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図面 (3)

課題

高い初期強度を持つとともに、アルカリ性溶液酸性溶液とに対する耐食性に優れ、それら溶液に頻繁に晒されるような過酷な環境下でも強度が低下しにくいアルミナ質多孔体を提供する。

解決手段

気孔率が15〜45%、平均気孔径が2〜15μmであるアルミナ質多孔体であって、5〜30質量%の酸化チタンと、銅、マンガンカルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種元素とを含有し、前記元素の含有量が、前記元素の酸化物の合計量として1.5質量%以下である。

概要

背景

液体気体などの流体中に含まれる固形物懸濁物質)を除去する固液分離用あるいは気固分離用フィルターとして、セラミック多孔体からなるフィルター(セラミックフィルター)が広く使用されている。従来、このようなセラミックフィルターは、アルミナ等のセラミック粒子からなる骨材間ガラス質結合相で結合された微構造を有する多孔体基材支持体)とし、その表面に基材の平均気孔径よりも小さい平均気孔径を有する多孔質膜濾過膜等として一層以上積層したものが一般的である。

ところで、このようなセラミックフィルターは、使用時間の経過とともに、被処理流体中に含まれる懸濁物質がフィルターの気孔中詰まり透過性が低下してくるので、一定期間毎に薬洗や逆洗を行って、気孔中に詰まった懸濁物質を取り除く必要がある。

薬洗とは、懸濁物質を溶解するのに適した薬液、例えば、水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリ性溶液や、クエン酸水溶液のような酸性溶液を使用した洗浄処理であり、一般には、長時間の間に蓄積した懸濁物質を溶解させて取り除くために行われることが多い。また、逆洗とは、通常の濾過処理の際とは逆に、フィルターの流体透過側から被処理流体供給側へ圧力をかけて流体を流すことにより、気孔中に詰まった懸濁物質を除去し、系外へ排出する洗浄処理であり、一般には、短時間で蓄積した懸濁物質を除去するため、数分ないし数時間毎に、濾過処理の合間に行われることが多い。

そして、セラミックフィルターには、この薬洗と逆洗との繰り返しにより、フィルター自身が浸食されて強度が低下するという問題がある。具体的には、薬洗時に薬液として用いられるアルカリ性溶液や酸性溶液により、主に基材の結合相であるガラス相化学的に浸食され、その浸食により骨材間の強度が低下したところに、通常の濾過処理の際よりも高い圧力で逆洗が行われるため、当該圧力により更に物理的な浸食が起こり、その結果、基材全体、ひいてはフィルター全体の強度低下を招くことになる。

これに対し、特許文献1には、初期強度を高めることで強度が低下しても必要な強度をある程度維持できるように工夫されたセラミック多孔体を用いたフィルターが開示されている。しかしながら、この種のセラミックフィルターは、今後、より過酷な使用環境、例えば、医薬食品分野等の広範な分野において使用されることが見込まれ、将来的には薬洗や逆洗の頻度が増加する等、より過酷な洗浄条件に晒されることが予想されるため、アルカリ性溶液や酸性溶液に対する耐食性の更なる向上が期待されている。

また、特許文献2には、結合相が、ガラス相ではなく、より耐食性が高いチタニアからなる無機膜多孔質モノリシックセラミック支持体が開示されているが、本発明者らが検証したところ、この支持体はチタニアの焼結性に難があり、十分な初期強度を持ったものが得られないと言う問題があった。

概要

高い初期強度を持つとともに、アルカリ性溶液と酸性溶液とに対する耐食性に優れ、それら溶液に頻繁に晒されるような過酷な環境下でも強度が低下しにくいアルミナ質多孔体を提供する。気孔率が15〜45%、平均気孔径が2〜15μmであるアルミナ質多孔体であって、5〜30質量%の酸化チタンと、銅、マンガンカルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種元素とを含有し、前記元素の含有量が、前記元素の酸化物の合計量として1.5質量%以下である。

目的

本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
3件

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請求項1

気孔率が15〜45%、平均気孔径が2〜15μmであるアルミナ質多孔体であって、5〜30質量%の酸化チタンと、銅、マンガンカルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種元素とを含有し、前記元素の含有量が、前記元素の酸化物の合計量として1.5質量%以下であるアルミナ質多孔体。

請求項2

前記元素が銅である請求項1に記載のアルミナ質多孔体。

請求項3

曲げ強度が10〜150MPaである請求項1又は2に記載のアルミナ質多孔体。

請求項4

温度を100℃に調整したpH2の硫酸水溶液である酸薬液中に3時間浸漬してから当該酸薬液を洗浄除去し、乾燥させた後、温度を100℃に調整したpH12の水酸化ナトリウム水溶液であるアルカリ薬液中に3時間浸漬してから当該アルカリ薬液を洗浄除去し、乾燥させるという操作を3回繰り返した後の曲げ強度(操作後強度)と、前記操作を行う前の曲げ強度(初期強度)とから下式(1)により算出される強度低下率が20%以下である請求項1〜3の何れか一項に記載のアルミナ質多孔体。強度低下率(%)=(初期強度−操作後強度)/初期強度×100(1)

請求項5

画像解析から算出した粒子直径平均値が2〜80μmであるアルミナ骨材粒子間を、チタニア粒子を主成分とした結合相が結合した微構造を有し、前記結合相に、銅、マンガン、カルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素の酸化物、又は、銅、マンガン、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウムチタンからなる群より選択される少なくとも二種の元素を含む複合酸化物を含有する請求項1〜4の何れか一項に記載のアルミナ質多孔体。

請求項6

前記結合相に酸化銅を含有する請求項5に記載のアルミナ質多孔体。

請求項7

平均線熱膨張係数が7.5〜8.5×10−6/Kである請求項1〜6の何れか一項に記載のアルミナ質多孔体。

請求項8

モノリス形状のアルミナ質多孔体である請求項1〜7の何れか一項に記載のアルミナ質多孔体。

請求項9

固液分離フィルター基材として使用される請求項1〜8の何れか一項に記載のアルミナ質多孔体。

請求項10

水処理用の固液分離用フィルターの基材として使用される請求項1〜8の何れか一項に記載のアルミナ質多孔体。

請求項11

平均粒径1〜120μmのアルミナ粒子と、平均粒径0.5〜10μmのチタニア粒子と、酸化銅、酸化マンガン炭酸カルシウム及びス炭酸ストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属化合物とを含む原料混合物混練して得た坏土を、所定形状に成形し、得られた成形体を乾燥、脱脂及び焼成して、気孔率が15〜45%、平均気孔径が2〜15μmで、5〜30質量%の酸化チタンと、銅、マンガン、カルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素とを含有し、前記元素の含有量が、前記元素の酸化物の合計量として1.5質量%以下であるアルミナ質多孔体を得るアルミナ質多孔体の製造方法。

請求項12

前記金属化合物が酸化銅である請求項11に記載のアルミナ質多孔体の製造方法。

請求項13

前記焼成を1200〜1300℃で行う請求項11又は12に記載のアルミナ質多孔体の製造方法。

請求項14

請求項1〜10の何れか一項に記載のアルミナ質多孔体の表面に、当該アルミナ質多孔体の平均気孔径より小さな平均気孔径を有する多孔質セラミック膜を一層以上積層してなるセラミックフィルター

技術分野

0001

本発明は、水処理に使用されるフィルター基材支持体)等として好適な、耐酸性及び耐アルカリ性に優れたアルミナ質多孔体に関する。

背景技術

0002

液体気体などの流体中に含まれる固形物懸濁物質)を除去する固液分離用あるいは気固分離用のフィルターとして、セラミック多孔体からなるフィルター(セラミックフィルター)が広く使用されている。従来、このようなセラミックフィルターは、アルミナ等のセラミック粒子からなる骨材間ガラス質結合相で結合された微構造を有する多孔体を基材(支持体)とし、その表面に基材の平均気孔径よりも小さい平均気孔径を有する多孔質膜濾過膜等として一層以上積層したものが一般的である。

0003

ところで、このようなセラミックフィルターは、使用時間の経過とともに、被処理流体中に含まれる懸濁物質がフィルターの気孔中詰まり透過性が低下してくるので、一定期間毎に薬洗や逆洗を行って、気孔中に詰まった懸濁物質を取り除く必要がある。

0004

薬洗とは、懸濁物質を溶解するのに適した薬液、例えば、水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリ性溶液や、クエン酸水溶液のような酸性溶液を使用した洗浄処理であり、一般には、長時間の間に蓄積した懸濁物質を溶解させて取り除くために行われることが多い。また、逆洗とは、通常の濾過処理の際とは逆に、フィルターの流体透過側から被処理流体供給側へ圧力をかけて流体を流すことにより、気孔中に詰まった懸濁物質を除去し、系外へ排出する洗浄処理であり、一般には、短時間で蓄積した懸濁物質を除去するため、数分ないし数時間毎に、濾過処理の合間に行われることが多い。

0005

そして、セラミックフィルターには、この薬洗と逆洗との繰り返しにより、フィルター自身が浸食されて強度が低下するという問題がある。具体的には、薬洗時に薬液として用いられるアルカリ性溶液や酸性溶液により、主に基材の結合相であるガラス相化学的に浸食され、その浸食により骨材間の強度が低下したところに、通常の濾過処理の際よりも高い圧力で逆洗が行われるため、当該圧力により更に物理的な浸食が起こり、その結果、基材全体、ひいてはフィルター全体の強度低下を招くことになる。

0006

これに対し、特許文献1には、初期強度を高めることで強度が低下しても必要な強度をある程度維持できるように工夫されたセラミック多孔体を用いたフィルターが開示されている。しかしながら、この種のセラミックフィルターは、今後、より過酷な使用環境、例えば、医薬食品分野等の広範な分野において使用されることが見込まれ、将来的には薬洗や逆洗の頻度が増加する等、より過酷な洗浄条件に晒されることが予想されるため、アルカリ性溶液や酸性溶液に対する耐食性の更なる向上が期待されている。

0007

また、特許文献2には、結合相が、ガラス相ではなく、より耐食性が高いチタニアからなる無機膜多孔質モノリシックセラミック支持体が開示されているが、本発明者らが検証したところ、この支持体はチタニアの焼結性に難があり、十分な初期強度を持ったものが得られないと言う問題があった。

先行技術

0008

特許第4136365号公報
特許第2670967号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高い初期強度を持つとともに、アルカリ性溶液と酸性溶液とに対する耐食性に優れ、それら溶液に頻繁に晒されるような過酷な環境下でも強度が低下しにくいアルミナ質多孔体とその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成するため、本発明によれば、以下のアルミナ質多孔体、アルミナ質多孔体の製造方法、及びセラミックフィルターが提供される。

0011

[1]気孔率が15〜45%、平均気孔径が2〜15μmであるアルミナ質多孔体であって、5〜30質量%の酸化チタンと、銅、マンガンカルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種元素とを含有し、前記元素の含有量が、前記元素の酸化物の合計量として1.5質量%以下であるアルミナ質多孔体。

0012

[2] 前記元素が銅である[1]に記載のアルミナ質多孔体。

0013

[3]曲げ強度が10〜150MPaである[1]又は[2]に記載のアルミナ質多孔体。

0014

[4] 温度を100℃に調整したpH2の硫酸水溶液である酸薬液中に3時間浸漬してから当該酸薬液を洗浄除去し、乾燥させた後、温度を100℃に調整したpH12の水酸化ナトリウム水溶液であるアルカリ薬液中に3時間浸漬してから当該アルカリ薬液を洗浄除去し、乾燥させるという操作を3回繰り返した後の曲げ強度(操作後強度)と、前記操作を行う前の曲げ強度(初期強度)とから下式(1)により算出される強度低下率が20%以下である[1]〜[3]の何れかに記載のアルミナ質多孔体。
強度低下率(%)=(初期強度−操作後強度)/初期強度×100 (1)

0015

[5]画像解析から算出した粒子直径平均値が2〜80μmであるアルミナ骨材粒子間を、チタニア粒子を主成分とした結合相が結合した微構造を有し、前記結合相に、銅、マンガン、カルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素の酸化物、又は、銅、マンガン、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウムチタンからなる群より選択される少なくとも二種の元素を含む複合酸化物を含有する[1]〜[4]の何れかに記載のアルミナ質多孔体。

0016

[6] 前記結合相に酸化銅を含有する[5]に記載のアルミナ質多孔体。

0017

[7]平均線熱膨張係数が7.5〜8.5×10−6/Kである[1]〜[6]の何れかに記載のアルミナ質多孔体。

0018

[8]モノリス形状のアルミナ質多孔体である[1]〜[7]の何れかに記載のアルミナ質多孔体。

0019

[9]固液分離用フィルターの基材として使用される[1]〜[8]の何れかに記載のアルミナ質多孔体。

0020

[10]水処理用の固液分離用フィルターの基材として使用される[1]〜[8]の何れかに記載のアルミナ質多孔体。

0021

[11]平均粒径1〜120μmのアルミナ粒子と、平均粒径0.5〜10μmのチタニア粒子と、酸化銅、酸化マンガン炭酸カルシウム及びス炭酸ストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属化合物とを含む原料混合物混練して得た坏土を、所定形状に成形し、得られた成形体を乾燥、脱脂及び焼成して、気孔率が15〜45%、平均気孔径が2〜15μmで、5〜30質量%の酸化チタンと、銅、マンガン、カルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素とを含有し、前記元素の含有量が、前記元素の酸化物の合計量として1.5質量%以下であるアルミナ質多孔体を得るアルミナ質多孔体の製造方法。

0022

[12] 前記金属化合物が酸化銅である[11]に記載のアルミナ質多孔体の製造方法。

0023

[13] 前記焼成を1200〜1300℃で行う[11]又は[12]に記載のアルミナ質多孔体の製造方法。

0024

[14] [1]〜[10]の何れかに記載のアルミナ質多孔体の表面に、当該アルミナ質多孔体の平均気孔径より小さな平均気孔径を有する多孔質セラミック膜を一層以上積層してなるセラミックフィルター。

発明の効果

0025

本発明のアルミナ質多孔体は、骨材間を結合する結合相が、アルカリ性溶液や酸性溶液に対する耐食性が低いガラス相ではなく、耐食性が高い酸化チタン(チタニア)を主成分とするものであるので、アルカリ性溶液や酸性溶液に対して優れた耐食性を発揮し、それら溶液に頻繁に晒されるような過酷な環境下でも強度が低下しにくい。更に、製造時において焼結助剤として作用する所定の成分を含んでいるため、当該成分を含まない場合に比べて焼結性が向上しており、高い初期強度を示す。また、本発明の製造方法によれば、骨材となるアルミナ粒子や結合相の主成分となるチタニア粒子ともに、焼結助剤として作用する所定の金属化合物を配合することにより、前記のような、初期強度が高く、耐食性に優れたアルミナ質多孔体を、比較的低温焼結させて、簡便に製造することができる。更に、本発明のセラミックフィルターは、本発明のアルミナ質多孔体を基材(支持体)として使用しているため、高い初期強度を持つとともに、アルカリ性溶液や酸性溶液に対して優れた耐食性を発揮し、長期間に渡って高い強度を維持することができる。したがって、従来のセラミックフィルターの用途よりも、より過酷な洗浄条件に晒されるような用途、例えば、医薬・食品分野等において、固形物の除去に用いても、十分な強度を長期間に渡って維持することが可能である。

図面の簡単な説明

0026

実施例20のアルミナ質多孔体の微構造を示すSEM写真である。
モノリス形状のアルミナ質多孔体を示す斜視図である。

0027

以下、本発明を具体的な実施形態に基づき説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。

0028

本発明のアルミナ質多孔体は、気孔率が15〜45%、平均気孔径が2〜15μmであり、5〜30質量%の酸化チタンと、銅、マンガン、カルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素とを含有し、前記元素の含有量が、前記元素の酸化物の合計量として1.5質量%以下であるものである。

0029

前述のとおり、骨材間を結合する結合相がガラス相である従来のセラミック多孔体が、酸性溶液やアルカリ性溶液に晒されたときの浸食は、それら溶液に対する耐食性が低いガラス相において進行するものであるので、セラミック多孔体の耐食性を改善するためには、結合相の耐食性を向上させることが必要となる。

0030

本発明のアルミナ質多孔体は、骨材間を結合する結合相が、アルカリ性溶液や酸性溶液に対する耐食性が低いガラス相ではなく、耐食性が高い酸化チタン(チタニア)を主成分とするものであるので、アルカリ性溶液や酸性溶液に対して優れた耐食性を発揮する。

0031

本発明のアルミナ質多孔体は、酸化チタンを5〜30質量%含有する。なお、当該含有量の範囲は、下限については7質量%以上であることが好ましく、9質量%以上であることが更に好ましい。上限については28質量%以下であることが好ましく、26質量%以下であることが更に好ましい。酸化チタンは、アルミナからなる骨材間を結合する結合相となるものである。この酸化チタンの含有量が5質量%未満では、骨材間の強固な結合が得られず、セラミックフィルターの基材等に用いた場合に、十分な強度の発現が困難となる。一方、酸化チタンの含有量が30質量%を超えることは、強度的には特に問題はないが、例えば、固液分離用のセラミックフィルターの基材に用いた場合に、十分な透過水量を発現するための気孔率が得られにくい。なお、本明細書において、酸化チタンの含有量は、セラミックス原料化学分析法(JIS M 8853に準拠)により測定した値をいう。

0032

また、本発明のアルミナ質多孔体は、銅、マンガン、カルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含有する。これらの元素は、本発明のアルミナ質多孔体を製造する際に、焼結助剤として原料中に配合された、前記元素を含む金属化合物に由来ものであり、これらが存在することにより、チタニアの焼結性が向上し、骨材間が強固に結合して高い強度が発現するとともに、比較的低温での焼結が可能となる。前記元素を含む金属化合物の内でも、特に酸化銅は、チタニアの焼結性を向上させる効果が高いので、本発明のアルミナ質多孔体には、この酸化銅に由来する銅が含有されていることが好ましい。

0033

焼結体である本発明のアルミナ質多孔体中において、前記元素は、製造時に焼結助剤として原料中に配合されたままの状態、すなわち各元素を含む金属化合物の状態や、焼成時に酸化により生成した各元素の酸化物、あるいは各元素とチタンとの化合物の状態などで存在しているが、その含有量は、当該元素の酸化物の合計量として、1.5質量%以下、好ましくは1.2質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下とする。含有量が1.5質量%を超えると、結合相におけるチタニア成分の割合が相対的に低下し、アルカリ性溶液や酸性溶液に対する耐腐食性が低下する。当該元素の酸化物の合計量の下限は限定されないが、含有量が極微量である場合は、焼結助剤としての効果が不十分となる可能性も有るので、当該元素の酸化物の合計量は0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることが更に好ましい。なお、本明細書において、当該元素の酸化物の合計量は、セラミックス原料の化学分析法(JIS M 8853に準拠)により測定した値をいう。

0034

本発明のアルミナ質多孔体は、その気孔率が15〜45%である。また、当該気孔率の範囲は、下限については18%以上であることが好ましく、20%以上であることが更に好ましい。また、上限については40%以下であることが好ましい。気孔率が15%未満では、例えば、固液分離用のセラミックフィルターの基材に用いた場合に、十分な透過水量が得られにくい。一方、気孔率が45%を超えると、十分な強度が得られなくなる。なお、本明細書にいう「気孔率」とは、アルキメデス法(JIS R 1634準拠)によって測定した値をいう。

0035

本発明のアルミナ質多孔体は、その平均気孔径が2〜15μmである。また、当該平均気孔径の範囲の下限については3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることが更に好ましい。平均気孔径が2μm未満では、例えば、固液分離用のセラミックフィルターの基材に用いた場合に、十分な透過水量が得られにくい。一方、平均気孔径が15μmを超えると、十分な強度が得られなくなる。なお、本明細書にいう「平均気孔径」とは、水銀圧入法(JIS R 1655準拠)によって測定した値をいう。

0036

本発明のアルミナ質多孔体は、その曲げ強度が10〜150MPaであることが好ましい。また、当該曲げ強度の範囲の下限については11MPa以上であることがより好ましく、12MPa以上であることが更に好ましい。曲げ強度が10MPa未満では、セラミックフィルターの基材等として用いた場合に、アルカリ性溶液や酸性溶液による浸食がなくても破損が生じる可能性がある。一方、曲げ強度が150MPaを超えることは、特に問題はないが、セラミックフィルターの基材等に必要な気孔率を確保しつつ、そのような強度のものを製造することは、実質的には困難である。なお、本明細書にいう「曲げ強度」とは、JIS R 1601に準拠した曲げ強度試験によって測定した値をいう。

0037

本発明のアルミナ質多孔体は、温度を100℃に調整したpH2の硫酸水溶液である酸薬液中に3時間浸漬してから当該酸薬液を洗浄除去し、乾燥させた後、温度を100℃に調整したpH12の水酸化ナトリウム水溶液であるアルカリ薬液中に3時間浸漬してから当該アルカリ薬液を洗浄除去し、乾燥させるという操作を3回繰り返した後の曲げ強度(操作後強度)と、前記操作を行う前の曲げ強度(初期強度)とから下式(1)により算出される強度低下率が20%以下であることが好ましく、19%以下であることがより好ましく、18%以下であることが更に好ましい。
強度低下率(%)=(初期強度−操作後強度)/初期強度×100 (1)

0038

この強度低下率が20%以下であれば、固液分離用のセラミックフィルターの基材のように、アルカリ性溶液と酸性溶液とに交互に繰り返し晒されるものに用いた場合にも、十分な耐食性を発揮する。

0039

本発明のアルミナ質多孔体は、粒子直径の平均値が2〜80μmのアルミナ骨材粒子間を、チタニア粒子を主成分とした結合相が結合した微構造を有していることが好ましい。なお、「チタニア粒子を主成分とした結合相」とは、結合相全体に占めるチタニア粒子の割合が50質量%以上である結合相のことをいう。また、本明細書にいう「粒子直径」は、アルミナ質多孔体の微構造を示すSEM写真を画像解析して算出したものである。具体的には、図1のようなSEM写真を用い、この画像から、アルミナ骨材粒子のみを抽出し、個々のアルミナ骨材粒子が区別できる画像を得た。この画像において、アルミナ骨材粒子それぞれの面積を算出し、各アルミナ骨材粒子が円であると仮定したときの直径を面積から換算し、それぞれのアルミナ骨材粒子の「粒子直径」とした。また、「粒子直径の平均値」とは、上述の「粒子直径」をn個のアルミナ骨材粒子について算出し、その「粒子直径」を合計したものをnで除した値とした。なお、画像解析を行ったアルミナ骨材粒子の数(n)は50〜200個を目安として解析した。

0040

前記のような平均粒径を有するアルミナ骨材粒子間を、チタニア粒子を主成分とした結合相が結合する微構造となっていることにより、アルカリ性溶液や酸性溶液に対する高い耐食性が発現されるとともに、セラミックフィルターの基材等として適切な気孔率や平均気孔径などが得られる。なお、アルミナ骨材粒子の平均粒径の範囲の上限については、100μm以下であることがより好ましく、95μm以下であることが更に好ましい。

0041

結合相には、主成分であるチタニア粒子の他、焼結助剤に由来する、銅、マンガン、カルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素の酸化物、又は、銅、マンガン、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウム、チタンからなる群より選択される少なくとも二種の元素を含む複合酸化物が含有されていることが好ましい。酸化物及び複合酸化物相の形態としては、チタニア相内部に点在する、アルミナ骨材粒子とチタニア相の界面に層状に存在する、チタニア相の表面に存在する、アルミナ骨材とチタニア相の界面に粒状に存在する等、あらゆる形態をとることができる。また、その形状は、組織中に均一に分散するという観点から、アルミナ骨材やチタニア相の粒径を超えない粒径であることが好ましく、平均粒径が5μm以下であることが更に好ましい。

0042

本発明のアルミナ質多孔体は、その平均線熱膨張係数が7.5〜8.5×10−6/Kであることが好ましい。また、当該平均線熱膨張係数の範囲は、下限については7.6×10−6/K以上であることがより好ましく。7.7×10−6/K以上であることが更に好ましい。上限については、8.4×10−6/K以下であることがより好ましく、8.3×10−6/K以下であることが更に好ましい。平均線熱膨張係数が7.5×10−6/K未満、あるいは、8.5×10−6/Kを超えると、セラミックフィルターの基材として使用する場合に、当該基材上に形成した多孔質セラミック膜や、これら基材と多孔質セラミック膜の端部をシールするシール部との熱膨張差により、それぞれの界面でクラック等が発生する場合がある。

0043

本発明のアルミナ質多孔体の形状は、特に限定されるものではなく、その用途に応じて任意の形状とすることができる。例えば、固液分離用フィルターの基材として使用する場合は、当該基材の一般的な形状として従来広く知られているモノリス形状とすることが好ましい。

0044

本発明のアルミナ質多孔体は、その用途が特に限定されるものではないが、前記のようにアルカリ性溶液や酸性溶液に対する耐食性に優れるという性質を有することから、水処理等に使用される固液分離用フィルターの基材のような当該性質を有効に活用できる用途が好ましい。特に、従来のセラミックフィルターの用途よりも、より過酷な洗浄条件に晒されるような用途、例えば、医薬・食品分野等において使用される固液分離用フィルターは、頻繁に薬洗や逆洗が必要となるため、その基材として本発明のアルミナ質多孔体を使用することは、その性質を有効に活用できる点で非常に好ましい。

0045

次に、本発明のアルミナ質多孔体の製造方法について説明する。本発明のアルミナ質多孔体の製造方法は、平均粒径1〜120μmのアルミナ粒子と、平均粒径0.5〜10μmのチタニア粒子と、酸化銅、酸化マンガン、炭酸カルシウム及びス炭酸ストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属化合物とを含む原料混合物を混練して得た坏土を、所定形状に成形し、得られた成形体を乾燥及び焼成して、気孔率が15〜45%、平均気孔径が2〜15μmで、5〜30質量%の酸化チタンと、銅、マンガン、カルシウム及びストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素とを含有し、前記元素の含有量が、前記元素の酸化物の合計量として1.5質量%以下であるアルミナ質多孔体を得るものである。なお、本明細書にいう「平均粒径」は、JIS R 1629に準拠したレーザー回折散乱法によって粒度分布測定した値であり、体積基準の平均粒径である。

0046

原料に用いられるアルミナ粒子は、主にアルミナ質多孔体の骨材となるものであり、その平均粒径は1〜120μmである。なお、このアルミナ粒子には、異なる平均粒径を持つ複数種のアルミナ粒子を組み合わせて(混合して)使用することもでき、その場合は混合後のアルミナ粒子の平均粒径が1〜120μmとなり、その範囲の上限については、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることが更に好ましく、その範囲の下限については、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることが更に好ましい。異なる平均粒径を持つ複数種のアルミナ粒子を組み合わせて使用する場合には、それら複数種のアルミナ粒子の内の少なくとも一種のアルミナ粒子の平均粒径が1〜100μmであることが好ましく、また、その範囲の上限については、80μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが更に好ましく、その範囲の下限については、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましい。原料に用いられるアルミナ粒子の平均粒径が1μm未満であると、目的とする気孔率および気孔径を得られにくくなる。一方、その平均粒径が120μmを超えると、成形しにくくなるなどの問題が生じることがある。

0047

チタニア粒子は、主に骨材(アルミナ粒子)間を結合する結合相の主成分となるものであり、その平均粒径は0.5〜10μmである。なお、当該平均粒径の範囲の上限については、9.5μm以下であることが好ましく、9μm以下であることが更に好ましい。このチタニア粒子の平均粒径が0.5μm未満であっても特性上の問題はないが、原料コストが高くなる可能性がある。一方、平均粒径が10μmを超えると、焼結しにくくなるために、目的の強度が得られにくくなることがある。

0048

アルミナ粒子及びチタニア粒子とともに原料混合物に配合する、酸化銅、酸化マンガン、炭酸カルシウム及びス炭酸ストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属化合物は、焼結助剤として作用するものであり、これらの作用により、チタニアの焼結性が向上し、骨材間が強固に結合して高い強度が発現するとともに、比較的低温での焼結が可能となる。特に、酸化銅は焼結助剤としての効果が高く、これを原料混合物に配合に配合した場合には、配合しない場合に比べて2倍以上の強度を得ることも可能である。

0049

原料混合物に配合する成分としては、上述したアルミナ粒子とチタニア粒子と金属化合物(焼結助剤)以外にも、例えば、有機バインダー分散剤界面活性剤及び水等を挙げることができる。

0052

原料混合物を混錬して可塑性の坏土とし、この坏土を所定の形状となるように成形して成形体を得る。坏土の好ましい作製方法の例としては、まず、チタニア粒子と、酸化銅、酸化マンガン、炭酸カルシウム及びス炭酸ストロンチウムからなる群より選択される少なくとも一種の金属化合物と、分散剤と、水とを混合してスラリーを得、このスラリーに、アルミナ粒子と、有機バインダーと、界面活性剤と、適量の水とを加えて混練する方法が挙げられる。

0053

成形体の形状は特に限定されず、用途に応じた種々の形状とすることができる。例えば、固液分離用のセラミックフィルターの基材等として用いる場合は、モノリス形状とすることが好ましい。坏土をモノリス形状に成形するには、例えば押出成形等の成形方法を採用することが好ましい。

0054

得られた成形体を、適当な乾燥方法によって乾燥した後、焼成すれば、本発明のアルミナ質多孔体を製造することができる。乾燥方法は特に限定されないが、例えばマイクロ波熱風等を用いる乾燥方法が好ましい。また、成形体を乾燥した後、焼成する前に、成形体中の有機物(有機バインダー等)を燃焼させて除去するための、仮焼(脱脂、脱バインダー等ともいう)を適宜行うことができる。一般に、有機バインダーの燃焼温度は100〜300℃程度であるので、仮焼温度は200〜600℃程度とすればよい。仮焼時間には特に制限はないが、通常は、1〜10時間程度である。仮焼雰囲気は、大気雰囲気窒素雰囲気等適宜選択できる。

0055

焼成温度は、1200〜1300℃とすることが好ましく、1215〜1300℃とすることがより好ましく、1230〜1300℃とすることが更に好ましい。1300℃を超える焼成温度では、アルミナとチタニアとの反応によって組成式Al2TiO5に代表される複合酸化物が生成する可能性が高く、このAl2TiO5とアルミナ、チタニアとの熱膨張係数の差から生じるマイクロクラックは、アルミナ質多孔体の強度低下の要因となる。焼成温度が1200℃から1300℃の間では、Al2TiO5の生成は抑制されるものの、上述の焼成助剤を添加しないとチタニアの焼結が十分に進行しない場合がある。焼成温度が1200℃未満では、上述の焼結助剤の添加有無によらず、焼結が十分に進行しない場合がある。焼成時間には特に制限はないが、通常は、0.5〜10時間程度である。焼成雰囲気は、大気雰囲気、窒素雰囲気等適宜選択できる。

0056

次に、本発明のセラミックフィルターについて説明する。本発明のセラミックフィルターは、本発明のアルミナ質多孔体の表面に、当該アルミナ質多孔体の平均気孔径より小さな平均気孔径を有する多孔質セラミック膜を一層以上積層してなるものである。

0057

このセラミックフィルターは、高い初期強度を持つとともに、アルカリ性溶液や酸性溶液に対して高い耐食性を有する本発明のアルミナ質多孔体を基材(支持体)として使用しているため、前記溶液に対して優れた耐食性を発揮し、長期間に渡って高い強度を維持することができる。したがって、従来のセラミックフィルターの用途よりも、より過酷な洗浄条件に晒されるような用途、例えば、医薬・食品分野等において、固形物の除去に用いても、十分な強度を長期間に渡って維持することが可能である。

0058

本発明のセラミックフィルターの好適な形態としては、例えば、本発明のアルミナ質多孔体を基材とし、その表面に基材の平均気孔径より小さな平均気孔径を有する濾過膜を形成したものが挙げられる。濾過膜は、セラミックフィルターの濾過機能を担う多孔質のセラミック膜である。また、基材と濾過膜との間に、基材の平均気孔径より小さく、濾過膜の平均気孔径よりは大きい平均気孔径を有する中間膜を形成してもよい。更に、これら基材と膜の端部は、当該端部を包み込むように形成されたシール部によってシールされていることが好ましい。このシール部により、被処理流体が、濾過膜を透過せずに、基材や中間膜の端面から基材や中間膜の内部に直接侵入することを防止することができる。

0059

本発明のセラミックフィルターの作製方法の一例としては、まず、70質量%程度のセラミック粒子(アルミナ粒子、チタニア粒子等を主成分とするもの)と、必要に応じて分散剤や有機バインダーや界面活性剤と、水とを、ポットミル等で混合するとともに、セラミック粒子を平均粒径0.1〜3μm程度になるまで解砕して、セラミック膜形成用スラリーを調製する。次いで、図2に示すようなモノリス形状のアルミナ質多孔体1を、その外周面セル2の内部とが隔離されるように、アルミナ質多孔体の外周両端部にO−リングを装着してフランジ内に固定する。

0060

そして、セラミック膜形成用スラリーを送液ポンプによりセル内に連続的に循環供給しながら、真空ポンプによってアルミナ質多孔体の外周面側を減圧して、外周面側とセル内との間に差圧を付与し、セル内を流れる濾過膜用スラリーを外周面側から吸引してセル内面に付着させ、セラミック膜を形成する。こうして、セラミック膜を形成したアルミナ質多孔体を乾燥した後、950〜1250℃程度の温度で焼成し、アルミナ質多孔体からなる基材のセルの内表面に多孔質セラミック膜が形成されたセラミックフィルターを得る。

0061

なお、多孔質セラミック膜を複数層形成する場合は、前記のような膜の形成、乾燥、焼成の工程を複数回繰り返す。その際、セラミック膜形成用スラリーに含まれるセラミック粒子の平均粒径を、回数を重ねる毎に徐々に小さくすれば、基材から最も表層にある多孔質セラミック膜(濾過膜)に向かって平均気孔径が徐々に小さくなるセラミックフィルターが得られる。

0062

更に、多孔質セラミック膜を複数層形成する場合は、被処理流体が、濾過膜を透過せずに、基材や中間膜の端面から基材や中間膜の内部に直接侵入することを防止するために、基材と膜の端部において、当該端部を包み込むようにシール部を形成することが好ましい。例えば、基材端部とその近傍に、シール剤を施し、乾燥あるいは熱処理により、被処理流体の透過性が著しく低いシール部を形成させることができる。シール剤を構成する成分としては、ガラス状物質や、熱可塑性重合体熱硬化性重合体などを適宜選択することができる。

0063

以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0064

(実施例1〜34及び比較例)
まず、表1及び2に示す割合で、平均粒径0.8μm又は平均粒径5μmの酸化チタン(TiO2)粒子と、酸化銅(CuO)、酸化マンガン(Mn3O4)、炭酸カルシウム(CaCO3)及び炭酸ストロンチウム(SrCO3)の内の少なくとも一種の金属化合物(焼結助剤)と、分散剤と、水とをポットミルで混合し、バッチNo.1〜17のスラリーを作製した。また、表2に示す割合で、平均粒径0.8μmの酸化チタン(TiO2)粒子と、分散剤と、水とをポットミルで混合し、前記焼結助剤を含まないバッチNo.18のスラリーを作製した。

0065

次に、表3〜6に示す割合で、所定の平均粒径を有するアルミナ(Al2O3)粒子と、前記何れかのスラリーと、有機バインダーと、界面活性剤と、水とを混合して可塑性の坏土を得、これを押出成形により、およそ25mm×50mm×5mmの角板状に成形し、乾燥して成形体を得た。この成形体を、450℃で仮焼(脱脂)した後、表3〜6に示す焼成温度で2時間焼成し、実施例1〜34及び比較例のアルミナ質多孔体を得た。

0066

こうして得られたアルミナ質多孔体について、下記の方法により、気孔率、平均気孔径、曲げ強度、強度低下率、平均線熱膨張係数等を求め、その結果を表3〜6に示した。また、実施例20のアルミナ質多孔体の微構造を撮影し、図1に示した。

0067

[気孔率]
アルミナ質多孔体から、およそ25mm×10mm×5mmの測定用試料切り出し、アルキメデス法(JIS R 1634準拠)により測定した。

0068

[平均気孔径]
アルミナ質多孔体から、8mm×10mm×5mmの測定用試料を切り出し、水銀圧入法(JIS R 1655準拠)により測定した。

0069

[曲げ強度]
JIS R 1601に準拠して測定した。

0070

[強度低下率]
テフロン製の内壁圧力容器に、酸薬液(pH2の硫酸水溶液)とアルミナ質多孔体を、アルミナ質多孔体全体が酸薬液中に浸かるように入れ、密閉して100℃で3時間保持してから、アルミナ質多孔体を取り出して、酸薬液を洗浄除去し、十分に乾燥させた。その後、同じくテフロン製の内壁の圧力容器に、アルカリ薬液(pH12の水酸化ナトリウム水溶液)と先程のアルミナ質多孔体を、アルミナ質多孔体全体がアルカリ薬液中に浸かるように入れ、密閉して100℃で3時間保持してから、アルミナ質多孔体を取り出して、アルカリ薬液を洗浄除去し、十分に乾燥させた。以上の操作を3回繰り返した後、前記した曲げ強度の測定方法と同様の方法で、3回操作後の曲げ強度(操作後強度)を求め、その値と操作前の曲げ強度(初期強度)の値とから、下式(1)により算出した。
強度低下率(%)=(初期強度−操作後強度)/初期強度×100 (1)

0071

[平均線熱膨張係数]
アルミナ質多孔体から、2mm×2mm×20mmの測定用試料を切り出し、JIS R 1618に準拠して測定した。

0072

[Al2O3骨材粒子の粒子直径の平均値]
アルミナ質多孔体の微構造を示すSEM写真を画像解析して算出した。具体的には、図1のようなSEM写真を用い、この画像から、アルミナ骨材粒子のみを抽出し、個々のアルミナ骨材粒子が区別できる画像を得た。この画像において、アルミナ骨材粒子それぞれの面積を算出し、各アルミナ骨材粒子が円であると仮定したときの直径を面積から換算し、それぞれのアルミナ骨材粒子の「粒子直径」とした。そして、この「粒子直径」をn個のアルミナ骨材粒子について算出し、それらを合計したものをnで除した値を、「Al2O3骨材粒子の粒子直径の平均値」とした。なお、画像解析を行ったアルミナ骨材粒子の数(n)は50〜200個程度である。

0073

[アルミナ質多孔体中のTiO2の含有量]
セラミックス原料の化学分析法(JIS M 8853に準拠)により測定した。

0074

[アルミナ質多孔体中のCu、Mn、Ca、Srの酸化物の合計含有量]
セラミックス原料の化学分析法(JIS M 8853に準拠)により測定した。

0075

0076

0077

0078

0079

0080

0081

表3〜6に示すとおり、焼結助剤としての酸化銅、酸化マンガン、炭酸カルシウム及び炭酸ストロンチウムの何れをも加えることなく作製した比較例のアルミナ質多孔体は、曲げ強度が著しく低く、実用性に乏しいものであった。これに対し、焼結助剤として酸化銅、酸化マンガン、炭酸カルシウム及び炭酸ストロンチウムの内の少なくとも1種の金属化合物を加えて作製した実施例1〜34のアルミナ質多孔体は、フィルターの基材として好適な気孔率、平均気孔径、曲げ強度、平均線熱膨張係数を有し、強度低下率も概ね許容範囲であった。

0082

(実施例35〜37)
まず、表7に示す割合で、平均粒径0.8μmの酸化チタン(TiO2)粒子と、酸化銅(CuO)と、分散剤と、水とをポットミルで混合し、バッチNo.19のスラリーを作製した。

0083

次に、表8に示す割合で、所定の平均粒径を有するアルミナ(Al2O3)粒子と、前記スラリーと、有機バインダーと、界面活性剤と、水とを混合して可塑性の坏土を得、これを押出成形により、図2に示すようなモノリス形状(外径:φ30mm×1000mmL、セル数:55個、セルの孔径:2mm)に成形し、乾燥して成形体を得た。この成形体を、450℃で仮焼(脱脂)した後、1250℃で2時間焼成し、実施例35〜37のモノリス形状アルミナ質多孔体を得た。

0084

こうして得られたモノリス形状アルミナ質多孔体について、前記実施例1〜34及び比較例と同様に、気孔率、平均気孔径、曲げ強度、強度低下率、平均線熱膨張係数等を求め、その結果を表8に示した。

0085

0086

実施例

0087

表8に示すとおり、焼結助剤として酸化銅を加えて作製した実施例35〜37のモノリス形状アルミナ質多孔体は、フィルターの基材として好適な気孔率、平均気孔径、曲げ強度、平均線熱膨張係数を有し、強度低下率も概ね許容範囲であった。

0088

本発明は、水処理に使用されるフィルターの基材(支持体)等として好適に使用することができる。

0089

1:モノリス形状のアルミナ質多孔体、2:セル。

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