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技術 ロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法及び燃料噴射制御装置

出願人 マツダ株式会社
発明者 丹羽靖岩城正人
出願日 2009年3月30日 (11年3ヶ月経過) 出願番号 2009-081341
公開日 2010年10月14日 (9年8ヶ月経過) 公開番号 2010-229983
状態 特許登録済
技術分野 回転機関
主要キーワード 概略楕円形状 排気作動 概略三角形状 ローターハウジング 出力軸回り ロータギア 配設角度 残留排ガス
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

ロータリーピストンエンジンにおいて急加速要求に対するレスポンスを出来る限り向上させる。

解決手段

エンジン要求負荷増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合(ステップS4の判定がYESである場合)には、第1燃料噴射弁により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室圧縮行程となったときの圧縮作動室であって、ロータにおける、圧縮作動室と吸気作動室とを区画するアペックスシールが、第2燃料噴射弁の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室内に、第2燃料噴射弁により燃料を噴射するか、又は、第2燃料噴射弁により、上記急加速要求前に設定された燃料噴射量よりも増大した量の燃料を噴射する急加速噴射制御を行う(ステップS5)。

概要

背景

一般に、ロータリーピストンエンジンは、概略楕円形状トロコイド内周面を有するロータハウジングの両側にサイドハウジングを配置することによって形成したロータ収容室内に、概略三角形状ロータを収容したエンジンである。このロータリーピストンエンジンは、ロータの回転につれて、ロータとハウジングとの間で区画した3つの作動室それぞれを周方向に移動させながら、各作動室において吸気圧縮膨張及び排気の各行程を順に行わせる(例えば特許文献1参照)。

こうしたロータリーピストンエンジンでは、吸気ポート及び/又は吸気マニホールドに取り付けた燃料噴射弁から燃料噴射して、吸気行程にある作動室内に燃料が供給されるようにすることが一般的である。

また、上記特許文献1に示されているように、吸気行程にある作動室内に臨むように長軸付近に配置した燃料噴射弁から、その点火プラグの方向に指向するように、吸気行程の後半以降のタイミングで、作動室内に燃料を直接噴射することで、吸気行程にある作動室内に燃料を供給する場合もある。
特開平6−288249号公報

概要

ロータリーピストンエンジンにおいて急加速要求に対するレスポンスを出来る限り向上させる。エンジン要求負荷増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合(ステップS4の判定がYESである場合)には、第1燃料噴射弁により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室圧縮行程となったときの圧縮作動室であって、ロータにおける、圧縮作動室と吸気作動室とを区画するアペックスシールが、第2燃料噴射弁の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室内に、第2燃料噴射弁により燃料を噴射するか、又は、第2燃料噴射弁により、上記急加速要求前に設定された燃料噴射量よりも増大した量の燃料を噴射する急加速噴射制御を行う(ステップS5)。

目的

本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロータリーピストンエンジンにおいて急加速要求に対するレスポンスを出来る限り向上させようとすることにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

互いに直交する長軸及び短軸によって規定される略楕円形状のトロコイド内周面を有するロータハウジングと、それを挟むように配置されるサイドハウジングとにより区画されるロータ収容室内に、ロータが収容されて3つの作動室を区画するとともに、該ロータが出力軸回り遊星回転運動することによって、上記各作動室周方向に移動させながら、該各作動室において吸気圧縮膨張及び排気の各行程を順に行わせるように構成されたロータリーピストンエンジン燃料噴射制御方法であって、上記ロータリーピストンエンジンに、吸気行程にある作動室である吸気作動室内燃料が供給されるように燃料を噴射する第1燃料噴射弁と、圧縮行程にある作動室である圧縮作動室内に燃料を直接噴射する第2燃料噴射弁と、を予め設けておき、燃焼すべき混合気空燃比が、エンジン運転状態に応じて予め設定された設定値となるように上記第1燃料噴射弁による燃料噴射量を設定する工程と、上記第1燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射して、吸気作動室内に燃料を供給する工程と、エンジン要求負荷増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合には、上記第1燃料噴射弁により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室であって、上記ロータにおける、圧縮作動室と吸気作動室とを区画するアペックスシールが、上記第2燃料噴射弁の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により燃料を噴射する工程と、を含むことを特徴とするロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法。

請求項2

請求項1記載のロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法において、上記ロータリーピストンエンジンは、1つ又は複数の気筒を有するものであり、上記第2燃料噴射弁により燃料を噴射する特定圧縮作動室は、上記1つの気筒又は気筒が複数である場合の各気筒それぞれにおいて上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室のみであることを特徴とするロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法。

請求項3

請求項1記載のロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法において、上記ロータリーピストンエンジンは、複数の気筒を有するものであり、上記第2燃料噴射弁により燃料を噴射する特定圧縮作動室は、全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室のみであることを特徴とするロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法。

請求項4

請求項3記載のロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法において、上記第2燃料噴射弁により燃料を噴射する特定圧縮作動室は、全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室が複数ある場合には、該複数の特定圧縮作動室のうち上記アペックスシールが上記第2燃料噴射弁の噴口を最初に通過する特定圧縮作動室のみであることを特徴とするロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法。

請求項5

互いに直交する長軸及び短軸によって規定される略楕円形状のトロコイド内周面を有するロータハウジングと、それを挟むように配置されるサイドハウジングとにより区画されるロータ収容室内に、ロータが収容されて3つの作動室を区画するとともに、該ロータが出力軸回りに遊星回転運動することによって、上記各作動室を周方向に移動させながら、該各作動室において吸気、圧縮、膨張及び排気の各行程を順に行わせるように構成されたロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法であって、上記ロータリーピストンエンジンに、吸気行程にある作動室である吸気作動室内に燃料が供給されるように燃料を噴射する第1燃料噴射弁と、圧縮行程にある作動室である圧縮作動室内に燃料を直接噴射する第2燃料噴射弁と、を予め設けておき、燃焼すべき混合気の空燃比が、エンジンの運転状態に応じて予め設定された設定値となるように第1及び第2燃料噴射弁による燃料噴射量をそれぞれ設定する工程と、上記第1燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射して、吸気作動室内に燃料を供給する工程と、上記第1燃料噴射弁による燃料噴射により燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射する工程と、エンジン要求負荷の増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合には、上記第1燃料噴射弁により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室であって、上記ロータにおける、圧縮作動室と吸気作動室とを区画するアペックスシールが、上記第2燃料噴射弁の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により、上記急加速要求前に設定された燃料噴射量よりも増大した量の燃料を噴射する工程と、を含むことを特徴とするロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法。

請求項6

請求項5記載のロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法において、上記ロータリーピストンエンジンは、1つ又は複数の気筒を有するものであり、上記第2燃料噴射弁により燃料を増大して噴射する特定圧縮作動室は、上記1つの気筒又は気筒が複数である場合の各気筒それぞれにおいて上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室のみであることを特徴とするロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法。

請求項7

請求項5記載のロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法において、上記ロータリーピストンエンジンは、複数の気筒を有するものであり、上記第2燃料噴射弁により燃料を増大して噴射する特定圧縮作動室は、全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室のみであることを特徴とするロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法。

請求項8

請求項7記載のロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法において、上記第2燃料噴射弁により燃料を増大して噴射する特定圧縮作動室は、全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室が複数ある場合には、該複数の特定圧縮作動室のうち上記アペックスシールが上記第2燃料噴射弁の噴口を最初に通過する特定圧縮作動室のみであることを特徴とするロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法。

請求項9

互いに直交する長軸及び短軸によって規定される略楕円形状のトロコイド内周面を有するロータハウジングと、それを挟むように配置されるサイドハウジングとにより区画されるロータ収容室内に、ロータが収容されて3つの作動室を区画するとともに、該ロータが出力軸回りに遊星回転運動することによって、上記各作動室を周方向に移動させながら、該各作動室において吸気、圧縮、膨張及び排気の各行程を順に行わせるように構成されたロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御装置であって、上記ロータリーピストンエンジンは、吸気行程にある作動室である吸気作動室内に燃料が供給されるように燃料を噴射する第1燃料噴射弁と、圧縮行程にある作動室である圧縮作動室内に燃料を直接噴射する第2燃料噴射弁と、を有し、上記第1及び第2燃料噴射弁の作動を制御する制御手段を備え、上記制御手段は、燃焼すべき混合気の空燃比が、エンジンの運転状態に応じて予め設定された設定値となるように上記第1燃料噴射弁による燃料噴射量を設定して、上記第1燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射させて、吸気作動室内に燃料を供給するとともに、エンジン要求負荷の増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合には、上記第1燃料噴射弁により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室であって、上記ロータにおける、圧縮作動室と吸気作動室とを区画するアペックスシールが、上記第2燃料噴射弁の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により燃料を噴射させるように構成されていることを特徴とするロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御装置。

請求項10

互いに直交する長軸及び短軸によって規定される略楕円形状のトロコイド内周面を有するロータハウジングと、それを挟むように配置されるサイドハウジングとにより区画されるロータ収容室内に、ロータが収容されて3つの作動室を区画するとともに、該ロータが出力軸回りに遊星回転運動することによって、上記各作動室を周方向に移動させながら、該各作動室において吸気、圧縮、膨張及び排気の各行程を順に行わせるように構成されたロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御装置であって、上記ロータリーピストンエンジンは、吸気行程にある作動室である吸気作動室内に燃料が供給されるように燃料を噴射する第1燃料噴射弁と、圧縮行程にある作動室である圧縮作動室内に燃料を直接噴射する第2燃料噴射弁と、を有し、上記第1及び第2燃料噴射弁の作動を制御する制御手段を備え、上記制御手段は、燃焼すべき混合気の空燃比が、エンジンの運転状態に応じて予め設定された設定値となるように第1及び第2燃料噴射弁による燃料噴射量をそれぞれ設定して、上記第1燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射させて、吸気作動室内に燃料を供給し、かつ、上記第1燃料噴射弁による燃料噴射により燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射させるとともに、エンジン要求負荷の増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合には、上記第1燃料噴射弁により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室であって、上記ロータにおける、圧縮作動室と吸気作動室とを区画するアペックスシールが、上記第2燃料噴射弁の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により、上記急加速要求前に設定された燃料噴射量よりも増大した量の燃料を噴射させるように構成されていることを特徴とするロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御装置。

技術分野

0001

本発明は、ロータリーピストンエンジン燃料噴射制御方法及び燃料噴射制御装置に関する技術分野に属し、特に急加速要求があった場合の制御に関する。

背景技術

0002

一般に、ロータリーピストンエンジンは、概略楕円形状トロコイド内周面を有するロータハウジングの両側にサイドハウジングを配置することによって形成したロータ収容室内に、概略三角形状ロータを収容したエンジンである。このロータリーピストンエンジンは、ロータの回転につれて、ロータとハウジングとの間で区画した3つの作動室それぞれを周方向に移動させながら、各作動室において吸気圧縮膨張及び排気の各行程を順に行わせる(例えば特許文献1参照)。

0003

こうしたロータリーピストンエンジンでは、吸気ポート及び/又は吸気マニホールドに取り付けた燃料噴射弁から燃料噴射して、吸気行程にある作動室内に燃料が供給されるようにすることが一般的である。

0004

また、上記特許文献1に示されているように、吸気行程にある作動室内に臨むように長軸付近に配置した燃料噴射弁から、その点火プラグの方向に指向するように、吸気行程の後半以降のタイミングで、作動室内に燃料を直接噴射することで、吸気行程にある作動室内に燃料を供給する場合もある。
特開平6−288249号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかし、上記のように、吸気ポートに燃料を噴射したり吸気行程にある作動室に燃料を直接噴射したりして、吸気行程にある作動室内に燃料を供給する構成では、エンジン要求負荷増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があったときのレスポンスには限界があり、改善の余地がある。すなわち、上記の構成では、上記急加速要求があったときに、急加速要求前に既に燃料が供給された作動室が圧縮行程となっている場合には、急加速要求に対応して燃料噴射量を増大させることができず、次の作動室(吸気行程にある作動室)に対して、急加速要求に対応した量の燃料が供給されることになる。このため、その急加速要求に対応した量の燃料が供給された作動室内の混合気燃焼されるまでには時間がかかり、急加速要求に対するレスポンスが低下する。この結果、上記ロータリーピストンエンジンを搭載した車両の乗員には、車両の加速遅れにより違和感を与えてしまう。

0006

本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロータリーピストンエンジンにおいて急加速要求に対するレスポンスを出来る限り向上させようとすることにある。

課題を解決するための手段

0007

上記の目的を達成するために、第1の発明では、互いに直交する長軸及び短軸によって規定される略楕円形状のトロコイド内周面を有するロータハウジングと、それを挟むように配置されるサイドハウジングとにより区画されるロータ収容室内に、ロータが収容されて3つの作動室を区画するとともに、該ロータが出力軸回り遊星回転運動することによって、上記各作動室を周方向に移動させながら、該各作動室において吸気、圧縮、膨張及び排気の各行程を順に行わせるように構成されたロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法を対象として、上記ロータリーピストンエンジンに、吸気行程にある作動室である吸気作動室内に燃料が供給されるように燃料を噴射する第1燃料噴射弁と、圧縮行程にある作動室である圧縮作動室内に燃料を直接噴射する第2燃料噴射弁と、を予め設けておき、燃焼すべき混合気の空燃比が、エンジンの運転状態に応じて予め設定された設定値となるように上記第1燃料噴射弁による燃料噴射量を設定する工程と、上記第1燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射して、吸気作動室内に燃料を供給する工程と、エンジン要求負荷の増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合には、上記第1燃料噴射弁により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室であって、上記ロータにおける、圧縮作動室と吸気作動室とを区画するアペックスシールが、上記第2燃料噴射弁の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により燃料を噴射する工程と、を含むようにした。

0008

上記の燃料噴射制御方法により、急加速要求があった場合に、第1燃料噴射弁による燃料噴射が既に終了していても、その第1燃料噴射弁により燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの特定圧縮作動室内に、第2燃料噴射弁により燃料を噴射することで、その特定圧縮作動室内の燃料の量を急加速要求に対応した量にするか、又はその量に近付けることができ、その特定圧縮作動室の混合気をそのまま圧縮した後に直ぐに燃焼させることができる。よって、急加速要求に対するレスポンスを向上させることができる。

0009

第2の発明では、第1の発明において、上記ロータリーピストンエンジンは、1つ又は複数の気筒を有するものであり、上記第2燃料噴射弁により燃料を噴射する特定圧縮作動室は、上記1つの気筒又は気筒が複数である場合の各気筒それぞれにおいて上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室のみであるとする。

0010

すなわち、各気筒それぞれにおいて急加速要求後の最初の特定圧縮作動室に続く作動室では、通常、吸気行程で急加速要求に対応した量の燃料が供給されるので、圧縮行程で燃料を噴射する必要はない。したがって、急加速要求に対するレスポンスを向上させるために、急加速要求後の最初の特定圧縮作動室のみに燃料を噴射するだけで十分であり、燃料の無駄な噴射を防止することができる。

0011

第3の発明では、第1の発明において、上記ロータリーピストンエンジンは、複数の気筒を有するものであり、上記第2燃料噴射弁により燃料を噴射する特定圧縮作動室は、全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室のみであるとする。

0012

このことで、急加速要求に対するレスポンスを向上させつつ、燃料を無駄に噴射するのを防止することができる。

0013

第4の発明では、第3の発明において、上記第2燃料噴射弁により燃料を噴射する特定圧縮作動室は、全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室が複数ある場合には、該複数の特定圧縮作動室のうち上記アペックスシールが上記第2燃料噴射弁の噴口を最初に通過する特定圧縮作動室のみであるとする。

0014

このことにより、急加速要求に対するレスポンスを向上させつつ、燃料の無駄な噴射をより一層防止することができる。

0015

第5の発明では、互いに直交する長軸及び短軸によって規定される略楕円形状のトロコイド内周面を有するロータハウジングと、それを挟むように配置されるサイドハウジングとにより区画されるロータ収容室内に、ロータが収容されて3つの作動室を区画するとともに、該ロータが出力軸回りに遊星回転運動することによって、上記各作動室を周方向に移動させながら、該各作動室において吸気、圧縮、膨張及び排気の各行程を順に行わせるように構成されたロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法を対象として、上記ロータリーピストンエンジンに、吸気行程にある作動室である吸気作動室内に燃料が供給されるように燃料を噴射する第1燃料噴射弁と、圧縮行程にある作動室である圧縮作動室内に燃料を直接噴射する第2燃料噴射弁と、を予め設けておき、燃焼すべき混合気の空燃比が、エンジンの運転状態に応じて予め設定された設定値となるように第1及び第2燃料噴射弁による燃料噴射量をそれぞれ設定する工程と、上記第1燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射して、吸気作動室内に燃料を供給する工程と、上記第1燃料噴射弁による燃料噴射により燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射する工程と、エンジン要求負荷の増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合には、上記第1燃料噴射弁により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室であって、上記ロータにおける、圧縮作動室と吸気作動室とを区画するアペックスシールが、上記第2燃料噴射弁の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により、上記急加速要求前に設定された燃料噴射量よりも増大した量の燃料を噴射する工程と、を含むものとする。

0016

この発明により、急加速要求があった場合に、第1燃料噴射弁による燃料噴射が既に終了していても、その第1燃料噴射弁により燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの特定圧縮作動室内に、第2燃料噴射弁により、急加速要求前に設定された燃料噴射量よりも増大した量の燃料を噴射することで、その特定圧縮作動室内の燃料の量を急加速要求に対応した量にするか、又はその量に近付けることができ、その特定圧縮作動室の混合気をそのまま圧縮した後に直ぐに燃焼させることができる。

0017

また、急加速要求がない場合には、エンジンの運転状態に応じて、第1及び第2燃料噴射弁による噴射態様を変更することができる。すなわち、エンジンの運転状態が所定の高負荷運転領域にあるときには、第1燃料噴射弁による燃料噴射(吸気行程噴射)を行う。吸気行程噴射は、燃料の気化潜熱効果により吸気を冷却して、吸気充填効率を高める。その結果、高負荷運転領域においてはトルクが向上する。一方、エンジンの運転状態が、部分負荷運転領域にあるときには、第1燃料噴射弁による吸気行程噴射と第2燃料噴射弁による燃料噴射(圧縮行程噴射)とを行う。つまり、燃焼すべき混合気の空燃比が、エンジンの運転状態に応じて予め設定された設定値となるように第1及び第2燃料噴射弁による噴射を制御する。吸気行程噴射は、吸気冷却による充填効率向上効果の他にも、点火タイミングに対して大幅に早いタイミングで燃料が噴射されることから、気化霧化時間を長時間確保することができる。したがって、第1燃料噴射弁による吸気行程噴射は、気化霧化が良好な混合気を形成する上で有利である。しかし、ロータの回転に対して混合気(燃料)の流動が相対的に遅れる結果、特に部分負荷運転領域では、圧縮作動室内において、ロータ回転方向進み側の領域がリーンになり、ロータ回転方向の遅れ側の領域がリッチになるような不均質性を生じる。そこで、圧縮行程噴射により、相対的にリーンの領域に燃料を供給するようにする。この結果、作動室内の混合気の不均質化を解消して、燃焼特性の改善により燃費を向上させることができる。したがって、部分負荷運転領域で運転中に急加速要求があった場合に、圧縮作動室内への燃料噴射量を増大することで、燃焼特性を改善しながら、急加速要求に対するレスポンスを向上させることができる。

0018

第6の発明では、第5の発明において、上記ロータリーピストンエンジンは、1つ又は複数の気筒を有するものであり、上記第2燃料噴射弁により燃料を増大して噴射する特定圧縮作動室は、上記1つの気筒又は気筒が複数である場合の各気筒それぞれにおいて上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室のみであるとする。

0019

第7の発明では、第5の発明において、上記ロータリーピストンエンジンは、複数の気筒を有するものであり、上記第2燃料噴射弁により燃料を増大して噴射する特定圧縮作動室は、全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室のみであるとする。

0020

第8の発明では、第7の発明において、上記第2燃料噴射弁により燃料を増大して噴射する特定圧縮作動室は、全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室が複数ある場合には、該複数の特定圧縮作動室のうち上記アペックスシールが上記第2燃料噴射弁の噴口を最初に通過する特定圧縮作動室のみであるとする。

0021

これら第6乃至第8の発明により、それぞれ第2乃至第4の発明と同様の作用効果を得ることができる。

0022

第9の発明は、互いに直交する長軸及び短軸によって規定される略楕円形状のトロコイド内周面を有するロータハウジングと、それを挟むように配置されるサイドハウジングとにより区画されるロータ収容室内に、ロータが収容されて3つの作動室を区画するとともに、該ロータが出力軸回りに遊星回転運動することによって、上記各作動室を周方向に移動させながら、該各作動室において吸気、圧縮、膨張及び排気の各行程を順に行わせるように構成されたロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御装置の発明であり、この発明では、上記ロータリーピストンエンジンは、吸気行程にある作動室である吸気作動室内に燃料が供給されるように燃料を噴射する第1燃料噴射弁と、圧縮行程にある作動室である圧縮作動室内に燃料を直接噴射する第2燃料噴射弁と、を有し、上記燃料噴射制御装置は、上記第1及び第2燃料噴射弁の作動を制御する制御手段を備え、上記制御手段は、燃焼すべき混合気の空燃比が、エンジンの運転状態に応じて予め設定された設定値となるように上記第1燃料噴射弁による燃料噴射量を設定して、上記第1燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射させて、吸気作動室内に燃料を供給するとともに、エンジン要求負荷の増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合には、上記第1燃料噴射弁により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室であって、上記ロータにおける、圧縮作動室と吸気作動室とを区画するアペックスシールが、上記第2燃料噴射弁の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により燃料を噴射させるように構成されているものとする。

0023

この発明により、第1の発明と同様の作用効果を得ることができる。

0024

第10の発明では、互いに直交する長軸及び短軸によって規定される略楕円形状のトロコイド内周面を有するロータハウジングと、それを挟むように配置されるサイドハウジングとにより区画されるロータ収容室内に、ロータが収容されて3つの作動室を区画するとともに、該ロータが出力軸回りに遊星回転運動することによって、上記各作動室を周方向に移動させながら、該各作動室において吸気、圧縮、膨張及び排気の各行程を順に行わせるように構成されたロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御装置を対象として、上記ロータリーピストンエンジンは、吸気行程にある作動室である吸気作動室内に燃料が供給されるように燃料を噴射する第1燃料噴射弁と、圧縮行程にある作動室である圧縮作動室内に燃料を直接噴射する第2燃料噴射弁と、を有し、上記燃料噴射制御装置は、上記第1及び第2燃料噴射弁の作動を制御する制御手段を備え、上記制御手段は、燃焼すべき混合気の空燃比が、エンジンの運転状態に応じて予め設定された設定値となるように第1及び第2燃料噴射弁による燃料噴射量をそれぞれ設定して、上記第1燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射させて、吸気作動室内に燃料を供給し、かつ、上記第1燃料噴射弁による燃料噴射により燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射させるとともに、エンジン要求負荷の増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合には、上記第1燃料噴射弁により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室であって、上記ロータにおける、圧縮作動室と吸気作動室とを区画するアペックスシールが、上記第2燃料噴射弁の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室内に、上記第2燃料噴射弁により、上記急加速要求前に設定された燃料噴射量よりも増大した量の燃料を噴射させるように構成されているものとする。

0025

この発明により、第5の発明と同様の作用効果を得ることができる。

発明の効果

0026

以上説明したように、本発明のロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法及び燃料噴射制御装置によると、エンジン要求負荷の増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合には、第1燃料噴射弁により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室が圧縮行程となったときの圧縮作動室であって、ロータにおける、圧縮作動室と吸気作動室とを区画するアペックスシールが、第2燃料噴射弁の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室内に、第2燃料噴射弁により燃料を噴射するか、又は、第2燃料噴射弁により、上記急加速要求前に設定された燃料噴射量よりも増大した量の燃料を噴射するようにしたことにより、急加速要求に対するレスポンスを向上させることができる。

発明を実施するための最良の形態

0027

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

0028

図1及び図2は、本発明の実施形態に係る始動制御装置制御対象たるロータリーピストンエンジン1(以下、単にエンジン1という)の例を示している。このエンジン1は、2つのロータ2を備えた2ロータタイプ(2気筒エンジン)であり、フロント側(図1の右側)及びリヤ側図1の左側)の2つのロータハウジング3が、インターミディエイトハウジング(サイドハウジング)4をその間に挟んだ状態で、これらの両側からさらに2つのサイドハウジング5で挟み込むようにして一体化されることによって構成されている。尚、図1では、その右側(フロント側)の一部は切り欠いて内部を示すとともに、左側(リヤ側)のサイドハウジング5も内部を示すために分離してある。また、図中の符号Xは、出力軸としてのエキセントリックシャフト6の回転軸心であって、以下、これを単に回転軸心Xという。

0029

上記各ロータハウジング3の、平行トロコイド曲線で描かれるトロコイド内周面3aと、これらロータハウジング3を両側から挟むサイドハウジング5の内側面5aと、インターミディエイトハウジング4の両側の内側面4aとによって、図2に示すように回転軸心Xの方向から見てのような略楕円形状をしたロータ収容室31(気筒)が、フロント側及びリヤ側の2つ横並びに区画されており、これらロータ収容室31にそれぞれロータ2が1つずつ収容されている。各ロータ収容室31は、インターミディエイトハウジング4に対して対称に配置されており、ロータ2の位置及び位相が異なっている点を除けば構成は同じであるため、以下、1つのロータ収容室31について説明する。

0030

ロータ2は、回転軸心Xの方向から見て各辺の中央部が外側に膨出する略三角形状をしたブロック体からなり、その外周における各頂部間に、3つの略長方形をしたフランク面2aを備えている。この各フランク面2aの中央部分には、リセス2bが形成されている。

0031

また、ロータ2は、その三角形の各頂部に図示しないアペックスシールを有し、これらアペックスシールがロータハウジング3のトロコイド内周面3aに摺接しており、このロータハウジング3のトロコイド内周面3aと、インターミディエイトハウジング4の内側面4aと、サイドハウジング5の内側面5aと、ロータ2のフランク面2aとで、ロータ収容室31の内部に、3つの作動室8がそれぞれ区画形成されている。したがって、このエンジン1においては、フロント側に第1〜第3の3つの作動室8が形成され、リヤ側に第4〜第6の3つの作動室8が形成されている(図6参照)。

0032

図示は省略するが、ロータ2は、該ロータ2の内側に設けた内歯車ロータギア)とサイドハウジング5に設けた外歯車固定ギア)とが噛合しながら、インターミディエイトハウジング4及びサイドハウジング5を貫通するエキセントリックシャフト6に対して、遊星回転運動をするように支持されている。

0033

すなわち、ロータ2の回転運動は内歯車と外歯車との噛み合いによって規定され、ロータ2は、3つのアペックスシールが各々ロータハウジング3のトロコイド内周面3aに摺接しつつ、エキセントリックシャフト6の偏心輪6aの周り自転しながら、回転軸心Xの周りに、該自転と同じ方向に公転する(この自転及び公転を含めて、広い意味で単にロータ2の回転という)。そして、ロータ2が1回転する間に3つの作動室8が周方向に移動し、それぞれで吸気、圧縮、膨張(燃焼)及び排気の各行程が行われて、これにより発生する回転力がロータ2を介してエキセントリックシャフト6から出力される。尚、ロータ2の1回転中にエキセントリックシャフト6は3回転し、この間に3つの作動室8がそれぞれ1回ずつ燃焼サイクルを行う。このことから、エキセントリックシャフト6の1回転につき1回の燃焼サイクルが行われることになる。

0034

より具体的に、図2において、ロータ2は矢印で示すように、時計回り方向に回転しており、回転軸心Xを通るロータ収容室31の長軸Yを境に分けられるロータ収容室31の左側が概ね吸気及び排気行程の領域となり、右側が概ね圧縮及び膨張行程の領域となっている。

0035

そして、図2における左上の作動室8に着目すると、これは、吸気と、噴射された燃料とによって混合気を形成する吸気行程を示しており(以下、この状態にある作動室を吸気作動室8ともいう)、この吸気作動室8がロータ2の回転につれて圧縮行程に移行すると、その内部にて混合気が圧縮される(以下、この状態にある作動室を圧縮作動室8ともいう)。その後、図2の右側に示す作動室8のように圧縮行程の後期から膨張行程にかけての所定のタイミングにて後述のトレーリング側及びリーディング側点火プラグ91,92により点火されて、燃焼・膨張行程が行われる(以下、この状態にある作動室を圧縮・膨張作動室8ともいう)。そして、最後に図2の左下の作動室8のような排気行程に至ると(以下、この状態にある作動室を排気作動室8ともいう)、燃焼ガス排気ポート10から排気された後、再び吸気行程に戻って上記各行程が繰り返されるようになっている。

0036

上記吸気作動室8には、複数(本実施形態では、3つ)の吸気ポート11,12,13が連通している。すなわち、吸気作動室8に面するインターミディエイトハウジング4の内側面4aには、ロータ収容室31の外周側の短軸Z寄りに第1吸気ポート11が開口している。また、図1に示すように、吸気作動室8に面するサイドハウジング5の内側面5aには、第1吸気ポート11に対向するように、そのロータ収容室31の外周側の短軸Z寄りに第2吸気ポート12及び第3吸気ポート13が開口している。例えば、エンジン1の低回転域では、第1吸気ポート11のみから吸気され、吸気量が不足するようになると第2吸気ポート12からも吸気され(中回転域)、さらに吸気量が不足するようになると第3吸気ポート13からも吸気されて(高回転域)、吸気量が変化しても最適な吸気流速を維持して、エンジン1の低負荷低回転から高負荷高回転までの全運転領域に亘って効率よく吸気できるようになっている。

0037

上記排気作動室8には、複数(本実施形態では、2つ)の排気ポート10が連通している。すなわち、排気作動室8に面するインターミディエイトハウジング4の内側面4aには、ロータ収容室31の外周側の短軸Z寄りに1つの排気ポート10が開口している。また、図1に示すように、排気作動室8に面するサイドハウジング5の内側面5aにも、前記排気ポート10に対向してもう1つの排気ポート10が開口している。このように、このエンジン1では、いわゆるサイド排気方式が採用されており、この排気ポート10の開口位置及び開口形状は、吸気のオープンタイミングと排気のオープンタイミングとがオーバーラップしないように設定されている。これによって、次行程に持ち込まれる残留排ガスを低減するようにしており、その結果、混合気がリーンであっても燃焼安定性が向上するようになる。

0038

ロータハウジング3の長軸Y上に相当する、該ロータハウジング3の頂部付近には、第1インジェクタ(第1燃料噴射弁)15及び第2インジェクタ(第2燃料噴射弁)16がそれぞれ取り付けられている。第1インジェクタ15は、吸気作動室8に臨んで配設され、第2インジェクタ16は、圧縮作動室8に臨んで配設されている。

0039

第1インジェクタ15は、図2及び図3に示すように、長軸Yに対してロータ回転方向の遅れ側、つまり、図3における左側に配設されている。第1インジェクタ15は、吸気作動室8内に燃料を直接噴射するように構成されており、第1インジェクタ15は特に、図3に示す回転軸心Xの方向から見たときに、ロータハウジング3の頂部付近から、吸気ポート11,12,13の方向に指向して、燃料を噴射する。第1インジェクタ15は、その先端部に燃料を噴射する複数の噴口を有するマルチホール型である。本実施形態では、第1インジェクタ15は、ロータ回転方向に4方向と、ロータ幅方向に2方向との、合計8方向(図3に示すラインD1−1,D1−2,D2−1,D2−2,D3−1,D3−2,D4−1,D4−2を参照)に燃料を噴射するように、8個の噴孔が形成されている。第1インジェクタ15の噴孔の数は、これに限るものではない。尚、図3に示す第1インジェクタ15の噴射方向は例示であり、これに限定されない。

0040

第2インジェクタ16は、図2及び図3に示すように、長軸Yに対して、ロータ回転方向の進み側、つまり、図3における右側に配設されている。第2インジェクタ16は、圧縮作動室8内に燃料を直接噴射するように構成されており、第2インジェクタ16は特に、図3に示す回転軸心Xの方向から見たときに、ロータハウジング3の頂部付近からトレーリング側点火プラグ91の方向に指向して、燃料を噴射する。第2インジェクタ16はまた、第1インジェクタ15と同様に、その先端部に燃料を噴射する複数の噴口を有するマルチホール型であり、本実施形態では、第2インジェクタ16は、ロータ回転方向に対しては1方向でかつ、ロータの幅方向に対して2方向に燃料を噴射するように、2個の噴孔が形成されている。ロータの幅方向に対し2方向(図3に示すラインD5−1,D5−2を参照)に燃料を噴射することによって、トレーリング側点火プラグ91のプラグホール噴霧が直接当たることを避けることが可能となる。尚、図3に示す第2インジェクタ16の噴射方向は例示であり、これに限定されない。ここで、第1及び第2インジェクタ15,16は、その本体部は互いに同じインジェクタを採用する一方、その先端に取り付けられる噴口が形成されたプレートのみを互いに異ならせるようにしてもよい。

0041

上記第1及び第2インジェクタ15,16は、図3に示すように、その軸心方向が互いに平行となるように、ロータハウジング3に対してそれぞれ取り付けられている。ここで、図3においては、第1及び第2インジェクタ15,16の軸心を、長軸Yに対して所定の角度を有するように傾斜して配置しているが、第1及び第2インジェクタ15,16を配設する角度は、特に限定されるものではない。第1及び第2インジェクタ15,16の配設角度は、その先端から噴射する燃料の方向と軸心との成す角度が最適となるように、適宜設定すればよい。また、図示は省略するが、フロント側及びリヤ側の2つのロータ収容室31それぞれに対して、第1及び第2インジェクタ15,16が配設されており、その各ロータ収容室31において、第1及び第2インジェクタ15,16は、互いに平行となるように配設されている。したがって、このエンジン1では、合計4個のインジェクタ15,16が互いに平行となるように配設されている。

0042

また、上記第1及び第2インジェクタ15,16は、1つの蓄圧器7に対して接続されており、この蓄圧器7は、図示を省略する高圧燃料ポンプに接続されている。蓄圧器7は、高圧燃料ポンプから供給された燃料を、第1及び第2インジェクタ15,16に任意のタイミングで供給することができるように高圧の状態で蓄える。蓄圧器7は、第1燃料供給管71と第2燃料供給管72とを含んで構成されている。第1燃料供給管71は、フロント側のロータハウジング3に取り付けられた第1インジェクタ15と、リヤ側のロータハウジング3に取り付けられた第2インジェクタ16とを互いに連通するようにフロント側及びリヤ側のロータハウジング3に亘って、回転軸心X方向(正確には、回転軸心Xに対して所定角度だけ傾斜した方向)に延びるように配設されている。一方、第2燃料供給管72は、フロント側のロータハウジング3に取り付けられた第2インジェクタ16と、リヤ側のロータハウジング3に取り付けられた第1インジェクタ15とを互いに連通するように、フロント側及びリヤ側のロータハウジング3に亘って、回転軸心X方向(正確には、回転軸心Xに対して、第1燃料供給管71とは逆側に所定角度だけ傾斜した方向)に延びるように配設されている。これら第1及び第2燃料供給管71,72は、その長さ方向の略中央位置において交差しており、その交差位置で互いに連通している。こうして、蓄圧器7は、平面視で見たときに、X字状を有するように構成されている。

0043

上記第1及び第2燃料供給管71,72は、各々、その両端部それぞれにおいて下向きに突出して、第1又は第2インジェクタ15,16の上端部に外嵌される接続部73を有している。上述したように、4つのインジェクタ15,16は、互いに平行に配置されているため、各接続部73と各インジェクタ15,16との位置合わせをして、各接続部73が各インジェクタ15,16の上端部に外嵌するようにこの蓄圧器7を押し込めば、全てのインジェクタ15,16を、一度に蓄圧器7に接続させることができる。

0044

上記蓄圧器7において、上記第1及び第2燃料供給管71,72の交差する位置(4つのインジェクタ15,16からの距離が略等しくなる位置)には、燃圧センサ76(図4にのみ示す)が取り付けられている。この燃圧センサ76は、蓄圧器7内の燃料圧力計測し、その計測信号を、後述するコントロールユニット100(以下、ECU100という)に出力する(図4参照)。ECU100は、燃圧信号を、第1及び第2インジェクタ15,16に供給するパルス幅燃料噴射信号)を設定する際に利用する。

0045

上記ロータハウジング3の側部における、短軸Zを挟んだロータ回転方向のトレーリング側(遅れ側)位置及びリーディング側(進み側)位置には、それぞれ、トレーリング側点火プラグ91及びリーディング側点火プラグ92が取り付けられている。これら2つの点火プラグ91,92は、上記圧縮・膨張作動室8に臨んでいて、圧縮・膨張作動室8内の混合気(つまり圧縮作動室8で圧縮された混合気)を燃焼させるべく、同時に又はリーディング側及びトレーリング側の順番で点火する。このように2つの点火プラグ91,92を備えることによって、扁平形状となる圧縮・膨張作動室8において、その燃焼速度を高めるようにしている。

0046

図4は、エンジン1の制御系の構成を示している。上記ECU100に対して、エンジン1を搭載した車両の乗員のアクセルペダル踏み込み量に相当するアクセル開度を検出するアクセル開度センサ101、上記車両の走行速度を検出する車速センサ102、エキセントリックシャフト6の回転角度(以下、エキセン角という)を検出するエキセン角センサ103、エンジン1の冷却水の温度を検出する水温センサ105、吸気通路内吸入される吸気流量を検出するエアフローセンサ106、排気ガス中の酸素濃度を検出するリニアO2センサ107、及び、上記燃圧センサ76がそれぞれ検出信号を出力する。ECU100は、上記各センサからの信号を入力して、該入力信号に基づいて、エンジン1の運転状態を判定するとともに、その運転状態に応じて、電動式スロットル弁108の開度、各作動室8における点火プラグ91,92による点火時期、並びに、第1及び第2インジェクタ15,16による燃料噴射量及び燃料噴射タイミングの制御を行う。このことで、ECU100(より詳しくは、後述の燃料噴射制御部100a)は、第1及び第2インジェクタ15,16の作動を制御する、本発明の燃料噴射制御装置の制御手段を構成することになる。

0047

上記ECU100は、エンジン1の運転時において、第1及び第2インジェクタ15,16の作動を制御して燃料噴射を制御する燃料噴射制御部100aと、エンジン1の運転時において、トレーリング側及びリーディング側点火プラグ91,92の作動を制御して点火を制御する点火制御部100bとを有している。

0048

ここで、このエンジン1においては、図5マップに示すように、その運転領域が、高負荷運転領域と部分負荷運転領域とに区分されており、燃料噴射制御部100aは、各領域において、第1及び第2インジェクタ15,16による燃料噴射態様が互いに異なるように、第1及び第2インジェクタ15,16の作動を制御する。高負荷運転領域と部分負荷運転領域とでは、空燃比が互いに異なるように設定される。つまり、負荷運転領域と部分負荷運転領域との境界線は、空燃比によって決定される。尚、図5のマップの横軸であるエンジン回転数は、エキセン角センサ103により検出されるエキセン角の、時間に対する変化率を計算することで求まる。

0049

そうして、燃料噴射制御部100aは、部分負荷運転領域では、第1インジェクタ15によって吸気行程にある作動室8内に燃料を噴射する吸気行程噴射と、第2インジェクタ16によって圧縮行程にある作動室8内に燃料を噴射する圧縮行程噴射との双方を実行し、高負荷運転領域では、第1インジェクタ15による吸気行程噴射のみを実行する。

0050

また、燃料噴射制御部100aは、燃焼すべき混合気の空燃比が、エンジンの運転状態に応じて予め設定された設定値となるように、高負荷運転領域では第1インジェクタ15による燃料噴射量を設定し、部分負荷運転領域では第1及び第2インジェクタ15,16による燃料噴射量をそれぞれする。そして、燃料噴射制御部100aは、高負荷運転領域では、第1インジェクタ15に、上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射させ、部分負荷運転領域では、第1及び第2インジェクタ15,16、それぞれ上記設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射させる。部分負荷運転領域では、上記設定値の空燃比を得るために作動室8内に供給する燃料を、第1及び第2インジェクタ15,16によって分割して噴射して、第1インジェクタ15による燃料噴射量と、第2インジェクタ16による燃料噴射量との総量が、当該作動室8内に供給すべき燃料量に等しくなるようにする。第1インジェクタ15による燃料噴射量と第2インジェクタ16による燃料噴射量との比率は予め設定されており、本実施形態では、第1インジェクタ15による燃料噴射量の方が第2インジェクタ16による燃料噴射量よりも多くなるように設定される。これは、第1インジェクタ15による吸気行程噴射は、点火タイミングに対して大幅に早いタイミングで燃料が噴射されることから、気化霧化が良好な混合気を形成する上で有利であるからである。

0051

次に、上記燃料噴射制御部100aにおける燃料噴射制御について、図6タイミングチャートを参照しながら説明する。尚、図6では、吸気行程噴射及び圧縮行程噴射のことを、それぞれ「吸気噴射」及び「圧縮噴射」と記載している。

0052

燃料噴射制御部100aによる第1インジェクタ15の燃料噴射タイミング(吸気行程噴射のタイミング)は、ロータ2が、図2に示す状態、つまり圧縮・膨張作動室8の容積が最小となる状態(圧縮上死点:TDC)を基準(0°)としたときに、エキセントリックシャフト6の回転方向側回転角(エキセン角)が−450°〜−330°ATDCの範囲内で設定される。このときのロータ2の回転位置は、図3において二点鎖線で示される。この燃料噴射タイミングは、吸気作動室8内での吸気の運動エネルギが大きくかつ吸気流速が大きいタイミングであって、吸気作動室8内に激しい吸気流の流動が形成されている。このため、このタイミングで吸気ポート11,12,13に指向して燃料を噴射することによって、燃料を効率よく拡散させ得ることになる。また、このタイミングは、TDCに対して大幅に早いタイミングであるため、長い気化霧化時間を確保することが可能である。こうして、第1インジェクタ15による吸気行程噴射によって比較的多量の燃料を効率よく拡散させるとともに、長い気化霧化時間を確保することによって気化霧化が良好な混合気を形成する。また、吸気行程噴射は、燃料の気化潜熱により吸気を冷却し、充填効率を向上させることが可能である。その後、その作動室8は圧縮行程へと移行する。

0053

燃料噴射制御部100aによる第2インジェクタ16の燃料噴射タイミング(圧縮行程噴射のタイミング)は、エキセン角で−180°〜−150°ATDCの範囲内に設定される。このときのロータ2の回転位置は、図3における実線で示され、これは圧縮行程の中期に相当する。作動室8が吸気行程から圧縮行程へと移行するに伴い、ロータ2の回転に対して混合気(燃料)の流動が相対的に遅れる結果、特に、第1インジェクタ15による燃料噴射量が少なくなる部分負荷運転領域では、圧縮・膨張作動室8内において、ロータ回転方向の進み側の領域がリーンになり、ロータ回転方向の遅れ側の領域がリッチになるような不均質性を生じる。これに対し、図3に太実線で示すように、第2インジェクタ16によって点火プラグ91の方向に指向して燃料を噴射することによって、ロータ2の回転角度との関係上、圧縮作動室8内における相対的にリーンの領域に燃料を供給し得る。このことにより、圧縮作動室8、及びその後の圧縮・膨張作動室8内におけるリーンの領域がリッチ化し、ロータ回転方向に対する混合気の不均質性が解消され得る。

0054

そうして、第1及び第2インジェクタ15,16の両方、又は第1インジェクタ15のみによる燃料噴射が行われた後、点火制御部100bが、トレーリング側及びリーディング側の2つの点火プラグ91,92を、上記所定のタイミングで、同時に又はリーディング側及びトレーリング側の順番で点火させる。

0055

尚、圧縮行程噴射は吸気行程噴射に対して遅いタイミングであるため、気化霧化時間を十分に確保することが難しい。しかしながら、第2インジェクタ16が噴射する燃料量は、第1インジェクタ15が噴射する燃料量と比較して少ないため、気化霧化時間が短いという不利益極小化して、エミッション性の低下を抑制することが可能である。

0056

上記燃料噴射制御部100aは、エンジン要求負荷の増加率が所定の値よりも大きくなる急加速要求があった場合には、そのような急加速要求がない場合とは、第1及び第2インジェクタ15,16による噴射制御を異ならせる。すなわち、上記急加速要求がない場合には、上記の如く、高負荷運転領域で、第1インジェクタ15により、予め設定された燃料噴射量でもって燃料噴射を通常に行わせ、部分負荷運転領域で、第1及び第2インジェクタ15,16により、それぞれ予め設定された燃料噴射量でもって燃料噴射を通常に行わせる(以下、この急加速要求がない場合の噴射制御を通常噴射制御という)。

0057

これに対し、高負荷運転領域において上記急加速要求があった場合には、燃料噴射制御部100aは、第1インジェクタ15により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室8が圧縮行程となったときの圧縮作動室8であって、ロータ2における、圧縮作動室8と吸気作動室8とを区画するアペックスシールが、第2インジェクタ16の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室8内に、第2インジェクタ16により燃料を噴射させるようにする。この第2インジェクタ16による燃料噴射量は、特定圧縮作動室8内の燃料の量が急加速要求に対応した量になるように調整することが好ましいが、一定量であってもよい。

0058

本実施形態では、2つの気筒それぞれにおいて上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室8内のみに燃料を噴射させ、該特定圧縮作動室8に続く作動室8に対しては通常噴射制御とする。尚、全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室8内のみに燃料を噴射させるようにしてもよい。全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室8が複数ある場合(通常、3気筒以上ある場合)には、その複数の特定圧縮作動室8に燃料を噴射させるようにしてもよいが、該複数の特定圧縮作動室8のうち上記アペックスシールが第2インジェクタ16の噴口を最初に通過する特定圧縮作動室8内のみに燃料を噴射させるようにしてもよい。

0059

また、部分負荷運転領域において上記急加速要求があった場合には、燃料噴射制御部100aは、第1インジェクタ15により、該急加速要求前に設定された燃料噴射量でもって噴射された燃料が供給された吸気作動室8が圧縮行程となったときの圧縮作動室8であって、ロータ2における、圧縮作動室8と吸気作動室8とを区画するアペックスシールが、第2インジェクタ16の噴口よりもロータ回転遅れ側にあるときの特定圧縮作動室8内に、第2インジェクタ16により、上記急加速要求前に設定された燃料噴射量よりも増大した量の燃料を噴射させるようにする(結果的に、第2インジェクタ16による燃料噴射量の、第1インジェクタ15による燃料噴射量に対する比率が増大することになり、第2インジェクタ16による燃料噴射量の方が第1インジェクタ15による燃料噴射量よりも大きくなる場合もある)。この第2インジェクタ16による燃料噴射量の増大量は、特定圧縮作動室8内の燃料の量が急加速要求に対応した量になるように調整することが好ましいが、一定量であってもよい。

0060

本実施形態では、2つの気筒それぞれにおいて上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室8内のみに、上記急加速要求前に設定された燃料噴射量よりも増大した量の燃料を噴射させ、該特定圧縮作動室8に続く作動室8に対しては通常噴射制御とする。尚、全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室8のみに対して燃料噴射量を増大させるようにしてもよい。全気筒の中で上記急加速要求後の最初の特定圧縮作動室8が複数ある場合(通常、3気筒以上ある場合)には、その複数の特定圧縮作動室8に対し燃料噴射量を増大させるようにしてもよいが、該複数の特定圧縮作動室8のうち上記アペックスシールが第2インジェクタ16の噴口を最初に通過する特定圧縮作動室8のみに対し燃料噴射量を増大させるようにしてもよい。以下、上記の、急加速要求があった場合の噴射制御を、急加速噴射制御という。

0061

上記エンジン要求負荷の増加率は、アクセル開度センサ101により検出されたアクセル開度θの時間tに対する増加率dθ/dtに相当し、dθ/dtの値が所定の値Aよりも大きいときに、急加速要求があったとする。尚、ECU100により制御されるスロットル弁108の開度を検出して、該スロットル弁108の開度の時間に対する増加率が所定の値よりも大きいときに、急加速要求があったとしてもよい。

0062

ここで、上記燃料噴射制御部100aによる燃料噴射制御を、図7フローチャートにより説明する。

0063

最初のステップS1で、各センサより検出データを入力し、次のステップS2で、エンジン1の運転領域(高負荷運転領域又は部分負荷運転領域)を、図5のマップにより決定するとともに、高負荷運転領域では第1インジェクタ15による燃料噴射量を設定し、部分負荷運転領域では第1及び第2インジェクタ15,16による燃料噴射量をそれぞれ設定する。

0064

次のステップS3では、アクセル開度θの時間tに対する増加率dθ/dtを演算し、次のステップS4で、dθ/dtが所定の値Aよりも大きいか否か(つまり、急加速要求があったか否か)を判定する。

0065

上記ステップS4の判定がYESであるときには、ステップS5に進んで、2つの気筒それぞれにおいて急加速要求後の最初の特定圧縮作動室8内のみに対して急加速噴射制御を行い、次のステップS6で、該特定圧縮作動室8に続く作動室8に対し通常噴射制御を行い、しかる後にリターンする。

0066

一方、上記ステップS4の判定がNOであるときには、上記ステップS5を実行せずに、ステップS6に進んで、通常噴射制御を行い(部分負荷運転領域で第2インジェクタ16が燃料を噴射する場合、前に実行したルーチンのステップS2で設定された燃料噴射量でもって燃料を噴射する)、しかる後にリターンする。

0067

したがって、本実施形態では、急加速要求があった場合には、燃料噴射制御部100aによる急加速噴射制御が行われるので、急加速要求に対するレスポンスを向上させることができる。すなわち、急加速要求があった場合(ステップS4の判定がYESである場合)には、前のルーチンのステップS6にて第1インジェクタ15による燃料噴射が既に終了しているが、急加速噴射制御によって、その第1インジェクタ15により燃料が噴射された吸気作動室8が圧縮行程となったときの特定圧縮作動室8に対して、第2インジェクタ16による燃料噴射(高負荷運転領域)又は燃料噴射量の増量(部分負荷運転領域)が行われ、その特定圧縮作動室8内の燃料の量を急加速要求に対応した量にするか、又はその量に近付けることができ、その特定圧縮作動室8の混合気をそのまま圧縮した後に直ぐに燃焼させることができる。この結果、エンジン1を搭載した車両の乗員の急加速要求に対して即座に車両が加速され、乗員に対し、車両の加速遅れによる違和感を与えないようにすることができる。

0068

ここで、各気筒それぞれにおいて急加速要求後の最初の特定圧縮作動室8に続く作動室8では、通常、吸気行程で急加速要求に対応した量の燃料が供給されるので、圧縮行程で燃料を噴射したり燃料噴射量を増大したりする必要はない。したがって、急加速要求後の最初の特定圧縮作動室8のみに燃料を噴射するか又は燃料噴射量を増大するだけで十分であり、このようにすることで、急加速要求に対するレスポンスを向上させつつ、燃料の無駄な噴射を防止することができる。但し、急加速要求後の最初の特定圧縮作動室8に続く作動室8においても、吸気行程で急加速要求に対応した量の燃料が供給されていない場合には、該作動室8も特定作動室となり、この特定作動室8に対し燃料を噴射したり燃料噴射量を増大したりするようにしてもよい。

0069

尚、上記実施形態では、エンジン1の運転領域を高負荷運転領域と部分負荷運転領域とに区分して、高負荷運転領域では第1インジェクタ15による燃料噴射を行い、部分負荷運転領域では第1及び第2インジェクタ15,16による燃料噴射を行うようにしたが、エンジン1の全運転領域で、第1インジェクタ15による燃料噴射を行うようにしてもよく、第1及び第2インジェクタ15,16による燃料噴射を行うようにしてもよい。エンジン1の全運転領域で、第1インジェクタ15による燃料噴射を行う場合において、急加速要求があった場合には、上記実施形態における、高負荷運転領域で急加速要求があった場合と同様に制御すればよく、エンジン1の全運転領域で、第1及び第2インジェクタ15,16による燃料噴射を行う場合には、上記実施形態における、部分負荷運転領域で急加速要求があった場合と同様に制御すればよい。

0070

また、上記実施形態では、本発明の第1燃料噴射弁を、吸気行程にある作動室8内に燃料を直接噴射する第1インジェクタ15で構成したが、吸気ポート11(他の吸気ポートであってもよい)に燃料を噴射して、吸気ポート11を介して、吸気行程にある作動室8内に燃料を供給するインジェクタ、又は、該インジェクタ及び第1インジェクタ15の両方で第1燃料噴射弁を構成してもよい。上記吸気ポート11に燃料を噴射するインジェクタによる燃料噴射は、吸気ポート11の開口タイミングにおいて実行するのがよい。

0071

さらに、上記実施形態では、エンジン1を2つの気筒(2つのロータ2)で構成したが、1つの気筒や3つ以上の気筒で構成してもよい。1つの気筒の場合、急加速要求後にその気筒において最初となる上記圧縮作動室8内のみに燃料を噴射するか又は燃料噴射量を増大するようにすればよい。

0072

本発明は、ロータリーピストンエンジンの燃料噴射制御方法及び燃料噴射制御装置に有用であり、特に急加速要求に対するレスポンスを向上できる点で有用である。

図面の簡単な説明

0073

本発明の実施形態に係る始動制御装置の制御対象たるロータリーピストンエンジンの概要を示す斜視図である。
ロータリーピストンエンジンの要部を示す、一部を簡略化した断面図である。
ロータリーピストンエンジンのローターハウジングにおける頂部付近を拡大して示す図である。
ロータリーピストンエンジンの制御系の構成を示すブロック図である。
燃料噴射制御に関する運転領域のマップの例を示す図である。
ロータリーピストンエンジンの運転に関するタイミングチャートである。
ECUの燃料制御部による燃料噴射制御を示すフローチャートである。

0074

1ロータリーピストンエンジン
2ロータ
3ローターハウジング
3aトロコイド内周面
4インターミディエイトハウジング(サイドハウジング)
5 サイドハウジング
6エキセントリックシャフト(出力軸)
8作動室
15 第1インジェクタ(第1燃料噴射弁)
16 第2インジェクタ(第2燃料噴射弁)
31ローター収容室(気筒)
100 ECU(制御手段)
Y長軸
Z 短軸

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