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技術 アミノ糖誘導体の製造方法並びにアミノ糖誘導体を含む食品素材及び甘味料

出願人 焼津水産化学工業株式会社国立大学法人静岡大学
発明者 碓氷泰市尾形慎又平芳春
出願日 2009年6月30日 (11年5ヶ月経過) 出願番号 2009-154826
公開日 2011年1月20日 (9年11ヶ月経過) 公開番号 2011-011985
状態 特許登録済
技術分野 食品の着色及び栄養改善 フラン系化合物 糖類化合物 O,S系縮合複素環 触媒を使用する低分子有機合成反応
主要キーワード イオン交換膜電気透析 調製水 産業用素材 アンヒドロ糖 アルファー化米 半調理食品 半生菓子 加工魚
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年1月20日)のものです。
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図面 (11)

課題

3,6−アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体及び/又は2,3−ジデオキシ構造を有するアミノ糖誘導体を高生成率・高収率で製造する方法を提供する。

解決手段

N−アセチルグルコサミン及び/又はN−アセチルマンノサミン水溶液を加熱することにより、3,6−アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体及び/又は2,3−ジデオキシ構造を有するアミノ糖誘導体を得る。この製造方法で得られるアミノ糖誘導体は、安全性が高く、食品素材として好適に用いられる。特に、甘味を有していることから甘味料として好適に用いられる。

概要

背景

還元糖及び糖アルコールから誘導される3,6アンヒドロ糖類、例えば3,6アンヒドロヘキソース、3,6アンヒドロヘキソラクトン及び1,4:3,6ダイアヒドロヘキシトールが知られている。グルコースからソルビトールを経由して変換されるグルコース誘導体1,4:3,6ダイアンヒドロヘキシトール(1,4:3,6-dianhydrohexytol)及びその誘導体は、食品製造における原料としての食品用乳化剤化粧品化成品界面活性剤医薬品などとして利用されている(例えば、下記特許文献1−4参照。)。

一方、グルコースの2位水酸基アセトアミド基置換されてなるN−アセチルグルコサミンは、生体内糖質を構成する重要な単糖であり、栄養源としてのグルコースとは異なる役割を担っている。したがって、グルコースから変換されるものと同じく、N−アセチルグルコサミンやその他のアミノ糖から変換される3,6アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体についても、それらに特有の物性を有する化合物として、種々の用途に利用できると考えられる。3,6アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体は、下記非特許文献1に見られるように、粘菌Dictyostelium discoideumの二次代謝物であるフラノディクチンA及びBとして見出されており、これらに神経細胞分化活性が見出されている。

一方、本発明における3,6アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体を製造する際に中間体として生成する2,3ジデオキシアミノ糖誘導体は、アミノヘキソースの定量法であるモルガンエルソン法の反応中間体として知られ、また下記非特許文献2にはN−アセチル−β−D−グルコサミニダーゼ阻害活性報告されている。

上記アミノ糖誘導体の製造方法としては、特許文献5には液状フッ化水素中にて反応を行う製造方法が記載されている。また、非特許文献3には、50mM炭酸ナトリウム溶液中において、マンノース及びグルコース両異性体のアミノ糖誘導体が生成することが記載されている。更に、下記非特許文献4、5には、アミノ糖誘導体であるフラノディクチンA及びBが有機化学的方法により合成できることが記載されている。更に、下記非特許文献6、7には、アミノヘキソースの定量法であるモルガン−エルソン法の際に、その反応中間体として反応液中に2,3ジデオキシアミノ糖誘導体が生成することが記載されている。

概要

3,6−アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体及び/又は2,3−ジデオキシ構造を有するアミノ糖誘導体を高生成率・高収率で製造する方法を提供する。N−アセチルグルコサミン及び/又はN−アセチルマンノサミン水溶液を加熱することにより、3,6−アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体及び/又は2,3−ジデオキシ構造を有するアミノ糖誘導体を得る。この製造方法で得られるアミノ糖誘導体は、安全性が高く、食品素材として好適に用いられる。特に、甘味を有していることから甘味料として好適に用いられる。なし

目的

また、非特許文献3に記載の方法では、アミノ糖誘導体の生成率が低いうえに、アルカリ条件下で反応を行っていることから目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

N−アセチルグルコサミン及びN−アセチルマンノサミンからなる群から選ばれた少なくとも1種のアミノ糖を含む水溶液を加熱することにより、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、及び下記式(4)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を得ることを特徴とするアミノ糖誘導体の製造方法。[式(1)中、Acはアセチル基を表す。][式(2)中、Acはアセチル基を表す。][式(3)中、Acはアセチル基を表す。][式(4)中、Acはアセチル基を表す。]

請求項2

前記水溶液を加熱するにあたり、該水溶液はホウ酸イオン、及び金属イオンから選ばれた少なくとも1種を含む請求項1記載のアミノ糖誘導体の製造方法。

請求項3

前記水溶液を加熱するにあたり、該水溶液のpHはpH3〜8である請求項1又は2記載のアミノ糖誘導体の製造方法。

請求項4

前記水溶液を加熱するにあたり、該水溶液の温度は70〜130℃である請求項1〜3のいずれかに1つに記載のアミノ糖誘導体の製造方法。

請求項5

前記水溶液が、N−アセチルグルコサミン及びN−アセチルマンノサミンからなる群から選ばれた少なくとも1種のアミノ糖を海水又はその調製水に溶解させた水溶液である請求項1〜4のいずれかに1つに記載のアミノ糖誘導体の製造方法。

請求項6

請求項1〜5記載の方法により製造された下記式(1)で表される化合物、及び下記式(2)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のアミノ糖誘導体の5位水酸基を変換する工程を含む、[式(1)中、Acはアセチル基を表す。][式(2)中、Acはアセチル基を表す。]下記式(5)で表される化合物、及び下記式(6)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を得ることを特徴とするアミノ糖誘導体の製造方法。[式(5)中、Acはアセチル基を表す。][式(6)中、Acはアセチル基を表す。]

請求項7

下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、下記式(4)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物、及び下記式(6)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする食品素材。[式(1)中、Acはアセチル基を表す。][式(2)中、Acはアセチル基を表す。][式(3)中、Acはアセチル基を表す。][式(4)中、Acはアセチル基を表す。][式(5)中、Acはアセチル基を表す。][式(6)中、Acはアセチル基を表す。]

請求項8

請求項7記載の食品素材を含むことを特徴とする甘味料

技術分野

0001

本発明は、アミノ糖誘導体の製造方法並びにアミノ糖誘導体を含む食品素材及び甘味料に関するものである。

背景技術

0002

還元糖及び糖アルコールから誘導される3,6アンヒドロ糖類、例えば3,6アンヒドロヘキソース、3,6アンヒドロヘキソラクトン及び1,4:3,6ダイアヒドロヘキシトールが知られている。グルコースからソルビトールを経由して変換されるグルコース誘導体1,4:3,6ダイアンヒドロヘキシトール(1,4:3,6-dianhydrohexytol)及びその誘導体は、食品製造における原料としての食品用乳化剤化粧品化成品界面活性剤医薬品などとして利用されている(例えば、下記特許文献1−4参照。)。

0003

一方、グルコースの2位水酸基アセトアミド基置換されてなるN−アセチルグルコサミンは、生体内糖質を構成する重要な単糖であり、栄養源としてのグルコースとは異なる役割を担っている。したがって、グルコースから変換されるものと同じく、N−アセチルグルコサミンやその他のアミノ糖から変換される3,6アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体についても、それらに特有の物性を有する化合物として、種々の用途に利用できると考えられる。3,6アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体は、下記非特許文献1に見られるように、粘菌Dictyostelium discoideumの二次代謝物であるフラノディクチンA及びBとして見出されており、これらに神経細胞分化活性が見出されている。

0004

一方、本発明における3,6アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体を製造する際に中間体として生成する2,3ジデオキシアミノ糖誘導体は、アミノヘキソースの定量法であるモルガンエルソン法の反応中間体として知られ、また下記非特許文献2にはN−アセチル−β−D−グルコサミニダーゼ阻害活性報告されている。

0005

上記アミノ糖誘導体の製造方法としては、特許文献5には液状フッ化水素中にて反応を行う製造方法が記載されている。また、非特許文献3には、50mM炭酸ナトリウム溶液中において、マンノース及びグルコース両異性体のアミノ糖誘導体が生成することが記載されている。更に、下記非特許文献4、5には、アミノ糖誘導体であるフラノディクチンA及びBが有機化学的方法により合成できることが記載されている。更に、下記非特許文献6、7には、アミノヘキソースの定量法であるモルガン−エルソン法の際に、その反応中間体として反応液中に2,3ジデオキシアミノ糖誘導体が生成することが記載されている。

0006

特表2006−516605号公報
特表2008−537938号公報
特表2008−540760号公報
特表2008−542393号公報
仏国特許出願公開第2666810号明細書

先行技術

0007

H. Kikuchi, Y. Saito, J. Komiya, Y. Takaya, S. Honma, N. Nakahata, A. Ito, Y. Oshima 「FURANODICTIN A AND B: AMINO SUGAR ANALOGUESPRODUCED BY CELLULAR SLIME MOLDDICTYOSTELIUM DISCOIDEUM SHOWING NEURONAL DIFFERENTIATION ACTIVITY」J. Org. Chem., 66,(2001) p6982-6987 )
M. Pokorny, E. Zissis, H. G. Fletcher「The inhibitory activities of 2-acetamido-2,3-dideoxy-D-hex-2-enonolactones on 2-acetamido-2-deoxy-β-D-glucosidase」Carbohydrate Research, 43 (1975) p345-354)
V.A. Derevitskaya, L.M. Likhosherstov, V.A. Schennikov, N.K. Kochetkov「ACETAMIDO-3,6-ANHYDRO-2-DEOXY-D-HEXOSES:PRODUCTSOF THE ALKALINE DEGRADATION OF 2-ACETAMIDO-2-DEOXY-D-HEXOSES」Carbohyd.Res.,20,(1971) p285-291
H. Yoda, Y. Suzuki, K. Takabe「Novel and stereoselective asymmetric synthesis of an amino sugar analogue, furanodictine A」Tetrahedron Letters, 45 (2004) p1599-1601)
H. B. Mereyala, M. Baseeruddin, S. R. Koduru 「Formal synthesis of furanodictine B from glucose」Tetrahedron: Asymmetry, 15 (2004) p3457-3460)
L. Roden, H. Yu, J. Jin, G. Ekborg, A. Estock, N.R. Krishna, P. Livant「Analysis of the Morgan-Elson chromogens by high-performance liquid chromatography」ANALYTICAL BIOCHEMISTRY,254,(1997) p240-248
J.M. Beau, P.Rollin, P. Sinay「STRUCTURE DU CHROMOGENE I DE LA REACTION MORGAN-ELSON」Carbohyd.Res.,53,(1977) p187-195

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、上記特許文献5に記載の方法は、液状フッ化水素を用いる方法であり、液状フッ化水素がガラスや金属を腐食することから、反応に用いる際に危険を伴い、取扱や廃液処理が困難であるという問題があった。また、非特許文献3に記載の方法では、アミノ糖誘導体の生成率が低いうえに、アルカリ条件下で反応を行っていることから目的とするアミノ糖誘導体の他に数々の副生成物が生成するので、それらからの単離が困難であり、その結果、収率が低くなるという問題があった。更に、アミノ糖誘導体であるフラノディクチンA及びBを製造する非特許文献4、5に記載の方法では、完成までに多段階の工程を必要とすることから、多大の労力と時間を要し、また多量の有機溶媒を使用するため環境汚染という点で好ましくないという問題があった。また、非特許文献6、7に記載の方法は、定量分析の中間体として2,3ジデオキシ体のアミノ糖誘導体が生成しているものの、アミノ糖誘導体の製造を目的としたものでなく、その生成率は低いものであった。また、アルカリ条件で反応させているため、非特許文献1に記載の方法と同様に、目的とするアミノ糖誘導体の他に数々の副生成物が生成し、単離が困難であるという問題があった。このように、従来、工業的な製造を目的として、高生成率・高収率で3,6アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体及び2,3ジデオキシアミノ糖誘導体を得る方法は知られていなかった。また、そのアミノ糖誘導体を産業用素材として利用することも考えられていなかった。

0009

したがって、本発明の目的は、アミノ糖誘導体、特に3,6アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体を高生成率・高収率で製造する方法を提供することにある。また、そのアミノ糖誘導体を産業用素材として利用することにある。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、N−アセチルグルコサミン及び/又はN−アセチルマンノサミン水溶液を加熱することにより、特定の構造を有するアミノ糖誘導体が高い収率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

0011

すなわち、本発明は、N−アセチルグルコサミン及びN−アセチルマンノサミンからなる群から選ばれた少なくとも1種のアミノ糖を含む水溶液を加熱することにより、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、及び下記式(4)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を得ることを特徴とするアミノ糖誘導体の製造方法を提供する。

0012

[式(1)中、Acはアセチル基を表す。]

0013

[式(2)中、Acはアセチル基を表す。]

0014

[式(3)中、Acはアセチル基を表す。]

0015

[式(4)中、Acはアセチル基を表す。]

0016

本発明のアミノ糖誘導体の製造方法においては、前記水溶液を加熱するにあたり、該水溶液はホウ酸イオン、及び金属イオンから選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。

0017

また、前記水溶液を加熱するにあたり、該水溶液のpHはpH3〜8であることが好ましい。

0018

また、前記水溶液を加熱するにあたり、該水溶液の温度は70〜130℃であることが好ましい。

0019

また、前記水溶液が、N−アセチルグルコサミン及びN−アセチルマンノサミンからなる群から選ばれた少なくとも1種のアミノ糖を海水又はその調製水に溶解させた水溶液であることが好ましい。

0020

本発明のもう1つは、前記製造方法により製造された下記式(1)で表される化合物、及び下記式(2)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種のアミノ糖誘導体の5位水酸基を変換する工程を含む、

0021

[式(1)中、Acはアセチル基を表す。]

0022

[式(2)中、Acはアセチル基を表す。]

0023

下記式(5)で表される化合物、及び下記式(6)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を得ることを特徴とするアミノ糖誘導体の製造方法を提供する。

0024

[式(5)中、Acはアセチル基を表す。]

0025

[式(6)中、Acはアセチル基を表す。]

0026

更に本発明のもう1つは、下記式(1)で表される化合物、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、下記式(4)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物、及び下記式(6)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする食品素材を提供する。

0027

[式(1)中、Acはアセチル基を表す。]

0028

[式(2)中、Acはアセチル基を表す。]

0029

[式(3)中、Acはアセチル基を表す。]

0030

[式(4)中、Acはアセチル基を表す。]

0031

[式(5)中、Acはアセチル基を表す。]

0032

[式(6)中、Acはアセチル基を表す。]

0033

また、本発明の他の1つは、前記食品素材を含むことを特徴とする甘味料を提供する。

発明の効果

0034

本発明のアミノ糖誘導体の製造方法によれば、非常に簡便な手法で、アミノ糖誘導体、特に、3,6アンヒドロ構造を有するアミノ糖誘導体を高生成率・高収率で製造することができる。また、生体内に存在するアミノ糖を異性化してアミノ糖誘導体を得る方法であるので、得られるアミノ糖誘導体は安全性が高く、食品素材として好適に用いられる。特に、甘味を有していることから甘味料として好適に用いられる。

図面の簡単な説明

0035

N−アセチルグルコサミン及び/又はN−アセチルマンノサミンの異性化反応を示す図表である。
N−アセチルグルコサミン及び/又はN−アセチルマンノサミンからフラノディクチンA及びBを生成する図式である。
製造例1における活性炭セライトクロマトグラフィー溶出画分クロマトグラムである。
試験例1において生成する各化合物の生成率の経時変化を示す図表である。
試験例2において生成する各化合物の生成率の経時変化を示す図表である。
試験例3において生成する各化合物の生成率を出発物質であるN−アセチルグルコサミンの濃度ごとに示す図表である。
試験例4において生成する各化合物の生成率を反応液のホウ酸濃度ごとに示す図表である。
試験例5において反応温度60℃(a)、80℃(b)、又は100℃(c)の反応によって生成する各化合物の生成率の経時変化を示す図表である。
試験例6において生成する各化合物の生成率を反応液中の塩(金属塩)の種類ごとに示す図表である。
試験例7においてpH5.0(a)又はpH4.0(b)のpH条件での反応によって生成する各化合物の生成率の経時変化を示す図表である。
試験例8において海水又はその調製水での反応によって生成する各化合物の生成率を示す図表である。

0036

本発明のアミノ糖誘導体の製造方法においては、まず、N−アセチルグルコサミン及びN−アセチルマンノサミンからなる群から選ばれた少なくとも1種のアミノ糖を含む水溶液を調製する。そしてその水溶液を加熱する。これにより、図1に示すような異性化反応が起こり、N−アセチルグルコサミン及び/又はN−アセチルマンノサミンから、下記式(1)で表される化合物(2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose)、下記式(2)で表される化合物(2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannose)、下記式(3)で表される化合物(クロモゲンI)、及び/又は下記式(4)で表される化合物(2-acetamido-2,3-dideoxy-D-erythro-hex-2-eno-1,4-lactone,Leptosphaerin)が生成する。

0037

[式(1)中、Acはアセチル基を表す。]

0038

[式(2)中、Acはアセチル基を表す。]

0039

[式(3)中、Acはアセチル基を表す。]

0040

[式(4)中、Acはアセチル基を表す。]

0041

以下、簡略化のため、N−アセチルグルコサミンを「GlcNAc」とも称し、N−アセチルマンノサミンを「ManNAc」とも称する。また、上記式(1)で表される化合物を「3,6AN-GNF」とも称し、上記式(2)で表される化合物を「3,6AN-MNF」とも称し、上記式(3)で表される化合物を「Chromogen I」とも称し、上記式(4)で表される化合物を「Leptosphaerin」とも称する。

0042

上記水溶液を加熱するにあたり、上記水溶液には、ホウ酸イオン、及び金属イオンから選ばれた少なくとも1種を含有させることが好ましい。ホウ酸イオンの由来としては、例えば、ホウ酸ホウ酸ナトリウム、及び四ホウ酸二カリウムを好ましく例示できる。金属イオンの種類としては、生成物選択性や収率などを考慮して適宜選択することができるが、例えばCaCl2、MgCl2、MnCl2、ZnCl2などに由来する金属イオンを好ましく例示できる。

0043

上記水溶液中のホウ酸イオン、及び/又は金属イオンの濃度としては、生成物の選択性や収率などを考慮して適宜選択することができるが、ホウ酸イオンにおいて1〜1000mM程度であることが好ましく、5〜600mM程度であることがより好ましく、20〜400mM程度であることが最も好ましい。また、金属イオンにおいて0.01〜1000mM程度であることが好ましく、10〜500mM程度であることがより好ましく、20〜250mM程度であることが最も好ましい。

0044

また、上記水溶液を加熱するにあたり、上記水溶液のpHは、生成物の選択性や収率などを考慮して適宜選択することができるが、pH3〜8程度であることが好ましく、pH4〜7程度であることがより好ましく、pH4〜6程度であることが最も好ましい。なお、後述する実施例で示されるように、上記水溶液を加熱するにあたり、上記水溶液のpHをpH4〜6程度とすると、上記式(1)で表される化合物である2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)の生成率が高められ、その収率の改善が図れる。

0045

また、上記水溶液を加熱するにあたり、上記水溶液の温度は、生成物の選択性や収率などを考慮して適宜選択することができるが、およそ60〜130℃であることが好ましく、およそ70〜120℃であることがより好ましく、およそ80〜100℃であることが最も好ましい。なお、通常当業者に周知の技術によって加圧下に加熱等することで、上記水溶液を、大気圧沸点以上の温度に加熱することができる。

0046

また、上記水溶液を加熱するにあたり、上記水溶液中のN−アセチルグルコサミン及び/又はN−アセチルマンノサミンの濃度は、生成物の選択性や収率などを考慮して適宜選択することができるが、1〜5000mM程度であることが好ましく、50〜500mM程度であることがより好ましく、100〜250mM程度であることが最も好ましい。

0047

更に、上記水溶液として、N−アセチルグルコサミン及びN−アセチルマンノサミンからなる群から選ばれた少なくとも1種のアミノ糖を海水又はその調製水に溶解させた水溶液を用いることもできる。これによれば、後述する実施例で示されるように、上記式(1)で表される化合物である2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)の生成率が高められ、その収率の改善が図れる。

0048

本発明のアミノ糖誘導体の製造方法においては、上記以外の諸条件も、生成物の選択性や収率などを考慮して適宜選択することができる。

0049

本発明のアミノ糖誘導体の製造方法においては、反応途中のサンプルの少量をHPLC分析等することにより、反応の進行状況を適宜確認することができる。

0050

上記のように得られたアミノ糖誘導体は、これを公知の方法によりアシル化することで、下記式(5)で表される化合物フラノディクチンA(furanodictine A)、又は下記式(6)で表される化合物フラノディクチンB(furanodictine B)を得ることができる(図2参照)。

0051

[式(5)中、Acはアセチル基を表す。]

0052

[式(6)中、Acはアセチル基を表す。]

0053

その方法は、アミノ糖誘導体を溶媒存在下あるいは非存在下、アシル化剤の添加によりアシル化を行った後、分配及びクロマトグラフィーなどの分離精製操作をすることで、フラノディクチンを得ることができる。

0054

アシル化剤としては、一般的なアシル化剤を使用することができ、例えば、イソバレリルクロライド、イソバレリルブロマイド、イソバレリルイオダイド無水イソ吉草酸などを好ましく使用できる。

0056

本発明のアミノ糖誘導体の製造方法によれば、上述したように、図1に示すような異性化反応により、上記式(1)で表される化合物、上記式(2)で表される化合物、上記式(3)で表される化合物、及び/又は上記式(4)で表される化合物が生成するので、通常はこれらの化合物が混合したものとして得られる。またもうひとつの発明である図13に示す反応により、上記式(1)で表される化合物から上記式(5)で表される化合物が生成し、また上記式(2)で表される化合物、及び/又は上記式(6)が生成するので、通常はこれらの化合物が混合したものとして得られる。

0057

したがって、目的によっては、これをそのまま用いてもよく、あるいは通常当業者に周知の分離精製手段である、例えば、限外ろ過イオン交換膜電気透析、活性炭、活性炭−セライトクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、ODSクロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー、HPLC等により、脱塩濃縮したり、不純物夾雑物を取り除いたりしてから用いることもできる。あるいは、また、これらの化合物を個別に分離精製して、又は部分的に分離精製して、又は個別に若しくは部分的に分離精製したものを組合せてから用いることもできる。

0058

また、上記のように分離精製して、各化合物の純度を、30質量%程度、より好ましくは70質量%程度、最も好ましくは95質量%程度にまで高めることもできる。

0059

本発明のアミノ糖誘導体の製造方法においては、後述する実施例で示すように、上記水溶液を加熱するときのpH条件、緩衝性イオンの種類、金属イオンの種類、温度条件などを適宜選択することで、目的とする生成物を選択的に高い生成率で生成させることもできる。特に、反応液のpH条件を酸性に設定することで、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)を選択的に高い生成率で生成させることができる。

0060

本発明のアミノ糖誘導体の製造方法によって得られたアミノ糖誘導体、すなわち、上記式(1)で表される化合物、上記式(2)で表される化合物、上記式(3)で表される化合物、及び/又は上記式(4)で表される化合物は、食品用甘味料、食品用乳化剤や化粧品、化成品、界面活性剤など、産業用素材として利用することができる。特に、食品素材として好適である。その形態に特に制限はなく、様々な形態のサプリメントや、一般食品等にも適用できる。

0061

例えばサプリメントの場合であれば、液剤散剤錠剤丸剤細粒剤顆粒剤カプセル剤ゼリーチュアブル、ペースト等として用いることができる。また、アミノ糖誘導体の味、物性に悪影響を与えない範囲で、食品に許容される担体賦形剤、糖類、甘味料、香料酸味料着色料、その他補助添加剤を使用してもよい。

0062

一般食品としては、次のような食品が例示できる。
すなわち、(1)清涼飲料炭酸飲料果実飲料野菜ジュース乳酸菌飲料乳飲料豆乳ミネラルウォーター茶系飲料コーヒー飲料スポーツ飲料アルコール飲料ゼリー飲料等の飲料類、(2)トマトピューレキノコ缶詰乾燥野菜漬物等の野菜加工品、(3)乾燥果実ジャムフルーツピューレ果実缶詰等の果実加工品、(4)カレー粉、わさびショウガスパイスブレンドシーズニング粉等の香辛料、(5)パスタ、うどん、そば、ラーメンマカロニ等の麺類(生麺、乾燥麺含む)、(6)食パン菓子パン調理パンドーナツ等のパン類、(7)アルファー化米オートミールバッター粉等、(8)焼菓子ビスケット米菓子、キャンデーチョコレートチューイングガムスナック菓子冷菓砂糖漬け菓子、和生菓子洋生菓子半生菓子プリンアイスクリーム等の菓子類、(9)小豆豆腐納豆、きな粉、湯葉煮豆ピーナッツ等の豆類製品、(10)蜂蜜ローヤルゼリー加工食品、(11)ハムソーセージベーコン等の肉製品、(12)ヨーグルト、プリン、練乳チーズ発酵乳バター、アイスクリーム等の酪農製品、(13)加工卵製品、(14)干物蒲鉾、ちくわ魚肉ソーセージ等の加工魚や、乾燥わかめ昆布佃煮等の加工海藻や、タラコ、数の子、イクラ、からすみ等の加工魚、(15)だしの素、醤油、酢、みりんコンソメベース中華ベース、濃縮出汁ドレッシングマヨネーズケチャップ味噌等の調味料や、サラダ油ゴマ油、リノール油、ジアシルグリセロール、べにばな油等の食用油脂、(16)スープ粉末液体含む)等の調理半調理食品や、惣菜レトルト食品チルド食品、半調理食品(例えば、炊き込みご飯の素、カニ玉の素)等が挙げられる。

0063

また、本発明のアミノ糖誘導体の製造方法によって得られたアミノ糖誘導体、すなわち、上記式(1)で表される化合物、上記式(2)で表される化合物、及び/又は上記式(3)で表される化合物は、後述する実施例で示されるように甘味を呈することから、甘味料としても好適に用いられる。上記式(1)で表される化合物2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)及び上記式(2)で表される化合物2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannose(3,6AN-MNF)は、かすか苦味を含むさわやかな甘みを有する。上記式(3)で表される化合物クロモゲンI(Chromogen I)は、うすい甘みの中に苦味を有する。上記式(4)で表される化合物は、強い苦味を有するため甘味料としての使用は適さない。その甘味度はそれぞれ、蔗糖の18〜45%であるため、必要に応じて合成甘味料を添加することによって甘味度を高めることができる。これらの甘味質は、それぞれ異なるため、目的に応じて最適なものを使用することが好ましい。

0064

N-アセチルグルコサミン及びN-アセチルマンノサミンは、既に食品素材として市場流通し、その安全性は十分に確かめられている。本発明のアミノ糖誘導体は、これらを異性化して得られるものであることから、安全性が高く、食品素材として好適に用いられる。

0065

以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。

0066

<製造例1>
N−アセチルグルコサミン(5.52g, 25mmol)を0.4Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH7.0, 250mL)に溶解後、100℃で1時間反応を行なった。続いて反応液を、水で平衡化した活性炭−セライトクロマトグラフィー(φ4.5×100cm)に供した。その後、H2O→25%エタノール/H2Oの直線濃度勾配法流速:4.7mL/min)により、目的物を含む吸着画分溶出した。その溶出液チューブに60mLずつ分取後、各フラクションをN−アセチル基に由来する210nmの吸光度で測定した。そのクロマトグラムを図3に示す。

0067

図3中、Cで示す目的画分を含むフラクション108〜114(6480mL〜6840mL)を濃縮し、その一部を重水に溶解して各種NMR分析により構造解析した。

0068

・NMR分析
分析機器:JEOL lamda 500FT NMRspectrometer
外部標準:3-トリメチルシリルプロピン酸ナトリウムTPS)
溶媒:D2O
温度 :25℃
サンプル管:φ3mm
解析条件:1H, 13C,DQF, HSQC, HMBC

0069

その構造解析の結果は以下のとおりであった。
ESIMS:m/z226[M+Na]+ ;1H−NMR(D2O,500MHz):δ5.62(d,0.67H,H−1α),5.44(0.33H,H−1β),4.79(t,0.33H,H−4β),4.76(t,0.67 H,H−4α),4.66(t,0.67H,H−3α),4.52(d,0.33H,H−3β),4.33−4.29(1H,H−5α,H−5β),4.27(t,0.67H,H−2α),4.18(0.33H,H−2β),4.00(dd,0.67H,H−6bα),3.96(t,0.33H,H−6bβ),3.88(t,0.33H,H−6aβ),3.66(t,0.67 H,H−6aα),2.06(s,2.01H,CH3CONH−α),2.02(s,0.99H,CH3CONH−β);13C−NMR(D2O,500MHz):δ177.1(CH3CONH−α),176.8(CH3CONH−β),105.2(C−1β),100.4(C−1α),88.6(C−3β),88.5(C−3α),85.6(C−4β),81.7(C−4α),73.8(C−6β),73.5(C−5β),73.0(C−5α,C−6α),64.7(C−2β),61.5(C−2α),24.60(CH3CONH−β),24.56(CH3CONH−α)。

0070

以上の構造解析の結果から、フラクション108〜114(6480mL〜6840mL)に溶出した物質は、下記式(1)で表される2−アセトアミド−3,6−アンヒドロ−2−デオキシ−D−グルコース(2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose)(α:β=7:3)であることが明らかとなった。

0071

[式(1)中、Acはアセチル基を表す。]

0072

また、酢酸エチルを用いて結晶化を行った。その収率は7.3%(収量:370mg)であり、その形状は白色結晶体であった。

0073

<製造例2>
製造例1における活性炭−セライトクロマトグラフィーの溶出画分のうち、図3中、Bで示す目的画分を含むフラクション94〜101(5640mL〜6060mL)を濃縮し、その一部を重水に溶解して、製造例1と同様にして各種NMR分析により構造解析した。

0074

その構造解析の結果は以下のとおりであった。
融点169−170℃;HRESIMS:m/z226.06747[M+Na]+(calcd for C8H13N1Na1O5,226.06914); 1H−NMR(D2O,500MHz):δ5.53(d,0.39H,H−1α),5.31(d,0.61H,H−1β),4.81(t,0.61H,H−4β),4.70(t,0.39 H,H−4α), 4.65−4.62(1H,H−3α,H−3β),4.42−4.38(1H,H−5α,H−5β),4.35(t,0.39H,H−2α),4.25(t,0.61H,H−2β),4.02(dd,0.61 H,H−6bβ),3.96−3.89(0.78H,H−6bα,H−6aα),3.55(t,0.61H,H−6aβ),2.07(s,1.17H,CH3CONH−α),2.05(s,1.83H,CH3CONH−β);13C−NMR(D2O,500MHz):δ177.2(CH3CONH−β),177.0(CH3CONH−α),103.7(C−1β),98.3(C−1α), 84.7(C−4α),83.5(C−4β),83.0(C−3α), 82.7(C−3β),74.3(C−5β),73.95(C−5α),73.90(C−6β),73.5(C−6α),61.8(C−2β),57.5(C−2α),24.5(CH3CONH−β),24.4(CH3CONH−α)。

0075

以上の構造解析の結果から、フラクション94〜101(5640mL〜6060mL)に溶出した物質は、下記式(2)で表される2−アセトアミド−3,6−アンヒドロ−2−デオキシ−D−マンノース(2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannose)(α:β=4:6)であることが明らかとなった。

0076

[式(2)中、Acはアセチル基を表す。]

0077

また、その収率は8.3%(収量:420mg)であった。更に、その後、エタノールを用いて結晶化を行うことで、白色結晶体(収量:390mg)を得ることができた。

0078

<製造例3>
製造例1における活性炭−セライトクロマトグラフィーの溶出画分のうち、図3中、Dで示す目的画分を含むフラクション139〜170(8340mL〜10,200mL)を濃縮し、その一部を重水に溶解して、製造例1と同様にして各種NMR分析により構造解析した。

0079

その結果、上記フラクションに含まれる物質は、下記式(3)で表されるクロモゲンI(Chromogen I)(α:β=6:4)であることが明らかとなった。

0080

[式(3)中、Acはアセチル基を表す。]

0081

また、酢酸エチル/エタノール=9/1を用いて結晶化を行った。その収率は30%(収量:1500mg)であり、その形状は白色結晶体であった。

0082

<製造例4>
製造例1における活性炭−セライトクロマトグラフィーの溶出画分のうち、図3中、Eで示す目的画分を含むフラクション176〜200(10,560mL〜12,000mL)を濃縮し、その一部を重水に溶解して、製造例1と同様にして各種NMR分析により構造解析した。

0083

その結果、上記フラクションに含まれる物質は、下記式(4)で表される2-acetamido-2,3-dideoxy-D-erythro-hex-2-eno-1,4-lactoneであることが明らかとなった。

0084

[式(4)中、Acはアセチル基を表す。]

0085

また、その収率は4%(収量:203 mg)であり、その形状は白色結晶体であった。

0086

<製造例5>
製造例1のようにして得られた2−アセトアミド−3,6−アンヒドロ−2−デオキシ−D−グルコース(2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose)の150 mgを乾燥後、ピリジン5.0 mlに溶解し、isovalenyl chloride(88 μl)を攪拌しながら滴下し、反応を開始した。2時間後、TLC(クロロホルム:メタノール=26 : 2)で目的物の生成量変化が終了したのを確認した後、クラッシュアイスを加え反応を停止した。その後、0.1 M HCl(60 ml)を加え、この反応液をクロロホルムと水で分配し有機層を分離した。水層をさらにクロロホルムで2回抽出した。得られた有機層を合わせて飽和炭酸水素ナトリウム水溶液飽和食塩水洗浄し、無水硫酸ナトリウム脱水した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ液を濃縮し、クロロホルム : メタノール=27 : 1で平衡化したシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1 × 40 cm)に供した。15 mlずつ分画後、目的物を含むフラクション36〜50を濃縮し、重クロロホルムに溶解してNMR分析により構造解析した。

0087

その構造解析の結果は以下のとおりであった。
1H-NMR(CDCl3, 500MHz, 28°C): δ 5.48 (H-1α), 5.21 (H-1β), 5.00 (H-5β), 4.93 (H-5α), 4.86 (H-4β), 4.81 (H-4α), 4.50 (H-3α), 4.38-4.26 (H-2α, H-3α, H-3β), 4.07-4.37 (H-6α, H-6β), 2.22-2.15 (H-2’α, H-2’β), 2.07-2.00 (H-3’α, H-3’β), 1.97 (CH3CONH-α), 1.94 (CH3CONH-β), 0.91 (H-4’α, H-4’β), 0.90 (H-5’α, H-5’β) ;13C-NMR (CDCl3, 500 MHz, 28°C): δ172.7 (-COO-β), 172.6 (-COO-α), 171.0 (CH3CONH-α), 170.8 (CH3CONH-β), 103.3 (C-1β), 98.0 (C-1α), 86.9 (C-3α), 86.4 (C-3β), 81.4 (C-4β), 77.6 (C-4α), 73.1 (C-5β), 72.2 (C-5α), 70.2 (C-6β), 68.5 (C-6α), 61.5 (C-2β), 58.6 (C-2α), 42.9 (C-2’α), 42.8 (C-2’β), 25.5 (C-3’ α), 25.4 (C-3’β), 22.9 (CH3CONH-α), 22.7 (CH3CONH-β), 22.3 (C-4’α, C-4’ β), 22.2 (C-5’α, C-5’β)。

0088

以上の構造解析の結果から、得られた化合物は、下記式(5)で表されるフラノディクチンA(Furanodictine A)であることが明らかとなった。また、収量は53.7 mgであり収率は25%であった。

0089

[式(5)中、Acはアセチル基を表す。]

0090

<試験例1>
N−アセチルグルコサミンを出発物質にして反応を行ない経時的に反応を追跡した。具体的には、N−アセチルグルコサミン(22.1mg、0.1mmol)を0.4Mホウ酸ナトリウム緩衝液(pH7.0、1mL)に溶解し(100mM)、100℃で反応を行なった。その反応液10μLを経時的(0、5、10、20、40、60、120、180、240分)に採取し、190μLの脱塩水を加えた後、下記条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。

0091

・HPLC分析条件
カラム:Unison UK-Amino(φ4.6×250 mm)
カラム温度:40℃
流速:1.0 mL/min
検出波長:210 nm
溶媒:CH3CN:H2O=95:5

0092

そして、常法に従い、それぞれの化合物について、HPLC分析のピーク面積を、各化合物の濃度標準品に基づく検量線にあてはめることにより定量し、各化合物の生成率を算出した。その結果を図4に示す。

0093

図4に示されるように、上記式(1)で表される化合物
2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)、上記式(2)で表される化合物2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannose(3,6AN-MNF)、上記式(3)で表される化合物クロモゲンI(Chromogen I)、及び上記式(4)で表される化合物2-acetamido-2,3-dideoxy-D-erythro-hex-2-eno-1,4-lactone(Leptosphaerin)で表される化合物のそれぞれの生成量が経時的に増加した。各化合物の生成率を比べると化合物クロモゲンI(Chromogen I)の生成率が最も高かった。

0094

<試験例2>
N−アセチルグルコサミンのかわりにN−アセチルマンノサミンを出発物質として用いた以外は試験例1と同様の試験を行なった。その結果を図5に示す。

0095

図5に示されるように、N−アセチルグルコサミンのかわりにN−アセチルマンノサミンを出発物質にして反応を行なったときにも、上記式(1)で表される化合物
2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)、上記式(2)で表される化合物2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannoseを(3,6AN-MNF)、上記式(3)で表される化合物クロモゲンI(Chromogen I)、及び上記式(4)で表される化合物2-acetamido-2,3-dideoxy-D-erythro-hex-2-eno-1,4-lactone(Leptosphaerin)で表される化合物のそれぞれの生成量が経時的に増加した。各化合物の生成率を比べると化合物クロモゲンI(Chromogen I)の生成率が最も高かった。

0096

<試験例3>
出発物質の反応液中での濃度が各化合物の生成反応にどのような影響を与えるかを調べた。具体的には、反応前のN−アセチルグルコサミンの反応液中での濃度を7.8、15.6、31.3、62.5、125、250、500、1000、2000mMと変化させて、更に、反応時間を2時間に設定した以外は試験例1と同様にして反応を行ない、HPLCで各化合物の生成率を分析した。その結果を図6に示す。

0097

図6に示されるように、出発物質であるN−アセチルグルコサミンの濃度が1000、2000mMと高い場合には各化合物の生成率は低く、濃度が低くなるにつれて各化合物の生成率がより高くなった。ただし、62.5mM付近においてその生成率の増加は頭打ちとなった。

0098

<試験例4>
反応液のホウ酸イオン濃度が各化合物の生成反応にどのような影響を与えるかを調べた。具体的には、反応液のホウ酸イオン濃度を0、4.7、9.4、18.8、37.5、75、150、300、600mMと変化させて、更に、反応時間を2時間に設定した以外は試験例1と同様にして反応を行ない、HPLCで各化合物の生成率を分析した。その結果を図7に示す。

0099

図7に示されるように、反応液のホウ酸イオン濃度が0、4.7mMと低い場合には各化合物の生成率は低く、濃度が高くなるにつれて各化合物の生成率がより高くなった。ただし、150-300mM付近においてその生成率の増加は頭打ちとなった。

0100

<試験例5>
反応温度が各化合物の生成反応にどのような影響を与えるかを調べた。具体的には、反応温度を60、80、100℃と変化させた場合について、試験例1と同様にして試験を行なった。なお、反応時間は0、1、2、3、4、5、6、12時間に設定した。その結果を図8a〜cに示す。

0101

図8aに示されるように、反応温度が60℃のときは、各化合物の生成率が低く、12時間反応させてもほとんど生成物が得られなかった。これに対して、図8b、cに示されるように、反応温度を80、100℃と高くするにつれて各化合物の生成率がより高くなった。

0102

<試験例6>
反応液への金属塩等の塩の添加が各化合物の生成反応にどのような影響を与えるかを調べた。具体的には、試験例1で用いたホウ酸ナトリウム緩衝液に代えて、濃度100mMで各種金属塩等の塩を含む水溶液を反応液とし、反応を行なった。塩としては、AlCl3(pH2)、CuCl2(pH3)、FeCl3(pH2)、NaCl(pH2)、KCl(pH7)、LiCl(pH8)、CaCl2(pH7)、MgCl2(pH7)、MnCl2(pH7)、又はZnCl2(pH7)を用いた。また、反応液として150mMホウ酸ナトリウム緩衝液(pH7)を用いる場合を、それぞれコントロールとした。反応時間は2時間に設定し試験例1と同様に各化合物の生成率を求めた。なお、各塩を添加したときの反応液の最終pHは、各塩のpH特性に起因して、上記各塩についてのカッコ中に示すものに設定された。その結果を図9に示す。

0103

図9に示されるように、塩としてAlCl3、CuCl2、又はFeCl3を用いた場合、ほとんど変換が起こらなかった。これは、後述するpHによる影響の結果を考え合わせると、反応液のpHがpH2又はpH3と低いことに原因があると考えられた。また、塩としてNaCl、KCl、LiCl、CaCl2、又はMgCl2を用いた場合には、低い生成率であった。

0104

これに対して、MnCl2又はZnCl2を用いた場合には、各化合物の生成率がより高くなった。そして、ZnCl2では、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)とクロモゲンI(Chromogen I)への変換のみ起こり、ホウ酸ナトリウム緩衝液を用いた場合に最も変換割合が高いクロモゲンI(Chromogen I)への変換割合が減少した。また、ホウ酸ナトリウム緩衝液を用いた場合に起こる2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannoseを(3,6AN-MNF)への変換がほとんど見られなかった。

0105

また、MnCl2では、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)への変換のみ起こり、ホウ酸ナトリウム緩衝液を用いた場合に起こる2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannoseを(3,6AN-MNF)やクロモゲンI(Chromogen I)への変換がほとんど見られなかった。

0106

以上の結果から、用いる塩(金属塩)の種類の選択によって各生成物への変換割合が変わること、及び目的とする生成物を選択的に生成させることができることが明らかとなった。また、MnCl2やZnCl2を含む反応液を用いることによって、特に、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)を選択的に高い生成率で生成させることができることが明らかとなった。

0107

<試験例7>
反応液としてpH4.0又はpH5.0のホウ酸ナトリウム緩衝液を用い、反応時間を0, 240, 540分に設定した以外は試験例1と同様にして反応を行ない、HPLCで各化合物の生成率を分析した。なお、反応温度をオートクレーブを用いて121℃に設定し、反応時間を1時間に設定した場合についても合わせて検討した。その結果を図10a、bに示す。

0108

図10aに示されるように、反応温度を121℃に設定し、反応時間を1時間に設定した場合の結果を参照すると、pH5.0の反応条件では、
2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)の生成率は39%であり、中性付近のpH条件の反応液を用いた場合に最も変換割合が高いクロモゲンI(Chromogen I)の生成率よりも高くなった。そして、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannoseを(3,6AN-MNF)への変換はほとんど起こらなかった。このような傾向は、反応温度100℃で反応した場合にも同様に認められた。

0109

また、図10bに示されるように、pH4.0の反応条件では、クロモゲンI(Chromogen I)の生成率が更に低下し、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)の生成率(26%)のほうが、相対的により高くなった。そして、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannoseを(3,6AN-MNF)への変換はほとんど起こらなかった。このような傾向は、反応温度100℃で反応した場合にも同様に認められた。

0110

以上の結果から、反応液のpH条件の選択によって各生成物への変換割合が変わること、及び目的とする生成物を選択的に生成させることができることが明らかとなった。特に、反応液のpH条件をpH4.0-5.0付近に設定することで、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)を選択的に高い生成率で生成させることができることが明らかとなった。

0111

<試験例8>
試験例7の結果から、反応液のpH条件をpH4.0-5.0付近に設定することで、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)を選択的に高い生成率で生成させることができることが明らかとなったが、121℃での反応に比べて100℃では、その収率が低かった。そこで、ホウ酸ナトリウム緩衝液に代えて海水を用いて反応を試みた。なお、反応温度は100℃、反応時間は4時間とした。また、海水から電気透析の処理をして調製した硬水、海水から逆浸透膜の処理をして調製した濃水についても反応を試みた。そして、試験例1と同様にして各化合物の生成率を求めた。その結果を図11に示す。

0112

図11に示されるように、反応液として海水、硬水、又は濃水を用いた場合には、pH7のホウ酸ナトリウム緩衝液を用いた場合と同等又はそれ以上の生成率で2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)への変換が起こった。加えて、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannoseを(3,6AN-MNF)への変換がほとんどなくなり、クロモゲンI(Chromogen I)への変換も顕著に減少した。

0113

以上の結果から、反応液として海水又はその調製水を用いることで、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)の生成率が高められ、その収率の改善が図れることが明らかとなった。

0114

<実施例1>
アミノ糖誘導体2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannose(3,6AN-MNF)、及びクロモゲンI(Chromogen I)について、蔗糖の甘味を基準にした甘味度、及び甘味質に関する官能評価を行った。

0115

その結果、下記表1に示すように、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-glucose(3,6AN-GNF)、2-acetamido-3,6-anhydro-2-deoxy-D-mannose(3,6AN-MNF)、及びクロモゲンI(Chromogen I)の、蔗糖の甘味を100としたときの甘味度は、それぞれ、26、45、及び18%であった。

0116

実施例

0117

また、甘味質については、それぞれ、「苦味を含むさわやかな甘味」(3,6AN-GNF)、「かすかな苦味を含むさわやかな甘味」(3,6AN-MNF)、「強い苦味を含むかすかな甘味」(Chromogen I)との評価が得られ、これらは甘味料等の食品素材として有用であることが示された。

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