図面 (/)

技術 被覆鋼帯、その被覆鋼帯を製造する方法、その被覆鋼帯を使用する方法、その被覆鋼帯から製造されたプレス加工されたブランク、その被覆鋼帯から製造されたプレス加工された製品、そのようなプレス加工された製品を含む製品

出願人 アルセロールミタル・フランス
発明者 ドリエ,パスカルスペネル,ドミニクケフエルスタン,ロナルド
出願日 2006年10月30日 (14年8ヶ月経過) 出願番号 2009-533969
公開日 2010年3月18日 (11年4ヶ月経過) 公開番号 2010-508438
状態 特許登録済
技術分野 特定物品の製造 型打ち,へら絞り,深絞り 特定物品の製造 物品の熱処理
主要キーワード 基礎被覆 金属間合金 表面処理作業 準連続的 ホイールスポーク 開始エネルギー 保持段階 被覆ステップ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年3月18日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

課題・解決手段

良好に定められた均一な厚さを有する被覆鋼は、有益なものであり、かつ、熱間プレス加工によって製品を製造するのに都合がよい。鋼のような熱間プレス加工によって製造された製品は、その後にスポット溶接テップを施されるとき、特に都合がよい。

概要

背景

近年、部品成形するために熱間プレス加工プロセスにおいてプレコート鋼を使用することは、特に、自動車産業において重要なことになりつつある。そのような部品の加工は、以下の主たるステップを含んでもよい:
溶融めっき法によって鋼板をプレコートするステップ、
ブランクを得るためにトリミングまたは切断するステップ、
鋼基板をプレコートと合金化し、かつ、鋼をオーステナイト化するためにブランクを加熱するステップ、
− 部品を熱間成形し、その後に、主として、マルテンサイト構造を得るためにその部品を急速冷却するステップ。

例として、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,296,805号明細書を参照されたい。

プレコートを鋼基板と合金化することにより、高い融解温度を有する金属間合金を生成する効果を有するが、そのような被覆を有するブランクは、金属基板のオーステナイト化が発生する温度範囲において加熱されてもよく、そして、焼き入れによってさらに硬化させることができる。

被覆の金属間合金化および基板のオーステナイト化を考慮したブランクの加熱処理は、ブランクがローラー上を移動する炉内において、きわめて頻繁に実行される。ブランクに施される熱サイクルは、最初に、加熱段階を含み、その加熱の速度は、ブランクの厚さ、炉温度、移動速度、および、被覆の反射率などのようなパラメータに応じている。この加熱段階の後、熱サイクルは、一般的には、保持段階を含み、その保持段階の温度は、炉の規定温度である。しかしながら、炉の動作に問題が発生する。すなわち、ローラーが、ブランクのプレコートから出る金属堆積物によって汚れてくることがある。これらの堆積物が増えすぎると、ローラーの保守が実行されなければならず、生産性が低下する。

加熱および急速冷却の後に得られた部品は、きわめて大きな機械抵抗を有し、構造的利用分野、例えば、自動車産業分野に使用されてもよい。これらの部品は、頻繁に他の部品と溶接されなければならず、高い溶接性が要求される。このことは、次のことを意味する。

発生するかもしれない公称溶接パラメータの変動が溶接品質に影響を与えないことを保証するために、溶接作業は、十分に広い動作範囲で実行可能なものでなければならない。抵抗溶接の場合、これは、自動車産業においてはきわめて一般的なことであり、作業溶接範囲は、パラメータの組み合わせによって定義され、特に、溶接電流強度Iと溶接中に部品に加えられる力Fとは、最も重要なものの一つである。これらのパラメータの適切な組み合わせは、不十分なナゲット径(小さすぎる電流強度または小さすぎる力によって発生する)が発生しないことおよび溶接散りが発生しないことを保証するのを助ける。

また、溶接作業は、大きな機械抵抗が溶接部において得られるように実行されなければならない。この機械抵抗は、剪断引張検査または十字引張検査のような検査によって評価されてもよい。

概要

良好に定められた均一な厚さを有する被覆鋼は、有益なものであり、かつ、熱間プレス加工によって製品を製造するのに都合がよい。鋼のような熱間プレス加工によって製造された製品は、その後にスポット溶接ステップを施されるとき、特に都合がよい。

目的

本発明の1つの目的は、都合良くプレス加工されたブランクに加工することのできる新しいプレコート鋼帯を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

プレコート鋼帯であって、(a)長さ、幅、第1の側面、および、第2の側面を有する帯状基礎鋼を備え、(b)前記帯状の基礎鋼の前記長さが、少なくとも100mであり、かつ、前記幅が、少なくとも600mmであり、(c)前記帯状の基礎鋼の前記第1の側面および前記第2の側面の一方の少なくとも一部分に存在するアルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコートを備え、(i)前記プレコートの厚さtpが、前記第1の側面および前記第2の側面の少なくとも一方のあらゆる場所において、20マイクロメートルから33マイクロメートルまでの範囲にある、プレコート鋼帯。

請求項2

請求項1に記載のプレコート鋼帯を製造するための方法であって、プレコート鋼帯が、3mm以下の厚さを有する、方法。

請求項3

熱間プレス加工された被覆鋼板製品を製造するためのプロセスであって、(A)所定の温度にまで予熱された炉内において、20℃と700℃との間における4℃/s〜12℃/sの範囲に存在する加熱速度Vcで、前記鋼板の厚さが、0.7mm以上かつ1.5mm以下の場合、図7の図形ABCDによって定められた時間だけ、アルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコート鋼板を加熱し、前記鋼板の厚さが、1.5mmよりも厚くかつ3mm以下の場合、図7の図形EFGHによって定められた時間だけ、アルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコート鋼板を加熱し、加熱されたブランクを得るステップと、(B)前記加熱されたブランクをダイへ転送するステップと、(C)前記ダイにおいて、前記加熱されたブランクをプレス加工し、それによって、熱間プレス加工された鋼板製品を得るステップとを備え、前記加熱された製品が、少なくとも30℃/sの速度で冷却される、プロセス。

請求項4

熱間プレス加工された被覆鋼板製品を製造するためのプロセスであって、(A)請求項3に記載の加熱されたブランクを提供するステップと、(B)前記加熱されたブランクをダイへ転送するステップと、(C)前記ダイにおいて、前記加熱されたブランクをプレス加工し、それによって、熱間プレス加工された鋼板製品を得るステップとを備え、前記加熱されたブランクが前記炉を出てから前記プレス加工が開始するまでの経過時間が、10秒以下であり、前記加熱されたブランクが、前記プレス加工中に、10%よりも多い量だけ変形させられ、前記加熱された製品が、少なくとも50℃/sの速度で冷却される、プロセス。

請求項5

熱間プレス加工された被覆鋼板製品を製造するためのプロセスであって、第1の側面および第2の側面を有する鋼帯をアルミニウムまたはアルミニウム合金によって溶融めっきでプレコートし、プレコートされた鋼帯を得るステップにして、前記鋼帯の前記第1の側面および前記第2の側面の少なくとも一方のプレコートの厚さが、前記鋼帯の前記第1の側面および前記第2の側面の少なくとも一方におけるあらゆる場所において、20μmから33μmまでの厚さを有する、前記プレコートされた鋼帯を得るステップと、前記プレコートされた鋼帯を切断し、板を得るステップと、予熱された炉内において板を加熱し、鋼がオーステナイトである加熱されたブランクを得るステップと、前記鋼をオーステナイト相状態に維持しながら、前記加熱されたブランクをダイへ転送するステップと、前記加熱されたブランクをダイにおいてプレス加工し、熱間プレス加工された鋼板製品を取り出すステップとを備え、前記鋼板製品において、鋼の顕微鏡組織マルテンサイトである、プロセス。

請求項6

(A)前記プレコート鋼帯が、アルミニウムまたはアルミニウム合金によってプレコートされた、請求項1に記載のプレコート鋼帯を提供するステップと、(B)前記プレコート鋼帯を予め定められた寸法および形状に切断し、鋼板を得るステップと、(C)所定の温度にまで予熱された炉内において、前記製品の厚さが、0.7mm以上かつ1.5mm以下の場合、図7の図形ABCDによって定められた時間だけ、前記鋼板を加熱し、前記製品の厚さが、1.5mmよりも厚くかつ3mm以下の場合、図7の図形EFGHによって定められた時間だけ、前記鋼板を加熱し、加熱されたブランクを得るステップと、(D)前記加熱されたブランクをダイへ転送するステップと、(E)前記ダイにおいて、前記加熱されたブランクをプレス加工し、それによって、熱間プレス加工された鋼板製品を得るステップとを備え、前記加熱されたブランクが前記炉を出てから前記プレス加工が開始するまでの経過時間が、10秒以下であり、前記加熱された製品が、前記プレス加工中に、30℃/sよりも速い速度で冷却される、プロセスによって製造される熱間プレス加工された被覆鋼板製品。

請求項7

熱間プレス加工された被覆鋼板製品を製造するためのプロセスであって、(A)請求項6に記載の加熱されたブランクを提供するステップと、(B)前記加熱されたブランクをダイへ転送するステップと、(C)前記ダイにおいて、前記加熱されたブランクをプレス加工し、それによって、熱間プレス加工された鋼板製品を得るステップとを備え、前記加熱されたブランクが前記炉を出てから前記プレス加工が開始するまでの経過時間が、10秒以下であり、前記加熱された製品が、前記プレス加工中に、鋼の顕微鏡組織がマルテンサイトになるような速度で冷却される、プロセス。

請求項8

基礎鋼が、総重量に対する重量%として、0.15%<炭素<0.5%0.5%<マンガン<3%0.1%<ケイ素<0.5%0.01%<クロム<1%チタン<0.2%アルミニウム<0.1%リン<0.1%硫黄<0.05%0.0005%<ホウ素<0.08%からなる成分を含み、さらに、鉄および処理に固有不純物を含む、請求項1に記載のプレコート鋼帯。

請求項9

基礎鋼が、総重量に対する重量%として、0.20%<炭素<0.5%0.8%<マンガン<1.5%0.1%<ケイ素<0.35%0.01%<クロム<1%チタン<0.1%アルミニウム<0.1%リン<0.05%硫黄<0.03%0.0005%<ホウ素<0.01%からなる成分を含み、さらに、鉄および処理に固有の不純物を含む、請求項8に記載のプレコート鋼帯。

請求項10

基礎鋼が20ppm以下の硫黄を含む、請求項8または請求項9のいずれか一項に記載のプレコート鋼帯。

請求項11

鋼板における窒素に対するチタンの重量%による比が3.42を上回る、請求項8から請求項10までのいずれか一項に記載のプレコート鋼帯。

請求項12

アルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコートが、8重量%から11重量%までのケイ素、2重量%から4重量%までの鉄、および、アルミニウムおよび処理に固有の不純物である残部を含む、請求項1または請求項8から請求項11までのいずれか一項に記載のプレコート鋼帯。

請求項13

プレス加工された被覆鋼製品であって、(a)第1の側面および第2の側面を有する帯状の基礎鋼と、(b)前記帯状の基礎鋼の前記第1の側面および前記帯状の基礎鋼の前記第2の側面の少なくとも一方に存在する被覆とを備え、(i)前記被覆が、前記基礎鋼とアルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコートとの間における相互拡散から発生し、(ii)前記被覆が、基礎鋼から外側へ順々に存在する、(a)相互拡散層(b)中間層(c)金属間層(d)表面層からなる、プレス加工された被覆鋼製品。

請求項14

前記被覆が30マイクロメートルを上回る厚さを有する、請求項13に記載のプレス加工された被覆鋼製品。

請求項15

前記層(a)が15マイクロメートル未満の厚さを有する、請求項13または請求項14のいずれか一項に記載のプレス加工された被覆鋼製品。

請求項16

前記層(c)と(d)とが、考察される前記層に対応するレベルの少なくとも90%を占めており、層(c)の10%未満が、製品の極表面に存在する、請求項13から請求項15までのいずれか一項に記載のプレス加工された被覆鋼製品。

請求項17

帯状の鋼が請求項8に記載の組成を有する、請求項13から請求項16までのいずれか一項に記載のプレス加工された被覆鋼製品。

請求項18

帯状の鋼が請求項9に記載の組成を有する、請求項13から請求項16までのいずれか一項に記載のプレス加工された被覆鋼製品。

請求項19

鋼が請求項10に記載の組成を有する、請求項13から請求項18までのいずれか一項に記載のプレス加工された被覆鋼製品。

請求項20

鋼が請求項11に記載の組成を有する、請求項13から請求項19までのいずれか一項に記載のプレス加工された被覆鋼製品。

請求項21

アルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコートが、8重量%から11重量%までのケイ素、2重量%から4重量%までの鉄、および、アルミニウムおよび処理に固有の不純物である残部を含む、請求項13から請求項20までのいずれか一項に記載のプレス加工された被覆鋼製品。

請求項22

請求項6および請求項13から請求項21までのいずれか一項に記載の加熱処理された被覆鋼製品からなる自動車

請求項23

請求項3、請求項4、請求項5、および、請求項7のいずれか一項に記載のプロセスによって製造された加熱処理された被覆鋼製品からなる自動車。

技術分野

0001

本発明は、特に、被覆鋼溶融めっき法を含むそのような被覆鋼を製造する方法、そのような被覆鋼を使用する方法、被覆鋼から製造されたプレス加工されたブランク、および、被覆鋼から製造されたプレス加工された製品に関し、また、例えばスポット溶接などにおいて、本発明による製品を様々に使用することに関する。

0002

本発明のさらなる利点およびその他の特徴が、部分的に、以下の記述において説明され、また、部分的に、以下の記述を考察することによって、当業者には明らかとなり、あるいは、本発明を実施することによって、学習されてもよい。本発明の利点は、特に、添付の特許請求の範囲に指示されるように実現および達成されてもよい。当然ながら、本発明は、その他のおよび異なる実施形態も可能であり、それらの実施形態のいくつかの細部は、当然ながら、すべてが本発明から逸脱することなく、様々に変更されてもよい。以下の記述は、本質的に、例として説明されたものであり、限定しようとするものではないと考えられるべきである。

背景技術

0003

近年、部品成形するために熱間プレス加工プロセスにおいてプレコート鋼を使用することは、特に、自動車産業において重要なことになりつつある。そのような部品の加工は、以下の主たるステップを含んでもよい:
−溶融めっき法によって鋼板をプレコートするステップ、
−ブランクを得るためにトリミングまたは切断するステップ、
鋼基板をプレコートと合金化し、かつ、鋼をオーステナイト化するためにブランクを加熱するステップ、
− 部品を熱間成形し、その後に、主として、マルテンサイト構造を得るためにその部品を急速冷却するステップ。

0004

例として、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,296,805号明細書を参照されたい。

0005

プレコートを鋼基板と合金化することにより、高い融解温度を有する金属間合金を生成する効果を有するが、そのような被覆を有するブランクは、金属基板のオーステナイト化が発生する温度範囲において加熱されてもよく、そして、焼き入れによってさらに硬化させることができる。

0006

被覆の金属間合金化および基板のオーステナイト化を考慮したブランクの加熱処理は、ブランクがローラー上を移動する炉内において、きわめて頻繁に実行される。ブランクに施される熱サイクルは、最初に、加熱段階を含み、その加熱の速度は、ブランクの厚さ、炉温度、移動速度、および、被覆の反射率などのようなパラメータに応じている。この加熱段階の後、熱サイクルは、一般的には、保持段階を含み、その保持段階の温度は、炉の規定温度である。しかしながら、炉の動作に問題が発生する。すなわち、ローラーが、ブランクのプレコートから出る金属堆積物によって汚れてくることがある。これらの堆積物が増えすぎると、ローラーの保守が実行されなければならず、生産性が低下する。

0007

加熱および急速冷却の後に得られた部品は、きわめて大きな機械抵抗を有し、構造的利用分野、例えば、自動車産業分野に使用されてもよい。これらの部品は、頻繁に他の部品と溶接されなければならず、高い溶接性が要求される。このことは、次のことを意味する。

0008

発生するかもしれない公称溶接パラメータの変動が溶接品質に影響を与えないことを保証するために、溶接作業は、十分に広い動作範囲で実行可能なものでなければならない。抵抗溶接の場合、これは、自動車産業においてはきわめて一般的なことであり、作業溶接範囲は、パラメータの組み合わせによって定義され、特に、溶接電流強度Iと溶接中に部品に加えられる力Fとは、最も重要なものの一つである。これらのパラメータの適切な組み合わせは、不十分なナゲット径(小さすぎる電流強度または小さすぎる力によって発生する)が発生しないことおよび溶接散りが発生しないことを保証するのを助ける。

0009

また、溶接作業は、大きな機械抵抗が溶接部において得られるように実行されなければならない。この機械抵抗は、剪断引張検査または十字引張検査のような検査によって評価されてもよい。

先行技術

0010

米国特許第6,296,805号明細書

発明が解決しようとする課題

0011

依然として、プレス加工プロセスによって成形部品を製造するのに都合良く使用することのできる被覆鋼が、必要とされている。また、依然として、プレス加工プロセスによって溶接に適した成形部品を製造するのに使用することのできる被覆鋼が、必要とされている。また、依然として、そのような被覆鋼およびプレス加工された部品を製造するためのプロセスが、必要とされている。

課題を解決するための手段

0012

本発明者は、基礎鋼帯が、少なくとも一方の側面においてアルミニウムまたはアルミニウム合金の被覆によって少なくとも部分的に被覆され(場合によっては、「プレコート」と呼ばれ、この語は、プレコートの性質変態がプレス加工の前の加熱処理中に発生することを意味する)、また、被覆が、定められた厚さを有し、好ましくは、ほぼ均一なある種の被覆鋼は、加熱の後に、プレス加工によって、成形部品に都合良く成形され、また、都合良く溶接されることを発見した。さらに、本発明者は、上述したようなローラーが汚れる問題は、一般的に、基板と金属プレコートとの間における金属間合金化の度合が不十分であることから発生することを発見した。さらに、ローラーが汚れる場所は、ローラーに接触しているブランクの領域に対応しており、その領域においては、金属プレコートの厚さが、局所的に、平均厚さを超えていることを発見した。特定の法則によって縛られることはないが、プレコートが局所的に厚すぎる場合、金属間合金化は不十分なものであり、プレコートが溶融し、ローラーを汚すと考えられる。このように、本発明者は、板全体においてプレコートの厚さの均一性を所定の許容範囲内に制御することは、望ましい度合の金属間合金化を達成するための重要な要素であり、ローラー上を移動するときに被覆のその後の溶融に対する耐性を改善するのを可能にすることを発見した。

0013

また、本発明者は、アルミナイジングされかつ熱間プレス加工された部品の特に良好な溶接性は、部品において鋼基板から外側へ順々に存在する特別な一連被覆層に関連することを発見した。

0014

また、本発明者は、加熱炉とプレス加工されたダイとの間における転送時間、プレス加工中の変形量、プレス加工の温度、プレス加工中の製品の冷却速度の特定の組み合わせは、十分に均一なマルテンサイト構造を備えた部品の製造をもたらすこと、および、プレス加工された後の部品の延性またはエネルギー吸収の増加は、硫黄臨界値以下にまで減少させることによって達成されることを発見しており、これらの2つの利点は、本発明のアルミニウム/アルミニウム合金被覆によって、または、本発明のアルミニウム/アルミニウム合金被覆によることなく、および、その他の被覆によって、得られる。

0015

したがって、上述したことに鑑みて、本発明の1つの目的は、都合良くプレス加工されたブランクに加工することのできる新しいプレコート鋼帯を提供することである。

0016

本発明のさらなる目的は、プレス加工によって都合良く部品に成形することのできる新しいプレコート鋼帯または鋼板を提供することである。

0017

本発明のさらなる目的は、熱間プレス加工によって都合良く部品に成形することのできる新しい被覆鋼を提供することである。

0018

本発明のさらなる目的は、そのような被覆鋼を製造するための新しい方法を提供することである。

0019

本発明のさらなる目的は、そのような被覆鋼から製造された新しいプレス加工されたブランクを提供することである。

0020

本発明のさらなる目的は、そのようなプレス加工されたブランクを製造する新しい方法を提供することである。

0021

本発明のさらなる目的は、そのような被覆鋼から製造される新しいプレス加工された部品を提供することである。

0022

本発明のさらなる目的は、そのようなプレス加工された部品を製造する新しい方法を提供することである。

0023

本発明のさらなる目的は、自動車のような、そのようなプレス加工された部品を含む新しい製品を提供することである。

0024

本発明のさらなる目的は、新しいプレス加工された部品を提供することである。

0025

本発明のさらなる目的は、溶接されるプレス加工された部品を製造する新しい方法を提供することである。

0026

本発明のさらなる目的は、自動車のような、そのような溶接されるプレス加工された部品を含む新しい製品を提供することである。

0027

本発明のさらなる目的は、新しい溶接される被覆鋼および溶接されるプレス加工されたブランクを提供することである。

0028

本発明のさらなる目的は、そのような溶接される被覆鋼および溶接されるプレス加工されたブランクを製造する新しい方法を提供することである。

0029

これらの目的およびその他の目的が、以下の詳細な説明から明らかとなる。

図面の簡単な説明

0030

加熱処理およびプレス加工の後の本発明による被覆部品の好ましい実施形態を示す図である。鋼基板における被覆の一連の層は、(a)相互拡散層、(b)中間層、(c)金属間層、(d)表面層である。この配置は、特に、その後の部品の溶接に有利なものである。
加熱処理およびプレス加工の後の本発明に基づくものではない鋼基板の被覆を示す図である。この一連の層(相互拡散層および金属間層)は、抵抗スポット溶接において、より劣った結果をもたらす。
本発明に基づかない条件下において熱間プレス加工されかつ冷却された鋼部品顕微鏡組織を示す図である。
本発明に基づいた一組の好ましい条件下において熱間プレス加工されかつ冷却された鋼部品の顕微鏡組織を示す図である。
熱間プレス加工の後の部品の曲げ角度に対する硫黄の影響を示す図である。
熱間プレス加工の後の部品の破断開始エネルギーに対する硫黄の影響を示す図である。
総厚さが0.7〜1.5mmおよび1.5〜3mmである板の場合の炉内における総ドウェル時間に対する炉温度の条件を示す図であり、これらの厚さは、溶接のために特に有利な被覆を提供する。

実施例

0031

上述したように、基礎鋼が、少なくとも一方の側において、アルミニウムまたはアルミニウム合金の被覆によって、少なくとも部分的にプレコートされ、そして、プレコートが、定められた厚さを有しかつほぼ均一である、ある種の被覆鋼は、プレス加工によって、都合良く成形部品に成形されるという本発明者の発見は、本発明のための1つの法則を構成する。

0032

本発明においては、例えば、帯状、板状、などの基礎鋼の第1の側面(または、側面1)および第2の側面(または、側面2)という用語は、帯状の基礎鋼の長さと幅とによって定義される表面積を有する2つの大きな向かい合った表面を意味する。それとは対照的に、帯状の基礎鋼の側端面は、帯の長さと厚さとによって定義される表面積を有する2つの小さな向かい合った表面である。帯状の基礎鋼の上端および下端は、帯の幅と厚さとによって定義される表面積を有する2つの小さな向かい合った表面である。以下においては、tpは、板またはブランクの側面1および2上の考察される位置におけるプレコートの厚さを表現する。より詳細には、2つの側面1および2に被覆された板の場合、tp1は、側面1における厚さを表現し、tp2は、側面2における厚さを表現する。

0033

きわめて好ましい実施形態によれば、tpは、ローラーの汚れを防止することを改善するために、(tpmin,tpmax)によって表現される正確な範囲内に存在するように制御される。厚さは、好ましくは、帯または板の長手方向(または、圧延方向)および横断方向の両方において制御される。

0034

ローラーの汚れの問題に関して、ローラーに直接に接触する板またはブランクの側面におけるプレコートされた厚さの制御は、特に、重要なことである。様々な操作が、鋼板を被覆するステップ(例えば、被覆された側面1および2を提供する溶融めっき被覆ステップ)に後続するかもしれないので、板の両方の側面におけるプレコートを入念に制御することは好ましいことである。例えば、巻き取り、取り扱い、切断、打抜、などのいずれかの後には、側面1と側面2とを容易に識別できないことがある。しかしながら、tpの制御が、すでに被覆されている板の2つの側面(第1の側面および第2の側面)に対して実施されると、どちらの側面もローラーを汚すことはないので、側面1および側面2を追跡する必要はない。さらに、よりむらのない均一性のあるプレコートの厚さを有する好ましいより小さな板を得るために、板をトリミングする必要はなく、したがって、例えば、溶融めっき法によってプレコートされた板を提供することができる。換言すれば、対象となる鋼板またはブランクの第1の側面のプレコートの最小厚さおよびプレコートの最大厚さ(tpmin1,tpmax1)および第2の側面のプレコートの最小厚さおよびプレコートの最大厚さ(tpmin2,tpmax2)を制御すれば、大きな利益が得られる。

0035

ここでは、溶融めっき被覆鋼は、好ましい鋼である。しかしながら、被覆方法に関係なく、板の一方または両方の側面におけるプレコートの厚さは、被覆処理の直後に、被覆ラインにおいて、絶え間なく測定および監視されてもよい。これは、X線吸収に頼る厚さゲージのようなそれ自体が良く知られている装置によって実現されてもよい。絶えず、与えられた位置における厚さの測定が、例えば、数百平方ミリメートルの領域上で実行されてもよく、この領域は、X線によって照射される領域の大きさを表現する。

0036

好ましい実施形態においては、帯の幅に沿ってプレコートの厚さのプロフィールを得るために、複数のそのような装置が、帯の横断方向に様々な距離を置いて配置される。

0037

本発明者は、第1の側面および第2の側面の少なくとも一方の最小厚さおよび最大厚さ(tpmin1,tpmax1)および(tpmin2,tpmax2)のそれぞれが、それぞれ、20マイクロメートルおよび33マイクロメートルに等しければ(マイクロメートルは、ミクロンと同じであり、1メートルの100万分の一に等しい長さのメートル単位である)、炉内におけるローラーの汚染または汚れを防止することが改善されることを発見している。換言すれば、好ましい実施形態においては、板またはブランクの少なくとも一方の面におけるどの位置においても、プレコートの厚さtpは、好ましくは、20〜33マイクロメートルの厚さであり、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、および、32マイクロメータ、および、それらの厚さの間に存在するすべての集合および部分集合を含み、また、あたかもそれらのすべての数値がここに記載されたものとして、それらの列挙されたそれぞれの値間に存在するすべての数値(例えば、22.34マイクロメートル)を含む。溶融めっき被覆の場合、この範囲に存在するプレコートの厚さの精密な制御は、例えば、被覆された後に、例えば、帯または板が浴から出た後に、ガスを吹き出すノズルを含むシステムを用いて、また、帯の平面度に基づいて、処理ラインにおいて実現されてもよい。ノズルの数、形状、および、位置と、流量とは、特に、厚さtpの精密な制御に重要なパラメータである。本明細書は、当業者は、大きな労力を必要とせずに、プレコートの厚さをここで説明されるように制御できると仮定している。

0038

本発明は、産業的な条件において製造される帯に言及するものであり、すなわち、この産業的条件においては、プレコートの厚さの制御は、広い表面を有する帯、すなわち、100mを超える長さおよび600mmを超える幅を備えた帯の全体において実施される。このように、これらの帯から打ち抜かれあるいはトリミングされるブランクは、プレコートの厚さのきわめて高い均一性を有し、炉内の加熱処理の設定は、発生するかもしれないこの厚さの変化に合わせるために変更されなくてもよい。

0039

特定の動作法則によって限定されるのではなく、本発明は、本発明の利点の中のいくつかは、以下のように、このプレコートの厚さが存在する範囲に関連するものであると考えられる。

0040

20マイクロメートル以下のプレコートの厚さの場合、ブランクの加熱中に形成される合金化層は、粗さが不足している。したがって、その後の塗装接着力は、この表面においては小さく、耐食性は減少する。

0041

プレコートの厚さが、板の所与の位置において、33マイクロメートルを超えるのであれば、危険要素は、この位置とプレコートがより薄い他のどこかの位置との間における厚さの差がきわめて重要なものとなるということである。炉内における加熱処理の設定は、プレコートのより厚い値に合わせられるのではなく、プレコートのより薄い値に合わせられてもよい。したがって、金属間合金を形成する合金化反応は、不十分な程度に発生してもよい。なぜなら、プレコートにおける元素の平均拡散距離は、プレコートの厚さの局所的な値よりもきわめて小さくなるからである。その結果として、合金化は、特に、速い加熱速度の場合には、外側部分(または、表面部分)においてより一層に困難なものとなる。

0042

したがって、第1の実施形態においては、本発明は、ある種の被覆鋼帯を提供し、この被覆鋼帯は、帯状の基礎鋼と、この帯状の基礎鋼の一方の側面の少なくとも一部分に存在するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるプレコートとを備える。多くの用途のために、帯状の基礎鋼は、アルミニウムまたはアルミニウム合金によって被覆されてもよい何らかの種類の鋼から構成されてもよい。しかしながら、自動車の構造部品のようなある種の用途のためには、帯状の基礎鋼は超強力鋼(UHSS)から構成されることが好ましい。そのような場合においては、帯状の基礎鋼はボロン鋼から構成されることが特に好ましい。

0043

本発明者は、また、金属間合金化、オーステナイト化、および、熱間プレス加工を施されたブランクから製造された部品に実現された被覆が独特な特徴を有するならば、良好な溶接結果が達成されることを発見している。この被覆は最初のプレコートとは異なることに注目すべきである。なぜなら、熱処理は、鋼基板との合金化反応を発生させ、これは、プレコートの物理化学的性質および形状の両方を変化させるからである。これに関しては、本発明者は、アルミナイジングおよび熱間プレス加工された部品の特に良好な溶接性は部品において鋼基板から外側へ順々に存在する以下の一連の被覆層に関連することを発見している:
(a)相互拡散層
(b)中間層
(c)金属間層
(d)表面層

0044

例えば、図1を参照されたい。好ましい実施形態においては、これらの層は、次の通りである:
(a)好ましくは、中間硬さ(HV50gが例えば、290〜410の範囲に存在する。HV50gは、50グラム荷重をかけたときに測定される硬さを表現する)を備えた相互拡散層。好ましい実施形態においては、この層は、重量で次の組成を有する。86〜95%のFe、4〜10%のAl、0〜5%のSi。
(b)中間層(HV50gが約900〜1000(例えば、±10%)の範囲に存在する)。好ましい実施形態においては、この層は、重量で次の組成を有する。39〜47%のFe、53〜61%のAl、0〜2%のSi。
(c)硬さ(HV50gが約580〜650(例えば、±10%)の範囲に存在する)を備えた金属間層。好ましい実施形態においては、この層は、重量で次の組成を有する。62〜67%のFe、30〜34%のAl、2〜6%のSi。
(d)表面層(HV50gが約900〜1000(例えば、±10%)の範囲に存在する)。好ましい実施形態においては、この層は、重量で次の組成を有する。39〜47%のFe、53〜61%のAl、0〜2%。
好ましい実施形態においては、層(a)〜(d)の総厚さは、30マイクロメートルを超える。

0045

さらなる好ましい実施形態においては、層(a)の厚さは、15マイクロメートル未満であり、例えば、14、12、10、8、6、4、2、または、1マイクロメートルであり、また、それらの厚さの間に存在するすべての整数、集合、および、部分集合を含み、また、あたかもそれらのすべての数値がここに記載されたものとして、それらの列挙されたそれぞれの値間に存在するすべての数値(例えば、13.84マイクロメートル)を含む。

0046

本発明者は、高い溶接性は、特に、層(c)および(d)が、基本的に、連続的なものであるとき(すなわち、考察される層に対応するレベルの少なくとも90%を占める)、かつ、層(c)の10%未満が部品の極表面(extreme surface)に存在するときに得られることを発見している。法則によって限定されることなく、この特定の層の配置、特に、層(a)と層(c)および(d)との配置は、それらの層の固有特性および粗さの作用の両方によって、被覆の抵抗率に影響を与えることが考えられる。したがって、スポット溶接の初期段階における電流、表面における発熱、および、ナゲット形成は、この特定の構造によって影響される。

0047

この有利な層配置は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金をプレコートされた、厚さが例えば0.7〜3mmの範囲に存在する鋼板が、880〜940℃の温度まで加熱された炉内において3〜13分(このドウェル時間は、加熱段階および保持時間を含む)だけ加熱されるときに得られる。そのような有利な層配置をもたらすその他の条件は、図7からわかる。

0048

0.7mm以上、かつ、1.5mm以下の総厚さを有する板のために、好ましい処理条件(炉温度、炉内における総ドウェル時間)が、図形「ABCD」の範囲内に存在する条件によって、図7に示される。

0049

1.5mmよりも厚く、かつ、3mm以下の総厚さを有する板のために、好ましい処理条件(炉温度、炉内における総ドウェル時間)が、図形「EFGH」によって、図7に示される。

0050

加熱速度Vcは、合金化された有利な層配置を生成するために、4℃/sと12℃/sとの間に含まれる。これに関しては、この「加熱速度」は、予熱された炉内に配置されたとき、プレコートされた鋼によって経験される温度上昇を反映する。Vcは、20℃と700℃との間における平均加熱速度として定義される。本発明者は、この正確な範囲におけるVcの制御は重要な要素であることを発見している。なぜなら、これは、形成される合金化層の性質および形態(morphology)を直接に制御するからである。ここで、加熱速度Vcは、室温と炉温との間における加熱速度である平均加熱速度とは異なることが強調される。6、7、8、9、10、および、11℃/sの速度が含まれ、また、それらの数値の間に存在するすべての数値、集合、および、部分集合が含まれ、また、あたかもそれらのすべての数値がここに記載されたものとして、それらの列挙されたそれぞれの値間に存在するすべての数値(例えば、7.7℃/s)が含まれる。これに関しては、図7内に指示される条件のすべては、本明細書に参照により組み込まれる。特に好ましい条件は:
(0.7〜1.5mmの厚さの場合)
− 930℃、3分から最大で6分まで。
− 880℃、4分30秒から最大で13分まで。
(1.5〜3mmの厚さの場合)
− 940℃、4分から最大で8分まで。
− 900℃、6分30秒から最大で13分まで。

0051

特別の利点が、厚さが20〜33マイクロメートルの範囲に含まれるプレコートから得られる。なぜなら、この厚さ範囲は、有利な層配置をもたらすからであり、また、プレコートの厚さの均一性は、アリエーション処理の後に形成された被覆の均一性に関連するからである。

0052

加熱されたブランクは、その後、ダイへ転送され、部品または製品を得るために熱間プレス加工され、そして、30℃/sを超える速度で冷却される。冷却速度は、ここでは、加熱されたブランクが炉を出てから400℃に下がるまでの平均速度として定義される。

0053

帯状の基礎鋼は、アルミニウムまたはアルミニウム合金によって被覆される。市販されている純粋なアルミニウムは、この分野において、Type2アルミニウムとして知られており、5〜11重量%のケイ素を備えたアルミニウムの合金は、この分野において、Type1アルミニウムとして知られている。ケイ素は、接着力および成形性を減少させる厚い鉄金属の金属間層が形成されるのを防止するために存在する。アルミニウムとともにここで利用できるその他の合金化元素は、2.5〜3重量%の鉄および重量で15〜30ppmのカルシウムを含み、また、それらの2つまたはそれ以上をアルミニウムと組み合わせたものを含む。

0054

Al−Si被覆のための典型的な金属浴は、一般的には、それの基本組成として、8〜11重量%のケイ素、2〜4重量%の鉄を含み、残部は、アルミニウムまたはアルミニウム合金、および、処理に固有不純物である。Al−Si被覆の典型的な組成は、Al−9.3%Si−2.8%Feである。しかしながら、本発明の被覆は、これらの組成に限定されることはない。

0055

ここで使用される帯状の基礎鋼は、一般的な被覆技術によって被覆されることが可能であれば、どのようなものであってもよい。例えば、帯状の基礎鋼は、鋼スラブ熱間圧延(その後に冷間圧延を伴うまたは伴わない)することによって製造されたもののような、どのような熱間圧延ストリップであってもよい。典型的には、帯状の基礎鋼は、被覆を形成する前および後に、コイルの形態で保存および搬送される。

0056

帯状の基礎鋼のための好ましい鋼の例は、重量%で以下の組成を有するものである:
0.10%<炭素<0.5%
0.5%<マンガン<3%
0.1%<ケイ素<1%
0.01%<クロム<1%
チタン<0.2%
アルミニウム<0.1%
リン<0.1%
硫黄<0.05%
0.0005%<ホウ素<0.010%
残部は、鉄および処理に固有の不純物を含み、基本的に鉄および処理に固有の不純物からなり、あるいは、鉄および処理に固有の不純物からなる。そのような鋼の使用は、熱処理の後に、きわめて高い機械抵抗を提供し、アルミニウムをベースにした被覆は、高い耐食性を提供する。

0057

特に好ましくは、帯状の基礎鋼における重量%による鋼の組成は、次の通りである:
0.15%<炭素<0.25%
0.8%<マンガン<1.8%
0.1%<ケイ素<0.35%
0.01%<クロム<0.5%
チタン<0.1%
アルミニウム<0.1%
リン<0.1%
硫黄<0.05%
0.002%<ホウ素<0.005%
残部は、鉄および処理に固有の不純物を含み、基本的に鉄および処理に固有の不純物からなり、あるいは、鉄および処理に固有の不純物からなる。

0058

好ましいストリップは、ここでは、長さが100mであり、幅が600mmである。好ましい厚さは、0.7〜3mmである。

0059

よりさらに好ましくは、板の重量%による組成において、窒素含有量に対するチタン含有量重量比は、3.42を上回り、ホウ素がもはや窒素化合することのできないレベルであると考えられる。

0060

帯状の基礎鋼に使用するための好ましい市販の鋼の例は、22MnB5である。

0061

本発明による鋼の組成においては、クロム、マンガン、ホウ素、および、炭素は、それらが焼入性に影響を与えるように添加されてもよい。さらに、炭素は、マルテンサイトの硬さに対するそれの作用のために、高い機械的特性を達成するのを可能にする。

0062

アルミニウムは、液体状態において、脱酸素を実行するために、また、ホウ素の有効性を保護するために、組成に注入される。

0063

チタンは、窒素含有量に対するそのチタンの含有量の比は3.42を上回らなければならないが、例えば、ホウ素が窒素と化合するのを防止するために注入され、窒素はチタンと化合する。

0064

合金化元素Mn、Cr、Bは、焼入性によって、プレス加工ツールにおける硬化を可能にし、あるいは、熱処理中に部品が変形するのを軽減する穏やかな焼き入れ液を使用するのを可能にする。さらに、本発明による組成は、溶接性の観点からも最適化される。

0065

板状の鋼は、カルシウムによって実行される硫化物球状化(globularization)のための処理を施されてもよく、これは、板の疲労抵抗を改善する効果を有する。

0066

上述したように、超強力性は、本発明に基づいて被覆されかつ熱間プレス加工された鋼板によって提供されてもよい。この高いレベルの強度は、場合によっては、限られた延性に関連する。より高い延性を必要とする利用分野においては、特に、曲げ加工に対する能力が部品または製品によって要求される場合には、本発明者は、特に硫黄が制御されるならば、大きな延性を得ることができることを発見しており、基礎鋼の硫黄量が、0.002%(20ppm)よりも少ないかまたはそれに等しければ、曲げ角度を60°よりも大きくすることでき、かつ、改善された延性および引裂抵抗が、加熱処理およびプレス加工を施された部品において、得られる。好ましい量は、20、18、15、13、10、8、5、2ppmなどの硫黄を含む。実際には、この利点は、一般的に鋼に適用され、被覆鋼、または、Al被覆またはAl合金被覆によって被覆された鋼に限定されない。特定の法則によって限定されることはなく、曲げ処理においていくつかの部品の早期破損の原因を分析したとき、本発明者は、破損は硫化物を含有するときに発生することを発見した。したがって、含有物とマルテンサイトマトリックスまたはベイナイト−マルテンサイトマトリックスとの分離は、応力集中係数として作用し、延性モードにおいて、さらなる亀裂伝搬トリガーすることが考えられる。

0067

本発明は、また、本発明による被覆板から開始し、そして、切断されてブランクにされる部品であって、成形した後に、そのブランクの被覆が、4℃/秒より速くしかも12℃/秒より遅い速度で温度上昇する、部品を製造するためのプロセスに関する。加熱速度Vcは、20℃と700℃との間における平均速度として定義される。

0068

本発明は、また、熱間圧延鋼板を使用することに関し、そして、その鋼板は、バンパー、バー、ドア補強材ホイールスポークなどのような、自動車のための構造部品および/または侵入防止部品または部分構造部品として、冷間圧延され、被覆される。

0069

これまでに説明された本発明による板は、それの処理のために、熱間圧延機によって得ることができ、場合によっては、所望の最終的厚さに応じて、冷間再圧延されてもよい。そして、その板は、例えば、アルミニウム源/合金に加えて、例えば、8%から11%のケイ素、2%から4%の鉄を含む浴の中に浸漬することによって、アルミニウムをベースにした被覆によって被覆され、板は、熱処理の後に、高い機械抵抗を有し、また、高い耐食性、および、塗装および接着に対する良好な性能を有する。

0070

被覆は、好ましくは、上述したように制御され、特に、様々な条件において基礎鋼を腐食から保護する効果を有する。熱間成形プロセス中にまたは成形の後に適用される熱処理は、1500MPaの機械抵抗および1200MPaの降伏応力を超えるかもしれない高い機械的特性を得るのを可能にする。最終的な機械的特性は、調整可能であり、特に、構造のマルテンサイト分率、鋼の炭素含有量、および、熱処理に依存する。完成部品に施される熱処理中、あるいは、熱間成形プロセス中、被覆は、摩耗、摩減、疲労、衝撃に対する大きな耐性と、腐食に対する良好な耐性および塗装および接着のための良好な性能とを有する層を形成する。被覆は、被覆を有していない鋼板を熱処理するための様々な表面処理作業を回避するのを可能にする。

0071

鋼板は、酸洗いの後に、例えば、アルミニウムだけを含む、または、アルミニウム、8%から11%のケイ素、2%〜4%の鉄を含む、または、2%〜4%の鉄だけを含むアルミニウム浴に浸漬することによって、あるいは、それどころか、好ましくは、9%から10%のケイ素および2%〜3.5%の鉄を含むアルミニウム浴に浸漬することによって、プレコートされてもよい。アルミニウムは、アルミニウムそのものであってもよく、あるいは、アルミニウム合金であってもよい。

0072

約90%のアルミニウムの比率を備えたアルミニウム合金を含む金属浴に浸漬することによって板を被覆する実施態様の例においては、被覆層は、鋼の表面に接触する第1の合金層を備える。板の表面に直接に接触するこの層は、鉄と完璧に合金化される。

0073

第1の層の上に存在する第2の被覆層は、約90%のアルミニウムを含み、また、浴の組成に応じて、ケイ素とわずかな量の鉄とを含んでもよい。

0074

第1の合金層は、板が、部品製造冷間成形処理中に大きなひずみの作用を受けるときに亀裂を生じることがある。

0075

本発明によれば、部品を成形した後、被覆は、4℃/秒より速い速度で温度上昇する。この温度上昇は、アルミニウムの急速な再溶融を可能にし、このアルミニウムは、部品の成形作業によって生じた亀裂に入り込む。

0076

熱処理中、例えば、アルミニウムからなる基礎被覆は、鉄と合金化された層に変態させられ、熱処理に応じて、異なる相を備え、そして、600HV50gを超えるかもしれない相当な硬さを有する。

0077

本発明のさらなる利点は、被覆における鉄の拡散が高い温度において開始することである。したがって、板における被覆と鋼との間のより良好な凝集力を有することができる。本発明のさらなる形態においては、熱処理は、激しく変形させられる領域において局所的に実行されてもよい。

0078

本発明によれば、コイル状または板状の出荷状態にある板において、それの厚さは、0.25mmと15mmとの間の範囲にあってもよく、良好な成形特性および腐食に対する良好な耐性を有し、また、塗装および接着のための良好な性能を有する。好ましくは、鋼板またはブランクは、3mm未満の厚さを有する。なぜなら、焼き入れの後に実施されてもよい冷却速度は、速く、そして、マルテンサイト構造を得るのを助けるからである。

0079

鋼板すなわち被覆製品は、出荷状態において、成形中に、および、熱処理中に、また、完成部品の使用中に、腐食に対する大きな耐性を有する。

0080

部品の熱処理中に被覆が存在することは、母材脱炭および酸化を防止するのを可能にする。これは、特に、熱間成形の場合には、紛れもない利点である。さらにまた、処理された部品を加熱することは、脱炭を防止するために制御された雰囲気を有する炉を必要としない。

0081

板状の金属の熱処理は、達成されるべき温度およびブランクの厚さに依存する期間だけ炉内において加熱するときに、例えば、750℃と1200℃との範囲に存在するオーステナイト変態が開始する温度であるAc1の温度で加熱することを含む。組成は、熱処理中の結晶粒成長を制限するように最適化される。要求される構造が、完全にマルテンサイトであれば、保持温度は、完全なオーステナイト変態の温度であるAc3を上回る温度、例えば、840℃を超える温度でなければならない。温度保持の後に、要求される最終的構造に合わせて調整された冷却が、後続しなければならない。

0082

その後に、ブランクは、炉からプレス加工機へ転送される。ブランクが炉から出てプレス加工機へ送り込まれるまでの経過時間が、10秒を上回る場合、オーステナイトからの部分的な変態が、発生しやすく、完全なマルテンサイト構造を得ることが所望されるならば、炉の出口とプレス加工機との間の転送時間は、10秒未満でなければならない。

0083

本発明者は、また、完全なマルテンサイト構造を得ることは、熱間成形処理における変形量に関連することを発見しており、熱間成形によって発生する局所的な変形の量は、部品または製品の形状に密接に関連し、いくつかの特定の領域においては、局所的に40%または50%を超えることがある。本発明者は、局所的なひずみが10%の臨界値を超える場合、冷却速度は、全体的なマルテンサイト変態を得るために、十分に速いものでなければならないことを発見した。さもなければ、ベイナイト変態が、マルテンサイト変態の代わりに、相当量だけ発生することがある。したがって、危険要素は、不均一構造が、ある場所が他の場所よりも大きく変形させられる複雑な形状を備えた部品に発生することである。これに関しては、本発明者は、成形ひずみが10%よりも大きい部品の場所においては、冷却速度は、完全なマルテンサイト変態を保証するために、50℃/s以上に増加させられなければならないことを証明した。冷却速度は、加熱されたブランクが炉を出てから400℃に下がるまでの平均速度として定義される。

0084

しかしながら、また、例えば750℃であるAc1と例えば840℃であるAc3との範囲に存在する温度で加熱し、そして、その後に、適切に冷却することによって、フェライトベイナイト構造またはフェライト−マルテンサイト構造を得ることを所望してもよい。達成される耐性のレベルおよび適用される熱処理に基づいて、1つまたはいくつかのこれらの成分は、可変の比率で存在する。

0085

熱処理パラメータの調節は、与えられた組成によって、要求される厚さに基づいた様々なレベルの熱間シート抵抗および冷間シート抵抗を達成するのを可能にする。最も高い抵抗レベルの場合、構造は、主として、マルテンサイトからなる。

0086

鋼は、特に、構造部品および侵入防止部品を製造するのに適したものである。

0087

本発明は、したがって、所望の被覆の厚さを有し、かつ、広い成形可能性を提供する熱間圧延鋼板または冷間圧延鋼板を製造するのを可能にし、また、完成部品に施される熱処理の後に、1000MPaを超える機械抵抗、衝撃、疲労、摩耗、および、摩減に対する大きな耐性を得るのを可能にし、それと同時に、腐食に対する良好な耐性および溶接、塗装、および、接着のための良好な性能を保持する。

0088

ここで、本発明が、限定することを意図するものではない例として役に立つある特定の実施形態によって、さらに説明される。

0089

(実施例)
(実施例1)
実施態様の第1の例において、0.23重量%の炭素、1.25重量%のマンガン、0.017重量%のリン、0.002重量%の硫黄、0.27重量%のケイ素、0.062重量%のアルミニウム、0.021重量%の銅、0.019重量%のニッケル、0.208重量%のクロム、0.005重量%の窒素、0.038重量%のチタン、0.004重量%のホウ素、0.003重量%のカルシウムを含む厚さが1.9mmの冷間圧延鋼板が、9.3%のケイ素、および、2.8%の鉄、そして、残部がアルミニウムおよび不可避の不純物である組成からなるアルミニウムをベースにした合金によってプレコートされた。加工条件、すなわち、処理ライン上の吹き出し装置の設定に基づいて、様々な厚さ範囲を備えた長さが120mおよび幅が650mmの板が製造された。

0090

板A(本発明による):板のそれぞれの側面における厚さtp1およびtp2が、長手方向(圧延方向)および横断方向の両方において、板の2つの面のあらゆる場所において20〜33マイクロメートルの範囲内に存在するように制御された。測定は、X線放射に頼る厚さゲージ装置によって、絶え間なく実行された。いつも、それぞれのゲージの測定スポットは、約20mmの半径を有する円形領域であった。その後、板は、1.2×0.5m2の全体寸法を有するブランクに切断された。

0091

板B(基準):これらの板では、プレコートの厚さは、より広い可変性を有した。なぜなら、板の2つの側面における厚さtp1およびtp2は、30〜45マイクロメートルの範囲にあるからである。これらの板から切断されたブランクは、同じプレコートの厚さを有する。

0092

そして、ブランクは、炉内においてT=920℃で加熱された。加熱時間は、3分であり、4分の保持時間を備えた。そして、顕微鏡組織は、完全にオーステナイトであった。その後に、ブランクは、炉からプレス加工機へ転送された。ブランクが炉から出てプレス加工機内へ転送されるまでの経過時間は、10秒を上回り、オーステナイトからの部分的な変態が、発生しやすく、そのために、プレス加工された部品の機械抵抗を減少させた。

0093

その後に、ブランクは、発生するかもしれない被覆の再溶融を考慮するために、熱間プレス加工を伴うことなく、すぐに冷却された。

0094

シリーズAに関しては、プレコートの溶融は見られなかった。プレコートと鋼基板との間の金属間合金化は十分に発生した。

0095

シリーズBに関しては、プレコートは、大部分は合金化がなされたが、再溶融のいくつかの痕跡が、特に、Bのプレコートのより厚い場所において見られた。アルミニウムプレコートのこの部分的な再溶融は、炉内においてローラーが徐々に汚れることを助長する。本発明による板は、このローラーに徐々に堆積することを助長することはない。

0096

(実施例2)
i)本発明に基づいた条件:実施態様の第2の例においては、実施例1と同じ組成および同じプレコートを備えた、厚さが1.2mm、長さが120m、幅が650mmの冷間圧延鋼板が加工された。その後に、板はブランクに切断され、920℃で6分間だけ加熱され、この時間は、加熱段階および保持時間を含むものであった。20℃と700℃との間における加熱速度Vcは、10℃/sであった。十分なマルテンサイト構造を得るために、ブランクは、最終的に熱間プレス加工され、そして、焼き入れされた。

0097

熱間プレス加工の後に得られた部品は、図1に示される40マイクロメートルの厚さの被覆によって覆われ、その被覆は、4つの層構造を有する。鋼基板から開始して、層は次の通りである:
(a)17マイクロメートルの厚さの相互拡散層または金属間層。この層は、それ自身が、2つの部分層からなる。硬さHV50gは、295から407までの範囲内に存在し、平均組成は、90%のFe、7%のAl、3%のSiである。
(b)8マイクロメートルの厚さのより黒く見える中間層。この層は、940HV50gの硬さ、および、43重量%のFe、57重量%のAl、1重量%のSiからなる平均組成を有する。
(c)8マイクロメートルの厚さの薄暗い相として見える金属間層。610HV50gの硬さを有し、65重量%のFe、31重量%のAl、4重量%のSiからなる平均組成を有する。
(d)7マイクロメートルの厚さ、および、950HV50gの硬さのより黒い表面層。45重量%のFe、54重量%のAl、1重量%のSiからなる平均組成を備える。
層(c)と(d)とは、準連続的なものであり、すなわち、考察される層に対応するレベルの少なくとも90%を占める。より詳細には、層(c)は、きわめて例外的な場合を除けば、極表面に到達することはない。いずれにしても、この層(c)は、極表面の10%未満しか占めない。

0098

ii)基準の条件:他方において、同じ基礎材料およびプレコート部品を備えたブランクは、異なる条件で炉において加熱された。ブランクは、7分間だけ950℃にまで加熱され、この時間は加熱段階の時間を含むものであった。加熱速度Vcは、11℃/sであった。これらの条件は、合金化の程度に対応するものであり、これは、条件(i)の場合よりも重要なものである。
− この被覆においては、薄暗い金属間層(c)は、連続的なものではなく、被覆内において散乱させられるように見える。この層の約50%は、部品の極表面に存在する。さらには、鋼基板に接触する厚さが10マイクロメートルの相互拡散層は、これまでに説明された図1の場合よりも薄い。

0099

抵抗スポット溶接が、2つの状況i)およびii)において実行された:
(i)準連続的層(c)と(d)とによる被覆。層(c)は、極表面の10%未満を占める
(ii)混合されかつ不連続的な層による被覆。層(c)は、10%を越える極表面を占める。

0100

抵抗スポット溶接は、2つの部品を重ね合わせ、かつ、以下の条件でそれらを接合することによって、実行された:
押し付け力(squeeze force)および溶接加圧力:4000N
押し付け時間:50周期
溶接時間および保持時間:それぞれ、18周期。
それぞれの条件において:
−溶接中にスパッターが発生しないこと
許容できるナゲットサイズ
を得るために、適切な強度範囲が決定された。

0101

条件i)の場合、電流強度によって表現される溶接性範囲は1.4kAである。条件ii)の場合、溶接性範囲は極端に小さい。

0102

したがって、本発明による被覆は、さらにより満足できる結果をもたらすことがわかる。

0103

(実施例3)
実施態様の第3の例においては、実施例1の冷間圧延鋼板が、500×500mm2のブランクに切断され、このブランクは、920℃で6分間だけ加熱され、そして、ツールにおいて、2つの異なる冷却速度、すなわち:
(A)冷却速度:VA=30℃/s
(B)冷却速度:VB=60℃/s
が得られるような条件で、熱間プレス加工され冷却された。

0104

部品の形状のために、異なる変形量εが熱間プレス加工中に生成された。より詳細には、大きくひずんだいくつかの領域は、30%よりも大きい変形量を有する。
図3に示されるように、金属組織観察によって、ε>10%の場合、ベイナイト変態またはフェライト変態が、VA=30℃/sで冷却された部品に、主として、部品のオーステナイト結晶粒界に発生することがわかる。他方において、VB=60℃/sで冷却された部品は、図4に示されるような完全なマルテンサイト顕微鏡組織を有する。完全なマルテンサイト顕微鏡組織の構造は、機械的な要求がある場合には、優れた機械抵抗および高い均一性を有する。

0105

したがって、ひずみが10%よりも大きい製品または部品においてさえも、本発明による冷却の適用は、顕微鏡組織的なおよび機械的な均一性を保証する。

0106

(実施例4)
実施態様の第4の例においては、異なる値の硫黄を含む鋳鋼が製造された。これらの鋼は、さらに熱間圧延され、そして、厚さが2.2mmの鋼板に冷間圧延された。硫黄含有量は、重量で11ppm(0.0011%)から59ppm(0.006%)まで変化する。硫黄はさておき、これらの異なる鋳鋼の組成は、重量で0.24%の炭素、1.17%のマンガン、0.01%のリン、0.25%のケイ素、0.045%のアルミニウム、0.01%の銅、0.02%のニッケル、0.2%のクロム、0.04%のチタン、0.003%のホウ素、0.002%のカルシウムからなり、残部は鉄および不可避の不純物である。

0107

これらの板は、9.3%のケイ素、2.8%の鉄、および、残部がアルミニウムおよび不可避の不純物である組成からなるアルミニウムをベースにした合金によってプレコートされた。

0108

その後に、板は、ブランクに切断され、このブランクは、950℃で5分間だけ加熱され、そして、熱間プレス加工され、十分なマルテンサイト構造を得るために、ツールにおいて冷却された。機械抵抗は、1450MPaを超えるものであった。

0109

試験片が、圧延方向の横断方向に対して抽出され、交互曲げモードによる曲げ試験を施された。本発明者は、臨界曲げ角度(破断する角度)は鋼の硫黄含有量に密接に関係することを証明しており、硫黄含有量が0.002%以下の場合には、曲げ角度は60°を超え、これは、より大きな延性およびエネルギー吸収率を意味する。

0110

また、コンパクト引張試験型試験片が、引裂抵抗、すなわち、既存の亀裂が開始しあるいは伝搬するのに必要なエネルギーを測定するために、圧延方向の横断方向に対して抽出された。図6に示される結果は、硫黄含有量が0.002重量%以下であれば、18ジュールよりも大きな開始エネルギーが達成されることを示している。

0111

大きな強度、大きなエネルギー吸収率、および、高い溶接性からなるこれらの品質は、自動車産業に必要とされるので、本発明に基づいて加工された部品または製品は、そのような用途に役立つものである。

0112

これまでの説明は、本発明を理解するのにわかりやすいものであるが、以下に列挙される好ましい実施形態および添付の請求項において使用される以下の用語は、混乱を回避するために、以下に記述される意味を有する。

0113

プレコート
プレコート/基礎からなる複合材料を形成するために、帯状または板状などの基礎鋼の少なくとも一部分に被覆または配置された材料(AlまたはAl合金)であり、この複合材料は、被覆されたAlまたはAl合金材料と基礎鋼との間におけるアリエーション反応を施されていない。

0114

アリエーション(alliation)
基礎鋼およびプレコートの両方とも組成が異なる少なくとも1つの中間層を生成するためのプレコートと基礎鋼との間における反応である。アリエーション反応は、熱間プレス加工の直前になされる加熱処理中に発生する。アリエーション反応は、プレコートの総厚さに影響を与える。きわめて好ましい実施形態においては、アリエーション反応は、これまでに説明されたような次の層を形成する。(a)相互拡散層、(b)中間層、(c)金属間層、および、(d)表面層。

0115

プレコートされた鋼
プレコート/基礎からなる複合材料であり、被覆された材料と基礎鋼との間におけるアリエーション反応を施されていない。

0116

被覆
プレコートと基礎鋼との間におけるアリエーション反応を施された後のプレコートである。きわめて好ましい実施形態においては、被覆は、これまでに説明されたような、(a)相互拡散層、(b)中間層、(c)金属間層、および、(d)表面層からなる。

0117

被覆された鋼または製品
プレコートと基礎鋼との間におけるアリエーション反応を施されたプレコートされた鋼または製品である。きわめて好ましい実施形態においては、被覆された鋼は、基礎鋼に本発明による被覆を有する帯状または板状などの基礎鋼であり、これまでに説明されたような、(a)相互拡散層、(b)中間層、(c)金属間層、および、(d)表面層からなる。

0118

ブランク
帯から切断された形材である。

0119

製品
プレス加工されたブランクである。

0120

このように、本発明は、特に、以下の好ましい実施形態を提供する。

0121

1.プレコート鋼帯であって、
(a)長さ、幅、第1の側面、および、第2の側面を有する帯状の基礎鋼を備え、
(b)前記帯状の基礎鋼の前記長さが、少なくとも100mであり、かつ、前記幅が、少なくとも600mmであり、
(c)前記帯状の基礎鋼の前記第1の側面および前記第2の側面の一方の少なくとも一部分に存在するアルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコートを備え、
(i)前記プレコートの厚さtpが、前記第1の側面および前記第2の側面の少なくとも一方のあらゆる場所において、20マイクロメートルから33マイクロメートルまでの範囲にある、
プレコート鋼帯。

0122

2.実施形態1に記載のプレコート鋼帯を製造するための方法であって、
プレコート鋼帯が、3mm以下の厚さを有する、
方法。

0123

3.熱間プレス加工された被覆鋼板製品を製造するためのプロセスであって、
(A)所定の温度にまで予熱された炉内において、20℃と700℃との間における4℃/s〜12℃/sの範囲に存在する加熱速度Vcで、前記鋼板の厚さが、0.7mm以上かつ1.5mm以下の場合、図7の図形ABCDによって定められた時間だけ、アルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコート鋼板を加熱し、前記鋼板の厚さが、1.5mmよりも厚くかつ3mm以下の場合、図7の図形EFGHによって定められた時間だけ、アルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコート鋼板を加熱し、加熱されたブランクを得るステップと、
(B)前記加熱されたブランクをダイへ転送するステップと、
(C)前記ダイにおいて、前記加熱されたブランクをプレス加工し、それによって、熱間プレス加工された鋼板製品を得るステップと
を備え、
前記加熱された製品が、少なくとも30℃/sの速度で冷却される、
プロセス。

0124

4.熱間プレス加工された被覆鋼板製品を製造するためのプロセスであって、
(A)実施形態3に記載の加熱されたブランクを提供するステップと、
(B)前記加熱されたブランクをダイへ転送するステップと、
(C)前記ダイにおいて、前記加熱されたブランクをプレス加工し、それによって、熱間プレス加工された鋼板製品を得るステップと
を備え、
前記加熱されたブランクが前記炉を出てから前記プレス加工が開始するまでの経過時間が、10秒以下であり、
前記加熱されたブランクが、前記プレス加工中に、10%よりも多い量だけ変形させられ、前記加熱された製品が、少なくとも50℃/sの速度で冷却される、
プロセス。

0125

5.熱間プレス加工された被覆鋼板製品を製造するためのプロセスであって、
第1の側面および第2の側面を有する鋼帯をアルミニウムまたはアルミニウム合金によって溶融めっきでプレコートし、プレコートされた鋼帯を得るステップにして、前記鋼帯の前記第1の側面および前記第2の側面の少なくとも一方のプレコートの厚さが、前記鋼帯の前記第1の側面および前記第2の側面の少なくとも一方におけるあらゆる場所において、20μmから33μmまでの厚さを有する、前記プレコートされた鋼帯を得るステップと、
前記プレコートされた鋼帯を切断し、板を得るステップと、
予熱された炉内において板を加熱し、鋼がオーステナイトである加熱されたブランクを得るステップと、
前記鋼をオーステナイト相状態に維持しながら、前記加熱されたブランクをダイへ転送するステップと、
前記加熱されたブランクをダイにおいてプレス加工し、熱間プレス加工された鋼板製品を取り出すステップとを備え、前記鋼板製品において、鋼の顕微鏡組織がマルテンサイトである、
プロセス。

0126

6.(A)前記プレコート鋼帯が、アルミニウムまたはアルミニウム合金によってプレコートされた、実施形態1に記載のプレコート鋼帯を提供するステップと、
(B)前記プレコート鋼帯を予め定められた寸法および形状に切断し、鋼板を得るステップと、
(C)所定の温度にまで予熱された炉内において、前記製品の厚さが、0.7mm以上かつ1.5mm以下の場合、図7の図形ABCDによって定められた時間だけ、前記鋼板を加熱し、前記製品の厚さが、1.5mmよりも厚くかつ3mm以下の場合、図7の図形EFGHによって定められた時間だけ、前記鋼板を加熱し、加熱されたブランクを得るステップと、
(D)前記加熱されたブランクをダイへ転送するステップと
(E)前記ダイにおいて、前記加熱されたブランクをプレス加工し、それによって、熱間プレス加工された鋼板製品を得るステップと、
を備え、
前記加熱されたブランクが前記炉を出てから前記プレス加工が開始するまでの経過時間が、10秒以下であり、
前記加熱された製品が、前記プレス加工中に、30℃/sよりも速い速度で冷却される、
プロセスによって製造される熱間プレス加工された被覆鋼板製品。

0127

7.熱間プレス加工された被覆鋼板製品を製造するためのプロセスであって、
(A)実施形態6に記載の加熱されたブランクを提供するステップと、
(B)前記加熱されたブランクをダイへ転送するステップと、
(C)前記ダイにおいて、前記加熱されたブランクをプレス加工し、それによって、熱間プレス加工された鋼板製品を得るステップと
を備え、
前記加熱されたブランクが前記炉を出てから前記プレス加工が開始するまでの経過時間が、10秒以下であり、
前記加熱された製品が、前記プレス加工中に、鋼の顕微鏡組織がマルテンサイトになるような速度で冷却される、
プロセス。

0128

8.基礎鋼が、総重量に対する重量%として、
0.15%<炭素<0.5%
0.5%<マンガン<3%
0.1%<ケイ素<0.5%
0.01%<クロム<1%
チタン<0.2%
アルミニウム<0.1%
リン<0.1%
硫黄<0.05%
0.0005%<ホウ素<0.08%
からなる成分を含み、さらに、鉄および処理に固有の不純物を含む、実施形態1に記載のプレコート鋼帯。

0129

9.基礎鋼が、総重量に対する重量%として、
0.20%<炭素<0.5%
0.8%<マンガン<1.5%
0.1%<ケイ素<0.35%
0.01%<クロム<1%
チタン<0.1%
アルミニウム<0.1%
リン<0.05%
硫黄<0.03%
0.0005%<ホウ素<0.01%
からなる成分を含み、さらに、鉄および処理に固有の不純物を含む、実施形態8に記載のプレコート鋼帯。

0130

10.基礎鋼が20ppm以下の硫黄を含む、実施形態8または実施形態9のいずれかに記載のプレコート鋼帯。

0131

11.鋼板における窒素に対するチタンの重量%による比が3.42を上回る、実施形態8から実施形態10までのいずれかに記載のプレコート鋼帯。

0132

12.アルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコートが、8重量%から11重量%までのケイ素、2重量%から4重量%までの鉄、および、アルミニウムおよび処理に固有の不純物である残部を含む、実施形態1または実施形態8から実施形態11までのいずれかに記載のプレコート鋼帯。

0133

13.プレス加工された被覆鋼製品であって、
(a)第1の側面および第2の側面を有する帯状の基礎鋼と、
(b)前記帯状の基礎鋼の前記第1の側面および前記帯状の基礎鋼の前記第2の側面の少なくとも一方に存在する被覆と
を備え、
(i)前記被覆が、前記基礎鋼とアルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコートとの間における相互拡散から発生し、
(ii)前記被覆が、基礎鋼から外側へ順々に存在する、
(a)相互拡散層
(b)中間層
(c)金属間層
(d)表面層
からなる、
プレス加工された被覆鋼製品。

0134

14.前記被覆が30マイクロメートルを上回る厚さを有する、実施形態13に記載のプレス加工された被覆鋼製品。

0135

15.前記層(a)が15マイクロメートル未満の厚さを有する、実施形態13または実施形態14のいずれかに記載のプレス加工された被覆鋼製品。

0136

16.前記層(c)と(d)とが、考察される前記層に対応するレベルの少なくとも90%を占めており、層(c)の10%未満が、製品の極表面に存在する、
実施形態13から実施形態15までのいずれかに記載のプレス加工された被覆鋼製品。

0137

17.帯状の鋼が実施形態8に記載の組成を有する、実施形態13から実施形態16までのいずれかに記載のプレス加工された被覆鋼製品。

0138

18.帯状の鋼が実施形態9に記載の組成を有する、実施形態13から実施形態16までのいずれかに記載のプレス加工された被覆鋼製品。

0139

19.鋼が実施形態10に記載の組成を有する、実施形態13から実施形態18までのいずれかに記載のプレス加工された被覆鋼製品。

0140

20.鋼が実施形態11に記載の組成を有する、実施形態13から実施形態19までのいずれかに記載のプレス加工された被覆鋼製品。

0141

21.アルミニウムプレコートまたはアルミニウム合金プレコートが、8重量%から11重量%までのケイ素、2重量%から4重量%までの鉄、および、アルミニウムおよび処理に固有の不純物である残部を含む、実施形態13から実施形態20までのいずれかに記載のプレス加工された被覆鋼製品。

0142

22.実施形態6および実施形態13から実施形態21までのいずれかに記載の加熱処理された被覆鋼製品からなる自動車。

0143

23.実施形態3、実施形態4、実施形態5、および、実施形態7のいずれかに記載のプロセスによって製造された加熱処理された被覆鋼製品からなる自動車。

0144

本発明のこれまでに記述された説明は、本発明に係る物または方法を製造および使用する方法およびプロセスを提供し、それによって、当業者は、本発明に係る物または方法を製造および使用することができ、この可能性は、特に、本明細書の一部を構成する添付の請求項の主題として提供される。上で使用されたように、「からなるグループから選択される」、「から選択される」などの語句は、特定の材料の混合物を含む。「含む」などの用語は、ここで使用される場合、特に指定のない限り「少なくとも〜を含む」を意味する開かれた用語(open terms)である。ここで言及された参照文献、特許明細書、出願明細書、試験規格文書出版物カタログテキスト論文などのすべては、本明細書に参照により組み込まれる。数値的な限界または範囲が記述される場合、その端点が含まれる。また、数値的な限界または範囲内に存在するすべての値および部分範囲は、あたかも明示的に記述されたかのように、明確に含まれる。これまでの記述は、当業者が本発明に係る物または方法を製造および使用するのを可能にするために提供されたものであり、また、特定の利用分野およびその利用分野の要件に関連して提供されたものである。当業者は、好ましい実施形態への様々な変更を容易に考えだすことができ、また、ここで定められた一般法則は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、その他の実施形態および利用分野に適用されてもよい。したがって、本発明は、説明された実施形態に限定されることを意図されるのではなく、ここに開示された法則および特徴に一致する最も広い範囲を与えられることを意図される。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ