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図面 (17)

課題・解決手段

本発明は、アテローム性動脈硬化血管形成術後の再狭窄肺動脈高血圧および静脈移植片疾患などの血管障害治療および/または予防のためのMRP阻害剤に関する。

概要

背景

細胞の増殖および成長は、様々な病理学刺激に応じて血管筋細胞で通常認められる血管再構築を導く2種類の機構である。平滑筋細胞の過剰な増殖は、主要な動脈血管における損傷応答関与する基本的なプロセスである。このようなプロセスは、アテローム性動脈硬化血管形成術後の再狭窄肺動脈高血圧および静脈移植片疾患を含む数多くの血管障害に関わっている(Dzau VJ他、2002;Novak K.,1998)。したがって、血管平滑筋細胞VSMC)増殖の調節剤を同定することは、心血管生物学および心血管医学における研究の重要な焦点である。

胎児遺伝子の再発現を含む遺伝子の発現には、一定の変化パターンが認められる。このような差異は、特定の基礎的なシグナル伝達経路によって制御される。病的な血管平滑筋細胞の増殖に関与するシグナリング経路記述が増えたことによって、環状ヌクレオチドによって制御される調節経路が指摘されるようになってきた。環状ヌクレオチド、すなわち、アデノシン3’、5’−1リン酸cAMP)および環状グアノシン3’、5’−1リン酸(cGMP)は、平滑筋細胞増殖の負の調節因子として作用する重要なセカンドメッセンジャーである。細胞における環状AMPの合成はアデニリルシクラーゼ酵素によって、環状GMPグアニリルシクラーゼ酵素によって触媒される(McDonald&Murad、1996;Sunahara他、1996)。細胞内cAMPおよびcGMP濃度のcAMPおよびcGMP類似体による上昇は、いずれも独立してウサギの血管平滑筋細胞の増殖を阻害する(Assender JW他、1992)。構成的活性型タンパク質キナーゼG(PKG)(またはcGMPで刺激された野生型PKG)の再発現は、VSMC移動を阻害し、アポトーシスを増強し、増殖を抑え、血管損傷後の新生内膜形成を減少させる(Boerth NJ他、1997;Sinnaeve P他、2002)。

これらの結果を受けて、環状ヌクレオチド除去に関与するプロセスに焦点が当てられてきた。これらの環状ヌクレオチドは、細胞内cAMPおよびcGMPの加水分解に関与するホスホジエステラーゼ(PDE)スーパーファミリーの特定のメンバーによって分解され得る(Rybalkin他、2003)。

最近、Chen他(JBC;2001)によって、cAMPおよびcGMPはまた、能動的流出輸送体、すなわち、ATP結合カセット輸送体C型(ABCC)4およびABCC5遺伝子によってそれぞれコードされる多剤耐性タンパク質MRP)MRP4およびMRP5によって輸送され得ることが報告された。この輸送体ファミリーの中でも、MRP4およびMRP5はcAMPおよびcGMPに高い親和性を示す。しかし、現在に至るまで、これらのタンパク質の生理学的機能は不明なままである。最近、MRP4およびMRP5は環状ヌクレオチドのATP依存性排出ポンプとして同定され(Jedlitschky他、2000;Chen他、2001)、MRP4およびMRP5はブタ冠動脈および肺動脈で発現することが示された(Mitani他;2003)。

概要

本発明は、アテローム性動脈硬化、血管形成術後の再狭窄、肺動脈高血圧および静脈移植片疾患などの血管障害の治療および/または予防のためのMRP4阻害剤に関する。

目的

本発明は、平滑筋細胞、特に動脈平滑筋細胞の増殖を阻害するための方法および組成物(例えば、医薬組成物)を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

血管障害治療および/または予防のためのMRP阻害剤

請求項2

平滑筋細胞の増殖および成長阻害するためのMRP4阻害剤。

請求項3

前記血管障害が、アテローム性動脈硬化血管形成術後の再狭窄肺動脈高血圧および静脈移植片疾患からなる群から選択される、請求項1に記載の阻害剤。

請求項4

MRP4の選択的阻害剤である、請求項1から3のいずれかに記載の阻害剤。

請求項5

MRP4発現の阻害剤である、請求項1から4のいずれかに記載の阻害剤。

請求項6

MRP4発現の前記阻害剤が、アンチセンスRNAまたはDNA分子、低分子阻害性RNA(siRNA)、低分子ヘアピンRNAおよびリボザイムからなる群から選択される、請求項5に記載の阻害剤。

請求項7

MRP4発現の前記阻害剤が、配列番号9に示す配列を含む低分子ヘアピンRNAである、請求項6に記載の阻害剤。

請求項8

MRP4の前記阻害剤が、有機低分子アプタマー抗体および抗体断片からなる群から選択される、請求項1から4のいずれかに記載の阻害剤。

請求項9

請求項1から8のいずれかに記載のMRP4の阻害剤を含む、平滑筋細胞の増殖を阻害するための医薬組成物

請求項10

請求項1から8のいずれかに記載のMRP4の阻害剤を含む、血管障害を治療するための医薬組成物。

請求項11

PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、PDE5阻害剤およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤をさらに含む、請求項9または10に記載の医薬組成物。

請求項12

請求項10に記載の第1の医薬組成物、ならびにPDE3阻害剤、PDE4阻害剤、PDE5阻害剤およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を含む第2の医薬組成物を含む、血管障害を治療するためのキット

請求項13

前記第2の医薬組成物がPDE5阻害剤を含む、請求項12に記載のキット。

請求項14

請求項1から8のいずれかに記載のMRP4の阻害剤を含む、生体物質または医療用送達デバイス

請求項15

ステントバイパスグラフト、血管周辺内部パッチ、血管周辺の外部パッチ、血管カフおよび血管形成カテーテルからなる群において選択される、請求項14に記載の生体物質または医療用送達デバイス。

請求項16

平滑筋細胞の成長および増殖を阻害する医薬品を製造するための、請求項1から8のいずれかに記載のMRP4阻害剤の使用。

請求項17

血管障害を治療する医薬品を製造するための、請求項1から8のいずれかに記載のMRP4阻害剤の使用。

技術分野

0001

本発明は、アテローム性動脈硬化血管形成術後の再狭窄肺動脈高血圧および静脈移植片疾患などの血管障害治療および/または予防のための多剤耐性タンパク質4(MRP4)の阻害剤に関する。本発明は、平滑筋細胞における遺伝子調節および細胞生理に関する。具体的には、本発明は、細胞からの環状ヌクレオチド流出を遮断するためのMRP4阻害剤の使用に関する。

背景技術

0002

細胞の増殖および成長は、様々な病理学刺激に応じて血管筋細胞で通常認められる血管再構築を導く2種類の機構である。平滑筋細胞の過剰な増殖は、主要な動脈血管における損傷応答関与する基本的なプロセスである。このようなプロセスは、アテローム性動脈硬化、血管形成術後の再狭窄、肺動脈高血圧および静脈移植片疾患を含む数多くの血管障害に関わっている(Dzau VJ他、2002;Novak K.,1998)。したがって、血管平滑筋細胞VSMC)増殖の調節剤を同定することは、心血管生物学および心血管医学における研究の重要な焦点である。

0003

胎児遺伝子の再発現を含む遺伝子の発現には、一定の変化パターンが認められる。このような差異は、特定の基礎的なシグナル伝達経路によって制御される。病的な血管平滑筋細胞の増殖に関与するシグナリング経路記述が増えたことによって、環状ヌクレオチドによって制御される調節経路が指摘されるようになってきた。環状ヌクレオチド、すなわち、アデノシン3’、5’−1リン酸cAMP)および環状グアノシン3’、5’−1リン酸(cGMP)は、平滑筋細胞増殖の負の調節因子として作用する重要なセカンドメッセンジャーである。細胞における環状AMPの合成はアデニリルシクラーゼ酵素によって、環状GMPグアニリルシクラーゼ酵素によって触媒される(McDonald&Murad、1996;Sunahara他、1996)。細胞内cAMPおよびcGMP濃度のcAMPおよびcGMP類似体による上昇は、いずれも独立してウサギの血管平滑筋細胞の増殖を阻害する(Assender JW他、1992)。構成的活性型タンパク質キナーゼG(PKG)(またはcGMPで刺激された野生型PKG)の再発現は、VSMC移動を阻害し、アポトーシスを増強し、増殖を抑え、血管損傷後の新生内膜形成を減少させる(Boerth NJ他、1997;Sinnaeve P他、2002)。

0004

これらの結果を受けて、環状ヌクレオチド除去に関与するプロセスに焦点が当てられてきた。これらの環状ヌクレオチドは、細胞内cAMPおよびcGMPの加水分解に関与するホスホジエステラーゼ(PDE)スーパーファミリーの特定のメンバーによって分解され得る(Rybalkin他、2003)。

0005

最近、Chen他(JBC;2001)によって、cAMPおよびcGMPはまた、能動的流出輸送体、すなわち、ATP結合カセット輸送体C型(ABCC)4およびABCC5遺伝子によってそれぞれコードされる多剤耐性タンパク質(MRP)MRP4およびMRP5によって輸送され得ることが報告された。この輸送体ファミリーの中でも、MRP4およびMRP5はcAMPおよびcGMPに高い親和性を示す。しかし、現在に至るまで、これらのタンパク質の生理学的機能は不明なままである。最近、MRP4およびMRP5は環状ヌクレオチドのATP依存性排出ポンプとして同定され(Jedlitschky他、2000;Chen他、2001)、MRP4およびMRP5はブタ冠動脈および肺動脈で発現することが示された(Mitani他;2003)。

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、平滑筋細胞増殖がMRP4を阻害することによって抑制され得ることを初めて正式に示す。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、平滑筋細胞の成長および増殖を抑制するためのMRP4阻害剤に関する。

0008

本発明は、血管障害の治療のためのMRP4阻害剤に関する。MRP4阻害剤で治療することができる血管障害の例は、アテローム性動脈硬化、血管術形成後の再狭窄、肺動脈高血圧および静脈移植片疾患である。

0009

本発明は、MRP4の阻害剤を含む医薬組成物を対象に治療有効量投与することを含む、対象における血管障害の治療方法に関する。

0010

本発明はまた、平滑筋細胞の増殖を抑制する医薬品を製造するためのMRP4阻害剤の使用に関する。

図面の簡単な説明

0011

ヒト冠状動脈平滑筋細胞(hCASMC)におけるMRP4の発現を示した図である。(a)培養したhCASMCにおけるMRP4およびβ−アクチンmRNAの検出を示した代表的なRTPCR。(b)MRP4に対するアフィニティー精製ポリクローナル抗体を使用した、MRP4cDNA形質移入したhCASMCにおけるMRP4発現の免疫蛍光分析。(c)MRP4がカベオリン1の豊富な画分に存在することを示す、不連続スクロース勾配で精製したhCASMC膜におけるMRP4およびカベオリン1発現のウェスタンブロット分析。
増殖する平滑筋細胞におけるMRP4のin vitroおよびin vivoにおける上方制御を示した図である。(a)MRP4発現は、5%または0.1%Sに72時間曝露した培養hCASMCにおいて、ウェスタンブロッティングによって定量した。PP2B(カルシニューリン)は標準物質として、サイクリンDは増殖のマーカーとして使用する。(**:p<0.01)。(b)バルーンで損傷したラット頸動脈の、損傷して14日後の代表的な断面図である。免疫染色によって、培地(m)と比較して新生内膜(ni)においてMRP4の優位な発現が明らかになった。MRP4(赤)の発現は、平滑筋細胞増殖の表現型マーカーであるNM−Bの発現(緑)と相関している。
hCASMCにおけるcAMPおよびcGMPおよびMRP阻害剤の抗増殖性効果を示した図である。細胞の増殖は、プレーティングして72時間後にBrdUの取り込みによって測定し、増殖補助剤欠乏した(0.1%S)細胞と比較した相対的増加として表した。(a)浸透性環状ヌクレオチド8−Br−cAMP(100μM)および8−Br−cGMP(200μM)、SNP(NOドナー、1mM)およびフォルスコリンFSKアデニル酸シクラーゼ活性刺激剤、5μM)の存在下での細胞増殖。n=3、3連で実験。(b)hCASMC増殖に対するMRPおよびPDE阻害剤DIPジピリダモール、IBMX、MK571およびNBMPR)の用量効果。n=3、3連で実験。*p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.001。
MRP4siRNAを使用したhCASMC増殖の阻害を示した図である。(a)MRP4の効果的なサイレンシングを示すMRP4siRNAまたはスクランブルsiRNAで72時間形質移入したhCASMCの全細胞溶解物のウェスタンブロット分析。タンパク質を抗MRP4抗体または抗PP2B(カルシニューリン)抗体でインキュベートした。カルシニューリンは添加対照として使用する。n=3;p≦0.001。(b)スクランブルsiRNAと比較した(BrdU取り込みによって評価した)hCASMC増殖に対するMRP4siRNAおよびMRP5siRNAの効果。n=5、3連で実験。***p≦0.001スクランブルまたはMRP5と比較したMRP4。(c)非損傷(NI)および損傷頸動脈の、手術して14日後の代表的なヘマトキシリンエオジン染色。(d)上記3群の内膜中膜複合体厚平均データ(*p<0.05、***p<0.001、Ad−shLuc感染と比較)。mは中膜を示す。niは新生内膜を示す。adは外膜を示す(非損傷頸動脈についてはn=5、Ad−shLuc感染ではn=4およびAd−shMRP4感染ではn=6)。(e)頸動脈に関するPCR。ラット頸動脈からDNAを抽出し、アデノウイルス発現をPCRによって測定した。
cAMPおよびcGMP細胞レベルに対するMRP4siRNAの効果を示した図である。MRP4またはスクランブルsiRNAで72時間形質移入し、特異的競合酵素免疫測定法によって測定したhCASMCに対する(a)cAMPまたは(b)cGMPの細胞内/細胞外比のレベル(**p<0.01、n=3)。(c、d)スクランブルsiRNA(c)またはMRP4siRNA(d)で形質移入した2種類の代表的なhCASMCにおいて、FRETをベースにしたセンサーEpac2−campsによって測定した細胞内cAMPに対する、濃度を増加させて(0.5μMから100μM)灌流したフォルスコリンの効果。両細胞において440±20nmでCFP励起して得られた生画像および対応する細胞平均化修正CFP/YFP比の時間経過が記録されている。CFPおよびYFPの蛍光は、両方の細胞においてEpac2−campsは主に細胞基質中に局在することを示した。スクランブルsiRNAで形質移入した細胞(c)では、フォルスコリン5μMを適用することによって、基底CFP/YFP比の増加によって反映されたcAMP上昇がもたらされた。MRP4siRNA形質移入細胞(d)においては、0.5μMの低いフォルスコリン濃度で既に著しいcAMP増加が生じた。(e)MRP4siRNA(n=11)またはスクランブルsiRNA(n=12)で形質移入した、およびEpac2−campsで一過性形質移入したhCASMCにおけるFRET測定値濃度反応曲線対数目盛)。基底CFP/YFP比は、両方の細胞群で類似していた。実線ヒル公式によってデータ点に合わせている(方法参照)。hCASMCにおけるMRP4RNA干渉は、2群の実験において薬剤によって有意に異なるEC50値が得られたことによって示されるように、フォルスコリンに対する濃度応答曲線の左への移動を引き起こした。
MRP4阻害は、hCASMC増殖に対するcAMP効果を増強することができるが、cGMP効果は増強できないことを示した図である。MRP4またはスクランブルsiRNAで72時間形質移入した細胞における(a)cAMPシグナル伝達活性化剤、フォルスコリン、または(b)cGMPシグナル伝達の活性化剤、SNP(n=5)の用量依存性抗増殖性効果。(c、d)PKAまたはPKGの特異的阻害剤の存在下で、(c)MRP4またはスクランブルsiRNAで形質移入するか、または(d)MRP阻害剤NMBPR(100μM)およびMK571(37.5μM)で処理した細胞における、hCASMC増殖の評価。両方の場合において、Ad−PKI(特異的PKA阻害剤)の存在下ではhCASMC増殖に対するMRP4阻害の効果の逆転で認められたが、KT5823(特異的PKG阻害剤)の存在下では認められなかった。群当たりn=3。**P≦0.01、***p≦0.001。(e)MRP4またはスクランブルsiRNAで形質移入した増殖するhCASMCにおけるリン酸化CREB(pCREB)の代表的ウェスタンブロットおよび定量的評価(n=3、**p≦0.01)。(f)スクランブルまたはMRP4siRNAで形質移入した増殖するhCASMCにおける、ルシフェラーゼレポーターCRE−Lucによって測定したcAMP応答エレメントCREの活性の定量的評価(n=3、**p<0.01)。
環状ヌクレオチドの平滑筋細胞に対する抗増殖性効果におけるMRP4の関与を表した図である。
肺組織におけるMRP4染色を示した図である。ヒト肺動脈におけるMRP4発現の免疫蛍光分析。(A)正常な肺動脈における免疫染色では、中膜でのMRP4発現(赤)が明らかである(緑:自己蛍光)。(B&C)(肺高血圧患者2人から得た)病的肺動脈における免疫染色によって、MRP4は中膜および新生内膜(B)または肥大性中膜(C)において発現していることが示されている。
ヒト肺動脈から単離された平滑筋細胞におけるMRP4発現を示した図である。0%Sまたは5%Sに72時間曝露した培養平滑筋細胞におけるウェスタンブロット分析で、増殖状態で増加する基礎発現を示している。
MRP4siRNAによるhPASMC(ヒト肺動脈平滑筋細胞)増殖の阻害を示した図である。(BrDU取り込みによって評価した)スクランブルsiRNAと比較した細胞増殖に対するMRP4siRNAの効果で、有意な減少を示している。
hCASMCにおけるMRP5およびMRP4の発現を示した図である。(a)RT−PCRを用いたhCASMCにおけるMRP5およびβ−アクチンmRNAの検出。(b)全溶解物(1)および膜溶解物(2)におけるMRP4およびMRP5発現のウェスタンブロット分析。(c)ヒト冠状動脈におけるMRP5の免疫蛍光検出で、内皮層での優位な発現を示している。
ヒト冠状動脈におけるMRP4の発現を示した図である。MRP4および平滑筋細胞合成/増殖表現型のマーカーであるNM−Bで染色した虚血性心筋症のヒト冠状動脈外植片の代表的な部分を示した図である。
siRNAサイレンシング効果の評価を示した図である。MRP4、MRP5またはスクランブルsiRNAで72時間形質移入したhCASMCに対するMRP4(a)またはMRP5(b)の遺伝子特異的プライマーによる定量的リアルタイムPCR(n=3、***p<0.001)。
アデノウイルスshRNA MRP4を示した図である。(a)Ad−shMRP4ベクターおよびMRP4shRNA配列の地図。(b、c)Ad−shMRP4またはAd−shLucで72時間形質移入したラット平滑筋細胞の定量的リアルタイムPCR(b)およびウェスタンブロット(c)。(n=3、***p<0.001)。ウイルスは、感染効率MOI)30で使用した。
MRP4サイレンシングはhCASMCにおけるアポトーシスと関連しないことを示した図である。MRP4またはスクランブルsiRNAは、hCASMCに72時間形質移入し、アポトーシスはTUNEL染色(ApopTag Red、Serologicals Corp.)によって分析した。陽性対照のために、細胞をスタウロスポリン(10μM)で処理した。

0012

定義
「MRP4」という用語は、当技術分野における一般的な意味を有し、多剤耐性タンパク質4のことである。MRP4はまた当技術分野において、ABCC4タンパク質、ATP結合カセット、サブファミリーC(CFTR/MRP)、メンバー4、EST170205、MRP/cMOAT関連ABC輸送体(MOAT−B)、多特異性有機陰イオン輸送体−B(MOATB)、多剤耐性関連タンパク質4と称される。この用語には、天然に存在するMRP4ならびにその変異体およびそれの修飾された形を含めることができる。この用語はまた、少なくとも1種のMRP4活性を保持したMRP4のドメインが、例えば、他のポリペプチド(例えば、当技術分野で一般的であるポリペプチドタグ)に融合した融合タンパク質を意味することができる。MRP4はいかなる原料由来であってもよいが、通常は哺乳類(例えば、ヒトおよびヒト以外の霊長類)のMRP4、特にヒトのMRPである。天然のMRP4アミノ酸配列の一例は、GenPeptデータベースにおいて受入番号AH41560として提供され、MRP4をコードする天然のヌクレオチド配列の一例はGenBankデータベースにおいて受入番号NM_005845として提供されている。

0013

「MRP4の阻害剤」という表現は、広義に理解するべきで、以後MRP4活性と称する環状ヌクレオチドのMRP4媒介性細胞流出の阻害剤およびMRP4発現の阻害剤を包含する。

0014

「発現の阻害剤」とは、遺伝子の発現を阻害する、または有意に抑制する生物学的効果を有する天然の、または合成された化合物を意味する。したがって、「MRP4発現の阻害剤」とは、MRP4遺伝子をコードする遺伝子の発現を阻害する、または有意に抑制する生物学的効果を有する天然の、または合成された化合物を意味する。

0015

本明細書で使用されるように、「MRP4の選択的阻害剤」という用語は、MRP1、MRP2、MRP3、MRP5、MRP6、MRP7、MRP8、MRP9、MRP10、MRP11、MRP12およびMRP13などのその他の多剤耐性タンパク質(MRP)と比較してMRP4に選択的な阻害剤を意味する。「選択的」とは、阻害剤のMRP4に対するKiがその他のMRPに対するKiの5分の1倍、好ましくは10分の1倍、より好ましくは25分の1倍、さらに好ましくは100分の1以下であることを意味する。MRP4の阻害剤のKiは、当技術分野で周知の種々の方法を使用して測定することができる。

0016

有機低分子」という用語は、医薬品で一般的に使用される有機分子と同程度の大きさの分子のことである。この用語は、生物学的高分子(例えば、タンパク質、核酸など)は除外する。好ましい有機低分子の大きさは、約5000Daまで、より好ましくは2000Daまで、最も好ましくは約1000Daまでの範囲である。

0017

本明細書で使用されるように、「対象」という用語は、哺乳類、例えば、齧歯類ネコイヌおよび霊長類を意味する。好ましくは、本発明による対象は、ヒトである。

0018

最も広義の意味において、「治療すること」または「治療」という用語は、このような用語が適用される障害もしくは症状、またはこのような障害もしくは症状の1種または複数の徴候の進行の改善、緩和、阻害または予防を意味する。

0019

薬学的な」または「薬学的に許容される」とは、哺乳類、特にヒトに適切に投与されたとき、副作用アレルギー作用またはその他の有害作用を生じない分子実体および組成物を意味する。薬学的に許容される担体または賦形剤とは、非毒性の固形、半固形または液体注入剤希釈剤カプセル化物質または任意の種類の製剤補助物を意味する。

0020

生体適合性の」とは、例えば、血栓形成および/または炎症を含む負の組織反応を全くまたは最小限しか惹起しない物質を意味する。

0021

治療方法および用途
本発明は、平滑筋細胞、特に動脈平滑筋細胞の増殖を阻害するための方法および組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。本発明はまた、アテローム性動脈硬化、血管形成術後の再狭窄、肺動脈高血圧および静脈移植片疾患などの血管障害を治療および/または予防するための方法および組成物(例えば、医薬組成物)を提供する。

0022

したがって、本発明の目的は、好ましくは選択的に、平滑筋細胞の増殖を阻害するためのMRP4の阻害剤である。MRP4の阻害剤は、アテローム性動脈硬化、血管形成術後の再狭窄、肺動脈高血圧および静脈移植片疾患などの血管障害の治療および/または予防のために使用することができる。

0023

好ましい実施形態では、MRP4の阻害剤は、MRP4の選択的阻害剤である。

0024

一実施形態では、MRP4の阻害剤は、低分子量の阻害剤、例えば、有機低分子であってよい。MRP4の例は、米国特許第2006/0,286,041号、Reid他(Molecular Pharmacology、63:1094〜1103、2003)およびRemon他(J Am Soc Nephrol 13:595〜603、2002)に記載されている。

0025

本発明によって使用できる有機低分子のMRP4阻害剤には、場合によってラセミ体鏡像異性体ジアステレオマーの形態のN−アセチルジニトロフェニルシステインベンズブロマロンコール酸塩ジクロフェナク、ジピリドールデヒドロエピアンドロステロン3−グルクロニド、デヒドロエピアンドロステロン3−サルフェートジラゼプ、ジニトロフェニル−5−グルタチオンエストラジオール17−[ベータ]−グルクロニド、エストラジオール3,17−ジサルフェート、エストラジオール3−グルクロニド、エストラジオール3−サルフェート、エストロン3−サルフェート、フルルビプロフェン葉酸塩、N5−ホルミルテトラヒドロフォレートグリココール酸グリコーコール酸(Glycohthocholic acid)サルフェート、イブプロフェンインドメタシンインドプロフェンケトプロフェンリソコール酸サルフェート、メトトレキセート、MK571(([パウンド])−3−[[[3−[2−(7−クロロ−2−キノニル(quinohnyl))エテニルフェニル]−[[3−ジメチルアミノ)−3−オキソプロピルチオメチル]チオ]プロパン酸、[アルファ]−ナフチル−[ベータ]−D−グルクロニド、ニトロベンジルメルカプトプリン[ピ]ボシド、プロベネシド、PSC833、スルフィンピラゾンタウケノデオキシコール酸塩タウロコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、タウローソコール酸塩(Taurohthocholate)、タウロリソコール酸硫酸塩、トポテカントレキンシンベラパミルおよびザプ[ピ]ナスト(Zap[pi]nast)からなる群から選択される化合物ならびに場合によって薬理学的に許容されるそれらの酸付加塩および水和物が含まれるが、それだけに限らない。

0026

好ましい実施形態では、MRP4の阻害剤は、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、PDE5阻害剤からなる群から選択されるホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤ではない。

0027

薬理学的に許容される酸によるMRP4阻害剤の酸付加塩とは、例えば、塩酸塩臭化水素酸塩ヨウ化水素酸塩、ヒドロ硫酸塩、ヒドロリン酸塩、ヒドロメタンスルホン酸塩、ヒドロ硝酸塩、ヒドロマレイン酸塩、ヒドロ酢酸塩、ヒドロ安息香酸塩、ヒドロクエン酸塩、ヒドロフマル酸塩、ヒドロ酒石酸塩、ヒドロシュウ酸塩、ヒドロコハク酸、ヒドロ安息香酸塩およびヒドロ−p−トルエンスルホン酸塩、好ましくは塩酸塩、臭化水素酸塩、ヒドロ硫酸塩、ヒドロリン酸塩、ヒドロフマル酸塩およびヒドロメタンスルホン酸塩を含む群から選択される塩を意味する。本発明によれば、前述の酸付加塩の中で、塩酸メタンスルホン酸安息香酸および酢酸の塩が特に好ましい。

0028

他の実施形態では、MRP4阻害剤は、MRP4輸送活性を部分的に、または完全に遮断できる抗体または抗体断片(すなわち、部分的または完全なMRP4遮断抗体または抗体断片)である。

0029

特に、MRP4阻害剤は、MRP4を対象とする抗体であってよく、その結果、前記抗体がMPR4の活性を遮断する。

0030

MRP4を対象とする抗体は、適切な抗原またはエピトープを、特にブタ、ウシウマ、ウサギ、ヤギヒツジおよびマウスから選択される宿主動物に投与することによって、公知の方法に従って産生することができる。抗体産生を増強するために、当技術分野で公知の様々なアジュバントを使用することができる。本発明を実施するのに有用な抗体はポリクローナルであってよいが、モノクローナル抗体が好ましい。MRP4に対するモノクローナル抗体は、培養した連続継代性細胞系による抗体分子の産生を実現する任意の技術を使用して調製し、単離することができる。産生および単離のための技術には、KohlerおよびMilstein(1975)によって最初に記述されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Cote他、1983)およびEBV−ハイブリドーマ技術(Cole他、1985)を含めることができるが、それだけに限らない。あるいは、単鎖抗体産生のために記述された技術(例えば、米国特許第4,946,778号参照)は、抗MRP4単鎖抗体の産生に適合し得る。本発明の実施に有用なMRP4阻害剤にはまた、完全な抗体分子をペプシン消化することによって生じ得るF(ab’)2断片およびF(ab’)2断片のジスルフィド結合還元することによって生じ得るFab断片が含まれるが、それだけに限らない抗MRP4断片が含まれる。あるいは、Fabおよび/またはscFv発現ライブラリーは、MRP4に対して所望する特異性を備えた断片の迅速な同定を可能にするために構築することができる。

0031

ヒト化抗MRP4抗体およびその抗体断片はまた、公知の技術に従って調製することができる。「ヒト化抗体」は、非ヒト免疫グロブリンから得られた最小配列を含有する非ヒト(例えば、齧歯類)キメラ抗体の形態である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエント高頻度可変領域CDR)の残基が所望する特異性、親和性および能力を備えたマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の高頻度可変領域の残基によって置換されている非ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見出されない残基を含むことができる。これらの改変は、抗体の性能をさらに洗練するために行う。一般的に、ヒト化抗体は、高頻度可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの高頻度可変ループに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである、少なくとも1種、通常2種の可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、場合によってまた免疫グロブリン定常領域(Fc)、通常ヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。ヒト化抗体の作製方法は、例えば、Winter(米国特許第5,225,539号)およびBoss(Celltech、米国特許第4,816,397号)に記載されている。

0032

さらに他の実施形態では、MRP4の阻害剤はアプタマーである。

0033

アプタマーとは、分子認識に関して抗体の代わりとなる分子種である。アプタマーとは、高い親和性および特異性で、事実上いかなる種類の標的分子でも認識する能力を備えたオリゴヌクレオチドまたはオリゴペプチド配列である。このようなリガンドは、Tuerk C.およびGold.L.、1990に記載されたように、ランダム配列ライブラリー試験管進化法(SELEX)によって単離することができる。ランダム配列ライブラリーは、DNAのコンビナトリアル化学合成によって得ることができる。このライブラリーでは、各メンバーは最終的に化学修飾された固有配列の直鎖オリゴマーである。この種類の分子の可能な改変、用途および利点は、Jayasena S.D.、1999に概説されている。ペプチドアプタマーは、2種類のハイブリッド法によってコンビナトリアルライブラリーから選択される大腸菌チオレドキシンAなどのプラットフォームタンパク質によって表された、立体構造的制約のある抗体可変領域から構成される(Colas他、1996)。

0034

本発明の他の態様は、MRP4発現の選択的阻害剤に関する。

0035

低い配列同一性(<60%)を示すMRP配列、本発明によって有利に使用できるMRP4発現の阻害剤は、その他のMRP発現と比較してMRP4発現の選択的な阻害剤となる。

0036

本発明で使用するためのMRP4発現の阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド構築物をベースにすることができる。アンチセンスRNA分子およびアンチセンスDNA分子を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドは、MRP4mRNAに結合することによってMRP4mRNAの翻訳を直接遮断し、したがってタンパク質翻訳を阻止するか、またはmRNA分解を増加させ、そうして細胞内のMRP4のレベル、要するに活性を減少させるように作用する。例えば、少なくとも約15塩基で、MRP4をコードするmRNA転写配列固有領域相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、従来のホスホジエステル技術によって合成することができ、例えば、静脈内注射または注入によって投与することができる。配列が知られている遺伝子の遺伝子発現を特異的に阻害するためにアンチセンス技術を使用する方法は、当技術分野では周知である(例えば、米国特許第6,566,135号、第6,566,131号、第6,365,354号、第6,410,323号、第6,107,091号、第6,046,321号および第5,981,732号参照)。

0037

低分子阻害性RNA(siRNA)はまた、本発明で使用するためのMRP4発現の阻害剤として作用することができる。MRP4発現は、MRP4発現を特異的に阻害するように、対象または細胞を低分子2本鎖RNAdsRNA)または低分子2本鎖RNAの産生を引き起こすベクターもしくは構築物と接触させることによって減少させることができる(すなわち、RNA干渉またはRNAi)。配列が知られている遺伝子について、適切なdsRNAまたはdsRNAをコードしているベクターの選択方法は当技術分野では周知である(例えば、Tuschl,T.他(1999);Elbashir,S.M.他(2001);Hannon,GJ.(2002);McManus,MT.他(2002);Brummelkamp,TR.他(2002);米国特許第6,573,099号および第6,506,559号;および国際特許公開WO01/36646、WO99/32619およびWO01/68836を参照)。MRP4を効果的にサイレンシングするsiRNAが開発された。このsiRNAは、いくつかのMRP4スプライシング変異体を標的とする(NM_005845、BC041560、AY081219、AF541977、AY133680、AY133679、AY133678)。センス配列は5’−CAGUGUUCUUACACUUCCUTT−3’(配列番号7)であり、アンチセンスは5’−AGGAAGUGUAAGAACACUGTT−3’(配列番号8)である。

0038

shRNA(低分子ヘアピンRNA)はまた、本発明で使用するためのMRP4発現の阻害剤として機能することができる。本発明による低分子ヘアピンRNAの一例は、配列番号9:GCAAATGTGGATCCGAGAAに示す配列を含むshRNAである。

0039

リボザイムはまた、本発明で使用するためのMRP4発現の阻害剤として機能することができる。リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒することができる酵素的RNA分子である。リボザイム作用の機構には、リボザイム分子の相補的標的RNAへの配列特異的ハイブリダイゼーション、その後のエンドヌクレオチド鎖切断が関与する。MRP4mRNA配列のエンドヌクレオチド切断を特異的かつ効率的に触媒する、操作されたヘアピンまたはハンマーヘッドモチーフリボザイム分子は、そのため本発明の範囲内で有用である。任意の可能性のあるRNA標的内の特異的リボザイム切断部位は、最初に、一般的に以下の配列、GUA、GUUおよびGUCを含むリボザイム切断部位について標的分子を調べることによって同定する。同定した後、切断部位を含有する標的遺伝子の領域に対応する約15個から20個のリボヌクレオチドの短いRNA配列が、オリゴヌクレオチド配列不適切な状態にする可能性がある予測構造特性、例えば2次構造について調べることができる。

0040

MRP4発現の阻害剤として有用なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびリボザイムの両方は、公知の方法によって調製することができる。これらには、例えば、固相ホスホラミダイト化学合成などによって化学合成するための技術が含まれる。あるいは、アンチセンスRNA分子は、RNA分子をコードするDNA配列のin vitroまたはin vivo転写によって生成することができる。このようなDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込んだ多種多様なベクターに組み込むことができる。本発明のオリゴヌクレオチドに対する様々な改変は、細胞内での安定性および半減期を高める手段として導入することができる。有望な改変には、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド隣接配列の分子の5’および/または3’末端への付加、またはオリゴヌクレオチド主鎖内のホスホジエステラーゼ結合よりもホスホロチオエートもしくは2’−O−メチルの使用が含まれるが、それらだけに限らない。

0041

本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNAおよびリボザイムは、in vivoにおいて単独で、またはベクターと結合して送達させることができる。最も広義には、「ベクター」とは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの、siRNAの、shRNAのまたはリボザイム核酸の細胞、好ましくはMRP4を発現する細胞への輸送を容易にすることができる任意の媒体である。好ましくは、ベクターは、ベクター不在で生じるであろう分解の範囲と比較して少ない分解で核酸を細胞に輸送する。一般的に、本発明に有用なベクターには、プラスミドファージミド、ウイルス、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNAまたはリボザイム核酸配列の挿入または組み込みによって操作されたウイルスもしくは細菌原料から得られたその他の媒体が含まれるが、それだけに限らない。ウイルスベクターには、好ましいベクターの種類であり、以下のウイルス、レトロウイルス、例えば、モロニーマウス白血病ウイルスハーベイマウス肉腫ウイルスマウス乳癌ウイルスおよびラウス肉腫ウイルス;アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスSV40型ウイルス、;ポリオーマウイルスエプスタイン−バーウイルスパピローマウイルスヘルペスウイルスワクシニアウイルスポリオウイルスならびにレトロウイルスなどのRNAウイルスの核酸配列が含まれるが、それだけに限らない。指定はされていないが、当技術分野で公知のその他のベクターも容易に使用することができる。

0042

好ましいウイルスベクターは、非必須遺伝子が関心のある遺伝子と置換された非細胞変性真核生物ウイルスをベースにしている。非細胞変性ウイルスには、生活環ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写、その後の宿主細胞DNAへのプロウイルスの組み込みに関与するレトロウイルス(例えば、レンチウイルス)が含まれる。レトロウイルスは、ヒトの遺伝子治療試験のために承認された。最も有用なのは、複製が欠損した(すなわち、所望するタンパク質の合成を対象とすることができるが、感染粒子を生成することができない)レトロウイルスである。このように遺伝子改変レトロウイルス発現ベクターは、in vivoにおける遺伝子の高効率形質導入に一般的有用性を備えている。複製欠損レトロウイルスの標準的な作製方法(外来性遺伝子物質をプラスミドに組み込むステップと、パッケージ細胞系をプラスミドで形質移入するステップと、パッケージ細胞系によって組換えレトロウイルスを産生するステップと、組織培養培地からウイルス粒子収集するステップと、標的細胞をウイルス粒子で感染させるステップを含む)は、Kriegler、1990およびMurry、1991で入手できる。

0043

特定の適用に好ましいウイルスは、遺伝子治療でヒトに使用することが既に承認されている2本鎖DNAウイルスである、アデノウイルスおよびアデノ随伴(AAV)ウイルスである。実際に、12種類の異なるAAV血清型(AAV1から12)が知られており、それぞれ異なる組織指向性を備えている(Wu,Z Mol Ther 2006;14:316〜27)。組換えAAVは、依存性パルボウイルスAAV2から得られる(Choi、VW J Virol 2005;79:6801〜07)。アデノ随伴ウイルス1型から12型までは、複製欠損になるように操作することができ、広範囲細胞型および種に感染することができる(Wu、Z Mol Ther 2006;14:316〜27)。さらに、熱および脂質溶媒安定性、造血細胞を含む異なる系列の細胞における高い形質導入頻度、ならびに重複感染欠如、したがって多様な形質導入の可能性の欠如などの利点を有する。報告によれば、アデノ随伴ウイルスは部位特異的な形でヒト細胞DNAに組み込むことができ、それによって挿入変異の可能性およびレトロウイルス感染に特徴的な挿入遺伝子発現の変動性を最小限に抑えることができる。さらに、野生型アデノ随伴ウイルスが感染した後、組織培養では選択圧なしに100回超継代されるので、アデノ随伴ウイルスのゲノムへの組み込みは比較的安定した現象であることが示唆される。アデノ随伴ウイルスはまた、染色体外でも機能を果たすことができる。

0044

その他のベクターには、プラスミドベクターが含まれる。プラスミドベクターは、当技術分野で広範囲にわたって記載されており、当業者には周知である。例えば、Sambrook他、1989参照のこと。ここ数年は、プラスミドベクターはin vivoにおいて抗原をコードする遺伝子を送達するためのDNAワクチンとして使用されている。ウイルスベクターの多くと同様の安全上の心配がないので、このために特に有利である。しかし、宿主細胞に適合したプロモーターを有するこれらのプラスミドは、プラスミド内で操作可能にコードされた遺伝子からペプチドを発現することができる。通常使用されるいくつかのプラスミドには、pBR322、pUC18、pUC19、pRC/CMV、SV40およびpBlueScriptが含まれる。その他のプラスミドは、当業者にとって周知である。さらに、プラスミドは、DNAの特異的な断片を除去および付加する制限酵素および連結反応を使用して特別に設計することができる。プラスミドは、様々な非経口的、粘膜的および局所的な経路によって送達することができる。例えば、DNAプラスミドは、筋肉内、皮内、皮下またはその他の経路によって注射することができる。鼻腔スプレーまたは点鼻直腸座薬および経口的にも投与することができる。遺伝子銃を使用して表皮または粘膜表面に投与することもできる。プラスミドは、水性溶液で、金粒子上に乾燥させて、またはリポソームデンドリマーコクリエートおよびマイクロカプセル化を含むがそれだけに限らない他のDNA送達系に関連して投与することができる。

0045

好ましい実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNAまたはリボザイム核酸配列は、異種調節領域、例えば、異種プロモーターの制御化にある。プロモーターは、例えば、平滑筋アルファアクチンプロモーターSM22αプロモーターなどの平滑筋特異的プロモーターであってよい。プロモーターはまた、例えば、ウイルスプロモーター、例えば、CMVプロモーターまたは任意の合成プロモーターであってよい。

0046

MRP4活性および/または発現の選択的阻害剤は、以下に定義したように、医薬組成物の形態で投与することができる。

0047

好ましくは、前記阻害剤は治療有効量で投与する。

0048

「治療有効量」とは、いかなる医療処置にも適用できる適切な対危険便益比で血管障害を治療および/または予防するためのMRP4の阻害剤の十分な量を意味する。

0049

本発明の化合物および組成物の一日全使用量は、健全な医学的判断の範囲内で、主治医によって決定されることを理解されたい。任意の特定の患者の特定の治療有効用量のレベルは、治療する障害および障害の重症度、使用する特定の化合物の活性、使用する特定の組成物、患者の年齢、体重、一般的健康状態性別および食事、投与時間、投与経路ならびに使用する特定の化合物の排泄率、治療期間、使用する特定のポリペプチドと組み合わせて、または同時に使用される薬物、ならびに医療分野で周知のファクターを含む様々なファクターに左右される。例えば、所望する治療効果を実現するために必要なレベルよりも低いレベルで化合物投与を開始し、所望する効果が実現するまで投薬量を徐々に増加させることは十分当業者の範囲内である。しかし、生成物の1日用量は、成人日当たり0.01から1000mgの広い範囲で変化させることができる。好ましくは、組成物は、治療する患者の症状に合わせて投薬するために、活性成分を0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、250および500mgを含有する。医薬品は通常、活性成分を約0.01mgから約500mg、好ましくは活性成分を1mgから約100mg含有する。薬物の有効量は通常、1日当たり0.0002mg/kg体重から約20mg/kg体重まで、特に1日当たり約0.001mg/kg体重から7mg/kg体重までの投薬レベルで供給される。

0050

スクリーニング方法
本発明の阻害剤はさらに、従来技術で記載されたスクリーニング方法によって同定することができる。本発明のスクリーニング方法は、公知の方法に従って実施することができる。

0051

スクリーニング方法は、候補化合物に直接的に、または間接的に結合させた標識によって、候補化合物のMRP4またはMRP4を有する細胞もしくは膜、またはそれらの融合タンパク質に対する結合を評価することができる。あるいは、スクリーニング方法には、候補化合物と標識した競合相手(例えば、阻害剤または基質)の受容体に対する競合結合の測定または定性的もしくは定量的な検出が関与し得る。

0052

例えば、MRP4cDNAは、挿入したコード配列の転写および翻訳のために必要なエレメントを含有する発現ベクターに挿入することができる。以下のベクター/宿主系、例えば、バキュロウイルス/Sf9昆虫細胞レトロウイルス/哺乳類細胞系、例えば、HepB3、LLC−PK1、MDCKII、CHO、HEK293、発現ベクター/哺乳類細胞系、例えば、HepB3、LLC−PK1、MDCKII、CHO、HEK293を利用することができる。次に、このようなベクターは、前記細胞が膜で組換えMRP4を発現するように細胞を形質移入するために使用することができる。内在性MRP4タンパク質を発現する細胞系(THP−1、U937、WI−38、WI−38(VA−13亜系統)、IMR−90、HEK−293)を使用することも可能である。

0053

前述のように得られた細胞は、試験化合物と予めインキュベートし、その後細胞性cAMPおよび/またはcGMP産生を高めることが知られている化合物(例えば、cAMPにはフォルスコリン、イソプレナリン、cGMPにはSNP)で刺激することができる。試験化合物は、細胞内cAMPおよび/またはcGMPレベルを高め、細胞外cAMPおよび/またはcGMPレベルを減じる能力についてスクリーニングする。

0054

他の実施形態では、膜小胞は、前述のように得られた細胞系から調製することができる。次に、膜小胞を試験化合物と予めインキュベートする。その後、cAMP、ATPおよびATP再生系クレアチンキナーゼおよびクレアチンリン酸)を膜小胞に添加し、化合物が膜小胞内でのcAMP蓄積を阻害する能力についてスクリーニングする。

0055

医薬組成物
本発明の他の目的は、アテローム性動脈硬化、血管形成術後の再狭窄、肺動脈高血圧および静脈移植片疾患などの血管障害を治療および/または予防するための組成物であって、前記組成物はMRP4発現および/または活性の選択的阻害剤を含む組成物に関する。

0056

MRP4阻害剤は、治療組成物を形成するために、薬学的に許容される賦形剤および場合によって徐放性マトリクス、例えば生分解性ポリマー一緒にすることができる。

0057

経口、下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所または直腸投与のための本発明の医薬組成物では、活性成分は単独または他の活性成分と組み合わせて、単位投与形態で、通常の医薬支持物との混合物として、動物およびヒトに投与することができる。適切な単位投与形態には、錠剤ジェルカプセル粉末顆粒および経口用懸濁液または溶液などの経口用形態、舌下および頬側投与形態エアロゾル植込錠、皮下、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、皮下、経皮、クモ膜下腔内および鼻腔内投与形態および直腸投与形態が含まれる。

0058

好ましくは、医薬組成物は、注射可能な製剤にするための薬学的に許容される賦形剤を含有する。これらは特に、等張性滅菌生理食塩水溶液(リン酸1ナトリウムもしくはリン酸2ナトリウム塩化ナトリウム塩化カリウム塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムなど、またはこのような塩の混合物)であってよく、あるいは、場合に応じて、滅菌水または生理食塩水を添加することによって注射可能な溶液を構成することが可能な乾燥した、特に凍結乾燥した組成物であってよい。

0059

注射用途に適した剤形には、滅菌水性溶液または分散液、ゴマ油ピーナツ油または水性プロピレングリコールを含む製剤および滅菌注射用溶液または分散液を即時調製するための滅菌粉末が含まれる。いずれの場合においても、この形態は滅菌されていなければならず、容易な注射針通過性(syringability)が存在する程度まで流体でなければならない。これは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、微生物、例えば細菌および真菌汚染作用から保護されなければならない。

0060

遊離塩基または薬理学的に許容される塩として本発明の化合物を含む溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中において調製することができる。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物中および油中で調製することができる。通常の保存および使用の条件下において、これらの調製物は微生物の成長を防ぐための保存剤を含有する。

0061

本発明のMRP4阻害剤は、中性または塩形態の組成物中に製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、例えば、塩化水素酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸酒石酸マンデル酸などの有機酸で形成される酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成される)が含まれる。遊離カルボキシル基で形成された塩はまた、例えば、水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化アンモニウム水酸化カルシウムまたは水酸化鉄などの無機塩基およびイソプロピルアミントリメチルアミンヒスチジンプロカインなどの有機塩基から得ることができる。

0062

担体はまた、例えば水、エタノールポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、適切なそれらの混合物および植物油を含有する溶媒または分散媒体であってよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合には必要な粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持することができる。微生物の作用の防御は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベンクロロブタノールフェノールソルビン酸チメロサールなどによってもたらすことができる。多くの場合、等張化剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に使用することによってもたらすことができる。

0063

滅菌した注射可能な溶液は、上記に列挙した様々なその他の成分を含む適切な溶媒中に必要な量の活性ポリペプチド組み入れ、必要であれば、その後滅菌濾過することによって調製する。一般的に、分散液は、様々な滅菌活性成分を、基本的な分散溶媒および上記に列挙したものから必要なその他の成分を含有する滅菌媒体に組み入れることによって調製する。滅菌した注射可能な溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、活性成分および任意の所望される追加的な成分の粉末をそれらの既に滅菌濾過した溶液から生成する真空乾燥技術および凍結乾燥技術である。

0064

製剤化した後、溶液は、薬剤製剤化に適合した形で、治療に有効な量で投与される。製剤は、様々な剤形、例えば、前述した注射可能な溶液の形態で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなども使用することができる。

0065

水性溶液での非経口投与のために、例えば、溶液は必要であれば適切に緩衝化するべきであり、液体希釈剤は最初に十分な生理食塩水またはグルコース等張にする。これらの特定の水性溶液は特に、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に適している。これに関連して、使用することができる滅菌水性媒体は、本開示に関する当業者にとって公知である。例えば、1投薬量は、等張なNaCl溶液1mlに溶解し、皮下点滴療法液1000mlを添加するか、または計画した注入部位に注射することができる。治療する対象の状態に応じて、投薬量のいくらかの変動は必要であれば生じる。投与に関与する人が、いずれにしても、個々の対象に適切な用量を決定する。

0066

本発明のMRP4阻害剤は、用量当たり約0.0001から1.0ミリグラム、または約0.001から0.1ミリグラム、または約0.1から1.0もしくは約10ミリグラムでも含まれるように、治療用混合物内に製剤化することができる。複数回用量も投与することができる。

0067

非経口投与、例えば、静脈内または筋肉内注射のために製剤化された本発明の化合物に加えて、その他の薬学的に許容される形態には、例えば、錠剤または経口投与用のその他の固形物リポソーム製剤徐放カプセルおよび最近使用されているその他の形態が含まれる。

0068

本発明の医薬組成物は、環状ヌクレオチド(cGMPcAMP)排出を制限することができる他の任意の薬剤を含むことができる。このような薬剤には、PDE3、PDE4およびPDE5阻害剤を含む特異的ホスホジエステラーゼ(PDE)スーパーファミリー阻害剤を含めることができるが、それだけに限らない。PDE4阻害剤の例には、ロリプラムおよび特許文献、米国特許第20005234238号、DE10156229、DE10135009およびWO0146151に記載されたものが含まれる。PDE5阻害剤の例には、シルデナフィルバルデナフィルおよびタダラフィルが含まれる。特に好ましいのは、市販されているPDE5阻害剤、例えば、クエン酸シルデナフィルであり、この形態で投与することができるVIAGRA(登録商標)である。PDE5阻害剤のその他の例にはまた、特許文献、WO2005012303および米国特許第2006106039号に記載されたものが含まれる。

0069

本発明の医薬組成物は、平滑筋細胞増殖を抑制するその他の任意の抗増殖剤を含むことができる。例えば、抗増殖剤は、ラパマイシンラパマイシン誘導体パクリタキセルドセタキセル、40−O−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシエチル−ラパマイシンおよび40−O−テトラゾール−ラパマイシン、ABT−578、エベロリムスおよびそれらの組み合わせであってよい。

0070

本発明の医薬組成物は、抗体、受容体リガンド、酵素、接着性ペプチド、オリゴ糖、オリゴヌクレオチドなどからなる群から選択される化合物を含んでよい。このような化合物は、血液凝固因子阻害剤または血栓溶解剤、例えば、ストレプトキナーゼおよび組織プラスミノーゲン活性化因子であってよい。このような薬剤はまた、平滑筋細胞の増殖が制御されており、細胞外マトリクスの蓄積が制御されていて、管腔が(未損傷の健康な内膜と同様に)表現型が機能的で(未損傷の健康な内膜と同様に)形態学的に正常な内皮細胞によって完全に覆われていることを特徴とする良性の新生内膜応答をもたらす治癒促進薬を含むことができる。このような化合物はまた、抗悪性腫瘍物質、細胞分裂停止物質、抗炎症性物質抗血小板物質抗凝固物質、抗繊維素物質、アンチトロンビン物質、有糸分裂阻害物質抗生物質抗アレルギー物質および抗酸化物質部類に入れることができる。このような抗悪性腫瘍物質および/または有糸分裂阻害物質の例には、パクリタキセル(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.、Stamford、Conn.製のTAXOL(登録商標))、ドセタキセル(例えば、Aventis S.A.、Frankfurt、Germany製のTaxotere(登録商標))、メトトレキセート、アザチオプリンビンクリスチンビンブラスチンフルオロウラシルドキソルビシン塩酸塩(例えば、Pharmacia&Upjohn、Peapack N.J.製のAdriamycin(登録商標))およびマイトマイシン(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.、Stamford、Conn.製のMutamycin(登録商標))が含まれる。このような抗血小板物質、抗凝固物質、抗繊維素物質およびアンチトリロンビン(antitlirombins)の例には、ヘパリノイドヒルジン、ヒルジン組換体アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロストプロスタサイクリンおよびプロスタサイクリン類似体デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成アンチトロンビン)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa血小板膜受容体アンタゴニスト、抗体、およびAngiomax(登録商標)(Biogen、Inc.、Cambridge、Mass.)などのトロンビン阻害剤が含まれる。細胞分裂停止剤の例には、アンギオペプチン、カプトプリル(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.、Stamford、Conn.製のCapotenおよびCapozide(登録商標))などのアンジオテンシン変換酵素阻害剤シラザプリルまたはリシノプリル(例えば、Merck&Co.、Inc.、Whitehouse Station、NJ製のPrinvil(登録商標)およびPrinzide(登録商標))、アクチノマイシンDまたはそれらの誘導体および類似体が含まれる。アクチノマイシンDの異名には、ダクチノマイシンアクチノマイシンIV、アクチノマイシンI1、アクチノマイシンX1およびアクチノマイシンCiが含まれる。その他の化合物には、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ニフェジピン)、コルヒチン繊維芽細胞増殖因子(FGF)アンタゴニスト、魚油オメガ3−脂肪酸)、ヒスタミンアンタゴニスト、ロバスタチン(HMG−CoA還元酵素の阻害剤、コレステロール低下剤商品名はMerck&Co.、Inc.、Whitehouse Station、NJ製のMevacor(登録商標))、モノクローナル抗体(例えば、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体に特異的なもの)、ニトロプルシドプロスタグランジン阻害剤、スラミンセロトニン遮断薬ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤トリアゾロピリミジンPDGFアンタゴニスト)および一酸化窒素が含まれる。抗アレルギー薬の一例は、ペミロラストカリウムである。適切であり得るその他の治療物質または薬剤には、アルファ−インターフェロン遺伝子操作された上皮細胞、CD−34抗体などの抗体、アブシキシマブ(REOPRO)および抗体を捕捉する前駆細胞、正常で、生理学的に穏和な組成物および合成生成物によって筋肉細胞の制御された増殖を促進する治癒促進薬、酵素、抗炎症薬抗ウイルス薬抗癌剤抗凝固剤フリーラジカル捕捉剤、ステロイド抗炎症薬、非ステロイド抗炎症薬、抗生物質、一酸化窒素ドナースーパーオキシドジスムターゼスーパーオキシドジスムターゼ模倣体、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、デキサメタゾンクロベタゾールアスピリン、それらのプロドラッグ、それらのコドラッグならびにそれらの組み合わせが含まれる。前記の物質は、例示のために挙げられており、限定を意味しない。その他の現在使用できるか、または将来開発され得るその他の活性薬剤も同様に使用可能である。

0071

本発明はまた、MRP4の阻害剤を含む第1の医薬組成物、ならびにPDE3阻害剤、PDE4阻害剤、PDE5阻害剤およびそれらの混合物からなる群から選択される1種または複数のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を含む第2の医薬組成物を含む、血管障害を治療するためのキットに関する。

0072

生体物質
本発明はまた、血管内人工器官、例えば、ステントバイパスグラフト、血管周辺内部パッチ、血管周辺の外部パッチ、血管カフおよび血管形成カテーテルの中から選択される生体物質または医療用送達デバイスを調製するためのMRP4阻害剤の使用に関する。

0073

これに関して、本発明はさらに詳細に、前記で定義したようなMRP4の発現および/または活性の阻害剤でコーティングされた前述のような生体物質または医療用送達デバイスであって、血管内人工器官、例えば、ステント、バイパスグラフト、血管周辺の内部パッチ、血管周辺の外部パッチ、血管カフおよび血管形成カテーテルから選択される生体物質または医療用送達デバイスに関する。このような局所的生体物質または医療用送達デバイスは、血管狭窄または再狭窄を減少させるために、冠状動脈、頸動脈、腎動脈末梢動脈脳動脈または任意のその他の動脈もしくは静脈位置を含む任意の血管位置で実施する血行再建バイパスまたは移植手術の補助として、動静脈透析法の場合などにおける吻合狭窄を減少させるために、ポリテトラフルオロエチレン移植と一緒に、または一緒にせずに、ステント術と一緒に、または一緒にせずに、あるいは任意のその他の心臓手術または移植手術、あるいは先天的血管インターベンションと併用して使用することができる。

0074

例示のために、このような血管内人工器官およびそれらに選択的阻害剤をコーティングする方法は、WO2005094916により詳細に記載されているか、または当技術分野で最近使用されているものである。人工器官のコーティングに使用される化合物は、前記阻害剤の制御された放出を優先的に可能にしなければならない。前記化合物は、ポリマー(例えば、縫合糸ポリカーボネート、HydronおよびElvax)、生体ポリマー生体基質(例えば、アルギン酸塩フカン、コラーゲンをベースにした基質、ヘパラン硫酸)または合成ヘパラン硫酸様分子などの合成化合物またはそれらの組み合わせであってよい(Davies他、1997;Desgranges他、2001;Dixit他、2001;Ishihara他、2001;Letourneur他、2002;Tanihara他、2001;Tassiopoulos and Greisler、2000)。ポリマー材料のその他の例には、生体適合性で分解可能な材料、例えば、ラクトンをベースにしたポリエステルまたはコポリエステル、例えば、ポリラクチド、ポリラクチド−グリコリドポリカプロラクトン−グリコリド、ポリオルトエステルポリ酸無水物ポリアミノ酸多糖、ポリホスファ−ゼン、ポリ(エーテルエステルコポリマー、例えば、PEO−PLLAまたはそれらの混合物、および生体適合性で非分解性の材料、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、アクリル酸塩をベースにしたポリマーまたはコポリマー、例えば、ポリブチルメタクリレート、ポリ(ヒドロキシエチルメチル−メタクリレート)、ポリビニルピロリジノン、ポリテトラフルオエチレンなどのフッ素化ポリマーセルロースエステルを含めることができる。重合体基質を使用するとき、2層、例えば、前記阻害剤が組み込まれた基層、例えば、エチレン−コ−酢酸ビニルおよびポリブチルメタクリレート、ならびに前記阻害剤の拡散制御として作用する保護膜、例えば、ポリブチルメタクリレートを含んでよい。あるいは、前記阻害剤は、基層に含まれていてよく、補助物は外層に組み込まれていてよく、その逆であってもよい。

0075

このような生体物質または医療用送達デバイスは生体分解可能であってよく、あるいは永久使用を目的したとき、金属もしくは合金、例えば、NiおよびTi、または他の安定な物質であってよい。本発明の阻害剤はまた、ミクロポアまたはチャネルを含有するように改変されたステントまたは移植体の金属に封入してよい。また、血管周辺の内部パッチ、血管周辺の外部パッチまたは本発明の阻害剤を含有する前記で開示したようなその他の生体適合材料も局所送達に使用することができる。

0076

前記生体物質または医療用送達デバイスは、前記生体物質または医療用送達デバイスから徐々に阻害剤を放出させ、周囲の組織に侵入させる。前記放出は、1ヶ月から1年の間生じることができる。本発明による局所送達は、低濃度の化合物を循環させて疾患部位における本発明の阻害剤を高濃度にすることが可能である。このような局所送達適用に使用される前記阻害剤の量は、使用する化合物、治療すべき症状および所望する効果に応じて変化する。本発明の目的のために、治療有効量が投与される。

0077

前記生体物質または医療用送達デバイスの局所投与は、血管病変部位で、またはその近くで行うことが好ましい。以下の経路、カテーテルまたはその他の血管内送達系、鼻腔内、気管支内、腹腔内または食道の1種または複数によって投与してよい。ステントは通常、閉塞を軽減するために管の管腔内に放置するチューブ構造として使用される。ステントは、非拡張型で管腔内に挿入され、その後自発的に拡張するか(自己拡張ステント)、または生体位で第2のデバイス、例えば、血管の壁成分と関連した妨害物切除して破壊するため、および拡張した管腔を得るため、狭窄した血管または体内経路内で膨張する血管形成バルーンを装着したカテーテルを用いて拡張することができる。

0078

本発明の生体物質は、PDE3、PD4および/またはPDE5阻害剤を含む医薬組成物のために前述したような任意のその他の化合物でコーティングすることができる。

0079

本発明を、以下の図面および実施例に照らしてさらに例示する。

0080

概要
環状ヌクレオチドは、特定のホスホジエステラーゼによって分解され、能動的流出輸送体、すなわち多剤耐性タンパク質、MRP4およびMRP5によって除去されると仮定されている。細胞シグナル伝達におけるMRP4/5の役割を研究するために、モデルとして動脈平滑筋細胞を使用した。in vivoおよびin vitroにおいて、動脈平滑筋細胞の増殖中に、MRP4は上方制御されるが、MRP5はされないことが示された。MRP4の阻害は、細胞内cAMPおよびcGMPレベルの有意な増加を引き起こし、損傷したラット頸動脈における増殖を遮断し、新生内膜成長を阻止するのに十分であった。MRP4阻害の抗増殖性効果は、PKA/CREB経路の活性化に関連している。MRP4が細胞内環状ヌクレオチドレベルの独立した内在性調節因子として作用することの証拠を初めて提供し、血管平滑筋増殖性疾患を予防する新たな方法としてMRP4の阻害を同定した。

0081

序論
環状アデノシン1リン酸(cAMP)および環状グアノシン1リン酸(cGMP)は、下流の重要なエフェクタータンパク質に外部シグナル中継するセカンドメッセンジャーである。最も一般的な標的は、標的タンパク質をリン酸化することによって多数のプロセスを調節するcAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)およびcGMP依存性タンパク質キナーゼ(PKG)であるが、cAMPおよびcGMPはまた、ある種のイオンチャネル1および交換タンパク質2に結合することによって機能を発揮する。細胞外刺激に応じたシグナル伝達現象は、産生と排出の間の平衡から生じる細胞内環状ヌクレオチドレベルの巧妙な調節によって生じる。古典的に、環状ヌクレオチド排出は、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)によって媒介される加水分解と関連してきた。PDEは、多数のスプライシング変異体を組織特異的に発現するいくつかの遺伝子によってコードされる酵素の大きなスーパーファミリーを構成する3。血管平滑筋細胞を含むいくつかのモデルにおいて、PDEは細胞内環状ヌクレオチドシグナル伝達の大きさおよび持続期間を調節することが示された4。例えば、cGMP利用性を高めることによってヒトの勃起不全を治療するために使用される選択的PDE5阻害剤、シルデナフィルは、心肥大に関連した複数のシグナル伝達経路(カルシニューリン/NFAT、PI3K/AktおよびERK1/2シグナル伝達経路)および血管平滑筋細胞の増殖を不活性化し、肺動脈高血圧の治療においていくつかの治療上の成功を納めている5、6。しかし、アイソフォームまたは変異体に特異的な阻害剤が欠如していること、および環状ヌクレオチドシグナル伝達が区画化されていること4によって、選択的治療果実現の複雑さのレベルが追加されている。さらに、PDEが環状ヌクレオチド経路の特有の調節因子となり得るかどうかはあまり理解されていない。

0082

基質の細胞外への能動的輸送に関与する膜貫通タンパク質の大きなファミリー(ATP結合カセット輸送体ファミリーC型)のメンバーである多剤耐性関連タンパク質MRP4(ABCC4)は、哺乳類細胞からヌクレオチド1リン酸類似体を能動的に流出させることが発見された7。ABCCファミリーの別のメンバーであるMRP4およびMRP5(ABCC5)は、その後、cAMPおよびcGMPのエネルギー依存性輸送体として機能を果たすことが示された8、9。MRP4およびMRP5の発現は、平滑筋細胞を含むいくつかの組織で報告されたが10〜12、その生理学的機能は不明なままである。特に、これらの輸送体による環状ヌクレオチドの直接的排出が、環状ヌクレオチド代謝の上流に作用する追加的または代替的機構となり得るかどうかはまだ分かっていない。

0083

環状ヌクレオチド依存性生物学的プロセスにおけるMRP4/5の機能を正確に説明するために、環状ヌクレオチドレベルの増加が一方では収縮静止平滑筋細胞の弛緩誘導において、他方では合成/活性化平滑筋細胞の増殖阻害において、よく確立された役割を果たすので3、動脈平滑筋細胞を使用した。MRP4/5の発現および機能は、in vitroおよびin vivoにおいて分析した。MRP4が環状ヌクレオチドの細胞内レベルの独立した内在性調節因子として作用し、したがって、媒介されたシグナル伝達の活性化を制限することの証拠を初めて提供する。その後、我々の結果によって、このシグナル伝達経路を増強するための新たな方法としてMRP4の阻害が同定された。

0084

結果
MRP4は冠状動脈平滑筋細胞において発現する。

0085

ヒト冠状動脈平滑筋細胞(hCASMC)の初代培養において、MRP4およびMRP5の発現を初めて分析した。RT−PCRによって、MRP4およびMRP5mRNAがhCASMCにおいて検出された(図1aおよび補足図1a)。MRP4を形質移入したhCASMCの免疫蛍光分析によって、タンパク質が原形質膜の位置に優勢であることが示される(図1b)。免疫ブロッティングによって、予測160kDa MRP4タンパク質は平滑筋細胞の全細胞抽出物および膜調製物の両方に検出されたが、その一方でMRP5タンパク質は膜の豊富な画分でのみ検出された(補足図1b)。MRP5は、冠状動脈の内皮層に存在した(補足図1c)。平滑筋細胞タンパク質を5%から40%の不連続スクロース勾配で分離することによって、さらにMRP4の位置を調べた。図1cに示したように、160kDa MRP4タンパク質の発現は、ラフト関連タンパク質カベオリン1が発現した低密度画分に限定された。

0086

増殖する平滑筋細胞におけるMRP4の上方制御。

0087

MRP4およびMRP5の発現は、静止状態のhCASMC(0.1%補給、S)および5%Sによって刺激した増殖中のhCASMCにおいてウェスタンブロッティングによって調べた。hCASMC培養において、MRP4発現の増加は認められたが(3.7±0.42、p=0.01、図2a)、MRP5の増加は認められなかった(データは示さず)。この過剰発現は、平滑筋細胞増殖のマーカーであるサイクリンD1と相関していた(図2a)。in vivoにおけるこの増加の有意性を決定するために、平滑筋細胞増殖のよく特徴付けられたモデルであるバルーン損傷後のラット頸動脈で、MRP4の分布を分析した。図2bに示したように、新生内膜で高度に増殖した平滑筋細胞は、MRP4タンパク質の強い発現を表したが、一方で中膜でのMRP4発現は限定的であった。アテローム硬化性の冠状動脈において増殖しているhCASMCにおいて、MRP4の類似の過剰発現が発見された(補足図2)。いずれのモデルにおいても、MRP4の発現は、平滑筋細胞の静止表現型から増殖表現型への切り換えのマーカーであるNM−Bの発現と相関していた(図2bおよび補足図2)。全体的に見て、これらのデータは、MRP4の発現は静止状態の動脈平滑筋細胞では低レベルであり、増殖刺激に応答して上方制御されることを示唆している。

0088

MRPの薬理学的阻害は、平滑筋細胞の増殖を阻害する。

0089

最初に、我々のモデルにおけるhCASMC増殖に対するcAMPおよびcGMPの影響を調べた。浸透性8−ブロモ−cAMP(100μM)またはアデニル酸シクラーゼ活性化剤フォルスコリン(5μM)でhCASMCを処理すると、血清誘導性増殖の有意な阻害が生じた(図3a、p<0.001)。同様の結果が、8−Bromo−cGMP(200μM)(p=0.001)またはNOドナーSNP(1mM)(p<0.001)を使用して認められ、血管平滑筋細胞における環状ヌクレオチドの既に記載された抗増殖性効果が確かめられた(図3a)。hCASMC増殖中のMRP4およびMRP5の役割を定義するために、次にホスホジエステラーゼおよびMRPの薬理学的阻害剤(ジピリダモール)、ホスホジエステラーゼの阻害剤であるがMRPの阻害剤ではない(IBMX)、およびMRP4および5の阻害剤(MK571)またはMRP4の阻害剤であるがPDEの阻害剤ではない(NBMPR)を使用した。各薬物で処理したとき、hCASMC増殖の用量依存的阻害が認められた(図3b)。阻害剤がないと、5%Sによる刺激によって、hCASMC増殖は0.1%Sと比較して240±15.8%増加した。この増加は、MK571およびNBMPRによって、これらの阻害剤を最大用量で使用したとき、それぞれ153±11%(p<0.001)および140±15%(p<0.001)まで用量依存的に有意に減少した。補給物の混合物によって誘導される増殖はまた、PDE阻害剤IBMXによって阻害されたが(IBMX 100μM:170±12%、5%Sと比較してp<0.001)、MRP阻害剤で認められた阻害よりも低い範囲であった(MK571 37.5μMと比較してp<0.04、およびNBMPR 100μMと比較してp=0.007)。他方で、MK571またはNBMPRと比較して全体的な阻害剤ジピリダモールでは有意な差は認められなかった。これらのデータは、MPR阻害はhCASMC増殖を阻害することができるが、PDE阻害剤単独よりも強い効果を有することを示唆している。

0090

MRP4低分子干渉RNAによるin vitroにおける動脈平滑筋細胞増殖の阻害
hCASMCにおけるMRP4およびMRP5の役割をさらに調べるために、MRP4および/またはMRP5発現を特異的にサイレンスするRNA干渉計画を使用した。ヒトMRP4に対する低分子干渉RNAを設計し、hCASMCに形質移入すると、形質移入して72時間後に、スクランブルsiRNAと比較してMRP4mRNAの75±1%(p<0.001)(補足図3)およびタンパク質レベルの74±6.8%(p<0.001)(図4a)の減少がもたらされた。類似のサイレンシング効果がヒトMRP5に対するsiRNAで得られた(補足図3)。補給物の混合物によって誘導された増殖は、MRP4siRNAで形質移入されたhCASMCのほうがスクランブルsiRNAで形質移入されたhCASMCよりも有意に低下していた(0.1%Sと比較した相対的増加:それぞれ183±27%および313±35%、p<0.001、図4b)。類似の結果が、代替的に設計され、確認されたMRP4siRNAによって得られた(データは示さず)。さらに、MRP4siRNAは、hCASMCにおけるアポトーシスと関連がなかった(補足図5)。他方で、hCASMC増殖に対するMRP5siRNAの影響は認められなかったので(図4b)、MRP4の特異的阻害がhCASMC増殖を阻止するのに十分であることが確認された。

0091

特異的MRP4shRNAを発現するアデノウイルスベクターはin vivoにおいて新生内膜形成を予防する
in vivoでの血管平滑筋細胞増殖の予防におけるMRP4の役割を評価するために、ラットMRP4mRNAに対して設計された低分子ヘアピンRNAを発現するアデノウイルスベクター(Ad−shMRP4)を使用して、バルーン損傷ラット頸動脈に感染させた。最初に、MRP4発現をサイレンシングするAd−shMRP4の効果は、in vitroにおいてラット動脈平滑筋細胞を制御した。MRP4mRNAを感染させてから72時間後では、タンパク質レベルはルシフェラーゼshRNA(Ad−shLuc)を発現するアデノウイルスで感染した細胞で認められるものよりも低かった(補足図4)。

0092

損傷し、Ad−shMRP4またはAd shLucのいずれかのDNA粒子1011個で感染させて2週間後に、ラットを屠殺し、損傷した頸動脈の形態計測分析をヘマトキシリン/エオジン染色断面図で実施した(図4c)。再狭窄の程度は、内膜および中膜の厚さを測定し、内膜中膜複合体(I/M)厚を算出することによって決定した。Ad−shMRP4感染動脈のI/M比は、Ad−shLuc感染頸動脈よりも有意に低かった(p<0.03、図4d)。アデノウイルス感染を調べるために、ラット頸動脈のDNAを各試料から抽出し、アデノウイルス発現を特異的なプライマーを用いたPCRによって測定した(図4e)。これらの結果は、MRP4活性の減少がin vitroにおける血管平滑筋細胞増殖およびin vivoにおけるバルーン損傷誘導性新生内膜形成も阻害することを示している。

0093

MRP4阻害はcAMPおよびcGMPの細胞レベルを増加させる
MRP4siRNAで形質移入した細胞は、cAMPおよびcGMPレベルの著しい変化を表し、細胞内/細胞外比が著しく増加しており(それぞれ、スクランブルsiRNAと比較して289±12.5%および230±5.5%)、hCASMCからの環状ヌクレオチド流出の減少を示唆している(図5aおよび図5b)。

0094

cAMPレベルに対するMRP4阻害の影響をさらに分析するために、MRP4またはスクランブルsiRNAのいずれかで形質移入したhCASMCを、生細胞におけるリアルタイムcAMPイメージングのための蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)をベースにしたセンサーである13Epac2−campsをコードするアデノウイルスで感染させ、次に濃度を増加させたフォルスコリンに曝露した。図5cおよびdに示したように、フォルスコリンの濃度を増加させて適用すると、CFPとYFPの間のFRET変化を示すCFP/YFP比の増加によって反映されたcAMPの上昇が惹起された。しかし、低用量のフォルスコリンによる刺激では、MRP4siRNAで形質移入したhCASMCにおいてFRETのより大きな変化がもたらされた。図5eに示したように、MRP4サイレンシングは、薬物の最大効果に影響を与えずにフォルスコリンに対する濃度応答曲線の左への移動を引き起こす。データをヒルに当てはめると、最大cAMP形成の50%をもたらすフォルスコリンの用量は、スクランブルsiRNAで形質移入した細胞よりもMRP4siRNAで形質移入した細胞のほうが有意に低いことが示された(EC50:3.0±0.6μM対13.3±2.2μM、p<0.001)。この結果によって、MRP4阻害下の細胞ではアデニル酸シクラーゼ刺激に応答した速やかなcAMP利用が確認された。

0095

MRP4阻害は、プロテインキナーゼA(PKA)活性化によるhCASMC増殖に対するcAMPの効果を増強する
以前の結果を踏まえて、フォルスコリンの用量依存性抗増殖効果は、スクランブルsiRNAと比較してMRP4siRNAで形質移入したhCASMCにおいて有意に増強されることを観察した(図6a)。MRP4siRNAで形質移入した細胞では、少量のフォルスコリンでhCASMC増殖を阻止するのに十分であり、阻害定数(Ki)はスクランブルsiRNAにおける0.79±0.56μMからMRP4siRNAで形質移入hCASMCにおける0.11±0.01μMに減少した。cGMP活性化剤SNPを使用したとき、同様の効果は認められなかった:KiはスクランブルsiRNAでは182±95μMであり、MRP4siRNAで形質移入した細胞では166±90μMであった(図6b)。

0096

これらの結果は、MRP4阻害は、増殖に対するcAMP効果を増強するが、cGMP効果は増強しないことを示している。hCASMC増殖に対するMRP4siRNAの阻害効果は、Ad−PKI(PKAの特異的阻害剤)の感染によるcAMP依存性タンパク質キナーゼA(PKA)の阻害によって完全に逆転したが、薬理学的阻害剤KT5823を使用したcGMP依存性タンパク質キナーゼG(PKG)の阻害によっては逆転しなかった(図6c)。MRP4薬理学的阻害剤MK571およびNMBPRのhCASMC増殖に対する効果はまた、Ad−PKIの感染によるPKAの阻害によって逆転したが、KT5823によっては逆転しなかった(図6d)。これらの結果は、MRP4阻害は、PKA依存性シグナル伝達経路を活性化することによってhCASMC増殖に対するcAMPの効果を増強することを示している。

0097

PKAは、環状AMP応答因子結合タンパク質(CREB)の活性化およびリン酸化を調節し、CREBは増殖の阻害に関与するので、スクランブルsiRNAまたはMRP4siRNAで形質移入した増殖するhCASMCにおけるリン酸化CREB(pCREB)のレベルを分析した。pCREBのレベルは、MRP4阻害で329±15%(p=0.003)増加し、一方、総CREBのレベルは両条件で類似していた(図6e)。さらに、CREBの活性は、CRE−ルシフェラーゼレポーター遺伝子で形質移入した細胞で測定した。ルシフェラーゼ活性は、スクランブルsiRNAで形質移入した細胞と比較してMRP4siRNAで有意に高かった(553±25%、p<0.01、図6f)。したがって、MRP4阻害の抗増殖性効果は、PKA/CREB経路の活性化に関連していると結論づけられる。

0098

MRP4および肺高血圧
ヒト肺動脈におけるMRP4発現の免疫蛍光分析によって、正常な肺動脈の中膜におけるMRP4発現が明らかである。(肺高血圧の患者2人から得た)病的肺動脈における免疫染色によって、MRP4は中膜および新生内膜または肥大性中膜において発現していることが示される(図8参照)。0%Sまたは5%Sに72時間曝露した培養平滑筋細胞におけるウェスタンブロット分析によって、ヒト肺動脈から単離された平滑筋細胞における基礎MRP4発現は増殖状態において増加すること示された(図9参照)。細胞上のMRP4siRNAは、ヒト肺動脈平滑筋細胞増殖を阻害する(図10参照)。

0099

考察
これは、血管系において環状ヌクレオチドによって媒介されるシグナル伝達の修飾因子として、エネルギー依存性流出ポンプであるMRP4を同定した初めての研究である。我々の結果によって、MRP4は動脈平滑筋細胞における環状ヌクレオチドシグナル伝達の大きさを制限する負の調節因子として作用することが示された。この効果は、細胞からの環状ヌクレオチドの能動的膜貫通流出によって発揮され、そうして媒介されたシグナル伝達の活性化を制限する。動脈平滑筋細胞において、MRP4を特異的に阻害すると、環状ヌクレオチドの細胞内含量が変更され、したがってin vitroおよびin vivoにおけるそれらの抗増殖効果の劇的な増強が可能になる。したがって、MRP4の阻害は、血管増殖性障害の治療のための魅力的新規手法である。

0100

今日まで、MRP4は内因性または外来性グルタチオン、グルクロン酸塩および硫酸結合体の膜貫通排出を媒介する生理学的輸送体として主に考えられてきた14。例えば、MRP4は尿酸排出経路の重要な主役であることが期待されている15。MRP4はまた、環状ヌクレオチドの活性化輸送体として報告されてきた16〜18。その他の研究は、MRP4が抗ウイルス性19、20または抗癌性16プリンヌクレオチド類似体の流出を媒介することができ、MRP4はまた、血小板濃染顆粒のADP貯留および放出に関与する21。しかし、これらの以前の研究は、環状ヌクレオチド媒介シグナル伝達経路の上流調節因子としてMRP4を同定してきた。平滑筋細胞において薬理学的MRP4阻害剤またはMRP4のRNA干渉媒介性ノックダウンを使用することによって、cAMPおよびcGMP細胞内レベルが有意に増加すると伴に、基礎条件下で細胞外レベルが減少することを観察した。これらの結果と一致して、アデニル酸シクラーゼ活性化剤、フォルスコリンによって刺激した後22、23、MRP4を欠如した細胞において細胞内cAMP利用性が劇的に増強された。これらのデータはホスホジエステラーゼを阻害せずに得られたので、細胞内環状ヌクレオチド含量は2種類の独立した機構、1つはMRP4による流出、もう1つはPDEによる代謝によって決定されることを示唆している(図7)。

0101

MRP4阻害は、cAMPおよびcGMPレベルの両方の変化と関連していた。しかし、PKI(タンパク質キナーゼAの特異的阻害剤)を添加すると、MRP4阻害の抗増殖性効果が完全に逆転する一方、PKG遮断は影響を及ぼさなかったので、血清誘導性増殖の阻害は、プロテインキナーゼAの増加と関連していることが認められた。cAMP/PKAシグナル伝達経路の核標的であるCREBのリン酸化および活性の増加24は、PKA経路の活性化と一致している。cAMPおよびcGMPの細胞種特異的抗増殖性効果は、関与する機構はわかりにくいままであるが、よく報告されている。特に、cAMPレベルの増加は、in vitroにおいてVSMC増殖を阻害し、in vivoにおいて動脈損傷後の新生内膜病変形成を減少させることが知られている25〜27。これらは、同じin vivoモデルにおいて得られた、MRP4に特異的な低分子ヘアピンRNAを発現するアデノウイルス構築物を使用することによって新生内膜形成の有意な阻害を示した結果と一致している。他方で、cGMPはまた、cAMPよりも効率は低いが、分裂促進剤に応答したVSMC増殖を阻害することが示された。構成的活性型PKGの発現は、ラットにおけるバルーン損傷後の新生内膜形成を減少させる1方法として報告された28。cGMPシグナル伝達経路の重要な主役であるタンパク質キナーゼGを阻害した後、MRP4阻害効果の回復は認められず、MRP4阻害はcAMPシグナル伝達経路を選択的に調節できるが、cGMPシグナル伝達経路は調節できないかどうかについて疑問が生じた。しかし、以前の知見は、cGMPがPKAを通じて作用することを示唆している29。それと一致して、近年、cGMPの抗増殖性効果がタンパク質キナーゼAの活性化によるS期キナーゼ関連タンパク質2発現の阻害と関連することが示された30。cGMPは直接PKAを交差活性化することはできないが、増殖する血管平滑筋細胞において示されたように、むしろcAMPを加水分解するホスホジエステラーゼ3を阻害することによってcAMPレベルを増加させるものと考えられる31。さらに、cAMPおよびcGMPの細胞内エフェクターは、高分子複合体内に区画化され、MRP4はこれらの複合体に付加される相手となることができる。我々の実験では、MRP4はカベオリンの豊富な膜画分に局在した。カベオラ脂質ラフトは、シグナル伝達分子多分子複合体がカベオリン−1との相互作用によって区画化されている特殊な膜微小領域である32。MRP4のC末端タンパク質配列は、コンセンサスPDZドメイン結合モチーフを含有しており33、MRP4が膜シグナル伝達複合体のその他の相手と緊密に相互作用できることを示唆している。このことは、MRP4が特定の細胞内ドメインで作用することができ、したがって、環状ヌクレオチド媒介性シグナル伝達の初期活性化段階を調節することを示している。

0102

この研究は、平滑筋細胞増殖の調節因子としてのMRP4を同定した。MRP4は、静止状態の平滑筋細胞では弱く発現したが、その発現は、in vitroおよびin vivoにおいて増殖状態下で誘導された。これは、環状ヌクレオチド産生後の内在性の正のフィードバックを意味し得るが、MRP4発現を調節する因子現時点では知られていない。したがって、MRP4は、その発現が平滑筋細胞の病的な応答に関連するので、特に見込みのある標的となる。これは、MRP4が平滑筋細胞の増殖応答中に機能的な重要性を獲得することを示唆している。これは、MRP4ノックアウトマウスでは血管の欠陥がないことによって支持される34。我々の結果とは対照的に、以前の研究では、ヒト平滑筋細胞におけるMRP5の発現が報告されたが10、12、MRP4は探求されなかった。我々の場合、MRP5は血管平滑筋細胞において低レベルで存在していた。しかし、VSMC増殖モデルにおいてMRP5発現にいかなる変化も認められず、MRP5の効果的なサイレンシングによってVSMC増殖に影響は及ばなかったので、MRP5がMRP4と類似性を有するとは思われない。しかし、その他のMRP例えばMRP8などが環状ヌクレオチドの放出に関与することを排除することはできない35。

0103

我々の結果は、環状ヌクレオチドの細胞内ホメオスタシスの調節因子としてのホスホジエステラーゼに加えて、選択的または相補的な機構としてのMRP4を指摘している。最も興味ある結果の1つは、MRP4阻害はそれ自身細胞内環状ヌクレオチドレベルを変更するのに十分であり、シグナル伝達を媒介したことである。血清誘導性増殖の抑制が一般的なホスホジエステラーゼ阻害剤であるIBMXよりもMRP4阻害剤で強かったことがin vitro実験で認められた。ホスホジエステラーゼが複合体の細胞内時空間的機構と一体化して4、環状ヌクレオチドの特異的細胞内プールを制御することは今日ではよく知られている。ホスホジエステラーゼの中には、増殖する平滑筋細胞において細胞質から核に移動できるものもあることも報告された36。対照的に、カベオリンの豊富な画分にMRP4が局在することは、MRP4が新規に合成されたcAMPおよびcGMPのレベルを密接した形で制御できることを示している37、38。MRP4が環状ヌクレオチド産生の失活剤として作用できるかどうか、一方、ホスホジエステラーゼが細胞内の環状ヌクレオチドのより特異的なプールを調節するかどうかは、さらに調査するべきである(図7)。

0104

最後に、過剰な平滑筋細胞の増殖は、主要な動脈血管における傷害応答に関与する基本的なプロセスである。このようなプロセスは、アテローム性動脈硬化、血管形成術後の再狭窄、肺動脈高血圧および静脈移植片疾患を含む数多くの血管障害に関与する39、40。cAMPおよびcGMPレベルを調節するために、アデニリルグアニル酸シクラーゼの活性化またはホスホジエステラーゼの薬理学的阻害剤の使用などのいくつかの方法が使用されてきた。血管増殖性障害、例えば、原発性肺高血圧の治療にPDE5A阻害剤、シルデナフィルの使用が広がっていることは、この方法を支持している。シルデナフィルは、MRP4阻害剤として興味深く報告されている41。その治療効果がPDE5AまたはMRP4阻害剤(またはその両方)に関係し得るかどうか、現在もまだ決定されていない。

0105

結論として、我々の結果は、MRP4がcAMPおよびcGMPシグナル伝達の重要かつ独立した調節因子であることを意味している。したがって、MRP4の阻害は、多くの病的状態に関与する重要な機構である平滑筋細胞の増殖を制限する新たな治療方法である。

0106

材料および方法
試薬
MK571は、Alexis Biochemicalsから購入した。NBMPR、ジピリダモール、IBMX、8Br−cAMP、8Br−cGMP、SNP、フォルスコリンはSigma−Aldrich(France)製であった。タンパク質キナーゼ阻害剤KT5823は、Calbiochemから購入した。アデノウイルスPKI(Ad−PKI)は、Dr Hazel Lum(University of Illinois、Chicaco)によって提供された42。

0107

ヒトVSMCを培養するための培地および血清は、PromoCell(PromoCell GmbH、Heidelberg、ドイツ)から購入し、抗生物質はInvitrogen(Cergy Pontoise、France)から購入した。

0108

ヒト試料およびヒト血管平滑筋細胞の培養
心室間の冠状動脈の断片は、外植した心臓から切り取った。取り出した後、動脈部分をすぐに生理学的食塩水溶液に浸漬し、4℃に静置して数時間以内に使用した。ヒト冠状動脈平滑筋細胞(hCASMC)は、酵素消化によって中膜層から単離した。切り出した後、中膜の断片をコラゲナーゼ(CLS2、50U/mL、Worthington)およびエラスターゼ(0.25mg/mL、Sigma)を含む平滑筋細胞基礎培地2(SMCBM2、PromoCell)中で37℃で4〜7時間インキュベートした。30分後、懸濁液を1000rpmで3分間遠心し、細胞を収集し、SMCBM2+20%Supplement Mix(S)(PromoCell)中で静置した。最初の20分間で得られた細胞は廃棄した。他の操作で得られたものを収集し、5%のSおよび抗生物質を含有するSMCBM2中で37℃で5%のCO2中で培養した。細胞は、2回と6回の継代の間で研究した。

0109

ラット頸動脈の損傷
動物は、研究所の指針に従って処理した。体重350gから400gのウィスターラットオス成体(CERJ、France)の左の外頸動脈を既に記載されたように傷つけた43。手術して2週間後に頸動脈を採取した。内膜中膜複合体厚は、ヘマトキシリンおよびエオジン染色した断面からコンピュータをベースにしたソフトウェア(Lucia、Nikon)で測定した。標準的手順を用いて(Gentra(US)のPuregene(登録商標)DNA精製キット)、ラットの損傷した頸動脈からDNAを抽出した。次に、アデノウイルス発現は、挿入された発現カセットを標的とするセンスプライマー(5’−TCTTGTGGAAAGGACGAGGA−3’(配列番号10)およびアデノウイルスDNA内のアンチセンスプライマー(5’−ATCAAACGAGTTGTGCTCA−3’(配列番号11)を使用してPCRによって測定した。

0110

定量的リアルタイムPCR
全RNAは、RNeasyMiniキット(Invitrogen)を使用して調製し、1μgは標準的プロトコルを使用して逆転写した。得られたcDNAの10分の1は、94℃で30秒、Tmで30秒(MRP4、MRP5およびRPL32には30℃)および72℃で30秒を35回、引き続き最後に72℃で10分、BIOTAQDNAポリメラーゼ(Bioline)1単位および以下のプライマーそれぞれ200pmolを使用して増幅した。

0111

ヒトMRP4センスプライマー:5’−TGGTGCAGAAGGGGACTTAC−3’(配列番号1)およびアンチセンスプライマー、5’−GCTCTCCAGAGCACCATCTT−3’(配列番号2);ヒトMRP5センスプライマー5’−CTGGGCTTTTTTCCTGTATGA−3’(配列番号3)およびアンチセンスプライマー、5’−TCTTGCCACAGTCTCTCTAGTCTT−3’(配列番号4);ヒトRPL32センスプライマー、5’−GCCCAAGATCGTCAAAAAGA−3’(配列番号5)およびアンチセンスプライマー、5’−GTCAATGCCTCTGGGTTT−3’(配列番号6)、ベータ−アクチンセンスプライマー5’−CACCTTCTACAATGAGCTGTGCTTGC−3’(配列番号12)およびアンチセンスプライマー5’−TGATCCACATCTGCTGGAAGGTGGACGTGTGGC−3’(配列番号13)。

0112

遺伝子特異的プライマーは、M×4000装置(Stratagene)のqPCRによってQiagen SYBR Green master mixを使用してmRNAを増幅するために使用した。各プライマー組の特異性は、解離曲線を分析することによってモニターした。各測定には、SYBR green PCR master mixの1×最終濃度、遺伝子特異的プライマー400nMおよび鋳型5μlを含有する試料量25μlを使用した。

0113

スクロース勾配分離およびSDS−PAGE
タンパク質は、プロテアーゼ阻害剤のカクテル(Sigma)を添加したTNE溶液(mMで)(Tris20、NaCl150、EDTA1、pH7.4)2ml中で細胞を掻き取ることによって単離し、次に上においてガラスポッターホモゲナイズした。その後、原形質膜の大半に局在するタンパク質を可溶化するために、Triton X−100を全タンパク質画分に最終濃度の1%で添加した。タンパク質抽出段階は全て4℃で実施され、この温度で脂質ラフトは1%TritonX−100に不溶性であることに注意されたい。氷上で30分間インキュベーションした後、タンパク質濃度はBio−radタンパク質アッセイ(Biorad Laboratories)を使用して測定した。80%スクロース溶液の2mlをSW41遠心管(Beckman)に入れ、全抽出物の2mlをスクロース溶液の上に載せ、調製物を混合した。35%スクロース溶液4mlをゆっくり混合物上に注ぎ、次に5%スクロース溶液4mlを注いだ。その後、勾配を4℃で40000rpmで18時間中断することなく遠心した。1mlの画分を勾配の上部から底部まで集め、−80℃で維持した。各試料画分を超音波処理し、60μlを12.5%ポリアクリルアミド−SDSゲルに添加し、ウェスタンブロットによって分析した。

0114

ウェスタンブロット分析および免疫蛍光法
全細胞溶解物は、標準的方法に従って調製した(Upstate Biotechnology)。膜タンパク質は、緩衝液A(Tris/HCl 5mmol/L、スクロース250mmol/Lおよびエチレンジアミン四酢酸0.1mmol/Lにプロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)を補給)中で細胞を掻き取ることによって単離した。溶解物は、4℃で10000gで10分間遠心し、上清はさらに4℃で100000gで1時間遠心した。得られたペレットを緩衝液Aに再懸濁した。タンパク質(50μg)は、SDS12%PAGEによって分離し、Hybond−C膜(Amersham Biosciences)にブロットし、種々の抗体でインキュベートした。抗MRP4抗体は既に記載されている17。その他の抗体は、抗MRP5抗体(1:250;Santa−Cruz Biotechnology)、抗カベオリン1(1:5000、Abcam)、抗サイクリンD1(1:500、BD Biosciences)、抗PP2B(カルシニューリン)(1:250;BD Biosciences)、抗CREB(1:1000;Upstate Biotechnology)、抗リン酸化CREB(1:1000;Upstate Biotechnology)であった。免疫反応性タンパク質は、ECL(登録商標)(増強化ルミネセンス)検出系(Amersham Biosciences)を使用して視覚化した。光学密度は、ImageJソフトウェア(国立衛生研究所、Bethesda、MD)を使用して定量した。免疫蛍光のために、タンパク質を抗MRP4抗体または抗NM−B(1:3000、Abcam)でインキュベートし、Alexa−546またはAlexa−488のいずれかに直接結合させた二次抗体(Invitrogen)を使用して視覚化した。

0115

RNA干渉
サイレンシングRNAは、ヒトMRP4に対して特異的に設計した。siRNAの配列は、いくつかのMRP4スプライシング変異体(NM_005845、BC041560、AY081219、AF541977、AY133680、AY133679、AY133678)を標的化するために設計した。センス配列は、5’−CAGUGUUCUUACACUUCCUTT−3’(配列番号7)であり、アンチセンス配列は5’−AGGAAGUGUAAGAACACUGTT−3’(配列番号8)である。第2のMRP4siRNAのための標的配列は、5’−CAAATGTGGATCCGAGAA−3’であった。ヒトMRP5に対するsiRNAはAmbionから購入した(カタログ番号AM16810)。哺乳類遺伝子に対して相同性のない非サイレンシングsiRNA(All Stars陰性対照、Qiagen)は、陰性対照(スクランブルsiRNA)として使用した。

0116

細胞は、血清を含まない培地中で6時間かけてsiRNA(50nM)で形質移入し、その後さらに66時間かけて培地を血清含有培地に置換した。形質移入は、リポフェクタミン2000(Invitrogen)またはamaxa(登録商標)Nucleofector technologyを用い、製造元の指示に従ったエレクトロポレーションを使用して実施した。

0117

Ad−shRNAの構築
shRNAは、ラットMRP4に対して特異的に設計した。このshRNAはまた、ヒトMRP4を標的とする。shRNAは、ノックアウトRNAi系(Clontech)を使用して、BamHI/EcoRIを介してpSIRENベクターにアニーリングし、連結した。次に、組換えpSIRENは、Fusion−Blueコンピテント細胞(Clontech)を使用して大腸菌に形質転換した。その後、PI−SceI/I−Ceu Iで断片を切断し、Adeno−X発現系1(Clontech)を使用してPI−SceI/I−Ceu Iを介してAdeno−XウイルスDNAに挿入した。得られたアデノウイルスは、HEK293細胞に形質移入し、増殖させ、Ad—shMRP4(補足図4)およびAd−shLucと称するAdVを生成した。

0118

アデノウイルス構築物の効率を試験するために、VSMCをオスのウィスターラットの胸部大動脈の中膜から単離し、以前に記載されたように培養した44。

0119

平滑筋細胞におけるブロモデオキシウリジンの取り込み
ヒト平滑筋細胞は、96ウェル組織培養プレートで、5%Sを補給した平滑筋細胞基礎培地2中で3日間培養した。0.1%Sを含有する培地は増殖停止対照として使用した。細胞は、薬理学的薬剤またはsiRNAと共に5%Sを含有する培地中で72時間インキュベートした。BrdUは最後の16時間添加した。この細胞培養プレート洗浄し、比色分析によるBrdU細胞増殖アッセイを製造元の指示(Roche)に従って実施した。

0120

環状GMPおよびAMPアッセイ
環状GMPおよびAMPは、細胞培養上清およびスクランブルsiRNAまたはMRP4siRNAのいずれかで72時間トランスフェクトしたhCASMCの細胞溶解物中で、製造元(R&D systems)によって記載されたように、特異的競合酵素免疫測定法によって測定した。

0121

一過性形質移入およびレポーター遺伝子アッセイ
細胞は、amaxa(登録商標)Nucleofector技術を使用し、製造元の指示に従って、エレクトロポレーションによってsiRNA(50nM)およびCRE−ルシフェラーゼレポーター遺伝子プラスミド(Stratagene)で同時共形移入した。6時間後、培地を補給物含有培地に置換した。細胞は、5%Sの存在下で66時間増殖させた。結果は、3連で実施した独立した3回の実験の平均である。ルシフェラーゼ活性は、「ルシフェラーゼ測定キット」(Promega)を使用して測定した。相対的ルシフェラーゼ単位で対照のパーセントとして表した。

0122

cAMPの蛍光共鳴エネルギー移動イメージング
hCASMCは、培地を補給物含有培地に置換する前に、補給物を含まない培地中で6時間かけてスクランブルsiRNAまたはMRP4に対するsiRNA(それぞれ50nM)で形質移入した。形質移入して24時間後、細胞にFRETをベースにしたcAMPセンサーEpac2−campsをコードするアデノウイルスを感染させた。このFRETをベースにしたcAMPセンサーは、YFPおよびCFP蛍光タンパク質に融合させたEpac2の1個のcAMP結合ドメインを含有する。フォルスコリンを添加するとき、細胞内のcAMP濃度を増加させると、Epac2−campsの可逆的な立体的変化が生じ、CFPとYFPの間のFRETの減少が引き起こされ、その結果CFP/YFP比が生じる13。イメージング実験は、72時間後に室温で実施した。細胞は、(mmol/Lで)NaCl121.6、KCl5.4、MgCl21.8、CaCl21.8、NaHCO34、NaH2PO40.8、D−グルコース5、ピルビン酸ナトリウム5、HEPES10を含有し、pH7.4に調節したK+リンゲル溶液中で維持した。画像は、ソフトウェアで制御した(Metafluor、Molecular Devices、Sunnyvale、CA、USA)冷却電荷結合素子(CCD)カメラ(Sensicam PE、PCO、Kelheim、Germany)に連結したNikon TE300倒立顕微鏡の40×油浸対物レンズを使用して5秒ごとに取り込んだ。CFPは、キセノンランプ(100W、Nikon、Champigny−sur−Marne、France)によって、440/20BPフィルターおよび455LP2色性ミラーを使用して、150〜300ms間励起した。CFPおよびYFPの2色発光イメージングは、495LP2色性ミラーおよびBPフィルター470/30および535/30それぞれを装備したOptosplit II発光スプリッター(Cairn Research、Faversham、UK)を使用して実施した。平均蛍光強度は、細胞全体を含む関心のある領域で測定した。バックグラウンドは差し引いて、YFP強度はCFP/YFP比を計算する前にCFP漏出について535nmチャネルに修正した。比画像は、ImageJソフトウェア(国立衛生研究所)で得た。

0123

完全長ヒトMRP4の単離
全RNAは、TRIzol試薬(Invitrogen)を使用してヒト組織から単離し、1μgは標準的プロトコルを使用して逆転写した。MRP4cDNAを増幅するために、プライマーを公開されているヒト配列(ヌクレオチド1から3979、GenBank受入番号(AF071202))に基づいて設計した。得られたcDNAの10分の1は、94℃で30秒、60℃で30秒および72℃で30秒を35回、引き続き最後に72℃で10分間、BIOTAQDNAポリメラーゼ(Bioline)1単位および以下のプライマーそれぞれ200pmolを使用して増幅した。得られた断片はpIRES−GFPプラスミドにクローニングした。

0124

統計学的分析
定量的データは全て、平均±SDで表す。統計学的分析はPrismソフトウェアパッケージ(GraphPad v3)を使用して実施した。一元配置分散分析ANOVA)は、各パラメータを比較するために使用した。ポストホックt検定比較は、どの群差がANOVA全体の有意性の原因となるかを確認するために実施した。正規化したCFP/YFP比に対するフォルスコリンの効果の濃度応答曲線(R)は、ヒル式:R=Emax/(1+EC50/[forsk]n)(式中、EC50は最大刺激の半分を生じるのに必要な薬剤濃度、Emaxは最大効果およびnはHill係数)に当てはめた。pが<0.05のとき、有意であると見なした。
参考文献

0125

0126

0127

0128

0129

0130

実施例

0131

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