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技術 出来映え予測装置、出来映え予測方法、出来映え予測プログラム、及び、プログラム記録媒体

出願人 シャープ株式会社
発明者 千葉周一郎山中秀一
出願日 2009年10月23日 (11年0ヶ月経過) 出願番号 2009-244689
公開日 2010年11月25日 (9年11ヶ月経過) 公開番号 2010-267242
状態 特許登録済
技術分野 総合的工場管理 特定用途計算機 半導体装置の製造処理一般
主要キーワード ノイズ因子 最小分散推定 単位応答 担当エンジニア トレンドチャート 予測モデル作成 プロセスデータ間 統計的プロセス制御
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題

説明変数間共線性があっても回帰係数更新が安定し、出来映え予測精度を向上できる。

解決手段

予測モジュール17は、プロセスデータ収集部16が収集したプロセスデータ15に基づいて出来映え算出値20を求める。補正モジュール18は、上記出来映え算出値20と補正係数A24とを乗算して補正後出来映え算出値25を算出し、さらに装置間差値21を加算して出来映え予測値23を求める。その後、補正係数修正部22によって、出来映えの実測値19と上記出来映え予測値23とから補正係数A24を算出して修正する。このように、補正モジュール18が用いる予測式の修正を、上記補正係数A24のみを修正して行っている。そのため、説明変数間に共線性を有する場合でも回帰係数の更新が安定し、上記説明変数間の共線性に起因する回帰係数の不安定化予測の精度の劣化を防ぐことができ、予測精度を向上させることができる。

概要

背景

現在の半導体工場製造ラインにおいては、より高効率の生産システム構築によってタイムリー生産立ち上げを行う必要がある。このような生産システムには、歩留まりの向上,品質の向上,原価低減,TAT(Turn Around Time:ターンアラウンドタイム)の短縮およびスループット向上の使命がある。そして、このような使命を果たすためには、製造設備の自動化運転生産管理品質管理とを融合した生産システムが必要である。

半導体工場を含む生産工場の生産システムにおいては、生産計画に基づいて生産設備を制御するFMS(Flexible Manufacturing System:フレキシブル生産システム)化が進み、これを実現するためのネットワークを利用したCIM(Computer Integrated Manufacturing:コンピュータ統合生産)化が強力に推進されている。

このような生産工場の上記CIM化における品質の安定化に寄与するような出来映え予測に関する背景技術として、特開2000‐252179号公報(特許文献1)に開示された「半導体製造プロセス安定化支援ステム」がある。

以下、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムを、図9に示す概略図に従って、その概要につて説明する。尚、この概略図は、特許文献1における図7(1)を、本願との構成の差異が容易に分かるようにするため、本願の出来映え予測装置に対応させて書き直したものである。

図9において、生産装置1と検査装置2とを有する製造工程を備えている。そして、プロセス安定化支援システム3では、製造設備単位での生産装置1のパラメータであるプロセスデータ4と検査装置2からの検査結果5との関係を多変数形の線形式近似し、この近似によって算出された係数初期値とするカルマンフィルター6によって、プロセスデータ4と検査結果5との関係を求めることで、現時点までのプロセスデータ4から1ステップ先の出力を推定するようにしている。

上記生産装置1のプロセスデータ4と検査装置2の検査結果5との因果関係は、p個のプロセスデータ4による説明変数行列と検査装置2の出力yとの関係によって表される。プロセスデータ収集部7によって収集蓄積されたn個の実績データによるn行p列の説明変数行列(x11,…,xnp:プロセスデータ)と、検査装置2の出力である目的変数(y1,…,yn:検査結果5)とから、n個の観測方程式としての線形重回帰式8でなるモデル式を下記のように作成する。
y1=β0+β1*x11+β2*x12+…+βp*x1p+ε1
y2=β0+β1*x21+β2*x22+…+βp*x2p+ε2

yn=β0+β1*xn1+β2*xn2+…+βp*xnp+εn
このモデル式のβ0は定数項を、βiは偏回帰係数(xiの回帰係数(i=1,2,…,p))を、εは残差を表す。

また、上記観測方程式における未知パラメータβiの最小二乗推定値を求めると、以下のようになる。

ここで、Xiはプロセスデータを、eiは残差を、Y^は検査結果の予測値を、Yiは検査結果の実測値を表しており、これらの式よりプロセスデータ4と検査結果5との因果関係を表現できるようになる。

上述した線形重回帰式8から算出された係数βiをカルマンフィルター6の初期値として与える。プロセスデータXiの実測値とノイズ因子条件と検査結果5との因果関係を求めるため、Duhamel形の単位図法を用いて動作状態を推定する。この手法により、現時点までの実績データからその先の出来映えを予測することができるのである。

即ち、検査装置2の出力をykとすると
yk(t)=Σhk(t)*u(t-1)+v(t)
となる。尚、yk(t)は時刻tにおける検査結果5の実測値を、hk(t)は単位図を、u(t)は時刻tにおける代表点のプロセスデータを、v(t)は平均0,分散σ2の定常的なガウス雑音を表している。上記式から単位図{hk(t)}を求め、出力y(t)を推定するのである。

上記{h(t)}を状態ベクトルXとすると、カルマンフィルター6を適用した際の予測方程式と観測方程式とは夫々下式のように表される。
X(t+1)=X(t)
y(t)=H(t)*X(t)+v(t)
尚、これらの予測方程式と観測方程式とにおけるy(t)は観測値を、H(t)は{u(t-1),…,u(t-n)}の説明変数ベクトルを、X(t)は{h1,h2,…,hn}の状態変数ベクトルを、v(t)は定常なガウス雑音を表している。

上記予測方程式と観測方程式とにカルマンフィルター6を適用すると、検査装置2の出力{yk(t)}から状態ベクトルXの最小分散推定量である単位応答{hk(t)}を逐次求めることができるのである。

最終的に、上記検査結果5の出力の推定値y^(t)は、下式によって算出される。

以上の手順によって、現時点までのプロセスデータ{u(t-n),…,u(t-1)}から1ステップ先の検査結果5の出力の推定値{y^(t)}を予測し、予測値9として出力することができるのである。

しかしながら、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおいては、以下のような問題がある。

すなわち、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおいて用いられている予測手法は、線形重回帰予測に基づくモデル式(線形重回帰式8)を作成し、この線形重回帰式8に基づいて1ステップ先の検査結果5の推定値を予測するようにしている。この場合、上記モデルの作成において、目的変数のデータ(y1,…,yn)を最も良く説明できる平面(モデル平面)が予測モデルである。ここで、回帰係数のベクトルは上記モデル平面の法線ベクトルとなる。

上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおいては、回帰係数の数は説明変数(x11,…,xnp)の数に1を加算した数に等しい。ここで、説明変数はプロセスデータ4を示し、目的変数は検査結果5を示す。また、上記予測モデル作成に用いられている線形重回帰分析においては、上記説明変数の間に相関関係がある場合、つまり説明変数が共線性を有する場合、データの解析を正確に行うことができないという問題がある。

以下に、上記説明変数間の共線性について説明する。図10は、説明変数間に共線性を有しない場合のモデル平面を示しており、線形重回帰によって求められるモデル平面は安定していることを示している。図11は、説明変数間に共線性を有しない場合における予測モデルの更新の説明図である。図11では、上記モデル平面から外れるような「新しいデータ」を用いて予測モデルの更新を行っても、更新されたモデル平面は元のモデル平面(予測モデル)から大きく動くことが無いことを示している。

一方、図12は、説明変数間に共線性を有する場合のモデル平面を示しており、一意な予測モデルが作成できないことが分かる。図13は、説明変数間に共線性を有する場合における予測モデルの更新の説明図である。図13においては、このような不安定な予測モデルに対して、入力された「新しいデータ」を用いて予測モデルの更新を行った場合、更新されたモデル平面は元のモデル平面(予測モデル)から大きく動いてしまうことを示している。つまり、線形重回帰で得られる偏回帰係数は不安定になり予測的なモデルにはならないのである。

また、説明変数間に共線性が無い場合には、予測モデルの回帰係数をカルマンフィルター6等で更新しても、安定したモデル平面を得ることができる。しかしながら、説明変数間に共線性がある場合には、予測モデルの回帰係数をカルマンフィルター6等で更新すると、回帰係数が不安定になり、予測の精度が劣化してしまうのである。

図14は、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおける説明変数間の共線性の例を示しており、説明変数X1と説明変数X2の間に共線性があることを示している。図14は、実際に生産装置の操業を行った際に取得されたデータに基づくものである。このような共線性を有する説明変数が含まれる場合には、正確な予測モデルを作成することができない。

以上のごとく、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムのように、モデル作成に線形重回帰予測を用いた場合には、説明変数間に共線性があると、予測の精度が劣化してしまうという問題がある。

また、製造工程において品質を統計的に管理する手法として、統計的プロセス制御(SPC)が知られているが、予測モデルの出来映え予測値に対して統計的プロセス制御を適用すると、上述と同様に、説明変数間に共線性のある予測モデルを用いた場合には、管理対象期間内における予測モデルの更新により回帰係数が不安定になって予測の精度が劣化し、出来映え予測値に対する安定した統計的プロセス制御が出来ないという問題がある。

さらに、装置の状態変化等によって、出来映え予測値が出来映え実測値から乖離し、予測の精度が劣化することにより、出来映え予測値に対する安定した統計的プロセス制御が出来ないという問題がある。

概要

説明変数間に共線性があっても回帰係数の更新が安定し、出来映えの予測精度を向上できる。予測モジュール17は、プロセスデータ収集部16が収集したプロセスデータ15に基づいて出来映え算出値20を求める。補正モジュール18は、上記出来映え算出値20と補正係数A24とを乗算して補正後出来映え算出値25を算出し、さらに装置間差値21を加算して出来映え予測値23を求める。その後、補正係数修正部22によって、出来映えの実測値19と上記出来映え予測値23とから補正係数A24を算出して修正する。このように、補正モジュール18が用いる予測式の修正を、上記補正係数A24のみを修正して行っている。そのため、説明変数間に共線性を有する場合でも回帰係数の更新が安定し、上記説明変数間の共線性に起因する回帰係数の不安定化と予測の精度の劣化を防ぐことができ、予測精度を向上させることができる。

目的

この発明の課題は、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して予測精度を向上できる出来映え予測装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

素材に対してプロセス処理を行って製品生産する生産装置からプロセスデータを収集するプロセスデータ収集部と、上記収集されたプロセスデータに基づいて、上記プロセス処理が行われた製品の出来映え結果を表す出来映え算出値を、モデル式を用いて算出する予測モジュールと、上記予測モジュールから出力された出来映え算出値に補正係数乗算して補正後出来映え算出値を求めた後、この補正後出来映え算出値に装置間差値加算して出来映え予測値を算出する補正モジュールとを備え、上記補正モジュールの上記補正係数は、同一の製品に関して、上記プロセス処理が行われた製品の出来映えを検査する検査装置から出力された出来映えの実測値と、上記補正モジュールで算出された出来映え予測値との差を補正する係数であり、上記補正モジュールの上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映えの実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置間差および上記検査装置間差を補正する補正値であることを特徴とする出来映え予測装置

請求項2

請求項1に記載の出来映え予測装置において、同一の製品に関して、上記検査装置から出力された出来映えの実測値と上記補正モジュールで算出された出来映え予測値とに基づいて、上記補正係数を修正する補正係数修正部を備えたことを特徴とする出来映え予測装置。

請求項3

請求項2に記載の出来映え予測装置において、上記補正係数修正部は、上記出来映えの実測値と上記出来映え予測値とに基づいて上記補正係数の修正値を求めるカルマンフィルターを含むことを特徴とする出来映え予測装置。

請求項4

請求項2あるいは請求項3に記載の出来映え予測装置において、上記補正係数修正部は、上記補正係数に加えて上記装置間差値をも修正することを特徴とする出来映え予測装置。

請求項5

請求項1から請求項4までの何れか一つに記載の出来映え予測装置において、上記補正モジュールから出力される上記出来映え予測値の履歴予測値記録データとして記録する記録部と、上記記録部に記録された上記予測値記録データに基づいて、上記補正モジュールで算出された上記出来映え予測値が異常であるか否かを、予め定義された異常判定ルールに従って判定する異常判定部と、上記異常判定部による判定結果が異常である場合に、アラームを発生するアラーム発生部とを備えたことを特徴とする出来映え予測装置。

請求項6

請求項5に記載の出来映え予測装置において、上記記録部は、上記予測値記録データに加えて、上記検査装置から出力された上記出来映え実測値の履歴を実測値記録データとして記録するようになっており、上記異常判定部は、上記予測値記録データと、上記予測値記録データと上記実測値記録データとの差分値とに基づいて、予め定義された異常判定ルールに従って、上記出来映え予測値が異常であるか否かを判定するようになっていることを特徴とする出来映え予測装置。

請求項7

素材に対してプロセス処理を行って製品を生産する生産装置から、プロセスデータ収集部によってプロセスデータを収集するプロセスデータ収集ステップと、上記収集されたプロセスデータに基づいて、予測モジュールによって、上記プロセス処理が行われた製品の出来映え結果を表す出来映え算出値を、モデル式を用いて算出する予測ステップと、補正モジュールによって、上記算出された出来映え算出値に補正係数を乗算して補正後出来映え算出値を求めた後、この補正後出来映え算出値に装置間差値を加算して出来映え予測値を算出する補正ステップとを備え、上記補正係数は、同一の製品に関して、上記プロセス処理が行われた製品の出来映えを検査する検査装置から出力された出来映えの実測値と、上記補正ステップで算出された出来映え予測値との差を補正する係数であり、上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映えの実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置間差および上記検査装置間差を補正する補正値であることを特徴とする出来映え予測方法

請求項8

コンピュータを請求項1におけるプロセスデータ収集部,予測モジュールおよび補正モジュールとして機能させることを特徴とする出来映え予測プログラム

請求項9

請求項8に記載の出来映え予測プログラムが記録されたことを特徴とするコンピュータ読出し可能なプログラム記録媒体

技術分野

0001

この発明は、製造される製品出来映え予測する出来映え予測装置、出来映え予測方法、出来映え予測プログラム、および、プログラム記録媒体に関する。

背景技術

0002

現在の半導体工場製造ラインにおいては、より高効率の生産システム構築によってタイムリー生産立ち上げを行う必要がある。このような生産システムには、歩留まりの向上,品質の向上,原価低減,TAT(Turn Around Time:ターンアラウンドタイム)の短縮およびスループット向上の使命がある。そして、このような使命を果たすためには、製造設備の自動化運転生産管理品質管理とを融合した生産システムが必要である。

0003

半導体工場を含む生産工場の生産システムにおいては、生産計画に基づいて生産設備を制御するFMS(Flexible Manufacturing System:フレキシブル生産システム)化が進み、これを実現するためのネットワークを利用したCIM(Computer Integrated Manufacturing:コンピュータ統合生産)化が強力に推進されている。

0004

このような生産工場の上記CIM化における品質の安定化に寄与するような出来映え予測に関する背景技術として、特開2000‐252179号公報(特許文献1)に開示された「半導体製造プロセス安定化支援ステム」がある。

0005

以下、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムを、図9に示す概略図に従って、その概要につて説明する。尚、この概略図は、特許文献1における図7(1)を、本願との構成の差異が容易に分かるようにするため、本願の出来映え予測装置に対応させて書き直したものである。

0006

図9において、生産装置1と検査装置2とを有する製造工程を備えている。そして、プロセス安定化支援システム3では、製造設備単位での生産装置1のパラメータであるプロセスデータ4と検査装置2からの検査結果5との関係を多変数形の線形式近似し、この近似によって算出された係数初期値とするカルマンフィルター6によって、プロセスデータ4と検査結果5との関係を求めることで、現時点までのプロセスデータ4から1ステップ先の出力を推定するようにしている。

0007

上記生産装置1のプロセスデータ4と検査装置2の検査結果5との因果関係は、p個のプロセスデータ4による説明変数行列と検査装置2の出力yとの関係によって表される。プロセスデータ収集部7によって収集蓄積されたn個の実績データによるn行p列の説明変数行列(x11,…,xnp:プロセスデータ)と、検査装置2の出力である目的変数(y1,…,yn:検査結果5)とから、n個の観測方程式としての線形重回帰式8でなるモデル式を下記のように作成する。
y1=β0+β1*x11+β2*x12+…+βp*x1p+ε1
y2=β0+β1*x21+β2*x22+…+βp*x2p+ε2

yn=β0+β1*xn1+β2*xn2+…+βp*xnp+εn
このモデル式のβ0は定数項を、βiは偏回帰係数(xiの回帰係数(i=1,2,…,p))を、εは残差を表す。

0008

また、上記観測方程式における未知パラメータβiの最小二乗推定値を求めると、以下のようになる。

ここで、Xiはプロセスデータを、eiは残差を、Y^は検査結果の予測値を、Yiは検査結果の実測値を表しており、これらの式よりプロセスデータ4と検査結果5との因果関係を表現できるようになる。

0009

上述した線形重回帰式8から算出された係数βiをカルマンフィルター6の初期値として与える。プロセスデータXiの実測値とノイズ因子条件と検査結果5との因果関係を求めるため、Duhamel形の単位図法を用いて動作状態を推定する。この手法により、現時点までの実績データからその先の出来映えを予測することができるのである。

0010

即ち、検査装置2の出力をykとすると
yk(t)=Σhk(t)*u(t-1)+v(t)
となる。尚、yk(t)は時刻tにおける検査結果5の実測値を、hk(t)は単位図を、u(t)は時刻tにおける代表点のプロセスデータを、v(t)は平均0,分散σ2の定常的なガウス雑音を表している。上記式から単位図{hk(t)}を求め、出力y(t)を推定するのである。

0011

上記{h(t)}を状態ベクトルXとすると、カルマンフィルター6を適用した際の予測方程式と観測方程式とは夫々下式のように表される。
X(t+1)=X(t)
y(t)=H(t)*X(t)+v(t)
尚、これらの予測方程式と観測方程式とにおけるy(t)は観測値を、H(t)は{u(t-1),…,u(t-n)}の説明変数ベクトルを、X(t)は{h1,h2,…,hn}の状態変数ベクトルを、v(t)は定常なガウス雑音を表している。

0012

上記予測方程式と観測方程式とにカルマンフィルター6を適用すると、検査装置2の出力{yk(t)}から状態ベクトルXの最小分散推定量である単位応答{hk(t)}を逐次求めることができるのである。

0013

最終的に、上記検査結果5の出力の推定値y^(t)は、下式によって算出される。

0014

以上の手順によって、現時点までのプロセスデータ{u(t-n),…,u(t-1)}から1ステップ先の検査結果5の出力の推定値{y^(t)}を予測し、予測値9として出力することができるのである。

0015

しかしながら、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおいては、以下のような問題がある。

0016

すなわち、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおいて用いられている予測手法は、線形重回帰予測に基づくモデル式(線形重回帰式8)を作成し、この線形重回帰式8に基づいて1ステップ先の検査結果5の推定値を予測するようにしている。この場合、上記モデルの作成において、目的変数のデータ(y1,…,yn)を最も良く説明できる平面(モデル平面)が予測モデルである。ここで、回帰係数のベクトルは上記モデル平面の法線ベクトルとなる。

0017

上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおいては、回帰係数の数は説明変数(x11,…,xnp)の数に1を加算した数に等しい。ここで、説明変数はプロセスデータ4を示し、目的変数は検査結果5を示す。また、上記予測モデル作成に用いられている線形重回帰分析においては、上記説明変数の間に相関関係がある場合、つまり説明変数が共線性を有する場合、データの解析を正確に行うことができないという問題がある。

0018

以下に、上記説明変数間の共線性について説明する。図10は、説明変数間に共線性を有しない場合のモデル平面を示しており、線形重回帰によって求められるモデル平面は安定していることを示している。図11は、説明変数間に共線性を有しない場合における予測モデルの更新の説明図である。図11では、上記モデル平面から外れるような「新しいデータ」を用いて予測モデルの更新を行っても、更新されたモデル平面は元のモデル平面(予測モデル)から大きく動くことが無いことを示している。

0019

一方、図12は、説明変数間に共線性を有する場合のモデル平面を示しており、一意な予測モデルが作成できないことが分かる。図13は、説明変数間に共線性を有する場合における予測モデルの更新の説明図である。図13においては、このような不安定な予測モデルに対して、入力された「新しいデータ」を用いて予測モデルの更新を行った場合、更新されたモデル平面は元のモデル平面(予測モデル)から大きく動いてしまうことを示している。つまり、線形重回帰で得られる偏回帰係数は不安定になり予測的なモデルにはならないのである。

0020

また、説明変数間に共線性が無い場合には、予測モデルの回帰係数をカルマンフィルター6等で更新しても、安定したモデル平面を得ることができる。しかしながら、説明変数間に共線性がある場合には、予測モデルの回帰係数をカルマンフィルター6等で更新すると、回帰係数が不安定になり、予測の精度が劣化してしまうのである。

0021

図14は、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムにおける説明変数間の共線性の例を示しており、説明変数X1と説明変数X2の間に共線性があることを示している。図14は、実際に生産装置の操業を行った際に取得されたデータに基づくものである。このような共線性を有する説明変数が含まれる場合には、正確な予測モデルを作成することができない。

0022

以上のごとく、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムのように、モデル作成に線形重回帰予測を用いた場合には、説明変数間に共線性があると、予測の精度が劣化してしまうという問題がある。

0023

また、製造工程において品質を統計的に管理する手法として、統計的プロセス制御(SPC)が知られているが、予測モデルの出来映え予測値に対して統計的プロセス制御を適用すると、上述と同様に、説明変数間に共線性のある予測モデルを用いた場合には、管理対象期間内における予測モデルの更新により回帰係数が不安定になって予測の精度が劣化し、出来映え予測値に対する安定した統計的プロセス制御が出来ないという問題がある。

0024

さらに、装置の状態変化等によって、出来映え予測値が出来映え実測値から乖離し、予測の精度が劣化することにより、出来映え予測値に対する安定した統計的プロセス制御が出来ないという問題がある。

先行技術

0025

特開2000‐252179号公報

発明が解決しようとする課題

0026

そこで、この発明の課題は、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して予測精度を向上できる出来映え予測装置を提供することにある。

0027

また、説明変数間に共線性がある場合であっても、安定して適用可能な統計的プロセス制御を備えた出来映え予測装置を提供することにある。

0028

また、装置の状態変化等がある場合であっても、安定して適用可能な統計的プロセス制御を備えた出来映え予測装置を提供することにある。

0029

さらに、説明変数間に共線性がある場合であっても、回帰係数の更新が安定して予測精度を向上できる出来映え予測方法,出来映え予測プログラムおよびプログラム記録媒体を提供することにある。

課題を解決するための手段

0030

上記課題を解決するため、この発明の出来映え予測装置は、
素材に対してプロセス処理を行って製品を生産する生産装置からプロセスデータを収集するプロセスデータ収集部と、
上記収集されたプロセスデータに基づいて、上記プロセス処理が行われた製品の出来映え結果を表す出来映え算出値を、モデル式を用いて算出する予測モジュールと、
上記予測モジュールから出力された出来映え算出値に補正係数乗算して補正後出来映え算出値を求めた後、この補正後出来映え算出値に装置間差値を加算して出来映え予測値を算出する補正モジュール
を備え、
上記補正モジュールの上記補正係数は、同一の製品に関して、上記プロセス処理が行われた製品の出来映えを検査する検査装置から出力された出来映えの実測値と、上記補正モジュールで算出された出来映え予測値との差を補正する係数であり、
上記補正モジュールの上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映えの実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置間差および上記検査装置間差を補正する補正値である
ことを特徴としている。

0031

上記構成によれば、予測モジュールでモデル式を用いて算出した出来映え算出値に対して、補正モジュールによって、補正係数を乗算した後に装置間差値を加算する補正を行って出来映え予測値を算出するようにしている。したがって、上記補正モジュールが上記出来映え予測値を算出する際の予測式を、検査装置からの出来映えの実測値と上記補正モジュールで算出された上記出来映え予測値との差に基づいて修正する場合には、上記出来映えの実測値と上記出来映え予測値との差を補正する上記補正係数、あるいは、上記出来映えの実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置間差および上記検査装置間差を補正する上記装置間差値に対して、上記モデル式を用いて算出される上記出来映え算出値とは独立して修正することが可能である。

0032

そのため、上記補正モジュールが上記出来映え予測値を算出する際の予測式における補正項を上記補正係数と上記装置間差値との2つに減らすことができ、回帰係数の数が説明変数の数に等しく、この回帰係数を修正する場合に、多重共線性に起因して、上記回帰係数が不安定になって予測精度が劣化するような従来の重回帰予測に比べて、出来映え予測時の計算量を減らして計算速度を向上することができる。

0033

また、上記予測式中、つまり上記モデル式中における説明変数間に共線性を有する場合であっても、上記補正係数あるいは上記装置間差値を修正する場合に、上記予測式中の回帰係数は安定しており、上記説明変数間の共線性に起因する上記回帰係数の不安定化と上記予測式による予測精度の劣化とを防ぐことができる。すなわち、この発明によれば、出来映えの予測精度を向上させることができるのである。

0034

また、1実施の形態の出来映え予測装置では、
同一の製品に関して、上記検査装置から出力された出来映えの実測値と上記補正モジュールで算出された出来映え予測値とに基づいて、上記補正係数を修正する補正係数修正部を備えている。

0035

この実施の形態によれば、補正係数修正部によって、上記補正係数を修正するようにしている。この場合、上記補正係数の修正は、上記モデル式を用いて算出される上記出来映え算出値とは独立して行うことができる。

0036

したがって、上記補正モジュールが上記出来映え予測値を算出する際の予測式中、つまり上記モデル式中における説明変数間に共線性を有する場合でも、上記補正係数を修正する場合に、上記予測式中の回帰係数は安定しており、上記説明変数間の共線性に起因する回帰係数の不安定化と上記予測式による予測精度の劣化とを防止できる。

0037

また、1実施の形態の出来映え予測装置では、
上記補正係数修正部は、上記出来映えの実測値と上記出来映え予測値とに基づいて上記補正係数の修正値を求めるカルマンフィルターを含んでいる。

0038

この実施の形態によれば、上記補正係数修正部は、カルマンフィルターによって、上記出来映えの実測値と上記出来映え予測値とに基づいて上記補正係数の修正値を求めるようにしている。したがって、得られた上記修正値で上記補正係数を修正することによって、上記補正モジュールによって算出される出来映え予測値の精度を高めることができる。

0039

また、1実施の形態の出来映え予測装置では、
上記補正係数修正部は、上記補正係数に加えて上記装置間差値をも修正する。

0040

この実施の形態によれば、上記補正モジュールが上記出来映え予測値を算出する際の予測式における上記補正係数と上記装置間差値とを修正するようにしている。したがって、上記補正係数あるいは上記装置間差値のみを修正する場合に比して、上記出来映えの予測精度を高めることができる。

0041

また、1実施の形態の出来映え予測装置では、
上記補正モジュールから出力される上記出来映え予測値の履歴を予測値記録データとして記録する記録部と、
上記記録部に記録された上記予測値記録データに基づいて、上記補正モジュールで算出された上記出来映え予測値が異常であるか否かを、予め定義された異常判定ルールに従って判定する異常判定部と、
上記異常判定部による判定結果が異常である場合に、アラームを発生するアラーム発生部と
を備えている。

0042

上記記録部には、上記異常判定部によって上記補正モジュールで算出された上記出来映え予測値が異常であるか否かを判定する際に用いられる上記予測値記録データとして、上記補正モジュールから出力される上記出来映え予測値の履歴が記録されている。さらに、上記異常判定部によって上記判定を行う際に用いられる異常判定ルールとして、上記予測値記録データに基づく値に対する、統計的プロセス制御において一般的に使用されるトレンドチャートやxbar‐R管理図等からなる監視方法と、WE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準とが、定義されている。そして、上記異常判定部は、上記記録部に記録された上記予測値記録データに基づいて、上記予め定義された異常判定ルールに従って、上記補正モジュールで算出された上記出来映え予測値が異常であるか否かを判定するようにしている。

0043

すなわち、この実施の形態によれば、上述したように、上記予測式中、つまり上記モデル式中における説明変数間に共線性を有する場合であっても、上記補正係数または上記装置間差値を修正する場合に、上記予測式中の回帰係数は安定しており、上記説明変数間の共線性に起因する上記回帰係数の不安定化と上記予測式による予測精度の劣化とを防ぐことができる。したがって、上記出来映え予測値に対して安定した統計的プロセス制御を適用することができる。

0044

また、1実施の形態の出来映え予測装置では、
上記記録部は、上記予測値記録データに加えて、上記検査装置から出力された上記出来映え実測値の履歴を実測値記録データとして記録するようになっており、
上記異常判定部は、上記予測値記録データと、上記予測値記録データと上記実測値記録データとの差分値とに基づいて、予め定義された異常判定ルールに従って、上記出来映え予測値が異常であるか否かを判定するようになっている。

0045

上記記録部には、上記異常判定部によって上記補正モジュールで算出された上記出来映え予測値が異常であるか否かを判定する際に用いられる上記予測値記録データとして、上記補正モジュールから出力される上記出来映え予測値の履歴が記録されると共に、上記実測値記録データとして、上記検査装置から出力される上記出来映え実測値の履歴が記録されている。さらに、上記異常判定部によって上記判定を行う際に用いられる異常判定ルールとして、上記予測値記録データに基づく値に対する、統計的プロセス制御で一般的に使用されるトレンドチャートやxbar‐R管理図等からなる監視方法と、WE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準に加えて、上記予測値記録データと上記実測値記録データとの差分値に基づく値に対する、統計的プロセス制御で一般的に使用されるトレンドチャート等からなる監視方法と、WE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準とが、定義されている。そして、上記異常判定部は、上記記録部に記録された上記予測値記録データと、上記予測値記録データと上記実測値記録データとの差分値とに基づいて、上記予め定義された異常判定ルールに従って、上記補正モジュールで算出された上記出来映え予測値が異常であるか否かを判定するようにしている。

0046

すなわち、この実施の形態によれば、上述したように、上記予測式中、つまり上記モデル式中における説明変数間に共線性を有する場合であっても、上記補正係数または上記装置間差値を修正する場合に、上記予測式中の回帰係数は安定しており、上記説明変数間の共線性に起因する上記回帰係数の不安定化と上記予測式による予測精度の劣化とを防ぐことができる。したがって、上記出来映え予測値に対して安定した統計的プロセス制御を適用することができる。

0047

さらに、上記予測値記録データに加えて、上記予測値記録データと上記実測値記録データとの差分値に基づいて、上記出来映え予測値が異常であるか否かを判定するようにしている。したがって、装置の状態の変化等によって、上記出来映え予測値が上記出来映え実測値から乖離した場合であっても、上記出来映え予測値に対して安定した統計的プロセス制御を適用することができる。

0048

また、この発明の出来映え予測方法は、
素材に対してプロセス処理を行って製品を生産する生産装置から、プロセスデータ収集部によってプロセスデータを収集するプロセスデータ収集ステップと、
上記収集されたプロセスデータに基づいて、予測モジュールによって、上記プロセス処理が行われた製品の出来映え結果を表す出来映え算出値を、モデル式を用いて算出する予測ステップと、
補正モジュールによって、上記算出された出来映え算出値に補正係数を乗算して補正後出来映え算出値を求めた後、この補正後出来映え算出値に装置間差値を加算して出来映え予測値を算出する補正ステップ
を備え、
上記補正係数は、同一の製品に関して、上記プロセス処理が行われた製品の出来映えを検査する検査装置から出力された出来映えの実測値と、上記補正ステップで算出された出来映え予測値との差を補正する係数であり、
上記装置間差値は、同一の製品に関して、上記出来映えの実測値と上記出来映え予測値との差における上記生産装置間差および上記検査装置間差を補正する補正値である
ことを特徴としている。

0049

上記構成によれば、上記補正ステップにおいて上記出来映え予測値を算出する際の予測式を、上記出来映えの実測値と上記出来映え予測値との差に基づいて修正する場合には、上記補正係数あるいは上記装置間差値に対して、上記モデル式を用いて算出される上記出来映え算出値とは独立して修正することが可能である。

0050

したがって、上記予測式における補正項を上記補正係数と上記装置間差値との2つに減らすことができ、従来の重回帰予測に比べて、出来映え予測時の計算量を減らして計算速度を向上することができる。

0051

また、上記予測式中、つまり上記モデル式中における説明変数間に共線性を有する場合であっても、上記補正係数あるいは上記装置間差値を修正する場合に、上記予測式中の回帰係数は安定しており、上記説明変数間の共線性に起因する上記回帰係数の不安定化と上記予測式による予測精度の劣化とを防ぐことができる。すなわち、この発明によれば、出来映えの予測精度を向上させることができるのである。

0052

また、この発明の出来映え予測プログラムは、
コンピュータ
この発明の出来映え予測装置におけるプロセスデータ収集部,予測モジュールおよび補正モジュール
として機能させることを特徴としている。

0053

上記構成によれば、この発明の出来映え予測装置の場合と同様に、上記補正モジュールが上記出来映え予測値を算出する際の予測式における補正項を上記補正係数と上記装置間差値との2つに減らすことができ、従来の重回帰予測に比べて、出来映え予測時の計算量を減らして計算速度を向上することができる。

0054

また、上記予測式中、つまり上記予測モジュールが用いるモデル式中の説明変数間に共線性を有する場合であっても、上記補正係数あるいは上記装置間差値を修正する場合に、上記予測式中の回帰係数は安定しており、上記説明変数間の共線性に起因する上記回帰係数の不安定化と上記予測式による予測精度の劣化とを防ぐことができる。すなわち、この発明によれば、出来映えの予測精度を向上させることができるのである。

0055

また、この発明のコンピュータ読出し可能なプログラム記録媒体は、
この発明の出来映え予測プログラムが記録されたことを特徴としている。

0056

上記構成によれば、本プログラム記録媒体をコンピュータで読み出して実行することによって、この発明の出来映え予測装置の場合と同様に、上記補正モジュールが上記出来映え予測値を算出する際の予測式における補正項を上記補正係数と上記装置間差値との2つに減らすことができ、従来の重回帰予測に比べて、出来映え予測時の計算量を減らして計算速度を向上することができる。

0057

また、上記予測式中、つまり上記予測モジュールが用いるモデル式中の説明変数間に共線性を有する場合であっても、上記補正係数あるいは上記装置間差値を修正する場合に、上記予測式中の回帰係数は安定しており、上記説明変数間の共線性に起因する上記回帰係数の不安定化と上記予測式による予測精度の劣化とを防ぐことができる。

発明の効果

0058

上より明らかなように、この発明によれば、予測モジュールでモデル式を用いて算出した出来映え算出値に対して、補正モジュールによって、補正係数を乗算した後に装置間差値を加算する補正を行って出来映え予測値を算出するので、上記補正モジュールが上記出来映え予測値を算出する際の予測式を、検査装置からの出来映えの実測値と上記補正モジュールで算出された上記出来映え予測値との差に基づいて修正する場合には、上記補正係数あるいは上記装置間差値に対して、上記モデル式を用いて算出される上記出来映え算出値とは独立して修正することが可能となる。

0059

したがって、上記補正モジュールが上記出来映え予測値を算出する際の予測式における補正項を上記補正係数と上記装置間差値との2つに減らすことができ、従来の重回帰予測に比べて、出来映え予測時の計算量を減らして計算速度を向上することができる。

0060

また、上記予測式中、つまり上記モデル式中における説明変数間に共線性を有する場合であっても、上記補正係数あるいは上記装置間差値を修正する場合に、上記予測式中の回帰係数は安定しており、上記説明変数間の共線性に起因する上記回帰係数の不安定化と上記予測式による予測精度の劣化とを防ぐことができる。すなわち、この発明によれば、出来映えの予測精度を向上させることができるのである。

図面の簡単な説明

0061

この発明の出来映え予測装置として機能する仮想計測モジュールにおける概略構成を示す図である。
図1における生産装置の一例としての成膜装置を示す図である。
図1における生産装置の他の例としての成膜装置を示す図である。
図1における仮想計測モジュールと特許文献1とによる予測誤差の比較図である。
図1における仮想計測モジュールと特許文献1とによる予測誤差の時系列変化を示す図である。
図1とは異なる出来映え予測装置における概略構成を示す図である。
図1および図5とは異なる出来映え予測装置における概略構成を示す図である。
図1,図5および図6とは異なる出来映え予測装置における概略構成を示す図である。
図7における予測値記録データと実測値記録データとの差分値の絶対値のトレンドチャートを示す図である。
上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムの概略図である。
説明変数間に共線性を有しない場合のモデル平面を示す図である。
説明変数間に共線性を有しない場合の予測モデルの更新の説明図である。
説明変数間に共線性を有する場合のモデル平面を示す図である。
説明変数間に共線性を有する場合の予測モデルの更新の説明図である。
上記特許文献1における説明変数間の共線性を例示する図である。

実施例

0062

以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。

0063

・第1実施の形態
図1は、本実施の形態の出来映え予測装置における概略構成を示す。図1において、11は、出来映え予測装置として機能する仮想計測モジュールである。また、12は、仮想計測モジュール11によって出来映えが予測される製品を製造する製造工程である。本製造工程12は、電子デバイスの製造工程であり、生産装置13と検査装置14とが配置されている。そして、上記素材および上記製品としての基板に対して生産装置13でプロセス処理を行い、処理が施された基板の出来映えを検査装置14で検査するのである。

0064

次に、上記製造工程12から取得されたデータに基づいて、基板の出来映えを予測する仮想計測モジュール11について説明する。

0065

本仮想計測モジュール11は、生産装置13から出力される生産に関わるデータであるプロセスデータ15を収集するプロセスデータ収集部16と、プロセスデータ15に基づいて出来映え結果を表す出来映え算出値を算出する予測モジュール17と、上記出来映え算出値を補正して出来映え予測値を算出する補正モジュール18と、補正係数修正部22とを含んでいる。

0066

上記プロセスデータ収集部16は、生産装置13から送信されたプロセスデータ15を受信し、予測モジュール17に送出する。そうすると、予測モジュール17は、モデル式に基づいて出来映え算出値(f(x1,x2,…,xp))20を求める。上記モデル式は、プロセスデータ15と、検査装置14から送信される出来映えの実測値19とに基づいて、線形重回帰分析あるいは部分最小二乗法(PLS:Partial Least Squares)等の回帰分析やニューラルネットワーク等の手法を用いて導出される。尚、こうして導出された上記モデル式は、予測モジュール17に予め搭載されている。

0067

装置間差値21は、上記生産装置13の個体差と検査装置14の個体差とから算出される値であり、予め仮想計測モジュール11に搭載されている。ここで、上記生産装置13に含まれる1つの成膜装置(後述)は複数の処理室(チャンバ:chamber)を有している場合がある。さらに、夫々の上記処理室は、複数の基板を同時に処理するために、後述する基板設置用の複数段備えている場合がある。したがって、上述した生産装置13の個体差には、生産装置13の号機の差、生産装置13に含まれる上記成膜装置の上記処理室間の差、上記棚の段数の差が含まれる。

0068

図2Aに、上記生産装置13の一例として、複数の上記処理室(チャンバ)と複数段の上記棚とを備えた生産装置13aを示す。この生産装置13aは、3つのチャンバ27aを有し、各チャンバ27a毎に5段の棚28aを有して、同時に5枚の基板を処理することが可能な成膜装置26aである。

0069

尚、上記処理室は、複数の基板を同時に処理するために、後述するような基板設置用の位置を複数備えている場合もある。したがって、その場合には、上述した生産装置13の個体差には、生産装置13の号機の差、生産装置13に含まれる上記成膜装置の上記処理室間の差、上記位置の差が含まれることになる。

0070

図2Bに、上記生産装置13の他の例として、複数の上記処理室(チャンバ)と複数の上記位置とを備えた生産装置13bを示す。この生産装置13bは、3つのチャンバ27bを有し、各チャンバ27b毎に5箇所の位置28bを有して、同時に5枚の基板を処理することが可能な成膜装置26bである。

0071

図1において、補正係数修正部22は、仮想計測モジュール11によって後に述べるようにして算出された出来映え予測値23と、検査装置14から送信される出来映えの実測値19とから、同一製品に関する出来映え予測値23と出来映えの実測値19の差を補正するための係数である「補正係数」24を算出する。尚、補正係数24の初期値は「1」に設定される。そうすると、補正モジュール18は、予測モジュール17によって算出された出来映え算出値20に、補正係数修正部22によって算出された補正係数24を乗算して、補正後出来映え算出値25を算出する。更に、この補正後出来映え算出値25に、上述したように予め算出されて搭載されている装置間差値21を加算して、出来映え予測値23を求めるのである。

0072

次式(1)は、上記補正モジュール18によって出来映え予測値23を求める際の予測式である。
Y=α*f(x1,x2,…,xp)+γ …(1)
予測式(1)において、Yは出来映え予測値23(目的変数)であり、f(x1,x2,…,xp)は出来映え算出値20であり、x1,x2,…,xpはプロセスデータ15(pはプロセスデータ数)の実測データ(説明変数)であり、γは装置間差値21であり、αは補正係数24である。

0073

上記補正係数修正部22は、カルマンフィルターを含んでおり、上述したように、出来映えの実測値19と出来映え予測値23とから補正係数24を算出する。そして、この新たに算出された補正係数24によって、前回出来映え予測値23を算出する際に用いた補正係数24を更新することによって、補正モジュール18によって出来映え予測値23を算出する際に用いる予測式(1)の更新を行うのである。

0074

上記補正係数修正部22によって、補正係数24を算出するため上記カルマンフィルターを適用するに当たり、観測方程式と予測方程式とは次式(2)および式(3)で表される。
y(t)=H(t)*X(t)+v(t) …(2)
X(t+1)=X(t)+w(t) …(3)
上記方程式において、y(t)は出来映えの観測値(目的変数行列)であり、H(t)はプロセスデータ(説明変数行列)であり、X(t)は回帰係数であり、v(t)は観測ノイズであり、w(t)はプロセスノイズである。

0075

ここで、プロセスデータH(t)および回帰係数X(t)は、以下の式(4)および式(5)で表される。
H(t)=f(x1,x2,…,xp) …(4)
X(t)=[α] …(5)
回目の回帰係数X(t)の予測値X^(t)は、下式(6)のようになる。
X^(t)=X^(t-1) …(6)
X^により、観測値の予測値y^(t)は次式(7)のようになる。

0076

ところで、本実施の形態においては、上記補正係数修正部22によって修正用の補正係数24のみを算出し、この補正係数24を用いて出来映え予測値23を算出するものであり、その算出手順を以下に述べる。

0077

先ず、上記補正係数修正部22のカルマンフィルターによって、出来映えの実測値19と出来映え予測値23とから、補正係数24を導出する。補正係数24の初期値は上述のごとく「1」とする。

0078

次に、上記生産装置13から送信されるプロセスデータ15に基づいて、予測モジュール17によって出来映え算出値20を算出する。そして、補正モジュール18によって、出来映え算出値20に補正係数24を乗算した値に、別途入力された装置間差値21を加算することによって、出来映え予測値23を算出するのである。この場合、予測モジュール17の上記モデル式を線形重回帰予測によって作成し、出来映え予測値23をYと置くと、Yは次の予測式(8)で表される。
Y=α*(β0+β1*X1+β2*X2+…+βp*Xp)+γ…(8)

0079

上記予測式(8)において、αは補正係数24であり、γは装置間差値21である。さらに、β0は定数項であり、βiは偏回帰係数(Xiの回帰係数(i=1,2,…,p))である。ここで、補正係数24は、補正係数修正部22によって生産装置13の処理室(チャンバ)(図2参照)ごとに算出される。

0080

以上のごとく、本実施の形態においては、出来映え予測装置として機能する仮想計測モジュール11を、プロセスデータ収集部16と、予測モジュール17と、補正モジュール18と、補正係数修正部22とを含んで構成する。

0081

そして、上記予測モジュール17によって、プロセスデータ収集部16で収集した生産装置13からのプロセスデータ15に基づいて、モデル式に従って出来映え算出値20を求める。そうすると、補正モジュール18は、予測式(1)あるいは予測式(8)に従って、出来映え算出値20と補正係数24とを乗算して補正後出来映え算出値25を算出し、この補正後出来映え算出値25に装置間差値21を加算して出来映え予測値23を求める。こうして、生産装置13からのプロセスデータ15から出来映え予測値23を求めるのである。そうした後、補正係数修正部22のカルマンフィルターによって、検査装置14からの出来映えの実測値19と上記出来映え予測値23とから補正係数24を算出・更新する。

0082

その場合、上記補正モジュール18が出来映え予測値23を算出する際に用いる予測式は、予測式(8)から分かるように、プロセスデータ15の数p個の回帰係数を用いた、説明変数と目的変数とに基づく1つの予測式である。さらに、説明変数の数に関わらず、生産装置13の時系列による変化等を補正係数24(α)で、および、生産装置13の個体差による変化等を装置間差値21(γ)で、補正するようにしている。

0083

したがって、出来映え予測を行う際の計算量を減らすと共に、計算速度を向上させて、迅速に出来映え予測値23を算出することができる。

0084

また、本実施の形態における上記予測式の修正では、上記補正係数24のみの修正を上記回帰係数とは独立して行うようにしている。そのため、説明変数間、つまりプロセスデータ間に共線性を有するような場合であっても、回帰係数の更新が安定しているため、上記説明変数間の共線性に起因する回帰係数の不安定化と予測精度の劣化とを防ぐことができ、予測精度を向上させることができる。

0085

図3は、本実施の形態の仮想計測モジュールおよび上記特許文献1の半導体製造プロセス安定化支援システムによる予測値と実績値との差(予測誤差)を比較したものであり、実際に生産装置を操業した際のデータに基づくものである。尚、図3における予測値と実測値との誤差は、出来映えの目標値に対する二乗平均平方根(RMS:Root Mean Square)の百分率である。上記特許文献1におけるモデル式では、複数の回帰係数によってモデル式の修正(更新)を行っている。これに対して、本実施の形態における予測式では、一つの回帰係数(補正係数24)によって予測式の修正(更新)を行っている。図3より、本実施の形態においては、上記特許文献1と比較して予測値と実測値との誤差の値が小さくなっており、本実施の形態が有効であることが分かる。

0086

図4は、本実施の形態の仮想計測モジュールおよび上記特許文献1の半導体製造プロセス安定化支援システムにおける予測誤差の時系列変化を示し、実際に生産装置を操業した際のデータに基づくものである。また、上記予測誤差は、出来映え予測値と出来映えの実測値との差である。図4より、本実施の形態による予測式の修正を行った場合の方が、上記特許文献1による予測式の修正を行った場合よりも、予測誤差が小さくなっていることが分かる。

0087

・第2実施の形態
図5は、本実施の形態の出来映え予測装置における概略構成を示す。図5において、31は、出来映え予測装置として機能する仮想計測モジュールである。また、32は、仮想計測モジュール31によって出来映えが予測される製品を製造する製造工程である。

0088

また、生産装置33,検査装置34,プロセスデータ35,プロセスデータ収集部36,予測モジュール37,補正モジュール38,出来映えの実測値39,出来映え算出値40,出来映え予測値41,「補正係数」42および補正後出来映え算出値43は、上記第1実施の形態において、図1に示す生産装置13,検査装置14,プロセスデータ15,プロセスデータ収集部16,予測モジュール17,補正モジュール18,出来映えの実測値19,出来映え算出値20,出来映え予測値23,「補正係数A」24および補正後出来映え算出値25と同じであるため、詳細な説明は省略する。

0089

本実施の形態における装置間差値44は、上記第1実施の形態における装置間差値21の場合と同様に、生産装置33の個体差と検査装置34の個体差とから算出される値であって、予め仮想計測モジュール31に搭載されている。尚、生産装置33の個体差には、生産装置33の号機の差、生産装置33である上記成膜装置(図2A,2B参照)の上記処理室(チャンバ)間の差、上記基板設置用の棚の段数あるいは位置の差が含まれる。但し、本実施の形態における装置間差値44は、後に詳述するように修正される点において、上記第1実施の形態の装置間差値21とは異なる。

0090

補正係数修正部45は、カルマンフィルターを含んでおり、出来映えの実測値39と出来映え予測値41とから補正係数42(初期値は上記第1実施の形態と同様に「1」とする)を算出する。さらに、補正係数修正部45は、同一製品に関する出来映え予測値41と出来映えの実測値39との差の生産装置33間差および検査装置34間差を補正するための補正値である装置間差値44を算出する。そして、この新たに算出された補正係数42によって、前回出来映え予測値41を算出する際に用いた補正係数42を修正する。さらに、上記新たに算出された装置間差値44によって、前回出来映え予測値41を算出する際に用いた装置間差値44を修正する。こうして、補正モジュール38によって出来映え予測値41を算出する際に用いる予測式の修正を行うのである。

0091

そうすると、上記補正モジュール38は、予測モジュール37によってプロセスデータ36に基づいて算出された出来映え算出値40に、修正後の補正係数42を乗算して、補正後出来映え算出値43を算出する。さらに、この補正後出来映え算出値43に、出来映え予測の対象となる生産装置33に関する修正後の装置間差値44を加算して、次の出来映え予測値41を求めるのである。この場合、出来映え予測値41をYと置くと、Yは次の予測式(9)で表される。
Y=α*f(x1,x2,…,xp)+γ …(9)
特に、予測モジュール37の上記モデル式を線形重回帰予測によって作成した場合には、予測式(9)は下式(10)のように表される。
Y=α*(β0+β1*X1+β2*X2+…+βp*Xp)+γ…(10)

0092

上記予測式(10)において、αは補正係数42であり、γは装置間差値44である。また、β0は定数項であり、βiは偏回帰係数(Xiの回帰係数(i=1,2,…,p))である。ここで、補正係数42は、補正係数修正部45によって、生産装置33の処理室(チャンバ)(図2参照)ごとに算出される。

0093

また、本実施の形態における観測方程式と予測方程式とは次式(11)および式(12)で表される。
y(t)=H(t)*X(t)+v(t) …(11)
X(t+1)=X(t)+w(t) …(12)
ここで、プロセスデータH(t)および回帰係数X(t)は、以下の式(13)および式(14)で表される。
H(t)=f(x1,x2,…,xp) …(13)
X(t)=[α γ]T(Tは転置行列) …(14)

0094

以上のごとく、本実施の形態の仮想計測モジュール31によって、プロセスデータ35と出来映えの実測値39と予め設定された予測モジュール37の上記モデル式と予め設定された装置間差値44から出来映え予測値41を算出する。

0095

また、上記第1実施の形態の場合と同様に、上記出来映え予測値41と出来映えの実測値39とに基づいて、補正係数修正部45のカルマンフィルターによって算出された補正係数Aで、補正係数42を修正する。さらに加えて、本実施の形態においては、補正係数修正部45のカルマンフィルターによって算出された装置間差値で、装置間差値44を修正する。こうして、出来映え予測値41を算出する予測式の修正を行うのである。

0096

このように、本実施の形態における上記予測式の修正においては、上記補正係数42と装置間差値44との両方の修正を上記回帰係数とは独立して行うようにしている。したがって、予測式(9),(10)における説明変数間、つまりプロセスデータ間に共線性を有するような場合であっても、回帰係数の更新が安定しているため、上記説明変数間の共線性に起因する回帰係数の不安定化と予測の精度の劣化を防ぐことができる。さらに、補正係数42に加えて装置間差値44をも修正するので、補正係数42のみを修正する上記第1実施の形態の場合に比して、さらに予測精度を向上させることができるのである。

0097

・第3実施の形態
図6は、本実施の形態の出来映え予測装置における概略構成を示す。図6において、51は、出来映え予測装置として機能する仮想計測モジュールである。また、52は、仮想計測モジュール51によって出来映えが予測される製品を製造する製造工程である。さらに、本実施の形態においては、記録部62,異常判定部65およびアラーム発生部67を有している。この点において、本実施の形態は、上記第1実施の形態および上記第2の実施の形態とは相違する。

0098

また、仮想計測モジュール51,製造工程52,生産装置53,検査装置54,プロセスデータ55,出来映え実測値59および出来映え予測値61は、上記第1実施の形態において、図1に示す仮想計測モジュール11,製造工程12,生産装置13,検査装置14,プロセスデータ15,出来映え実測値19および出来映え予測値23、あるいは、上記第2実施の形態において、図5に示す仮想計測モジュール31,製造工程32,生産装置33,検査装置34,プロセスデータ35,出来映え実測値39および出来映え予測値41と同じであるため、これらの説明は省略する。

0099

上記記録部62は、上記異常判定部65が異常か否かを判定する際に用いられる出来映え予測値61の履歴データを、予測値記録データ63として記録する。そして、異常判定部65は、記録部62に記録された予測値記録データ63に基づいて、予め定義されてメモリ等に記憶された異常判定ルール66に従って出来映え予測値61が異常か否かを判定する。ここで、異常判定ルール66は、予測値記録データ63に基づく値に対する、統計的プロセス制御で一般的に使用されるトレンドチャートやxbar‐R管理図等からなる監視方法と、WE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準とを、定義したものである。

0100

上記アラーム発生部67は、上記異常判定部65の判定結果に基づいて、電子メールの送信、表示装置への表示、ネットワークを介して接続された他の情報装置への通信等によって、異常の発生を担当エンジニアに伝達する。

0101

上記構成を有する出来映え予測装置においては、上記第1実施の形態において、図3および図4で示したように、上記特許文献1に開示された半導体製造プロセス安定化支援システムに比して予測値と実測値との誤差が小さくなっており、管理対象期間内における予測モデルの更新によって予測の精度が劣化することを防止できる。したがって、出来映え予測値に対する安定した統計的プロセス制御を行なうことができる。

0102

・第4実施の形態
図7は、本実施の形態の出来映え予測装置における概略構成を示す。図7において、仮想計測モジュール71,製造工程72,生産装置73,検査装置74,プロセスデータ75,出来映え実測値79および出来映え予測値81は、上記第1実施の形態において、図1に示す仮想計測モジュール11,製造工程12,生産装置13,検査装置14,プロセスデータ15,出来映え実測値19および出来映え予測値23、あるいは、上記第2実施の形態において、図5に示す仮想計測モジュール31,製造工程32,生産装置33,検査装置34,プロセスデータ35,出来映え実測値39および出来映え予測値41と同じであるため、これらの説明は省略する。

0103

また、本実施の形態の出来映え予測装置における記録部82,異常判定部85およびアラーム発生部87の構成は、上記第3実施の形態における記録部62,異常判定部65およびアラーム発生部67の構成と、以下の点で異なる。

0104

すなわち、上記記録部82は、上記異常判定部85が異常か否かを判定する際に用いられるデータとして、出来映え予測値81の履歴データである予測値記録データ83に加えて、出来映え実測値79の履歴データを実測値記録データ84として記録する。

0105

また、上記異常判定部85は、記録部82に記録されている予測値記録データ83に加えて、予測値記録データ83と実測値記録データ84との差分値に基づいて、予め定義されてメモリ等に記憶された異常判定ルール86に従って、出来映え予測値81が異常か否かを判定する。ここで、異常判定ルール86は、予測値記録データ83に基づく値に対する、統計的プロセス制御で一般的に使用されるトレンドチャートやxbar‐R管理図等からなる監視方法と、WE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準とに加えて、予測値記録データ83と実測値記録データ84との差分値に基づく値に対する、統計的プロセス制御で一般的に使用されるトレンドチャート等からなる監視方法と、WE(Western Electric)ルールやJISルール等からなる異常傾向の判断基準とを、定義したものである。

0106

上記予測値記録データ83と実測値記録データ84の差分値に基づいた監視方法とは、例えば、予測値記録データ83と実測値記録データ84との差分値の絶対値のトレンドチャートである。また、異常傾向の判断基準は、例えば、上記差分値が閾値よりも小さい場合には、出来映え予測値81は出来映え実測値79に追随できているものと判断する。また、上記差分値が閾値よりも大きい場合には、出来映え予測値81が出来映え実測値79から大きく外れる異常が発生していると判断する。また、所定数の連続した上記差分値が閾値を超えている場合や、第1の所定数の連続した上記差分値中における第2の所定数の上記差分値が閾値を超えている場合には、出来映え予測値81が出来映え実測値79から継続して大きく外れる異常が発生していると判断する。

0107

図8は、上記予測値記録データ83と実測値記録データ84との差分値の絶対値のトレンドチャートの例を示すグラフである。図8においては、例えば、予測値記録データ83と実測値記録データ84との差分値の絶対値が閾値を超えた場合には、閾値を超える異常の発生と判断する。さらに、所定数以上の上記差分値の絶対値が連続して閾値を超えている場合には、継続して閾値を超える異常の発生と判断するようにしている。

0108

ここで、上記異常判定部85は、上記予測値記録データ83と実測値記録データ84との差分値に基づく異常判定の結果に基づいて、例えば予め設定された閾値を超える異常が発生した場合には予測値記録データ83に基づく異常判定結果を無効にするなどして、予測値記録データ83に基づく異常判定を補正するようにしてもよい。

0109

上記アラーム発生部87は、上記異常判定部85の判定結果に基づいて、電子メールの送信、表示装置への表示、ネットワークを介して接続された他の情報装置への通信等によって、異常の発生を担当エンジニアに伝達する。

0110

このように、上記予測値記録データ83と実測値記録データ84との差分値に基づく異常判定と、予測値記録データ83に基づく異常判定との、両方の異常判定の結果が担当エンジニアに伝達されることによって、予測値記録データ93に基づく異常判定の信頼性を高めることができる。それと共に、継続して閾値を超える異常が発生している場合には、予測モデルの根本的な見直しが必要か否かの判断材料とすることができる。したがって、装置の状態の変化等により、出来映え予測値が出来映え実測値から乖離した場合でも、上記モデル式による出来映え予測値に対して安定した統計的プロセス制御を適用することができる。

0111

尚、この発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記第1実施の形態〜上記第4実施の形態においては、上記予測の対象となる出来映えは、検査装置14,34,54,74から送信される出来映えの実測値19,39,59,79としている。しかしながら、この発明は、これに限定されるものではなく、一般的な品質データや特性データやそれらから間接的に算出されるデータであっても差し支えない。

0112

また、上記第1実施の形態〜上記第4実施の形態においては、出来映え予測装置を、成膜装置を用いた基板の製造に利用している。しかしながら、この発明はこれに限定されるものではなく、半導体の製造、太陽電池の製造、薄型表示デバイスの製造、および、鉄鋼の製造等の、様々な素材を用いた製造分野に利用してもよく、生産装置からのプロセスデータに基づいて製品の出来映え予測を行うことができる。

0113

半導体の製造,太陽電池の製造,薄型表示デバイスの製造および鉄鋼の製造等の様々な分野において、生産装置からのプロセスデータに基づいて製品の出来映え予測を行うことが可能となる。

0114

11,31,51,71…仮想計測モジュール、
12,32,52,72…製造工程、
13,13a,13b,33,53,73…生産装置、
14,34,54,74…検査装置、
15,35,55,75…プロセスデータ、
16,36…プロセスデータ収集部、
17,37…予測モジュール、
18,38…補正モジュール、
19,39,59,79…出来映えの実測値、
20,40…出来映え算出値、
21,44…装置間差値、
22,45…補正係数修正部、
23,41,61,81…出来映え予測値、
24,42…補正係数、
25,43…補正後出来映え算出値、
26a,26b…成膜装置、
27a,27b…チャンバ、
28a…棚、
28b…各チャンバ内における基板の位置、
62,82…記録部、
63,83…予測値記録データ、
65,85…異常判定部、
66,86…異常判定ルール、
67,87…アラーム発生部、
84…実測値記録データ。

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