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技術 乳酸発酵方法

出願人 学校法人中部大学
発明者 山根恒夫
出願日 2009年2月27日 (11年8ヶ月経過) 出願番号 2009-045262
公開日 2010年9月9日 (10年2ヶ月経過) 公開番号 2010-193846
状態 拒絶査定
技術分野 微生物による化合物の製造
主要キーワード 立方体形 乳酸生成能 パルプ状 流動条件 一定容積 乳酸生成 クモノスカビ 連続気孔
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年9月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

課題

糸状菌形態制御が容易な乳酸発酵方法を実現する。

解決手段

本発明の乳酸発酵方法では、乳酸生成能を有する糸状菌をスポンジ多孔質材料からなる担体担持して乳酸発酵に用いる。ため、糸状菌の菌糸の増殖は担体内に限定され、糸状菌を胞子接種量や培養の流動条件に依存せずに一定サイズの均一なペレット形態とすることができ、培養容器などへの付着を防止することができる。担体は連通した気孔を備えた多孔質材料からなるため、糸状菌の菌糸が増殖しやすく、多量に担持させることができるので、乳酸製造効率を高くすることができる。また、連通した気孔を備え圧縮性を有しているため、内部の空気を容易に抜くことができる。

概要

背景

乳酸は、醸造漬物清涼飲料酸味料などの食品用医療用塗料溶剤生分解性プラスチックなどの工業用といろいろな分野で用いられており、その需要が増加している。従来より、乳酸の製造方法として、食用バイオマス主原料とし、乳酸菌により発酵製造する方法が行われている。ここで、乳酸菌による乳酸の製造では、発酵条件の制御が容易で、乳酸収率が高いという利点があるが、乳酸菌の培養に多くの栄養素を必要とし、培地組成が複雑でコストがかかる、また、乳酸菌は自身の生産する乳酸の酸性死滅しやすいため、発酵は炭酸カルシウムなどのアルカリを添加して生成乳酸を中和しながら行う必要があるが、このとき副生される石膏の処理にコストがかかる、などの問題点があった。
また、培地に副原料が多量に残っている場合には、高純度の乳酸を得ることは困難である。これらの課題を解消するために、糸状菌を用いて乳酸を製造する方法が各種開発されている。糸状菌を用いて乳酸を製造する方法では、培地成分としては炭素源無機塩であればよく、製造コストを低減することができる。また、光学純度の高いL-乳酸を生成することができる。更に、非食用バイオマスを原料とすることができる。このような技術として、例えば、特許文献1には、糸状菌の胞子液体培地植菌し、通気による撹拌を行いつつ培養することにより生成する菌体集合物ペレット)を液体培地中に浮遊させて発酵を行わせることを特徴とする乳酸の製造方法が開示されている。
特開平6−253871号公報

概要

糸状菌の形態制御が容易な乳酸発酵方法を実現する。 本発明の乳酸発酵方法では、乳酸生成能を有する糸状菌をスポンジ多孔質材料からなる担体担持して乳酸発酵に用いる。ため、糸状菌の菌糸の増殖は担体内に限定され、糸状菌を胞子接種量や培養の流動条件に依存せずに一定サイズの均一なペレット形態とすることができ、培養容器などへの付着を防止することができる。担体は連通した気孔を備えた多孔質材料からなるため、糸状菌の菌糸が増殖しやすく、多量に担持させることができるので、乳酸の製造効率を高くすることができる。また、連通した気孔を備え圧縮性を有しているため、内部の空気を容易に抜くことができる。

目的

そこで、本発明は、糸状菌の形態制御が容易な乳酸発酵方法を実現することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

連通した気孔を備え圧縮性を有するスポンジ多孔質材料からなる担体に、乳酸生成能を有する糸状菌担持し、当該担体を液体培地中に浮遊させて乳酸発酵を行わせることを特徴とする乳酸発酵方法

請求項2

前記担体は、気孔率が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載の乳酸発酵方法。

請求項3

前記担体は、外形寸法が1〜7mmの塊状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乳酸発酵方法。

請求項4

前記糸状菌は、リゾプス(Rhizopus)属に属する菌体であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の乳酸発酵方法。

技術分野

0001

本発明は、糸状菌を用いた乳酸発酵方法に関する。

背景技術

0002

乳酸は、醸造漬物清涼飲料酸味料などの食品用医療用塗料溶剤生分解性プラスチックなどの工業用といろいろな分野で用いられており、その需要が増加している。従来より、乳酸の製造方法として、食用バイオマス主原料とし、乳酸菌により発酵製造する方法が行われている。ここで、乳酸菌による乳酸の製造では、発酵条件の制御が容易で、乳酸収率が高いという利点があるが、乳酸菌の培養に多くの栄養素を必要とし、培地組成が複雑でコストがかかる、また、乳酸菌は自身の生産する乳酸の酸性死滅しやすいため、発酵は炭酸カルシウムなどのアルカリを添加して生成乳酸を中和しながら行う必要があるが、このとき副生される石膏の処理にコストがかかる、などの問題点があった。
また、培地に副原料が多量に残っている場合には、高純度の乳酸を得ることは困難である。これらの課題を解消するために、糸状菌を用いて乳酸を製造する方法が各種開発されている。糸状菌を用いて乳酸を製造する方法では、培地成分としては炭素源無機塩であればよく、製造コストを低減することができる。また、光学純度の高いL-乳酸を生成することができる。更に、非食用バイオマスを原料とすることができる。このような技術として、例えば、特許文献1には、糸状菌の胞子液体培地植菌し、通気による撹拌を行いつつ培養することにより生成する菌体集合物ペレット)を液体培地中に浮遊させて発酵を行わせることを特徴とする乳酸の製造方法が開示されている。
特開平6−253871号公報

発明が解決しようとする課題

0003

しかし、糸状菌は、胞子接種量、培地組成、pH変化、攪拌の強さなどの培養条件によりその形態が大きく変動し、菌糸が培地の液面に浮上したり、発酵装置内壁に付着したりして、発酵効率が悪くなりやすい。そのため、上述のような技術では、糸状菌をペレット状にするために、培養条件を高度に制御する必要があり、培養操作が難しいという問題があった。

0004

そこで、本発明は、糸状菌の形態制御が容易な乳酸発酵方法を実現することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、乳酸発酵方法において、連通した気孔を備え圧縮性を有するスポンジ多孔質材料からなる担体に、乳酸生成能を有する糸状菌を担持し、当該担体を液体培地中に浮遊させて乳酸発酵を行わせる、という技術的手段を用いる。

0006

請求項1に記載の発明によれば、乳酸生成能を有する糸状菌をスポンジ様多孔質材料からなる担体に担持して乳酸発酵に用いるため、糸状菌の菌糸の増殖は担体内に限定され、糸状菌を胞子接種量や培養の流動条件に依存せずに一定サイズの均一なペレット形態とすることができ、培養容器などへの付着を防止することができる。担体は連通した気孔を備えた多孔質材料からなるため、糸状菌の菌糸が増殖しやすく、多量に担持させることができるので、乳酸の製造効率を高くすることができる。また、連通した気孔を備え圧縮性を有しているため、内部の空気を容易に抜くことができ、担体が液体培地表面に浮き上がることがなく、担体を液体培地中に懸濁させることができる。更に、液体培地のみを容易に分離できるため、菌体を繰り返し用いる反復回分培養連続培養を容易に行うことができる。

0007

請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の乳酸発酵方法において、前記担体は、気孔率が90%以上である、という技術的手段を用いる。

0008

請求項2に記載の発明では、担体は気孔率が90%以上と極めて高い気孔率を有するため、多くの糸状菌を担持することができるので、乳酸の製造効率を高くすることができる。

0009

請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の乳酸発酵方法において、前記担体は、外形寸法が1〜7mmの塊状に形成されている、という技術的手段を用いる。

0010

糸状菌を用いた乳酸発酵において、菌の様相が1〜7mmのペレット状の場合に乳酸収率が高く発酵速度が早いことが知られており、請求項3に記載の発明のように、外形寸法が1〜7mmの塊状に形成されている担体は、乳酸の製造効率を高くすることができるので、好適に用いることができる。なお、塊状とは、各種形態を包括するものであり、立方体、球形、不定形などの形態を採用することができる。

0011

請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の乳酸発酵方法において、前記糸状菌は、リゾプス(Rhizopus)属に属する菌体である、という技術的手段を用いる。

0012

請求項4に記載の発明のように、リゾプス(Rhizopus)属に属する菌体は、無機塩と炭素源だけで生育でき、生成されるL−乳酸の純度が高い。また、ヘキソースだけでなくペントースからも乳酸を得ることができるため、非食用バイオマス(木質草本系バイオマス)を原料とすることもできる。特に、リゾプスオリゼ(Rhizopus oryzae:和名クモノスカビ)はL−乳酸を多量に生産することができることから好適に用いることができる。

発明を実施するための最良の形態

0013

本発明における乳酸発酵方法について、図を参照して説明する。図1は、担体の構造を示す説明図である。

0014

本発明の乳酸発酵方法において用いる担体は、例えば、図1に示すような連通した気孔を備えた多孔質材料からなる担体10である。担体10は連通した気孔11を備えた高気孔率の多孔質材料12からなるため、糸状菌の菌糸が増殖しやすく、多量に担持させることができるので、乳酸の製造効率を高くすることができる。ここで、気孔率は90%以上であると、十分に糸状菌の菌糸が増殖しやすく好ましい。

0015

担体10は連通した気孔11を備え圧縮性を有しているため、内部の空気を容易に抜くことができ、担体10が液体培地表面に浮き上がることがなく、担体10を液体培地中に懸濁させることができる。

0016

上述のような担体10は、例えば、ポリウレタンフォームなどのスポンジ様の多孔質材料により立方体状に形成される。

0017

乳酸発酵は、以下の手順で実施する。ここでは、糸状菌として、リゾプス(Rhizopus)属に属するリゾプスオリゼ(Rhizopus oryzae:和名クモノスカビ)を用いる。リゾプス(Rhizopus)属に属する菌体は、無機塩と炭素源だけで生育でき、生成されるL−乳酸の純度が高い。また、ヘキソースだけでなくペントースからも乳酸を得ることができるため、非食用バイオマス(木質・草本系バイオマス)を原料とすることもできる。リゾプス オリゼ(Rhizopus oryzae:和名クモノスカビ)はL−乳酸を多量に生産することができることから好適に用いることができる。

0018

まず、リゾプスオリゼの胞子をポテトデキストロース寒天(PDA)培地などで培養し、無菌水などでミキシングすることにより所定の初発濃度胞子懸濁液を作製する。無菌水にはTween80などのTween系界面活性剤などを添加することもできる。これにより、胞子を無菌水中に効果的に分散させることができ、均質な懸濁液を得ることができる。

0019

次に、乳酸発酵に用いる液体培地を用意する。液体培地は、グルコースキシロースなどの炭素源に、硝酸アンモニウム硫酸アンモニウムなどの少量の無機塩を添加して作製する。なお、液体培地としては、糸状菌の菌体を生育できる通常の液体培地であれば種類は問わない。

0020

続いて、発酵容器に液体培地と担体を装入し、オートクレーブ滅菌処理した後に、胞子懸濁液を無菌的に植菌する。担体は、液体培地内で押圧することにより容易に脱気することができる。ここで、担体は、滅菌処理で加熱(121℃)されるため、当該温度での耐久性が要求される。

0021

リゾプスオリゼによる乳酸発酵は好気性発酵であるため、液体培地と担体とを撹拌翼やエア−リフトなどにより撹拌しながら、所定の温度、pHなどの発酵条件により、リゾプス オリゼを増殖させながら乳酸発酵を行う。ここで、担体は脱気されているため、液体培地中で良好に懸濁される。

0022

ここで、リゾプスオリゼは、担体に担持されて増殖が担体内に限定されるため、胞子接種量や流動などの培養条件に依存せずに一定サイズの均一なペレット形態とすることができ、培養容器などへの付着を防止することができる。ここで、担体は、外形寸法が1〜7mmの塊状に形成されていることが好ましい。糸状菌を用いた乳酸発酵においては、菌の様相が1〜7mmのペレット状の場合に乳酸収率が高く発酵速度が早いためである。このとき、例えば、担体1mlあたり105〜106個の糸状菌が担持されている。なお、塊状とは、各種形態を包括するものであり、立方体、球形、不定形などの形態を採用することができる。

0023

リゾプスオリゼはほとんど担体にのみ増殖しているため、液体培地とリゾプス オリゼとの分離は、液体培地と担体とを分離することにより、容易に行うことができる。これにより、菌体は担体に残存するため、菌体を繰り返し用いる反復回分培養や連続培養を容易に行うことができる。

0024

上述の工程では、リゾプスオリゼを発酵とともに担体に担持したが、発酵前に担体に担持することもできる。また、担持方法としては、上述の方法以外に物理的に吸着させたり、他の方法を採用することもできる。

0025

(実施例)
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明に係わる担体、菌体、発酵方法などは実施例に限定されない。

0026

担体粒子としては、連続気孔を有するスポンジ様の気孔率95〜96%のポリウレタンフォームを3.5mm角立方体形状に成型されたものを用いた。

0027

菌株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジー本部から入手しRhizopus oryzae NBRC4707を用いた。

0028

液体培地は、表1の組成で作製した各Stock solutionを表2の割合で混合したものを用いた。初発のpHは5.26であった。

0029

0030

0031

胞子の調製法を以下に示す。入手した菌株の胞子を復水液に懸濁し、2枚のPDA寒天培地に塗布し、インキュベータで1週間30℃の条件で培養した。得られた寒天培地上に生育した胞子に滅菌した0.03%Tween80水溶液を適量入れ、スプレッダ−やスパーテルで集めて、20枚のPDA寒天培地上に塗布し、インキュベータで1週間30℃の条件で培養した。得られた胞子は0.03%Tween80水溶液+40%
glycerol水溶液(1:1)の溶液で胞子懸濁液をつくった。このように得られた胞子懸濁液を0.01%Tween80水溶液で適当に希釈し、トーマ血球計によって顕微鏡下で一定容積中の菌数繰り返し数え、胞子懸濁液の濃度とした。この胞子懸濁液は−80℃で保存した。胞子の初発接種量は、2×106/mLとした。

0032

(実施例1)
胞子懸濁液を融解した後に、均一な状態にした胞子懸濁液2×106/mLを300ml容量の三角フラスコ内の滅菌済みの液体培地に接種し、37℃、攪拌速度150rpmの条件で振とう培養を行った。担体は液体培地50mLに対して300個の割合で使用した。炭素源以外の液体培地にスポンジ担体を装入し、パンチングメタルを介して押圧し、担体内の空気を脱気した。発酵生成したL−乳酸の量は、発酵液毎日500μLずつ採取し、原子吸光法により分析した。三角フラスコは、バッフル付のものとバッフルがないものを用意し、担体の影響とともにバッフルの有無の影響も調べた。

0033

図2にL−乳酸生産量の経時変化を示す。担体及びバッフル付三角フラスコを用いた場合がL−-乳酸の収率が高く、最大乳酸生成速度も早かった。菌体が担体に入って均一な状態になったこと、バッフルによって通常に比べて攪拌・通気効果が上がったことにより収率が上がったと考えられる。担体を使用した場合には、菌体は担体内部でのみ増殖したが、担体を使用しなかった場合、菌体は三角フラスコ内壁に付着したり、大きな塊となり液体培地に浮遊したりしていた。

0034

(実施例2)
実施例1をスケールアップさせて、ファーメンターでの培養を行った。滅菌後、装置をセットし、約37℃で表1に記載のA(炭素源)を接種口から流しいれた。その後、均一にした胞子懸濁液2×106/mLになるように接種口から接種し、37℃、攪拌速度250rpmの条件で培養を開始した。全量は1.5Lとした。担体は液体培地50mLに対して300個の割合で使用した。

0035

図3に培養後の菌体の形態を示す。図3(A)では担体を用いなかった場合の菌体の形態、図3(B)では担体を用いた場合の菌体の形態を示す。図3(A)に示すように、担体を用いなかった場合では、菌体は、液体培地中に塊になって浮遊したり、内壁や攪拌羽攪拌棒パルプ状に付着したりしたため、装置が作動しなくなってしまった。一方、図3(B)に示すように、担体を用いた場合では、担体中に菌体が均一に入っており、内壁などに菌体が付着することはなかった。

0036

(実施例3)
担体中の菌体量の経時変化を調べた。培養条件は、37℃、攪拌速度150rpmで、9日間の培養を行った。図4に担体に担持された菌体量の経時変化を示す。菌体量は3日までは急増し、その後は緩やかに増加し、約0.5mg/担体で一定となった。液体培地はほぼ透明であり、菌体が担体内でのみ成長することが確認された。

0037

(実施例4)
実施例1と同様の培養条件により、繰り返し回分培養を行った。L−乳酸の生産量がが12〜13g/Lになった時点で、クリーンベンチ内で液体培地を除き、滅菌済みの液体培地をいれて一度担体を洗い、新しい滅菌済みの液体培地を加えて培養機へ戻した。この操作を10回繰り返し行った。発酵生成したL−乳酸の量は、発酵液を毎日500μLずつ採取し、原子吸光法により分析した。なお、4回目の培養のみキシロースの濃度を60g/Lとした。

0038

図5に繰り返し回分培養でのL−乳酸生産量の経時変化を示す。L−乳酸生産量の経時変化は、繰り返し回数に依存せず、ほぼ一定の挙動を示し、4回目を除き、乳酸収率は約0.4g/gと良好な結果を示した。これにより、本発明の担体を用いて繰り返し回分培養を良好な条件で実施することができることが確認された。

0039

(実施例5)
初発胞子量のL−乳酸生産量への影響を調べた。初発胞子量は、2×104/mL、2×105/mL、2×106/mL、2×107/mLの4水準とし、担体とバッフル付三角フラスコを用いて、実施例1と同じ培養条件で培養を行った。発酵生成したL−乳酸の量は、発酵液を毎日500μLずつ採取し、原子吸光法により分析した。

0040

図6に異なった初発胞子量によるL−乳酸生産量の経時変化を示す。L−乳酸の収率及び最大乳酸生産速度は、初発胞子量2×105/mLの場合が最も高い値を示した。初発胞子量が少なくなるのにつれて、L−乳酸が生産され始める時間も遅くなった。また、目視によると、初発胞子量2×107/mLの場合は、三角フラスコの上部内壁に多量の菌体が付着していた。接種胞子数が多ければ多いほどL−乳酸の生成速度や収率が上がるわけではないことから、担体粒子1個当りの初発胞子量に上限値があり、それ以上多くしても胞子は担体内に入りきれないと考えられた。

0041

(実施例6)
異なる炭素源でのL−乳酸生産量の経時変化を調べた。実施例1〜5で用いた炭素源ヘキソースであるXyloseに加え、ペントースであるGlucoseを用いて、実施例3と同様の条件で最大10日間の培養を行った。図7にL−乳酸生産量の経時変化を示す。図中の直線は、最大乳酸生成速度を求めるための近似直線である。表3に最大乳酸生成速度及びL−乳酸の収率を示す。

0042

0043

最大乳酸生成速度は、Glucoseを用いた場合がXyloseを用いた場合よりも約2倍速かった。乳酸の収率は、いずれも約0.5g/gであり、Glucose、Xyloseともに乳酸発酵に好適に用いることができる。これにより、ヘキソースだけでなくペントースからも乳酸を得ることができることが確認された。

0044

なお、各実施例では、菌株として、Rhizopus oryzae NBRC4707を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、Rhizopus oryzae NBRC5384も好適に用いることができる。

0045

最良の実施形態の効果]
(1)本発明の乳酸発酵方法によれば、乳酸生成能を有する糸状菌をスポンジ様多孔質材料からなる担体に担持して乳酸発酵に用いるため、糸状菌の菌糸の増殖は担体内に限定され、糸状菌を胞子接種量や培養の流動条件に依存せずに一定サイズの均一なペレット形態とすることができ、培養容器などへの付着を防止することができる。担体は連通した気孔を備えた多孔質材料からなるため、糸状菌の菌糸が増殖しやすく、多量に担持させることができるので、乳酸の製造効率を高くすることができる。また、連通した気孔を備え圧縮性を有しているため、内部の空気を容易に抜くことができ、担体が液体培地表面に浮き上がることがなく、担体を液体培地中に懸濁させることができる。更に、液体培地のみを容易に分離できるため、菌体を繰り返し用いる反復回分培養や連続培養を容易に行うことができる。

0046

(2)担体は気孔率が90%以上と極めて高い気孔率を有するため、多くの糸状菌を担持することができるので、乳酸の製造効率を高くすることができる。

0047

(3)糸状菌を用いた乳酸発酵において、菌の様相が1〜7mmのペレット状の場合に乳酸収率が高く発酵速度が早いことが知られており、請求項3に記載の発明のように、外形寸法が1〜7mmの塊状に形成されている担体は、乳酸の製造効率を高くすることができるので、好適に用いることができる。なお、塊状とは、各種形態を包括するものであり、立方体、球形、不定形などの形態を採用することができる。

0048

(4)リゾプス(Rhizopus)属に属する菌体は、無機塩と炭素源だけで生育でき、生成されるL−乳酸の純度が高い。また、ヘキソースだけでなくペントースからも乳酸を得ることができるため、非食用バイオマス(木質・草本系バイオマス)を原料とすることもできる。特に、リゾプスオリゼ(Rhizopus oryzae:和名クモノスカビ)はL−乳酸を多量に生産することができることから好適に用いることができる。

図面の簡単な説明

0049

担体の構造を示す説明図である。
実施例1におけるL−乳酸生産量の経時変化を示す説明図である。
実施例2における培養後の菌体の形態を説明図である。図3(A)では担体を用いなかった場合の菌体の形態、図3(B)では担体を用いた場合の菌体の形態を示す。
実施例3における担体に担持された菌体量の経時変化を示す説明図である。
実施例4における繰り返し回分培養でのL−乳酸生産量の経時変化を示す説明図である。
実施例5における異なった初発胞子量によるL−乳酸生産量の経時変化を示す説明図である。
実施例6におけるL−乳酸生産量の経時変化を示す説明図である。

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