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技術 検出対象物の検出方法およびそれに用いる検出用キット

出願人 NECソリューションイノベータ株式会社
発明者 吉田嘉仁和賀巌古市真木雄堀井克紀
出願日 2009年3月27日 (11年8ヶ月経過) 出願番号 2009-079902
公開日 2010年10月14日 (10年1ヶ月経過) 公開番号 2010-227048
状態 特許登録済
技術分野 酵素、微生物を含む測定、試験 突然変異または遺伝子工学 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 洗浄用溶媒 検出限界値 決定係数 ABS樹脂 C領域 結合形式 ウェル容量 初期プール
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年10月14日)のものです。
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図面 (9)

課題

検出感度に優れ、且つ、操作が簡便な新たな検出方法を提供する。

解決手段

検体中の検出対象物と、前記検出対象物と結合可能な一次試薬と、前記一次試薬とは異なる部位で前記検出対象物と結合可能な二次試薬との複合体を形成し、前記複合体における前記二次試薬に、前記二次試薬と結合可能な核酸アプタマーを結合する。そして、前記二次試薬に結合した前記核酸アプタマーを鋳型として、核酸増幅法により増幅し、前記核酸アプタマーの増幅産物を検出することにより、前記検出対象物を検出する。前記検出対象物が抗原の場合、前記一次試薬は一次抗体であり、前記二次試薬は二次抗体であることが好ましい。前記核酸アプタマーとしては、例えば、前記二次抗体に特異的に結合可能な一本鎖核酸があげられ、好ましくは一本鎖RNAである。

概要

背景

検体中の検出対象物を検出する方法として、例えば、抗原抗体反応を利用したELISA(Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)法が利用されており、特に、サンドイッチELISA法汎用されている(非特許文献1)。前記サンドイッチELISA法は、例えば、検出対象物が抗原の場合、前記抗原に結合可能な一次抗体と、前記抗原に結合可能であり且つ酵素標識化された二次抗体を使用して、以下のように行うことができる。まず、前記一次抗体を固定化した反応容器に、前記抗原を含む検体を添加する。すると、前記固定化一次抗体と前記抗原との間で抗原抗体反応が起こり、前記固定化一次抗体に前記抗原が結合する。そして、前記未反応の抗原を除去した後、さらに、前記反応容器に、前記標識化二次抗体を添加する。この標識化二次抗体と前記固定化一次抗体に結合した前記抗原との間で抗原抗体反応が起こり、前記抗原に前記標識化二次抗体が結合して、複合体が形成される。この複合体では、抗原を前記一次抗体と前記二次抗体とが挟み込む状態となる。そして、前記未反応の前記標識化二次抗体を除去した後、前記標識化二次抗体における標識酵素基質を添加して、酵素反応を行う。この酵素反応による発色や発光シグナルを検出することで、前記複合体形成関与した前記抗原を検出することができる。前記シグナルは、前記複合体を構成する前記抗原の量と相関性を示すことから、間接的に、前記固定化一次抗体と前記標識化二次抗体とにより複合体形成に関与した抗原量を算出できる。

しかしながら、このELISA法は、検出限界が、nmol/Lからpmol/Lオーダーである。また、工程数も多く、操作が煩雑である。このため、例えば、fmol/Lオーダーの低量の検出対象物を検出可能な検出感度に優れる簡便な検出系の開発が望まれている。

そこで、前述のELISA法と核酸増幅法とを組み合わせた新たな検出系として、Immuno−PCR法が注目されている(非特許文献2)。Immuno−PCRは、前記酵素で標識化した二次抗体に代えて、核酸で標識化した標識化二次抗体を使用する方法である。具体的には、前述のELISA法と同様に、固定化一次抗体に検出対象物である抗原を結合させた後、前記固定化一次抗体に結合した抗原に、前記標識化二次抗体を結合させ複合体を形成させる。そして、未反応の前記標識化二次抗体を除去した後、前記標識化二次抗体の核酸を、PCRによって増幅させる。前記複合体における前記標識化二次抗体の核酸は、前記複合体を構成する前記抗原の量と対応するため、前記核酸の増幅産物を検出することで、前記抗原を検出することができる。このImmuno−PCR法によれば、例えば、前述のELISA法と比較して、例えば、感度が10〜10,000倍に向上し、fmol/Lオーダー以下の検出が可能である(非特許文献3)。

しかしながら、Immuno−PCRの場合、実用化するには、核酸で標識化した二次抗体の準備が、非常に煩雑で困難であるという問題がある。前記標識化二次抗体は、例えば、検出対象物を抗原とする二次抗体に、増幅用の核酸を、化学結合等で結合することにより調製する。しかし、前記二次抗体に前記核酸を標識化するにあたっては、両者が結合するように、例えば、予め、前記核酸をビオチンで修飾し、前記二次抗体をアビジンストレプトアビジンで修飾する必要があり、煩雑である。また、この修飾化の条件設定自体が、非常に手間がかかるという問題もある。さらに、調製した前記標識化核酸が前記二次抗体に結合しても、実際の核酸増幅の段階において、前記標識化二次抗体における核酸の増幅反応が確認できない場合がある。また、前記核酸で標識化された二次抗体と標識化できなかった二次抗体とが混在するため、例えば、核酸増幅反応の検出において、バックグラウンドが高くなるという問題がある。そして、このバックグラウンドの問題を回避するには、前記標識化二次抗体と前記未標識二次抗体との混合物から、前記標識化二次抗体を精製する必要があるが、前記両者は、核酸の有無が異なるのみであって、分離が困難である。さらに、前記標識化二次抗体は、前記検出対象物ごとに調製する必要がある。このため、前記検出対象物に応じた二次抗体ごとに、前述のような核酸増幅の問題がない標識化、および、未標識二次抗体との分離が必要であり、様々な検出対象物に利用することが困難である。また、化学修飾試薬によって、抗体の有する結合活性が減少または消失するおそれもある。

他方、抗体に代わる分子として、検出対象物に結合可能な核酸からなる核酸アプタマー報告されている(非特許文献3および非特許文献4)。この核酸アプタマーを利用する検出方法としては、例えば、ELONA法(非特許文献5、6、7)等がある。前記ELONA法は、前記サンドイッチELISA法において、前記標識化二次抗体に代えて、酵素で標識化した核酸アプタマーを使用する方法である。しかしながら、前記核酸アプタマーを酵素で標識化するには、前述のImmuno−PCRと同様に、例えば、予め、前記核酸アプタマーをビオチンで修飾し、前記酵素をアビジン等で修飾する必要があり、標識二次抗体の調製自体が煩雑であり、修飾化の条件設定に手間がかかるという問題がある。また、前記核酸アプタマーのビオチン化により、例えば、アプタマー結合能が減少または消失する問題がある。また、前記固定化一次抗体に結合した検出対象物に、十分量の核酸アプタマーを添加する必要があるため、コスト高が問題となる。

概要

検出感度に優れ、且つ、操作が簡便な新たな検出方法を提供する。検体中の検出対象物と、前記検出対象物と結合可能な一次試薬と、前記一次試薬とは異なる部位で前記検出対象物と結合可能な二次試薬との複合体を形成し、前記複合体における前記二次試薬に、前記二次試薬と結合可能な核酸アプタマーを結合する。そして、前記二次試薬に結合した前記核酸アプタマーを鋳型として、核酸増幅法により増幅し、前記核酸アプタマーの増幅産物を検出することにより、前記検出対象物を検出する。前記検出対象物が抗原の場合、前記一次試薬は一次抗体であり、前記二次試薬は二次抗体であることが好ましい。前記核酸アプタマーとしては、例えば、前記二次抗体に特異的に結合可能な一本鎖核酸があげられ、好ましくは一本鎖RNAである。

目的

このため、例えば、fmol/Lオーダーの低量の検出対象物を検出可能な検出感度に優れる簡便な検出系の開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

検体中の検出対象物と、前記検出対象物と結合可能な一次試薬と、前記一次試薬とは異なる部位で前記検出対象物と結合可能な二次試薬との複合体を形成する複合体形成工程、前記複合体における前記二次試薬に、前記二次試薬と結合可能な核酸アプタマーを結合する結合工程、前記二次試薬に結合した前記核酸アプタマーを鋳型として、核酸増幅法により増幅する増幅工程、および、前記核酸アプタマーの増幅産物を検出することにより、前記検出対象物を検出する検出工程を含むことを特徴とする、検出対象物の検出方法

請求項2

前記検出対象物が抗原であり、前記一次試薬が一次抗体である、請求項1記載の検出方法。

請求項3

前記検出対象物が抗体であり、前記一次試薬が一次抗原である、請求項1記載の検出方法。

請求項4

前記二次試薬が二次抗体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項5

前記一次試薬が、固相固定化された固定化試薬である、請求項1から4のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項6

前記固相が、プレートメンブレンチューブチップまたはビーズである、請求項5記載の検出方法。

請求項7

前記増幅工程に先立って、さらに、前記複合体における前記二次試薬に未結合の核酸アプタマーを除去する工程を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項8

前記複合体形成工程が、前記一次試薬に前記検出対象物を反応させる工程、および前記検出対象物に前記二次試薬を反応させる工程を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項9

前記複合体形成工程において、前記一次試薬に前記検出対象物を反応させる工程の後、前記検出対象物に前記二次試薬を反応させる工程を行う、請求項8記載の検出方法。

請求項10

前記核酸アプタマーが、イムノグロブリンGに結合可能な核酸アプタマーである、請求項1から9のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項11

前記イムノグロブリンGが、ウサギ由来イムノグロブリンGである、請求項10記載の検出方法。

請求項12

前記核酸アプタマーが、配列番号1および配列番号2の少なくとも一方で表わされる塩基配列を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項13

前記核酸アプタマーが、配列番号3および配列番号4の少なくとも一方で表わされる塩基配列を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項14

前記核酸アプタマーが、配列番号5〜配列番号9からなる群から選択された少なくとも一つの配列番号で表わされる塩基配列を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項15

核酸増幅方法が、逆転写ポリメラーゼチェーンリアクション法またはポリメラーゼチェーンリアクション法である、請求項1から14のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項16

検出対象物と結合可能な試薬に結合可能な核酸アプタマーを含み、請求項1から15のいずれか一項に記載の検出方法に使用するための検出用キット

請求項17

さらに、前記検出対象物と結合可能な前記試薬を含む、請求項16記載の検出用キット。

請求項18

さらに、前記検出対象物と結合可能な一次試薬と、前記一次試薬とは異なる部位で前記検出対象物に結合可能な二次試薬とを含み、前記核酸アプタマーは、前記二次試薬に結合可能な核酸アプタマーである、請求項16記載の検出用キット。

請求項19

前記一次試薬が一次抗体である、請求項18記載の検出用キット。

請求項20

前記一次試薬が一次抗原である、請求項18記載の検出用キット。

請求項21

前記二次試薬が二次抗体である、請求項18から20記載の検出用キット。

請求項22

前記一次試薬が、固相に固定化された固定化試薬である、請求項18から21のいずれか一項に記載の検出用キット。

請求項23

前記固相が、プレート、メンブレン、チューブ、チップまたはビーズである、請求項22記載の検出用キット。

請求項24

前記核酸アプタマーが、イムノグロブリンGに結合可能な核酸アプタマーである、請求項16から23のいずれか一項に記載の検出用キット。

請求項25

前記イムノグロブリンGが、ウサギ由来イムノグロブリンGである、請求項24記載の検出用キット。

請求項26

前記核酸アプタマーが、配列番号1および配列番号2の少なくとも一方で表わされる塩基配列を有する、請求項16から25のいずれか一項に記載の検出用キット。

請求項27

前記核酸アプタマーが、配列番号3または配列番号4の少なくとも一方で表わされる塩基配列を有する、請求項16から25のいずれか一項に記載の検出用キット。

請求項28

前記核酸アプタマーが、配列番号5〜配列番号9からなる群から選択された少なくとも一つの配列番号で表わされる塩基配列を有する、請求項16から25のいずれか一項に記載の検出用キット。

技術分野

0001

本発明は、検出対象物検出方法およびそれに用いる検出用キットに関する。

背景技術

0002

検体中の検出対象物を検出する方法として、例えば、抗原抗体反応を利用したELISA(Enzyme−Linked ImmunoSorbent Assay)法が利用されており、特に、サンドイッチELISA法汎用されている(非特許文献1)。前記サンドイッチELISA法は、例えば、検出対象物が抗原の場合、前記抗原に結合可能な一次抗体と、前記抗原に結合可能であり且つ酵素標識化された二次抗体を使用して、以下のように行うことができる。まず、前記一次抗体を固定化した反応容器に、前記抗原を含む検体を添加する。すると、前記固定化一次抗体と前記抗原との間で抗原抗体反応が起こり、前記固定化一次抗体に前記抗原が結合する。そして、前記未反応の抗原を除去した後、さらに、前記反応容器に、前記標識化二次抗体を添加する。この標識化二次抗体と前記固定化一次抗体に結合した前記抗原との間で抗原抗体反応が起こり、前記抗原に前記標識化二次抗体が結合して、複合体が形成される。この複合体では、抗原を前記一次抗体と前記二次抗体とが挟み込む状態となる。そして、前記未反応の前記標識化二次抗体を除去した後、前記標識化二次抗体における標識酵素基質を添加して、酵素反応を行う。この酵素反応による発色や発光シグナルを検出することで、前記複合体形成関与した前記抗原を検出することができる。前記シグナルは、前記複合体を構成する前記抗原の量と相関性を示すことから、間接的に、前記固定化一次抗体と前記標識化二次抗体とにより複合体形成に関与した抗原量を算出できる。

0003

しかしながら、このELISA法は、検出限界が、nmol/Lからpmol/Lオーダーである。また、工程数も多く、操作が煩雑である。このため、例えば、fmol/Lオーダーの低量の検出対象物を検出可能な検出感度に優れる簡便な検出系の開発が望まれている。

0004

そこで、前述のELISA法と核酸増幅法とを組み合わせた新たな検出系として、Immuno−PCR法が注目されている(非特許文献2)。Immuno−PCRは、前記酵素で標識化した二次抗体に代えて、核酸で標識化した標識化二次抗体を使用する方法である。具体的には、前述のELISA法と同様に、固定化一次抗体に検出対象物である抗原を結合させた後、前記固定化一次抗体に結合した抗原に、前記標識化二次抗体を結合させ複合体を形成させる。そして、未反応の前記標識化二次抗体を除去した後、前記標識化二次抗体の核酸を、PCRによって増幅させる。前記複合体における前記標識化二次抗体の核酸は、前記複合体を構成する前記抗原の量と対応するため、前記核酸の増幅産物を検出することで、前記抗原を検出することができる。このImmuno−PCR法によれば、例えば、前述のELISA法と比較して、例えば、感度が10〜10,000倍に向上し、fmol/Lオーダー以下の検出が可能である(非特許文献3)。

0005

しかしながら、Immuno−PCRの場合、実用化するには、核酸で標識化した二次抗体の準備が、非常に煩雑で困難であるという問題がある。前記標識化二次抗体は、例えば、検出対象物を抗原とする二次抗体に、増幅用の核酸を、化学結合等で結合することにより調製する。しかし、前記二次抗体に前記核酸を標識化するにあたっては、両者が結合するように、例えば、予め、前記核酸をビオチンで修飾し、前記二次抗体をアビジンストレプトアビジンで修飾する必要があり、煩雑である。また、この修飾化の条件設定自体が、非常に手間がかかるという問題もある。さらに、調製した前記標識化核酸が前記二次抗体に結合しても、実際の核酸増幅の段階において、前記標識化二次抗体における核酸の増幅反応が確認できない場合がある。また、前記核酸で標識化された二次抗体と標識化できなかった二次抗体とが混在するため、例えば、核酸増幅反応の検出において、バックグラウンドが高くなるという問題がある。そして、このバックグラウンドの問題を回避するには、前記標識化二次抗体と前記未標識二次抗体との混合物から、前記標識化二次抗体を精製する必要があるが、前記両者は、核酸の有無が異なるのみであって、分離が困難である。さらに、前記標識化二次抗体は、前記検出対象物ごとに調製する必要がある。このため、前記検出対象物に応じた二次抗体ごとに、前述のような核酸増幅の問題がない標識化、および、未標識二次抗体との分離が必要であり、様々な検出対象物に利用することが困難である。また、化学修飾試薬によって、抗体の有する結合活性が減少または消失するおそれもある。

0006

他方、抗体に代わる分子として、検出対象物に結合可能な核酸からなる核酸アプタマー報告されている(非特許文献3および非特許文献4)。この核酸アプタマーを利用する検出方法としては、例えば、ELONA法(非特許文献5、6、7)等がある。前記ELONA法は、前記サンドイッチELISA法において、前記標識化二次抗体に代えて、酵素で標識化した核酸アプタマーを使用する方法である。しかしながら、前記核酸アプタマーを酵素で標識化するには、前述のImmuno−PCRと同様に、例えば、予め、前記核酸アプタマーをビオチンで修飾し、前記酵素をアビジン等で修飾する必要があり、標識二次抗体の調製自体が煩雑であり、修飾化の条件設定に手間がかかるという問題がある。また、前記核酸アプタマーのビオチン化により、例えば、アプタマー結合能が減少または消失する問題がある。また、前記固定化一次抗体に結合した検出対象物に、十分量の核酸アプタマーを添加する必要があるため、コスト高が問題となる。

先行技術

0007

Immunochemistry.(1971)8,871−4.
Science.(1992)258,120−122.
Science.(1990)249,505−510.
Nature.(1990)346,818−822.
Anal Chem.(2004)76,5605−5610.
Nat Biotechnol.(2002)20,473−477.
Anal Bioanal Chem.(2008)390,989−1007.

発明が解決しようとする課題

0008

そこで、本発明の目的は、検出感度に優れ、且つ、操作が簡便な新たな検出方法、ならびに、それに用いる検出キットを提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明の検出方法は、検体中の検出対象物と、前記検出対象物と結合可能な一次試薬と、前記一次試薬とは異なる部位で前記検出対象物と結合可能な二次試薬との複合体を形成する複合体形成工程、
前記複合体における前記二次試薬に、前記二次試薬と結合可能な核酸アプタマーを結合する結合工程、
前記二次試薬に結合した前記核酸アプタマーを鋳型として、核酸増幅法により増幅する増幅工程、および、
前記核酸アプタマーの増幅産物を検出することにより、前記検出対象物を検出する検出工程を含むことを特徴とする。

0010

本発明の検出用キットは、検出対象物と結合可能な試薬に結合可能な核酸アプタマーを含み、本発明の検出方法に使用することを特徴とする。

発明の効果

0011

本発明によれば、優れた感度で、検出対象物の検出を行うことができる。また、本発明によれば、前記検出対象物に結合可能な二次試薬について、標識化が不要である。このため、操作も簡便に行うことができる。したがって、本発明によれば、検出感度に優れ、且つ、操作が簡便な検出対象物の検出を実現できる。

図面の簡単な説明

0012

図1は、本発明の検出方法の一例において、各工程の概略を示す概略図である。
図2は、本発明の実施例1において、RNAアプタマーを用いたリアルタイムPCRにおけるRNAアプタマーR18の分子数コピー数)とCt値との関係を示すグラフである。
図3は、本発明の実施例1において、RNAアプタマーを用いたImmuno−PCRによる抗アクチンウサギIgG測定結果を示すグラフである。
図4は、本発明の実施例2において、RNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCRによるヒトVEGFの測定結果を示すグラフである。
図5は、本発明の実施例3において、RNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCRにおける血清中ヒトVEGFの測定結果を示すグラフである。
図6は、本発明の実施例4において作成した検量線を示すグラフであり、同図(A)は、実施例1におけるRNAアプタマーを用いたImmuno−PCRによる抗アクチンウサギIgGの測定値を用いた検量線のグラフであり、同図(B)は、実施例2におけるサンドイッチImmuno−PCRによるヒトVEGFの測定値を用いた検量線のグラフである。
図7は、比較例において、ELISAによるヒトVEGFの測定値を用いた検量線のグラフである。
図8は、配列番号4の塩基配列からなる核酸アプタマーの推定二次構造を示す模式図である。

0013

本発明の検出方法は、前述のように、検体中の検出対象物と、前記検出対象物と結合可能な一次試薬と、前記一次試薬とは異なる部位で前記検出対象物と結合可能な二次試薬との複合体を形成する複合体形成工程、
前記複合体における前記二次試薬に、前記二次試薬と結合可能な核酸アプタマーを結合する結合工程、
前記二次試薬に結合した前記核酸アプタマーを鋳型として、核酸増幅法により増幅する増幅工程、および、
前記核酸アプタマーの増幅産物を検出することにより、前記検出対象物を検出する検出工程を含むことを特徴とする。

0014

本発明においては、前記検出対象物に結合した前記二次試薬に、前記核酸アプタマーを結合させ、前記核酸アプタマーの増幅によって検出対象物を検出することがポイントである。したがって、検出対象物の種類、一次試薬および二次試薬の種類、核酸アプタマーの種類は、何ら制限されない。

0015

本発明の検出方法において、前記検出対象物が抗原の場合、前記一次試薬は一次抗体であることが好ましく、また、前記検出対象物が抗体の場合、前記一次試薬は一次抗原であることが好ましい。

0016

本発明の検出方法において、前記二次試薬は二次抗体であることが好ましい。

0017

本発明の検出方法において、前記一次試薬は、固相に固定化された固定化試薬であることが好ましい。

0018

本発明の検出方法において、前記固相は、プレートまたはビーズであることが好ましい。

0019

本発明の検出方法は、前記増幅工程に先立って、さらに、前記複合体における前記二次試薬に未結合の核酸アプタマーを除去する工程を含むことが好ましい。

0020

本発明の検出方法において、前記複合体形成工程は、前記一次試薬に、前記検出対象物を反応させる工程と、前記検出対象物に、前記二次試薬を反応させる工程とを含むことが好ましく、前記一次試薬に前記検出対象物を反応させる工程の後に、前記検出対象物に、前記二次試薬を反応させる工程を行うことが好ましい。

0021

本発明の検出方法において、前記アプタマーは、イムノグロブリンGに結合可能なアプタマーであることが好ましく、前記イムノグロブリンGは、ウサギ由来イムノグロブリンGであることが好ましい。

0022

本発明の検出方法において、前記核酸は、配列番号1および配列番号2の少なくとも一方で表わされる塩基配列を有することが好ましく、また、配列番号3および配列番号4の少なくとも一方で表わされる塩基配列を有することが好ましい。

0023

本発明の検出方法において、前記核酸増幅方法は、ポリメラーゼチェーンリアクション法(PCR法)であることが好ましい。

0024

以下に、本発明の検出方法について詳細に説明する。

0025

本発明において、「結合」とは、例えば、会合吸着等の意味も含む。また、「ポリヌクレオチド」とは、例えば、オリゴヌクレオチドの意味も含む。

0026

(核酸アプタマー)
前記核酸アプタマーとは、特定の標的物質に特異的に結合可能な核酸分子であり、例えば、一本鎖RNAおよび一本鎖DNA等の一本鎖核酸や、二本鎖RNAおよび二本鎖DNA等の二本鎖核酸があげられる。前記核酸アプタマーが、後者の二本鎖核酸の場合、例えば、使用に先立って、変性等により一本鎖にすることが好ましい。前記核酸アプタマーは、例えば、自己アニーリングによる二次構造を有してもよく、前記二次構造としては、例えば、ステムループ構造があげられる。

0027

本発明において、前記核酸アプタマーは、例えば、天然由来核酸配列であってもよいし、合成した核酸配列であってもよい。合成方法は、何ら制限されず、例えば、DNA合成機やRNA合成機により、dNTP等を材料として、末端塩基から化学合成する方法等があげられる。前記核酸アプタマーとしては、例えば、DNAやRNA等があげられ、また、例えば、PNA等のペプチド核酸を含んでもよい。前記核酸アプタマーは、例えば、A、C、G、TおよびU等の天然核酸(非人工核酸)を含んでもよいし、2’−フルオロウラシル、2’−アミノウラシル、2’−O−メチルウラシル2−チオウラシル等の人工核酸を含んでもよい。

0028

本発明において、前記核酸アプタマーは、前述のように、前記二次試薬に特異的に結合できればよいが、特に、前記一次試薬および検出対象物よりも、前記二次試薬に特異的に結合できることが好ましい。前記核酸アプタマーは、例えば、前記二次試薬の種類に応じて適宜調製できる。

0029

前記核酸アプタマーの前記二次試薬に対する結合力は、特に制限されないが、例えば、解離定数(KD)が、10μmol/L以下であることが好ましく、より好ましくは100nmol/L以下であり、特に好ましくは1nmol/L以下である。

0030

前記核酸アプタマーが結合する前記二次試薬の種類は、特に制限されないが、後述するように、例えば、抗体が好ましい。前記抗体としては、例えば、IgG、IgMIgAIgDIgE等の各種サブクラスアイソタイプ)のイムノグロブリン(Ig)があげられる。また、前記抗体は、例えば、抗原を特異的に認識する、抗体の一部分または部分断片(以下、「抗体の機能的断片」ともいう)であってもよく、前記各種Igを酵素処理して得られる活性フラグメントがあげられる。前記活性フラグメントとしては、例えば、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合Fv、一本鎖Fv、およびこれらの重合体等があげられる。前記抗体は、その由来も特に制限されず、例えば、ヒト、ウサギ、ラットマウスヤギヒツジウマブタラクダロバハムスターモルモット等の哺乳動物ニワトリハト、アヒルウズラ等の鳥類等があげられる。

0031

前記核酸アプタマーが結合する前記二次抗体における結合部位は、特に制限されないが、例えば、Igの定常領域(C領域)内が好ましく、前記定常領域としては、例えば、可変領域(V領域)以外のFab領域Fc領域等があげられる。前記定常領域は、例えば、Igのクラスごと、および、Igの由来生物ごとで、構造が類似している。したがって、具体例として、前記ウサギ由来IgGに結合可能な核酸アプタマーは、例えば、前記二次抗体における結合部位が定常領域であれば、異なる検出対象抗原に対する二次抗体であっても、同じ核酸アプタマーの使用が可能である。このため、検出対象物の種類ごとに、例えば、二次抗体だけでなく、核酸アプタマーを準備することが不要であり、より一層簡便、低コスト化を実現し、汎用性の高い検出が可能となる。なお、前記核酸アプタマーが結合する二次抗体は、一方で、検出対象物に特異的に結合可能であることが必要である。そこで、前記検出対象物が結合する前記二次抗体における結合部位は、例えば、Igの可変領域(V領域)内であることが好ましい。

0032

前記核酸アプタマーの具体例を以下に例示するが、これらの例示によって、本発明は、何ら制限されない。前記二次試薬が、ウサギ由来のIgGの場合、前記核酸アプタマーとしては、例えば、配列番号1および配列番号2の少なくとも一方で表わされる塩基配列を含む核酸があげられる。配列番号1および配列番号2の塩基配列において、両配列の異なる塩基のみに下線を付した。
(配列番号1)
5’- uucgauacgc cgugggguga cguuggcugc‐3’
(配列番号2)
5’- uucgauacgc cgugggguga cguuggcuac‐3’

0033

また、前記核酸アプタマーとしては、前記配列番号1で表される塩基配列を含む核酸として、配列番号3で表わされる塩基配列からなる核酸または前記塩基配列を含む核酸、前記配列番号2で表わされる塩基配列を含む核酸として、配列番号4で表わされる核酸または前記塩基配列を含む核酸があげられる。下記配列番号3および配列番号4の塩基配列において、下線部は、それぞれ、前記配列番号1および配列番号2の塩基配列に相当する。また、下記配列4に示す核酸アプタマーの推定二次構造を、図8に示す。
(配列番号3)
5’- gggagaauuc cgaccagaag uucgauacgc cgugggguga cguuggcugc ccuuuccucu cuccuccuuc uucu‐3’
(配列番号4)
5’- gggagaauuc cgaccagaag uucgauacgc cgugggguga cguuggcuac ccuuuccucu cuccuccuuc uucu‐3’

0034

これらの他に、前記核酸アプタマーとしては、例えば、下記配列番号5〜9からなる群から選択された少なくとも一つの配列番号で表わされる塩基配列または前記塩基配列を含む核酸があげられる。下記配列番号5の塩基配列において、下線部は、前記配列番号1の塩基配列に相当する。なお、これらの配列番号1〜9の塩基配列において、UはTであってもよい。
(配列番号5)
5’-aguaauacga cucacuauag ggagaauucc gaccagaaga aguucgauac gccguggggu gacguuggcu gcccuuuccu cucuccuccu ucuucu‐3’
(配列番号6)
5’-aguaauacga cucacuauag ggagaauucc gaccagaagu uuuuaaaccg cgccuuggaa gcguacguug gccuuuccuc ucuccuccuu cuucu‐3’
(配列番号7)
5’-aguaauacga cucacuauag ggagaauucc gaccagaagc aaauugccgg gccuuggaag ccaagucgcu uuccucucuc cuccuucuuc u‐3’
(配列番号8)
5’-aguaauacga cucacuauag ggagaauucc gaccagaagc gcaagccggc ccuuggaagg cuagucgguc uuuccucucu ccuccuucuu cu‐3’
(配列番号9)
5’-aguaauacga cucacuauag ggagaauucc gaccagaagu ucgauacgcc guggggugac guuggcuacc uuuccucucu ccuccuucuu cu‐3’

0035

前記ウサギ由来IgGに対する核酸アプタマーは、例えば、前記ウサギIgGに特異的に結合可能である限りにおいて、前記配列番号(1)〜(9)の塩基配列からなる核酸または前記塩基配列を含む核酸において、1もしくは数個の塩基が、置換、付加、挿入もしくは欠失した塩基配列からなる核酸であってもよい。置換、付加、挿入もしくは欠失した前記塩基の数は、例えば、数個、好ましくは、1個〜20個の範囲である。また、前記核酸アプタマーは、例えば、前記配列番号(1)〜(9)の塩基配列からなる核酸または前記塩基配列を含む核酸において、前記各塩基配列と60%以上の相同性を有する塩基配列からなる核酸であってもよい。前記相同性は、例えば、70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上である。前記相同性は、例えば、BLAST等を用いてデフォルトの条件で計算することにより、算出できる。また、前記核酸アプタマーは、例えば、前記配列番号(1)〜(9)の塩基配列からなる核酸または前記塩基配列を含む核酸において、前記各塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなる核酸であってもよい。「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、例えば、当該技術分野の当業者において、周知のハイブリダイゼーション実験条件である。具体的には、「ストリンジェントな条件」とは、例えば、0.7〜1mol/LのNaCl存在下、60〜68℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍のSS溶液を用い、65〜68℃で洗浄することにより同定することができる条件をいう。なお、1×SSCとは、150mmol/LのNaCl、15mmol/Lクエン酸ナトリウムからなる。

0036

また、前記ウサギ由来IgGに対する核酸アプタマーは、例えば、前記配列番号(1)〜(9)の塩基配列からなる核酸または前記塩基配列を含む核酸と、実質的に同一な推定構造または構造モチーフを有する核酸であってもよい。前記「実質的な推定構造または構造モチーフを有する」とは、例えば、核酸の二次構造および二次構造のモチーフ予測するプログラムを使用し、複数の配列を含む配列群に見出される一定の同一性を有することを意味する。一定の同一性とは、例えば、配列間の相同性が70以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上、90%以上、95%以上であり、特に好ましくは99%以上である。前記プログラムとしては、例えば、Zukerfoldプログラム等があげられる。

0037

前記核酸アプタマーの製造方法は、特に制限されず、例えば、公知のSELEX(Systematic Evolution of Ligandsby Exponential Enrichment)法等があげられる。

0038

SELEX法による核酸アプタマーの調製は、特に制限されないが、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、複数の核酸を含む核酸プールを準備し、前記核酸ライブラリーと標的物質である二次試薬とを結合(会合)させ、前記核酸プールと前記二次試薬との複合体を形成する。そして、前記複合体から、前記複合体の形成に関与した核酸プローブのみを回収することにより、前記二次試薬に特異的に結合可能な核酸アプタマーを調製できる。以下に、一例として、SELEX法を用いて、前記二次試薬に特異的に結合可能な核酸アプタマーを調製する方法をあげるが、本発明は、これらには何ら制限されない。

0039

前記核酸プールとは、例えば、ランダム領域を有する核酸のライブラリー(混合物)である。前記ライブラリーにおける前記核酸は、例えば、RNAやDNA等のポリヌクレオチドがあげられる。前記ランダム領域とは、例えば、A、G、C、および、UまたはTの塩基をランダムに連結した領域であり、その長さは、例えば、20〜120merである。前記核酸プールは、例えば、420〜4120種類(約1012〜1072種類)の核酸を含むことが好ましく、より好ましくは、430〜460種類(約1018〜1036種類)である。

0040

前記核酸プールに含まれる前記ポリヌクレオチドは、例えば、前記ランダム領域を有していればよく、その他の構造は、特に制限されない。前記ポリヌクレオチドは、前記ランダム領域に加えて、例えば、前記ランダム領域の5’末端および3’末端の少なくとも一方に、後述する核酸増幅で利用するプライマー領域、ポリメラーゼが認識するポリメラーゼ認識領域等を有することが好ましい。前記ポリメラーゼ認識領域は、例えば、アプタマー調製における後述の核酸増幅で使用するポリメラーゼの種類に応じて適宜決定できる。前記核酸プールがRNAプールの場合、前記ポリメラーゼの認識領域は、例えば、DNA依存性RNAポリメラーゼの認識領域(以下、「RNAポリメラーゼ認識領域」ともいう)が好ましく、具体例としては、T7RNAポリメラーゼの認識領域であるT7プロモーター等があげられる。前記RNAプールの具体例としては、例えば、5’末端側から、前記RNAポリメラーゼ認識領域と前記プライマー領域(以下、「5’末端側プライマー領域」ともいう)とを、この順序で連結し、前記5’末端側プライマー領域の3’末端側に、前記ランダム領域を連結し、さらに、前記ランダム領域の3’末端側にプライマー領域(以下、「3’末端側プライマー領域」ともいう)を連結した構造があげられる。前記RNAにおける前記5’末端側プライマー領域とは、例えば、前記RNAを鋳型として合成したDNAアンチセンス鎖の3’末端に対して相補的な配列、つまり、前記アンチセンス鎖の3’末端に結合可能なプライマーと同様の配列であることが好ましい。また、前記RNAプールは、例えば、さらに、標的物質である二次試薬への結合を補助する領域を有してもよい。また、前記核酸プールに含まれるポリヌクレオチドは、それぞれ、異なるランダム領域を有してもよいし、一部の配列が共通するランダム領域を有してもよい。前記ポリヌクレオチドにおいて、前記各領域は、例えば、直接隣接してもよいし、介在配列を介して間接的に隣接してもよい。

0041

前記核酸プールの調製方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。前記核酸プールがRNAプールの場合、例えば、DNAを含む初期プールを使用し、前記DNAを鋳型として調製できる。以下、核酸プールのRNAの鋳型となるDNA鎖をアンチセンス鎖、前記RNAのUをTに置換した配列を有するDNA鎖をセンス鎖ともいう。前記DNAを含む初期プールとしては、例えば、前記RNAプールにおける前記ランダム領域の相補鎖のUをTに置換したDNA(アンチセンス鎖)、および、前記ランダム領域のUをTに置換した配列を有するDNA(センス鎖)のいずれか一方を含むことが好ましい。この初期プールのDNAを鋳型として、DNA依存性DNAポリメラーゼを用いて核酸増幅を行った後、得られたDNA増幅産物を鋳型として、DNA依存性RNAポリメラーゼを用いて転写反応を行うことにより、RNAの核酸プールを調製できる。

0042

また、前記ランダム領域のUをTに置換したDNAを含む初期プールを準備し、これを鋳型として、前記RNAポリメラーゼ認識領域と、前記5’末端側プライマー領域に相補的な配列とを含むプライマーをアニーリングさせ、核酸増幅を行うことにより、RNAの核酸プールを調製することもできる。

0043

そして、前記核酸プールと標的物質とを反応させ、前記核酸と前記標的物質との複合体を形成する。本発明においては、前記核酸アプタマーとして、前記二次試薬に特異的に結合する核酸アプタマーを使用することから、前記標識物質は、二次試薬が好ましい。前記アプタマーの調製において、前記核酸プールと反応させる前記二次試薬は、例えば、二次試薬そのものであってもよいし、二次試薬の分解物であってもよい。具体例としては、前記二次試薬が、後述するような抗体の場合、例えば、Ig等の抗体そのものであってもよいし、前記各種Igを酵素処理して得られる、Fab、Fab’、F(ab’)2等の前記Igの活性フラグメント等であってもよい。前記核酸プールと前記二次試薬との結合形式は、特に制限されず、例えば、水素結合等の分子間力等があげられる。前記核酸プールと前記二次試薬との結合処理は、例えば、前記両者を溶媒中で一定期間インキュベートする方法があげられる。前記溶媒としては、特に制限されないが、前記両者の結合等が保持されるものが好ましく、例えば、各種緩衝液があげられる。

0044

続いて、前記核酸プールと標的物質との複合体を回収する。なお、前記複合体形成のために前記両者を反応させた反応液には、前記複合体の他に、例えば、前記複合体形成に関与しない核酸プール(以下、「未反応核酸プール」という)が含まれる。このため、例えば、前記反応液から、前記複合体と、前記未反応核酸プールとを、分離することが好ましい。前記分離方法としては、特に制限されないが、例えば、前記標的物質と前記核酸プールとの吸着性の違いや、前記複合体と前記核酸プールとの分子量の違いを利用する方法等があげられる。

0045

前者の吸着性の違いを利用する方法としては、例えば、以下の方法が例示できる。すなわち、まず、前記標的物質に吸着性を有する担体と、前記複合体を含む前記反応液とを接触させる。この際、前記未反応核酸プールは、前記担体に吸着せず、他方、前記標的物質と前記核酸プールとの複合体は、前記担体に吸着する。これによって、前記未反応核酸プールと前記複合体とを分離することができる。そして、前記未反応核酸プールを除去後、前記担体に吸着した前記複合体を回収すればよい。また、前記担体から前記複合体を回収する前に、例えば、前記未反応核酸プールを十分に除去するため、前記担体を洗浄することが好ましい。前記標的物質に吸着性を有する担体としては、特に制限されず、例えば、標的物質である二次試薬の種類に応じて適宜選択できる。前記標的物質である二次試薬が、例えば、抗体等のタンパク質の場合、前記吸着性を有する担体としては、例えば、ニトロセルロース膜等があげられる。

0046

後者の分子量の違いを利用する方法としては、例えば、担体を使用する方法が例示できる。前記担体としては、例えば、前記核酸プールが通過し且つ前記複合体が通過できないようなサイズのポアを有する担体があげられる。このような担体を利用して、前記複合体と、前記未反応核酸プールとを分離できる。前記分離は、例えば、アガロースゲルポリアクリルアミドゲルを用いた電気的な分離であってもよい。

0047

この他にも、例えば、前記複合体の形成時において、担体に固定化した二次試薬を使用する方法もあげられる。すなわち、前記二次試薬を予め担体に固定化し、前記担体と前記核酸プールとを接触させ、前記固定化二次試薬と核酸プールとの複合体を形成させる。そして、前記固定化二次試薬に結合していない未反応の核酸プールを除去した後、前記担体から、前記二次試薬と前記核酸プールとの複合体を解離させればよい。前記二次試薬の担体への固定化方法は、何ら制限されず、公知の方法が採用できる。具体例としては、例えば、前記二次試薬にタグを結合しておき、前記タグとの結合基を有する担体に、前記タグを結合した二次試薬を接触させる方法があげられる。前記タグとしては、例えば、His−tag等があげられ、前記結合基としては、例えば、ニッケルイオン(Ni2+)、コバルトイオン(Co2+)等の金属イオンがあげられる。前記担体の具体例としては、例えば、前記金属イオンをベースとするNi−アガロース、Ni−セファロース等があげられる。

0048

つぎに、回収した前記複合体から、前記複合体形成に関与した核酸プールを回収する。前記複合体形成に関与した核酸プールは、例えば、前記複合体について、前記標的物質と核酸プールとの結合を解除することによって回収できる。

0049

続いて、回収した前記複合体形成に関与した核酸プールについて、核酸増幅を行う。前記核酸増幅の方法は、特に制限されず、例えば、核酸プールの種類に応じて、公知の方法により行うことができる。前記核酸プールがRNAプールの場合、例えば、RNA依存性DNAポリメラーゼを用いた逆転写反応によりcDNAを調製し、前記cDNAを鋳型としてPCR等によりDNAの核酸増幅を行い、得られた増幅産物を鋳型として、さらに、DNA依存性RNAポリメラーゼを用いてRNAの転写を行うことができる。これによって、前述の前記複合体形成に関与したRNAプールの増幅を行うことができる。

0050

前記RNAプールが、例えば、前述のように、前記RNAポリメラーゼ認識領域、前記5’末端側プライマー領域、前記ランダム領域および前記3’末端側プライマー領域を有する場合、これらの領域を利用する増幅方法があげられる。前記RNAを鋳型として前記cDNAを調製するための逆転写反応では、例えば、プライマーとして、前記RNAプールの3’末端側プライマー領域に相補的な配列を含むポリヌクレオチドを使用することが好ましい。また、前記cDNAを鋳型とするDNAの増幅には、例えば、プライマーとして、前記5’末端側プライマー領域を含むポリヌクレオチドと、前記3’末端側プライマー領域の相補鎖を含むポリヌクレオチドとを使用することが好ましい。前者のポリヌクレオチドは、例えば、さらに、5’末端側に前記RNAポリメラーゼ認識領域を有し、その3’側に、前記5’末端側プライマー領域を有することが好ましい。得られたDNAの増幅産物を鋳型とするRNAの増幅には、前記DNA増幅産物を鋳型として、前記DNAに含まれる5’末端側プライマー領域および3’末端側プライマー領域を利用して、DNA依存性DNAポリメラーゼを用いて、PCR等の核酸増幅を行う。この際、プライマーとしては、例えば、前記5’末端側プライマー領域を含むポリヌクレオチドと、前記3’末端側プライマー領域の相補鎖を含むポリヌクレオチドとを使用することが好ましい。前者のポリヌクレオチドは、例えば、さらに、5’末端側に前記RNAポリメラーゼ認識領域を有し、その3’側に、前記5’末端側プライマー領域を有することが好ましい。そして、得られた増幅産物を鋳型として、前記増幅産物に含まれるRNAポリメラーゼ認識領域を利用して、DNA依存性RNAポリメラーゼを用いて、in vitroでの転写反応を行うことによって、前記複合体形成に関与するRNAプールの核酸増幅を行うことができる。増幅産物のうち、例えば、アンチセンス鎖のDNAは、その3’末端側に、RNAポリメラーゼ認識領域を有するため、この領域に前記DNA依存RNAポリメラーゼが結合し、前記アンチセンス鎖を鋳型として、前記RNAを合成できる。前記逆転写反応に使用するRNA依存性DNAポリメラーゼとしては、特に制限されないが、例えば、トリ骨髄芽球症ウィルス由来リバーストランスクリプターゼ(AMV Reverse Transcriptase)等が使用できる。

0051

なお、前記核酸増幅の方法は、特に制限されず、例えば、ポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)法や、各種等温増幅法等が採用できる。また、その条件も、特に制限されない。

0052

このように、標的物質と複合体を形成した核酸プールを回収し、さらに、前述と同様にして、標的物質を用いた複合体の形成、複合体の回収、前記複合体形成に関与した核酸プールの分離、前記分離した核酸プールの増幅等を繰り返し行うことで、最終的に、標的物質である二次試薬に結合性を有する核酸アプタマーを得ることができる。

0053

(一次試薬および二次試薬)
本発明において、前述のように、前記一次試薬は、前記検出対象物と結合可能な試薬であり、前記二次試薬は、前記一次試薬とは異なる部位で前記検出対象物と結合可能な試薬である。前記一次試薬および二次試薬は、それぞれ前記検出対象物と結合可能であればよく、その種類は、何ら制限されない。また、前記検出対象物の種類も、何ら制限されない。

0054

本発明において、前記検出対象物と前記一次試薬との組み合わせ、および、前記検出対象物と前記二次試薬との組み合わせは、それぞれ特に制限されず、前記検出対象物と前記一次試薬および前記二次試薬とがそれぞれ結合可能であればよい。このような結合可能な組合せとしては、特に制限されないが、例えば、抗原と抗体、リガンドレセプターレクチンとそのレセプター、レクチンと糖鎖等の組み合わせがあげられ、いずれが検出対象物であってもよく、いずれが前記一次試薬および二次試薬であってもよい。また、前記一次試薬および前記二次試薬は、例えば、非核酸物質であることが好ましい。これらの中でも、組み合わせとしては、抗原と抗体との組み合わせが好ましく、例えば、前記検出対象物と前記一次試薬、前記検出対象物と前記二次試薬とが、それぞれ、抗原抗体反応で結合し、前記複合体を形成することが好ましい。このように、抗原と抗体との組み合わせであれば、いわゆる抗原抗体反応に基づくサンドイッチ法を利用することができる。なお、抗原とは、例えば、抗体に結合可能な抗原性を有する物質である。このため、本発明における抗原は、例えば、他の抗体に結合可能な抗原性を有していれば、他の抗原に結合可能な抗体であってもよい。

0055

前記検出対象物と前記一次試薬との組み合わせ、および、前記検出対象物と前記二次試薬との組み合わせが、抗原と抗体との組み合わせの場合、前記一次試薬および前記二次試薬は、例えば、前記検出対象物の種類に応じて、以下の組み合わせがあげられる。前記検出対象物が抗原の場合、前記一次試薬は、前記検出対象物である前記抗原と結合可能な一次抗体が好ましく、前記二次試薬は、前記一次抗体とは別の部位で前記検出対象物である前記抗原と結合可能な二次抗体があげられる。一方、前記検出対象物が抗体の場合、前記一次試薬は、前記検出対象抗体と結合可能な一次抗原が好ましく、前記二次試薬は、前記検出対象抗体を抗原として結合可能な二次抗体があげられる。このような組合せによれば、例えば、前記検出対象物と前記一次試薬とが結合し、さらに、前記結合物における前記検出対象物に前記二次試薬が結合することで、複合体を形成できる。

0056

本発明において、前記抗原とは、例えば、ハプテン等の意味も含む。

0057

本発明において、前記抗体とは、特に制限されず、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE等のIgがあげられる。また、本発明において、前記抗体は、例えば、前記Igには制限されず、例えば、Igを酵素処理して得られるFab、Fab’、F(ab’)2等の活性フラグメントであってもよい。本発明において、前記抗体は、例えば、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。

0058

また、前記抗体は、例えば、モノクローナル抗体でもよいし、ポリクローナル抗体であってもよい。前記検出対象物が抗原の場合、例えば、検出精度を向上できることから、前記一次抗体は、モノクローナル抗体であることが好ましい。また、前記二次抗体は、例えば、検出精度を向上できることから、モノクローナル抗体であることが好ましい。

0059

前記一次抗体および二次抗体の調製方法は、特に制限されず、公知の方法があげられる。前記方法としては、例えば、動物への免疫感作を行う方法が一般的である。免疫感作させる宿主動物の種類は、特に制限されず、例えば、ヒト、ウサギ、ラット、マウス、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ラクダ、ロバ、ハムスター、モルモット等の哺乳動物、ニワトリ、ハト、アヒル、ウズラ等の鳥類等が使用できる。また、前記宿主動物に対する抗原の投与方法も、特に制限されず、例えば、皮内投与皮下投与腹腔内投与静脈内投与筋肉内投与等が採用できる。そして、例えば、血清腹水を回収することによって、目的の抗体を得ることができる。前記抗体は、例えば、前記血清や腹水をそのまま使用してもよいが、公知の方法により精製して使用することが好ましい。前記精製方法としては、特に制限されず、硫酸ナトリウム硫酸アンモニウム等を用いる塩析法ゲルろ過法イオン交換クロマトグラフィー法アフィニティークロマトグラフィー法、分子ふるいクロマトグラフィー法、電気泳動法等があげられる。

0060

前記一次抗体または二次抗体としてポリクローナル抗体を調製する場合は、前述のような免疫感作を行うことが好ましい。他方、前記一次抗体または二次抗体としてモノクローナル抗体を調製する場合は、例えば、免疫した宿主動物における脾臓細胞リンパ球様細胞等の抗体産生細胞ミエローマ細胞骨髄腫細胞)とを融合してハイブリドーマを調製することが好ましい。そして、前記ハイブリドーマを増殖させ、特異性を持つ抗体を産生するハイブリドーマ細胞を単離することによって、モノクローナル抗体を得ることができる。

0061

前記一次試薬は、例えば、固相に固定化された固定化試薬であることが好ましい。前記一次試薬を固定化することで、例えば、前記固定化された一次試薬に検出対象物を結合させた後、未反応の検出対象物の除去、不純物の除去、洗浄等が容易である。また、固定化された前記一次試薬に、さらに、前記二次試薬を結合させた後も、同様に、未反応の二次試薬の除去や洗浄が容易である。これによって、本発明の検出方法の精度を、さらに向上できる。

0062

前記固相の形態としては、特に制限されず、例えば、ウェルプレートマイクロプレート等のプレート、セルロース膜等のメンブレンフィルム試験管マイクロチューブ等のチューブマイクロスフェアやビーズ等の粒子等があげられる。

0063

前記固相は、例えば、不溶性であることが好ましい。前記不溶性材料としては、特に制限されないが、例えば、有機樹脂材料無機材料等があげられる。前記有機樹脂材料は、例えば、天然物でもよく、合成物でもよく、具体例としては、アガロース、架橋アガロース、架橋デキストランポリアクリルアミド架橋ポリアクリルアミドセルロース微結晶セルロース、架橋アガロース、ポリスチレンポリエステルポリエチレンポリプロピレンABS樹脂ポリフッ化ビニルポリアミンメチルビニルエーテルマレイン酸共重合体、6−ナイロン、6,6−ナイロン、ラテックス等があげられる。前記無機材料としては、例えば、ガラスシリカゲルケイ藻土二酸化チタン硫酸バリウム酸化亜鉛酸化鉛ケイ砂等があげられる。前記固相は、例えば、前記不溶性材料のいずれか一種類を含んでもよいし、二種類以上を含んでもよい。

0064

前記固相が前記粒子の場合、例えば、磁性粒子が好ましい。前記固相が磁性粒子であれば、例えば、磁力によって、固定化された前記一次試薬に前記検出対象物が結合した前記磁性粒子や、前記検出対象物にさらに前記二次試薬が結合した前記磁性粒子を、容易に回収できる。

0065

前記一次試薬は、例えば、前記固相に、直接結合してもよいし、間接的に結合してもよい。また、前記一次試薬の前記固相への固定化は、例えば、物理的な結合でも化学的な結合でもよく、具体例としては、吸着、共有結合等の化学結合等があげられる。

0066

前記固相への前記一次試薬の固定化方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。前記方法としては、例えば、前記一次試薬を含む液体に、前記固相を浸漬する方法があげられる。前記液体は、例えば、前記一次試薬を溶媒に、溶解、分散または懸濁することによって調製できる。前記溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、緩衝液等があげられ、前記緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液トリス塩酸緩衝液、Goodの緩衝液、ホウ酸緩衝液等があげられる。前記一次試薬を含む液体のpHは、特に制限されないが、例えば、7〜10であることが好ましく、より好ましくは9.5である。浸漬条件は、特に制限されないが、例えば、温度4〜37℃であり、好ましくは25〜37℃である。

0067

前記固相は、例えば、固定化させる一次試薬の種類に応じて、前記一次試薬を効率よく固定化するための前処理を施してもよい。前記前処理としては、例えば、前記一次試薬の官能基と結合可能な官能基を前記固相に付加する処理があげられる。また、前記一次試薬についても、例えば、前記固相の種類に応じて、効率良く固定化するための前処理を施してもよい。前記前処理としては、例えば、前記固相の官能基と結合可能な官能基を前記一次試薬に付加する処理があげられる。

0068

また、前記固相は、例えば、前記一次試薬を固定化した後、必要に応じてブロッキング処理を施してもよい。前記固相の表面をブロッキング処理することによって、例えば、前記固相に対する前記二次試薬の非特異的な結合を抑制し、検出精度をさらに向上することができる。前記ブロッキングに使用する試薬は、特に制限されず、例えば、ウシ血清アルブミンカゼイン脱脂粉乳等のブロッキング剤があげられる。

0069

本発明においては、前記二次試薬としては、前述のELISA法やImmuno−PCR法とは異なり、例えば、未標識二次試薬が使用できる。このため、例えば、前記二次試薬の標識化処理や、未標識二次試薬と標識化二次試薬との分離等が不要である。これにより、例えば、より簡便な試薬調製が可能であり、未標識二次試薬の混在によるバックグラウンドの上昇を防止できる。

0070

(検出対象物)
本発明においては、前記一次試薬と検出対象物と二次試薬との複合体に前記核酸アプタマーを結合させ、その核酸増幅により、前記検出対象物を間接的に検出することが特徴である。このため、本発明において、前記検出対象物の種類は、何ら制限されず、例えば、イオン低分子化合物無機化合物有機化合物ホルモンペプチド、タンパク質、糖類、脂質、ウィルス、細菌、細胞生体組織等があげられる。

0071

(核酸増幅法)
本発明において、核酸増幅法は、何ら制限されず、前記核酸アプタマーを増幅できる方法が採用できる。前記核酸アプタマーが、例えば、RNAアプタマーの場合、前記RNAアプタマーを鋳型として、逆転写反応によりDNAを合成し、前記DNAを鋳型として増幅する方法があげられる。また、前記核酸アプタマーが、例えば、DNAアプタマーの場合、前記DNAアプタマーを鋳型として増幅する方法があげられる。前記核酸増幅法の具体例としては、例えば、ポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)法、逆転写PCR(RT−PCR)法や、等温増幅法等があげられる。また、前記核酸増幅反応の条件も何ら制限されない。

0072

つぎに、本発明の検出方法について、抗原抗体反応を利用する形態の例を以下に示す。なお、本発明は、これらには何ら制限されない。

0073

(第1の実施形態)
本実施形態は、検出対象物が抗原であり、一次試薬が固定化一次抗体、二次試薬が二次抗体である形態の一例である。なお、前述のように、前記一次抗体は、前記抗原に特異的に結合可能な抗体であり、前記二次抗体は、前記一次抗体とは異なる部位で前記抗原に特異的に結合可能な抗体である。

0074

本実施形態について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態における検出方法の一例を示す概略図である。

0075

まず、図1(A)に示すように、固定化した一次抗体11を準備する。前記固定化一次抗体11は、前述のように、固相1に一次抗体11が固定化されていればよく、例えば、前記固相の種類、固相への一次抗体の結合方法等は、何ら制限されない。

0076

つぎに、前記固定化一次抗体に検体を接触させる。前記検体が検出対象抗原を含む場合、図1(B)に示すように、前記固定化一次抗体11に前記検体中の検出対象抗原12が結合する。なお、本発明において、前記固定化一次抗体11は、前記検出対象抗原12に対する抗体であればよく、所望の検出対象物に応じて、例えば、適宜調製したり、市販の抗体を使用することができる。

0077

前記固定化と検出対象抗原との処理条件は、特に制限されないが、処理温度は、例えば、4〜37℃であり、好ましくは、25〜37℃であり、処理時間は、例えば、5〜120分であり、好ましくは15〜60分である。

0078

1反応系における前記一次抗体の量は、特に制限されず、例えば、添加する検体の量等に応じて適宜決定できる。具体例として、1ウェル容量が200μLのマイクロプレートを使用する場合、1ウェル当たりの前記一次抗体は、例えば、0.1ピコモル〜10ピコモルであることが好ましく、より好ましくは0.2ピコモル〜5ピコモルであり、特に好ましくは0.4ピコモル〜2ピコモルである。

0079

前記検体としては、特に制限されず、前記検出対象抗原を含有すると考えられる検体があげられる。前記検体としては、例えば、生物由来検体や、環境由来検体、人為的な検体等があげられる。前記生物由来検体としては、例えば、ヒト等の哺乳類、鳥類、魚類昆虫類、細菌や菌類等の微生物類等があげられる。前記環境由来検体としては、例えば、海水土壌下水等の排水等があげられる。人為的な検体としては、例えば、食品、飲料、合成物等があげられる。また、前記検体は、例えば、希釈された検体であってもよい。前記検体の形態は、特に制限されず、例えば、液体状、ゲル状、固体状粉末状等があげられるが、前記一次抗体との接触性に優れることから、液体であることが好ましい。

0080

前記検体を希釈する場合、その溶媒は、特に制限されないが、例えば、蒸留水等の水、生理食塩水、緩衝液等があげられ、前記緩衝液としては、例えば、Hepes緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等があげられる。また、前記溶媒は、例えば、界面活性剤、塩等の添加剤を含んでもよい。前記界面活性剤としては、特に制限されず、例えば、Tween系等の非イオン性界面活性剤等があげられ、前記塩としては、例えば、塩化ナトリウム塩化マグネシウム等があげられる。

0081

つぎに、前記一次抗体に結合した前記検出対象抗原に、さらに、二次抗体を接触させる。これにより、図1(C)に示すように、前記検出対象抗原12に前記二次抗体13が結合し、前記一次抗体11と検出対象抗原12と前記二次抗体13とが結合した複合体21が形成される。なお、本発明において、前記二次抗体は、前記検出対象抗原に対する抗体であればよく、所望の検出対象抗原に応じて、例えば、適宜調製したり、市販の抗体を使用することができる。

0082

前記二次抗体と検出対象抗原との処理条件は、特に制限されないが、処理温度は、例えば、4〜37℃であり、好ましくは、25〜37℃であり、処理時間は、例えば、5〜120分であり、好ましくは15〜60分である。また、前記二次抗体は、例えば、前記検出対象抗原との接触性に優れることから、前記二次抗体を含む液体として添加することが好ましい。前記液体は、例えば、前記二次抗体を溶媒に添加することで調製でき、前記溶媒としては、特に制限されず、例えば、前述と同様の、水や緩衝液等の溶媒が使用できる。

0083

1反応系における前記検体の添加量は、特に制限されないが、具体例として、1ウェル容量が200μLのマイクロプレートを使用する場合、1ウェル当たりの前記検体の添加量は、例えば、10〜180μLであることが好ましく、より好ましくは20〜100μLであり、特に好ましくは40〜60μLである。

0084

続いて、前記複合体に、前記二次抗体に特異的に結合可能な核酸アプタマーを接触させる。これにより、図1(D)に示すように、前記複合体21における前記二次抗体13に、前記核酸アプタマー14が結合する。なお、本発明において、前記核酸アプタマーは、前記二次抗体に結合可能な抗体であればよく、所望の二次抗体に応じて、例えば、適宜調製したり、市販の核酸アプタマーを使用することができる。

0085

前記複合体と前記核酸アプタマーとの処理条件は、特に制限されないが、処理温度は、例えば、4〜37℃であり、好ましくは、25〜37℃であり、処理時間は、例えば、5〜120分であり、好ましくは15〜60分である。

0086

1反応系における前記核酸アプタマーの量は、特に制限されず、例えば、前記一次抗体および前記二次抗体の添加量等に応じて適宜決定できる。具体例として、1ウェル容量が200μLのマイクロプレートを使用する場合、1ウェル当たりの前記核酸アプタマーの添加量は、例えば、6×108〜6×1011分子(コピー数)であることが好ましく、より好ましくは6×109〜6×1010分子であり、特に好ましくは6×109分子である。

0087

前記核酸アプタマーには、例えば、前記複合体への接触に先立って、変性処理を施してもよい。これによって、例えば、核酸同士のアニーリングを解除し、再び自己アニーリングして、目的の二次構造を形成することができる。前記変性処理の条件は、特に制限されないが、核酸アダプターの自己アニーリングを解除し、一本鎖核酸となる条件が好ましく、具体例としては、処理温度は、例えば、65〜95℃であり、好ましくは、70〜95℃であり、処理時間は、例えば、1〜30分であり、好ましくは2〜5分である。

0088

続いて、前記核酸アプタマーの増幅を行い、増幅産物を検出することで、検体中の検出対象物の検出を行う。前述のように、前記一次抗体と検出対象物と前記二次抗体との複合体が形成された場合、前記複合体の二次抗体には核酸アプタマーが結合している。このため、核酸増幅反応を行えば、図1(E)に示すように、前記二次抗体13を介して前記複合体21に結合した前記核酸アプタマー14が増幅し、前記核酸アプタマー14の増幅産物15が得られる。前記核酸アプタマーの増幅は、前記検出対象物の存在を示し、前記増幅の程度が、前記検出対象物の量を示す。このため、本実施形態によれば、前記複合体における前記二次抗体に結合した核酸アダプターの増幅のみで、検出対象物の検出が可能であることから、操作を簡便に行うことができる。

0089

前述のように、核酸アプタマーの増幅方法は、何ら制限されず、前記核酸アプタマーの種類に応じて適宜決定することができる。前記核酸アプタマーがRNAアプタマーの場合、逆転写反応の後、得られたcDNAを鋳型として増幅を行うことが好ましく、具体例としては、例えば、RT−PCRがあげられる。前記核酸アプタマーがDNAアプタマーの場合には、前記DNAアプタマーを鋳型として増幅を行うことが好ましく、具体例としては、PCRがあげられる。

0090

前記核酸増幅は、例えば、プライマー、ポリメラーゼ、dNTP等を用いて行うことができる。前記プライマーは、例えば、核酸アプタマーの種類や配列等に応じて適宜決定できる。前記ポリメラーゼは、例えば、核酸アプタマーの種類に応じて、DNA依存性DNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼ等が使用できる。また、その他にも、核酸増幅に使用できる各種試薬を使用できる。

0091

前記増幅産物の検出は、その目的に応じて、例えば、増幅産物の有無の検出(いわゆる定性)でもよいし、増幅産物の量の測定(いわゆる定量)であってもよい。

0092

前記増幅産物の検出方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。検出方法としては、例えば、得られた増幅産物そのものを直接的に検出する方法と、得られた増幅産物を間接的に検出する方法とがあげられる。前記直接的な検出方法としては、例えば、反応系について、核酸に特異的な波長(260nm)における吸光度を測定する方法、反応系の電気泳動等を行う方法があげられる。前者の場合、例えば、反応開始から所定期間経過後に、反応系について前記波長の吸光度上昇が検出されれば、増幅したことが確認でき、さらに、吸光度の大きさによって、増幅産物の量を判断できる。また、後者の場合、反応開始から所定期間経過後に、反応液について、前記核酸アプタマーに対応する増幅産物の大きさを示す部分にバンドが検出されれば、増幅したことが確認でき、さらに、バンドの強度によって、増幅産物の量を判断できる。他方、間接的な検出方法としては、例えば、インターカレーターを使用する方法、5’末端が蛍光色素および3’末端がクエンチャーで標識化されたプローブを使用する方法等があげられる。前者の方法において、前記インターカレーターは、例えば、二本鎖核酸に挿入されて蛍光発光する化合物であり、具体例としては、SYBR(商標)GreenI等があげられる。この方法によると、鋳型の相補鎖が合成されると、前記鋳型と相補鎖とが二本鎖を形成し、前記二本鎖に前記インターカレーターが挿入し、蛍光を発する。したがって、例えば、反応開始から所定期間経過後に、反応系について、蛍光の発光が検出されれば、増幅したことが確認でき、さらに、蛍光強度によって、増幅産物の量を判断できる。また、後者の方法において、前記プローブとしては、例えば、TaqMan(商標)プローブ、Molecular Beacon、サイクリングプローブ等があげられる。一例として、TaqMan(商標)プローブを用いた方法によると、例えば、前記プローブが鋳型に結合している際は、前記プローブの5’末端側の前記蛍光色素は3’末端側の前記クエンチャーにより蛍光が消光されている。しかし、鋳型にプライマーが結合し、伸長反応が進むことによって、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を持つポリメラーゼが前記プローブに近づくと、前記プローブは、5’末端側から切断され、5’末端側の蛍光色素が遊離する。このため、前記クエンチャーによる消光効果が解除され、前記蛍光色素が発光する。したがって、前記蛍光色素の発光が検出されれば、増幅したことが確認でき、さらに、蛍光強度によって、増幅産物の量を判断できる。

0093

前記増幅産物の検出において、前記増幅産物量は、例えば、増幅産物量そのものであってもよいし、前述のような、前記増幅産物量と相対関係を示す、吸光度(吸収強度)、蛍光強度等であってもよい。

0094

前記増幅産物の検出は、例えば、経時的な検出(いわゆるリアルタイム検出)が好ましい。前記リアルタイム検出は、例えば、断続的に行ってもよいし、連続的に行ってもよい。前記断続的な検出としては、例えば、増幅反応の開始時と、開始時から所望の一定時間経過時とにおける検出があげられる。この検出によれば、開始時から一定時間の間に得られた増幅産物を検出することができる。また、前記連続的な検出は、例えば、一定時間経過ごとに検出するコンスタントな検出であってもよいし、ランダムな検出であってもよい。中でも、例えば、一定時間ごとの増幅産物の増加程度が確認できることから、コンスタントな検出であることが好ましい。本発明においては、具体例として、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR等が好ましい。

0095

以上のように、前記複合体に結合した前記核酸アプタマーの増幅を検出することによって、間接的に、前記複合体における検出対象抗原の有無または量を判断することができる。

0096

本実施形態は、例えば、さらに、各結合反応の後、未反応物質を除去する工程を含んでもよい。具体的には、例えば、前記一次抗体と検体との反応後、未反応の検出対象抗原を除去する工程を有してもよく、前記一次抗体に結合した検体と二次抗体との反応後、未反応の前記二次抗体を除去する工程を有してもよく、また、前記二次抗体と核酸アプタマーとの反応後、未反応の前記核酸アプタマーを除去する工程を有してもよい。本実施形態においては、前記一次抗体が固相に固定化されているため、例えば、前記固相の洗浄により、容易に、未反応物質を除去することができる。このように、未反応物質を除去することにより、例えば、本発明の検出精度をさらに向上することができる。

0097

前記洗浄用の溶媒としては、特に制限されないが、例えば、前述と同様の水や緩衝液等が使用できる。洗浄条件は、特に制限されないが、処理温度は、例えば、4〜37℃であり、好ましくは、25〜37℃であり、洗浄回数は、例えば、3回以上であり、好ましくは3〜10回である。洗浄1回あたりの前記洗浄用溶媒の量は、特に制限されないが、例えば、1ウェル容量が200μLのマイクロプレートを使用する場合、1ウェル当たりの前記洗浄用溶媒の量は、例えば、100〜200μLであることが好ましい。

0098

前記洗浄方法は、特に制限されず、例えば、前記一次抗体が固定化された固相の種類に応じて適宜決定できる。前記固相が有底凹状の反応器の場合、例えば、前記凹状の内部に前記洗浄用溶媒を添加した後、除去すればよい。また、前記固相がビーズ状の固相の場合、例えば、前記洗浄用溶媒中に前記固相を浸漬した後、前記固相を回収すればよい。この際、例えば、ろ過により、前記固相と前記洗浄用溶媒とを分離してもよいし、前記固相が磁性を有する場合は、例えば、磁石等により前記固相を回収して、前記固相と前記洗浄用溶媒とを分離してもよい。

0099

なお、前記一次抗体が、固定化されていない一次抗体であっても、例えば、電気泳動法、透析膜または限界ろ過膜等を用いたろ過方法等によって、前記未反応物質を除去することはできる。

0100

(第2の実施形態)
本実施形態は、検出対象物が抗体であり、一次試薬が一次抗原であり、二次試薬が二次抗体である形態の一例である。なお、前述のように、前記一次抗原は、検出対象抗体に特異的に結合可能な抗原であり、前記二次抗体は、前記検出対象抗体に特異的に結合可能な抗体である。本実施形態においては、特に示さない限り、前記第1の実施形態と同様に行うことができる。

0101

本実施形態において、前記反応系における前記一次抗原の量は、特に制限されず、例えば、添加する検体の量等に応じて適宜決定できる。具体例として、1ウェル容量が200μLのマイクロプレートを使用する場合、1ウェル当たりの前記一次抗原は、例えば、1〜1×1015分子であることが好ましく、より好ましくは1×102〜1×1014分子であり、特に好ましくは1×106〜1×1012分子である。

0102

本実施形態において、前記一次抗原は、前述のように、固定化一次抗原であることが好ましい。前記一次抗原を固相に固定化すれば、例えば、前記第1の実施形態と同様に、前記一次抗原と未反応の検出対象抗体、前記一次抗原に結合した検出対象抗体に未反応の二次抗体、さらに、前記一次抗原と検出対象抗体と前記二次抗体との複合体に未反応の核酸アプタマーを、容易に除去することができる。これらの未反応物質を除去することにより、例えば、本発明の検出精度をさらに向上することができる。

0103

本発明において、前記一次抗体と検出対象物との反応、前記検出対象物と前記二次抗体との反応、および、前記二次抗体と前記核酸アプタマーとの反応は、例えば、同時に行ってもよいし、別個に行ってもよい。中でも、例えば、未反応物質の除去が容易であることから、各反応は、別個に行うことが好ましい。

0104

つぎに、本発明の検出用キットは、前述のように、検出対象物と結合可能な試薬に結合可能な核酸アプタマーを含み、本発明の検出方法に使用することを特徴とする。

0105

本発明の検出用キットは、さらに、前記検出対象物と結合可能な前記試薬を含むことが好ましく、前記試薬は、前述の二次試薬であることが好ましい。

0106

本発明の検出用キットは、さらに、前記検出対象物と結合可能な一次試薬と、前記一次試薬とは異なる部位で前記検出対象物に結合可能な二次試薬とを含み、前記核酸アプタマーは、前記二次試薬に結合可能な核酸アプタマーであることが好ましい。

0107

本発明の検出用キットにおいて、前記一次試薬は、例えば、一次抗体または一次抗原である。

0108

本発明の検出用キットにおいて、前記二次試薬は、例えば、二次抗体である。

0109

本発明の検出用キットにおいて、前記一次試薬は、固相に固定化された固定化試薬であることが好ましく、前記固相は、例えば、プレート、メンブレン、チューブ、チップまたはビーズ等があげられる。

0110

本発明の検出用キットにおいて、前記アプタマーは、例えば、IgGに結合可能なアプタマーであり、前記IgGは、ウサギ由来IgGであることが好ましい。

0111

本発明の検出用キットにおいて、核酸は、配列番号1および配列番号2の少なくとも一方で表わされる塩基配列を有することが好ましく、また、配列番号3または配列番号4の少なくとも一方で表わされる塩基配列を有することが好ましい。

0112

本発明の検出用キットにおいて、前記核酸アプタマー、前記一次試薬および前記二次試薬および前記アプタマーは、前記本発明の検出方法で述べた通りであり、また、前記本発明の検出方法と同様にして使用できる。

0113

本発明の検出用キットにおいて、前記核酸アプタマーと、前記一次試薬および前記二次試薬の少なくとも一方は、例えば、同じ容器に収容されてもよいが、それぞれ別個の容器に収容されていることが好ましい。本発明の検出用キットにおいて、前記一次試薬、前記二次試薬および前記核酸は、例えば、使用時に、前述のような添加割合となるように、それぞれ収容されていることが好ましい。

0114

本発明の検出用キットは、例えば、さらに、固相を有してもよく、前記固相に前記一次試薬が固定化されていることが好ましい。

0115

本発明の検出用キットは、例えば、さらに、核酸増幅に必要な試薬を適宜備えてもよい。また、本発明の検出用キットは、例えば、さらに、使用説明書を備えることが好ましい。

0116

つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコールに基づいて使用した。

0117

ウサギ抗体RNAアプタマーの調製
下記実施例で使用する抗アクチンウサギIgGに特異的に結合可能なRNAアプタマーR18(Anal. Biochem.,375,217−222,(2008).)を調製した。具体的には、前記RNAアプタマーR18の鋳型となるDNAをPCRにより増幅し、得られたPCR産物をin vitro転写に用いた。前記in vitro転写は、T7 AmpliScribeキット商品名、Epicentre Biotechnologies社製)を用いて、37℃で3時間行った。この反応産物を、10%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分画し、目的のRNAアプタマーR18を精製回収した。なお、前記RNAアプタマーR18の配列を配列番号4に示す。

0118

[実施例1]
1.リアルタイムPCRによるRNAアプタマーの定量法
前記RNAアプタマーR18をEASY Dilution(商品名、TAKARA社製)で、所定濃度(6×102〜6×1010分子)に希釈し、標準サンプルを作製した。そして、これらの標準サンプルについて、リアルタイムPCRを行った。前記リアルタイムPCRは、OneStep SYBR PrimeScriptRT−PCR Kit II(商品名、TAKARA社製)およびABI7300 Fast Real−Time PCR Systems(商品名、Applied Biosystems社製)を使用した。各標準サンプルについて、前記リアルタイムPCRを3回行い、前記3回の反応の平均値から、スレッシュホールドサイクル(Ct)値を求めた。前記PCRは、95℃を5秒、55℃を15秒、72℃を31秒のPCRプログラムで行った。

0119

これらの結果を、図2に示す。同図は、リアルタイムPCRにおける前記標準サンプル中のRNAアプタマーR18の分子数(コピー数)とCt値との関係を示すグラフである。同図において、横軸は、前記標準サンプルにおけるRNAアプタマーR18の分子数(コピー数)の常用対数値を示し、縦軸は、前記Ct値を示す。同図に示すように、前記標準サンプルにおけるRNAアプタマーR18が、6×102分子〜6×1010分子の範囲内で、「y=−3.2265x+40.773」で表される検量線が得られた。この検量線の相関係数は、R=0.9999(決定係数R2=0.9997)であることから、RNAアプタマーとCt値との相関性が極めて優れることがわかった。さらに、前記検量線の傾きは、−3.2265であり、これは、増幅効率を100%と仮定した傾きの理論値−3.1623に近似している。このことから、RNAアプタマーのリアルタイムPCRによる定量は、精度の高い定量性を持った検出系であることがわかった。以上の結果から、RNAアプタマーを用いたImmuno−PCRにおいて、RNAアプタマーを十分に増幅することが可能であり、且つ、十分に優れた定量性を確保できることが確認できた。

0120

2.RNAアプタマーを用いたImmuno−PCRによる抗アクチンウサギIgGの検出
抗アクチンウサギIgG(Santa Cruz Biotechnology社製)を所定濃度(10ng/mL〜10μg/mL)となるように、反応用バッファー(50mmol/Lホウ酸、pH9.4)で希釈した。前記IgG希釈液を、expoxy−activatedPCRプレート(商品名、AptaRes社製)にウェルあたり40μL添加し、4℃で終夜インキュベートした。前記プレートから液体を除去後、前記プレートをHBS−T(20mmol/L Hepes、pH7.4、150mmol/L NaCl、5mmol/L MgCl2、0.05% Tween20)で3回洗浄し、さらに、前記プレートのウェルにブロッキング用バッファー1(0.1%アセチル化BSA(Sigma社製)および1×Denhardt’s solutionを含むHBS−T)を添加し、室温で60分間インキュベートした。他方、100pmol/Lの前記RNAアプタマーR18を、95℃、2分間の処理で変性させ、室温で5分間冷却した。そして、ブロッキング処理した前記プレートをHBS−Tで3回洗浄した後、各ウェルに前記変性させたRNAアプタマーR18を添加し、室温で45分間インキュベートし、前記プレートをHBS−Tで3回洗浄した。続いて、前述のリアルタイムPCRと同様にして、前記RNAアプタマーR18の検出を行った。なお、抗アクチンウサギIgG未添加のサンプルのCt値を10として、各サンプルについて、得られたCt値の正規化を行った。

0121

他方、比較として、RNAアプタマーを使用しないELISAにより、前記抗アクチンウサギIgGを検出した。前記ブロッキング用バッファー1に代えてブロッキング用バッファー2(1%BSA(Sigma社製)を含むHBS−T)を用いた以外は、前述と同様にして、抗アクチンウサギIgGをウェルプレートに結合させた。前記プレートから液体を除去後、HBS−Tで3回洗浄し、さらに、0.5μg/mL HRP−conjugated抗ウサギIgG(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)をウェルあたり100μL添加し、室温で60分間インキュベートした。前記プレートをHBS−Tで3回洗浄した後、基質としてウェルあたり100μLの1−step Turbo TMB(商品名、PIERCE社製)を添加し、室温でインキュベートして発色させた。そして、前記プレートについて、ELISAプレートリーダー(TECAN社製)を用いて、発色を波長域405nmおよび650nmで検出した。波長域650nmのシグナル値をバックグラウンドとして、波長域405nmのシグナル値の正規化を行った。

0122

抗アクチンウサギIgG測定結果を図3に示す。同図において、○は、RNAアプタマーR18を用いたImmuno−PCRによる測定結果であり、□は、ELISAの測定結果を示すグラフである。同図において、横軸は、ウェルあたりの抗アクチンウサギIgG添加量を示し、左の縦軸は、前記RNAアプタマーR18を用いたImmuno−PCRにおける、正規化したCt値を示し、右の縦軸は、前記ELISAにおける、正規化したシグナル値を示す。その結果、RNAアプタマーを用いたリアルタイムImmuno−PCR(○)によれば、ウェルあたり10pg〜1,000,000pg(1μg)の抗アクチンウサギIgGを検出できることがわかった。これに対して、ELISA(□)では、ウェルあたり1000pgの抗アクチンウサギIgGが、検出限界であった。以上の結果から、RNAアプタマーを用いたリアルタイムImmuno−PCRによれば、ELISAの100倍の感度でターゲット分子(抗アクチンウサギIgG)を検出できることがわかった。

0123

3.抗体RNAアプタマーの特異性の確認
RNAアプタマーR18が、ウサギIgGに特異的に結合することを確認した。ウサギIgG以外は、サンドイッチ法で一般に用いられる下記IgGを使用した。
マウスIgG(#I2806、サンタクルズ社製)
ヤギIgG(#AP124、ケミコン社製)
ヒトIgG(#P80−104、BETHYL社製)
ニワトリIgG(#CGHL−10A、Immunology consultants laboratory社製)
ヒツジIgG(#SGHL−10A、Immunology consultants laboratory社製)
ラットIgG(#SC−2026、サンタクルズ社製)
ウサギIgG(#AB3282、ケミコン社製)

0124

各種生物由来のIgGを、それぞれウェルあたり50,000pg(50ng)となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、各種生物由来IgGの検出を行った。なお、前記IgG未添加のネガティブコントロールNC)のシグナルをノイズとして、前記各種IgG添加のシグナルに関して、シグナル/ノイズ比を算出した。

0125

これらの結果を、下記表1に示す。下記表1に示すように、ウサギIgGは、他の生物種由来IgGと比べて極めて高いシグナルを示した。この結果から、RNAアプタマーR18は、極めて特異的にウサギIgGに結合できることがわかる。

0126

[実施例2]
RNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCRにより、ヒト血管内皮細胞成長因子(VEGF)を検出した。

0127

RNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCR
抗アクチンウサギIgGに代えて、0.5μg/mLの抗ヒトVEGFヤギIgG(Peprotech社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、抗ヒトVEGFヤギIgGをPCRプレートに結合させ、ブロッキング処理を行った。前記プレートをHBS−Tで3回洗浄した後、所定濃度(1μg/mL〜1ng/mL)の抗原ヒトVEGF(Peprotech社製)をウェルあたり100μL添加した。そして、前記プレートをHBS−Tで3回洗浄した後、0.5μg/mLの抗ヒトVEGFウサギIgG(Peprotech社製)をウェルあたり100μL添加した。さらに、前記プレートをHBS−Tで3回洗浄した後、実施例1と同様にして変性させたRNAアプタマーR18をウェルあたり6×10−14分子となるようにウェルに添加し、室温で45分間インキュベートした。そして、実施例1と同様、リアルタイムPCRおよびデータ解析を行った。

0128

[比較例2]
PeprotechELISAキット(商品名、Peprotech社製)を用いて、ヒトVEGFを検出した。発色の検出およびシグナル値の正規化は、前述したELISAと同様に行った。なお、前記キットには、サンプルとして、所定濃度(100fg/mL〜100ng/mL)のVEGF溶液100mLを使用した。

0129

ヒトVEGF測定結果を、図4に示す。同図において、○は、実施例2におけるRNAアプタマーR18を用いたサンドイッチImmuno−PCRの測定結果を示すグラフであり、□は、比較例2におけるELISAの測定結果を示すグラフである。同図において、横軸は、ウェルあたりのヒトVEGF添加量を示し、左の縦軸は、前記RNAアプタマーR18を用いたImmuno−PCRにおける、正規化したCt値を示し、右の縦軸は、前記ELISAにおける、正規化したシグナル値を示す。その結果、RNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCR(○)によれば、ウェルあたり0.1pg〜100,000pgのヒトVEGFを検出できることがわかった。これに対して、ELISA(□)では、ウェルあたり10pgのヒトVEGFが、検出限界であった。

0130

つぎに、実施例2のRNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCRについて、検出限界値を算出した。前記検出限界値は、独立した3回のバックグラウンドシグナル測定値から、標準偏差および平均値を求め、以下の計算式から算出した。
検出限界値=(3×S0)+S
S0:バックグラウンドシグナル標準偏差
S:バックグラウンドシグナル平均値

0131

実施例2のRNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCRの検出限界値は、約0.1pgであった。これに対して、比較例2のELISAの検出限界値は、前述のように約10pgであった。この結果から、RNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCRによれば、ELISAの100倍の感度でターゲット分子(ヒトVEGF)を検出できることが確認された。

0132

[実施例3]
RNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCRにより、血清中のヒトVEGFを検出した。変性させたRNAアプタマーR18をPCRプレートウェルに添加する直前に、市販のヒトVEGFに代えて血清(ウシ血清、Invitrogen社製)を添加した以外は、実施例2と同様にして、ヒトVEGFを検出した。

0133

ヒト血清中のVEGFの測定結果を図5に示す。同図は、RNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCRの測定結果を示すグラフである。同図において、横軸は、ウェルあたりのヒトVEGF添加量を示し、縦軸は、正規化したCt値を示す。同図に示すように、血清を使用しても、ウェルあたり0.1pg〜10,000pgのヒトVEGFを検出できた。以上の結果から、RNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCRは、検体が血清であっても、同様の検出限界での測定が可能であることがわかった。

0134

[実施例4]
実施例1および実施例2の測定値から、検量線を作成し、高精度定量が可能な検出対象物の濃度範囲を決定した。なお、高精度定量が可能と判断する基準は、所定の検出対象物の濃度範囲における検量線の決定係数R2が、0.99以上であることとした。

実施例

0135

これらの結果を図6に示す。同図(A)は、実施例1におけるRNAアプタマーを用いたImmuno−PCRによる測定値を用いた検量線のグラフであり、同図(B)は、実施例2におけるサンドイッチImmuno−PCRによる測定値を用いた検量線のグラフである。同図(A)において、横軸は、ウェルあたりの抗アクチンウサギIgG添加量(常用対数)を示し、縦軸は、正規化したCt値を示す。また、同図(B)において、横軸は、ウェルあたりのヒトVEGF添加量(常用対数)を示し、縦軸は、正規化したCt値を示す。同図(A)に示すように、抗アクチンウサギIgG濃度範囲1pg〜100,000pgにおける検量線の決定係数は、R2=0.9957であり、0.99以上であった。この結果から、検出対象物の濃度範囲1pg〜100,000pgにおいて、RNAアプタマーを用いたImmuno−PCRによる高精度定量が可能であることがわかった。また、同図(B)に示すように、ヒトVEGF濃度範囲1pg〜10,000pgにおける検量線の決定係数は、R2=0.9925であり、0.99以上であった。この結果から、検出対象物の濃度範囲1pg〜10,000pgにおいて、RNAアプタマーを用いたサンドイッチImmuno−PCRによる高精度定量が可能であることがわかった。以上の結果から、RNAアプタマーを用いた検出法を用いると、例えば、4〜5オーダーの範囲で、高精度定量が可能であることがわかった。一方、ELISAでは、図7に示すように、通常、2オーダーの範囲でしか高精度定量ができない。したがって、定量可能範囲の広さという点でも、RNAアプタマーを用いた検出方法は、ELISAよりも優れていることがわかった。

0136

本発明によれば、優れた感度で、検出対象物の検出を行うことができる。また、本発明によれば、前記検出対象物に結合可能な二次試薬として、標識化された二次試薬の使用が不要である。このため、前記標識化二次試薬の調製が不要であり、さらに、操作も簡便である。したがって、本発明によれば、検出感度に優れ、且つ、操作が簡便な検出対象物の検出を実現できる。

0137

1固相
11一次抗体
12検出対象抗原
13二次抗体
14核酸アプタマー
15増幅産物
21複合体

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