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技術 高分子分散液晶構造

出願人 ヴライトイノヴェーションズリミテッド
発明者 ドナルオキーフェ
出願日 2008年6月25日 (12年6ヶ月経過) 出願番号 2010-513748
公開日 2010年9月24日 (10年3ヶ月経過) 公開番号 2010-531468
状態 拒絶査定
技術分野 液晶2(構造一般、スペーサ、注入口及びシール材) 液晶1(応用、原理)
主要キーワード 分布帯域 液滴層 共通方向 ダスト汚染 DC装置 すらせ 所定ポリマー 境界範囲
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題・解決手段

高分子分散液晶システムは、内部に液晶材料離散体を複数画定した連続的なポリマー構造を有する。液晶材料の離散体は、ポリドメイン動作状態を示し、このポリドメイン動作状態では、各離散体内の液晶材料が複数ドメインよりなるマルチドメインをなすよう配置され、各ドメインは、その分子が少なくとも1個の軸線に関して整列する点で識別できる共通配向を有する液晶材料の量によって画定されるものとし、互いに隣接するドメインの解決された配向は、互いに乖離し、また時間とともに安定化するものとする。

概要

背景

このタイプの従来の液晶(LC)デバイスは、概して、2個の基板間に挟まれた制御された厚みの液晶層(すなわちセルギャップ)を有する。各基板は、透明であり、液晶層に面する側に透明で導電性コーティング被覆し、液晶層に電界をかけることができる。基板は、ガラスまたは高分子基板膜(フィルム)とすることができる。基板が膜(フィルム)である場合、液晶膜標準的な窓ガラスの片側または両側に、中間層として既知接着シートを用いることによってラミネートすることができる。このLC膜およびガラスを複合した積層体は、切り替え可能な窓として既知である。Saint Gobain Vitrage社は、商品名「Priva−Lite」で切り替え可能な窓ラミネートを販売している。

1個またはそれ以上の中間層シートを用いて、ガラスペイン間に液晶膜をラミネートする過程は、膜に圧力、高温、をかけ、また真空にする。問題は、異なる材料間の熱膨張指数不一致に起因して起こる。さらに、ラミネート後でさえも、最終的なラミネートのその後の取り扱いで、2個のガラスペイン(LC層を挟み込む)が撓むとき、とくに窓が任意の方向に1メートル以上撓むとき、LC層にせん断力がかかる。膜がラミネート過程およびその後の取り扱いに耐えられるように、LC層が液晶を支持する重合体(または他の)構造を有する必要がある。

いくつかの既知の高分子LC構造がある。それぞれ欠点に悩まされている。そのうちのいくつかは、このタイプの構造におけるラミネート処理が基本的に不向きであり、それらラミネートすることができる構造は、光学的問題、例えば過剰なボケヘイズ)または有用な透明な視野角の過剰な制限という問題に直面する。

これらの問題を考慮するとき、所定の用途における相反する必要条件を評価および均衡を図る必要がある。したがって、ボケ(ヘイズ)を減少させる、または高分子LC膜の厚さを薄くすることによって特定の膜の視野角を増大するのは比較的平凡であるが、これは、想定される遮断状態にあるとき、光を遮断する膜の能力に直接的な影響を与える。遮断状態における容認できる不透明レベルを確保するには、想定される透明状態において、本来的にボケ(ヘイズ)があり、極めて限定された視野角となる厚さの膜が必要である。

できる限り広い視野角範囲を、クリアでボケがなく見え要件は、窓用途に極めて重要である。2m×2mの窓の真正面に立つ人にとって、窓から見る人までの距離、および窓のどちら側から見るかに基づいて視野角範囲が異なる。見る人の目が窓の中央から2メートル離れているとき、例えば、窓のコーナーに対する角度は、約35°であり、言い換えれば、この窓は2メートルの距離で透明であり、35度のボケのない視野角を必要とする。しかし、透明である同じ窓に関して、1メートルの距離から見る場合、必要とされるボケのない角度は約55°まで増加する。

高分子LC構造の主な技術は、
1)高分子分散液晶(PDLC)およびネマチック湾曲配向相(NCAP
2)高分子安定化コレステリックテクスチャ(PSCT
3)高分子分散コレステリック液晶(PDCLC)
4)上述した3個の態様を有する、高速スイッチングする低電圧デバイス
である。

簡潔に言えば、PDLCまたはNCAPデバイスは、液晶を含む離散空隙を有する連続的なポリマー構造(典型的には、40〜60%の液晶層で形成する)を有する。液晶(ネマチック型)は、連続的なポリマーマトリクス内に液滴を形成すると言われている。

PSCTデバイスも、ポリマー内に分散する液晶材料に基づくが、PSCTデバイスにおいて、ポリマーは、離散液滴として液晶をカプセル化せず、その代わりに、連続的な液晶層内に浸透するおよび/または液晶層を貫通する薄い繊維状ポリマー網(ネットワーク)を生ずる。

概して、PDCLCデバイスは、双安定の色反射デバイスである(選択的に透過するPDLC/NCAPおよびPSCTデバイスと異なる)。PDCLC装置は、ポリマーマトリクス内の比較的大きい液滴として分散するコレステリック液晶(LC)材料を有し、LC材料は、2個の双安定状態間で切り替え可能であり、一方の状態は、可視波長における狭帯域高反射性の状態であり、他方に状態は、弱く散乱する状態。PDCLC膜黒色基板の前方に配置することによって、ディスプレイにおけるピクセルは、色反射状態黒色状態との間で切り替わることができる。

3種類の技術の各々において、デバイスは、特定の利点および特定の欠点を有することになる。これら技術のそれぞれを以下に説明してから、3種類のうち1つ以上に共通する態様を有する高速切り替えおよび低電圧用途のためのデバイスを最終的に説明する。

PDLCまたはNCAPデバイス
高分子分散液晶(PDLC)およびネマチック湾曲配向相(NCAP)は、それぞれのデバイスを形成するのに用いる技術によって互いに異なる2つの極めて類似する技術である。しかし、以下の説明上、各技術の最終結果は、実際上同じとする。

図1(従来技術)は、PDLCデバイスの実施例を示す。1対のポリエチレンテレフタレート(PET)基板110は、各内面上にインジウムスズ酸化物電極112を有し、高分子(ポリマー)分散液晶構造114を挟み込む。このポリマー分散構造114は、ポリマーマトリクスから成る厚さ20μmの膜(フィルム)を有する構造、またはネマチック液晶材料の液滴116が、重合化中における相分離によって捕獲された構造により構成する。

PDLCおよびNCAP型の膜の主な利点は、ポリマー構造がガラスラミネート共存性があることを実証された点である。さらに、PDLCおよびNCAPフィルムは、可撓性であり、フィルムの連続ロールから所定サイズにカットすることができ(液晶はポリマー構造によってカプセル化されているため)、また偏光子ねじれネマチック(TN)型デバイスでは本来的に必要)を必要とせずに機能することができる。

図1につき説明すると、液晶液滴はほぼ球形であり、約0.7μm〜1.0μmの直径を有する。図2Aおよび2Bは、100VのAC電界の存在下において(図2A)液晶116が複屈折を示し、ポリマー114の屈折率は、フィルムの長軸に平行な方向にみて液晶の屈折率(すなわち、通常の屈折率NO)と一致し、この電界がないとき(図2B)、LC材料の平均屈折率は、ポリマーの屈折率に一致せず(npoymer≠neffectiveLC)、その結果、液晶およびフィルムを通過する光線が横切る液晶とポリマーとの間の各境界で散乱する。

窓ガラスおよびシースルー用途におけるPDLCおよびNCAPデバイスの大きな問題は、視野角を大きくするにつれてON状態におけるぼけが大きくなり、大きな視野角に対しては不透明となることである。ボケは、液滴内で電界整列するネマチック型液晶と、これをカプセル化するポリマーとの間における境界または界面での光散乱によって起こる。ポリマーの屈折率と液滴内における液晶の屈折率とが不一致しないことで本来的に複屈折することが理由である。例えば、カタログ番号「MerckTL213」の下でMerck社により販売されている材料は、通常屈折率および異例的屈折率が、それぞれno=1.527およびne=1.766であり、複屈折率Δn=0.239を与える。概して、液晶の通常屈折率は、ボケを最小限にする等方性ポリマーマトリクスの屈折率に一致する。しかし、ON状態において視野角が増えると、ポリマーと液晶との間における大きな不一致がより支配的となり(npoymer≠neffectiveLC)、また、界面での光散乱がボケ誘発を増加させる。

PDLCおよびNCAPの他の欠点は、OFF状態(電界なし)において散乱光効率が、液晶の平均屈折率とポリマーマトリクスの屈折率との間における差で決定されることである。このことから、その界面は、液滴の大きさを最小化し、また液滴の数を最大化にすることによって最大化しなければならないことになる。最小寸法は、可視光波長によって決定し、そのため、PDLCおよびNCAPは、概して、0.7μm〜1μmの平均液滴直径(これは、液滴が球形でないときの長軸に関する直径)を有する。

代表的な20ミクロンのPDLCセルにおいて、光線は、10個またはそれ以上の液滴に遭遇し、これら液滴はそれぞれON状態において潜在的にボケ要因になり、このことは垂直線近傍の視角であっても言える。これは、OFF状態における散乱能の増加がON状態におけるボケを増加させるという、PLDC装置に本来的なトレードオフがあることを示している。

特許文献3(米国特許第5,604,612号)は、このタイプのPDLC装置を開示し、どのようにして、液晶およびポリマーマトリクスの平均屈折率の間における差を最適化することによって散乱能を最大化することができるか記載している。

PSCT装置
通常モードのポリマー安定化コレステリックテクスチャ(PSCT)膜(フィルム)の実施例を、図3に示す。説明を分かり易くするため、注目する2つの動作状態ホメオトロピック(透明)状態およびフォーカルコニック(散乱)状態−を、並置して示す。

この装置におけるポリマーは、離散液滴として液晶をカプセル化しないが、図3に示すように、連続的な液晶相122内に浸透するおよび/または貫通する、細い繊維状のポリマーネットワーク120を生ずる。ポリマーは、連続的な液晶相を、ポリマーのない連続層よりも個別により速く切り替え可能である領域(ドメイン)に分離するのに効果的であることを示す。液晶は、コレステリックまたはカイラルネマチックでとして知られるタイプとする。LC層が連続的であるため、フィルムは、参照符号129で線図的に示したシールによって封止する。

PSCTデバイスにおいて、カイラル不純物成分ネマチック液晶に添加して、図4のように、分子127間で順次の分子が僅かな角度をなすよう配列させ、らせん構造を描くようにする。らせんの1回の完全ねじれに必要な距離は、ピッチとして知られている。ピッチは、カイラル不純物成分の濃度を調整することによって調整する。それぞれのピッチ長さを選択することによって、平面テクスチャは、可視光帯域反射するが(このタイプの装置は反射性を有するものとして知られている)、ピッチが増加するとき、反射光は、赤外領域まで移動し、可視範囲の光は透過する(このタイプの装置は、通常モードまたは反転モードのいずれかとして知られている)。

平面テクスチャを含む液晶ドメインにおいて、らせん軸線は、互いに平行であり、また、基板表面に直交する。このテクスチャは、コレステリックならせんピッチに関連する波長帯域に対して円偏光した光を選択的に反射する。通常モードの光シャッターは、平面テクスチャを使用しない。反転モードの光シャッターは、透明またはクリアな状態として使用し、ホメオトロピック状態を避ける。

フォーカルコニックテクスチャは、カイラル不純物成分が液晶分子間にらせん配向を付与する点で平面テクスチャと類似するが、図3の右側126のように、平面テクスチャと異なり、らせん軸線は互いに不完全にしか整列しない。不完全な整列は、角度差を生じ、その結果、1個のらせん(または整列したらせんを有する1個のドメイン)における液晶の有効屈折率は、これに隣接するらせん(またはドメイン)と異なり、したがって、境界で光が散乱する。その結果、PSCTデバイスは、PLDC装置とは異なる散乱メカニズム、すなわちフォーカルコニックテクスチャを有する。

液晶をドメインに分割することによる切り替え(スイッチング)上の利点に加えて、ポリマーネットワークも安定化効果を有し、ポリマー界面に隣接する液晶分子の整列をもたらす。この整列は、電力がないときに3つのとり得る状態のうち1つまたはそれ以上の状態(またはテクスチャ)、すなわち平面(光反射および透過)状態、フォーカルコニック(光散乱および/または透過)状態、およびホメオトロピック(クリアまたは不透明)状態におけるコレステリック液晶ドメインを安定化するのに十分である。

通常モードのPSCTデバイスにおいて、ポリマーの主要機能は、フォーカルコニックテクスチャを安定化することである。ポリマーネットワークがより繊維状であればあるほど、フォーカルコニックにおけるらせん軸線の乱雑な配向を誘起し(すなわち、多重ドメインを形成する)、その結果、PSCT膜を通過する視覚アクセスを遮断する強い散乱状態をより効果的に誘発する。フォーカルコニックテクスチャを安定化するポリマーネットワークまたはポリマー表面アーチファクト人為構造)のような他の手段がない場合、電力がないとき、乱雑ならせん配向は、存続しない、すなわち、このテクスチャは、時間とともに安定でなくなる。この場合、フォーカルコニックテクスチャは、反射性PSCTデバイスに典型的な弱い散乱/透過状態に戻る。

ホメオトロピックテクスチャは、PSCTデバイスおよびPDLCデバイスの両方に共通する唯一のテクスチャである。強い電界の存在下において、らせんはPSCT膜においてほどけ、また、液晶ダイレクタ(すなわち、液晶分子の長軸の共通方向)は、電界(正誘電方性仮定する)に平行に整列する(図3の左側参照)。

特許文献4(米国特許第5,437,811号)は、通常モード(電力があるとき透明)および反転モード(電力がないとき不透明)のPSCT光シャッターを開示しており、この場合、視野角にかかわらずほとんどボケがなく、また、ディスプレイに直交する方向から見るときでさえもPDLCディスプレイおよびNCAPディスプレイよりも優れた光学的透明度を有することを開示する。液晶層におけるポリマーの割合を最大40%にすることができ、また、ポリマーのタイプが等方性またはメソゲン構造(すなわち、液晶ポリマーLCP)にすることができるが、一般的にこのようなデバイスは、ポリマーの割合が10%未満であるときのみ、良い光学的透明度をもたらす。さらに、電界または磁界は、硬化中に存在させなければならず、このことはする連続的フィルム(膜)製造ラインにおいて望ましくない。

特許文献5(米国特許第6,049,366号)は、より大きな可撓性フィルム上に、切り替え可能な窓用途のためのPSCT光シャッター(この文献ではポリマー安定化液晶PSLCとしてより一般的に言及している)を製造する一つの方法を開示し、この方法は液晶層内に反復するポリマー構造を設けるステップを有する。このステップは、比較的複雑なプロセスである。

特許文献6(米国特許第6,671,008)において、PSCT材料は、大きなガラスペイン間に直接充填して窓を実現し、この場合、上述したように、まず液晶膜(フィルム)を生産し、その後膜をガラスペインにラミネートする従来のステップなしに窓を完成することができる。開示された方法は魅力的に見えるが、不透明な導体標準規格の窓ガラスをコーティングし、そして液晶と共存させる平坦性および仕上げ品質を得ることに関して複雑である。他の製造上の問題としては、液晶およびポリマーの混合物を大きな領域にわたり均一に充填しなければならない、端のシール範囲において十分な強度を達成して、XまたはY方向に対して1メートル以上のガラス屈曲下におけるせん断力に耐えるよう端縁シール領域を十分な強度にしなければならない、および特に、標準規格の寸法を特徴としない窓カラス産業にも対処できなければならないという問題がある。

特許文献7(米国特許第7,023,600号)は、切り替え可能な窓用途のための双安定なPSCTフィルムをつくる方法を開示し、この場合、フォーカルコニック状態(強い光散乱)または平面的状態(可視光透過−透明)が、選択的に電力がないときに安定となる。開示された切り替え可能な窓フィルムは、一方の状態から他方の状態に切り替わるときにのみ電力を使用するだけでよく、また、電力を消費せずに平面的/透明状態、または強散乱フォーカルコニック状態のいずれかに窓を維持できるという利点を有する。このことは、とくにバッテリー動作用途に関して魅力的であるが、開示されたデバイスは、クリアから不透明に変化するとき比較的高周波(1KHz以上)の切り替えを必要とし、また、高周波の切り替えを広い面積(すなわち1m2以上)の膜(フィルム)基板を有する光シャッターに加えることの実現可能性を実証する必要がある。

ポリマー構造が連続層における両側の基板を橋渡しするPLDCデバイスと異なり、PSCTセルにおけるポリマー構造は、膜(フィルム)またはガラス基板であっても、ポリマーネットワークが電界の存在下においてほぼメソゲン構造のモノマーから形成されるときのみ、両側の基板に橋渡しするように指向する。電界がない場合、または等方性のモノマーの場合、ポリマーの大部分が基板の表面、とくに、紫外光硬化源に対面する基板表面に形成され、その結果、ポリマー層膜構造にほとんど寄与しなくなる。ポリマー成分(および/またはモノマー官能基)がより橋渡しする場合、光学的透明度は、20%以上のポリマーを有するPSCT実施例に関して特許文献5に記載されるように、大幅に犠牲になる。

メソゲン構造および/または等方性のモノマーの混合物を含む通常モードのPSCT膜は、ポリマーネットワークが損傷しやすく、その結果、容認できないほどの局所的な光学的劣化が起こる。他の問題としては、膜(フィルム)の屈曲、とくにコーナーから曲げるときのネットワーク損傷の問題、膜をガラスにラミネートすることから生ずる損傷ネットワーク領域および不均一セル厚さ領域の問題、コーナーで大きなガラスラミネートをピックアップするまたはガラスを屈曲させることから生ずる破壊したネットワークの問題がある。

要約すれば、PSCTデバイスは、膜(フィルム)またはガラス基板上のいずれに形成するにしても、PLDCデバイスと比較して視野角とともにボケがあまり増加しないことを特徴とする。このことは、連続層に液晶を有することから得られる。光学的透明度は、ポリマーネットワークとして液晶領域に存在するポリマー含有量が10%未満のときに、最良である。PSCTデバイスは、PDLCデバイスに代わる、フォーカルコニックテクスチャの散乱機構であるが、視野角アクセスを遮断する十分な散乱能を有するフォーカルコニックテクスチャを安定化させるポリマーネットワークが必要である。しかし、PDLCよりも優れた光学特性を有するにも関わらず、従来技術に基づいて形成したPSCT膜は、本発明が意図する用途の要求に適合する機械的強度には不十分である。

PDCLCデバイス
従来技術による高分子(ポリマー)分散コレステリック液晶PDCLCデバイスは、反射ディスプレイ用途のために設計したものであり、切り替え可能な窓としては機能しない。反射性の、双安定PDCLC膜(フィルム)を図5において示し、互いに並置した2つの状態を示し、この場合、左側が反射性平面テクスチャであり、参照符号130で示し、右側が僅かに散乱するフォーカルコニックテクスチャであり、参照符号132で示す。膜(フィルム)は、電極112を担持する1対の基板110を有し、これら基板によりポリマー構造114を挟み込む。この場合、液晶は、以下で説明するようにより大きな体積の116にして設ける。

入射光133が平面状テクスチャ上に入射するとき、一条の円偏光は参照符号134で示すように反射し、残りの光は液晶層を透過するが、基板後部で黒色ペイント136によって吸収される。フォーカルコニックテクスチャは、光を透過して僅かに散乱し、基板後部をコートする光吸収部(すなわち、黒色ペイント)に達する。ホメオトロピック状態はこのタイプのディスプレイには使用せず、この理由としては、他の2つデバイスと異なり、電力がない場合に安定でないからである。例示的な反射ディスプレイは、非特許文献1(Journal of the Society For Information Display (SID) “Progress in flexible and droplet reflective cholesteric display”)に記載されている。

PSCTデバイスと異なり、PDCLCデバイスは、液晶テクスチャを安定化させるのにポリマーネットワークに依存せず、液晶分子のポリマー表面への定着は、平面状態を誘起するほど十分強く均一である。フォーカルコニック状態は、安定な平面状テクスチャを可能にする同様のポリマー表面定着もフォーカルコニックテクスチャ内で強い秩序付けを与えるため、弱く光を散乱するだけである。このことは、図5の弱散乱フォーカルコニックテクスチャを図3の強散乱テクスチャと比較することによってわかる。反射PDCLC用途に対して、弱散乱は高く望まれるが、このデバイスは切り替え可能な窓および同様の用途に対しては適合しない。

PDLC型ディスプレイは、非特許文献2(”Flexible Encapusulated Cholesteric LCDs by Polymerization Induced Phase Separation”, by Tod Scheneider et al. in the Society for Information Display SID 05 Digest, pages 1568-1571)において反射PDCLCディスプレイと比較されている。この文献は、特許文献8(米国特許出願公開第2007/0026163号)の記載に基づいている。典型的なPDLCにおいて、液滴は、ほぼ直径1ミクロン未満の球形であり、セルの厚さにわたり多数存在する。[この文献におけるPDCLCディスプレイ]において、液滴は、直径10ミクロンの桁の、よりパンケーキ状の形状で、セルの厚さにわたり1個だけ存在する。[この文献のPDCLCが示すのは]反射および散乱(光吸収後面への)モードにおける動作、すなわち、[それらは]双方のモードにおいて極めて僅かにしか光散乱しない。

非特許文献3(”Anchoring Behavior of Chiral Liquid at Polymer Surface : In Polymer Dispersed Chiral Liquid Crystal Films, by Haixia Wu, Georgia Institute of Technology, 2004)において、強く均一な定着を促進して双安定反射PDCLCディスプレイのために平面状態を安定化させる、アクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマー(すなわちプレポリマー)の化学構造を開示する。液滴の形を決定するPDCLCトライアルは、30〜50ミクロンの範囲のX−Y軸および10ミクロンのセルギャップを有する多角形として説明した。しかし、これら多角形の液滴内で完全な機能性を有することがわかった面積は、約4μm2でしかなく、液晶層のポリマー含有量は、たった10%である。

特許文献9(米国特許第6061107号)において、ポリマー/コレステリック液晶分散は、PDLCと類似しており、液晶相は、連続するポリマーマトリクス内で離散液滴として分離する。しかし、液滴が約1ミクロンの長軸を有するPDLCデバイスと異なり、反射PDCLCディスプレイにおける液滴は、セルギャップ(すなわち、重合化した液晶を有する層の厚さ)よりも大きい長軸を有する。図5において、セルギャップは、4μmとして示す。特許文献9の発明は、コレステリック液晶のピッチよりもずっと大きいピッチの液滴寸法を有することによって、液滴内で、液晶分子が、表面を変更した反射性コレステリックデバイスに類似した挙動をする。

特許文献10(米国特許第6556262号)において、メモリを有する(すなわち双安定の)反射PDCLCは、8〜10ミクロンの範囲の好ましい液滴を有することを開示する。フォーカルコニック状態は、透明であると記載されるほど弱散乱である。本願人による後の特許文献11(米国特許出願公開第2006/0066803号)において、PDCLCディスプレイのコントラストは、ディスプレイのほとんどのポイント電極間に挟み込まれた単独の液滴層よりも多い層の場合劣化する。さらに、液滴は、厚さ:長さの比が1:2〜1:6を有するのが好ましいと記載されている。

反射性の双安定PDCLCデバイスは、PDLCおよびNCAPデバイスにおいて用いる方法を採用することによって準備する。特許文献9は、PDCLCを準備するのに熱的誘導相分離TIPSとして既知の方法を使用し、特許文献12(米国特許第6556262号)は、乳化方法(NCAPデバイスにも使用されている)を使用し、また、非特許文献2において、光ラジカル重合化誘起相分離PIPS法が開示されている。

高速切り替え、低電圧デバイス
ポリマーウォール(壁)またはポリマーネットワーク(網)(例えば、PSCTデバイス)を有する液晶デバイスは、このウォールおよびネットワークを有さないデバイスよりも、高速切り替え時間(すなわちONおよびOFF)および低電圧である。しかし、PDLCディスプレイは、このような膜(フィルム)の代表的な寸法である小さい液滴が切り替え時間および動作電圧を増加させると知られている、例外的なものである。

特許文献13(米国特許第6203723号)は、ネマチック液晶だけでなくポリマーネットワークも有するマイクロカプセル化した液滴を有するPDLC型膜を開示する(PSCTデバイスに類似する)。ポリマーネットワークは、液滴内におけるネマチック液晶の整列を分断して、液滴内にドメインを形成させ、各ドメインは、異なる液晶分子整列配向を有し、ポリマーネットワークはその整列配向を安定化させる。このデバイスは切り替え特性および光散乱を改善するが、液滴内のポリマーネットワークは、ポリマーと液晶と間の界面表面積が顕著に大きくなるため、ボケを増加させる。光屈折は、液滴のポリマー表面だけでなく、液滴内の高密度のポリマーネットワークに入射および出射するときにも生ずる。このようなデバイスは、ON状態における高レベルのボケのために、本発明が意図する用途には適合しない。

特許文献14(米国特許第5455083号)は、切り替え速度を落とすことなく優れた動作電圧を有する投射用途のためのコレステリック液晶光学シャッターを開示する。ポリマーは、薄いセル壁構造内に形成されると記載され、これらセル壁の導入は、ポリマーを含まない連続するコレステリック液晶層と比較して、体積あたりにより多くのフォーカルコニックドメインを形成すると記載されている。開示されたデバイスの散乱特性は、従来のPDLC膜と比較されず、散乱は、ポリマーウォールと液晶との間の界面で主に起こり、これは、PDLCデバイスと類似している。この特許文献14においては、液滴内の散乱は、ポリドメインの境界でしか弱くなく、後者の散乱メカニズムは、この特許文献14で説明されていない。特許文献14の特許における実施例で、OFF状態は、2mmの平行光線を±0.57°(デバイスから100mmの位置にある2mmのアパーチャ)の角度だけ散乱する必要があり、これはセンサ受光されない。このデバイスから利用できる光散乱は、窓ガラス用途で用いる膜(フィルム)における視覚的アクセスを遮断するのには十分でないこと明らかである。

さらに、特許文献14の特許における実施例1および2は、9%のポリマー含有量の膜(フィルム)は、デバイス表面に直交する光を90%透過することを示すが、実施例3で、ポリマー含有量が15%のとき透過率は75%まで下がることを示す。後者の実施例における減少した光透過は、ON状態における光散乱(すなわち、ボケ)によって起こる。これは、このデバイスが顕著なボケを有し、本発明が意図する用途のボケのない視認要件を満たすのには不適格であることを示している。

さらに、ポリマー含有量を9%にしてON状態における顕著なボケを回避する場合、このポリマー含有量の膜(フィルム)は、ガラスラミネート工程、または大きな(<1m2)のガラスラミネート使用に適う十分な強度にするには不向きである。

最後に、ポリマー複合フィルム内における液晶の液滴を形成することを特許文献14は記載しているが、ポリマー含有量が9%で、記載された範囲の離散液滴を形成するのにはポリマーが不足し、薄いポリマー壁を有する液晶体積相互浸透ネットワークが形成されやすい。使用するポリマー系のタイプは、ウレタンアクリレートオリゴマーと、高濃度(プレポリマーの20重量%)の三官能基アクリレートトリメチロールプロパントリアクリレート・モノマーの競合を支持する。特許文献13において、このポリマー含有量6%のポリマー系を使用して、液晶内にクモ構造(ポリマーネットワーク)を形成した。

要約すれば、特許文献14に開示されたタイプのデバイスは、OFF状態において不十分な散乱能しか有しておらず、ON状態においてもボケ量が多すぎる問題を抱え、開示されたポリマー含有量では不十分な構造強度しかなく、また、液晶/ポリマー複合膜は、液晶の離散液滴を形成しないため自己封止しないため、本発明が意図する窓ガラス用途に不適格である。

特許文献14の発明者の一人は、切り替え特性を改良した多数の関連するデバイス、例えば、特許文献15(米国特許出願公開第2004/0017523号),特許文献16(米国特許第6924873号),特許文献17(国際出願第01/55782号)および特許文献18(国際出願第02/093241号)に共通する発明者である。特許文献14と同様に、ポリマー含有量が10%またはそれ未満で、ポリマー系も類似している。特許文献15における液晶デバイスは、例えば、特許文献19(特開平第4−119320号)におけるタイプの液晶/ポリマー複合膜を有する。後者の文献におけるポリマーネットワークは、「3次元メッシュ形状」として記載され、この文献の図面には、液晶の相互浸透領域または体積を形成することが示されている。加えて、ネマチック液晶分子は、互いに平行に整列し、また、局所的なポリマーウォールに直交することが示されている。特許文献14に関して上述した理由の通り、これらデバイスは、本発明が意図するする用途に適さない。

特許文献20(米国特許第5559615号)は、従来技術に代わって、コレステリック液晶を有するネマチック液晶がこのデバイスのターンオフ時間および光散乱を改善する、アクティブマトリクス型ディスプレイに使用するPDLCデバイスを意図する。電界をオフにするとき、「(カイラル)ねじれ力が液晶分子間に強く作用する。この理由としては、液晶分子の整列状態(ON)が迅速にねじれた/整列した状態に戻るからである」。光散乱能は増大し、「液晶分子は電界がないときねじれた/整列した状態にセットされるため、液晶分子の配向の乱雑さ(程度)が高く、高分子分散液晶膜を構成するポリマー樹脂および液晶の間における屈折率の差が大きい」。重要なことに、この特許文献20は、散乱メカニズムは液晶/ポリマー界面での光屈折であると記載している。この特許文献20のどこにも、光散乱が液滴内の液晶ドメイン間の境界で起きるとは予期していない。

この特許文献20は、従来技術のPDLCデバイス、詳細には、この特許文献20の先行技術の図13Aおよび図13Bにおいて示すのと同じポリマー系を使用することを意図している。図13Aにおいて、ポリマー表面に接するネマチック液晶分子は、局所表面に平行に整列する。従来技術のPDLCデバイスのポリマー系を使用することを記載し、光ラジカル重合を誘起する相分離型のプロセスをおおまかに説明する以外、この特許文献20は、ポリマー構造をどのように形成するか、またはこの構造の特性が何かを記載していない。例えば、以下のこと、すなわち、プレポリマー成分、各成分の重量パーセント液晶混合物におけるポリマーの重量パーセント、ネマチック液晶およびカイラル不純物成分の適切なタイプ、またはUV硬化条件については記載されていない。上述の説明から、この特許文献20の出願人は、従来技術のPDLCデバイスとすべての点で同一のポリマー構造を有するデバイスを想定したことは明らかである。このことから、液晶液滴も、PDLCデバイスと同様に、0.7ミクロン〜1.0ミクロンの平均直径であることを想定した。さらに、特許文献20の図面4Aは、この特許文献20において液滴の平均直径「d」が、「液晶ドメインの平均直径」と同一であり、唯一の必要条件は、「d」がらせんのピッチよりも長いことであることを示す。さらに、この必要条件は、従来技術の液滴の大きさ0.7〜1ミクロンを満たすものである。

概要

高分子分散液晶システムは、内部に液晶材料の離散体を複数画定した連続的なポリマー構造を有する。液晶材料の離散体は、ポリドメイン動作状態を示し、このポリドメイン動作状態では、各離散体内の液晶材料が複数ドメインよりなるマルチドメインをなすよう配置され、各ドメインは、その分子が少なくとも1個の軸線に関して整列する点で識別できる共通配向を有する液晶材料の量によって画定されるものとし、互いに隣接するドメインの解決された配向は、互いに乖離し、また時間とともに安定化するものとする。

目的

通常モードのPSCTデバイスにおいて、ポリマーの主要機能は、フォーカルコニックテクスチャを安定化することである

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

高分子分散液晶システムにおいて、内部に液晶材料離散体を複数画定した連続的なポリマー構造を有し、液晶材料の前記離散体はポリドメイン動作状態を示し、このポリドメイン動作状態では、各離散体内の液晶材料が複数ドメインよりなるマルチドメインをなすよう配置され、各ドメインは、その分子が少なくとも1個の軸線に関して整列する点で識別できる共通配向を有する液晶材料の量によって画定されるものとし、互いに隣接するドメインの解決された配向は、互いに乖離し、また時間とともに安定化するものとした、高分子分散液晶システム。

請求項2

請求項1に記載の高分子分散液晶システムにおいて、液晶材料の前記離散体は、さらに、液晶材料の各離散体内における大部分の液晶分子が少なくとも1個の軸線に関して整列する点で識別できる共通配向をとる均一な動作状態を示すように影響を受けるものとした、高分子分散液晶システム。

請求項3

請求項1または2に記載の高分子分散液晶システムにおいて、前記離散体は、さらに、前記ポリドメイン動作状態と均一動作状態との間の範囲における中間状態を示し、その結果、前記高分子液晶ステムは、ポリドメイン動作状態と均一動作状態との間における中間的光学特性を有するものとした、高分子分散液晶システム。

請求項4

請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の高分子分散液晶システムにおいて、液晶材料の前記離散体の大部分は、上限および下限によって区切られる境界範囲内の体積を有し、前記下限は、ポリドメイン動作状態における乖離性配向を有するマルチドメインを有することができる最小体積であり、また、前記上限は、ドメインの乖離性配向がポリドメイン動作状態における前記離散体内で保持および安定化される最大体積であるものとした、高分子分散液晶システム。

請求項5

請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の高分子分散液晶システムにおいて、液晶体とポリマー構造との間における界面で、ポリマー表面分子構造が、液晶分子に影響を与えて、ポリマー表面の平面から乖離する配向をとらせ、好ましくは、ポリマー表面に隣接する前記液晶分子の大部分が、ポリマー表面の局部的法線に対して、10〜80゜、より好ましくは、20〜70゜、最も好ましくは25〜65゜の範囲内の角度をなして配向するようにした、高分子分散液晶システム。

請求項6

請求項5に記載の高分子分散液晶システムにおいて、ポリマー表面で互いに隣接する液晶分子の大部分は、同一配向を持たず、互いに乖離するものとした、高分子分散液晶システム。

請求項7

請求項5または6に記載の高分子分散液晶システムにおいて、ポリマー表面における液晶分子の配向の結果、ポリマー表面に隣接する液晶分子を含むドメインは、互いに大きく異なる方向に乖離した配向を有するものとした、高分子分散液晶システム。

請求項8

請求項5〜7のうちいずれか一項に記載の高分子分散液晶システムにおいて、ポリマー表面における前記分子構造は、ポリマー骨格から液晶材料内まで浸透する置換基を有し、前記置換基が、液晶分子材料内の前記互いに乖離する乖離性配向を生ぜしめるものとした、高分子分散液晶システム。

請求項9

請求項8に記載の高分子分散液晶システムにおいて、ポリマー骨格から前記液晶材料内に浸透する前記置換基は、1個またはそれ以上の単官能モノマー、好ましくは、エチル・へキシルメタクリレートから形成するものとした、高分子分散液晶システム。

請求項10

請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の高分子分散液晶システムにおいて、視認する表面の1平方センチメートルあたりの、ポリマー液晶界面総面積は、平方センチメートル単位で、Xを膜のセルギャップとし、Yを重量で表した液晶膜の割合として表すと、1,714XY〜24,000XYの範囲、好ましくは、2,400XY〜20,000XYの範囲、最も好ましくは3,429XY〜20,000XYの範囲にあるものとした、高分子分散液晶システム。

請求項11

請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の高分子分散液晶システムにおいて、コレステリック液晶ピッチは、0.8ミクロンより大きい、好ましくは0.9ミクロンより大きい、最も好ましくは1ミクロンより大きいものとした、高分子分散液晶システム。

請求項12

重合誘起相分離によって高分子分散液晶システムを調製する方法であって、a)単官能モノマー、架橋モノマー、液晶材料およびセルスペーサ材料の予重合合物を調製するステップと、b)前記単官能モノマーおよび前記架橋モノマーの重合を開始し、その結果生ずるポリマー構造内に液滴として前記液晶の相分離を誘起させるステップと、を有する、該高分子分散液晶システム調製方法において、架橋モノマーの単官能モノマーに対する比は、液晶体とポリマー構造との間に界面が形成される前に、重合反応において前記架橋剤がほぼ消費されることを確実にするほど十分に低いが、前記液晶の離散体としての分離、および連続するポリマー構造内における前記離散体の形成を確実にするほど十分に高いものとしたことを特徴とする高分子分散液晶システム調製方法。

請求項13

液晶デバイスにおいて、膜の形式とした請求項1〜12のうちいずれか一項に記載の高分子分散液晶構造をと、前記膜を挟み込みかつ前記膜に結合する1対の基板とを備え、前記基板は、それぞれ前記高分子分散液晶構造の膜に対面する側に導電性電極コーティングを設け、前記膜を横切って電界を加えるのを容易にした、液晶デバイス。

請求項14

請求項13に記載の液晶デバイスにおいて、法線に対して最大30゜の視野角範囲に対してヒトの目に透明でほとんどボケがない均一状態、および前記膜を経る視覚アクセス遮断するポリドメイン状態で動作できる、厚さ部分を設けた液晶デバイス。

請求項15

請求項13または14に記載の液晶デバイスを挟み込む1対の透明な荷重支持シートを有する窓ガラス構造

技術分野

0001

本発明は、高分子ポリマー)分散液晶構造に関連する。

0002

本発明は、以下の分野における特別な用途があり、例えば「切り替え可能な窓」または「スマートな窓」として一般的に知られている、透明および不透明の間で切り替え可能な窓ガラス用途に用いる光制御フィルム;透明または不透明な状態で選択的に動作することができる画素マトリクスを有し、ショップ正面窓、またはバスもしくは電車の窓のような用途に使用し、窓を通した視覚アクセス遮断することがないシースルーディスプレイ(例えば、特許文献1[PCT/IE02/00079]および特許文献2[PCT/IE00/00124]);とくに投影に用いるときに不透明な散乱状態で動作し、また、切り替え可能な窓として用いるときに不透明または透明状態で動作することによって窓としても機能する投影スクリーン;通常モード(すなわち、電力がないとき不透明で、電力があるとき透明となる)の、可撓性基板(例えばフィルム)または剛性基板(例えばガラス)のいずれかで形成した光シャッターおよびディスプレイ双安定(すなわち、電力がないときに不透明または透明な状態で選択的に安定しており、一方の状態からもう一方の状態に切り替えるときにのみ電力を用いる)の、光シャッターおよびディスプレイ;等に使用する。

背景技術

0003

このタイプの従来の液晶(LC)デバイスは、概して、2個の基板間に挟まれた制御された厚みの液晶層(すなわちセルギャップ)を有する。各基板は、透明であり、液晶層に面する側に透明で導電性コーティング被覆し、液晶層に電界をかけることができる。基板は、ガラスまたは高分子基板膜(フィルム)とすることができる。基板が膜(フィルム)である場合、液晶膜標準的な窓ガラスの片側または両側に、中間層として既知接着シートを用いることによってラミネートすることができる。このLC膜およびガラスを複合した積層体は、切り替え可能な窓として既知である。Saint Gobain Vitrage社は、商品名「Priva−Lite」で切り替え可能な窓ラミネートを販売している。

0004

1個またはそれ以上の中間層シートを用いて、ガラスペイン間に液晶膜をラミネートする過程は、膜に圧力、高温、をかけ、また真空にする。問題は、異なる材料間の熱膨張指数不一致に起因して起こる。さらに、ラミネート後でさえも、最終的なラミネートのその後の取り扱いで、2個のガラスペイン(LC層を挟み込む)が撓むとき、とくに窓が任意の方向に1メートル以上撓むとき、LC層にせん断力がかかる。膜がラミネート過程およびその後の取り扱いに耐えられるように、LC層が液晶を支持する重合体(または他の)構造を有する必要がある。

0005

いくつかの既知の高分子LC構造がある。それぞれ欠点に悩まされている。そのうちのいくつかは、このタイプの構造におけるラミネート処理が基本的に不向きであり、それらラミネートすることができる構造は、光学的問題、例えば過剰なボケヘイズ)または有用な透明な視野角の過剰な制限という問題に直面する。

0006

これらの問題を考慮するとき、所定の用途における相反する必要条件を評価および均衡を図る必要がある。したがって、ボケ(ヘイズ)を減少させる、または高分子LC膜の厚さを薄くすることによって特定の膜の視野角を増大するのは比較的平凡であるが、これは、想定される遮断状態にあるとき、光を遮断する膜の能力に直接的な影響を与える。遮断状態における容認できる不透明レベルを確保するには、想定される透明状態において、本来的にボケ(ヘイズ)があり、極めて限定された視野角となる厚さの膜が必要である。

0007

できる限り広い視野角範囲を、クリアでボケがなく見え要件は、窓用途に極めて重要である。2m×2mの窓の真正面に立つ人にとって、窓から見る人までの距離、および窓のどちら側から見るかに基づいて視野角範囲が異なる。見る人の目が窓の中央から2メートル離れているとき、例えば、窓のコーナーに対する角度は、約35°であり、言い換えれば、この窓は2メートルの距離で透明であり、35度のボケのない視野角を必要とする。しかし、透明である同じ窓に関して、1メートルの距離から見る場合、必要とされるボケのない角度は約55°まで増加する。

0008

高分子LC構造の主な技術は、
1)高分子分散液晶(PDLC)およびネマチック湾曲配向相(NCAP
2)高分子安定化コレステリックテクスチャ(PSCT
3)高分子分散コレステリック液晶(PDCLC)
4)上述した3個の態様を有する、高速スイッチングする低電圧デバイス
である。

0009

簡潔に言えば、PDLCまたはNCAPデバイスは、液晶を含む離散空隙を有する連続的なポリマー構造(典型的には、40〜60%の液晶層で形成する)を有する。液晶(ネマチック型)は、連続的なポリマーマトリクス内に液滴を形成すると言われている。

0010

PSCTデバイスも、ポリマー内に分散する液晶材料に基づくが、PSCTデバイスにおいて、ポリマーは、離散液滴として液晶をカプセル化せず、その代わりに、連続的な液晶層内に浸透するおよび/または液晶層を貫通する薄い繊維状ポリマー網(ネットワーク)を生ずる。

0011

概して、PDCLCデバイスは、双安定の色反射デバイスである(選択的に透過するPDLC/NCAPおよびPSCTデバイスと異なる)。PDCLC装置は、ポリマーマトリクス内の比較的大きい液滴として分散するコレステリック液晶(LC)材料を有し、LC材料は、2個の双安定状態間で切り替え可能であり、一方の状態は、可視波長における狭帯域高反射性の状態であり、他方に状態は、弱く散乱する状態。PDCLC膜黒色基板の前方に配置することによって、ディスプレイにおけるピクセルは、色反射状態黒色状態との間で切り替わることができる。

0012

3種類の技術の各々において、デバイスは、特定の利点および特定の欠点を有することになる。これら技術のそれぞれを以下に説明してから、3種類のうち1つ以上に共通する態様を有する高速切り替えおよび低電圧用途のためのデバイスを最終的に説明する。

0013

PDLCまたはNCAPデバイス
高分子分散液晶(PDLC)およびネマチック湾曲配向相(NCAP)は、それぞれのデバイスを形成するのに用いる技術によって互いに異なる2つの極めて類似する技術である。しかし、以下の説明上、各技術の最終結果は、実際上同じとする。

0014

図1(従来技術)は、PDLCデバイスの実施例を示す。1対のポリエチレンテレフタレート(PET)基板110は、各内面上にインジウムスズ酸化物電極112を有し、高分子(ポリマー)分散液晶構造114を挟み込む。このポリマー分散構造114は、ポリマーマトリクスから成る厚さ20μmの膜(フィルム)を有する構造、またはネマチック液晶材料の液滴116が、重合化中における相分離によって捕獲された構造により構成する。

0015

PDLCおよびNCAP型の膜の主な利点は、ポリマー構造がガラスラミネート共存性があることを実証された点である。さらに、PDLCおよびNCAPフィルムは、可撓性であり、フィルムの連続ロールから所定サイズにカットすることができ(液晶はポリマー構造によってカプセル化されているため)、また偏光子ねじれネマチック(TN)型デバイスでは本来的に必要)を必要とせずに機能することができる。

0016

図1につき説明すると、液晶液滴はほぼ球形であり、約0.7μm〜1.0μmの直径を有する。図2Aおよび2Bは、100VのAC電界の存在下において(図2A)液晶116が複屈折を示し、ポリマー114の屈折率は、フィルムの長軸に平行な方向にみて液晶の屈折率(すなわち、通常の屈折率NO)と一致し、この電界がないとき(図2B)、LC材料の平均屈折率は、ポリマーの屈折率に一致せず(npoymer≠neffectiveLC)、その結果、液晶およびフィルムを通過する光線が横切る液晶とポリマーとの間の各境界で散乱する。

0017

窓ガラスおよびシースルー用途におけるPDLCおよびNCAPデバイスの大きな問題は、視野角を大きくするにつれてON状態におけるぼけが大きくなり、大きな視野角に対しては不透明となることである。ボケは、液滴内で電界整列するネマチック型液晶と、これをカプセル化するポリマーとの間における境界または界面での光散乱によって起こる。ポリマーの屈折率と液滴内における液晶の屈折率とが不一致しないことで本来的に複屈折することが理由である。例えば、カタログ番号「MerckTL213」の下でMerck社により販売されている材料は、通常屈折率および異例的屈折率が、それぞれno=1.527およびne=1.766であり、複屈折率Δn=0.239を与える。概して、液晶の通常屈折率は、ボケを最小限にする等方性ポリマーマトリクスの屈折率に一致する。しかし、ON状態において視野角が増えると、ポリマーと液晶との間における大きな不一致がより支配的となり(npoymer≠neffectiveLC)、また、界面での光散乱がボケ誘発を増加させる。

0018

PDLCおよびNCAPの他の欠点は、OFF状態(電界なし)において散乱光効率が、液晶の平均屈折率とポリマーマトリクスの屈折率との間における差で決定されることである。このことから、その界面は、液滴の大きさを最小化し、また液滴の数を最大化にすることによって最大化しなければならないことになる。最小寸法は、可視光波長によって決定し、そのため、PDLCおよびNCAPは、概して、0.7μm〜1μmの平均液滴直径(これは、液滴が球形でないときの長軸に関する直径)を有する。

0019

代表的な20ミクロンのPDLCセルにおいて、光線は、10個またはそれ以上の液滴に遭遇し、これら液滴はそれぞれON状態において潜在的にボケ要因になり、このことは垂直線近傍の視角であっても言える。これは、OFF状態における散乱能の増加がON状態におけるボケを増加させるという、PLDC装置に本来的なトレードオフがあることを示している。

0020

特許文献3(米国特許第5,604,612号)は、このタイプのPDLC装置を開示し、どのようにして、液晶およびポリマーマトリクスの平均屈折率の間における差を最適化することによって散乱能を最大化することができるか記載している。

0021

PSCT装置
通常モードのポリマー安定化コレステリックテクスチャ(PSCT)膜(フィルム)の実施例を、図3に示す。説明を分かり易くするため、注目する2つの動作状態ホメオトロピック(透明)状態およびフォーカルコニック(散乱)状態−を、並置して示す。

0022

この装置におけるポリマーは、離散液滴として液晶をカプセル化しないが、図3に示すように、連続的な液晶相122内に浸透するおよび/または貫通する、細い繊維状のポリマーネットワーク120を生ずる。ポリマーは、連続的な液晶相を、ポリマーのない連続層よりも個別により速く切り替え可能である領域(ドメイン)に分離するのに効果的であることを示す。液晶は、コレステリックまたはカイラルネマチックでとして知られるタイプとする。LC層が連続的であるため、フィルムは、参照符号129で線図的に示したシールによって封止する。

0023

PSCTデバイスにおいて、カイラル不純物成分ネマチック液晶に添加して、図4のように、分子127間で順次の分子が僅かな角度をなすよう配列させ、らせん構造を描くようにする。らせんの1回の完全ねじれに必要な距離は、ピッチとして知られている。ピッチは、カイラル不純物成分の濃度を調整することによって調整する。それぞれのピッチ長さを選択することによって、平面テクスチャは、可視光帯域反射するが(このタイプの装置は反射性を有するものとして知られている)、ピッチが増加するとき、反射光は、赤外領域まで移動し、可視範囲の光は透過する(このタイプの装置は、通常モードまたは反転モードのいずれかとして知られている)。

0024

平面テクスチャを含む液晶ドメインにおいて、らせん軸線は、互いに平行であり、また、基板表面に直交する。このテクスチャは、コレステリックならせんピッチに関連する波長帯域に対して円偏光した光を選択的に反射する。通常モードの光シャッターは、平面テクスチャを使用しない。反転モードの光シャッターは、透明またはクリアな状態として使用し、ホメオトロピック状態を避ける。

0025

フォーカルコニックテクスチャは、カイラル不純物成分が液晶分子間にらせん配向を付与する点で平面テクスチャと類似するが、図3の右側126のように、平面テクスチャと異なり、らせん軸線は互いに不完全にしか整列しない。不完全な整列は、角度差を生じ、その結果、1個のらせん(または整列したらせんを有する1個のドメイン)における液晶の有効屈折率は、これに隣接するらせん(またはドメイン)と異なり、したがって、境界で光が散乱する。その結果、PSCTデバイスは、PLDC装置とは異なる散乱メカニズム、すなわちフォーカルコニックテクスチャを有する。

0026

液晶をドメインに分割することによる切り替え(スイッチング)上の利点に加えて、ポリマーネットワークも安定化効果を有し、ポリマー界面に隣接する液晶分子の整列をもたらす。この整列は、電力がないときに3つのとり得る状態のうち1つまたはそれ以上の状態(またはテクスチャ)、すなわち平面(光反射および透過)状態、フォーカルコニック(光散乱および/または透過)状態、およびホメオトロピック(クリアまたは不透明)状態におけるコレステリック液晶ドメインを安定化するのに十分である。

0027

通常モードのPSCTデバイスにおいて、ポリマーの主要機能は、フォーカルコニックテクスチャを安定化することである。ポリマーネットワークがより繊維状であればあるほど、フォーカルコニックにおけるらせん軸線の乱雑な配向を誘起し(すなわち、多重ドメインを形成する)、その結果、PSCT膜を通過する視覚的アクセスを遮断する強い散乱状態をより効果的に誘発する。フォーカルコニックテクスチャを安定化するポリマーネットワークまたはポリマー表面アーチファクト人為構造)のような他の手段がない場合、電力がないとき、乱雑ならせん配向は、存続しない、すなわち、このテクスチャは、時間とともに安定でなくなる。この場合、フォーカルコニックテクスチャは、反射性PSCTデバイスに典型的な弱い散乱/透過状態に戻る。

0028

ホメオトロピックテクスチャは、PSCTデバイスおよびPDLCデバイスの両方に共通する唯一のテクスチャである。強い電界の存在下において、らせんはPSCT膜においてほどけ、また、液晶ダイレクタ(すなわち、液晶分子の長軸の共通方向)は、電界(正誘電方性仮定する)に平行に整列する(図3の左側参照)。

0029

特許文献4(米国特許第5,437,811号)は、通常モード(電力があるとき透明)および反転モード(電力がないとき不透明)のPSCT光シャッターを開示しており、この場合、視野角にかかわらずほとんどボケがなく、また、ディスプレイに直交する方向から見るときでさえもPDLCディスプレイおよびNCAPディスプレイよりも優れた光学的透明度を有することを開示する。液晶層におけるポリマーの割合を最大40%にすることができ、また、ポリマーのタイプが等方性またはメソゲン構造(すなわち、液晶ポリマーLCP)にすることができるが、一般的にこのようなデバイスは、ポリマーの割合が10%未満であるときのみ、良い光学的透明度をもたらす。さらに、電界または磁界は、硬化中に存在させなければならず、このことはする連続的フィルム(膜)製造ラインにおいて望ましくない。

0030

特許文献5(米国特許第6,049,366号)は、より大きな可撓性フィルム上に、切り替え可能な窓用途のためのPSCT光シャッター(この文献ではポリマー安定化液晶PSLCとしてより一般的に言及している)を製造する一つの方法を開示し、この方法は液晶層内に反復するポリマー構造を設けるステップを有する。このステップは、比較的複雑なプロセスである。

0031

特許文献6(米国特許第6,671,008)において、PSCT材料は、大きなガラスペイン間に直接充填して窓を実現し、この場合、上述したように、まず液晶膜(フィルム)を生産し、その後膜をガラスペインにラミネートする従来のステップなしに窓を完成することができる。開示された方法は魅力的に見えるが、不透明な導体標準規格の窓ガラスをコーティングし、そして液晶と共存させる平坦性および仕上げ品質を得ることに関して複雑である。他の製造上の問題としては、液晶およびポリマーの混合物を大きな領域にわたり均一に充填しなければならない、端のシール範囲において十分な強度を達成して、XまたはY方向に対して1メートル以上のガラス屈曲下におけるせん断力に耐えるよう端縁シール領域を十分な強度にしなければならない、および特に、標準規格の寸法を特徴としない窓カラス産業にも対処できなければならないという問題がある。

0032

特許文献7(米国特許第7,023,600号)は、切り替え可能な窓用途のための双安定なPSCTフィルムをつくる方法を開示し、この場合、フォーカルコニック状態(強い光散乱)または平面的状態(可視光透過−透明)が、選択的に電力がないときに安定となる。開示された切り替え可能な窓フィルムは、一方の状態から他方の状態に切り替わるときにのみ電力を使用するだけでよく、また、電力を消費せずに平面的/透明状態、または強散乱フォーカルコニック状態のいずれかに窓を維持できるという利点を有する。このことは、とくにバッテリー動作用途に関して魅力的であるが、開示されたデバイスは、クリアから不透明に変化するとき比較的高周波(1KHz以上)の切り替えを必要とし、また、高周波の切り替えを広い面積(すなわち1m2以上)の膜(フィルム)基板を有する光シャッターに加えることの実現可能性を実証する必要がある。

0033

ポリマー構造が連続層における両側の基板を橋渡しするPLDCデバイスと異なり、PSCTセルにおけるポリマー構造は、膜(フィルム)またはガラス基板であっても、ポリマーネットワークが電界の存在下においてほぼメソゲン構造のモノマーから形成されるときのみ、両側の基板に橋渡しするように指向する。電界がない場合、または等方性のモノマーの場合、ポリマーの大部分が基板の表面、とくに、紫外光硬化源に対面する基板表面に形成され、その結果、ポリマー層膜構造にほとんど寄与しなくなる。ポリマー成分(および/またはモノマー官能基)がより橋渡しする場合、光学的透明度は、20%以上のポリマーを有するPSCT実施例に関して特許文献5に記載されるように、大幅に犠牲になる。

0034

メソゲン構造および/または等方性のモノマーの混合物を含む通常モードのPSCT膜は、ポリマーネットワークが損傷しやすく、その結果、容認できないほどの局所的な光学的劣化が起こる。他の問題としては、膜(フィルム)の屈曲、とくにコーナーから曲げるときのネットワーク損傷の問題、膜をガラスにラミネートすることから生ずる損傷ネットワーク領域および不均一セル厚さ領域の問題、コーナーで大きなガラスラミネートをピックアップするまたはガラスを屈曲させることから生ずる破壊したネットワークの問題がある。

0035

要約すれば、PSCTデバイスは、膜(フィルム)またはガラス基板上のいずれに形成するにしても、PLDCデバイスと比較して視野角とともにボケがあまり増加しないことを特徴とする。このことは、連続層に液晶を有することから得られる。光学的透明度は、ポリマーネットワークとして液晶領域に存在するポリマー含有量が10%未満のときに、最良である。PSCTデバイスは、PDLCデバイスに代わる、フォーカルコニックテクスチャの散乱機構であるが、視野角アクセスを遮断する十分な散乱能を有するフォーカルコニックテクスチャを安定化させるポリマーネットワークが必要である。しかし、PDLCよりも優れた光学特性を有するにも関わらず、従来技術に基づいて形成したPSCT膜は、本発明が意図する用途の要求に適合する機械的強度には不十分である。

0036

PDCLCデバイス
従来技術による高分子(ポリマー)分散コレステリック液晶PDCLCデバイスは、反射ディスプレイ用途のために設計したものであり、切り替え可能な窓としては機能しない。反射性の、双安定PDCLC膜(フィルム)を図5において示し、互いに並置した2つの状態を示し、この場合、左側が反射性平面テクスチャであり、参照符号130で示し、右側が僅かに散乱するフォーカルコニックテクスチャであり、参照符号132で示す。膜(フィルム)は、電極112を担持する1対の基板110を有し、これら基板によりポリマー構造114を挟み込む。この場合、液晶は、以下で説明するようにより大きな体積の116にして設ける。

0037

入射光133が平面状テクスチャ上に入射するとき、一条の円偏光は参照符号134で示すように反射し、残りの光は液晶層を透過するが、基板後部で黒色ペイント136によって吸収される。フォーカルコニックテクスチャは、光を透過して僅かに散乱し、基板後部をコートする光吸収部(すなわち、黒色ペイント)に達する。ホメオトロピック状態はこのタイプのディスプレイには使用せず、この理由としては、他の2つデバイスと異なり、電力がない場合に安定でないからである。例示的な反射ディスプレイは、非特許文献1(Journal of the Society For Information Display (SID) “Progress in flexible and droplet reflective cholesteric display”)に記載されている。

0038

PSCTデバイスと異なり、PDCLCデバイスは、液晶テクスチャを安定化させるのにポリマーネットワークに依存せず、液晶分子のポリマー表面への定着は、平面状態を誘起するほど十分強く均一である。フォーカルコニック状態は、安定な平面状テクスチャを可能にする同様のポリマー表面定着もフォーカルコニックテクスチャ内で強い秩序付けを与えるため、弱く光を散乱するだけである。このことは、図5の弱散乱フォーカルコニックテクスチャを図3の強散乱テクスチャと比較することによってわかる。反射PDCLC用途に対して、弱散乱は高く望まれるが、このデバイスは切り替え可能な窓および同様の用途に対しては適合しない。

0039

PDLC型ディスプレイは、非特許文献2(”Flexible Encapusulated Cholesteric LCDs by Polymerization Induced Phase Separation”, by Tod Scheneider et al. in the Society for Information Display SID 05 Digest, pages 1568-1571)において反射PDCLCディスプレイと比較されている。この文献は、特許文献8(米国特許出願公開第2007/0026163号)の記載に基づいている。典型的なPDLCにおいて、液滴は、ほぼ直径1ミクロン未満の球形であり、セルの厚さにわたり多数存在する。[この文献におけるPDCLCディスプレイ]において、液滴は、直径10ミクロンの桁の、よりパンケーキ状の形状で、セルの厚さにわたり1個だけ存在する。[この文献のPDCLCが示すのは]反射および散乱(光吸収後面への)モードにおける動作、すなわち、[それらは]双方のモードにおいて極めて僅かにしか光散乱しない。

0040

非特許文献3(”Anchoring Behavior of Chiral Liquid at Polymer Surface : In Polymer Dispersed Chiral Liquid Crystal Films, by Haixia Wu, Georgia Institute of Technology, 2004)において、強く均一な定着を促進して双安定反射PDCLCディスプレイのために平面状態を安定化させる、アクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマー(すなわちプレポリマー)の化学構造を開示する。液滴の形を決定するPDCLCトライアルは、30〜50ミクロンの範囲のX−Y軸および10ミクロンのセルギャップを有する多角形として説明した。しかし、これら多角形の液滴内で完全な機能性を有することがわかった面積は、約4μm2でしかなく、液晶層のポリマー含有量は、たった10%である。

0041

特許文献9(米国特許第6061107号)において、ポリマー/コレステリック液晶分散は、PDLCと類似しており、液晶相は、連続するポリマーマトリクス内で離散液滴として分離する。しかし、液滴が約1ミクロンの長軸を有するPDLCデバイスと異なり、反射PDCLCディスプレイにおける液滴は、セルギャップ(すなわち、重合化した液晶を有する層の厚さ)よりも大きい長軸を有する。図5において、セルギャップは、4μmとして示す。特許文献9の発明は、コレステリック液晶のピッチよりもずっと大きいピッチの液滴寸法を有することによって、液滴内で、液晶分子が、表面を変更した反射性コレステリックデバイスに類似した挙動をする。

0042

特許文献10(米国特許第6556262号)において、メモリを有する(すなわち双安定の)反射PDCLCは、8〜10ミクロンの範囲の好ましい液滴を有することを開示する。フォーカルコニック状態は、透明であると記載されるほど弱散乱である。本願人による後の特許文献11(米国特許出願公開第2006/0066803号)において、PDCLCディスプレイのコントラストは、ディスプレイのほとんどのポイント電極間に挟み込まれた単独の液滴層よりも多い層の場合劣化する。さらに、液滴は、厚さ:長さの比が1:2〜1:6を有するのが好ましいと記載されている。

0043

反射性の双安定PDCLCデバイスは、PDLCおよびNCAPデバイスにおいて用いる方法を採用することによって準備する。特許文献9は、PDCLCを準備するのに熱的誘導相分離TIPSとして既知の方法を使用し、特許文献12(米国特許第6556262号)は、乳化方法(NCAPデバイスにも使用されている)を使用し、また、非特許文献2において、光ラジカル重合化誘起相分離PIPS法が開示されている。

0044

高速切り替え、低電圧デバイス
ポリマーウォール(壁)またはポリマーネットワーク(網)(例えば、PSCTデバイス)を有する液晶デバイスは、このウォールおよびネットワークを有さないデバイスよりも、高速切り替え時間(すなわちONおよびOFF)および低電圧である。しかし、PDLCディスプレイは、このような膜(フィルム)の代表的な寸法である小さい液滴が切り替え時間および動作電圧を増加させると知られている、例外的なものである。

0045

特許文献13(米国特許第6203723号)は、ネマチック液晶だけでなくポリマーネットワークも有するマイクロカプセル化した液滴を有するPDLC型膜を開示する(PSCTデバイスに類似する)。ポリマーネットワークは、液滴内におけるネマチック液晶の整列を分断して、液滴内にドメインを形成させ、各ドメインは、異なる液晶分子整列配向を有し、ポリマーネットワークはその整列配向を安定化させる。このデバイスは切り替え特性および光散乱を改善するが、液滴内のポリマーネットワークは、ポリマーと液晶と間の界面表面積が顕著に大きくなるため、ボケを増加させる。光屈折は、液滴のポリマー表面だけでなく、液滴内の高密度のポリマーネットワークに入射および出射するときにも生ずる。このようなデバイスは、ON状態における高レベルのボケのために、本発明が意図する用途には適合しない。

0046

特許文献14(米国特許第5455083号)は、切り替え速度を落とすことなく優れた動作電圧を有する投射用途のためのコレステリック液晶光学シャッターを開示する。ポリマーは、薄いセル壁構造内に形成されると記載され、これらセル壁の導入は、ポリマーを含まない連続するコレステリック液晶層と比較して、体積あたりにより多くのフォーカルコニックドメインを形成すると記載されている。開示されたデバイスの散乱特性は、従来のPDLC膜と比較されず、散乱は、ポリマーウォールと液晶との間の界面で主に起こり、これは、PDLCデバイスと類似している。この特許文献14においては、液滴内の散乱は、ポリドメインの境界でしか弱くなく、後者の散乱メカニズムは、この特許文献14で説明されていない。特許文献14の特許における実施例で、OFF状態は、2mmの平行光線を±0.57°(デバイスから100mmの位置にある2mmのアパーチャ)の角度だけ散乱する必要があり、これはセンサ受光されない。このデバイスから利用できる光散乱は、窓ガラス用途で用いる膜(フィルム)における視覚的アクセスを遮断するのには十分でないこと明らかである。

0047

さらに、特許文献14の特許における実施例1および2は、9%のポリマー含有量の膜(フィルム)は、デバイス表面に直交する光を90%透過することを示すが、実施例3で、ポリマー含有量が15%のとき透過率は75%まで下がることを示す。後者の実施例における減少した光透過は、ON状態における光散乱(すなわち、ボケ)によって起こる。これは、このデバイスが顕著なボケを有し、本発明が意図する用途のボケのない視認要件を満たすのには不適格であることを示している。

0048

さらに、ポリマー含有量を9%にしてON状態における顕著なボケを回避する場合、このポリマー含有量の膜(フィルム)は、ガラスラミネート工程、または大きな(<1m2)のガラスラミネート使用に適う十分な強度にするには不向きである。

0049

最後に、ポリマー複合フィルム内における液晶の液滴を形成することを特許文献14は記載しているが、ポリマー含有量が9%で、記載された範囲の離散液滴を形成するのにはポリマーが不足し、薄いポリマー壁を有する液晶体積相互浸透ネットワークが形成されやすい。使用するポリマー系のタイプは、ウレタンアクリレートオリゴマーと、高濃度(プレポリマーの20重量%)の三官能基アクリレートトリメチロールプロパントリアクリレート・モノマーの競合を支持する。特許文献13において、このポリマー含有量6%のポリマー系を使用して、液晶内にクモ構造(ポリマーネットワーク)を形成した。

0050

要約すれば、特許文献14に開示されたタイプのデバイスは、OFF状態において不十分な散乱能しか有しておらず、ON状態においてもボケ量が多すぎる問題を抱え、開示されたポリマー含有量では不十分な構造強度しかなく、また、液晶/ポリマー複合膜は、液晶の離散液滴を形成しないため自己封止しないため、本発明が意図する窓ガラス用途に不適格である。

0051

特許文献14の発明者の一人は、切り替え特性を改良した多数の関連するデバイス、例えば、特許文献15(米国特許出願公開第2004/0017523号),特許文献16(米国特許第6924873号),特許文献17(国際出願第01/55782号)および特許文献18(国際出願第02/093241号)に共通する発明者である。特許文献14と同様に、ポリマー含有量が10%またはそれ未満で、ポリマー系も類似している。特許文献15における液晶デバイスは、例えば、特許文献19(特開平第4−119320号)におけるタイプの液晶/ポリマー複合膜を有する。後者の文献におけるポリマーネットワークは、「3次元メッシュ形状」として記載され、この文献の図面には、液晶の相互浸透領域または体積を形成することが示されている。加えて、ネマチック液晶分子は、互いに平行に整列し、また、局所的なポリマーウォールに直交することが示されている。特許文献14に関して上述した理由の通り、これらデバイスは、本発明が意図するする用途に適さない。

0052

特許文献20(米国特許第5559615号)は、従来技術に代わって、コレステリック液晶を有するネマチック液晶がこのデバイスのターンオフ時間および光散乱を改善する、アクティブマトリクス型ディスプレイに使用するPDLCデバイスを意図する。電界をオフにするとき、「(カイラル)ねじれ力が液晶分子間に強く作用する。この理由としては、液晶分子の整列状態(ON)が迅速にねじれた/整列した状態に戻るからである」。光散乱能は増大し、「液晶分子は電界がないときねじれた/整列した状態にセットされるため、液晶分子の配向の乱雑さ(程度)が高く、高分子分散液晶膜を構成するポリマー樹脂および液晶の間における屈折率の差が大きい」。重要なことに、この特許文献20は、散乱メカニズムは液晶/ポリマー界面での光屈折であると記載している。この特許文献20のどこにも、光散乱が液滴内の液晶ドメイン間の境界で起きるとは予期していない。

0053

この特許文献20は、従来技術のPDLCデバイス、詳細には、この特許文献20の先行技術の図13Aおよび図13Bにおいて示すのと同じポリマー系を使用することを意図している。図13Aにおいて、ポリマー表面に接するネマチック液晶分子は、局所表面に平行に整列する。従来技術のPDLCデバイスのポリマー系を使用することを記載し、光ラジカル重合を誘起する相分離型のプロセスをおおまかに説明する以外、この特許文献20は、ポリマー構造をどのように形成するか、またはこの構造の特性が何かを記載していない。例えば、以下のこと、すなわち、プレポリマー成分、各成分の重量パーセント液晶混合物におけるポリマーの重量パーセント、ネマチック液晶およびカイラル不純物成分の適切なタイプ、またはUV硬化条件については記載されていない。上述の説明から、この特許文献20の出願人は、従来技術のPDLCデバイスとすべての点で同一のポリマー構造を有するデバイスを想定したことは明らかである。このことから、液晶液滴も、PDLCデバイスと同様に、0.7ミクロン〜1.0ミクロンの平均直径であることを想定した。さらに、特許文献20の図面4Aは、この特許文献20において液滴の平均直径「d」が、「液晶ドメインの平均直径」と同一であり、唯一の必要条件は、「d」がらせんのピッチよりも長いことであることを示す。さらに、この必要条件は、従来技術の液滴の大きさ0.7〜1ミクロンを満たすものである。

0054

PCT/IE02/00079
PCT/IE00124
米国特許第5604612号明細書
米国特許第5437811号明細書
米国特許第6049366号明細書
米国特許第6671008号明細書
米国特許第7023600号明細書
米国特許出願公開第2007/0026163号明細書
米国特許第6061107号明細書
米国特許第6556262号明明細書
米国特許出願公開第2006/0066803号明細書
米国特許第6556262号明細書
米国特許第6203723号明細書
米国特許第5455083号明細書
米国特許出願公開第2004/0017523号明細書
米国特許第6924873号明細書
国際出願第01/55782号パンフレット
国際出願第02/093241号パンフレット
特開平第4−119320号公報
米国特許第5559615号明細書

先行技術

0055

Journal of the Society For Information Display (SID) “Progress in flexible and droplet reflective cholesteric display”
”Flexible Encapusulated Cholesteric LCDs by Polymerization Induced Phase Separation”, by Tod Scheneider et al. in the Society for Information Display SID 05 Digest, pages 1568-1571.
”Anchoring Behavior of Chiral Liquid at Polymer Surface : In Polymer Dispersed Chiral Liquid Crystal Films, by Haixia Wu, Georgia Institute of Technology, 2004

発明が解決しようとする課題

0056

しかし、本発明の出願人は、従来技術のPDLCの0.7ミクロン〜1.0ミクロンである液滴の大きさは、ネマチックまたはコレステリックの液晶のいずれを使用するかにかに関わらず、液滴内に顕著な光散乱を達成するには小さすぎることを発見した。このような従来デバイスにおける主な散乱メカニズムは、液滴のポリマー/液晶界面に留まり、したがって、特許文献20が想定したタイプのデバイスは、本発明のデバイスとは異なる主な散乱メカニズムおよび顕著に弱い散乱能しか有していない。

0057

上述の分析からは、ガラスに対するラミネートの共存性の点でPDLC膜における構造上の利点を有し、しかしPDLC膜に固有の視野角に伴ってボケの顕著な増大を克服する液晶膜(フィルム)が必要であること明らかである。PSCT膜は、いくつかの点において優れた光学特性を有するが、PDLC膜の内部構造を欠き、ガラスに対するラミネートおよび従来の方法を用いた他のラミネートに適合しないことが分かった。従来技術におけるPDLC膜は、それらの光学特性が反射性の従来ディスプレイの使用を制限するため、窓ガラス用途には不適格である。

課題を解決するための手段

0058

本発明は高分子(ポリマー)分散液晶システムを提供し、この高分子(ポリマー)分散液晶システムは、内部に液晶材料の複数の離散体を画定した連続的なポリマー構造を有し、液晶材料の前記離散体は、ポリドメイン動作状態を示し、このポリドメイン動作状態では、各離散体内の液晶材料が複数ドメインよりなるマルチドメインをなすよう配置され、各ドメインは、その分子が少なくとも1個の軸線に関して整列する点で識別できる共通配向を有する液晶材料の量によって画定されるものとし、互いに隣接するドメインの解決された(折り合いがついた)配向は、たがいに乖離し、また時間とともに安定するものとする。

0059

本発明のポリマー分散液晶系において、散乱は、主に、液晶材料がポリドメイン状態に維持されているとき、液晶(LC)材料の個別の離散体内におけるドメイン間境界で生ずる。これは、屈折率の不一致(OFF状態において)により散乱が液滴のLC/ポリマー境界で主に起こるPCLD/NCAPデバイスとは区別することができる。同様に、従来技術のPDCLCデバイスにおいて、散乱は、液滴のLC/ポリマー境界で主に起こり、また、液滴内の散乱は、ポリマー界面および液滴の液晶バルクの双方におけるLCらせんの強い秩序付けに起因して、弱いものでしかない。このデバイスは、LC材料の離散体内の大きく乖離したドメインが欠如している。PSCTデバイスは、LCドメインを有するが、LC材料は離散体ではなく、またポリマーは連続的な構造ではない。実際、ドメイン形成を促進する特徴は、LC材料に貫通するポリマーフィラメントであり、これらフィラメントは連続するポリマー構造の構造的強度をもたらすものではない。

0060

好ましくは、液晶材料の前記離散体は、本発明の高分子分散液晶システム(系)において、均一な動作状態を示すように影響を受け、この均一な動作状態では、液晶材料の各離散体内における大部分の液晶分子が少なくとも1個の軸線に関して整列する点で識別できる共通配向をとるものとする。

0061

好ましくは、ポリドメイン状態と均一状態との間における転移は、適切な電磁信号または電磁界を前記構造に加えることによって生ずることができるようにする。

0062

好ましくは、液晶材料の前記離散体は、さらに、前記ポリドメイン動作状態と均一動作状態との間の範囲における中間状態を示すように影響を受け、その結果、前記高分子分散液晶システム(系)は、ポリドメイン動作状態と均一動作状態との間における光学特性を有するものとする。

0063

したがって、切り替え可能な窓のような用途において、適切な電界また磁界の注意深い使用が、透明状態と不透明(または完全散乱)状態との間における中間状態である灰色範囲を誘起する。

0064

好ましくは、前記液晶は、前記ポリドメイン動作状態においてフォーカルコニックテクスチャになるものとする。

0065

好ましくは、前記ポリドメイン動作状態は、互いに乖離するドメイン間の各境界で光を屈折させることによって液晶離散体内で光を散乱させるものとする。

0066

好ましくは、この系は、さらに液晶離散体において染色分子を有し、前記ポリドメイン動作状態は、互いに乖離するドメイン間の各境界で光を屈折させ、また、ドメイン内の染色分子を通過するとき光を吸収することによって、液晶離散体内で光を散乱および吸収する。

0067

好ましくは、前記液晶は、通常モードで動作するコレステリック液晶とする。

0068

好ましくは、前記高分子構造は、膜とし、液晶の前記離散体は、互いに離れて分散する液滴として形成する。

0069

好ましくは、液晶材料の前記離散体の大部分は、上限および下限によって区切られる境界範囲内の体積を有し、前記下限は、ポリドメイン動作状態における乖離性配向を有するマルチドメインを有することができる最小体積であり、前記上限は、ドメインのほぼ乖離性配向がポリドメイン動作状態における前記離散体内で保持および安定化されている最大体積であるものとする。

0070

本発明による液滴の体積範囲は、従来技術のPDCLCディスプレイと異なり、ほぼ乖離性配向を達成するために、下限の体積で液滴体積は、PDLCディスプレイと同一サイズ(すなわち、0.7μm〜1.0μm)の液滴を有する従来技術のデバイスよりも大きくしなければならない。他の従来技術のPDCLCデバイスは、それらの液滴体積が大き過ぎて、それらのらせんの短いピッチのために、ドメインのほぼ乖離性配向における液滴の液晶バルクおよび液晶/ポリマーの平行な表面配向を安定化および維持できず、その結果、電界をオフにした後、時間とともに弱い乖離性を示すフォーカルコニックテクスチャに分解する。

0071

好ましくは、液晶材料の離散体の75%以上、好ましくは85%以上が、前記最小体積と最大体積との間の範囲における体積を有する。

0072

好ましくは、高分子構造内の液晶体の少なくとも75%の最大寸法が、2.5〜35ミクロンの範囲、好ましくは3.0〜25ミクロンの範囲、および最も好ましくは、3.0〜17.5ミクロンとなるようにする。

0073

好ましくは、視認する表面の1平方センチメートルあたりの、ポリマー/液晶界面の総面積は、平方センチメートルの単位で、Xは膜のセルギャップとし、Yは膜の液晶に対する重量比として表すと、1,714XY〜24,000XYの範囲、より好ましくは2,400XY〜20,000XYの範囲、最も好ましくは3,429XY〜20,000XYの範囲とする。

0074

好ましくは、前記液晶材料は、コレステリックピッチを有するコレステリック液晶材料とし、また、最大液晶離散体の体積は、液晶材料におけるコレステリックピッチの最大3倍の最大寸法によって画定するものとする。

0075

好ましくは、液滴の上限体積を最大化するため、コレステリック液晶のピッチを、0.8ミクロン以上、より好ましくは0.9ミクロン以上、最も好ましくは1ミクロン以上とする。

0076

好ましくは、均一状態(すなわち、クリア/透明状態またはON)を得るのに必要な動作電圧を最小化するため、コレステリック液晶のピッチは、1.0ミクロン以上、より好ましくは1.2ミクロン以上、最も好ましくは1.3ミクロン以上とする。

0077

好ましくは、「赤色イメージ抜け(red-image bleed-through)」として既知の現象(すなわち、赤色光が短い可視光波長よりも少なく散乱する)を最小化するため、コレステリック液晶のピッチは、1.0ミクロン以上、より好ましくは1.2ミクロン以上、最も好ましくは1.3ミクロン以上とする。

0078

好ましくは、カイラル不純物成分をネマチック液晶に加えてコレステリックにし、好ましくは1個またはそれ以上のカイラル不純物ドーパント)成分は、20以上、より好ましくは30以上の、らせん状ねじれ能(HTP)高度を有するものとする。

0079

好ましくは、前記離散体は、楕円であり、長軸長さの短軸長さに対する比を3:1未満とする。

0080

前記離散体は、概して楕円の部分であり、長軸長さの短軸長さに対する比を1.5:1未満とする。

0081

特定の実施形態において、この系は、プラナー(平面状)構造として設け、前記離散体は、前記構造の平面に直交する方向から見るとき、ほぼ多角形の断面図を有するものとする。

0082

好ましくは、液晶体とポリマー構造との間における界面で、ポリマー表面の分子構造は、液晶分子に影響を与え、ポリマー表面の平面から乖離する乖離性配向をとるものとする。

0083

ポリマー表面の平面に対して乖離した配向をとらせるように分子に影響を与えるポリマー表面のこの特徴は、ゴールが、ポリマー表面に対して平行または直交する状態のいずれかの状態にLC分子を配向させ、目指すテクスチャを達成する従来の系とは異なる。

0084

好ましくは、ポリマー表面で互いに隣接する液晶分子の大部分は、同じ配向を有さず、また、互いにほぼ乖離するものとする。

0085

さらに、好ましくは、ポリマー表面で液晶分子の配向の結果として、ポリマー表面に隣接する液晶分子を有するドメインは、ほぼ異なる方向に互いに乖離する配向を有する。

0086

最も好ましくは、前記ポリマー表面での前記分子構造は、高分子骨格から液晶材料内に浸透する置換基を有し、前記置換基は、ポリマー表面に隣接する液晶材料内で互いに乖離する前記乖離性配向を生ずる。

0087

好ましくは、前記液晶材料は、前記ポリドメイン状態のとき、フォーカルコニックテクスチャを示し、前記フォーカルコニックテクスチャにおける前記乖離ドメインは、ポリマー表面で液晶分子の乖離性配向によって生ずる。

0088

好ましくは、前記置換基は、液晶分子相互嵌合を支持し、立体的配置効果のために、前記置換基は、互いに離れる、または十分に傾斜して、相互嵌合した液晶分子を傾斜させる、もしくはポリマー表面における局部的法線に対して角度をなすようにする。

0089

好ましくは、ポリマー表面に隣接する前記液晶分子の大部分は、ポリマー表面の局部的法線に対して、10〜80゜の角度をなして配向するものとする。

0090

より好ましくは、ポリマー表面に隣接する前記液晶分子の大部分が、ポリマー表面の局部的法線に対して、20〜70゜の角度をなして配向するものとする。

0091

より好ましくは、ポリマー表面に隣接する前記液晶分子の大部分が、ポリマー表面の局部的法線に対して、25〜65゜の角度をなして配向するものとする。

0092

好ましくは、ポリマー骨格から液晶材料内に浸透する前記置換基は、1個またはそれ以上の単官能基のモノマーから形成するものとする。

0093

置換基は、好ましくは、4個より多いまたはそれに等しい炭素原子を有する直鎖を有するものとする。

0094

さらに、前記置換基は、2番目終わりから3番目の直鎖炭素原子との間の直鎖から伸びる1個またはそれ以上の炭素原子の1個またはそれ以上の分岐を有するものとする。

0095

好ましくは、前記分岐は、鎖において2個より多いまたはそれに等しい炭素原子をそれぞれ有するものとする。

0096

好ましくは、前記置換基は、単官能基モノマーの2−エチルキシルメタクリレートから形成するものとする。

0097

好ましくは、ポリマーは、アクリレート架橋剤およびアクリレート単官能基モノマー、またはメタクリレート架橋剤およびメタクリレート単官能基モノマーを有する高分子前駆体から形成するものとする。

0098

好ましくは、架橋剤トリメチロールプロパントリメタクリレートは、全架橋剤モノマーの30重量%またはそれ以上を有し、最も好ましくは唯一の架橋剤とする。

0099

これまでの好ましい実施形態において、ポリマーは、第1および第2モノマーを有するポリマー前駆体から形成し、第2モノマーを単官能基モノマーとし、重量パーセントは小さく、また、前記第1モノマーが前記液晶離散体を有するポリマー界面を形成する前にほぼ消費されるものとする。

0100

好ましくは、前記第2単官能基モノマーは、イソボルニル・メタクリレートまたはエチル・メタクリレートとする。

0101

好ましくは、重合溶液におけるポリマー前駆体の液晶材料に対する比は、10:90重量%〜70:30重量%とし、より好ましくは、20:80重量%〜50:50重量%とする。

0102

本発明はまた、重合誘起相分離によって高分子分散液晶システム(系)を調整する方法であって、
a)単官能基ノマー、架橋モノマー、液晶材料およびセルスペーサ材料の予重合混合物を調整するステップと、
b)前記単官能モノマーおよび前記架橋モノマーの重合を開始し、その結果生ずるポリマー構造内に液滴として前記液晶の相分離を誘起させるステップと、
を有する、該高分子分散液晶システム調製方法を提供し、この方法は、
架橋モノマーの単官能モノマーに対する比は、液晶体とポリマー構造との間に界面が形成される前に、重合反応において架橋剤がほぼ消費されることを確実にするほど十分に低いが、液晶の離散体としての分離、および連続するポリマー構造内における前記離散体の形成を確実にするほど十分に高いものとしたことを特徴とする。

0103

好ましくは、重合を開始するステップは、前記混合物を電磁エネルギー被曝させ、プレポリマーを光ラジカルで硬化するステップを有する。

0104

ポリマー構造は、電界または磁界のない状態下において形成することができ、液晶分子を硬化中均一に配向させる必要はない。

0105

本発明は、さらに液晶デバイスを提供し、この液晶デバイスは、膜の形式とした上述の高分子分散液晶構造と、前記膜を挟み込みかつ前記膜に接着する1対の基板とを備え、前記基板は、それぞれ前記高分子分散液晶の膜に対面する側面上に導電性電極コーティングを設け、前記膜を横切って電界を加えることのを容易にする。

0106

前記基板もポリマー膜(フィルム)とし、一側面に透明な導電性電極コーティングを設ける。

0107

本発明は、ホメオトロピック状態からポリドメイン状態に転移する間における、前記デバイスの放電率を選択することによって、液晶デバイスのポリドメイン状態におけるドメインの安定化した乖離性を最大限にする。

0108

このデバイスは、好ましくは、連続ロールとして設け、個々のデバイスの一体性を維持しながら、個々のデバイスを前記デバイスのロールから特定の大きさにカットすることができる。

0109

多くの重要な用途に対して、このデバイスは、好ましくは、法線に対して最大30゜の視野角範囲のヒトの目に対して、透明でほぼボケがない均一状態、および前記膜を経る視角的アクセスを遮断するポリドメイン状態で動作可能な厚さにする。

0110

好ましくは、少なくとも1個の基板にコートした導電性電極をパターン化して、アドレス可能な電極面積を独立して選択的に設ける。

0111

最も好ましくは、前記デバイスのポリマー構造は、十分な内部構造強度および前記ポリマーへの付着性を有し、エチレン酢酸ビニルEVA)の中間層使用に適合する工程におけるガラスペインへのラミネートに耐えることができるものとする。

0112

本発明はまた、上述した液晶デバイスを挟み込む1対の透明な荷重支持シートを有する窓ガラス構造も提供する。

0113

前記透明な荷重支持シートの一方または双方は、ガラスペインとする、代案として、一方または双方をアクリルシートとする。

0114

本明細書で用いる用語モノマーは、二量体三量体四量体五量体八量体十量体等のモノマーまたはオリゴマーすなわち比較的小数単位のすなわちポリマーの化合物対立する、単一分子として存在する分子を有する材料を示す。

図面の簡単な説明

0115

切り替え可能な窓に用いる、従来技術のPDLCまたはNCAP膜(フィルム)を示す。
ON状態における図1のデバイス内におけるLC材料の液滴動作を示す。
OFF状態における図1に示すデバイス内のLC材料の液滴動作を示す。
通常モードで用いる従来技術のPSCT膜を示す。
コレステリック液晶らせん構造を示す。
従来技術の反射性の双安定PDCLC膜を示す。
電界OFF状態における本発明のPDCLC膜の断面図を示す。
電界ON状態における本発明のPDCLC膜の断面図を示す。
ポリ(2−エチルへキシル・メタクリレート)の分子構造を示す。
Sigma−Aldrich社から入手可能なネマチック液晶4‘−ペンチル−4−ビフェニルカルボニトリルの分子構造および、単なる説明のために、通常および異例的な屈折率の方向を示す。
本発明のポリマー表面構造の実施例であり、その結果、互いに乖離する表面定着を生ずることを示す。
本発明のPDCLC膜を組み込む窓ガラス構造の断面図を示す。

0116

図6は、膜(フィルム)1の形式である本発明によるポリマー分散液晶構造を示し、ゼロ電界/OFF状態で強光散乱特性を示す。入射光線20は、膜表面に直交して膜1に入射するが、液滴12における液晶ドメイン間の境界で屈折する。光線20は、垂線に対して大きな角度をなして膜1から出射することを示す。光線21は、表面垂線から約30°で入射するが、効果的に内部で反射し、入射したのと同一表面から出射する。最後に、光線22は、鋭角的な角度で膜に入射し、いくつかの大きく異なる角度で出射するよう散乱する。

0117

図7は、膜1の形式とした本発明によるポリマー分散液晶構造を示し、適切な強さの電界/ON状態で可視光波長に対してクリア/透明状態となる特性を示す。基板表面に対してほぼ直交する方向に見るとき、光線23で示すように、ディスプレイは、ボケがほとんどなく、またはガラスの透明度に近い透明度を有する。見る角度を垂線に対する角度を増大するにつれ、光線24および25で示すように、ボケは、所定セルギャップにおける液滴12の体積および液晶複屈折に基づくレベルに基づいて僅かにボケ量が増大する。膜表面に垂直に入射する光に対して、液晶の屈折率をneとし、異例反射率と称する。ホメオトロピック(垂直)状態における液晶屈折率の方向を、参照符号17で示す。

0118

まずOFF状態にすると、図6において、液滴12はコレステリック液晶を含んでおり、このコレステリック液晶の分子は、参照符号13a,13bおよび13cで示すらせん構造に配向する。らせん軸線が互いに平行であり、したがって、同一屈折率を有するらせん構造を有する領域は、ドメインと称し、また、液滴12は、このようなドメインを数多く有し、一般的に、OFF状態においてポリドメインテクスチャまたはフォーカルコニックテクスチャと称する。各ドメインの境界で、屈折率が隣り合うドメインで一致せず、らせん軸線の相互乖離および液晶の複屈折から生ずる屈折率の不一致度が大きくなればなるほど、より強く光が屈折する。図6においてらせん構造13a,13bおよび13cの軸線は平行でなく、したがって、各らせん構造は液滴12内で異なるドメインに属する。本発明は、液滴12内で安定化した、ドメインの数およびドメインの乖離を最大化することによってOFF状態の不透明度を最大化する。

0119

膜1は、液滴12内のコレステリック液晶を使用し、これら液滴12自体はポリマーに分散させたものとしているため、このデバイスおよび膜は、PDCLC(ポリマー分散コレステリック液晶)デバイスまたは膜と称する。この略称の使用は、本発明のデバイスが従来技術のPDCLCデバイスと同じであることを意味するものではく、本発明によるデバイスは、OFF状態における散乱強度および主な散乱メカニズム、ならびにON状態におけるシースルー能力およびボケのない外観によって、従来技術のPDCLCデバイスとは容易に区別できるものであることを理解されたい。

0120

PDCLC膜におけるフォーカルコニックテクスチャの散乱能は、図5に示すような反射性の双安定PDCLCに典型的である弱く半透明的な散乱状態から、本発明により画定した閉じ込め手段を適用することによって、図6に示すようなOFF状態で安定化する強散乱ポリドメインテクスチャにまで増強されることを見出した。閉じ込め手段の効力は、ポリマー構造14に閉じ込めるとき、コレステリック液晶の離散した個別体積(液滴12)が、OFF状態においてポリドメインテクスチャを安定化させる、驚くべき特性を有する範囲の体積であるという発見に由来する。

0121

前記閉じ込め手段によって安定化した、ポリドメインテクスチャ内におけるドメイン乖離は、液滴のポリマー/液晶界面における「乖離性表面定着」と本明細書で称されるものを適用することによって最適化することがわかった。

0122

従来技術(PSCTデバイスおよび反射性の双安定PDCLC)より長いピッチを有するコレステリック液晶の使用は、多くの重要な利点を有することを見出した。好ましくは、コレステリック液晶のピッチは、通常モードの0.8ミクロン以下のPSCTシャッターに関する従来技術のピッチより約50%またはそれ以上も長い。

0123

長いピッチ(例えば1.4ミクロンのピッチ)を有するPDCLC膜は、短いピッチ(例えば0.8〜0.95ミクロンのピッチ)を有する膜よりもOFF状態において以下の利点を有することを見出した、すなわち、
a)安定化したポリドメインテクスチャを有する最大液滴体積が大きく、例えば、液滴体積の直径(または長軸)が0.8ミクロンピッチの膜(フィルム)における液滴体積の直径の約2倍となる、
b)赤色光がそれより波長の短い可視光よりも少なく散乱する「赤色イメージ抜け(red-image bleed-through)」として知られている現象が、ほぼ排除される。この赤抜け現象は、約0.9ミクロンまたはそれ未満のピッチを有する膜の望ましくない特性である。

0124

らせん形ねじれ能(HTP)大きさが20以上、好ましくは30以上であるカイラル不純物成分から液晶ピッチを導出することは、さらに液滴の上限体積を増大させる。カイラル不純物成分は、単独の成分または混合成分とすることができる。実施例2は、約33.5のHTPを有する単独のカイラル不純物成分を使用し、実施例3は2個の成分を使用し、一方は約−13.8のHTPの成分、他方は−33.5のHTPの成分とする。これら実施例において示される調製物を有する膜は、カイラル不純物成分が約13.8のHTPを有する実施例1の調製物と比較すると液滴の上限体積が増大する。

0125

さらに、上述の閉じ込め手段によって安定化し、また上述の乖離性表面定着によって最適化した、ポリドメインテクスチャにおけるドメインの乖離は、ホメオトロピック(ON)状態からポリドメイン(OFF)状態まで転移するため、上述のPDCLC膜の放電速度を選択することによって最大化することも見出した。

0126

表面定着は、OFF状態において散乱能を決定する役割を果たす。PDCLC膜におけるフォーカルコニックテクスチャの散乱能は、液滴内のポリマー/液晶界面で、本明細書において「乖離性表面定着」と称する現象を達成することによって、最大化できることを見出した。乖離性表面定着は、ポリマー表面構造全体にわたって生ずる(すなわち、望ましい表面でモノマーの選択を生ずる)ことができ、このことを本明細書で後に詳細に説明する。

0127

液滴のポリマー表面との界面における液晶分子の表面定着は、液晶分子のダイレクタがその表面に優先的な配向を示す。液滴のポリマー表面は、互いに隣接する液晶分子の大部分においてほぼ同一の配向(互いに平行なに整列)を誘発する場合、これを本明細書では「平行表面定着」と称する。従来技術において、平行表面定着である実施例において、プラナーまたは平面状(すなわち、広範囲分子配向がポリマー配向に平行である)と称し、またホメオトロピック(すなわち、広範囲の分子配向が、ポリマー表面に対して直交しかつ互いに平行である)と称する。

0128

上述した従来技術のデバイスは、すべて平行表面定着を有する。反射性の双安定PDCLC膜は、液滴内でポリマー/液晶界面で液晶分子のプラナー(平面状)配向を有する。PDLC膜は、一般的に、ホメオトロピック(垂直)配向を有するが、プラナー(平面状)配向もあり得る。NCAPは、プラナー(平面状)配向を有する。PSCT膜において界面にメソゲンポリマーから形成したポリマーネットワークを有する液晶分子はホメオトロピック(垂直)状に配向する。

0129

本発明においては、新規のタイプである望ましい表面定着、すなわち「乖離性表面定着」を見出した。乖離性表面定着は、互いに隣接する液晶分子の大部分が、ポリマー表面との界面で局部的表面に直交する軸線に対して同一配向を有することなく、むしろそれら配向は互いに乖離(相違)する。例えば、1個の液晶分子は、局部的ポリマー表面の法線に対して60°の角度をなし、一方の隣接分子は25°、他方の隣接分子は45°の角度をなす。

0130

可視化を目指すため、液晶分子の配向を直交デカルト座標系マッピングし、表面に直交する軸線を、Z軸と考え、XおよびY軸は表面の平面に存在する。この場合、局部的な表面に平行な液晶分子は、XおよびY軸に平行な平面上にある。液晶分子は、線分で示し、局部表面に平行であるとき分子の線分に沿うすべての点は同一Z座標を有し、局部表面に直交するとき線分上のすべての点は同一XおよびY座標を有し、また、Z軸に対して角度をなすとき、線分上のすべての点は同一のXまたはY座標のいずれかを有するが、両方は有さない、または全3軸において異なる座標を有する。後者は、全3軸において異なる座標を有する線分であり、典型的な乖離表面定着の液晶配向である。

0131

より詳細には、平行表面定着および乖離性表面定着は、ポリマー界面でコレステリック液晶スパイラル構造(らせん)の終端分子の配向を示す。コレステリック液晶におけるカイラル力は、図4に示すように、その液晶分子をらせん構造にする。最小構造は、らせんピッチの半分であり、その長さは、ハーフピッチの増分である。乖離性表面定着において、らせん終端分子のポリマー表面に対する角度は、液晶カイラルの競合力とポリマー表面との間で解決される(折り合いをつける)ものでなければならず、さもなければ表面配向は空間制約のためにらせんが互いに衝突することになる。本発明において、乖離性表面定着は、ポリマー界面でらせん終端液晶分子におけるこの結果として生ずる配向を示す。

0132

図10は、ポリ(2−エチルへキシル・メタクリレート)40から生ずる本発明による乖離性表面定着の実施例を示す。互いに隣接するらせん終端の液晶分子50aおよび50bは、互いに乖離する(背き合う)。それぞれのらせん構造において、分子51aおよび51bは平行である。液晶バルク内で、終端分子52は、50aおよび50bを含むらせん構造の乖離の結果として、50aおよび50bとは異なる向きに強制的に配向させられる。終端分子50a,50bおよび52を有する3個のドメインそれぞれにおける通常(ordinary)および異例な(extraordinary)液晶屈折率の方向を、それぞれ53a、53bおよび54で示す。任意の光入射角度に対しても、これら3個の隣接ドメインそれぞれにおける有効屈折率は、互いに大きく異なり、それぞれの境界で光を散乱(すなわち屈折)させる。

0133

らせん軸線はその分子(その終端分子も含む)に対して直交するため、ポリマー界面におけるらせん軸線は、ほぼ平行な表面定着のために平行になる傾向があり、またほぼ乖離する表面定着のために乖離する傾向がある。

0134

つぎに、閉じ込め手段について説明する。ON状態から電界をオフにするとき、液晶バルクにおいて大きな乱流を生じ、これは、液晶分子の崩れるホメオトロピック(垂直)配向がコレステリック液晶のカイラル力によってらせん配向に転換するからである。この転移期間中に液晶バルクにおいて新たに形成されたドメインは、乖離し、この乖離状態を保存し、閉じ込め手段によって安定化することができるため、経時的に持続する強散乱するポリドメインテクスチャを生ずることを見出した。閉じ込め手段は、液晶の離散する個別体積をカプセル化し、その個別体積は、ポリマー構造14においてキャビティ(液滴12と称する)内に、本発明が画定した範囲内に入る。

0135

瞬間的な液滴のポリマー表面における役割を無視すると、強く散乱するポリドメインテクスチャの安定化は、ドメインが遭遇するすべての軸線における移動自由度の欠如に由来し、この場合、物理容器(液滴12を画定するポリマー構造14におけるキャビティ)の軸線が、代表的にはらせんピッチの30倍未満である、またはピッチの長さがコレステリック液晶の体積を包囲する物理的容器の寸法に対して大きくする。

0136

液滴12の上限体積(すなわち、閉じ込め手段)は、液晶バルク内の力が液滴体積によって生ずる閉じ込め力を越え、これによりらせん軸線が僅かにしか乖離しない配向に移動できるようになるポイントであることを見出した。反射性の双安定PDCLCディスプレイにおける代表的な大きい液滴、およびコレステリック液晶の連続層に関して、この結果の状態は、弱く散乱するフォーカルコニックテクスチャである。

0137

液滴12の下限体積(すなわち、閉じ込め手段)は、ドメインの大部分がポリマー壁の界面を有するほど小さい体積となるポイントであることを見出した。この場合、液滴形状は、ドメインの配向を示し、液滴内で大きな光散乱を生ずるドメイン境界が液滴に不足することとは無縁となる。液滴内で大きな光散乱を生ずるドメイン境界が液滴に不足するのは、従来のPDCLCデバイスであり、PDCLディスプレイと同一の液滴サイズ(すなわち、0.7μm〜1.0μm)を有する従来のPDCLCデバイスの場合である。

0138

液滴12の上限体積および下限体積(すなわち、閉じ込め手段)は、らせんピッチに依存し、またそれより僅かにカイラル不純物成分のHTPの大きさに依存することを見出した。従来技術で既知のように、HTPの大きさとともに、カイラル不純物成分の濃度がらせんピッチを決定する。あるHTPに対して、濃度が小さくなればなるほど、らせんピッチは大きくなり、したがって、らせん長軸は長くなる。より長いらせんは、より短いらせんよりも、所定液滴体積内の移動自由度は小さいことを示す。この理論に拘束されるのは望まないが、この理論は、なぜ、例えば、0.8〜0.95ミクロンのピッチを有する本発明によるPDCLC膜が、液滴の長軸上限、すなわち約1.4ミクロンのピッチとした対応膜の液滴における長軸上限の半分とするかの理由を説明する。この理論は、なぜ、従来技術の反射性の双安定PDCLCがフォーカルコニックテクスチャにおける散乱が弱いかの理由を与える。このようなデバイスにおけるピッチは、代表的には0.25〜0.44ミクロンであり、したがって、らせんは、本発明のPDCLC膜と比較すると、極めて大きな移動自由度を享受する。

0139

ポリドメインテクスチャは、本発明による閉じ込め手段によって、経時的に安定化できるという驚くべき結果に至った。従来技術で説明したように、ポリドメインテクスチャを安定化させる既知のポリマー手段は、液晶バルクに貫通する繊維状ポリマーネットワークを使用するが、本発明においては、有利にも、液晶バルク内でポリマーに、ON状態でのボケに関与する付加的なポリマー/液晶界面を設けるのを回避する。

0140

しかし、閉じ込め手段(ポリマー構造内における離散キャビティ/液滴)を使用し、この閉じ込め手段の体積は、本発明が定義する2つの限界範囲内に選択するとともに、液晶ドメインを乖離性配向に安定させるものであり、その配向の乖離度を最大化することはない。なぜ、このことが言えるのかを説明するため、ポリマー表面における配向の影響を考慮すべきである。液晶ドメインの表面近傍に対するポリマー表面の平行配向の影響は、従来技術のPDCLCデバイスにおける液晶バルクにおけるドメイン乖離性を秩序付けし、乖離性を減少する。これに反して、本発明による乖離性表面定着は、本発明によるPDCLCデバイスの乖離性ドメイン配向を補強し、また大きく乖離するドメイン配向を生ずるのを促進しさえする。

0141

液滴のポリマー表面は、乖離性定着よりも平行によって規定されるようになるため、液滴の形態の安定化力に対する対抗力として作用し、この理由としては、ポリマー界面における液晶分子のより均一な配向が、これら液晶分子を含むらせん軸線のより一層の均一な配向を誘発し、またしたがって、液滴の液晶バルク内における秩序付け力を発生するからである。このことは、反射性の双安定PDCLCデバイスの液晶バルクにおける平面状(平行)配向を生ずるプラナーテクスチャに類似し、本発明による好適な表面構造によって生ずる秩序攪乱力とは異なる。

0142

さらに、表面が、乖離性定着よりも平行定着によって画定されるようになればなるほど、第1に、液晶のらせん軸線はポリドメインテクスチャ内により長いドメインでますます互いに整列するようになり、これにより光を散乱することができる境界表面の量をますます減少することになり、第2に、互いに隣接するドメインのらせん軸線相互がなす角度をますます減少し、これにより本発明の好適な表面構造により生ずる秩序攪乱力をますます減少する。

0143

OFF状態において、乖離性表面定着は、ポリマー界面における液晶の乖離性ドメイン配向を生じ、この乖離性ドメイン配向は、液晶バルク内およびバルクの中心近傍における隣接ドメインの乖離を引き起しまた補強する。効果的には、乖離性ドメインは、電界をオフにする際の液晶乱れ、およびらせんが表面に対する乖離角度に配向するときのポリマー表面の双方によって生ずる。

0144

本発明による液滴形態を有し、また大きく乖離する乖離性表面定着を生ずるモノマーで形成するPDCLC膜は、同様の液滴形態を有するが、ほぼ平行な表面定着を生ずるモノマーで形成した対応の膜よりもより高度に安定化した散乱能力を有する。

0145

平行表面定着の特徴を有する局部的表面領域を完全に排除することはできず、この理由としては、適切なモノマーを選択するとき他の要因も考慮しなければならないからである。例えば、平行表面定着を誘発する僅かなモノマーを添加する場合があり、これら僅かなモノマーはより強いポリマーマトリクスの強度および基板に対する付着性を付与するからである。

0146

液滴12の形状はその体積よりも重要ではないが、形状は液滴のポリマー総面積に影響する点(ポリマー表面の配向付けの影響)で重要であり、または液滴の軸線のうち一方は短く、この短い方の軸線の方向に複数のドメインを有する大きな液晶バルクを形成するようになるからである。

0147

好ましくは、所定の液滴に対して、その長軸はその短軸の3倍未満とし、またより好ましくは2倍未満とし、さらに好ましくはその2個の軸がほぼ等しい(球形)形状とする。

0148

代案として、液滴は、膜表面に対して平行な軸線を有するほぼ多角形断面とすることができる。

0149

膜を迅速に放電することにより、本発明によるPDCLC膜の安定化した散乱能力を最大にすることを見出した。この放電速度は、らせんピッチおよび液滴の大きさに依存する。比較的短いらせんピッチ(例えば、0.8〜1.0ミクロン)のPDCLC膜は、最も感度がよく、2.5〜4.0μmの範囲における最大軸を有する液滴は、好ましくは、10ms〜300ms、最も好ましくは50ms〜200msにわたって放電し;より大きな液滴、とくに5μm以上の液滴に関しては、放電速度は、好ましくは0.5ms〜10ms、最も好ましくは1ms〜3msである。逆に、比較的長いらせんピッチ(例えば、1.4ミクロンのピッチ)を有するPDCLC膜は、約300ms以下の放電から恩恵を受け、液滴の大きさには依存しない。

0150

膜から駆動信号を単純に遮断する(すなわち、回路開放する)従来技術に典型的な遅い放電は、ホメオトロピック(垂直)テクスチャからフォーカルコニックテクスチャまで転移してポリドメイン状態を最適化する液晶バルクにおいて十分な乱流を生じないと考えられる。とくに明記しない限り、散乱能の観察は、その最適な放電速度でPDCLC膜を放電させることによって行う。

0151

放電速度は、単に抵抗器によって制御することができ、この抵抗器のサイズはPDCLC膜のキャパシタンス(すなわち面積)に基づいて選択し、所望の放電時間は、前記膜のらせんピッチにより決まる。好ましくは、単極双投SPDTスイッチの方法を用いる。電極11a(図11参照)は、SPDTスイッチ極/共通に接続し、常開接点は、駆動信号の「+」極性に接続し、常閉接点は、放電抵抗器を経て信号接地アース)に接続し、また、電極11bは、駆動信号の「−」極性に直接接続する。このようにして、放電抵抗器は、PDCLC膜が作動した(常開接点にスイッチ投入する)とき、回路から外れるが、作動していない(常閉接点にスイッチ投入する)とき、PDCLC膜を放電する。

0152

つぎに、クリア/透明(ON)状態について説明すると、適切な強い電界があると、本発明のコレステリック液晶のらせん軸をほどき、フォーカルコニックテクスチャのポリドメインを消失させ、また、図7のように、液晶分子を電界に平行に配向(整列)させる(正の誘電異方性を有する液晶に対して)。この状態において、液晶は、ホメオトロピック(垂直)テクスチャを有し、高度に秩序付けし、また、液滴は、単独の液晶ドメインを有すると考えることができる。

0153

図7におけるON状態のPDCLC膜を、図1における従来技術のPDLCデバイス(および図2AにおけるON状態のPDLC液滴)と比較すると、図7における膜表面に直交する入射光線(例えば、光線23)は、概して、1〜3個の液滴12に衝突し、PDCLC膜を通過する。逆に、PDLC膜に直交する入射光線は、概して10〜15個の液滴に衝突する。

0154

液滴の数を最小化させると、所定のセルギャップおよび液晶複屈折に対するボケ量、とくに鋭角の角度で見る場合のボケ量を大きく減少させることを見出した。ON状態において、液滴内の体積は、共通の液滴配向を有する単独のドメインとなり、このドメイン内において、角度に無関係に可視光の無視できる散乱を生ずる。液滴の体積が増えると、究極的には膜内の局部的空間全体占領し、局部的空間は角度に無関係に無視できるほどのボケを有するだけである。ON状態におけるボケ量の最小化の結果、液滴体積を最大化することができる。

0155

再び、図7におけるPDCLC膜(液滴12が5〜10ミクロンまたはそれ以上の直径を有する)を、図1の従来技術のPDLC膜(液滴が1ミクロンの直径を有する)と比較すると、液滴の長軸は概して5〜10倍に増加し、それに伴う体積増加は(球形−4/3πr3を仮定する)、125〜1000倍となり、また、液晶の同体積の表面積減少は、5〜10倍(4πr2)である。明らかなことには、本発明は、ポリマーマトリクスと複屈折液晶との間における総界面面積は、従来技術よりも非常に小さい。前述したように、液滴における液晶(ON状態において液滴は単独ドメインである)と、カプセル化するマトリクスのポリマーとの間における界面で光は屈折し、これは、双方の材料における屈折率の不一致があり、複屈折する液晶は視野角依存の屈折率を有するからである。ボケ量を最小化するよう本発明が推奨する理論は、ポリマー/液晶界面の総面積を最小化し、また、液滴の体積を最大化することであり、本発明は、これによりボケを、とくに鋭角的に見る角度に対して最小化する。

0156

本発明が開示する基準の最大サイズに近いサイズの液滴を使用し、とくに楕円より球形に近い液滴を使用し、また、その長軸が1.5μm未満の液滴を回避することが極めて望ましく、この理由としては、長軸が1.5μm未満の液滴は、散乱能に対してほんの僅かしか関与しないが、鋭角的に見る角度でON状態のボケ量に大きく関与するからである。

0157

長いピッチ(例えば1.4ミクロン)を有するPDCLC膜は、短いピッチ(例えば0.8〜0.95ミクロン)の膜よりも、ON状態において以下の利点を有する。すなわち、
a)短いピッチの膜(OFF状態に関する従来技術参照)の約2倍の液滴セル直径(または長軸)を用いることができる結果として、膜における液滴数が少なく、例えば最大1/8(4/3πr3に基づいた計算)となり、また同一体積の液晶に関して液晶とポリマーマトリクスと間における界面の総面積は、最大1/2(4πr2に基づいて計算する)となる。完全にクリアな(ON)状態において、ボケ量をより一層減少し、とくに鋭角的に見る状態で減少させる。
b)完全にクリアな(ON)状態に切り替えるのに必要な最小電圧は低く、例えば、0.8ミクロンのピッチ膜における電圧の約半分である。

0158

本発明は、セルギャップ(X)および膜のLC割合(Y)として、視認表面の1平方センチメートルに対応するポリマー/液晶界面の面積値の範囲を下記の式のように開示する。ここで、
・X=膜のセルギャップ、とする。
・Y=LC重量/(LC重量+ポリマー重量)、とする。ポリマー重量は、ポリマー成分:モノマー+架橋剤+フリーラジカル開始剤の合計とする。
・球形液滴を仮定する。
・球形直径は液滴の長軸に一致すると仮定し、「r′」はその半径とする。
・平均液滴直径を使用する、または1個以上の特異分布帯域を有する液滴の場合、重み付けに基づいて各帯域分布する面積を合計する。
・面積はcm2の単位で表す。
最大表面積は、2.5ミクロンの液滴長軸に対応し、最小表面積は、35ミクロンの液滴長軸に対応する。
式:
ポリマー/LC界面の面積=(液滴数)×(液滴表面積
=(LC体積/液滴体積)×(液滴面積)
=XY/(4/3πr3)×4πr2(単位はcm2)
=3XY/r(単位はcm2)
PDCLC膜の最大表面積は、(2.5ミクロン液滴直径)であり、
ポリマー/LC界面の面積=3XY/0.000125(単位はcm2)
=24000XY(単位はcm2)
PDCLC膜の最小表面積は、(35.0ミクロン液滴直径)であり、
ポリマー/LC界面の面積=3XY/0.00175(単位はcm2)
=1714XY(単位はcm2)

0159

例えば、セルギャップが35ミクロンであり、また、膜が60%液晶および40%ポリマーマトリクスを有するとき、このPDCLC膜に対するポリマー/LC界面の面積の範囲は、3.6cm2〜50.4cm2である。1ミクロンの平均液滴直径を有する典型的なPDLCまたはNCAPに対応する界面面積は、126cm2である。

0160

実施例1において、4.25μmのセルは、視野角に無関係にボケがなく(すなわちガラス様である)。6.5μmのセルは、光線23および24に対してボケがないが、光線25の視野角が増加するため(法線から60°〜90°)ボケが若干あり、また、10μmのセルは、鋭角の視野角で6.5μmのセルよりも若干大きなボケを有する。しかし、実施例3は、その長軸が実施例1の膜の約2倍である液滴で形成した14ミクロンの膜は、実施例3はOFF状態において大きい散乱能を有するにも関わらず、実施例1における6.5ミクロンの膜と同様の、鋭角の視野角でのボケレベルを有していた。

0161

メソゲンポリマーネットワークで形成した16μmのPSCT膜を、本発明の6.5μmのPDCLC膜(実施例1参照)と比較すると、双方とも鋭角的視野角(法線から60°〜90°)で類似したボケのレベル(すなわち極めて小さい)を有するが、PDCLC膜は、他のすべての角度ですぐれた透明度を有することを示した。

0162

このことは、PSCT膜がそのポリマーネットワークにおいて5%未満のポリマーを有する結果として驚くべきことであるが、PDCLC膜は、そのポリマーマトリクスにおいて24%のポリマーを有し、ON状態において類似または優れた光学的透明度を達成した。

0163

好ましくは、ポリマーマトリクスの屈折率は、液晶の通常の屈折率に一致し、PDLC膜における実施例と類似する。従来技術において既知のように、ポリマーマトリクスの屈折率は、若干の液晶が重合化中にポリマーマトリクスに入るため、その値における液晶成分を有する。また、PDLC膜における実施例と同様に、ポリマーマトリクスの屈折率は、液晶の通常屈折率と異例屈折率との間の中間値に一致する。

0164

ポリマー相が分離し、液晶外およびポリマーマトリクス内に移動する完全性は、重合化処理中も、ON状態におけるボケを画定する重要な要因である。重合化処理後に液晶液滴内に残っているいかなるポリマー凝集体も、ON状態のホメオトロピック(垂直)配向を局部的に乱し、したがって、液晶の有効屈折率を局部的に変化させ、また、光線は局部的領域を通り抜けるために、付加的なポリマー/液晶界面も提供する。これらの現象は双方ともボケを増加させる。同様の理由から、液滴の壁(ウォール)設け、液滴内に突入するポリマー表面人為構造(すなわち、ポリマー凝集体)を最小化するのが極めて望ましい。

0165

液晶内における微量のポリマーの存在に関わらず、離散液滴体積内の液晶は、液滴体積内部にネットワーク、ウォールまたは他の構造のいずれかを形成するのに十分な量のポリマーが存在しないことは重要である。液滴内のドメイン境界は、隣接する液滴体積によって画定し、液滴体積内部の液晶/ポリマー境界によっては画定しない。

0166

従来技術において既知のように、液晶ディスプレイは、「灰色」状態を有するように動作させることができる。本発明のPDCLC膜は、また、ポリドメイン(OFF)動作状態とホメオトロピック(ON)動作状態との間における中間状態の範囲を示すように操作することができ、その結果中間的光学特性を示すようになる。

0167

広範囲の中間状態は、ゼロボルトとホメオトロピック(垂直)配向に必要な電圧との間における中間の電圧を加えまた維持する従来技術の方法を用いることによって利用できる。ドメインおよびらせんは電界を受け、またそれに応じてその状態を変化する。ドメインが収束する、またはらせんがほどける程度は、加える電界によって制御し、したがって、散乱度(または透明度)を直接制御する。

0168

ON状態のボケを、とくに鋭角的な視角で最小化するため、OFF状態における散乱能に必要な用途を満足させる可能な限り小さいセルギャップを用いることが望ましい。実施例1において、本発明による液滴の形態および乖離性ポリマー表面定着の必要条件に従って形成したPDCLC膜は、6.5μm以上のセルギャップに対して、膜を経る、または、膜を有するガラス、アクリルまたはポリカーボネートラミネートを経る、視覚的アクセスを遮断する、十分に強い散乱能を有する。10μmのセルギャップで、本発明のPDCLC膜の散乱能は、20μmのセルギャップを有する代表的なPDLC,NCAPまたはPSCT膜に等しい。

0169

本発明によって、本発明のPDCLC膜における非常に小さいセルギャップの使用によって、従来技術の膜に匹敵する散乱能に達し、その結果、必要な液晶が少なく、コストは低下し、動作電圧は減少する。

0170

代案として、ON状態のボケを最小化するため、液晶の複屈折を最小化し、セルギャップは、従来技術の値、一般的に20〜25ミクロンを維持する。このようにして、液滴界面における液晶と高分子との間における屈折率の不一致は、大きく低下する。液滴内の散乱能は、ポリドメインテクスチャにおけるドメイン間の屈折率の不一致が減少するため、減少するが、セルギャップの増加およびポリドメインにおけるドメイン境界の散乱部位の数によって相殺する。

0171

本明細書における記載の結果として、当業者には、セルギャップを変化させ、多かれ少なかれ必要な複屈折を有する液晶を選択することによって、本発明のPDCLC膜をボケがない散乱能の必要条件を満たすように最適化することができることは明らかであろう。

0172

セルギャップ16は、好ましくは、4μm〜75μm、より好ましくは5μm〜25μmの範囲とする。

0173

以下に、本発明によるPDCLC膜の選択方法、およびモノマー、光開始剤、ネマチック液晶、およびカイラル不純物成分を含む前駆物質、ならびに透明な導電基板間のPDCLC材料から成る層を形成する重合化条件について説明する。

0174

適切なモノマー/プレポリマーを選択するのに多くの要因を考慮しなければならず、これら要因としては、以下のものがある。すなわち、1. 使用すべき重合化処理/一般的な方法。乳化またはPIPS、およびPIPS内の重合化を誘起する方法で、例えば熱的誘起(TIPS)、溶媒蒸発誘起(SIPS)、または光ラジカル誘起であり、後者は、本発明の好ましい方法、2. 結果として生ずるポリマーマトリクスの屈折率、および液晶の通常屈折率に一致する必要条件、または必要な通常屈折率と異例屈折率との間における中間値に収まるようにする条件、3. モノマーの化学構造は、結果としてできるポリマーマトリクス(または乳化する場合におけるカプセル化ウォール)のためのポリマー/液晶界面における乖離性表面定着に必要な条件に関連するので、モノマーの化学構造、4. 各モノマー/プレポリマーの反応性であって、選択したモノマーを有する混合物内の各モノマーの反応性、および混合物全体の反応性の双方を含む、該モノマー/プレポリマーの反応性、5.カイラルネマチック液晶混合物の粘性(有利には、高い粘性によって、ゆっくりと重合し、したがって、液晶およびポリマーの完全な相分離を促進する)、6.ポリマーマトリクス構造所要機械的特性、すなわち強度、可撓性、および基板に対する付着性、ならびにこれを達成する各モノマーの役割、7. 混合物全体における各成分の可溶性(均一な単一相が、重合化開始において好ましい)、8. 混合物全体の粘性(とくに、その処理設備との適合性)、9.PDCLC膜に対する硬化時間およびロール間製造との適合性(とくにPDCLC膜の連続的なロールを製造する必要条件)
がある。

0175

光ラジカルで硬化する重合化誘起相分離PIPSは、本発明の好ましい方法である。光開始剤を使用し、この光開始剤はUV放射の下で分解され、連鎖成長重合化を開始するフリーラジカルを生成する。伝播が進行すると、重合鎖は、分子量を大きくし、また、液晶の液滴を、相分離によりバルクから排除する。これら液滴は合体してより大きな液滴を形成し、最終的に重合化が終了する時点で定着する。

0176

ポリマー前駆体は、2個またはそれ以上の不飽和モノマーおよび光開始剤を含む。重量パーセントで少量の1個またはそれ以上のモノマーを多官能性とし、一般的に架橋剤と称する。他のモノマーは単官能性とする。PIPS方法において、架橋剤は、連続するポリマーマトリクス内に分散液晶液滴を形成するのに必須である。ポリマー前駆体において十分な架橋剤がなければ、液晶は、PSCTデバイスに類似する1個またはそれ以上の大きな連続相に残る。

0177

従来のPDLCディスプレイにおいて、ポリマーマトリクスの前駆体は、通常、基本架橋剤として機能する1個またはそれ以上のチオールモノマーおよび/またはオリゴマーを有する。他のモノマーは、アルケンオレフィンまたはビニルとしても知られている)化合物であり、低い官能性を有する。アクリレート型は、とくにオリゴマーとして、普通のPDLCに使用するが、型も用いることができる。PDLCディスプレイのマトリクスとして一般的に使用される前駆体の例としては、ノーランドプロダクツ社(Norland Products, Inc.)の光接着剤NOA65がある。これは、チオールモノマーTMPTMP(trimethylolpropanetri(3-mercaptopropionate))、商業用エポキシアクリレートオリゴマーEbecryl E270、アクリレートモノマーEHA(2-ehtyl-hexanolacrylate)、およびHDDA(hexanedioldiacrylate)、および市販の光開始剤D1173がある。

0178

普通のPDLC膜のチオール型架橋剤系に加えて、アクリレート/メタクリレート型の架橋剤系もあり、これは、本発明の好ましいタイプであるが、以下の説明では、当業者に公開されているチオール型の架橋剤を用いる。

0179

アクリレート架橋剤のトリメチロールプロパン・トリアクリレートTMPTAは、トッド・シュナイデル(Tod Schneider)氏らによるSociety for Information Display SID 05 Digest, pages 1568-1571における“Flexible Encupsulated CholestericLCDs by Polymerization Induced Phase Separation(重合誘起相分離によるフレキシブルカプセル化コレステリックLCD)”において特徴付けられた双安定の反射PDCLC膜における高分子前駆体として用いる。エチル・メタクリレートEMAは、モノマーであり、Irgacure651は、光開始剤である。

0180

本発明において、適切なアクリレートおよびメタクリレートは、様々な置換官能基があり、この置換官能基は、直鎖アルキル基分岐アルキル基アリル基アルキルアリル基、アリルアルキル基多岐アリルアルキル基、アルキル多岐アリル基、アルキルシクロアルキル基シクロアルキルアルキル基ヒドロキシアルキル基フルオロアルキル基フルオロアリル基、アルキルシロキサン基、シロキサンアルキル基、シロキサンアリル基、およびアリルシキサン基として分類できる。特定調合物用の特定のアクリレートまたはメタクリレートの選択は、本明細書で説明する基準を用いて行う。

0181

本発明において用いるアクリル酸塩(アクリレート)の例としては、複数の官能基を有し、潜在的に架橋剤として適切であり、単独の架橋剤または他の架橋剤との組み合わせのいずれかとすることができ、ポリマー前駆体としては、ジアクリル酸ジエチレングリコール、ジアクリル酸1,4−ブタンジオール、ジアクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジアクリル酸ジクペンタニル、ジアクリル酸グリセロール、ジアクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジアクリル酸ネオペンチルグリコール、ジアクリル酸テトラエチレングリコールトリアクリル酸トリメチロールプロパン、テトラアクリル酸ペンタエリトリトール、トリアクリル酸ペンタエリトリトール、ジアクリル酸トリプロピレングリコール、テトラアクリル酸ジトリメチロールプロパンヘキサアクリル酸ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタアクリル酸ジペンタエリトリトール、ウレタンアクリル酸オリゴマー、およびトリアクリル酸オリゴマーがある。

0182

本発明において用いるメタクリル酸塩(メタクリレート)の例としては、複数の官能基があり、潜在的に架橋剤として適切であり、単独の架橋剤または他の架橋剤との組み合わせのいずれかとすることができ、ポリマー前駆体としては、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸1,4−ブタンジオール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸ジクロペンタニル、ジメタクリル酸グリセロール、ジクメタクリル酸1,6−ヘキサンジオール、ジメタクリル酸ネオペンチルグリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,4−ブタンジオール、ジメタクリル酸ビスフェノールA、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸ペンタエリトリトール、トリメタクリル酸ペンタエリトリトール、テトラメタクリル酸ジトリメチロールプロパン、ヘキサメタクリル酸ジペンタエリトリトール、モノヒドロキシペンタメタクリル酸ジペンタエリトリトール、およびウレタンメタクリル酸オリゴマー、スチレンアミノスチレン、および酢酸ビニルがある。

0183

本発明において用いるアクリル酸塩(アクリレート)の例としては、単官能性を有し、潜在的にモノマーとして適切であり、単独のモノマーまたはコモノマーのいずれかとすることができ、ポリマー前駆体としては、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸2−エチルーヘキサノールアクリル酸ブチルエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸2−シアノエチルアクリル酸ベンジルアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸ジシクロペンテニルアクリル酸グリシジル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸エチルベンジル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソデシル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸1−メチルへプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−メチルへプチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸モルホリン、アクリル酸フェノキシエチル、およびアクリル酸フェノキシジエチレングリコールがある。

0184

本発明において用いるメタクリル酸塩(メタクリレート)の例としては、単官能性を有し、潜在的にモノマーとして適切であり、単独のモノマーまたはコモノマーのいずれかとすることができ、ポリマー前駆体としては、メタクリル酸エチルメタクリル酸メチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ブチルエチル、メタクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸2−シアノエチルメタクリル酸ベンジル、メタクリル酸エチルベンジル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンテニル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸n−ブチルメタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸モルホリン、メタクリル酸フェノキシエチル、およびメタクリル酸フェノキシジエチレングリコールがある。

0185

本発明において用いるプレポリマー・モノマーは、好ましくは、カイラルネマチック液晶と混和し、重合化前に均一な溶液を形成する、アクリル酸塩(アクリレート)またはメタクリル酸塩(メタクリレート)の液状化合物である。好ましくは、モノマーは、これらのモノマーのオリゴマーまたは樹脂から選択し、粘性のカイラルネマチック液晶との混和性を促進する。

0186

プレポリマー混合物内の各モノマーの反応性およびプレポリマー混合物の全体反応性は、適正なポリマーマトリクス形態を形成する上で重要である。

0187

反応率は、各反応成分(すなわちモノマー)を他の反応成分と互いに反応させて、他の反応成分に対する親和性を測定する。モノマーの反応率は、そのモノマー自体を添加する所定ラジカルの反応定数と、他のモノマーを添加する所定ラジカルの反応定数との比である。2個のモノマーの混合物において、モノマーの反応率rmonomerが1より大きければ、モノマーはそれ自身と反応しやすく、rmonomerが1より小さければ、モノマーはほかのモノマーと反応しやすい。反応率が1より大きいモノマーは、反応率が1より小さいモノマーより重合反応において速く消費される。

0188

例えば、メチルメタアクリレートMMAおよびヒドロキシエチルメタクリレートHEMAを有する混合物に対する反応率は、rMMA=0.62およびrHEMA=2.03である。このことは、双方を含む混合物の重合化中に、MMAラジカルはHEMAモノマーよりも他のMMAモノマーと反応しにくく、また、HEMAラジカルはMMAよりも他のHEMAと2倍反応しやすいことを示す。総合すると、反応率は、HEMAがMMAよりも速く消費されることを示す。共重合に対する反応率の測定は、当業者に既知であり、例えば、Odian, Principles of Polymerization, 2nd Ed., John Wiley & Songs, pages 425-430(1981)において説明されている。

0189

本発明において、単官能のモノマーのそれ自体に対する反応率は、選択した架橋モノマーとの混合物において、好ましくは1より大きく、より好ましくは2.5より大きく、最も好ましくは5より大きいものとする。後者は、単官能ラジカルが、架橋剤モノマーとの反応よりもそのモノマー自体との反応の方が5倍反応しやすいことを意味する。架橋剤は、好ましくは、それ自体とは低い反応性を示し、ポリマー前駆体において単官能モノマーと反応しやすい。架橋剤モノマーのそれ自体との反応率は、好ましくは1より小さい、より好ましくは0.4より小さく、最も好ましくは0.20より小さいものとする。

0190

本発明のポリマー前駆体における架橋剤の重量パーセントは、消費率、その分子量、およびその官能基(官能性)を考慮して(反応率に基づいて)概算する。PIPS反応を平衡させる一般的な指針として、未反応の架橋剤基および未反応の単官能モノマー基の数が、ほぼ一定比率になるよう維持し、双方の数を反応終了時付近まで存続させる。この指針からポリマー前駆体において、
(架橋剤反応数)(単官能モノマー反応の架橋剤反応に対する比)=モノマー反応の数
であることが導かれる。

0191

この等式は、本発明のポリマー前駆体における指針として用いる、架橋剤の単官能性モノマーに対する以下の比を生ずる、すなわち、
(架橋剤重量%/単官能モノマーの重量%)=(架橋剤の分子量/単官能性モノマーの分子量)/(単官能モノマー反応の架橋剤反応に対する比・架橋剤の官能性)
である。

0192

例えば、単官能モノマーのそれ自体との反応率(rmonomar)=6であり、架橋剤のそれ自体との反応が無視できる反応性を有するとき、単官能モノマーの分子量は100であり、架橋剤の分子量は200であり、架橋剤は三官能性であるとき、
架橋剤重量%/単官能モノマー重量%=(200/100)(6*3)=1/9
となる。

0193

または比で表すと、ポリマー前駆体において架橋剤の重量%:単官能モノマー重量%=1:9である。

0194

本発明において、有利には、架橋剤の重量%の上限は、上述の平衡系の式で示した値より幾分小さい(例えば、10%以下程度小さい)ものとする。これによって、大部分の単官能モノマーが重合の終了時付近まで存在し、また液滴のポリマー表面の大部分が、単官能モノマーから形成される。このことは、単官能モノマーの選択により、必要な表面構造(乖離性表面定着)を得る上で重要である。また、有利には、単官能モノマーは、その屈折率(またはより正確には、取り込まれた液晶成分を含むときの、結果として生ずる屈折率)を、液晶の通常屈折率に一致させる必要がある。

0195

本発明において、上述の平衡系の式は、架橋剤の重量%を導くとともに、上述の段落は架橋剤の上限を開示し、また、その下限が、ポリマー系における可能性画定し、液晶を離散液滴として相分離させる能力によって決定されることを開示している。混合物全体の所定ポリマー重量パーセントおよび硬化中の所定紫外UV光強度に関して、架橋剤重量パーセントは、液滴を形成するのに十分でなければならない。

0196

ポリマー重量%、硬化中のUV光強度、および架橋剤重量%間でのトレードオフ(妥協点)があることを見出した。好ましくは、所望液滴形態は、以下のステップ、すなわち、1.ポリマー/液晶溶液全体におけるポリマーパーセントを一定にする(好ましくは、20〜30重量パーセント、より好ましくは21〜25重量パーセントにする)ステップ、
2.光開始剤重量%を最小レベルに近い値ではあるが、依然としてモノマーのポリマーへの高い転換を確保する値に維持するステップ、
3.約365nm波長ピークエネルギーを有する長い波長のUV光を使用し、光の強度レベルを一定にし、また、片側または両側のいずれかからでも硬化する(好ましくは、0.5mW/cm2〜10mW/cm2の間の強度)ステップ、
4.架橋剤の単官能モノマーに対する比を、上述の平衡式によって決定した比からスタートして増加させ(すなわち、重量パーセントを減少させる)、また生成された、所定ポリマー/液晶混合物に対対して、良質に形成され、均一な離散液滴を生成することができる、架橋剤の重量パーセントの上限および下限を確立する、ステップ、
5.必要があれば、ステップ4を繰り返し、その後、ステップ1,2または3のいずれかで固定値を変え、所定の液滴形態を得るステップ、
6.架橋剤の重量パーセントの上限および下限を確立した後、好ましくはその中間値を用いるステップ、
7.ステップ6の完了後、ステップ3で固定した値に関してUV光の強度を変化させることで、液滴の大きさを変化させ、光学的品質を最適化するのに有用なステップ、
により得られる。

0197

本明細書において開示する所定の材料調製に対する液滴体積の上限および下限を実験的に決定するため、液滴の長軸長さ(すなわち直径)をスキャンする膜を準備し、OFF状態における散乱能を測定または目視比較を行う。本発明が定義した最小液滴体積以下または最大液滴体積以上では、散乱能が急激に低下することを見出した。膜の散乱能の指標として、例えばハンターラボ社のColorQuest XEを用いて透過光のボケ量のレベルを測定すると都合がよい。

0198

架橋剤とペアにする単官能モノマー基の選択において、初期的な化学的洞察によると、メタクリル酸塩/メタクリル酸塩のペア組み(ペアリング)は、メタクリル酸塩/アクリル酸のペア組みよりもより近い反応率、またはその逆とする。この洞察は、反応性ビニル結合性質に由来し、そのすぐ隣の結合基は、ビニル結合から離れた−O−連鎖側鎖基よりもその反応性に大きな影響を及ぼす。この化学的洞察は、反応率を決定する代わりにならないにも関わらず、ペア組みの一般的な互換性を導く有用な指針である。

0199

本発明において、ポリマー前駆体の全体的反応性は、混合物内のカイラルネマチック液晶の粘性をも考慮しなければならない。有利には、チオール型系全般にわたりアクリル酸塩架橋剤液のより遅い反応性が、またメタクリル酸塩の架橋剤系のより遅い反応性であっても、好ましいことを見出した。同様の理由によって、モノマーがオリゴマーまたは樹脂よりも好ましい。

0200

つぎに、ポリマー表面構造、とくに、結果として生ずるポリマーマトリクスにおいて液滴のポリマー/液晶界面における乖離性表面定着の要件に関連するモノマーの化学構造につき説明する。本発明によれば、ポリマー界面は、架橋剤を重合化終了時近く、しかし液滴表面を形成する前までに使い切るとき、単官能モノマーから形成される。液滴表面では、ポリマー分子が連鎖し、その置換基(ポリマー前駆体における単官能モノマーの置換基)は、液晶内に広がり、液晶分子の分子レベル相互作用する。界面でのこの分子レベルの相互作用は、上述したように液晶バルクのカイラル力を受けやすく、どのように解決する(折り合いをつける)かが、結果として生ずる表面定着が平行性または乖離性のいずれに分類されるか否かを決定する。

0201

上述したように、単官能モノマーの置換基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリル基、アルキルアリル基、アリルアルキル基、多岐アリルアルキル基、アルキル多岐アリル基、アルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、ヒドロキシアルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアリル基、アルキルシロキサン基、シロキサンアルキル基、シロキサンアリル基、およびアリルシロキサン基に分類できる。従来技術のPDLCディスプレイによって立証されているように、液晶分子のほぼ平行な配向(プラナー(平面状)またはホメオトロピック(垂直状)のいずれであっても)が大部分のモノマーの置換基における典型であり、本発明によるPDCLC膜において必要な乖離性配向、とくに、強散乱安定化ポリドメインテクスチャを導く配向は、本発明による選択方法を採用しない限り、容易に達成できない。

0202

乖離性表面定着を生ずるモノマーに好ましい上述の分類において、実質的に1個の単官能モノマーが液滴のポリマー表面を形成するとき、その置換基が、好ましくは、4個以上の炭素原子を有する長い直鎖を有し、より好ましくは、置換基が長い直鎖と、とくに2番目および終わりから3番目の炭素原子でまたはその間で分岐がある、1個またはそれ以上の分岐鎖と、の双方を有するものとし、最も好ましくは、置換基は長い直鎖と、2番目および終わりから3番目の炭素原子でまたはその間で分岐がありかつ、分岐が2個以上の炭素原子を有し、例えば、2−エチルへキシル・メタクリレートEHMAである、1個またはそれ以上の分岐鎖と、の双方を有するものとする。後者は、本発明の好ましい単官能モノマーである。

0203

図8は、液滴12の表面の、単官能モノマー(2−エチルへキシル・メタクリレートEHMA)を重合することによって形成した、ポリ(2−エチルへキシル・メタクリレート)40を示す。参照符号41はポリマー骨格、参照符号42は6個の炭素原子を有する長い直鎖炭素鎖のヘキシル鎖、また、参照符号43は2個の炭素原子を有するエチル分岐で、へキシル鎖の2番目の炭素で分岐しているものを示す。

0204

図10において、ポリ(EHMA)40を有する液滴のポリマー表面の置換基42および43は、上述したように、カイラルネマチック液晶分子50aおよび50bと相互作用する。液晶分子は、ポリマー表面に対して平行に、直交してまたは角度を付けて配向することができるとともに、後者の角度付き配向が、ポリ(EHMA)が本発明の強乖離性表面定着を生ずる可能性がもっとも高い。

0205

EHMAのエチル分岐43は、隣接するEHMA置換基を立体的配置効果により傾斜させ、それによって、液晶分子を、局部的なポリマー表面に角度を付けて配向させることができると考えられる。立体的配置効果は、分子内の原子が所定量の空間を占領するために生じ、原子が互いに近接しすぎる場合、電子雲重複するためにエネルギーを犠牲にし、これが分子の好ましい形状に影響を与える。長いヘキシル鎖42(6個の炭素原子)は、2番目の炭素原子におけるエチル分岐43とともに取り込まれるとき、液晶分子の相互嵌合を支持する(すなわち、分岐後における4個の炭素原子を液晶分子に相互作用させる)。2番目の炭素原子でのエチル分岐の位置は、ポリマー骨格からの立体配置効果を最小化し、さもなければ平行配向に利すると考えられる。

0206

有利には、ポリマー前駆体の単官能モノマー化合物は、1個より多いモノマーを有することができる。この場合における付加的モノマーは、2つの異なる役割を果たす。第1の役割は、このモノマーを付加して、PDCLC膜の物理特性、例えば強度、可撓性性または基板に対するポリマーマトリクスの付着性等を改善することである。この役割において、通常は、液滴ポリマー表面において存在する付加的モノマーを共重合体として有することは望ましくない。付加的モノマーの反応率が重量%の単位において好ましいモノマーよりも高く、また付加的モノマーが僅かな重量%しかないことを確実にするによって、付加的モノマーを、ポリマーマトリクスのバルク形成にほぼ使い切り、重合化の終了時近くに好ましいポリマーのみが残り、液滴表面を形成するようにする。例えば、イソボルニル・メタクリレートIBOMA最大30%(単官能モノマーの重量の)まで、EHMA(70%)に加えると、ポリマーマトリクスの膜基板に対する引きはがし粘着力を改良するとともに、ポリドメインテクスチャにおける散乱能を低下させないことを見出した。しかし、IBOMAが大部分を占める単官能モノマーである、または単独の単官能モノマーである場合、散乱能は低下する。後者において、PDCLC膜は弱い散乱能を有する。

0207

付加的単官能モノマーの第2の役割は、付加的モノマーが好ましいモノマーと協調して、乖離性表面定着を改善または生成することである。この役割において、単官能モノマーの反応率は互いに類似しており、したがって、双方ともに存在して液滴の液晶界面でコポリマー(共重合体)表面を形成する。本発明において、液滴のポリマー表面を形成するのに使用する単官能モノマーは、互いに協調して、隣接するまたは近接する液晶分子を互いに乖離(相違)した角度に配向させなければならない。液晶内にポリマー/コポリマー骨格から浸透する置換基は、以下の特徴を有する、すなわち置換基が液晶分子の相互嵌合を支持しなければならず、また、立体的配置効果により、十分に置換基を離れさせるまたは傾斜させて相互嵌合した液晶分子を、局部的ポリマー表面の法線に対して好ましくは10〜80゜、より好ましくは20〜70゜、最も好ましくは25〜65゜の角度をなすよう傾斜させるもしくはこの角度にすることを確実にするという特徴を有する。

0208

上述したように、らせんの終端分子がポリマー表面に対してなす、結果として生ずる角度は、表面配向がそうでなければ界面での広さの制約によってらせん衝突を生じてしまう場合において、液晶カイラルの競合力とポリマー表面定着との間で解決する(折り合いを付ける)必要がある。本発明のポリマー表面によって生成した液晶配向(乖離性表面定着)は、ランダムではなく、むしろ、開示したように、本発明に従って選択したポリマーの置換基と、界面における液晶分子との間の相互作用の結果である。ポリマー表面上の所定配向部位に関して、同様に解決された乖離性配向は、コレステリック液晶がON(すなわちホメオトロピックおよび単独ドメイン)からOFF(すなわちフォーカルコニックおよびポリドメイン)に転移する度毎に再現される確率が高い。本発明のポリマー/液晶界面におけるらせん軸の類似した乖離性配向は、OFF状態に転移する度毎に得られ、したがって、本発明における表面定着から得られる配向は、乱雑ではない。類似した、強散乱ポリドメインテクスチャは、本発明によるPDCLC膜がOFF状態に転換する度毎に得られ、OFF状態がどのくらいの長さ持続するかに無関係に、この強い散乱状態で安定化される。

0209

本明細書から、本発明のポリマー前駆体において、アクリル酸塩(アクリレート)またはメタクリル酸塩(メタクリレート)の架橋剤が好ましいことがわかる。とくに好ましいのは、メタクリル酸塩の架橋剤である。最も好ましいのは、トリメチロールプロパン・トリメタクリレートTMPTMAである。好ましいポリマー前駆体も、1個またはそれ以上のメタクリル酸塩を有する。最も好ましいのは、単独の単官能モノマーとして用いるとき、2−エチルへキシル・メタクリレートである。有利には、EHMAよりも高い反応率を有する、1個またはそれ以上の付加的な単官能モノマーを添加して、物理特性を改善する。最も好ましくは、イソブチル・メタクリレートIBOMAまたはエチル・メタクリレートEMAを、ポリマー前駆体において単官能モノマーの30重量%有するものである。

0210

プレポリマーに添加する光開始剤は、フリーラジカル重合に適する任意のタイプ、例えば、ベンゾインメチルエーテルBME(SigmaAldrich社から入手可能)、もしくはIrgacure651(Ciba Specisality Chemicals社から入手可能)として既知の2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1等、または、184,819もしくは907等のIrgacureのファミリーからの他の任意な光開始剤とすることができる。好ましくは、光開始剤は、モノマー(すなわち架橋剤および単官能モノマーを有する)の1~10重量%、より好ましくは1.125〜3重量%で添加する。

0211

つぎに、本発明において用いるコレステリック液晶に戻って説明する。従来技術のコレステリック液晶混合物も潜在的には適切である。代案として、単独でまたは添加剤をドープして、一つの状態においてフォーカルコニックテクスチャ、他の状態においてホメオトロピック(垂直)テクスチャのいずれかを示すような、任意の液晶も適用でき、この理由としては、その結果生ずる混合物はこれら状態を示すよう動作する液晶の異なる相の混合物であるからである。従来技術の後者の例としては、コレステリック液晶の大部分と混合した少量のカイラルスメクチックC液晶がある。

0212

カイラル(キラリティー)を示すコレステリック液晶分子を用いることができるが、カイラルネマチック液晶混合物が好ましい。後者において、カイラル不純物成分をネマチック液晶に添加して、コレステリック液晶のらせんねじれの秩序付け(すなわち、コレステリック相)特性を生ずる。カイラル不純物成分のネマチック液晶に対する濃度を変化させることによって、その結果生ずるらせんのピッチを変化させる。ピッチが短くなればなるほど、より大きなねじれ力が必要であり、したがって、カイラル不純物成分の濃度をより高くする必要がある。しかし、カイラル不純物成分は、ネマチック液晶よりも高い粘性を有するため、コレステリック液晶の粘性とピッチ長さのと間のトレードオフ(妥協事由)がある。

0213

本発明のコレステリック液晶は、好ましく調整し、反射ピーク波長赤外線範囲となるようにし、このようにして可視光を反射しない(すなわち、可視光を透過する)ものとする。より好ましくは、コレステリック液晶を調整して、反射ピーク波長が1ミクロンより大きい、より好ましくは1.5ミクロンより大きい、最も好ましくは2ミクロンより大きいものとする。

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