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技術 Ni基超合金

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明者 川岸京子原田広史横川忠晴小林敏治小泉裕
出願日 2009年6月18日 (8年4ヶ月経過) 出願番号 2009-144800
公開日 2011年1月6日 (6年10ヶ月経過) 公開番号 2011-001590
状態 特許登録済
技術分野 タービンロータ・ノズル・シール タービンの細部・装置 ガスタービン、高圧・高速燃焼室 非鉄金属または合金の熱処理 タービンロータ・ノズル・シール
主要キーワード 耐熱性部材 クリープ強度特性 高クリープ強度 超合金部材 ガンマ相 既存合金 硫化腐食 高温機器

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図面 (4)

課題

Co,Moを添加せず、また、極力少ないRe含有量においても、従来の合金と同等以上の耐熱性を有するとともに、高温での耐腐食性を向上したNi基超合金を提供する。

解決手段

Ni基超合金は、Cr:1.0重量%以上12.0重量%以下、W:6.0重量%以上10.0重量%以下、Al:4.0重量%以上7.0重量%以下、Ta+Nb:5.0重量%以上12.0重量%以下、Hf:2.0重量%以下、Re:0.1重量%以上5.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有する。

背景

Ni基超合金は、高温での組織定性クリープ特性が優れていることから高温機器材料として幅広く利用されており特許出願もなされている。
特にMo、Coを含有するNi基単結晶超合金は、特許文献1から7に示すように、顕著な耐熱性を有していることから、近年、ジェットエンジン産業用ガスタービンなど高温機器に適したNi基超合金として提案されており、それらの特許文献記載の一部のNi基超合金は幅広く使用されている。
また、地球温暖化の一因とされる二酸化炭素排出量の抑制などの視点から、エネルギー効率の優れた原子力発電タービンブレードタービンベーン等に対してもNi基単結晶超合金は好適な材料として期待される。
CoはAl、Ta等のガンマ母相に対する高温下での固溶限を大きくするとともに熱処理によって微細ガンマプライム相分散析出して高温強度を向上するという優れた機能を有しているため高温で使用するNi基超合金には不可欠な成分と考えられてきた。しかしながら、CoはNiに比べて高価な金属であって、可能な限りCoを含有しないNi基超合金が望まれている。また、Coは半減期が長いためCoが含有されているNi基超合金が放射能汚染された場合にはメンテナンスが大変面倒になるので、Ni基超合金を原子力発電等の放射能汚染の可能性がある高温機器の部材として使用するに際し、半減期の長いCoを含有しなくてもCoを含有したものと同等あるいはそれ以上のクリープ強度特性を有するNi基超合金の実現が望まれている。
Mo(モリブデン)は、一般に合金素地中に固溶して高温強度を上昇させるとともに、析出硬化により高温強度に寄与する元素として知られているが、高温において耐酸化特性耐腐食特性劣化させる傾向にある。
したがって、Ni基単結晶超合金の利用性を広めるには、Co、Moを極力使用しない新しいNi基超合金の開発が望まれる。

また、Reを含有するNi基単結晶超合金は従来のNi基超合金に比べて顕著な耐熱性を有していることから、近年、ジェットエンジン、産業用ガスタービンなど高温機器に幅広く使用されている(特許文献1および2)。
最近では、燃料の高騰あるいは二酸化炭素の排出量の抑制などの観点から、ジェットエンジン、産業用ガスタービンなどの機器において、エネルギー効率の向上を目的として耐熱性、高温における耐食性耐酸化性に優れたNi基単結晶超合金の使用が注目され、Re等の高価な金属を含有するNi基単結晶超合金の実用化が進んでいる。しかしながら、これらの合金の普及に伴ってRe等の金属の価格の上昇傾向にあるので、Reを含有するNi基単結晶超合金において、Re使用量を増やすことなく高温における機械的特性改善し、また、高温における耐食性・耐酸化性に優れたNi基単結晶超合金の開発が強く望まれている。

概要

Co,Moを添加せず、また、極力少ないRe含有量においても、従来の合金と同等以上の耐熱性を有するとともに、高温での耐腐食性を向上したNi基超合金を提供する。Ni基超合金は、Cr:1.0重量%以上12.0重量%以下、W:6.0重量%以上10.0重量%以下、Al:4.0重量%以上7.0重量%以下、Ta+Nb:5.0重量%以上12.0重量%以下、Hf:2.0重量%以下、Re:0.1重量%以上5.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有する。

目的

しかしながら、CoはNiに比べて高価な金属であって、可能な限りCoを含有しないNi基超合金が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

Cr、W、Al、Hf及びReを必須添加元素とするNi基超合金であって、Cr:1.0重量%以上12.0重量%以下、W:6.0重量%以上10.0重量%以下、Al:4.0重量%以上7.0重量%以下、Ta+Nb:5.0重量%以上12.0重量%以下、Hf:2.0重量%以下、Re:0.1重量%以上5.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とするNi基超合金。

請求項2

請求項1に記載のNi基超合金において、Cr:6.0重量%以上、W:7.0重量%以上、Al:4.5重量%以上6.5重量%以下、Ta:5.0重量%超含有することを特徴とするNi基超合金。

請求項3

請求項2に記載のNi基超合金において、Cr:7.5重量%超、Ta+Nb:6.0重量%以上かつTa:6.0重量%超含有することを特徴とするNi基超合金。

請求項4

請求項3に記載のNi基超合金において、Re:3.5重量%以下を含有することを特徴とするNi基超合金。

請求項5

請求項4に記載のNi基超合金において、Nb:0.1重量%以上5.0重量%以下を含有することを特徴とするNi基超合金。

請求項6

請求項1から5のいずれかに記載のNi基超合金において、Si:0.4重量%以下、V:3重量%以下、Zr:3重量%以下、C:0.3重量%以下、B:0.2重量%以下、Y:0.2重量%以下、La:0.2重量%以下、Ce:0.2重量%以下の1種以上をさらに含有することを特徴とするNi基超合金。

請求項7

請求項1から6のいずれかに記載のNi基超合金において、Coが1.0重量%未満、Moが0.1重量%以下のいずれか又は双方が含有されていることを特徴とするNi基超合金。

請求項8

Ni基超合金により構成された部材であって、そのNi基超合金が請求項1から請求項7のいずれかに記載のNi基超合金であることを特徴とするNi基超合金部材

請求項9

請求項8に記載のNi基超合金部材の製造方法であって、請求項1から請求項6のいずれかに記載のNi基超合金を普通鋳造法、一方向凝固法、あるいは単結晶凝固法により鋳造成形して製造したことを特徴とするNi基超合金部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ジェットエンジン産業用ガスタービンなど高温機器に用いる耐熱合金であるNi基超合金に関するものであり、さらに詳しくは、高温における優れた耐熱性とともに、高温下における優れた耐酸化性ならびに耐食性を兼ね備えたNi(ニッケル)基超合金に関するものである。

背景技術

0002

Ni基超合金は、高温での組織定性クリープ特性が優れていることから高温機器の材料として幅広く利用されており特許出願もなされている。
特にMo、Coを含有するNi基単結晶超合金は、特許文献1から7に示すように、顕著な耐熱性を有していることから、近年、ジェットエンジン、産業用ガスタービンなど高温機器に適したNi基超合金として提案されており、それらの特許文献記載の一部のNi基超合金は幅広く使用されている。
また、地球温暖化の一因とされる二酸化炭素排出量の抑制などの視点から、エネルギー効率の優れた原子力発電タービンブレードタービンベーン等に対してもNi基単結晶超合金は好適な材料として期待される。
CoはAl、Ta等のガンマ母相に対する高温下での固溶限を大きくするとともに熱処理によって微細ガンマプライム相分散析出して高温強度を向上するという優れた機能を有しているため高温で使用するNi基超合金には不可欠な成分と考えられてきた。しかしながら、CoはNiに比べて高価な金属であって、可能な限りCoを含有しないNi基超合金が望まれている。また、Coは半減期が長いためCoが含有されているNi基超合金が放射能汚染された場合にはメンテナンスが大変面倒になるので、Ni基超合金を原子力発電等の放射能汚染の可能性がある高温機器の部材として使用するに際し、半減期の長いCoを含有しなくてもCoを含有したものと同等あるいはそれ以上のクリープ強度特性を有するNi基超合金の実現が望まれている。
Mo(モリブデン)は、一般に合金素地中に固溶して高温強度を上昇させるとともに、析出硬化により高温強度に寄与する元素として知られているが、高温において耐酸化特性耐腐食特性劣化させる傾向にある。
したがって、Ni基単結晶超合金の利用性を広めるには、Co、Moを極力使用しない新しいNi基超合金の開発が望まれる。

0003

また、Reを含有するNi基単結晶超合金は従来のNi基超合金に比べて顕著な耐熱性を有していることから、近年、ジェットエンジン、産業用ガスタービンなど高温機器に幅広く使用されている(特許文献1および2)。
最近では、燃料の高騰あるいは二酸化炭素の排出量の抑制などの観点から、ジェットエンジン、産業用ガスタービンなどの機器において、エネルギー効率の向上を目的として耐熱性、高温における耐食性・耐酸化性に優れたNi基単結晶超合金の使用が注目され、Re等の高価な金属を含有するNi基単結晶超合金の実用化が進んでいる。しかしながら、これらの合金の普及に伴ってRe等の金属の価格の上昇傾向にあるので、Reを含有するNi基単結晶超合金において、Re使用量を増やすことなく高温における機械的特性改善し、また、高温における耐食性・耐酸化性に優れたNi基単結晶超合金の開発が強く望まれている。

発明が解決しようとする課題

0004

本発明は、このような実情に鑑み、Co,Moを添加しないか、従来に比べ極微量の添加によって、従来の合金と同等以上の耐熱性を有するNi基合金と、極力少ないRe含有量においても、従来の合金と同等以上の耐熱性を有するとともに、高温での耐腐食性を向上したNi基超合金を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

発明1のNi基超合金は、Cr:1.0重量%以上12.0重量%以下、W:6.0重量%以上10.0重量%以下、Al:4.0重量%以上7.0重量%以下、Ta+Nb: 5.0重量%以上12.0重量%以下、Hf:2.0重量%以下、Re:0.1重量%以上5.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする。

0006

発明2は、発明1のNi基超合金において、Cr:6.0重量%以上、W:7.0重量%以上、Al:4.5重量%以上6.5重量%以下、Ta:5.0重量%超含有することを特徴とする。

0007

発明3は、発明2のNi基超合金において、Cr:7.5重量%超、Ta+Nb: 6.0重量%以上かつTa:6.0重量%超含有することを特徴とする。

0008

発明4は、発明3のNi基超合金において、Re:3.5重量%以下含有することを特徴とする。

0009

発明5は、発明4のNi基超合金において、Nb:0.1重量%以上5.0重量%以下を含有することを特徴とする。

0010

発明6は、発明1から5のいずれかのNi基超合金において、Si:0.4重量%以下、V:3重量%以下、Zr:3重量%以下、C:0.3重量%以下、B:0.2重量%以下、Y:0.2重量%以下、La:0.2重量%以下、Ce:0.2重量%以下の1種以上をさらに含有することを特徴とする。

0011

発明1から6のいずれかのNi基超合金において、Coが1.0重量%未満、Moが0.1重量%以下のいずれか又は双方が含有されていることを特徴とする。

0012

発明8は、Ni基超合金により構成された部材であって、そのNi基超合金が発明1から発明7のいずれかのNi基超合金であることを特徴とする。

0013

発明9は、発明8のNi基超合金部材製造方法であって、発明1から発明6のいずれかのNi基超合金を普通鋳造法、一方向凝固法、あるいは単結晶凝固法により鋳造成形して製造したことを特徴とする。

発明の効果

0014

本発明により、下記実施例より明らかな通り、Co及びMoを含有したNi基超合金と同様もしくはそれ以上の耐熱性を有しているCo及びMoフリーのNi基超合金を提供することができた。さらに、高価なReの使用量を極力抑えながら、Ni基超合金を特定の組成に制御することにより、優れた耐熱性と高温下における優れた耐酸化性、耐腐食性を兼ね備えたNi基超合金を提供することも可能となった。
本発明は、上記のとおりの特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態について詳細に説明する。

図面の簡単な説明

0015

合金番号2の合金と合金番号7(比較合金)の合金について、硫化腐食試験後の試料外観写真を比較したものである。
本発明合金(合金番号1〜5及び8〜13)および比較合金(合金番号6、7、14)について、耐熱性(クリープ寿命時間)と耐食性(腐食減量)との関係を図示したものである。
合金番号2の合金と合金番号7(比較合金)の合金について、空気中、1時間サイクルで1100℃の高温下に200サイクルの繰り返しで試料を暴露した際の質量の変化を示した図である。

0016

CoはAl、Ta等のガンマ母相に対する高温下での固溶限を大きくするとともに熱処理によって微細なガンマプライム相を分散析出して高温強度を向上するという機能を有している。さらに、Moは合金素地中に固溶して高温強度を上昇させるとともに析出硬化により高温強度に寄与する。そのために、高温での組織安定性やクリープ特性が優れたNi基超合金にはどちらも不可欠な成分であると、従来は考えられていた。しかしながら、本願の発明ではこれまで高強度Ni基超合金において不可欠であると考えられてきたCo及びMoを添加しないでも、Ni基超合金を特定の組成にすることにより、高いクリープ強度と優れた耐熱性と高温下における優れた耐酸化性、耐腐食性を兼ね備えたNi基超合金を実現できることを明らかにした。Coの含有量が1.0重量%未満、またMoの含有量が0.1重量%以下であれば、本発明合金の優れた耐酸化性、耐腐食性を損なわれることはない。
すなわち、Cr:1.0重量%以上12.0重量%以下、W:6.0重量%以上10.0重量%以下、Al: 4.0重量%以上7.0重量%以下、Ta+Nb: 5.0重量%以上12.0重量%以下、Hf:2.0重量%以下、Re:0.1重量%以上5.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成にすることにより、第2世代Ni基単結晶合金として使用実績のあるCoおよびMoを含んだCMSX−4に比較しても劣ることのない耐熱性を有することが明らかになった。

0017

また、本発明ではNi基超合金を用いる高温機器の特定の用途により、たとえば、Si:0.4重量%以下、V:3重量%以下、Zr:3重量%以下、C:0.3重量%以下、B:0.2重量%以下、Y:0.2重量%以下、La:0.2重量%以下、Ce:0.2重量%以下の少なくとも1種以上を添加することにより、様々な用途に応じた製品の物性をさらに向上させることが可能である。

0018

本発明のNi基超合金は、高温での組織安定性やクリープ特性及び耐酸化・耐腐食性が優れており、特にタービンブレードまたはタービンベーン部品の製造に好適である。

0019

本発明のNi基超合金の成分の最適含有範囲について以下に説明する。

0020

Cr(クロム)は、耐酸化性に優れた元素であり、Ni基超合金の高温耐食性を向上させる。Cr含有量があまり少ないとその効果は小さく、あまり多くなると他の耐熱強化元素とのバランスが悪くなって性能が低下するので、好ましくない。Crの含有量は1.0重量%以上12.0重量%以下の範囲が好ましく、さらにCr:6.0重量%以上11.0重量%以下がより好ましく、またさらには7.5重量%超11.0重量%以下が最も好ましい。

0021

W(タングステン)は、固溶強化と析出硬化の作用があり、Ni基超合金の高温強度を向上させる。W含有量があまり少ないと高温強度の改善効果は小さく、あまり多くなると有害相を析出するので好ましくない。また、W量が多くなると合金全体比重が大きくなり、合金コストも高くなるので、好ましくない。Wの含有量は6.0重量%以上10.0重量%以下の範囲が好ましく、さらに7.0重量%以上10.0重量%以下がより好ましい。

0022

Al(アルミニウム)は、Niと化合してガンマ母相中に析出するガンマプライム相を構成するNi3Alで表される金属間化合物体積分率で50〜70%の割合で形成して高温強度を向上させる。Alの含有量が少なすぎるとガンマプライム相の析出強化の効果が充分に現れず、あまり多く添加し過ぎると合金の延性を低下させてしまうので、好ましくない。Alの含有量は4.0重量%以上7.0重量%以下の範囲が好ましく、さらに4.5重量%以上6.5重量%以下がより好ましい。

0023

Ta(タンタル)およびNb(ニオブ)は、いずれもガンマプライム相を強化してクリープ強度を向上させることに有効な元素である。Ta+Nbの組成が少ないとガンマプライム相の析出強化の効果が充分に現れず、あまり多く添加し過ぎると合金の延性を低下させてしまうので、好ましくない。これらの1つ以上を添加することが必要であるが、Ta+Nbの組成範囲は5.0重量%以上とし、また、元素の含有量の総和が12重量%超になると有害相の生成が助長されるので12.0重量%以下として用いる。Ta+Nbの組成は5.0重量%以上12.0重量%以下かつTaが5.0重量%超の範囲が好ましく、さらにTa+Nbの組成は6.0重量%以上12.0重量%以下かつTaが6.0重量%超の範囲がより好ましい。また、Nbはクリープ強度の改善に有効であるとともに、Ta等の一部合金元素置換することによって合金の密度下げることに有効であり、Nbの組成範囲としては0.1重量%以上5.0重量%以下、好ましくは0.1重量%以上4.0重量%以下で通常使用される。

0024

Hf(ハフニウム)は、耐酸化性を向上させる効果があるので、好んで添加して使用することも多いが、含有量が多すぎると有害相の生成を助長する傾向にある。したがって、Hfの含有量は2.0重量%以下が好ましい。

0025

Re(レニウム)は、ガンマ相に固溶して固溶強化により高温強度を向上させるだけでなく耐食性を向上させる効果もある。Reの含有量が極端に少ないと高温強度および耐食性の改善効果は顕著に認められず、一方、Reの含有量が多すぎると、高温時にTCP相が析出して高温強度を低下させるおそれもあり、また、高価なReを多量に使用することは合金コストを上昇させる要因ともなるので、好ましくない。したがって、Reの含有量としては、0.1重量%以上5.0重量%以下の範囲で使用するのが好ましく、さらに0.1重量%以上3.5重量%以下の範囲で使用するのがより好ましい。

0026

Si(ケイ素)は、合金表面にSiO2皮膜を生成させて保護被膜として耐酸化性を向上させる。しかしながら、Siを多量に含有すると他の元素の固溶限を低下させるため0.4重量%以下が好ましい。

0027

V(バナジウム)は、ガンマプライム相に固溶してガンマプライム相を強化させる。しかしながら、過度の含有量はクリープ強度を低下させるため3重量%以下が好ましい。

0028

Zr(ジルコニウム)は、B(ホウ素)やCと同様に粒界を強化する。しかしながら、過度の含有量はクリープ強度を低下させることから3重量%以下が好ましい。

0029

C(炭素)は、粒界強化に寄与する。しかしながら、過度の含有量は延性を害するため0.3重量%以下が好ましい。

0030

B(ホウ素)は、Cと同様に粒界強化に寄与する。しかしながら、過度の含有量は延性を害するため0.2重量%以下が好ましい。

0031

Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)は、Ni基超合金を高温で使用中にアルミナクロミアなどを形成する保護酸化皮膜密着性を向上させる。しかしながら、過度の含有量は他の元素の固溶限を低下させることになるため、Y:0.2重量%以下、La:0.2重量%%以下、Ce:0.2重量%以下の範囲で使用することが好ましい。

0032

以上のような元素組成を有する本発明のNi基超合金は、鋳造することができる。そして、この鋳造に際しては、たとえば、普通鋳造法、一方向凝固法、あるいは単結晶凝固法によって多結晶合金、一方向凝固合金、あるいは単結晶合金としてNi基超合金を製造することができる。普通鋳造法は基本的に所望の組成に調合されたインゴットを用いて鋳造するが、鋳型温度を合金の凝固温度約1500℃以上に加熱しておき、超合金を鋳込んだ後に、例えば加熱炉から徐々に遠ざけて温度勾配を与え多数の結晶を一方向に成長させる方法である。単結晶凝固法は一方向凝固法とほぼ同様であるが所望の品物凝固する手前でジグザクあるいは螺旋型のセレクター部を設け、一方向で凝固してきた多数の結晶をセレクター部で一つの結晶にし、所望の品物を製造する。

0033

本発明のNi基超合金は鋳造後に熱処理を施すことにより高クリープ強度が得られる。標準的な熱処理は、1260〜1300℃で20分〜2時間の予備熱処理を施した後に、1300〜1350℃を1050〜1150℃の温度域で2〜8時間加熱、空冷を行う。この処理は耐熱・耐酸化を目的としたコーティング処理と兼ねることが可能である。空冷した後、引き続きガンマプライム相安定化を目的とした2次時効処理を800〜900℃で10〜24時間実施した後、空冷の処理を行う。それぞれの空冷を不活性ガスに置き換えてもよい。この製造方法により作成されたNi基超合金によりガスタービンタービンブレートあるいはタービンベーン等の高温部品が実現される。

0034

表1の組成の異なる7種類を用いて通常の方法で、単結晶に鋳造して溶体化処理及び時効処理を行った。溶体化処理としては、1300℃で1時間保持した後、1330℃まで昇温して5時間保持した。また、時効処理は1100℃で4時間保持する1次時効と、870℃で20時間保持する2次時効処理を行った。

0035

0036

次に、溶体化処理及び時効処理を施した本実施例の合金番号1から5および比較合金である合金番号6,7に対してクリープ強度を測定した。クリープ試験は800℃−735MPa、900℃−392MPa、1000℃−245MPa 、1100℃−137MPaの条件で試料がクリープ破断するまでの時間を寿命とした。また、各種合金の耐腐食性を比較する目的で、75%Na2SO4+25%NaCl成分の塩を900℃に加熱溶融した塩中に20時間試料を浸漬して硫化腐食試験を実施した。腐食の程度は硫化腐食減量を長さに換算して示した。表2では、本実施例の合金および比較合金に関し、クリープ破断寿命(h)および耐食性の目安となる腐食減量で整理して示した。

0037

0038

表2に示されるように、本実施例の合金番号1から5の合金は広い合金組成範囲において耐熱性部材として充分な優れた耐熱性を有している。また、表2に示す腐食減量の結果から、本実施例の合金番号1から5の合金は参考例に示す合金に比べて顕著に優れた耐食性を有するものであることが分かる。また、図1は、合金番号2の合金と合金番号7の合金の硫化腐食試験後の試料の外観写真を比較したものである。合金番号2の合金では腐食試験後もほとんど外観上の変化は認められなかった。一方、既存合金(CMSX−4)である合金番号7では明らかに腐食が進行している様子が観測された。すなわち、本実施例の合金番号2の合金と合金番号7の既存合金を比較した場合、合金番号2の合金中の高価なReの含有量(1.2質量%)が既存合金に較べて半分以下であるにも拘らず、高温における優れた耐熱性と耐食性を有していることが本合金の際立った特徴である。本合金は耐熱性および耐食性において、非常にバランスの取れた優れた合金であることがこれらの実施例からも明らかである。

0039

次に、表3の組成の異なる7種類の合金番号8から14の合金についても通常の方法で、単結晶に鋳造して溶体化処理及び時効処理を行った。溶体化処理としては、1300℃で1時間保持した後、1330℃まで昇温して5時間保持した。また、時効処理は1100℃で4時間保持する1次時効と、870℃で20時間保持する2次時効処理を行った。溶体化処理及び時効処理を施した合金番号8から14の合金に対してクリープ強度を測定した。クリープ試験は900℃−392MPa、1100℃−137MPaの条件で試料がクリープ破断するまでの時間を寿命とした。また、これら合金の耐腐食性を比較する目的で、75%Na2SO4+25%NaCl成分の塩を900℃に加熱溶融した塩中に20時間試料を浸漬して硫化腐食試験を実施した。これらの評価結果も併せて表3に示した。

0040

0041

図2は、合金番号1から5と8から13(本発明実施合金)と合金番号6,7、14(比較合金)について、耐熱性(クリープ寿命時間)と耐食性(腐食減量)との関係を図示したものである。この図から、本発明の合金は、高温使用条件下において耐熱特性のみならず耐食性に優れた特すべき性能バランスを有するNi基単結晶超合金であることが明らかである。

0042

さらに、合金の高温下における耐酸化性を検討するために、空気中、1時間サイクルで1100℃の高温下に約200サイクルの繰り返し暴露試験を行い、各合金による質量変化を図4に示した。図から明らかなように、本発明の合金は耐腐食性に優れるのみならず、高温における耐酸化性についても優れた性能を有している。

実施例

0043

以上の実施例から明らかなように、本発明の合金は、第2世代Ni基単結晶合金として使用実績のあるCMSX−4に比較し、長時間にわたり高温における優れたクリープ特性とともに、高温下において優れた耐酸化性および耐食性を兼ね備えた非常に性能バランスのよいコバルトフリーのNi基超合金であるといえる。

0044

本願発明によれば、耐熱性、高温における耐食性および耐酸化性において、非常にバランスの取れた優れた合金を提供することが可能となる。また、高価なReなどの高価な金属の使用量を既存合金に比べて大幅に削減することも可能となる。したがって、本発明によれば、ジェットエンジンや発電用ガスタービンなどのタービンブレードやタービンベーンとして好適な中温部から高温部までバランスの良い合金を提供することが可能である。また、特に半減期の長いCoを含まないことから原子力発電などの材料としての実用化も可能性も期待される。すなわち、原子力発電等のタービンブレードやタービンベーンとして好適な長時間にわたり組織安定性が高く、高温におけるクリープ特性が優れたコバルトフリーのNi基超合金を製造することが可能となる。

先行技術

0045

:米国特許第4,643,782号明細書
:米国特許第4,908,183号明細書
:米国特許第5,043,138号明細書
:米国特許第5,068,084号明細書
:米国特許第5,069,873号明細書
:米国特許第5,151,249号明細書
:米国特許第6,905,559号明細書

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