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技術 冷間圧延工程でのチューニング率の決定方法と冷間圧延方法

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 佐野研一森本禎夫小林正宜
出願日 2009年3月18日 (10年3ヶ月経過) 出願番号 2009-066410
公開日 2010年9月30日 (8年8ヶ月経過) 公開番号 2010-214453
状態 未査定
技術分野 圧延の制御
主要キーワード 指定回転速度 張力振動 張力変化量 速度ズレ 硬度むら 荷重変化量 張力補正 GCモード
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年9月30日)のものです。
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図面 (3)

課題

連続式冷間圧延機での被圧延材圧延時に、圧延スタンド張力振動の影響を受けることなく安定した板厚で被圧延材を圧延するための、圧延スタンドごとチューニング率を、簡易計算方法によって、確実に求めることができる冷間圧延工程におけるチューニング率の決定方法を提供する。

解決手段

被圧延材の圧延中におけるモータ回転速度ずれ採取する第1ステップと、モータの回転速度ずれからロール周速の速度ずれを計算し、更にロール速度ずれから被圧延材の次の圧延スタンド11〜15に至るまでの張力変化量を計算する第2ステップと、張力変化量を用いて張力補正項変化量を計算し、張力補正項変化量から荷重変化量を計算する第3ステップと、荷重変化量から、板厚変化量を適切な範囲とするための圧延スタンドごとのチューニング率を計算する第4ステップよりなる。

概要

背景

従来から、冷間圧延工程において被圧延材圧延する際には、被圧延材の板厚制御が実施されており、その代表的な方法として、圧延スタンド出側の板厚偏差計測器計測してロールギャップロール速度を変化させるAGC制御が知られており、冷間圧延工程では一般的に実施されている。

しかしながら、このAGC制御では、操作端から計測器までの距離があるため、遅れ時間が発生し、圧延開始直後や圧延速度が低速である場合での板厚制御を行うことが困難となる。これを補う手段として、遅れ時間が少ないミル剛性可変制御が実施されている。ミル剛性可変制御では、板厚変動荷重変動に伴う成分とロールギャップの操作量による成分とで表し、板厚変動を出来る限り低くゼロに近付ける制御が実施される。

すなわち、荷重変動をΔP、ミル剛性をM、ロールギャップの変動量をΔSとすると、板厚変化量Δhは、以下の関係式(1)で表すことができる。(尚、Δは変動量を示し、以下、本明細書では変動する値には全てΔを付している。)
Δh=(ΔP/M)+ΔS‥‥‥(1)
ここで、(ΔP/M)は、荷重変動に伴う見かけ上のロールギャップ変化量に相当する。この関係式(1)から、ロールギャップの変動量ΔSを−(ΔP/M)とすれば、理論上は板厚変動ΔPをゼロとできることが分かるが、ミル剛性可変制御では、チューニング率ゲイン)αを用いて、以下の式(2)に基づく板厚制御を実施している。
ΔS=−α(ΔP/M)‥‥‥(2)
尚、この(2)式を(1)式に代入すると、Δh=(ΔP/M)+{−α(ΔP/M)}というようになり、板厚変化量Δhは、以下の関係式(3)で表すことができる。
Δh=ΔP/M×(1−α)‥‥‥(3)

このような、チューニング率αを用いたミル剛性可変制御に関する先行技術として、例えば、特許文献1〜4記載の提案がなされている。

特許文献1には、圧延速度が停止又は停止状態に近い低速になったことに起因して板厚不良が発生するのを抑制するために、圧延速度に応じてチューニング率αを調整するという技術が記載されており、具体的には、圧延速度が所定速度未満になったときにチューニング率αを0.4〜0.6の範囲に調整するという技術内容が記載されている。

特許文献2には、冷間圧延機により圧延される鋼帯における硬度むらなどの長手方向の板厚変動を抑制するために、オンラインで板厚変化量と、荷重変化量張力変化量との相関関数を算出し、その相関関数の値に応じて圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出するという技術が記載されている。

特許文献3には、板厚変動を抑え、板厚精度向上を図るために、圧延材コイル状に巻かれ、巻取り・巻戻し装置にあるときの状態で、硬度ムラがある最も外側から所定位置にある部位と、最も内側から所定位置にある部位の、圧延時のミル剛性可変制御のチューニング率を、定常部でのチューニング率より大きくするという技術が記載されている。

特許文献4には、BISRA AGCモードによって制御される油圧圧下装置を備えた連続圧延機傾心を除去するために、圧延速度に応じて可変とされるBISRA AGCモードのチューニング率を用いて動的ミル剛性係数を圧延速度の関数として求めて、バックアップロール低速域における傾心成分を抑制するように油圧圧下装置を制御する技術が記載されている。

概要

連続式冷間圧延機での被圧延材の圧延時に、圧延スタンドの張力振動の影響を受けることなく安定した板厚で被圧延材を圧延するための、圧延スタンドごとのチューニング率を、簡易計算方法によって、確実に求めることができる冷間圧延工程におけるチューニング率の決定方法を提供する。被圧延材の圧延中におけるモータ回転速度ずれ採取する第1ステップと、モータの回転速度ずれからロール周速の速度ずれを計算し、更にロール速度ずれから被圧延材の次の圧延スタンド11〜15に至るまでの張力変化量を計算する第2ステップと、張力変化量を用いて張力補正項変化量を計算し、張力補正項変化量から荷重変化量を計算する第3ステップと、荷重変化量から、板厚変化量を適切な範囲とするための圧延スタンドごとのチューニング率を計算する第4ステップよりなる。

目的

本発明は、その問題を解消せんとしてなされたもので、連続式冷間圧延機での被圧延材の圧延時に、圧延スタンドの張力振動の影響を受けることなく安定した板厚として被圧延材を圧延するための、圧延スタンドごとのチューニング率を、簡易な計算方法によって、しかも確実に求めることができる冷間圧延工程におけるチューニング率の決定方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

複数の圧延スタンドごとロールギャップを制御するミル剛性可変制御を実施することで、被圧延材板厚制御を行う連続式冷間圧延機における、圧延スタンドごとのチューニング率ゲイン)を決定するための冷間圧延工程でのチューニング率の決定方法であって、被圧延材の圧延中におけるモータ回転速度ずれ採取する第1ステップと、そのモータの回転速度ずれからロール周速の速度ずれを計算し、更にそのロール速度ずれから被圧延材の次の圧延スタンドに至るまでの張力変化量を計算する第2ステップと、その張力変化量を用いて張力補正項変化量を計算し、その張力補正項変化量から荷重変化量を計算する第3ステップと、その荷重変化量から、板厚変化量を適切な範囲とするための圧延スタンドごとのチューニング率(ゲイン)を計算する第4ステップよりなることを特徴とする冷間圧延工程でのチューニング率の決定方法。

請求項2

請求項1記載のチューニング率の決定方法で求めたチューニング率(ゲイン)を用いて、複数の圧延スタンドごとにロールギャップを制御して被圧延材の板厚制御を行い、被圧延材を冷間圧延することを特徴とする冷間圧延方法

技術分野

0001

本発明は、複数の圧延スタンドごとロールギャップを制御するミル剛性可変制御を実施することで、被圧延材板厚制御を行う連続式冷間圧延機における、圧延スタンドごとのチューニング率ゲイン)を決定するための冷間圧延工程でのチューニング率の決定方法と、求められたチューニング率(ゲイン)を用いて被圧延材の板厚制御を行い、被圧延材を冷間圧延する冷間圧延方法に関するものである。

背景技術

0002

従来から、冷間圧延工程において被圧延材を圧延する際には、被圧延材の板厚制御が実施されており、その代表的な方法として、圧延スタンド出側の板厚偏差計測器計測してロールギャップやロール速度を変化させるAGC制御が知られており、冷間圧延工程では一般的に実施されている。

0003

しかしながら、このAGC制御では、操作端から計測器までの距離があるため、遅れ時間が発生し、圧延開始直後や圧延速度が低速である場合での板厚制御を行うことが困難となる。これを補う手段として、遅れ時間が少ないミル剛性可変制御が実施されている。ミル剛性可変制御では、板厚変動荷重変動に伴う成分とロールギャップの操作量による成分とで表し、板厚変動を出来る限り低くゼロに近付ける制御が実施される。

0004

すなわち、荷重変動をΔP、ミル剛性をM、ロールギャップの変動量をΔSとすると、板厚変化量Δhは、以下の関係式(1)で表すことができる。(尚、Δは変動量を示し、以下、本明細書では変動する値には全てΔを付している。)
Δh=(ΔP/M)+ΔS‥‥‥(1)
ここで、(ΔP/M)は、荷重変動に伴う見かけ上のロールギャップ変化量に相当する。この関係式(1)から、ロールギャップの変動量ΔSを−(ΔP/M)とすれば、理論上は板厚変動ΔPをゼロとできることが分かるが、ミル剛性可変制御では、チューニング率(ゲイン)αを用いて、以下の式(2)に基づく板厚制御を実施している。
ΔS=−α(ΔP/M)‥‥‥(2)
尚、この(2)式を(1)式に代入すると、Δh=(ΔP/M)+{−α(ΔP/M)}というようになり、板厚変化量Δhは、以下の関係式(3)で表すことができる。
Δh=ΔP/M×(1−α)‥‥‥(3)

0005

このような、チューニング率αを用いたミル剛性可変制御に関する先行技術として、例えば、特許文献1〜4記載の提案がなされている。

0006

特許文献1には、圧延速度が停止又は停止状態に近い低速になったことに起因して板厚不良が発生するのを抑制するために、圧延速度に応じてチューニング率αを調整するという技術が記載されており、具体的には、圧延速度が所定速度未満になったときにチューニング率αを0.4〜0.6の範囲に調整するという技術内容が記載されている。

0007

特許文献2には、冷間圧延機により圧延される鋼帯における硬度むらなどの長手方向の板厚変動を抑制するために、オンラインで板厚変化量と、荷重変化量張力変化量との相関関数を算出し、その相関関数の値に応じて圧延荷重変化量から圧下位置補正量を算出するという技術が記載されている。

0008

特許文献3には、板厚変動を抑え、板厚精度向上を図るために、圧延材コイル状に巻かれ、巻取り・巻戻し装置にあるときの状態で、硬度ムラがある最も外側から所定位置にある部位と、最も内側から所定位置にある部位の、圧延時のミル剛性可変制御のチューニング率を、定常部でのチューニング率より大きくするという技術が記載されている。

0009

特許文献4には、BISRA AGCモードによって制御される油圧圧下装置を備えた連続圧延機傾心を除去するために、圧延速度に応じて可変とされるBISRA AGCモードのチューニング率を用いて動的ミル剛性係数を圧延速度の関数として求めて、バックアップロール低速域における傾心成分を抑制するように油圧圧下装置を制御する技術が記載されている。

先行技術

0010

特開2007−118048号公報
特開2003−136116号公報
特開平10−272507号公報
特開平7−16626号公報

発明が解決しようとする課題

0011

連続式冷間圧延機で高強度鋼板を圧延する際、後段スタンドほど張力振動量が大きくなるという現象が発生しており、その結果、圧延スタンドの振動の影響で被圧延材に板厚変動が発生するという問題が発生している。

0012

本発明は、その問題を解消せんとしてなされたもので、連続式冷間圧延機での被圧延材の圧延時に、圧延スタンドの張力振動の影響を受けることなく安定した板厚として被圧延材を圧延するための、圧延スタンドごとのチューニング率を、簡易計算方法によって、しかも確実に求めることができる冷間圧延工程におけるチューニング率の決定方法を提供することを課題とするものである。また、その決定方法で求めたチューニング率を用いて、圧延スタンドの張力振動の影響を受けることなく安定した板厚として被圧延材を圧延することができる冷間圧延方法を提供することを課題とするものである。

課題を解決するための手段

0013

請求項1記載の発明は、複数の圧延スタンドごとにロールギャップを制御するミル剛性可変制御を実施することで、被圧延材の板厚制御を行う連続式冷間圧延機における、圧延スタンドごとのチューニング率(ゲイン)を決定するための冷間圧延工程でのチューニング率の決定方法であって、被圧延材の圧延中におけるモータ回転速度ずれ採取する第1ステップと、そのモータの回転速度ずれからロール周速の速度ずれを計算し、更にそのロール速度ずれから被圧延材の次の圧延スタンドに至るまでの張力変化量を計算する第2ステップと、その張力変化量を用いて張力補正項変化量を計算し、その張力補正項変化量から荷重変化量を計算する第3ステップと、その荷重変化量から、板厚変化量を適切な範囲とするための圧延スタンドごとのチューニング率(ゲイン)を計算する第4ステップよりなることを特徴とする冷間圧延工程でのチューニング率の決定方法である。

0014

請求項2記載の発明は、請求項1記載のチューニング率の決定方法で求めたチューニング率(ゲイン)を用いて、複数の圧延スタンドごとにロールギャップを制御して被圧延材の板厚制御を行い、被圧延材を冷間圧延することを特徴とする冷間圧延方法である。

発明の効果

0015

本発明の請求項1記載の冷間圧延工程でのチューニング率の決定方法によると、連続式冷間圧延機での被圧延材の圧延時に、圧延スタンドの張力振動の影響を受けることなく安定した板厚として被圧延材を圧延するための、圧延スタンドごとのチューニング率を簡易な計算方法によって、しかも確実に求めることができ、そのチューニング率で、複数の圧延スタンドごとのロールギャップを制御することで、連続式冷間圧延機において後段スタンドに張力の振動が伝播するという問題の発生を抑制することができ、その結果、被圧延材の板厚変動の発生を抑制することができる。

0016

本発明の請求項2記載の冷間圧延方法によると、連続式冷間圧延機において後段スタンドの張力が振動するという問題の発生を抑制することができ、その結果、被圧延材の板厚変動の発生を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0017

本発明のチューニング率の決定方法を採用して、冷間圧延を実施する連続式冷間圧延機の概略を示す模式図である
実施例での各圧延スタンドでの被圧延材の板厚変動を示すグラフ図である。

0018

複数の圧延スタンドごとにロールギャップを制御するミル剛性可変制御を実施することで、被圧延材の板厚制御を行う連続式冷間圧延機において、後段スタンドほど板厚振動量が大きくなるという問題が多々発生しているため、本発明者らは、その問題発生の原因を、調査・検討した。

0019

板厚変動の原因として、元板の変形抵抗が影響することは知られているが、本発明者らが、鋭意検討を重ねた結果、モータが低回転領域で発生する速度ズレが引き起こす張力振動、その中でも特に第1スタンドと第2スタンド間の張力が、板厚変動の原因として、最も影響していることが判明した。

0020

この第2圧延スタンドの入側の張力振動により変形抵抗が変動することを主原因として、被圧延材の板厚変動は発生しており、その板厚変動の影響で、それ以降の圧延スタンドで同じ周波数の振動が発生し、更なる板厚変動が発生していることを確認した。

0021

これまでに慣習的に用いられているチューニング率(ゲイン)は、第1圧延スタンドの入側の板厚振動の影響が大きいと考えて設定されたチューニング率であって、そのチューニング率を用いて、複数の圧延スタンドごとにロールギャップを制御していたのでは、張力振動が伝播し、後段スタンドほど板厚振動量が大きくなるという問題の発生や板厚変動の発生を避けることができない。

0022

従って、これらのことを考慮に入れたチューニング率の決定方法を見出すために、本発明者らは、更に、鋭意、検討・研究を重ねた。その結果、以下に説明する方法で、チューニング率(ゲイン)を決定することで、被圧延材の板厚変動を抑制することができ、それに併せて、連続式冷間圧延機において後段スタンドが振動するという現象も抑制することができることが分かり、本発明の完成に至った。

0023

以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて更に詳細に説明する。

0024

図1は、本発明の冷間圧延工程でのチューニング率の決定方法を採用して、冷間圧延を実施する連続式冷間圧延機10の概略を示す模式図である。この連続式冷間圧延機10は、複数台図1では♯1〜♯5の5台)の圧延スタンド11〜15が一定間隔を開けて連続して配置されることにより構成されている。この連続式冷間圧延機10に、矢印A方向から送り出された被圧延材70が、各圧延スタンド11〜15によって順次冷間圧延される。

0025

各圧延スタンド11〜15は、被圧延材70を圧延する対になった圧延ロール21〜25と、圧延ロール21〜25で圧延された被圧延材70の板厚を測定する板厚計31〜35と、圧延荷重を測定する荷重計41〜45を夫々備えており、各圧延スタンド11〜15間には、被圧延材70の張力を測定する張力計51〜55が設けられている。

0026

また、この連続式冷間圧延機10は、ミル剛性可変制御が可能に構成されており、各圧延スタンド11〜15ごとに、対になった圧延ロール21〜25のロールギャップを調整する圧下機構61〜65が設けられており、また、各圧下機構61〜65を駆動制御する制御部80が設けられている。この制御部80は、圧延荷重の変化に伴う見かけ上のロールギャップ変化量に対して、所定のチューニング率(ゲイン)αでロールギャップを制御する。尚、制御部80は必ずしも、図1に示すような連続式冷間圧延機10全体として統合して制御するものでなくても良く、各圧延スタンド11〜15ごとに個別に設けられて、各制御部80各圧延スタンド11〜15を個別に制御するように構成されているものであっても良い。

0027

以上説明したように、図1に示す連続式冷間圧延機10を用いて、被圧延材70は冷間圧延されるが、各圧延スタンド11〜15ごとのチューニング率(ゲイン)αは、以下に説明する第1ステップから第4ステップの計算を実施して決定することができる。

0028

第1ステップでは、被圧延材70の圧延中におけるモータ(図示せず)の回転速度ずれ(rps)を採取する。この回転速度ずれは、実績回転速度/指定回転速度×モータの定格回転数という式から求めることができる。

0029

第2ステップでは、まず、第1ステップで求めたモータの回転速度ずれ(rps)から、ロール周速の速度ずれ(mm/s)を計算により求める。具体的には、以下に示す式(4)からロール周速の速度ずれ(mm/s)を求めることができる。
ロール周速の速度ずれ(mm/s)=モータの回転速度ずれ(rps)×ギア比×ロール径(mm)×π‥‥‥(4)

0030

次に、式(4)から求められたロール周速の速度ずれ(mm/s)を用いて、以下の式(5)から、被圧延材が次の圧延スタンドに至るまでの張力変化量Δtbを計算する。
Δtb=E/L∫(ΔVout)dt‥‥‥(5)
尚、上式で、Eはヤング率で21000kg/mm2、Lは圧延スタンドの中心間の距離(mm)で図1に示す実施形態では4600mm、ΔVoutは先に求めたロール周速の速度ずれ(mm/s)を夫々示す。

0031

第3ステップでは、まず、第2ステップで求めた張力変化量Δtbを用いて、張力補正項変化量ΔZを計算により求めるが、一般的に張力補正項Zは、Z=1−(0.7×Δtb+0.3×tf)/Kという式で表される。このうち、入側張力の変動のみを抜き出すと、張力補正項変化量ΔZは、以下の式(6)から求められる。
ΔZ=0.7×Δtb/K‥‥‥(6)
尚、上式で、Δtbは入側の張力変化量(kg/mm2)、tfは出側の張力(kg/mm2)、Kは変形抵抗(kg/mm2)である。

0032

次に、式(6)から求められた張力補正項変化量ΔZを用いて、以下の式(7)から、荷重変化量ΔP(kg)を計算する。
ΔP=B×K×ΔZ×Ld×Qf‥‥‥(7)
尚、上式で、Bは被圧延材の板幅(mm)、Ldは被圧延材と圧延ロールの圧延方向の接触長さ(mm)、Qfは圧下力関数である。

0033

第3ステップで求めた荷重変化量ΔP(kg)を、先に説明した式(3)に代入することで板厚変化量Δh(mm)を求めることができる。次に、その式(3)を記載する。
Δh=ΔP/M×(1−α)‥‥‥(3)

0034

被圧延材を冷間圧延する際の板厚変動が、この板厚変化量Δh(mm)であるが、許容することができる最大限の板厚変化量Δh(mm)Pを式(3)に代入することで、チューニング率αの下限値を求めることができる。例えば、許容することができる最大限の板厚変化量Δhが0.02mmであると仮定すると、以下に示す式(8)により、チューニング率αの下限値を求めることができる。これが第4ステップである。
α≧1−M/ΔP×0.02‥‥‥(8)

0035

以上説明した第1ステップから第4ステップの各計算を行うことで、各圧延スタンド11〜15ごとのチューニング率αを決定することができる。ここで求められたチューニング率αを用いて被圧延材を冷間圧延することで、圧延スタンドの振動発生を抑制することができ、また、被圧延材の板厚変動の発生を抑制することができる。

0036

スタンド間距離が4600mmの5体の圧延スタンドより成る連続式冷間圧延機を用いて被圧延材の冷間圧延を実施した。試験に用いる被圧延材の原板厚は2.3mm、冷間圧延終了後の被圧延材の狙い厚は1.4mm、被圧延材の板幅は、1000mmとした。また、ミル定数(ミル剛性)Mは500ton/mmとして、第1ステップから第4ステップの計算を実施してチューニング率αを求めた。尚、板厚変化量Δhは0.02mm以内になるようにしてチューニング率αを求めた。併せて、従来条件での被圧延材の冷間圧延も実施した。

0037

試験結果を図2に示す。♯1〜♯5は夫々第1圧延スタンド〜第5圧延スタンドを示し、棒の高さは各圧延スタンドでの板厚変動を示す。詳しくは、左側の棒の高さが従来からの条件で被圧延材を圧延した従来例での板厚変動、右側の棒の高さが本発明を適用して計算したチューニング率αを用いて被圧延材を圧延した発明例の板厚変動を夫々示す。

実施例

0038

図2に示す試験結果によると、各圧延スタンドでの板厚変動は、全て、発明例の方が従来例より小さく、被圧延材の板厚変動の発生を抑制できていることが分かる。また、発明例では板厚変動の発生を抑制できているため、圧延スタンドの振動発生も抑制することができる。

0039

10…連続式冷間圧延機
11〜15…圧延スタンド
21〜25…圧延ロール
31〜35…板厚計
41〜45…荷重計
51〜55…張力計
60…圧下機構
70…被圧延材
80…制御部

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