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技術 可変圧縮比内燃機関の制御装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 河崎高志
出願日 2009年3月2日 (11年9ヶ月経過) 出願番号 2009-047683
公開日 2010年9月16日 (10年3ヶ月経過) 公開番号 2010-203273
状態 特許登録済
技術分野 特殊用途機関の応用、補機、細部 内燃機関のシリンダブロック、ケーシング 機関出力の制御及び特殊形式機関の制御
主要キーワード 特定角 偏心カム軸 各偏心カム 回動角センサ シリンダ配列 軸受収納孔 変位機構 カム収納孔
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

可変圧縮比内燃機関制御装置において、モータへの通電断続的にON・OFFすることを回避し、異音を抑制する技術を提供する。

解決手段

モータへの通電をON・OFFする境の90°及びその前後±1°の所定範囲回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求がある場合には、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角を所定範囲移行時の89°又は91°の回動角に保持する。これにより、モータ64への通電が継続的にONとなるか、継続的にOFFとなるかのどちらかとなり、一対の偏心カム軸51a,51bを90°を跨いで回動させることを断続的に行う必要がなくなる。よって、モータへの通電が断続的にON・OFFすることを回避でき、異音を抑制できる。

概要

背景

ウォームホイールを有する一対の偏心カム軸クランクケースの両側に配置し、ウォームを有するシャフトをクランクケースの側面中央に形成された貫通孔挿通し、シャフトのウォームと一対の偏心カム軸のウォームホイールとを互いに噛み合わせる。そして、シャフトに接続されたモータからの回転動力をシャフトのウォームからウォームホイールに伝達し、偏心カム軸を0°〜180°の間で回動させてクランクケースとは別体のシリンダブロック昇降させる。これにより、内燃機関機械圧縮比を変更する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。

概要

可変圧縮比内燃機関制御装置において、モータへの通電断続的にON・OFFすることを回避し、異音を抑制する技術を提供する。モータへの通電をON・OFFする境の90°及びその前後±1°の所定範囲回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求がある場合には、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角を所定範囲移行時の89°又は91°の回動角に保持する。これにより、モータ64への通電が継続的にONとなるか、継続的にOFFとなるかのどちらかとなり、一対の偏心カム軸51a,51bを90°を跨いで回動させることを断続的に行う必要がなくなる。よって、モータへの通電が断続的にON・OFFすることを回避でき、異音を抑制できる。

目的

本発明は上記問題点に鑑みたものであり、本発明の目的は、可変圧縮比内燃機関の制御装置において、モータへの通電が断続的にON・OFFすることを回避し、異音を抑制する技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

モータ駆動源として一対の偏心カム軸回動させることにより、クランクケースとは別体のシリンダブロック昇降させて内燃機関機械圧縮比を変更するものであって、前記シリンダブロックのリフト量を一定に保持するために、前記一対の偏心カム軸を回動させた所定角を挟んで一方側では前記モータを駆動する必要がなく、他方側では前記モータを駆動する必要が生じる可変圧縮比内燃機関制御装置において、前記一対の偏心カム軸を回動させる回動角の内、前記所定角及びその前後を含む所定範囲の回動角に前記一対の偏心カム軸を回動させる要求がある場合には、前記一対の偏心カム軸の回動角を特定角に保持する回動角制御手段を備えることを特徴とする可変圧縮比内燃機関の制御装置。

請求項2

前記内燃機関の排気通路に配置され排気浄化する触媒を備え、前記回動角制御手段は、前記内燃機関の運転状態アイドル状態であり、前記触媒が活性状態であり、且つ、前記内燃機関の機械圧縮比を低圧縮比となる方向に変化させる要求があるときに、前記所定範囲の回動角に前記一対の偏心カム軸を回動させる要求がある場合には、前記一対の偏心カム軸を前記所定範囲における前記内燃機関の機械圧縮比が低圧縮比となる方向に変化する最初の回動角に保持することを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比内燃機関の制御装置。

請求項3

前記内燃機関の排気通路に配置され排気を浄化する触媒を備え、前記回動角制御手段は、前記触媒が未活性状態であり、且つ、前記内燃機関の機械圧縮比を高圧縮比となる方向に変化させる要求があるときに、前記所定範囲の回動角に前記一対の偏心カム軸を回動させる要求がある場合には、前記一対の偏心カム軸を前記所定範囲における前記内燃機関の機械圧縮比が高圧縮比となる方向に変化する最初の回動角に保持することを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比内燃機関の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、可変圧縮比内燃機関制御装置に関する。

背景技術

0002

ウォームホイールを有する一対の偏心カム軸クランクケースの両側に配置し、ウォームを有するシャフトをクランクケースの側面中央に形成された貫通孔挿通し、シャフトのウォームと一対の偏心カム軸のウォームホイールとを互いに噛み合わせる。そして、シャフトに接続されたモータからの回転動力をシャフトのウォームからウォームホイールに伝達し、偏心カム軸を0°〜180°の間で回動させてクランクケースとは別体のシリンダブロック昇降させる。これにより、内燃機関機械圧縮比を変更する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開2008−303890号公報
特開2005−163695号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、上記の技術においては、シリンダブロックを昇降させるリフト量を一定に保持するためには、ウォームホイールやウォームの特性上、一対の偏心カム軸を回動させる回動角が90°よりも小さい場合には、モータを駆動する必要がなくモータへの通電量は0である。しかし、一対の偏心カム軸を回動させる回動角が90°以上の場合には、モータを駆動する必要が生じ、モータへの通電量が急激に増加する。

0005

ここで、一対の偏心カム軸の回動角が90°付近定常運転中に微小負荷変動回転数変動により、内燃機関の機械圧縮比が微小に変化することが要求される場合に、一対の偏心カム軸を90°を跨いで回動させることが断続的に必要となる。一対の偏心カム軸を90°を跨いで回動させることが断続的に行われると、内燃機関は上記のような特性を有するため、モータへの通電が断続的にON・OFFすることになる。すると、モータへの通電が断続的にON・OFFすることに起因する異音が生じるおそれがあった。

0006

本発明は上記問題点に鑑みたものであり、本発明の目的は、可変圧縮比内燃機関の制御装置において、モータへの通電が断続的にON・OFFすることを回避し、異音を抑制する技術を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、本発明は、
モータを駆動源として一対の偏心カム軸を回動させることにより、クランクケースとは別体のシリンダブロックを昇降させて内燃機関の機械圧縮比を変更するものであって、
前記シリンダブロックのリフト量を一定に保持するために、前記一対の偏心カム軸を回動させた所定角を挟んで一方側では前記モータを駆動する必要がなく、他方側では前記モータを駆動する必要が生じる可変圧縮比内燃機関の制御装置において、
前記一対の偏心カム軸を回動させる回動角の内、前記所定角及びその前後を含む所定範囲の回動角に前記一対の偏心カム軸を回動させる要求がある場合には、前記一対の偏心カム軸の回動角を特定角に保持する回動角制御手段を備えることを特徴とする可変圧縮比内燃機関の制御装置である。

0008

ここで、所定角とは、その角度よりも狭角又は広角のどちらか一方側では、シリンダブロックのリフト量を一定に保持するためにモータを駆動する必要がなく、他方側では、シリンダブロックのリフト量を一定に保持するためにモータを駆動する必要が生じる角度である。また、所定範囲とは、一対の偏心カム軸が回動する回動角の内、所定角及びその前後を含む予め定められた範囲である。特定角とは、予め定められた一対の偏心カム軸の回動角であり、例えば、所定範囲移行時の回動角等が挙げられる。

0009

本発明によると、所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸を回動させる要求がある場合には、一対の偏心カム軸の回動角を特定角に保持する。このため、所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸を回動させる要求があり、さらに定常運転中に微小な負荷変動や回転数変動により、内燃機関の機械圧縮比が微小に変化することが要求される場合であっても、一対の偏心カム軸の回動角が特定角に保持される。よって、シリンダブロックのリフト量が一対の偏心カム軸の回動角が特定角の時の量に保持され、内燃機関の機械圧縮比が一定に維持される。

0010

これにより、所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸を回動させる要求がある場合は、シリンダブロックのリフト量を、一対の偏心カム軸の回動角が特定角の時の量に一定に保持するために、モータを駆動しない状態か、モータを駆動する状態のどちらかの状態を継続的に採る。つまり、モータへの通電が継続的にONとなるか、継続的にOFFとなるかのどちらかとなる。

0011

よって、所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸を回動させる要求があり、定常運転中に微小な負荷変動や回転数変動により、内燃機関の機械圧縮比が微小に変化することが要求される場合であっても、一対の偏心カム軸を、所定角を跨いで回動させることを断続的に行う必要がなくなる。したがって、モータへの通電が断続的にON・OFFすることを回避でき、モータへの通電が断続的にON・OFFすることに起因する異音を抑制できる。

0012

前記内燃機関の排気通路に配置され排気浄化する触媒を備え、前記回動角制御手段は、前記内燃機関の運転状態アイドル状態であり、前記触媒が活性状態であり、且つ、前記内燃機関の機械圧縮比を低圧縮比となる方向に変化させる要求があるときに、前記所定範囲の回動角に前記一対の偏心カム軸を回動させる要求がある場合には、前記一対の偏心カム軸を前記所定範囲における前記内燃機関の機械圧縮比が低圧縮比となる方向に変化する最初の回動角に保持するとよい。

0013

内燃機関の運転状態がアイドル状態である場合には、内燃機関にノッキング等が生じるおそれがない。そこで、本発明では、上記の場合に、一対の偏心カム軸を所定範囲における内燃機関の機械圧縮比が低圧縮比となる方向に変化する最初の回動角に保持し、内燃機関の機械圧縮比をより高圧縮比側に維持する。これにより、内燃機関から排出されるHCが増加し、触媒反応を増大させて触媒の活性状態を維持できると共に、内燃機関の熱効率を上昇させることができる。

0014

前記内燃機関の排気通路に配置され排気を浄化する触媒を備え、前記回動角制御手段は、前記触媒が未活性状態であり、且つ、前記内燃機関の機械圧縮比を高圧縮比となる方向に変化させる要求があるときに、前記所定範囲の回動角に前記一対の偏心カム軸を回動させる要求がある場合には、前記一対の偏心カム軸を前記所定範囲における前記内燃機関の機械圧縮比が高圧縮比となる方向に変化する最初の回動角に保持するとよい。

0015

触媒が未活性状態である場合には、内燃機関から排出されるHCを含む排気を浄化することが困難となる。そこで、本発明では、上記の場合に、一対の偏心カム軸を所定範囲に
おける内燃機関の機械圧縮比が高圧縮比となる方向に変化する最初の回動角に保持し、内燃機関の機械圧縮比をより低圧縮比側に維持する。これにより、内燃機関から排出されるHCを削減し、触媒で浄化されないHCを含む排気を外へ排出させてしまうことが抑制できる。

発明の効果

0016

本発明によると、可変圧縮比内燃機関の制御装置において、モータへの通電が断続的にON・OFFすることを回避でき、異音を抑制できる。

図面の簡単な説明

0017

実施例1に係る内燃機関の概略構成を示す図である。
実施例1に係る内燃機関の概略構成を示す斜視図である。
実施例1に係る偏心カム軸の回動角とシリンダブロックのリフト量を保持する時のモータ通電量との関係を示す図である。
従来技術に係るモータへの通電が断続的にON・OFFする状態を示す図である。
実施例1に係る内燃機関の機関負荷と偏心カム軸の回動角との関係を示す図である。
実施例2に係る回動角制御ルーチンを示すフローチャートである。

実施例

0018

以下に本発明の具体的な実施例を説明する。

0019

<実施例1>
図1及び図2は、本実施例に係る可変圧縮比内燃機関の概略構成を示す図である。図1及び図2に示す内燃機関1は、シリンダブロック2とクランクケース3とシリンダヘッド4とを備えている。

0020

シリンダブロック2は、クランクケース3に対してシリンダ20軸方向へ変位自在に取り付けられている。シリンダブロック2とクランクケース3との接続部には、シリンダブロック2を変位させるための変位機構5と、変位機構5を駆動するためのアクチュエータ6と、が設けられている。

0021

シリンダブロック2の両側下部に複数の隆起部7が形成されており、各隆起部7にカム収納孔8が形成されている。カム収納孔8は、シリンダ配列方向に平行に且つ同一軸線上に形成されている。

0022

クランクケース3には、カム収納孔8が形成された複数の隆起部7の間に位置するように、ガイド部9が形成されている。各ガイド部9のクランクケース外側に向けられた表面には、半円形の凹部が形成されている。各ガイド部9には、対称な半円形の凹部を有する不図示のキャップボルトによって固定される。ガイド部9及びキャップが固定されると、双方の凹部によって円形軸受収納孔が形成される。

0023

このように構成されたシリンダブロック2とクランクケース3とが連結されると、シリンダブロック2及びクランクケース3の両側面には、カム収納孔8と軸受収納孔とが交互に配置された連通孔が形成される。連通孔には、偏心カム軸51a,51bが各々挿通され、クランクケース3の両側に配置される。

0024

各偏心カム軸51a,51bは、中心部に配置される一本の軸部と、軸部に対して偏心した状態で固定されるウォームホイール61a,61bと、軸部に対して偏心した状態で
回転可能な複数のフリーカム部52a,52bと、軸部に対して偏心した状態で固定される複数の軸受部53a,53bと、を備えている。偏心カム軸51a,51bは、回動することでクランクケース3とは別体のシリンダブロック2を昇降させ、内燃機関1の機械圧縮比を変更する。各偏心カム軸51a,51bでは、フリーカム部52a,52bがカム収納孔8に収容され且つ軸受部53a,53bが軸受収納孔に収容されるように、フリーカム部52a,52bと軸受部53a,53bとが交互に配置される。

0025

このように構成された偏心カム軸51a,51bのクランクケース3の側面中央には、アクチュエータ6が設けられている。アクチュエータ6は、各偏心カム軸51a,51bの途中に固定されるウォームホイール61a,61bと、各ウォームホイール61a,61bに噛み合うウォームであってシャフト63に配置される2つのウォーム62a,62bと、ウォーム62a,62bを有するシャフト63の一端に接続されシャフト63を回転駆動するモータ64と、を備えている。モータ64の回転動力は、シャフト63とそれに配置された2つのウォーム62a,62bを回転させ、各ウォームホイール61a,61bは噛み合うウォーム62a,62bの回転により同時に減速回動し、一対の偏心カム軸51a,51bが同時に回動する。

0026

一対の偏心カム軸51a,51bは、回動角として0°〜180°の間で回動する。一対の偏心カム軸51a,51bの回動角が0°側であると、シリンダブロック2のリフト量が大きく、内燃機関1の機械圧縮比は低圧縮比側となる。一方、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角が180°側であると、シリンダブロック2のリフト量が小さく、内燃機関1の機械圧縮比は高圧縮比側となる。

0027

なお、ウォーム62a,62bの螺旋溝は、互いに逆方向に形成され、モータ64の回転により2本の偏心カム軸51a,51bが互いに逆回動するようになっている。

0028

ここで、変位機構5には、偏心カム軸51aの回動角を検出する回動角センサ10が取り付けられている。回動角センサ10は、電子制御ユニット(ECU)100と電気的に接続されている。

0029

ECU100は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等から構成される算術論理演算回路であり、上記した回動角センサ10の出力信号や内燃機関1の運転状態に基づいてモータ64を制御する。

0030

上述したような変位機構5及びアクチュエータ6によれば、シリンダブロック2がシリンダ20軸方向へ変位自在となり、それに応じて内燃機関1の機械圧縮比が自在に変更されることとなる。具体的には、内燃機関1の機関負荷、機関回転数等の運転状態に応じて要求される内燃機関の要求機械圧縮比となるような要求回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる。内燃機関1の運転状態と一対の偏心カム軸51a,51bの要求回動角との関係は予め実験や検証等でマップ化されている。一対の偏心カム軸51a,51bを要求回動角に回動させることは、回動角センサ10の回動角をフィードバック制御することにより行われる。

0031

ところで、内燃機関1においては、シリンダブロック2を昇降させるリフト量を一定に保持するためには、ウォームホイール61a,61bやウォーム62a,62bの特性上、ある特性があった。具体的には、図3に示すように、一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる回動角が90°よりも小さい場合には、モータ64を駆動する必要がなくモータ64への通電量は0である。しかし、一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる回動角が90°以上の場合には、モータ64を駆動する必要が生じ、モータ64への通電量が急激に増加する。

0032

すなわち、本実施例では、本発明における所定角を90°として、その角度よりも狭角(90°よりも小さい角度)であると、シリンダブロック2のリフト量を一定に保持するためにモータ64を駆動する必要がない。一方、その角度よりも広角(90°以上)であると、シリンダブロック2のリフト量を一定に保持するためにモータ64を駆動する必要が生じる。

0033

ここで、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角が90°付近で定常運転中に図4に示すような微小な負荷変動や回転数変動により、内燃機関1の機械圧縮比が微小に変化することが要求される場合に、一対の偏心カム軸51a,51bを90°を跨いで回動させることが断続的に必要となる。一対の偏心カム軸51a,51bを90°を跨いで回動させることが断続的に行われると、内燃機関1は上記のような特性を有するため、モータ64への通電が断続的にON・OFFすることになる。

0034

ところで、人間の聴覚は、同じ音圧でも、一定の音圧が継続する場合に比較して音が発生又は消滅する場合の方が敏感に感じ取る。このため、通電が継続するモータ64からの音は気にならないが、通電が断続的にON・OFFされるときのモータ64からの音が異音として障りに感じる。このため、図4に示すようにモータ64への通電が断続的にON・OFFすると、これに起因する異音が生じるおそれがあった。

0035

なお、一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる瞬間である数10ms程度のモータ64への通電は、通電時間が極僅かであり、人間の聴覚はこのときのモータ64からの音は気にならない。

0036

そこで、本実施例では、90°及びその前後±1°の所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求がある場合には、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角を所定範囲移行時の89°又は91°の回動角に保持するようにした。例えば、図5に示す内燃機関1の機関負荷に対する一対の偏心カム軸51a,51bの回動角のマップに示すように、一対の偏心カム軸51a,51bの要求回動角が90°±1°の所定範囲外の回動角である場合には、機関負荷に応じた曲線で示されるマップ上の回動角に回動される。しかし、一対の偏心カム軸51a,51bの要求回動角が図5破線で示されるマップで示す90°±1°の所定範囲の回動角である場合には、機関負荷に応じず図5の2本の水平線のどちらかで示されるマップの所定範囲移行時の89°又は90°の回動角に保持される。なお、このような一対の偏心カム軸51a,51bの回動角の制御を実行するECU100が本発明の回動角制御手段に相当する。

0037

具体的には、89°側から90°±1°の所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求がある場合には、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角を89°の回動角に保持する。一方、91°側から90°±1°の所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求がある場合には、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角を91°の回動角に保持する。そしてその後、90°±1°の所定範囲を抜けた回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求がある場合には、要求通りの回動角に回動させる。

0038

本実施例によると、90°±1°の所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求がある場合には、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角を特定の89°又は91°の回動角に保持する。このため、90°±1°の所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求があり、さらに定常運転中に微小な負荷変動や回転数変動により、内燃機関1の機械圧縮比が微小に変化することが要求される場合であっても、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角が特定の89°又は91°の回
動角に保持される。よって、シリンダブロック2のリフト量が、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角が特定の89°又は91°の回動角の時の量に保持され、内燃機関1の機械圧縮比が一定に維持される。

0039

これにより、90°±1°の所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求がある場合は、シリンダブロック2のリフト量を、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角が特定の89°又は91°の回動角の時の量に一定に保持する。このため、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角が89°のモータ64を駆動しない状態か、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角が91°のモータ64を駆動する状態のどちらかの状態を継続的に採る。つまり、モータ64への通電が継続的にONとなるか、継続的にOFFとなるかのどちらかとなる。

0040

よって、90°±1°の所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求があり、定常運転中に微小な負荷変動や回転数変動により、内燃機関1の機械圧縮比が微小に変化することが要求される場合であっても、一対の偏心カム軸51a,51bを90°を跨いで回動させることを断続的に行う必要がなくなる。したがって、モータ64への通電が断続的にON・OFFすることを回避でき、モータ64への通電が断続的にON・OFFすることに起因する異音を抑制できる。

0041

<実施例2>
本実施例では、所定の条件の場合に、一対の偏心カム軸51a,51bの回動角の保持の仕方を変更するものである。本実施例では、その特徴部分について説明するものとし、その他は上記実施例と同様であるので説明を省略する。

0042

本実施例では、内燃機関1の排気通路に排気を浄化する触媒を備える。触媒は、高温の活性状態であると排気中に含まれるHC等と触媒反応して排気を浄化する。一方、触媒は、活性状態よりも低温等の未活性状態であると排気中に含まれるHC等と触媒反応し難く排気を浄化できない。

0043

そして、内燃機関1の運転状態がアイドル状態であり、触媒が活性状態であり、且つ、内燃機関1の機械圧縮比を低圧縮比となる方向に変化させる要求があるときがある。このときに、90°±1°の所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求がある場合がある。この場合には、本実施例では、一対の偏心カム軸51a,51bを90°±1°の所定範囲における内燃機関1の機械圧縮比が低圧縮比となる方向に変化する最初の回動角に保持するようにした。

0044

内燃機関1の運転状態がアイドル状態である場合には、内燃機関1にノッキング等が生じるおそれがない。そこで、本実施例では、上記の場合に、一対の偏心カム軸51a,51bを90°±1°の所定範囲における内燃機関1の機械圧縮比が低圧縮比となる方向に変化する最初の回動角に保持し、内燃機関1の機械圧縮比をより高圧縮比側に維持する。これにより、内燃機関1から排出されるHCが増加し、触媒反応を増大させて触媒を昇温させ触媒の活性状態を維持できる。また、内燃機関1の機械圧縮比をより高圧縮比側に維持するので、内燃機関1の熱効率を上昇させることができる。

0045

また、触媒が未活性状態であり、且つ、内燃機関1の機械圧縮比を高圧縮比となる方向に変化させる要求があるときがある。このときに、90°±1°の所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求がある場合がある。この場合には、本実施例では、一対の偏心カム軸51a,51bを90°±1°の所定範囲における内燃機関1の機械圧縮比が高圧縮比となる方向に変化する最初の回動角に保持するようにした。

0046

触媒が未活性状態である場合には、内燃機関1から排出されるHCを含む排気を浄化することが困難となる。そこで、本実施例では、上記の場合に、一対の偏心カム軸51a,51bを90°±1°の所定範囲における内燃機関1の機械圧縮比が高圧縮比となる方向に変化する最初の回動角に保持し、内燃機関1の機械圧縮比をより低圧縮比側に維持する。これにより、内燃機関1から排出されるHCを削減し、触媒で浄化されないHCを含む排気を外へ排出させてしまうことが抑制できる。

0047

次に、本実施例による一対の偏心カム軸51a,51bの回動角制御ルーチンについて説明する。図6は、本実施例による一対の偏心カム軸51a,51bの回動角制御ルーチンを示したフローチャートである。本ルーチンは、所定の時間毎に繰り返し実行される。なお、本ルーチンを実行するECU100も本発明の回動角制御手段に相当する。

0048

テップS101では、内燃機関1の機関負荷、機関回転数等の運転状態に基づき、予め実験や検証等で求められたマップを用い、内燃機関1が要求される機械圧縮比となるよう、一対の偏心カム軸51a,51bの要求回動角を算出する。

0049

ステップS102では、内燃機関1の運転状態がアイドル状態であり、且つ、触媒が活性状態であるか否かを判別する。ステップS102において肯定判定された場合には、ステップS103へ移行する。ステップS102において否定判定された場合には、ステップS107へ移行する。

0050

ステップS103では、内燃機関1の機械圧縮比を低圧縮比となる方向に変化させる要求があるか否かを判別する。この要求があるか否かは、一対の偏心カム軸51a,51bの要求回動角の履歴や内燃機関1の機械圧縮比の履歴に基づいて判断できる。ステップS103において肯定判定された場合には、ステップS104へ移行する。ステップS103において否定判定された場合には、ステップS106へ移行する。

0051

ステップS104では、ステップS101の要求回動角を用い、90°±1°の所定範囲の回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求があるか否かを判別する。ステップS104において肯定判定された場合には、ステップS105へ移行する。ステップS104において否定判定された場合には、ステップS106へ移行する。

0052

ステップS105では、一対の偏心カム軸51a,51bを90°±1°の所定範囲における内燃機関1の機械圧縮比が低圧縮比となる方向に変化する最初の回動角である特定角1に保持する。本ステップの処理の後、本ルーチンを一旦終了する。

0053

ステップS106では、一対の偏心カム軸51a,51bを要求回動角に回動させる。本ステップの処理の後、本ルーチンを一旦終了する。

0054

一方、ステップS107では、触媒が未活性状態であるか否かを判別する。ステップS107において肯定判定された場合には、ステップS108へ移行する。ステップS107において否定判定された場合には、ステップS106へ移行する。

0055

ステップS108では、内燃機関1の機械圧縮比を高圧縮比となる方向に変化させる要求があるか否かを判別する。この要求があるか否かは、一対の偏心カム軸51a,51bの要求回動角の履歴や内燃機関1の機械圧縮比の履歴に基づいて判断できる。ステップS108において肯定判定された場合には、ステップS109へ移行する。ステップS108において否定判定された場合には、ステップS106へ移行する。

0056

ステップS109では、ステップS101の要求回動角を用い、90°±1°の所定範
囲の回動角に一対の偏心カム軸51a,51bを回動させる要求があるか否かを判別する。ステップS109において肯定判定された場合には、ステップS110へ移行する。ステップS109において否定判定された場合には、ステップS106へ移行する。

0057

ステップS110では、一対の偏心カム軸51a,51bを90°±1°の所定範囲における内燃機関1の機械圧縮比が高圧縮比となる方向に変化する最初の回動角である特定角2に保持する。本ステップの処理の後、本ルーチンを一旦終了する。

0058

このようなルーチンを実行することにより、触媒の活性状態を維持しつつ内燃機関1の熱効率を上昇させたり、触媒で浄化されないHCを含む排気を外へ排出させてしまうことを抑制したりできる。

0059

なお、上記実施例では、所定角として90°の回動角を例に挙げたがこれに限られない。所定角は、シリンダブロックのリフト量を一定に保持するためにモータへの通電をONするかOFFするかの境界の角度であればよい。

0060

また、所定範囲も、90°±1°の回動角の範囲を例に挙げたがこれに限られない。例えば、所定角±2°の回動角を所定範囲としてもよいし、「所定角−1°」〜「所定角+2°」のように所定角の前後の幅が異なるものを所定範囲としてもよい。

0061

また、特定角も、所定範囲移行時の回動角や、所定範囲における内燃機関の機械圧縮比が低圧縮比となる方向に変化する最初の回動角や、所定範囲における内燃機関の機械圧縮比が高圧縮比となる方向に変化する最初の回動角を例に挙げたがこれに限られない。要は、モータへの通電が継続的にONとなるか、継続的にOFFとなるかのどちらかに設定する回動角であればよい。

0062

本発明に係る可変圧縮比内燃機関の制御装置は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。

0063

1内燃機関
2シリンダブロック
3クランクケース
4シリンダヘッド
5変位機構
6アクチュエータ
7隆起部
8カム収納孔
9ガイド部
10回動角センサ
20シリンダ
51a,51b偏心カム軸
52a,52bフリーカム部
53a,53b軸受部
61a,61bウォームホイール
62a,62bウォーム
63シャフト
64モータ
100 ECU

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