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技術 β−イオノン、並びにビタミンA、ビタミンA誘導体、カロテンおよびカロテノイドの製造方法

出願人 ディーエスエムアイピーアセッツビー.ブイ.
発明者 ゲルバー,グスタフルーエティン,アンドレアスシュトリット,クロード
出願日 2007年11月12日 (11年0ヶ月経過) 出願番号 2009-535634
公開日 2010年3月25日 (8年7ヶ月経過) 公開番号 2010-509255
状態 拒絶査定
技術分野 有機低分子化合物及びその製造
主要キーワード グリシドエステル 香水産業 ミキシングポンプ 水含有組成物 ループリアクター 環状テルペン 匂い物質 石油化学製品
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題・解決手段

本発明は、式(I)(式中、R1〜R7は独立して水素およびC1〜C4アルキルから選択され、R8は水素およびC1〜C4アルキルおよび水酸基から選択され、R9およびR10は独立して水素およびC1〜C4アルキルから選択されるか、またはR9およびR10は一緒カルボニル基酸素を形成し、R9およびR10が一緒にカルボニル基の酸素を形成する場合、α−異性体は生成されない)で示されるΨ−イオノン酸触媒による閉環によって、式(II)および式(III)で示されるβ−イオノンおよび/またはα−イオノンを製造する方法であって、a)pKs<3の濃縮ブレンステッド酸、並びに、濃縮酸および前記酸の希釈水溶液と実質的に混和しない有機溶媒の存在下に、式(I)で示されるΨ−イオノンを反応させる工程と、b)工程a)で得られた反応生成物を、水含有組成物を加えることによって加水分解し、かつ式(II)および式(III)で示されるβ−イオノンおよび/またはα−イオノンを含む有機相と、水性希釈酸相とに相分離する工程とを含み、加水分解工程b)において、前記水性希釈酸相の酸濃度が45〜65重量%となるような量の水が添加され、また、ビタミンA、ビタミンA誘導体カロテンまたはカロテノイドの製造方法に容易に統合することができる方法に関する。

概要

背景

概要

本発明は、式(I)(式中、R1〜R7は独立して水素およびC1〜C4アルキルから選択され、R8は水素およびC1〜C4アルキルおよび水酸基から選択され、R9およびR10は独立して水素およびC1〜C4アルキルから選択されるか、またはR9およびR10は一緒カルボニル基酸素を形成し、R9およびR10が一緒にカルボニル基の酸素を形成する場合、α−異性体は生成されない)で示されるΨ−イオノン酸触媒による閉環によって、式(II)および式(III)で示されるβ−イオノンおよび/またはα−イオノンを製造する方法であって、a)pKs<3の濃縮ブレンステッド酸、並びに、濃縮酸および前記酸の希釈水溶液と実質的に混和しない有機溶媒の存在下に、式(I)で示されるΨ−イオノンを反応させる工程と、b)工程a)で得られた反応生成物を、水含有組成物を加えることによって加水分解し、かつ式(II)および式(III)で示されるβ−イオノンおよび/またはα−イオノンを含む有機相と、水性希釈酸相とに相分離する工程とを含み、加水分解工程b)において、前記水性希釈酸相の酸濃度が45〜65重量%となるような量の水が添加され、また、ビタミンA、ビタミンA誘導体カロテンまたはカロテノイドの製造方法に容易に統合することができる方法に関する。なし

目的

ビタミンA、ビタミンA誘導体、カロテンおよびカロテノイドを工業的に合成する目的は、容易に入手可能な成分、例えば、石油化学製品からその構造を構築することである

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

式Iで示されるΨ−イオノン酸触媒による閉環によって、式IIおよび式IIIで示されるβ−イオノンおよび/またはα−イオノンを製造する方法であって、(式中、R1〜R7は独立して水素およびC1〜C4アルキルから選択され、R8は水素およびC1〜C4アルキルおよび水酸基から選択され、R9およびR10は独立して水素およびC1〜C4アルキルから選択されるか、またはR9およびR10は一緒カルボニル基酸素を形成し、R9およびR10が一緒にカルボニル基の酸素を形成する場合、α−異性体は生成されない)a)pKs<3の濃縮ブレンステッド酸、並びに、濃縮酸および前記酸の希釈水溶液と実質的に混和しない有機溶媒の存在下に、式Iで示されるΨ−イオノンを反応させる工程と、b)工程a)で得られた反応生成物を、水含有組成物を加えることによって加水分解し、式IIおよび式IIIで示されるβ−イオノンおよび/またはα−イオノンを含む有機相と、水性希釈酸相とに相分離する工程とを含み、加水分解工程b)において、前記水性希釈酸相の酸濃度が45〜65重量%となるような量の水が添加される方法。

請求項2

加水分解工程b)において、前記水性希釈酸相の酸濃度が50〜60重量%、好ましくは50〜55重量%となるような量の水が添加される請求項1に記載の方法。

請求項3

溶媒が、炭化水素および塩素化炭化水素から選択される請求項1または2に記載の方法。

請求項4

溶媒が、塩素化炭化水素、好ましくはクロロホルムおよび塩化メチレンから選択される請求項3に記載の方法。

請求項5

溶媒が塩化メチレンである請求項3に記載の方法。

請求項6

水性希釈酸相の密度が有機相の密度より大きい請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

工程a)で使用される濃縮酸が、少なくとも95重量%、好ましくは95〜98重量%の濃度を有する硫酸である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。

請求項8

水性希硫酸相を処理して、好ましくは少なくとも65重量%、または少なくとも95重量%の濃度を有する高濃硫酸を得る請求項7に記載の方法。

請求項9

工程a)を−30℃〜30℃の温度で行う請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

請求項10

工程b)を−25℃〜20℃の温度で行う請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

R1〜R4およびR7〜R10がいずれも水素であり、かつR5およびR6がメチル基である請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。

請求項12

トランス−3、トランス−5およびトランス−3、シス−5異性体を合計で少なくとも96%含む工業用Ψ−イオノンを出発化合物として使用する請求項11に記載の方法。

請求項13

β−イオノンを分離する工程、および必要に応じてβ−イオノンを精製する工程をさらに含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。

請求項14

α−イオノンを分離する工程、および必要に応じてα−イオノンを精製する工程をさらに含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。

請求項15

−請求項13の方法によりβ−イオノンを得、−前記β−イオノンをビタミンA、ビタミンA誘導体カロテンまたはカロテノイドに変換することによって、ビタミンA、ビタミンA誘導体、カロテンまたはカロテノイドを製造する方法。

発明の詳細な説明

0001

本発明は、β−イオノンおよび/またはα−イオノンの製造方法、並びに、ビタミンA、ビタミンA誘導体カロテンおよびカロテノイドの製造方法に関する。

0002

ビタミンA、ビタミンA誘導体、カロテンおよびカロテノイドを工業的に合成する目的は、容易に入手可能な成分、例えば、石油化学製品からその構造を構築することである。環状テルペンケトンのβ−イオノン中には、末端のC6環を含む13個の炭素原子をビタミンAに対応する構造で含有する、既に使用可能な分子が存在する。したがって、ビタミンAまたはビタミンA誘導体を合成する大規模プロセスはすべて、β−イオノンを中間体として進行する。

0003

1948年のアイスラー(Isler)合成は、そのキーとなる工程が、β−イオノンから生成したC14成分をC6成分と結合させることをベースとするものであり、今日までビタミンAの全合成において経済的に最も成功した方法の一つであると考えられる。その工業的実施において、この合成は複数の段階を含み、その2番目の段階は硫酸の存在下でΨ−イオノンを環化してβ−イオノンを生成することからなる。β−イオノンはグリシドエステル合成によりC14成分、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−ブテン−1アル(「C14アルデヒド」)に変換され、次に、グリニャール反応により、3反応工程で合成されたC6成分、3−メチル−ペント−2−エン−4−イン−1−オールと結合される。得られたオキセニン(oxenyne)に、部分リンドラ水素化、無水酢酸によるアセチル化脱水および転位を行い、粗形態のビタミンAアセテートが得られる。粗ビタミンAアセテートを結晶化により精製し、大規模合成の商業的最終製品とする。その後、ビタミンAアセテートをさらに反応させることにより、所望のビタミンA誘導体を得ることができる。

0004

すべてのビタミンA合成で中心となる化合物は、強ブレンステッド酸の作用下における閉環反応によりΨ−イオノン(6,10−ジメチルウンデカ−3,5,9−トリエン−2−オン)から得ることができるβ−イオノンである。この閉環反応では、また、β−イオノンと環内の二重結合の位置のみが異なるα−イオノン異性体が生成される。両異性体はいずれも有用な生成物である。例えば、α−イオノンは匂い物質前駆体として香水産業で使用される。したがって、商業的に成功するプロセスでは、最適な総収率でβ−イオノンおよびα−イオノンを得ることが望ましい。β−イオノンを中間体としてビタミンAまたはビタミンA誘導体を製造することに焦点を合わせる場合は、上述した閉環反応におけるβ−イオノンの収率を最適化することが好ましい。

0005

米国特許第5,453,546号明細書の従来技術の項に記載されているように、工業的規模プラントでは、Ψ−イオノンを高濃度、例えば98%の硫酸と連続的に完全に反応させることにより、β−イオノンが約90%の収率で得られている。Ψ−イオノンを中間体貯蔵タンクから計量ポンプで取り出し、塩化メチレンに溶解させる。このように希釈した抽出物、すなわちΨ−イオノンを、反応ゾーンにおいて、硫酸と約1:2の重量比激しく混合する。酸は実質的に塩化メチレンに不溶であるから、2相の液/液系が形成され、その相の境界で反応が始まる。Ψ−イオノン/塩化メチレン流れを予め冷却し、かつ反応器内を強力に冷却することにより、強い発熱反応で放出される熱を除去して、温度を0℃〜5℃に維持する。硫酸と接触しているβ−イオノンは、反応時間が長くなると、高分子量ポリマー性副生成物を生成するので、反応の過剰な進行を抑制する必要がある。いわゆるクエンチング段階で、十分な量の水を計量して加えることにより硫酸を、通常、約18%の水溶液にまで希釈し、それと同時に引き起こされる、得られた有機相酸性水相の分離により、反応を停止させる。この場合、希釈により放出されるエンタルピーを除去しなければならない。

0006

ここで、米国特許第5,453,546号明細書では、この工業的規模のβ−イオノン製造プロセスから出発して、塩素化溶媒の使用、および、反応では消費されず触媒として働く硫酸の再利用の問題に取り組んでいる。しかしながら、クエンチング段階によって、最初に使用した高濃度の硫酸は、約18%とかなりの低濃度にまで希釈されるため、硫酸の再利用には、かなりの程度の濃縮、すなわち18%から約98%への濃縮が必要であり、これには大量のエネルギー消費が伴うとともにコストもかかる。

0007

この問題を解決するために、米国特許第5,453,546号明細書では、高圧下での2相溶媒系の使用を提案している。そこでは、第1の相は少なくとも85重量%の硫酸水溶液を含み、第2相は上記問題を解決するためにΨ−イオノンを溶解した液体二酸化炭素を含む。

0008

しかしながら、米国特許第5,453,546号明細書に記載された方法では、クエンチングのために、水の添加または硫酸の希釈が依然必要であり、そのためクエンチング後の最終硫酸濃度は40〜50%になる。

0009

米国特許第5,453,546号明細書に記載された方法には、いくつかの不利な点がある。まず第1に、高圧かつ低温の条件を要求する二酸化炭素溶媒として使用することが、工業的プロセス全体の複雑さに加えられるため、その方法は、投資コストおよび変動コスト、特にエネルギーコストに関し、非常に高いコストがかかるものとなる。

0010

さらに、米国特許第5,453,546号明細書に示されている実験データを調べると、所望のβ−イオノンの全収率は、米国特許第5,453,546号明細書の従来技術の項に記載されている既知工業的方法の収率よりかなり低い。β−イオノンの収率が約90%の実施例は1つだけである。さらに、米国特許第5,453,546号明細書の第8欄、第52〜61行には、所望の収率を得るためには、クエンチング後の酸の最終濃度は、高くても45%とすべきであるとの記載があり、その実施例では、最終濃度は40%に調節されていた。

0011

したがって、溶媒として二酸炭素を使用することによる高圧/低温処理に伴う問題に加え、得られる収率が望ましくない低さであり、かつ、クエンチング後の硫酸は、依然、40%前後とかなり希釈された濃度であるため、得られた希硫酸を使用可能な濃度にまで濃縮するには、多量のエネルギー消費を依然必要とする。

0012

上述した二酸化炭素を使用することによるプロセスの複雑さの問題を解決するために、独国特許出願公開第A 196 19 557号明細書は、Ψ−イオノンの環化、および、その後のクエンチングまたは加水分解を、特定の明確な設計および形状を有する1台以上のミキシングポンプにおいて、実質的な断熱反応で行うことを示唆している。独国特許出願公開第A 196 19 557号明細書が教示するところによれば、芳香族脂肪族または脂環式炭化水素、および脂肪族塩素化炭化水素が、溶媒として使用できる。クエンチング工程で、水を加え、最終濃度28.5〜40%の希硫酸を得る。実施例において、最終的に得られた希硫酸の濃度範囲は、30%〜37%である。

0013

しかし、実験データを調べてみると、得られたβ−イオノン収率は、最大で85%前後と、依然、望ましくない低さである。

0014

要約すれば、両先行技術文献、米国特許第5,453,546号明細書および独国特許出願公開第A 196 19 557号明細書が教示しているのは、プロセスに非常な複雑さが加わることになったにもかかわらず、β−イオノンの収率は標準的な工業的方法で記載されている値より低く、かつ、クエンチング後、最終的に得られる希硫酸の濃度は最大でも40または45%と依然低く、したがって、プロセスから得られた硫酸を再使用するには、依然、相当の濃縮が必要であるということである。

0015

したがって、本発明の目的は、既存の標準的な製造プラントを使用して、最終のα−イオノンおよびβ−イオノン生成物の全収率を低下させることなく、プロセスの全体的な効率を向上させる、α−イオノンおよび/またはβ−イオノンの製造方法を提供することにある。本発明の他の目的は、β−イオノンの収率を最適化することにある。

0016

本発明のさらに他の目的は、前述した閉環工程を、ビタミンA、ビタミンA誘導体、カロテンまたはカロテノイドの製造方法に統合することにある。

0017

[発明の概要
これらの目的は、式Iで示されるΨ−イオノンの酸触媒による閉環によって、式IIおよび式IIIで示されるβ−イオノンおよび/またはα−イオノンを製造する方法であって、




(式中、R1〜R7は独立して水素およびC1〜C4アルキルから選択され、R8は水素およびC1〜C4アルキルおよび水酸基から選択され、R9およびR10は独立して水素およびC1〜C4アルキルから選択されるか、またはR9およびR10は一緒カルボニル基酸素を形成し、R9およびR10が一緒にカルボニル基の酸素を形成する場合、α−異性体は生成されない)
a)pKs<3の濃縮ブレンステッド酸、並びに、濃縮酸および前記酸の希釈水溶液と実質的に混和しない有機溶媒の存在下に、式Iで示されるΨ−イオノンを反応させる工程と、
b)工程a)で得られた反応生成物を、水含有組成物を加えることによって加水分解し、かつ式IIおよび式IIIで示されるβ−イオノンおよび/またはα−イオノンを含む有機相と、水性希釈酸相とに相分離する工程と
を含み、
加水分解工程b)において、前記水性希釈酸相の酸濃度が45〜65重量%となるような量の水が添加される方法、並びに、上記方法から分離後にβ−イオノンを得て、必要に応じて精製した後、ビタミンA、ビタミンA誘導体、カロテンまたはカロテノイドへ変換することによって、ビタミンA、ビタミンA誘導体、カロテンまたはカロテノイドを製造する方法によって達成された。

0018

意外にも、本発明者らは、上述した先行技術の教示にもかかわらず、α−イオノンおよびβ−イオノンの総収率を低下させることなく、標準的な反応装置を使用して、水性希釈酸相の酸濃度が45〜65重量%となるような量の水を、クエンチングまたは加水分解工程b)において加え得ることを見出した。

0019

したがって、水性希釈酸相の酸濃度が比較的高いため、本方法または他の方法で再利用可能な濃縮酸を得るために必要なエネルギーが、先行技術と比較して少なくてすみ、プロセスの全体的な効率を大幅に改善することができる。

0020

この目的が、擬イオノンから出発する閉環工程で、当該技術分野で知られている標準的な溶媒を使用することによって達成され得ることは、さらに意外である。

0021

[発明の詳細な説明]
Ψ−イオノンからβ−イオノンへの反応に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、当業者であれば、同じ原理が上記式Iで表されるΨ−イオノンに近い同族体にも適用できることは理解できよう。しかし、本発明の方法が、工業的規模でビタミンAおよびビタミンA誘導体を製造するための重要な中間体であるβ−イオノンの製造に特に有利であることは、言うまでもない。しかしながら、本発明の方法は、対応するα−異性体、例えばα−イオノンの製造にも、あるいは、ビタミンA誘導体、カロテンまたはカロテノイドの中間体として、式IIで定義されるような置換β−イオノンの製造にも適用することができる。本発明の好ましい実施態様では、式Iおよび式IIの置換基R1〜R4およびR7〜R10が全て水素で、かつ、R5およびR6がメチル基であり、したがって、Ψ−イオノンおよびβ−イオノンをそれぞれ示している。

0022

本発明においては、特定の酸を選択する必要はない。満たすべき条件は、酸が、プロトン移動が可能な強酸で、本発明において、pKs<3を有するブレンステッド酸と定義されるものであることである。好ましくは、pks<0である。さらに、出発物質または有用な生成物の分解を避けるために、酸は、反応条件下非酸化性であることが好ましい。

0023

本発明において、「濃縮酸」という用語は、少なくとも90重量%の濃度の酸の水溶液のことであると理解すべきである。さらに、望ましくない副反応を抑制するために、酸の濃度は少なくとも95重量%であることが好ましく、95〜98重量%であることがより好ましい。

0024

本発明に適した酸は、硫酸、リン酸またはメタンスルホン酸から選択することができる。本発明の好ましい実施態様では、濃縮酸は少なくとも95重量%、好ましくは95〜98重量%の濃度の硫酸である。酸が濃度98重量%の濃硫酸であると、特に好ましい。

0025

さらに、本発明においては、選択した酸に応じて、濃縮酸も、加水分解工程b)で得られる前記酸の希釈水溶液も、本発明の方法で使用される有機溶媒と実質的に混和せずに、二相反応系が維持される限り、特定の溶媒を選択することも重要ではない。

0026

本発明において、「実質的に混和しない」という用語は、反応工程a)でも加水分解工程b)でも、2つの明瞭な液相が維持されることを意味する。

0027

有機溶媒は、炭化水素および塩素化炭化水素から選択することが好ましい。しかし、スルホランもまた適した溶媒である。

0028

溶媒は、なかでも、塩素化炭化水素、好ましくはクロロホルムおよび塩化メチレンから選択することが好ましく、その場合、塩化メチレンが特に好ましい。

0029

しかしながら、脂肪族または芳香族炭化水素のような非塩素化溶媒を使用することも可能であり、その場合、脂肪族炭化水素が、芳香族炭化水素に比べて望ましくない副生成物の生成が少ないことから、より好ましい。

0030

脂肪族炭化水素の中でも、ヘキサンおよびヘプタンが本発明には特に有用である。

0031

さらに、加水分解でほんの少しの量の水を加え、水相がより高い密度を有するような相分離を行うことが、その後の相分離に有利である。

0032

この条件は、例えば、溶媒として塩化メチレンまたはヘキサンを使用し、かつ、酸として硫酸を使用することにより達成される。

0033

例えば、最も好ましい系、すなわち、塩化メチレンを有機溶媒とし、かつ、硫酸を酸とする系では、水性希釈相がより高密度となるという条件は、本発明で要求されているように硫酸濃度が少なくとも45重量%であると達成される。

0034

本発明者らは、さらに、本方法の全体的な効率が、β−イオノン合成の出発物質として、トランス−3、トランス−5およびトランス−3、シス−5の異性体を合計で少なくとも96%含む工業用Ψ−イオノンを使用すれば、本方法の全体的な効率がさらに改善されることを見出した。そのような精製された出発物質を使用することによって、新しい濃縮酸の全消費量も沈殿させるべき反応残渣も大幅に減少させることができる。

0035

式IのΨ−イオノンと強酸とのモル比は、少なくとも1:2であることが好ましく、モル比が約1:2〜約1:6の範囲であるとより好ましく、1:2.1〜1:4.8の範囲が特に好ましい。

0036

本発明における閉環工程a)は、−30℃〜30℃、好ましくは−25℃〜20℃、特に好ましくは−20℃〜15℃の温度で行うことが好ましい。

0037

加水分解またはクエンチング工程b)では、任意の適切な水性組成物を使用することができる。水、特に軟水を使用することが好ましい。しかしながら、工程a)で使用した強酸の希釈水溶液、例えば希硫酸を使用することもまた有利である。工程b)で使用する水性組成物の種類に応じて、水性組成物の量が、工程bで得られる希釈酸の最終酸濃度が、本発明で定義されているように45〜65重量%の範囲になるように計算される。加水分解工程b)は、−25℃〜20℃、好ましくは−15℃〜15℃、特に好ましくは−10℃〜10℃の温度で行われる。

0038

本発明の方法は、バッチ法または連続法として行うことができ、特に工業規模の使用では、プロセスの全体的効率を最適化するために、連続法が好ましい。

0039

本発明の工程a)を実施するための一実施態様においては、式Iで示されるΨ−イオノンを有機溶媒と連続的に混合し、約0℃の温度に冷却し、ループリアクターに連続的に供給する。同時に、前述したモル過剰量の強ブレンステッド酸をループリアクターに供給する。反応が発熱性であるため、適当な冷却手段により反応器から反応熱を除去する。

0040

このように、本発明の好ましい一実施態様においては、工程a)は、反応熱を除去するための冷却手段を具備する反応器中で行われる。

0041

β−異性体の最適収率に焦点を当てた場合の好ましい一実施態様では、工程a)の閉環反応で得られた反応生成物を、反応後ゾーンに移し、α−異性体を所望のβ−異性体に変換させる。反応後ゾーンには、任意の適切な反応器種、例えば一連の連続攪拌槽を使用することができる。これに関し、低濃度のα−異性体を得るために、反応後ゾーンの滞留時間を最適化することが重要である。適当な滞留時間は、反応後ゾーンで使用される条件や反応器種に応じて、通常の実験を行うことによって決定することができる。

0042

その後、反応生成物を加水分解工程b)用の反応槽に移す。これも、反応熱を除去するために、冷却手段を具備したループリアクターとすることができる。このように、本発明の方法の加水分解工程b)においても、反応熱を除去するために、冷却手段を具備した反応器が好ましい。加水分解工程において、強酸の最終的な希釈水溶液が45〜65重量%の濃度となるように、反応生成物に水を加える。これにより、β−イオノン生成物を含有する有機相と希釈強酸の水相からなる2相系が形成される。反応生成物を、2相を分離することができるデカンターなどの槽に移し、その後、2つの相を、分離槽から連続的に取り出す。その後、β−イオノン生成物を含有する有機相を、洗浄中和などの通常のプロセス工程により精製して残留する微量の酸を除き、次いで、相分離、溶媒の除去、および、必要に応じて、例えば精留による粗β−イオノンのさらなる精製を行う。溶媒は、必要に応じて、例えば精留による適当な精製工程を経た後、そのプロセスで再び利用される。

0043

このようにして得られたβ−イオノン生成物は、ビタミンAおよびビタミンA誘導体の製造のための出発物質として使用することができる。β−イオノン製造のための上述した好ましい方法は、他のビタミンA誘導体、カロテン、並びに、ゼアキサンチンアスタキサンチンおよびカンタキサンチンのようなカロテノイドの出発物質として使用することができる上記式IIで示される他のβ−イオノンの製造にも、同様に適用可能である。

0044

したがって、本発明の方法は、ビタミンA、ビタミンA誘導体、カロテンおよびカロテノイドの工業規模の製造プロセスに容易に組み込むことができる。

0045

相分離槽から得られた水性希釈酸相も、さらに精製することができる。好ましい一実施態様においては、まず水相を静置し得るタンクに、水相を供給する。相分離槽から取り出された後の希釈酸相に残留している有機物質は、全てそこでまとまって有機相を形成する。有機相は間欠的または連続的に除去することができ、さらなる処理を行うために、反応からの有機相と混合する。

0046

最後に、本方法で酸を再利用することができるように、例えば蒸留により水を除去することによって、水性希釈酸相を濃縮することができる。

0047

好ましい一実施態様において、本発明の方法で硫酸が使用される場合、本方法で得られる水性希硫酸を65重量%に濃縮し、その後、他の方法で使用するか、または、硫酸を少なくとも95重量%に濃縮して本発明の方法で再利用することができる。本発明の加水分解工程b)においては、生成物の収率を低下させず、かつ、標準的な反応装置を使用して、45〜65重量%の濃度範囲の希釈酸が得られるように、先行技術に較べてより少ない量の水を加えるため、本発明の方法で得られる水性希釈酸相から濃縮酸を回収するときに、本発明の方法において消費されるエネルギーの量は少なくて済む。

0048

以下の例は本発明を説明するために示すものであるが、これらの例が、添付した請求項で定義される本発明を限定するものであると解釈されるべきではない。

0049

[実施例1]
攪拌器温度計冷却器および2個の滴下漏斗を具備した冷却ジャケットを有する1.3Lフラスコに、240グラムの95重量%硫酸および400グラムの塩化メチレンを加える。得られた淡黄色のエマルジョン攪拌しながら−10℃まで冷却する。その後、温度を−5〜0℃に維持しながら、10分以内に純度90.6%のΨ−イオノン106グラムを加えた。これが完了した後、暗赤褐色の反応生成物を温度−10〜−20℃でさらに15分間攪拌した。

0050

その後、表1に示す濃度の最終希硫酸が得られるような量の水を滴下により、添加完了時の温度が5℃となるように、添加する。3分の2の水を加えた時点で冷却器のスイッチを切り冷却液ジャケットから除去した。その後、反応混合物を、5℃でさらに15分間攪拌し、次いで、この2相系を静置した。希釈水性硫酸相を除去し、135グラムの塩化メチレンで2回の抽出を行った。

0051

塩化メチレン溶液をまとめて100グラムの水で洗浄した。その後、トリエチルアミンを添加してpHを8〜9に調節した後、200グラムの水で洗浄した。

0052

塩化メチレン相は、回転蒸発器により塩化メチレンを蒸発させて濃縮した。その後、精製のため粗β−イオノンを蒸留する。

0053

表1に、β−イオノン、α−イオノンおよび蒸留残渣の収率を示す。

0054

[実施例2〜7]
表1に示す希硫酸の最終濃度が得られるように水を加え、実施例1を繰り返した。これにより得られたβ−イオノン、α−イオノンおよび蒸留残渣の収率もまた表1に示す。

0055

0056

このように、先行技術の教示に反して、水性希釈酸相の最終濃度が45〜65%の範囲で、所望の最終生成物の収率が、これまでに標準的なβ−イオノン法で使用されている最終濃度19%の場合とほぼ同じであることがわかった。

0057

このように、収率を低下させずに、最終濃度がより高い希釈酸を使用することができ、これにより、さらなる使用、または本発明の方法における再利用のために、その後に行われる希釈酸の濃縮に必要なエネルギーが低減される。

0058

[実施例8]
塩化メチレンに代えてヘキサンを使用して実施例5を繰り返した。β−イオノンの収率は88.0%、α−イオノンの収率は0.6%、そして蒸留残渣の収率は4.7%であった。

0059

この実施例は、ヘキサンを使用しても塩化メチレンと類似の結果が得られることを示している。

0060

[例9(比較)]
塩化メチレンに代えてジイソプロピルエーテルを使用して実施例5を繰り返し、単相の反応混合物を生成した。α−イオノンおよびβ−イオノンの全収率は50%未満であった。例10は、強酸と混和可能な溶媒を使用した場合、所望の生成物の収率が甚だしく低下することを示している。

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