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技術 金属製板材の接合構造

出願人 マツダ株式会社
発明者 麻川元康杉本幸弘田中耕二郎江崎達哉
出願日 2009年6月25日 (11年0ヶ月経過) 出願番号 2009-150737
公開日 2011年1月13日 (9年5ヶ月経過) 公開番号 2011-007250
状態 特許登録済
技術分野 軸(棒・管)立て構造と接着・溶接・溶着による結合 溶融金属による被覆
主要キーワード クラック面 線状痕 上下両端縁 車体フレーム部材 引張りせん断 下端フランジ ニッケルめっき被膜 幅方向他方
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年1月13日)のものです。
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図面 (20)

課題

金属製板材同士を少なくとも接着剤によって接合した金属製板材の接合構造において、金属製板材としての合金化溶融亜鉛めっき鋼板材合金化溶融亜鉛めっき層素地鋼板との界面から剥離するのを効率的に抑制する。

解決手段

合金化溶融亜鉛めっき層11b,12fの表面の接着剤塗布部11c,12gに、接着剤2の長さ方向に延びる条痕11d,12hを形成する。

概要

背景

金属製板材同士を少なくとも接着剤によって接合した金属製板材の接合構造が従来技術として知られている。車両の車体や家電などにおいては、軽量化や高強度化防錆などの観点から、金属製板材として様々なものが用いられている。特に、車体では、金属製板材として、用途が多岐にわたり且つ長期間使用しても初期品質が維持されるものが要求される。

この要求を満たすため、車体においては、金属製板材として溶融亜鉛めっき鋼板材(GIめっき鋼板材)が以前から用いられてきたが、近年では、溶融亜鉛めっき鋼板材を所定の条件で熱処理することにより、めっき層中の亜鉛鋼板母材成分の鉄とを合金化させた合金化溶融亜鉛めっき鋼板材(GAめっき鋼板材)が用いられるケースが増加している。この合金化溶融亜鉛めっき鋼板材を用いれば、上述のように合金化させたことにより合金化溶融亜鉛めっき層耐食性が向上し、また、他の金属製板材とスポット溶接した場合、GIめっき鋼板材と比較して、スポット溶接用電極汚れ損耗が少なく、生産性に悪影響を及ぼしにくい。

しかしながら、例えば、特許文献1に示されるように、そのように合金化されることによりΓ相が生成して、このΓ相が比較的脆弱であるため、合金化溶融亜鉛めっき層が鋼板母材との界面から剥離しやすいという問題がある。

この問題を解決するため、特許文献1のものでは、合金化溶融亜鉛めっき鋼板材において、平均クラック幅が0.001〜5.0μmの微小クラッククラック面積分率で5〜80%の密度で存在する亜鉛系合金電気めっき薄膜層下地層として形成している。

特許文献2のものでは、合金化溶融亜鉛めっき層の直下の鋼板母材表面に粒界酸化層由来クラックを生じさせることにより、合金化溶融亜鉛めっき層と鋼板母材との密着性を上げようとしている。

特許文献3のものでは、亜鉛めっきではないが、ニッケルめっきを施した鋼板電解エッチングしてその表面に素地鋼板ニッケルめっき被膜とが混在して露出した粗面化鋼板を開示している。

概要

金属製板材同士を少なくとも接着剤によって接合した金属製板材の接合構造において、金属製板材としての合金化溶融亜鉛めっき鋼板材の合金化溶融亜鉛めっき層が素地鋼板との界面から剥離するのを効率的に抑制する。合金化溶融亜鉛めっき層11b,12fの表面の接着剤塗布部11c,12gに、接着剤2の長さ方向に延びる条痕11d,12hを形成する。

目的

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属製板材同士を少なくとも接着剤によって接合した金属製板材の接合構造において、金属製板材としての合金化溶融亜鉛めっき鋼板材の合金化溶融亜鉛めっき層が素地鋼板との界面から剥離するのを効率的に抑制することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

金属製板材同士を少なくとも接着剤によって接合した金属製板材の接合構造であって、上記金属製板材のうち少なくとも一方は、素地鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層が形成された合金化溶融亜鉛めっき鋼板材であり、上記合金化溶融亜鉛めっき層の表面における上記接着剤の塗布部分には、該接着剤の長さ方向に延びる溝及び上記接着剤の長さ方向に列状に並ぶ複数の穴のうち少なくとも一方からなる孔部が形成されていることを特徴とする金属製板材の接合構造。

請求項2

請求項1記載の金属製板材の接合構造において、上記孔部は、上記接着剤の長さ方向と平行に延びて上記合金化溶融亜鉛めっき層の表面から上記素地鋼板の表面まで達するもの及び上記接着剤の長さ方向に対して所定角度傾斜して延びて上記合金化溶融亜鉛めっき層の表面から上記素地鋼板の表面まで達するもののうち少なくとも一方からなることを特徴とする金属製板材の接合構造。

請求項3

請求項1又は2記載の金属製板材の接合構造において、上記孔部は、その密度が上記接着剤の幅方向両端側が中央側よりも高くなるように複数形成されていることを特徴とする金属製板材の接合構造。

請求項4

請求項1又は2記載の金属製板材の接合構造において、上記孔部は、その密度が上記接着剤の幅方向中央側が両端側よりも高くなるよう複数形成されていることを特徴とする金属製板材の接合構造。

技術分野

0001

本発明は、金属製板材同士を少なくとも接着剤によって接合した金属製板材の接合構造に関するものである。

背景技術

0002

金属製板材同士を少なくとも接着剤によって接合した金属製板材の接合構造が従来技術として知られている。車両の車体や家電などにおいては、軽量化や高強度化防錆などの観点から、金属製板材として様々なものが用いられている。特に、車体では、金属製板材として、用途が多岐にわたり且つ長期間使用しても初期品質が維持されるものが要求される。

0003

この要求を満たすため、車体においては、金属製板材として溶融亜鉛めっき鋼板材(GIめっき鋼板材)が以前から用いられてきたが、近年では、溶融亜鉛めっき鋼板材を所定の条件で熱処理することにより、めっき層中の亜鉛鋼板母材成分の鉄とを合金化させた合金化溶融亜鉛めっき鋼板材(GAめっき鋼板材)が用いられるケースが増加している。この合金化溶融亜鉛めっき鋼板材を用いれば、上述のように合金化させたことにより合金化溶融亜鉛めっき層耐食性が向上し、また、他の金属製板材とスポット溶接した場合、GIめっき鋼板材と比較して、スポット溶接用電極汚れ損耗が少なく、生産性に悪影響を及ぼしにくい。

0004

しかしながら、例えば、特許文献1に示されるように、そのように合金化されることによりΓ相が生成して、このΓ相が比較的脆弱であるため、合金化溶融亜鉛めっき層が鋼板母材との界面から剥離しやすいという問題がある。

0005

この問題を解決するため、特許文献1のものでは、合金化溶融亜鉛めっき鋼板材において、平均クラック幅が0.001〜5.0μmの微小クラッククラック面積分率で5〜80%の密度で存在する亜鉛系合金電気めっき薄膜層下地層として形成している。

0006

特許文献2のものでは、合金化溶融亜鉛めっき層の直下の鋼板母材表面に粒界酸化層由来クラックを生じさせることにより、合金化溶融亜鉛めっき層と鋼板母材との密着性を上げようとしている。

0007

特許文献3のものでは、亜鉛めっきではないが、ニッケルめっきを施した鋼板電解エッチングしてその表面に素地鋼板ニッケルめっき被膜とが混在して露出した粗面化鋼板を開示している。

先行技術

0008

特開平5−171391号公報
特開平9−31619号公報
特開2004−307951号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、特許文献1のものでは、亜鉛系合金電気めっき薄膜層は合金化溶融亜鉛めっき層の下地であるため、合金化溶融亜鉛めっき層にΓ相が存在していることに変わりはなく、合金化溶融亜鉛めっき鋼板材を接着剤によって他の金属製板材と接合した場合、脆弱なΓ相によって合金化溶融亜鉛めっき層が鋼板母材の界面から剥離してしまう虞がある。

0010

また、特許文献2及び3のものは、鋼板材全体を上述のような性状に処理したものであるため、そのような鋼板材を部分的に接着剤によって他の金属製板材と接合した場合、鋼板材に無駄な処理面が残ることになり、これは効率的ではない。

0011

さらに、特許文献1及び2に示すクラックは、厳しい腐食環境下に置かれる、金属製板材の端縁部にも形成されるため、防錆上、好ましくない。

0012

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、金属製板材同士を少なくとも接着剤によって接合した金属製板材の接合構造において、金属製板材としての合金化溶融亜鉛めっき鋼板材の合金化溶融亜鉛めっき層が素地鋼板との界面から剥離するのを効率的に抑制することにある。また、防錆性を確保することにある。

課題を解決するための手段

0013

第1の発明は、金属製板材同士を少なくとも接着剤によって接合した金属製板材の接合構造であって、上記金属製板材のうち少なくとも一方は、素地鋼板の表面に合金化溶融亜鉛めっき層が形成された合金化溶融亜鉛めっき鋼板材であり、上記合金化溶融亜鉛めっき層の表面における上記接着剤の塗布部分には、該接着剤の長さ方向に延びる溝及び上記接着剤の長さ方向に列状に並ぶ複数の穴のうち少なくとも一方からなる孔部が形成されていることを特徴とするものである。

0014

これによれば、合金化溶融亜鉛めっき層の表面における接着剤の塗布部分に、接着剤の長さ方向に延びる溝及び接着剤の長さ方向に列状に並ぶ複数の穴のうち少なくとも一方からなる孔部を形成しているので、この孔部には接着剤が充填されることになる。そして、合金化溶融亜鉛めっき層が素地鋼板との界面から剥離すると、接着剤は強度や伸び性が比較的高いので、孔部に充填された接着剤がその剥離の妨げとなり、剥離が一気に起こらない。

0015

また、合金化溶融亜鉛めっき層の表面における接着剤の塗布部分に孔部を形成しているので、合金化溶融亜鉛めっき層の表面における接着剤の塗布部分以外の部分にも孔部を形成する場合と比較して、無駄な孔部を少なくすることができる。

0016

以上により、合金化溶融亜鉛めっき層が素地鋼板との界面から剥離するのを効率的に抑制することができる。

0017

第2の発明は、上記第1の発明において、上記孔部は、上記接着剤の長さ方向と平行に延びて上記合金化溶融亜鉛めっき層の表面から上記素地鋼板の表面まで達するもの及び上記接着剤の長さ方向に対して所定角度傾斜して延びて上記合金化溶融亜鉛めっき層の表面から上記素地鋼板の表面まで達するもののうち少なくとも一方からなることを特徴とするものである。

0018

これによれば、孔部は、合金化溶融亜鉛めっき層の表面から素地鋼板の表面まで達するものからなるので、孔部に充填された接着剤は、合金化溶融亜鉛めっき層の表面から素地鋼板の表面まで達することになる。このため、孔部に充填された接着剤が確実に合金化溶融亜鉛めっき層の剥離の妨げとなり、合金化溶融亜鉛めっき層が素地鋼板との界面から剥離するのを確実に抑制することができる。尚、強度向上のメカニズムについては、以下に示す実施例のデータに基づいて後述する。

0019

第3の発明は、上記第1又は2の発明において、上記孔部は、その密度が上記接着剤の幅方向両端側が中央側よりも高くなるように複数形成されていることを特徴とするものである。

0020

ところで、合金化溶融亜鉛めっき鋼板材では、荷重をかけると、接着剤の幅方向両端側に応力分布が高度に局在化する。

0021

ここで、本発明によれば、孔部を、その密度が接着剤の幅方向両端側が中央側よりも高くなるように複数形成しているので、接着剤の幅方向両端側の孔部の数が比較的多くなり、接着剤の幅方向両端側に応力分布が高度に局在化するのを抑制することができる。

0022

第4の発明は、上記第1又は2の発明において、上記孔部は、その密度が上記接着剤の幅方向中央側が両端側よりも高くなるよう複数形成されていることを特徴とするものである。

0023

ところで、合金化溶融亜鉛めっき鋼板材では、接着剤の幅方向両端側が中央側よりも厳しい腐食環境下に置かれる。

0024

ここで、本発明によれば、孔部を、その密度が接着剤の幅方向中央側が両端側よりも高くなるよう複数形成しているので、厳しい腐食環境下に置かれる、接着剤の幅方向両端側の、孔部の数が比較的少なくなり、接着剤の幅方向両端側の素地鋼板の露出が比較的少なくなる。このため、防錆性を確保することができる。

発明の効果

0025

本発明によれば、合金化溶融亜鉛めっき層の表面における接着剤の塗布部分に、接着剤の長さ方向に延びる溝及び接着剤の長さ方向に列状に並ぶ複数の穴のうち少なくとも一方からなる孔部を形成しているので、この孔部には接着剤が充填されることになり、そして、合金化溶融亜鉛めっき層が素地鋼板との界面から剥離すると、接着剤は強度や伸び性が比較的高いので、孔部に充填された接着剤がその剥離の妨げとなり、剥離が一気に起こらず、また、合金化溶融亜鉛めっき層の表面における接着剤の塗布部分に孔部を形成しているので、合金化溶融亜鉛めっき層の表面における接着剤の塗布部分以外の部分にも孔部を形成する場合と比較して、無駄な孔部を少なくすることができ、以上により、合金化溶融亜鉛めっき層が素地鋼板との界面から剥離するのを効率的に抑制することができる。

図面の簡単な説明

0026

本発明の実施形態に係る金属製板材の接合構造を備えた車体の斜視図である。
フロアパネルサイドシル及びセンターピラーとの接合部を車室側から見た斜視図である。
フロアパネルの側端フランジサイドシルインナ下端フランジとの接合部を車両前後方向と直角をなす平面に沿って切った断面図である。
フロアパネル側端フランジの合金化溶融亜鉛めっき層の表面における接着剤が塗布される部分に形成された条痕を示す平面図である。
条痕の変形例を示す図である。
条痕の変形例を示す図である。
条痕の変形例を示す図である。
条痕の変形例を示す図4相当図である。
条痕の変形例を示す図4相当図である。
条痕の変形例を示す図4相当図である。
孔部を示す図である。
実施例及び比較例に係る試験片を示す図であり、(a)は、その平面図、(b)は、その側面図である。
実施例1に係る線状痕を示す平面図である。
実施例2に係る線状痕を示す平面図である。
実施例3に係る線状痕を示す平面図である。
実施例4に係る線状痕を示す平面図である。
実施例5に係る線状痕を示す平面図である。
実施例及び比較例に係る試験片に対して行った引張りせん断強度試験を示す説明図である。
実施例2及び比較例1に係る試験片の荷重変位曲線を示すグラフ図である。
試験片の、荷重差分変位との関係を示すグラフ図であり、(a)は、実施例2に係るものを、(b)は、比較例1に係るものを、それぞれ示す図である。

0027

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

0028

図1は、本発明の実施形態に係る金属製板材の接合構造を備えた車体の斜視図であり、この車体1は、ルーフ10と、フロアパネル11(金属製板材)と、このフロアパネル11の車幅方向両端縁部にそれぞれ結合されたサイドシル12(図1では車両左側のもののみ図示)と、ルーフ10とサイドシル12との間に立設されたセンターピラー13(図1では車両左側のもののみ図示)とを備えており、このセンターピラー13の上端部はルーフサイドレール(不図示)に、その下端部はサイドシル12に、それぞれ結合されている。ルーフ10、フロアパネル11、サイドシル12、及びセンターピラー13は、いずれも、素地鋼板の表面全体に合金化溶融亜鉛めっき層(以下、GAめっき層ともいう)が形成された合金化溶融亜鉛めっき鋼板材(以下、GAめっき鋼板材ともいう)からなる。

0029

図2は、フロアパネル11と車両右側のサイドシル12及びセンターピラー13との接合部を車室側から見た斜視図であり、サイドシル12は車幅方向外側に配置されたサイドシルアウタ12aと車幅方向内側に配置されたサイドシルインナ12b(金属製板材)とで、センターピラー13は車幅方向外側に配置されたセンターピラーアウタ13aと車幅方向内側に配置されたセンターピラーインナ13bとで、それぞれ構成されている。

0030

センターピラーアウタ13aの下端部はサイドシルアウタ12aに接合されている一方、センターピラーインナ13bの下端部はサイドシルアウタ12aとサイドシルインナ12bとの間に挟持されていて、サイドシルアウタ12aの上下両端縁部にそれぞれ一体形成された上端及び下端フランジ12c,12dに接合されている。

0031

サイドシルインナ12bの下端縁部には、上下方向に延びる下端フランジ12eが一体形成されており、この下端フランジ12eにおける車幅方向内側の面は、フロアパネル11の車幅方向両端縁部に上下方向に延びるようにそれぞれ一体形成された側端フランジ11aにおける車幅方向外側の面に接合されている。下端フランジ12e及び側端フランジ11aの長さ方向(長手方向)は車両前後方向に略一致している一方、その幅方向(短手方向)は上下方向に略一致している。

0032

サイドシルインナ12bの車幅方向内側の面及びフロアパネル11の上面に跨って、ガセット14がその外縁部に形成された外縁フランジ14aを介してスポット溶接で接合されている。

0033

以下、フロアパネル11の側端フランジ11aとサイドシルインナ12bの下端フランジ12eとの接合部について詳細に説明する。

0034

フロアパネル11の側端フランジ11aとサイドシルインナ12bの下端フランジ12eとは、接着剤2(図3を参照)及びスポット溶接(不図示)によってウエルドボンド接合されている。接着剤2は、フロアパネル11の側端フランジ11aとサイドシルインナ12bの下端フランジ12eとの間にその長さ方向且つ幅方向略全体にわたって塗布されている。接着剤2の長さ方向(長手方向)は車両前後方向に略一致している一方、その幅方向(短手方向。接着剤2の長さ方向と直交する方向)は上下方向に略一致している。スポット溶接は、側端フランジ11a及び下端フランジ12eに対してその長さ方向に間隔を開けて複数箇所で行われている。

0035

図3図4に示すように、フロアパネル11側端フランジ11aのGAめっき層11bの表面における接着剤2が塗布される部分(即ち、接着剤が接触配置される部分。以下、接着剤塗布部という)11cには、その接着剤塗布部11cに接着剤2を塗布する前において、接着剤2の長さ方向(図3では紙面表裏方向)に延びる溝としての条痕11d(孔部)が複数形成されている。この条痕11dは、接着剤2の長さ方向と平行に延びて接着剤塗布部11cにおける接着剤2の長さ方向一端から他端まで達する直線状のものであって、GAめっき層11bの表面から素地鋼板11eの表面(GAめっき層11bと素地鋼板11eとの界面)まで達するものである。条痕11dには、接着剤塗布部11cに接着剤2を塗布した後において、接着剤2が充填される。以下、条痕11dに充填された接着剤2を接着剤20という。尚、図4では、図を見やすくするため、条痕11dを線で図示している。以下に示す図5図11図13図16についても、同様である。

0036

サイドシルインナ12b下端フランジ12eのGAめっき層12fの表面における接着剤2が塗布される部分(以下、接着剤塗布部という)12gには、その接着剤塗布部12gに接着剤2を塗布する前において、接着剤2の長さ方向(図3では紙面表裏方向)に延びる溝としての条痕12h(孔部)が複数形成されている。この条痕12hは、上記条痕11dと同様、接着剤2の長さ方向と平行に延びて接着剤塗布部12gにおける接着剤2の長さ方向一端から他端まで達する直線状のものであって、GAめっき層12fの表面から素地鋼板12iの表面(GAめっき層12fと素地鋼板12iとの界面)まで達するものである。条痕12hには、接着剤塗布部12gに接着剤2を塗布した後において、接着剤2が充填される。以下、条痕12hに充填された接着剤2を接着剤21という。尚、図3では、フロアパネル11側端フランジ11a側の条痕11dとサイドシルインナ12b下端フランジ12e側の条痕12hとを対向配置しているが、接着剤2の幅方向にずらして配置してもよい。

0037

ところで、フロアパネル11の側端フランジ11aとサイドシルインナ12bの下端フランジ12eとの接合部では、その下部が上部よりも厳しい腐食環境下に置かれる。これは、その接合部の下部は雨水が溜まりやすいこと、接合部の下部は路面からの水の跳ね上がりを受けやすいことなどによる。そこで、条痕11d,12hは、その密度が接着剤2の上端側が下端側よりも高くなるように(即ち、その数が接着剤2の上端側が下端側よりも多くなるように)形成されている。これによれば、厳しい腐食環境下に置かれる、接着剤2の下端側の、条痕11d,12hの数が比較的少なくなり、接着剤2の下端側の、素地鋼板11e,12iの露出が比較的少なくなる。このため、防錆性が確保される。

0038

そして、車両衝突荷重などの荷重がフロアパネル11の側端フランジ11aとサイドシルインナ12bの下端フランジ12eとの接合部にかかるなどして、GAめっき層11b,12fが、素地鋼板11e,12iとの界面における接着剤塗布部11c,12gの端縁部に対応する部分から剥離すると、接着剤2は強度や伸び性が比較的高いため、条痕11d,12hに充填された接着剤20,21がその剥離の妨げとなり、剥離は一気に起こらない。特に、GAめっき層11b,12fが、素地鋼板11e,12iとの界面における接着剤塗布部11c,12gの幅方向端部に対応する部分からその幅方向に剥離すると、接着剤2の幅方向に並ぶ複数の条痕11d,12hに充填された接着剤20,21がその剥離の妨げとなり、剥離は段階的に起こる。

0039

−効果−
以上により、本実施形態によれば、合金化溶融亜鉛めっき層11b,12fの表面の接着剤塗布部11c,12gに、接着剤2の長さ方向に延びる条痕11d,12hを形成しているので、この条痕11d,12hには接着剤2が充填されることになる。そして、合金化溶融亜鉛めっき層11b,12fが素地鋼板11e,12iとの界面から剥離すると、接着剤2は強度や伸び性が比較的高いので、条痕11d,12hに充填された接着剤20,21がその剥離の妨げとなり、剥離が一気に起こらない。

0040

また、合金化溶融亜鉛めっき層11b,12fの表面の接着剤塗布部11c,12gに条痕11d,12hを形成しているので、合金化溶融亜鉛めっき層11b,12fの表面の接着剤塗布部11c,12g以外の部分にも条痕11d,12hを形成する場合と比較して、無駄な条痕11d,12hを少なくすることができる。

0041

以上により、合金化溶融亜鉛めっき層11b,12fが素地鋼板11e,12iとの界面から剥離するのを効率的に抑制することができる。

0042

また、条痕11d,12hは、合金化溶融亜鉛めっき層11b,12fの表面から素地鋼板11e,12iの表面まで達するものからなるので、条痕11d,12hに充填された接着剤20,21は、合金化溶融亜鉛めっき層11b,12fの表面から素地鋼板11e,12iの表面まで達することになる。このため、条痕11d,12hに充填された接着剤20,21が確実に合金化溶融亜鉛めっき層11b,12fの剥離の妨げとなり、合金化溶融亜鉛めっき層11b,12fが素地鋼板11e,12iとの界面から剥離するのを確実に抑制することができる。

0043

(その他の実施形態)
上記実施形態では、本発明に係る金属製板材の接合構造を、フロアパネル11の側端フランジ11aとサイドシルインナ12bの下端フランジ12eとの接合部に適用しているが、これに限らない。例えば、この接合部以外の、車体パネル部材の端面と車体フレーム部材のフランジとの接合部や、ダッシュパネル後端部とフロアパネルの前端部との接合部等、車体パネル部材の端面同士の接合部、ルーフサイドレールやサイドシル等の閉断面構造をなす車体部材を構成する構成部材のフランジ同士の接合部などに適用してもよい。あるいは、家電部材など、車体部材以外の部材の接合部に適用してもよい。

0044

また、上記実施形態では、フロアパネル11の側端フランジ11aとサイドシルインナ12bの下端フランジ12eとを接着剤2及びスポット溶接によってウエルドボンド接合しているが、フロアパネル11の側端フランジ11aとサイドシルインナ12bの下端フランジ12eとを少なくとも接着剤2によって接合すればよい。これによれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。

0045

また、上記実施形態では、フロアパネル11及びサイドシルインナ12bの両方をGAめっき鋼板材で構成しているが、それらのうち一方のみをGAめっき鋼板材で構成してもよい。

0046

また、上記実施形態では、条痕11d,12hを、フロアパネル11の側端フランジ11aの接着剤塗布部11c及びサイドシルインナ12bの下端フランジ12eの接着剤塗布部12gにそれぞれ形成しているが、それらのうち一方のみに形成してもよい。

0047

また、上記実施形態では、条痕11d,12hは、接着剤2の長さ方向に延びる直線状のものであるが、これに限らない。例えば、図5に示すように、条痕11d,12hは、接着剤2の長さ方向に延びる波状のものであってもよい。あるいは、図6に示すように、条痕11d,12hは、接着剤2の長さ方向に延びるジグサグ状のものであってもよい。あるいは、図7に示すように、条痕11d,12hは、接着剤2の長さ方向に延びる連続ループ状のものであってもよい。

0048

また、上記実施形態では、条痕11d,12hは、接着剤2の長さ方向と平行に延びるものであるが、接着剤2の長さ方向に対して所定角度傾斜して延びるものであってもよい。あるいは、それらが混在してもよい。例えば、図8に示すように、フロアパネル11の側端フランジ11aの条痕を、接着剤2の長さ方向と平行に延びる直線状の2本の条痕11fと、これらの条痕11f,11fの間に接着剤2の長さ方向に列状に並ぶ、条痕11fと交差しないX状の複数の条痕11gとで構成してもよい。このX状の条痕11gは、接着剤2の長さ方向に対してその幅方向一方側に所定角度傾斜して延びる直線状の1本の条痕11hと、接着剤2の長さ方向に対してその幅方向他方側に上記所定角度傾斜して延びる直線状の1本の条痕11iとからなる。尚、サイドシルインナ12bの下端フランジ12eの条痕については、図示省略するが、図8に示す条痕11f,11gと同様の構成である。このように、接着剤2の長さ方向と平行に延びる条痕11fと接着剤2の長さ方向に対して所定角度傾斜して延びる条痕11h,11iとが混在すれば、GAめっき層11b,12fが素地鋼板11e,12iとの界面からあるゆる方向に剥離しても、その剥離を抑制することができる。

0049

また、上記実施形態では、条痕11d,12hを、その密度が接着剤2の上端側が下端側よりも高くなるように形成しているが、これに限らない。例えば、図9に示すように、条痕11dを、その密度が接着剤2の幅方向両端側が中央側よりも高くなるように(即ち、その数が接着剤2の幅方向両端側が中央側よりも多くなるように)形成してもよい。尚、条痕12hについては、図示省略するが、図9に示す条痕11dと同様の構成である。これによれば、条痕11d,12hを、その密度が接着剤2の幅方向両端側が中央側よりも高くなるように複数形成しているので、接着剤2の幅方向両端側の条痕11d,12hの数が比較的多くなり、接着剤2の幅方向両端側に応力分布が高度に局在化するのを抑制することができる。

0050

あるいは、図10に示すように、条痕11dを、その密度が接着剤2の幅方向中央側が両端側よりも高くなるように(即ち、その数が接着剤2の幅方向中央側が両端側よりも多くなるように)形成してもよい。尚、条痕12hについては、図示省略するが、図10に示す条痕11dと同様の構成である。これによれば、条痕11d,12hを、その密度が接着剤2の幅方向中央側が両端側よりも高くなるよう複数形成しているので、厳しい腐食環境下に置かれる、接着剤2の幅方向両端側の、条痕11d,12hの数が比較的少なくなり、接着剤2の幅方向両端側の素地鋼板11e,12iの露出が比較的少なくなる。このため、防錆性を確保することができる。

0051

また、上記実施形態では、フロアパネル11の側端フランジ11aの接着剤塗布部11c及びサイドシルインナ12bの下端フランジ12eの接着剤塗布部12gに条痕11d,12hをそれぞれ形成しているが、図11に示すように、接着剤2の長さ方向に列状に並ぶ複数の穴11j,12jからなる孔部11k,12kをそれぞれ形成してもよい。図11に示す穴11j,12jは、接着剤2の長さ方向と平行に延びるものである。さらに、条痕11d,12hと孔部11k,12kとを混在形成してもよい。これらによれば、上記実施形態と同様の効果が得られる。尚、図11に示す孔部11k,12kは、接着剤2の長さ方向と平行に延びるものであるが、これに限らず、例えば、接着剤2の長さ方向に対して所定角度傾斜して延びるものであってもよい。

0052

また、上記実施形態では、条痕11d,12hは、GAめっき層11b,12fの表面から素地鋼板11e,12iの表面まで達するものであるが、素地鋼板11e,12iの表面まで達していなくてもよい。尚、上記孔部11k,12kについても、同様である。但し、GAめっき層11b,12fが素地鋼板11e,12iとの界面から剥離するのを抑制する観点からは、素地鋼板11e,12iの表面まで達するのが望ましい。

0053

本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。

0054

このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。

0055

以下、本発明に係る金属製板材の接合構造を具体的に説明する。

0056

(GAめっき鋼板材同士の接合)
まず、2枚のGAめっき鋼板材同士を接着剤によって接合した金属製板材の接合構造について説明する。

0057

<試験片>
実施例1〜5及び比較例1の試験片として、図12に示すように、2枚のGAめっき鋼板材のうち一方のGAめっき鋼板材の板長さ方向一端部と他方のGAめっき鋼板材の板長さ方向一端部とを接着剤によって接合したものを、それぞれ5つずつ準備した。

0058

上記GAめっき鋼板材として、日本鉄鋼連盟規格のJAC270Eであって、板長さが100mm、板幅が25mm、板厚が0.8mm、片面あたりのめっき目付量が55g/m2のものを用いた。GAめっき鋼板材の表面における接着剤の塗布面(以下、接着剤塗布面という)の、板長さ方向の長さを12.5mmと、板幅方向の長さを25mmとした。つまり、板方向長さを接着剤の幅方向と、板幅方向を接着の長さ方向と、それぞれ一致させた。

0059

上記接着剤として、エポキシ熱硬化型接着剤(セメダインヘンケル社製)を用いた。接着剤の層厚を0.3mmとした。接着剤を塗布した後、上記試験片をオーブンにおいて160℃で25分加熱することにより、接着剤を加熱硬化した。

0060

<線状痕>
実施例1〜5の両GAめっき鋼板材の接着剤塗布面には、それぞれ、これらの接着剤塗布面に接着剤を塗布する前において、GAめっき層の表面から素地鋼板の表面まで達する、比較的太い線状痕(傷)をカッターナイフで付けた。

0061

−実施例1−
実施例1の線状痕として、以下のようなものを付けた。つまり、図13に示すように、接着剤の長さ方向と平行に延びて接着剤塗布面における接着剤の長さ方向一端から他端まで達する直線状の4本の線状痕を、互いに接着剤の幅方向に等間隔で付けた。

0062

−実施例2−
実施例2の線状痕として、以下のようなものを付けた。つまり、図14に示すように、接着剤塗布面における接着剤の幅方向両端からその幅方向内側に4mm入った部分に、それぞれ、接着剤の長さ方向と平行に延びて接着剤塗布面における接着剤の長さ方向一端から他端まで達する直線状の線状痕を1本ずつ付けた。これらの直線状の線状痕の間に、直線状の線状痕と交差しないX状の4つの線状痕を、互いに接着剤の長さ方向に等間隔で付けた。このX状の線状痕を、接着剤の長さ方向に対してその幅方向一方側に所定角度傾斜して延びる直線状の1本の線状痕と、接着剤の長さ方向に対してその幅方向他方側に上記所定角度傾斜して延びる直線状の1本の線状痕とで構成した。尚、上記所定角度は、45°よりも小さい角度である。

0063

−実施例3−
実施例3の線状痕として、以下のようなものを付けた。つまり、図15に示すように、接着剤塗布面における接着剤の幅方向両端からその幅方向内側に4mm入った部分までの領域(即ち、接着剤塗布面における接着剤の幅方向両端部)に、それぞれ、接着剤の長さ方向と平行に延びて接着剤塗布面における接着剤の長さ方向一端から他端まで達する直線状の3本の線状痕を、互いに接着剤の幅方向に等間隔で付けた。

0064

−実施例4−
実施例4の線状痕として、以下のようなものを付けた。つまり、図16に示すように、接着剤塗布面における接着剤の幅方向両端からその幅方向内側に4mm入った部分までの領域に、それぞれ、接着剤の長さ方向に対してその幅方向一方側に所定角度傾斜して延びて接着剤塗布面における接着剤の長さ方向一端から他端まで達する直線状の第1線状痕を1本ずつ付けた。上記領域に、それぞれ、接着剤の長さ方向に対してその幅方向他方側に上記所定角度傾斜して延びて第1線状痕と交差する直線状の第2線状痕を3本ずつ、互いに接着剤の長さ方向且つ幅方向に等間隔で付けた。第2線状痕の、接着剤長さ方向の長さを8〜10mmと、相隣り合う第2線状痕の、接着剤長さ方向の距離を3〜5mmとした。

0065

−実施例5−
実施例5の線状痕として、以下のようなものを付けた。つまり、図17に示すように、接着剤塗布面における接着剤の幅方向中央部に、長軸方向が接着剤の幅方向に一致する楕円状の4つの線状痕を、互いに接着剤の長さ方向に等間隔で付けた。これらの楕円状の線状痕の間に、それぞれ、X状の線状痕を3つずつ、互いに接着剤の幅方向に等間隔で付けた。このX状の線状痕を、接着剤の長さ方向に対してその幅方向一方側に所定角度傾斜して延びる直線状の1本の線状痕と、接着剤の長さ方向に対してその幅方向他方側に上記所定角度傾斜して延びる直線状の1本の線状痕とで構成した。

0066

−比較例1−
比較例1の両GAめっき鋼板材の接着剤塗布面には、線状痕を付けなかった。

0067

試験
図18に示すように、実施例1〜5及び比較例1の各試験片に対して、試験片を構成する2枚のGAめっき鋼板材をそれぞれ接着剤の幅方向外側に引っ張る引張りせん断強度試験を行った。この引張りせん断強度試験のチャック間距離を100mmと、引張り速度を10mm/minとした。

0068

引張りせん断強度試験の結果に基づいて、実施例1〜5及び比較例1の各試験片の、ラップシェア強度及び接合部が破断するまでの吸収エネルギーを算出した。これらの算出値に基づいて、実施例1〜5及び比較例1の試験片の、ラップシェア強度及び吸収エネルギーの平均値を算出した。尚、吸収エネルギーは、後述する荷重変位曲線の積分値に相当するものである。

0069

また、引張りせん断強度試験の結果に基づいて、実施例1〜5及び比較例1の試験片の接合部の荷重変位曲線を求めた。これらの荷重変位曲線に基づいて、実施例1〜5及び比較例1の試験片の接合部の、荷重差分と変位との関係を求めた。

0070

荷重差分と変位との関係は、以下のように求める。つまり、i番目の変位をXiと、i番目の荷重をFiと、i+1番目の変位をXi+1と、i+1番目の荷重をFi+1と、i番目の荷重差分をΔFiとすると、ΔFiは、以下の式で示される。
ΔFi=Fi+1−Fi

0071

そして、ΔFiをXiに対してプロットしたグラフを作成する。尚、ΔFiとΔFi+1との時間間隔は、200msecである。

0072

<試験結果>

0073

表1は、実施例1〜5及び比較例1の試験片の、ラップシェア強度及び吸収エネルギーの平均値を示す。表1から明らかなように、実施例1〜5のものは、比較例1のものよりも、ラップシェア強度及び吸収エネルギーの平均値のいずれも大きかった。

0074

図19は、実施例2及び比較例1の試験片の荷重変位曲線を示し、一点鎖線は、実施例2のものを、実線は、比較例1のものを、それぞれ示す。これらから明らかなように、実施例2のものは、比較例1のものよりも、接合部の破断時における荷重及び変位のいずれも大きかった。

0075

図20は、試験片の、荷重差分と変位との関係を示し、(a)は、実施例2のものを、(b)は、比較例1のものを、それぞれ示す。図20において、荷重差分がきわめて小さくなる直前は、GAめっき層が荷重に耐えられず破壊した時と、荷重差分がきわめて小さくなった時は、そのめっき破壊部の素地鋼板が塑性変形した時と考えられる。図20から明らかなように、実施例2のものでは、荷重差分がきわめて小さくなった時が複数回あったが、比較例1のものでは、荷重差分がきわめて小さくなった時は1回だけであった。このことから、線状痕を付けると、GAめっき層全体が一気に素地鋼板との界面から剥離するのが抑制され(即ち、GAめっき層が段階的に素地鋼板との界面から剥離するようになり)、ひいては、塑性変形能が比較的小さいGAめっき鋼板材の伸びが大きくなると考えられる。

0076

尚、実施例1、3〜5の試験片の荷重変位曲線や荷重差分と変位との関係については、示していないが、実施例2の試験片の荷重変位曲線や荷重差分と変位との関係と同様の特徴を示した。

0077

(GAめっき鋼板材とアルミニウム合金板材との接合)
次に、1枚のGAめっき鋼板材と1枚のアルミニウム合金板材とを接着剤によって接合した金属製板材の接合構造について説明する。

0078

<試験片>
実施例6及び比較例2の試験片として、GAめっき鋼板材の板長さ方向一端部とアルミニウム合金板材の板長さ方向一端部とを接着剤によって接合したものを、それぞれ3つずつ準備した(図12を参照)。

0079

上記GAめっき鋼板材として、上記実施例1〜5及び比較例1のGAめっき鋼板材と同様のものを用いた。GAめっき鋼板材の接着剤塗布面の、板長さ方向の長さを12.5mmと、板幅方向の長さを25mmとした。

0080

上記アルミニウム合金板材として、AA6020相当品であって、板長さが100mm、板幅が25mm、板厚が1.0mmのものを用いた。アルミニウム合金板材の接着剤塗布面の、板長さ方向の長さを12.5mmと、板幅方向の長さを25mmとした。

0081

上記接着剤として、上記実施例1〜5及び比較例1の接着剤と同様のものを用いた。接着剤の層厚を0.3mmとした。接着剤を塗布した後、上記試験片をオーブンにおいて160℃で25分加熱することにより、接着剤を加熱硬化した。

0082

<線状痕>
−実施例6−
実施例6のGAめっき鋼板材の接着剤塗布面には、この接着剤塗布面に接着剤を塗布する前において、上記実施例2と同様の線状痕をカッターナイフで付けた。

0083

−比較例−
比較例2のGAめっき鋼板材の接着剤塗布面には、線状痕を付けなかった。

0084

<試験>
実施例6及び比較例2の各試験片に対して上記引張りせん断強度試験を行った(図18を参照)。この引張りせん断強度試験のチャック間距離を100mmと、引張り速度を10mm/minとした。

0085

引張りせん断強度試験の結果に基づいて、実施例6及び比較例2の各試験片の、ラップシェア強度及び接合部が破断するまでの吸収エネルギーを算出し、これらの算出値に基づいて、実施例6及び比較例2の試験片の、ラップシェア強度及び吸収エネルギーの平均値を算出した。

0086

また、引張りせん断強度試験の結果に基づいて、実施例6及び比較例2の試験片の接合部の荷重変位曲線を求めた。これらの荷重変位曲線に基づいて、実施例6及び比較例2の試験片の接合部の、荷重差分と変位との関係を求めた。

0087

<試験結果>

0088

表2は、実施例6及び比較例2の試験片の、ラップシェア強度及び吸収エネルギーの平均値を示す。表2から明らかなように、実施例6のものは、比較例2のものよりも、ラップシェア強度及び吸収エネルギーの平均値のいずれも大きかった。

実施例

0089

尚、実施例6の試験片の荷重変位曲線や荷重差分と変位との関係については、示していないが、上記実施例2の試験片の荷重変位曲線や荷重差分と変位との関係と同様の特徴を示した。

0090

以上説明したように、本発明にかかる金属製板材の接合構造は、金属製板材としての合金化溶融亜鉛めっき鋼板材の合金化溶融亜鉛めっき層が素地鋼板との界面から剥離するのを効率的に抑制することが必要な用途等に適用できる。

0091

11フロアパネル(金属製板材、合金化溶融亜鉛めっき鋼板材)
11a側端フランジ
11b合金化溶融亜鉛めっき層
11c接着剤塗布部(接着剤の塗布部分)
11d条痕(孔部、溝)
11e素地鋼板
11j 穴
11k 孔部
12サイドシル
12bサイドシルインナ(金属製板材、合金化溶融亜鉛めっき鋼板材)
12e下端フランジ
12f 合金化溶融亜鉛めっき層
12g 接着剤塗布部(接着剤の塗布部分)
12h 条痕(孔部、溝)
12i 素地鋼板
12j 穴
12k 孔部
2 接着剤
20,21 条痕に充填された接着剤

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