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技術 自動変速機の変速制御装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 近藤智敬佐藤利光
出願日 2009年3月5日 (11年10ヶ月経過) 出願番号 2009-052192
公開日 2010年9月16日 (10年3ヶ月経過) 公開番号 2010-203579
状態 未査定
技術分野 伝動装置(歯車、巻掛け、摩擦)の制御
主要キーワード 両ピニオン 中間ドラム 予測動作 回転連結 シフトレバ 設定基準 各支持軸 遊星機構
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

コーストダウン変速の如く、車速が低下しながら変速機変速される場合における変速ショックを抑制することが可能な自動変速機変速制御装置を提供する。

解決手段

コーストダウン変速時、車両の減速度からA秒後における各変速段での変速機入力軸同期回転数を算出する。このA秒後における変速機入力軸回転数収束値予測し、この収束値に最も近い同期回転数となっている変速段を「次変速段」に設定してコーストダウン変速を実行する。これにより、コーストダウン変速時の変速ショックを緩和することができる。

概要

背景

従来より、エンジン駆動輪との間の変速比を自動的に設定する自動変速機の一例として、クラッチ及びブレーキ遊星歯車装置とを用いてギヤ段(以下、変速段と呼ぶ場合もある)を設定する遊星歯車式変速機が知られている。

この種の自動変速機が搭載された車両においては、車速アクセル開度(またはスロットル開度)に応じた最適なギヤ段を得るための変速線(ギヤ段の切り換えライン)を有する変速マップがECU(Electronic Control Unit)等に記憶されており、変速マップを参照して車速及びアクセル開度に基づいて目標ギヤ段を求め、その目標ギヤ段が得られるように、摩擦係合要素である上記クラッチやブレーキを、所定状態係合または解放することによってギヤ段(変速段)を自動的に設定している。

また、この種の自動変速機において、アクセルOFF状態での減速時に、車速をパラメータとして予め定められた変速条件に従ってシフトダウン変速を行う所謂コーストダウン変速を行うようにしたものが知られている。下記の特許文献1に記載の変速制御装置はその一例であって、車両の減速時に2段階以上の下側への変速段(変速比が大きくなる変速段)へ変速する多段のシフトダウン変速が必要となった場合には、中間の変速段を飛び越してシフトダウン変速する「飛び変速」を行うことにより、変速時間を短縮化するようになっている。

しかしながら、ダウン変速の種類によっては、上記「飛び変速」を行った場合に、摩擦係合要素(クラッチやブレーキ)の解放や係合のタイミングがずれてしまい、タービン回転数変速機入力軸回転数)が、変速しようとする変速段での同期回転数から大きくずれてしまってエンジンが吹き上がったりトルクが抜けたりして変速ショックコーストダウンショックとも呼ばれる)を生じることがある。

この不具合を回避するためには、例えば下記の特許文献2に開示されているように、1段ずつシフトダウン変速を行う「単変速(順番変速とも呼ばれる)」を繰り返して多段のシフトダウン変速動作を行うことにが好ましい。

概要

コーストダウン変速の如く、車速が低下しながら変速機が変速される場合における変速ショックを抑制することが可能な自動変速機の変速制御装置を提供する。コーストダウン変速時、車両の減速度からA秒後における各変速段での変速機入力軸の同期回転数を算出する。このA秒後における変速機入力軸回転数収束値予測し、この収束値に最も近い同期回転数となっている変速段を「次変速段」に設定してコーストダウン変速を実行する。これにより、コーストダウン変速時の変速ショックを緩和することができる。

目的

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コーストダウン変速(パワーオフダウンシフト)の如く、車速が低下しながら変速機が変速される場合における変速ショックを抑制することが可能な自動変速機の変速制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることにより変速比が互いに異なる複数段変速可変自動変速機変速制御装置において、コーストダウン変速時、現在の車両の減速度に基づいて算出した所定時間後の各変速段における変速機入力軸同期回転数を求める同期回転数算出手段と、上記所定時間後に変速機入力軸回転数収束する回転数予測する収束回転数予測手段と、上記同期回転数算出手段によって求められた変速機入力軸の同期回転数と、上記収束回転数予測手段によって予測された変速機入力軸の収束回転数とに基づいてコーストダウン変速後の変速段を設定し、この変速段を成立させるように変速動作を行うコーストダウン変速手段とを備えていることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。

請求項2

上記請求項1記載の自動変速機の変速制御装置において、上記収束回転数予測手段によって予測される変速機入力軸の収束回転数は、上記所定時間後に自動変速機が無負荷となった場合の変速機入力軸として求められることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。

技術分野

0001

本発明は、自動車等に搭載される自動変速機変速制御装置に係る。特に、本発明は、コーストダウン変速時の変速動作の改良に関する。

背景技術

0002

従来より、エンジン駆動輪との間の変速比を自動的に設定する自動変速機の一例として、クラッチ及びブレーキ遊星歯車装置とを用いてギヤ段(以下、変速段と呼ぶ場合もある)を設定する遊星歯車式変速機が知られている。

0003

この種の自動変速機が搭載された車両においては、車速アクセル開度(またはスロットル開度)に応じた最適なギヤ段を得るための変速線(ギヤ段の切り換えライン)を有する変速マップがECU(Electronic Control Unit)等に記憶されており、変速マップを参照して車速及びアクセル開度に基づいて目標ギヤ段を求め、その目標ギヤ段が得られるように、摩擦係合要素である上記クラッチやブレーキを、所定状態係合または解放することによってギヤ段(変速段)を自動的に設定している。

0004

また、この種の自動変速機において、アクセルOFF状態での減速時に、車速をパラメータとして予め定められた変速条件に従ってシフトダウン変速を行う所謂コーストダウン変速を行うようにしたものが知られている。下記の特許文献1に記載の変速制御装置はその一例であって、車両の減速時に2段階以上の下側への変速段(変速比が大きくなる変速段)へ変速する多段のシフトダウン変速が必要となった場合には、中間の変速段を飛び越してシフトダウン変速する「飛び変速」を行うことにより、変速時間を短縮化するようになっている。

0005

しかしながら、ダウン変速の種類によっては、上記「飛び変速」を行った場合に、摩擦係合要素(クラッチやブレーキ)の解放や係合のタイミングがずれてしまい、タービン回転数変速機入力軸回転数)が、変速しようとする変速段での同期回転数から大きくずれてしまってエンジンが吹き上がったりトルクが抜けたりして変速ショックコーストダウンショックとも呼ばれる)を生じることがある。

0006

この不具合を回避するためには、例えば下記の特許文献2に開示されているように、1段ずつシフトダウン変速を行う「単変速(順番変速とも呼ばれる)」を繰り返して多段のシフトダウン変速動作を行うことにが好ましい。

先行技術

0007

特許第2917601号公報
特開2005−344773号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、上述したような「単変速」を行うものにあっては、総変速時間が長くなるため、例えば車両の減速度が比較的高い場合などにあっては、車速に応じた適切な変速段を得ることができなくなる可能性があった。また、短時間のうちに連続して変速動作が行われることになるため、乗員に違和感(ビジー感)を与えてしまったり、変速判断時に適切な変速段を得るための変速出力が得られないために、駆動状態からのコーストダウン変速が行われることとなり、これによっても変速ショックが大きくなってしまう可能性があった。

0009

例えば、変速マップに基づいて「4速」の変速信号が出力されており、実際の変速機の変速段も「4速」となっている状態から車両が減速していった場合、変速マップ上で「4速→3速」の変速線を跨ぐ状況となって「3速」の変速信号が出力される。この際、変速機の変速段も「3速」となるようにクラッチやブレーキの解放動作及び係合動作(クラッチツークラッチの変速動作)が開始され、これにより変速動作が開始される。

0010

このような状況で、車両が比較的高い減速度で減速していくと、この「3速」への変速動作が完了していない状況(上記クラッチやブレーキの解放動作及び係合動作の途中)で、車速の低下に伴って変速マップ上で「3速→2速」の変速線を跨ぐ状況となって「2速」の変速要求が出力される。ところが、未だ変速機は「3速」への変速動作が完了していないため、この「3速」への変速動作が完了するのを待って、「2速」への変速動作(2速へのクラッチやブレーキの解放動作及び係合動作)が開始されることになる。つまり、変速機の変速段が、車速に応じた適切な変速段よりも高い変速段(変速比の小さな変速段)において変速動作が行われることになる。

0011

このような状況では、車速の低下に伴ってタービン回転数(変速機の入力軸回転数)も低下した状態にあり、トルクコンバータによるトルク増幅量が大きくなっており、「3速」への変速動作が完了した後の「2速」への変速動作時にタービン回転数が上昇した(吹け上がった)状態で「2速」へのクラッチやブレーキの係合動作が行われることになるため、所謂パワーオンダウンシフトと同様の現象が生じ、車両が前進側へ押し出されるような変速ショックを引き起こしてしまう可能性があった。

0012

このように、従来の「単変速」の動作にあっては、適切な変速段への変速動作に遅れが生じると共に、上記変速ショックの発生に伴いドライバビリティが悪化してしまうといった不具合を招いていた。このような課題は、自動変速機の変速段数が多いほど顕著となる。特に、近年の自動変速機における変速段数の多段化に伴い、上記不具合が生じやすい状況となってきている。

0013

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コーストダウン変速(パワーオフダウンシフト)の如く、車速が低下しながら変速機が変速される場合における変速ショックを抑制することが可能な自動変速機の変速制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0014

−課題の解決原理
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、コーストダウン変速の開始時に、車両の減速度から、変速時における変速機入力軸回転数を推測し、その回転数に略一致する同期回転数となるような変速段を選択してコーストダウン変速を実行する。これにより、コーストダウン変速時の変速ショックを緩和できるようにしている。

0015

−解決手段−
具体的に、本発明は、複数の摩擦係合要素を選択的に係合させることにより変速比が互いに異なる複数段の変速が可変な自動変速機の変速制御装置を前提とする。この自動変速機の変速制御装置に対し、同期回転数算出手段、収束回転数予測手段、コーストダウン変速手段を備えさせている。上記同期回転数算出手段は、コーストダウン変速時、現在の車両の減速度に基づいて算出した所定時間後の各変速段における変速機入力軸の同期回転数を求める。収束回転数予測手段は、上記所定時間後に変速機入力軸回転数が収束する回転数を予測する。上記コーストダウン変速手段は、上記同期回転数算出手段によって求められた変速機入力軸の同期回転数と、上記収束回転数予測手段によって予測された変速機入力軸の収束回転数とに基づいてコーストダウン変速後の変速段を設定し、この変速段を成立させるように変速動作を行う。

0016

この場合、上記収束回転数予測手段によって予測される変速機入力軸の収束回転数としては、上記所定時間後に自動変速機が無負荷となった場合の変速機入力軸として求められる。

0017

この特定事項により、コーストダウン変速時にあっては、変速機入力軸の同期回転数と、変速機入力軸の収束回転数とが上記所定時間後に略一致するような変速段が設定された上でコーストダウン変速が実行される。このため、変速ショックを大幅に緩和することができる。つまり、このコーストダウン変速が上記飛び変速であったとしても、大きな変速ショックを生じさせることなしに、車速に応じた適切な変速段への変速動作が迅速に行えることになる。

発明の効果

0018

本発明では、コーストダウン変速の開始時に、車両の減速度から、変速時における変速機入力軸回転数を推測し、その回転数に略一致する同期回転数となるような変速段を選択してコーストダウン変速を実行するようにしている。これにより、コーストダウン変速時の変速ショックを緩和できる。

図面の簡単な説明

0019

実施形態に係る車両のパワートレーンを示す概略構成図である。
自動変速機の一例を示すスケルトン図である。
トランスミッション制御装置の構成を示すブロック図である。
変速機構部における各クラッチ及び各ブレーキの変速段毎の係合状態を示す図である。
シフト装置を示す斜視図である。
自動変速機の変速制御に用いられる変速マップを示す図である。
コーストダウン変速制御の手順を示すフローチャート図である。
コーストダウン変速制御における各変速段それぞれにおける同期回転数の変化の一例を示す図である。

実施例

0020

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態において特徴とする制御であるコーストダウン変速制御について説明する前に、車両のパワートレーン及び自動変速機の基本動作等について説明する。

0021

図1は、本実施形態における車両のパワートレーンを示す概略構成図、図2は、図1の自動変速機2の一例を示すスケルトン図である。

0022

図中、1はエンジン、2は自動変速機、3はエンジン制御装置(エンジンECU)、4はトランスミッション制御装置(変速機ECU)である。

0023

−エンジン1−
エンジン1は、外部から吸入する空気と燃料噴射弁5から噴射される燃料とを適宜の比率で混合した混合気燃焼させることにより、回転動力を発生するものである。この燃料噴射弁5は、エンジン制御装置3により制御される。

0024

−自動変速機2−
自動変速機2は、主として、トルクコンバータ20、変速機構部30、油圧制御装置40、オイルポンプ60を含んで構成されており、前進8段、後進1段の変速が可能になっている。

0025

トルクコンバータ20は、エンジン1に回転連結されるもので、ポンプインペラ21、タービンランナ22、ステータ23、ワンウェイクラッチ24、ステータシャフト25、ロックアップクラッチ26を含む。

0026

ワンウェイクラッチ24は、ステータ23を自動変速機2のケース2aに一方向の回転のみ許容して支承するものである。ステータシャフト25は、ワンウェイクラッチ24のインナレースを自動変速機2のケース2aに固定するものである。

0027

ロックアップクラッチ26は、トルクコンバータ20のポンプインペラ21とタービンランナ22とを直結可能とするものであり、必要に応じて、ポンプインペラ21とタービンランナ22とを直結する係合状態と、ポンプインペラ21とタービンランナ22とを切り離す解放状態と、係合状態と解放状態との中間の半係合状態とに切り換えられる。

0028

このロックアップクラッチ26の係合力制御は、ロックアップコントロールバルブ27でポンプインペラ21とタービンランナ22とに対する作動油圧コントロールすることによって行われる。

0029

変速機構部30は、トルクコンバータ20から入力軸9に入力される回転動力を変速して出力軸10に出力するものであって、図2に示すように、フロントプラネタリ31と、リアプラネタリ32と、中間ドラム33と、第1〜第4クラッチC1〜C4と、第1,第2ブレーキB1,B2とを含む構成となっている。

0030

フロントプラネタリ31は、ダブルピニオンタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、第1サンギアS1と、第1リングギアR1と、複数個インナーピニオンギアP1と、複数個のアウターピニオンギアP2と、第1キャリアCA1とを含む構成である。

0031

なお、第1サンギアS1は、自動変速機2のケース2aに固定されて回転不可能とされ、第1リングギアR1は、中間ドラム33に第3クラッチC3を介して一体回転可能な状態または相対回転可能な状態に支持され、第1リングギアR1の内径側に第1サンギアS1が同心状に挿入されている。

0032

複数個のインナーピニオンギアP1および複数個のアウターピニオンギアP2は、第1サンギアS1と第1リングギアR1との対向環状空間の円周数ヶ所に介装されており、複数個のインナーピニオンギアP1は第1サンギアS1に噛合され、また、複数個のアウターピニオンギアP2はインナーピニオンギアP1と第1リングギアR1とに噛合されている。

0033

第1キャリアCA1は、両ピニオンギアP1,P2を回転可能に支持するもので、この第1キャリアCA1の中心軸部が入力軸9に一体的に連結され、第1キャリアCA1において両ピニオンギアP1,P2を支持する各支持軸部が第4クラッチC4を介して中間ドラム33に一体回転可能な状態または相対回転可能な状態に支持されている。

0034

また、中間ドラム33は、第1リングギアR1の外周側に回転可能に配置されており、第1ブレーキB1を介して自動変速機2のケース2aに回転不可能な状態または相対回転可能な状態に支持されている。

0035

リアプラネタリ32は、ラビニオタイプと呼ばれる歯車式遊星機構とされており、大径の第2サンギアS2と、小径の第3サンギアS3と、第2リングギアR2と、複数個のショートピニオンギアP3と、複数個のロングピニオンギアP4と、第2キャリアCA2とを含む構成である。

0036

なお、第2サンギアS2は、中間ドラム33に連結され、第3サンギアS3は、第1クラッチC1を介してフロントプラネタリ31の第1リングギアR1に一体回転可能または相対回転可能に連結され、第2リングギアR2は、出力軸10に一体に連結されている。

0037

また、複数個のショートピニオンギアP3は、第3サンギアS3に噛合され、複数個のロングピニオンギアP4は、第2サンギアS2および第2リングギアR2に噛合するとともにショートピニオンギアP3を介して第3サンギアS3に噛合されている。

0038

さらに、第2キャリヤCA2は、複数個のショートピニオンギアP3および複数個のロングピニオンギアP4を回転可能に支持するもので、その中心軸部が第2クラッチC2を介して入力軸9に連結され、この第2キャリアCA2において各ピニオンギアP3,P4を支持する各支持軸部が、第2ブレーキB2およびワンウェイクラッチF1を介して自動変速機2のケース2aに支持されている。

0039

そして、第1〜第4クラッチC1〜C4および第1,第2ブレーキB1,B2は、オイル粘性を利用した湿式多板摩擦係合装置とされている。

0040

第1クラッチC1は、リアプラネタリ32の第3サンギアS3をフロントプラネタリ31の第1リングギアR1に対して一体回転可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。

0041

第2クラッチC2は、リアプラネタリ32の第2キャリヤCA2を入力軸9に対して一体回転可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。

0042

第3クラッチC3は、フロントプラネタリ31の第1リングギアR1を中間ドラム33に対して一体回転可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。

0043

第4クラッチC4は、フロントプラネタリ31の第1キャリアCA1を中間ドラム33に対して一体回転可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。

0044

第1ブレーキB1は、中間ドラム33を自動変速機2のケース2aに対して一体化して回転不可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。

0045

第2ブレーキB2は、リアプラネタリ32の第2キャリアCA2を自動変速機2のケース2aに対して一体化して回転不可能な係合状態または相対回転可能な解放状態とするものである。

0046

ワンウェイクラッチF1は、リアプラネタリ32の第2キャリアCA2の一方向のみの回転を許容するものである。

0047

上記油圧制御装置40は、変速機構部30の変速動作を制御するもので、各種リニアソレノイドバルブコントロールバルブ等を備え、トランスミッション制御装置4からの制御信号制御電流)に応じて作動して、上記各クラッチC1〜C4および各ブレーキB1,B2の係合状態と解放状態とを切り換え可能な構成となっている。

0048

−エンジン制御装置3、トランスミッション制御装置4−
エンジン制御装置3およびトランスミッション制御装置4は、一般的に公知のECU(Electronic Control Unit)とされ、共に略同様のハードウエア構成になっている。図3は、上記トランスミッション制御装置4の具体構成を示している。このトランスミッション制御装置4は、油圧制御装置40を制御することにより変速機構部30における適宜の変速段つまり動力伝達経路を成立させるものである。

0049

つまり、トランスミッション制御装置4は、図3に示すように、中央処理装置(CPU)51と、読出し専用メモリ(ROM)52と、ランダムアクセスメモリ(RAM)53と、バックアップRAM54と、入力インタフェース55と、出力インタフェース56とを双方向性バス57によって相互に接続した構成になっている。

0050

CPU51は、ROM52に記憶された各種制御プログラム制御マップに基づいて演算処理を実行する。ROM52には、変速機構部30の変速動作を制御するための各種制御プログラムが記憶されている。RAM53は、CPU51での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリである。バックアップRAM54は、各種の保存すべきデータを記憶する不揮発性のメモリである。

0051

入力インタフェース55には、少なくとも、エンジン回転速度センサ91、入力軸回転数センサ92、出力軸回転数センサ93、シフトポジションセンサ94、アクセル開度センサ95、Gセンサ96、車速センサ97、ブレーキペダルセンサ98、ブレーキマスタシリンダ圧センサ99等が接続されている。また、出力インタフェース56には、少なくとも、油圧制御装置40の構成要素(各種リニアソレノイドバルブ等)や、ロックアップクラッチ26の油圧制御用のロックアップコントロールバルブ27が接続されている。

0052

なお、エンジン回転速度センサ91は、エンジン1の回転が伝達されるトルクコンバータ20のポンプインペラ21の回転速度をエンジン回転速度として検出するものである。入力軸回転数センサ92は、入力軸9の回転数(NT)を検出するものである。出力軸回転数センサ93は、出力軸10の回転数(NO)を検出するものである。シフトポジションセンサ94は、後述するシフトレバーの操作位置を検知するものである。アクセル開度センサ95は、アクセルペダル踏み込み量を検出するものである。Gセンサ96は、車両の前後左右加速度を検出するものである。車速センサ97は車両の走行速度を検出するものである。ブレーキペダルセンサ98はブレーキペダルON操作制動操作)された際にブレーキON信号を出力するものである。ブレーキマスタシリンダ圧センサ99は、このブレーキペダルがON操作された際のペダル踏み込み量をブレーキマスタシリンダ圧から求め、これにより、ドライバ制動要求度合いを検出するようになっている。

0053

なお、トランスミッション制御装置4は、エンジン制御装置3との間で送受信可能に接続されており、必要に応じてエンジン制御装置3からエンジン制御に関する種々の情報を取得するようになっている。

0054

図4は、第1〜第4クラッチC1〜C4、第1,第2ブレーキB1,B2およびワンウェイクラッチF1における係合状態または解放状態と各変速段との関係を示す係合表である。この係合表において、○印は「係合状態」、×印は「解放状態」、◎印は「エンジンブレーキ時に係合状態」、△印は「駆動時のみ係合状態」を示す。

0055

また、車両の運転席の近傍には図5に示すシフト装置7が配置されている。このシフト装置7にはシフトレバー71が変位可能に設けられている。また、シフト装置7には、リバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、及び、シーケンシャル(S)位置が設定されており、ドライバが所望の変速位置へシフトレバー71を変位させることが可能となっている。これらリバース(R)位置、ニュートラル(N)位置、ドライブ(D)位置、シーケンシャル(S)位置(下記の「+」位置及び「−」位置も含む)の各変速位置は、上記シフトポジションセンサ94によって検出される。

0056

以下、シフトレバー71の変速位置が選択される状況と、そのときの自動変速機2の動作態様について各変速位置(「N位置」、「R位置」、「D位置」「S位置」)ごとに説明する。

0057

「N位置」は、自動変速機2の入力軸9と出力軸10との連結を切断する際に選択される位置であり、シフトレバー71が「N位置」に操作されると、自動変速機2のクラッチC1〜C4、ブレーキB1,B2の全てが解放される(図4参照)。

0058

「R位置」は、車両を後退させる際に選択される位置であり、シフトレバー71がこのR位置に操作されると、自動変速機2は後進ギヤ段に切り換えられる。

0059

「D位置」は、車両を前進させる際に選択される位置であり、シフトレバー71がこのD位置に操作されると、車両の運転状態などに応じて、自動変速機2の複数の前進ギヤ段(前進8速)が自動的に変速制御される。

0060

「S位置」は、複数の前進ギヤ段(前進8速)の変速動作をドライバが手動によって行う際に選択される位置(マニュアル変速位置)であって、このS位置の前後に「−」位置及び「+」位置が設けられている。「+」位置は、マニュアルアップシフトのときにシフトレバー71が操作される位置であり、「−」位置は、マニュアルダウンシフトのときにシフトレバー71が操作される位置である。そして、シフトレバー71がS位置にあるときに、シフトレバー71がS位置を中立位置として「+」位置または「−」位置に操作されると、自動変速機2の前進ギヤ段がアップまたはダウンされる。具体的には、「+」位置への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつアップ(例えば1st→2nd→・・→8th)される。一方、「−」位置への1回操作ごとにギヤ段が1段ずつダウン(例えば8th→5th→・・→1st)される。

0061

−変速制御−
次に、上述の如く構成された自動変速機2の変速制御に用いられる変速マップについて図6を参照して説明する。

0062

図6に示す変速マップは、車速及びアクセル開度をパラメータとし、それら車速及びアクセル開度に応じて、適正なギヤ段を求めるための複数の領域が設定されたマップであって、上記トランスミッション制御装置4のROM52内に記憶されている。変速マップの各領域は複数の変速線(ギヤ段の切り換えライン)によって区画されている。

0063

なお、図6に示す変速マップにおいて、シフトアップ線(変速線)を実線で示し、シフトダウン線(変速線)を破線で示している。また、シフトアップ及びシフトダウンの各切り換え方向を図中に数字と矢印とを用いて示している。

0064

次に、変速制御の基本動作について説明する。

0065

トランスミッション制御装置4は、車速センサ97の出力信号から車速を算出するとともに、アクセル開度センサ95の出力信号からアクセル開度を算出し、それら車速及びアクセル開度に基づいて、図6の変速マップを参照して目標ギヤ段を算出し、その目標ギヤ段と現状ギヤ段とを比較して変速操作が必要であるか否かを判定する。

0066

その判定結果により、変速の必要がない場合(目標ギヤ段と現状ギヤ段とが同じで、ギヤ段が適切に設定されている場合)には、現状ギヤ段を維持するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を自動変速機2の油圧制御装置40に出力する。

0067

一方、目標ギヤ段と現状ギヤ段とが異なる場合には変速制御を行う。例えば、自動変速機2のギヤ段が「5速」の状態で走行している状況から、車両の走行状態が変化して、例えば図6に示す点Aから点Bに変化した場合、シフトダウン変速線[5→4]を跨ぐ変化となるので、変速マップから算出される目標ギヤ段が「4速」となり、その4速のギヤ段を設定するソレノイド制御信号(油圧指令信号)を自動変速機2の油圧制御装置40に出力して、5速のギヤ段から4速のギヤ段への変速(5→4ダウン変速)を行う。

0068

−コーストダウン変速制御−
次に、上述の如く構成された自動変速機2において特徴とする動作であるコーストダウン変速制御(パワーオフダウンシフト制御)について説明する。尚、以下の説明では、コーストダウン変速が行われる際における変速前の変速段を「前変速段」と呼び、コーストダウン変速において目標とされる変速段(変速後の変速段)であって上記「前変速段」よりも低い変速段(変速比の大きな変速段)を「次変速段」と呼ぶこととする。

0069

本実施形態におけるコーストダウン変速制御の概略について説明すると、先ず、コーストダウン変速の実行時における車両の減速度を認識する。例えば、上記車速センサ97からの出力信号によって車速の単位時間当たりの変化量を求め、それに基づいて車両の減速度を認識する。そして、コーストダウン変速の要求がなされてから所定時間(後述するA秒)後における入力軸9の回転数の収束値に対し、同期回転数(入力軸9の回転数)が略一致する変速段を選択し、この変速段を「次変速段」に設定して、上記所定時間後にコーストダウン変速を実行するようにしている。

0070

以下、本実施形態に係るコーストダウン変速制御の具体的な動作について図7のフローチャートを参照して説明する。この図7に示すコーストダウン変速の制御ルーチンは上記トランスミッション制御装置4において実行される。また、この図7に示すルーチンエンジン始動後の所定時間毎、例えば、数msec毎に実行される。

0071

先ず、ステップST1において、コーストダウン変速判断が行われる。つまり、コーストダウン変速が行われる状況であるか否かが判断される。具体的には、上述した如く、アクセル開度が「0」若しくは比較的微小開度であって、エンジン1の被駆動状態で車速が低下していく状況であり、且つ車速の変化が変速マップにおいてシフトダウン変速線を跨ぐ変化となったか否かを判断する。

0072

コーストダウン変速が行われる状況ではなく、ステップST1でNO判定された場合には本ルーチンを終了する。一方、コーストダウン変速が行われる状況であり、ステップST1でYES判定された場合にはステップST2に移り、現在の車両の減速度を求め、その減速度から、A秒後における各変速段での同期回転数(入力軸9の回転数)を算出する(同期回転数算出手段による同期回転数の算出動作)。この場合、現在の変速段よりも変速比の大きい側の変速段それぞれに対して同期回転数を算出することになる。尚、全ての変速段それぞれに対して同期回転数を算出するようにしてもよい。

0073

この場合のA秒とは、車両の減速度に基づく各変速段での同期回転数の算出精度が十分に得られる時間として設定され、且つコーストダウン変速要求が出力されてから変速動作が完了するまでの期間が必要以上に長くなってしまうことのない範囲で設定される。尚、このA秒の設定基準としては上述したものには限定されず、任意に設定することも可能である。

0074

また、A秒後における各変速段での同期回転数は以下の式(1)によってそれぞれ算出される。

0075

A秒後におけるN段での同期回転数=N段の変速比×(現在の出力軸回転数+現在の出力軸の減速度×A) …(1)
上記「現在の出力軸回転数」は、上記出力軸回転数センサ93によって検出される。また、上記「現在の出力軸の減速度(rpm/sec)」は、上記出力軸回転数センサ93によって検出された出力軸回転数(NO)の単位時間(例えば1sec)当たりの変化量である。この出力軸10の減速度は、車両の減速時には負の値となる。

0076

このようにしてA秒後における各変速段での同期回転数を算出した後、ステップST3に移り、上記ステップST2で算出した各変速段の同期回転数のうち、予め推測したA秒後の入力軸9の回転数(NTset)に最も近い同期回転数である変速段(次変速段)を選択する。

0077

ここで、上記A秒後の入力軸9の回転数の予測値(NTset)は、自動変速機2が無負荷時(ニュートラル状態)である場合の入力軸9の回転数として求められ、例えば、エンジン1のアイドリング運転時におけるスロットル開度毎に設定されている。例えば、アイドリング運転時におけるスロットル開度と、現在の車両速度(コーストダウン変速要求が出力された時点での車両速度)と、車両の減速度とにより入力軸9の収束回転数を求める演算式により算出される(収束回転数予測手段による収束回転数の予測動作)。

0078

このようにして「次変速段」を選択した後、ステップST4に移り、この次変速段への変速動作を実行する(コーストダウン変速手段によるコーストダウン変速動作)。

0079

以上の如く、本実施形態では、コーストダウン変速が行われる際の減速度に基づいて選択された変速段(次変速段)への変速動作が行われることになる。

0080

図8は、本実施形態に係るコーストダウン変速制御における各変速段それぞれにおける同期回転数の変化の一例を示している。また、ここでは、「4速(前変速段)」からコーストダウン変速を行う場合を例に挙げて説明するが、他の変速段からコーストダウン変速が行われる場合も同様の動作となる。

0081

図8に実線で示すように、前変速段として「4速」が設定されている状況で、コースト走行が行われ、車速の低下に伴って、この「4速」の同期回転数も低下していく。そして、図中のタイミングT1でコーストダウン変速要求がなされた場合、この時点からA秒後(タイミングT2)における各変速段での同期回転数を算出する。ここでは、A秒後であるタイミングT2での各変速段での同期回転数として、「3速」の同期回転数は「NT3」、「2速」の同期回転数は「NT2」、「1速」の同期回転数は「NT1(図8には現れず)」として求められる。

0082

そして、このA秒後における入力軸9の回転数の収束値(NTset)を推測し、A秒後の収束値(NTset)に最も近い同期回転数となっている変速段を選択する。図8にあっては、A秒後における「2速」の同期回転数は「NT2」が入力軸9の回転数の収束値(NTset)に略一致しているので、この場合、次変速段としては「2速」が選択され、A秒後(タイミングT2)に「2速」への変速動作が実行される。つまり、クラッチC4が係合状態から解放状態に切り換えられると共に、ブレーキB1が解放状態から係合状態に切り換えられることになる。尚、従来の単変速、つまり、「4速」から「3速」に変速する場合には、図中のΔNT(=NTset−NT3)だけ同期回転数に偏差が生じており、変速ショックを招いてしまう可能性がある。

0083

このように、本実施形態では、コーストダウン変速時には、A秒後における各変速段の同期回転数を求めると共に、A秒後の入力軸9の回転数(収束回転数)を予測し、これらが最も近くなる(A秒後の回転数が最も近くなる)変速段を「次変速段」に設定して変速を行うようにしている。言い換えると、単に変速マップに従ってコーストダウン変速を行うのではなく、現在の車両の減速度に応じて次変速段を適切に選択し、その次変速段への変速動作を行うことで、A秒後における入力軸9の回転数の収束値と次変速段の同期回転数とを略一致させるようにしている。このため、変速ショック(コーストダウンショック)を殆ど生じさせることなしに、車速の減速度が高い状況であっても車速変化に応じた適切な変速段への変速動作(例えば上記飛び変速)を実行することが可能である。また、短時間のうちに連続して変速動作が行われることがないため、乗員に違和感(ビジー感)を与えてしまうことがなく、ドライバビリティの改善を図ることもできる。

0084

−他の実施形態−
上述した実施形態では、前進8段変速の自動変速機2の制御に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、他の任意の変速段の遊星歯車式自動変速機の油圧制御にも適用可能である。

0085

また、上記実施形態では、車速とアクセル開度とに基づいて適正な変速段を求めて変速制御を実行する例を示したが、本発明はこれに限られることなく、車速とスロットル開度とに基づいて適正な変速段を求めて変速制御を実行するようにしてもよい。

0086

また、本発明が適用される車両に搭載されるエンジンとしては、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンのいずれであってもよい。

0087

本発明は、自動車に搭載される遊星歯車式自動変速機のコーストダウン変速制御に適用することが可能である。

0088

2自動変速機
4トランスミッション制御装置
9入力軸
92入力軸回転数センサ
97車速センサ
C1〜C4クラッチ(摩擦係合要素)
B1,B2ブレーキ(摩擦係合要素)

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