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課題・解決手段

本発明は、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤及びその治療的適用に関する。さらに本発明は、有効量の少なくとも1つのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤の投与を含む、いずれかの種類の疼痛炎症性障害免疫学的疾患増殖性疾患感染性疾患心血管疾患及び神経変性疾患を予防し及び/または治療する方法に関する。式(I)。

化1】

概要

背景

(発明の背景
サイクリン依存性プロテインキナーゼ(「CDK」)は、細胞周期の制御及び転写調節等の、細胞内での複数の役割を担う十分に保存された酵素ファミリーを構成する(Science 1996, Vol. 274:1643-1677; Ann. Rev. Cell Dev. Biol., 1997, 13:261-291)。

CDK1、2、3、4、及び6等の、ファミリーのいくつかのメンバーは、G1の静止期(細胞分裂の新たな一区切りについての有糸分裂DNA複製の開始との間のギャップ)からS期(活発DNA合成の期間)への進行、又はG2期から、活発な有糸分裂及び細胞分裂が生じるM期への進行など、細胞周期の異なる相間の移行を制御する。CDK7、8、及び9を含むこのファミリーのタンパク質の他のメンバーは、転写周期における鍵となる点を制御するのに対し、CDK5は、神経細胞及び分泌細胞の機能における役割を担う。

CDK複合体は、制御サイクリンサブユニット(例えば、サイクリンA、B1、B2、D1、D2、D3、及びE)と触媒キナーゼサブユニット(例えば、cdc2(CDK1)、CDK2、CDK4、CDK5、及びCDK6)との会合を通じて形成される。名称含意するように、CDKは、CDKの標的基質リン酸化するために、サイクリンサブユニットへの絶対的な依存性を示し、異なるキナーゼ/サイクリン対は、細胞周期の特定の部分を通じて進行を制御するよう機能する。

悪性細胞の中心的な特徴の1つである細胞周期の制御障害が、CDK及びその制御因子の遺伝的な変化及び脱制御と密接に関連していることは公知であり、CDKの阻害剤は、癌等の増殖性疾患のための治療薬として有用であり得ることを示唆する。このように、CDKを標的とする小分子阻害剤は、癌治療法における甚大な関心対象焦点であった(Current Opinion in Pharmacology, 2003(3): 362-370)。細胞周期の進行を阻害する能力は、癌等の増殖性疾患のための治療薬としての、CDKの小分子阻害剤についての一般的な役割を示唆する。細胞周期関連CDKの阻害は、腫瘍学の適用において明確に関連性があるが、これは、RNAポリメラーゼを制御するCDKの阻害に関する場合ではないかもしれない。

セリン/トレオニンキナーゼCDK5は、その補因子p25(又はより長い補因子であるp35)とともに神経変性障害連関しており、cdk5/p25(又はcdk5/p35)の阻害剤はそれゆえ、アルツハイマー病パーキンソン病、脳卒中、又はハンチントン病等の神経変性障害の治療に有用である。CDK5阻害剤を使用するこれらの神経変性障害の治療は、CDK5が、タウタンパク質のリン酸化に関与するという知見によって支持される(J. Biochem, 117, 741-749 (1995))。また、CDK5は、トレオニン75でのドーパミン及びサイクリックAMPにより制御されるリンタンパク質(DARPP-32)をリン酸化し、このように、ドーパミン作動性神経伝達における役割を有することにおいて示される(Nature, 402. 669-671 (1999))。

サイクリン依存性キナーゼ5(CDK5)は、DARPP-32のリン酸化の状態を制御することに関与する。CDK5は元来、p34cdc2プロテインキナーゼの相同体として同定された。その後の研究は、cdc2とは異なり、CDK5キナーゼ活性分裂中の細胞で検出されないことを示してきた。代わりに、CDK5の活性型形態は、分化した神経細胞においてのみ存在し、分化した神経細胞において、CDK5の活性型形態は、p35と呼ばれる神経細胞特異的35kDa制御サブユニットと結合する。CDK5/p35は、発達中の及び成体の神経系における多様な役割を担っている。近年の研究は、CDK5の誤制御をアルツハイマー病と関連付けてきた(Kusakawa, G.らの文献(2000. J. Biol. Chem. 275:17166-17172)、Lee, M. S.らの文献(2000. Nature 405:360-364)、Nath, R.らの文献(2000. Biochem. Biophys. Res. Commun. 274:16-21)、Patrick, G. N.らの文献(1999. Nature 402:615-622))。これらの研究において、カルパインの作用によるp35のp25への変換は、CDK5の長期化した活性化及び変化した局在化を生じる。順に、cdk5/p25は、タウを過剰リン酸化でき、細胞骨格構造を崩壊でき及び一次神経細胞のアポトーシスを促進できる。

また、近年の研究は、CDK5がThr75においてDARPP-32をリン酸化することを示してきた(Nishi, A.らの文献(2000. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:12840-12845)、Bibb, J. A.らの文献(1999. Nature 402:669-671))。Thr75においてリン酸化されたDARPP-32は、PKAの阻害剤である(Bibbらの文献(1999. Nature 402:669-671))。CDK5によるThr75におけるDARPP-32のリン酸化は、PKAを阻害することによって、PKAによるDARPP-32におけるThr34のリン酸化を低下させ、DARPP-32/PP1カスケードにおける重要な修飾の役割を担う(Bibb, J. A.らの文献(1999. Nature 402:669-671))。

驚くべきことに、第一のメッセンジャー及び他のシグナル伝達事象によるCDK5の制御については、ほとんど知られていない。それゆえ、CDK5の制御と関連した疾患又は障害を治療するのに使用できる新規組成物又は薬物を開発するために使用できる新たな化合物を提供する必要性が、当技術分野において存在する。さらに、CDK5によって制御される細胞内シグナル伝達経路の異常又は制御障害に少なくとも一部起因するこれらの疾患又は障害のための治療を開発する必要性が存在する。本発明は、これらの方法及び組成物を提供する。

さらに、疼痛のシグナル伝達におけるCDK5の関与は、Pareekらの文献(PNAS 103, pp. 791 - 796)、及びPareekらの文献(Cell Cycle 5:6, pp. 585 - 588)において概説されてきた。50を超える薬理学CDK阻害剤が記載されており、そのうちのいくつかは、強力な抗腫瘍活性を有する(Current Opinion in Pharmacology, 2003(3): 362-370)。公知のCDK阻害剤についての包括的な総説は、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2003, 42(19):2122-2138において見出され得る。

例えば、癌の治療のためのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤としての2-アニリノ-4-フェニルピリミジン誘導体の使用は、WO2005/012262において報告されている。さらに、癌等の治療のための2-ピリジニルアミノ-4-チアゾリル-ピリミジン誘導体は、WO2005/012298に記載されている。プロテインキナーゼ阻害剤としての4,5-ジヒドロ-チアゾロオキサゾロ及びイミダゾロ[4,5-h]キナゾリン-8-イルアミンの使用は、WO2005/005438から公知である。さらに、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤として有用なインドリノン誘導体及びインリビン(induribin)誘導体は、WO02/081445及びWO02/074742に開示されている。さらに、治療上の多様な適用のためのCDK阻害剤は、WO2005/026129に記載されている。

公知のCDK阻害剤は、一般的にCDKを阻害するCDK阻害剤の能力に従って、又は特異的CDKに対するCDK阻害剤の選択性に従って分類され得る。例えば、フラボピリドールは、「受け皿の」CDKアンタゴニストとして作用し、特異的CDKに対して特に選択的ではない(Current Opinion in Pharmacology, 2003(3): 362-370)。オロモウシン、ロスコビチンプルノロール(purvanolol)及びCGP74514A等のプリンベースのCDK阻害剤は、CDK1、2及び5に対するより大きな選択性を呈することが公知であるが、CDK4及び6に対する阻害活性を何ら示さない(Current Opinion in Pharmacology, 2003(3): 362-370)。さらに、ロスコビチン等のプリンベースのCDK阻害剤が、神経系において抗アポトーシス性効果を発揮でき(Pharmacol Ther 2002, 93:135-143)、又はアルツハイマー病等の神経変性疾患における神経細胞の死滅を予防できることが示されている(Biochem Biophys Res Commun 2002 (297):1154-1158; TrendsPharmacol Sci 2002 (23):417-425)。

増殖性疾患、免疫学的疾患感染性疾患心血管疾患及び神経変性疾患等の容態の治療のための標的指向化CDKのすばらしい潜在性を考慮すると、具体的なCDKの選択的阻害剤としての小分子の開発は、所望の目的の構成要素となる。

本発明は、サイクリン依存性キナーゼの新規の小分子阻害剤を提供する。好ましくは、該小分子阻害剤は、具体的なCDKを阻害する高い効能を示す。該小分子阻害剤は、増殖性疾患、免疫学的疾患、神経変性疾患、感染性疾患及び心血管疾患等の容態の治療のための治療的有用性を有し得る。さらに、本発明の小分子阻害剤は、炎症性疾患の及びいずれかの種類の疼痛の治療において有益な効果を発揮することが驚くべきことに示されている。

疼痛についての現行の治療は、部分的に効果的であるに過ぎず、また多くは、衰弱させる又は危険な副作用を生じ得る。例えば、重度の疼痛を治療するのに使用される伝統的な鎮痛薬の多くは、吐き気めまい便秘呼吸抑制、及び認知機能障害等の衰弱させる副作用を誘発する(Brower, 2000)。

麻酔性鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬カルシウムチャネル遮断薬筋弛緩薬、及び利用可能な全身性コルチコステロイドのような認可された疼痛投薬の広範な名簿はすでにあるが、該治療は、単に経験的なままであるに過ぎず、及び該治療は、疼痛の症状を軽減し得るが、該治療は、ほとんどの場合において軽減を完了させるには至らない。また、このことは、異なる種類の疼痛の発達に潜む機構が、なおもほとんど理解されていないに過ぎないという事実による。研究者は、各種類の疼痛についての神経インパルス遅延させるのに使用されるシグナル伝達系複雑性及び多様性をまさに正しく認識し始めつつあるに過ぎない。

一般的に、疼痛は、国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain(IASP))に従って、実際の又は潜在的な組織の障害と関連した不愉快な感覚的及び情動的経験として定義され、又はこのような障害の点で記載される。特に、疼痛は、急性又は慢性の疼痛として生じ得る。

急性疼痛は、短時間、典型的には1ヶ月未満の間生じ、一時的な障害と関連する。急性疼痛は、短時間内でさらなる障害を生じ得る生理学的又は生化学的変化を、宿主に知らせるための自然な身体反応である。有害な刺激が、末梢神経終末における高い閾値機械侵害受容器及び/又は熱侵害受容器を活性化させ、薄い有髄(Aδ)の及び/又は無髄(C)の求心性線維における誘発活動電位知覚のある脳に到達する場合、急性疼痛が感じられる。該有害な刺激は、損傷、手術病気外傷又は有痛の医学的手法によって提供され得る。急性疼痛は通常、潜在的な原因が治療され又は治癒された場合に消失する。しかしながら、軽減されない急性疼痛は、長期の入院再入院外来診療所及び緊急部門への訪問、並びに高額な保健医療費用を結果として生じ得る慢性疼痛の問題に至り得る。

急性疼痛とは対照的に、慢性疼痛は、初期損傷が治癒された後に長く持続し、しばしば身体の他の部分へ拡大し、それに伴って多様な病理学的及び精神医学的結果が生じる。慢性的体性痛は、末梢組織における外傷に対する炎症反応から結果的に生じ(例えば、神経の絞扼外科的手法、癌、又は関節炎)、それが侵害受容器の感作過剰及び通常非有害の刺激に対する激しい灼熱性疼痛反応に至る(痛覚過敏)。慢性疼痛は、持続的かつ再発性があり、その強度は、軽度から、生活の質を有意に低下させ得る重度の身体障害疼痛まで変動するであろう。

慢性疼痛は目下のところ、NSAID(イブプロフェンナプロキセン)、Cox-2阻害剤(セレコキシブバルデコキシブロフェコキシブ)及びアヘン製剤コデインモルヒネテバインパパベリンノスカピン)等の従来の鎮痛薬で治療される。しかしながら、有意な数の患者に対して、これらの薬物の提供する疼痛軽減は不十分である。

別のサブタイプの疼痛である炎症性疼痛は、急性及び慢性の疼痛として生じ得る。結果として生じる組織及び神経細胞の損傷は、このような炎症性事象を継承して、長期間持続する慢性の神経因性疼痛効果へ発展してはならないが、発展し得る。
炎症性疼痛は、例えば、組織損傷、疾患、又は炎症後に放出される炎症性仲介物質(例えば、TNFα、プロスタグランジン、P基質ブラジキニンプリンヒスタミン、及びセロトニン等のサイトカイン)のような有害な刺激及び他の有害刺激(例えば、熱刺激機械的刺激、又は化学的刺激)によって仲介される。さらに、サイトカイン及び増殖因子は、神経細胞の表現型及び機能に影響し得る(Besson 1999)。これらの仲介物質は、組織の周囲のいたるところに分布する侵害受容器(感覚受容器)によって検出される。該侵害受容器は、長期化した場合、組織に障害を与えるであろう有害な刺激(例えば、機械的、熱の、又は化学的)に対して感受性がある(Koltzenburg 2000)。特別なクラスのいわゆるC型侵害受容器は、機械的刺激又は熱刺激のいずれのレベルにも反応しないが炎症のみの存在下で活性化するあるクラスの「サイレントな」侵害受容器に相当する。

特に炎症性疼痛の治療のための現行のアプローチは、サイトカイン阻害(例えば、IL1β)及び炎症誘発性TNFαの抑制を目的とする。認可された現行の抗サイトカイン/抗TNFα治療は、インフリキシマブ及びエタネルセプト等の、血流中のTNFα循環を低下させるキメラ抗体に基づいている。TNFαは、COX-2、MMP、iNOS、cPLa2及びその他等の重要な酵素の合成を誘導する最も重要な炎症性仲介物質の1つである。しかしながら、これらの「生物製剤」の主要な欠点は、効能の損失付随する生物製剤の免疫原性の可能性及び、循環しているTNFαの多かれ少なかれ全か無のデジタルな減少に至る生物製剤の動態に存する。後者は、重度の免疫抑制性の副作用を結果として生じ得る。

別個の形態の慢性疼痛である神経因性(又は神経原性)疼痛は、末梢神経又は中枢神経機能障害の結果として生じ、病因及び部位において異なる多様な容態を含む。一般的に、神経因性疼痛の原因は多様だが、末梢神経又は中枢経路の構成要素に対する障害に関する普遍的な症状を共有する。原因となる因子は、代謝性の、ウイルス性の又は機械的な神経病変であり得る。神経因性疼痛は、末梢神経系、中枢神経系、又はその両者における異所性体性感覚過程によって持続されると信じられている。神経因性疼痛は、侵害受容器の刺激と直接連関していないが、代わりに、例えば脊髄灰白質後角)にあるシナプス後神経線維におけるグルタミン酸受容体の感作過剰から生じると考えられている。

神経因性疼痛は、糖尿病及び帯状疱疹後神経痛帯状疱疹)における神経変性等の容態と関連している。神経因性疼痛の容態は、糖尿病、エイズ多発性硬化症、切断後の断端痛及び幻肢痛、癌関連ニューロパチー、帯状疱疹後神経痛、外傷性神経損傷虚血性ニューロパチー、神経圧迫、脳卒中、脊髄損傷を含む多くの疾患及び容態の結果である。

神経因性疼痛の管理は、神経因性疼痛の発達及び維持に関与する機構に関する不適切な理解に一部依存して、臨床上の主要な挑戦の域を出ない。既存の多くの鎮痛薬は、神経因性疼痛を治療する上で効果がなく、現行の麻酔性及び非麻酔性薬物のほとんどは疼痛を調節しない。現行の臨床的実施には、神経因性疼痛の管理のための多くの薬物クラス、例えば抗痙攣薬三環系抗うつ薬、及び全身性局所麻酔薬の使用が含まれる。しかしながら、このような治療の通常の結果は、部分的又は不満足な疼痛軽減であり、いくつかの場合、これらの薬物の有害作用は、該薬物の有用性よりも重い。古典的な鎮痛薬は、神経因性疼痛の治療においてほとんど効果がなく又はまったく効果がないと広く信じられている。神経因性疼痛の治療における非ステロイド性消炎薬(NSAID)又はアヘン製剤の使用に関するいくつかの臨床研究が実施されたが、実施された該臨床研究において、結果は、NSAIDがほとんど効果的ではなく又はまったく効果的ではなく、及びアヘン製剤が高い用量でしか作用しないことを示すように思われる。末梢神経因性疼痛(PNP)についての調節された臨床データ分析する総説(Pain, November, 1997 73(2), 123-39)は、NSAIDがPNPのための鎮痛薬としておそらく効果的ではなく、薬物の鎮痛効果を支持する長期的なデータが全くないことを報告した。

入手可能な鎮痛薬はしばしば、疼痛軽減が不十分である。三環系抗うつ薬及びいくつかの抗てんかん薬、例えばガバペンチンラモトリギン及びカルバマゼピンは、患者によっては有効であるが、これらの容態の治療に有効な薬物について、まだ対処されていない需要が大きいままである。
結論として、疼痛治療、特に慢性の炎症性疼痛及び神経因性疼痛に関する安全でかつ効果的な方法について、まだ対処されていない需要が高い。

概要

本発明は、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤及びその治療的適用に関する。さらに本発明は、有効量の少なくとも1つのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤の投与を含む、いずれかの種類の疼痛、炎症性障害、免疫学的疾患、増殖性疾患、感染性疾患、心血管疾患及び神経変性疾患を予防し及び/または治療する方法に関する。式(I)。なし

目的

それゆえ、CDK5の制御と関連した疾患又は障害を治療するのに使用できる新規の組成物又は薬物を開発するために使用できる新たな化合物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

一般式I記載の化合物:及びそのN酸化物誘導体プロドラッグ誘導体、保護された誘導体、個々の異性体及びその異性体の混合物;並びにこれらの化合物の医薬として許容し得る塩及び溶媒和物(例えば、水和物):(式中、R1が、-XSO2NR5R6又は-XSO2R8であり;Xが、C1-4アルキレン分岐鎖アルキレンを含む)であり、この中で、該C1-4アルキレンは、R5又はR6へ結合して5員又は6員の複素環を形成でき;R5及びR6は互いに独立して、水素、C1-4アルキルヒドロキシ-C1-4アルキル又はC3-4アルケニル、C3-8-シクロアルキル、C3-8-シクロアルキル-C1-4アルキル又はC4-7-ヘテロシクロアルキル-C0-4アルキル、C4-7-アリール-C0-4-アルキル、C4-7-ヘテロアリール-C0-4アルキルであり、又はR5及びR6が結合するN原子とともに、該R5及びR6はまた、5〜8員のヘテロシクロアルキルを形成することができ、この中で、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキルはさらに、ハロ、ヒドロキシ、アミノカルボニル、C1-4アルキル、ヒドロキシ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-O-C1-4アルキル、C1-4アルキル-O-及び-NR5R6からなる群から選択される最大2個のラジカルによって任意に置換され;R8は、C1-4アルキル、ヒドロキシ-C2-4アルキル又はC3-4アルケニル、C3-8-シクロアルキル、C3-8-シクロアルキル-C1-4アルキル又はC4-7-ヘテロシクロアルキル-C0-4アルキルであり;この中で、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアルキルはさらに、ハロ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、ヒドロキシ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-O-C1-4アルキル、C1-4アルキル-O及び-NR5R6からなる群から選択される最大2個のラジカルによって任意に置換され;R2は、ハロゲン及び水素から独立して選択される1又は2個の置換基であり;R3は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-4アルキル-シクロアルキル、C1-4アルキル-ヘテロシクロアルキル、-O-ヘテロシクロアルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニルオキシ、-OCF3、C2-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニルモノ-及びジ-(C1-C4アルキル)スルホンアミド、アミノカルボニル、モノ-及びジ-(C1-C4アルキル)アミノカルボニル、アリール-C1-4アルコキシ、ヘテロアリール-C1-4アルコキシ、ヘテロシクロアルキル-C1-4-アルコキシ、ヘテロシクロアルキル-C1-4-アルキル、ヘテロアリール-C1-4-アルキル、C1-4アルキルオキシメチル、ヒドロキシ-C1-4アルキルオキシメチル、シアノ、-COOH及びC1-C4アルコキシカルボニルからなる群から各々独立して選択される1〜3個の置換基であることができ、この中で、上述の置換基は、C1-4アルキル、ヒドロキシル-C0-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、アミノカルボニル、ハロ、及びNR5R6の群から選択されるラジカルによってさらに置換でき;R4a及びR4bは、同一又は異別であり、かつ各々が独立して、水素、C1-4アルキル又は-NR'R"であり、この中で、R'及びR"は各々独立して、水素又はC1-4アルキルである。)。

請求項2

R3が、メチル、エチルヒドロキシメチル、ヒドロキシ、メトキシエトキシイソプロポキシベンジルオキシ、水素、フルオロクロロ、トリフルオロメチル、2-メトキシ-エトキシ、メトキシメチル、2-メトキシ-エチル、テトラヒドロ-フラン-3-イルオキシ、テトラヒドロ-フラン-2-イル-メトキシ、-N(CH3)SO2CH3、ピペリジン-1-イル-メチル、2-ヒドロキシメチル-ピペリジン-1-イル-メチル、3-ヒドロキシメチル-ピペリジン-1-イル-メチル、3-(2-ヒドロキシ-エチル)-ピペリジン-1-イル-メチル、3-アミノカルボニル-ピペリジン-1-イル-メチル、ジメチルアミノメチルジエチルアミノメチル、(エチル-イソプロピル-アミノ)-メチル、モルフォリン-4-イルメチル、4-メチル-ピペラジン-1-イル-メチル、[1,2,4]トリアゾール-1-イル-メチル、ピリジン-3-イル-メトキシ及びピリジン-4-イル-メトキシからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。

請求項3

R1が、-XSO2NR5R6であり、R5が、水素、メチル、2-ヒドロキシエチルシクロブチルシクロペンチル、2-ジメチルアミノエチル、3-ジメチルアミノプロピル、テトラヒドロ-フラン-3-イル、ピロリジン-3-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、及び4-ピペリジニルからなる群から選択され、及びR6が、水素又はメチルであることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の化合物。

請求項4

R1が、-XSO2R8であり、かつR8が、ヒドロキシ-C2-4-アルキルであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。

請求項5

前記化合物が、式Ia記載の構造を有することを特徴とする、請求項1記載の化合物及びそのN酸化物誘導体、プロドラッグ誘導体、保護された誘導体、個々の異性体及びその異性体の混合物;並びにこれらの化合物の医薬として許容し得る塩及び溶媒和物(例えば、水和物)(式中、R1が、-CH2SO2NR5R6又は-CH2SO2R8であり、R2が、水素であり、R3aが、水素又はC1-4アルコキシであり、R3bが、水素、ジアルキルアミンによって任意に置換されるC1-4アルキル、C1-4-アルキルによって又はヒドロキシル-C0-4-アルキルによって任意に置換されるヘテロシクロアルキル-C1-4-アルキル、又はヘテロアリール-C1-4-アルキルであり;R3cが、水素又はハロゲンであり、R4a及びR4bが各々独立して、C1-4アルキル又は水素であり、R5が、水素、メチル、2-ヒドロキシエチル、シクロブチル、シクロペンチル、2-ジメチルアミノエチル、3-ジメチルアミノプロピル、テトラヒドロ-フラン-3-イル、ピロリジン-3-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル及び4-ピペリジニルからなる群から選択され;R6が、水素又はメチルであり、R8が、ヒドロキシ-C2-4-アルキルである。)。

請求項6

下記からなる群から選択される、請求項1記載の化合物:{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-メタンスルホンアミド(化合物1);C-{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-N-メチル-メタンスルホンアミド(化合物2);及び{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-6-メチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-メタンスルホンアミド(化合物3)。

請求項7

医学的使用のための、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。

請求項8

医薬として許容し得る担体とともに請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物を含有する医薬組成物

請求項9

治療的有効量の少なくとも1つの請求項1〜6記載の化合物を投与することを含む、いずれかの種類の疼痛炎症性障害免疫学的疾患増殖性疾患感染性疾患心血管疾患及び神経変性疾患の群から選択される疾患の治療方法

請求項10

いずれかの種類の疼痛が、慢性疼痛炎症性疼痛及び/又は神経因性疼痛を含む、請求項9記載の方法。

請求項11

いずれかの種類の疼痛、炎症性障害、免疫学的疾患、増殖性疾患、感染性疾患、心血管疾患及び神経変性疾患を治療するための医薬組成物を調製するための、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物の使用。

請求項12

いずれかの種類の疼痛が、慢性疼痛、炎症性疼痛及び/又は神経因性疼痛を含む、請求項11記載の使用。

背景技術

0001

(発明の背景
サイクリン依存性プロテインキナーゼ(「CDK」)は、細胞周期の制御及び転写調節等の、細胞内での複数の役割を担う十分に保存された酵素ファミリーを構成する(Science 1996, Vol. 274:1643-1677; Ann. Rev. Cell Dev. Biol., 1997, 13:261-291)。

0002

CDK1、2、3、4、及び6等の、ファミリーのいくつかのメンバーは、G1の静止期(細胞分裂の新たな一区切りについての有糸分裂DNA複製の開始との間のギャップ)からS期(活発DNA合成の期間)への進行、又はG2期から、活発な有糸分裂及び細胞分裂が生じるM期への進行など、細胞周期の異なる相間の移行を制御する。CDK7、8、及び9を含むこのファミリーのタンパク質の他のメンバーは、転写周期における鍵となる点を制御するのに対し、CDK5は、神経細胞及び分泌細胞の機能における役割を担う。

0003

CDK複合体は、制御サイクリンサブユニット(例えば、サイクリンA、B1、B2、D1、D2、D3、及びE)と触媒キナーゼサブユニット(例えば、cdc2(CDK1)、CDK2、CDK4、CDK5、及びCDK6)との会合を通じて形成される。名称含意するように、CDKは、CDKの標的基質リン酸化するために、サイクリンサブユニットへの絶対的な依存性を示し、異なるキナーゼ/サイクリン対は、細胞周期の特定の部分を通じて進行を制御するよう機能する。

0004

悪性細胞の中心的な特徴の1つである細胞周期の制御障害が、CDK及びその制御因子の遺伝的な変化及び脱制御と密接に関連していることは公知であり、CDKの阻害剤は、癌等の増殖性疾患のための治療薬として有用であり得ることを示唆する。このように、CDKを標的とする小分子阻害剤は、癌治療法における甚大な関心対象焦点であった(Current Opinion in Pharmacology, 2003(3): 362-370)。細胞周期の進行を阻害する能力は、癌等の増殖性疾患のための治療薬としての、CDKの小分子阻害剤についての一般的な役割を示唆する。細胞周期関連CDKの阻害は、腫瘍学の適用において明確に関連性があるが、これは、RNAポリメラーゼを制御するCDKの阻害に関する場合ではないかもしれない。

0005

セリン/トレオニンキナーゼCDK5は、その補因子p25(又はより長い補因子であるp35)とともに神経変性障害連関しており、cdk5/p25(又はcdk5/p35)の阻害剤はそれゆえ、アルツハイマー病パーキンソン病、脳卒中、又はハンチントン病等の神経変性障害の治療に有用である。CDK5阻害剤を使用するこれらの神経変性障害の治療は、CDK5が、タウタンパク質のリン酸化に関与するという知見によって支持される(J. Biochem, 117, 741-749 (1995))。また、CDK5は、トレオニン75でのドーパミン及びサイクリックAMPにより制御されるリンタンパク質(DARPP-32)をリン酸化し、このように、ドーパミン作動性神経伝達における役割を有することにおいて示される(Nature, 402. 669-671 (1999))。

0006

サイクリン依存性キナーゼ5(CDK5)は、DARPP-32のリン酸化の状態を制御することに関与する。CDK5は元来、p34cdc2プロテインキナーゼの相同体として同定された。その後の研究は、cdc2とは異なり、CDK5キナーゼ活性分裂中の細胞で検出されないことを示してきた。代わりに、CDK5の活性型形態は、分化した神経細胞においてのみ存在し、分化した神経細胞において、CDK5の活性型形態は、p35と呼ばれる神経細胞特異的35kDa制御サブユニットと結合する。CDK5/p35は、発達中の及び成体の神経系における多様な役割を担っている。近年の研究は、CDK5の誤制御をアルツハイマー病と関連付けてきた(Kusakawa, G.らの文献(2000. J. Biol. Chem. 275:17166-17172)、Lee, M. S.らの文献(2000. Nature 405:360-364)、Nath, R.らの文献(2000. Biochem. Biophys. Res. Commun. 274:16-21)、Patrick, G. N.らの文献(1999. Nature 402:615-622))。これらの研究において、カルパインの作用によるp35のp25への変換は、CDK5の長期化した活性化及び変化した局在化を生じる。順に、cdk5/p25は、タウを過剰リン酸化でき、細胞骨格構造を崩壊でき及び一次神経細胞のアポトーシスを促進できる。

0007

また、近年の研究は、CDK5がThr75においてDARPP-32をリン酸化することを示してきた(Nishi, A.らの文献(2000. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:12840-12845)、Bibb, J. A.らの文献(1999. Nature 402:669-671))。Thr75においてリン酸化されたDARPP-32は、PKAの阻害剤である(Bibbらの文献(1999. Nature 402:669-671))。CDK5によるThr75におけるDARPP-32のリン酸化は、PKAを阻害することによって、PKAによるDARPP-32におけるThr34のリン酸化を低下させ、DARPP-32/PP1カスケードにおける重要な修飾の役割を担う(Bibb, J. A.らの文献(1999. Nature 402:669-671))。

0008

驚くべきことに、第一のメッセンジャー及び他のシグナル伝達事象によるCDK5の制御については、ほとんど知られていない。それゆえ、CDK5の制御と関連した疾患又は障害を治療するのに使用できる新規組成物又は薬物を開発するために使用できる新たな化合物を提供する必要性が、当技術分野において存在する。さらに、CDK5によって制御される細胞内シグナル伝達経路の異常又は制御障害に少なくとも一部起因するこれらの疾患又は障害のための治療を開発する必要性が存在する。本発明は、これらの方法及び組成物を提供する。

0009

さらに、疼痛のシグナル伝達におけるCDK5の関与は、Pareekらの文献(PNAS 103, pp. 791 - 796)、及びPareekらの文献(Cell Cycle 5:6, pp. 585 - 588)において概説されてきた。50を超える薬理学CDK阻害剤が記載されており、そのうちのいくつかは、強力な抗腫瘍活性を有する(Current Opinion in Pharmacology, 2003(3): 362-370)。公知のCDK阻害剤についての包括的な総説は、Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2003, 42(19):2122-2138において見出され得る。

0010

例えば、癌の治療のためのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤としての2-アニリノ-4-フェニルピリミジン誘導体の使用は、WO2005/012262において報告されている。さらに、癌等の治療のための2-ピリジニルアミノ-4-チアゾリル-ピリミジン誘導体は、WO2005/012298に記載されている。プロテインキナーゼ阻害剤としての4,5-ジヒドロ-チアゾロオキサゾロ及びイミダゾロ[4,5-h]キナゾリン-8-イルアミンの使用は、WO2005/005438から公知である。さらに、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤として有用なインドリノン誘導体及びインリビン(induribin)誘導体は、WO02/081445及びWO02/074742に開示されている。さらに、治療上の多様な適用のためのCDK阻害剤は、WO2005/026129に記載されている。

0011

公知のCDK阻害剤は、一般的にCDKを阻害するCDK阻害剤の能力に従って、又は特異的CDKに対するCDK阻害剤の選択性に従って分類され得る。例えば、フラボピリドールは、「受け皿の」CDKアンタゴニストとして作用し、特異的CDKに対して特に選択的ではない(Current Opinion in Pharmacology, 2003(3): 362-370)。オロモウシン、ロスコビチンプルノロール(purvanolol)及びCGP74514A等のプリンベースのCDK阻害剤は、CDK1、2及び5に対するより大きな選択性を呈することが公知であるが、CDK4及び6に対する阻害活性を何ら示さない(Current Opinion in Pharmacology, 2003(3): 362-370)。さらに、ロスコビチン等のプリンベースのCDK阻害剤が、神経系において抗アポトーシス性効果を発揮でき(Pharmacol Ther 2002, 93:135-143)、又はアルツハイマー病等の神経変性疾患における神経細胞の死滅を予防できることが示されている(Biochem Biophys Res Commun 2002 (297):1154-1158; TrendsPharmacol Sci 2002 (23):417-425)。

0012

増殖性疾患、免疫学的疾患感染性疾患心血管疾患及び神経変性疾患等の容態の治療のための標的指向化CDKのすばらしい潜在性を考慮すると、具体的なCDKの選択的阻害剤としての小分子の開発は、所望の目的の構成要素となる。

0013

本発明は、サイクリン依存性キナーゼの新規の小分子阻害剤を提供する。好ましくは、該小分子阻害剤は、具体的なCDKを阻害する高い効能を示す。該小分子阻害剤は、増殖性疾患、免疫学的疾患、神経変性疾患、感染性疾患及び心血管疾患等の容態の治療のための治療的有用性を有し得る。さらに、本発明の小分子阻害剤は、炎症性疾患の及びいずれかの種類の疼痛の治療において有益な効果を発揮することが驚くべきことに示されている。

0014

疼痛についての現行の治療は、部分的に効果的であるに過ぎず、また多くは、衰弱させる又は危険な副作用を生じ得る。例えば、重度の疼痛を治療するのに使用される伝統的な鎮痛薬の多くは、吐き気めまい便秘呼吸抑制、及び認知機能障害等の衰弱させる副作用を誘発する(Brower, 2000)。

0015

麻酔性鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬カルシウムチャネル遮断薬筋弛緩薬、及び利用可能な全身性コルチコステロイドのような認可された疼痛投薬の広範な名簿はすでにあるが、該治療は、単に経験的なままであるに過ぎず、及び該治療は、疼痛の症状を軽減し得るが、該治療は、ほとんどの場合において軽減を完了させるには至らない。また、このことは、異なる種類の疼痛の発達に潜む機構が、なおもほとんど理解されていないに過ぎないという事実による。研究者は、各種類の疼痛についての神経インパルス遅延させるのに使用されるシグナル伝達系複雑性及び多様性をまさに正しく認識し始めつつあるに過ぎない。

0016

一般的に、疼痛は、国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain(IASP))に従って、実際の又は潜在的な組織の障害と関連した不愉快な感覚的及び情動的経験として定義され、又はこのような障害の点で記載される。特に、疼痛は、急性又は慢性の疼痛として生じ得る。

0017

急性疼痛は、短時間、典型的には1ヶ月未満の間生じ、一時的な障害と関連する。急性疼痛は、短時間内でさらなる障害を生じ得る生理学的又は生化学的変化を、宿主に知らせるための自然な身体反応である。有害な刺激が、末梢神経終末における高い閾値機械侵害受容器及び/又は熱侵害受容器を活性化させ、薄い有髄(Aδ)の及び/又は無髄(C)の求心性線維における誘発活動電位知覚のある脳に到達する場合、急性疼痛が感じられる。該有害な刺激は、損傷、手術病気外傷又は有痛の医学的手法によって提供され得る。急性疼痛は通常、潜在的な原因が治療され又は治癒された場合に消失する。しかしながら、軽減されない急性疼痛は、長期の入院再入院外来診療所及び緊急部門への訪問、並びに高額な保健医療費用を結果として生じ得る慢性疼痛の問題に至り得る。

0018

急性疼痛とは対照的に、慢性疼痛は、初期損傷が治癒された後に長く持続し、しばしば身体の他の部分へ拡大し、それに伴って多様な病理学的及び精神医学的結果が生じる。慢性的体性痛は、末梢組織における外傷に対する炎症反応から結果的に生じ(例えば、神経の絞扼外科的手法、癌、又は関節炎)、それが侵害受容器の感作過剰及び通常非有害の刺激に対する激しい灼熱性疼痛反応に至る(痛覚過敏)。慢性疼痛は、持続的かつ再発性があり、その強度は、軽度から、生活の質を有意に低下させ得る重度の身体障害疼痛まで変動するであろう。

0019

慢性疼痛は目下のところ、NSAID(イブプロフェンナプロキセン)、Cox-2阻害剤(セレコキシブバルデコキシブロフェコキシブ)及びアヘン製剤コデインモルヒネテバインパパベリンノスカピン)等の従来の鎮痛薬で治療される。しかしながら、有意な数の患者に対して、これらの薬物の提供する疼痛軽減は不十分である。

0020

別のサブタイプの疼痛である炎症性疼痛は、急性及び慢性の疼痛として生じ得る。結果として生じる組織及び神経細胞の損傷は、このような炎症性事象を継承して、長期間持続する慢性の神経因性疼痛効果へ発展してはならないが、発展し得る。
炎症性疼痛は、例えば、組織損傷、疾患、又は炎症後に放出される炎症性仲介物質(例えば、TNFα、プロスタグランジン、P基質ブラジキニンプリンヒスタミン、及びセロトニン等のサイトカイン)のような有害な刺激及び他の有害刺激(例えば、熱刺激機械的刺激、又は化学的刺激)によって仲介される。さらに、サイトカイン及び増殖因子は、神経細胞の表現型及び機能に影響し得る(Besson 1999)。これらの仲介物質は、組織の周囲のいたるところに分布する侵害受容器(感覚受容器)によって検出される。該侵害受容器は、長期化した場合、組織に障害を与えるであろう有害な刺激(例えば、機械的、熱の、又は化学的)に対して感受性がある(Koltzenburg 2000)。特別なクラスのいわゆるC型侵害受容器は、機械的刺激又は熱刺激のいずれのレベルにも反応しないが炎症のみの存在下で活性化するあるクラスの「サイレントな」侵害受容器に相当する。

0021

特に炎症性疼痛の治療のための現行のアプローチは、サイトカイン阻害(例えば、IL1β)及び炎症誘発性TNFαの抑制を目的とする。認可された現行の抗サイトカイン/抗TNFα治療は、インフリキシマブ及びエタネルセプト等の、血流中のTNFα循環を低下させるキメラ抗体に基づいている。TNFαは、COX-2、MMP、iNOS、cPLa2及びその他等の重要な酵素の合成を誘導する最も重要な炎症性仲介物質の1つである。しかしながら、これらの「生物製剤」の主要な欠点は、効能の損失付随する生物製剤の免疫原性の可能性及び、循環しているTNFαの多かれ少なかれ全か無のデジタルな減少に至る生物製剤の動態に存する。後者は、重度の免疫抑制性の副作用を結果として生じ得る。

0022

別個の形態の慢性疼痛である神経因性(又は神経原性)疼痛は、末梢神経又は中枢神経機能障害の結果として生じ、病因及び部位において異なる多様な容態を含む。一般的に、神経因性疼痛の原因は多様だが、末梢神経又は中枢経路の構成要素に対する障害に関する普遍的な症状を共有する。原因となる因子は、代謝性の、ウイルス性の又は機械的な神経病変であり得る。神経因性疼痛は、末梢神経系、中枢神経系、又はその両者における異所性体性感覚過程によって持続されると信じられている。神経因性疼痛は、侵害受容器の刺激と直接連関していないが、代わりに、例えば脊髄灰白質後角)にあるシナプス後神経線維におけるグルタミン酸受容体の感作過剰から生じると考えられている。

0023

神経因性疼痛は、糖尿病及び帯状疱疹後神経痛帯状疱疹)における神経変性等の容態と関連している。神経因性疼痛の容態は、糖尿病、エイズ多発性硬化症、切断後の断端痛及び幻肢痛、癌関連ニューロパチー、帯状疱疹後神経痛、外傷性神経損傷虚血性ニューロパチー、神経圧迫、脳卒中、脊髄損傷を含む多くの疾患及び容態の結果である。

0024

神経因性疼痛の管理は、神経因性疼痛の発達及び維持に関与する機構に関する不適切な理解に一部依存して、臨床上の主要な挑戦の域を出ない。既存の多くの鎮痛薬は、神経因性疼痛を治療する上で効果がなく、現行の麻酔性及び非麻酔性薬物のほとんどは疼痛を調節しない。現行の臨床的実施には、神経因性疼痛の管理のための多くの薬物クラス、例えば抗痙攣薬三環系抗うつ薬、及び全身性局所麻酔薬の使用が含まれる。しかしながら、このような治療の通常の結果は、部分的又は不満足な疼痛軽減であり、いくつかの場合、これらの薬物の有害作用は、該薬物の有用性よりも重い。古典的な鎮痛薬は、神経因性疼痛の治療においてほとんど効果がなく又はまったく効果がないと広く信じられている。神経因性疼痛の治療における非ステロイド性消炎薬(NSAID)又はアヘン製剤の使用に関するいくつかの臨床研究が実施されたが、実施された該臨床研究において、結果は、NSAIDがほとんど効果的ではなく又はまったく効果的ではなく、及びアヘン製剤が高い用量でしか作用しないことを示すように思われる。末梢神経因性疼痛(PNP)についての調節された臨床データ分析する総説(Pain, November, 1997 73(2), 123-39)は、NSAIDがPNPのための鎮痛薬としておそらく効果的ではなく、薬物の鎮痛効果を支持する長期的なデータが全くないことを報告した。

0025

入手可能な鎮痛薬はしばしば、疼痛軽減が不十分である。三環系抗うつ薬及びいくつかの抗てんかん薬、例えばガバペンチンラモトリギン及びカルバマゼピンは、患者によっては有効であるが、これらの容態の治療に有効な薬物について、まだ対処されていない需要が大きいままである。
結論として、疼痛治療、特に慢性の炎症性疼痛及び神経因性疼痛に関する安全でかつ効果的な方法について、まだ対処されていない需要が高い。

0026

(発明の要約)
本発明は、サイクリン依存性キナーゼの阻害剤、並びにいずれかの種類の疼痛、炎症性障害、免疫学的疾患、増殖性疾患、感染性疾患、心血管疾患及び神経変性疾患を治療し及び/又は予防するための方法及び組成物であって、該方法又は組成物を必要とする対象へ、有効量の少なくとも1つのサイクリン依存性キナーゼ(cdk、CDK)阻害剤を投与することを含む該方法及び組成物に関する。阻害剤は、一般式I記載の化合物:



及びそのN酸化物誘導体プロドラッグ誘導体、保護された誘導体、個々の異性体及びその異性体の混合物;及びこれらの化合物の医薬として許容し得る塩及び溶媒和物(例えば、水和物)のうちで選択される
(式中、
R1が、-XSO2NR5R6、又は-XSO2R8であり;
式中、
Xが、C1-4アルキレンであり(分岐鎖アルキレンを含む)、この中で、前記C1-4アルキレンは、R5又はR6へ結合して5員又は6員の複素環を形成でき;
R5及びR6が互いに独立して、水素、C1-4アルキルヒドロキシ-C1-4アルキル又はC3-4アルケニル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキル-C1-4アルキル又はC4-7へテロシクロアルキル-C0-4アルキル、C4-7-アリール-C0-4アルキル、C4-7-ヘテロアリール-C0-4アルキルであり、又は
R5及びR6が結合するN原子とともに該R5及びR6がまた、5〜8員のヘテロシクロアルキルを形成することができ、
この中で、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキルがさらに、ハロ、ヒドロキシ、アミノカルボニル、C1-4アルキル、ヒドロキシ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-O-C1-4アルキレン、C1-4アルキル-O-及び-NR5R6からなる群から選択される最大2個のラジカルによって任意に置換され;
R8が、C1-4アルキル、ヒドロキシ-C2-4アルキル又はC3-4アルケニル、C3-8-シクロアルキル、C3-8-シクロアルキル-C1-4アルキル又はC4-7-へテロシクロアルキル-C0-4アルキルであり;
この中で、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアルキルがさらに、ハロ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、ヒドロキシ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-O-C1-4アルキル、C1-4アルキル-O及び-NR5R6からなる群から選択される最大2個のラジカルによって任意に置換され;
R2が、ハロゲン及び水素から独立して選択される1又は2個の置換基であり;
R3が、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-4アルキル-シクロアルキル、C1-4アルキル-ヘテロシクロアルキル、-O-ヘテロシクロアルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニルオキシ、-OCF3、C2-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニルモノ-及びジ-(C1-C4アルキル)スルホンアミド、アミノカルボニル、モノ-及びジ-(C1-C4アルキル)アミノカルボニル、アリール-C1-4アルコキシ、ヘテロアリール-C1-4アルコキシ、ヘテロシクロアルキル-C1-4-アルコキシ、ヘテロシクロアルキル-C1-4-アルキル、ヘテロアリール-C1-4-アルキル、C1-4アルキルオキシメチル、ヒドロキシ-C1-4アルキルオキシメチル、シアノ、-COOH及びC1-C4アルコキシカルボニルからなる群から独立して各々選択される1〜3個の置換基であり得、この中で、上述の置換基は、C1-4-アルキル、ヒドロキシル-C0-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、アミノカルボニル、ハロ及びNR5R6の群から選択されるラジカルによってさらに置換でき;
R4a及びR4bが、同一又は異別であり、かつ各々が独立して、水素、C1-4アルキル又は-NR'R"であり、この中でR'及びR"が各々独立して、水素又はC1-4アルキルである。)。

0027

本明細書に開示されるように、「C1-4アルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピルイソプロピルn-ブチル、sec-ブチルイソブチル、tert-ブチル等の、1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素を含むことを意味する。
「低級アルケニル」という用語は、例えば、ビニルアリル、ブタ-2-エニル、-ブタ-3-エニル、又はイソプロペニル等の、2〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルケン基を指し;「低級アルケニル」という用語は好ましくは、アリル、-ブタ-2-エニル、又は-ブタ-3-エニルを表す。

0028

本明細書に開示されるように、「ハロ」という用語は、フルオロクロロ、ブロモ、及びヨードを含むことを意味する。
C3-C8シクロアルキルという用語は、下記のシクロアルキルを示す:



アリールという用語は、フェニルナフチル、3-クロロフェニル、2,6-ジブロモフェニル、2,4,6トリブロモフェニル、4,7-ジクロロナフチル、好ましくはフェニル又はナフチル等の、芳香族単環式又は二環式の6〜10員の環系を示す。

0029

ヘテロシクロアルキルという用語は、酸素硫黄又は窒素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜10員の単環式又は二環式環系を含むよう意味し、好ましくは下記を含む群から選択される:アジリジニルアゼチジニルピロリジニルテトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、ピペラジジニル、ピペラジニルテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル又はモルフォリニル

0030

ヘテロシクロアルキルという用語はさらに、以下に定義されるすべてのヘテロアリールを含み、この中で、対応するヘテロアリールのすべての二重結合は、単結合によって置換される。
ヘテロアリールという用語は、酸素、硫黄又は窒素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する、部分的に又は完全に不飽和の5〜10員の単環式又は二環式環系を示し、好ましくは下記からなる群から選択される:
ピロリル、フラニル、チオフェニル、チエニルイミダゾリルピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリルイソチアゾリルイソキサゾリルピリジニルピリジルピリミジニルピリミジルピラジニル、ピラジル、ピラジジニル、ピラジジル、3-メチルピリジル、ベンゾチエニル、4-エチルベンゾチエニル、3,4-ジエチルフラニル、ピロリル、テトラヒドロキノリル、キノリル、テトラヒドロイソキノリニルイソキノリニルベンゾイミダゾリルベンゾチアゾリル、ベンゾオキシゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル又はクロム-2-オニル

0031

また、ヘテロアリールという用語は、部分的に不飽和の5〜10員の単環式又は二環式環系を含むことは理解されるべきであり、この中で、環系の1〜4個の二重結合は単結合によって置換され、この中で、環系は少なくとも1個の二重結合を含有する。

0032

変数が、式I又はいずれかの置換基において2回以上生じる場合、各発生に関する該変数の定義は、その他すべての発生における該変数の定義とは独立している。例えば、化合物が、2個以上のR5及び/又はR6置換基を含む場合、これらの置換基は同一又は異別であり得る。

0033

式Iの化合物において:
Xは好ましくは、メチレンである。
R2は好ましくは、水素である。
好ましくは、R6は、水素又はメチルであり、かつR5は、エチル、2-ヒドロキシエチル、イソプロピル、シクロプロピルシクロブチルシクロペンチルシクロヘキシル、n-プロピル、t-ブチル、3-メトキシ-プロピル、2-ジメチルアミノエチル、3-ジメチルアミノプロピル、ピペリジニル及び特に4-ピペリジニル、ピリジニル及び特にピリジン-3-イル又はピリジン-4-イル、ピロリジニル及び特にピロリジン-3-イル、テトラヒドロフラニル及び特にテトラヒドロ-フラン-3-イル、テトラヒドロ-フラン-2-イルメチル、4-クロロ-ベンジルチオフェン-2-イル-メチルであり、又はR5及びR6は両者とも、水素、メチル、エチルであり、又はR5及びR6が結合するN原子とともに、R5及びR6は、モルフォリン、4-アミノカルボニル-ピペリジン又はアゼパンを形成し、又は-XSO2NR5R6は



である。

0034

R5はより好ましくは、水素、メチル、2-ヒドロキシエチル、シクロブチル、シクロペンチル、2-ジメチルアミノエチル、3-ジメチルアミノプロピル、テトラヒドロ-フラン-3-イル、ピロリジン-3-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル及び4-ピペリジニルからなる群から選択される。
R6はより好ましくは、水素又はメチルである。

0035

R8は好ましくは、C1-4アルキル、ヒドロキシル-C2-4-アルキルであり;R8はより好ましくは、ヒドロキシ-C2-4-アルキルであり、最も好ましくは2-ヒドロキシエチルである。
R3は好ましくは、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニルオキシ、-OCF3、C2-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニル、モノ-及びジ-(C1-C4アルキル)スルホンアミド、アミノカルボニル、モノ-及びジ-(C1-C4アルキル)アミノカルボニル、C1-4アルキルオキシメチル、ヒドロキシ-C1-4アルキルオキシメチル、シアノ、-COOH及びC1-C4アルコキシカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基であり;又はC3-7シクロアルキル、C1-4アルキル-シクロアルキル、C1-4アルキル-ヘテロシクロアルキル、-O-ヘテロシクロアルキル、アリール-C1-4アルコキシ、ヘテロシクロアルキル-C1-4アルコキシ、ヘテロシクロアルキル-C1-4-アルキル、ヘテロアリール-C1-4アルコキシ、ヘテロアリール-C1-4-アルキルから選択される1個の置換基であり;この中で、前記置換基は、C1-4アルキル、ヒドロキシル-C0-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、ハロ、アミノカルボニル、及びNR5R6の群から選択される1つ以上のラジカルによってさらに置換できる。R3はより好ましくは、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシイソプロポキシベンジルオキシ、水素、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチル、2-メトキシ-エトキシ、メトキシメチル、2-メトキシ-エチル、テトラヒドロ-フラン-3-イルオキシ、テトラヒドロ-フラン-2-イル-メトキシ、-N(CH3)SO2CH3、ピペリジン-1-イル-メチル、2-ヒドロキシメチル-ピペリジン-1-イル-メチル、3-ヒドロキシメチル-ピペリジン-1-イル-メチル、3-(2-ヒドロキシ-エチル)-ピペリジン-1-イル-メチル、3-アミノカルボニル-ピペリジン-1-イル-メチル、ジメチルアミノメチルジエチルアミノメチル、(エチル-イソプロピル-アミノ)-メチル、モルフォリン-4-イルメチル、4-メチル-ピペラジン-1-イル-メチル、[1,2,4]トリアゾール-1-イル-メチル、ピリジン-3-イル-メトキシ及びピリジン-4-イル-メトキシからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基である。R3は最も好ましくは、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、フルオロ、ジエチルアミノメチル、3-ヒドロキシメチル-ピペリジン-1-イル-メチル、モルフォリン-4-イルメチル、ピペリジン-1-イル-メチル、4-メチル-ピペラジン-1-イル-メチル、及び/又は[1,2,4]トリアゾール-1-イル-メチルである。

0036

式Iの化合物の別の好ましい群は、式Iaの化合物



及びそのN酸化物誘導体、プロドラッグ誘導体、保護された誘導体、個々の異性体及びその異性体の混合物;及びこれらの化合物の医薬として許容し得る塩及び溶媒和物(例えば、水和物)を含む
(式中、
R1は、-CH2SO2NR5R6又は-CH2SO2R8であり;
R2、R4a、R4b、R5、R6及びR8は、上述に定義されるとおりであり;
R3a、R3b及びR3cは、R3に関して上述に定義されるとおりである。)。

0037

これらの式Iaの化合物内で:
R2は好ましくは、水素である。
R3aは好ましくは、水素又はC1-4アルコキシであり;より好ましくは水素、メトキシ、エトキシ又はイソプロポキシであり、最も好ましくはメトキシである。

0038

R3bは好ましくは、水素、ジアルキルアミンによって任意に置換されるC1-4アルキル、C1-4-アルキルによって又はヒドロキシル-C0-4-アルキルによって任意に置換されるヘテロシクロアルキル-C1-4-アルキル、又はヘテロアリール-C1-4-アルキルであり;R3はより好ましくは、水素、ジエチルアミノメチル、3-ヒドロキシメチル-ピペリジン-1-イル-メチル、モルフォリン-4-イルメチル、ピペリジン-1-イルメチル、4-メチル-ピペラジン-1-イル-メチル、又は[1,2,4]トリアゾール-1-イル-メチルであり、最も好ましくは水素である。
R3cは好ましくは、水素又はハロゲン、特にフルオロであり;より好ましくは水素である。

0039

R4a及びR4bは好ましくは、各々独立してC1-4アルキル又は水素であり;より好ましくは水素又はメチルであり;最も好ましくは水素である。
R5はより好ましくは、水素、メチル、2-ヒドロキシエチル、シクロブチル、シクロペンチル、2-ジメチルアミノエチル、3-ジメチルアミノプロピル、テトラヒドロ-フラン-3-イル、ピロリジン-3-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル及び4-ピペリジニルからなる群から選択され、最も好ましくは水素又はメチルである。
R6はより好ましくは、水素又はメチルである。
R8は好ましくは、ヒドロキシ-C2-4-アルキルであり、より好ましくは2-ヒドロキシエチルである。

0040

下記の化合物が好ましい:
{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-メタンスルホンアミド(化合物1);
C-{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-N-メチル-メタンスルホンアミド(化合物2);及び
{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-6-メチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-メタンスルホンアミド(化合物3)。

0041

さらなる実施態様において、本発明は、医学的使用のための、式I記載の上述の化合物を提供する。
さらなる実施態様において、本発明は、医薬として許容し得る担体とともに、上述に概略される化合物を含有する医薬組成物を提供する。

0042

さらなる実施態様において、本発明は、炎症性障害、免疫学的疾患、増殖性疾患、感染性疾患、心血管疾患及び神経変性疾患を治療するための医薬組成物を調製するための上述に概略される化合物の使用を提供する。

0043

さらなる実施態様において、本発明は、疼痛、慢性疼痛、及び/又は神経因性疼痛を治療するための医薬組成物を調製するための上述に概略される化合物の使用を提供する。
さらなる実施態様において、本発明は、炎症性障害、免疫学的疾患、増殖性疾患、感染性疾患、心血管疾患及び神経変性疾患を治療するための方法を必要とする対象への、有効量の少なくとも1つの上述の化合物の投与を含む該方法を提供する。
さらなる実施態様において、本発明は、疼痛、慢性疼痛及び/又は神経因性疼痛を治療するための方法を必要とする対象への、有効量の少なくとも1つの上述の化合物の投与を含む該方法を提供する。

図面の簡単な説明

0044

図1は、坐骨神経の2つの分岐(すなわち脛骨神経及び総腓骨神経)の結紮及び切断を特徴とする、腓腹神経無処置のままにしている坐骨神経部分損傷モデル(SNIモデル、Decosterd及びWoolf(2000)によって開発)を模式的に図示する。

0045

(発明の詳細な記述
本発明によって提供されるCDK5の阻害剤は、一般式I記載の化合物:



及びそのN酸化物誘導体、プロドラッグ誘導体、保護された誘導体、個々の異性体及びその異性体の混合物;及びこれらの化合物の医薬として許容し得る塩及び溶媒和物(例えば、水和物)である
(式中、
R1は、-XSO2NR5R6又は-XSO2R8であり;
式中、Xが、C1-4アルキレン(分岐鎖アルキレンを含む)であり、この中で、前記C1-4アルキレンは、R5又はR6へ結合して5員又は6員の複素環を形成でき;
R5及びR6は互いに独立して、水素、C1-4アルキル、ヒドロキシ-C1-4アルキル又はC3-4アルケニル、C3-8-シクロアルキル、C3-8-シクロアルキル-C1-4アルキル又はC4-7-ヘテロシクロアルキル-C0-4アルキル、C4-7-アリール-C0-4-アルキル、C4-7-ヘテロアリール-C0-4アルキルであり、又は
式中、R5及びR6が結合するN原子とともに、該R5及びR6はまた、5〜8員のヘテロシクロアルキルを形成することができ、
この中で、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキルはさらに、ハロ、ヒドロキシ、アミノカルボニル、C1-4アルキル、ヒドロキシ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-O-C1-4アルキル、C1-4アルキル-O-及び-NR5R6からなる群から選択される最大2個のラジカルによって任意に置換され;
R8は、C1-4アルキル、ヒドロキシ-C2-4アルキル又はC3-4アルケニル、C3-8-シクロアルキル、C3-8-シクロアルキル-C1-4アルキル又はC4-7-ヘテロシクロアルキル-C0-4アルキルであり;
この中で、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル又はアルキルはさらに、ハロ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、ヒドロキシ-C1-4アルキル、C1-4アルキル-O-C1-4アルキル、C1-4アルキル-O及び-NR5R6からなる群から選択される最大2個のラジカルによって任意に置換され;
R2は、ハロゲン及び水素から独立して選択される1又は2個の置換基であり;
R3は、水素、ハロ、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C3-7シクロアルキル、C1-4アルキル-シクロアルキル、C1-4アルキル-ヘテロシクロアルキル、-O-ヘテロシクロアルキル、C1-4アルコキシ、C2-4アルケニルオキシ、-OCF3、C2-4アルカノイル、C1-4アルキルスルホニル、モノ-及びジ-(C1-C4アルキル)スルホンアミド、アミノカルボニル、モノ-及びジ-(C1-C4アルキル)アミノカルボニル、アリール-C1-4アルコキシ、ヘテロアリール-C1-4アルコキシ、ヘテロシクロアルキル-C1-4-アルコキシ、ヘテロシクロアルキル-C1-4-アルキル、ヘテロアリール-C1-4-アルキル、C1-4アルキルオキシメチル、ヒドロキシ-C1-4アルキルオキシメチル、シアノ、-COOH及びC1-C4アルコキシカルボニルからなる群から独立して各々選択される1〜3個の置換基であり得、この中で、上述の置換基は、C1-4アルキル、ヒドロキシル-C0-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、アミノカルボニル、ハロ、及びNR5R6の群から選択されるラジカルによってさらに置換でき;
R4a及びR4bは、同一又は異別であり、かつ各々が独立して、水素、C1-4アルキル又は-NR'R"であり、この中で、R'及びR"は各々独立して、水素又はC1-4アルキルである。)。

0046

このように、本発明は、新たな薬物又は化合物を提供し、該薬物は、CDK5関連障害の治療のための治療方法において使用され得る。
また、本発明は、CDK5の活性を調節するための、これらの新たな薬物又は化合物を含有する組成物を提供する。本発明はさらに、CDK5の活性を調節でき、それによりCDK5関連障害を寛解させることのできる薬物を開発するための合理的な薬物設計を実施するための方法を提供する。

0047

関心対象の細胞又は組織における本発明記載の化合物のCDK5阻害活性は、(a)該細胞又は組織におけるサイクリン依存性キナーゼ5活性の第一のレベルを決定すること;(b)該細胞又は組織を検査化合物と接触させること;及び(c)該細胞又は組織におけるサイクリン依存性キナーゼ5活性の第二のレベルを決定することを含む方法によって決定でき、この中で、サイクリン依存性キナーゼ5活性の該第一のレベル及び該第二のレベルにおける差異は、該検査化合物がサイクリン依存性キナーゼ5活性を調節する能力を示す。

0048

また、本発明は、CDK5関連障害の治療における本発明の組成物又は化合物の使用を含むがそれに限定されない、CDK5関連障害の治療のための診断方法及び治療方法を提供する。
本発明は、CDK5と関連した障害、疾患及び/又は容態の症状を呈する患者又は対象における該症状を寛解できる本発明の薬剤(又は薬物又は化合物)を投与する方法を提供する。ある実施態様において、本発明は、CDK5関連障害の症状を呈する患者又は対象における該症状を寛解できる、本明細書に開示される方法によって同定される薬剤を投与する方法を提供する。

0049

本明細書で使用されるように、「アンタゴニスト」は、受容体の刺激及び結果として生じるその薬理学的効果遮断する化合物である。
本明細書で使用されるように、阻害する化合物の「有効量」は、本明細書に開示される方法などの分析方法を使用する研究からのデータに基づいて、当業者によって決定できる量である。

0050

本明細書で使用されるように、「CDK5」、「Cdk5」又は「cdk5」という用語は、神経細胞サイクリン依存性様タンパク質(Nclk)及びタウタンパク質キナーゼII(TPKII)としても公知である「サイクリン依存性キナーゼ5」と同じ意味で使用される。Cdk5は、サイクリン依存性キナーゼの一員であるが、非典型的に、Cdk5は、サイクリンよりもむしろ神経細胞サイクリン依存性様キナーゼ5関連タンパク質(Nck5a)と呼ばれる非サイクリン補因子を採用する。

0051

本明細書で使用されるように、「CDK5関連障害」という用語は、「Cdk5障害」、「Cdk5容態」、「Cdk5機能障害」、「Cdk5関連機能障害」、「Cdk5関連疾患」、「Cdk5関連容態」、「Cdk5機能の制御障害」又は「Cdk5機能制御障害」という用語と同じ意味で使用される。Cdk5関連障害には、うつ病感情障害躁うつ病強迫性障害摂食障害嘔吐パニック障害、不安障害、片頭痛ミオクローヌス月経前症候群PMS)、外傷後ストレス症候群、カルチノイド症候群、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、トウレット症候群、脳卒中、物質誘発精神障害、例えばアルコールアンフェタミン大麻コカイン幻覚薬吸入薬オピオイド、又はフェンシクリジンによって誘発される精神病妄想性人格障害;統合失調人格障害麻薬(例えば、ヘロインアヘン、及びモルヒネ)、コカイン及びアルコール嗜癖を含む薬物嗜癖;麻薬、コカイン及びアルコール退薬を含む薬物退薬;てんかん睡眠障害又は概日リズム障害(例えば、不眠症)、性的障害、ストレス障害統合失調症注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動障害ADHD)、神経変性障害、物質又は薬物の乱用、疼痛(Pareekらの文献(PNAS 103, pp. 791 - 796); Pareekらの文献(Cell Cycle 5:6, pp. 585 - 588))、及び癌が含まれるが、それらに限定されるわけではない。また、Cdk5関連障害には、興奮性の細胞、組織又は臓器(例えば、神経細胞、脳、中枢神経系等)におけるセロトニン作動性受容体によって仲介される神経伝達を含むがそれには限定されないシグナル伝達経路の異常又は調節障害包含する疾患(例えば、うつ)又は容態(例えば、コカインに対する嗜癖)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。また、Cdk5関連障害には、Cdk5関連障害の症状が含まれるが、それに限定されるわけではない。ある実施態様において、影響を受ける経路には、DARPP-32の1つ以上の特異的なトレオニン残基及び/又はセリン残基のリン酸化及び/又は脱リン酸化の刺激及び/又は阻害を包含する調節障害の対応する治療によるDARPP-32のリン酸化及び/又は脱リン酸化が含まれる(例えば、それらのすべての内容が全体として引用により本明細書に各々組み込まれているGreengardらの文献(Neuron 23:435-447 (1999)); Bibbらの文献(Proc. Natl Acad. Sci. USA 97:6809-68 14 (2000)); 及び1999年10月15日に出願された「ドーパミンシグナル伝達におけるリン酸化/脱リン酸化を制御する薬剤を同定する方法(Methodsof Identifying Agents That Regulate Phosphorylation/Dephosphorylation in Dopamine Signaling)」という表題のBibbらによる米国特許出願シリアル番号第09/419,379号a及び2000年10月13日に出願された「ドーパミンシグナル伝達におけるリン酸化/脱リン酸化を制御する薬剤を同定する方法(Methods of Identifying Agents That Regulate Phosphorylation/Dephosphorylation in Dopamine Signaling)」という表題のBibbらによる第09/687,959号を参照されたい。)。

0052

CDK5仲介性事象等のプロテインキナーゼ仲介性事象によって惹起される異常な細胞反応と関連したさらなる疾患には、自己免疫疾患、炎症性疾患、心血管疾患、アレルギー及びホルモン関連疾患が含まれる。特に、キナーゼは、下記の多様な疾患に関係している:糖尿病及び双極性障害等の気分障害心筋細胞肥大;並びに精子運動性の発達及び制御。さらに、キナーゼは、毛髪喪失及び神経外傷、例えば脳卒中、外傷性脳外科的容態及び脊髄外傷に関係している。これらの疾患は、CDK5が役割を担う細胞シグナル伝達経路の異常な操作によって、又はその結果として生じ得る。従って、キナーゼ仲介性シグナル伝達の活性を調節する分子は、これらの疾患の治療における治療薬として有用である。

0053

CDK5等のキナーゼが役割を担い得る疾患又は容態のさらなる例には、癌が含まれる。癌は、癌腫、例えば、膀胱癌乳癌結腸癌腎癌肝癌肺癌、例えば小細胞肺癌食道癌胆嚢癌卵巣癌膵癌胃癌子宮頚癌甲状腺癌前立腺癌、又は皮膚癌、例えば扁平上皮癌リンパ系系統造血器腫瘍、例えば白血病急性リンパ球性白血病B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫ホジキンリンパ腫非ホジキンリンパ腫、毛髪様細胞リンパ腫、又はバーケットリンパ腫(Burkett's lymphoma);骨髄系統の造血器腫瘍、例えば急性及び慢性骨髄性白血病骨髄異形成症候群、又は前骨髄球性白血病;間葉起源腫瘍、例えば線維肉腫又は横紋筋肉腫;中枢神経系又は末梢神経系の腫瘍、例えば、星状細胞腫神経芽腫神経膠腫又は神経鞘腫黒色腫精上皮腫悪性奇形腫骨肉腫色素性乾皮症ケラトクタントーマ(keratoctanthoma);甲状腺濾胞癌;又はカポジ肉腫であり得る。良性の異常な細胞増殖を含む疾患又は容態には、良性の前立腺肥大家族性腺腫性ポリポーシス神経線維腫症粥状硬化肺線維症、関節炎、乾癬糸球体腎炎再狭窄肥厚性瘢痕形成、炎症性腸疾患移植拒絶反応真菌感染、及びエンドトキシンショックが含まれる。

0054

(疼痛)
式I記載のCDK阻害剤の投与が痛覚鈍麻効果を有することが判明している。
このように、好ましい実施態様において、本発明は、有効量の式I記載のCDK5阻害剤を投与することを含む、いずれかの種類の疼痛を治療する方法に関する。特に、式Iの化合物は、慢性、神経因性及び/又は炎症性疼痛の治療に使用され得る。具体的な好ましい実施態様において、いずれかの種類の疼痛の治療における使用のための式Iの化合物は、他のCDKに対するよりもCDK5に対する高い選択性を示す。
疼痛の発達におけるCDK5の役割は、Pareekらの文献(PNAS 103, pp. 791 - 796)及びPareekらの文献(Cell Cycle 5:6, pp. 585 - 588)に記載されている。

0055

本明細書で使用される「疼痛」という用語は一般的に、いずれかの種類の疼痛に関し、急性疼痛、慢性疼痛、炎症性及び神経因性疼痛等の様々な種類の疼痛を広範に包含する。本発明の好ましい実施態様において、「疼痛」は、神経因性疼痛及び関連容態を含む。疼痛は、慢性、アロディニア(通常無害の刺激に由来する疼痛の知覚)、痛覚過敏(付与されたいずれかの疼痛刺激に対する過度の反応)及び受容野(すなわち、刺激が適用される場合に「痛い」領域)の拡大、幻肢痛又は炎症性疼痛であり得る。

0056

急性疼痛の種類は、組織障害と関連した疼痛、術後痛外傷後の疼痛、熱傷によって生じる疼痛、局所感染又は全身感染によって生じる疼痛、下記を含む疾患と関連した内臓痛を含むが、それらに限定されるわけではない:膵炎腸管膀胱炎月経困難過敏性腸症候群クローン病尿管仙痛及び心筋梗塞

0057

さらに、「疼痛」という用語は、下記を含む中枢神経系障害と関連した疼痛を含む:多発性硬化症、脊髄損傷、外傷性脳損傷、パーキンソン病及び脳卒中。
好ましい実施態様において、「疼痛」は、頭痛(例えば、片頭痛障害、偶発性及び慢性緊張型頭痛緊張型様頭痛、群発頭痛、及び慢性発作性片側頭痛)、腰痛癌性疼痛骨関節炎疼痛及び神経因性疼痛を含む慢性疼痛の種類に関するが、それらに限定されるわけではない。

0058

本明細書で定義される炎症性疼痛(組織損傷に応答した疼痛及び結果として生じる炎症過程)は、結合組織疾患関節リウマチ全身性エリテマトーデス、多発性硬化症及び関節炎を含む疾患と関連した炎症性疼痛に関するが、それらに限定されるわけではない。

0059

神経因性疼痛(末梢神経又は中枢神経系自体に対する障害から結果として生じる疼痛)には、代謝性ニューロパチー(例えば、糖尿病性ニューロパチー)、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、頭部神経痛脳卒中後神経因性疼痛、多発性硬化症関連神経因性疼痛、HIV/エイズ関連神経因性疼痛、癌関連神経因性疼痛、手根管関連神経因性疼痛、脊髄損傷関連神経因性疼痛、複合性局所疼痛症候群、線維筋痛症関連神経因性疼痛、反射性交感神経性ジストロフィー幻肢症候群又は末梢神経若しくは脊髄の外傷、外科的治療体肢切断及び断端痛を含む神経離断抗癌治療法及び抗エイズ治療法の副作用によって生じる疼痛、術後神経因性疼痛、特発性又は外傷後ニューロパチー及び単神経炎などにおけるニューロパチー関連疼痛、及び関節リウマチ、ワーレンベルグ症候群、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、又は結節性多発動脈炎等の結合組織疾患によって生じる神経因性疼痛を含む容態が含まれるが、それらに限定されるわけではない。ニューロパチーは、神経根障害、単ニューロパチー、多発性単神経炎多発ニューロパチー又は神経叢障害として分類できる。

0060

「アロディニア」という用語は、通常は痛くない刺激から生じる疼痛を表す。アロディニア性疼痛は、刺激された領域以外で生じ得る。
「痛覚過敏」という用語は、痛い刺激に対する高い感度を表す。
「痛覚鈍麻」という用語は、痛い刺激に対する低い感度を表す。

0061

(炎症性疾患)
驚くべきことに、本明細書に開示される式I記載のCDK阻害剤が、インビトロ及びインビボでの炎症アッセイにおいて消炎効果を発揮することを示すことができた。
このように、好ましい実施態様において、本発明は、有効量の式I記載のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を投与することを含む炎症性疾患を治療する方法に関する。具体的な好ましい実施態様において、炎症性疾患の治療における使用のための式Iの化合物は、他のCDKに対するよりもCDK5に対する高い選択性を示す。

0062

このように、本明細書で提示される式I記載の化合物は、炎症性疾患の治療及び/又は予防のために使用され得る。
本明細書で使用される「炎症性疾患」という用語は、身体組織の炎症を生じ、その後急性又は慢性の炎症容態を生じる免疫系又は組織の細胞性又は非細胞性仲介因子によって惹起される疾患に関する。

0063

炎症性疾患の例は、I〜IV型過敏性反応であり、例えば、喘息を含む過敏性疾患アトピー性疾患アレルギー性鼻炎又は結膜炎眼瞼血管性浮腫遺伝性血管性浮腫、抗受容体過敏性反応及び自己免疫疾患、橋本甲状腺炎、全身性エリテマトーデス、グッドパスチャー症候群天疱瘡重症筋無力症グレーヴス及びレイノー病B型インスリン抵抗性糖尿病、関節リウマチ、乾癬、クローン病、皮膚硬化症混合型結合組織疾患、多発性筋炎サルコイドーシスウエゲナー肉芽腫、糸球体腎炎、急性又は慢性宿主体移植片反応であるが、それらに限定されるわけではない。

0064

さらに、「炎症性疾患」という用語には、腹腔炎症、皮膚炎消化管炎症(炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎を含む)、線維症、眼及び眼窩の炎症、眼乾燥症及びシェーグレン症候群から結果的に生じる重度の眼乾燥症、乳腺炎耳炎口腔炎症、筋骨格系の炎症(痛風、骨関節炎を含む)、中枢神経系の炎症性疾患(多発性硬化症、細菌性髄膜炎髄膜炎を含む)、尿路生殖器の炎症(前立腺炎、糸球体腎炎を含む)、心血管の炎症(粥状硬化、心不全を含む)、気道の炎症(慢性気管支炎慢性閉塞性肺疾患を含む)、甲状腺炎、糖尿病、骨炎筋炎多臓器不全敗血症を含む)、多発性筋炎及び乾癬性関節炎が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0065

(免疫学的疾患)
また、式I記載の化合物は、例えば自己免疫疾患等の免疫学的疾患の治療及び/又は予防において有用であると考えられる。
従って、本発明は、免疫学的疾患の治療及び/又は予防のための方法を必要とする対象への、有効量の少なくとも1つの式I記載のCDK5阻害剤の投与を含む該方法を提供する。

0066

本明細書で使用される「免疫学的疾患」という用語は、アレルギー、喘息、移植片対宿主病免疫不全症及び自己免疫疾患を含むがそれらに限定されない疾患に関する。
特に、免疫学的疾患には、糖尿病、リウマチ性疾患、エイズ、慢性肉芽腫性疾患、移植された臓器及び組織の拒絶鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、骨粗鬆症、潰瘍性大腸炎、クローン病、副鼻腔炎エリテマトーデス、乾癬、多発性硬化症、重症筋無力症、脱毛症反復性感染症アトピー性皮膚炎湿疹及び重度のアナフィラキシー反応が含まれるが、それらに限定されるわけではない。またさらに、「免疫学的疾患」には、接触アレルギー食物アレルギー又は薬剤アレルギー等のアレルギーが含まれる。

0067

(増殖性疾患)
式Iの化合物は、細胞周期の制御に関与する鍵分子を表すサイクリン依存性キナーゼの阻害剤である。細胞周期の制御障害は、腫瘍細胞の主要な特徴の1つである。このように、該化合物は、異常に分裂する細胞における細胞周期の調節を抑止し又は回復させる上で有用であることを立証すると期待される。このように、式I記載の化合物が、癌等の増殖性疾患の治療及び/又は予防において有用であることが期待される。

0068

従って、本発明は、有効量の少なくとも1つの式I記載のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を投与することを含む増殖性疾患の治療及び/又は予防のための方法を提供する。
本明細書で使用されるように、「増殖性疾患」という用語は、良性腫瘍形成異常過形成及び転移性増殖又は他の形質転換を示す腫瘍を含むがそれらに限定されるわけではない癌障害に関する。

0069

「癌」という用語には、癌腫、肉腫癌肉腫造血性組織の癌、脳を含む神経組織の腫瘍及び皮膚細胞の癌のような良性及び悪性腫瘍が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
治療され得る癌の例には、癌腫、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、結腸腺癌及び結腸腺腫等の大腸癌)、腎癌、表皮癌、肝癌、肺癌、例えば腺癌、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵癌、例えば、外分泌腺癌、胃癌、子宮頚癌、甲状腺癌、前立腺癌、又は皮膚癌、例えば、扁平上皮細胞癌;リンパ系系統の造血器腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ球性白血病、B細胞性リンパ腫、T細胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛髪様細胞リンパ腫、又はバーケットリンパ腫;骨髄系系統の造血器腫瘍、例えば、急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、又は前骨髄球性白血病;甲状腺濾胞癌;間葉系起源の腫瘍、例えば、線維肉腫又は横紋筋肉腫;中枢神経系又は末梢神経系の腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫又は神経鞘腫;黒色腫;精上皮腫;悪性奇形腫;骨肉腫;色素性乾皮症;ケラトアカントーマ;甲状腺濾胞癌;カポジ肉腫、星状細胞腫、基底細胞癌小腸癌、小腸腫瘍、消化管腫瘍膠芽腫脂肪肉腫胚細胞腫瘍、頭部及び頚部腫瘍(及び咽頭領域の腫瘍)、口腔、咽頭喉頭、及び食道の癌、悪性又は良性骨腫瘍のような骨並びにその支持組織及び結合組織の癌、例えば、悪性骨肉腫、良性骨腫軟骨腫瘍;悪性軟骨肉腫又は良性の軟骨腫、骨肉腫のようなもの;膀胱並びに男性及び女性の腎尿路生殖器系の内部及び外部の臓器及び構造の腫瘍、軟部組織腫瘍、軟部組織肉腫、ウィルムス腫瘍又は、例えば甲状腺副甲状腺下垂体副腎唾液腺のような内分泌腺及び外分泌腺の癌が含まれるが、それらに限定されるわけではない。

0070

(心血管疾患)
さらに、本発明は、有効量の少なくとも1つの式I記載のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を投与することを含む心血管疾患の治療及び/又は予防に関する。
心血管疾患の分野が、CDK阻害剤について起こり得る臨床的適用を構成することが報告されている(Pharmacol Ther 1999, 82(2-3):279-284)。

0071

このように、好ましい実施態様において、本発明は、有効量の少なくとも1つの式I記載のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を投与することを含む心血管疾患を治療し及び/又は予防する方法に関し、この中で、該化合物は、他のCDKに対するよりもCDK5に対する高い選択性を示す。

0072

「心血管疾患」という用語には、うっ血性心不全、心筋梗塞、安定狭心症不安定狭心症及び無症候性虚血等の心臓虚血性疾患心房性及び心室性の全種類の不整脈高血圧性血管疾患末梢血管疾患冠動脈性心疾患及び粥状硬化のような心臓及び血管系の障害が含まれるが、それらに限定されるわけではない。さらに、本明細書で使用されるように、該用語には、成人性先天性心疾患動脈瘤狭心症血管神経性浮腫大動脈弁狭窄大動脈瘤大動脈弁閉鎖不全症、不整脈原性右室異形成動静脈奇形心房細動ベーチェット症候群徐脈心肥大うっ血性肥大型及び収縮性心筋症等の心筋症、頚動脈狭窄症脳出血チャーグ・ストラウス症候群、コレステロール塞栓症細菌性心内膜炎線維異形成症、うっ血性心不全、機能不全弁又は狭窄弁等の心臓弁疾患、心臓発作硬膜外又は硬膜下血腫フォンヒッペルリンダウ病充血高血圧症肺高血圧症肥大性増殖、左室肥大、右室肥大、左心形成不全症候群、低血圧症間欠跛行虚血性心疾患クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群延髄外側症候群、僧帽弁逸脱症、QT延長症候群、僧帽弁逸脱症、心筋虚血心筋炎心膜の障害、心膜炎、末梢血管疾患、静脈炎、結節性多発動脈炎、肺動脈閉鎖症、レイノー病、再狭窄、リウマチ性心疾患、スネッドン症候群、狭窄、上大静脈症候群、症候群X、頻脈、遺伝性出血性末梢血管拡張症毛細血管拡張症側頭動脈炎閉塞性血栓血管炎血栓症血栓塞栓症静脈瘤脈管疾患脈管炎血管攣縮心室細動ウィリアムス症候群、末梢血管疾患、静脈瘤及び下腿潰瘍深部静脈血栓症及びウォルフパーキンソンホワイト症候群が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
さらに、心血管疾患という用語には、先天性異常、遺伝的欠陥、環境の影響(すなわち、食事の影響、生活様式ストレスなど)、及び他の欠陥又は影響から結果的に生じる疾患が含まれる。

0073

(神経変性疾患)
CDK阻害剤は、神経保護効果を発揮することが記載されている。特に、CDK阻害剤が、アルツハイマー病等の神経変性疾患における神経細胞の死滅を予防することが報告されている(Biochem Biophys Res Commun 2002 (297):1154-1158; TrendsPharmacol Sci 2002 (23):417-425; Pharmacol Ther 1999, 82(2-3):279-284)。

0074

このように、CDK5阻害剤である式I記載の化合物は、神経変性疾患の治療管理において有益な効果を提供すると期待される。
従って、本発明は、有効量の少なくとも1つの式I記載のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を投与することを含む神経変性疾患を治療し及び/又は予防する方法に関する。

0075

本明細書で使用される「神経変性疾患」という用語には、脳損傷脳血管障害及びその結果、パーキンソン病、皮質基底核変性症運動ニューロン疾患筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、外傷性脳損傷、脳卒中、脳卒中後、外傷後脳損傷、及び小血管性脳血管障害を含む認知症、アルツハイマー病、脳血管性認知症、レヴィ小体型認知症、前頭側頭葉型認知症及び17番染色体と関連したパーキンソン症候等の認知症、ピック病を含む前頭側頭葉型認知症、進行性核性麻痺、皮質基底核変性症、ハンチントン病、視床変性クロイツフェルトヤコブ認知症、HIV認知症、認知症を伴う統合失調症、コルサコフ精神病及びエイズ関連認知症を含むがそれらに限定されるわけではない中枢神経系の障害及び末梢神経系の障害が含まれる。

0076

また同様に、軽度認知欠陥、加齢随伴性記憶欠陥、加齢関連性認知低下血管性認知欠陥、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、及び学習障害を有する子供における記憶障害等の認知関連障害は、神経変性障害であると考慮される。

0077

特に、本発明は、上述の種類の疼痛及び随伴する容態並びに炎症性障害、免疫学的疾患、増殖性疾患、感染性疾患、心血管疾患及び神経変性疾患を治療するための方法に関し、この中で、「治療すること」という用語は、疼痛及び随伴する容態並びに炎症性障害、免疫学的疾患、増殖性疾患、感染性疾患、心血管疾患及び神経変性疾患の予防、寛解又は治療することを含む。

0078

(医薬組成物)
本発明の好ましい実施態様には、医薬として許容し得る少なくとも1つの(すなわち非毒性の)担体、賦形剤及び/又は希釈剤とともに、活性成分としての少なくとも1つの式I記載のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を含む組成物の投与が含まれる。

0079

好ましくは、組成物は、活性成分として少なくとも1つの式I記載のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を含み、この中で、該少なくとも1つのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤は、他のCDKに対するよりもCDK5に対する高い選択性を有する。
さらにまた、本発明は、CDKの少なくとも2つの阻害剤及び/又は医薬として許容し得るそれらの塩を組み合わせる組成物を含む。該少なくとも2つの阻害剤は、同一のサイクリン依存性キナーゼを阻害し得、又は異なる種類のサイクリン依存性キナーゼも阻害し得、例えば、組成物における1つの阻害剤は、CDK5を阻害し得るのに対し、他の阻害剤は、例えばCDK2を阻害できる。しかしながら、阻害剤の1つは常にCDK5阻害剤である。

0080

疼痛治療に関して、個々の疼痛用投薬は、多くの中からちょうど1つの疼痛伝達経路干渉するので、部分的に有効な疼痛軽減のみをしばしば提供する。このように、また、疼痛知覚過程における異なる地点で作用する疼痛低下(鎮痛)薬との組み合わせで、式I記載のCDK阻害剤を投与することが企図される。

0081

「鎮痛薬」は、疼痛知覚における低下を生じる分子又は分子の組み合わせを含む。鎮痛薬は、CDKの阻害以外の作用の機構を採用する。
非ステロイド性消炎薬(NSAID)等のあるクラスの鎮痛薬は、侵害受容器によって検出される刺激の化学的メッセンジャー下方制御し、オピオイド等の別のクラスの薬物は、中枢神経系における侵害受容情報の処理を変化させる。他の鎮痛薬は、局所麻酔薬、抗痙攣薬及び三環系抗うつ薬等の抗うつ薬である。CDK阻害剤に加えて1つ以上のクラスの薬物を投与することは、疼痛のより有効な寛解を提供できる。

0082

本発明の方法及び組成物における使用のための好ましいNSAIDは、アスピリンアセトアミノフェン、イブプロフェン、及びインドメタシンである。さらにまた、特異的シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤等のCOX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ、COX189、及びロフェコキシブ)は、本発明の方法又は組成物における鎮痛薬として使用され得る。
好ましい三環系抗うつ薬は、クロミプラミンアモキサピンノルトリプチリンアミトリプチリンイミプラミンデシプラミンドキセピントリミプラミンプロトリプチリン、及びパモ酸イミプラミンからなる群から選択される。

0083

さらにまた、鎮痛薬としての抗痙攣薬(例えば、ガバペンチン)、GABABアゴニスト(例えば、L-バクロフェン)、オピオイド、バニロイド受容体アンタゴニスト及びカンナビノイド(CB)受容体アゴニスト、例えばCB1受容体アゴニストの使用は、本発明の方法及び組成物において好ましい。

0084

本発明のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤組成物を調製する上で、Remingtonの文献(薬剤学の科学及び実践第19版(The Science and Practice of Pharmacy, 19th ed.)(Mack Publishing, 1995))等の周知の製薬出典の標準的な推奨手本とすることができる。
本発明の医薬組成物は、従来の固体又は液体の担体又は希釈剤及び医薬として調製される従来のアジュバントにおいて、公知の方法で適切な薬用量レベルで調製できる。好ましい調製物は、経口適用に適している。これらの投与形態には、例えば、丸剤錠剤フィルム錠、コート錠、カプセル散剤及び沈着物が含まれる。

0085

さらにまた、本発明には、皮膚、真皮内、胃内、皮内、脈管内静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻内、内、内、経皮直腸内、皮下、下、局所、又は経真皮適用を含む非経口適用のための医薬調製物が含まれ、この中で、該調製物は、典型的な媒体及び/又は希釈剤に加えて、本発明記載の少なくとも1つの阻害剤及び/又は医薬として許容し得るその塩を活性成分として含有する。

0086

本発明記載の少なくとも1つの阻害剤及び/又は医薬として許容し得るその塩を活性成分として含有する本発明記載の医薬組成物は典型的に、企図された投与形態に関して、すなわち、錠剤、カプセル(固体充填半固体充填又は液体充填のいずれか)、構成用散剤、ゲルエリキシル剤、分散可能な顆粒シロップ、懸濁液、及びそれらの類似物の形態での経口投与のために、従来の薬事的実践と合致して選択された適切な担体材料とともに投与されるであろう。例えば、錠剤又はカプセルの形態での経口投与のために、活性薬物構成要素は、医薬として許容し得るいずれかの経口用非毒性担体と、好ましくは乳糖デンプンショ糖セルロースステアリン酸マグネシウムリン酸二カルシウム硫酸カルシウム滑石マンニトールエチルアルコール液体充填カプセル)及びそれらの類似物のような不活性担体と組み合わせられ得る。

0087

さらにまた、適切な結合剤潤滑剤、崩壊剤及び着色料は、錠剤又はカプセルへ組み込まれ得る。散剤及び錠剤は、約5〜約95重量%の本明細書に列挙される式I記載のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤又はそのアナログ又は医薬活性のある個々の塩を活性成分として含有し得る。

0088

適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン天然糖、トウモロコシ甘味料アカシア等の天然及び合成ゴムアルギン酸ナトリウムカルボキシメチルセルロースポリエチレングリコール及びが含まれる。適切な潤滑剤のうち、ホウ酸安息香酸ナトリウム酢酸ナトリウム塩化ナトリウム、及びそれらの類似物が挙げられ得る。

0089

適切な崩壊剤には、デンプン、メチルセルロースグアーゴム、及びそれらの類似物が含まれる。
また、甘味料及び調味料並びに保存料は、適宜含まれ得る。崩壊剤、希釈剤、潤滑剤、結合剤等は、以下により詳細に論議される。

0090

さらに、本発明の医薬組成物は、いずれかの1つ以上の構成要素又は活性成分の速度調節放出を提供して治療効果、例えば抗ヒスタミン活性及びその類似項目を最適化するための持続放出形態で製剤され得る。持続放出のための適切な剤形には、崩壊速度の変動する層を有する錠剤、又は活性成分が含浸され、錠剤形態成形された徐放性ポリマーマトリックス、又はこのような含浸され若しくは被包された多孔性ポリマーマトリックスを含有するカプセルが含まれる。

0091

液状製剤には、溶液、懸濁液、及び乳濁液が含まれる。一例として、非経口注射のための水又は水/プロピレングリコール溶液、又は経口用の溶液、懸濁液、及び乳濁液のための甘味料及び乳白剤の添加が挙げられ得る。また、液状調製物には、鼻内投与のための溶液が含まれ得る。
吸入に適したエアロゾル調製物には、不活性圧縮ガス、例えば窒素等の医薬として許容し得る担体との組み合わせで存在し得る溶液及び散剤状の固体が含まれ得る。

0092

坐剤を調製するために、ココアバターのような脂肪酸グリセリドの混合物等の低融点蝋がまず融解され、次に、活性成分が、例えば撹拌によってその中に均質に分散する。次に、融解された均質な混合物が、便利な大きさの鋳型注入され、冷却され、それにより凝固する。

0093

また、使用直前に経口又は非経口のいずれかの投与のための液状調製物へ変換されるよう企図された固体状調製物が含まれる。このような液状には、溶液、懸濁液、及び乳濁液が含まれる。
また、本発明記載の化合物は、経真皮的に送達され得る。経真皮組成物は、クリームローション、エアロゾル及び/又は乳濁液の形態を有し得、この目的のために当技術分野で公知のようなマトリックス又は貯蔵器の種類の経真皮パッチに含まれ得る。

0094

本明細書で列挙されるカプセルという用語は、活性成分を含む組成物を保持し又は含有するために、例えばメチルセルロース、ポリビニルアルコール、又は変性したゼラチン若しくはデンプンでできた特殊な容器又は被包体を指す。硬質シェルを有するカプセルは典型的には、骨又は豚肉の皮由来の比較的高いゲル強度のゼラチンでできており、又は該ゼラチンを配合する。カプセル自体は、少量の色素不透明剤可塑剤及び/又は保存料を含有し得る。錠剤の中で、活性成分を適切な希釈剤とともに含む圧縮され又は鋳造された固体剤形が理解される。錠剤は、湿式造粒乾式造粒によって、又は当業者に周知の圧縮によって得られる混合物又は顆粒の圧縮によって調製され得る。

0095

経口ゲルは、親水性半固体マトリックスに分散し又は可溶化した活性成分を指す。
構成用散剤は、例えば水において又はジュースにおいて懸濁できる、活性成分と適切な希釈剤とを含有する散剤配合物を指す。

0096

適切な希釈剤は、組成物又は剤形の大部分を通常調合する物質である。適切な希釈剤には、乳糖、ショ糖、マンニトール、及びソルビトール等の糖、コムギトウモロコシ、コメ、及びジャガイモ由来のデンプン、及び微結晶性セルロース等のセルロースが含まれる。組成物における希釈剤の量は、組成物全体の約5〜約95重量%、好ましくは約25〜約75重量%、より好ましくは約30〜約60重量%の範囲であり得る。

0097

崩壊剤という用語は、薬剤の医薬活性のある成分の崩壊及び放出を支持するために組成物へ添加される材料を指す。適切な崩壊剤には、デンプン、カルボキシメチルナトリウムデンプン等の修飾された「冷水可溶性」デンプン、イナゴマメカラヤ、グアートラガカント及びアガー等の天然及び合成ゴム、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、微結晶性セルロース、及びクロスカルメロースナトリウム等の架橋された微結晶性セルロース、アルギン酸及びアルギン酸ナトリウム等のアルギン酸塩ベントナイト等の粘土、及び起沸性混合物が含まれる。組成物における崩壊剤の量は、組成物の約2〜約20重量%、より好ましくは約5〜約10重量%の範囲であり得る。

0098

結合剤は、散剤粒子と結合し又は「接着し」、顆粒を形成することによって散剤粒子を接着性にし、従って製剤における「接着剤」として機能する物質である。結合剤は、希釈剤又は増量剤においてすでに利用可能な接着力を付加する。適切な結合剤には、ショ糖等の糖、コムギ、トウモロコシ、コメ及びジャガイモ由来のデンプン、アカシア、ゼラチン及びトラガカント等の天然ゴム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸カルシウムアンモニウム等の海藻派生物、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース材料ポリビニルピロリドン、及びケイ酸アルミニウムマグネシウム等の無機化合物が含まれる。組成物における結合剤の量は、組成物の約2〜約20重量%、好ましくは約3〜約10重量%、より好ましくは約3〜約6重量%の範囲であり得る。

0099

潤滑剤は、摩擦又は摩損を低下させることによって、錠剤顆粒等が圧縮された後に鋳型又はダイスから放出できるよう剤形へ添加されるあるクラスの物質を指す。適切な潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、又はステアリン酸カリウム等の金属性ステアリン酸塩、ステアリン酸、高融点蝋、並びに塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール及びD,L-ロイシン等の他の水溶性潤滑剤が含まれる。潤滑剤は、顆粒の表面に存在しなければならないので、通常、圧縮前のまさに最後の工程で添加される。組成物における潤滑剤の量は、組成物の約0.2〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約2重量%、より好ましくは約0.3〜約1.5重量%の範囲であり得る。

0100

滑走剤は、医薬組成物の構成要素の互いの焼成を防止し、流動が潤滑かつ均一であるよう顆粒の流動特徴を改善する材料である。適切な滑走剤には、二酸化ケイ素及び滑石が含まれる。
組成物における滑走剤の量は、最終組成物の約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.5〜約2重量%の範囲であり得る。

0101

着色料は、組成物又は剤形へ着色を提供する賦形剤である。このような賦形剤には、粘土又は酸化アルミニウム等の適切な吸着剤吸着された食品等級の色素が含まれ得る。着色料の量は、組成物の約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.1〜約1重量%で変動し得る。

0102

本発明は、いずれかの種類の疼痛、炎症性障害、免疫学的疾患、増殖性疾患、心血管疾患又は神経変性疾患の治療のための、活性成分としてサイクリン依存性キナーゼ阻害剤を含有する組成物を必要とする対象への該組成物の投与に関する。

0103

「該組成物を必要とする対象」は、近い将来いずれかの種類の疼痛、炎症性障害、免疫学的疾患、増殖性疾患、心血管疾患又は神経変性疾患を経験すると期待され、又は該容態の経験が進行中の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを含む。例えば、これらの動物又はヒトは、現に疼痛を生じており疼痛を生じ続けるようである進行中の容態を有し得、又は動物若しくはヒトは、痛い結果を通常有する手法若しくは事象に忍耐してきており又は該手法若しくは事象に忍耐中であろう。糖尿病性神経障害性痛覚過敏及びコラーゲン脈管疾患等の慢性の有痛容態は、第一の種類の例であり;特に炎症又は神経障害の一領域における歯科業務、及び毒素曝露化学治療薬への曝露を含む)は、後者の種類の例である。

0104

所望の治療効果を達成するために、個々のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤は、治療的有効量で投与されなければならない。
「治療的有効量」という用語は、示される生物学的又は医学的反応を誘発する活性化合物又は医薬の量を示すために使用される。この反応は、研究者、獣医医師又は他の臨床家によって探求されている最中の組織、系、動物又はヒトで生じ得、治療されている最中の疾患の症状の寛解を含む。本発明の脈絡において、治療的有効量は、例えば、疼痛、特に炎症性又は神経因性疼痛を低下させる量を含む。特に、治療的有効量は、治療されるべき対象において痛覚鈍麻効果を発揮する量を示す。

0105

これらの有効量は、例えば疼痛に対する対象の正常感度、対象の身長、体重、齢、及び健康状態、疼痛の起源、CDK阻害剤を投与する様式、投与される具体的な阻害剤、及び他の因子に応じて、対象によって変動するであろう。結果として、具体的なセットの環境の下で具体的な対象のための有効量を経験的に決定することが賢明である。
本発明は、制限することのない下記の実施例によってさらに説明される。

0106

すべての試薬ACROS Organics、Aldrich、Lancaster、Maybridge及びBoron Molecularから購入した。
化合物についての液体クロマトグラフィー/質量分析を、APCIイオン化を備えたSurveyor MSQ(Thermo Finnigan, USA)で実施した。

0107

本発明の化合物は、当技術分野で公知のいずれかの方法によって調製できる。1つの簡便な合成経路を、以下のスキーム1:



に示す。
フェニルボロン酸(2、Y=B(OH)2)又はその誘導体と2,4-ジハロゲン化ピリミジン(1、例えば、X1=X2=Cl)とのパラジウムにより触媒されるクロスカップリングは、4-アリール化2-ハロゲノピリミジン(3)を生じ、それをアニリン(4)でアミノ化する。

0108

(実施例1:{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-メタンスルホンアミド(化合物1)の合成)



a.4,6-ジクロロ-ピリミジン(6g、0.04mol)(Ranganathan、Subramaniaらの文献(予稿集インド科学アカデミー、化学的科学(Proceedings - Indian Academy of Sciences, Chemical Sciences)(1994), 106(5), 1051-70)、Maggiali, C.らの文献(Farmaco, Edizione Scientifica (1988), 43(3), 277-91)、Gershon, Hermanらの文献(Journal of Med. Chem. (1963), 6, 87-9))及び(2-メトキシ-フェニル)-ボロン酸(4.37g、0.029mol)をジメトキシエタン(120mL)及び水(18mL)に溶解した。この溶液に、NaHCO3(6.72g、0.08mol)、PdCl2(PPh3)2(0.84g)を添加し、7時間還流させておいた(薄層クロマトグラフィー対照)。次に、混合物を室温に冷却し、減圧下で溶媒を除去した。得られた粗固体をジクロロメタン(100mL)に溶解し、水(1×100mL)で洗浄し、有機層を分離し、K2CO3上で乾燥させ、濾過し、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をフラッシュクロマトグラフィー溶離剤:ジクロロメタン)によってさらに精製すると、粗生成物を生じ、それをヘキサンから結晶化すると、2-クロロ-4-(2-メトキシ-フェニル)-ピリミジン(4.7g、73%)を生じた。

0109

b.DMF(12mL)における2-クロロ-4-(2-メトキシ-フェニル)-ピリミジン(0.883g、0.004mol)及び(4-アミノ-フェニル)-メタンスルホンアミド(0.745g、0.004mol)(Bosch, J.; Roca, T.らの文献(Tetrahedron (2001), 57(6), 1041-1048)、Owa, Takashiらの文献(Journal of Med. Chem. (1999), 42(19), 3789-3799))の溶液を80℃で2時間撹拌した(薄層クロマトグラフィー対照)。減圧下で溶媒を除去すると、{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-メタンスルホンアミドを生じた。

0110

(実施例2:C-{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-N-メチル-メタンスルホンアミド(化合物2)の合成)



DMFにおける2-クロロ-4-(2-メトキシ-フェニル)-ピリミジン(0.883g、0.004mol)及びC-(4-アミノ-フェニル)-N-メチル-メタンスルホンアミド(0.801g、0.004mol)(Macor, John E.; Blankらの文献(Tetrahedron Letters (1992), 33(52), 8011-14))の溶液を、DMF(12mL)において80℃で2時間撹拌する(薄層クロマトグラフィー対照)。減圧下で溶媒を除去すると、C-{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-N-メチル-メタンスルホンアミドを生じた。

0111

(実施例3:{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-6-メチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-メタンスルホンアミド(化合物3)の合成)



DMF(12mL)における2-クロロ-4-(2-メトキシ-フェニル)-6-メチル-ピリミジン(0.939g、0.004mol)(Cocuzza, Anthony J.らの文献(PCT国際出願 (1999), WO 9901439 A1, 19990114))及び(4-アミノ-フェニル)-メタンスルホンアミド(0.745g、0.004mol)の溶液を80℃で2時間撹拌する(薄層クロマトグラフィー対照)。減圧下で溶媒を除去すると、{4-[4-(2-メトキシ-フェニル)-6-メチル-ピリミジン-2-イルアミノ]-フェニル}-メタンスルホンアミドを生じた。

0112

(実施例4)
I.炎症性疼痛及び神経因性疼痛の分析のための行動動物モデル
炎症性疼痛及び神経因性疼痛の分析のためのいくつかの動物モデルは公知である。該モデルは、例えば神経病変の誘発(例えば、坐骨神経部分損傷、SNI)後又侵害刺激に対する実験動物の曝露(例えば、ホルマリン又はカラゲナンの注射)後、該介入によって誘発されるような疼痛の徴候が、例えばフォン・フレイ毛髪を使用する機械的刺激に対する(又は、レーザー源若しくは舐める行動を使用する熱刺激に対する)足引っ込め閾値等の定量可能な行動の構成要素によって測定される共通の特徴を共有する。これらの反応は、ヒトにおける機械的アロディニア及び熱アロディニア(機械的刺激に対する過敏症)又は痛覚過敏と等価であるものとして解釈される。

0113

坐骨神経部分損傷モデル(SNIモデル、Decosterd及びWoolf(2000)によって開発、図1参照)は、臨床的に関連する神経病変の誘発、及び外科的介入後の行動実験(例えば、フォン・フレイアッセイ)によって特徴付けられる。該モデルは、腓腹神経を無傷のままにしておく坐骨神経の2つの分岐(すなわち、脛骨神経及び総腓骨神経)の結紮及び切断からなる共通神経損傷モデルを構成する。SNIモデルは、臨床的な神経因性疼痛の特徴を密接に模倣する機械的感度及び冷却感度における早期の(24時間未満)、長期の及び実質的な変化を結果的に生じる。これらの種類の神経損傷を有する動物は、異常な疼痛感覚及び、神経因性疼痛患者によって報告されるものと同様の機械的刺激に対する過敏症(アロディニア)を発生することが示されている。

0114

あるいは、マウスにおけるホルマリンアッセイは、炎症性疼痛及び神経因性疼痛における侵害受容の妥当なかつ信頼性のある行動モデルである。該アッセイは、多様なクラスの鎮痛薬に対して感受性がある(Hunskaar S及びHole Kの文献(Pain. 1987 Jul;30(1):103-14))。侵害刺激は、左後足背側面の皮膚の下(左後足への皮下又は足底間)での10μLの希釈したホルマリン(塩類溶液中で2%)の注射液からなる。反応は、注射された足を舐めること及び畏縮させることである。

0115

カラゲナンアッセイについて、マウスの単一の後足(同側足)への25μLの(塩類溶液中の)1%カラゲナン皮下注射が適用される。その後の炎症は結果的に、足の長期に持続する膨張及び(機械的刺激及び熱刺激に対する)過敏症を生じる。カラゲナンアッセイは、検査化合物の消炎性活性を予測するために使用される標準的な実験室アッセイである。足の浮腫測定及びハーグリブスアッセイ(Hargreaves Assay)(光源を介する熱刺激に応じた足の引っ込め)は、読み出しに使用される。

0116

本発明に関して、炎症性疼痛及び神経因性疼痛の発生に及ぼす式I記載のサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害化合物の投与の効果は、SNIモデルにおいて、カラゲナンアッセイにおいて及びホルマリンアッセイにおいてアッセイされ得る。実験手法及び結果を以下に詳細に記載する。

0117

(実施例5)
A.坐骨神経部分損傷(SNI)−慢性神経因性疼痛のモデル
上述に概略されるように、坐骨神経部分損傷(SNI)モデル(図1参照)は、実験動物の腓腹神経を無傷のままにしておく、坐骨神経の3つの末端分岐のうちの2つ(脛骨神経及び総腓骨神経)の病変を包含する。SNIは、損傷していない腓腹神経の皮膚支配領域における機械的アロディニア及び熱アロディニアを結果的に生じる(Decosterd及びWoolfの文献(Pain 2000; 87:149-158)、(2) Tsujinoらの文献(Mol. Cel. Neurosci. 2000; 15:170-182))。

0118

1.野生型マウスにおける坐骨神経部分損傷(神経病変)の誘発
野生型マウス(C3HeB/FeJ系)(齢、性別及び体重は対になっていた)を、外科的準備の前に4μL/gで1:1:2の比でHypnorm(0.315mg/mLクエン酸フェンタニル+10mg/mLフルアニソン;Janssen)/Hypnovel(5mg/mLミダゾラム;Roche Applied Sciences)/水で麻酔した。

0119

その後、坐骨神経の3つの末端分岐:総腓骨神経、脛骨神経及び腓腹神経を露出して、のレベルのちょうど上ですべてのマウスの同側右後脚無菌予防措置の下で病変を作製した。総腓骨神経及び脛骨神経を7/0絹糸でしっかり結紮し、結紮に対して遠位で切断し、遠位の神経断端約2mmを除去した。腓腹神経分岐は、手法の間触らないままであった(本明細書で「SNI同側」と記載)。重なっている筋肉及び皮膚を縫合し、動物を回復させ、創傷治癒させた。同一のマウスにおいて、反対側の左後脚の坐骨神経分岐を露出させたが、病変形成しなかった(本明細書で「SNI反対側」と記載)。坐骨神経部分損傷を経験したマウスを、以後「SNIマウス」と記載する。

0120

2.SNIマウスに対するCDK阻害化合物の投与
手術からの回復及び創傷治癒後、SNIマウスはCDK阻害化合物の経口注入を受容した。
400μL の2%ヒドロキシプロリルセルロース;0.25%乳酸(85%溶液)に溶解した30mg/kg のCDK阻害剤を、フォン・フレイ測定(機械的アロディニア)の30分前に経口適用を介して投与した。ネガティブコントロールとして、同量(400μL)の2%ヒドロキシプロリルセルロース;0.25%乳酸(85%溶液)媒体を、フォン・フレイ測定の30分前に単回経口適用によって投与した。

0121

阻害剤又は媒体の注入及びその後のフォン・フレイアッセイにおける機械的刺激に対する足引っ込め閾値の測定を、SNI後107日目に実施した。機械的刺激に対する反射侵害受容反応を各注入の30分後にフォン・フレイアッセイにおいて測定した。
機械的アロディニアの発生に及ぼすSNIマウスへのCDK阻害剤の投与の効果を、以下に記載のとおり、フォン・フレイアッセイにおいて分析した。

0122

3.CDK阻害化合物の投与後のSNIマウスの行動検査(フォン・フレイアッセイ)
SNI及びその後の本発明の化合物の投与を経験したマウスを神経損傷後及び投与後の機械的アロディニアの徴候について、フォン・フレイアッセイにおいて検査した(Decosterd及びWoolfの文献(Pain 2000; 87:149-158))。本アッセイは、通常では痛くない刺激が不快なもの又は痛いものとして動物によって認識される機械的閾値を決定する。SNI同側及びSNI反対側の基線を個々に確立した。

0123

Chaplanら(1994)並びにMalmberg及びBasbaum(1998)に基づいたアップダウン法を使用して、SNIマウスの機械的閾値を定量した。
直径約9.5cm、高さ14cmで先端に向けて4つの通気孔及びプレキシガラス蓋のついたプレキシガラスシリンダーにマウスを配置した。シリンダーを高架のメッシュ表面(7×7平方mm)の上に配置した。検査前に、マウスを検査シリンダーに1〜2時間順応させた。検査当日、マウスをシリンダーに約1時間順化させ、この中で、順化時間は、マウスの系及びマウスが以前検査された回数等の因子に依存する。一般的に、検査は、マウスが一旦落ち着いて新たな環境を探索するのを停止したら開始し得る。

0124

マウスを検査するために、フィラメント2.44、2.83、3.22、3.61、3.84、4.08、及び4.31(力の範囲=0.04〜2.0g)を使用した。3.61mNフィラメントを最初に適用した。該フィラメントを片足の足底表面に穏やかに適用し、曲げさせ、しかるべき位置で2〜4秒間保持した。刺激に対する正の反応(屈曲反応)が生じた場合はいつでも、次のより弱いフォン・フレイ毛髪を適用し;負の反応(無反応)が生じた場合はいつでも、次のより強い力を適用した。反応における最初の変化後にさらに4回の刺激に対する反応が得られるまで、検査を続行した。検査した最大力は、4.31であった。カットオフ閾値は、2gであった。

0125

一連スコア(すなわち、「屈曲反応」及び「無反応」)及び適用された最後のフィラメントの力を使用して、Chaplanらの文献(Journal of Neuroscience Methods. 53(1):55-63, 1994 Jul.)に記載された機械的閾値を決定した。決定された閾値は、動物が回数の50%に反応すると期待されるであろうものである。フォン・フレイ測定が達成された後に、マウスを屠殺した。

0126

4.神経因性疼痛の発生に及ぼすCDK阻害化合物の投与の効果
上述のとおり、CDK阻害化合物をSNIマウスへ投与した。上述のとおり、術後107日目に動物の同側及び反対側の足でフォン・フレイ測定を実施した。薬理学的処置をせずに、SNIマウスは、SNI手術後に安定したアロディニアを示す。化合物で処置された動物は、機械的刺激に対する低い感度(低いアロディニア)を示す閾値の有意な増大を示す。低いアロディニアの観察は、CDK阻害化合物が、慢性神経因性疼痛のモデルにおける痛覚鈍麻薬として効果的であることを意味する。

0127

(実施例6)
ホルマリンアッセイ−炎症過程/炎症性疼痛及び慢性神経因性疼痛のモデル
マウスにおけるホルマリンアッセイは、侵害受容の妥当かつ信頼性のある行動モデルであり、多様なクラスの鎮痛薬に対して感受性がある(Hunskaar S及びHole Kの文献(Pain. 1987 Jul;30(1):103-14))。侵害刺激は、10μLの希釈したホルマリン(2%塩類溶液)の左後足への皮下又は足底内注射である。反応は、注射された足を舐めること及び畏縮させることである。反応は、炎症過程の異なる部分(Abbottら1995)を反映する2つの相、すなわち早期/急性相である注射0〜5分後、及び後期/慢性相である注射5〜30分後を示す。下記のプロトコールは、実験を実施するための可能な1つの方法を記載する:

0128

1.ホルマリンの注射及びCDK阻害化合物の投与
本アッセイにおいて、齢、性別及び体重の対になった野生型マウス(C3HeB/FeJ)を使用する。ホルマリン注射の前に、動物を各群10匹の実験群無作為にさらに分ける。ホルマリン注射の30分前に、400μL の2%ヒドロキシプロリルセルロース;0.25%乳酸(85%溶液)に溶解した適量のCDK阻害剤は、腹腔内注射により投与できる。同様に、400μLの 2%ヒドロキシプロリルセルロース;0.25%乳酸(85%溶液)におけるIκキナーゼ(IKK)阻害剤(30mg/kg)(ポジティブコントロール)、又は媒体単独(400μLの 2%ヒドロキシプロリルセルロース;0.25%乳酸(85%溶液))(ネガティブコントロール)は、ホルマリン注射の30分前に腹腔内注射によって投与できる。

0129

ホルマリン注射に向けて、移動による注射の妨害を回避するために、マウスをペーパータオルで保持する。注射した後足を親指人差し指との間に保持し、ハミルトンシリンジを使用して10μLのホルマリン(2%)を2つの隆起間で後足足底へと皮下注射する。ホルマリン及び阻害剤で処置したマウスの行動を以下に記載のとおり分析する。

0130

2.ホルマリンの注射及びCDK阻害化合物の投与後のマウスの行動分析
ホルマリン処置したマウスの行動、すなわち舐めること及び畏縮を、規定した時間にわたって自動追跡ステム(Ethovision 3.0 Color Pro, Noldus, Wageningen, Netherlands)によってモニターする:ホルマリン注射5分後に測定を開始し、ホルマリン注射30分後に終了する。この時間枠は、痛覚過敏であるホルマリン誘発性侵害受容(疼痛)の位相IIにわたる。

0131

注射した後足(黄色色素)(Lumogenyellow; BASFPigment, Cologne, Germany)及び反対側の足(青色色素)(Lumogenviolet; Kremer Pigmente, Aichstetten, Germany)をそれぞれ局所的に標識するために、2つの異なる染色色素を使用する。舐める行動を決定するために、マウスをCCDカメラでモニターする。モニタリング及び記録後、EthoVisionソフトウェア(Ethovision 3.0 Color Pro, Noldus, Wageningen, Netherlands)を使用して、又は手動分析によってビデオを分析する。蛍光点の大きさ及び蛍光強度を測定し、舐めること及び噛みつくことを通じての蛍光点の大きさの減少を算出した。処置された足と非処置の足に関する点の大きさの減少の比較により、全体的な舐める時間の強度を自動的に算出した。

0132

アッセイの読み出しの別の変形として、個々の動物の舐める行動をビデオファイルに基づいて手動で追跡した。ホルマリン注射後30分間にわたって舐める時間を記録し、3つの異なる舐める区域(背面、足底、つま先)についてさらに分けた。全体的な舐める時間は各動物及び各実験群について算出でき、化合物の効能の決定のためのパラメータとして使用できる。

0133

結果として、ホルマリン注射前に媒体処置を受容するマウス(ネガティブコントロール)は、ホルマリン処置した足で、長い舐める時間及び蛍光点の大きさの有意な減少を示すことが発見された。
対照的に、検査化合物/ホルマリン処置したマウスにおいて、ホルマリン処置した足の舐める時間の短縮及び結果として蛍光点の大きさの有意な減少がなかったことが観察できた。同一の効果、すなわち、舐める時間の短縮及び蛍光点の大きさのわずかな変化が、Iκキナーゼ阻害剤(IKK;IKKに関する機能については図2参照、ポジティブコントロール)で処置した対照マウスにおいて観察された。
この観察は、CDK9阻害剤で処置したマウスにおける低い炎症性/慢性炎症性疼痛の知覚と、検査された化合物の痛覚鈍麻効果とを示す。

0134

(実施例7)
マウスにおけるカラゲナンアッセイ−炎症及び炎症性疼痛のモデル
カラゲナン誘発性の足の浮腫のモデルは、個々の化合物の消炎性活性及び炎症誘発性疼痛知覚の低下を予測するために使用される標準的な実験室アッセイである。下記のプロトコールは、実験を実施するための可能な1つの方法を記載する。

0135

基本的な測定は、浮腫並びにカラゲナン等の刺激物に応答した機械的過敏症及び熱過敏症の測定で構成する。
炎症及び結果として生じる炎症性疼痛は、25μLの 1%カラゲナン(塩類溶液)のマウス後足(同側足)への皮下注射によって誘発される。各群10匹のマウスは、カラゲナン注射の30分前の腹腔内注射による式I記載の化合物(30mg/体重kg)、媒体(400μL の2%ヒドロキシプロリルセルロース;0.25%乳酸(85%溶液))及び塩類溶液(生理食塩水)の投与を受容する。反対側の足は、カラゲナン注射を受容しない。

0136

1.1カラゲナン処置したマウスに及ぼすCDK阻害化合物の投与の効果
カラゲナン注射によって誘発される足の浮腫を、注射した(同側の)足の中足領域で背面から足底まで測定した大きな足のサイズによって検出する。同側及び反対側の足の大きさは、炎症についての代理マーカーとして機能し、カラゲナン注射後のいくつかの時点:注射前(-1)、注射2時間後(2)、3時間後(3)、4時間後(4)、5時間後(5)、6時間後(6)、24時間後(24)に測定される。

0137

すべてのマウスの足の大きさは、カラゲナンの30分前に注射した処置物質の種類とは関係なく、カラゲナン注射後の最初の1時間以内に、例えば2〜3mm(+10%)増大し得る。時間経過の間、カラゲナン注射前にCDK阻害化合物による処置を受容したマウスは、カラゲナン注射24時間後まで浮腫の減少を示し得:足の大きさの増大は、例えば10%から8%へと低下することができた。対照的に、対照マウスの足の大きさは、この時点で平均して30%増大することができた。カラゲナン注射の24時間後、カラゲナンで処置したすべての足の大きさは、注射96時間後で最大に到達するよう増大し得る。

0138

カラゲナンアッセイの読み出しとして、ハーグリーブスアッセイ(Hargreaves assay)が実施され得、この中で、該アッセイによって輻射熱に対する熱感受性の測定が可能となる。ハーグリーブスアッセイ(Hargreavesら, 1988)は、動物がプレキシガラスチャンバーの中で立つ場合に、動物の後足の足底面輻射熱源を集中させることによって、自由に移動する動物における侵害受容感受性を測定する。特に、足の下位側を、例えば55℃の温度を生じる光源へ曝露する。熱感受性を、曝露の開始と曝露された足の挙上/引き抜きとの間の潜時として測定する。

0139

本明細書に開示されるCDK9阻害剤及びカラゲナン、又はナプロキセン及びカラゲナン、又は溶媒及びカラゲナンを使用してそれぞれ処置されたマウスを、ハーグリーブスアッセイに供する。CDK阻害剤及びカラゲナンを使用して処置されたマウスは、ネガティブコントロールマウスと比較してより長い潜時を示すことができた。この観察は、本明細書に開示されるCDK阻害剤の痛覚鈍麻効果を示すであろう。

0140

(実施例8)
ラットにおけるカラゲナンアッセイ−炎症及び炎症性疼痛のモデル
下記は、ラットにおいてカラゲナンアッセイを実施する可能な1つの方法を示す。
該アッセイは、Winterら(Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 111, 544-547, 1962)によって記載されるプロトコールに従って、炎症性疼痛を有するラットにおける鎮痛/消炎性活性を検出する。

0141

ラット(200〜250g)の右後足の下位表面にカラゲナンの懸濁液を注射する(0.05mLの生理塩類溶液における足あたり0.75mg)。2時間後、両足触覚刺激及び熱刺激に対してラットを連続的に供する。
触覚刺激のために、格子床上の反転したアクリルプラスチック箱(18×11.5×13cm)の下に動物を配置する。次に、力を増大させながら、電子フォン・フレイプローブ(Bioseb, Model 1610)の先端をまず炎症を生じていない後足へ、次に炎症を生じた後足へ適用し、足の引っ込めを誘発させるのに必要な力を自動的に記録する。この手法を3回実施し、足あたりの平均の力を算出する。

0142

熱刺激のために、装置(Ugo Basile, 参照: 7371)は、高架のガラス床上に配置された個々のアクリル製プラスチック箱(17×11×13cm)からなる。ラットを箱の中に配置し、10分間自由に慣れさせる。次に、携帯赤外線源(96±10mW/cm2)をまず炎症を生じていない後足の下に、次に炎症を生じた後足の下に焦点合わせし、足引っ込め潜時を自動的に記録する。組織障害を防止するために、熱源を45秒後に自動的にオフにする。

0143

行動測定後、足の浸漬によって誘発される水置換(mL)を示すデジタル体積記録計(Letica, Model 7500)を使用して、各後足の体積を測定することによって、足の浮腫を評価する。
各群あたり10匹のラットを研究する。検査を盲検で実施する。

0144

本明細書に呈される式I記載のCDK阻害剤等の検査物質は、検査60分前に経口投与される2用量(10及び30mg/kg)で評価され、媒体対照群と比較されるであろう。
同一実験条件下で投与されるモルヒネ(128mg/kg経口投与)及びアセチルサリチル酸(512mg/kg経口投与)は、基準物質として使用されるであろう。

0145

それゆえ、実験には6群が含まれるであろう。対応のないスチューデントt検定を使用して、処置された群を媒体対照と比較することによって、データが分析されるであろう。
本明細書に開示されるCDK9阻害剤及びカラゲナン、又はナプロキセン及びカラゲナン、又は溶媒及びカラゲナンを使用してそれぞれ処置されたラットを、ハーグリーブスアッセイに供する。CDK阻害剤及びカラゲナンを使用して処置されたラットは、ネガティブコントロールラットと比較してより長い潜時を示すべきである。この観察は、本明細書に開示されるCDK阻害剤の痛覚鈍麻効果を示すであろう。

0146

(実施例9)
A.インビトロでのキナーゼ阻害アッセイ
インビトロでの酵素キナーゼ阻害アッセイにおけるサイクリン依存性キナーゼCDK2/CycA、CDK4/CycD1、CDK5/p35NCK、CDK6/CycD1及びCDK9/CycTについて、化合物1〜3番のIC50特性を決定した。CDK9阻害に関する化合物の特異的選択性及び効力を評価するために、これらのアッセイにおいて得られるIC50値を使用した。

0147

これらのアッセイにおいて得られた結果を使用して、CDK5に対する特異性を示す化合物を選択した。特に、該アッセイは、CDK5特異的化合物を、他のCDKに関しても、すなわちCDK2、4、6、及び9のいくつか又はすべてに関して有意な阻害効力を有する他の化合物と識別するよう企図された。この分離は、細胞周期関連CDK2、4、6、及び9の阻害の際に生じ得る有害な(細胞分裂阻害性/細胞毒性)効果を回避するために必須である。
さらに、これらのデータを使用して、効力及び選択性に関して新たな及びさらに改良された構造/化合物の設計を支持する構造活性関係性(SAR)を確立した。

0148

1.検査化合物
100%DMSOにおける1×10-02Mストック溶液として化合物を使用し、3つの96ウェルV字型マイクロタイタープレートの2列目に各100μL使用した(以下、該プレートを「マスタープレート」とする。)。
その後、100%DMSOを溶媒として使用する連続半対数希釈へマスタープレートの2列目における1×10-02Mストック溶液を供し、結果的に10個の異なる濃度を生じ、希釈終点は、12列目における3×10-07M/100%DMSOであった。1列目及び7列目を対照として100%DMSOを充填した。その後、96チャネルピペッターを使用して、連続希釈したコピープレートの各ウェルの2×5μLを「化合物希釈プレート」の2つの同一セット分注した。

0149

キナーゼ阻害アッセイ当日、45μLのH2Oを1セットの化合物希釈プレートの各ウェルに添加した。沈殿を最小化するために、アッセイプレート化合物溶液転移させるほんの数分前に、H2Oをプレートに添加した。プレートを入念に振盪し、結果的に半対数工程で1×10-03M/10%DMSO〜3×10-08M/10%DMSOの濃度の「化合物希釈プレート/10%DMSO」を生じた。「アッセイプレート」への5μLの化合物溶液の転移のために、これらのプレートを使用した。作業当日の終了時に、化合物希釈プレートを廃棄した。アッセイ(以下参照)のために、化合物希釈プレートの各ウェルから5μL溶液をアッセイプレートに転移させた。アッセイの最終容積は50μLであった。1×10-04M〜3×10-09Mの範囲の10個の最終アッセイ濃度で、すべての化合物を検査した。反応混合物における最終DMSO濃度は、すべての場合において1%であった。

0150

2.組換えプロテインキナーゼ
阻害特性の決定のために、下記の5個のプロテインキナーゼを使用した:CDK2/CycA、CDK4/CycD1、CDK5/p35NCK、CDK6/CycD1及びCDK9/CycT。バキュロウイルス発現系によって、ヒト組換えGST融合タンパク質又はHisタグつきタンパク質として、該プロテインキナーゼをSf9昆虫細胞において発現させた。GSH-アガロース(Sigma)又はNi-NTH-アガロース(Qiagen)のいずれかを使用するアフィニティクロマトグラフィーによって、キナーゼを精製した。各キナーゼの純度をSDS-PAGE/銀染色によって決定し、キナーゼ特異的抗体を使用するウェスタンブロット分析によって又は質量分析によって、各キナーゼの同一性を確認した。

0151

3.プロテインキナーゼアッセイ
50μL反応容積におけるPerkin Elmer/NEN(Boston, MA, USA)製の96ウェルFlashPlates(商標)において、すべてのキナーゼアッセイを実施した。反応混合物を下記の順序で4工程でピペッティングした:
・20μLのアッセイ緩衝液(標準緩衝液)
・5μLの(H2Oにおける)ATP溶液
・5μLの(10%DMSOにおける)検査化合物
・10μLの基質/10μLの酵素溶液(あらかじめ混合)

0152

すべての酵素についてのアッセイは、60mMHEPES-NaOH(pH7.5)、3mM MgCl2、3mM MnCl2、3μMオルトバナジン酸ナトリウム、1.2mM DTT、50μg/mL PEG20000、1μM[-33P]-ATP(ウェルあたり約5×1005cpm)を含有した。
下記の量の酵素及び基質をウェルあたり使用した:

0153

反応混合物を30℃で80分間インキュベートした。50μLの2%(v/v)H3PO4を使用して反応を停止させ、プレートを吸引し、200μLのH2O又は200μLの0.9%(w/v)NaClを使用して2回洗浄した。マイクロプレートシンチレーションカウンタ(Microbeta, Wallac)を使用して、33P組み込みを決定した。
BeckmanCoulter/Sagianロボットシステムを使用して、すべてのアッセイを実施した。

0154

(4.生データの評価)
各アッセイプレートの1列目(n=8)における計数中央値を「低コントロール」と定義した。この値は、プロテインキナーゼの不在下だが基質の存在下でのプレートに対する放射能非特異的結合を反映する。各アッセイプレート(n=8)の7列目における計数の中央値を「高コントロール」、すなわち阻害剤の不在下での完全な活性とみなした。高コントロールと低コントロールとの間の差異を100%活性とした。データ評価の一部として、高コントロール値から、及び対応するプレートの80個の「化合物値」すべてから、具体的なプレート由来の低コントロール値を減算した。下記の式を使用することによって、具体的なプレートの各ウェルについての残効性(%)を算出した:
残効性(%)=100×[(化合物のcpm−低コントロール)/(高コントロール−低コントロール)]

0155

Quattro Workflow V2.0.1.3(Quattro Research GmbH, Munich, Germany; www.quattro-research.com)を使用して、各濃度についての残効性及び化合物のIC50値を算出した。使用したモデルは、「シグモイド反応(可変傾斜)」であり、パラメータの「上部」は100%に、「下部」は0%に固定した。
化合物1〜3番についてのIC50が、1nM〜10μMの範囲内にすべて含まれることがわかる。

0156

(実施例10:インビトロでのSH-SY5Yアッセイ−CDK5阻害剤を特徴付けるためのタウリン酸化の使用)
異常なタウリン酸化及び脱制御されたCDK5/p35活性は、互いに密接に連関し、アルツハイマー病、パーキンソン病又は筋萎縮性側索硬化症等の神経変性疾患の顕著な特徴を提示する。
ヒト神経芽腫細胞系SH-SY5Yは、インビトロでのモデルとしてCDK5の機能及びCDK5特異的阻害剤の効能を研究するために利用できる。SH-SY5Y細胞は、CDK5を含むいくつかのキナーゼによってリン酸化されることが公知の多様なリン酸化部位を有するタウタンパク質を発現する。SH-SY5Y細胞は、10μMの全トランスレチノイン酸に3日間曝露し、その後50ng/mLのヒト組換え脳由来神経栄養因子に3〜5日間曝露することによって、神経細胞様細胞へと分化でき、それによりタウタンパク質を含む神経細胞マーカー上方制御できる。さらに、CDK5及びp35のタンパク質レベルは、分化中に増大した。RA-BDNFにより分化した細胞はそれゆえ、タウリン酸化を研究し、潜在的なCDK5阻害剤をスクリーニングするための適切なモデルとして機能できる(Jamsaらの文献(2004. BBRC 319;993-1000))。

0157

1.SH-SY5Y細胞の増殖及び分化
15%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEMにおいて、SH-SY5Y神経芽腫細胞(ATCC, CRL-2266)を37℃及び5%CO2で増殖させる。分化のために、正常増殖培地において2×105個/6ウェルの密度で細胞を蒔き、付着させるために一晩インキュベートする。正常増殖培地を、10μM全トランスレチノイン酸(RA、DMSOに溶解;Sigma-Aldrich, R2625)を補充した抗生物質を含まない増殖培地と置換し、さらに3日間インキュベートすることによって、分化を誘導する。その後、50ng/mLヒト組換え脳由来神経栄養因子(BDNF、滅菌ddH2Oに溶解;Sigma-Aldrich, B3795)を補充した無血清かつ抗生物質を含まない培地へ培地を交換し、細胞をさらに3〜5日間インキュベートして分化を完了させる。

0158

CDK5阻害剤を特徴付けるための代替的なアッセイ及び読み出し
あるいは、SH-SY5Y細胞の代わりに、10μM BrdUで3日間分化させたヒトIMR-32神経細胞又は50ng/mLヒト組換え神経増殖因子(NGF)で3日間分化させたラットPC12神経芽腫細胞は、多様なリン酸化部位でのタウリン酸化を研究するために使用できる。

0159

20%ウシ胎児血清、1%非必須アミノ酸及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMIにおいて、IMR-32神経芽腫細胞(DSMZ,ACC165)を37℃及び5%CO2で増殖させる。分化のために、正常増殖培地において1×106個/6ウェルの密度で細胞を蒔き、付着させるために一晩インキュベートする。正常増殖培地を、10μM(+)-5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrdU、滅菌PBSに溶解;Sigma Aldrich, 858811)を補充し抗生物質を含まない増殖培地と置換し、さらに3日間インキュベートすることによって、分化を誘導する。

0160

ラット尾部コラーゲンでコーティングした培養フラスコ(Roche, 11 179 179 001)において、10%ウマ血清、5%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMI1640において、PC12神経芽腫細胞(DSMZ,ACC159)を増殖させる。神経細胞様細胞への分化を誘導するために、培地を、50ng/mLヒト組換え神経増殖因子(NGF)を補充した無血清かつ抗生物質を含まない培地と交換し、さらに3日間インキュベートする。

0161

(10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEMにおいて、C2C12筋芽細胞を増殖させる。分化のために、正常増殖培地において1.25×105個/12ウェルの密度で細胞を蒔き、コンフルエントになるまでインキュベートする。正常増殖培地を、2%ウマ血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEMと2〜5日間置換することによって、分化を誘導する。)

0162

2.CDK阻害化合物による分化したSH-SY5Y細胞の処置
分化が完了した後、培地を、CDK阻害化合物並びにポジティブコントロール及びネガティブコントロール等の基準化合物を有する無血清増殖培地と置換し、DMSOに溶解した各化合物を0.1〜100μMの範囲の濃度で添加する(ウェルにおけるDMSOの終濃度は0.1%にすべきである。)。細胞を化合物とともに90〜120分間インキュベートする。掻爬することによって細胞を回収し、PBSで2回洗浄し、溶解緩衝液(BioSource,FNN0011)において溶解する。溶解した細胞を-20℃で保存し、又はウェスタンブロット若しくはELISAアッセイのために即時使用して全タウ及びpS396又はpT231タウを決定する。

0163

3.CDK阻害化合物の投与後のSH-SY5Y細胞可溶化液における全タウ及びpタウの含有量の決定
製造元説明書に従って市販のELISAキット(BioSource: ヒト全タウ: KHB0042; ヒトpS396タウ: KHB7031; ヒトpT231タウ: KHB7051)を使用することによって、又は全抗体及びリン特異的抗体(抗体: 全タウ: Santa Cruz, sc-21796; pS396タウ: Santa Cruz, sc-12414; pT231タウ, AT180: Pierce Endogen, MN1040; pS202タウ: AT8: Pierce Endogen, MN1020)によるウェスタンブロット探索を使用することによって、細胞培養可溶化液内の全タウ、pS396タウ及びpT231タウの濃度を測定する。

0164

4.分化したSH-SY5Y細胞におけるセリン396でのタウタンパク質のリン酸化に及ぼすCDK阻害化合物による処置の効果
CDK5阻害化合物をDMSOに溶解し、RA及びBDNFにより分化したSH-SY5Y細胞へ、二つ組又は三つ組で投与した。検査化合物又は基準化合物(例えば、GSK3β阻害剤であるLiCl又はCDK阻害剤であるロスコビチン)との90〜120分のインキュベーション後、上述のとおり、ウェスタンブロット又はELISA分析のために細胞を回収した。

0165

化合物58番で処置した細胞は、セリン396におけるタウリン酸化に及ぼす化合物58番の有意な阻害効果を示した。基準化合物であるLiCl及びロスコビチンと比較して、この化合物は、S396でのタウリン酸化の同様の又はより良好な阻害を呈した。

実施例

0166

4.代替的なアッセイ及び読み出し
代替的なアッセイ:ヒトSH-SY5Y細胞(RA及びBDNFを使用して分化)、ヒトIMR-32神経細胞(BrdUを使用して分化)及びマウスC2C12筋芽細胞(2%ウマ血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEMを2〜5日間使用して筋管へ分化)は、CDK5の公知の基質である転写因子MEF2Dを発現する。CDK5/p35はリン酸化し、それによりMEF2D転写活性を阻害する。それゆえ、CDK5の阻害は、MEF2D転写活性を低下させるであろう。(例えば、リポーター遺伝子アッセイ、ELISA活性(Panomics, TransBinding MEF2 Assay kit, EK1081)を使用して又はpMEF2D及び全MEF2D抗体を使用するウェスタンブロットにおいて)MEF2D活性を読み出す細胞アッセイは、CDK5活性を測定するための有用な道具であろう。CDK5/p35の別の公知の基質であるStat3の転写活性を使用する同様の読み出しが使用できる(Fuらの文献(2004. PNAS, vol 101(17);6728-6733))。

先行技術

0167

参考文献
Barboric M.らの文献(NfkBはP-TEFbと結合してRNAポリメラーゼIIによる転写伸長を刺激する(NfκB BindsP-TEFb to Stimulate Transcriptional Elongation by RNA Polymerase II), Molecular Cell, 2001, Vol. 8, 327-337)
Besson J.M.らの文献(疼痛の神経生物学(The neurobiology of pain). Lancet, 1999, 353(9164), 1610-1615)
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Zhou M.らの文献(ヒト免疫不全ウイルス1型の転写の間のP-TEFbキナーゼによる転写因子のリン酸化とヒストンメチル化との協調(Coordination of transcription factor phosphorylation and histone methylation by the P-TEFb Kinase during human immunodeficiency virus type I transcription), J. Virol 2004, 78(24):13522-13533)

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