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技術 プロジェクション溶接用冷延鋼板

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 桝野有富士本博紀西畑ひとみ
出願日 2009年6月29日 (11年9ヶ月経過) 出願番号 2009-153993
公開日 2011年1月13日 (10年2ヶ月経過) 公開番号 2011-006764
状態 特許登録済
技術分野 薄鋼板の熱処理
主要キーワード ナット穴 溶接ボルト 接合面形状 鋼板部材 溶接体 はく離試験 交流溶接機 溶接ナット
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2011年1月13日)のものです。
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図面 (1)

課題

590MPa以上の引張強度と、プロジェクションナットプロジェクションボルト等の溶接母材プロジェクション溶接した場合における良好な溶接部強度とを備え、プロジェクション溶接が使用される自動車部品素材として好適なプロジェクション溶接用冷延鋼板を提供する。

解決手段

C:0.05〜0.20%、Si:0.6〜2.0%、Mn:0.1〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Al:1.0%以下、N:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、原子比(Si/Mn)が0.5未満であるとともに長径が50nm以上であるSi−Mn系複合酸化物鋼板表面から15μm深さ位置までの鋼板表層部における数密度が100個/100μm2以下であり、鋼板表面のクラックの最大深さが5μm以下であり、かつ、幅6μm以下で深さ2μm以上のクラックの数密度が10個/50μm以下であり、さらに、引張強度590MPa以上のプロジェクション溶接用冷延鋼板である。

概要

背景

スポット溶接に代表される抵抗溶接は、製造コストおよび設備コストが安価であることから、自動車産業を始めとする各種産業において広く使用されている。そして、抵抗溶接のうち最も広く使用されているスポット溶接に関しては、従来から数多くの技術が提案されている。これらの技術は、主として、良好な溶接部強度を確保するために、適正なナゲット径を得ることを目的とするものである。

ところで、抵抗溶接には、スポット溶接のほかに、ナット等の溶接母材突起プロジェクション)を設けて溶接するプロジェクション溶接がある。プロジェクション溶接は、溶接母材に設けた突起部分に電流を集中して流し、加熱すると同時に加圧接合する抵抗溶接であり、突起部分を設けることによって電流密度を高めることができるので、ナゲットの形成が促進され、良好な溶接部強度が比較的容易に得られる。

このため、プロジェクション溶接における溶接部強度を高めることについての検討は、これまで余りなされておらず、例えば、特許文献1に開示されるような突起形状等を工夫することがせいぜい検討されていたに過ぎない。

概要

590MPa以上の引張強度と、プロジェクションナットプロジェクションボルト等の溶接母材をプロジェクション溶接した場合における良好な溶接部強度とを備え、プロジェクション溶接が使用される自動車部品素材として好適なプロジェクション溶接用冷延鋼板を提供する。C:0.05〜0.20%、Si:0.6〜2.0%、Mn:0.1〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Al:1.0%以下、N:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、原子比(Si/Mn)が0.5未満であるとともに長径が50nm以上であるSi−Mn系複合酸化物鋼板表面から15μm深さ位置までの鋼板表層部における数密度が100個/100μm2以下であり、鋼板表面のクラックの最大深さが5μm以下であり、かつ、幅6μm以下で深さ2μm以上のクラックの数密度が10個/50μm以下であり、さらに、引張強度590MPa以上のプロジェクション溶接用冷延鋼板である。なし

目的

これらの技術は、主として、良好な溶接部強度を確保するために、適正なナゲット径を得ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

質量%で、C:0.05%以上0.20%以下、Si:0.6%以上2.0%以下、Mn:0.1%以上3.0%以下、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Al:1.0%以下、N:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5未満であるとともに長径が50nm以上であるSi−Mn系複合酸化物鋼板表面から15μm深さ位置までの鋼板表層部における数密度が100個/100μm2以下であり、鋼板表面のクラックの最大深さが5μm以下であり、かつ、幅6μm以下で深さ2μm以上のクラックの数密度が10個/50μm以下であり、引張強度590MPa以上である機械特性を有することを特徴とするプロジェクション溶接用冷延鋼板

請求項2

前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、Cr:1.0%以下、Mo:2.0%以下、Cu:1.0%以下およびNi:1.0%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のプロジェクション溶接用冷延鋼板。

請求項3

前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、Ti:0.05%以下、Nb:0.05%以下およびV:0.1%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプロジェクション溶接用冷延鋼板。

請求項4

前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、Bi:0.05%以下を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のプロジェクション溶接用冷延鋼板。

技術分野

0001

本発明は、プロジェクション溶接用冷延鋼板に関する。特に、本発明は、高い強度を有しながらも、座面にプロジェクションが設けられた溶接ナット(以下、「プロジェクションナット」という。)や溶接ボルト(以下、「プロジェクションボルト」という。)等を、良好な溶接部強度プロジェクション溶接することができる冷延鋼板に関する。

背景技術

0002

スポット溶接に代表される抵抗溶接は、製造コストおよび設備コストが安価であることから、自動車産業を始めとする各種産業において広く使用されている。そして、抵抗溶接のうち最も広く使用されているスポット溶接に関しては、従来から数多くの技術が提案されている。これらの技術は、主として、良好な溶接部強度を確保するために、適正なナゲット径を得ることを目的とするものである。

0003

ところで、抵抗溶接には、スポット溶接のほかに、ナット等の溶接母材突起(プロジェクション)を設けて溶接するプロジェクション溶接がある。プロジェクション溶接は、溶接母材に設けた突起部分に電流を集中して流し、加熱すると同時に加圧接合する抵抗溶接であり、突起部分を設けることによって電流密度を高めることができるので、ナゲットの形成が促進され、良好な溶接部強度が比較的容易に得られる。

0004

このため、プロジェクション溶接における溶接部強度を高めることについての検討は、これまで余りなされておらず、例えば、特許文献1に開示されるような突起形状等を工夫することがせいぜい検討されていたに過ぎない。

先行技術

0005

特開2007−218419号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、例えば、近年の二酸化炭素の排出量削減と自動車の安全性向上のニーズ応えるべく、自動車の車体に使用する鋼材高張力化推進されるようになってから、プロジェクション溶接における溶接部強度の不足が問題となってきている。

0007

プロジェクションナットやプロジェクションボルトを鋼板に溶接した場合を例に挙げると、プロジェクション溶接の溶接部強度が不足するために、溶接を行った鋼板部材自動車車体に組み立てる際に、プロジェクションナットやプロジェクションボルトが溶接部剥離して脱落し、組み立て作業に支障を来たすという問題が散発しつつある。

0008

本発明は、近年になって問題化してきた、プロジェクションナットやプロジェクションボルト等の溶接母材を高強度冷延鋼板にプロジェクション溶接した際の溶接部の剥離を解決するために、プロジェクション溶接において良好な溶接部強度を得られるプロジェクション溶接用冷延鋼板を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記課題を解決すべく、従来然程問題とはならなかったプロジェクション溶接の溶接部強度の不足が近年になって問題化してきた原因を検討した。その結果、以下に列記する新知見を得た。

0010

(a)プロジェクション溶接における溶接部強度は、ナゲット部とナゲット周辺に形成される圧接部とによって決定される。
(b)従前から用いられてきた比較的強度の低い冷延鋼板は、合金元素含有量が低いため、鋼中に形成される酸化物等の量は少なく、鋼は比較的清浄である。また、熱間圧延工程における粒界酸化は比較的緩やかであるため、酸洗および冷間圧延後の鋼板表面にクラックを生じ難い。このため、プロジェクション溶接の圧接部の界面は清浄であるとともに空隙の存在が抑制され、良好な圧接部強度を得られる。
(c)一方、近年になって用いられるようになった比較的強度の高い冷延鋼板は、合金元素の含有量が高いため、これらの合金元素の酸化物等が鋼中に多量に形成され、鋼の清浄性が劣る。また、熱間圧延工程における粒界酸化が進行し易いため、酸洗および冷間圧延後の鋼板表面にクラックを生じ易い。このため、プロジェクション溶接における圧接部の界面に酸化物等が介在し易くなり、さらに、空隙を生じ易くなり、圧接部強度の低下を招き易い。
(d)このように、近年になって問題化してきたプロジェクション溶接の溶接部強度の低下の原因は、溶接母材である鋼板の高強度化に伴うプロジェクション溶接の圧接部の強度低下である。

0011

そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく、従来には全く検討されなかった溶接母材の材質面からの適正化により、溶接母材である鋼板の高強度化に伴うプロジェクション溶接の圧接部の強度低下を抑制する方法について鋭意検討を行った。その結果、以下の新知見を得た。
(e)プロジェクション溶接の圧接部界面に介在して圧接部強度の低下をもたらすのは、主として鋼板表層部の結晶粒界に存在する粗大なSi−Mn系複合酸化物である。したがって、鋼板表層部の結晶粒界に存在する粗大なSi−Mn系複合酸化物を規制することにより、プロジェクション溶接の圧接部強度の低下を抑制することができる。
(f)また、プロジェクション溶接の圧接部界面に空隙を形成して圧接部強度の低下をもたらす鋼板表面のクラックは、深さが著しいものや、幅が狭くある程度の深さを有するものである。したがって、これらの鋼板表面のクラックを規制することにより、プロジェクション溶接の圧接部強度の低下を抑制することができる。

0012

本発明は、上記新知見に基づくものであり、その要旨は以下のとおりである。
本発明は、C:0.05%以上0.20%以下(本明細書では特に断りがない限り化学組成に関する「%」は「質量%」を意味するものとする)、Si:0.6%以上2.0%以下、Mn:0.1%以上3.0%以下、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Al:1.0%以下、N:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5未満であるとともに長径が50nm以上であるSi−Mn系複合酸化物の鋼板表面から15μm深さ位置までの鋼板表層部における数密度が100個/100μm2以下であり、鋼板表面のクラックの最大深さが5μm以下であり、かつ、幅6μm以下で深さ2μm以上のクラックの数密度が10個/50μm以下であり、引張強度590MPa以上である機械特性を有することを特徴とするプロジェクション溶接用冷延鋼板である。

0013

この本発明では、化学組成が、Feの一部に代えて、Cr:1.0%以下、Mo:2.0%以下、Cu:1.0%以下およびNi:1.0%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することが好ましい。

0014

これらの本発明では、化学組成が、Feの一部に代えて、Ti:0.05%以下、Nb:0.05%以下およびV:0.1%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することが好ましい。

0015

さらに、これらの本発明では、化学組成が、Feの一部に代えて、Bi:0.05%以下を含有することが好ましい。
本発明における「Si−Mn系複合酸化物」とは、酸化物中に占めるSiおよびMnの含有量の合計が原子比で30%以上のものである。また、SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5未満であるSi−Mn系複合酸化物の鋼板表層部における数密度は、#1000の研磨紙で仕上研磨した圧延方向の板厚断面について、SEMを用いて5000〜50000倍で観察し、観察された長径が50nm以上の酸化物についてEDSを用いて組成分析することにより、SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5未満であるSi−Mn系複合酸化物を選別し、鋼板表面から15μm深さまでの鋼板表層部における上記Si−Mn系複合酸化物の個数を測定することにより求めるものである。

0016

また、本発明における「鋼板表面のクラック」とは、鋼板表面に開口するクラックのことであり、クラックの幅、深さ、数密度の測定は、上記板厚断面についてSEMを用いて2000倍で観察することにより測定するものであり、数密度は圧延方向長さを50μmとした任意の10箇所の観察視野について観察を行い、それらを平均することにより求めるものである。

発明の効果

0017

本発明によれば、590MPa以上という高い引張強度を有しながら、プロジェクションナットやプロジェクションボルト等の溶接母材をプロジェクション溶接した場合において良好な溶接部強度が得られるので、プロジェクション溶接が使用される自動車部品素材として好適な冷延鋼板を提供することができる。

図面の簡単な説明

0018

図1は、プロジェクションナットの接合面形状を模式的に示す説明図である。

0019

以下、本発明の発明特定事項について詳細に説明する。
(1)化学組成
[C:0.05%以上0.20%以下]
Cは、鋼板の強度を高める作用を有する元素である。C含有量が0.05%未満では、590MPa以上の引張強度を確保することが困難となる。したがって、C含有量は0.05%以上とする。一方、C含有量が0.20%超では、プロジェクション溶接のナゲット部の硬度上昇により溶接部強度の低下が著しくなる。そこで、C含有量は0.20%以下とする。好ましくは0.15%以下である。

0020

[Si:0.6%以上2.0%以下]
Siは、鋼の電気抵抗を大きくすることによりプロジェクション溶接におけるナゲット生成を促進する作用を有する元素である。また、Si−Mn系複合酸化物のSiとMnとの原子比(Si/Mn)を高めて、Si−Mn系複合酸化物の結晶粒内への析出を促し、結晶粒界への析出を抑制するので、圧接部強度の低下を抑制する作用も有する。Si含有量が0.6%未満では、上記作用を十分に得ることができない場合がある。したがって、Si含有量は0.6%以上とする。一方、Si含有量が2.0%超では、プロジェクション溶接のナゲット部の硬度上昇により溶接部強度の低下が著しくなる。したがって、Si含有量は2.0%以下とする。

0021

[Mn:0.1%以上3.0%以下]
Mnは、鋼板の強度を高める作用を有する元素である。Mn含有量が0.1%未満では、590MPa以上の引張強度を確保することが困難となる。したがって、Mn含有量は0.1%以上とする。一方、Mn含有量が3.0%超では、プロジェクション溶接のナゲット部の硬度上昇により溶接部強度の低下が著しくなる。したがって、Mn含有量は3.0%以下とする。

0022

[P:0.02%以下]
Pは、不純物として含有される元素であり、ナゲット内で偏析してナゲット部の靭性を低下させる作用を有する。P含有量が0.02%超では、プロジェクション溶接のナゲット部の靭性低下が著しくなる。したがって、P含有量は0.02%以下とする。

0023

[S:0.01%以下]
Sは、不純物として含有される元素であり、ナゲット部の靭性を低下させる作用を有する。また、鋼中にMnSを形成して鋼板の加工性を低下させる。S含有量が0.01%超では、プロジェクション溶接のナゲット部の靭性低下が著しくなったり、鋼板の加工性の低下が著しくなったりする。したがって、S含有量は0.01%以下とする。

0024

[Al:1.0%以下]
Alは、鋼の精錬過程において鋼を脱酸して鋼材を健全化する作用を有する元素である。また、Siと同様に、鋼の電気抵抗を大きくすることによりプロジェクション溶接におけるナゲット生成を促進する作用を有する元素でもある。しかしながら、Al含有量が1.0%超では、酸化物系介在物増加に起因する表面性状の劣化や加工性の劣化が顕著となる。このため、Al含有量は1.0%以下とする。好ましくは0.09%以下である。上記効果をより確実に得るには、Al含有量を0.005%以上とすることが好ましく、0.02%以上とすることがさらに好ましい。

0025

[N:0.01%以下]
Nは、不純物として含有される元素であり、鋼中に粗大な窒化物を形成して鋼板の加工性を低下させる作用を有する。N含有量が0.01%超では、鋼板の加工性低下が著しくなる。したがって、N含有量は0.01%以下とする。

0026

[Cr:1.0%以下、Mo:2.0%以下、Cu:1.0%以下およびNi:1.0%以下からなる群から選択される1種または2種以上]
これらの元素は、任意元素であり、鋼板の焼入れ性を高めることにより、鋼板の強度を高める作用を有する。したがって、590MPa以上の引張強度を確保することを容易にするために1種または2種以上を含有させることが好ましい。

0027

しかし、Cr含有量が1.0%超では、化成処理性の劣化が著しくなる。したがって、Cr含有量は1.0%以下とする。好ましくは0.9%以下である。
また、Mo含有量を2.0%超としたり、Cu含有量を1.0%超としたり、Ni含有量を1.0%超としたりしても、上記作用による効果は飽和してしまい、いたずらに製造コストの上昇を招く。したがって、Mo含有量は2.0%以下、Cu含有量は1.0%以下、Ni含有量は1.0%以下とすることが好ましい。Mo含有量は1.6%以下、Cu含有量は0.8%以下、Ni含有量は0.8以下とすることがさらに好ましい。

0028

なお、上記作用による効果をより確実に得るには、Crについては0.1%以上、Moについては0.05%以上、Cuについては0.05%以上、Niについては0.05%以上含有させることが好ましい。

0029

[Ti:0.05%以下、Nb:0.05%以下およびV:0.1%以下からなる群から選択される1種または2種以上]
これらの元素は、任意元素であり、鋼中に微細析出物を形成して鋼板の結晶粒を微細化することにより、鋼板の加工性を高める作用を有する。したがって、より良好な加工性を確保するために、1種または2種以上含有させることが好ましい。

0030

しかし、Ti含有量を0.05%超としたり、Nb含有量を0.05%超としたり、V含有量を0.1%超とすると、熱間圧延段階における鋼板表層部の酸化が促進されるため、冷延鋼板表層部におけるクラックを誘発する場合がある。したがって、Ti含有量は0.05%以下、Nb含有量は0.05%以下、V含有量は0.1%以下とする。Ti含有量は0.04%以下、Nb含有量は0.04%以下、V含有量は0.08%以下とすることがさらに好ましい。

0031

なお、上記作用による効果をより確実に得るには、Tiについては0.01%以上、Nbについては0.01以上、Vについては0.01%以上含有させることが好ましい。
[Bi:0.05%以下]
Biは、任意元素であり、その含有によって凝固組織が微細化し、Mn等を多量に含有させても凝固偏析が抑制されて組織が均一となり、成形性の劣化を抑制する作用を有する。したがって、より良好な加工性を確保するために含有させることが好ましい。

0032

しかし、Bi含有量が0.05%超では、熱間加工性の劣化が著しくなり、熱間圧延が困難になる場合がある。したがって、Bi含有量は0.05%以下とする。
なお、上記作用による効果をより確実に得るには、Bi含有量を0.0001%以上とすることが好ましく、0.0010%以上とすることがさらに好ましい。

0033

上記以外の残部は、Feおよび不純物である。
(2)Si−Mn系複合酸化物
SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5未満であるとともに長径が50nm以上であるSi−Mn系複合酸化物の鋼板表面から15μm深さ位置までの鋼板表層部における数密度を100個/100μm2以下とする。

0034

上述したように、プロジェクション溶接の圧接部界面に介在して圧接部強度の低下をもたらすのは、主として鋼板表層部の結晶粒界に存在する粗大なSi−Mn系複合酸化物である。したがって、鋼板表層部の結晶粒界に存在する粗大なSi−Mn系複合酸化物を規制することにより、プロジェクション溶接の圧接部強度の低下を抑制することができる。

0035

ここで、SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5以上であるSi−Mn系複合酸化物は、結晶粒内における析出が主体となるため、圧接部界面に介在して圧接部強度を招くことが少ない。したがって、SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5未満であるSi−Mn系複合酸化物を規制することが必要となる。

0036

また、長径が50nm未満であるSi−Mn系複合酸化物は、圧接部界面に介在したとしても圧接部強度に及ぼす影響が小さい。したがって、長径が50nm以上であるSi−Mn系複合酸化物を規制することが必要となる。

0037

また、鋼板表面からの深さ位置が15μmを超える板厚中心部におけるSi−Mn系複合酸化物は、圧接部界面に介在することがないので圧接部強度に影響しない。したがって、鋼板表面から15μm深さ位置までの鋼板表層部におけるSi−Mn系複合酸化物を規制すればよい。

0038

そして、SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5未満であるとともに長径が50nm以上であるSi−Mn系複合酸化物の鋼板表面から15μm深さ位置までの鋼板表層部における数密度が100個/100μm2未満であれば、圧接部界面に介在したとしても圧接部強度に及ぼす影響が小さい。したがって、SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5未満であるとともに長径が50nm以上であるSi−Mn系複合酸化物の鋼板表面から15μm深さ位置までの鋼板表層部における数密度を100個/100μm2以上とする。

0039

(3)鋼板表面のクラック
鋼板表面のクラックの最大深さを5μm以下、かつ、幅6μm以下で深さ2μm以上のクラックの数密度を10個/50μm以下とする。

0040

上述したように、プロジェクション溶接の圧接部界面に空隙を形成して圧接部強度の低下をもたらす鋼板表面のクラックは、深さが著しいものや、幅が狭くある程度の深さを有するものである。したがって、これらの鋼板表面のクラックを規制することにより、プロジェクション溶接の圧接部強度の低下を抑制することができる。

0041

鋼板表面に深さが5μm以上のクラックが存在したり、幅6μm以下で深さ2μm以上のクラックの数密度が10個/50μm超であったりすると、プロジェクション溶接の圧接部界面に空隙を形成して著しい圧接部強度の低下をもたらす。

0042

したがって、鋼板表面のクラックの最大深さを5μm以下、かつ、幅6μm以下で深さ2μm以上のクラックの数密度を10個/50μm以下とする。
(4)引張強度
冷延鋼板の引張強度は590MPa以上とする。引張強度が590MPa未満の冷延鋼板では、本発明が目的とするプロジェクション溶接の溶接部強度低下という課題自体が生じることが少ないからである。

0043

(5)めっき層
上述した鋼板の表面に、耐食性の向上等を目的としてめっき層を備えさせて、表面処理鋼板としてもよい。めっき層は電気めっき層であってもよく溶融めっき層であってもよい。電気めっき層としては、電気亜鉛めっき電気Zn−Ni合金めっき等が例示される。また、溶融めっき層としては、溶融亜鉛めっき合金化溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっき溶融Zn−Al合金めっき、溶融Zn−Al−Mg合金めっき、溶融Zn−Al−Mg−Si合金めっき等が例示される。

0044

(6)製造条件の例示
本発明のプロジェクション溶接用冷延鋼板は、上記化学組成、Si−Mn系複合酸化物、鋼板表面のクラックおよび引張強度の規定を満足するものであればよく、その製造方法は特に限定する必要はないが、例えば以下の方法により製造することができる。

0045

すなわち、1100℃以上1250℃以下とした上記化学組成を有するスラブに熱間圧延を施し、820℃以上950℃以下の仕上温度で熱間圧延を完了し、400℃以上600℃以下で巻き取り巻取温度から下記(1)式に示す温度T1(℃)までの温度域における平均冷却速度Vt(℃/s)が下記式(2)を満足する条件で、冷却し、さらに、酸洗、冷間圧延および焼鈍を施す。この(1)式におけるSiはSi含有量(%)を示し、AlはAl含有量(%)を示す。
T1=400−16×(Si+Al) ・・・・・(1)
Vt>0.40 ・・・・・(2)
熱間圧延に供するスラブの温度は、合金元素をオーステナイト中に固溶させて、その後の加工熱処理により目的とする鋼組織等を得るために、1100℃以上とすることが好ましい。一方、スケール生成による歩留低下やスラブを高温とするためのコストの点からは、熱間圧延に供するスラブの温度を1250℃以下とすることが好ましい。

0046

熱間圧延の完了温度は、熱間圧延中フェライト変態を抑制して、冷間圧延および焼鈍後の鋼板について良好な加工性を確保するために、820℃以上とすることが好ましい。また、過剰な粒成長を抑制して、冷間圧延および焼鈍後の鋼板について目的とする機械特性を得るためには、950℃以下とすることが好ましい。

0047

熱間圧延の巻取温度は、冷間圧延における鋼板の平坦くずれや破断の原因となる熱延鋼板硬質化を抑制するために400℃以上とすることが好ましい。また、酸洗および冷間圧延後における鋼板表面のクラックの原因となる熱間圧延工程における粒界酸化の進行を抑制するために、600℃以下とすることが好ましい。

0048

巻取後の冷却速度Vtは、Si、Al系酸化物が表層部に析出して酸洗および冷間圧延後における鋼板表面のクラックの原因となることを抑制するとともに、鋼板表層部の固溶Siが酸化物となって酸洗時に除去されることにより、焼鈍工程で鋼板表面に析出する酸化物のSi/Mn値が低下して鋼板表層部の結晶粒界に存在する粗大なSi−Mn系複合酸化物の生成を抑制するために、上記(1)式を満たすようにすることが好ましい。

0049

このようにして得られた熱延鋼板に、常法に従って、酸洗、冷間圧延および焼鈍を施せばよい。冷間圧延の条件は特に規定する必要はないが、加工性を具備させるために適正な集合組織を得るとの観点からは圧下率を38%以上とすることが好ましい。焼鈍条件も特に規定する必要はなく、目的とする引張強度や加工性に合わせて、適切な条件で焼鈍すればよい。例えば、800℃以上850℃以下の焼鈍温度で焼鈍するなどである。

0050

さらに、本発明を、実施例を参照しながら、より具体的に説明する。
表1に示す化学組成の鋼を溶製し、連続鋳造によりスラブとなし、表2に示す条件にて熱間圧延を施し、常法にて酸洗を施し、さらに表2に示す条件にて冷間圧延および連続焼鈍を施して、各種冷延鋼板を得た。

0051

0052

0053

得られた冷延鋼板について以下の試験を行った。
(a)引張試験
各種冷延鋼板から、圧延方向に直角な方向を長手方向とするJIS5号引張試験片採取し、引張特性降伏強度YS、引張強度TS、全伸びEl)を調査した。

0054

(b)鋼板断面観察
上述した方法により、鋼板表面から15μm深さまでの鋼板表層部における、SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5未満であるとともに長径が50nm以上であるSi−Mn系複合酸化物の個数を測定して、鋼板表層部における上記Si−Mn系複合酸化物の個数密度を求めた。

0055

また、上述した方法により、最大深さが5μm超のクラックの有無と、幅6μm以下で深さ2μm以上のクラックの数密度を求めた。
(c)プロジェクション溶接
各種冷延鋼板から、60mm×60mmの試験片を採取し、中央に直径11mmの穴をあけ、図1に示す接合面形状を有するフランジ付きM10溶接用ナット(プロジェクションは3箇所)を、前記試験片の穴の中心と前記ナットの穴の中心とが一致するように交流溶接機にセットし、表3に示す溶接条件にてプロジェクション溶接を行った。

0056

0057

このようにして得られた溶接体ナット穴ボルトを固定した後、JIS B 1196:2001で規定される押込はく離試験方法によりナットが鋼板から剥離するときの荷重を測定した。試験結果を表4に示す。

0058

0059

表4における供試材No.11および14〜20は本発明の実施例であり、供試材No.1〜10、12および13は比較例である。
本発明の実施例の供試材No.11および14〜20は、いずれも、剥離強度が6.5kN以上という良好な溶接部強度が得られた。

0060

一方、比較例の供試材No.1〜4および6〜10は、Ti含有量が高いため、幅6μm以下で深さ2μm以上のクラックが多く存在し、このため圧接部の強度低下を招き、剥離強度が低かった。

0061

比較例の供試材No.1〜8は、Si含有量が低いため、SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5未満であるとともに長径が50nm以上であるSi−Mn系複合酸化物が鋼板表層部に多く存在するようになり、圧接部の強度低下を招き、さらに、溶接時のナゲット生成が不十分であるため、剥離強度が低かった。

0062

比較例の供試材No.12は、熱間圧延の巻取温度が高かったため、鋼板表面に深さ5μm超のクラックが存在するとともに鋼板表面に幅6μm以下で深さ2μm以上のクラックが多く存在し、圧接部の強度低下を招き、剥離強度が低かった。

実施例

0063

さらに、比較例の供試材No.13は、巻取後の冷却速度が不適切であったため、鋼板表面に深さ5μm超のクラックが存在するとともに鋼板表面に幅6μm以下で深さ2μm以上のクラックが多く存在し、さらに、SiとMnとの原子比(Si/Mn)が0.5未満であるとともに長径が50nm以上であるSi−Mn系複合酸化物が鋼板表層部に多く存在するようになり、圧接部の強度低下を招き、剥離強度が低かった。

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