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図面 (15)

課題

内皮前駆細胞生理動員、増殖及び分化のための刺激脈管形成の刺激、内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾病治療及び上記の疾患の治療用医薬組成物の提供。

解決手段

エリスロポエチンの使用並びにエリスロポエチンと、内皮前駆細胞の刺激のために好適なその他の活性成分VEGF、PIGF、GMCSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質としてシンバスタチンメバスタチン又はアトルバスタチンなどのスタチン及び/又はNO供与体)を含む医薬組成物。

概要

背景

概要

内皮前駆細胞生理動員、増殖及び分化のための刺激脈管形成の刺激、内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾病治療及び上記の疾患の治療用医薬組成物の提供。エリスロポエチンの使用並びにエリスロポエチンと、内皮前駆細胞の刺激のために好適なその他の活性成分VEGF、PIGF、GMCSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質としてシンバスタチンメバスタチン又はアトルバスタチンなどのスタチン及び/又はNO供与体)を含む医薬組成物。なし

目的

本発明の根底にあるのは、内皮前駆細胞の改善された刺激のため、及び特に内皮前駆細胞の機能不全に関連する障害の治療のための手段及び方法を提供する

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請求項1

内皮前駆細胞生理動員、内皮前駆細胞の増殖、内皮前駆細胞の内皮細胞への分化及び/又は内皮前駆細胞の血管形成又は脈管形成刺激の方向への移動を刺激するためのエリスロポエチン及び/又はその誘導体の使用。

請求項2

分化する内皮前駆細胞の接着能力を高める、請求項1に記載の使用。

請求項3

内皮前駆細胞の刺激が内皮組織の形成をもたらす、請求項1又は2に記載の使用。

請求項4

内皮前駆細胞の刺激が新しい血管の形成をもたらす、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。

請求項5

内皮組織の形成を刺激するためのエリスロポエチン及び/又はその誘導体の使用。

請求項6

脈管形成を刺激するためのエリスロポエチン及び/又はその誘導体の使用。

請求項7

内皮前駆細胞の機能不全に関連するヒト又は動物の身体の病状又は疾患の治療のためのエリスロポエチンの使用。

請求項8

内皮前駆細胞の機能不全が増殖能力障害、内皮細胞への分化能力の障害、接着能力の障害及び/又は脈管形成又は血管形成刺激の方向への移動能力の障害からなる、請求項7に記載の使用。

請求項9

内皮前駆細胞の機能不全が内皮組織及び/又は血管の形成を阻害又は阻止する、請求項7又は8に記載の使用。

請求項10

内皮前駆細胞の機能不全が病原性の原因による、請求項7〜9のいずれか1項に記載の使用。

請求項11

内皮前駆細胞の機能不全に関連する病状又は疾患が高コレステロール血症糖尿病内皮媒介性慢性炎症性障害細網内皮症を含む内皮症アテローム硬化症冠動脈性心疾患心筋虚血狭心症年齢に原因する心臓血管障害四肢虚血性障害子癇前症レイノー病妊娠高血圧慢性又は急性腎不全、特に終末腎不全心不全創傷治癒及びその続発症である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の使用。

請求項12

高コレステロール血症、糖尿病、内皮媒介性慢性炎症性障害、細網内皮症を含む内皮症、アテローム硬化症、冠動脈性心疾患、心筋虚血、狭心症、年齢に原因する心臓血管障害、四肢の虚血性障害、子癇前症、レイノー病、妊娠高血圧、慢性又は急性腎不全、特に終末腎不全、心不全、創傷治癒及びその続発症の治療のためのエリスロポエチンの使用。

請求項13

患者当り200〜2000単位/週の用量でエリスロポエチンを投与する、請求項7〜12のいずれか1項に記載の使用。

請求項14

患者当り500〜2000単位/週の用量でエリスロポエチンを投与する、請求項13に記載の使用。

請求項15

内皮前駆細胞の機能不全に関連する病状又は疾患の治療用医薬組成物の製造のためのエリスロポエチンの使用。

請求項16

内皮前駆細胞の機能不全に関連する病状又は疾患が高コレステロール血症、糖尿病、内皮媒介性慢性炎症性障害、細網内皮症を含む内皮症、アテローム硬化症、冠動脈性心疾患、心筋虚血、狭心症、年齢に原因する心臓血管障害、四肢の虚血性障害、レイノー病、子癇前症、妊娠高血圧、慢性又は急性腎不全、特に終末腎不全、心不全、創傷治癒及びその続発症である、請求項15に記載の使用。

請求項17

高コレステロール血症、糖尿病、内皮媒介性慢性炎症性障害、細網内皮症を含む内皮症、アテローム硬化症、冠動脈性心疾患、心筋虚血、狭心症、年齢に原因する心臓血管障害、四肢の虚血性障害、レイノー病、子癇前症、妊娠高血圧、慢性又は急性腎不全、特に終末腎不全、心不全、創傷治癒及びその続発症の治療用の医薬組成物の製造のためのエリスロポエチンの使用。

請求項18

医薬組成物が非経口的、特に静脈内、筋肉内、皮内又は皮下投与に適している、請求項15〜17のいずれか1項に記載の使用。

請求項19

医薬組成物が注射又は輸液の形態である、請求項18に記載の使用。

請求項20

医薬組成物が投与に適している、請求項15〜17のいずれか1項に記載の使用。

請求項21

医薬組成物が水溶液非水溶液又は粉末の形態である、請求項20に記載の使用。

請求項22

医薬組成物がエーロゾル製剤の形態である、請求項20又は21に記載の使用。

請求項23

医薬組成物が経口的投与に適している、請求項15〜17のいずれか1項に記載の使用。

請求項24

医薬組成物が溶液、懸濁液、乳液又は錠剤の形態である、請求項23に記載の使用。

請求項25

医薬組成物が内皮前駆細胞の刺激のための少なくとも1つの更なる活性成分を含む、請求項15〜24のいずれか1項に記載の使用。

請求項26

更なる活性成分がVEGF、PIGF、GMCSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質及び/又はNO供与体である、請求項25に記載の使用。

請求項27

HMG−CoA還元酵素阻害物質がシンバスタチンメバスタチン又はアトルバスタチンなどのスタチンである、請求項26に記載の使用。

請求項28

移植可能内皮細胞調製物の製造のためのエリスロポエチンの使用。

請求項29

エリスロポエチンの存在下で内皮前駆細胞を培養することによってin vitroで内皮細胞を生産する、請求項28に記載の使用。

請求項30

VEGF、PIGF、GM−CSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質、特にシンバスタチン、メバスタチン又はアトルバスタチン、及びNO供与体、特にL−アルギニンからなる群より選択される少なくとも1つの更なる活性成分の存在下で内皮前駆細胞の培養を行う、請求項28又は29に記載の使用。

請求項31

組織又は器官移植体の前処理及び/又は更なる処理のためのエリスロポエチンの使用。

請求項32

単離した内皮前駆細胞を使用して組織又は器官移植体の前処理を行う、請求項31に記載の使用。

請求項33

in vitro器官又は組織系移植又は内植の前に脈管形成及び/又は内皮細胞形成の誘導のためにエリスロポエチンで処理する、内植又は移植可能な細胞含有in vitro器官又は組織系の生産のためのエリスロポエチンの使用。

請求項34

in vitro器官又は組織系が内皮前駆細胞を含む、請求項33に記載の使用。

請求項35

代用血管又は心臓弁をエリスロポエチンで被覆する、代用血管又は心臓弁の生産のためのエリスロポエチンの使用。

請求項36

代用血管又は心臓弁の被覆が内皮前駆細胞を含む、請求項35に記載の使用。

請求項37

エリスロポエチンがヒト又は動物のエリスロポエチンである、請求項1〜36のいずれか1項に記載の使用。

請求項38

エリスロポエチンがエリスロポエチンの誘導体、類似体修飾体又は突然変異タンパク質である、請求項37に記載の使用。

請求項39

エリスロポエチンがヒトの尿、再生不良性貧血患者の尿又は血漿ヒト腎癌細胞組織培養物ヒトエリスロポエチン生成能力を持つヒトリンパ芽球細胞又はヒト細胞系の細胞融合によって得たハイブリドーマ培養物から単離されたものである、請求項37又は38に記載の使用。

請求項40

エリスロポエチンがDNA組換え技術によって生産されたエリスロポエチンである、請求項37又は38に記載の使用。

請求項41

活性成分としてエリスロポエチン及び/又はその誘導体、類似体、修飾体又は突然変異タンパク質と、VEGF、PIGF、GM−CSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質及びNO供与体からなる群より選択される少なくとも1つの更なる活性成分とを含む、内皮前駆細胞の刺激、内皮組織の形成の刺激、脈管形成の刺激及び/又は内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患又は病状の治療のための医薬組成物。

請求項42

活性成分としてエリスロポエチン及び/又はその誘導体、類似体、修飾体又は突然変異タンパク質を含む、高コレステロール血症、糖尿病、内皮媒介性慢性炎症性障害、細網内皮症を含む内皮症、アテローム硬化症、冠動脈性心疾患、心筋虚血、狭心症、年齢に原因する心臓血管障害、四肢の虚血性障害、子癇前症、レイノー病、妊娠高血圧、慢性又は急性腎不全、特に終末腎不全、心不全、創傷治癒及びその続発症の予防及び/又は治療のための医薬組成物。

請求項43

VEGF、PIGF、GM−CSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質及びNO供与体からなる群より選択される更なる活性成分をさらに含む、請求項42に記載の医薬組成物。

請求項44

HMG−CoA還元酵素阻害物質がシンバスタチン、メバスタチン又はアトルバスタチンなどのスタチンである、請求項41又は43に記載の医薬組成物。

請求項45

NO供与体がL−アルギニンである、請求項41又は43に記載の医薬組成物。

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0001

本発明は内皮前駆細胞生理動員、増殖及び分化刺激脈管形成の刺激、内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患の治療及び上記の疾患の治療用医薬組成物の製造のためのエリスロポエチンの使用並びにエリスロポエチン及び内皮前駆細胞の刺激のためのその他の好適な活性成分を含む医薬組成物に関する。

0002

血管内皮は、血管の内側を覆う細胞層である。内皮は血液と他の血管層とを隔て、その際内皮は受動的障壁をなすだけでなく、血管緊張の調節に能動的に関与する。従って内皮依存性血管拡張取り上げられる。内皮はその位置に基づき、血流力学ストレス及び代謝ストレスに恒常的にさらされている。従って病的状態、例えば高血圧、高いLDLレベル腎機能障害又は高血糖の場合はしばしば内皮の機能不全が生じ、その結果形態的に明瞭な障害、例えばアテローム斑の形成が現れることがある。内皮機能異変又は減退のごく早期の徴候は、内皮依存性血管拡張の減少である。

0003

冠動脈性心疾患(CHD)の場合、またCHDなしで存在する危険要因、例えば高血圧症高リポタンパク血症又は糖尿病の場合も、内皮機能不全がNO(=EDRF)の産生の減少及びエンドセリン産生の増加となって現れる。高い血漿中エンドセリン濃度は異常な細胞接着、炎症、血管増殖や激しい血管狭窄をもたらす。内皮機能障害はさらに接着分子、例えばICAM−1及びVCAM−1の産生の増加を特徴とし、このため内皮に血小板及び単球が著しく付着する。このことが原因で血管緊張が増加する。こうして様々な系で不均衡が作り出され、血管収縮癒着凝集凝固アテローム硬化及びアテローム血栓症が促進される。精神的ストレスでさえ測定可能な内皮機能不全を招き、それが4時間に及び持続することがある。

0004

内皮細胞は新しい血管の形成に関与する。血管の形成は多数の過程、例えば胚形成女性生殖周期創傷治癒腫瘍成長及び虚血領域新生血管形成で重要である。生後血管形成、即ち出生後の血管形成は、元来主として血管形成過程由来するものであった。血管形成(Angiogenesis)とは、既存の血管系からの毛細血管出芽による新たな血管の形成を意味する。血管形成の間、まず血管を取り囲む基底膜タンパク質分解酵素によって分解され、細胞外基質が血管周辺領域でフラグメント化される。その際放出された血管形成刺激が、既存の分化した内皮細胞を走化性刺激の方向へ移動させ、その間、同時に内皮細胞が増殖し、再構成される。次いで、内皮細胞の並置によって、毛管型管腔を有する新しい血管ループが形成される。続いて新しい基底膜の合成が始まる。

0005

ところが最近の研究が示すところでは、成人生体の新しい血管の形成は血管形成だけでなく、脈管形成機構にも基づいている。脈管形成(Vasculogenesis)とはin situで分化する内皮前駆細胞からの新しい血管の形成を意味する。脈管形成は胚形成に限定されるとの信念は、健康なヒト及び動物末梢血で内皮前駆細胞(EPC)が検出されたことによって、誤りであることが証明された。動物モデルを使用して、骨髄由来の内皮前駆細胞が新生血管形成に積極的に関与することを証明することができた。また虚血領域では白血球の特異的なCD34陽性サブグループ定着し、内皮特異的抗原発現することが示された。さらに成人生体の血管形成に重要な寄与をなす内皮前駆細胞(EPC)がin vitroでCD133+及びCD34+細胞から得られうる(Asaharaら、Science, 275(1997), 964-967; Crosbyら、Circ. Res., 87(2000), 728-730; Gehlingら、Blood, 95(2000), 3106-3112)。また単離されたCD34+細胞又は培養した内皮前駆細胞の注射が糖尿病マウスで血流の回復を促進し(Schattemanら、J. Clin. Invest., 106(2000), 571-578)、in vivoの新生血管形成を改善することが示された(Asaharaら、Circ.Res., 85(1999), 221-228; Crosbyら、Circ. Res., 87(2000), 728-730; Muroharaら、J. Clin. Invest., 105(2000), 1527-1536)。さらにCD34+細胞によって誘導された新生血管形成が心機能を改善することを示すことができた(Kocherら、Nat. Med., 7(2001), 430-436)。

0006

しかし内皮前駆細胞の動員と分化の基礎をなす機構はまだ完全に解明されていない。分子及び細胞生物学的研究が示唆するところでは、種々のサイトカイン及び血管形成性成長因子骨髄の内皮前駆細胞の動員を刺激する効果がある。このように、プロ血管形成誘導因子(proangiogenic factor)、例えばVEGF及びGMCSFは内皮前駆細胞の数を増加することができることが知られている(Asaharaら、EMBO J., 18(1999), 3964-3972; Takahashiら、Nat. Med., 5(1999), 434-438)。VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor[血管内皮成長因子])は例えば成長する内皮細胞の表面に現れる2つのチロシンキナーゼ受容体VEGF−R1(flt−1)及びVEGF−R2(flk−1)に結合する種々のイソ型で現れるタンパク質である(Wernertら、Angew. Chemie, 21(1999), 3432-3435)。VEGF受容体活性化はRas-Raf-MAP-キナーゼ経路を経て、内皮細胞又は内皮前駆細胞の表面上のタンパク質分解酵素及び特異的インテグリンを発現させ、最終的にはこれらの細胞の増殖及び血管形成刺激の方向への移動を開始する。GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)はとりわけ好中球マクロファージ及び好酸球を含む白血球の刺激で従来知られていたサイトカインである。PIGF(胎盤成長因子)については、内皮前駆細胞の動員を刺激するが、増殖は刺激しないことが知られている。Llevadotらの研究(J. Clin. Invest., 108(2001), 399-405)で判明したところでは、脂質を低減する薬物として使用され、冠動脈疾患罹患率死亡率を減少するHMG−CoA還元酵素阻害物質、特にスタチンは内皮前駆細胞を動員することができる。またDimmelerら(J. Clin. Invest., 108(2001), 391-397)は、スタチン、例えばアトルバスタチン及びシンバスタチンが末梢血から単離した単核細胞及びCD34+幹細胞で内皮前駆細胞の分化をin vitro及びin vivoで有意に改善することを示すことができた。このように、スタチンによるマウスの処理は、分化した内皮前駆細胞の数を増加し、その際スタチンはVEGFと同等の強力な効果を示した。

0007

内皮前駆細胞の動員及び/又は分化の刺激は、出後新生血管形成、特に脈管形成の増加のため、及び内皮前駆細胞及び/又は内皮細胞の機能不全に関連する疾患の治療のための重要な新しい治療戦略を示す。

0008

本発明の根底にあるのは、内皮前駆細胞の改善された刺激のため、及び特に内皮前駆細胞の機能不全に関連する障害の治療のための手段及び方法を提供するという技術問題である。

0009

本発明は、ヒト又は動物の身体において内皮前駆細胞の生理的動員、内皮前駆細胞の増殖、内皮前駆細胞の内皮細胞への分化及び/又は内皮前駆細胞の血管形成又は脈管形成刺激の方向への移動を刺激するためにエリスロポエチン及び/又はその誘導体を使用することを開示することによって、この技術問題を解決する。また本発明は、内皮前駆細胞及び/又は内皮細胞の機能不全に関連する疾患又は病状の治療のためにエリスロポエチン及び/又はその誘導体を使用することを開示することによって、この技術問題を解決する。

図面の簡単な説明

0010

図1は、循環するCD34+幹細胞(cSC)のFACS分析の結果を示す。(A〜D):患者試料;(E〜F):イソタイプ対照。CD34−マーカー補足的発現(B及びF)、特徴的な低〜中規模のCD45抗原発現(C及びG)及び特徴的な光散乱性(D及びH)に基づいてcSCを同定した。cSCの絶対数は単球及びリンパ球100000個当りで計算した。
図2は、循環幹細胞のフローサイトメトリーによる定量的決定を示す。図はrhEPO(組換えヒトエリスロポエチン)を使用したエリスロポエチン治療の0、2、4、6及び8週後の時間依存性の効果を示す。n=11、値は平均値+/−標準偏差に相当する。中央値を線で示す。*:2週と比較してp<0.01;□.□.4週と比較してp<0.05、#:8週と比較してp<0.05。
図3は、培養した内皮前駆細胞(EPC)の定量的決定を示す。図はrhEPO治療がEPCの相対数を増加することを示す。rhEPOによる腎臓患者の治療の前及びrhEPOによる腎臓患者の治療の2、4、6及び8週後にEPCを単離し、その接着能力と2つのマーカーacLDL−Dil及びUEA−1FITCに基づいて特徴づけた。n=11、値は平均値+/−標準偏差に相当する。中央値を線で示す。*:治療前の期間と比較してp<0.01;#:治療前の期間と比較してp<0.001。
図4は、培養した内皮前駆細胞(EPC)の定量的決定を示す。図はrhEPO治療の開始前のEPCの絶対数が、同等の年齢及び性別の健康な被験者と比較して有意に減少していることを示す。このように腎性貧血患者対照被験者と比較して明らかなEPC機能不全を示す。腎性貧血のrhEPO治療の開始後8週で、機能性EPCの数のこの減少が補償された。rhEPOによる腎臓患者の治療の前及びrhEPOによる患者の治療の2、4、6及び8週後にEPCを単離し、その接着能力と2つのマーカーacLDL−Dil及びUEA−1FITCに基づいて特徴づけた。n=11。8週の経過と全対照を例示する。絶対値は一方では個別値として示されている。さらにボックスプロットを示す(90/75/50/25及び10百分位数並びに平均値)。健康な対照として、同等の年齢及び性別の被験者を使用し、同様にEPCを単離し、特徴づけた(n=11)。
図5は、創傷治癒に対するエリスロポエチンの効果を示す。図は、組織パンチによってマウスに設けた標準皮膚創傷のエリスロポエチン治療で、創傷がすでに7〜8日後に完全にふさがったが、生理的塩化ナトリウム溶液生理食塩水)による創傷の治療では創傷が13〜14日後まで完全にふさがらなかったことを示す。エリスロポエチン又は生理的塩化ナトリウム溶液による治療は皮膚創傷を設ける7日前に開始した。組換えヒトエリスロポエチンをs.c.(皮下)注射(0.1μg/kgアラネスプ)により毎週回投与した(各群あたりn=5)。
図6は、エリスロポエチンが急性腎臓不調急性腎不全)の後の腎機能喪失を減少させることを示す。Sprague-Dawleyラット(250〜300g)を研究に含めた。ラットをケタミン(120mg/kg)及びロンプン(10mg/kg)で麻酔した。一つの試験群には急性腎不全の誘導の前日に0.1μg/体重kgのアラネスプを1回与えた。比較群は、それぞれ同時に塩化ナトリウム皮下注射した試験動物群を含めた。右腎動脈動脈鉗子を置くことによって、腎臓への血流を45分間中断した。この時間に左側で腎摘出を行った。別の対照群擬似手術を行った。この場合は腹部を開き、左腎動脈露出したが、血液供給を中断せず、対側右を取り出した。すべての動物を60分間麻酔し、手術の24時間後に屠殺した。45分の虚血と残りの右腎のその後の再潅流は、塩化ナトリウムで処理した動物に激しい急性腎機能喪失をもたらした。このことは血清クレアチニンレベルに反映され、虚血−再潅流の24時間後の血清クレアチニンレベルは虚血−再潅流の前のレベルより7倍高い(p<0.05)。これに対してエリスロポエチン類似体アラネスプで治療した動物は虚血−再潅流障害の誘導の1日後に血清クレアチニンレベルの4倍の上昇しか示さなかった。右腎の擬似手術を行い、左側で腎摘出した動物では、保持レベルの上昇は起こらなかった。図はEPO治療を行った動物(IR+EPO)、NaCl治療の動物(IR)及び擬似手術を行った動物(擬似手術)の虚血−再潅流(IR)損傷の前及び24時間後の血清クレアチニン濃度を示す。図で明らかなように、アラネスプで治療した動物の虚血−再潅流損傷の24時間後の血清クレアチニン濃度は、無しの対照(NaCl処理)に比してほぼ半減している。
図7は、アラネスプ又はNaClで治療した2つの試験群の慢性腎不全の誘導後のKaplan-Mayer生存プロットを示す。8週齢のSpraque-Dawleyラットを研究に含めた。ラットをケタミン(120mg/kg)及びロンプン(10mg/kg)で麻酔した。第0日にラットから右腎を取り出し、組織検査のために摘出の直後にホルマリンで固定した。左腎では上下の腎極に供給する区域動脈を結紮した。それによって腎臓の対応領域腎梗塞が起こり、腎臓の中央の3分の1だけが機能を維持する。ラットにアラネスプ(0.1μg/体重kg)又はNaClを毎週1回皮下注射した。エリスロポエチン類似体アラネスプで治療した動物は塩化ナトリウム処理した動物に比して顕著な生存優位性を示す(p=0.027;ログランク検定)。
図8は、アラネスプ又はNaClで治療し、図7にKaplan-Mayer生存プロットを示した2つの試験群の慢性腎不全の誘導の6週後の光学顕微鏡切片を示す。図8は、慢性腎不全を有するSpraque-Dawleyラットの慢性腎不全の誘導の直後に始まり6週の期間にわたる毎週1回のNaCl処理の後の組織的変化を示す。慢性腎不全は右腎の摘出と、左腎の上下の腎極に供給する区域動脈の結紮によって生じる。図は重い高血圧性障害動脈内膜炎を有するいわゆるファール(Fahr's)悪性腎硬化症に関する特徴的なオニオンリング型(onion ring-type)の血管壁増殖を伴う中規模の前糸球体動脈を示す。
図9は、アラネスプ又はNaClで治療し、図7にKaplan-Mayer生存プロットを示した2つの試験群の慢性腎不全の誘導の6週後の光学顕微鏡腎切片を示す。図9は、慢性腎不全を有するSpraque-Dawleyラットの慢性腎不全の誘導の直後に始まり6週の期間にわたる毎週1回のNaCl処理の後の組織的変化を示す。慢性腎不全は右腎の摘出と、左腎の上下の腎極に供給する区域動脈の結紮によって生じる。図はいわゆる増殖性FSGS(右糸球体)としての、病勢の盛んな巣状分節状糸球体硬化症を示す。他方の糸球体(左)はループ回(loop convolution)の虚血性虚脱を示す。図の下側に重い内皮損傷を有する小血管見える。観察された組織的変化は、5/6腎摘出の後の過負荷腎症に関連する高血圧性器官損傷又は変化に相当する。
図10は、アラネスプ又はNaClで治療し、図7にKaplan-Mayer生存プロットを示した2つの試験群の慢性腎不全の誘導の6週後の光学顕微鏡腎切片を示す。図10は、慢性腎不全を有するSpraque-Dawleyラットの慢性腎不全の誘導の直後に始まり6週の期間にわたる毎週1回のNaCl処理の後の組織的変化を示す。慢性腎不全は右腎の摘出と、左腎の上下の腎極に供給する区域動脈の結紮によって生じる。図は当該の求心性小動脈の明らかなヒアリン症又は線維素様壊死を伴う代償的に拡大された糸球体のほぼ完全な硬化又は破壊を示す。
図11は、アラネスプ又はNaClで治療し、図7にKaplan-Mayer生存プロットを示した2つの試験群の慢性腎不全の誘導の6週後の光学顕微鏡腎切片を示す。図11は、慢性腎不全を有するSpraque-Dawleyラットの慢性腎不全の誘導の直後に始まり6週の期間にわたる毎週1回のNaCl処理の後の組織的変化を示す。慢性腎不全は右腎の摘出と、左腎の上下の腎極に供給する区域動脈の結紮によって生じる。図は重い高血圧性損傷、いわゆる悪性腎硬化症(図右側を比較)に関連する特徴的なオニオンリング様の血管壁増殖及び血管壁壊死を有する前糸球体小動脈を示す。左側に正常な(まだ)損傷してない小動脈が見える。
図12は、アラネスプ又はNaClで治療し、図7にKaplan-Mayer生存プロットを示した2つの試験群の慢性腎不全の誘導の6週後の光学顕微鏡腎切片を示す。図12は、慢性腎不全を有するSpraque-Dawleyラットの慢性腎不全の誘導の直後に始まり6週の期間にわたる毎週1回のアラネスプ(EPO)治療(0.1μg/kg アラネスプ)の後の組織的変化を示す。慢性腎不全は右腎の摘出と、左腎の上下の腎極に供給する区域動脈の結紮によって生じる。図は繊細な求心性血管を有する正常な糸球体を示す。尿細管間質病理的所見は認められない。
図13は、アラネスプ又はNaClで治療し、図7にKaplan-Mayer生存プロットを示した2つの試験群の慢性腎不全の誘導の6週後の光学顕微鏡腎切片を示す。図13は、慢性腎不全を有するSpraque-Dawleyラットの慢性腎不全の誘導の直後に始まり6週の期間にわたる毎週1回のアラネスプ(EPO)治療(0.1μg/kg アラネスプ)の後の組織的変化を示す。慢性腎不全は右腎の摘出と、左腎の上下の腎極に供給する区域動脈の結紮によって生じる。図は繊細な求心性血管を有する正常な糸球体を示す(倍率630倍)。尿細管間質に病理的所見は認められない。
図14は、アラネスプ又はNaClで治療し、図7にKaplan-Mayer生存プロットを示した2つの試験群の慢性腎不全の誘導の6週後の光学顕微鏡腎切片を示す。図14は、慢性腎不全を有するSpraque-Dawleyラットの慢性腎不全の誘導の直後に始まり6週の期間にわたる毎週1回のアラネスプ(EPO)治療(0.1μg/kg アラネスプ)の後の組織的変化を示す。慢性腎不全は右腎の摘出と、左腎の上下の腎極に供給する区域動脈の結紮によって生じる。図は繊細な求心性血管を有する正常な糸球体を示す。尿細管間質に病理的所見は認められない。
図15は、アラネスプ又はNaClで治療し、図7にKaplan-Mayer生存プロットを示した2つの試験群の慢性腎不全の誘導の6週後の光学顕微鏡腎切片を示す。図15は、慢性腎不全を有するSpraque-Dawleyラットの慢性腎不全の誘導の直後に始まり6週の期間にわたる毎週1回のアラネスプ(EPO)治療(0.1μg/kg アラネスプ)の後の組織的変化を示す。慢性腎不全は右腎の摘出と、左腎の上下の腎極に供給する区域動脈の結紮によって生じる。図は繊細な求心性血管を有する正常な糸球体を示す(倍率630倍)。尿細管間質に病理的所見は認められない。

0011

驚くべきことに、本発明によれば、エリスロポエチンによる治療が内皮前駆細胞の生理的動員をもたらし、その際特に比較的低いエリスロポエチン(EPO)用量で循環内皮前駆細胞の数が増加し、その分化が誘導されることが見出された。しかも特定の病理的状態で現れる内皮前駆細胞の機能不全が補償される。本発明に基づき判明したところでは、末期慢性腎臓病患者で循環幹細胞の数が健康な被験者とちょうど同じレベルであるが、これらの患者では幹細胞が内皮前駆細胞を経て内皮細胞に分化する能力を失っている。このように、慢性腎臓病患者では、接着能力を持ち、内皮細胞表現型を示す細胞の数が、健康な被験者に比して明らかに減少している。今日、本発明によれば、エリスロポエチンによるこれらの患者の治療の後に循環幹細胞の数が50%以上と著しく増大することが見出された。さらに、特に内皮表現型を発現する細胞の数が劇的に増加する。機能的細胞培養アッセイで検証されたところによれば、慢性腎臓病患者の内皮前駆細胞の阻害された接着能力がエリスロポエチン処理によって3倍に増加する。分化する内皮前駆細胞又は内皮細胞の接着能力は、新しい組織及び/又は血管の形成のための基本前提条件の1つである。このようにしてエリスロポエチンは、対応する脈管形成又は血管形成刺激が放出される組織又は器官の新生血管形成、特に脈管形成を誘導することができる。

0012

本発明に従って、ヒト又は動物の身体、特に成体器官で内皮前駆細胞の生理的動員、内皮前駆細胞の増殖、内皮前駆細胞の内皮細胞への分化及び/又は脈管形成又は血管形成刺激の方向への内皮前駆細胞の移動を刺激するために、エリスロポエチン(以下EPOと称する)を使用することができる。従って病理的な血管の病変がある組織又は器官で脈管形成による新しい血管形成を刺激するために、エリスロポエチンを有利に使用することができる。またエリスロポエチンによる内皮前駆細胞の刺激に基づき、内皮組織の形成を誘導することもできる。そこでまた、内皮前駆細胞及び/又は内皮細胞の機能不全に関連するヒト又は動物の身体の疾患の治療のために、本発明に従ってエリスロポエチンを使用することができる。

0013

本発明に関連して「エリスロポエチン」又は「EPO」とは、赤芽球を経て赤血球に至る幹細胞の成長、又は分化及び成熟を制御する物質を意味する。エリスロポエチンは166個のアミノ酸、3つのグリコシル化部位及び約34000Daの分子量を持つ糖タンパク質である。赤血球前駆細胞のEPO誘導の分化の間において、グロビン合成が誘導され、ヘム複合体の合成及びフェリチン受容体の数が増大する。それによって細胞はより多くの鉄を吸収し、機能性ヘモグロビンを合成することができる。成熟した赤血球ではヘモグロビンが酸素と結合する。こうして赤血球又は赤血球に含まれるヘモグロビンは、生体の酸素供給のための中心的役割を占める。これらの過程は赤血球前駆細胞の細胞表面上の適当な受容体とEPOとの相互作用によって起動される(Graber及びKrantz, Ann. Rev. Med. 29(1978), 51-56)。

0014

エリスロポエチンは主として腎臓で生成されるが、より僅かな割合が肝臓及び脳でも生成される。エリスロポエチンは血清中に少量見出され、生理的条件のもとで少なくとも部分的に尿に排泄される。腎不全患者はエリスロポエチン(以下EPOと称する)を不十分にしか生成することができず、その結果貧血罹患する。エリスロポエチン不足をエリスロポエチンの投与によって補償することが知られている。エリスロポエチンの別の臨床的適用は、悪性疾患化学療法又は放射線治療又はウイルス感染症の後の医原性貧血でのエリスロポエチンの投与である(EP 0456153 B1)。エリスロポエチンを含む組成物リウマチ性関節炎に関連する貧血の治療のために使用することがUS 4,732,889により開示されている。EPO含有組成物によるヘモクロマトーシスの治療がWO 88/03808により開示されている。

0015

本明細書で使用する「エリスロポエチン」という用語はあらゆる起源のEPO、特にヒト又は動物のEPOを包含する。本明細書で使用する当該用語は天然、即ち野生型のEPOだけでなく、野生型エリスロポエチン生物学的作用を示す限りその誘導体、類似体、修飾体突然変異タンパク質突然変異体等も含む。

0016

本発明に関連して「誘導体」とは、エリスロポエチンの基本構造を維持しつつ1以上の原子又は分子群又は基の置換、特に糖鎖、例えばエチレングリコールの置換によって得られ、及び/又はそのアミノ酸配列が天然のヒト又は動物エリスロポエチンタンパク質と少なくとも1つの部位で相違するが、本質的にアミノ酸レベルでの高度の相同性及び匹敵する生物学的活性を有するエリスロポエチンの機能的等価体又は誘導体を意味する。例えば本発明で使用することができるエリスロポエチン誘導体は、とりわけWO 94/25055、EP 0148605 B1又はWO 95/05465により開示されている。

0017

「相同性」とは、特に少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも90%、95%、97%及び99%以上の配列同一性を意味する。従って当業者に公知の「相同性」との用語は、配列間の一致によって決まる2つ以上のポリペプチド分子の間の近縁度を表す。これに関連して、一致とは、同一的一致も保存的アミノ酸置換も意味しうる。

0018

本発明によれば「誘導体」との用語は、N末端部分又はC末端部分に別のタンパク質の機能的ドメインが存在する融合タンパク質も包含する。本発明の一実施形態では、この別のタンパク質は例えばGM−CSF、VEGF、PIGF、スタチン又は内皮前駆細胞に対して刺激作用を有するその他の因子であってよい。本発明の別の実施形態では、また別のタンパク質は分化した内皮細胞に対して刺激作用を有する因子、例えばアンギオゲニン又はbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)であってよい。bFGFについては、この増殖因子が内皮細胞に対して強い有糸分裂促進及び走化性活性を働かせることが知られている。

0019

エリスロポエチン誘導体と天然のエリスロポエチンとの相違は、例えばエリスロポエチンアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列突然変異、例えば欠失、置換、挿入、付加、塩基交換及び/又は組換えなどによって生じうる。これに関連して、自然に現れる配列変異、例えば他の生物の配列又は自然に突然変異した配列又は当業界で公知の慣用の手段、例えば化学的薬品及び/又は物理的薬品によって、エリスロポエチンをコードする核酸配列に意図的に導入された突然変異も可能性があることは明らかである。従って本発明に関連して「誘導体」との用語は突然変異したエリスロポエチン分子、即ちエリスロポエチン突然変異タンパク質も包含する。

0020

本発明に基づきエリスロポエチンのペプチド又はタンパク質類似体も使用することができる。本発明に関連して「類似体」との用語は、エリスロポエチンアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を持たないが、その三次元構造がエリスロポエチンの三次元構造に非常に類似し、従って匹敵する生物学的活性を有する化合物を包含する。エリスロポエチン類似体は、例えばエリスロポエチンのその受容体への結合を受け持つアミノ酸残基を好適な立体配座に含み、従ってエリスロポエチン結合領域の必須の表面特性模擬することができる化合物であってよい。この型の化合物は、例えばWrightonら、Science, 273(1996), 458に記載されている。

0021

本発明に基づき使用されるEPOは様々な方法で、例えばヒトの尿又は再生不良性貧血患者の尿又は血漿(血清を含む)から単離することによって生産することができる(Miyakeら、J.B.C. 252(1977), 5558)。ヒトEPOは例えばヒト腎癌細胞組織培養物(JA-OS 55790/1979)、ヒトEPOの生成能力を有するヒトリンパ球細胞(JA-OS 40411/1982)及びヒト細胞系の細胞融合によって得られるハイブリドーマ培養物から得ることもできる。また遺伝子工学的方法により、EPOの適当なアミノ酸配列をコードする好適なDNA又はRNAを用いることにより例えば細菌、酵母植物細胞系又は動物細胞系で所望のタンパク質を組換え的に生産することによって、EPOを生産することもできる。これらの型の方法は例えばEP 0148605 B2又はEP 0205564 B2及びEP 0411678B1に記載されている。

0022

本発明は特にヒト又は動物の身体、特に成体の生体での内皮前駆細胞の生理的動員、内皮前駆細胞の増殖、内皮前駆細胞の内皮細胞への分化及び/又は内皮前駆細胞の脈管形成又は血管形成刺激の方向への内皮前駆細胞の移動を刺激するためのエリスロポエチン(以下EPOと称する)及び/又はその誘導体の使用に関する。

0023

本発明に関連して「内皮前駆細胞」(endothelial progenitor cell;EPC)とは、内皮細胞への分化能力を持ち、血流で循環する細胞を意味する。胚発生の間に現れる内皮前駆細胞は、血管芽細胞である。成人生体に現れる内皮前駆細胞は、末梢血から単離された単核細胞、特にCD34−CD14+単球及び/又はCD34+幹細胞から得ることができる血管芽細胞様細胞である。

0024

本発明に関連して「動員」又は「生理的動員」とは、骨髄由来の幹細胞及び/又は前駆細胞の成長因子による活性化過程を意味し、その場合幹細胞又は前駆細胞は血流、特に末梢血に到達する。

0025

本発明に関連して「増殖」とは、細胞の拡大及び続いて2個以上の娘細胞への分裂の能力を意味する。従って内皮前駆細胞のEPO媒介による刺激は、特に内皮前駆細胞の個数及び従って分裂挙動に関係する。

0026

本発明に関連して内皮前駆細胞の「分化」とは、骨髄由来の単核細胞が内皮前駆細胞を経て内皮細胞へと発生することを意味する。「内皮細胞」とは、内皮、即ち血管及び漿膜腔の単層細胞内壁を形成する細胞を意味する。内皮細胞は、血管作用性物質、例えばEDRF(内皮由来弛緩因子)のような血管拡張物質又はエンドセリンのような血管収縮物質血液凝固阻害又は活性化因子及び血管透過性調節因子を放出するのが特徴である。また内皮細胞は内皮下結合組織の成分、特にIV及びV型コラーゲン細胞接着タンパク質、例えばラミニンフィブロネクチン及びトロンボスポンジン、成長因子、例えば平滑筋細胞成長因子及び新しい血管形成のための因子を合成する。

0027

本発明に関連して内皮前駆細胞の「移動」とは、血流内に存在する内皮前駆細胞が脈管形成又は血管形成刺激の方向に移動し、脈管形成又は血管形成刺激領域濃縮されることを意味する。「脈管形成刺激」とは、内皮前駆細胞に特異的に作用し、化学的刺激が出てくる身体部位へ内皮前駆細胞を移動させるヒト又は動物の身体の組織又は血管における化学的刺激を意味する。このようにして脈管形成刺激によって、脈管形成過程が誘導される。「血管形成刺激」とは、分化した内皮細胞に特異的に作用し、化学的刺激が出てくる身体部位へ内皮細胞を移動させるヒト又は動物の身体の組織又は血管における化学的刺激を意味する。血管形成刺激はこのようにして血管形成を誘導する。

0028

本発明の別の実施形態では、分化する内皮前駆細胞の接着能力を高めるためにエリスロポエチン及び/又はその誘導体を使用する。本発明に基づきエリスロポエチンは特に内皮前駆細胞の接着能力、即ち細胞間接着能力を改善するために使用される。分化する内皮前駆細胞又は分化した内皮細胞の接着は、新しい血管又は新しい内皮組織の形成のための基本前提条件の1つである。細胞接着はタンパク質分子によって媒介される。

0029

また本発明は新しい血管形成の刺激、特に脈管形成の刺激のためのエリスロポエチンの使用に関する。本発明に関連して「脈管形成」とは、in situで分化する内皮前駆細胞からの新しい血管形成を意味する。こうして本発明に基づきエリスロポエチンを使用することによって、内皮前駆細胞は新しい血管形成又は損傷した血管区域再生のための局所的な新しい血管形成に大いに寄与する。そこで本発明に基づき、エリスロポエチン及び/又はその誘導体の使用は、新しい血管の形成及び/又は損傷した血管区域の局所的な新しい血管形成による代替を促進する。

0030

本発明の別の実施形態では、内皮組織の形成へと内皮前駆細胞を刺激するためにエリスロポエチン及び/又はその誘導体を使用する。

0031

本発明の特に好ましい実施形態は、内皮前駆細胞の機能不全に関連するヒト又は動物の身体の病状もしくは疾患又はその続発症の治療のためのエリスロポエチン及び/又はその誘導体の使用を提供する。

0032

本発明に関連して「疾患」、「病状」又は「障害」とは、主観的に経験され又は客観的に検出可能な、身体的、精神的又は知的変化が生じる器官又は全身の生活過程の障害を意味する。本発明に基づき特に関係するのは、内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患、即ちこれらの細胞の上記の機能不全の結果であるか、又はこれらの細胞によって媒介される疾患である。「続発症」とは、二次疾患、即ち一次的病状にさらに加わる第2の障害を意味する。

0033

本発明に関連して内皮前駆細胞の「機能不全」とは、本質的な細胞機能、例えばこれらの細胞の代謝活性刺激応答運動性、分裂挙動又は分化挙動の障害を意味する。内皮前駆細胞の機能不全は、例えばこれらの細胞が不十分にしか又は全く増殖しないことからなりうる。エリスロポエチンの使用によって内皮前駆細胞の増殖が刺激されるから、それによって内皮前駆細胞及びすでに分化した内皮細胞の双方の不十分な分裂挙動を補償し、内皮前駆細胞又は内皮細胞の数を増加することができる。内皮前駆細胞の機能不全は、例えばこれらの細胞の内皮細胞への分化能力の障害からなりうる。内皮前駆細胞の機能不全は、接着能力の障害及び/又は血管形成又は脈管形成刺激の方向への移動能力の障害にも起因しうる。内皮前駆細胞のこのような機能不全の結果、例えば新しい内皮組織の形成及び/又は脈管形成が阻害又は阻止されることがある。内皮前駆細胞の機能不全は病原性の原因、例えば高血圧、高リポタンパク血症、尿毒症又は糖尿病による場合もある。内皮前駆細胞の機能不全は、例えばL−アルギニンからのNOシンターゼ(NOS)によるNO(=EDRF)産生の減少、エンドセリン産生の増加及び/又は接着分子、例えばICAM−1及びVCAM−1の産生の増加となって現れることがある。

0034

本発明によれば内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患は特に高コレステロール血症、糖尿病、内皮媒介性慢性炎症性障害、例えば血管炎細網内皮症を含む内皮症アテローム硬化症、冠動脈性心疾患、心筋虚血狭心症、年齢に原因する心臓血管障害四肢虚血性障害レイノー病子癇前症妊娠高血圧、慢性又は急性腎不全、特に終末腎不全心不全、創傷治癒及びその続発症である。

0035

「高コレステロール血症」は血液中の高いコレステロール濃度が特徴である。原発性高コレステロール血症の極めて多い形態は、多遺伝子性高コレステロール血症である。二次性高コレステロール血症はしばしば糖尿病、ネフローゼ症候群甲状腺機能低下及び肝臓障害と関連して現れる。

0036

「糖尿病」には病因症候において異なる種々の形のグルコース代謝障害が含まれる。血管関連糖尿病合併症の発生には、特にAGE−RAGE系が関与する。AGE(Advanced Glycation Endproducts[前進グリコシル化終末産物])は、タンパク質又は脂質を還元糖、例えばグルコースに長く持続的に露出した後に、一連の複雑な反応を経て産生される。AGEの生成は通常の老化過程の間に、また糖尿病及びアルツハイマー病でさらに顕著に起こる。AGEの結合によって酸化的ストレス転写因子NF−κBの活性化、それとともに内皮ホメオスタシスの障害が生じる。

0037

「内皮媒介性慢性炎症性障害」とは、有害な刺激に対する生体及びその組織の防御反応に由来するヒト又は動物の身体の障害又は症状であって、その場合特定のシグナル分子が内皮細胞の性質を変化させ、他の細胞型の活性化と協動して、白血球が内皮細胞に付着し続け、遂には組織に浸入し、そこに炎症を開始する。内皮媒介性炎症の一例は白血球性脈管炎である。内皮媒介性炎症性事象の活性化で中心的役割を果たすのは、転写因子NF−κBである。内皮細胞媒介性慢性炎症を生じる別の系は、AGE−RAGE系である。

0038

「内皮症」とは、非血小板減少症紫斑病に関連する変性及び増殖性内皮変化を意味する。「細網内皮症」とは、細網組織球系の疾患、例えば細網細網症細網組織球症及びハンド・シュラー・クリスチャン病を意味する。

0039

「心筋虚血」とは、動脈血供給の不十分又は欠如による心臓筋肉壁の虚血(bloodlessness)又は過小潅流(hypoperfusion)、即ち血行障害を意味する。「心梗塞」又は「心筋梗塞」は、慢性冠動脈性心疾患を悪化させる、急性事象として現れる限局的心筋領域の壊死である。「冠動脈性心疾患」又は「虚血性心疾患」は、心臓冠動脈狭窄又は閉塞に基づき心筋血行の減少を招く変性冠動脈疾患である。「狭心症」とは、冠動脈性心疾患、冠動脈痙縮血流障害心律動障害、高血圧又は低血圧に関連する酸素供給と酸素消費不調和によって引き起こされる急性冠動脈不全又は心狭窄を意味する。「レイノー病」とは、血管収縮即ち血管痙縮に原因し、たいてい指動脈に発作的に現れる虚血状態を意味する。一次性レイノー病は肢端に供給する小動脈の純機能障害であるが、二次性レイノー病は別の疾患、例えば脈管炎に基づくものである。

0040

「子癇前症」は母体の内皮及び血管の疾患であり、胎盤の内皮向性物質の作用によると思われる。子癇前症は、多数の器官の機能障害をもたらし、様々な症状で現れうる多系統障害である。この障害で典型的な血行障害は、可能性として局所的に重度で様々に発現する血管抵抗の増加の結果である。子癇前症では、内皮機能障害が発病の中心的構成部分であることは確かであると考えられる。

0041

本発明に関連して「腎不全」とは、通常、尿に排出される物質の腎臓の排泄能力の低下を意味し、進行した段階では電解質、水及び酸塩基収支調節能力も失われる。終末腎不全は腎臓の排泄及び内分泌機能崩壊が特徴である。

0042

本発明によれば、腎不全は急性腎不全、又はショック尿閉(shock aneuria)とも呼ばれる急性腎不全でありうる。急性腎不全は、たいてい可逆的な腎損傷による腎排泄機能の突発的な部分的又は全面的喪失が特徴である。原因は、血液損失(多創傷、胃腸出血又は分娩後出血、心臓、血管、腹部又は前立腺の大きな手術的処置)による血液量不足、低血圧及び脱水による過小潅流、ショック(心筋梗塞、塞栓)、重症感染症敗血症腹膜炎胆嚢炎)、溶血溶血性−尿毒症性症候群発作性ヘモグロビン尿症輸血事故)、筋変性クラッシュ症候群横紋筋融解筋炎火傷)、水及び電解質損失(大量の嘔吐下痢過度発汗イレウス急性膵炎)でありうる。別の原因は腎毒素、例えば外因性毒素(例えばアニリングリコール化合物メタノール等)、又は内因性毒素(例えばミオグロビン及びシュウ酸塩)でありうる。急性腎不全の別の原因は、腎臓病、例えば炎症性腎症又は腎移植後の拒絶反応である。急性腎不全は、排尿障害の結果、尿の滞留によっても引き起こされうる。本発明に基づくエリスロポエチンによる急性腎不全の治療は、急性腎不全の進行の阻止又は少なくとも抑制をもたらす。

0043

また本発明によれば、腎不全は慢性腎不全でありうる。慢性腎不全の原因は血管性、糸球体性及び尿細管間質性腎障害、感染症及び生得的又は後天的な構造欠陥である。慢性腎不全の原因はとりわけ慢性糸球体症慢性腎盂腎炎鎮痛薬腎症閉塞性尿路疾患及び動脈及び細動脈硬化症である。慢性腎不全の終末期は、尿毒症である。慢性腎不全の本発明に基づくエリスロポエチン治療は慢性腎不全の進行の抑制をもたらす。

0044

本発明に関連して「心不全」は、心筋不全又は心筋衰弱とも呼ばれる病状を意味する。心不全は、心臓が要求に応じた輸送能力をもはや遂行することができない不十分な心機能が特徴である。様々な観点で心不全を区分することができる。悪影響を受ける心臓部分に従って例えば右心不全左心不全及び両側の不全(全心不全)に区分される。生理的及び治療的機構に影響される均衡の安定性に従って、代償性及び代償不全性心不全が区別される。経過に従って急性及び慢性心不全の区分が行われる。心不全の原因はとりわけ心筋梗塞、心筋症、生得的又は後天的心臓欠陥本態性又は肺高血圧症、心律動障害、冠動脈性心疾患又は心筋炎である。

0045

本発明に関連して「創傷治癒」とは、破壊された組織の再生又は創傷の閉鎖のための生理的過程、特に新しい結合組織及び毛細血管の形成を意味する。創傷治癒は、一次的創傷治癒(一次的治癒)でありうる。これはきれいな傷口の血行良好な、場合によっては適応した創縁の間の最小の新しい結合組織形成による、合併症のない急速な閉鎖と、ほとんど元通りの再生が特徴である。広く開いた、特に挫滅又は壊死した創縁もしくは創傷感染を有する創傷の場合は、遅滞した二次的創傷治癒(二次的治癒)が生じる。この場合は細菌性又は非細菌性炎症の結果、組織欠損肉芽組織でふさがれ、瘢痕組織が広く形成される。創縁から上皮化が始まり、創傷治癒の終結をなす。創傷治癒は3段階、即ち潜伏期増殖期及び修復期に分けられる。潜伏期はさらに特に創傷発生後第1の数時間の、痂皮形成を伴う滲出期及び創傷発生後1〜3日の期間にわたる、異化自家融解を伴う吸収期に区分される。増殖期は線維芽細胞によるコラーゲンの生成を伴う同化修復が特徴であり、創傷発生後第4〜第7日に現れる。創傷発生後第8日から、肉芽組織の瘢痕への変態を特徴とする修復期が現れる。

0046

本発明に関連して「創傷」とは、機械負傷又は生理的原因による細胞損傷によって引き起こされる、物質損失のある又はない身体組織の連結の破断を意味する。創傷形態は機械的創傷、熱的創傷、化学的創傷、放射線創傷及び疾患関連創傷がある。機械的創傷は外傷性破壊によって発生し、とりわけ切傷、刺傷挫傷破裂傷、裂傷擦過傷掻傷咬傷及び銃創として現れる。熱的創傷は熱又は寒冷に対する曝露によって発生する。化学的創傷は特に酸又はアルカリ液の作用によって発生するだろう。放射線創傷は例えば化学作用放射及び電離線放射によって発生する。疾患関連創傷は、特に鬱血関連創傷、外傷性創傷、糖尿病創傷等である。本発明は、特に創傷治癒のためにエリスロポエチンを好ましくは局所又は静脈内投与することを提供する。

0047

従って、本発明は高コレステロール血症、糖尿病、内皮媒介性慢性炎症性障害、細網内皮症を含む内皮症、アテローム硬化症、冠動脈性心疾患、心筋虚血、狭心症、年齢に原因する心臓血管障害、四肢の虚血性障害、子癇前症、レイノー病、妊娠高血圧、慢性又は急性腎不全、特に終末腎不全、心不全、創傷治癒及びその続発症の治療のためのエリスロポエチンの使用に関する。

0048

本発明に基づきエリスロポエチンは上記の疾患、特に内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患の状態を治癒し、又はこの状態を予防し、このような疾患の進行を停止し、及び/又はこのような疾患の症状を緩和するのに十分な、治療上有効な用量で患者に投与するものとする。患者に投与する用量は多くの要因、例えば患者の年齢、体重及び性別、障害の重度等に依存する。

0049

本発明に基づき特にエリスロポエチンは本開示のすべての用途、方法及び組成物で、公知の使用量より低いごく僅かな量で使用することが好ましい。その場合特に障害の重度により、かつ腎機能に応じて、in vivo即ち患者当り200〜2000単位(IU:国際単位)/週のEPO用量、好ましくは500〜2000IU/週の用量が投与される。本発明に基づき定められる患者当り200〜2000単位(IU)/週、特に患者当り500〜2000IU/週の用量は、赤血球増加量以下の量、即ちヘマトクリット値50%以上の赤血球増加を生じない用量である。本発明に基づき定められる赤血球増加量以下の量は、約1〜90単位(IU)EPO/体重kg、特に1〜45IUのEPO/体重kgの週量、又は0.05〜20μg/体重kg、特に0.05〜10μg/体重kgの匹敵するアラネスプ(Aranesp)週量に相当する。アラネスプは二重にポリエチレングリコール化したEPOである。内皮前駆細胞の機能不全に随伴する疾患又は病状の治療のために本発明に基づき定められた患者当り200〜2000単位/週、特に患者当り500〜2000IU/週の用量は、腎性貧血の治療のために通常使用される50〜150IU/体重kg/週の初回量(通常は4000〜8000IU/週で始まり、治療効果が不十分ならば大幅に増加する)と比較して極めて低い。

0050

本発明の特に好ましい実施形態は、内皮前駆細胞の機能不全に関連する病状又は疾患の治療のための医薬組成物又は医薬の製造のための活性成分としてのエリスロポエチン及び/又はその誘導体の使用に関する。

0051

本発明に基づき「活性成分」とは、標的分子又は標的細胞又は標的組織と接触して組織、器官又は生体の特異的機能に差別的に影響を及ぼす内因性又は外因性物質を意味する。そこで本発明に基づき本発明の医薬組成物の活性成分としてのエリスロポエチンは、ヒト又は動物の生体の内皮前駆細胞と接触して、内皮前駆細胞の機能不全を補償し、これらの機能不全の結果現れる疾患を効果的に制御、緩和もしくは除去し、又はこれらの疾患を効果的に予防するように、内皮前駆細胞の増殖、分化及び/又は移動挙動に影響を及ぼす。

0052

本発明に関連して「医薬組成物」又は「医薬」とは、少なくとも1つの天然の又は合成的に製造された、治療効果を喚起する活性成分を含み、診断、治療及び/又は予防の目的で使用される、即ちヒト又は動物の身体の健康を促進又は回復する混合物を意味する。医薬組成物は固体及び液体混合物であってよい。例えば活性成分を含む医薬組成物は1以上の薬学的に許容される成分を含むことができる。さらに医薬組成物は当業界で通常使用される添加物、例えば安定剤、製造用材料離型剤崩壊剤乳化剤又は医薬組成物の製造のために通常使用されるその他の物質を含むことができる。

0053

本発明に基づき高コレステロール血症、糖尿病、内皮媒介性慢性炎症性障害、例えば血管炎、細網内皮症を含む内皮症、アテローム硬化症、冠動脈性心疾患、心筋虚血、狭心症、年齢に原因する心臓血管障害、四肢の虚血性障害、レイノー病、子癇前症、妊娠高血圧、急性又は慢性腎不全、特に終末腎不全、心不全、創傷治癒及びその続発症の治療用の医薬の製造のための活性成分として、エリスロポエチン及び/又はその誘導体を使用する。

0054

本発明の医薬組成物は局所的投与にも、全身投与にも適しうる。

0055

本発明の好ましい実施形態では、医薬組成物が非経口的、特に静脈内、筋肉内、皮内又は皮下投与に使用される。エリスロポエチンを含む医薬は注射又は輸液の形態をとることが好ましい。

0056

別の使用においては、エリスロポエチンを含む医薬組成物が経口的に投与される。例えばエリスロポエチンを含む医薬が液体剤形、例えば溶液、懸濁液又は乳液もしくは固形剤形、例えば錠剤で投与される。

0057

別の使用においては、医薬組成物は投与又は吸入に適している。即ち本発明に基づき、エリスロポエチンが患者の肺に治療上有効なように直接投与される。エリスロポエチンのこの投与形態は、注射を行わずに患者にエリスロポエチン用量の迅速な送達を可能にする。肺を経てエリスロポエチンを摂取すれば、多量のエリスロポエチンを肺から血流に送達することができ、その結果血流に高いエリスロポエチン量が生じる。本発明の好ましい実施形態では、肺を経て摂取される医薬組成物は水溶液もしくは非水溶液又は乾燥粉末である。肺経路で投与されるエリスロポエチン含有医薬が乾燥粉末の形態であれば、この粉末は好ましくはエリスロポエチン含有粒子を含み、粒子は患者の肺の末梢領域にも到達できるように、10μm未満の直径を有する。本発明の特に好ましい実施形態では、肺経路で投与される医薬はエーロゾルの形態である。

0058

本発明の特に好ましい実施形態は、内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患の治療用の医薬組成物の製造のためのエリスロポエチンの使用に関する。その場合医薬組成物は活性成分としてエリスロポエチンのほかに、内皮前駆細胞の刺激のための少なくとも1つの別の更なる活性成分を含む。

0059

更なる活性成分は、特に骨髄からの内皮前駆細胞の生理的動員を刺激する活性成分であることが好ましい。しかしながら、また本発明に基づき更なる活性成分は、特に内皮前駆細胞の分裂挙動、即ち増殖を刺激する活性成分であってよい。また本発明に基づき更なる活性成分が特に内皮前駆細胞の分化挙動及び/又は移動挙動を刺激することも可能である。特に内皮前駆細胞を刺激する更なる活性成分はVEGF、PIGF、GM−CSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質、特にスタチン(例えばシンバスタチン、メバスタチン又はアトルバスタチン)及び/又はNO供与体、特にL−アルギニンであることが好ましい。

0060

また本発明に基づき、少なくとも1つの更なる活性成分は、分化した内皮細胞、即ちその増殖及び/又は移動を刺激するが、内皮前駆細胞は刺激しない。これに関連して、特にbFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)又はアンギオゲニンであることが好ましい。

0061

本発明の別の実施形態は内皮前駆細胞の刺激、特に動員、増殖、内皮細胞への分化及び/又は脈管形成又は血管形成刺激の方向への移動の刺激のための医薬組成物の製造のための活性成分としてのエリスロポエチン及び/又はその誘導体の使用に関する。さらに本発明に基づき、特に成体のヒト又は動物生体の脈管形成及び/又は内皮形成を刺激する医薬組成物の製造のための活性成分として、エリスロポエチン及び/又はその誘導体を使用する。

0062

従って、本発明はさらに内皮前駆細胞の刺激、特にその動員、増殖、内皮細胞への分化及び/又は脈管形成又は血管形成刺激の方向への移動の刺激、脈管形成及び/又は内皮形成の刺激及び内皮前駆細胞及び/又は内皮細胞の機能不全に関連するヒト又は動物の身体の疾患の治療のための医薬組成物に関する。特に本発明は活性成分としてのエリスロポエチン及び内皮前駆細胞及び/又は分化した内皮細胞の刺激のための少なくとも1つの更なる活性成分を含む医薬組成物又は医薬に関する。好ましい実施形態では、本発明はエリスロポエチンと、VEGF、PIGF、GM−CSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質、特にスタチン(例えばシンバスタチン、メバスタチン又はアトルバスタチン)、NO供与体、特にL−アルギニン、bFGF及びアンギオゲニンからなる群からの少なくとも1つの更なる活性成分とを含む医薬組成物に関する。

0063

本発明の別の好ましい実施形態は移植可能内皮細胞調製物の製造のためのエリスロポエチンの使用に関する。これに関連して、本発明に基づき、特に内皮細胞をin vitroでエリスロポエチンの存在下、内皮前駆細胞の培養によって生産し、続いて受容者生体、特に内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患を罹患する生体に移植する。例えば血液から単球細胞(MNC)を密度勾配遠心法により単離し、好適な培地でin vitro培養することができる。単核細胞の単離及びin vitro培養の方法は例えばAsahara, Science, 275(1997), 964-967; Dimmelerら、J. Clin. Invest., 108(2001), 391-397及び Llevadotら、J. Clin. Invest., 108(2001), 399-405に記載されている。続いてMNCに含まれる内皮前駆細胞をその増殖及び分化挙動に関して刺激し、特に分化し接着した内皮細胞の数を増加するために、単核細胞をエリスロポエチンの存在下でさらに培養する。また本発明に基づき、エリスロポエチン及び内皮前駆細胞の増殖と分化を刺激する少なくとも1つの更なる物質の存在下でMNCの培養を行う。特に更なる物質としてVEGF、PIGF、GM−CSF、NO供与体(例えばL−アルギニン)又はHMG−CoA還元酵素阻害物質、例えばスタチン、特にシンバスタチン、メバスタチン又はアトルバスタチンを使用することが好ましい。

0064

本発明の別の好ましい実施形態では、移植される組織又は器官の前処理及び/又は更なる処理のためにエリスロポエチンを使用する。この場合、移植体を移植の前、好ましくはその直前に、なお供与者生体の中で、エリスロポエチンにより処理する。受容者生体も移植の時点から同じくエリスロポエチンで処理することができる。本発明に基づき、移植の直前及び移植後に移植器官又は組織をこのようにエリスロポエチンで処理することによって、身体に移植した後に移植体に脈管形成が誘導されて、新しい血管が急速に形成され、この新生血管が急速に受容者生体の血液系と結合されることとなる。またこうして急速に内皮細胞の形成が得られる。このように器官又は組織移植体のエリスロポエチン処理は体内でこれらの系のより急速な取り込みをもたらすから、拒絶の危険が大幅に減少する。

0065

本発明の別の発展として、器官又は組織移植体を移植の前にエリスロポエチンと、内皮前駆細胞を刺激する少なくとも1つの別の因子との組合せで処理する。好ましくは、この因子はVEGF、PIGF、GM−CSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質、例えばスタチン、特にシンバスタチン、メバスタチンもしくはアトルバスタチン又はNO供与体、特にL−アルギニンからなる群からの物質である。別の発展として、器官又は組織移植体を移植の前にエリスロポエチンのほかに、分化した内皮細胞の増殖及び移動を刺激する更なる物質で処理する。特にこの物質はアンギオゲニン又はbFGFであることが好ましい。別の発展では、単離され、場合によってはin vitroで拡張された内皮前駆細胞を使用して、エリスロポエチンで器官又は組織移植体を前処理する。

0066

本発明の別の特に好ましい実施形態では、内植又は移植可能な細胞含有in vitro器官又は組織の生産のためにエリスロポエチンを使用する。本発明に基づき、特に受容者生体の体内にある内皮前駆細胞、特にその生理的動員、移動、増殖及び分化を刺激するために、in vitroで生産された器官又は組織を移植又は内植の前にin vitroでエリスロポエチンにより処理する。好ましくはin vitro器官又は組織の移植又は内植の後に、受容者生体を本発明に基づく用量のエリスロポエチンでさらに処理する。本発明に基づき、in vitro器官又は組織を移植又は内植の前にエリスロポエチンで処理し、場合によっては受容者生体をエリスロポエチンで続いて処理することによって、身体に移植又は内植した後、in vitro器官又は組織系に、誘導された脈管形成のため急速に新しい血管が形成され、この新生血管が急速に受容者生体の血液系と結合される。またこのようにして急速な内皮形成及び再内皮化が行われる。エリスロポエチンによるin vitro器官又は組織系の処理は、こうしてこれらの系を身体の中へより急速に取り込ませるから、拒絶の危険が大幅に減少され、かつ移植体の保護のために役立つ。

0067

「in vitro器官又は組織系」とは、所定の細胞及び/又は所定の組織を使用して、所定の培養条件のもとでin vitroで生産される移植又は内植可能な細胞含有組織又は器官を意味する。「内植可能なin vitro器官又は組織系」とは、細胞のほかに外因性物質を含む系を意味する。「移植可能なin vitro器官又は組織系」とは、特に同じ又は別の個体の細胞、組織又は器官のほかに内因性物質を含む細胞含有系を意味する。in vitro器官又は組織は特にその構造が、置換される天然の器官又は組織に実質的に相当し、従って置換される天然の器官又は組織の機能をin vivoで引受けることができることを特徴とする。

0068

本発明の1つの発展としては、in vitro器官又は組織系を移植又は内植の前に、エリスロポエチンと、内皮前駆細胞を刺激する少なくとも1つの別の因子との組合せにより処理する。好ましくはこの因子は、VEGF、PIGF、GM−CSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質、特にシンバスタチン、メバスタチン又はアトルバスタチン及びNO供与体からなる群からの物質である。別の発展では、in vitro器官又は組織系を移植又は内植の前にエリスロポエチンのほかに、分化した内皮細胞の増殖及び移動を刺激する更なる物質で処理する。特にこの物質はアンギオゲニン又はbFGFであることが好ましい。また別の発展では、in vitro器官又は細胞系は単離され、場合によってはin vitroで拡張された内皮前駆細胞をさらに含む。

0069

本発明の別の好ましい実施形態は、代用血管又は心臓弁の生産のためのエリスロポエチンの使用に関する。その場合代用血管又は心臓弁を身体、特に人体に挿入する前に、エリスロポエチンで被覆する。代用血管又は心臓弁をエリスロポエチンで被覆することによって、受容者生体の体内の内皮前駆細胞を刺激し、特に骨髄からのそれらの動員、増殖、内皮細胞への分化及び使用された代用血管又は心臓弁への移動の刺激が達成される。こうして生産された代用血管又は心臓弁を身体に導入した後、特に本発明に基づく用量のエリスロポエチンでさらに処理することができる。この結果として、使用された代用血管上に内皮層がより急速に形成され、このようにして身体関連領域の中へより急速に取り込まれる。好ましい発展では代用血管及び心臓弁の被覆のために、単離され、場合によってはin vitroで拡張された内皮前駆細胞をさらに使用する。

0070

同様に、本発明は、
a)内皮前駆細胞を含む細胞集団の密度勾配遠心法による血液からの単離、
b)単離された、内皮前駆細胞を含む細胞集団の細胞培地での培養、及び
c)エリスロポエチンの存在下での細胞集団の培養
を含む、内皮細胞形成のin vitro刺激方法に関する。

0071

本発明に基づき細胞集団の培養は、内皮前駆細胞を刺激する別の物質の存在下で行うことができる。

0072

また本発明は、内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患の患者に200〜2000IU/週の用量、特に500〜2000IU/週の用量のエリスロポエチンを投与することにより、このような疾患を治療する方法に関する。本発明の方法は、特に高コレステロール血症、糖尿病、血管炎などの内皮媒介性慢性炎症性障害、細網内皮症を含む内皮症、アテローム硬化症、冠動脈性心疾患、心筋虚血、狭心症、年齢に原因する心臓血管障害、四肢の虚血性障害、レイノー病、子癇前症、妊娠高血圧、急性又は慢性腎不全、特に終末腎不全、心不全、創傷治癒及びその続発症のような人体の疾患の治療に適している。

0073

内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患の本発明の治療方法の好ましい実施形態では、エリスロポエチンのほかに、VEGF、PIGF、GM−CSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質及びNO供与体からなる群より選択される少なくとも1つの更なる活性成分を患者に投与する。投与されるHMG−CoA還元酵素阻害物質は好ましくはスタチン、例えばシンバスタチン、メバスタチン又はアトルバスタチンである。投与されるNO供与体は好ましくはL−アルギニンである。

0074

内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患の本発明の治療方法の別の好ましい実施形態では、内皮前駆細胞を人体の血液から単離し、エリスロポエチンを使用してin vitroで拡張し、内皮細胞に分化させ、分化した内皮細胞又は分化する内皮前駆細胞の精製と単離の後に、続いてこれを内皮前駆細胞及び/又は内皮細胞の機能不全により損傷した患者の身体領域、組織又は器官に標的化して移植し、そこに新しい局所的内皮形成を誘導する。このようにして患者の損傷した身体領域、組織及び/又は器官のより標的化されたかつより迅速な治療が可能である。内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患の本発明の治療方法のこの実施形態は、次の段階を含む。

0075

a)内皮前駆細胞を含む細胞集団の、血液からの密度勾配遠心法による単離、
b)内皮前駆細胞を含む細胞集団の細胞培地での培養、
c)内皮前駆細胞の増殖及び/又は内皮細胞への分化を刺激するためのエリスロポエチンの存在下での内皮前駆細胞を含む細胞集団の培養、
d)分化した内皮細胞の精製及び単離、及び
e)内皮前駆細胞の機能不全に関連する疾患を有する身体への分化した内皮細胞の移植。

0076

分化した内皮細胞を身体に移植した後、これを特に本発明に基づき定められた200〜2000IU/週の用量のエリスロポエチンでさらに処理することができる。

0077

本発明に基づき内皮前駆細胞を含む細胞集団をVEGF、PIGF、GM−CSF、HMG−CoA還元酵素阻害物質及びNO供与体からなる群より選択される少なくとも1つの更なる活性成分の存在下でin vitroで培養することができる。好ましくは培養のために使用されるHMG−CoA還元酵素阻害物質はスタチン、例えばシンバスタチン、メバスタチン又はアトルバスタチンである。

0078

本発明の別の好ましい実施形態は、下記を含む血管障害の治療方法に関する。

0079

a)内皮前駆細胞を含む細胞集団の、血液からの密度勾配遠心法による単離、
b)内皮前駆細胞を含む細胞集団の細胞培地での培養、
c)内皮前駆細胞の増殖及び/又は内皮細胞への分化を刺激するためのエリスロポエチンの存在下での内皮前駆細胞を含む細胞集団の培養、
d)分化した内皮細胞の精製及び単離、及び
e)血管障害を有する身体への内皮細胞の移植。

0080

血管障害を有する身体に内皮細胞を移植した後、これを好ましくは本発明に基づく200IU/週〜2000IU/週の用量のエリスロポエチンでさらに処理することができる。

0081

本発明に基づき内皮前駆細胞を含む細胞集団を、VEGF、PIGF、GM−CSF及び/又はHMG−CoA還元酵素阻害物質からなる群より選択される少なくとも1つの更なる活性成分の存在下で培養することが可能である。好ましくは培養のために使用されるHMG−CoA還元酵素阻害物質はスタチン、例えばシンバスタチン、メバスタチン又はアトルバスタチンである。

0082

そこで本発明に基づく血管障害の治療方法は、ヒトの生体の血液から内皮前駆細胞を単離し、エリスロポエチンを使用してin vitroで拡張し、内皮細胞に分化し、分化した内皮細胞又は分化する内皮前駆細胞の精製と単離の後に、続いてこれを損傷した血管又は虚血領域に標的化して移植し、そこに局所的新生血管形成を誘導するものである。このようにして損傷した血管又は虚血組織のより標的化されかつより迅速な治療が可能である。本発明に基づく血管障害の治療方法は虚血、特に脳虚血、四肢の虚血性障害、心筋虚血、心梗塞、卒中発作、冠動脈性心疾患、狭心症、急性動脈閉塞、動脈閉塞性疾患、レイノー病及び麦角中毒のような血管障害に特に適している。

0083

本発明のその他の有利な発展は従属請求項で明らかである。

0084

下記の図面及び実施例に基づき発明を詳述する。

0085

腎性貧血症患者でのEPOの効果
末期腎疾患(前終末腎不全;クレアチニンクリアランス<35ml/分)による腎性貧血症(Hb<10.5g/dl)の患者でのエリスロポエチンの効果を調べた。11人の患者を少なくとも8週の期間にわたって、平均5000IU rhEPO(組換えヒトエリスロポエチン)の毎週量のエリスロポエチンで静脈内又は皮下投与により治療した。エリスロポエチン治療の後に患者の血液中の内皮前駆細胞を20週の期間にわたって調べ、0、2、4、6及び8週後に内皮前駆細胞の数と分化状態をフローサイトメトリー及び培養アッセイにより分析した。

0086

循環末梢血液幹細胞(CPBSC)は、CD34抗原もCD45抗原も発現する小さな細胞集団を含む。ISHAGE指針に基づいて、フローサイトメトリーによるCPBSC数の決定のためのアッセイが開発されている(Sutherlandら、J. Hematother., 5(1996), 213-226)。このアッセイを使用してCD34及びCD45細胞の発現パターン並びに幹細胞の形態の双方を決定した。こうして1μL当りのCPBSCの絶対数も、全白血球数%としてCPBSCの割合も決定した。

0087

図1はISHAGE指針に基づく循環CD34+幹細胞のFACS分析の結果を示す。

0088

図2は8週の期間にわたりFACS分析により決定したCD34+幹細胞の数を示す。

0089

細胞培養アッセイ
Asahara, Science, 275(1997), 964-967の方法に従って末梢血単核細胞(PBMC)をヒト血液試料からフィコ−ルによる密度勾配遠心法で単離した。フィブロネクチンを含む培養プレートで細胞を平板培養し、EC基礎培地に保持した。EC基礎培地はEBM−2−基礎培地(Clonetics社)及びEGM−2 Quot(hEGF;GA−100(ゲンタマイシン、アフォリシン−B)FBS、VEGF、hFGF−B(w/ヘパリン)、R3−IGF−1、アスコルビン酸、ヘパリン)からなる。4日の培養の後に未接着の細胞をプレート洗浄して除去した。残りの接着細胞トリプシンで処理し、再び播種した。続いて引続き3日間培養した。内皮表現型を有する細胞をポジティブ染色法により2つの異なる内皮マーカーに関して、単離後第7日に同定した。その場合取り上げられるのはDiI標識アセチル低密度リポタンパク質(acLDL-DiI)及びUlex europaeus-Aglutinin-1(UEA-1)である。この研究の結果を図3に示す。

0090

結果が示すところでは、エリスロポエチンは内皮前駆細胞を動員し、循環内皮前駆細胞の数を増加することができる。さらに特定の病状、例えば腎性貧血で現れる機能不全が補償される。これらの結果を図4に示す。

0091

フローサイトメトリーで見出されたところでは、末期の腎臓病患者の循環CD34+幹細胞の数は健康な被験者の血液中の循環CD34+幹細胞の数に相当する。エリスロポエチン治療の開始の後に、血流中のCD34+幹細胞の数が50%以上に著しく増加する。細胞培養アッセイを使用して決定したところによれば、エリスロポエチンによる治療の後に内皮表現型を発現する細胞の数が劇的に増加する。内皮前駆細胞の著しく阻害された能力が機能的細胞培養アッセイで3倍以上に増加した。

0092

rhEPOの全身使用により改善された創傷治癒
FVB/N−マウスをイソフロランによる呼吸麻酔で麻酔した。両方の後足の毛を脱毛液で除去し、70%アルコール消毒した。無菌の4mm使い捨てバイオプシー組織パンチでマウスの右側の横腹にそれぞれ1個の皮膚創傷を付けた。反対側は内部対照として利用した。術後の抗生物質遮蔽ペニシリンG(20000単位/kg)で1回行った。全研究期間にわたって組換えヒトエリスロポエチン類似体アラネスプ(0.1μg/体重kg)の毎週1回の皮下注射を行った。治療は組織パンチの取外しの7日前に開始した。結果を図5に示す。図は、EPOの投与が創傷治癒過程を大いに促進することを示している。

0093

エリスロポエチン治療による慢性腎不全の進行の低減
8週齢のSpraque-Dawleyラットをケタミン(120mg/kg)及びロンプン(10mg/kg)で麻酔した。第0日にラットから右腎を取り出し、採取後直ちに組織検査のためにホルマリンで固定した。左腎では、上下の腎極に供給する区域動脈を結紮した。それによって対応する腎臓領域の腎梗塞が起こり、中央の3分の1の腎臓だけが機能を維持する。ラットに毎週1回0.1μg/体重kgの用量のエリスロポエチン類似体アラネスプ又は対照のためにNaClを皮下(s.c.)注射した。

0094

図7は2つの試験群のKaplan-Mayer生存プロットを示す。アラネスプで治療した動物は塩化ナトリウムで治療した対照動物と比較して、生存が明らかに改善されている。

0095

図12〜15に示されたところによれば、エリスロポエチン治療の後に腎組織は病的変化を示さないが、NaClによる治療の後は重い病的変化が認められる(図8〜11と比較)。別の組織検査が明らかにしたところでは、アラネスプで治療した動物では塩化ナトリウムで治療した動物より明らかに高い血管密度(CD31)が観察される(データは示さない)。

0096

急性腎不全の進行の低減
この研究のために体重250〜300gのSpraque-Dawleyラットを使用した。一方の試験群には急性腎不全の誘導の前に0.1μg/体重kgの用量のアラネスプを毎日1回与えた。ラットをケタミン(120mg/体重kg)及びロンプン(10mg/kg)で麻酔した。同時に塩化ナトリウムを皮下注射した試験動物の群を比較として使用した。右腎動脈に動脈鉗子を置くことによって、腎臓の血流を45分間中断した。この時間に左側で腎摘出を行った。別の対照群で擬似手術を行なった。この場合は腹部を開き、左腎動脈を露出させたが、血液供給を遮断せず、対側右腎を取り出した。すべての動物を60分間麻酔し、手術の24時間後に屠殺した。

実施例

0097

45分間の虚血と残りの右腎のその後の再潅流は、塩化ナトリウムで処理した動物に激しい急性腎機能喪失を生じた。これは血清クレアチニンレベル(p<0.05)の係数7の増加となって現れた。これに対してエリスロポエチン類似体アラネスプで治療した動物は、虚血−再潅流障害の誘導後第1日に血清クレアチニンレベルの4倍の増加を示しただけである。右腎の擬似手術を行い、左側で腎摘出した動物では保持値の増加がなかった。結果を図6に示す。

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