図面 (/)

技術 清酒の製造方法、並びに、清酒

出願人 宝酒造株式会社
発明者 井上隆之新宅恒基光永研一
出願日 2010年3月30日 (9年3ヶ月経過) 出願番号 2010-079057
公開日 2010年11月11日 (8年8ヶ月経過) 公開番号 2010-252788
状態 特許登録済
技術分野 酒類
主要キーワード 醸造酒類 こうじ リンゴ酸濃度 大型タンク 火落菌 成分分析値 キュービテナー ppm超
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年11月11日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

乳酸菌による安定した乳酸発酵ができ、まろやかな酸味乳酸菌由来の複雑で香味良好な風味を有する清酒を製造できる技術を提供する。

解決手段

原料糖化及び発酵させて醪を調製する工程と、調製した醪を上槽する工程とを含む清酒の製造方法において、上槽後の清酒に溶存酸素濃度を3ppm以下として乳酸菌を作用させることを特徴とする清酒の製造方法、並びに、当該方法により得られる清酒が提供される。乳酸菌が、Lactobacillus curvatus、Leuconostoc citreum、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacillus sakei、及びOenococcus oeniからなる群より選ばれた少なくとも1種の乳酸菌である構成が好ましい。得られる清酒のリンゴ酸濃度が100mg/L以下である構成が好ましい。

概要

背景

清酒原料は、米、米麹及び水であり、副原料として、醸造アルコール等が法令による制限のもとに使用が認められている。清酒製造に乳酸を利用する清酒製造技術について、従来から生もと酒母又は山廃止もと(山廃もと)酒母を約30日の期間をかけて育成する中で、自然に発生する乳酸菌を利用する技術が使われてきた。また、醸造用乳酸を添加して育成される速醸もと酒母も広く用いられている。これまで、速醸もと酒母に、醸造用乳酸の代り純粋培養した乳酸菌を添加する酒母(短期山廃酒母と称する)の育成方法が提案されている(特許文献1〜4)。

酒母を育成しない清酒製造において、低温発酵性の乳酸菌を添加する清酒の製造方法が提案されている(特許文献5)。しかし、大型タンクで清酒製造を行う大手清酒メーカーでは、酒母を育成せずに培養酵母を添加して清酒を仕込む方法すなわち酵母仕込が主流になっており、この仕込方法に関しては醸造用乳酸を添加する方法を取るのが一般的である。

その他の技術として、室時代に創製された菩提もとの不安定さを解決すべく、生米を浸漬した浸漬水に乳酸を0.2%以上生産するととともに、アルコール耐性が10%以下である乳酸菌を添加して乳酸発酵を行う酒母の製造方法が提案されている(特許文献6)。

一方、ワイン製造においてはマロラクティック発酵という技術が知られ、これは樽に貯蔵された後に二次発酵する、いわゆる樽内熟成工程を行うものである。マロラクティック発酵用のスターターを添加して行うが、添加なしで自然にマロラクティック発酵が誘導されることも多い。マロラクティック発酵を誘導する乳酸菌としては、Lactobacillus属、Leuconostoc属、Pediococcus属などが挙げられるが、Leuconostoc oenosが優勢となる場合が多く、人為的に誘導するために使用するスターターとしても多く使用されている。赤ワインでは栄養成分が比較的豊富に存在するので、赤ワインのマロラクティック発酵は一般的によく知られているが、白ワインでの制御は非常に難しいと言われている(特許文献7)。

清酒製造では上槽以降に増殖する乳酸菌は火落菌であり、これは清酒の品質の改良を目的としたものではなく、逆に清酒を変質させるものと捉えられている。そのため、清酒の品質の改良を目的として上槽以降に乳酸菌を作用させることは、これまで検討されていない。

概要

乳酸菌による安定した乳酸発酵ができ、まろやかな酸味乳酸菌由来の複雑で香味良好な風味を有する清酒を製造できる技術を提供する。原料を糖化及び発酵させて醪を調製する工程と、調製した醪を上槽する工程とを含む清酒の製造方法において、上槽後の清酒に溶存酸素濃度を3ppm以下として乳酸菌を作用させることを特徴とする清酒の製造方法、並びに、当該方法により得られる清酒が提供される。乳酸菌が、Lactobacillus curvatus、Leuconostoc citreum、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacillus sakei、及びOenococcus oeniからなる群より選ばれた少なくとも1種の乳酸菌である構成が好ましい。得られる清酒のリンゴ酸濃度が100mg/L以下である構成が好ましい。なし

目的

清酒製造では上槽以降に増殖する乳酸菌は火落菌であり、これは清酒の品質の改良を目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

原料糖化及び発酵させて醪を調製する工程と、調製した醪を上槽する工程とを含む清酒の製造方法において、上槽後の清酒に溶存酸素濃度を3ppm以下として乳酸菌を作用させることを特徴とする清酒の製造方法。

請求項2

乳酸菌が、Lactobacillus curvatus、Leuconostoc citreum、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacillus sakei、及びOenococcus oeniからなる群より選ばれた少なくとも1種の乳酸菌であることを特徴とする請求項1に記載の清酒の製造方法。

請求項3

請求項1又は2に記載の清酒の製造方法によって得られる清酒。

請求項4

リンゴ酸濃度が100mg/L以下であることを特徴とする請求項3に記載の清酒。

技術分野

0001

本発明は、清酒の製造方法、並びに、清酒に関する。さらに詳細には、本発明は、上槽後の清酒に特定の溶存酸素濃度の条件下で乳酸菌を作用させる清酒の製造方法、並びに、当該方法で製造される清酒に関する。本発明で得られる清酒は、まろやかな酸味乳酸菌由来の複雑で香味良好な風味を有する高品質のものである。

背景技術

0002

清酒の原料は、米、米麹及び水であり、副原料として、醸造アルコール等が法令による制限のもとに使用が認められている。清酒製造に乳酸を利用する清酒製造技術について、従来から生もと酒母又は山廃止もと(山廃もと)酒母を約30日の期間をかけて育成する中で、自然に発生する乳酸菌を利用する技術が使われてきた。また、醸造用乳酸を添加して育成される速醸もと酒母も広く用いられている。これまで、速醸もと酒母に、醸造用乳酸の代り純粋培養した乳酸菌を添加する酒母(短期山廃酒母と称する)の育成方法が提案されている(特許文献1〜4)。

0003

酒母を育成しない清酒製造において、低温発酵性の乳酸菌を添加する清酒の製造方法が提案されている(特許文献5)。しかし、大型タンクで清酒製造を行う大手清酒メーカーでは、酒母を育成せずに培養酵母を添加して清酒を仕込む方法すなわち酵母仕込が主流になっており、この仕込方法に関しては醸造用乳酸を添加する方法を取るのが一般的である。

0004

その他の技術として、室時代に創製された菩提もとの不安定さを解決すべく、生米を浸漬した浸漬水に乳酸を0.2%以上生産するととともに、アルコール耐性が10%以下である乳酸菌を添加して乳酸発酵を行う酒母の製造方法が提案されている(特許文献6)。

0005

一方、ワイン製造においてはマロラクティック発酵という技術が知られ、これは樽に貯蔵された後に二次発酵する、いわゆる樽内熟成工程を行うものである。マロラクティック発酵用のスターターを添加して行うが、添加なしで自然にマロラクティック発酵が誘導されることも多い。マロラクティック発酵を誘導する乳酸菌としては、Lactobacillus属、Leuconostoc属、Pediococcus属などが挙げられるが、Leuconostoc oenosが優勢となる場合が多く、人為的に誘導するために使用するスターターとしても多く使用されている。赤ワインでは栄養成分が比較的豊富に存在するので、赤ワインのマロラクティック発酵は一般的によく知られているが、白ワインでの制御は非常に難しいと言われている(特許文献7)。

0006

清酒製造では上槽以降に増殖する乳酸菌は火落菌であり、これは清酒の品質の改良を目的としたものではなく、逆に清酒を変質させるものと捉えられている。そのため、清酒の品質の改良を目的として上槽以降に乳酸菌を作用させることは、これまで検討されていない。

先行技術

0007

特開昭49−94900号公報
特開昭61−58574号公報
特開昭64−74976号公報
特開平11−46748号公報
特開2001−314182号公報
特開2001−86976号公報
特開平8−214862号公報

発明が解決しようとする課題

0008

上述のように、清酒製造に乳酸菌を利用する清酒製造技術について、長年に亘り研究が続けられている。しかしながら、有害菌の増殖、野生酵母混入等に気をつけながら健全な乳酸発酵を行うことは、現在でも非常に難しいものがあり、乳酸菌を積極的に活用しつつも安定して清酒の酒質を向上させる技術開発が求められている。特に、通常は乳酸菌が増殖することができない高いアルコール濃度を有する清酒に、乳酸菌を有効に作用させることができる技術開発が求められている。

0009

本発明の目的は、前記した従来技術が抱える問題点を踏まえ、乳酸菌による安定した乳酸発酵ができ、まろやかな酸味と乳酸菌由来の複雑で香味良好な風味を有する清酒を製造できる技術を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、原料を糖化及び発酵させて醪を調製する工程と、調製した醪を上槽する工程とを含む清酒の製造方法において、上槽後の清酒に溶存酸素濃度を3ppm以下として乳酸菌を作用させることを特徴とする清酒の製造方法である。

0011

本発明は清酒の製造方法に係るものであり、上槽後の清酒に溶存酸素濃度を3ppm以下として乳酸菌を作用させることを特徴とするものである。本発明では、特定の溶存酸素濃度以下で上槽後の清酒に乳酸菌を作用させるので、乳酸菌による安定した乳酸発酵ができ、まろやかな酸味と乳酸菌由来の複雑で香味良好な風味を有する清酒を製造することができる。

0012

請求項2に記載の発明は、乳酸菌が、Lactobacillus curvatus、Leuconostoc citreum、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacillus sakei、及びOenococcus oeniからなる群より選ばれた少なくとも1種の乳酸菌であることを特徴とする請求項1に記載の清酒の製造方法である。

0013

本発明の清酒の製造方法では、上槽後の清酒に作用させる乳酸菌が特定種のものである。かかる構成により、よりまろやかな酸味と乳酸菌由来の複雑で香味良好な風味を有する清酒を製造することができる。

0014

請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の清酒の製造方法によって得られる清酒である。

0015

本発明は清酒に係るものであり、上記した本発明の清酒の製造方法によって得られることを特徴とする。本発明の清酒は、まろやかな酸味と乳酸菌由来の複雑で香味良好な風味を有するものである。

0016

請求項4に記載の発明は、リンゴ酸濃度が100mg/L以下であることを特徴とする請求項3に記載の清酒である。

0017

リンゴ酸」は爽快な酸味を有する酸として知られているが、本発明者らが詳細に検討した結果、リンゴ酸濃度が多すぎると味がくどくなることが分かった。そこで、本発明の清酒ではリンゴ酸濃度が100mg/L以下に抑えており、味がくどくなく、まろやかさ・やわらかさが向上し、まろやかな酸味と乳酸菌由来の複雑で香味良好な風味とがより一層強調された高い酒質を得ることができる。

発明の効果

0018

本発明の清酒の製造方法によれば、乳酸菌による安定した乳酸発酵ができ、まろやかな酸味と乳酸菌由来の複雑で香味良好な風味を有する清酒を製造することができる。

0019

本発明の清酒についても同様であり、まろやかな酸味と乳酸菌由来の複雑で香味良好な風味を提供することができる。特に請求項4に記載の発明によれば、味がくどくなく、より高い酒質が得られる。

0020

本発明の清酒の製造方法は、上槽後の清酒に溶存酸素濃度を3ppm以下として乳酸菌を作用させることを特徴とするものである。ここで本発明における「清酒」とは、酒法でいう醸造酒類の中の清酒のことであり、例えば以下に掲げる酒類アルコール分が22度(22v/v%)未満のものである。
(1)米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの。
(2)米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの。但し、その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む)の重量の100分の50を超えないものに限る。
(3)清酒に清酒かすを加えて、こしたもの。

0021

清酒の製造は、原料処理、仕込、糖化・発酵、上槽、精製の各工程よりなり、更に清酒の精製は、活性炭処理・ろ過、火入れ、貯蔵、おり下げ・ろ過、調合割水、火入れ等の工程よりなる。清酒醸造の原料の一般的処理は、精白洗浄、浸漬、水切り蒸きょう蒸煮)、放冷の工程があるが、前記した原料処理は、掛原料液化及び/又は糖化並びに麹原料の処理、製麹工程も含んでいる。

0022

「上槽後の清酒」とは、醪を上槽(圧搾遠心分離など)した後の液体部分を指す。通常の清酒製造では、この液体を精製工程に供して最終品となる清酒を得る。本発明の清酒の製造方法では上槽後の清酒に溶存酸素濃度を3ppm以下として乳酸菌を作用させる。本発明では「上槽後の清酒に対して乳酸菌を作用させる」ことが重要であり、上槽後の清酒を必要により割水してアルコール濃度15〜16v/v%とし、溶存酸素濃度を3ppm以下、好ましくは2ppm以下として乳酸菌を作用させると、乳酸菌による安定した乳酸発酵を行うことができる。溶存酸素濃度3ppm超では乳酸菌は増殖することができない、あるいは増殖するのに長時間を要する。なお、上槽後の清酒の溶存酸素濃度を低減する方法としては、窒素ガス炭酸ガスを吹き込むなどして行えばよい。

0023

上槽後の清酒を割水してアルコール濃度15〜16v/v%とするのが好ましいが、これは有害菌の増殖、野生酵母の混入を防止する観点からであって、アルコール濃度の下限を13v/v%、上限を17v/v%として乳酸菌を作用させてもよい。上槽後の清酒に溶存酸素濃度を低減して乳酸菌を作用させることにより、通常は乳酸菌が増殖することができないアルコール濃度であっても乳酸菌による安定した乳酸発酵ができる。

0024

上槽後の清酒に作用させる乳酸菌の数(添加量)としては、例えば、上槽後の清酒1mL当たり104〜106個、好ましくは105〜106個となるように上槽後の清酒に添加すればよい。また乳酸菌を作用させるときの温度は、10℃〜30℃、好ましくは10℃〜20℃とし、期間は、通常2〜6週間で十分であるが、1日〜8週間の範囲で後述するリンゴ酸濃度、総合的な酒質のバランス案して適宜選択すればよい。一例を挙げると、アルコール濃度15%の純米酒に乳酸菌を作用させて12週間経ても乳酸菌の増殖は認められないが、溶存酸素濃度を低減して2.0ppmとして乳酸菌を作用させると、7週間でリンゴ酸濃度の減少と乳酸濃度の増加が認められる。このように、上槽後の清酒に溶存酸素濃度を低減して乳酸菌を作用させることにより、通常は乳酸菌が増殖することができない、あるいは増殖するのに長期間を要するアルコール濃度であっても、乳酸菌による短期間での安定した乳酸発酵が行える。

0025

好ましい実施形態では、乳酸菌として、Lactobacillus curvatus、Leuconostoc citreum、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacillus sakei、及びOenococcus oeniからなる群より選ばれた少なくとも1種の乳酸菌を用いる。Lactobacillus curvatusの具体例としては、Lactobacillus curvatus NBRC 12456株などが挙げられる。Leuconostoc mesenteroidesの具体例としては、Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides NBRC 3426株、同3832株、同12060株、同100496株などが挙げられる。Oenococcus oeniの具体例としては、Oenococcus oeni NBRC 100497株などが挙げられる。なお、これらの菌株は、NBRC Culture Catalogueに記載されており、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部生物遺伝資源部門から購入することができる。
また、Lactobacillus sakeiの具体例としては、Lactobacillus sakei 東京農大1605株などが挙げられ、東京農業大学より購入することができる。

0026

上記した乳酸菌については、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の好ましい組み合わせの例としては、Lactobacillus curvatusとLeuconostoc citreum、Lactobacillus curvatusとLeuconostoc mesenteroides、Lactobacillus sakeiとLeuconostoc citreum、Lactobacillus sakeiとLeuconostoc mesenteroides、の各組み合わせが挙げられる。

0027

上記した乳酸菌のうち、Lactobacillus curvatusを用いる実施形態によれば、不快臭が発生せず、白ワイン様の特徴ある香味良好な風味を有する酒質とすることができ、特に好ましい。

0028

本発明の清酒は、上述した本発明の清酒の製造方法によって得られるものである。特に、リンゴ酸濃度を特定量以下とすることで、味がくどくなく、まろやかさ・やわらかさが向上し、まろやかな酸味と乳酸菌由来の複雑で香味良好な風味とがより一層強調された高い酒質が得られる。リンゴ酸濃度としては、100mg/L以下が好ましく、20〜100mg/Lの範囲が特に好ましい。

0029

以下、実施例をもって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0030

掛原料として精米歩合60w/w%の精白米を用い、常法に従って洗米、浸漬、水切り、蒸きょうして蒸米を得た。麹米は精米歩合60w/w%の精白米を用い、酵母及び乳酸はそれぞれ協会701号及び醸造用乳酸を用いて、清酒の製造を行った。留後16日目に醪を圧搾して上槽し、アルコール濃度18.6v/v%の清酒(本発明における「上槽後の清酒」に相当)を得た。割水して得た清酒の成分分析値は、アルコール分15.5v/v%、日本酒度+5.9、pH4.3、酸度1.1、アミノ酸度1.1(但し、酸度、アミノ酸度は、0.1N NaOH mL/10mL)であった。

0031

得られた清酒1Lを5L容のキュービテナーに入れ、窒素ガス(実施例1−1)又は炭酸ガス(実施例1−2)を吹き込み、液部とヘッドスペースガス置換を行った。次に、乳酸菌Lactobacillus curvatusを104/mLとなるように添加して、15℃で7週間の静置培養を行った。比較例として、空気(比較例1−1)又は酸素ガス(比較例1−2)を吹き込み、同様の操作を行った。培養終了後、アルコール濃度、日本酒度、pH、酸度、アミノ酸度、リンゴ酸濃度、乳酸濃度、および酢酸濃度を測定した。リンゴ酸濃度、乳酸濃度、および酢酸濃度の測定は、高速液体クロマトグラフィーHPLC)により行った。結果を表1に示す。

0032

0033

表1に示すように、初発の溶存酸素濃度を低く抑えた実施例1−1と実施例1−2では、ともにリンゴ酸濃度を20mg/L程度の低値に抑えることができ、また乳酸濃度を1000mg/L程度とすることができた。これはリンゴ酸から乳酸への変換によるものと乳酸菌が新たに生成したものによると考えられる。一方、初発の溶存酸素濃度が高い比較例1−1と比較例1−2では、リンゴ酸濃度が100mg/Lを超える高い値となった。

0034

訓練された清酒技術者9名により官能評価試験を行ったところ、9名すべてが実施例1−1と実施例1−2はバランスがよくやわらかい酒質であり、比較例1−1と比較例1−2は不快臭が感じられる低い酒質であると回答した。

0035

実施例1と同様にして清酒の製造を行った。留後16日目に醪を圧搾して上槽し、アルコール濃度18.2v/v%の清酒(「上槽後の清酒」に相当)を得た。割水して得た清酒の成分分析値は、アルコール分15.5v/v%、日本酒度+4.0、pH4.4、酸度1.1、アミノ酸度1.1(但し、酸度、アミノ酸度は、0.1N NaOH mL/10mL)であった。

0036

得られた清酒1Lを5L容のキュービテナーに入れ、窒素ガスを吹き込み、液部とヘッドスペースガス置換を行った。初発の溶存酸素濃度は1.2ppmであった。次に、乳酸菌Lactobacillus curvatus(実施例2−1)、Leuconostoc citreum(実施例2−2)、又はLeuconostoc mesenteroides(実施例2−3)を105/mLとなるように添加して、15℃で6週間の静置培養を行った。培養開始2週間後と6週間後(終了時)の時点で、リンゴ酸濃度、乳酸濃度、および酢酸濃度をHPLCにて測定した。2週間後の測定結果を表2に、6週間後の測定結果を表3に示す。

0037

0038

0039

実施例2−1では培養2週間の時点で、実施例2−2と実施例2−3では培養6週間の時点でリンゴ酸濃度を100mg/L以下の低い値に抑えることができた。特に、Lactobacillus curvatusを用いた実施例2−1では、培養2週間後にリンゴ酸濃度を79mg/Lの低い値とすることができ、さらに培養6週間後ではリンゴ酸濃度を29mg/Lとさらに低い値とすることができ、酢酸濃度も32mg/Lと低い値であった。

0040

訓練された清酒技術者9名により官能評価試験を行ったところ、9名すべてが実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3はバランスがよくやわらかい酒質であり、特に実施例2−1は味がくどくなく、まろやかさ・やわらかさが感じられ、白ワイン様の特徴ある香味良好な風味を有する酒質であると回答した。

0041

実施例1と同様にして清酒の製造を行った。留後16日目に醪を圧搾して上槽し、アルコール濃度19.0v/v%の清酒(「上槽後の清酒」に相当)を得た。割水して得た清酒の成分分析値は、アルコール分15.1v/v%、日本酒度+4.3、pH4.5、酸度1.5、アミノ酸度1.2(但し、酸度、アミノ酸度は、0.1N NaOH mL/10mL)であった。

0042

得られた清酒1Lを5L容のキュービテナーに入れ、窒素ガスを吹き込み、液部とヘッドスペースガス置換を行った。初発の溶存酸素濃度は1.8ppmであった。次に、乳酸菌Lactobacillus curvatus NBRC 12456株(実施例3−1)、Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides NBRC 3426株(実施例3−2)、同3832株(実施例3−3)、同12060株(実施例3−4)、同100496株(実施例3−5)、又はOenococcus Oeni NBRC 100497株(実施例3−6)を106/mLとなるように添加して、20℃で4週間の静置培養を行った。培養開始1週間ごとに4週間後(終了時)までリンゴ酸濃度、乳酸濃度、および酢酸濃度をHPLCにて測定した。4週間後の測定結果を表4、表5に示す。

0043

0044

0045

実施例3−1〜実施例3−6のすべてにおいて、リンゴ酸濃度を100mg/L以下の低い値に抑えることができた。なお、菌数を106/mLとなるように添加したことにより、培養1週間後の時点でリンゴ酸濃度を100mg/L以下の低い値となっていた。

実施例

0046

訓練された清酒技術者9名により官能評価試験を行ったところ、9名すべてが実施例3−1〜実施例3−6はバランスがよくやわらかい酒質であると回答した。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 合名会社崎元酒造所の「 長命草焼酎の製造方法」が 公開されました。( 2018/05/17)

    【課題】原料の風味を残しつつ、新たな風味が付与され、飲みやすい焼酎を提供する。【解決手段】焼酎醪に、長命草またはその抽出物を添加して発酵させた後、蒸留することを特徴とする焼酎の製造方法およびこの製造方... 詳細

  • 島根県の「 酒類およびその製造方法」が 公開されました。( 2018/05/17)

    【課題】簡便な処理で、風味に優れ、しかも保存安定性の良いお酒が得られることが望まれる。【解決手段】穀類を麹菌により糖化した後、酵母によりアルコール発酵させて得られたスラリーから固形分を除去し、50℃以... 詳細

  • 島根県の「 紫芋を原料とするアルコール飲料、飲食料品材料、飲食品、及びそれらの製造方法」が 公開されました。( 2018/05/17)

    【課題】紫芋の色と風味がより感じられる紫芋を原料としたアルコール飲料の製造方法を提供するとともに、該アルコール飲料の製造過程において排出される酒粕を有効に利用して廃棄物が極力出ないシステムを構築するこ... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ