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技術 精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 渡邉国彦山本誠司高橋潔
出願日 2009年4月3日 (11年9ヶ月経過) 出願番号 2009-090951
公開日 2010年10月28日 (10年2ヶ月経過) 公開番号 2010-242148
状態 特許登録済
技術分野 溶融状態での鋼の処理 銑鉄の精製;鋳鉄の製造;転炉法以外の製鋼
主要キーワード 堆積防止効果 含有有無 Na分 付着厚み 付着物厚み 残存スラグ フッ素含有成分 フッ素分
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重要な関連分野

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課題

フッ素を含有しない精錬剤を用いて溶融金属精錬処理を行う際に、精錬容器耐火物へのスラグ付着を抑制する方法を提供する。

解決手段

フッ素を含有しない精錬剤を用いて溶融金属の精錬処理を行う際に、精錬処理の事前又は精錬処理と同時に精錬容器内にソーダ石灰ガラスを添加することを特徴とする精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法である。溶融金属の精錬処理が溶鉄脱硫処理であり、フッ素を含有しない精錬剤がCaOと金属Mg、MgO、焼成ドロマイト、Alドロスを含む脱硫剤であるときに優れた効果を発揮する。前記精錬処理が、KR溶銑脱硫処理トーピードカー溶銑脱硫処理、溶鋼への粉体吹き込み脱硫処理、溶鋼真空脱ガス処理のいずれかである。ソーダ石灰ガラスの添加量を、溶湯トン当たり0.5〜5kgとすると好ましい。

概要

背景

溶融金属精錬処理は、精錬容器に溶融金属を受容し、精錬剤を用いて行われる。例えば溶鉄脱硫処理については、高炉から出銑した溶銑に対する溶銑脱硫、あるいは脱炭精錬を完了した溶鋼に対する溶鋼脱硫が行われる。溶銑脱硫については、トーピードカー中の溶銑を対象とするトーピードカー脱硫、溶銑鍋中の溶銑を対象とし、KR攪拌を行いながら脱硫するKR脱硫などが主に用いられる。溶鋼脱硫については、溶鋼鍋中の溶鋼に粉体状の精錬剤とともにガスを吹き込むインジェクション脱硫、真空脱ガスと同時に行う脱硫が知られている。

従来、脱硫用の精錬剤として、CaC2あるいはNa2Oを主体とする脱硫剤が用いられてきたが、CaC2は高価であり、またNa系は脱硫処理後スラグ中にNaが残存してセメント材料としての再利用が制約される問題があることなどにより、最近ではCaOを主剤とする脱硫剤が多く用いられている。ただし、脱硫剤としてCaOを単独で用いたのでは、融点が2500℃程度と非常に高く、脱硫処理中に脱硫剤が溶解しないので、十分な脱硫効果を得ることができない。このため、CaOにCaF2(蛍石)を少量添加して脱硫剤の融点を降下させ、脱硫効果を促進させることが行われていた。

精錬を完了した後の精錬剤はスラグとして処理される。スラグは、その性質に応じて、建材骨材路盤改良材等として有効利用される。近年、フッ素の環境への影響が懸念されており、スラグを有効利用する上では、フッ素を含有する蛍石を添加しない精錬剤の使用が望まれている。

特許文献1には、金属マグネシウム酸化カルシウムを混合した脱硫剤を搬送ガスと共にインジェクションして溶銑脱硫を行う方法が開示されている。脱硫剤にはフッ素を含有していない。同文献に記載の脱硫剤を用い、良好な溶銑脱硫を行うことができるとしている。

特許文献2においては、CaOとMgOを含むドロマイトを主成分とする脱硫剤を用いて溶銑脱硫を行うことにより、蛍石等の造滓材を使用することなく安価に溶銑を脱硫することができるとしている。

特許文献3においては、CaOからなる主剤とソーダ石灰ガラスとからなる溶銑用脱硫剤を用いることにより、CaF2やAl2O3を添加することなく、脱硫効果を向上することができるとしている。

概要

フッ素を含有しない精錬剤を用いて溶融金属の精錬処理を行う際に、精錬容器耐火物へのスラグ付着を抑制する方法を提供する。フッ素を含有しない精錬剤を用いて溶融金属の精錬処理を行う際に、精錬処理の事前又は精錬処理と同時に精錬容器内にソーダ石灰ガラスを添加することを特徴とする精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法である。溶融金属の精錬処理が溶鉄の脱硫処理であり、フッ素を含有しない精錬剤がCaOと金属Mg、MgO、焼成ドロマイト、Alドロスを含む脱硫剤であるときに優れた効果を発揮する。前記精錬処理が、KR溶銑脱硫処理、トーピードカー溶銑脱硫処理、溶鋼への粉体吹き込み脱硫処理、溶鋼真空脱ガス処理のいずれかである。ソーダ石灰ガラスの添加量を、溶湯トン当たり0.5〜5kgとすると好ましい。なし

目的

近年、フッ素の環境への影響が懸念されており、スラグを有効利用する上では、フッ素を含有する蛍石を添加しない精錬剤の使用が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

フッ素を含有しない精錬剤を用いて溶融金属精錬処理を行う際に、精錬処理の事前又は精錬処理と同時に精錬容器内にソーダ石灰ガラスを添加することを特徴とする精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法

請求項2

溶融金属の精錬処理が溶鉄脱硫処理であり、フッ素を含有しない精錬剤がCaOと金属Mgを含む脱硫剤であることを特徴とする請求項1に記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。

請求項3

金属Mgに代え、脱硫剤にMgOを含むことを特徴とする請求項2に記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。

請求項4

精錬処理が溶鋼の脱硫処理であり、フッ素を含有しない精錬剤がCaOと焼成ドロマイトの一方又は両方を含む脱硫剤であることを特徴とする請求項1に記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。

請求項5

脱硫剤はさらに焼成ドロマイトとAlドロスの一方又は両方を含むことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。

請求項6

前記精錬処理が、KR溶銑脱硫処理トーピードカー溶銑脱硫処理、溶鋼への粉体吹き込み脱硫処理、溶鋼真空脱ガス処理のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。

請求項7

精錬容器内へのソーダ石灰ガラスの投入方法は、精錬容器内の溶湯表面に上方から添加する方法、又は精錬容器内の溶湯中に粉体吹き込みによって投入する方法のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。

請求項8

ソーダ石灰ガラスの添加量を、溶湯トン当たり0.5〜5kgとすることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。

請求項9

ソーダ石灰ガラスの投入前に、精錬容器内の溶湯表面残存スラグ排滓することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。

技術分野

0001

本発明は、フッ素を含有しない精錬剤を用いて精錬処理を行う際における、精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法に関するものである。

背景技術

0002

溶融金属の精錬処理は、精錬容器に溶融金属を受容し、精錬剤を用いて行われる。例えば溶鉄脱硫処理については、高炉から出銑した溶銑に対する溶銑脱硫、あるいは脱炭精錬を完了した溶鋼に対する溶鋼脱硫が行われる。溶銑脱硫については、トーピードカー中の溶銑を対象とするトーピードカー脱硫、溶銑鍋中の溶銑を対象とし、KR攪拌を行いながら脱硫するKR脱硫などが主に用いられる。溶鋼脱硫については、溶鋼鍋中の溶鋼に粉体状の精錬剤とともにガスを吹き込むインジェクション脱硫、真空脱ガスと同時に行う脱硫が知られている。

0003

従来、脱硫用の精錬剤として、CaC2あるいはNa2Oを主体とする脱硫剤が用いられてきたが、CaC2は高価であり、またNa系は脱硫処理後スラグ中にNaが残存してセメント材料としての再利用が制約される問題があることなどにより、最近ではCaOを主剤とする脱硫剤が多く用いられている。ただし、脱硫剤としてCaOを単独で用いたのでは、融点が2500℃程度と非常に高く、脱硫処理中に脱硫剤が溶解しないので、十分な脱硫効果を得ることができない。このため、CaOにCaF2(蛍石)を少量添加して脱硫剤の融点を降下させ、脱硫効果を促進させることが行われていた。

0004

精錬を完了した後の精錬剤はスラグとして処理される。スラグは、その性質に応じて、建材骨材路盤改良材等として有効利用される。近年、フッ素の環境への影響が懸念されており、スラグを有効利用する上では、フッ素を含有する蛍石を添加しない精錬剤の使用が望まれている。

0005

特許文献1には、金属マグネシウム酸化カルシウムを混合した脱硫剤を搬送ガスと共にインジェクションして溶銑脱硫を行う方法が開示されている。脱硫剤にはフッ素を含有していない。同文献に記載の脱硫剤を用い、良好な溶銑脱硫を行うことができるとしている。

0006

特許文献2においては、CaOとMgOを含むドロマイトを主成分とする脱硫剤を用いて溶銑脱硫を行うことにより、蛍石等の造滓材を使用することなく安価に溶銑を脱硫することができるとしている。

0007

特許文献3においては、CaOからなる主剤とソーダ石灰ガラスとからなる溶銑用脱硫剤を用いることにより、CaF2やAl2O3を添加することなく、脱硫効果を向上することができるとしている。

先行技術

0008

特開平7−179919号公報
特開2003−268429号公報
特許第3287719号公報

発明が解決しようとする課題

0009

溶銑の脱硫剤として、従来用いられていたCaO+CaF2からなる脱硫剤に対し、金属Mgを加えてCaO+CaF2+Mgからなる脱硫剤を用いたところ、金属Mgの脱硫効果が発揮され、CaO+CaF2の場合よりも良好な脱硫効果を得ることができた。次に、CaO+CaF2+MgからCaF2を除外し、CaO+Mgからなる脱硫剤を用いたところ、CaO+CaF2+Mgからなる脱硫剤と同等の脱硫効果を得ることができた。即ち、CaOを主体とし金属Mgを含有する脱硫剤を用いる場合、脱硫剤にフッ素含有成分を含有するか否かによって脱硫効果に差が生じないことがわかった。

0010

そこで、溶銑脱硫を行う際のフッ素を含有しない脱硫剤としてCaO+Mgからなる脱硫剤を採用し、高炉から供給される溶銑について、トーピードカー内の溶銑に脱硫剤を吹き込むことによって溶銑脱硫を行った。すると、日時の経過と共にトーピードカーの内張り耐火物脱硫スラグが付着・堆積し、次第にトーピードカーの内容積を狭める事態が生じた。これでは、トーピードカーの溶銑運搬容量の低下を来たし、高炉から下工程の製鋼工場への溶銑の輸送能力に支障を来すこととなる。

0011

本発明は、フッ素を含有しない精錬剤を用いて溶融金属の精錬処理を行う際に、精錬容器耐火物へのスラグ付着を抑制する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)フッ素を含有しない精錬剤を用いて溶融金属の精錬処理を行う際に、精錬処理の事前又は精錬処理と同時に精錬容器内にソーダ石灰ガラスを添加することを特徴とする精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。
(2)溶融金属の精錬処理が溶鉄の脱硫処理であり、フッ素を含有しない精錬剤がCaOと金属Mgを含む脱硫剤であることを特徴とする上記(1)に記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。
(3)金属Mgに代え、脱硫剤にMgOを含むことを特徴とする上記(2)に記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。
(4)精錬処理が溶鋼の脱硫処理であり、フッ素を含有しない精錬剤がCaOと焼成ドロマイトの一方又は両方を含む脱硫剤であることを特徴とする上記(1)に記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。
(5)脱硫剤はさらに焼成ドロマイトとAlドロスの一方又は両方を含むことを特徴とする上記(2)乃至(4)のいずれかに記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。
(6)前記精錬処理が、KR溶銑脱硫処理、トーピードカー溶銑脱硫処理、溶鋼への粉体吹き込み脱硫処理、溶鋼真空脱ガス処理のいずれかであることを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。
(7)精錬容器内へのソーダ石灰ガラスの投入方法は、精錬容器内の溶湯表面に上方から添加する方法、又は精錬容器内の溶湯中に粉体吹き込みによって投入する方法のいずれかであることを特徴とする上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。
(8)ソーダ石灰ガラスの添加量を、溶湯トン当たり0.5〜5kgとすることを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。
(9)ソーダ石灰ガラスの投入前に、精錬容器内の溶湯表面残存スラグ排滓することを特徴とする上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の精錬容器耐火物へのスラグ付着抑制方法。

発明の効果

0013

本発明は、フッ素を含有しない精錬剤を用いて溶融金属の精錬処理を行う際に、精錬処理の事前又は精錬処理と同時に精錬容器内にソーダ石灰ガラスを添加することにより、精錬容器耐火物へのスラグ付着を抑制することが可能となる。

0014

本発明においてソーダ石灰ガラスとは、Si分をSiO2換算で65〜80質量%、Na分をNa2O換算で10〜20質量%、Ca分をCaO換算で5〜15質量%含有するガラスをいう。

0015

本発明は、フッ素を含有しない精錬剤を用いた溶融金属の精錬処理の全般について、精錬容器耐火物へのスラグ付着を抑制することができる。特に、溶鉄の脱硫処理において大きな効果を発揮する。そこでまず、溶鉄の脱硫処理を例にとって本発明を詳細に説明する。

0016

高炉から出銑された溶銑をトーピードカーに受容し、トーピードカーを精錬容器として、トーピードカー内の溶銑に粉体吹き込みランスを浸漬し、脱硫剤を粉体吹き込みによって添加し、溶銑脱硫を行った。脱硫処理前の溶銑S濃度は、平均して0.025質量%程度であった。脱硫剤としてCaO:72質量%+CaF2:15質量%+Mg:13質量%からなる脱硫剤(脱硫剤1)を溶銑トン当たり6kg、CaO:87質量%+Mg:13質量%からなる脱硫剤(脱硫剤2)を溶銑トン当たり6kg用いて比較を行った。脱硫効果について確認したところ、脱硫処理後の溶銑S濃度が、脱硫剤1を用いた場合は平均して0.003質量%程度、脱硫剤2を用いた場合は平均して0.003質量%程度であった。即ち、フッ素を含有する脱硫剤1を用いた場合に比較して、フッ素を含有しない脱硫剤2を用いても脱硫効果には変化がなかった。脱硫剤1、脱硫剤2ともにCaOに加えて金属Mgを含有しており、この金属Mgの脱硫能力が効果を発揮し、CaF2含有有無の差が生じなかったものと考えられる。

0017

そこで、トーピードカー脱硫に用いる脱硫剤を上記脱硫剤1から脱硫剤2に変更し、日常的に高炉から出銑される溶銑に対してトーピードカー脱硫を実施した。すると、日時の経過と共にトーピードカー内の耐火物にスラグが付着・堆積し、次第にトーピードカーの内容積が減少する傾向が発生した。脱硫剤を脱硫剤2に変更してから2ヶ月を経過した時点で、トーピードカー内容積が平均で20%減少するに至った。

0018

耐火物にスラグが付着・堆積した理由は、脱硫剤からCaF2を除外した結果として、脱硫剤を主体として形成されるスラグの粘度が増大し、耐火物に付着しやすくなったためと考えられる。また、精錬処理終了後に精錬容器内の残存スラグを排滓するに際し、CaF2を含有しない精錬剤を用いたためにスラグの粘度が増大し、形成されたスラグが十分に排滓されずに精錬容器内に残存し、この残存スラグが耐火物に付着・堆積を助長したと考えられる。

0019

そこで、脱硫剤中にフッ素分を含有させない前提を維持しつつ、精錬後に形成されるスラグが耐火物に付着しづらくなるよう改質するための手段を検討した。その結果、精錬処理の事前又は精錬処理と同時に精錬容器内にソーダ石灰ガラスを添加することにより、耐火物へのスラグ付着・堆積を防止できることが明らかとなった。ソーダ石灰ガラスは、少量の添加でスラグの粘度を低減し、耐火物への付着・堆積を防止することができる。また、スラグの粘度が低減した結果として、精錬処理後に精錬容器からスラグを排滓するに際し、容易に排滓ができるようになった。ソーダ石灰ガラス中に含まれるNa分は脱硫能が期待され、それがために脱硫時にソーダ石灰ガラスを添加しても脱硫処理における脱硫効果の悪化を来すことがない。また、ソーダ石灰ガラスは安価に入手可能である。

0020

ソーダ石灰ガラスは、前述のとおり、成分組成としてSi分をSiO2換算で65〜80質量%、Na分をNa2O換算で10〜20質量%、Ca分をCaO換算で5〜15質量%含有するガラスであり、ソーダガラス軟質ガラスともいう。この範囲の成分のいずれであっても、精錬処理時に添加することによって耐火物へのスラグ付着・堆積を防止する能力を有する。特に一般的に製造されるソーダ石灰ガラスの成分範囲は、SiO2:70〜74質量%、Na2O:12〜16質量%、CaO+MgO:10〜13質量%であり、さらにAl2O3を0.5〜2.5質量%含有している。これら成分以外の成分含有量は10質量%以下である。また、上記成分組成を有するソーダ石灰ガラスであれば、ガラス製品のみならず、ソーダ石灰ガラス製造時に発生する同様の成分を有する物質をも含む。

0021

精錬処理時におけるソーダ石灰ガラスの添加方法としては、精錬処理の事前に精錬容器内に添加する方法、又は精錬処理と同時に精錬容器内に添加する方法のいずれかを採用することができる。精錬処理において、精錬剤の添加方法としては、精錬開始時に精錬容器に受容された溶融金属の表面に添加する方法、あるいは溶融金属中に粉体吹き込み方法によって吹き込みガスと共に吹き込む方法が採用される。ソーダ石灰ガラスを精錬処理と同時に精錬容器内に添加する場合には、予め精錬剤とソーダ石灰ガラスとを混合しておき、混合物溶融金属表面に添加、あるいは粉体吹き込みによって添加すると良い。一方、精錬剤が金属Mgを含有する場合には、精錬剤とソーダ石灰ガラスとを事前に混合せず、ソーダ石灰ガラスは精錬処理の事前に精錬容器内に添加し、精錬剤は別途溶融金属に添加することとした方が好ましい。ソーダ石灰ガラスは水分を含有していることが多いので、金属Mgを含有する精錬剤に予めソーダ石灰ガラスを混合すると、金属Mgとソーダ石灰ガラス中の水分が反応して水素ガスが発生する可能性があるからである。

0022

本発明においてフッ素を含有しない精錬剤とは、精錬剤中のフッ素含有量が0.1質量%以下である場合をいう。

0023

また、フッ素を含有しない精錬剤がCaOと金属Mgを含む脱硫剤である場合、精錬剤中の金属Mg含有量は10〜25質量%であると好ましい。この成分範囲であれば、金属Mgによる脱硫効果を十分に発揮することができ、また高価な金属Mgを過剰に用いることによるコスト増大を回避することができる。また精錬剤中のCaOと金属Mgの合計含有量が95質量%以上であると好ましい。脱硫に寄与しない成分の含有量が少ないほど、脱硫効果を向上することができるからである。

0024

フッ素を含有しない精錬剤がCaOとMgOを含む脱硫剤である場合においても、本発明を適用することができる。精錬剤としてCaOとMgOをともに含有することにより、精錬剤の融点が下がるのでCaF2を含有しなくても十分な脱硫効果を発揮することができる。そして精錬剤がCaOとMgOを含むものである場合も、CaF2を含有しないためにスラグの粘度が上昇し、耐火物へのスラグの付着・堆積が発生する。この場合において、精錬処理の事前又は同時に精錬容器内にソーダ石灰ガラスを添加することにより、精錬容器耐火物へのスラグ付着を抑制する効果を発揮することができる。この場合、精錬剤中のMgO含有量は15〜40質量%であると好ましい。この成分範囲であれば、CaOと混合することによる粘度低減効果を十分に発揮することができるからである。脱硫剤がCaOとMgOを含む場合、脱硫剤中のそれら成分の合計が95質量%以上であると好ましい。脱硫に寄与しない成分の含有量が少ないほど、脱硫効果を向上することができるからである。

0025

脱硫剤中にMgOを含む場合、MgO源として焼成ドロマイトを用いると好ましい。焼成ドロマイトは、ドロマイト(CaMg(CO3)2)を焼成して形成したものであり、CaOとMgO結晶が極めて微細な状態で共存している。そのため、脱硫能を有するCaOの反応性が高く、高い脱硫効果を得ることができる。焼成ドロマイトと生石灰(CaO)を所定の比率で混合することにより、脱硫剤中のCaO含有量とMgO含有量を調整することができる。

0026

以上に述べた脱硫剤にさらにAlドロスを含有させると好ましい。Alドロス中の金属Al分による溶鉄及びスラグ中の酸素レベルの低減を図り、MgOと溶鉄中炭素による反応を優先的に行い、溶鉄中Mg濃度を高め、Mg+S→MgSの脱硫反応を促進するからである。

0027

本発明の溶融金属の精錬処理として溶銑の脱硫処理を行う場合、KR溶銑脱硫処理、トーピードカー溶銑脱硫処理のいずれにおいても適用することができる。KR溶銑脱硫については、溶銑鍋に溶銑を受容し、溶銑をインペラーで攪拌し、攪拌開始前、あるいは攪拌中溶銑中に脱硫剤を添加することによって溶銑脱硫を行う。ソーダ石灰ガラスは、脱硫剤添加前に添加、あるいは脱硫剤に混合して添加することができる。トーピードカー溶銑脱硫処理については、トーピードカーに溶銑を受容し、溶銑中に粉体吹き込みランスを浸漬し、ランス先端から吹き込みガスとともに脱硫剤を粉体吹き込みする。ソーダ石灰ガラスは、脱硫剤添加前に添加、あるいは脱硫剤に混合して添加することができる。いずれの処理においても、ソーダ石灰ガラスを添加することにより、精錬容器の耐火物へのスラグ付着・堆積を防止することができる。

0028

また、溶鋼への粉体吹き込み脱硫処理に適用することもできる。転炉精錬が完了した溶鋼を溶鋼鍋に受容し、溶鋼中に粉体吹き込みランスを浸漬し、ランス先端から吹き込みガスとともに脱硫剤を粉体吹き込みする。ソーダ石灰ガラスは、脱硫剤添加前に添加、あるいは脱硫剤に混合して添加することができる。溶鋼脱硫処理においては、浸漬ランスや蓋等の耐火物へのスラグ付着の抑制、及び処理後スラグの固化によるメタルサンプルの採取不可を防止するために、ソーダ石灰ガラスの添加が有効である。

0029

本発明の溶融金属の精錬処理として、上記脱硫処理のほか、溶鋼真空脱ガス処理、例えばRH真空脱ガス装置を用いた処理に適用することができる。溶鋼真空脱ガス処理においては、取鍋溶鋼表面に残存するスラグの脱ガス精錬容器真空槽)浸漬管内面への付着を抑制するために、脱ガス処理前に、事前にソーダ石灰ガラスを添加、あるいは真空槽内からのソーダ石灰ガラスの添加を行う。

0030

精錬処理の事前又は精錬処理と同時に精錬容器内にソーダ石灰ガラスを添加する本発明において、ソーダ石灰ガラスの添加量を、溶湯トン当たり0.5〜5kgとすると好ましい。ソーダ石灰ガラスの添加量が少なすぎると精錬容器の耐火物へのスラグ付着・堆積防止効果を発揮できないが、溶湯(溶融金属)トン当たり0.5kg以上を添加することにより、本発明の効果を発揮することができる。一方、添加量が溶湯トン当たり5kgを超えると、ソーダ石灰ガラス中のNa2O分による発塵の発生やSiO2の増大による精錬反応への影響発生が懸念されるため、上限を5kg/tとした。ソーダ石灰ガラスの添加量を、精錬剤使用量当たりで定めるのではなく、溶湯トンあたりで定めた理由は、本発明の付着抑制処理の対象が、精錬容器内の残留スラグ(脱硫剤を含む)であるためである。ただし、精錬脱硫剤量が精錬容器内残留スラグのほぼ全体をしめる場合には、脱硫剤添加量に応じて添加することが望ましい。

0031

本発明において、ソーダ石灰ガラスの投入前に、精錬容器内の溶湯表面残存スラグを排滓することとすると好ましい。排滓を行うことにより、精錬容器内残留スラグが少なくなるため、ソーダ石灰ガラスによる付着抑制効果が大きくなるためである。

0032

ソーダ石灰ガラスとして、SiO2:72質量%、Na2O:15質量%、CaO:8質量%のものを用いた。ソーダ石灰ガラスの粒度は1mm以下(平均0.6mm)であった。

0033

脱硫処理の場合、脱硫能として、同じ脱硫剤原単位で脱硫した場合の脱硫率((処理前S−処理後S)/処理前S)を評価し、比較例のうちフッ素含有脱硫剤を用いた場合の脱硫能を1として相対評価を行った。

0034

(実施例1)
精錬容器としてトーピードカーを用い、浸漬ランスから脱硫剤を吹き込んで溶銑の脱硫処理を行うに際し、本発明を適用した。本発明例の脱硫剤はCaO:87質量%+Mg:13質量%のものを用いた。比較例として、本発明例と同じ脱硫剤及び、CaO:72質量%+Mg:13質量%+CaF2:15質量%のフッ素含有脱硫剤を用いた。脱硫処理を開始する前に溶銑中にソーダ石灰ガラスを添加した。ソーダ石灰ガラス投入方法としては、「入れ置き」はトーピードカーの溶銑表面にソーダ石灰ガラスを入れ置きし、「粉体吹き込み」はトーピードカーの溶銑中に浸漬ランスを用いて窒素ガスキャリアガスとしてソーダ石灰ガラスを添加した。「排滓有り」は、ソーダ石灰ガラスを添加する前(比較例では脱硫剤添加前)に、トーピードカー中の溶銑表面にスラグを排滓機を用いて除去したものである。「排滓なし」はスラグ除去を行っていない。

0035

精錬容器スラグ付着状況については、連続して5回脱硫を行ったトーピードカーから溶銑を払い出した後にトーピードカー内部を確認し、耐火物への付着厚みが300mmを超える場合を「付着あり」として評価した。

0036

処理条件及び処理結果を表1に示す。

0037

0038

表1から明らかなように、ソーダ石灰ガラスを添加した本発明例はいずれも、トーピードカーへのスラグ付着がなかった。脱硫能については、本発明例と比較例を「排滓あり」同士で比較すると、ソーダ石灰ガラス投入方法が入れ置きの場合も粉体吹き込みの場合も、本発明例は比較例と同等又はそれ以上の脱硫能を示している。ソーダ石灰ガラス原単位が多い一部の本発明例では若干の脱硫能の低下が見られた。「排滓なし」についても、本発明例は比較例と同等以上の脱硫能を示している。

0039

(実施例2)
実施例1と同様のトーピードカー脱硫において、脱硫剤として、表2に示すCaO+MgO脱硫剤、ドロマイト脱硫剤、Alドロスを含有する脱硫剤を用い、ソーダ石灰ガラス有無比較を行った。CaO:72質量%+Mg:13質量%+CaF2:15質量%のフッ素含有脱硫剤を用い、ソーダ石灰ガラスを添加しない比較例No.3を基準として脱硫能を評価した。精錬容器スラグ付着状況については実施例1と同様に評価した。

0040

処理条件及び処理結果を表2に示す。

0041

0042

ソーダ石灰ガラスを添加した本発明例はいずれも、トーピードカーへのスラグ付着が見られず、脱硫能も良好であった。

0043

(実施例3)
精錬容器として溶銑鍋を用い、溶銑のKR脱硫を行うに際し、本発明を適用した。トーピードカー脱硫をKR脱硫と変更した以外は、実施例1と同様である。

0044

CaO:72質量%+Mg:13質量%+CaF2:15質量%のフッ素含有脱硫剤を用い、ソーダ石灰ガラスを添加しない比較例No.10を基準として脱硫能を評価した。精錬容器スラグ付着状況については、脱硫処理を5回処理した後の溶銑鍋およびKRインペラー耐火物を確認し、耐火物の付着物厚みが300mmを超える場合を「付着あり」として評価した。

0045

処理条件及び処理結果を表3に示す。表3から明らかなように、ソーダ石灰ガラスを添加した本発明例は、耐火物へのスラグ付着が見られず、脱硫能も良好であった。

0046

0047

(実施例4)
転炉精錬を完了して溶鋼鍋に出鋼した溶鋼を用い、浸漬ランスを用いて溶鋼粉体吹き込み脱硫を行うに際し、本発明を適用した。脱硫剤としてCaO:100%(比較例ではCaOとCaF2混合物を含む)を用いた。ソーダ石灰ガラスの投入方法は事前混合とした。溶鋼脱硫であるから排滓は行わない。

0048

CaO:80質量%+CaF2:20質量%のフッ素含有脱硫剤を用い、ソーダ石灰ガラスを添加しない比較例No.12を基準として脱硫能を評価した。精錬容器スラグ付着状況については、脱硫処理を連続処理した後の鍋蓋の内部を確認して付着物厚みが100mmを超えるものを「付着あり」として評価した。

0049

処理条件及び処理結果を表4に示す。表4から明らかなように、ソーダ石灰ガラスを添加した本発明例は、耐火物へのスラグ付着が見られず、脱硫能も良好であった。

0050

0051

(実施例5)
転炉精錬を完了して溶鋼鍋に出鋼した溶鋼を用い、RH真空脱ガス装置を用いて溶鋼真空脱ガス処理を行うに際し、本発明を適用した。RH真空槽の浸漬管内部に付着する付着物を防止することが目的であり、精錬能の評価は行っていない。ソーダ石灰ガラスの添加方法は、出鋼中、出鋼流に上方添加する方法、出鋼完了後の上に上方添加する方法、RH処理中にRH真空槽内に上方から添加する方法をそれぞれ採用した。

0052

精錬容器スラグ付着状況については、RH処理前の浸漬管内径を測定し、連続5chの処理を行った後、付着物厚みが50mmを超えるものを「付着あり」として評価した。

0053

処理条件及び処理結果を表5に示す。本発明例はいずれも、浸漬管内部へのスラグ付着を防止することができた。

実施例

0054

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