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技術 乳酸菌及びその培養方法、抗アレルギー剤

出願人 国立大学法人信州大学マルコメ株式会社
発明者 保井久子大畑映利子岡田盛雄栢村秀範中澤武北川学小林陽子
出願日 2009年12月9日 (9年7ヶ月経過) 出願番号 2009-279665
公開日 2011年1月13日 (8年6ヶ月経過) 公開番号 2011-004731
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 動物,微生物物質含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード ブランジャー 混合エマルジョン テトラジェノコッカス アレルギー物質 テクノス 大豆発酵物 下痢発症 遮光条件下
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重要な関連分野

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図面 (19)

課題

酵母による発酵を必要とする大豆発酵物の配合量を多くせざるを得ない従来の抗アレルギー剤の課題を解決する。

解決手段

好塩性乳酸菌であって、Th1型サイトカインであるインターロイキン−12(IL-12)及びインターフェロン−γ(INF-γ)の産生誘導能を有し、且つIgE産生抑制能を有する乳酸菌を含有する抗アレルギー剤である。

概要

背景

花粉アレルギー花粉症)等の環境アレルギーは、IgE抗体の過剰生産が原因とされている。かかるIgE抗体の過剰生産を抑制するには、Th1細胞活性化し、Th2細胞の活性を抑制することが大切である(例えば、下記特許文献1参照)。
この様に、Th1細胞を活性化し、Th2細胞の活性を抑制できるものとして、下記特許文献1には、大豆を低食塩又は無塩の状態で真菌酵母及び乳酸菌のいずれか1以上により発酵させた大豆発酵物を含有する抗アレルギー剤が提案されている。

概要

酵母による発酵を必要とする大豆発酵物の配合量を多くせざるを得ない従来の抗アレルギー剤の課題を解決する。好塩性乳酸菌であって、Th1型サイトカインであるインターロイキン−12(IL-12)及びインターフェロン−γ(INF-γ)の産生誘導能を有し、且つIgE産生抑制能を有する乳酸菌を含有する抗アレルギー剤である。

目的

本発明者は、酵母による発酵を必要とする大豆発酵物の配合量を多くせざるを得ない従来の抗アレルギー剤の課題を解決し、少量でTh1細胞を活性化でき、且つTh2細胞の活性を抑制できる抗アレルギー剤を得ることが可能な乳酸菌及びその培養方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

好塩性乳酸菌であって、Th1型サイトカインであるインターロイキン−12(IL-12)及びインターフェロン−γ(INF-γ)の産生誘導能を有し、且つIgE産生抑制能を有することを特徴とする乳酸菌

請求項2

乳酸菌が、味噌醸造工程から単離された乳酸菌である請求項1記載の乳酸菌。

請求項3

乳酸菌が、テトラジェノコッカスハロフィラス(Tetragenococcus halophilus )である請求項1又は請求項2記載の乳酸菌。

請求項4

乳酸菌が、受託番号FERM P-21804の乳酸菌である請求項1〜3のいずれか一項記載の乳酸菌。

請求項5

Th1型サイトカインであるインターロイキン−12(IL-12)及びインターフェロン−γ(INF-γ)の産生誘導能を有し、且つIgEの産生抑制能を有する好塩性乳酸菌を、NaCl濃度が1.6〜15重量%の培地で培養することを特徴とする乳酸菌の培養方法

請求項6

好塩性乳酸菌として、味噌の醸造工程から単離した乳酸菌を用いる請求項5記載の乳酸菌の培養方法。

請求項7

乳酸菌として、テトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus )を用いる請求項5又は請求項6記載の乳酸菌の培養方法。

請求項8

乳酸菌として、受託番号FERM P-21804の乳酸菌を用いる請求項5〜7のいずれか一項記載の乳酸菌の培養方法。

請求項9

好塩性乳酸菌であって、Th1型サイトカインであるインターロイキン−12(IL-12)及びインターフェロン−γ(INF-γ)の産生誘導能を有し、且つIgEの産生抑制能を有する乳酸菌を含有することを特徴とする抗アレルギー剤

請求項10

乳酸菌が、味噌の醸造工程から単離された乳酸菌である請求項9記載の抗アレルギー剤。

請求項11

乳酸菌が、テトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus )である請求項9又は請求項10記載の抗アレルギー剤。

請求項12

乳酸菌が、受託番号FERM P-21804の乳酸菌である請求項9〜11のいずれか一項記載の抗アレルギー剤。

技術分野

0001

本発明は乳酸菌及びその培養方法抗アレルギー剤に関する。

背景技術

0002

花粉アレルギー花粉症)等の環境アレルギーは、IgE抗体の過剰生産が原因とされている。かかるIgE抗体の過剰生産を抑制するには、Th1細胞活性化し、Th2細胞の活性を抑制することが大切である(例えば、下記特許文献1参照)。
この様に、Th1細胞を活性化し、Th2細胞の活性を抑制できるものとして、下記特許文献1には、大豆を低食塩又は無塩の状態で真菌酵母及び乳酸菌のいずれか1以上により発酵させた大豆発酵物を含有する抗アレルギー剤が提案されている。

先行技術

0003

特開2007−197333号公報

発明が解決しようとする課題

0004

特許文献1に提案された大豆発酵物を摂取することによって、Th1細胞を活性化でき、且つTh2細胞の活性を抑制できることが期待される。
しかし、かかる大豆発酵物を短時間で得るには、酵母による大豆の発酵が必要であって、乳酸菌のみによる大豆の発酵では極めて長時間の発酵時間を必要とする。
また、大豆発酵物を含有する抗アレルギー剤中には、大豆発酵物を約24重量%も含むことを要し、食品として摂取するには大豆発酵物が過多である。
そこで、本発明者は、酵母による発酵を必要とする大豆発酵物の配合量を多くせざるを得ない従来の抗アレルギー剤の課題を解決し、少量でTh1細胞を活性化でき、且つTh2細胞の活性を抑制できる抗アレルギー剤を得ることが可能な乳酸菌及びその培養方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

本発明者等は、前記課題を解決すべく検討を重ねたところ、味噌醸造工程から単離され、所定の食塩濃度培地で培養できる好塩性乳酸菌であって、インターロイキン−12(IL-12)及びインターフェロン−γ(INF-γ)の産生誘導能を有する乳酸菌を用いることによって、Th1細胞を活性化し、且つTh2細胞の活性を抑制できる抗アレルギー剤を得ることができることを見出した。
すなわち、前記課題を解決できる手段として、好塩性乳酸菌であって、Th1型サイトカインであるインターロイキン−12(IL-12)及びインターフェロン−γ(INF-γ)の産生誘導能を有し、且つIgE産生抑制能を有する乳酸菌を提供できる。
また、前記課題を解決できる手段として、Th1細胞を活性化できるサイトカインであるインターロイキン−12(IL-12)及びインターフェロン−γ(INF-γ)の産生誘導能を有し、且つIgEの産生抑制能を有する好塩性乳酸菌を、NaCl濃度が1.6〜15重量%の培地で培養する乳酸菌の培養方法を提供できる。
更に、前記課題を解決できる手段として、好塩性乳酸菌であって、Th1型サイトカインであるインターロイキン−12(IL-12)及びインターフェロン−γ(INF-γ)の産生誘導能を有し、且つIgEの産生抑制能を有する乳酸菌を含有する抗アレルギー剤を提供できる。
本発明者等が提供した課題を解決する手段において、下記の好ましい態様を上げることができる。
乳酸菌として、味噌の醸造工程から単離された乳酸菌は、食品としての味噌に含まれる菌であるため、人体に対して安全である。かかる乳酸菌としては、テトラジェノコッカスハロフィラス(Tetragenococcus halophilus )を好適に用いることができる。特に、受託番号FERM P-21804の乳酸菌を好適に用いることができる。

発明の効果

0006

本発明者等が提供した、好塩性乳酸菌によれば、酵母による大豆発酵を行うことなく乳酸菌の培養のみによって、Th1型サイトカインであるIL-12及びINF-γの産生を行うことができる。
かかる乳酸菌を含有する抗アレルギー剤によって、産生されたIL-12によりTh1細胞の活性化が促され、且つTh1細胞から産生されるINF-γによってTh2細胞の活性が抑制される。
このため、アレルギー物質によって、Th2細胞側に偏っていたTh1/Th2バランスを、好塩性乳酸菌を含有する抗アレルギー剤によってTh1/Th2バランスを改善できる結果、IgEの産生抑制能を図ることができる。

図面の簡単な説明

0007

味噌由来乳酸菌100株の各々について、IL-12の産生誘導能の測定した結果を示すグラフである。
味噌由来乳酸菌100株の各々について、INF-γの産生誘導能を測定した結果を示すグラフである。
アトピー性皮膚炎モデルマウスパイエル板細胞を用いた選抜株のIL-12及びINF-γの産生誘導能を測定した結果を示すグラフである。
アトピー性皮膚炎モデルマウスのパイエル板細胞を用いた選抜株のIL-4の産生抑制能を測定した結果を示すグラフである。
アトピー性皮膚炎モデルマウスのパイエル板細胞を用いた選抜株のTh1/Th2バランス及びIgEの産生抑制能を測定した結果を示すグラフである。
No.45の菌株増殖性と培地のNaCl濃度との関係を示すグラフである。
No.45の菌株の培養NaCl濃度に対する普通マウスのパイエル板細胞を用いたIL-12及びINF-γの産生誘導能を測定した結果を示すグラフである。
OVA誘導性下痢症モデルマウスのパイエル板細胞を用いたNo.45の菌株のIL-12及びINF-γの産生誘導能を測定した結果を示すグラフである。
OVA誘導性下痢症モデルマウスのパイエル板細胞を用いたNo.45の菌株のIL-4の産生抑制能を測定した結果を示すグラフである。
OVA誘導性下痢症モデルマウスのパイエル板細胞を用いたNo.45の菌株のTh1/Th2バランス及びIgEの産生抑制能を測定した結果を示すグラフである。
OVA誘導性下痢症モデルマウスの脾臓細胞を用いたNo.45の菌株のIL-12及びINF-γの産生誘導能を測定した結果を示すグラフである。
OVA誘導性下痢症モデルマウスの脾臓細胞を用いたNo.45の菌株のIL-4の産生抑制能を測定した結果を示すグラフである。
OVA誘導性下痢症モデルマウスの脾臓細胞を用いたNo.45の菌株のTh1/Th2バランス及びIgEの産生抑制能を測定した結果を示すグラフである。
アトピー性皮膚炎モデルマウス(NC/Nga)に、No.45の菌株を培養した菌体を含有するを与えることによる、抗アレルギー効果調査する実験計画を示す。
アトピー性皮膚炎モデルマウス(NC/Nga)の耳介人工的に発症させたアトピー性皮膚炎の状態を肉眼観察して数値化したスコア経時変化を示すグラフである。
アトピー性皮膚炎モデルマウス(NC/Nga)の耳介に人工的にアトピー性皮膚炎を発症させて、その耳介の厚さの経時変化を示すグラフである。
アトピー性皮膚炎モデルマウス(NC/Nga)の耳介に人工的にアトピー性皮膚炎を発症させて、その血清中のIgE量の経時変化を示すグラフである。
アトピー性皮膚炎モデルマウス(NC/Nga)の耳介に人工的にアトピー性皮膚炎を発症させて、その耳介の病理標本顕微鏡写真である。

実施例

0008

本発明者等が提案した乳酸菌は、食塩を添加した培地で培養できる好塩性乳酸菌である。特に、味噌の醸造工程で単離された乳酸菌は、食品である味噌にも含まれているため、人体に対して安全である。
味噌の醸造工程で単離された好塩性乳酸菌の100株について、普通マウス(BALB/c)のパイエル板細胞におけるサイトカイン(IL-12、INF-γ)及び抗体としてのIgA産生誘導能を調査した。
ここで、好塩性乳酸菌の培養、細胞培養、抗体(IgE)、サイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-14)の測定については、下記の方法を用いた。
好塩性乳酸菌の培養には、NaCl含有MRS液体培地を用いた。MRS培地は、D-(+)-Glucose(ナカライテスク)2g、Pepton(ミクニ化学)10g、Lab-Lemco powder(関東化学)0.8g、Extract Yeast Dried(ナカライテスク)0.4g、KH2PO4(ナカライテスク)0.2g、tri-AmmoniumCitrate(ナカライテスク)0.2g、MgSO4・7H2O(ナカライテスク)0.02g、Sodium Acetate・3H2O(ナカライテスク)0.5g、MnSO4・4H2O(ナカライテスク)0.005g、Tween80(ナカライテスク)0.1mlを蒸留水(D.W.)100mlに溶解後、121℃、15min、オートクレーブにて高圧蒸気滅菌し使用した。特に記載しない限り、MRS液体培地にNaCl(ナカライテスク)を15%添加して使用した。
各菌株はNaCl含有MRS液体培地中で30℃にて培養した後、2000rpm・15min遠心分離を行い集菌した。D.W.で3回洗浄し、D.W.に懸濁した後、凍結乾燥菌体を作成し、4℃で保存した。
凍結乾燥菌体はリン酸緩衝液PBS)pH6.8で2mg/mlとなるように懸濁し、121℃、15分間オートクレーブで滅菌処理を施した後、細胞培養系に添加した。

0009

また、細胞培養としてのパイエル板細胞については、マウスパイエル板細胞を用いた。かかるパイエル板細胞の調整及び培養にはJoklik modifiedMEM(J.MEM)(SIGMA)、Dispase1.10units/mg(GIBCO)をJ.MEMで1mg/mlに調整したDispasse液、RPMI-1640培地、1%Antibiotic antimycotic solution 100×(SIGMA)及び5%非動化ウシ胎児血清(BIOWEST)(FBS)を含むRPMI-1640培地(SIGMA)(1%Ab・5%FBS RPMI)を用いた。パイエル板細胞は、マウス小腸よりパイエル板無菌的に摘出し、J.MEMにて洗浄した。Dispasse液とパイエル板を40分間反応させ、その上清回収氷冷する行程を3〜4回繰り返した。1%Ab・5%FBS RPMIで2回遠心洗浄(1300rpm・10分間)し、懸濁したものを単細胞浮遊液とした。

0010

各菌株についてのサイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-4)及び抗体(IgE)の産生誘導能は、96wellマイクロプレート(FALCON)を用いて、パイエル板細胞の単細胞浮遊液に、前述したように滅菌処理を施した菌体を添加して培養し、その培養上清中のサイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-4)量及び抗体(IgE)量を測定した。
培養は、5×105個/wellのパイエル板細胞の細胞浮遊液100μlに対し、抗体(IgE)の産生誘導能については菌体200μg/mlを100μl、サイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-4)の産生誘導能は菌体2μg/mlを100μl添加し、37℃、5%CO2の下で培養した。培養3日目に上清中のサイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-4)量を測定し、14日目にIgE抗体量を測定した。

0011

培養上清中の抗体(IgE)及びサイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-4)は、下記の方法で測定した。
培養上清中のIgE量は、サンドイッチELISA法により測定した。1次抗体として、Purified Rat Anti-Mouse IgE Monoclonal Antibody(BD BIOSCIENCES)を、スタンダードとして、Purified Mouse IgE,κMonoclonal(BD BIOSCIENCES)、2次抗体として、LO-ME-2 Biotin(TECHOPHARM BIOTECHNOLOGY)を用いた。
1次抗体を96well Immuno Plate(NUNC)に4℃で一晩固層に吸着させ、1%BSA含有Carbonate Buffer(Na2CO3 19mM、NaHCO3 27.7mM、pH9.6)で37℃90分間ブロッキングを行った。サンプル及びスタンダードを室温で90分間反応させ、更にStreptavidin-Horseradish Peroxidase(BIOSOURCE)を遮光条件下室温にて、30分間反応させた。
発色基質3,3’-5,5’-Tetramethylbenzidine(TMB)(SIGMA)を用い発色させた後、マイクロプレートリーダーを用い、450nmにおける吸光度を測定した。

0012

培養上清中のIL-12、IFN-γ及びIL-4は、サンドイッチELISA法により測定した。
IL-12は1次抗体としてPurified Rat Anti-Mouse IL-12(p40/p70)Monoclonal (BD BIOSCIENCES)を、2次抗体として、Biotinylated Rat Anti-Mouse IL-12(p40/p70) Monoclonal Antibody(BD BIOSCIENCES)を、スタンダードとしてRecombinant Mouse IL-12(TECHNE CORPORATION)を用いた。
IFN-γは、1次抗体としてRabbit(Polyclonal)Anti-Mouse/Anti-Mouse/Rat IFN-γ(BIOSOURCE)を、2次抗体はBiotinylated Rat Anti-Mouse IFN-γ Antibody(R&D Systems)を、スタンダードとして、Recombinant Murine IFN-γ(BIOSOURCE)を用いた。
IL-4は1次抗体にMonoclonal Antibody Mouse IL-4(MABTEC)、2次抗体にBiotineConjugated Antibody MouseIL-4 Monoclonal(MABTEC)を用い、スタンダードとして、Recombinant Murine IL-4(STRATHMANN BIOTEC)を用いた。
かかるIL-12、IFN-γ及びIL-4の測定は、所定の1次抗体を96well Immuno Plate(NUNC)に4℃で一晩固層に吸着させ、1%BSA含有Carbonate Bufferで37℃90分間ブロッキングを行った。サンプル及びスタンダードを室温で90分間反応させ、更にtreptavidin-Horseradish Peroxidase(BIOSOURCE)を遮光条件下室温にて、30分間反応させた。発色基質TMBを用い発色させた後、マイクロプレートリーダーを用い、490nmにおける吸光度を測定した。

0013

味噌の醸造工程で単離された好塩性乳酸菌の100株の各々について、前述したように滅菌処理を施した菌体を通常マウス(BAL/c)のパイエル板細胞の細胞浮遊液に添加して培養し、サイトカイン(IL-12、INF-γ)の産生誘導能を調査した。その結果を図1及び図2に示す。
図1ではIL-12の産生誘導能の調査結果を示し、図2ではINF-γの産生誘導能の調査結果を示す。図1及び図2に示すコントロール(CONT)は、単細胞浮遊液に菌体を添加しないで、菌体を添加した水準同一条件で培養したものである。
図1及び図2に示す様に、味噌の醸造工程で単離された好塩性乳酸菌の100株の殆どは、サイトカイン(IL-12、INF-γ)の産生誘導能がコントロールよりも良好であった。
かかる図1及び図2に示す100株のうち、サイトカイン(IL-12、INF-γ)の産生誘導能に優れている菌株は、Th1細胞を活性化する菌株である。従って、図1及び図2に示す100株のうち、IL-12及びINF-γの産生誘導能が高い菌株を選択して下記表1に示す。

0014

0015

表1に示す菌株のうち、IL-12及びINF-γの産生誘導能が特に優れているNo.5、No.42、No.45及びNo.74の菌株を選抜し、アトピー性皮膚炎モデルマウスNC/Ngaマウスを用いた免疫調節作用に関する試験に供した。
ここで、アトピー性皮膚炎モデルマウスは、「ビオスタAD(ダニ抗原)によるアトピー性皮膚炎モデルマウス誘発プロトコール」従って作製した。
NC/Ngaマウスは10週齢になったところでエーテル麻酔をし、背部及び耳介部の毛を刈り、除毛剤除毛した。そして、ダニ抗原であるビオスタAD(ビオスタ)100mgを背部・耳介部に塗布し、アトピー性皮膚炎の初回誘発を行った。
回目以降は、4%SDS水溶液150μlを背部と耳介部に均一に塗布し、乾燥させて2〜3時間放置した後、ビオスタAD100mgを背部及び耳介部に塗布した。この処理を、週に2回4週間、計8回行い、アトピー性皮膚炎を誘発した。
血中IgE値の確認をするために、ダニ抗原処理前日に、毎回尾静脈から採血を行い、その血清を-4℃で冷凍保存した。また、皮膚スコアスコアリングダニ抗原塗布直前に行い、(i)発赤出血、(ii)乾燥・痂皮形成、(iii)浮腫、(iv)擦傷組織欠損の4項目を10段階で表記した。血中IgEの値が1500ng/mlを超えたことを確認し、アトピー性皮膚炎モデルマウスとして用いた。

0016

かかるアトピー性皮膚炎モデルマウスNC/Ngaマウスから取り出したパイエル板細胞の細胞浮遊液に、No.5、No.42、No.45及びNo.74の菌株(但し、前述したように滅菌処理を施した菌体)の各々を添加して培養し、サイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-4)の産生量及びIgEの産生抑制能を調査した。
ここで、各菌株のサイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-4)の産生量及びIgE産生抑制能について、コントロールと各種菌株間及び各種菌株同士間の差の検定には、スチューデントのT検定を用いた。どの検定においても、p<0.05の場合に有意差があると判定し、*で表記し、p<0.01、p<0.001の場合には、非常に有意差があると判断し、各々**及び***で表記した。
パイエル板細胞を用いた各菌株のIL-12の産生誘導能を図3Aに示し、INF-γの産生誘導能を図3Bに示す。また、パイエル板細胞を用いた各菌株のTh2細胞の増殖を促すIL-4の産生抑制能を図4に示す。
図3から明らかな様に、IL-12及びINF-γの産生量が、コントロールに対して共に有意に増加しているのは、No.42、No.45の菌株である。
一方、IL-4の産生量については、図4から明らかな様に、No.45の菌株のみがコントロールに対して有意に減少している。No.42の菌株もNo.45の菌株に次いでIL-4の産生量が減少している。
かかる菌株について、INF-γとIL-4との各産生量から算出したTh1/Th2バランス(INF-γ/IL-4)について図5Aに示す。図5Aから明らかな様に、No.42とNo.45との菌株が、Th1/Th2バランスの改善が見られた。
また、パイエル板細胞を用いた各菌株のIgEの産生量については、図5Bに示す様に、いずれの菌株もIgEの産生量がコントロールに対して減少傾向を示した。

0017

この様に、Th1/Th2バランスの改善は、No.45よりもNo.42の菌株が最も良好であったが、IL-4の産生抑制効果はNo.45のみがコントロールに対して有意であった。このため、No.45の菌株を抗アレルギー作用が期待できる菌株として選抜した。
No.45の菌株について、その帰属分類群推定・菌株の同定を、株式会社テクノスルガ・ラボ依頼して行った。No.45の菌株の同定は、15%NaCl含有MRS液体培地で30℃のもと、5日間培養した菌株の16SrRNA遺伝子塩基配列約1500bpを決定し、その配列を用いて行った。その結果、No.45の菌株はテトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus )であって、テトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus )MKN45と命名した(以下、単にNo.45の菌株又はNo.45菌株と称する)。
このNo.45の菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター寄託し、その受託番号はFERM P-21804である。

0018

かかるNo.45の菌株について培養条件である培地の塩分条件を検討した。菌体としては、No.45の菌株をNaCl濃度が1.6wt%,5wt%,10 wt%,15 wt%,20 wt%,25 wt%の各MRS液体培地で72時間培養した菌体を用い、各塩分濃度で培養した菌体を、前述した好塩乳酸菌用のNaCl含有MRS液体培地に接種して30℃で培養を行った。培養中に所定時間ごとに、吸光度計を用いて吸光度(OD)660nmを測定し、その増殖の測定を行った。その結果を図6に示す。
図6から明らかな様に、NaCl濃度が5 wt%と10 wt%との水準が、増殖速度及び定常期における吸光度(OD)が最も高くなった。次いで、増殖速度及び定常期における吸光度(OD)が高くなった水準は、NaCl濃度が1.6 wt%と15 wt%との水準であった。
更に、No.45の菌株とをNaCl濃度が1.6wt%,5wt%,10 wt%,15 wt%の各MRS液体培地で72時間培養した後、前述したように滅菌処理を施した菌体について、通常マウス(BAL/c)のパイエル板細胞を用いてサイトカイン(IL-12、INF-γ)を測定した。その結果を図7に示す。図7AはIL-12の産生量を示し、図7BはINF-γの産生量を示す。図7A及び図7Bから明らかな様に、いずれの水準もコントロールよりもIL-12及びINF-γの産生量が有意に増加している。特に、NaCl濃度が15wt%のMRS液体培地を用いた水準では、NaCl濃度が10wt%のMRS液体培地を用いた水準よりもIL-12及びINF-γの産生量が有意に増加している。
かかる培養速度とIL-12及びINF-γの産生量との関係から、No.45の菌株の培養を、NaCl濃度が1.6〜15重量%の培地で行うことによって、良好な培養速度で培養でき、培養して得られた菌体はIL-12及びINF-γの優れた産生誘導能を呈する。

0019

また、No.45の菌株について、NaCl濃度が15重量%の培地で培養した菌株について、培養時間と免疫調節作用との関係を検討した。
かかる免疫調整作用の検討では、卵白(OVA)誘因性下痢症モデルマウスのパイエル板細胞と脾臓細胞とを用いた。
OVA誘因性下痢症モデルマウス(OVA下痢症モデルマウス)は、Kweonらの方法をもとに一部改編して作製した。1mgのOVA(SIGMA)を100μlのリン酸緩衝液pH6.8(PBS)に溶解し、100μlの完全Freundアジュバンド(CFA)(SIGMA)と混合エマルジョンを作成し、マウス皮下に免疫した。初回免疫から1週間後に再度OVAとCFAの混合エマルジョンを皮下免疫した。2回目の皮下免疫から2週間後よりOVA10mgを300μlのPBSに溶解し、週3回の間隔でゾンデにて経口投与した。経口投与1時間後に下痢発症を観察した。下痢症の有無は、通常の糞便の形態をしていないものを軟便も含めて下痢と判断した。
かかるOVA誘因性下痢症モデルマウスからのパイエル板細胞の調整及び培養については、前述した方法と同一方法で行った。
また、OVA誘因性下痢症モデルマウスからの脾臓細胞の調整及び培養には、RPMI-1640培地、1%Antibiotic antimycotic solution 100×(SIGMA)及び5%非動化ウシ胎児血清(BIOWEST)(FBS)を含むRPMI-1640培地(SIGMA)(1%Ab・5%FBS RPMI)、赤血球溶血試薬(NH4CL 144mM、トリス 17mM、pH7.2)、Hanks’ Balanced Salt Solution(HBSS)(SIGMA)を用いた。
脾臓細胞は、マウスより無菌的に脾臓を摘出した後、RPMI-1640培地中で5mlシリンジブランジャー後ろ側を用いてすりつぶした。メッシュで脾臓細胞以外を取り除き、脾臓細胞はRPMI-1640培地で遠心洗浄(1300rpm・10分間)した後、赤血球溶血試薬で赤血球を溶血除去した。HBSSで2回遠心洗浄し、1%Ab・5%FBS RPMIで懸濁したものを単細胞浮遊液とした。

0020

かかるOVA誘因性下痢症モデルマウスから取り出したパイエル板細胞を用いて、No.45の菌株について、サイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-4)の産生誘導能、Th1/Th2バランス、及びIgEの産生抑制能について調査した。
この調査では、No.45の菌株をNaCl濃度が15wt%のMRS液体培地に添加し、30℃で48時間、72時間、120時間培養した後、前述したように滅菌処理を施した各菌体についてパイエル板細胞によるサイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-4)及び抗体(IgE)の産生量を測定した。
IL-12及びINF-γの産生量については図8に示す。図8AはIL-12の産生量について示し、図8BはINF-γの産生量について示す。図8A及び図8Bから明らかな様に、培養した菌体は、いずれの水準でも、コントロールに対してIL-12及びINF-γの産生量が有意に増加しており、IL-12及びINF-γの産生誘導能に優れている。
また、IL-4の産生量について図9に示す。図9から明らかな様に、培養した菌体は、いずれの水準でも、コントロールに対してIL-4の産生抑制能は見られなかった。
しかし、図10Aに示す様に、培養した菌体は、いずれの水準でも、コントロールに対してTh1/Th2バランスの著しい改善効果を示している。このため、図10Bに示す様に、培養した菌体は、いずれの水準でも、コントロールに対してIgEの産生量は有意に低下しており、優れたIgEの産生抑制能を有している。

0021

更に、OVA誘因性下痢症モデルマウスから取り出した脾臓細胞を用いて、No.45の菌株をについて、サイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-4)の産生量、Th1/Th2バランス及びIgEの産生量について調査した。
この調査では、No.45の菌株をNaCl濃度が15wt%のMRS液体培地に添加し、30℃で48時間、72時間、120時間培養した後、前述したように滅菌処理を施した各菌体について、脾臓細胞によるサイトカイン(IL-12、INF-γ、IL-4)及び抗体(IgE)の産生量を測定した。
IL-12及びINF-γの産生量については図11に示す。図11AはIL-12の産生量を示し、図11BはINF-γの産生量を示す。図11A及び図11Bから明らかな様に、培養した菌体は、いずれの水準でも、コントロールに対してIL-12及びINF-γの産生量が有意に増加しており、IL-12及びINF-γの産生誘導能に優れている。
また、IL-4の産生量について図12に示す。図12から明らかな様に、培養した菌体は、いずれの水準でも、コントロールに対してIL-4の産生量については有意の差が認められなかった。
しかし、図13Aに示す様に、培養した菌体は、いずれの水準でも、コントロールに対してTh1/Th2バランスの著しい改善効果を示している。このため、図13Bに示す様に、培養した菌体は、いずれの水準でも、コントロールに対してIgEの産生量は有意に低下しており、優れたIgEの産生抑制能を有している。

0022

図3図13に示す結果から、No.45の菌株やNo.45の菌株を培養して得た菌体は、アトピー性皮膚炎モデルマウスのパイエル板細胞、及びOVA誘因性下痢症モデルマウスのパイエル板細胞及び脾臓細胞について、Th1型サイトカインであるIL-12及びINF-γの産生誘導能を呈するが、IL-4の産生抑制能は見られなかった。しかし、Th1/Th2バランスが著しく改善されている。このため、No.45の菌株やNo.45の菌株を培養した菌体によってTh1細胞が活性化されたものと考えられる。
この様に、No.45の菌株やNo.45の菌株を培養した菌体によって、Th1/Th2バランスを著しく改善でき、IgEの産生抑制能を有している。
かかるNo.45の菌株やNo.45の菌株を培養した菌体を含有する抗アレルギー剤によれば、少量でTh1細胞を活性化でき、且つTh2細胞の活性を抑制し、Th1/Th2バランスを改善して、IgEの産生量を抑制できる。

0023

次に、アトピー性皮膚炎モデルマウス(NC/Nga)に、No.45の菌株を培養した菌体を含有する餌を与えて、抗アレルギー効果を調査した。
調査には、6週齢のアトピー性皮膚炎モデルマウス(NC/Nga)のオスを用い、No.45の菌株を培養した菌体を含まない餌を与えるコントロール(CONT群)、No.45の菌株を培養した菌体を0.05wt%含有する餌を与える0.05%群、及びNo.45の菌株を培養した菌体を0.5wt%含有する餌を与える0.5%群の三群に分けた。かかる三群の各々には、モデルマウスを7匹ずつ用意した。
三群の各モデルマウスのには、図14に示す様に、アトピー性皮膚炎を発症させる1%PiClを定期的に塗布しつつ、定期的に採血して血清中のIgE量を調査した。また、定期的に各モデルマウスの耳の皮膚状態を肉眼観察して、(i)発赤・出血、(ii)浮腫、(iii)乾燥、(iv)皮膚欠損脱毛、(v)発疹の5項目の各々について0〜3点で採点し、5項目の合計点(スコア:0〜15点)で各モデルマウスの耳の皮膚状態を数値化した。かかるスコアを付ける際に、マウスの耳介の厚さも測定した。

0024

測定したスコア、耳介の厚さ及び血清中のIgE量の経時変化(7匹の平均値)については図15図17に示す。スコアの経時変化を図15に示し、耳介の厚さの経時変化を図16に示す。更に、血清中のIgE量の経時変化を図17に示す。
図15図17に示すCONT群と0.05%群及び0.5%群との差の検定には、スチューデントのT検定を用いた。どの検定においても、p<0.05の場合に有意差があると判定し、*で表記し、p<0.01、p<0.001の場合には、非常に有意差があると判断し、各々**及び***で表記した。
図15図17に示す様に、0.05%群及び0.5%群は、CONT群に比較して、スコア、耳介の厚さ及び血清中のIgE量の経時に伴う増加が少なく、抗アレルギー効果が認められた。
また、各モデルマウスについて、採血開始日から82日目に解剖に付して、各群のマウスの耳介の病理標本を採取した。各群の耳介の病理標本の顕微鏡写真を図18に示す。CONT群の耳介は、皮膚炎によって肥大化していたが、0.05%群及び0.5%群の耳介の肥大化は少なく、特に、0.5%群の耳介の肥大化が極めて少ない。

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