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技術 金属造形物の製造方法及び積層造形用の金属樹脂複合体粉末

出願人 兵庫県
発明者 山口篤福本信次遊佐真一黒田義和石塚道雄
出願日 2009年3月3日 (9年11ヶ月経過) 出願番号 2009-049220
公開日 2010年9月16日 (8年5ヶ月経過) 公開番号 2010-202928
状態 未査定
技術分野 粉末冶金
主要キーワード 金属樹脂複合体 バナジウム系合金 被覆金属粉末 選択的レーザ焼結 チタン炭化物 積層造形用 造形体 積層造形装置
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

従来作製できなかった軽量な金属造形物を、選択的レーザ焼結間接法を用いて作製しうる金属造形物の製造方法、及びそのような金属造形物の製造方法に好適な金属と樹脂との複合粉末を提供すること。

解決手段

熱可塑性樹脂であるナイロン12によって金属粉末を均一に被覆し、さらに熱硬化性樹脂であるノボラック型フェノール樹脂粉末を添加して金属樹脂複合体粉末とする。この金属樹脂複合体粉末を用い、積層造形法によって所定の形状の成形体製作する。後工程の熱処理マグネシウム溶浸させることによって、軽量で複雑な形状の金属造形物も製造可能となる。

概要

背景

商品デザイン/設計/製造の各過程において、デジタル情報共有する3次元デジタルシステムが応用されつつある。そのなかでも、製造過程ではRP(Rapid Prototyping)法と呼ばれる三次元造型技術が適用されつつある。

このRP法は、紙又は樹脂の分野における造形技術としては既に確立している。一方、金属分野における造形技術としては、選択的レーザ焼結法(SLS法)がよく利用される。このSLS法は、薄い粉末層を積層し、レーザ光を用いて特定領域を選択的に焼結する作業を繰り返すことにより、3次元形状を造形する技術であり、セラミックへも応用されている。

ここで、図9に基づいて、SLS間接法基本原理を説明する。まず、レーザ照射・積層工程として、樹脂配合金属粉末金属樹脂複合体粉末)を積層する。次に、積層した樹脂配合金属粉末の所定位置に選択的にレーザ照射する。このとき、レーザ出力が小さいため、金属粉末溶融せず、樹脂のみが溶融する。さらに、樹脂配合金属粉末の積層と選択的なレーザ照射とを繰り返す。その結果、設計した形状を有する、樹脂配合金属粉末からなる成形体グリーン体)が成形される。

レーザ照射・積層工程に続いて、脱脂・焼結・溶浸工程が行われる。まず、成形体を不活性ガス存在下で加熱することにより樹脂を分解(脱脂)し、金属粒子を焼結させて焼結体とする。その後、焼結させた金属よりも融点の低い金属を溶融させて、溶融した金属を、毛細管現象を利用して焼結体に溶浸させることにより、金属造形物溶浸体)が完成する。

このSLS間接法を利用すれば、複雑な形状の金属部品を、寸法精度よく作製可能である。また、木型金型等の型が不要であり、3次元CADデータを元に積層造形可能なことから、小ロット生産切削加工できないような複雑な形状の物品製造等に特に有益である。

SLS間接法に用いる積層造形物の製造方法では、樹脂バインダとしてフェノール樹脂が使用されていた。ここで、特許文献1には、樹脂バインダとしてナイロン樹脂を使用すると、フェノール樹脂を使用する場合と比較して、成形体の強度が高くなることが開示されている。また、特許文献2には、金属粒子の表面に合成樹脂バインダコーティングすることが開示されている。

さらに、SLS間接法に使用する積層造形装置及び積層造形用の樹脂配合金属粉末も市販されている。例えば、3Dシステムズ社(米国)が販売している積層造形用の樹脂配合金属粉末は、樹脂を配合したステンレス鋼粉末である。そして、ステンレス鋼粉末を積層造形に用いた場合は、銅を溶浸させる方法が採られている。

概要

従来作製できなかった軽量な金属造形物を、選択的レーザ焼結間接法を用いて作製しうる金属造形物の製造方法、及びそのような金属造形物の製造方法に好適な金属と樹脂との複合粉末を提供すること。熱可塑性樹脂であるナイロン12によって金属粉末を均一に被覆し、さらに熱硬化性樹脂であるノボラック型フェノール樹脂粉末を添加して金属樹脂複合体粉末とする。この金属樹脂複合体粉末を用い、積層造形法によって所定の形状の成形体を製作する。後工程の熱処理マグネシウムを溶浸させることによって、軽量で複雑な形状の金属造形物も製造可能となる。

目的

本発明は、従来作製できなかった軽量な金属造形物を、選択的レーザ焼結間接法を用いて作製しうる金属造形物の製造方法、及びそのような金属造形物の製造方法に好適な金属と樹脂との複合粉末の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

金属粉末ナイロン樹脂で均一に被覆し、さらにフェノール樹脂粉末を添加した金属樹脂複合粉末を用いて、選択的レーザ焼結間接法を用いて所定形状の金属造形物を製造する方法であって、前記金属粉末は、チタン粉末又はチタン合金粉末であり、前記ナイロン樹脂はナイロン12であり、前記フェノール樹脂ノボラック型フェノール樹脂であり、前記選択的レーザ焼結間接法において、焼結させたチタン又はチタン合金溶浸させる金属がマグネシウム又はマグネシウム合金である、ことを特徴とする金属造形物の製造方法。

請求項2

前記金属樹脂複合体が、最大粒径75μm以下のチタン粉末又はチタン合金粉末の表面を0.5重量%以上2.0重量%以下のナイロン12で被覆したナイロン被覆金属粉末に、中位径3μm以上10μm以下のノボラック型フェノール樹脂粉末を1.0重量%以上3.0重量%以下で添加したものである、請求項1に記載の金属造形物の製造方法。

請求項3

前記金属樹脂複合体が、中位径100 nm以下のチタン酸化物粉末又はチタン炭化物粉末を0.01重量部以上0.2重量部以下含有する、請求項1又は2に記載の金属造形物の製造方法。

請求項4

最大粒径75μm以下のチタン粉末又はチタン合金粉末の表面を0.5重量%以上2.0重量%以下のナイロン12で被覆したナイロン被覆金属粉末に、さらに中位径3μm以上10μm以下のノボラック型フェノール樹脂粉末を1.0重量%以上3.0重量%以下で添加したことを特徴とする、積層造形用金属樹脂複合体粉末

請求項5

中位径100 nm以下のチタン酸化物粉末又はチタン炭化物粉末を0.01重量部以上0.2重量部以下で含有する、請求項4に記載の積層造形用の金属樹脂複合体粉末。

技術分野

0001

本発明は、立体形状データから、金属と樹脂との複合粉体を積層し、レーザ照射により成形体グリーン体)を造形し、その後脱脂及び溶浸を行う選択的レーザ焼結間接法(Selective Laser Sintering間接法)を用いる金属造形物の製造方法に関する。また、本発明は、そのような金属造形物の製造方法において使用する金属と樹脂との複合粉末に関する。

背景技術

0002

商品デザイン/設計/製造の各過程において、デジタル情報共有する3次元デジタルシステムが応用されつつある。そのなかでも、製造過程ではRP(Rapid Prototyping)法と呼ばれる三次元造型技術が適用されつつある。

0003

このRP法は、紙又は樹脂の分野における造形技術としては既に確立している。一方、金属分野における造形技術としては、選択的レーザ焼結法(SLS法)がよく利用される。このSLS法は、薄い粉末層を積層し、レーザ光を用いて特定領域を選択的に焼結する作業を繰り返すことにより、3次元形状を造形する技術であり、セラミックへも応用されている。

0004

ここで、図9に基づいて、SLS間接法の基本原理を説明する。まず、レーザ照射・積層工程として、樹脂配合金属粉末金属樹脂複合体粉末)を積層する。次に、積層した樹脂配合金属粉末の所定位置に選択的にレーザ照射する。このとき、レーザ出力が小さいため、金属粉末溶融せず、樹脂のみが溶融する。さらに、樹脂配合金属粉末の積層と選択的なレーザ照射とを繰り返す。その結果、設計した形状を有する、樹脂配合金属粉末からなる成形体(グリーン体)が成形される。

0005

レーザ照射・積層工程に続いて、脱脂・焼結・溶浸工程が行われる。まず、成形体を不活性ガス存在下で加熱することにより樹脂を分解(脱脂)し、金属粒子を焼結させて焼結体とする。その後、焼結させた金属よりも融点の低い金属を溶融させて、溶融した金属を、毛細管現象を利用して焼結体に溶浸させることにより、金属造形物(溶浸体)が完成する。

0006

このSLS間接法を利用すれば、複雑な形状の金属部品を、寸法精度よく作製可能である。また、木型金型等の型が不要であり、3次元CADデータを元に積層造形可能なことから、小ロット生産切削加工できないような複雑な形状の物品製造等に特に有益である。

0007

SLS間接法に用いる積層造形物の製造方法では、樹脂バインダとしてフェノール樹脂が使用されていた。ここで、特許文献1には、樹脂バインダとしてナイロン樹脂を使用すると、フェノール樹脂を使用する場合と比較して、成形体の強度が高くなることが開示されている。また、特許文献2には、金属粒子の表面に合成樹脂バインダコーティングすることが開示されている。

0008

さらに、SLS間接法に使用する積層造形装置及び積層造形用の樹脂配合金属粉末も市販されている。例えば、3Dシステムズ社(米国)が販売している積層造形用の樹脂配合金属粉末は、樹脂を配合したステンレス鋼粉末である。そして、ステンレス鋼粉末を積層造形に用いた場合は、銅を溶浸させる方法が採られている。

先行技術

0009

特開2003−305777号公報
特開2004−50225号公報

発明が解決しようとする課題

0010

特許文献1では、樹脂バインダとしてナイロン樹脂が好ましいことが開示されてはいるが、実施例が開示されていないため、フェノール樹脂と比較した効果は不明である。また、特許文献2では、樹脂バインダの種類が何ら限定されておらず、どのような樹脂と金属粉末との組み合わせが好ましいのかが全く不明である。

0011

また、上述した市販の積層造形装置及び樹脂配合金属粉末を使用して金属造形物を製作する場合には、ステンレス及び銅のどちらも比重が大きな金属であるため、造形物の重量が大きくなってしまうという問題があり、自動車又は航空機部品に求められるような軽量の造形物を作製することは困難であった。

0012

本発明は、従来作製できなかった軽量な金属造形物を、選択的レーザ焼結間接法を用いて作製しうる金属造形物の製造方法、及びそのような金属造形物の製造方法に好適な金属と樹脂との複合粉末の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0013

積層造形用の樹脂配合金属粉末は、配合するバインダ樹脂について、低出力レーザ照射によって硬化する熱硬化性と、積層時に適度な流動性を持つ熱可塑性という二つの異なる性質が求められる。特許文献1に開示されているように、熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂を金属粉末に配合した場合、積層造形は可能であるが、成形体の強度が低いことは知られている。そこで、本発明者らは、まずナイロンを金属粉末に配合することを試みたが、ナイロンのみを金属粉末に配合しても、レーザ照射によって硬化すべき部分に十分な強度(高温硬さ)が得られず、樹脂配合金属粉末を複数層積層できないことが判明した。

0014

本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂であるナイロン12によって金属粉末を均一に被覆(コーティング)し、さらに熱硬化性樹脂であるフェノール樹脂の粉末を添加して金属樹脂複合体とすれば、成形体を焼結した後にマグネシウム又はマグネシウム合金を溶浸することによって、軽量で複雑な形状の造形物であってもSLS間接法を利用して積層造形しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0015

具体的に、本発明は、
金属粉末をナイロン樹脂で均一に被覆し、さらにフェノール樹脂粉末を添加した金属樹脂複合粉末を用いて、選択的レーザ焼結間接法を用いて所定形状の金属造形物を製造する方法であって、
前記金属粉末は、チタン粉末又はチタン合金粉末であり、
前記ナイロン樹脂はナイロン12であり、
前記フェノール樹脂はノボラック型フェノール樹脂であり、
前記選択的レーザ焼結間接法において、焼結させたチタン又はチタン合金の焼結体に溶浸させる金属がマグネシウム又はマグネシウム合金である、
ことを特徴とする金属造形物の製造方法に関する。

0016

本発明の金属造形物の製造方法では、チタン粉末又はチタン合金粉末をナイロン12によって被覆したナイロン被覆金属粉末に、さらにノボラック型フェノール樹脂粉末を添加した金属樹脂複合粉末を積層造形用原料として使用し、SLS間接法によってチタン又はチタン合金からなる成形体を作製する。

0017

ここで、チタン粉末又はチタン合金粉末にナイロン12粉末及びノボラック型フェノール樹脂粉末を単に添加して混合するだけでは、樹脂比率が少なければレーザ照射しても樹脂が硬化せず、樹脂比率を増やしても成形体が積層造形に必要な硬さとはならなかった。また、必要な硬さを得るために樹脂比率をさらに増やすと、その後の脱脂工程及び焼結工程に悪影響を及ぼし、金属造形物の造形が困難となった。

0018

しかし、チタン粉末又はチタン合金粉末をナイロン12によって均一に被覆したナイロン被覆金属粉末に、さらにノボラック型フェノール樹脂粉末を添加した金属樹脂複合粉末を積層造形用原料として使用すれば、少ない樹脂比率でも十分な硬度が得られることが確認された。また、SLS間接法によって成形体を作製し、脱脂工程及び焼結工程を経てマグネシウム又はマグネシウム合金を溶浸させれば、ステンレス粉末の焼結体に銅を溶浸させて作製した金属造形物と比較して、非常に軽量な金属造形物を作製できることが確認された。

0019

なお、ここでいうチタン合金とは、例えば、チタン−アルミニウムバナジウム系合金等である。また、ここでいうマグネシウム合金とは、例えば、マグネシウム−アルミニウム系合金、マグネシウム−亜鉛系合金等である。

0020

前記金属樹脂複合体は、最大粒径75μm以下のチタン粉末又はチタン合金粉末の表面を0.5重量%以上2.0重量%以下のナイロン12で被覆したナイロン被覆金属粉末に、中位径3μm以上10μm以下のノボラック型フェノール樹脂粉末を1.0重量%以上3.0重量%以下で添加したものであることが好ましい。

0021

ここでいう中位径とは、粉末の体積平均径のうち累積の50%粒子径を示す。また、ここでいう最大粒径とは、にかけたチタン粉末又はチタン合金粉末を使用する場合に、その篩の目開きの寸法を示す。

0022

前記金属樹脂複合体は、中位径100 nm以下のチタン酸化物粉末又はチタン炭化物粉末を0.01重量部以上0.2重量部以下含有することが好ましい。流動助剤として中位径100 nm以下のチタン酸化物粉末又はチタン炭化物粉末を0.01重量部以上0.2重量部以下で金属樹脂複合体に添加することにより、積層工程において金属樹脂複合粉末がより均一となるためである。

0023

また、本発明は、
最大粒径75μm以下のチタン粉末又はチタン合金粉末の表面を0.5重量%以上2.0重量%以下のナイロン12で被覆したナイロン被覆金属粉末に、さらに中位径3μm以上10μm以下のノボラック型フェノール樹脂粉末を1.0重量%以上3.0重量%以下で添加したことを特徴とする、積層造形用の金属樹脂複合体粉末に関する。

0024

本発明の積層造形用の金属樹脂複合体粉末は、流動助剤として中位径100 nm以下のチタン酸化物粉末又はチタン炭化物粉末を0.01重量部以上0.2重量部以下で含有することが好ましい。

発明の効果

0025

本発明の金属造形物の製造方法及び積層造形用の金属樹脂複合体粉末によれば、従来は不可能であった複雑な形状の軽量、かつ、高強度の金属造形物の製造が可能である。

図面の簡単な説明

0026

乾式混合粉末の硬さをデュロメーターによって経時的に測定したグラフである。
被覆混合粉末の硬さをデュロメーターによって経時的に測定したグラフである。
乾式混合粉末及び被覆混合粉末をレーザ照射によって熱硬化させた後の走査電子顕微鏡写真、及びチタン粒子と樹脂との結合状態を表す概念図である。
実施例1で金属マグネシウムを溶浸させる前後の外観撮影した写真である。
実施例1のマグネシウム溶浸後の造形物の組織断面を撮影した顕微鏡写真である。
実施例3について、金属造形物の設計寸法との誤差(単位mm)、密度、硬さ(HRB)、引張強さ及び破断伸びを測定した結果を示す図である。
実施例4で使用した金属樹脂複合粉末を用いて作製したチタン粉末成形体の例である。
チタン粉末成形体へマグネシウムを溶浸させた複雑形状造形物の例である。
SLS間接法の基本原理を説明する図である。

実施例

0027

以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参酌しながら説明する。なお、本発明は、以下に限定されない。

0028

予備的検討)
1.ナイロン12被覆チタン粉末
本発明者らは、まず金属粉末として軽量なチタン粉末を選択し、特許文献1に開示されているように、ナイロン12をバインダ樹脂として使用することを試みた。最大粒径45μm以下のチタン粉末((株)大阪チタニウムテクノロジーズ社製「TILOP-45」)をナイロン12で被覆したナイロン12被覆チタン粉末を作製し、SLS間接法を用いる金属造形物の作製を試みた。チタン粉末に対するナイロン12の重量割合は、3.0重量%とした。

0029

このナイロン12被覆チタン粉末を用いて、3Dシステムズ社(米国)の積層造形装置(Sinterstation HiQ SLS)を使用して積層造形物の作製を試みた。しかし、レーザ照射後に得られる造形体ペラペラの軟体であり、造形対が装置内部のローラーに巻き込まれてしまった。また、二層目以降を積層することも不可能であった(後述する比較例1)。

0030

2.ナイロン12及びフェノール樹脂を含む乾式混合粉末
次に、本発明者らは、上記最大粒径45μm以下のチタン粉末に、乳鉢粉砕したナイロン12粉末とフェノール樹脂(ノボラック型、住友ベークライト社製「スミライトレジンPR-50731」)粉末を添加し、乾式混合粉末を3種類作製した。ナイロン12粉末とフェノール樹脂(ノボラック型)粉末との比率は1:1.7とし、チタン粉末に対する樹脂の添加量は、2.7重量%、4.7重量%及び6.0重量%とした。

0031

この乾式混合粉末3種類を、内径25.4mm、高さ6mmのリファインテック社製ピストンシリンダ内に充填し、昇温速度20℃/分で200℃まで加熱し、乾式混合粉末の硬さをデュロメーター(ゴム硬度計)によって経時的に測定した。その結果を、図1に示す。

0032

樹脂添加量が2.7重量%の場合、200℃で加熱を続けても硬度(デュロメーター硬度タイプA)は変化せず、積層造形には利用不可であった。樹脂添加量が4.7重量%及び6.0重量%の場合には、経時的に硬度が増加したが、200℃で1時間加熱しても、積層造形に必要とされる硬度90に到達しなかった。このため、積層造形に必要な高温時の硬度を得るためには、チタン粉末に大量の樹脂を添加する必要があり、積層造形用途には使用できないと推察された。

0033

3.ナイロン12を被覆し、さらにフェノール樹脂を添加した被覆混合粉末
次に、本発明者らは、上記最大粒径45μm以下のチタン粉末をナイロン12によって被覆し、ナイロン被覆チタン粉末とした。さらに、乳鉢で粉砕したフェノール樹脂粉末を添加し、被覆混合粉末(金属樹脂複合粉末)3種類を作製した。ナイロン12粉末とフェノール樹脂(ノボラック型)粉末との比率は1:1.7とし、チタン粉末に対する樹脂の添加量は、2.5重量%、4.7重量%及び6.0重量%とした。

0034

この被覆混合粉末3種類を、上述したピストンシリンダ内に充填し、昇温速度20℃/分で200℃まで加熱し、被覆混合粉末の硬さをデュロメーター(ゴム硬度計)によって経時的に測定した。その結果を、図2に示す。

0035

いずれの樹脂添加量の場合でも、加熱開始から30分以内に硬度90に到達し、乾式混合粉末の場合と比較して、同じ樹脂を使用しても、少ない樹脂添加量で積層造形に必要な高温時の硬度を得ることが可能であった。

0036

ここで、乾式混合粉末(樹脂添加量4.7重量%)と被覆混合粉末(樹脂添加量4.0重量%)をレーザ照射によって熱硬化させた後の走査電子顕微鏡写真、及びチタン粒子と樹脂との結合状態を表す概念図を、図3に示す。

0037

図3(a)に示す乾式混合粉末の場合、チタン粒子(チタン粉末)と樹脂とは不均一な状態であり、チタン粒子同士が樹脂によって結着されていない部分も多く存在するため、成形体の強度は低い。一方、図3(b)に示す被覆混合粉末の場合、チタン粒子が樹脂によって均一に被覆された状態であり、チタン粒子同士も樹脂によって均一に結着されているため、成形体の強度は高い。

0038

[実施例1]
最大粒径45μm以下のチタン粉末を、チタン粉末の重量に対して0.75重量%のナイロン12で、湿式法によって均一に被覆した。さらに、チタン粉末の重量に対して1.25重量%のノボラック型フェノール樹脂粉末(中位径6μm)を添加した金属樹脂複合粉末を調製した。この、金属樹脂複合粉末を原料として、SLS造形装置として3Dシステムズ社Sinterstation HiQ SLSを使用して積層造形を行い、金属造形物を作製した。

0039

具体的には、金属樹脂複合粉末を、供給トレイ温度66℃、造形ステージ雰囲気温度110℃、CO2レーザ出力23Wという条件下でブロック状の成形体とした後、高純度アルゴンガス雰囲気下、500℃で100分間加熱処理することにより脱脂工程を行い、樹脂を加熱分解した。さらに、700℃で金属マグネシウム(融点650℃)を焼結体に溶浸させた。

0040

[実施例2]
チタン粉末の重量に対して1.1重量%のナイロン12で均一に被覆し、チタン粉末の重量に対して1.9重量%のノボラック型フェノール樹脂粉末を添加した金属樹脂複合粉末を調製すること以外、すべて実施例1と同様にして、金属造形物を作製した。

0041

[実施例3]
流動助剤として中位径25 nmのチタン酸化物粉末をチタン粉末の質量に対して0.05重量部添加する以外、すべて実施例2と同様にして、金属造形物を作製した。

0042

[実施例4]
チタン粉末の重量に対して1.5重量%のナイロン12で均一に被覆し、チタン粉末の重量に対して2.5重量%のノボラック型フェノール樹脂粉末を添加する以外、すべて実施例1と同様にして、金属造形物を作製した。

0043

[比較例1]
チタン粉末の重量に対して3.0重量%のナイロン12で均一に被覆し、ノボラック型フェノール樹脂粉末を添加しないこと以外、すべて実施例1と同様にして、金属造形物を作製した。

0044

[比較例2]
チタン粉末の重量に対してノボラック型フェノール樹脂粉末(中位径3μm)を2.2重量%添加し、ナイロン12でチタン粉末を被覆しないこと以外、すべて実施例1と同様にして、金属造形物を作製した。

0045

[比較例3]
チタン粉末の重量に対して0.75重量%のナイロン12で均一に被覆し、チタン粉末の重量に対して1.95重量%のノボラック型フェノール樹脂粉末(中位径3μm)を添加する以外、すべて実施例1と同様にして、金属造形物を作製した。

0046

[比較例4]
チタン粉末の重量に対して1.0重量%のナイロン12で均一に被覆し、チタン粉末の重量に対して1.7重量%のノボラック型フェノール樹脂粉末(中位径3μm)を添加する以外、すべて実施例1と同様にして、金属造形物を作製した。

0047

[比較例5]
チタン粉末の重量に対して1.5重量%のナイロン12で均一に被覆し、チタン粉末の重量に対して1.2重量%のノボラック型フェノール樹脂粉末(中位径3μm)を添加する以外、すべて実施例1と同様にして、金属造形物を作製した。

0048

[比較例6]
チタン粉末の重量に対して1.75重量%のナイロン12で乾式法によって不均一に被覆し、チタン粉末の重量に対して2.95重量%のノボラック型フェノール樹脂粉末(中位径6μm)を添加する以外、すべて実施例1と同様にして、金属造形物を作製した。

0049

性能評価
実施例1〜4及び比較例1〜6の複合粉末状態と性能評価の結果を、表1に示す。

0050

0051

まず、実施例1〜4によって作製されたブロック状の成形体は、ローラーへの巻付きはなく、成形体の強度も十分であり、ハンドリングは良好であった。また、脱脂工程の状態及び金属マグネシウムの溶浸性も良好であり、設計通りの軽量な金属造形物が作製できた。

0052

一方、ナイロン12で均一にチタン粉末を被覆したのみである比較例1では、レーザ照射後に得られる造形体はペラペラの軟体であり、装置内部のローラーに巻き込まれてしまった。二層目以降を積層することも不可能であった。

0053

また、中位径3μmであるフェノール樹脂のみをチタン粉末に添加した比較例2は、熱硬化によって十分な硬さの成形体を作製できたが、非常に脆く、取り出す時点で破損してハンドリングが悪かった。このため、脱脂工程以降の工程を実施することは不可能であった。チタン粉末をナイロン12で均一に被覆し、さらに中位径3μmであるフェノール樹脂を添加した比較例3〜5でも、粉末の流動性が悪く、比較例2と同様に、成形体の強度が低かった。

0054

さらに、中位径6μmであるフェノール樹脂を添加しても、チタン粉末をナイロン12で不均一に被覆した比較例6(樹脂合計4.7重量%)は、比較例2〜5と異なり成形体を取り出して脱脂工程以降を実施することは可能であったが、図3(a)及び図3(b)に示したように、樹脂同士の凝集が起こっているために、成形体の強度は不十分であった。また、凝集した樹脂は均一被覆した樹脂に比べて脱脂効率が悪く、残存した炭素成分とマグネシウムとの濡れ性が悪いことが相まって、空孔の多い溶浸体となるという問題を生じた。

0055

ここで、実施例1で金属マグネシウムを溶浸させる前後の焼結体の状態を、図4に示す。また、実施例4のマグネシウム溶浸後の造形物の組織断面を、図5に示す。実施例1の金属造形物は、チタン粒子の空隙にマグネシウムが十分に溶浸しており、気泡等は確認されなかった。

0056

また、実施例3について、設計寸法との誤差(単位mm)、密度、硬さ(HRB)、引張強さ及び破断伸びを測定した結果を、図6に示す。図6に示したブロック状の金属造形物の場合、設計寸法との誤差は最大でも2.0%であり、非常に小さかった。積層造形時のパラメータを変更することで、さらなる高精度化も可能である。また、硬さ、引張強さ及び破断伸びの測定値も、積層造形物として機械的強度は十分実用に耐えるレベルであった。

0057

さらに、実施例4で使用した金属樹脂複合粉末を用いて積層造形を行うことによって、図7に示すような各種形状のチタン粉末成形体を製造することが可能であった。

0058

図8は、図7の右端に写っている成形体のマグネシウム溶浸後の接写写真である。一辺2cmの立方体収納できるような小型で、複雑な形状を有する金属造形物であるが、本発明では、欠損等を生じることなく、製造することが可能であった。

0059

本発明の金属造形物の製造方法及び積層造形用の金属樹脂複合体粉末は、金属積層造形分野において、軽量の金属造形物を作製する方法及び原料粉末として有用である。

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