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技術 移動体の速度制御方法とその方法を用いる速度制御装置および射出成形機用制御装置

出願人 パナソニック株式会社
発明者 酒井龍雄丸田豊村井亮介
出願日 2009年4月9日 (10年11ヶ月経過) 出願番号 2009-094498
公開日 2010年10月28日 (9年4ヶ月経過) 公開番号 2010-241059
状態 拒絶査定
技術分野 プラスチック等の射出成形
主要キーワード 計測圧力値 時間変化グラフ 制御時間間隔 設定速 制御要因 C言語 変化グラフ ブロック線
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

プランジャなどの移動体速度制御方法とその方法を用いる速度制御装置および射出成形機用制御装置において、簡単な構成により、移動体を効率的に減速させ、目的位置位置精度良く停止させるように速度制御可能とする。

解決手段

速度制御装置の位置偏差取得部11は、エンコーダ22の出力xeに基づいて現在位置xを取得し、目的位置x0までの位置偏差d=x0−xを取得する。位置偏差dは、変換速度生成部13に入力され、位置偏差dが小さくなるに連れて減速する変換速度v2が生成される。速度指令値出力部14から速度v1,v2の絶対値の小さい方の速度が速度指令値vrとして出力される。目的位置x0の近傍で変換速度v2が優勢となる。制御部10は、速度指令値vrと移動速度vとの偏差を解消する操作量wを出力し、駆動部21が動作して移動体20の速度が制御され、目的位置x0に停止される。

概要

背景

従来から、所定の移動領域で移動する移動体の速度を制御しつつ、移動体を目的位置まで移動させ、目的位置で位置精度良く停止させることや、目的位置で所定の速度以下とすることについて、移動体の使用条件や使用目的に応じて種々の工夫がなされている。例えば、予め設定した加速度減速度、最高速度を制約条件として、目的位置までの位置偏差に応じて現在の速度を加速または減速して速度が制御される。また、DCモータの制御において目的位置までの位置偏差と速度の関係を予めプロファイルとして設定し、速度プロファイルに速度が沿うように速度を制御する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、移動体の移動によって発生する圧力を制約条件または達成条件として考慮して移動体の移動速度を制御する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。

概要

プランジャなどの移動体の速度制御方法とその方法を用いる速度制御装置および射出成形機用制御装置において、簡単な構成により、移動体を効率的に減速させ、目的位置に位置精度良く停止させるように速度制御可能とする。速度制御装置の位置偏差取得部11は、エンコーダ22の出力xeに基づいて現在位置xを取得し、目的位置x0までの位置偏差d=x0−xを取得する。位置偏差dは、変換速度生成部13に入力され、位置偏差dが小さくなるに連れて減速する変換速度v2が生成される。速度指令値出力部14から速度v1,v2の絶対値の小さい方の速度が速度指令値vrとして出力される。目的位置x0の近傍で変換速度v2が優勢となる。制御部10は、速度指令値vrと移動速度vとの偏差を解消する操作量wを出力し、駆動部21が動作して移動体20の速度が制御され、目的位置x0に停止される。

目的

本発明は、上記課題を解消するものであって、簡単な構成により、プランジャなどの移動体を、適切に減速させて目的位置に位置精度良く停止させるように速度制御できる移動体の速度制御方法とその方法を用いる速度制御装置および射出成形機用制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

動体目的位置に向かって設定速度で移動させ、停止させる移動体の速度制御方法であって、移動体の現在位置から目的位置までの位置偏差に関連して前記位置偏差の絶対値が小さくなるに連れ減速する変換速度を生成する変換速度生成ステップと、移動体の現在位置における予め設定された設定速度と前記変換速度生成ステップにおいて生成された変換速度とを比較して絶対値の小さい方の速度を速度指令値として出力する指令値出力ステップと、前記指令値出力ステップにおいて出力される速度指令値に基づいて移動体の速度を制御する制御ステップと、を含むことを特徴とする移動体の速度制御方法。

請求項2

前記変換速度は、移動体の現在位置から目的位置までの位置偏差に係数掛けた値として生成されることを特徴とする請求項1に記載の移動体の速度制御方法。

請求項3

前記係数は、移動体の現在位置から目的位置までの位置偏差の関数とされていることを特徴とする請求項2に記載の移動体の速度制御方法。

請求項4

前記変換速度は、移動体の現在位置から目的位置までの位置偏差をd、実数に対しその符号と同符号の1,−1、または0のいずれかを返す符号関数をsgn()、予め設定された係数をa、平方根演算関数をsqrt()としたとき、sgn(d)×sqrt(|2×a×d|)として生成されることを特徴とする請求項1に記載の移動体の速度制御方法。

請求項5

請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の移動体の速度制御方法を用いて移動体の速度を制御することを特徴とする速度制御装置

請求項6

溶融した樹脂貯留するシリンダと、前記シリンダ内後退移動して前記シリンダ内に樹脂を貯留すると共に前進移動して前記樹脂を前記シリンダに連通された金型送り込むプランジャと、前記プランジャを移動させる駆動装置と、を備えた射出成形機における前記駆動装置を制御して当該射出成形機を制御する射出成形機用制御装置において、前記プランジャを移動体とし、前記シリンダ内の樹脂が前記金型に送り込み完了となる位置を目的位置として、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の移動体の速度制御方法を用いて前記射出成形機を制御することを特徴とする射出成形機用制御装置。

請求項7

樹脂を貯留完了した位置から前記プランジャを更に後退移動させるサックバック処理を行うために、前記貯留完了した位置を予め設定した時間のあいだ目的位置として保持し、その後、後退移動を開始すると共にサックバック完了予定位置を新たな目的位置として前記速度制御方法を用いて前記射出成形機を制御することを特徴とする請求項6に記載の射出成形機用制御装置。

技術分野

0001

本発明は、プランジャなどの移動体減速時における速度を制御する速度制御方法とその方法を用いる制御装置および射出成形機用制御装置に関する。

背景技術

0002

従来から、所定の移動領域で移動する移動体の速度を制御しつつ、移動体を目的位置まで移動させ、目的位置で位置精度良く停止させることや、目的位置で所定の速度以下とすることについて、移動体の使用条件や使用目的に応じて種々の工夫がなされている。例えば、予め設定した加速度、減速度、最高速度を制約条件として、目的位置までの位置偏差に応じて現在の速度を加速または減速して速度が制御される。また、DCモータの制御において目的位置までの位置偏差と速度の関係を予めプロファイルとして設定し、速度プロファイルに速度が沿うように速度を制御する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、移動体の移動によって発生する圧力を制約条件または達成条件として考慮して移動体の移動速度を制御する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。

先行技術

0003

特許第3472278号
特許第2961582号

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、予め減速度などを設定しておく速度制御方法や特許文献1に示されるような速度プロファイルを設定しておく速度制御方法においては、例えば、最短移動時間で目的位置まで移動させることが必要なときに、制御対象である移動体の特性の変動や移動体への外乱の作用によって移動体に十分な制御入力駆動力)を与えることができなかったり、速度プロファイルよりも大きな移動速度となって十分に減速できなかったりして、適切に目的位置で停止させたり所定の速度以下とすることができないことがある。また、特許文献2に示される速度制御方法は、インライン型射出成形機射出工程時スクリュウ移動制御において、圧力偏差に基づく速度指令と位置偏差に基づく速度指令とを比較して値の小さい速度指令に基づいて速度制御するものである。このような速度制御においては、圧力偏差が小さくなるとスクリュウの移動速度である射出速度が減速し、射出工程において設定した量の溶融樹脂高速充填するという目的を達成できなくなることが考えられる。

0005

本発明は、上記課題を解消するものであって、簡単な構成により、プランジャなどの移動体を、適切に減速させて目的位置に位置精度良く停止させるように速度制御できる移動体の速度制御方法とその方法を用いる速度制御装置および射出成形機用制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を達成するために、請求項1の発明は、移動体を目的位置に向かって設定速度で移動させ、停止させる移動体の速度制御方法であって、移動体の現在位置から目的位置までの位置偏差に関連して前記位置偏差の絶対値が小さくなるに連れて減速する変換速度を生成する変換速度生成ステップと、移動体の現在位置における予め設定された設定速度と前記変換速度生成ステップにおいて生成された変換速度とを比較して絶対値の小さい方の速度を速度指令値として出力する指令値出力ステップと、前記指令値出力ステップにおいて出力される速度指令値に基づいて移動体の速度を制御する制御ステップと、を含む移動体の速度制御方法である。

0007

請求項2の発明は、請求項1に記載の移動体の速度制御方法において、前記変換速度は、移動体の現在位置から目的位置までの位置偏差に係数掛けた値として生成されるものである。

0008

請求項3の発明は、請求項2に記載の移動体の速度制御方法において、前記係数は、移動体の現在位置から目的位置までの位置偏差の関数とされているものである。

0009

請求項4の発明は、請求項1に記載の移動体の速度制御方法において、前記変換速度は、移動体の現在位置から目的位置までの位置偏差をd、実数に対しその符号と同符号の1,−1、または0のいずれかを返す符号関数をsgn()、予め設定された係数をa、平方根演算関数をsqrt()としたとき、sgn(d)×sqrt(|2×a×d|)として生成されるものである。

0010

請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の移動体の速度制御方法を用いて移動体の速度を制御する速度制御装置である。

0011

請求項6の発明は、溶融した樹脂貯留するシリンダと、前記シリンダ内後退移動して前記シリンダ内に樹脂を貯留すると共に前進移動して前記樹脂を前記シリンダに連通された金型送り込むプランジャと、前記プランジャを移動させる駆動装置と、を備えた射出成形機における前記駆動装置を制御して当該射出成形機を制御する射出成形機用制御装置において、前記プランジャを移動体とし、前記シリンダ内の樹脂が前記金型に送り込み完了となる位置を目的位置として、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の移動体の速度制御方法を用いて前記射出成形機を制御する射出成形機用制御装置である。

0012

請求項7の発明は、請求項6に記載の射出成形機用制御方法において、樹脂を貯留完了した位置から前記プランジャを更に後退移動させるサックバック処理を行うために、前記貯留完了した位置を予め設定した時間のあいだ目的位置として保持し、その後、後退移動を開始すると共にサックバック完了予定位置を新たな目的位置として前記速度制御方法を用いて前記射出成形機を制御するものである。

発明の効果

0013

請求項1の発明によれば、詳細な速度プロファイルを設定することなく適切な速度指令値を発生させることができ、移動体を適切に減速させて目的位置に位置精度良く停止させるように速度制御をすることができる。予め設定された減速度と現在の速度とを用いて速度指令値を算出する方法では2乗計算や開平計算が必要な複雑な計算となるが、変換速度を用いる方法によれば、速度指令値の設定のための計算が簡単となる。

0014

請求項2の発明によれば、単純な計算で変換速度を生成できる。

0015

請求項3の発明によれば、目的位置までの遠近に応じて減速の方法を変更することができ、変換速度を適用する距離範囲や適用分野を広げることができる。

0016

請求項4の発明によれば、目的位置の近距離において一次関数よりも急激な減速を、簡単な関数計算によって実現できる。

0017

請求項5の発明によれば、移動体に負荷変動が発生しても、速度指令値を適切に出力できるので、頑健かつ適切に速度制御を行うことができる。

0018

請求項6の発明によれば、射出工程から保圧工程への切り替え位置、すなわち、樹脂が金型に送り込み完了となる位置を目的位置として目的位置までの位置偏差に応じて生成される変換速度を速度指令値として用いるので、速度指令値の生成が容易で高速制御が可能である。また、切り替えを設定した目的位置(位置偏差ゼロの位置)にプランジャが到達した時点で速度を略0とすることができ、射出工程から保圧工程への切り替えを位置精度良く適切に行うことができる。

0019

請求項7の発明によれば、プランジャをサックバック完了予定位置において位置精度良く停止させることができる。また、サックバックを開始する際に、予め設定した時間のあいだ、貯留完了した位置を目的位置とし、そこにプランジャを留めておくので、例えば、圧力制御から速度制御に切り替えてサックバック工程を行う場合に、この制御方式の切り替えによって発生する可能性のある不安定な状態を抑制または回避することができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の一実施形態に係る速度制御装置のブロック構成図。
本発明の一実施形態に係る移動体の速度制御方法のフロー図。
同速度制御方法および速度制御装置におけるブロック線図。
同速度制御方法における速度指令値の例を示す速度の位置偏差変化グラフ
同速度制御方法により停止する移動体の位置の時間変化グラフ
図5の領域A部分の拡大図。
同速度制御方法における設定速度の時間変化の例を示すグラフ
本発明の一実施形態に係る射出成形機用制御装置を射出成形機に適用した構成図。
同射出成形機用制御装置を用いたプランジャ動作制御のフロー図。

実施例

0021

以下、本発明の一実施形態に係る移動体の速度制御方法とその方法を用いる速度制御装置および射出成形機用制御装置について、図1乃至図8を参照して説明する。
(速度制御装置)
図1に示すように、速度制御装置1は、制御対象2における移動体20の速度を制御して、移動体20をX軸上の目的位置x0に停止させる。その速度制御方法として、後述の図2に示す速度制御方法が用いられる。移動体20は、機械的位置決め駆動のためのサーボ駆動部21によってx軸に沿って移動される。サーボ駆動部21はサーボアンプ23からの信号または動力によって動作する。移動体20の現在位置xは、駆動部21に設けられたエンコーダ22の出力xeから算出され、現在位置xの時間変化から時々刻々の移動速度vを算出することができる。前記X軸は制御対象2に固定された座標系である。また、移動体20に固定された座標系として、X軸と同様のΣ軸を設定する。Σ軸の原点Oは移動体20に固定され、その原点位置によってX軸における移動体20の現在位置xを決定する。以下において、x,x0等は、位置を表すと共に、座標値も表すものとする。

0022

速度制御装置1は、移動体20の現在位置xと目的位置x0までの位置偏差dとを求める位置偏差取得部11と、移動体20の移動速度vを求める速度取得部12と、移動体20の現在位置xから目的位置x0までの位置偏差dに応じて設定される変換速度v2を生成する変換速度生成部13と、予め定めた設定速度v1と前記変換速度v2とを比較して速度指令値vrを出力する速度指令値出力部14とを備えている。また、速度制御装置1は、目的位置x0や設定速度v1を記憶する記憶部15と、速度制御装置1における各部を統合制御する制御部10とを備えている。制御部10は、移動速度vを速度指令値vrとするための操作量wを算出する。速度制御装置1は、コンピュータ入出力機器を備えて構成される。速度制御装置1における情報処理信号処理は、コンピュータ上で動作するプログラムによって行われる。位置偏差dは、Σ軸上の位置(座標値)で表すことができ、d=x0−xの関係がある。移動体20が、目的位置x0に向けてX軸方向に移動している間は、移動速度vは、v>0であり、位置偏差dは、d>0である。移動体20の初期位置が目的位置x0よりもX軸の正方向側であったり、移動体20が目的位置x0を通り越してしまって引き返している場合などでは、v<0、d<0となる。

0023

(移動体の速度制御方法)
図2に示すように、本速度制御方法は、射出成形機におけるプランジャなどの移動体を目的位置に向かって設定速度で移動させ、停止させる移動体の速度制御方法であり、上述の図1に示した速度制御装置1などを用いて実行することができる。移動体20の現在位置から目的位置までの位置偏差dを取得し(S1)、目的位置に到達していたら、すなわち位置偏差d=0であったら(S2でYes)、処理を終了する。到達していなかったら(S2でNo)、位置偏差dが小さくなるに連れて減速する速度として定義される変換速度v2を生成する(変換速度生成ステップS3)。変換速度v2は、例えば、定数H、定数a、位置偏差dの関数H(d)、実数に対しその符号と同符号の1,−1、または0のいずれかを返すC言語等で周知の符号関数sgn()、平方根演算関数sqrt()などを用いて、v2=H×d,v2=H(d)×d,v2=sgn(d)×sqrt(|2×a×d|)などによって定義される。ここで、平方根演算関数の変数は絶対値とされている。v2=H×dは位置偏差dに係数として定数Hを掛けて定義され、v2=H(d)×dは、その係数が位置偏差dの関数H(d)とされた例である。HやH(d)は、通常、H>0,H(d)≧0とされる。変換速度v2は、移動体20の現在位置、従って、位置偏差dの値に応じて正の値や負の値を取る。

0024

変換速度v2が得られると、移動体20の現在位置における予め設定された設定速度v1と変換速度v2とを比較し(S4)、絶対値の小さい方を速度指令値vrとして出力する(指令値出力ステップS5)。すなわち、|v1|<|v2|ならば速度指令値vr=v1とし、|v2|<|v1|ならば速度指令値vr=v2として出力する。|v1|=|v2|ならば、速度指令値vr=v1、またはvr=v2として出力する。この速度指令値vrに基づいて移動体の速度vが速度指令値vrに従うように制御される(制御ステップS6)。これらのステップ(S1〜S6)が、所定の制御周期制御時間間隔に従って繰り返されることにより位置偏差d=0となり、移動体20が目的位置に到達して処理が終了する。

0025

(ブロック線図)
図1の速度制御装置1の動作を、図3のブロック線図を併せて参照して説明する。位置偏差取得部11は、制御対象2のエンコーダ22の出力xeに基づいて現在位置xを取得し、現在位置xと記憶部15に記憶されている目的位置x0とから、目的位置x0までの位置偏差dを差分、d=x0−xによって取得する。位置偏差dは、変換速度生成部13に入力され、例えば、変換速度v2=H×dが生成される。変換速度v2、および記憶部15に記憶されている設定速度v1が、速度指令値出力部14に入力され、速度v1,v2の各絶対値大小比較により、絶対値の小さい方の速度が速度指令値vrとして出力されて、制御部10に入力される。

0026

また、速度取得部12は、制御対象2のエンコーダ22からの過去および現在の出力xeと、制御部10におけるクロック情報とに基づいて、現在位置xの変化率すなわち現在の移動速度vを取得し、制御部10に入力する。制御部10は、速度指令値vrと移動速度vとの速度偏差を解消するように調整して算出した操作量wを出力する。操作量wは、制御対象2のサーボアンプ23に入力され、サーボアンプ23によって増幅された信号または動力によって駆動部21が動作して、移動体20の速度が制御される。制御部10における制御方式は、PID制御やH無限大制御などの制御方式から適宜選択して用いることができる。

0027

(速度指令値の例と速度制御の実施例)
図4によって、上述の速度制御方法および速度制御装置における速度指令値の例を説明する。この図は、v>0,d>0であり、移動体20がX軸の正方向に移動しつつ目的位置x0に接近する状況に対応する。また、各座標軸目盛りマイナスにすれば、移動体20がX軸の負方向に移動しつつ目的位置x0に接近する状況に対応する。設定速度v1は、位置偏差d=0〜9(mm)において一定であり、v1=800(mm/s)とされている。変換速度v2は3種類が示されており、以下の(a)(b)(c)であり、対応する速度指令値をそれぞれvra,vrb,vrcと表記する。
(a)v2=100×d(mm/s)、
(b)v2=200×d(mm/s)、
(c)v2=100×d(mm/s)ただしd<4、
v2=200×d(mm/s)ただしd≧4である。

0028

(a)の場合、8≦dではvra=v1であり、0≦d≦8ではvra=v2である。(b)の場合、4≦dではvrb=v1であり、0≦d≦4ではvrb=v2である。(c)の場合、v2=H(d)×dに対応し、4≦dではvrc=v1であり、0≦d≦4ではvrc=v2である。

0029

図5図6は、上述の設定速度v1と3種類の変換速度v2の定義のもとで移動体20が目的位置x0=30mmに向けてX軸の正方向に移動して停止する様子を示している。上述の3種類の速度指令値の特性に対応して、(a),(c),(b)の順番減速開始が早く、従って、逆に、目的位置に到達するのが遅くなっている。いずれも、停止を目的とする目的位置まで800(mm/s)という一定の設定速度v1が設定されているにも関わらず、目的位置までの距離、すなわち位置偏差dの絶対値が小さくなるに連れて減速する設定の変換速度v2の概念、および速度v1,v2の絶対値の小さい方の速度を速度指令値vrとするという指令値選択方法を採用することにより、目的位置x0の近傍で変換速度v2を設定速度v1よりも優勢として(そのようになるように変換速度v2を定義して)、目的位置に停止させる制御を容易に実現することができる。

0030

図7に示すように、設定速度v1は移動体20の移動区間において任意に設定することができる。本図の場合、位置x=0(mm)から初速ゼロで出発して、階段状に速度を上げた後、階段状に速度を落として目的位置x0=30(mm)で速度をゼロとして停止する設定となっている。このような設定速度v1の設定に対し、目的位置x0で速度ゼロとなる点Pを通る直線や曲線によって変換速度v2を定義することにより、上述のように、目的位置x0で停止させるための速度指令値vrを簡単に出力できるようになる。

0031

本実施形態(速度制御方法および速度制御装置)によれば、詳細な速度プロファイルを設定することなく適切な速度指令値vrを容易に発生させることができ、複雑な計算を経ずに効率的に減速させて目的位置x0に位置精度良く停止または所定の速度以下とするように速度制御をすることができる。変換速度v2を用いることにより、速度指令値出力のための計算が簡単となり、制御の高速化を図ることができる。また、目的位置からの遠近に応じて減速の方法を変更することができ、変換速度を適用する位置偏差の範囲や適用分野を広げることができる。本速度制御方法を用いる速度制御装置は、移動体に負荷変動が発生しても、速度指令値を適切に出力できるので、頑健かつ効率の良い速度制御を行うことができる。

0032

(射出成形機用制御装置)
図8は上述の移動体の速度制御方法を用いて射出成形機4を制御する射出成形機用制御装置3(以下、制御装置3とする)について示す。制御装置3が制御対象とする射出成形機4は、溶融した樹脂を貯留するシリンダ40と、シリンダ40内で後退移動してシリンダ40内に樹脂を貯留すると共に前進移動して樹脂をシリンダ40にノズル40aを介して連通された金型Mに送り込むプランジャ41と、樹脂を溶融可塑化してシリンダに送り込む可塑化シリンダ43と、プランジャ41を移動させる駆動装置であるリニアサーボ弁45と、を備えたプリプラ式の射出成形機である。プランジャ41は、油圧シリンダ42に内蔵されたピストン42aに連結されており、ピストン42aと一体で往復運動する。リニアサーボ弁45は、スプール弁体)45aをリニアモータ電磁石)45bによって移動させることにより、油圧シリンダ42に接続された流路を変更する。流路内の油は、ポンプ45cによって加圧されており、流路の変更によって、ピストン42aが往動または復動される。プランジャ41には、プランジャ41の移動位置を検出するためのエンコーダ44が接続されている。エンコーダ44の出力xeから現在位置xが取得される。また、ピストン42aの前後の油圧を測定するため、油圧計Pa,Pbが油圧シリンダ42に設けられている。シリンダ40内の樹脂圧pは、例えば、油圧計Pa,Pbによって計測された圧力の差によって求められる。

0033

(射出成形機における工程説明)
(1.計量工程)可塑化シリンダ43とシリンダ40との間の弁(不図示)が開き、樹脂の移動が可能になると可塑化シリンダ43内のスクリュ43aを回転させ、ホッパ43bからスクリュ43a後部に落ちてきた樹脂を溶融させ、スクリュ43aを回転させることによってシリンダ40内に設定した量だけの樹脂を送り込む。このとき油圧シリンダ42内の圧力(上部油圧計Paと下部油圧計Pbの計測圧力値の差)が設定圧力値となるようにリニアサーボ弁45が制御され、プランジャ41が押し上げられる。

0034

(2.サックバック工程)
スクリュ43a停止後、樹脂の洟垂れ圧抜きのために、設定された位置までプランジャ41をさらに上昇移動させる。このとき、設定された移動速度になるようにリニアサーボ弁45が制御される。このときスクリュ43aとシリンダ40との間の弁(不図示)が閉まり、この間の樹脂の移動はない。

0035

(3.射出工程)
リニアサーボ弁45を制御して、プランジャ41を移動させて、シリンダ40内の溶融した樹脂を金型Mに送り込む。送り込む樹脂量によって、プランジャ41を停止させる位置が設定される。設定した樹脂量を送りこむことが成形品品質に大きく影響する。さらに、溶融樹脂が金型M内流路の表面に触れて冷却されることでスキン層成長し、流路が次第に狭くなり閉塞されてしまう前までに充填を完了させる。このため、成形材料成形品形状に応じて適切に設定した速度(設定速度)で溶融樹脂を金型M内に送り込む必要があり、そのため、プランジャ41の移動速度を適切に制御する必要がある。

0036

(4.保圧工程)
金型M内に設定された樹脂量が送り込まれると(プランジャ41が設定された位置に到達すると)、リニアサーボ弁45によって油圧シリンダ42、従ってプランジャ41が制御(圧力制御)され、金型M内の樹脂の圧力pが設定された値の状態に、設定された時間の間、保持される。これらの4工程が、射出成形の間、繰り返される。

0037

(制御装置)
制御装置3は、上述の射出成形機4を制御して射出成形プロセスを行わせる。一連の射出成形プロセスにおいて、プランジャ41を速度制御して移動させる射出工程から、樹脂圧を一定に保つようにプランジャ41を制御(圧力制御)してその位置を固定ないし微動させる保圧工程へのプロセス切替(V−P切替)が行われる。V−P切替の位置は、シリンダ40内の樹脂が金型Mに送り込み完了となる位置である。プランジャ41は、急速制動してV−P切替位置において位置精度良く停止させる必要がある。制御装置3は、プランジャ41を移動体とし、V−P切替位置を目的位置x0として、上述の速度制御方法を用いて射出成形機4を制御する。射出成形機4に固定してプランジャ41の往復移動方向に設定した座標系のX軸(射出方向が正方向)、およびX軸と同様の座標軸であってプランジャ41に固定したΣ軸によってプランジャ41の位置を定義し、プランジャ41の位置偏差dをd=x0−xで定義する。

0038

制御装置3は、上述の図2に示した速度制御装置1の構成に加え、射出成形プロセスを実施するために必要な構成を備えている。ここでは、制御装置3の動作のうち、V−P切替に関連する制御についてのみ説明する。制御装置3は、速度の位置変化プロファイルとして予め入力された、プランジャ41の速度制御のための設定速度v1を記憶している。また、制御装置3は、V−P切替位置である目的位置x0と、位置偏差dの関数として定義された変換速度v2と、を入力されて記憶している。制御装置3は、エンコーダ44の出力xeから現在位置x、位置偏差d、およびプランジャ41の移動速度vを取得し、射出成形機4を制御するための速度指令値、さらに操作量wを出力する。操作量wは、射出成形機4のサーボアンプ46に入力され、サーボアンプ46からの出力によって駆動装置であるリニアサーボ弁45が動作される。プランジャ41は、目的位置x0に近づいたとき、上述の速度制御方法によって速度制御され、目的位置x0において停止または所定の速度以下とされ、V−P切替が完了する。制御装置3は、V−P切替が完了した後は、油圧計Pa,Pbの計測値に基づく樹脂圧pを所定の設定圧に保持する保圧工程を実施する。

0039

このような制御装置3によれば、射出工程から保圧工程への切り替え位置、すなわち、樹脂が金型Mに送り込み完了となる位置を目的位置x0として、目的位置x0までの位置偏差dに応じて生成される変換速度を速度指令値として用いるので、実時間(リアルタイム)で行う速度指令値の生成が容易で高速制御が可能であり、また、切り替えを設定した目的位置(位置偏差ゼロの位置)にプランジャ41が到達した時点で速度を略ゼロとすることができ、射出工程から保圧工程への切り替えを位置精度良く適切に行うことができる。

0040

(サックバック工程における速度制御)
制御装置3による目的位置x0と変換速度v2とを用いる速度制御方法は、上述のV−P切替に関する制御に限らず、プランジャ41を一旦停止して、または略ゼロに近い速度として、プロセスを切り替えたりするときに適用することができる。例えば、計量工程からサックバック工程に切り替える時や、サックバック工程から射出工程に切り替える時に、上記速度制御方法を適用することができる。以下、これを説明する。

0041

図9に示すように、計量工程が終了すると(#1)、プランジャ41の計量完了位置を目的位置x0として、一定時間、その目的位置x0を保持する(#2)。つまり、一定時間の間、変換速度v2がv2=0となるように、v2を生成する関数を時間に依存する関数として設定しておく。なお、一定時間の間、設定速度v1=0としても目的位置x0が保持される。一定時間が経過した後、サックバック完了予定位置を、新たな目的位置x0として設定する(#3)。この設定は、リアルタイムで設定するのではなく、設定速度v1などと同様に、目的位置x0を時間関数(プロファイル)として事前に設定しておいて、時間経過と共にその設定値が有効になるという意味である。変換速度v2は、目的位置x0の近くで有効となるように、目的位置x0から遠方では設定速度v1よりも絶対値が大きくなるように設定されている。変換速度v2、すなわち、その生成方法を決める関数も、予め設定されている。プランジャ41は、予め設定されている設定速度v1のプロファイルに従って、時間経過と共に移動され、目的位置x0までの位置偏差dが計測される(#4)。プランジャ41は、目的位置x0に近付くまで設定速度v1に従って速度制御され、目的位置x0の近傍で変換速度v2が(上記のv1,v2絶対値比較の結果)有効になると、上記の速度制御方法によって速度制御されて、目的位置x0、すなわち、サックバック終了位置に停止される(#5,#6)。サックバック終了位置は、プランジャ41の移動方向が反転する位置であり、プランジャ41が必ず停止する位置である。

0042

上述のような制御装置3による制御によれば、プランジャ41をサックバック完了予定位置において位置精度良く停止しさせることができる。また、サックバックを開始する際に、通常、圧力制御から速度制御に切り替えることになるが、予め設定した時間のあいだ、計量工程によって樹脂を貯留完了した位置を目的位置x0として、そこにプランジャ41を留めておくので、圧力制御から速度制御への制御方式の切り替えによって発生する可能性のある不安定な状態を抑制または回避することができる。逆に、速度制御から圧力制御への制御形態の切り替えについても本制御方法は有効であり、一般に、制御形態の切り替えについて有効である。

0043

上述した、射出成形の間、繰り返される4工程において、成形品の品質に影響を与える制御要因として、(1)射出工程において設定した速度への追従と減速のタイミング、(2)射出工程の速度制御から、保圧工程の圧力制御への設定した位置での位置精度良い切り替え、(3)計量工程の圧力制御からサックバック工程の速度制御への切り替え時の安定した制御、などがある。上述した制御装置3によると、V−P切替位置を目的位置x0とすることにより、目的位置x0に到達するまでに十分減速してV−P切替位置で位置精度良く、V−P切替をすることができ、制御要因(2)に対応することができる。また、要因(1)の減速のタイミングへの対応も、自動で行われることになる。

0044

また、上述の図9を参照して説明したように、計量工程の最終段階で目的位置x0を現在位置として切り替えることにより、上記要因(3)に対応することができる。このとき、現在位置と目標位置偏差が十分小さいため、制御量の変動も小さくなり、この状態で制御方式を切り替えることにより、大きな操作量が発生することなく圧力制御から速度制御への、安定な切り替えを実現できる。

0045

なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、上述した各実施形態の構成を互いに組み合わせた構成とすることができる。また、上記実施形態において、射出成形機4として、可塑化シリンダ43を備えた、いわゆるプリプラ式の装置を例にとって説明したが、本発明は、プリプラ式の装置に限らず、インライン式射出成形装置用射出制御装置としても適用することができる。一般に、設定速度v1や変換速度v2は、位置と時間の両方の関数、またはいずれか一方の関数として定義することができる。また、本発明は、移動体20が上述したようにX軸に沿って直進運動する場合に限らず、移動体20を任意の曲線に沿って移動させ、その曲線上に設定した目的位置x0に停止させる場合にも適用することができる。

0046

1速度制御装置
20 移動体
3射出成形機用制御装置
4射出成形機
41プランジャ
d位置偏差
H,H(d)係数
v1設定速度
v2変換速度
vr速度指令値
x 現在位置
x0 目的位置

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