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技術 イントロンRNAを用いたヒト胚性幹様細胞の生成

出願人 リン、シー-ランイン、シャオヤオウー、デイビッドティーエス
発明者 リン、シー-ランイン、シャオヤオウー、デイビッドティーエス
出願日 2008年3月10日 (11年11ヶ月経過) 出願番号 2010-526976
公開日 2010年12月24日 (9年2ヶ月経過) 公開番号 2010-539934
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 集合効果 前駆構造体 変化閾値 パルス面積 抽出フィルター アメーバ状 認識構成要素 分散パターン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は一般に、イントロンマイクロRNA様RNA因子導入遺伝子発現を用いた多能性ヒト胚性(hES様細胞の発生、生成、及び選別の方法に関する。より詳細には、本発明は、ほ乳類細胞においてmir-302様RNA分子プロセシングできる非天然イントロン及びそのイントロン構成要素を生成することによって、細胞の分化関連及び運命決定遺伝子への特定の特異的遺伝子サイレンシング効果誘導し、その結果細胞を多能性胚性幹(ES)細胞様の状態に再プログラミングする方法及び組成に関する。このように得られたES様細胞は、Oct3/4、SSEA-3、及びSSEA-4のようなhES細胞マーカーを強力に発現し、インビトロでの無フィーダー細胞培養条件下で特定のホルモン及び/又は成長因子の処理によって、様々な組織細胞種に誘導可能であり、移植及び遺伝子療法に使用される可能性がある。従って、本発明は、体細胞をES様多能性細胞に再プログラミングするだけでなく、無フィーダー細胞培養条件下でES細胞の多能性及び更新特性の維持を促進し、従来のiPS法で用いられている4つの大きな転写因子遺伝子レトロウイルスによって単一細胞に挿入するような、大変な操作が回避される簡単で有効、しかも安全な遺伝子操作法を提供する。

概要

背景

ヒト幹細胞における最近の研究は、移植療法において極めて有望な可能性を示してきた。にもかかわらず、ヒト幹細胞のクローニング供給源は限られ、その純度及び質の管理は極めて難しい。1998年にJames Thomsonら(例えば、米国特許第5,843,780号、第6,200,806号、第7,029,913号、及び第7,220,584号)は、ヒト胚盤胞から初めてヒト胚性(hES細胞株を単離した(Thomsonら, (1998) Science 282: 1145-1147)。H1及びH9は、これらの単離hES細胞由来の2つの代表的な細胞株である。2年後、Gearhartら(例えば、米国特許第6,090,622号、第6,245,566号、及び第6,331,406号)も胚盤胞後のヒト胚からhES様始原生殖細胞を単離する手段及び方法を開発した。これらの胚性幹細胞単離法のやり方では、元の胚を破壊しなければならないので、このように得られるhES細胞株を臨床療法に用いることの正当性議論する多くの倫理的人道的な懸念が生じてきた。

近年、単離hES細胞株の使用に関する安全性の問題について、ますます多くの懸念が指摘されている。例えば、これらのhES細胞株を多能性幹細胞状態に長期維持する培養条件には、「フィーダー細胞」と言われる周囲の線維芽細胞が放出するいくつかの未同定因子が必要なので、hES細胞は通常、マウス又はヒト線維芽細胞フィーダー細胞層上で培養される。この方法を試みた従来の技術には、Reubinoffらによる米国特許第6,875,607号が含まれる。しかしながら、線維芽細胞フィーダー細胞は全く異なる抗原特性をもち、これがhES細胞に混入する可能性が非常に高く、患者免疫拒絶を引き起こすおそれがある。一方、いくつかの無フィーダー細胞培養条件も開発されてきたが、これらの無フィーダー細胞法は、いずれも長期にhES細胞を安定した未分化幹細胞状態に維持することはできない。この問題は実際には単離hES細胞のもう1つの欠点、すなわち、それらの混在性に関連する。現在利用可能なhES細胞株はいずれも培養条件において純度100%の細胞集団を達成できない。最良のフィーダー細胞培養条件下でさえ、不定の割合(約3〜5%又はそれ以上)のhES細胞が他の細胞種分化し、またその幹細胞特性を失う傾向がある。hES細胞から分化した最もよく観察される細胞種の1つは奇形腫である。奇形腫はヒト生殖系列細胞由来腫瘍で、胚の内胚葉中胚葉、及び外胚葉組織に類似した複数の癌のように見える細胞種を含むことが多い。

従って、フィーダー細胞の混入を阻止する方法と幹細胞の純度を上げる方法は、現在幹細胞研究における2つの主要な課題となっている。
2006年に、高橋と山中は人工多能性幹(iPS)細胞を新たに導入した(Cell 126: 663-676)。マウス線維芽細胞への4つの転写因子遺伝子(Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4)の遺伝子導入による送達を用いて、インビトロ体細胞性線維芽細胞を胚性幹(ES)様多能性細胞再プログラミングして形質転換させることに成功した。2007年には、これらのiPS細胞行動特性に関する特性がマウス胚性幹(mES)細胞と同様なことが確認されている(Okitaら, (2007) Nature 448: 313-317; Wernigら, (2007) Nature 448: 318-324)。一方、Yuらは、Oct4、Sox2、Nanog、及びLIN28という4つの他の導入遺伝子を用いて、同様な方法でヒト線維芽細胞からより新しいiPS細胞株を開発している(Yuら, (2007) Science 318: 1917-1920)。iPS細胞の利用は、従来のhES細胞の倫理的問題及び混在性問題を解決するだけでなく、体細胞核移植(SCNT)技術と併用すれば、患者に優しい療法を提供する可能性もある(Meissnerら, (2006) Nature 439: 212-215)。このようなiPS細胞に基づくSCNT療法は、遺伝子導入マウスモデルにおける鎌状赤血球貧血治療の成功で証明された(Hannaら, (2007) Science 318: 1920-1923)。しかし、まだiPS細胞の適用は完全には進んでいない。iPS細胞の生成過程には2つの問題が生じる。その1つはレトロウイルス導入遺伝子の使用であり、もう1つは癌遺伝子(例えばc-Myc)の使用である。レトロウイルス感染は、標的体細胞に4つの完全長遺伝子を同時且つ遺伝子導入による送達する唯一の有効な手段であるが、形質移入細胞のゲノム内へのレトロウイルスベクターランダムな挿入は、他の非標的遺伝子にも影響し、予測しない結果を引き起こす可能性がある。これは送達された1つ以上の遺伝子が癌遺伝子の場合に特に危険である。

単一細胞への4つの完全長導入遺伝子の同時送達を、正確に制御することは極めて難しい。しかしながら、実際には、複数の転写因子を使用し、転写因子同士及び特定の他の発生因子間シグナル伝達を相殺又は調整することが、iPS細胞技術には必要である。詳細なメカニズムはまだ不明であるが、Oct4-Sox2-c-Myc-Klf4又はOct4-Sox2-Nanog-LIN28による組み合わせ遺伝子の効果は、結果的に初期細胞分化に必要な発生シグナル中止させるようである。胚性幹マーカーOct4にもかかわらず、iPS細胞の生成に用いる他の全ての遺伝子は、特定の発生系譜に関与している。これらは通常、異なる胚の発生段階及び/又は場所に存在し、特異的細胞分化を誘導する。これらをまとめて誤った場所に配置すると、発生シグナルの障害によってなぜか細胞分化が停止し、その後別の新たな発生シグナルが再び与えられるまで、宿主細胞をES様の状態に引き留める。この方法は機能するが、自然なものではない。自然の受精卵では、母性物質が幹細胞の維持及び複製の制御を担当している。これは、128細胞期より前の胚細胞が全て同じで且つ全能性である理由となる。母性物質は卵形成中に生じ、成熟卵母細胞内に貯えられて初期胚発生に使用される。マウス卵母細胞では、母性物質の多くがRNAで占められ、これはゲノムのトランスクリプトーム全体の約45%に匹敵する(Stitzelら., (2007) Science 316: 407-408)。母性から胚性への転移中に、これらの母性RNAは急速に分解され、2細胞期という初期から胚性遺伝子の転写が開始され、さらなる胚発生のシグナルを作る(O'Farrellら, (2004) Curr. Biol. 14: R35-45)。母性RNAの多くは、胚の最初の発生段階において発生シグナルを阻害し、全能性/多能性細胞のまま分裂させるために、胚性遺伝子産物阻害因子であると考えられる。従って、幹細胞の維持と更新秘密は、多能性胚性幹細胞期よりも極めて遅い段階に示される発生シグナルというよりも、むしろ母性物質に存在するに違いない。

要するに、母性物質の天然方式を模倣したヒト胚性幹(hES)様細胞を生成して維持するには、単離した母性物質をヒト幹細胞又は体細胞に遺伝子導入によって送達し、幹細胞の特性を維持するか、又は体細胞をhES様細胞状態に再プログラミングする新たな方策が高く望まれている。従って、母性物質、特に母性RNAを用いてhES様細胞を生成する有効で簡単、しかも安全な遺伝子導入法及び因子の組成が未だに求められている。

概要

本発明は一般に、イントロンマイクロRNA様RNA因子導入遺伝子発現を用いた多能性ヒト胚性幹(hES)様細胞の発生、生成、及び選別の方法に関する。より詳細には、本発明は、ほ乳類細胞においてmir-302様RNA分子プロセシングできる非天然イントロン及びそのイントロン構成要素を生成することによって、細胞の分化関連及び運命決定遺伝子への特定の特異的遺伝子サイレンシング効果を誘導し、その結果細胞を多能性胚性幹(ES)細胞様の状態に再プログラミングする方法及び組成に関する。このように得られたES様細胞は、Oct3/4、SSEA-3、及びSSEA-4のようなhES細胞マーカーを強力に発現し、インビトロでの無フィーダー細胞培養条件下で特定のホルモン及び/又は成長因子の処理によって、様々な組織細胞種に誘導可能であり、移植及び遺伝子療法に使用される可能性がある。従って、本発明は、体細胞をES様多能性細胞に再プログラミングするだけでなく、無フィーダー細胞培養条件下でES細胞の多能性及び更新特性の維持を促進し、従来のiPS法で用いられている4つの大きな転写因子遺伝子をレトロウイルスによって単一細胞に挿入するような、大変な操作が回避される簡単で有効、しかも安全な遺伝子操作法を提供する。

目的

iPS細胞の利用は、従来のhES細胞の倫理的問題及び混在性問題を解決するだけでなく、体細胞核移植(SCNT)技術と併用すれば、患者に優しい療法を提供する

効果

実績

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請求項1

ほ乳類細胞イントロンmir-302媒介性の遺伝子サイレンシング効果誘導する遺伝子導入法であって、(a)エクソンと並んでmir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターをコードし、mir-302媒介性の遺伝子サイレンシングを誘導するためにエクソンと切り離される、少なくとも1つのイントロンを含む組換え核酸成分構築する段階と、(b)前記組換え核酸成分を発現可能ベクタークローニングする段階と、(c)前記組換え核酸成分の複数のRNA一次転写産物を生成し、また、mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターの配列と相補的な配列を含む遺伝子に対してmir-302媒介性の遺伝子サイレンシング効果を提供するように、RNA一次転写産物から前記イントロンを切り出し、結果的に複数の幹細胞多能性細胞再プログラミングされる、複数のほ乳類細胞へ前記発現可能ベクターを導入する段階とを含む遺伝子導入法。

請求項2

前記ほ乳類細胞はヒト細胞である、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記ほ乳類細胞は体細胞である、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記ほ乳類細胞は癌性細胞である、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記イントロンのmir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターは合成DNA配列である、請求項1に記載の方法。

請求項6

前記イントロン又はエクソン配列、もしくはその両者の核酸構成要素を合成する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記組換え核酸成分は組換え細胞遺伝子である、請求項1に記載の方法。

請求項8

前記組換え核酸成分はGFP遺伝子ウイルス遺伝子、ほ乳類遺伝子、ジャンピング遺伝子、トランスポゾン、及びこれらの組み合わせに由来する組換え遺伝子である、請求項1に記載の方法。

請求項9

前記イントロンはDNA制限処理及びライゲーション相同組換え導入遺伝子の組み込み、トランスポゾンの挿入、ジャンピング遺伝子の組み込み、レトロウイルスの感染、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる遺伝子工学手法によって構築される、請求項1に記載の方法。

請求項10

前記イントロンはmir-302様遺伝子サイレンシングエフェクター、分岐点モチーフポリピリミジントラクト供与スプライス部位、及び受容スプライス部位をコードするイントロン挿入配列の構成要素を含む核酸配列である、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記イントロン挿入配列はSEQ.ID.NO.1又はSEQ.ID.NO.2のいずれかに相同ステムループ構造を含むヘアピン状核酸配列である、請求項10に記載の方法。

請求項12

前記イントロン挿入配列は、SEQ.ID.NO.3と相同又は/及び相補的な核酸配列である、請求項10に記載の方法。

請求項13

前記イントロン挿入配列はSEQ.ID.NO.9、SEQ.ID.NO.10、SEQ.ID.NO.11、SEQ.ID.NO.12、及びSEQ.ID.NO.13からなる群から選ばれる核酸配列を含むヘアピン状マイクロRNA前駆体(pre-miRNA)の配列である、請求項10に記載の方法。

請求項14

前記イントロン挿入配列は、開裂部位AatII、AccI、AflII/III、AgeI、ApaI/LI、AseI、Asp718I、BamHI、BbeI、BclI/II、BgUI、BsmI、Bsp120I、BspHI/LU11I/120I、BsrI/BI/GI、BssHII/SI、BstBI/U1/XI、ClaI、Csp6I、DpnI、DraI/II、EagI、Ecl136II、EcoRI/RII/47III、EheI、FspI、HaeIII、HhaI、HinPI、HindIII、HinfI、HpaI/II、KasI、KpnI、MaeII/III、MfeI、MluI、MscI、MseI、NaeI、NarI、NcoI、NdeI、NgoMI、NotI、NruI、NsiI、PmlI、Ppu10I、PstI、PvuI/II、RsaI、SacI/II、SalI、Sau3AI、SmaI、SnaBI、SphI、SspI、StuI、TaiI、TaqI、XbaI、XhoI、XmaI及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも1つの制限/クローニング部位によって、前記イントロンに組み込まれる、請求項10に記載の方法。

請求項15

前記分岐点は、SEQ.ID.NO.6配列を含む、又は、これに相同な核酸配列内に位置するアデノシン(A)ヌクレオチドである、請求項10に記載の方法。

請求項16

前記分岐点は、5'-TACTAAC-3'に相同なオリゴヌクレオチドモチーフを少なくとも1つ含む核酸配列内に位置するアデノシン(A)ヌクレオチドである、請求項10に記載の方法。

請求項17

前記ポリピリミジントラクトは、SEQ.ID.NO.7又はSEQ.ID.NO.8の配列を含む、もしくは、これらに相同なT又はCが高含量の核酸配列である、請求項10に記載の方法。

請求項18

前記供与スプライス部位は、SEQ.ID.NO.4配列を含む、又は、これに相同な核酸配列である、請求項10に記載の方法。

請求項19

前記供与スプライス部位は、5'-GTAAG-3'を含む、又は、これに相同な核酸配列である、請求項10に記載の方法。

請求項20

前記受容スプライス部位は、SEQ.ID.NO.5配列を含む、又は、これに相同な核酸配列である、請求項10に記載の方法。

請求項21

前記受容スプライス部位は、5'-CTGCAG-3'を含む、又は、これに相同な核酸配列である、請求項10に記載の方法。

請求項22

前記mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターは、SEQ.ID.NO.3と相同又は/及び相補的な配列を含む核酸配列である、請求項1に記載の方法。

請求項23

前記mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターは、SEQ.ID.NO.10、SEQ.ID.NO.11、SEQ.ID.NO.12、及び/又はSEQ.ID.NO.13を含む核酸配列である、請求項1に記載の方法。

請求項24

前記mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターは、SEQ.ID.NO.9を含む核酸配列である、請求項1に記載の方法。

請求項25

前記発現可能ベクターは、DNA導入遺伝子、プラスミド、トランスポゾン、レトロトランスポゾン、ジャンピング遺伝子、ウイルスベクター、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1に記載の方法。

請求項26

前記ベクターの内容物は、ウイルス又はII型RNAポリメラーゼ(Pol-II)プロモーターもしくはこれらの両者、Kozak翻訳開始共通配列ポリアデニル化シグナル、及び複数の制限/クローニング部位からなる、請求項1に記載の方法。

請求項27

前記制限/クローニング部位は、制限酵素AatII、AccI、AflII/III、AgeI、ApaI/LI、AseI、Asp718I、BamHI、BbeI、BclI/II、BgUI、BsmI、Bsp120I、BspHI/LU11I/120I、BsrI/BI/GI、BssHII/SI、BstBI/U1/XI、ClaI、Csp6I、DpnI、DraI/II、EagI、Ecl136II、EcoRI/RII/47III、EheI、FspI、HaeIII、HhaI、HinPI、HindIII、HinfI、HpaI/II、KasI、KpnI、MaeII/III、MfeI、MluI、MscI、MseI、NaeI、NarI、NcoI、NdeI、NgoMI、NotI、NruI、NsiI、PmlI、Ppu10I、PstI、PvuI/II、RsaI、SacI/II、SalI、Sau3AI、SmaI、SnaBI、SphI、SspI、StuI、TaiI、TaqI、XbaI、XhoI、XmaI及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるエンドヌクレアーゼのためのオリゴヌクレオチド開裂ドメインである、請求項26に記載の方法。

請求項28

前記ベクターにはさらに、pUC複製起点複製可能な原核細胞抗生物質耐性遺伝子を少なくとも1つ発現するSV40初期プロモーター、及びほ乳類細胞の選択的SV40複製起点を含む、請求項26に記載の方法。

請求項29

前記抗生物質耐性遺伝子は、ペニシリンGアンピシリンネオマイシン、パロマイシンカナマイシンストレプトマイシンエリスロマイシンスペクトロマイシン、フォフォマイシン、テトラサイクリンリファピシン、アムホテリシンBゲンタマイシンクロランフェニコールセファロチンタイロシン、G418、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項28に記載の方法。

請求項30

前記ベクターは、リポソーム形質移入化学的形質移入、DNA組換えによる遺伝子導入ウイルス感染トランスポゾン挿入、ジャンピング遺伝子挿入、マイクロインジェクション電気穿孔法遺伝子銃による貫入、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる遺伝子送達法によって、前記ほ乳類細胞に導入される、請求項1に記載の方法。

請求項31

前記組換え核酸成分のRNA一次転写産物は、II型(Pol-II)、III型(Pol-III)、I型(Pol-I)、及びウイルス性のRNAポリメラーゼによる転写機構からなる群から選ばれる転写機構によって生成される、請求項1に記載の方法。

請求項32

前記組換え核酸成分のRNA一次転写産物は、mRNAhnRNArRNAtRNA、snoRNA、snRNA、pre-microRNA、viral RNA、及びこれらのRNA前駆体さらに誘導体からなる群から選ばれるリボヌクレオチド配列である、請求項1に記載の方法。

請求項33

前記mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターは、RNAスプライシングエキソソーム消化ナンセンス変異依存分解(NMD)プロセシング、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれるイントロン切り出しメカニズムによって前記イントロンから放出される、請求項1に記載の方法。

請求項34

前記mir-302媒介性の遺伝子サイレンシング効果は、細胞内転写後遺伝子サイレンシング、翻訳抑制、RNA干渉、及び/又はナンセンス変異依存分解メカニズムによって引き起こされる、請求項1に記載の方法。

請求項35

前記幹細胞様多能性細胞は、mir-302マイクロRNAを発現する、請求項1に記載の方法。

請求項36

前記幹細胞様多能性細胞は、胚性幹細胞マーカーOct3/4、SSEA-3、及びSSEA-4を発現する、請求項1に記載の方法。

請求項37

前記幹細胞様多能性細胞は、無フィーダー細胞培養条件下で培養できる、請求項1に記載の方法。

請求項38

前記幹細胞様多能性細胞は、10%活性炭処理済みFBSを添加したDMEMで培養できる、請求項1に記載の方法。

請求項39

前記幹細胞様多能性細胞は生殖系列様細胞分化できる、請求項1に記載の方法。

請求項40

前記幹細胞様多能性細胞は精原細胞様細胞に分化できる、請求項1に記載の方法。

請求項41

前記幹細胞様多能性細胞は線維芽細胞様細胞に分化できる、請求項1に記載の方法。

請求項42

前記幹細胞様多能性細胞は軟骨細胞様細胞に分化できる、請求項1に記載の方法。

請求項43

前記幹細胞様多能性細胞は胚様体コロニーを形成できる、請求項1に記載の方法。

請求項44

前記mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターは、mir-93、mir-367、mir-371、mir-372、mir-373、及びmir-520ファミリーの要素といくつかの相同標的遺伝子共有する、請求項1に記載の方法。

請求項45

前記幹細胞様多能性細胞は、マーカーとしてmir-302マイクロRNAを用いて選択的に単離できる、請求項1に記載の方法。

請求項46

mir-302媒介効果を誘導するための組換え核酸成分であって、ほ乳類分化細胞胚性様多能性細胞に再プログラミングするmir-302媒介効果を誘導するために、所望の機能をもつ遺伝子を形成するために連結されるエクソンと切り離される前記エクソンと並んで、mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターをコードする少なくとも1つのイントロンを含む組換え核酸成分。

請求項47

前記イントロンは、(a)mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターをコードするイントロン挿入配列と、(b)供与及び受容のスプライス部位と、(c)分岐点モチーフと、(d)少なくとも1つのポリピリミジントラクトとを含む請求項46に記載の組換え核酸成分。

請求項48

前記イントロン挿入配列は、SEQ.ID.NO.1又はSEQ.ID.NO.2のいずれかと相同なステムループ構造を含むヘアピン状核酸配列である、請求項47に記載の組換え核酸成分。

請求項49

前記イントロン挿入配列は、SEQ.ID.NO.3と相同又は/及び相補的な配列を含む核酸配列である、請求項47に記載の組換え核酸成分。

請求項50

前記イントロン挿入配列は、SEQ.ID.NO.9、SEQ.ID.NO.10、SEQ.ID.NO.11、SEQ.ID.NO.12、及びSEQ.ID.NO.13からなる群から選ばれる核酸配列を含むヘアピン状マイクロRNA前駆体(pre-miRNA)の配列である、請求項47に記載の組換え核酸成分。

請求項51

前記イントロン挿入配列は、少なくとも1つの制限/クローニング部位によって前記イントロンに組み込まれる、請求項47に記載の組換え核酸成分。

請求項52

前記分岐点は、SEQ.ID.NO.6配列を含む、又は、これに相同な核酸配列内に位置するアデノシン(A)ヌクレオチドである、請求項47に記載の組換え核酸成分。

請求項53

前記分岐点は、5'-TACTAAC-3'に相同なオリゴヌクレオチドモチーフを少なくとも1つ含む核酸配列内に位置するアデノシン(A)ヌクレオチドである、請求項47に記載の組換え核酸成分。

請求項54

前記ポリピリミジントラクトは、SEQ.ID.NO.7又はSEQ.ID.NO.8配列を含む、又は、これらに相同なT又はCが高含量の核酸配列である、請求項47に記載の組換え核酸成分。

請求項55

前記供与スプライス部位は、SEQ.ID.NO.4配列を含む、又は、これに相同な核酸配列である、請求項47に記載の組換え核酸成分。

請求項56

前記供与スプライス部位は、5'-GTAAG-3'を含む、又は、これに相同な核酸配列である、請求項47に記載の組換え核酸成分。

請求項57

前記受容スプライス部位は、SEQ.ID.NO.5配列を含む、又は、これに相同な核酸配列である、請求項47に記載の組換え核酸成分。

請求項58

前記受容スプライス部位は、5'-CTGCAG-3'を含む、又は、これに相同な核酸配列である、請求項47に記載の組換え核酸成分。

請求項59

前記mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターは、SEQ.ID.NO.3と相同又は/及び相補的な配列を含む核酸配列である、請求項46に記載の組換え核酸成分。

請求項60

前記mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターは、SEQ.ID.NO.10、SEQ.ID.NO.11、SEQ.ID.N0.12、及び/又はSEQ.ID.N0.13を含む核酸配列である、請求項46に記載の組換え核酸成分。

請求項61

前記mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターは、SEQ.ID.NO.9を含む核酸配列である、請求項46に記載の組換え核酸成分。

技術分野

0001

本特許出願は、2007年10月29日に提出された米国仮特許出願第61/000,797号、2007年12月17日に提出された米国仮特許出願第61/007,867号、2007年12月28日に提出された米国仮特許出願第61/006,179号、及び2007年12月28日に提出された米国特許出願第12/003,662号に基づく優先権を主張する。米国特許出願第12/003,662号は、2003年5月15日に提出された米国特許出願第10/439,262号及び2006年3月31日に提出された米国特許出願第11/278,143号に基づく優先権を主張するので、本出願は米国特許出願第10/439,262号及び米国特許出願第11/278,143号の一部継続出願を示す。

0002

本発明は一般に、イントロン性のヘアピンRNA因子導入遺伝子発現を用いたヒト胚性(hES様細胞の発生、生成、及び選別の手段及び方法に関する。より詳細には、本発明はヒト細胞において、小さなヘアピン状マイクロRNA前駆体(pre-miRNA)分子プロセシングできる非天然イントロン及びその構成要素を生成することによって、細胞分化関連遺伝子及び運命決定遺伝子に対する特定の特異的遺伝子サイレンシング効果誘導され、その結果多能性胚性幹(ES)細胞様の状態へ細胞を再プログラミングする方法及び組成に関する。ヘアピン状pre-miRNA分子は、mir-302a、mir-302b、mir-302c、mir-302d、及びこれらの手動再設計した前駆体の相同体、またこれらの組み合わせを含むことが好ましい。

背景技術

0003

ヒト幹細胞における最近の研究は、移植療法において極めて有望な可能性を示してきた。にもかかわらず、ヒト幹細胞のクローニング供給源は限られ、その純度及び質の管理は極めて難しい。1998年にJames Thomsonら(例えば、米国特許第5,843,780号、第6,200,806号、第7,029,913号、及び第7,220,584号)は、ヒト胚盤胞から初めてヒト胚性幹(hES)細胞株を単離した(Thomsonら, (1998) Science 282: 1145-1147)。H1及びH9は、これらの単離hES細胞由来の2つの代表的な細胞株である。2年後、Gearhartら(例えば、米国特許第6,090,622号、第6,245,566号、及び第6,331,406号)も胚盤胞後のヒト胚からhES様始原生殖細胞を単離する手段及び方法を開発した。これらの胚性幹細胞単離法のやり方では、元の胚を破壊しなければならないので、このように得られるhES細胞株を臨床療法に用いることの正当性議論する多くの倫理的人道的な懸念が生じてきた。

0004

近年、単離hES細胞株の使用に関する安全性の問題について、ますます多くの懸念が指摘されている。例えば、これらのhES細胞株を多能性幹細胞状態に長期維持する培養条件には、「フィーダー細胞」と言われる周囲の線維芽細胞が放出するいくつかの未同定因子が必要なので、hES細胞は通常、マウス又はヒト線維芽細胞フィーダー細胞層上で培養される。この方法を試みた従来の技術には、Reubinoffらによる米国特許第6,875,607号が含まれる。しかしながら、線維芽細胞フィーダー細胞は全く異なる抗原特性をもち、これがhES細胞に混入する可能性が非常に高く、患者免疫拒絶を引き起こすおそれがある。一方、いくつかの無フィーダー細胞培養条件も開発されてきたが、これらの無フィーダー細胞法は、いずれも長期にhES細胞を安定した未分化幹細胞状態に維持することはできない。この問題は実際には単離hES細胞のもう1つの欠点、すなわち、それらの混在性に関連する。現在利用可能なhES細胞株はいずれも培養条件において純度100%の細胞集団を達成できない。最良のフィーダー細胞培養条件下でさえ、不定の割合(約3〜5%又はそれ以上)のhES細胞が他の細胞種に分化し、またその幹細胞特性を失う傾向がある。hES細胞から分化した最もよく観察される細胞種の1つは奇形腫である。奇形腫はヒト生殖系列細胞由来腫瘍で、胚の内胚葉中胚葉、及び外胚葉組織に類似した複数の癌のように見える細胞種を含むことが多い。

0005

従って、フィーダー細胞の混入を阻止する方法と幹細胞の純度を上げる方法は、現在幹細胞研究における2つの主要な課題となっている。
2006年に、高橋と山中は人工多能性幹(iPS)細胞を新たに導入した(Cell 126: 663-676)。マウス線維芽細胞への4つの転写因子遺伝子(Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4)の遺伝子導入による送達を用いて、インビトロ体細胞性線維芽細胞を胚性幹(ES)様多能性細胞に再プログラミングして形質転換させることに成功した。2007年には、これらのiPS細胞行動特性に関する特性がマウス胚性幹(mES)細胞と同様なことが確認されている(Okitaら, (2007) Nature 448: 313-317; Wernigら, (2007) Nature 448: 318-324)。一方、Yuらは、Oct4、Sox2、Nanog、及びLIN28という4つの他の導入遺伝子を用いて、同様な方法でヒト線維芽細胞からより新しいiPS細胞株を開発している(Yuら, (2007) Science 318: 1917-1920)。iPS細胞の利用は、従来のhES細胞の倫理的問題及び混在性問題を解決するだけでなく、体細胞核移植(SCNT)技術と併用すれば、患者に優しい療法を提供する可能性もある(Meissnerら, (2006) Nature 439: 212-215)。このようなiPS細胞に基づくSCNT療法は、遺伝子導入マウスモデルにおける鎌状赤血球貧血治療の成功で証明された(Hannaら, (2007) Science 318: 1920-1923)。しかし、まだiPS細胞の適用は完全には進んでいない。iPS細胞の生成過程には2つの問題が生じる。その1つはレトロウイルス導入遺伝子の使用であり、もう1つは癌遺伝子(例えばc-Myc)の使用である。レトロウイルス感染は、標的体細胞に4つの完全長遺伝子を同時且つ遺伝子導入による送達する唯一の有効な手段であるが、形質移入細胞のゲノム内へのレトロウイルスベクターランダムな挿入は、他の非標的遺伝子にも影響し、予測しない結果を引き起こす可能性がある。これは送達された1つ以上の遺伝子が癌遺伝子の場合に特に危険である。

0006

単一細胞への4つの完全長導入遺伝子の同時送達を、正確に制御することは極めて難しい。しかしながら、実際には、複数の転写因子を使用し、転写因子同士及び特定の他の発生因子間シグナル伝達を相殺又は調整することが、iPS細胞技術には必要である。詳細なメカニズムはまだ不明であるが、Oct4-Sox2-c-Myc-Klf4又はOct4-Sox2-Nanog-LIN28による組み合わせ遺伝子の効果は、結果的に初期細胞分化に必要な発生シグナル中止させるようである。胚性幹マーカーOct4にもかかわらず、iPS細胞の生成に用いる他の全ての遺伝子は、特定の発生系譜に関与している。これらは通常、異なる胚の発生段階及び/又は場所に存在し、特異的細胞分化を誘導する。これらをまとめて誤った場所に配置すると、発生シグナルの障害によってなぜか細胞分化が停止し、その後別の新たな発生シグナルが再び与えられるまで、宿主細胞をES様の状態に引き留める。この方法は機能するが、自然なものではない。自然の受精卵では、母性物質が幹細胞の維持及び複製の制御を担当している。これは、128細胞期より前の胚細胞が全て同じで且つ全能性である理由となる。母性物質は卵形成中に生じ、成熟卵母細胞内に貯えられて初期胚発生に使用される。マウス卵母細胞では、母性物質の多くがRNAで占められ、これはゲノムのトランスクリプトーム全体の約45%に匹敵する(Stitzelら., (2007) Science 316: 407-408)。母性から胚性への転移中に、これらの母性RNAは急速に分解され、2細胞期という初期から胚性遺伝子の転写が開始され、さらなる胚発生のシグナルを作る(O'Farrellら, (2004) Curr. Biol. 14: R35-45)。母性RNAの多くは、胚の最初の発生段階において発生シグナルを阻害し、全能性/多能性細胞のまま分裂させるために、胚性遺伝子産物阻害因子であると考えられる。従って、幹細胞の維持と更新秘密は、多能性胚性幹細胞期よりも極めて遅い段階に示される発生シグナルというよりも、むしろ母性物質に存在するに違いない。

0007

要するに、母性物質の天然方式を模倣したヒト胚性幹(hES)様細胞を生成して維持するには、単離した母性物質をヒト幹細胞又は体細胞に遺伝子導入によって送達し、幹細胞の特性を維持するか、又は体細胞をhES様細胞状態に再プログラミングする新たな方策が高く望まれている。従って、母性物質、特に母性RNAを用いてhES様細胞を生成する有効で簡単、しかも安全な遺伝子導入法及び因子の組成が未だに求められている。

0008

米国特許第5,843,780号
米国特許第6,200,806号
米国特許第7,029,913号
米国特許第7,220,584号
米国特許第6,090,622号
米国特許第6,245,566号
米国特許第6,331,406号
米国特許第6,875,607号

先行技術

0009

Thomsonら, (1998) Science 282: 1145-1147
高橋と山中, (2006) Cell 126: 663-676
Okitaら, (2007) Nature 448: 313-317
Wernigら, (2007) Nature 448: 318-324
Yuら, (2007) Science 318: 1917-1920
Meissnerら, (2006) Nature 439: 212-215
Hannaら, (2007) Science 318: 1920-1923
Stitzelら., (2007) Science 316: 407-408
O'Farrellら, (2004) Curr. Biol. 14: R35-45

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、mir-302a、mir-302b、mir-302c、mir-302d及びこれらの手動再設計したマイクロRNA前駆体(pre-miRNA)の相同体、そしてこれらの組み合わせ等のヘアピン状マイクロRNA(miRNA)のイントロン発現を用いて、胚性幹(ES)様細胞を発生、生成、及び選別する遺伝子導入法である。マイクロRNAは通常約18〜27ヌクレオチド(nt)の長さで、miRNAとその標的との相補性に依存して、そのメッセンジャーRNAmRNA)標的を直接分解するか、又は標的タンパク質翻訳を抑制することができる。mir-302ファミリーは全ほ乳類で高く保存され、mir-302a、mir-302b、mir-302c、及びmir-302dという4種類の相同性の高いマイクロRNA要素からなる(相同性>90%)。mir-302ファミリー(mir-302s)は、5’から3’方向にmir-302b-mir-302c-mir-302a-mir-302d-mir-367をコードする長いRNA転写産物内にクラスターとしてかたまって発現する(Suhら, (2004) Dev. Biol. 270: 488-498)。mir-367はmir-302クラスター内同時発現するが、mir-367の実際の量はmir-302sよりも低い。mir-302ファミリーの各要素はまた、マウス卵母細胞及びヒト胚性幹細胞において、排他的に極めて高く発現していることも分かっている(Tangら, (2007) Genes Dev. 21: 644-648; Suhら, (2004) Dev. Biol. 270: 488-498)。マイクロRNAの生合成に必要な保存RNA分解酵素であるDicerを欠如するマウス卵母細胞は、第1減数分裂において停止するが、これはマイクロRNAが卵形成で重要な役割を担うことを示唆している(Murchisonら, (2007) Genes Dev. 21: 682-693)。このように、mir-302ファミリーは幹細胞の維持と更新に必須な鍵となる母性物質の1つである可能性が極めて高い。

0011

細胞の4つの転写因子遺伝子の発現上昇を用いた従来のiPS細胞技術とは異なり、mir-302ファミリーの各要素は445以上の細胞遺伝子を制御することができ、またmiRBase::Sequencesプログラムデータベース(http://microrna.sanger.ac.uk/)に基づくと、mir-302ファミリーは全てほぼ同じ標的遺伝子共有している。mir-302の標的遺伝子の多くは、実際には胚発生段階の初期細胞分化の開始又は促進に関与する発生シグナルである。このように、mir-302の機能は特異的シグナル伝達経路間に障害を作り出すというよりも、むしろ発生シグナルの全体的産生を遮断又は軽減させる可能性が高い。例えば、インスリン様成長因子(IGF)は、Ras/Raf/分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼMAPK)又はホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)/Aktシグナル伝達経路のいずれかを経由した神経細胞特異的幹細胞及び始原細胞系譜に対する強力な発生シグナルである。本発明者らは、IGF受容体(IGFR)-Ras/PI3Kシグナル伝達経路の18以上ある各要素がmir-302sの強力な標的であることを発見したが、これはほ乳類卵母細胞及びES細胞において、神経細胞の特異的な細胞分化が極めて厳格に遮断されることを示唆する。mir-302sはこれらの標的遺伝子の転写産物相同配列に対して相補的に結合し、ついでRNA干渉メカニズムによってそのタンパク質翻訳を抑制する。異なる組織細胞系譜に関与する多くの他の発生遺伝子において、mir-302sによる同様な阻害効果が観察されている。これらの証拠から、mir-302ファミリーはES細胞の維持及び更新において重要な役割を担っている可能性が極めて高い。細胞の発生及び分化に必須な標的遺伝子を阻害することで、mir-302sを用いて、体細胞をES様細胞に再プログラミング及び形質転換させるだけでなく、胚性幹細胞の多能性及び更新特性を維持できる可能性がある。

0012

幹細胞の生成及び維持におけるmir-302の機能を調べるために、本発明者らはPol-IIによるイントロンmiRNA発現系を用いて、数種のヒト体細胞においてmir-302ファミリーの各要素を遺伝子導入によって発現させ、天然のイントロンmiRNA生合成経路を模倣した(図1)。イントロンmiRNAの生合成は、初期Pol-II媒介pre-mRNA転写とイントロンのスプライシング/切り出しとの共役相互作用に依存するが、これはゲノムのクロマチン周辺線維に近い特定の核領域内で生じる(Linら (2004) Drug Design Reviews 1: 247-255; Ghoshら. (2000) RNA 6: 1325-1334)。真核細胞では、例えばmRNA等のタンパク質コード遺伝子の転写産物は、II型RNAポリメラーゼ(Pol-II)によって作られる。ゲノム遺伝子の転写によって、5’非翻訳領域(UTR)、タンパク質コード領域エクソン非コード領域イントロン、及び3’-UTRからなる4つの主要部分を含むメッセンジャーRNA前駆体(pre-mRNA)が生成する。広く言えば、5’-及び3'-UTRは特別なイントロンとして見ることができる。イントロンはpre-mRNAの非コード配列最大部分を占めている。各イントロンは塩基数で30キロほどの長さまで延びていることもあり、mRNAの成熟に先立ち、pre-mRNAからの切り出しが必要である。このpre-mRNAの切り出し及びイントロン除去の過程RNAスプライシングと呼ばれ、細胞内にあるスプライセオソームによって行われる。RNAスプシング後、イントロン由来のRNA断片のいくつかはさらにプロセシングされ、miRNA様の誘導体分子を形成するが、これらはRNA干渉(RNAi)様メカニズムによって、それぞれその標的遺伝子を有効的にサイレンシングできる。一方、pre-mRNA由来のエクソンは連結し、タンパク質合成のための成熟mRNAとなる。

0013

本発明者らは、脊椎動物遺伝子のイントロンから効果的なmiRNAが生成可能であり、これらの生合成過程はsiRNA及び遺伝子間miRNAの過程とは異なることを証明してきた(Linら. (2003) Biochem Biophys Res Commun. 310: 754-760; Linら. (2005), Gene 356: 32-38)。この違いを証明するために、図2に、siRNA、遺伝子間(エクソン)miRNA、及びイントロンmiRNAにおける天然の生合成及びRNAiメカニズムの比較を示す。おそらく、siRNAは、同じ鋳型DNAから逆位置にある2つのプロモーターによって転写される2本の完全に相補的なRNAによって形成され、ついでハイブリダイゼーションし、さらにRNaseIIIエンドRNA分解酵素、すなわち、Dicerによって20〜25 bpのデュプレックスにプロセシングされる。このsiRNAモデルとは異なり、例えばlin-4やlet-7等の遺伝子間miRNAの生合成には、長い非コード領域の前駆体RNA転写産物(pri-miRNA)が含まれるが、これはPol-II又はPol-IIIRNAプロモーターのいずれかから直接転写される。一方、イントロンpri-miRNAはPol-IIのみによってそのコード遺伝子と同時に転写され、RNAスプライシング後に切り出され、イントロンとして放出される。細胞核で、pri-miRNAはさらにDrosha様RNase(遺伝子間miRNA用)又はスプライセオソームとエキソソームの構成要素(イントロンmiRNA用)のいずれかによって切り出され、pre-miRNAと呼ばれるヘアピン状のステムループ前駆体を形成する。その後、これは細胞質輸送され、miRNA関連Dicerによって成熟miRNAにプロセシングされる。続いて、これら全3種類の制御的な短鎖RNAは最終的にRNA誘導性サイレンシング複合体RISC)内に組み込まれるので、RISCには2本鎖siRNA又は1本鎖miRNAのいずれかが含まれる。siRNA及びmiRNAに対するDicer及びRISCの経路は異なることが知られている(Tang, G. (2005) TrendsBiochem Sci. 30: 106-114)。結果として、miRNAは1本鎖だけなので、その効果は全般的にsiRNAよりも特異的で、悪影響がでることは少ない。一方、siRNAは主にmRNAの分解を引き起こすが、miRNAはその標的となる遺伝子転写産物への相補的配列によって、mRNA分解又はタンパク質合成の抑制のいずれか又は両者を誘導できる。イントロンmiRNA経路はPol-II転写、RNAスプライシング、エキソソーム消化、及びNMDプロセシングを含む複数の細胞内制御システムによって十分に調整されているので、イントロンmiRNAによる遺伝子サイレンシング効果は全3種類のRNAi経路において最も有効で特異的且つ安全であると思われる(Linら. (2008) Frontiers in Bioscience 13: 2216-2230)。

課題を解決するための手段

0014

本発明は遺伝子制御面におけるイントロンの新規機能と、それらに関連する利用法について開示する。図3A及び3Bで示すように、イントロンRNAのスプライシング及びプロセシングのメカニズムに基づいた本発明の一つの好ましい実施形態では、スプライシング可能な少なくとも1つのイントロン、すなわち、SpRNAiを含むPol-II媒介組換え遺伝子発現システムであり、これは標的遺伝子又は特定のSpRNAi配列と高度に相補的な遺伝子の機能を阻害することができる。SpRNAiはPol-IIRNAポリメラーゼによって組換え遺伝子のmRNA前駆体(pre-mRNA)と同時に転写され、RNAスプライシングによって切り出される。続いて、切り出されたSpRNAiはさらに短鎖ヘアピンRNA(shRNA)及びmiRNAのような成熟遺伝子サイレンシング因子にプロセシングされ、RNAi関連の遺伝子サイレンシングを生じさせる。イントロン除去後、組換え遺伝子転写産物であるエクソンは連結し、マーカー又は機能性タンパク質翻訳合成するための成熟mRNA分子となる。

0015

図3Aに示すように、SpRNAiの基本構成要素には、5’スプライス部位分岐点モチーフ(BrP)、ポリピリミジントラクト(PPT)、及び3’スプライス部位からなるいくつかの共通ヌクレオチド配列が含まれる。加えて、shRNA様pre-miRNA配列がSpRNAi内の5’スプライス部位と分岐点モチーフ(BrP)の間に挿入される。イントロンのこの部分はRNAスプライシング及びプロセシング中に投げ縄構造を形成すると思われる。さらに、イントロンRNAのスプライシング及びNMDプロセシングの正確性を増すために、SpRNAi構造の3’末端には複数の翻訳終止コドン領域(Tコドン)が含まれる。このTコドンは細胞質mRNA中にある場合、ナンセンス変異依存分解(NMD)経路の活性化シグナルを生じさせ、細胞内に蓄積したあらゆるRNA非構造体を分解する。しかしながら、高度な二次構造をもつshRNA及びpre-miRNAの挿入配列は、さらなるDicerによる開裂でそれぞれ成熟siRNA及びmiRNAに成るために、保存される。さらに、細胞内で発現させるために、本発明者らはサンゴ礁Heteractis crispaの突然変異色素タンパク質から単離した赤色蛍光タンパク質(RGFP)遺伝子のDraII制限部位にSpRNAi構造体を手動で組み込み、組換えSpRNAi-RGFP構造体を形成した。制限酵素DraIIによるRGFPの208番目のヌクレオチド部位の開裂によって、各末端に3つの陥凹ヌクレオチドをもつAG-GNヌクレオチド切断部位が生じ、SpRNAi挿入後にそれぞれ5’及び3’スプライス部位を形成する。このイントロン挿入は、機能性RGFPタンパク質の構造を破壊するが、これはイントロンのスプライシングによって回復できるので、作用を受けた細胞周囲に現れる赤色RGFPによって、イントロンshRNA/miRNAの放出及びRGFP-mRNAの成熟を測定することができる。また、RGFP遺伝子は複数のエクソン内スプラシングエンハンサー(ESE)も備え、RNAスプライシングの正確性と効率性を向上させる。

0016

別の好ましい実施形態では(図3B)、本発明は、アンチセンスRNA、shRNA及び/又はmiRNAの作製に望ましい少なくとも1つのRNA挿入配列を含む人工SpRNAiを形成するために、5’スプライス部位、分岐点モチーフ(BrP)、ポリピリミジントラクト(PPT)、及び3’スプライス部位等の合成されたRNAスプライシング及びプロセシングの構成要素を用いる遺伝子工学手法を提供する。DNA自動合成装置によって、これらの要素を化学的に作製、連結できる。また、これらの要素の連結は酵素による制限切断とライゲーションによって行ってもよい。このようにして得られたイントロンは、所定の細胞に形質移入するのに直接使用するか、又はさらに、Pol-IIによる遺伝子転写産物(すなわちpre-mRNA)と結合して同時発現させるために細胞内遺伝子に組み込むことが可能である。RNAスプライシング及びmRNAの成熟中、所望のRNA挿入配列は細胞内スプライセオソーム、エキソソーム、及びNMDのメカニズムによって切り出され、放出され、その後、引き金となって、挿入されたRNA配列と高度に相補的な特異的遺伝子転写産物に所望の遺伝子サイレンシング効果を与える。一方、赤色/緑色蛍光タンパク質(RGFP/EGFP)、ルシフェラーゼ、lac-Z、及びこれらから派生する相同体の群から選ばれるレポーター又はマーカータンパク質の翻訳など、所望の遺伝子機能の発現のために、組換え遺伝子転写産物のエクソンは連結して成熟mRNAを形成する。レポーター/マーカータンパク質の存在は、作用を受けた細胞内において挿入されたshRNA/miRNA分子の産生場所を特定するのに役立ち、所望の遺伝子サイレンシング/RNAi効果の同定を促す。

0017

本発明によれば、エクソンの連結で形成された成熟mRNAはまた、損傷又は欠損した遺伝子機能の置換、もしくは特定の遺伝子発現亢進のための従来型遺伝子療法においても有用な可能性がある。別の局面では、本発明は、イントロンのRNAスプライシング及びプロセシングメカニズムによって、遺伝子サイレンシング分子の細胞内産生を誘導し、標的遺伝子機能の阻害に有用なアンチセンス媒介性の遺伝子ノックアウト又はRNA干渉(RNAi)効果のいずれかを生じさせる新規成分及び手段を提供する。このようにして得られたイントロン由来の遺伝子サイレンシング分子には、アンチセンスRNA、リボザイム、短鎖一時的RNA(stRNA)、2本鎖RNA(dsRNA)、短鎖干渉RNA(siRNA)、微小非コードRNA(tncRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、及びRNAi関連のRNA前駆構造体(pri-/pre-miRNA)が含まれる。これらのイントロンRNA由来の遺伝子サイレンシング因子の使用は、病原性導入遺伝子、ウイルス遺伝子突然変異遺伝子、癌遺伝子、疾患関連短鎖RNA遺伝子、及びあらゆる他の種類のタンパク質コード遺伝子、さらにタンパク質非コード遺伝子からなる群から選ばれる不要な遺伝子を標的としてサイレンシングさせるための強力な道具となる。

0018

本発明にかかるPol-II媒介性SpRNAi-RGFP発現系を用いて、本発明者らは、ヒト前立腺癌細胞LNCaP、ヒト子宮頸癌細胞HeLa、及びラット神経幹細胞HCN-A94-2(Linら. (2006a) MethodsMol Biol 342: 295-312)において、また、ゼブラフィッシュニワトリ、及びマウスのインビボにおいて(Linら. (2006b) Methods Mol Biol. 342: 321-334)、完全な遺伝子サイレンシングを可能にする成熟shRNA及びmiRNAの生成に成功した。本発明者らはゼブラフィッシュ及び様々なヒト細胞株において、緑色EGFP及び他の細胞内遺伝子の転写産物及び発現を標的とする各種pre-miRNA挿入配列を調べたところ、有効な遺伝子サイレンシングmiRNAは、5’スプライス部位と分岐点との間の5’寄りイントロン配列に由来することが分かった。図3Cに示すように、強力な遺伝子サイレンシング効果は抗EGFP pre-miRNA挿入配列(レーン4)を形質移入した場合でのみ生じ、以下のレーンで示す他の挿入配列では、そのような効果は検出できない。左から右に、レーン1はブランクベクター対照(Ctl)、レーン2はHIV-p24を標的とするpre-miRNA挿入配列()、レーン3はヘアピンループ構造のないアンチセンスEGFP挿入配列(アンチ)、及びレーン5は抗EGFP pre-miRNAに完全に相補的な逆位抗EGFP pre-miRNA配列(miR*)である。マーカーRGFP及びハウスキーピングβ-アクチンのような標的外遺伝子では効果は見られないので、このようなイントロンmiRNA媒介性のRNA干渉(RNAi)は高度に標的特異的であることが示されている。このイントロンRNAi効果におけるRNAスプライシングの役割をさらに確認するために、図3Dのレーンに示すように、本発明者らは3つの異なったSpRNAi-RGFP発現系も試験した。左から右に、レーン1はイントロン不含RGFP発現ベクター(pre-miRNA挿入配列が全くないSpRNAi-RGFP発現系)、レーン2はイントロン抗EGFP pre-miRNAを挿入したRGFPを発現するSpRNAi-RGFP発現系、レーン3は2の構造体と同様であるが、SpRNAiの5’スプライス部位を欠損したSpRNAi-RGFP発現系である。結果として、ノーザンブロット分析ではSpRNAi-RGFP発現系2の構造体(レーン2)における切り出されたイントロンからのみ成熟miRNAが放出され、これは図3Cの抗EGFP pre-miRNAを挿入したSpRNAi構造体(レーン4)と完全に一致している。このことはイントロンmiRNA生合成において細胞のRNAスプライシングが必要であることを示唆している。

0019

上記の理解の後、本発明者らはさらに、最大限の遺伝子サイレンス効果を誘導するためにpre-miRNA挿入配列の最適構造の設計を決定しようとしたところ、RNAiエフェクターであるRNA誘導性遺伝子サイレンシング複合体(RISC)の集合中に、成熟miRNA鎖の細胞内選択に対して強力な構造的バイアスが存在することが分かった(Linら. (2005) Gene 356: 32-38)。RISCはRNAiメカニズムによって標的遺伝子転写産物の分解又は翻訳の抑制のいずれかを誘導するタンパク質-RNA複合体である。siRNAデュプレックスの形成は、siRNA関連RISCの集合において重要な役割を担っている。siRNAデュプレックスの2本の鎖は機能的に非対照であるが、RISC複合体への集合では1本鎖のみが選択される。この選択性は各鎖の5’末端塩基対熱力学的安定性によって決められる。このsiRNAモデルより、miRNA及びその相補的miRNA(miRNA*)によるデュプレックスの形成は、miRNA関連のRISC集合において不可欠な段階であると考えられた。若しこれが真実であれば、pre-miRNAのステムループ構造に機能的バイアスは観察されないだろう。にもかかわらず、本発明者らはゼブラフィッシュにおいてイントロンpre-miRNAのステムループの方向が、RISC集合用の成熟miRNAの鎖選択に関与することを観察した。

0020

図4Aに示すように、本発明者らは、2種類のイントロンmiRNAを挿入した1対の対称なpre-miRNA構造体を含むSpRNAi-RGFP発現ベクター、すなわち、miRNA*-ステムループ-miRNA[1]とmiRNA-ステムループ-miRNA*[2]をそれぞれ作製した。両pre-miRNAにはEGFPのヌクレオチド配列番号280〜302に対応している同じ2本鎖ステムアーム型構造が含まれる。本明細書の定義では、miRNAとは成熟miRNAの正確で完全な配列を示し、一方、miRNA*とは成熟miRNA配列に対して相補的な逆位のヌクレオチド配列を示す。これらのSpRNAi-RGFPベクターを発現するmiRNA(各60μg)を2週齢のゼブラフィッシュ幼生に24時間かけてリポソーム法で形質移入した(Linら. (2005) Gene 356: 32-38)後、本発明者らはmirVana miRNA単離カラム(Ambion, Austin, TX)を用いてゼブラフィッシュの短鎖RNAを単離し、ついで標的配列を含むラテックスビーズによって、標的EGFP領域適合し得る全てのmiRNAを沈殿させた。配列決定後、図4B(灰色影付き配列)に示すように、1つの有効なmiRNAであるmiR-EGFP(280-302)が、5’-miRNA-ステムループ-miRNA*-3’[2]構造体の形質移入において活性を示すことが判明した。成熟miRNAは5’-miRNA-ステムループ-miRNA*-3’[2]構造体を形質移入したゼブラフィッシュでのみ検出されるので、miRNA関連RISCは[1]のpre-miRNAよりもむしろこの[2]の構造体を選んで相互作用する可能性があり、イントロンmiRNAのRISC集合において構造的バイアスが存在することを立証している。この実験で、本発明者らはアクチンプロモーター誘導型Tg(UAS:gfp)系統のゼブラフィッシュ、すなわちTg(アクチン-GAL4:UAS-gfp)を使用し、これは魚体のほぼ全ての細胞種で緑色蛍光EGFPタンパク質を構造的に発現する。図4Cに示すように、これらのゼブラフィッシュへのSpRNAi-RGFPベクターの形質移入は、作用を受けた細胞において標的EGFPの発現をサイレンシングさせ、イントロンmiRNA生成の陽性指標として機能する赤色蛍光マーカータンパク質RGFPを同時に発現する。消化管GI)での遺伝子サイレンシング効果は他の組織よりも幾分低いが、おそらくこの領域での高いRNase活性が原因と思われる。さらにウェスタンブロット分析より(図4D)、指標であるRGFPタンパク質発現は、5’-miRNA*-ステムループ-miRNA-3’[1]又は5’-miRNA-ステムループ-miRNA*-3’[2]のどちらを形質移入した魚体においても検出されたが、標的EGFP発現に対する遺伝子サイレンシングは、5’-miRNA-ステムループ-miRNA*-3’[2]構造体を形質移入した魚体でしか生じなかった。これは図4Cの結果を確認するものである。両pre-miRNA構造体の5’末端ステムアーム熱安定性は同じなので、イントロンpre-miRNAのステムループは、RISC集合における成熟miRNA配列の鎖選択に関与すると本発明者らは結論付ける。ステムアーム内のDicer開裂部位は成熟miRNAの鎖選択を決定することが知られていることを考えれば(Leeら. (2003) Nature 425: 415-419)、イントロンpre-miRNAのステムループは特別な開裂部位を認識する決定因子として機能する可能性がある。

0021

上記の初期設計では、天然のpre-miRNAステムループ構造の多くは大きすぎて十分に発現させるにはSpRNAi-RGFP発現ベクター内に適合できないので、天然のpre-miRNAループの代わりに短鎖tRNAmetループ(すなわち、5'-(A/U)UCCAAGGGGG-3')を使用しなければならなかった。tRNAmetループは、同じRan-GTP及びエクスポーチン-5の輸送メカニズムによって、設計されたmiRNAの細胞核から細胞質への輸送を効率的に促進することが示されている(Lin ら (2005) Gene 356: 32-38)。現在、本発明では、手動改良した1対のpre-mir-302ループ(すなわち、5'-GCTAAGCCAGGC-3'(SEQ.ID.NO.1)及び5'-GCCTGGCTTAGC-3'(SEQ.ID.NO.2))を使用しており、これらは天然のpre-miRNAと同じ核外への輸送効率を備えるが、tRNA輸送には干渉しない。これらの新たなpre-miRNAループの設計は、mir-302sの短鎖ステムループの模倣修正に基づいており、mir-302sは胚性幹細胞では高度に発現しているが、他の分化組織細胞ではそうでない。従って、これらの人工pre-miRNAループの使用は、人体での天然のmiRNA経路には干渉しない。

0022

pre-miRNAの挿入では、組換えSpRNAiーRGFP構造体のイントロン挿入部位は、5’及び3’末端にそれぞれあるPvul及びMlul制限部位と並んでいるので、最初のイントロン挿入配列は、適合した付着末端をもつ様々な遺伝子特異的pre-miRNA挿入配列(例えば、抗EGFP及びmir-302 pre-miRNA)によって簡単に除去及び置換が可能である。異なる遺伝子転写産物に対してpre-miRNA挿入配列を変化させることで、このイントロンmiRNA生成システムは、インビトロ及びインビボにおいて標的遺伝子のサイレンシングを誘導する強力な道具として機能することができる。挿入配列の正確なサイズを確認するために、pre-miRNAを挿入したSpRNAi-RGFP構造体(10 ng)は、1対のオリゴヌクレオチドプライマー(すなわち、5'-CTCGAGCATGGTGAGCGGCCTGCTGAA-3'と5'-TCTAGAAGTTGGCCTTCTCG GGCAGGT-3')を用いて、94℃、52℃、そして70℃で各1分間の25サイクルによるポリメラーゼ連鎖反応PCR)により増幅することができる。得られたPCR産物を2%アガロースゲル上で分画し、そして配列確認のためにゲル抽出キット(Qiagen, CA)によって抽出・精製した。

0023

本発明はPol-II媒介によるSpRNAi-RGFP発現系の原理証明設計を採用し、これをヒト及び/又はマウスの細胞において、1つ以上のmir-302ファミリーの各要素(mir-302s)を遺伝子導入によって発現させるために用いている。一つの好ましい実施形態では、本発明はヒト及び/又はマウスの細胞によってmir-302様RNA分子にプロセシングされ、その結果、細胞の発生関連及び分化関連遺伝子に対して特異的遺伝子サイレンシング効果を誘導することができる非天然イントロン及びその構成要素を用いた方法を提供する。この方法は以下の段階からなる。(a)(i)mir-302sの標的となる複数の発生関連及び分化関連遺伝子を発現する細胞基質、及び(ii)次に細胞内RNAスプライシング及び/又はプロセシングメカニズムによって、イントロンから手動設計したmir-302様RNA分子を生成し、その結果、標的遺伝子の発現を停止させるか、又は細胞基質内で標的遺伝子機能を抑制できるイントロン誘導性RNA一次転写産物を生成できる組換え遺伝子からなる発現可能成分を提供する。(b)細胞基質内の標的遺伝子機能が阻害されるような条件下で、本組成で細胞基質を処理する。その後、細胞基質はOct3/4、SSEA3やSSEA4のような胚性幹細胞マーカーを発現する胚性幹(ES)様細胞に形質転換する。細胞基質はインビトロ、エクスビボ、又はインビボのいずれかにおいて標的遺伝子を発現する。広義において、当該イントロンはインフレーム内イントロン、5’非翻訳領域(5’-UTR)、及び3’-UTRを含む遺伝子の非コード配列である。1つの局面では、手動設計したmir-302様RNA分子には、mir-302a、mir-302b、mir-302c、又はmir-302d配列の最初の17個のヌクレオチド(すなわち、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUU-3'(SEQ.ID.NO.3))が含まれる。これらのmir-302ファミリーmiRNAは全てその5’末端配列の最初に同じ17ヌクレオチドがある。また、上記手動設計したmir-302様RNA分子は細胞遺伝子のイントロン領域に組み込まれ、このような遺伝子と同時発現することもできる。一般に、このようなイントロン挿入技術は、プラスミド様導入遺伝子の形質移入、相同組換えトランスポゾンの送達、ジャンピング遺伝子の組み込み、及びレトロウイルス感染を含む。

0024

別の局面では、本発明の組換え遺伝子はpre-mRNA構造を思わせるような構造体を発現する。この組換え遺伝子はエクソン及びイントロンという2つの異なった主要部分で構成される。上記エクソン部分はイントロンRNAの放出の確認のために、RNAスプライシング後に連結し、機能性mRNA及びタンパク質を形成するが、上記イントロンは組換え遺伝子転写産物から切り出され、さらに所望のイントロンRNA分子にプロセシングされ、アンチセンスRNA、miRNA、shRNA、siRNA、dsRNA、及びこれらの前駆体(すなわち、pre-miRNA及びpiRNA)を含む遺伝子サイレンシングエフェクターとして機能する。これらの所望のイントロンRNA分子は、5'-GCTAAGCCAG GC-3'(SEQ.ID.NO.1)又は5'-GCCTGGCTTA GC-3'(SEQ.ID.NO.2)に相同配列モチーフを含むヘアピン状ステムループ構造からなってもよく、これによってイントロンから所望のRNA分子が正確に切り出されるだけでなく、所望のRNA分子の細胞核から細胞質への輸送も促進される。また、これらのイントロン由来のRNA分子のステムアームは、標的遺伝子又は標的遺伝子転写産物のコード配列と相同もしくは相補的又はその両者である配列を含む。所望のRNA分子と相同又は相補的な配列のサイズは約15〜1500ヌクレオチド塩基で、最も好ましくは約18〜27ヌクレオチド塩基である。所望のヘアピン状イントロンRNAでは、所望のRNA分子の標的遺伝子配列に対する相同率及び/又は相補率は約30〜100%で、より好ましくは35〜49%で、直鎖イントロンRNAでは90〜100%である。

0025

さらに、非天然イントロンの5’末端には、5'-GTAAGAGK-3'(SEQ.ID.NO.4)又はGU(A/G)AGUモチーフ(すなわち、5'-GTAAGAGGAT-3'、5'-GTAAGAGT-3'、5'-GTAGAGT-3'及び5'-GTAAGT-3')のいずれかと相同な5’スプライス部位が含まれるが、その3’末端はGWKSCYRCAG(SEQ.ID.NO.5)又はCT(A/G)A(C/T)NGモチーフ(すなわち、5'-GATATCCTGCAG-3'、5'-GGCTGCAG-3'及び5'-CCACAG-3')のいずれかと相同な3’スプライス部位である。さらに、分岐点配列は5’と3’のスプライス部位間に位置し、5'-TACTAAC-3'や5'-TACTTAT-3'のような5'-TACTWAY-3'(SEQ.ID.NO.6)モチーフと相同な配列を含む。分岐点配列のアデノシン「A」ヌクレオチドは、ほぼ全てのスプライセオソームイントロン内において細胞の2',5'-オリゴアデニル酸合成酵素とスプライセオソームによって、2’,5’結合型の投げ縄状イントロンRNAの一部を形成する。さらに、ポリピリミジントラクトは分岐点と3’スプライス部位の間に近接して位置し、5'-(TY)m(C/-)(T)nS(C/-)-3'(SEQ.ID.NO.7)又は5'-(TC)nNCTAG(G/-)-3'(SEQ.ID.NO.8)モチーフのいずれかと相同なT又はC高含量のオリゴヌクレオチド配列を含む。ここで、シンボル「m」及び「n」は1以上の複数の反復数を示し、最も好ましくは、mは1〜3、nは7〜12である。シンボル「-」は配列内に1つの空ヌクレオチドがあることを示す。また、これらの全イントロン構成要素をつなげるために、いくつかのリンカーヌクレオチド配列もある。米国特許法施行規則(37 CFR)第1.822条のヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データに使用するシンボル及び書式に関するガイドラインに基づき、シンボルWはアデニン(A)又はチミン(T)/ウラシル(U)、シンボルKはグアニン(G)又はチミン(T)/ウラシル(U)、シンボルSはシトシン(C)又はグアニン(G)、シンボルYはシトシン(C)又はチミン(T)/ウラシル(U)、シンボルRはアデニン(A)又はグアニン(G)、及びシンボルNはアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、又はチミン(T)/ウラシル(U)を示す。

0026

本発明の別の好ましい実施形態では、組換え遺伝子組成は遺伝子の形質移入のために発現可能ベクターに組み込まれることができる。発現可能ベクターは、DNA導入遺伝子、プラスミド、ジャンピング遺伝子、トランスポゾン、レトロトランスポゾン、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターアデノウイルス(AMV)ベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、改変B型肝炎ウイルスHBV)ベクター、及びサイトメガロウイルス(CMV)関連ウイルスベクターからなる群から選ばれる。SpRNAi-RGFP構造体の形質移入において、異なるイントロン遺伝子サイレンシングエフェクターを発現する複数のベクターを使用し、複数の標的遺伝子に対して遺伝子サイレンシング効果を誘導してもよい。又は、複数の遺伝子サイレンシングエフェクターをSpRNAi-RGFP構造体のイントロンヘアピンRNA挿入配列から生成し、複数の遺伝子サイレンシング効果を提供してもよい。この方策の利点は、導入遺伝子のベクターによる形質移入及びウイルス感染の使用によってその送達が安定していることで、特異的遺伝子サイレンシング効果を安定して比較的長期に提供することにある。1つの局面では、本発明は細胞のRNAスプライシング及びプロセシングメカニズムを用いて、II型RNAポリメラーゼ(Pol-II)、III型RNAポリメラーゼ(Pol-III)、及びウイルスのプロモーターからなる群から選ばれるRNAプロモーターの制御下で、siRNA、miRNA及び/又はshRNAを含むRNAi関連遺伝子サイレンシングエフェクターを作製することができる。ウイルスプロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)、レトロウイルス末端反復配列LTR)、B型肝炎ウイルス(HBV)、アデノウイルス(AMV)、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)から単離されたPol-II様RNAプロモーターである。例えば、レンチウイルスLTRプロモーターは、1細胞当たり未成熟mRNAを5×105コピーまで提供するのに十分である。また、遺伝子サイレンシングエフェクターの転写率を制御するために、レンチウイルスプロモーターの前に薬剤感受性リプレッサーを挿入することもできる。このリプレッサーは、G418、テトラサイクリンネオマイシンアンピシリンカナマイシン、及びこれらの誘導体等の群から選ばれる化学医薬品又は抗生物質によって阻害できる。

0027

本発明は、RNAスプライシング及びプロセシングメカニズムによって、細胞内さらにインビボにおいてイントロンRNAを作製し、好ましくはRNAi関連の遺伝子サイレンシング効果を誘導できる成熟siRNA、miRNA、及びshRNAの生成につながる新規手段及び方法を提供する。細胞メカニズムが本発明のイントロン前駆体miRNA/shRNA挿入配列を発現及びプロセシングする方法に依存することで、所望のsiRNA、miRNA及び/又はshRNAは1単位又は複数単位で作製できる。例えば、図3Aに示すように、ゼブラフィッシュにおける1つの抗EGFPpre-miRNAを挿入したイントロンの異所性発現は、miR-EGFP(282/300)及びmiR-EGFP(280-302)のような大きさが異なる2種類の成熟miRNAを実際に生成することが報告されているが、これはSpRNAiの遺伝子サイレンシングRNA挿入配列が1つ以上の遺伝子サイレンシングエフェクターを生成できることを示している。標的遺伝子転写産物と相補的なセンス又はアンチセンスもしくはこの両者の構造で、同じ又は異なる遺伝子サイレンシングエフェクターが生成可能である。特定の場合では、イントロン遺伝子サイレンシングエフェクターは標的遺伝子転写産物(すなわちmRNA)とハイブリダイゼーションし、2本鎖RNA(dsRNA)を形成してRNAi二次効果を引き起こす。イントロン遺伝子サイレンシングエフェクターは本発明の発現可能ベクターによって絶えずに産生されるので、インビボでの応用において、短鎖RNAの素早い分解の懸念が軽減される。

0028

本発明にかかる幹細胞生成用の一般的機能に加えて、本発明の可能性のある応用には、無フィーダー細胞ヒト胚性幹細胞株の維持とそのような細胞株の継続的分化阻止、成体幹細胞株のインビトロクローニング及び培養、相同幹細胞集団の精製、及びそのように得られた幹細胞を用いた移植療法が含まれる。また、本発明は、幹細胞の機能及びメカニズムを研究する道具として、又は特異的利用に向けて幹細胞の特性を変える成分及び方法を提供する道具として使用することもできる。他の実施形態では、本発明の胚性幹(ES)様多能性細胞は、ヒト、サル、ラットやマウスのようなほ乳類の正常及び癌性の体細胞、そして成体幹細胞の群から生成することができる。

0029

例証の目的で図面を特に参照するが、この目的だけに限らない。

図面の簡単な説明

0030

図1は、Pol-IIによってメッセンジャーRNA前駆体(per-mRNA)と同時に転写され、RNAスプライシングによってpre-mRNAから切り出される天然のイントロンマイクロRNA(miRNA)の生合成を図示しているが、一方、連結したエクソンはタンパク質合成用の成熟メッセンジャーRNA(mRNA)になる。アンチセンス又はヘアピン状二次構造をもつ切り出されたイントロンmiRNAは、さらにRNAi関連遺伝子サイレンシング効果を生じさせる成熟miRNAにプロセシングされる。従って、本発明者らは天然のイントロンmiRNAの生合成を模倣する少なくとも1つの前駆体マイクロRNA(pre-miRNA)構造を含む人工イントロン、すなわちSpRNAiを設計した(図3A及び3B)。SpRNAiは細胞遺伝子又は組換え遺伝子に組み込まれ、Pol-II又はウイルスRNAプロモーター(P)のいずれかの制御下で、II型RNAポリメラーゼ(Pol-II)によって発現する。細胞内転写において、このように作られた遺伝子転写産物はRNAスプライシング及びプロセシングを受けるので、形質移入細胞において予め設計したイントロンRNA分子を放出する。特定の場合では、所望のRNA分子は、遺伝子ノックダウン用のアンチセンス・オリゴヌクレオチドとして機能できるアンチセンスRNA構造体である。別の場合では、所望のRNA分子は、RNAi誘導用2本鎖siRNAとして機能するアンチセンス及びセンスのRNA小断片からなる。いくつかの他の場合では、所望のRNA分子は、RNAi関連遺伝子サイレンシング効果を引き起こせるヘアピン状RNA構造体である。図1は、天然のイントロンマイクロRNA(miRNA)生合成の細胞内メカニズムを示す。
図2は、siRNA、エクソン(遺伝子間)マイクロRNA、及びイントロンマイクロRNAの各経路で異なる生合成メカニズムを示す。
図3A〜Dは、発現可能ベクター成分におけるSpRNAiが組み込まれた組換え遺伝子(SpRNAi-RGFP)構造体の好ましい実施形態(A)、及びこの成分を用いて、天然のイントロンmiRNAの生合成を模倣する人工マイクロRNAを生成する方策(B)を示す。魚類での緑色EGFPに対するSpRNAi-RGFP発現成分のインビボ試験では、ウェスタンブロット分析で測定したように、標的EGFP遺伝子発現に対して特異的に85%以上のノックダウン効果を示している(C)。ノーザンブロット分析後、イントロン由来の抗EGFPマイクロRNA及びその切り出された前駆体が1%ホルムアルデヒドアガロースゲル電気泳動において観察できる(D)。
図3A〜Dは、発現可能ベクター成分におけるSpRNAiが組み込まれた組換え遺伝子(SpRNAi-RGFP)構造体の好ましい実施形態(A)、及びこの成分を用いて、天然のイントロンmiRNAの生合成を模倣する人工マイクロRNAを生成する方策(B)を示す。魚類での緑色EGFPに対するSpRNAi-RGFP発現成分のインビボ試験では、ウェスタンブロット分析で測定したように、標的EGFP遺伝子発現に対して特異的に85%以上のノックダウン効果を示している(C)。ノーザンブロット分析後、イントロン由来の抗EGFPマイクロRNA及びその切り出された前駆体が1%ホルムアルデヒド・アガロースゲル電気泳動において観察できる(D)。
図3A〜Dは、発現可能ベクター成分におけるSpRNAiが組み込まれた組換え遺伝子(SpRNAi-RGFP)構造体の好ましい実施形態(A)、及びこの成分を用いて、天然のイントロンmiRNAの生合成を模倣する人工マイクロRNAを生成する方策(B)を示す。魚類での緑色EGFPに対するSpRNAi-RGFP発現成分のインビボ試験では、ウェスタンブロット分析で測定したように、標的EGFP遺伝子発現に対して特異的に85%以上のノックダウン効果を示している(C)。ノーザンブロット分析後、イントロン由来の抗EGFPマイクロRNA及びその切り出された前駆体が1%ホルムアルデヒド・アガロースゲル電気泳動において観察できる(D)。
図3A〜Dは、発現可能ベクター成分におけるSpRNAiが組み込まれた組換え遺伝子(SpRNAi-RGFP)構造体の好ましい実施形態(A)、及びこの成分を用いて、天然のイントロンmiRNAの生合成を模倣する人工マイクロRNAを生成する方策(B)を示す。魚類での緑色EGFPに対するSpRNAi-RGFP発現成分のインビボ試験では、ウェスタンブロット分析で測定したように、標的EGFP遺伝子発現に対して特異的に85%以上のノックダウン効果を示している(C)。ノーザンブロット分析後、イントロン由来の抗EGFPマイクロRNA及びその切り出された前駆体が1%ホルムアルデヒド・アガロースゲル電気泳動において観察できる(D)。
図4A〜Cは、SpRNAi-RGFP構造体に挿入した異なる設計のイントロンRNAの評価を示す。2週齢のゼブラフィッシュの幼生において、有効なmiRNA生合成及びその結果である標的緑色蛍光タンパク質遺伝子(EGFP)に対する遺伝子サイレンシング効果が観察され、ヘアピンRNA構造の[1]5’-miRNA*-ステムループ-miRNA-3’と[2]5’-miRNA-ステムループ-miRNA*-3’の形質移入による、RISC集合における非対称な選択性を示している(A)。EGFPの遺伝子サイレンシングは、[2]のpre-miRNA構造体の形質移入でのみ観察されており、[1]の構造体では見られない。EGFPとRGFPの色の組み合わせでは、緑色よりも赤色がより多く示されているので(暗いレンジ色で示すように)、標的EGFP(緑色)の発現量は[2]のpre-miRNA形質移入でかなり減少しているが、ベクター指標であるRGFP(赤色)は全てのベクター形質移入において均等に存在している(B)。EGFPタンパク質量のウェスタンブロット分析によって、[2]のpre-miRNA形質移入による特異的サイレンシング結果が確認されている(C)。リポソームのみ(Lipo)、非挿入空ベクター(Vctr)、及びsiRNA(siR)のような他の処理ではゼブラフィッシュにおいて検出可能な遺伝子サイレンシングは観察されない。
図4A〜Cは、SpRNAi-RGFP構造体に挿入した異なる設計のイントロンRNAの評価を示す。2週齢のゼブラフィッシュの幼生において、有効なmiRNA生合成及びその結果である標的緑色蛍光タンパク質遺伝子(EGFP)に対する遺伝子サイレンシング効果が観察され、ヘアピンRNA構造の[1]5’-miRNA*-ステムループ-miRNA-3’と[2]5’-miRNA-ステムループ-miRNA*-3’の形質移入による、RISC集合における非対称な選択性を示している(A)。EGFPの遺伝子サイレンシングは、[2]のpre-miRNA構造体の形質移入でのみ観察されており、[1]の構造体では見られない。EGFPとRGFPの色の組み合わせでは、緑色よりも赤色がより多く示されているので(暗いオレンジ色で示すように)、標的EGFP(緑色)の発現量は[2]のpre-miRNA形質移入でかなり減少しているが、ベクター指標であるRGFP(赤色)は全てのベクター形質移入において均等に存在している(B)。EGFPタンパク質量のウェスタンブロット分析によって、[2]のpre-miRNA形質移入による特異的サイレンシング結果が確認されている(C)。リポソームのみ(Lipo)、非挿入空ベクター(Vctr)、及びsiRNA(siR)のような他の処理ではゼブラフィッシュにおいて検出可能な遺伝子サイレンシングは観察されない。
図4A〜Cは、SpRNAi-RGFP構造体に挿入した異なる設計のイントロンRNAの評価を示す。2週齢のゼブラフィッシュの幼生において、有効なmiRNA生合成及びその結果である標的緑色蛍光タンパク質遺伝子(EGFP)に対する遺伝子サイレンシング効果が観察され、ヘアピンRNA構造の[1]5’-miRNA*-ステムループ-miRNA-3’と[2]5’-miRNA-ステムループ-miRNA*-3’の形質移入による、RISC集合における非対称な選択性を示している(A)。EGFPの遺伝子サイレンシングは、[2]のpre-miRNA構造体の形質移入でのみ観察されており、[1]の構造体では見られない。EGFPとRGFPの色の組み合わせでは、緑色よりも赤色がより多く示されているので(暗いオレンジ色で示すように)、標的EGFP(緑色)の発現量は[2]のpre-miRNA形質移入でかなり減少しているが、ベクター指標であるRGFP(赤色)は全てのベクター形質移入において均等に存在している(B)。EGFPタンパク質量のウェスタンブロット分析によって、[2]のpre-miRNA形質移入による特異的サイレンシング結果が確認されている(C)。リポソームのみ(Lipo)、非挿入空ベクター(Vctr)、及びsiRNA(siR)のような他の処理ではゼブラフィッシュにおいて検出可能な遺伝子サイレンシングは観察されない。
図4A〜Cは、SpRNAi-RGFP構造体に挿入した異なる設計のイントロンRNAの評価を示す。2週齢のゼブラフィッシュの幼生において、有効なmiRNA生合成及びその結果である標的緑色蛍光タンパク質遺伝子(EGFP)に対する遺伝子サイレンシング効果が観察され、ヘアピンRNA構造の[1]5’-miRNA*-ステムループ-miRNA-3’と[2]5’-miRNA-ステムループ-miRNA*-3’の形質移入による、RISC集合における非対称な選択性を示している(A)。EGFPの遺伝子サイレンシングは、[2]のpre-miRNA構造体の形質移入でのみ観察されており、[1]の構造体では見られない。EGFPとRGFPの色の組み合わせでは、緑色よりも赤色がより多く示されているので(暗いオレンジ色で示すように)、標的EGFP(緑色)の発現量は[2]のpre-miRNA形質移入でかなり減少しているが、ベクター指標であるRGFP(赤色)は全てのベクター形質移入において均等に存在している(B)。EGFPタンパク質量のウェスタンブロット分析によって、[2]のpre-miRNA形質移入による特異的サイレンシング結果が確認されている(C)。リポソームのみ(Lipo)、非挿入空ベクター(Vctr)、及びsiRNA(siR)のような他の処理ではゼブラフィッシュにおいて検出可能な遺伝子サイレンシングは観察されない。
図5A〜Cは、ヒト上皮初代培養細胞(hpESC)、ヒト前立腺癌細胞PC3(PC3)、及びヒト黒色腫初代培養細胞Colo(Colo)において、mir-302様RNA分子を遺伝子導入によって発現させた後に、細胞の形態及び増殖が変化したことを示している。mir-302形質移入後に、mir-302を発現する陽性細胞を、それぞれhpESC+mr-302、PC3+mir-302、及びColo+mir-302と名づける。
図5A〜Cは、ヒト上皮初代培養細胞(hpESC)、ヒト前立腺癌細胞PC3(PC3)、及びヒト黒色腫初代培養細胞Colo(Colo)において、mir-302様RNA分子を遺伝子導入によって発現させた後に、細胞の形態及び増殖が変化したことを示している。mir-302形質移入後に、mir-302を発現する陽性細胞を、それぞれhpESC+mr-302、PC3+mir-302、及びColo+mir-302と名づける。
図5A〜Cは、ヒト上皮初代培養細胞(hpESC)、ヒト前立腺癌細胞PC3(PC3)、及びヒト黒色腫初代培養細胞Colo(Colo)において、mir-302様RNA分子を遺伝子導入によって発現させた後に、細胞の形態及び増殖が変化したことを示している。mir-302形質移入後に、mir-302を発現する陽性細胞を、それぞれhpESC+mr-302、PC3+mir-302、及びColo+mir-302と名づける。
図6A〜Eは、導入遺伝子mir-302を発現するColo及びPC3細胞(すなわち、Colo+mir-302とPC3+mir-302)の胚性幹(ES)細胞特性を示す。これらには胚様体の形成(A)、Oct3/4、SSEA-3、及びSSEA-4マーカー発現陽性に関するウェスタンブロット分析(B)、及びゲノムの脱メチル化(C)、CpG脱メチル化(D)及び細胞移動(E)に関する試験結果を示している。
図6A〜Eは、導入遺伝子mir-302を発現するColo及びPC3細胞(すなわち、Colo+mir-302とPC3+mir-302)の胚性幹(ES)細胞特性を示す。これらには胚様体の形成(A)、Oct3/4、SSEA-3、及びSSEA-4マーカー発現陽性に関するウェスタンブロット分析(B)、及びゲノムの脱メチル化(C)、CpG脱メチル化(D)及び細胞移動(E)に関する試験結果を示している。
図6A〜Eは、導入遺伝子mir-302を発現するColo及びPC3細胞(すなわち、Colo+mir-302とPC3+mir-302)の胚性幹(ES)細胞特性を示す。これらには胚様体の形成(A)、Oct3/4、SSEA-3、及びSSEA-4マーカー発現陽性に関するウェスタンブロット分析(B)、及びゲノムの脱メチル化(C)、CpG脱メチル化(D)及び細胞移動(E)に関する試験結果を示している。
図6A〜Eは、導入遺伝子mir-302を発現するColo及びPC3細胞(すなわち、Colo+mir-302とPC3+mir-302)の胚性幹(ES)細胞特性を示す。これらには胚様体の形成(A)、Oct3/4、SSEA-3、及びSSEA-4マーカー発現陽性に関するウェスタンブロット分析(B)、及びゲノムの脱メチル化(C)、CpG脱メチル化(D)及び細胞移動(E)に関する試験結果を示している。
図6A〜Eは、導入遺伝子mir-302を発現するColo及びPC3細胞(すなわち、Colo+mir-302とPC3+mir-302)の胚性幹(ES)細胞特性を示す。これらには胚様体の形成(A)、Oct3/4、SSEA-3、及びSSEA-4マーカー発現陽性に関するウェスタンブロット分析(B)、及びゲノムの脱メチル化(C)、CpG脱メチル化(D)及び細胞移動(E)に関する試験結果を示している。
図7A〜Bは、マイクロRNA(miRNA)のマイクロアレイ分析の結果を示し、SpRNAi-RGFPを形質移入したColo細胞(すなわちColo+mir-302)では、mir-302ファミリーの全要素が高度に発現していることを確認している。
図7A〜Bは、マイクロRNA(miRNA)のマイクロアレイ分析の結果を示し、SpRNAi-RGFPを形質移入したColo細胞(すなわちColo+mir-302)では、mir-302ファミリーの全要素が高度に発現していることを確認している。
図8A〜Bは、導入遺伝子mir-302を発現したColo細胞(Colo+mir-302)における、遺伝子発現の変化に関する遺伝子マイクロアレイ分析(AffymetrixヒトGeneChip U133A&B, CA)の結果を示し、多くの胚性マーカー遺伝子の発現がかなり上昇し、また、癌マーカー及び発生シグナルの遺伝子の発現が著しく減少していることを示している。これはヒト胚性幹細胞HuEC8及びH9の遺伝子発現パターンと極めて似ている。
図8A〜Bは、導入遺伝子mir-302を発現したColo細胞(Colo+mir-302)における、遺伝子発現の変化に関する遺伝子マイクロアレイ分析(AffymetrixヒトGeneChip U133A&B, CA)の結果を示し、多くの胚性マーカー遺伝子の発現がかなり上昇し、また、癌マーカー及び発生シグナルの遺伝子の発現が著しく減少していることを示している。これはヒト胚性幹細胞HuEC8及びH9の遺伝子発現パターンと極めて似ている。
図9A〜Cは、導入遺伝子mir-302を発現するColo細胞(Colo+mir-302)が、異なる発生シグナル(ホルモン又は成長因子)による処理後、外胚葉、中胚葉、内胚葉、さらに生殖系列細胞に由来する組織細胞と同様な様々な細胞種に分化できることを示し、胚性幹細胞と同様な多能性があることを示している。
図9A〜Cは、導入遺伝子mir-302を発現するColo細胞(Colo+mir-302)が、異なる発生シグナル(ホルモン又は成長因子)による処理後、外胚葉、中胚葉、内胚葉、さらに生殖系列細胞に由来する組織細胞と同様な様々な細胞種に分化できることを示し、胚性幹細胞と同様な多能性があることを示している。
図9A〜Cは、導入遺伝子mir-302を発現するColo細胞(Colo+mir-302)が、異なる発生シグナル(ホルモン又は成長因子)による処理後、外胚葉、中胚葉、内胚葉、さらに生殖系列細胞に由来する組織細胞と同様な様々な細胞種に分化できることを示し、胚性幹細胞と同様な多能性があることを示している。

実施例

0031

以下、本発明の特別な実施形態を図面を参照して説明するが、これらの実施形態は例示のためにのみ示してあり、本発明の原理の応用を代表できる多くの可能性のある特別な実施形態のうちのほんの少数しか例証していないことを理解すべきである。本発明に関する当業者にとって明らかな各種の変更及び修飾は、付属の特許請求の範囲でさらに定義されるように、本発明の精神、範囲、及び意図に含まれるとみなされる。

0032

本発明はイントロン由来のRNAを用いて真核細胞の遺伝的特性を変化させる新規成分及び方法を提供する。特定の理論に制限されることなく、このような遺伝的特性の変化は新しく発見したイントロン誘導性遺伝子サイレンシングメカニズムと対応する。これは目的の細胞又は生物において、RNAスプライシングが可能な少なくとも1つのイントロン、すなわちSpRNAiを含む組換え遺伝子の形質移入によって引き起こされる。さらに、SpRNAiには、細胞内RNAスプライシング及びプロセシングメカニズムによって放出された後、このイントロンRNA挿入配列と高度に相補的な標的遺伝子転写産物に対してRNAi/PTGS関連遺伝子サイレンシング効果を引き起こせるイントロンRNA挿入配列がある。図4及び図5に示すように、一般に、組換え遺伝子は化学的手段及び/又はリポソームによって真核細胞へ形質移入するが、そうでなければ、ウイルス感染によって導入する。イントロンRNA挿入配列は、Pol-IIによって組換え遺伝子と同時に転写され、その後、スプライセオソーム、エキソソーム、及びナンセンス変異依存分解(NMD)のシステムのようなRNAスプライシング及びプロセシングメカニズムによって組換え遺伝子転写産物から放出される。RNAスプライシング中に、イントロンRNAは投げ縄型RNAを形成し、その後さらに短鎖一時的RNA(stRNA)、アンチセンスRNA、短鎖干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、及びこれらの前駆体RNAのような遺伝子サイレンシングエフェクターにプロセシングされる。結果的に、これらの遺伝子サイレンシングエフェクターはその標的遺伝子転写産物を分解するか、又はRNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)及びRNAi誘導性の転写サイレンシング・イニシエーターRITS)の作用を機能的に集合させることで、標的タンパク質の翻訳を抑制する。

0033

天然のpre-mRNAのスプライシング及びプロセシングメカニズムを模倣するため、本発明者らは細胞内のスプライセオソーム、エキソソーム、及びNMDシステムを用いて、本発明のSpRNAi-RGFP発現系のイントロン除去及びプロセシングを触媒している。SpRNAiのいくつかのsnRNP認識配列(例えば、snRNP U1、U2、及びU4/U6.U5 tri-snRNP)上への細胞内スプライセオソーム構成要素の連続的集合によって、SpRNAiは放出され、さらに遺伝子サイレンシングエフェクターにプロセシングされる。合成snRNP認識配列をSpRNAiに組み込ませる方法、及びその後このようなSpRNAiを本発明の組換えRGFP構造体に組み込ませる方法を、ぞれぞれ実施例1及び2に記載する。

0034

イントロンRNA媒介性の遺伝子サイレンシング効果を誘導できるPol-II媒介組換えSpRNAi-RGFP遺伝子発現系の設計、構築、及び評価
インビボでの遺伝子サイレンシングメカニズムに向けた細胞内のRNAスプライシング及びプロセシングを引き起こす方策を、本発明のPol-II転写による組換え遺伝子ベクター、すなわちSpRNAi-RGFPを用いて試験した。上記SpRNAi-RGFPには、miRNA及びヘアピン状shRNAのような、イントロン遺伝子サイレンシングエフェクター発現用の人工のスプライシング可能なイントロン(SpRNAi)が含まれる(図3A及びB)。実施例1及び2に示すように、いくつかの合成DNA配列を順次連結させることで、遺伝子工学的にSpRNAiを赤方偏移蛍光タンパク質遺伝子(RGFP)に組み込む。SpRNAiは、スプライセオソーム、エキソソーム、及びNMDシステムの構成要素のような細胞内RNAのスプライシング及びプロセシングメカニズムによって放出され、その後成熟miRNA又はshRNA遺伝子サイレンシングエフェクターの生成によって、イントロンRNA媒介性の遺伝子サイレンシングを引き起こせる前駆体miRNA又はshRNA挿入配列を含む。本発明者らはここで、組換え遺伝子転写産物又は構造体の細胞内RNAスプライシング及びプロセシングによる標的遺伝子のサイレンシング誘導モデルを示すが、同じ原理を、I型RNAポリメラーゼ(Pol-I)によって主に転写されるリボソームRNA前駆体(pre-rRNA)のRNAプロセシングを通して機能する遺伝子サイレンシングエフェクターの設計及び作製にも使用できる。SpRNAiの運搬及び生成に使用できる他のRNA転写産物には、hnRNA、rRNA、tRNA、snoRNA、snRNA、ウイルスRNA、及びこれらの前駆体と誘導体が含まれる。

0035

実施例1、2及び図3Aに示すように、SpRNAiを合成し、シライトイソギンチャク(Heteractis crispa)のHcRed1色素タンパク質から突然変異したイントロン不含の赤方偏移蛍光タンパク質遺伝子(RGFP又はrGFP)に組み込む。挿入されたSpRNAiはRGFPの機能的な蛍光タンパク質構造を破壊するので、本発明者らは形質移入に成功した細胞又は生物における570 nmの波長の赤色蛍光放射の再出現によって、RGFP遺伝子転写産物のイントロン除去及びmRNAへの成熟を確認することができる。この組換えSpRNAi-RGFP構造体の構築は、メッセンジャーRNA前駆体(pre-mRNA)での天然構造のスプライセオソームイントロンに基づいている。SpRNAiの主要構成要素には、正確な開裂のための末端5’及び3’スプライス部位、スプライシング認識用の分岐点モチーフ(BrP)、スプライセオソーム相互作用のためのポリピリミジントラクト(PPT)、これらの各構成要素を連結するリンカー、及び所望のイントロン挿入用のいくつかの制限部位等、複数のsnRNP認識部位及びリンカーが含まれる。図3Bに示すように、本発明のSpRNAiの5’末端から3’末端への構造には、機能的スプライセオソーム集合用に、5’スプライス部位、抗(標的遺伝子)イントロン挿入配列(遺伝子サイレンシングエフェクターを形成するようにスプライシング及びプロセシングを受けられる)、分岐点モチーフ(BrP)、ポリピリミジントラクト(PPT)、及び3’スプライス部位が含まれている。加えて、いくつかの翻訳終止コドン(Tコドン)はSpRNAiの3’スプライス部位の近くのリンカー配列に配置してもよい。

0036

一般に、5’スプライス部位は、5'-GTAAGAGK-3'(SEQ.ID.NO.4)又はGU(A/G)AGUモチーフ(例えば、5'-GTAAGAGGAT-3'、5'-GTAAGAGT-3'、5'-GTAGAGT-3'、及び5'-GTAAGT-3')のいずれかを含む又はそのいずれかと相同なヌクレオチド配列であるが、3’スプライス部位はGWKSCYRCAG(SEQ.ID.NO.5)又はCT(A/G)A(C/T)NGモチーフ(例えば、5'-GATATCCTGCAG-3'、5'-GGCTGCAG-3'、及び5'-CCACAG-3')のいずれかを含む又はそのいずれかと相同なヌクレオチド配列である。さらに、分岐点配列は5’と3’のスプライス部位間に位置し、5'-TACTAAC-3'及び5'-TACTTAT-3'のような5'-TACTWAY-3'(SEQ.ID.NO.6)モチーフと相同な配列を含む。分岐点配列のアデノシン「A」ヌクレオチドは、ほぼ全てのスプライセオソームイントロン内にある細胞の2',5'-オリゴアデニル酸合成酵素とスプライセオソームによって、2’,5’結合型の投げ縄状イントロンRNAの一部を形成する。さらに、ポリピリミジントラクトが分岐点と3’スプライス部位の間に密接に位置し、5'-(TY)m(C/-)(T)nS(C/-)-3'(SEQ.ID.NO.7)又は5'-(TC)nNCTAG(G/-)-3'(SEQ.ID.NO.8)モチーフのいずれかと相同なT又はC高含量のオリゴヌクレオチド配列を含む。シンボル「m」及び「n」は1以上の反復数を示し、最も好ましくは、mは1〜3、nは7〜12である。シンボル「-」は配列内における空ヌクレオチドを示す。また、これらの全イントロン構成要素をつなげるために、いくつかのリンカーヌクレオチド配列もある。米国特許法施行規則(37 CFR)第1.822条のヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データに使用するシンボル及び書式に関するガイドラインに基づき、シンボルWはアデニン(A)又はチミン(T)/ウラシル(U)、シンボルKはグアニン(G)又はチミン(T)/ウラシル(U)、シンボルSはシトシン(C)又はグアニン(G)、シンボルYはシトシン(C)又はチミン(T)/ウラシル(U)、シンボルRはアデニン(A)又はグアニン(G)、及びシンボルNはアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、又はチミン(T)/ウラシル(U)を示す。上記のスプライセオソーム認識構成要素の全てにおいて、デオキシチミジン(T)ヌクレオチドはウリジン(U)に置換可能である。

0037

スプライス済みSpRNAi挿入配列の機能を試験するため、様々なオリゴヌクレオチド因子を組換えSpRNAi-RGFP構造体の抗(標的遺伝子)イントロン挿入部位に入れてクローニングできる。抗(標的遺伝子)イントロン挿入部位には、エンドヌクレアーゼAatII、AccI、AflII/III、AgeI、ApaI/LI、AseI、Asp718I、BamHI、BbeI、BclI/II、BgUI、BsmI、Bsp120I、BspHI/LU11I/120I、BsrI/BI/GI、BssHII/SI、BstBI/U1/XI、ClaI、Csp6I、DpnI、DraI/II、EagI、Ecl136II、EcoRI/RII/47III、EheI、FspI、HaeIII、HhaI、HinPI、HindIII、HinfI、HpaI/II、KasI、KpnI、MaeII/III、MfeI、MluI、MscI、MseI、NaeI、NarI、NcoI、NdeI、NgoMI、NotI、NruI、NsiI、PmlI、Ppu10I、PstI、PvuI/II、RsaI、SacI/II、SalI、Sau3AI、SmaI、SnaBI、SphI、SspI、StuI、TaiI、TaqI、XbaI、XhoI、XmaI及びこれらの組み合わせの群から選ばれる制限酵素によって認識される複数の制限・クローニング部位が含まれる。これらのイントロンオリゴヌクレオチド挿入配列は、投げ縄型RNA、短鎖一時的RNA(stRNA)、アンチセンスRNA、短鎖干渉RNA(siRNA)、2本鎖RNA(dsRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、Piwi相互作用RNA(piRNA)、リボザイム、及びこれらの前駆体、さらにセンス又はアンチセンス構造、もしくはその両者のいずれかの誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる高度二次構造として転写できるDNA鋳型である。

0038

目的の細胞又は生物での遺伝子の送達及び活性化を簡便にするために、本発明の組換えSpRNAi-RGFP構造体は、DNA導入遺伝子、プラスミド、トランスポゾン、ジャンピング遺伝子、ウイルスベクター、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる発現可能ベクターに組み込むことが好ましい。このように得られたベクターは、化学的/リポソームによる形質移入、電気穿孔法、トランスポゾン媒介DNA組換え、ジャンピング遺伝子挿入、ウイルス感染、マイクロインジェクション遺伝子銃による貫入、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる高効率の遺伝子送達法によって、細胞又は生物に導入する。ベクターにはさらに、SpRNAi-RGFP構造体の発現のために、少なくとも1つのウイルス性、Pol-II、又はPol-IIIのプロモーターもしくはこれらの組み合わせを含めてもよい。さらに、ベクターには、真核細胞における翻訳効率を上げるKozak翻訳開始共通配列、組換え遺伝子転写産物の3’末端をプロセシングするためのSpRNAi-RGFP構造体の下流に位置する複数のSV40ポリアデニル化シグナル原核細胞の増殖のためのpUC複製起点、SpRNAi-RGFP構造体をベクター内に組み込むための少なくとも2箇所の制限部位、SV40のT抗原を発現するほ乳類細胞の選択的SV40複製起点、及び複製可能な原核細胞で抗生物質耐性遺伝子を発現させるための選択的SV40初期プロモーターを含めてもよい。抗生物質耐性遺伝子の発現を用いて、ペニシリンG、アンピシリン、ネオマイシン、パロマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシンエリスロマイシンスペクトロマイシン、フォフォマイシン、テトラサイクリン、リファピシン、アムホテリシンBゲンタマイシンクロランフェニコールセファロチンタイロシン、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれる抗生物質に対して耐性をもつ形質移入又は感染に成功したクローンを探索する選択的マーカーとして機能させる。

0039

このように得られたSpRNAi-RGFPベクターがその緑色EGFP遺伝子発現を標的にするために、Tg(アクチン-GAL4:USA-gfp)系統ゼブラフィッシュにおいてインビボで試験した。実施例3と6、また図3Cに示すように、SpRNAi-RGFPプラスミド(レーン4)における抗EGFP pre-miRNA挿入配列のリポソーム形質移入では、極めて強力なEGFP遺伝子サイレンシング効果を示しているが(遺伝子ノックダウン率>80%)、他の挿入配列ではサイレンシング効果は検出できなかった。図の左から右に、レーン1はブランクのベクター対照(Ctl)、レーン2はHIV-p24を標的にするpre-miRNA挿入配列(偽)、レーン3はヘアピンループ構造のないアンチセンスEGFP挿入配列(アンチ)、及びレーン5は抗EGFP pre-miRNAに完全に相補的な逆位pre-miRNA配列(miR*)である。マーカーRGFP及びハウスキーピングβ-アクチンのような標的外遺伝子ではこのような効果は見られなかったので、このようなイントロンmiRNA媒介性のRNA干渉(RNAi)は極めて標的特異的であることを示している。さらに、ノーザンブロット分析(図3D)によって、本発明者らは設計されたSpRNAi-RGFP遺伝子転写産物からのみ有効なイントロン短鎖RNAの生成と放出を観察できたが(中央レーン2)、イントロン不含のRGFPの天然転写産物(左レーン1)又は機能的な5’スプライス部位のない欠損SpRNAi-RGFPの転写産物では、これらは観察されなかった。一方、スプライズ済みRGFPエクソンは連結し、機能性赤色蛍光タンパク質の合成のために成熟RNAを形成することができる。

0040

有効なイントロンマイクロRNA(miRNA)の設計の最適化
上記及び前述の実験によって、インビボで標的遺伝子の発現をサイレンシングさせるために、イントロンmiRNAが有効な手段及び方法を提供する事実が立証される。本発明者らは、まずイントロンmiRNA媒介性の遺伝子サイレンシングの有効性を評価し、ついで最適な遺伝子サイレンシング効果を誘導できるイントロンpre-miRNA挿入配列の最良の構造設計を決定する。これらの研究によって、RNAi関連の遺伝子サイレンシングメカニズムの細胞内集合であるRNA誘導性遺伝子サイレンシング複合体(RISC)のための成熟miRNA鎖の選択において、強力な構造的選択性が存在することが分かった。RISCは、標的遺伝子転写産物の分解、又はRNA干渉(RNAi)もしくは転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)メカニズムによる標的遺伝子転写産物の翻訳抑制のいずれかを誘導するタンパク質-RNA複合体である。

0041

本発明者らはゼブラフィッシュにおいて、pre-miRNAのステムループ構造が既知のsiRNA関連のRISC集合とは異なっているRISC集合用の成熟miRNAの配列を決定することを観察した(Lin et.al. (2005) Gene 356: 32-38)。siRNAデュプレックスの形成はsiRNA関連のRISC集合において重要な役割を担っている。siRNAデュプレックスの2本の鎖は機能的に非対照であるが、RISC複合体への集合では、1本鎖のみが選択される。このような選択性をsiRNAデュプレックスの各5’末端塩基対の熱力学的安定性によって測定した。このsiRNAモデルに基づき、miRNAとその相補的miRNA(miRNA*)によるデュプレックスの形成は、miRNA関連のRISC集合において必須な段階であると考えられる。若しこれが真実であれば、pre-miRNAのステムループ構造に機能的バイアスは観察されないだろう。しかしながら、本発明者らは、イントロンpre-miRNAのステムループが細胞内のRISC集合用の成熟miRNAの鎖選択に関与することを観察した。

0042

実施例1及び2に記載したように、実験によって本発明者らは、SpRNAi-RGFPベクターを発現する抗EGFP miRNAを構築し、また2つの対称なpre-miRNAであるmiRNA-ステムループ-miRNA*[1]及びmiRNA*-ステムループ-miRNA[2]をDNA自動合成装置によって合成し、予め作製した組換えSpRNAi-RGFPベクターにそれぞれ挿入した。両pre-miRNA構造体には、EGFPのヌクレオチド配列番号280〜302に対応している同じ2本鎖ステムアーム領域が含まれる。SpRNAi-RGFP構造体のイントロン挿入部位は、その5’及び3’末端にそれぞれPvuI及びMluI制限部位が並んで位置しているので、最初の挿入配列は簡単に除去可能で、また付着末端をもつ様々な抗遺伝子挿入配列(例えば抗EGFP又はmir-302 pre-miRNA)と置換することができる。異なる遺伝子転写産物に対してSpRNAiの挿入配列を変化させることで、このイントロンmiRNA発現系はインビボでのmiRNA関連遺伝子の応用を開発するのに役立つ道具を提供する。

0043

設計pre-miRNAの構造的選択性を決定するために、本発明者らはmirVana miRNA単離フィルターカラム(Ambion, Austin, TX)によってゼブラフィッシュの短鎖RNAを単離し、ついで標的配列を含むラテックスビーズによって、標的のEGFPと相補的な全ての可能性のあるmiRNA配列を沈殿させた。図4A及び4B(灰色影付き配列)に示すように、1つの完全長miRNAであるmiR-EGFP(280-302)が、5’-miRNA-ステムループ-miRNA*-3’構造体[2]の形質移入において活性があることが立証された。この有効な成熟miRNAは5'-miRNA-ステムループ-miRNA*-3'構造体[2]を形質移入したゼブラフィッシュでのみ検出されたので、miRNA関連RISCは[1]のpre-miRNA構造よりもむしろ[2]のpre-miRNA構造体と選択的に相互作用する傾向を示した。標的遺伝子のサイレンシングとmiRNA発現との相関視覚的に示すために(図4C)、本発明者らはTg(アクチン-GAL4:UAS-gfp)系統のゼブラフィッシュを用いた。これはゼブラフィッシュのほぼ全細胞において、普遍に存在するβ-アクチンプロモーターによって誘導される緑色蛍光EGFPタンパク質を構造的に発現するが、一方、ゼブラフィッシュへの抗EGFP SpRNAi-RGFP遺伝子ベクターの形質移入では、赤色蛍光タンパク質RGFPを同時発現し、作用を受けた細胞でのmiRNA生成の陽性マーカー指標として機能している。FuGene陽イオンリポソーム試薬(Roche, IN)によってカプセル化したSpRNAi-RGFPベクターを胚に投与すると、全ての被験ベクターが24時間以内に完全に浸透し、魚鱗及び骨を除いて、当該ベクターが完全に全身に送達したことが分かった。

0044

マーカーRGFP(赤色)はベクターを形質移入したゼブラフィッシュの全てにおいて検出されたが、標的EGFP発現(緑色)のサイレンシングは5'-miRNA-ステムループ-miRNA*-3'[2]のpre-miRNAを形質移入した個体においてのみ観察された。図4Dに示すように、ウェスタンブロット分析でこの遺伝子サイレンシングの結果を量的に確認したところ、構造体[2]を形質移入したゼブラフィッシュにおけるRGFPノックダウン率は85%より大きいことが示された。しかしながら、消化管(GI)での遺伝子サイレンシング効果は他の組織よりも低かったが、これはおそらくこの領域での高いRNase活性が原因と思われる。5’末端の熱安定性は両方の抗EGFP pre-miRNAステムアームで同じなので、pre-miRNAのステムループ構造が機能性RISC集合用の成熟miRNAの鎖選択に関与することが示唆される。ステムアーム内のDicer開裂部位は成熟miRNAの鎖選択を決定することが知られていることを考えれば、pre-miRNAのステムループは特別な開裂部位認識用の決定因子として機能する可能性がある。従って、様々な天然のmiRNA種にある天然ステムループ構造の大きな不均一性に基いて、本発明者らはこれらの実験において、5'-GCTAAGCCAGGC-3'(SEQ.ID.NO.1)及び5'-GCCTGGCTTAGC-3'(SEQ.ID.N0. 2)のような手動改良した1対のpre-mir-302ループを選択的に使用し、本発明に最適なRISC集合効果が提供されることを試験した。

0045

ヒト上皮初代培養細胞(hpESC)、ヒト前立腺癌細胞PC3(PC3)、及びヒト黒色腫初代培養細胞Colo(Colo)におけるSpRNAi-RGFP媒介性のmir-302形質移入
上記の試験に基づき、本発明者らは、試験したhpESC、PC3、及びColo細胞において発生及び分化に関連する標的遺伝子を形質移入によってサイレンシングさせるために、手動連結したmir-302a-mir-302b-mir-302c-mir-302d pre-miRNAクラスター挿入配列、又は手動再設計したmir-302 pre-miRNA挿入配列(例えば、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUUUAG UGU-3' (SEQ.ID.N0.9)を含むヘアピン状配列)のいずれかと合わせた最適なSpRNAi-RGFP構造体を設計して試験した。mir-302a、mir-302b、mir-302c、及びmir-302dの成熟配列はそれぞれ、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUUUGG UGA-3'(SEQ.ID.NO.10)、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUUUAG UAG-3'(SEQ.ID.NO.11)、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUUCAG UGG-3'(SEQ.ID.NO.12)、及び5'-UAAGUGCUUC CAUGUUUGAG UGU-3'(SEQ.ID.NO.13)である。これらのmir-302相同配列は、最初の17ヌクレオチドにおいて5’末端領域の高度な保存を共有しており(100%相同)、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUU-3'(SEQ.ID.NO.3)と同じである。これらのmir-302相同配列において、チミン(T)はウラシル(U)と置換して使用できる。

0046

これらの実験において、本発明者らはhpESC及びPC3細胞にmir-302a-mir-302b-mir-302c-mir-302d pre-miRNAクラスター、Colo細胞に再設計したmir-302相同配列(SEQ.ID.N0.9)をそれぞれ遺伝子導入によって形質移入する。mir-302形質移入後、これら全細胞株は、その形態を紡錘形又はアメーバ状からより丸い外形に形質転換するが(下図)、これは幹細胞の増殖と同様に、細胞移動能を失い、細胞複製速度が極めて遅くなっている可能性を示唆している(図5A〜C)。異なる細胞周期(x軸)に対してこれらのDNA含量(y軸)を示すフローサイトメトリー分析(上図)では、有糸分裂細胞集団が67%以上減少し、mir-302形質移入細胞の遅い細胞増殖が確認されたが、この細胞集団は各細胞周期で測定したDNA含量によって示されている。1番目(左)及び2番目(右)のピークはそれぞれ、被験細胞集団全体における休止期G0/G1及び有糸分裂期Mの細胞集団のレベルを示している。mir-302形質移入後、有糸分裂細胞集団はhpESC細胞では36.1%から10.9%に、PC3細胞では38.4%から12.6%に、Colo細胞では36.5%から11.5%に減少しているが、空のSpRNAi-RGFPベクター又はmir-gfp pre-miRNA挿入配列含有ベクターの形質移入後は、細胞形態又は細胞増殖のいずれにおいても有意な変化はない。ヒト及びマウスの遺伝子と相同性がないホタルEGFP遺伝子を標的とするようにmir-gfp pre-miRNAを設計している。これらの知見に基づき、本発明者らは、mir-302相同配列の導入遺伝子発現が、ヒト初代培養細胞及び癌細胞を胚性幹(ES)細胞の形態及び複製速度のように形質転換できることを示しているが、これは以前報告されたiPS細胞で観察された変化(Okitaら, (2007) Nature 448: 313-317; Wernigら, (2007) Nature 448: 318-324)と同様である。

0047

導入遺伝子mir-302を発現するColo及びPC3細胞(すなわち、Colo+mir-302及びPC3+mir-302)における胚様体形成、胚性幹細胞マーカー発現、ゲノムDNA脱メチル化、及び細胞移動減少の評価
mir-302形質移入細胞の胚性幹(ES)様特性をさらに調べるために、本発明者らはこれらの胚様体の形成、ESマーカー遺伝子の発現、ゲノムの脱メチル化、及び細胞移動の減少を評価した。極めて高い細胞培養飽和密度(>85〜95%)で、mir-302形質移入細胞は、胚様体(EB)さらには天然のヒトES細胞に由来するEBを思わせる密集したコロニーを形成する傾向を示した(図6A)。しかしながら、ホルモン又は成長因子による適切な誘導がないと、これらのEB様体は崩壊し、継代培養中に神経様の始原細胞に分化する(最下部右図)。これらのES及びES様細胞種の遺伝的特性を試験するために、本発明者らはさらにこれらのESマーカー遺伝子の発現を評価した。例えば、図6Bに示すように、導入遺伝子mir-302を形質移入したColo細胞(Colo+mir-302)は、Oct3/4、SSEA-3、SSEA-4及びさらにはSox2のような標準ES細胞マーカーの全種類を強力に示しているが、Colo細胞、及び空のSpRNAi-RGFPベクター(Colo+ベクター)、mir-gfp miRNAを発現するベクター(Colo+mir-gfp)、又は天然のmir-434-5p miRNAを発現するベクター(Colo+mir-434-5p)を形質移入させた対照Colo細胞では、ES細胞マーカーは検出されない。mir-434-5pとmir-302sは相同な標的遺伝子配列を全く共有していない。Colo細胞は分化したヒト黒色腫細胞株なので、この結果は、SpRNAi-RGFP媒介性のmir-302形質移入によって、Colo細胞を胚性幹細胞と極めて似ているES様状態に再プログラミングできることを示している。

0048

Oct3/4(Oct-3又はOct-4とも呼ぶ)は、主に全能性の胚性幹細胞及び生殖細胞において高度に発現しているPOU転写因子の1つである(Scholerら, (1989)EMBO J. 8: 2543-2550; Rosnerら, (1990) Nature 345: 686-692)。臨界レベルのOct3/4発現が幹細胞の自己更新及び多能性の維持に必要である。Oct3/4の下方制御は結果的に発生プログラム分岐させ、胚性幹細胞の分化につながる。SSEA-1、-3、及び-4というSSEAタンパク質は、元々着床前段階のネズミ胚及び奇形癌幹細胞の表面にあるラクト系及びグロボ糖脂質を認識するモノクローナル抗体によって同定されたが、これらの分化した派生細胞にはこのような糖脂質は存在しない(Solterら, (1978) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75: 5565-5569)。霊長類の未分化胚性幹(ES)細胞であるヒト胚性癌細胞(hES)及びES細胞は全てSSEA-3及びSSEA-4を発現するが、SSEA-1を発現しない(Thomsonら, (1998) Science 282: 1145-1147)。SSEA-3及びSSEA-4は卵形成中に合成され、主に卵母細胞、接合体、及び初期卵割期の胚の細胞膜に存在し(Shevinskyら, (1982) Cell 30: 697-705)、Sox2は多能性の維持における中心的転写因子として機能するが、この機能は胚性幹細胞に特異的なものではない(Boyerら, (2005) Cell 122: 947-956)。従って、現在これらの胚性幹細胞マーカーへの理解によると、Colo+mir-302細胞はこれらのESマーカーの全ての特性及び関連機能を有している。

0049

後成的修飾の変化、特にゲノムの脱メチル化は、多能性幹細胞のもう1つの独特な特徴である(Hochedlingerら, (2006) Nature 441: 1061-1067)。分化した体細胞をES状態に再プログラミングするためには、発生関連及び分化関連のシグナル又は遺伝子を阻害するように多くの胚性遺伝子を再活性化する必要がある。DNAのメチル化は、これらの遺伝子スイッチオンオフ制御において重要な役割を担っている。上流プロモーター領域におけるメチル化は、通常遺伝子発現に必須な転写機構の集合に干渉するので、Oct3/4、SSEA-3、SSEA-4及びSox2のような胚性遺伝子を再活性化するためには、脱メチル化過程が必須である。Colo細胞対Colo+mir-302細胞のDNAメチル化状態を評価するために、本発明者らは、まず細胞ゲノムをDNA単離キット(Roche, IN)で単離し、CCGG切断の制限酵素HpaIIでゲノムを消化した。この酵素はメチル化CpGに感受性があり、非メチル化CCGG部位のみを切断し、メチル化されたCCGG部位を切断しない。図6Cに示すように、対照Colo細胞で消化したゲノム断片が、ES様Colo+mir-302細胞よりも極めて大きく、これはmir-302形質移入Colo細胞で高度な脱メチル化状態が実際に生じていることを示している。Colo及びColo+mir-302のゲノムの元々の大きさはほぼ同じである。

0050

図6Dはさらに、対照のhpESC、PC3、及びColo細胞では、これらのmir-302形質移入細胞と比べた時、Oct3/4遺伝子プロモーター領域のメチル化パターンが変化していることを示している。この領域のメチル化部位を決定するために、本発明者らは単離したゲノムDNAを重亜硫酸塩(CpGenomeDNA修飾キット:Chemicon, CA)で処理し、全ての非メチル化シトシンをウラシルに変換させた。その後、2つの順方向プライマー5'-GTTGTTTTGTTTTGGTTTTG GATAT-3'及び5'-ATTGTTTTGTTTTGGTTTTG GATTTA-3'と、1つの逆方向プライマー5'-GTAGAAGTGCCTCTGCCTTCC-3'を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(長鎖鋳型PCR伸長キット:Roche,FN)で、Oct3/4の5’上流プロモーター領域をクローニングした。まず、細胞ゲノム(100 ng)を1×PCR緩衝液中でこれらのプライマー(総量150 pmol)と混合し、94℃で4分間加熱後すぐに上で冷却した。次に、93℃で1分間、55℃で1分間、そして70℃で5分間という条件で、25サイクルのPCRを実施した。その後、PCR産物をPCR精製キット(Qiagen, CA)で収集し、AclI (AACGTT)、BmgBI (CACGTC)、PmlI (CACGTG)、SnaBI (TACGTA)、及びHpyCH4IV (ACGT)を等量(各5U)ずつ含む複数のACGT切断制限酵素で消化した。この領域の非メチル化ACGT部位は重亜硫酸塩によって、上記の混合制限酵素で開裂できないAUGT部位に変化しているので、図6Dの結果は、対照のhpESC、PC3、及びColo細胞では少なくとも4箇所あったメチル化ACGT部位が、mir-302形質移入細胞では再プログラミングされ、脱メチル化していることが示されている。このOct3/4遺伝子プロモーター領域のmir-302媒介性の脱メチル化はまた、Colo+mir-302のようなmir-302形質移入細胞におけるOct3/4遺伝子発現の再活性化にも寄与している可能性がある。

0051

加えて、細胞移動の減少がPC3及びColo細胞株のようなmir-302を形質移入した癌性細胞においてしばしば観察される。胚性幹細胞が1箇所に留まり、インサイチュで胚様体を形成する傾向があるならば、これはPC3及びColo細胞がmir-302の形質移入後に、その移動能を失う理由を説明できる可能性がある。図6Eに示すように、PC3+mir-302細胞の隣にPC3細胞を並べると、PC3癌性細胞がちょうど30秒で急速にPC3+mir-302細胞の脇を移動するのが明らかに観察できる。黒矢印はPC3細胞の移動方向を示す。この結果は、癌細胞におけるmir-302形質移入の治療応用への可能性を示唆し、癌細胞を有用な幹細胞に再プログラミングするだけでなく、癌転移の機会を軽減する可能性もある。より有利なのは、mir-302形質移入癌性細胞は、患者に対してまだ免疫適合性があることなので、このように得られたES様多能性細胞は免疫拒絶のリスクがなく移植療法に用いることが可能である。

0052

miRNAマイクロアレイ分析を用いた導入遺伝子mir-302発現の同定
形質移入細胞における導入遺伝子mir-302発現を確認するために、本発明者らはマイクロRNA(miRNA)マイクロアレイ分析を実施している。細胞飽和密度70%において、各細胞株からの短鎖RNAをmirVana(登録商標) miRNA単離キット(Ambion, Inc., Austin, TX)を用いて、製造元の指示に従い単離する。単離した短鎖RNAの純度及び量を1%ホルムアルデヒド・アガロースゲル電気泳動(Bio-Rad, Hercules, CA)、さらに分光光度計測定を用いて評価した後、miRNAのマイクロアレイ分析のためにLC Sciences社(San Diego, CA)に送付する。Cy3及びCy5強調画像では、信号強度レベル1からレベル65,535に上昇するのに合わせて、色が青から緑、黄、そして赤へと変化する。Cy5/Cy3比の画像では、Cy3濃度がCy5濃度より高い場合は緑色となり、Cy3濃度がCy5濃度と等しい場合は黄色、そしてCy5濃度がCy3濃度より高い場合は赤色となる。図7Aに示すように、Cy3は未処理細胞(すなわちColo)を指すが、Cy5は導入遺伝子mir-302形質移入細胞(すなわちColo+mir-302)を指す。Cy5/Cy3比画像では(最右)、SpRNAi-RGFP媒介性のmir-302形質移入後に、天然のmir-302ファミリーの各要素(白丸)が全て高度に発現している。mir-302ファミリーの各要素及び本発明者らが再設計したmir-302因子は約91%以上相同なので、この結果は、再設計mir-302因子がmir-302として機能し、天然のmir-302sの代わりとなれることを示している。図7Bは、Colo+mir-302細胞において発現に差があるmiRNAの詳細な一覧を示す。

0053

図7Aの結果より、本発明者らは、mir-302の発現上昇がさらに天然のmir-302sの発現を上昇させ、さらに、mir-92、mir-93、mir-200c、mir-367、mir-371、mir-372、mir-373、mir-374、及びmir-520ファミリーの全要素のような、いくつかの他のマイクロRNAの発現も上昇させることを発見した。miRBase::Sequencesプログラム(http://microrna.sanger.ac.uk/)を用いたこれらの標的遺伝子の分析によって、mir-302sは400個以上の標的遺伝子をこれらのmiRNAと共有していることが証明され、これらのmiRNAが幹細胞の多能性と更新の維持にも重要な役割を担っていることが示唆された。これらの保存標的遺伝子は、RAB/RAS関連癌原遺伝子、ECT関連癌原遺伝子、多形腺腫遺伝子、E2F転写因子、サイクリンD結合Myb様転写因子、HMGボックス転写因子、Sp3転写因子、転写因子CP2様タンパク質、NFκB活性化タンパク質遺伝子、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、MAPK関連キナーゼ、SNF関連キナーゼ、ミオシン軽鎖キナーゼ、TNFα誘導タンパク質遺伝子、DAZ関連タンパク質遺伝子DM関連ホメオボックス遺伝子、DEAD/Hボックスタンパク質遺伝子、フォークヘッドボックスタンパク質遺伝子、BMP調節因子、Rho/Racグアニンヌクレオチド交換因子、IGF受容体、エンドセリン受容体、左右決定因子、サイクリン、p53誘導性核タンパク質遺伝子、RB様-1、RB結合タンパク質遺伝子、Max結合タンパク質遺伝子、c-MIR免疫認識調節因子、Bcl2様アポトーシス促進因子、プロトカドヘリンインテグリンβ4/β8、インヒビンアンキリン、SENP1、NUFIP2、FGF9/19、SMAD2、CXCR4、EIF2C、PCAF、MECP2、ヒストンアセチルトランスフェラーゼMYST3、核RNP H3、及び多くの核受容体や因子を含むが、これには限らない。これらの遺伝子の全てが胚の発生及び/又は癌の腫瘍形成能と高度に関連している。

0054

遺伝子マイクロアレイ分析を用いたESマーカー発現の同定
ES細胞マーカー及び導入遺伝子mir-302sの同時発現の相関を確かめた後に、本発明者らは遺伝子マイクロアレイ分析を行い、mir-302形質移入前後の細胞、さらにmir-302形質移入細胞と他のヒト胚性幹(hES)細胞とを比べて、ゲノム全体の遺伝子発現プロファイルスクリーニングする。Affymetrix社の遺伝子マイクロアレイ(GeneChip U133A&Bアレイ:Santa Clara, CA)を用いて、Colo細胞とColo+mir-302細胞、さらにColo+mir-302とHuEC8及びH9等の他のhES細胞とを比べ、32,668以上のヒト遺伝子発現パターンの変化を評価する。各被験培養細胞からの総RNAをRNeasyスピンカラム(Qiagen, Valencia, CA)を用いて単離する。バックグラウンドにおいて変動する標的を明らかにするために、本発明者らは、まず同じColo+mir-302試料を用いて2回マイクロアレイ分析を実施し、一方の分析でわずかに差が示された200の遺伝子を選択して、さらに比較した。図8Aに示すように、これらの選択遺伝子白点)の発現変化は、もう一方のColo+mir-302の分析よりも全て1倍未満であり、バックグラウンドの変動が極めて限られていることを示している。これらの1倍の変化閾値で予め選択した遺伝子の分散パターンに基づき、比較する2つの遺伝子転写産物ライブラリー間の相関係数(CC)を算出することができる。CC比を求め、比較試料間の32,668個のヒト遺伝子発現パターンの類似率(%)を示す。このようなCC比によって、図8Aの結果に示すように、Colo+mir-302細胞の遺伝子発現パターンは、hESであるHuEC8及びH9細胞のパターンと極めて高度に類似しているが(それぞれ88%と86%)、Colo細胞とColo+mir-302細胞とでは低いCC比(53%)しか示されていない。これは、SpRNAi-RGFP媒介性のmir-302形質移入によって、最高15,354個の細胞内遺伝子の発現パターンが変化することを示しており、このことが癌性Colo細胞をES様Colo+mir-302細胞に再プログラミングする過程に関与している可能性を示す。

0055

図8Bに、Colo細胞とColo+mir-302細胞とで発現に差があるいくつかの主な遺伝子の一覧を示す。H9及びHuEC8のように、Colo+mir-302細胞は、SSEA-3、SSEA-4、Utf1、Oct4、Sox2、Pulimio-2及びNanogのような多くの胚性幹細胞及び生殖系列細胞のマーカーを高度に発現する。しかしながら、Colo+mir-302細胞においてKlf4は発現せず、iPS細胞とは確実に異なることを示している(図6B)。さらに、多くの癌特異的マーカー、発生シグナル、及び細胞増殖因子が、mir-302形質移入後に有意に下方制御されることが判明し、これは図5の未分化の丸い細胞形態及び遅い細胞複製の観察と一致する。要するに、これらの全知見から、本発明のmir-302形質移入法の使用によって、分化したColo細胞株を多能性のH9及びHuEC8幹細胞と同様な極めてES様のColo+mir-302細胞株へと遺伝子的に再プログラミング且つ形質転換できることが示唆される。

0056

様々なホルモン及び成長因子を用いた細胞分化誘導
定義では、多能性幹細胞は胚性の外胚葉、中胚葉、及び/又は内胚葉に由来する組織細胞と同様な様々な細胞種に分化できる。例えば、インビトロでの無フィーダー細胞条件下でのホルモン及び/又は成長因子による処理を用いて、本発明者らはColo+mir-302細胞を図9A〜Cに示すような3種類の細胞に分化誘導することに成功した。まず、無フィーダー細胞培養皿において、Colo+mir-302細胞を天然のアンドロゲンであるジヒドロテストステロン(DHT50 ng/ml)で6時間処理し、ついでこの処理細胞(105個)を6週齢の雌の免疫不全SCID/beigeマウスの子宮にインビボ移植したところ、1週間後、移植部位精原細胞様細胞の嚢胞が生成している(図9A中央)。次に、Colo+mir-302細胞を形質転換成長因子β1(TGF-β1 100 ng/ml)で12時間処理し、この処理細胞を6週齢の雌免疫不全SCID/beigeマウスの子宮に移植すると、この細胞は線維芽細胞様細胞に分化し、たった1週間で子宮内の大部分を占領するほどのコラーゲン分泌し始めている(図9B)。最後に、Colo+mir-302細胞を骨形成タンパク質4(BMP4 100 ng/ml)で12時間処理し、この処理細胞を6週齢の免疫不全SCID/beigeマウスの肝臓異種移植すると、この細胞はわずかな石灰化沈殿で囲む軟骨細胞様細胞に分化している(図9C)。胸腺欠損ヌードマウスの使用は、移植療法を模倣するインビボ環境を提供する。これらの知見は強力な証拠を提示し、本発明のmir-302形質移入法を用いて、インビトロの無フィーダー細胞条件下で複数の組織細胞種に誘導できる新たなES様細胞株の生成に本発明者らが成功したことを示している。従って、本発明は分化した体細胞をES様多能性細胞に再プログラミング及び形質転換させるだけでなく、無フィーダー細胞培養条件において、幹細胞の多能性と更新特性を維持することができる。

0057

すなわち、本発明のイントロンmir-302発現ベクターの利用は、特に初代培養の体細胞及び癌性細胞由来の幹細胞を生成する強力な新方策を提供する。イントロンmiRNA媒介性の遺伝子サイレンシング経路は、遺伝子転写、RNAスプライシング、エキソソーム消化、及びNMDプロセシングメカニズムに関わる構成要素を含む複数の細胞内制御システムによって十分に調節されているので、イントロンmiRNAの遺伝子サイレンシング効果は現在知られている3つのRNAi経路の全てにおいて最も有効、特異的、及び安全であると思われる。全体として有利なのは、本発明のイントロンmir-302因子の使用によって、体細胞がES様多能性細胞に再プログラミングされるだけでなく、無フィーダー細胞培養条件においてES細胞の多能性を維持する簡単で有効、しかも安全な遺伝子操作法が提供されるので、従来のiPS法で用いられている4つの大きな転写因子遺伝子をレトロウイルスによって単一細胞に挿入するような、大変な操作が回避できる。

0058

A. 定義
本発明の理解を深めるために、以下のように多くの用語を定義する。
ヌクレオチド:糖部分(五炭糖)、リン酸及び窒素複素環塩基からなるDNA又はRNAの単量体単位である。その塩基はグリコシド結合した炭素(五炭糖の1’炭素)によって糖部分と結合するが、この塩基と糖の組み合わせはヌクレオシドである。五炭糖の3'又は5'の位置に少なくとも1つリン酸基が結合しているヌクレオシドがヌクレオチドである。

0059

オリゴヌクレオチド:2個以上、好ましくは3個以上、及び通常は10個以上のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドで構成される分子である。正確なサイズは多くの要因によって決まり、さらにこれらの要因はそのオリゴヌクレオチドの最終的な機能又は使用法によって決まる。オリゴヌクレオチドは化学合成DNA複製逆転写、又はこれらの組み合わせを含むいずれかの方法で生成してもよい。

0060

核酸:1本鎖又は2本鎖のヌクレオチドの重合体である。
ヌクレオチド類似体:A、T、G、C、又はUとは構造的に異なるが、核酸分子中で通常のヌクレオチドと十分に置換できるほど類似しているプリン又はピリミジンヌクレオチドである。

0061

核酸成分:1本鎖又は2本鎖分子構造のデオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)のようなポリヌクレオチドである。
遺伝子:RNA及び/又はポリペプチド(タンパク質)のためのヌクレオチド配列コードをもつ核酸である。遺伝子はRNA又はDNAのいずれかである。

0062

塩基対(bp):2本鎖DNA分子中のアデニン(A)とチミン(T)、又はシトリン(C)とグアニン(G)の組合である。RNAでは、チミンの代わりにウラシル(U)となる。一般にこの組合は水素結合を介して実現される。

0063

メッセンジャーRNA前駆体(pre-mRNA):真核細胞においてII型RNAポリメラーゼ(Pol-II)機構による転写と呼ばれる細胞内メカニズムによって作られる遺伝子のリボヌクレオチド一次転写産物である。pre-mRNA配列には、5’末端非翻訳領域、3’末端非翻訳領域、エクソン、及びイントロンが含まれる。

0064

イントロン:インフレ-ムイントロン、5’非翻訳領域(5’-UTR)及び3’-UTRのようなタンパク質読み枠ではない遺伝子転写配列の一部分又は複数の部分である。
エクソン:タンパク質読み枠をコードする遺伝子転写配列の一部分又は複数の部分である。

0065

メッセンジャーRNA(mRNA):核内スプライセオソーム機構によるイントロン除去後に形成され、タンパク質合成のためタンパク質をコードするRNAとして機能するpre-mRNAのエクソン集合体である。

0066

cDNA:mRNA配列と相補的で、イントロン配列が全く含まれていない1本鎖DNAである。
センス:相同なmRNAと配列順及び組成が同じ核酸分子である。センス構造は「+」、「s」、又は「センス」シンボルで示す。

0067

アンチセンス:各mRNA分子と相補的な核酸分子。アンチセンス構造は、例えば「aDNA」又は「aRNA」のように、DNA又はRNAの前に「-」シンボル、又は「a」もしくは「アンチセンス」を付けて示す。

0068

5’末端:1つのヌクレオチドの5’ヒドロキシル基が次のヌクレオチドの3’ヒドロキシル基とリン酸ジエステル結合によって連結している連続したヌクレオチドにおいて、5’位置でヌクレオチドが欠損している末端。1つ以上のリン酸のような他の基は、この末端に存在することがある。

0069

3’末端:1つのヌクレオチドの5’ヒドロキシル基が次のヌクレオチドの3’ヒドロキシル基とリン酸ジエステル結合によって連結している連続したヌクレオチドにおいて、3’位置でヌクレオチドが欠損している末端。最もよく見られるのはヒドロキシル基であるが、他の基がこの末端に存在することもある。

0070

鋳型:核酸ポリメラーゼによってコピーされる核酸分子。鋳型はポリメラーゼによって決まり、1本鎖、2本鎖、又は部分的に2本鎖である。合成されたコピーはこの鋳型又は2本鎖もしくは部分的に2本鎖の鋳型の少なくとも1本の鎖と相補的である。RNA及びDNAの両者が5’から3’方向に合成される。核酸デュプレックスの2本の鎖は常にアラインメントしているので、2本鎖の5’末端はデュプレックスの反対側の末端に位置する(従って必然的に3’末端も同様)。

0071

核酸鋳型:2本鎖DNA分子、2本鎖RNA分子、DNA-RNAもしくはRNA-DNA雑種等の雑種分子、又は1本鎖のDNAもしくはRNA分子である。
保存:ヌクレオチド配列を非無作為に予め選択した(参照した)配列と正確に相補的な配列にハイブリダイゼーションする場合、このヌクレオチド配列はこの予め選択した配列に関して保存されていることになる。

0072

相補、相補性又は相補作用:塩基対規則によって関連し合うポリヌクレオチド(すなわちヌクレオチド配列)を指す場合に用いる。例えば、配列「A-G-T」は配列「T-C-A」と相補的であり、また、「T-C-U」とも相補的である。相補性は、2本のDNA鎖間、1本のDNA鎖と1本のRNA鎖間、又は2本のRNA鎖間で生じる可能性がある。相補性には「部分的」又は「完全」な場合がある。部分相補性は、核酸塩基のいくつかだけが塩基対規則に従って適合する場合である。完全相補性は、核酸鎖間で塩基が完全に適合する場合である。核酸鎖間の相補性の程度は核酸鎖間のハイブリダイゼーションにおける効率と強度に大きく影響する。これは、増幅反応、さらに核酸間の結合に依存した検出方法において特に重要である。相補性率(%)とは、核酸の1本鎖における全塩基に対してミスマッチを示した塩基数のことである。従って、50%の相補性とは、塩基の半分がミスマッチで、半分が適合していることを意味する。核酸の2本鎖は、この2本鎖の塩基数が異なっている場合でさえも相補的となり得る。この場合、長い方の鎖の一部の塩基が、相当する短い方の鎖の塩基と対を成した時に相補性が生じる。

0073

相同又は相同性:遺伝子又はmRNA配列と類似したポリヌクレオチド配列核酸配列は例えば、特定の遺伝子又はmRNAと部分的又は完全に相同である可能性がある。相同性はまた、全ヌクレオチド数のうちの同じヌクレオチドの数で決定する比率(%)として表すことができる。

0074

相補的塩基:DNA又はRNAが2本鎖の形状となる場合に、通常対を形成するヌクレオチドである。
相補的ヌクレオチド配列:1本鎖のDNA又はRNA分子におけるヌクレオチド配列で、もう一方の1本鎖の配列と十分に相補的なために、結果的に水素結合によって、2本鎖間で特異的にハイブリダイゼーションする。

0075

ハイブリダイゼーション:塩基対形成によって複合体を形成するのに十分相補的なヌクレオチド配列間のデュプレックスの形成。プライマー(又はスプライス鋳型)が標的(鋳型)と「ハイブリダイゼーション」する場合、このような複合体(又は雑種)は十分に安定しているので、DNA合成を開始するDNAポリメラーゼが求める開始機能を提供する。競争的に阻害できる2つの相補的ヌクレオチド間には特異的、すなわち非無作為な相互作用がある。

0076

RNA干渉(RNAi):真核細胞において、マイクロRNA及び短鎖干渉RNAのような短鎖RNA分子によって引き起こされる翻訳後の遺伝子サイレンシングメカニズムのこと。これらの短鎖RNA分子は遺伝子サイレンサーとして通常機能し、この短鎖RNAに対して完全又は部分的に相補的な配列を含む細胞内遺伝子の発現に干渉する。

0077

マイクロRNA(miRNA):このmiRNAに部分的に相補的な標的遺伝子転写産物に結合できる1本鎖RNAである。miRNAは通常長さが約17〜27個のオリゴヌクレオチドで、miRNAとその標的mRNAとの相補性によって、細胞内のmRNA標的を直接分解するか、又はその標的mRNAのタンパク質翻訳を抑制できる。天然のmiRNAはほぼ全ての真核細胞で見つかっており、ウイルス感染に対する防御、及び動植物の発生における遺伝子発現を制御するものとして機能している。

0078

Pre-miRNA:細胞内RNaseIIIエンドRNA分解酵素と相互作用するステムアーム及びステムループを含むヘアピン状の1本鎖RNAで、1つ又は複数のマイクロRNAを産生し、標的遺伝子又はこのマイクロRNA配列と相補的な遺伝子をサイレンシングできる。pre-miRNAのステムアームは完全(100%)又は部分的(ミスマッチ)にハイブリダイゼーションしたデュプレックス構造を形成できるが、ステムループはステムアームの1端と結合し、円形又はヘアピンループ構造を形成する。

0079

短鎖干渉RNA(siRNA):ほぼ完全な相補性の標的遺伝子転写産物を分解できる、リボヌクレオチドデュプレックスが完全に塩基対形成しているサイズが約18〜25個の短鎖2本鎖RNAである。

0080

小又は短鎖ヘアピンRNA(shRNA):不適合ループ状オリゴヌクレオチドによって分けられた部分的又は完全に適合したステムアームヌクレオチド配列を含み、ヘアピン状構造を形成する1本鎖RNAである。多くの天然miRNAはヘアピン状RNA前駆体、すなわちマイクロRNA前駆体(pre-miRNA)に由来する。

0081

ベクター:異なる遺伝子環境において移動及び定着が可能な組換えDNA(rDNA)等の組換え核酸分子である。一般に、別の核酸の中に操作によって連結させる。ベクターは細胞内で自律増殖可能で、この場合、ベクターとその連結した部位が複製される。好ましいベクターの1種類はエピソーム、すなわち染色体外で複製可能な核酸分子である。好ましいベクターは自律複製及び/又はこれらに連結した核酸の発現が可能なベクターである。1つ以上のポリペプチドをコードする遺伝子の発現を誘導できるベクターを、本明細書では「発現ベクター」と呼ぶ。特に重要なベクターは、逆転写酵素を用いて作製したmRNAからcDNAをクローニングできる。

0082

シストロンDNA分子内においてアミノ酸残基配列をコードし、上流及び下流にDNA発現調節配列を含むヌクレオチド配列である。
プロモーター:ポリメラーゼ分子により認識され、おそらく結合することで合成を開始させる核酸である。本発明用のプロモーターには、既知のポリメラーゼ結合部位、エンハンサー、及び所望のポリメラーゼによって合成を開始できるこれらに類似したあらゆる配列が可能である。

0083

抗体:予め選択したリガンドと結合できる受容体をコードする予め選択した保存領域構造をもつペプチド又はタンパク質分子である。
B. 成分
イントロンRNA媒介性の遺伝子サイレンシングを誘導する組換え核酸成分は、
a) 複数のエクソンと並び、細胞内RNAスプライシング及び/又はプロセシング機構によってエクソンから切り離される、少なくとも1つのイントロンと、
b) 所望の機能をもつ遺伝子を形成させるように連結できる、複数のエクソンと
を含む。

0084

上記組換え核酸成分は、さらに、
a)ほ乳類細胞において組換え核酸成分のRNA一次転写産物を発現させるために、前記組換え核酸成分を発現可能ベクターに組み込むために用いる、少なくとも1つの制限/クローニング部位と、
b) 前記組換え核酸成分の正確なサイズのRNA転写産物を作るために用いる、複数の転写及び翻訳終結部位と
を含む。

0085

上記組換え核酸成分のイントロンは、さらに、
a) 少なくとも1つの標的遺伝子と相補的又は相同な遺伝子サイレンシングエフェクター挿入配列と、
b) 5’供与スプライス部位と、
c) 3’受容スプライス部位と、
d)スプライセオソーム認識用の分岐点モチーフと、
e) スプライセオソーム相互作用のためのポリピリミジントラクトと、
f) 上記主要構成要素の結合のための複数のリンカーと
を含む。

0086

遺伝子スプライシングエフェクター挿入配列は、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUU-3'(SEQ.ID.NO.3)と相同なヌクレオチド配列をコードする。5’供与スプライス部位は、5'-GTAAGAGK-3'(SEQ.ID.NO.4)又はGU(A/G)AGUモチーフ(5'-GTAAGAGGAT-3'、5'-GTAAGAGT-3'、5'-GTAGAGT-3'、及び5'-GTAAGT-3'のような)のいずれかを含む又はいずれかと相同なヌクレオチド配列であるが、3’受容スプライス部位はGWKSCYRCAG(SEQ.ID.NO.5)又はCT(A/G)A(C/T)NGモチーフ(5'-GATATCCTGC AG-3'、5'-GGCTGCAG-3'、及び5'-CCACAG-3'のような)のいずれかを含む又はいずれかと相同なヌクレオチド配列である。さらに、分岐点配列は5’と3’のスプライス部位の間に位置し、5'-TACTAAC-3'及び5'-TACTTAT-3'のような5'-TACTWAY-3'(SEQ.ID.NO.6)モチーフと相同なモチーフを含む。さらに、ポリピリミジントラクトが分岐点と3’スプライス部位の間に密接に位置し、5'-(TY)m(C/-)(T)nS(C/-)-3'(SEQ.ID.NO.7)又は5'-(TC)nNCTAG(G/-)-3'(SEQ.ID.NO.8)モチーフのいずれかと相同なT又はCが高含量のオリゴヌクレオチド配列を含む。ここで、シンボル「m」及び「n」は1以上の反復数を示し、最も好ましくは、mは1〜3、nは7〜12である。シンボル「-」は配列内に1つの空ヌクレオチドがあることを示す。また、これらの全イントロン構成要素をつなげるいくつかのリンカーヌクレオチド配列もある。米国特許法施行規則(37 CFR)第1.822条のヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列データに使用するシンボル及び書式に関するガイドラインに基づき、シンボルWはアデニン(A)又はチミン(T)/ウラシル(U)、シンボルKはグアニン(G)又はチミン(T)/ウラシル(U)、シンボルSはシトシン(C)又はグアニン(G)、シンボルYはシトシン(C)又はチミン(T)/ウラシル(U)、シンボルRはアデニン(A)又はグアニン(G)、及びシンボルNはアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、又はチミン(T)/ウラシル(U)を示す。上記のスプライセオソーム認識構成要素の全てにおいて、デオキシチミジン(T)ヌクレオチドはウリジン(U)に置換可能である。

0087

C. 方法
ほ乳類細胞でイントロンmir-302媒介性の遺伝子サイレンシングを誘導する遺伝子導入法は、
a)エクソンと並んでmir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターをコードし、mir-302媒介性の遺伝子サイレンシングを実行するためにエクソンと切り離される、少なくとも1つのイントロンを含む組換え核酸成分を構築する段階と、
b) 前記組換え核酸成分を発現可能ベクターにクローニングする段階と、
c) 前記組換え核酸成分の複数のRNA一次転写産物を生成するために、また、mir-302様遺伝子サイレンシングエフェクターの配列と相同又は相補的な配列を含む遺伝子に対してmir-302媒介性の遺伝子サイレンシング効果を提供するように、細胞のスプライセオソームがRNA一次転写産物からイントロンを切り出すために、複数のほ乳類細胞へ前記ベクターを導入する段階と
を含む。

0088

実施例
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態を例証するものであるが、本発明の範囲を限定するものではない。

0089

以下の実験に関する開示において、次の略語を適用する。M(モル濃度)、mM(ミリモル濃度)、μm(マイクロモル濃度)、mol(モル)、pmol(ピコモル濃度)、gm(グラム)、mg(ミリグラム)、μg(マイクログラム)、ng(ナノグラム)、L(リットル)、ml(ミリリットル)、μl(マイクロリットル)、℃(摂氏温度)、cDNA(コピー又は相補的DNA)、DNA(デオキシリボ核酸)、ssDNA(1本鎖DNA)、dsDNA(2本鎖DNA)、dNTP(デオキシリボヌクレオチド-3リン酸)、RNA(リボ核酸)、PBSリン酸緩衝液食塩水)、NaCl(塩化ナトリウム)、HEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-2-エタンスルホン酸)、HBSHEPES緩衝液食塩水)、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、Tris-HCl(トリス-ヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩)、及びATCC(アメリカ培養細胞系統保存機関:Rockville, MD)。

0090

実施例1
SpRNAi含有組換え遺伝子(SpRNAi-RGFP)の構築
センス、アンチセンス、又はヘアピン状のEGFP挿入配列のいずれかを含む、3種類のSpRNAiイントロン生成に用いる合成核酸配列としては、N1センス:5'-GTAAGAGGAT CCGATCGCAG GAGCGCACCA TCTTCTTCAA GA-3'(SEQ.ID.NO.14)、N1アンチセンス:5'-CGCGTCTTGA AGAAGATGGT GCGCTCCTGC GATCGGATCCTCTTAC-3'(SEQ.ID.NO.15)、N2センス:5'-GTAAGAGGAT CCGATCGCTT GAAGAAGATG GTGCGCTCCT GA-3'(SEQ.ID.NO.16)、N2アンチセンス:5'-CGCGTCAGGA GCGCACCATC TTCTTCAAGC GATCGGATCC TCTTAC-3'(SEQ.ID.N0.17)、N3センス:5'-GTAAGAGGAT CCGATCGCAG GAGCGCACCA TCTTCTTCAAGTTAACTTGA AGAAGATGGT GCGCTCCTGA-3'(SEQ.ID.NO.18)、N3アンチセンス:5'-CGCGTCAGGA GCGCACCATC TTCTTCAAGT TAACTTGAAG AAGATGGTGC GCTCCTGCGA TCGGATCCTC TTAC-3'(SEQ.ID.NO.19)、N4センス:5'-CGCGTTACTA ACTGGTACCT CTTCTTTTTT TTTTTGATATCCTGCAG-3’(SEQ.ID.NO.20)、N4アンチセンス:5'-GTCCTGCAGG ATATCAAAAA AAAAAGAAGA GGTACCAGTT AGTAA-3'(SEQ.ID.N0.21)。SEQ.ID.NO.14からSEQIDN0.21まで列挙した全配列は、その5’末端がリン酸化されている。加えて、赤色蛍光RGFP遺伝子(SEQ.ID.NO.22)における208番目のヌクレオチド(nt)部位で、制限酵素DraIIによる開裂によって2つのエクソン断片が生成し、その5’断片はさらにT4DNAポリメラーゼによって平滑末端化した。上記RGFPは、新たな赤方偏移蛍光色素タンパク質遺伝子で、シライトイソギンチャク(Heteractis crispa:BD Biosciences, CA)からのHcRed1色素タンパク質の69番目のアミノ酸(a.a.)に追加のアスパラギン酸を挿入することで生成し、そのタンパク質は凝集が少なく、570nmの波長でほぼ2倍の強度の遠赤色蛍光を放射する。本発明者らはpHcRed1-N1/1プラスミド(BD Biosciences, CA)を制限酵素XhoI及びXbaIで切断し、ついで2%アガロースゲル電気泳動及び抽出(ゲル抽出キット:Qiagen, CA)によって、完全長769bpのRGFP遺伝子断片及び3,934bpの空プラスミドを別々に単離した。

0091

センス及びアンチセンス配列の相補的混合物(1:1)を1×PCR緩衝液(例えば、50 mM Tris-HCl(25℃でpH 9.2)、16 mM (NH4)2SO4、1.75 mM MgCl2)において、94℃で2分間、その後70℃で10分間加熱することで、N1アンチセンスに対するN1センス、N2アンチセンスに対するN2センス、N3アンチセンスに対するN3センス、及びN4アンチセンスに対するN4センスのハイブリダイゼーションを別々に行った。その直後、N1+N4、N2+N4、又はN3+N4(1:1)雑種混合物をそれぞれ50℃から10℃に1時間かけて冷却して、N1、N2、又はN3のいずれかをN4雑種へ順次ライゲーションし、ついで、DraII切断RGFPエクソンの切断部位にSpRNAiイントロンを挿入するために、T4DNAリガーゼ及びこれに添付の1×ライゲーション緩衝液(Roche, IN)をこの混合物に添加し、12℃で12時間反応させた。RGFPエクソン断片をこの反応液(1:1:1)に添加した後、T4 DNAリガーゼ及び緩衝液で適宜調整しながら、さらに12℃で12時間ライゲーション反応を行った。組換えSpRNAi挿入RGFP遺伝子を正しいサイズでクローニングするために、1対のEGFP特異的プライマーである5'-CTCGAGCATGGTGAGCGGCCTGCTGAA-3'(SEQ.ID.NO.23)及び5'-TCTAGAAGTTGGCCTTCTCG GGCAGGT-3'(SEQ.ID.NO.24)を用いて、94℃で1分間、52℃で1分間、そして68℃で2分間、30サイクルのPCRを行い、連結したヌクレオチド配列10 ngを増幅させた。得られたPCR産物を2%アガロースゲル上で分画し、ゲル抽出キット(Qiagen, CA)を用いて約900 bpのヌクレオチド配列を抽出、精製した。この約900 bpのSpRNAi含有RGFP遺伝子の組成をさらに配列決定によって確認した。好ましくは、イントロンを挿入しない状態でSpRNAiイントロン配列のセンス鎖は5'-GTAAGTGGTC CGATCGTCGC GACGCGTCATTACTAACTATCAATATCTTAATCCTGTCCCTTTTTTTTCC ACAGTAGGAC CTTCGTGCA-3'(SEQ.ID.NO.25)である一方、SpRNAiイントロン配列のアンチセンス鎖は5'-TGCACGAAGG TCCTACTGTG GAAAAAAAAG GGACAGGATT AAGATATTGA TAGTTAGTAA TGACGCGTCG CGACGATCGGACCACTTAC-3'(SEQ.ID.NO.26)である。

0092

又は、上記に示したのと同じプロトコルに従い、SEQ,ID.NO.25及びSEQ.ID.NO.26のSpRNAi雑種をDraII切断RGFPエクソンの制限切断部位に組み込むことによって、組換えSpRNAi-RGFP導入遺伝子を作製してもよい。手動再設計したmir-302 per-miRNA挿入配列(SEQ.ID.NO.9をコード)を試験する実験で用いるSpRNAi-RGFP導入遺伝子構造体をこのように形成した。

0093

組換えSpRNAi-RGFP遺伝子はその5’及び3’末端にそれぞれXhoI及びXbaI制限部位があるので、XhoI及びXbaIクローニング部位に付着できる末端をもつベクターに挿入して簡単にクローニングできる。ベクターは、DNA導入遺伝子、プラスミド、ジャンピング遺伝子、トランスポゾン、及びウイルスベクターからなる群から選ばれる発現可能有機体又は下位有機体でなければならない。さらに、イントロン内の挿入配列にはその5’及び3’末端にそれぞれPvuI及びMluI制限部位も並んでいるので、本発明者らはイントロン挿入配列を除去したり、別のPvuI及びMluIクローニング部位に付着する末端をもつ異なる挿入配列と置換したりすることができる。挿入した配列は、好ましくは蛍光タンパク質遺伝子(GFP)、ルシフェラーゼ遺伝子、lac-Z遺伝子、ウイルス遺伝子、細菌遺伝子、植物遺伝子動物遺伝子、及びヒト遺伝子からなる群から選ばれる標的遺伝子に対して高度に相補的なヘアピン状遺伝子サイレンシングエフェクターである。遺伝子サイレンシングエフェクター挿入配列とその標的遺伝子との相補率及び相同率は、ヘアピンshRNA挿入配列で約30〜100%の範囲で、より好ましくは35〜49%、センスRNA及びアンチセンスRNA挿入配列の両者で90〜100%である。

0094

実施例2
発現可能ベクターへのSpRNAi含有遺伝子のクローニング
組換えSpRNAi-RGFP遺伝子にはその5’及び3’末端にそれぞれXhoI及びXbaI制限部位があるので、XhoI及びXbaI制限部位に比較的付着できる末端をもつベクターに挿入して簡単にクローニングできる。本発明者らは、SpRNAi-RGFP遺伝子を直線化した3,934 bpの空のpHcRed1-N1/1プラスミドと1:16(w/w)の比で混合し、この混合物を65℃から15℃に50分間かけて冷却し、その後T4リガーゼと添付の緩衝液を適宜混合物に添加して、12℃で12時間ライゲーションさせた。これによってSpRNAi-RGFP発現ベクターが形成されるが、これは50 μg/mlのカナマイシン(Sigma Chemical, St. Louis, MO)を含んだ大腸菌(E. coli)DH5aLB培地で増殖できる。陽性クローンを、EGFP特異的プライマーSEQ.ID.NO.23及びSEQ.ID.NO.24を用いて94℃1分間、ついで68℃2分間による30サイクルのPCRで確認し、さらに配列を決定した。ウイルスベクターでのクローニングは、XhoI/XbaI直線化pLNCX2レトロウイルスベクター(BD)を代わりに用いる以外、同じライゲーション手順で実施できた。SpRNAiイントロン内の挿入配列はその5’及び3’末端にそれぞれPvuI及びMluI制限部位が並んでいるので、本発明者らは抗EGFP shRNA挿入配列を除去し、別のPvuI及びMluIクローニング部位に付着する末端をもつ再設計mir-302挿入配列と置換することができた。再設計したmir-302挿入配列には、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUUUAG UGU-3'(SEQ.ID.NO.9)、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUUUGG UGA-3'(SEQ.ID.NO.10)、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUUUAG UAG-3'(SEQ.ID.NO.11)、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUUCAG UGG-3'(SEQ.ID.NO.12)、又は5'-UAAGUGCUUC CAUGUUUGAG UGU-3' (SEQ.ID.NO.13)と類似した、5'-UAAGUGCUUC CAUGUUU-3'(SEQ.ID.NO.3)相同領域が含まれる。

0095

mir-302ファミリーのpre-miRNAクラスター又は再設計mir-302挿入配列のいずれかをコードする様々なSpRNAiイントロンの生成に用いた合成核酸配列としては、mir-302aセンス:5'-GTCCGATCGT CCCACCACTT AAACGTGGAT GTACTTGCTT TGAAACTAAA GAAGTAAGTG CTTCCATGTTTTGGTGATGG ATCTCGAGCT C-3'、mir-302aアンチセンス:5'-GAGCTCGAGA TCCATCACCA AAACATGGAAGCACTTACTT CTTTAGTTTC AAAGCAAGTA CATCCACGTT TAAGTGGTGG GACGATCGGA C-3’、mir-302bセンス:5'- ATCTCGAGCT CGCTCCCTTC AACTTTAACA TGGAAGTGCT TTCTGTGACT TTGAAAGTAA GTGCTTCCAT GTTTTAGTAG GAGTCGCTAG CGCTA-3'、mir-302bアンチセンス:5'-TAGCGCTAGC GACTCCTACT AAAACATGGA AGCACTTACT TTCAAAGTCA CAGAAAGCAC TTCCATGTTA AAGTTGAAGG GAGCGAGCTC GAGAT-3'、mir-302cセンス:5!-CGCTAGCGCT ACCTTTGCTT TAACATGGAG GTACCTGCTG TGTGAAACAG AAGTAAGTCG TTCATGTTTC AGTGGAGGCG TCTAGACAT-3'、mir-302cアンチセンス:5'-ATGTCTAGAC GCCTCCACTG AAACATGAAC GACTTACTTC TGTTTCACAC AGCAGGTACC TCCATGTTAA AGCAAAGGTA GCGCTAGCG-3'、mir-302dセンス:5'-CGTCTAGACA TAACACTCAA ACATGGAAGC ACTTAGCTAA GCCAGGCTAA GTGCTTCCAT GTTTGAGTGT TCGACGCGTC AT-3'、mir-302dアンチセンス:5'-ATGACGCGTC GAACACTCAA ACATGGAAGC ACTTAGCCTG GCTTAGCTAA GTGCTTCCAT GTTTGAGTGTTATGTCTAGA CG-3'、mir-302sセンス:5'-GTCCGATCGT CATAAGTGCT TCCATGTTTT AGTGTGCTAA GCCAGGCACA CTAAAACATG GAAGCACTTA TCGACGCGTC AT-3'(SEQ.ID.NO.27)、及びmir-302sアンチセンス:5'-ATGACGCGTC GATAAGTGCT TCCATGTTTT AGTGTGCCTG GCTTAGCACA CTAAAACATG GAAGCACTTA TGACGATCGG AC-3'(SEQ.ID.NO.28)が挙げられる。

0096

mir-302ファミリーpre-miRNAクラスターのイントロン挿入配列は、それぞれmir-302aアンチセンスに対するmir-302aセンス、mir-302bアンチセンスに対するmir-302bセンス、mir-302cアンチセンスに対するmir-302cセンス、及びmir-302dアンチセンスに対するmir-302dセンスのハイブリダイゼーションによって形成された。次に、mir-302a、mir-302b、mir-302c、及びmir-302dの雑種をぞれぞれ制限酵素PvuI/XhoI、XhoI/NheI、NheI/XbaI、及びXbaI/MluIで消化し、35 μlの高圧蒸気滅菌済みddH2O(Qiagen, CA)中でゲル抽出フィルターカラムによって共に収集した。その直後に、収集した雑種をT4DNAリガーゼ(20U:Roche)によって連結してmir-302ファミリーpre-miRNA挿入配列クラスターを形成させ、さらにPvuI/MluII直線化SpRNAi-RGFP発現ベクターに挿入するために使用した。mir-302ファミリーpre-miRNAクラスターを含む組換えSpRNAi-RGFP遺伝子をpVSV-G表面抗原をもったレトロウイルスpLNCX2ベクターに挿入し、これを用いてhpESC及びPC3細胞に感染によって遺伝子導入した。再設計mir-302 pre-miRNA挿入配列を生成するために、本発明者らは2つの合成配列SEQ.ID.NO.27及びSEQ.ID.NO.28をハイブリダイゼーションし、その雑種を制限酵素PvuI/MluIで切断して、ついでT4 DNAリガーゼ(20U)でPvuI/MluI直線化SpRNAi-RGFP発現pHcRed1ベクターに挿入及び連結した。この再設計mir-302 pre-miRNAを含むSpRNAi-RGFP遺伝子を、DNA組換えによる遺伝子導入に直接用いてColo細胞に導入した。24時間の継代培養後に、抗RGFPモノクローナル抗体(Clontech, Palo Alto, CA)によるフローサイトメトリー選別法を用いて、形質移入陽性細胞を単離、収集した。
このように得られたmir-302 pre-miRNAクラスター及びmir-302s発現ベクターは、pHcRedl1-N1/1プラスミドによるベクター用の50 μg/mlカナマイシン、又はpLNCX2レトロウイルスベクター用の100 μg/mlのアンピシリンのいずれかを含む大腸菌DH5aLB培地において増殖できた。増殖したSpRNAi-RGFP発現ベクターは、ミニプレップ又はマキシプレッププラスミド抽出キット(Qiagen, CA)を用いて、製造元の指示に従い単離、精製できた。pLNCX2ベクターで本発明者らは、感染能はあるが複製能がないウイルスを作製するために、パッケージング細胞株GP2-293(Clontech, CA)を用いてもよい。4 mM L-グルタミン、1 mMピルビン酸ナトリウム、100 μg/ml硫酸ストレプトマイシン、及び50 μg/mlネオマイシン(Sigma Chemical, MO)を添加し、さらに活性炭処理済み10%ウシ胎児血清(FBS)を追加した1×DMEM培地において、形質移入したGP2-293細胞を5% CO2、37℃で増殖させた。GP2-293細胞によって産生される形質移入前のウイルス力価が少なくとも106 cfu/mlであることを測定した。

0097

実施例3
インビトロ遺伝子導入による形質移入
レトロウイルスベクターによるhpESC及びPC3細胞培養系への形質移入では、本発明者らはまず、pVSV-G同時形質移入GP2-293細胞(Clontech, CA)において、抗EGFPmir-gfp又はmir-302ファミリークラスターpre-miRNA挿入配列のいずれかを含むSpRNAi-RGFP発現pLNCX2レトロウイルスベクターを培養した。5%CO2、37℃で36時間インキュベーションした後、GP2-293細胞の培養液(各10 ml)をろ過し(0.25 μm)、それぞれ直接hpESC及びPC3細胞培養系に移した。培地には極めて高い力価の設計レトロウイルスベクターが含まれるので、このベクター感染によって全ての被験細胞に遺伝子導入すると、24時間以内にイントロン挿入配列及びRGFPを発現し始めた。手動再設計したmir-302 pre-miRNAのColo細胞への導入遺伝子送達では、本発明者らはまず、実施例2からの設計mir-302 pre-miRNA挿入配列を含むように調製したSpRNAi-RGFP導入遺伝子(各細胞培養系の10 ml培地に対して60 μg)と、FuGene試薬(Roche, IN)を製造元の指示に従い混合した。次に、この混合液をColo細胞培養に24時間適用した。この導入遺伝子にはヒトゲノムの特定の非コード領域に相同なトランスポゾン様配列が含まれているので、遺伝子導入によって形質移入した陽性細胞をさらに継代培養するために、抗RGFPモノクローナル抗体(Clontech, CA)を用いたフローサイトメトリーにで選別した。

0098

実施例4
ノーザンブロット分析
RNA(総RNA量20 μg又はポリ[A+]RNA2 μg)を1%ホルムアルデヒド・アガロースゲル上で分画し、ナイロンメンブラン(Schleicher & Schuell, Keene, NH)上に移した。RGFPの5’エクソンと設計pre-miRNA挿入配列との間に並んだ75 bpのジャンクション配列に相補的な合成プローブを、[32P]-dATP(> 3000Ci/mM:Amersham International, Arlington Heights,IL)の存在下において、Prime-It IIキット(Stratagene, La Jolla, CA)を用いたランダムプライマー伸長によって標識し、10 bpカットオフMicro Bio-Spinクロマトグラフィーカラム(Bio-Rad, Hercules, CA)で精製した。ハイブリダイゼーションは、調製直後の50%脱イオンホルムアミド(pH 7.0)、5×Denhardt's溶液、0.5% SDS、4×SSPE、及び250 mg/mlのサケ精子変性DNA断片の混合液中で実施された(42℃で18時間)。オートラジオグラフィーの前に、メンブランを2×SSC、0.1%SDS(25℃で15分間)で2回、0.2×SSC、0.1%SDS(37℃で45分間)で1回、連続的に洗浄した。

0099

実施例5
SDS-PAGE及びウェスタンブロット分析
標的タンパク質の免疫ブロットのために、増殖培地除去後に単離細胞氷冷PBSですすぎ、ついでプロテアーゼ阻害剤ロイペプチンTLCK、TAME、及びPMSFを追加したCelLytic-M溶解/抽出試薬(Sigma, MO)で、製造元の推奨事項に従い処理した。細胞を室温で振盪器を用いて15分間インキュベーションし、マイクロチューブに剥がし入れ、細胞片塊を得るために12,000×gで5分間遠心分離した。タンパク質含有細胞ライセートを収集し、使用まで-70℃で保存した。E-maxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)のSOFTmaxソフトウェアパッケージを用いてタンパク質を定量した。各30 μgの細胞ライセートを50 mM DTT含有(還元)又は不含(非還元)のSDS-PAGE試料用緩衝液に添加し、沸騰水浴中で3分間加熱してから、8%ポリアクリルアミドゲルに添加した。一方、比較対照レーンには、2〜3 μlの分子量マーカー(Bio-Rad)を添加した。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動は、Molecular Cloning, 3rd EDに記載された標準プロトコルに従って行った。タンパク質成分分画をニトロセルロース膜上に電気ブロットし、室温で1〜2時間Odysseyブロッキング試薬(Li-Cor Biosciences, Lincoln, NB)でブロッキングした。次に、本発明者らは、EGFP(1:5,000; JL-8, BD)、RGFP(1:10,000; BD)、Oct3/4 (1:500; Santa Crutz)、SSEA-3(1:500; Santa Crutz)、SSEA-4(1:500; Santa Crutz)、Sox2(1:1000; Santa Crutz)、又はKlf4 (1:200; Santa Crutz)のいずれかに対する一次抗体を4℃で一晩用いてタンパク質発現を評価した。タンパク質ブロットを次にTBS-Tで3回すすぎ、Alexa Fluor 680反応色素(1:2,000; Molecular Probes)を結合した二次抗体ヤギ抗マウスIgGに室温で1時間暴露した。TBS-Tでさらに3回すすいだ後、Li-Cor Odyssey Infrared Imager及びOdyssey Software v. 10(Li-Cor)によってスキャニング及び画像解析を完了させた。

0100

実施例6
ゼブラフィッシュにおけるイントロンRNA媒介性の遺伝子サイレンシング
形質移入中、Tg(アクチン-GAL4:UAS-gfp)系統のゼブラフィッシュの幼生を、魚箱内で10 mlの0.2×血清無添加RPMI1640培地で飼育した。1 mlの1×血清無添加RPMI 1640培地中に60 μlのFuGeneリポソーム形質移入試薬(Roche Biochemicals, Indianapolis, IN)を緩やかに溶解して、形質移入用事前混合液を調製した。実施例1と2に記載したように、次に抗EGFPpre-miRNA挿入配列含有のSpRNAi-RGFPベクター又は不含のSpRNAi-RGFPベクター(各20 μg)を事前混合液と混合し、氷上に30分間静置してから、箱中のTg(アクチン-GAL4:UAS-gfp)幼生魚に直接適用した。12時間間隔で、合わせて3回(総量60 μg)投与した。最初の形質移入から60時間後に試料を採取した。

0101

実施例7
フローサイトメトリー分析
細胞は、予め冷却した70%メタノールPBS溶液1 ml中に-20℃で1時間再浮遊されることで、トリプシン処理されて細胞塊を集めて固定された。細胞塊を得た後、1 mlのPBSで1回洗浄した。再び細胞塊を得た後、1 mg/mlのヨウ化プロピジウムと0.5 mg/mlRNaseからなるPBS溶液1 mlに37℃で30分間再浮遊させた。次に、約15,000個の細胞をBDFACSCalibur(San Jose, CA)で分析した。細胞ダブレットプロッティングパルス幅パルス面積曲線を描き、単一細胞をゲーティングすることによって除外された。収集したデータを「Watson Pragmatic」アルゴリズムを用いたソフトウェアパッケージFlowjoを使用して解析した。

0102

実施例8
DNAメチル化分析
まず、DNA単離キット(Roche, IN)を用いて細胞ゲノムを単離した。被験細胞を10 mM Tris-HCl(pH 8.0)、10 mMEDTA、及び0.2 mg/mlプロテイナーゼKで、55℃、3時間インキュベーションした後、ゲノムDNA試料エタノールで沈殿させて調製した。その後、単離ゲノムをそれぞれCCGG切断制限酵素HpaII(10 U)を用い、37℃で4時間消化した。得られたDNA断片を1%アガロースゲル電気泳動で分析した。Oct3/4プロモーター領域におけるメチル化部位を決定するために、本発明者らはさらに単離ゲノムDNAを重亜硫酸塩(Cp GenomeDNA修飾キット:Chemicon, CA)で処理し、ついで2種類の順方向プライマー5'-GAGGAGTTGA GGGTACTGTG-3'及び5'-GAGGAGCTGA GGGCACTGTG-3'と、1種類の逆方向プライマー5'-GTAGAAGTGC CTCTGCCTTCC-3'を用いたポリメラーゼ連鎖反応(長鎖鋳型PCR伸長キット:Roche, IN)によって、Oct3/4の5’上流プロモーター領域を単離した。最初に細胞ゲノム(100 ng)を1×PCR緩衝液中でプライマー(総量150 pmol)と混合し、94℃で4分間加熱した直後氷上で冷却した。その後、以下のように、25サイクルのPCRを実施した。92℃で1分間、55℃で1分間、そして70℃で5分間である。得られたPCR産物をPCR精製キット(Qiagen, CA)で収集し、AclI (AACGTT)、BmgBI (CACGTC)、PmlI (CACGTG)、SnaBI (TACGTA)及びHpyCH4IV (ACGT)を等量(各5U)ずつ含む複数のACGT切断制限酵素で消化した。このように得られたDNA断片を3%アガロースゲル電気泳動で分析した。

0103

実施例9
マイクロRNAのマイクロアレイ分析
ヒトPC3及びColo細胞株をアメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC:Rockville, MD)より得た。また、hpESC細胞は本発明者の腕から採取した皮膚をトリプシン解離して調製した。細胞飽和密度70%で、各細胞株からの短鎖RNAをmirVana(登録商標)miRNA単離キット(Ambion, Inc., Austin, TX)を用い、製造元の指示に従い単離した。単離した短鎖RNAの純度及び量を1%ホルムアルデヒド・アガロースゲル電気泳動と分光光度計測定(Bio-Rad, Hercules, CA)を用いて評価し、ついでmiRNAのマイクロアレイ分析のためにLC Sciences社(San Diego, CA)に送付した。各マイクロアレイチップをCy3又はCy5のいずれかで標識した単一試料、もしくはCy3及びCy5でそれぞれ標識した1対の試料とハイブリダイゼーションさせた。バックグラウンドを差し引き、正規化した。二重分析用にp値を算出し、3倍より大きい差で発現した転写産物の一覧を作成した。

0104

実施例10
遺伝子のマイクロアレイ分析
マイクロアレイ・ハイブリダイゼーション用の標識プローブの調製のために、5'-GGCCAGTGAA TTGTAATACGACTCACTATA GGGAGGCGG-(dT)24-3’のような修飾オリゴ(dT)24-T7プロモータープライマーを用いて、Superscript Choiceシステムキット(Gibco/BRL, Gaifhersburg, MD)によって、製造元のプロトコルに従い、抽出した全RNA(2 μg)を2本鎖cDNAに変換した。2本鎖cDNAをフェノール/クロロホルム抽出法で精製し、エタノールで沈殿させ、そしてジエチルピロカーボネート(DEPC)処理済みddH2Oに濃度0.5 pg/μlで再浮遊させた。全有機物抽出用にPhase-Lock Gel(5'Prime→3'Prime:Inc., Boulder, CO)を用いて、回収率を上げた。T7RNAポリメラーゼと1 μgのcDNA、7.5 mM非標識ATPとGTP、5 mM非標識UTPとCTP、さらに2 mMビオチン標識CTPとUTP(ビオチン-11-CTP、ビオチン-16-UTP:Enzo Diagnostics)を用いてインビトロ転写し、37℃で4時間反応させてから、RNeasyスピンカラム(Qiagen, CA)によってcRNAを精製した。試料を1%アガロースゲル上で分離し、サイズ範囲を調べた後、40 mM Tris-酢酸(pH 8,0)、100 mM KOAc/30 mM MgOAc中で、94℃で、35分間加熱し、μg単位のcRNAを平均サイズ50塩基に無作為に断片化した。

0105

全部で32,668個の遺伝子を含む1組4つのオリゴヌクレオチド・マイクロアレイ(GeneChip U133A&Bアレイ:Affymetrix, Santa Clara, CA)を用いてハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーションは200 μlのAFFY緩衝液(Affymetrix)中において40℃で16時間、一定の撹拌を加えて完了させた。ハイブリダイゼーション後、アレイを200 μlの6×SSPE-T緩衝液(1×0.25M塩化ナトリウム/15 mMリン酸ナトリウム(pH 7.6)/1 mMEDTA/0.005%トリトン)で3回すすいで、ついで200 μL の6×SSPE-Tにおいて50℃で1時間洗浄した。アレイを0.5×SSPE-Tで2回すすぎ、0.5×SSPE-Tにおいて50℃で15分間洗浄した。6×SSPE-T(pH 7.6)に溶解した2 μg/mlのストレプトアビジン-フィコエリトリン(Molecular Probes)と1 mg/mlのアセチル化BSA(Sigma)で染色した。アレイを7.5 μmにおいて共焦点スキャナーで読み取り(Molecular Dynamics)、Affymetrix Microarray Suiteバージョン4.0のソフトウェアで分析した。完全に適合したプローブ及びミスマッチプローブとの全体的平均差を用いて、試料を正規化した。2倍より大きい差を誘導したシグナルを収集する。

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