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技術 エンジンの制御装置

出願人 川崎重工業株式会社
発明者 坂中哲竹内強
出願日 2009年4月28日 (11年8ヶ月経過) 出願番号 2009-108971
公開日 2010年11月11日 (10年1ヶ月経過) 公開番号 2010-255589
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関に供給する空気・燃料の電気的制御 内燃機関の複合的制御
主要キーワード 歯付きロータ 試行値 所定率 エレクトリックコントロールユニット 関係曲線 トルクピーク 変速ギヤ位置 供給箇所
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

空燃比センサを用いずに空燃比を調整する。

解決手段

定常運転状態が検出されると、スロットルバルブ開度を略一定に保ちながら、補正係数初期設定値K(n)から増量試行値KP(n)に一時的に変更することで、燃料噴射量を増量する増量試行運転(ステップ4)と、補正係数を初期設定値K(n)から減量試行値KM(n)に一時的に変更することで、燃料噴射量を減量する減量試行運転(ステップS6)と、を含んでおり、ステップ4でエンジン回転数が増大すれば補正係数の初期設定値K(n+1)を増量試行値KP(n)に書き換え、ステップS6でエンジン回転数が増大すれば補正係数の初期設定値K(n+1)を減量試行値KM(n)に書き換え、ステップS4及びステップS6でエンジン回転数が減少すれば補正係数の初期設定値K(n+1)を初期設定値K(n)のまま変更しない。

概要

背景

エンジン内燃機関)では、エンジンの運転状態に応じて適切な空燃比となるように、シリンダ内への吸入空気量に応じて、燃料噴射量が制御されている。しかし、燃料噴射装置は、経年劣化によって、目標値として指令された燃料噴射量を噴射できなくなることがある。そして、実際の燃料噴射量が、指令された燃料噴射量の目標値とは異なる状態となってしまう。また、エタノール燃料の利用など、燃料の質が変化する場合は、燃料噴射量の目標値自体が変わってしまう。この場合は、燃料噴射装置が正常に作動したとしても、目標値自体が間違っているために、運転状態に応じた燃料噴射が行われないことになる。このような不具合を改善するため、排気管内空燃比センサを設置し、空燃比センサの検出情報を利用して燃料噴射量を調整するエンジン制御装置が知られている(特許文献1)。

概要

空燃比センサを用いずに空燃比を調整する。定常運転状態が検出されると、スロットルバルブ開度を略一定に保ちながら、補正係数初期設定値K(n)から増量試行値KP(n)に一時的に変更することで、燃料噴射量を増量する増量試行運転(ステップ4)と、補正係数を初期設定値K(n)から減量試行値KM(n)に一時的に変更することで、燃料噴射量を減量する減量試行運転(ステップS6)と、を含んでおり、ステップ4でエンジン回転数が増大すれば補正係数の初期設定値K(n+1)を増量試行値KP(n)に書き換え、ステップS6でエンジン回転数が増大すれば補正係数の初期設定値K(n+1)を減量試行値KM(n)に書き換え、ステップS4及びステップS6でエンジン回転数が減少すれば補正係数の初期設定値K(n+1)を初期設定値K(n)のまま変更しない。

目的

本発明は、燃料噴射量の制御装置付属している装置を利用して、空燃比センサ等の新たな装置を設けることなく、空燃比に応じた燃料噴射量の調整を可能とする制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

吸気中燃料を供給する燃料供給手段と、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、前記燃料供給手段による燃料供給量を調量する制御手段と、を備えた、エンジン制御装置において、前記制御手段は、前記スロットル開度が略一定に維持されることによって前記エンジン回転数が略一定に維持されている定常運転状態が検出されると、前記定常運転状態における前記燃料供給量の設定値とは異なる試行値の燃料を供給する試行運転を実行し、前記定常運転状態におけるエンジン回転数と前記試行運転におけるエンジン回転数とを比較し、前記試行運転におけるエンジン回転数が、前記定常運転状態におけるエンジン回転数より高い場合に、前記設定値を、前記試行値と等しい新たな設定値に更新する、調整制御を、実行するように構成されている、エンジンの制御装置。

請求項2

前記試行運転は、前記設定値よりも増量された前記試行値の燃料を供給する増量試行運転と、前記設定値よりも減量された前記試行値の燃料を供給する減量試行運転と、を含んでいる、請求項1に記載のエンジンの制御装置。

請求項3

前記制御手段は、前記調整制御を繰り返し実行する、請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。

請求項4

前記制御手段は、前記調整制御において前記設定値が更新されなかった場合に、前記調整制御における前記設定値と前記試行値との差よりも小さい差の新たな試行値により、前記調整制御を再度実行する、請求項3に記載のエンジンの制御装置。

請求項5

前記エンジンが複数の気筒を備えると共に、前記気筒毎に前記燃料供給手段を備えており、前記制御手段は、前記気筒毎に前記調整制御を実行可能に構成されている、請求項1乃至4のいずれか一つに記載のエンジンの制御装置。

技術分野

0001

エンジン燃料噴射量の制御装置に関する。

背景技術

0002

エンジン(内燃機関)では、エンジンの運転状態に応じて適切な空燃比となるように、シリンダ内への吸入空気量に応じて、燃料噴射量が制御されている。しかし、燃料噴射装置は、経年劣化によって、目標値として指令された燃料噴射量を噴射できなくなることがある。そして、実際の燃料噴射量が、指令された燃料噴射量の目標値とは異なる状態となってしまう。また、エタノール燃料の利用など、燃料の質が変化する場合は、燃料噴射量の目標値自体が変わってしまう。この場合は、燃料噴射装置が正常に作動したとしても、目標値自体が間違っているために、運転状態に応じた燃料噴射が行われないことになる。このような不具合を改善するため、排気管内空燃比センサを設置し、空燃比センサの検出情報を利用して燃料噴射量を調整するエンジン制御装置が知られている(特許文献1)。

先行技術

0003

特開2005−337089号公報

発明が解決しようとする課題

0004

空燃比の検出情報に基づいて燃料噴射量を調整する場合、空燃比センサをエンジンに設置する必要がある。しかし、空燃比センサは高価である。

0005

そこで、本発明は、燃料噴射量の制御装置に付属している装置を利用して、空燃比センサ等の新たな装置を設けることなく、空燃比に応じた燃料噴射量の調整を可能とする制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本願の第1発明は、吸気中に燃料を供給する燃料供給手段と、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、前記燃料供給手段による燃料供給量を調量する制御手段と、を備えた、エンジンの制御装置において、前記制御手段は、前記スロットル開度が略一定に維持されることによって前記エンジン回転数が略一定に維持されている定常運転状態が検出されると、前記定常運転状態における前記燃料供給量の設定値とは異なる試行値の燃料を供給する試行運転を実行し、前記定常運転状態におけるエンジン回転数と前記試行運転におけるエンジン回転数とを比較し、前記試行運転におけるエンジン回転数が、前記定常運転状態におけるエンジン回転数より高い場合に、前記設定値を、前記試行値と等しい新たな設定値に更新する、調整制御を、実行するように構成されている。

0007

前記第1発明は、次の構成(a)〜(d)を採用することが好ましい。

0008

(a)前記試行運転は、前記設定値よりも増量された前記試行値の燃料を供給する増量試行運転と、前記設定値よりも減量された前記試行値の燃料を供給する減量試行運転と、を含んでいる。

0009

(b)前記制御手段は、前記調整制御を繰り返し実行する。

0010

(c)前記制御手段は、前記調整制御において前記設定値が更新されなかった場合に、
前記調整制御における前記設定値と前記試行値との差よりも小さい差の新たな試行値により、前記調整制御を再度実行する。

0011

(d)前記エンジンが複数の気筒を備えると共に、前記気筒毎に前記燃料供給手段を備えており、前記制御手段は、前記気筒毎に前記調整制御を実行可能に構成されている。

発明の効果

0012

本願の第1発明及び構成(a)によれば、調整制御により、スロットルバルブ開度を略一定に保ちながら補正係数を変化させて、エンジン回転数の変化を追跡した結果を利用して、エンジン回転数が増大するように補正係数を変更するので、空燃比情報直接検出することなく、適正な燃料噴射量となるように補正係数を調整できる。このため、燃料噴射量の制御装置に付属している装置を利用して、空燃比センサ等の新たな装置を設けることなく、空燃比に応じた燃料噴射量の調整が可能である。

0013

更に、構成(b)、(c)によれば、より一層、出力最大の空燃比に近づくように実際の空燃比を調整できる。

0014

更に、構成(d)によれば、調整制御を全気筒一斉に又は気筒毎に個別に実行できる。気筒毎に個別に実行することによって、気筒毎に最適化できる。

図面の簡単な説明

0015

エンジン及びエンジンの制御装置を示すブロック図である。
補正係数調整制御タイムチャートを示す図である。
定常運転状態における空燃比とエンジントルクとの関係と、補正係数と空燃比との関係と、を示す図である。
複数回の補正係数調整制御を含む制御フローを示す図である。

実施例

0016

[本実施形態に係るエンジン]
図1を用いて、本発明の実施形態に係るエンジン100を説明する。

0017

図1には、エンジン100と、ECU(エレクトリックコントロールユニット)20を含めたエンジン100の制御に係る装置と、操作手段であるスロットルグリップ30及びブレーキ40と、が示されている。本実施形態では、エンジン100は、自動2輪車に搭載されている。

0018

図1に示されるように、エンジン100は、シリンダ1と、ピストン2と、燃焼室3と、クランク軸9と、を備えている。燃焼室3は、シリンダ1内で、シリンダ1の内壁とピストン2とに囲まれて、形成されている。クランク軸9は、ピストン2の上下運動連動して、回転する。

0019

エンジン100は、吸気及び排気系の構成として、吸気ポート4と、排気ポート5と、吸気弁6と、排気弁7と、吸気管11と、排気管12と、を備えている。吸気ポート4及び排気ポート5は、燃焼室3に連通する。吸気弁6及び排気弁7はクランク軸9に連動して駆動される。そして、吸気弁6は吸気ポート4と燃焼室3との間を開閉し、排気弁6は排気ポート5と燃焼室3との間を開閉する。また、吸気ポート4に吸気管11が連通接続され、排気ポート5に排気管12が連通接続される。

0020

エンジン100は、吸気管11内に、燃料インジェクター10と、スロットルバルブ13と、を備えている。スロットルバルブ13は、吸気管11内の開度(スロットルバルブ開度)を変更することで、吸気管11を通過する空気流量を変更する。また、燃料インジェクター10は、スロットルバルブ13の下流側を通過する空気に霧化した燃料を供給することで、混合気を生成する。生成された混合気は、シリンダ1内の燃焼室3に吸入される。

0021

エンジン100は、スロットルモータ14と、スロットルセンサ15と、圧力センサ18と、を備えている。スロットルモータ14の作動により、スロットルバルブ13が駆動され、スロットルバルブ開度(スロットル開度)が変更される。スロットルセンサ15は、スロットルバルブ13の角度を検出する。圧力センサ18は、吸気管11内の空気圧吸入負圧)を検出する。

0022

エンジン100は、点火プラグ8と、昇圧装置16と、を備えている。点火プラグ8は、燃焼室3内に供給された混合気を、電気放電により点火する。昇圧装置16は、点火プラグ8に高電圧を供給する。

0023

スロットルグリップ30は、自動2輪車の操作者が、所望のスロットルバルブ開度をECU20に入力するための操作手段である。

0024

ブレーキ40は、自動2輪車の操作者が、自動2輪車を停止させるための操作手段である。

0025

[本実施形態に係るエンジンの制御装置]
エンジン100の制御装置は、各種検出手段と、ECU20と、で構成される。ECU20は、各種検出手段の検出情報に基づいて、各種アクチュエータ制御目標値を作成することで、各種アクチュエータの作動を制御する。各種検出手段には、エンジン回転数検出手段と、スロットルグリップ操作量検出手段と、スロットルバルブ開度検出手段と、吸入負圧検出手段と、ブレーキ検出手段と、がある。各種アクチュエータには、点火プラグ8を作動させる昇圧装置16と、燃料インジェクター10と、スロットルバルブ13を作動させるスロットルモータ14と、がある。

0026

エンジン回転数検出手段は、クランク軸9の回転数(以下、エンジン回転数)を検出する。エンジン回転数検出手段は、エンジン100に設けられるクランク角センサ17と、ECU20と、で構成される。クランク角センサ17は、例えば、クランク軸9に固定された歯付きロータの歯の通過を光学的に検出する。ECU20は、クランク角センサ17を利用して、エンジン回転数を検出できる。

0027

スロットルグリップ操作量検出手段(スロットル操作量検出手段)は、スロットルグリップの回動角度等の操作量を検出するグリップセンサ31である。グリップセンサ31は、スロットルグリップ30に対応して、本自動2輪車に設けられている。ECU20は、グリップセンサ31を介して、スロットルグリップ操作(スロットル操作)の操作量を把握できる。

0028

スロットルバルブ開度検出手段(スロットル開度検出手段)は、スロットルセンサ15である。ECU20は、スロットルセンサ15を介して、スロットルバルブ13の角度すなわちスロットルバルブ開度(スロットル開度)を把握できる。

0029

吸入負圧検出手段は、圧力センサ18である。ECU20は、圧力センサ18を介して、吸気管11内の吸入負圧を把握できる。

0030

ブレーキ検出手段は、ブレーキ40の操作の有無を検出するブレーキセンサ41である。ブレーキセンサ41は、ブレーキ40に対応して、本自動2輪車に設けられている。ECU20は、ブレーキセンサ41を介して、ブレーキ40の操作の有無を把握できる。

0031

ECU20は、次のようにして、点火時期及びスロットルバルブ開度を制御する。

0032

ECU20は、昇圧装置16を制御して点火プラグ8を作動させることで、点火時期を制御する。基本的には、ECU20は、点火時期マップに基づいて、エンジン回転数に対応する点火時期(上死点に対する進角量)の指令値を作成する。そして、ECU20は、点火時期の指令値に基づいて(つまり自らが作成した点火時期のタイミングで)、昇圧装置16を作動させる。昇圧装置16の作動により、点火プラグ8が作動する。このようにして、ECU20の作成した点火時期の指令値に一致するように、実際の点火時期が制御される。

0033

ECU20は、スロットルモータ14を制御することで、スロットルバルブ開度を制御する。ECU20は、スロットルグリップ操作の操作量に応じて、スロットルバルブ開度の指令値を作成する。そして、ECU20は、スロットルバルブ開度の指令値に基づいて、スロットルモータ14を作動させる。スロットルモータ14の作動により、スロットルバルブ14の開度が変更される。このようにして、ECU20の作成したスロットルバルブ開度の指令値に一致するように、実際のスロットルバルブ開度が制御される。

0034

なお、スロットルセンサ15がスロットルバルブ開度の検出手段である場合は、ECU20は、フィードバック制御により、スロットルモータ14を駆動させることができる。つまり、ECU20は、スロットルセンサ15により得られたスロットルバルブ開度の実際値と、スロットルバルブ開度の指令値とを比較し、実際値が指令値に一致するまで、スロットルモータ14を駆動させる。

0035

次に、燃料噴射量の制御について説明する。燃料噴射量は、基本的には、運転状態及びスロットルバルブ開度が略一定に保たれている限り、空燃比が略一定となるように制御される。

0036

一定値とするための空燃比の大きさ(目標空燃比)は、エンジン100の運転条件によって変化する。始動時の運転状態、加速時の運転状態、又は、等速走行時の運転状態(定常運転状態)で、目標空燃比が異なる。ここで、定常運転状態は、スロットルグリップ操作量が略一定に操作されることによって、スロットルバルブ開度及びエンジン回転数が共に略一定の状態を指している。なお、スロットルバルブ開度及びエンジン回転数が共に略一定の状態にあるとは、スロットルバルブ開度及びエンジン回転数が共に一定範囲内にあることを、指す。このようにする理由の一つとしては、スロットルグリップ操作が手動操作であるため、操作量の変動が無視できないことによる。本実施例の場合、定常運転状態における目標空燃比は、燃料過多リッチ)側に設定されており、例えば12.5である。

0037

実際に噴射すべき燃料噴射量(以下、単に、燃料噴射量)は、基本燃料噴射量に、種々の補正係数による補正を加えることによって、算出される。基本燃料噴射量は、中回転域から高回転域ではスロットルバルブ開度及びエンジン回転数のマップ2次元配列)として設定されており、低回転域では吸入負圧及びエンジン回転数のマップとして、設定されている。ここで、同一の運転状態では目標空燃比が略一定に保たれるように、スロットルバルブ開度等の変化に応じて基本燃料噴射量が変化する。

0038

種々の補正係数も、中回転域から高回転域ではスロットルバルブ開度及びエンジン回転数のマップ(2次元配列)として設定されており、低回転域では吸入負圧及びエンジン回転数のマップとして、設定されている。種々の補正係数の大部分は、燃料噴射量を、基本燃料噴射量に対して補正するための係数である。例えば、運転状態用の補正係数は、加速時の運転状態、定常運転状態など、運転状態に対応して燃料噴射量を補正するための係数である。一方、1つの補正係数は、基本燃料噴射量自体を補正するための係数である。以下では、単に補正係数と記載する場合、補正係数は、基本燃料噴射量自体を補正するための係数を意味する。

0039

基本燃料噴射量及び種々の補正係数は、マップデータ(2次元配列データ)の形で、ECU20に備えるメモリ21(記憶手段)に記憶されている。

0040

ECU20は、燃料噴射量の制御手段(噴射量制御手段)としての役目を果たす。ECU20は、実際に噴射すべき燃料噴射量を算出して、当該燃料噴射量の燃料が吸気管11内に噴射されるように、燃料インジェクター10を制御する。

0041

また、ECU20は、補正係数調整制御を実行する制御手段)としての役目も果たす。補正係数調整制御は、定常運転状態において、燃料噴射量が出力最大となるように、補正係数を補正する制御である。

0042

補正係数の変更が必要となるのは、次の理由による。エンジン100及び当該制御装置の製造時においては、補正係数は(設計誤差を除いて)適正に設定されていると考えられる。しかし、燃料インジェクター10の経年劣化が発生した場合や、質の異なる燃料を使用する場合には、補正係数を変更する必要がある。具体的には次のような理由による。燃料インジェクター10に経年劣化が発生した場合には、目標空燃比と補正係数との対応は適正であったとしても、燃料インジェクター10に指令される噴射量(噴射量の目標値)と、燃料インジェクター10から実際に噴射される噴射量(噴射量の実際値)と、が対応しなくなる。このため、補正係数の変更により、噴射量の実際値が目標空燃比に合うように、噴射量の目標値を補正する必要がある。また、質の異なる燃料を使用する場合には、目標空燃比に必要とされる燃料量(噴射量の目標値)が変更される。このため、噴射量の目標値の変更に応じて、補正係数を変更する必要がある。

0043

補正係数の初期設定値は、メモリ21に記憶されている。ここで、補正係数の初期設定値とは、補正係数調整制御の実行前における補正係数の値を指している。メモリ21に記憶される補正係数の値(初期設定値)は、補正係数調整制御の結果により変更される場合がある。

0044

[本実施形態に係る補正係数調整制御]
図2を用いて、補正係数調整制御を説明する。図2は、補正係数調整制御のタイムチャートを示す図である。図2には、スロットルバルブ開度と、補正係数と、クランク角センサ17によるエンジン回転数の検出値と、について、それぞれ時間変化グラフが示されている。

0045

図2において、時刻T0は、エンジン100の始動後に、スロットルグリップ30の操作が開始された時刻を指している。時刻T0において、スロットルバルブ開度はG0であり、エンジン回転数の検出値はR0であり、補正係数はK1である。

0046

時刻T0から時刻T1までの間、スロットルバルブ開度が増大するように、スロットルグリップ30が操作されている。スロットルグリップ30の操作量の増大によって、スロットルバルブ開度及び燃料噴射量が増大する。この結果、エンジン回転数の検出値が増大する。時刻T1以降は、スロットルバルブ開度は略G1に保たれる。

0047

時刻T0から時刻T1までだけではなく、時刻T1から時刻T2までの間も、エンジン回転数が増大する加速状態にある。時刻T1でスロットルバルブ開度はG1に固定されているが、時刻T1より後の時刻T2まで、エンジン回転数の検出値は増大を続ける。時刻T2に、エンジン回転数の検出値はR1に到達する。時刻T2より後は、スロットルバルブ開度に変化がない限り、基本的には、エンジン回転数の検出値はR1に保たれる。

0048

なお、図2においては、スロットルバルブ開度及びエンジン回転数の検出値を、一定値として示している。実際には、自動2輪車の操作者がスロットルグリップ30を操作するため、操作量は完全な一定値とはならず、振動する。操作量の変動に伴って、スロットルバルブ開度の指令値及びエンジン回転数の検出値も変動する。したがって、正確には、図2に描かれるグラフは、直線部分であっても、時間経過に伴って上下に振動している。定常運転状態の定義において、操作量及びエンジン回転数が一定範囲内で変動することを許容する理由の一つは、手動操作のために発生する振動を無視するためである。

0049

エンジン100の運転状態が定常運転状態に移行すると、ECU20は、補正係数調整制御を実行する。補正係数調整制御の開始時刻は、定常運転状態に到達した時刻T2より後の時刻T3である。

0050

補正係数調整制御は、時刻T3から時刻T11までの間、実行される。補正係数調整制御は、概略的には、次のような制御である。まず、スロットルバルブ開度を略一定に保った状態で補正係数を変更して、エンジン回転数の変化を追跡する。ここで、補正係数が変更されれば、燃料噴射量が変化する。補正係数の変更により、エンジン回転数(トルク)が増大すれば、空燃比が目標空燃比に近づいたことを意味する。逆に、補正係数の変更により、エンジン回転数(トルク)が低下すれば、空燃比が目標空燃比から遠ざかったことを意味する。以上のことを考慮すると、補正係数が適正である場合は、燃料噴射量の増量側及び減量側のどちらに補正係数が変更されても、エンジン回転数は低下する。一方、補正係数が適正でない場合は、燃料噴射量の増量側及び減量側のどちらかに補正係数が変更されると、エンジン回転数が増大する。そこで、エンジン回転数の増大が認められた場合には、補正係数を、変更後の値に置換する。一方、エンジン回転数の増大が認められない場合には、補正係数を変更しない。このように補正係数を調整する制御を行うことで、空燃比を目標空燃比に近づけることができる。

0051

補正係数調整制御では、増量試行運転及び/又は減量試行運転と、更新処理と、が実行される。つまり、補正係数調整制御において、増量試行運転又は減量試行運転が少なくとも1回は実行される。以下で、詳しく説明する。

0052

本実施形態では、補正係数調整制御において、増量試行運転が2回実行され、減量試行運転が2回実行される。

0053

増量試行運転は、定常運転状態における燃料噴射量の設定値よりも増量側とした増量試行値の燃料を、供給する運転である。ここで、燃料噴射量の変更は、基本燃料噴射量の変更ではなく、補正係数の変更によって行われる。したがって、補正係数を初期設定値から増量試行値に変更することは、燃料噴射量の設定値を増量試行値に変更することに等しい。

0054

回目の増量試行運転は時刻T3から時刻T4の間に実行され、2回目の増量試行運転は時刻T5から時刻T6の間に実行される。各増量試行運転の開始前は、定常運転状態にある。すなわち、時刻T3の直前(1回目の増量試行運転前)や、時刻T5の直前(2回目の増量試行運転前)は、スロットルバルブ開度及びエンジン回転数が略一定である。定常運転状態にあるときの補正係数の値は、初期設定値K1である。また、各増量試行運転の実行中には、スロットルバルブ開度が変更されることはない。例えば、スロットルグリップ30が操作された場合は、補正係数調整制御自体が中断される。各増量試行運転では、補正係数が、初期設定値K1から増量試行値K1Pに変更される。補正係数K1P=補正係数K1+変更量αであり、補正係数K1Pは補正係数K1よりも大である。このため、補正係数K1Pで補正された燃料噴射量は、補正係数K1で補正された燃料噴射量よりも多くなる。

0055

減量試行運転は、定常運転状態における燃料噴射量の設定値よりも減量側とした減量試行値の燃料を、供給する運転である。減量試行運転においても、燃料噴射量の変更は、基本燃料噴射量の変更ではなく、補正係数の変更によって行われる。

0056

1回目の減量試行運転は時刻T7から時刻T8の間に実行され、2回目の減量試行運転は時刻T9から時刻T10の間に実行される。各減量試行運転の開始前は、定常運転状態にある。すなわち、時刻T7の直前(1回目の減量試行運転前)や、時刻T9の直前(2回目の減量試行運転前)は、スロットルバルブ開度及びエンジン回転数が略一定である。定常運転状態にあるときの補正係数の値は、初期設定値K1である。また、各減量試行運転の実行中には、スロットルバルブ開度が変更されることはない。各減量試行運転では、補正係数が、初期設定値K1から減量試行値K1Mに変更される。補正係数K1M=補正係数K1−変更量αであり、補正係数K1Mは補正係数K1よりも小である。このため、補正係数K1Mで補正された燃料噴射量は、補正係数K1で補正された燃料噴射量よりも少なくなる。

0057

変更量αは、増量試行運転と減量試行運転とで、同一の量でなくてもよい。

0058

増量試行運転及び減量試行運転は、一時的に実行される。このため、1回目の増量試行運転の終了時から2回目の増量試行運転の開始時まで(時刻T4から時刻T5の間)は、補正係数が初期設定値K1に復帰されて、エンジン100の運転状態が定常運転状態となる。2回目の増量試行運転の終了時から1回目の減量試行運転の開始時まで(時刻T6から時刻T7の間)や、1回目の減量試行運転の終了時から2回目の減量試行運転の開始時まで(時刻T8から時刻T9の間)も、同様である。

0059

更新処理は、増量試行運転及び減量試行運転の実行後に実行される。更新処理では、次の処理が実行される。増量試行運転でエンジン回転数が増大すれば、ECU20は、補正係数の初期設定値K1を、増量試行値K1Pに書き換える。減量試行運転でエンジン回転数が増大すれば、ECU20は、補正係数の初期設定値K1を、減量試行値K1Mに書き換える。増量試行運転及び減量試行運転でエンジン回転数が減少すれば、ECU20は、補正係数の初期設定値を変更しない。ここで、補正係数の初期設定値を書き換えるとは、メモリ21に記憶される初期設定値の値をK1から増量試行値K1P又は減量試行値K1Mに変更することを指している。

0060

図2において、1回目の増量試行運転(時刻T3から時刻T4)の結果、エンジン回転数は、R1からR1Mに低下している。エンジン回転数R1Mは、エンジン回転数R1よりも小さな値である。2回目の増量試行運転(時刻T5から時刻T4)の結果も、1回目の増量試行運転と同様の結果である。すなわち、図2に示される例では、補正係数の変更により燃料噴射量が増大すると、トルクが低下する。つまり、補正係数について、初期設定値K1の方が、変更時の増量試行値K1Pよりも適正である。

0061

図2において、1回目の減量試行運転(時刻T7から時刻T8)の結果、エンジン回転数は、R1からR1Pに増大している。エンジン回転数R1Pは、エンジン回転数R1よりも大きな値である。2回目の減量試行運転(時刻T9から時刻T10)の結果も、1回目の減量試行運転と同様の結果である。すなわち、図2に示される例では、補正係数の変更により燃料噴射量が減少すると、トルクが増大する。つまり、補正係数について、初期設定値K1よりも、変更時の減量試行値K1Mの方が適正である。

0062

したがって、補正係数がより適正となるように、更新処理により、メモリ21に記憶される補正係数の初期設定値K1は、減量試行運転の変更時における減量試行値K1Mに書き換えられる。

0063

時刻T10から時刻T11までは、更新処理の実行時間である。すなわち、時刻T10から時刻T11までの間に、補正係数について増量試行値及び減量試行値のどちらが適正であるかの判定と、判定結果に基づく補正係数の調整(変更もしくは維持)と、が実行される。図2に示される例では、減量試行運転における変更時の減量試行値K1Mが適正であると判定されるため、時刻T10から時刻T11の間も、補正係数が減量試行値K1Mに保たれている。仮に、初期設定値K1や増量試行値K1Pの方が適正であると判定された場合は、時刻T10から時刻T11の間に、補正係数が初期設定値K1又は増量試行値K1Pに変更される。

0064

時刻T11の時点で、補正係数調整制御は一旦終了する。時刻T3から時刻T11までの補正係数調整制御で調整された補正係数K1Mが、時刻T11以後の補正係数となる。次回の補正係数調整制御においても、当然ながら、前回の補正係数調整制御(時刻T3から時刻T11までの補正係数調整制御)で決定された補正係数が初期設定値となる。

0065

補正係数調整制御が発生させる振動について説明する。補正係数調整制御は、増量試行運転及び減量試行運転において、トルクを変動させる制御である。このため、補正係数調整制御の実行による振動が発生する。

0066

増量試行運転及び減量試行運転を1回実行する時間は、例えば、クランク軸9が10回転する程度の時間である。また、増量試行運転及び減量試行運転の実行頻度は、例えば1秒間に、2回ずつ合計4回が実行される程度の頻度である。エンジン回転数が毎分6000回転の場合、毎秒100回転である。そうすると、1秒間の100回転のうち、10回転ずつ4回に分けて増量試行運転及び減量試行運転が、15〜20回転程度時間間隔を空けて、実行される。このため、増量試行運転及び減量試行運転が発生させる振動は、シリンダ1内のピストン2の往復運動自体によって発生する振動と比べても、無視できる程度の振動である。

0067

以上のように、増量試行運転及び減量試行運転は、自動2輪車の運転者体感できない程度の振動を発生させるような期間及び頻度で実行される。

0068

図3を用いて、補正係数調整制御を複数回実行する場合について説明する。

0069

図3には、定常運転状態における空燃比と、エンジン100(クランク軸9)のトルクの大きさと、の関係が示されている。本実施形態での定常運転状態における目標空燃比は、トルクが最大となる空燃比である。本実施形態では、トルクが最大となる空燃比(目標空燃比)AFDは、約12.5である。

0070

補正係数の初期設定値がK1のときの空燃比は、AF1である。空燃比AF1は、例えば、11.0から12.0の間の値であり、目標空燃比AFDより小さな値(燃料過剰側の値)である。つまり、初期設定値K1で基本燃料噴射量を補正して得られた燃料噴射量が、目標空燃比AFDを達成できない状態である。

0071

1回目の補正係数調整制御において、補正係数の初期設定値はK1であり、増量試行値はK1Pであり、減量試行値はK1Mである。前述したように、1回目の補正係数調整制御では、補正係数として減量試行値K1Mが適正であると判定され、補正係数の初期設定値K1がK1Mに変更された。

0072

2回目の補正係数調整制御において、補正係数の初期設定値はK2であり、増量試行値はK2Pであり、減量試行値はK2Mである。増量試行値K2P=初期設定値K2+変更量αである。増量試行値K2M=初期設定値K2−変更量αである。ここで、2回目の補正係数調整制御における初期設定値K2は、1回目の補正係数調整制御における調整後の初期設定値K1Mに等しい。同一の値について2つの符号を用いているのは、制御の回数と初期設定値の符号とを対比しやすくするためである。初期設定値K2のときの空燃比は、AF2である。空燃比AF2は、空燃比AF1よりは、目標空燃比AFDに近い値である。また、空燃比AF2は、目標空燃比AFDに対して燃料過剰の値である。

0073

2回目の補正係数調整制御では、増量試行値K2Pでエンジン回転数が低下し、減量試行値K2Mでエンジン回転数が増大した。このため、補正係数として減量試行値K2Mが適正であると判定され、補正係数の初期設定値K2がK2Mに変更された。

0074

3回目の補正係数調整制御において、補正係数の初期設定値はK3であり、増量試行値はK3Pであり、減量試行値はK3Mである。増量試行値K3P=初期設定値K3+変更量αである。増量試行値K3M=初期設定値K3−変更量αである。ここで、3回目の補正係数調整制御における初期設定値K3は、2回目の補正係数調整制御における調整後の初期設定値K2Mに等しい。初期設定値K3のときの空燃比は、AF3である。空燃比AF3は、空燃比AF2よりは、目標空燃比AFDに近い値である。ただし、空燃比AF3は、空燃比AF2とは異なり、目標空燃比AFDに対して空気過剰の値である。つまり、補正係数の調整の結果、燃料過剰側であった空燃比AF2が、目標空燃比AFDを超えて、空気過剰側の空燃比AF3にまで変更されている。

0075

3回目の補正係数調整制御では、増量試行値K3Pでエンジン回転数が低下し、減量試行値K3Mでもエンジン回転数が低下した。このため、補正係数として初期設定値K3が適正であると判定され、補正係数の初期設定値K3は変更されなかった。

0076

しかしながら、空燃比AF3は、目標空燃比AFDとは一致していない。補正係数の補正は、未だ必要な状態にある。

0077

このような場合は、次回の補正係数調整制御において、前回の補正係数調整制御と比べて、増量試行運転及び減量試行運転における補正係数の変更量が、小さく設定される。つまり、4回目の補正係数調整制御における変更量βは、3回目の補正係数調整制御における変更量αよりも、小さい。

0078

4回目の補正係数調整制御において、補正係数の初期設定値はK4であり、増量試行値はK4Pであり、減量試行値はK4Mである。増量試行値K4P=初期設定値K4+変更量βである。増量試行値K4M=初期設定値K4−変更量βである。ここで、3回目の補正係数調整制御における初期設定値K4は、3回目の補正係数調整制御における初期設定値K3に等しい。初期設定値K4のときの空燃比は、AF4である。空燃比AF4は、空燃比AF3に等しい。

0079

4回目の補正係数調整制御では、増量試行値K4Pでエンジン回転数が増大し、減量試行値K3Mでエンジン回転数が低下した。このため、補正係数として初期設定値K4Pが適正であると判定され、補正係数の初期設定値K3が増量試行値K4Pに変更された。

0080

増量試行値K4Pのときの空燃比AF5は、目標空燃比AFDとは一致していない。しかし、空燃比AF5は、前回の空燃比AF4よりは、目標空燃比AFDに近い値となっている。以上のような補正係数調整制御を繰り返し実行することで、空燃比が限りなく目標空燃比に近づくように、燃料噴射量の補正係数を調整することができる。なお、補正係数調整制御の実行回数に制限を設けて、制限回数だけ補正係数調整制御を実行するようにしても良い。

0081

次に、図4を用いて、複数回の補正係数調整制御を含む制御フローを説明する。

0082

ECU20は、エンジン100の始動開始と共に、制御フローを開始する(ステップS1)。

0083

ステップS1の後、ECU20は、エンジン100の運転状態が、規定の定常運転状態にあるか否かを判定する(ステップS2)。規定の定常運転状態は、例えば、スロットルバルブ開度が5%〜30%、且つ、エンジン回転数が3000〜8000rpmにある状態を指す。

0084

定常運転状態か否かの判定条件は、例えば、次の条件よりなっている。(1)スロットルバルブ開度の変動幅が一定範囲内にあること。(2)エンジン回転数の変動幅が一定範囲内にあること。(3)ラジエーター水温規定範囲内にあること。(4)変速ギヤ位置が、規定の変速ギヤ位置(定常走行用の変速ギヤ位置)にあること。(5)ブレーキがOFF状態にあること。以上の5条件が満たされている場合に、ECU20は、エンジン100の運転状態が定常運転状態にあると判定する。

0085

ここで、スロットルバルブ開度は、スロットルセンサ15により検出される。エンジン回転数は、エンジン回転数検出手段(クランク角センサ17及びECU20)により検出される。ラジエーターの水温は、温度センサ(図示せず)により検出される。変速ギヤ位置は、変速切替え位置の検出手段(図示せず)により検出される。ブレーキ操作の有無は、ブレーキセンサ41により検出される。このため、ECU20は、エンジン100の運転状態を特定できる。

0086

エンジン100の運転状態が定常運転状態にある場合、ECU20の処理が、ステップS3に進む。エンジン100の運転状態が定常運転状態にない場合、ECU20の処理は、ステップS2に戻る。

0087

ステップS3では、n回目の補正係数調整制御が開始される。補正係数調整制御の開始に伴い、ECU20は、定常運転状態におけるエンジン回転数R(n)(すなわち補正係数が初期設定値のときのエンジン回転数R(n))を、観測(所定時間検出)する。以下、(n)は、n回目の量であることを示している。当然ながら、1回目はn=1である。

0088

ステップS3に続くステップS4では、ECU20は、所定時間、補正係数について、初期設定値K(n)を、変更量α(n)だけ燃料増量側とした増量試行値KP(n)に変更する(増量試行運転)。

0089

ステップS4に続くステップS5では、ECU20は、補正係数が増量試行値KP(n)のときのエンジン回転数RP(n)を、観測(所定時間検出)する。

0090

ステップS5に続くステップS6では、ECU20は、所定時間、補正係数について、初期設定値K(n)を、変更量α(n)だけ燃料減量側とした減量試行値KM(n)に変更する(減量試行運転)。

0091

ステップS6に続くステップS7では、ECU20は、補正係数が減量試行値KM(n)のときのエンジン回転数RM(n)を、観測(所定時間検出)する。

0092

ステップS7に続くステップS8では、ECU20は、トルクピーク検出失敗の有無を判定する。空燃比−トルクの関係曲線図3)は、目標空燃比をピークとする曲線であるため、空燃比(補正係数)を増量側及び減量側の双方に変更した場合に、同時にトルクが増大する(エンジン回転数が増大する)ことはない。したがって、増量試行運転(ステップS4)及び減量試行運転(ステップS6)の双方においてエンジン回転数が増大する場合は、トルクピークの検出が失敗している。つまり、補正係数調整制御以外の要因で、エンジン回転数が変更されたと考えられる。そこで、増量側のエンジン回転数RP(n)及び減量側のエンジン回転数RM(n)が共に増大した場合は、トルクピークの検出失敗があったと判定する。トルクピークの検出失敗があった場合、ECU20の処理はステップS2に戻る。トルクピークの検出失敗がなかった場合、ECU20の処理はステップS9に進む。

0093

ステップS9では、ECU20は、増量側のエンジン回転数RP(n)及び減量側のエンジン回転数RM(n)のどちらかが、初期設定値のエンジン回転数R(n)よりも増大したかどうかを判定する。増大したエンジン回転数があった場合、ECU20の処理はステップS10に進む。増大したエンジン回転数がなかった場合、ECU20の処理はステップS12に進む。

0094

ステップS10では、増量側のエンジン回転数RP(n)又は減量側のエンジン回転数RM(n)のエンジン回転数の増大が、所定回数発生したかどうかを判定する。本実施形態では、所定回数は2回である。図4に示されるように、増量試行運転及び減量試行運転が共に2回ずつ実行される。そして、増量試行運転及び減量試行運転のそれぞれについて、2回共、エンジン回転数の増大が発生した場合に、トルクピークの検出失敗ではなく、適正なエンジン回転数増大の検出であると認められる。所定回数にわたって、エンジン回転数増大という現象再現した場合、ECU20の処理はステップS11に進む。所定回数にわたって現象が再現しなかった場合、ECU20の処理はステップS2に戻る。

0095

ステップS11では、ECU20は、エンジン回転数増加時の補正係数(増量試行値又は減量試行値)を、補正係数の初期設定値として新規に採用して、補正係数の初期設定値を書き換える。つまり、n+1回目の初期設定値K(n+1)=増量試行値KP(n)or減量試行値KM(n)である。

0096

ステップS12では、ECU20は、増量側のエンジン回転数RP(n)及び減量側のエンジン回転数RM(n)の双方が、初期設定値のエンジン回転数R(n)よりも減少したかどうかを判定する。双方が減少した場合、ECU20の処理はステップS13に進む。双方が減少しなかった場合(エンジン回転数R(n)≒エンジン回転数RP(n)≒エンジン回転数RM(n))、ECU20の処理はステップS14に進む。

0097

ステップS13に処理が進んだ場合は、初期設定値K(n)の空燃比が、増量試行値KP(n)及び減量試行値KM(n)の空燃比よりも、目標空燃比に近い状態にあることを意味する。この場合、より一層空燃比を目標空燃比に近づけるために、補正係数の振り幅である変更量α(n)を小さくすることが必要である。したがって、ステップS13では、ECU20は、次回の変更量α(n+1)を今回の変更量α(n)よりも、所定率だけ小さくする。

0098

ステップS14に処理が進んだ場合は、初期設定値K(n)、増量試行値KP(n)及び減量試行値KM(n)の空燃比同士が近い位置にあって、トルクの大きさに差が出ない状態を意味する。この場合、空燃比に差が出るようにするために、補正係数の振り幅である変更量α(n)を大きくすることが必要である。したがって、ステップS14では、ECU20は、次回の変更量α(n+1)を今回の変更量α(n)よりも、所定率だけ大きくする。

0099

ステップS11、S13及びS14の処理が終了すると、n回目の補正係数調整制御が終了する。そして、ECU20の処理は、ステップS2に戻る。

0100

多気筒エンジンにおける補正係数調整制御]
次に、エンジンが複数の気筒(シリンダ)を備える場合における補正係数調整制御について説明する。

0101

多気筒エンジンの場合、エンジンは、気筒毎に燃料噴射装置を備えている。また、エンジンの制御装置に備える記憶手段(メモリ21)は、気筒毎に、基本燃料噴射量及び補正係数のマップを記憶している。そして、噴射量制御手段(ECU20)が、補正係数調整制御を、気筒毎に個別に実行する。

0102

例えば、4気筒エンジンの場合には、エンジンが、第1シリンダ、第2シリンダ、第3シリンダ及び第4シリンダを備えている。また、シリンダ毎に燃料インジェクター10が備えられている。そして、ECU20は、図2から図4を用いて説明した補正係数調整制御を、第1シリンダから第4シリンダまで、個別に順次実行する。ここで、補正係数調整制御を気筒毎に個別に実行する必要があるのは、4つある燃料インジェクター10のそれぞれについて補正係数が異なると考えられるためである。なお、4気筒エンジン(多気筒エンジン)において、補正係数調整制御を燃料インジェクター10毎に個別に行うのではなく、4つの燃料インジェクター10について一括して行うようにしてもよい。

0103

[本実施形態に係る制御装置の効果]
本実施形態のエンジン100の制御装置は、次のような効果を発揮する。

0104

補正係数調整制御により、スロットルバルブの開度を略一定に保ちながら補正係数を変化させて、エンジン回転数の変化を追跡した結果を利用して、エンジン回転数が増大するように補正係数を変更するので、空燃比情報を直接検出することなく、適正な燃料噴射量となるように補正係数を調整できる。このため、燃料噴射量の制御装置に付属している装置を利用して、空燃比センサ等の新たな装置を設けることなく、空燃比に応じた燃料噴射量の調整が可能である。

0105

前回の補正係数調整制御において補正係数を変化させてもエンジン回転数の増大が検出できなかった場合は、次回の補正係数調整制御における補正係数の変更量を小さくするので、より一層、出力最大の空燃比に近づくように実際の空燃比を調整できる。

0106

気筒毎に燃料噴射装置の設けられた多気筒エンジンに対しては、補正係数調整制御を全気筒一斉に又は気筒毎に個別に実行できる。気筒毎に個別に実行することによって、気筒毎に最適化できる。

0107

[その他の実施形態]
燃料供給手段は、吸気中に燃料を供給できる構成であればよい。このため、燃料の供給箇所は、吸気管11内(本実施形態)でも、シリンダ1(燃焼室3)内でもよい。

0108

エンジンの燃料噴射量の制御装置に適用できる。

0109

1シリンダ
9クランク軸
13スロットルバルブ
17クランク角センサ(エンジン回転数検出手段の一部)
20 ECU(噴射量制御手段)
21メモリ(記憶手段)

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