度を向上できる。

0047

また、この発明のプログラム記録媒体は、上記出来映え予測プログラムが記録されたことを特徴としている。

0048

この発明のプログラム記録媒体によれば、上記出来映え予測プログラムが記録されたので、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して、予測精度を向上できる。

発明の効果

0049

この発明の出来映え予測装置によれば、上記プロセスデータ収集部と、上記予測モジュール部と、上記係数更新部とを備え、上記モデル式の係数は、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差を補正するものであり、上記モデル式は、上記プロセスデータから算出された互いに無相関な複数の変数と、この変数と同数の上記係数とを、互いに乗算した積の総和に、装置間差値を加算し、上記モデル式の上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置の間差および上記検査装置の間差を補正する補正値であるので、説明変数間に共線性を持つデータであっても、回帰係数の更新が安定しているため、予測精度が向上する。

0050

この発明の出来映え予測方法によれば、上記プロセスデータ収集ステップと、上記予測ステップと、上記係数更新ステップとを備え、上記モデル式の係数は、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差を補正するものであり、上記モデル式は、上記プロセスデータから算出された互いに無相関な複数の変数と、この変数と同数の上記係数とを、互いに乗算した積の総和に、装置間差値を加算し、上記モデル式の上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映え実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置の間差および上記検査装置の間差を補正する補正値であるので、説明変数間に共線性を持つデータであっても、回帰係数の更新が安定しているため、予測精度が向上する。

0051

この発明の出来映え予測プログラムによれば、コンピュータを、上記プロセスデータ収集部、上記予測モジュール部および上記係数更新部として機能させるので、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して、予測精度を向上できる。

0052

この発明のプログラム記録媒体によれば、上記出来映え予測プログラムが記録されたので、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して、予測精度を向上できる。

図面の簡単な説明

0053

本発明の出来映え予測装置の第1実施形態を示す概略構成図である。
生産装置の一例としての成膜装置を示す概略構成図である。
生産装置の他の例としての成膜装置を示す概略構成図である。
互いに無相関な変数間の相関を例示するグラフである。
本発明の出来映え予測装置と特許文献1とによる予測誤差の比較を示す表である。
本発明の出来映え予測装置と特許文献1とによる予測誤差の時系列変化を示すグラフである。
本発明の出来映え予測装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムの概略図である。
説明変数間に共線性を有しない場合のモデル平面を示す説明図である。
説明変数間に共線性を有しない場合の予測モデルの更新を説明する説明図である。
説明変数間に共線性を有する場合のモデル平面を示す説明図である。
説明変数間に共線性を有する場合の予測モデルの更新を説明する説明図である。
特許文献1における説明変数間の共線性を例示するグラフである。
本発明の出来映え予測装置の第3実施形態を示す概略構成図である。
本発明の出来映え予測装置の第4実施形態を示す概略構成図である。
予測値記録データと実測値記録データの差分値の絶対値のトレンドチャートである。

実施例

0054

以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。

0055

(第1の実施形態)
図1は、この発明の出来映え予測装置の第1実施形態である概略構成図を示している。図1に示すように、この出来映え予測装置は、プロセスデータ収集部16と予測モジュール部17と係数更新部22とを有する。

0056

上記プロセスデータ収集部16は、(素材の一例としての)基板に対してプロセス処理を行って製品を生産する生産装置11からプロセスデータ14を収集する。

0057

上記予測モジュール部17は、収集されたプロセスデータ14に基づいて、プロセス処理が行われた製品の出来映え結果を表す出来映え予測値23を、モデル式18を用いて算出する。

0058

上記係数更新部22は、同一の製品に関して、プロセス処理が行われた製品の出来映えを検査する検査装置12から出力された出来映え実測値21と出来映え予測値23とに基づいて、モデル式18の係数19を更新する。生産装置11および検査装置12は、製造システム13を構成する。

0059

上記モデル式18の係数19は、出来映え実測値21と出来映え予測値23との差を補正するものである。

0060

上記モデル式18は、プロセスデータ14から算出された互いに無相関な複数の変数と、この変数と同数の係数19とを、互いに乗算した積の総和に、装置間差値20を加算したものである。

0061

上記モデル式18の装置間差値20は、同一の製品に関して、出来映え実測値21と出来映え予測値23との差における生産装置11の間差および検査装置12の間差を補正する補正値である。

0062

上記モデル式18は、プロセスデータ14と出来映え実測値21から、部分最小2乗法(Partial Least Squares;PLS)もしくは独立成分分析(Independent Component Analysis;ICA)もしくは主成分分析(Principal Component Analysis;PCA)等の何らかの手法を用いて導出されたものである。モデル式18は予測モジュール部17に予め設定される。

0063

上記装置間差値20は、生産装置11の個体差と、検査装置12の個体差から算出される値で、予め出来映え予測装置に設定される。生産装置11の個体差には、生産装置11の号機の差、成膜装置の処理室チャンバ;chamber)間の差、段数の差が含まれる。

0064

ここで、生産装置11において、ひとつの成膜装置は、複数の処理室を持つことがある。さらに、それぞれの処理室は複数の基板を同時に処理するために複数の段数を備える。この生産装置11は、例えば、図2Aに示すように、成膜装置26であり、この成膜装置26は、3つのチャンバ27を有し、チャンバ27ごとに5段の28を有し、各チャンバ27は、同時に5枚の基板を処理できる。

0065

なお、生産装置11の個体差に、生産装置11の号機の差、成膜装置の処理室(チャンバ;chamber)間の差、位置の差を含むようにしてもよい。この場合、生産装置11において、ひとつの成膜装置は、複数の処理室を持つことがある。さらに、それぞれの処理室は複数の基板を同時に処理するために基板設置用の位置を複数備える。この生産装置11は、例えば、図2Bに示すように、成膜装置26Aであり、この成膜装置26Aは、3つのチャンバ27Aを有し、チャンバ27Aごとに5箇所の位置28Aを有し、各チャンバ27Aは、同時に5枚の基板を処理できる。

0066

上記係数更新部22は、出来映え予測装置にて算出した出来映え予測値23と、検査装置12からの出来映え実測値21からモデル式18の係数19を算出する。係数19の初期値は、モデル式導出の際に、プロセスデータ14と出来映え実測値21から、部分最小2乗法(Partial Least Squares;PLS)もしくは独立成分分析(Independent Component Analysis;ICA)もしくは主成分分析(Principal Component Analysis;PCA)等の何らかの手法を用いて算出されたものである。この実施形態では、部分最小2乗法(Partial Least Squares;PLS)を用いている。

0067

算出された係数19とあらかじめ設定された装置間差値20に基づいて、出来映え予測装置が出来映え予測値23を求める。

0068

このモデル式18における変数はそれぞれ、y^tは出来映え予測値23(目的変数)を示し、tt0,tt1,…,ttjはプロセスデータ14の実測値(目的変数)から算出された互いに無相関な変数を示し、qt0,qt1,…,qtjは前記互いに無相関な変数の係数19を示し、Ktはあらかじめ設定された装置間差値20を示している。

0069

この実施形態では、部分最小2乗法(Partial Least Squares;PLS)を用いて互いに無相関な変数を導出しており、モデル式中の潜在変数(t1,t2,…,tj)は以下の式で表される。

0070

部分最小2乗法(Partial Least Squares;PLS)による潜在変数を導出する前記式において、w*kはPLS重みを表しており、xikは正規化された値を用いている。

0071

上記係数更新部22は、カルマンフィルターを用い、出来映え予測値23と出来映え実測値21から係数19を修正し、予測モジュールにてモデル式18の更新を行う。

0072

上記係数19の修正のために、カルマンフィルターを適用するにあたり、以下の観測方程式と、予測方程式を作成する。

0073

これらの方程式において、ytは出来映え実測値21(目的変数行列)を表し、Htはプロセスデータ14(説明変数行列)を表し、αtは重み係数を表し、vtは観測ノイズを表し、wtはプロセスノイズを表す。ここで、プロセスデータHtと重み係数αtは、以下の形で表される。

0074

この実施形態では、係数更新部22により、係数(qt0,qt1,…,qtj)のみを修正し出来映え予測値23を算出する場合であり、手順を以下に示す。

0075

上記出来映え実測値21と上記出来映え予測値23から、係数更新部22のカルマンフィルターにより新たな係数19を導出する。係数19の初期値は前述の通りモデル式導出の際に、プロセスデータ14と出来映え実測値21から、部分最小2乗法(Partial Least Squares;PLS)もしくは独立成分分析(Independent Component Analysis;ICA)もしくは主成分分析(Principal Component Analysis;PCA)等の何らかの手法を用いて算出されたものである。

0076

上記生産装置11が出力するプロセスデータ14からモデル式18に基づき出来映え予測値23を算出する。

0077

このモデル式18において、ytは出来映え予測値23(目的変数)を表し、tt0,tt1,…,ttjはプロセスデータ14の実測値(目的変数)から算出された互いに無相関な変数を表し、qt0,qt1,…,qtjは前記互いに無相関な変数の係数19を表し、Ktはあらかじめ設定した装置間差値20を表すものとする。ここで、係数19は係数更新部22によって、生産装置11の処理室ごとに算出される。

0078

以上の手順で、本発明の出来映え予測装置により、プロセスデータ14と出来映え実測値21と予め設定された予測モジュール部17のモデル式18及び装置間差値20から出来映え予測値23を算出する。

0079

さらに、出来映え予測値23と出来映え実測値21をもとに係数更新部22のカルマンフィルターによって算出されたモデル式18の係数19を出来映え算出値に反映することでモデル式18の更新を行い、出来映え予測値23の精度を向上させる。

0080

出来映え予測方法としては、プロセスデータ収集ステップと予測ステップと係数更新ステップとを有する。

0081

上記プロセスデータ収集ステップは、素材としての基板に対してプロセス処理を行って製品を生産する生産装置11から、プロセスデータ収集部16によって、プロセスデータ14を収集する。

0082

上記予測ステップは、収集されたプロセスデータ14に基づいて、予測モジュール部17によって、プロセス処理が行われた製品の出来映え結果を表す出来映え予測値23を、モデル式18を用いて算出する。

0083

上記係数更新ステップは、同一の製品に関して、プロセス処理が行われた製品の出来映えを検査する検査装置12から出力された出来映え実測値21と出来映え予測値23とに基づいて、係数更新部22によって、モデル式18の係数19を更新する。

0084

図3は、本発明における互いに無相関な変数間の相関の例を示しており、変数1と変数2の間に共線性がないことを示している。図3は、実際に生産装置11の操業を行った際に取得されたデータに基づくものである。このように、本発明による手法では変数間に共線性がないため、正確な予測モデルとなっている。

0085

また、図4は、背景技術(特許文献1)と本発明による予測誤差の例を説明する表である。図4は、実際の生産装置11の操業を行った際のデータに基づくものである。

0086

背景技術(特許文献1)による手法では、線形重回帰分析に基づいて攻勢されたモデルの回帰係数の更新を行っており、本発明による手法では互いに無相関な変数により構成されたモデルの各係数の更新を行っている。

0087

図4の予測値と実測値の誤差は、出来映えの目標値に対する二乗平均平方根誤差(Root Mean Square Error;RSME)の百分率を意味している。図4の例から本発明は背景技術(特許文献1)に対し、予測値と実測値の誤差の値が小さくなっており有効であることがわかる。

0088

図5は、背景技術(特許文献1)と本発明の予測誤差の時系列変化の例を説明するグラフである。図5は、実際に生産装置11を操業した際のデータに基づくものである。予測誤差は、出来映え予測値と出来映え実測値の差を意味する。背景技術により予測モデルの更新を行った場合の方が、本発明の手法による予測モデルの更新を行った場合より誤差が大きくなっていることがわかる。

0089

なお、コンピュータを、上記プロセスデータ収集部16、上記予測モジュール部17および上記係数更新部22として機能させるための出来映え予測プログラムを、用いてもよい。したがって、この出来映え予測プログラムにより、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して、予測精度を向上できる。

0090

また、上記出来映え予測プログラムが記録されたプログラム記録媒体を、用いてもよい。したがって、このプログラム記録媒体により、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して、予測精度を向上できる。

0091

(第2の実施形態)
図6は、この発明の出来映え予測装置の第2の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第2の実施形態では、係数更新部の構成が相違する。

0092

図6に示す、生産装置31、検査装置32、製造システム33、プロセスデータ34、プロセスデータ収集部36、予測モジュール部37、モデル式38、係数39、装置間差値40、出来映え実測値41、および、出来映え予測値43については、図1に示す、生産装置11、検査装置12、製造システム13、プロセスデータ14、プロセスデータ収集部16、予測モジュール部17、モデル式18、係数19、装置間差値20、出来映え実測値21、および、出来映え予測値23と同一であるため、これらの説明を省略する。

0093

図6に示すように、上記係数更新部42は、係数39に加えて装置間差値40をも修正する。

0094

上記係数更新部42は、出来映え予測装置にて算出した出来映え予測値43と、検査装置32からの出来映え実測値41からモデル式38の係数39を算出する。係数39の初期値は、モデル式導出の際に、プロセスデータ34と出来映え実測値41から、部分最小2乗法(Partial Least Squares;PLS)もしくは独立成分分析(Independent Component Analysis;ICA)もしくは主成分分析(Principal Component Analysis;PCA)等の何らかの手法を用いて算出されたものである。

0095

上記係数更新部42にて算出された新たな係数39(qt0,qt1,…,qtj)と、係数更新部42にて算出された新たな装置間差値40(Kt)に基づいて出来映え予測装置が出来映え予測値43を求める。

0096

このモデル式38における変数はそれぞれ、y^tは出来映え予測値43(目的変数)を示し、tt0,tt1,…,ttjはプロセスデータ34の実測値(目的変数)から算出された互いに無相関な変数を示し、qt0,qt1,…,qtjは前記互いに無相関な変数の係数39を示し、Ktは装置間差値40を示している。

0097

この実施形態では、部分最小2乗法(Partial Least Squares;PLS)を用いて互いに無相関な変数を導出しており、モデル式中の潜在変数(t1,t2,…,tj)は以下の式で表される。

0098

部分最小2乗法(Partial Least Squares;PLS)による潜在変数を導出する前記式において、w*kはPLS重みを表しており、xikは正規化された値を用いている。

0099

また、この実施形態における観測方程式と予測方程式は下記のようになる。

0100

これらの方程式において、ytは出来映え実測値41(目的変数行列)を表し、Htはプロセスデータ34(説明変数行列)を表し、αtは重み係数を表し、vtは観測ノイズを表し、wtはプロセスノイズを表す。

0101

ここで、プロセスデータHtと重み係数αtは、以下の形で表される。

0102

以上の手順で、本発明の出来映え予測装置により、プロセスデータ34と出来映え実測値41とあらかじめ設定された予測モジュール部37のモデル式38及び装置間差値40から出来映え予測値43を算出する。

0103

さらに、出来映え予測値43と出来映え実測値41をもとに係数更新部42のカルマンフィルターによって算出された新たな係数39と、係数更新部42のカルマンフィルターによって算出された新たな装置間差値40に基づき、モデル式38の更新を行い、出来映え予測値43の精度を向上させる。

0104

上記構成の出来映え予測装置では、上記第1実施形態の出来映え予測方法と同様の方法によって、実行され、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。

0105

(第3の実施形態)
図13は、この発明の出来映え予測装置の第3の実施形態を示している。上記第1又は第2の実施形態と相違する点を説明すると、この第3の実施形態では、記録部74、異常判定部77、アラーム発生部79を有することが相違する。

0106

図13に示す、生産装置61、検査装置62、製造システム63、プロセスデータ64、プロセスデータ収集部66、予測モジュール部67、出来映え実測値71、係数更新部72、および、出来映え予測値73については、図1に示す、生産装置11、検査装置12、製造システム13、プロセスデータ14、プロセスデータ収集部16、予測モジュール部17、モデル式18、出来映え実測値21、係数更新部22、および、出来映え予測値23、または、図6に示す、生産装置31、検査装置32、製造システム33、プロセスデータ34、プロセスデータ収集部36、予測モジュール部37、モデル式38、出来映え実測値41、係数更新部42、および、出来映え予測値43と同一であり、これらの説明を省略する。

0107

上記記録部74は、上記異常判定部77にて異常か否かを判定する為に必要となる上記出来映え予測値73の履歴データを予測値記録データ75として記録する。

0108

上記異常判定部77は、上記記録部74に記録された上記予測値記録データ75に基づいて、予め定義された異常判定ルール78を用いて、異常か否かを判定する。

0109

ここで、上記異常判定ルール78は、上記予測値記録データ75に基づいた値に対して、統計的プロセス制御で一般的に使用されるトレンドチャートやxbar-R管理図等からなる監視方法と、統計的プロセス制御で一般的に使用されるWE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準の定義を行う。

0110

上記アラーム発生部79は、上記異常判定部77の判定結果に基づいて、電子メールの送信、表示装置への表示、ネットワークを介して接続された他の情報装置への通信等により、異常の発生を担当エンジニアに伝達する。

0111

上記構成の出来映え予測装置では、図4図5で示されたように、背景技術(特許文献1)に比べて、予測値と実測値の誤差の値が小さくなっており、管理対象期間内における予測モデルの更新によって予測の精度が劣化することが防がれ、出来映え予測値に対する安定した統計的プロセス制御を行なうことが出来る。

0112

(第4の実施形態)
図14は、この発明の出来映え予測装置の第4の実施形態を示している。上記第3の実施形態と相違する点を説明すると、この第4の実施形態では、記録部94、異常判定部97、アラーム発生部99の構成が相違する。

0113

図14に示す、生産装置81、検査装置82、製造システム83、プロセスデータ84、プロセスデータ収集部86、予測モジュール部87、出来映え実測値91、係数更新部92、および、出来映え予測値93については、図13に示す、生産装置61、検査装置62、製造システム63、プロセスデータ64、プロセスデータ収集部66、予測モジュール部67、モデル式68、出来映え実測値71、係数更新部72、および、出来映え予測値73と同一であり、これらの説明を省略する。

0114

上記記録部94は、上記異常判定部97にて異常か否かを判定する為に必要となる上記出来映え予測値93の履歴データを予測値記録データ95として、上記出来映え実測値93の履歴データを実測値記録データ96として、記録する。

0115

上記異常判定部97は、上記記録部94に記録された上記予測値記録データ95に加えて、上記予測値記録データ95と上記実測値記録データ96の差分値に基づいて、予め定義された異常判定ルール98を用いて、異常か否かを判定する。

0116

ここで、上記異常判定ルール98は、上記予測値記録データ95に基づいた値に対して、統計的プロセス制御で一般的に使用されるトレンドチャートやxbar-R管理図等からなる監視方法と、統計的プロセス制御で一般的に使用されるWE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準に加えて、上記予測値記録データ95と上記実測値記録データ96の差分値に基づいた値に対して、統計的プロセス制御で一般的に使用されるトレンドチャート等からなる監視方法と、統計的プロセス制御で一般的に使用されるWE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準の定義を行う。

0117

上記予測値記録データ95と上記実測値記録データ96の差分値に基づいた監視方法は例えば、上記予測値記録データ95と上記実測値記録データ96の差分値の絶対値のトレンドチャートであり、異常傾向の判断基準は、例えば、ある閾値より小さい場合は、出来映え予測値は出来映え実測値に追随出来ているものと判断し、ある閾値より大きい場合は、出来映え予測値が出来映え実測値から大きく外れる異常が発生していると判断し、連続してある個数がある閾値を超えている場合や、連続するある個数中ある個数がある閾値を超えている場合は、出来映え予測値が出来映え実測値から継続して大きく外れる異常が発生していると判断する。

0118

図15は、上記予測値記録データ95と上記実測値記録データ96の差分値の絶対値のトレンドチャートの例を説明するグラフである。グラフでは、例えば、上記予測値記録データ95と上記実測値記録データ96の差分値の絶対値が閾値を超えた場合は、閾値を超える異常の発生と判断し、連続してある点数以上ある閾値を超えている場合は、継続して閾値を超える異常の発生と判断している。

0119

ここで、上記異常判定部97は、上述の上記予測値記録データ95と上記実測値記録データ96の差分値に基づく異常判定の結果を基にして、例えば閾値を超える異常が発生した場合に上記予測値記録データ95に基づく異常判定結果を無効にするなどして、上記予測値記録データ95に基づく異常判定を補正してもよい。

0120

上記アラーム発生部99は、上記異常判定部97の判定結果に基づいて、電子メールの送信、表示装置への表示、ネットワークを介して接続された他の情報装置への通信等により、異常の発生を担当エンジニアに伝達する。

0121

上述の上記予測値記録データ95と上記実測値記録データ96の差分値に基づく異常判定と上記予測値記録データ95に基づく異常判定の両方の結果に基づく異常の発生が担当エンジニアに伝達されることにより、上記予測値記録データ95に基づく異常判定の信頼性を高めることが出来ると共に、継続して閾値を超える異常が発生している場合は、予測モデルの根本的な見直しが必要かどうかの判断材料とすることが出来ることで、装置の状態の変化等で、出来映え予測値が出来映え実測値から乖離した場合も、上記モデル式の出来映え予測値に対して安定した統計的プロセス制御を適用することが出来る。

0122

なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記第1、上記第2、上記第3、上記第4の実施形態において、上記予測する出来映えは、上記検査装置からの検査結果に限らず、一般的な品質データや特性データ、それらから間接的に算出されるデータであってもよい。また、出来映え予測装置を、成膜装置を用いた基板の製造に利用したが、半導体の製造、太陽電池の製造、薄型表示デバイスの製造および鉄鋼の製造等の様々な素材を用いた製造分野において利用してもよく、生産装置からのプロセスデータに基づいた製品の出来映え予測を行うことができる。

0123

11、31、61、81生産装置
12、32、62、82検査装置
13、33、63、83 製造システム
14、34、64、84 プロセスデータ
16、36、66、86プロセスデータ収集部
17、37、67、87予測モジュール部
18、38、68、88モデル式
19、39係数
20、40装置間差値
21、41、71、91出来映え実測値
22、42、72、92係数更新部
23、43、73、93出来映え予測値
26、26A成膜装置
27、27Aチャンバ
28棚
28A 位置
74、94 記録部
75、95予測値記録データ
77、97 異常判定部
78、98 異常判定ルール
79、99アラーム発生部
96実測値記録データ

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