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技術 熱間圧延油用潤滑油および熱間圧延板の製造方法

出願人 花王株式会社株式会社神戸製鋼所
発明者 市本武彦村尾伸介有村仁信濃昇池田昌則中西裕信
出願日 2009年12月15日 (11年0ヶ月経過) 出願番号 2009-284149
公開日 2010年8月5日 (10年5ヶ月経過) 公開番号 2010-168552
状態 特許登録済
技術分野 金属圧延一般 圧延機に特に連結された素材の表面処理装置 潤滑剤
主要キーワード アルミニウム板製 スプレー量 純アルミニウム材 水希釈物 予備圧延 乳化エマルション シリンダー油 希釈割合
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課題

熱間圧延工程における圧延潤滑性及び耐鉄腐食性に優れ、且つ優れた板表面品質性を有するアルミニウム圧延板を得ることができる、アルミニウム板用熱間圧延油用潤滑油を提供すること。

解決手段

(a)動粘度80mm2/s(40℃)以下の鉱物油、(b)炭素数10〜22の脂肪酸を1〜14質量%、(c)油脂及び/又は合成エステルを5〜15質量%、(d)リン極圧剤を5〜10質量%、(e)ポリオキシエチレンアルキルアミンを0.1〜1質量%、並びに、アミン系単量体一種以上、(メタアクリルアミド及び(メタ)アクリル酸塩共重合体有機酸塩を0.1〜10質量%含有してなり、かつ、前記成分(c)と成分(d)の質量比(成分(c)/成分(d))が、1/0.6〜1/1である、アルミニウム板用熱間圧延油用潤滑油。

概要

背景

一般に、アルミニウム板は、溶解・鋳造、面削、均質化処理を施したスラブを、熱間圧延を施して板状とした後に、必要に応じて冷間圧延焼鈍、精整工程(適正製品寸法スリットする工程や平滑な平面性にする矯正工程など)、必要に応じて表面処理工程を施して製造される。前記製造工程の内、熱間圧延工程はアルミニウム板製品の品質に対して最も重要な製造工程である。また、前記の熱間圧延工程では、リバース方式熱間粗圧延機(ラッファー)により粗圧延を行った後にタンデム方式熱間仕上圧延機(フニッシャー)で仕上圧延を行う方法と、1台の熱間粗仕上兼用圧延機で粗圧延と仕上圧延との双方を同じ圧延機で行う方法、とが実施されている。

アルミニウム板の熱間圧延では、圧延板表面から圧延ロール表面へアルミニウム移着して、ロールコーティングが形成される。従って、圧延板はロールコーティングと接触して圧延されることになるので、圧延板の表面品質はロールコーティングの性状によって左右される。熱間圧延時に発生した板の表面欠陥は冷間圧延後の板表面品質にも影響するので、熱間圧延におけるロールコーティング性状は非常に重要といえる。ロールコーティング性状は圧延諸条件板材質,板温度,板表面粗さ,ロール温度ロール表面粗さ,圧下率圧延速度ブラシロール操業条件など)と熱間圧延油により変化する。従って、熱間圧延油の選択は、ロールコーティングを制御する上で不可欠なものである。

熱間圧延では充分なロール冷却性が必要となるので熱間圧延油はエマルションの形で使用されている。アルミニウム板の熱間圧延油に要求される性能として、圧延潤滑性、ロールコーティング性、板表面品質性乳化定性耐鉄腐食性等があげられる。従来、一般にアルミニウム板の熱間圧延油としては、潤滑油基油である鉱物油脂肪酸天然油脂脂肪酸エステル等の油性向上剤極圧剤防錆剤酸化防止剤等を配合し、これを主に陰イオン性界面活性剤で乳化して、エマルションとして使用されている。

しかし、従来の乳化剤を用いたアルミニウム板用熱間圧延油では、圧延潤滑性と乳化安定性とは相反する傾向を示し、両性能を共に満足させることはできなかった。即ち、圧延潤滑性を増すと乳化安定性は低下し、その結果、圧延潤滑性の経時安定性も低下するため、アルミニウム板表面の品質安定性が問題となった。一方、乳化安定性を増すと充分な圧延潤滑性は得られず、その結果、アルミニウム板表面に種々の欠陥が発生した。

このように相反する特性である圧延潤滑性、乳化安定性及び板表面品質性を同時に満足させるために、特定の潤滑油成分と特定の水溶性陽イオン性高分子化合物を組み合わせた熱間圧延油組成物が提案されている(特許文献1)。また、特定の潤滑油成分と陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を併用した熱間圧延油が提案されている(特許文献2)。

概要

熱間圧延工程における圧延潤滑性及び耐鉄腐食性に優れ、且つ優れた板表面品質性を有するアルミニウム圧延板を得ることができる、アルミニウム板用熱間圧延油用潤滑油を提供すること。(a)動粘度80mm2/s(40℃)以下の鉱物油、(b)炭素数10〜22の脂肪酸を1〜14質量%、(c)油脂及び/又は合成エステルを5〜15質量%、(d)リン系極圧剤を5〜10質量%、(e)ポリオキシエチレンアルキルアミンを0.1〜1質量%、並びに、アミン系単量体一種以上、(メタアクリルアミド及び(メタ)アクリル酸塩共重合体有機酸塩を0.1〜10質量%含有してなり、かつ、前記成分(c)と成分(d)の質量比(成分(c)/成分(d))が、1/0.6〜1/1である、アルミニウム板用熱間圧延油用潤滑油。なし

目的

近年、アルミニウム圧延品には低コスト且つ高品質な製品指向されることから、より安定な圧延潤滑性や板表面品質特性を得られる熱間圧延油が求められている。例えば、飲料缶胴用等の3xxx系アルミニウム合金系材料印刷版用等の1xxx系純アルミニウム系材料を中心に、低コスト化を目的とする焼鈍工程を省略する製造方法が検討されており、アルミニウム板製品の成形加工性表面処理後外観特性を支配するアルミニウム組織の適性化を焼鈍工程で行うのではなく、熱間圧延工程で行って、品質特性をも向上できる製造方法が主流となりつつある。最終製品の適正組織を得るために前記熱間圧延工程で適正な組織状態とするには、熱間圧延条件は従来と比べて高リダクション化や歪速度アップ等の手法が指向され過酷な圧延条件になることによる潤滑性不足によって焼付等の表面異常が発生し易くなる傾向にある。このために、使用される熱間圧延油には従来と比べて高い潤滑性が求められている。更に、熱間圧延油の潤滑性が向上できると、変形抵抗が大きいがために潤滑性不足により熱間粗圧延でパス数削減が困難であったMg含有量の多いアルミニウム合金板(飲料缶蓋用5182系アルミニウム合金等の5xxx系アルミニウム合金)でも熱間粗圧延パス数削減や圧延速度アップによる生産性の向上が期待される。この一方で、変形抵抗の小さい被アルミウム圧延材の熱間粗圧延ではかみ込み性の悪化、特に圧延時の摩擦係数が小さい純アルミニウム板のかみ込み性の悪化がないことも考慮する必要がある。このため、アルミニウム板用熱間圧延油にはこれら相反する要求特性をも満足させることも求められる。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

(a)動粘度80mm2/s(40℃)以下の鉱物油、(b)炭素数10〜22の脂肪酸を1〜14質量%、(c)油脂及び/又は合成エステルを5〜15質量%、(d)リン極圧剤を5〜10質量%、(e)ポリオキシエチレンアルキルアミンを0.1〜1質量%、並びに、(f)下記一般式(1):(式中のR1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基を、Aは−NH−を、mは1〜3の整数を示す)で表されるアミン系単量体一種以上、(メタアクリルアミド及び(メタ)アクリル酸塩共重合体有機酸塩を0.1〜10質量%含有してなり、かつ、前記共重合体の有機酸塩の重量平均分子量は10,000〜1,000,000であり、かつ、前記共重合体の有機酸塩に用いる有機酸が、一般式(2):R4COOH(2)(式中、R4は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基アルキル部の炭素数が1〜5のカルボキシアルキル基又はカルボキシル基を示す)で表され、かつ、前記成分(c)と成分(d)の質量比(成分(c)/成分(d))が、1/0.6〜1/1である、アルミニウム板用熱間圧延油用潤滑油

請求項2

成分(c)が、ステアリン酸ブチルである請求項1記載のアルミニウム板用熱間圧延油用潤滑油。

請求項3

請求項1または2記載の熱間圧延油用潤滑油及び水を含むアルミニウム板用熱間圧延油

請求項4

請求項3記載のアルミニウム板用熱間圧延油の存在下、アルミニウム板熱間圧延する工程を有する熱間圧延板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、アルミニウム板用熱間圧延油用潤滑油に関する。また本発明は前記熱間圧延油用潤滑油を用いた熱間圧延油に関する。さらに本発明は、前記熱間圧延油を用いるアルミニウム板に係わる熱間圧延板の製造方法に関する。前記熱間圧延油は、当該熱間圧延板の製造方法における、例えば、短冊圧延を行う粗圧延工程において用いられる。なお、本発明における用途を示す「アルミニウム板用」の「アルミニウム板」は「純アルミニウム板および/またはアルミニウム合金板」を示す。

背景技術

0002

一般に、アルミニウム板は、溶解・鋳造、面削、均質化処理を施したスラブを、熱間圧延を施して板状とした後に、必要に応じて冷間圧延焼鈍、精整工程(適正製品寸法スリットする工程や平滑な平面性にする矯正工程など)、必要に応じて表面処理工程を施して製造される。前記製造工程の内、熱間圧延工程はアルミニウム板製品の品質に対して最も重要な製造工程である。また、前記の熱間圧延工程では、リバース方式熱間粗圧延機(ラッファー)により粗圧延を行った後にタンデム方式熱間仕上圧延機(フニッシャー)で仕上圧延を行う方法と、1台の熱間粗仕上兼用圧延機で粗圧延と仕上圧延との双方を同じ圧延機で行う方法、とが実施されている。

0003

アルミニウム板の熱間圧延では、圧延板表面から圧延ロール表面へアルミニウム移着して、ロールコーティングが形成される。従って、圧延板はロールコーティングと接触して圧延されることになるので、圧延板の表面品質はロールコーティングの性状によって左右される。熱間圧延時に発生した板の表面欠陥は冷間圧延後の板表面品質にも影響するので、熱間圧延におけるロールコーティング性状は非常に重要といえる。ロールコーティング性状は圧延諸条件板材質,板温度,板表面粗さ,ロール温度ロール表面粗さ,圧下率圧延速度ブラシロール操業条件など)と熱間圧延油により変化する。従って、熱間圧延油の選択は、ロールコーティングを制御する上で不可欠なものである。

0004

熱間圧延では充分なロール冷却性が必要となるので熱間圧延油はエマルションの形で使用されている。アルミニウム板の熱間圧延油に要求される性能として、圧延潤滑性、ロールコーティング性、板表面品質性乳化定性耐鉄腐食性等があげられる。従来、一般にアルミニウム板の熱間圧延油としては、潤滑油基油である鉱物油脂肪酸天然油脂脂肪酸エステル等の油性向上剤極圧剤防錆剤酸化防止剤等を配合し、これを主に陰イオン性界面活性剤で乳化して、エマルションとして使用されている。

0005

しかし、従来の乳化剤を用いたアルミニウム板用熱間圧延油では、圧延潤滑性と乳化安定性とは相反する傾向を示し、両性能を共に満足させることはできなかった。即ち、圧延潤滑性を増すと乳化安定性は低下し、その結果、圧延潤滑性の経時安定性も低下するため、アルミニウム板表面の品質安定性が問題となった。一方、乳化安定性を増すと充分な圧延潤滑性は得られず、その結果、アルミニウム板表面に種々の欠陥が発生した。

0006

このように相反する特性である圧延潤滑性、乳化安定性及び板表面品質性を同時に満足させるために、特定の潤滑油成分と特定の水溶性陽イオン性高分子化合物を組み合わせた熱間圧延油組成物が提案されている(特許文献1)。また、特定の潤滑油成分と陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を併用した熱間圧延油が提案されている(特許文献2)。

先行技術

0007

特許第2869850号明細書
特許第2990021号明細書

発明が解決しようとする課題

0008

近年、アルミニウム圧延品には低コスト且つ高品質な製品指向されることから、より安定な圧延潤滑性や板表面品質特性を得られる熱間圧延油が求められている。例えば、飲料缶胴用等の3xxx系アルミニウム合金系材料印刷版用等の1xxx系純アルミニウム系材料を中心に、低コスト化を目的とする焼鈍工程を省略する製造方法が検討されており、アルミニウム板製品の成形加工性表面処理後外観特性を支配するアルミニウム組織の適性化を焼鈍工程で行うのではなく、熱間圧延工程で行って、品質特性をも向上できる製造方法が主流となりつつある。最終製品の適正組織を得るために前記熱間圧延工程で適正な組織状態とするには、熱間圧延条件は従来と比べて高リダクション化や歪速度アップ等の手法が指向され過酷な圧延条件になることによる潤滑性不足によって焼付等の表面異常が発生し易くなる傾向にある。このために、使用される熱間圧延油には従来と比べて高い潤滑性が求められている。更に、熱間圧延油の潤滑性が向上できると、変形抵抗が大きいがために潤滑性不足により熱間粗圧延でパス数削減が困難であったMg含有量の多いアルミニウム合金板(飲料缶蓋用5182系アルミニウム合金等の5xxx系アルミニウム合金)でも熱間粗圧延パス数削減や圧延速度アップによる生産性の向上が期待される。この一方で、変形抵抗の小さい被アルミウム圧延材の熱間粗圧延ではかみ込み性の悪化、特に圧延時の摩擦係数が小さい純アルミニウム板のかみ込み性の悪化がないことも考慮する必要がある。このため、アルミニウム板用熱間圧延油にはこれら相反する要求特性をも満足させることも求められる。

0009

特許文献1において、潤滑油成分のなかの油性向上剤である脂肪酸を増量することが考えられるが、熱間圧延油組成物中の脂肪酸の割合を15質量%以上に増量すると、かなり強い腐食性を有する問題があり、また、圧延の進行に伴い生成する金属石鹸は高粘度物質のため圧延機周辺汚染させるといった問題もある。

0010

また特許文献2記載の技術では、耐鉄腐食性を悪化させず、圧延潤滑性を向上させる工夫として、天然油脂および/または合成エステルを比較的多量に使用することによって、脂肪酸の含有量を制限して、圧延潤滑性を向上させた熱間圧延油が提案されている。しかし、短冊圧延を行う粗圧延工程においては圧延潤滑性向上により、かみ込み性が悪化し操業性が低下する。また、アルミニウム合金板の板表面品質性が向上するものではなかった。

0011

本発明は、熱間圧延工程における熱間圧延条件が従来と比べて高リダクション化される、更に/或いは、歪速度アップされるなど過酷な圧延条件下となっても圧延潤滑性及び耐鉄腐食性に優れ、且つ優れたかみ込み性、板表面品質性を有するアルミニウム圧延板を得ることができる、アルミニウム板用熱間圧延油用潤滑油を提供することを目的とする。

0012

また本発明は、前記熱間圧延油用潤滑油を用いた、熱間圧延油を提供することを目的とする。さらに本発明は、前記熱間圧延油を用いたアルミニウム熱間圧延板の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

即ち、本発明は、(a)動粘度80mm2/s(40℃)以下の鉱物油、
(b)炭素数10〜22の脂肪酸を1〜14質量%、
(c)油脂及び/又は合成エステルを5〜15質量%、
(d)リン系極圧剤を5〜10質量%、
(e)ポリオキシエチレンアルキルアミンを0.1〜1質量%、並びに、
(f)下記一般式(1):



(式中のR1は水素原子又はメチル基を、R2及びR3は、同一又は異なって、炭素数1〜3のアルキル基を、Aは−NH−を、mは1〜3の整数を示す)で表されるアミン系単量体一種以上、(メタアクリルアミド及び(メタ)アクリル酸塩共重合体有機酸塩を0.1〜10質量%含有してなり、
かつ、前記共重合体の有機酸塩の重量平均分子量は10,000〜1,000,000であり、かつ、前記共重合体の有機酸塩に用いる有機酸が、
一般式(2):R4COOH (2)
(式中、R4は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基アルキル部の炭素数が1〜5のカルボキシアルキル基又はカルボキシル基を示す)で表され、
かつ、前記成分(c)と成分(d)の質量比(成分(c)/成分(d))が、1/0.6〜1/1である、アルミニウム板用熱間圧延油用潤滑油、に関する。

0014

また本発明は、前記熱間圧延油用潤滑油及び水を含むアルミニウム板用熱間圧延油、に関する。

0015

また本発明は、前記アルミニウム板用熱間圧延油の存在下、アルミニウム板を熱間圧延する工程を有する熱間圧延板の製造方法、に関する。

発明の効果

0016

本発明のアルミニウム板用熱間圧延油用潤滑油を用いた熱間圧延油(以下、本発明の熱間圧延油用潤滑油という)は、アルミニウム圧延板の製造工程における、熱間圧延工程、特に短冊圧延を行う熱間粗圧延工程において、熱間圧延条件が従来と比べて高リダクション化される、更に/或いは、歪速度アップされるなど過酷な圧延条件下となっても圧延潤滑性及び耐鉄腐食性に優れ、且つかみ込み性をも維持しつつ良好な板表面品質性を有するアルミニウム圧延板を得ることができる。

0017

特許文献1の熱間圧延油組成物においても本発明の熱間圧延油用潤滑油と同様の成分を含有している。しかし、特許文献1の熱間圧延油組成物は、従来のアルミニウム板の熱間圧延条件に対しては圧延潤滑性と板表面品質の両立をある程度は図ることができるものの、近年の低コスト且つ高品質な製品指向に対応するために、熱間圧延条件が高リダクション化される、更に/或いは、歪速度アップされるなど過酷な圧延条件となった場合に対する要求をも十分に満足するものではなくなっている。通常は、圧延潤滑性を向上させるためには、油脂または合成エステルを増量することが考えられるが、油脂または合成エステルを増量すると摩擦係数が小さくなり特に純アルミニウム板のかみ込み性が悪化してしまう。また、リン系極圧剤は、圧延潤滑性を上げずに板表面品質を改善することができるものの、リン系極圧剤は高価なため多量の使用はできない。また脂肪酸は圧延潤滑性と板表面品質性に有効ではあるものの、使用量が多くなると耐鉄腐食性が悪化してしまう。このように、熱間圧延油用潤滑油については、各成分についての使用割合が制限されている。本発明の熱間圧延油用潤滑油は、特許文献1の熱間圧延油組成物と同様の成分を含有するものであるが、当該熱間圧延油用潤滑油に用いる油脂または合成エステルやリン系極圧剤等の成分の使用割合を増加させず、一方、油脂または合成エステルの使用割合をリン系極限剤の使用割合と同量か、またはリン系極圧剤の使用割合よりやや多い程度に制御することで、近年の高度の要求特性のアルミニウム板の熱間圧延条件が高リダクション化される、更に/或いは、歪速度アップされるなど過酷な圧延条件となった場合に対しても、圧延潤滑性と板表面品質の両立、さらには耐鉄腐食性、かみ込み性を満足することができる。

発明を実施するための最良の形態

0018

本発明の熱間圧延油用潤滑油の成分(a)である鉱物油としては、例えば、スピンドル油マシン油タービン油シリンダー油ニュートラル油等があげられる。これら鉱物油は耐熱性及び圧延潤滑性の点から、パラフィン系鉱物油であるのがより好ましい。前記鉱物油は粘度80mm2/s(40℃)以下のものが用いられる。前記粘度が80mm2/sを超えると板表面品質性が低下してしまう。当該成分(a)は本発明の熱間圧延油用潤滑油の基油であり、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができるが、成分(a)の熱間圧延油用潤滑油の全体に対する割合は88.8質量%以下であるが、圧延潤滑性、耐鉄腐食性、板表面品質、かみこみ性の観点から、51〜88.8質量%が好ましく、60〜85質量%がより好ましく、65〜80質量%がさらにより好ましい。

0019

成分(b)である炭素数10〜22の脂肪酸としては、カプリン酸ラウリン酸ステアリン酸イソステアリン酸オレイン酸エルカ酸パーム油脂肪酸等があげられるが、圧延潤滑性、乳化安定性、耐鉄腐食性、板表面品質性の観点から、脂肪酸の炭素数は10〜20が好ましく、13〜20がより好ましく、炭素数が13〜20でかつ、不飽和脂肪酸または分枝脂肪酸が好ましい。当該成分(b)は油性向上剤として作用するものであり、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができるが、乳化安定性の観点から常温液体であり析出しないため、オレイン酸及びイソステアリン酸が好ましく、オレイン酸がより好ましい。また、成分(b)の本発明の熱間圧延油用潤滑油の全体に対する割合は1〜14質量%であり、2〜12質量%が好ましく、4〜10質量%がより好ましい。前記成分(b)の割合を前記範囲に調整することは、圧延潤滑性、乳化安定性、耐鉄腐食性、板表面品質性の点から好ましい。

0020

成分(c)としては、油脂及び/又は合成エステルが用いられる。油脂は天然に存在するエステルであり、合成エステルは人為的に製造したエステルである。油脂としては鯨油牛脂豚脂ナタネ油ヒマシ油パーム油ヤシ油等の動植物油脂が挙げられる。また、合成エステルとしては、脂肪酸と1価または多価アルコールから得られる合成エステル(1)があげられる。脂肪酸としては、炭素数10〜22の脂肪酸が用いられ、例えば、前記成分(b)として例示したものや、前記油脂から得られる脂肪酸があげられる。1価アルコールとしては炭素数1〜22の脂肪族1価アルコールがあげられるが、板表面品質性の観点から炭素数1〜15の脂肪族アルコールが好ましく、炭素数1〜8の脂肪族アルコールがより好ましい。多価アルコールとしてはエチレングリコールトリメチロールプロパンペンタエリスリトールグリセリン等があげられる。合成エステル(1)としては、脂肪酸モノエステルが好ましく、具体例としては、カプリン酸メチルステアリン酸ブチル、オレイン酸ラウレート、エルカ酸2−エチルヘキシル、ペンタエリスリトールモノオレートグリセリンモノオレート等があげられる。また、合成エステルとしては、脂肪族アルコールと1価または多塩基酸から得られる合成エステル(2)があげられる。脂肪族アルコールとしては、前記炭素数10〜22の脂肪酸と同様の炭素数を有する脂肪族アルコールがあげられるが、板表面品質性の観点から炭素数10〜20の脂肪族アルコールが好ましく、炭素数12〜18の脂肪族アルコールがより好ましい。多塩基酸としては、フタル酸トリメリット酸アジピン酸セバシン酸等があげられる。合成エステル(2)の具体例としては、フタル酸ジラウレート、トリメリット酸トリ2エチルヘキシル、アジピン酸ジイソデシルセバシン酸ジオレイル等があげられる。成分(c)は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができるが、成分(c)としては、板表面品質性の観点から合成エステルが好ましく、合成エステル(1)がより好ましく、脂肪酸モノエステルがさらに好ましく、ステアリン酸ブチルがよりさらに好ましい。当該成分(c)は油性向上剤として作用するものであり、本発明の熱間圧延油用潤滑油の全体に対する割合は5〜15質量%が好ましく、6〜15質量%がより好ましい。前記成分(c)の割合を前記範囲に調整することは、圧延潤滑性、板表面品質性、かみ込み性の点から好ましい。

0021

極圧剤は圧延時の摩擦係数を下げることなく、圧延潤滑性を与えるものである。成分(d)であるリン系極圧剤としては、例えば、アルキルもしくはアルケニルリン酸エステルまたはアルキルもしくはアルケニル亜リン酸エステルがあげられるが、圧延潤滑性と板表面品質性の観点から、アルキルもしくはアルケニルリン酸エステルまたはアルキルもしくはアルケニル亜リン酸エステルが好ましい。前記リン酸エステルまたは亜リン酸エステルにおけるアルキルまたはアルケニル基の炭素数は4〜18であり、その具体例としてジブチルホスフェート、モノオクチルホスフェートトリオレイルホスフェートトリクレジルホスフェートトリブチルホスファイトジイソオクチルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト等があげられるが、板表面品質性の観点から炭素数は4〜15が好ましく、炭素数4〜8がより好ましい。前記リン酸エステルまたは亜リン酸エステルは、モノ−、ジ−、又はトリエステルのうち、耐鉄腐食性の点からトリエステルであるアルキルもしくはアルケニルアシッドホスフェートまたはアルキルもしくはアルケニルアシッドホスファイトが好ましい。当該成分(d)は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができるが、成分(d)の本発明の熱間圧延油用潤滑油の全体に対する割合は5〜10質量%が好ましく、6〜10質量%がより好ましく、8〜10質量%がさらにより好ましい。前記成分(d)の割合を前記範囲に調整することは、圧延潤滑性、板表面品質性の点から好ましい。

0022

また前記成分(c)と成分(d)は、成分(c)/成分(d)の質量比が、1/0.6〜1/1になる割合で用いられる。前記質量比は、1/0.7〜1/1であるのが好ましく、1/0.8〜1/1であるのがより好ましい。前記成分(c)と成分(d)の割合を前記範囲に調整することは、板表面品質性、かみ込み性の点から好ましい。

0023

成分(e)であるポリオキシエチレンアルキルアミンとしては、
一般式(3):R5−NH−(EO)n−H、及び又は
一般式(4):H−(EO)n1−NR6−(EO)n2−H
(式中、R5、R6は炭素数10〜18のアルキル基であるが、乳化安定性と耐鉄腐食性の観点から、炭素数10〜16のアルキル基が好ましく、炭素数12〜14のアルキル基がより好ましい。EOはオキシエチレン基を、n、n1、n2はEOの平均付加モル数を示す。nは2〜10が好ましく、乳化安定性と耐鉄腐食性の観点から、2〜8がより好ましく、2〜5がさらに好ましい。n1、n2は、いずれも1以上であり、かつn1+n2は2〜10が好ましく、乳化安定性と耐鉄腐食性の観点から、2〜8がより好ましく、2〜5がさらに好ましい。)で表される化合物があげられる。当該成分(e)は防食剤として作用するものであり、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができるが、乳化安定性と耐鉄腐食性の観点から、ポリオキシエチレンラウリルアミンが好ましい。成分(e)の本発明の熱間圧延油用潤滑油の全体に対する割合は0.1〜1質量%であり、0.2〜1質量%が好ましく、0.4〜1質量%がより好ましい。前記成分(e)の割合を前記範囲に調整することは、乳化安定性、耐鉄腐食性の点から好ましい。成分(e)のHLBは乳化安定性と耐鉄腐食性の観点から、6〜13が好ましく、10〜13がより好ましい。

0024

成分(f)である前記共重合体の有機酸塩は、一般式(1)で表されるアミン系単量体と(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸塩との共重合体の有機酸塩である。なお、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドを、(メタ)アクリル酸塩は、アクリル酸塩および/またはメタクリル酸塩を示す。本明細書において、「(メタ)」とは前記と同様の意味である。一般式(1)で表されるアミン系の単量体と(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸塩との共重合体におけるモル比(アミン系単量体:(メタ)アクリルアミド:(メタ)アクリル酸塩)は、乳化安定性の観点から、50〜90:0.1〜20:10〜50であるのが好ましく、59〜90:1〜10:10〜30がより好ましく、69〜90:1〜5:10〜25がさらに好ましい。

0025

一般式(1)で表されるアミン系単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド等があげられる。前記例示のなかでも、乳化安定性の観点から、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジエチルアミノプロピルアクリルアミドが好ましい。

0026

(メタ)アクリル酸塩としては、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等の(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩;(メタ)アクリル酸モノエタノールアミン塩、(メタ)アクリル酸ジエタノールアミン塩、(メタ)アクリル酸トリエタノールアミン塩等の(メタ)アクリル酸有機アミン塩があげられる。

0027

(f)成分である前記共重合体の有機酸塩に用いる有機酸としては、一般式(2):R4COOH、で表される化合物があげられ、前記一般式(1)で表されるアミン系単量体中のアミノ基において、R4COO−として有機酸塩を形成する。前記式中、R4としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基、アルキル部の炭素数が1〜5のカルボキシアルキル基及びカルボキシル基があげられる。R4としては、乳化安定性の観点から、メチル基と炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基が好ましい。R4COO−の具体例としては、酢酸イオンプロピオン酸イオン酪酸イオン、吉草酸イオン、カプロン酸イオン、グリコール酸イオン、乳酸イオンヒドロアクリル酸イオン、シュウ酸イオンマロン酸イオン、コハク酸イオングルタル酸イオン、アジピン酸イオン等があげられるが、これらのなかでも乳化安定性の観点から酢酸イオン、グリコール酸イオン、乳酸イオン、ヒドロアクリル酸イオンが好ましく、酢酸イオン及びグリコール酸イオンがより好ましい。

0028

成分(f)である前記共重合体の有機酸塩の重量平均分子量は10,000〜1,000,000の範囲が好ましく、30,000〜300,000がより好ましい。前記範囲の重量平均分子量の前記共重合体の有機酸塩は乳化安定性が良好であり、取り扱い性がよい。なお、重量平均分子量は、当該共重合体の有機酸塩1gに0.5M水酸化ナトリウム10mlを加え、95℃で2時間放置し、加水分解後、GPC(ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー)で分子量を測定し、その結果に基づき加水分解前の分子量に換算することにより得られる。具体的なGPC条件は以下の通りである。
カラム:α−M×2本(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶離液:0.15M硫酸ナトリウム、1%酢酸水溶液
検出器RI示差屈折計
注入量:0.5%(wt/vol)溶離液水溶液,100μl
液流速:1.0ml/min
・分子量標準プルラン(SHODEX社製)
(788,000、194,000、46,700、5,900の4標準)

0029

成分(f)である前記共重合体の有機酸塩は、例えば、前記共重合体を製造した後、一般式(2)の有機酸で中和することにより得られる他、前記共重合体の製造にあたって、一般式(1)で表されるアミン系単量体を一般式(2)の有機酸で予め中和したものを使用することにより得ることもできる。

0030

前記成分(f)は1種を単独で又は2種以上を組合せて使用することができるが、本発明の熱間圧延油用潤滑油の全体に対する割合は0.1〜10質量%であり、0.4〜5質量%が好ましく、0.6〜3質量%がより好ましい。前記成分(f)の割合を前記範囲に調整することは、圧延潤滑性、板表面品質性の点から好ましい。

0031

本発明の熱間圧延油用潤滑油には、前記成分の他に必要に応じて公知の添加剤、例えば防錆剤、酸化防止剤及び初期乳化性を向上させるための乳化剤等を添加することもできる。

0032

防錆剤としては、例えばアルケニルコハク酸及びその誘導体、オレイン酸等の脂肪酸、ソルビタンモノオレート等のエステル、その他アミン類等を用いることができる。これらは本発明の熱間圧延油用潤滑油の全量に対して0.2〜2質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。

0033

また、酸化防止剤としては、例えば2,4−ジtert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール系化合物フェニル−α−ナフチルアミン等の芳香族アミン等を用いることができ、これらは本発明の熱間圧延油用潤滑油の全量に対して0.2〜5質量%添加することが好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。

0034

更に、乳化剤としては、例えばオレイン酸トリエタノールアミン塩石油スルホネートナトリウム塩等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の非イオン性界面活性剤等を用いることができ、乳化剤の含有量は本発明の熱間圧延油用潤滑油の全量に対して2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。

0035

本発明の熱間圧延油用潤滑油は、熱間圧延油として使用するに際して水で希釈して用いる。当該水希釈物は本発明の熱間圧延油用潤滑油が水中に分散した、熱間圧延油エマルション(O/W型乳化エマルション)である。前記水希釈物における水による希釈割合は特に限定されないが、通常、水希釈物中における本発明の熱間圧延油用潤滑油の濃度は1〜30質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。前記熱間圧延油エマルション中のエマルション粒子体積平均粒子径は圧延潤滑性及び乳化安定性の観点から1〜20μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。

0036

本発明の熱間圧延油は、熱間圧延板の製造方法において、熱間圧延機によりアルミニウム板を圧延する工程で用いられる。圧延工程としては、従来行われている方法(例えば、軽金属学会、1991年11月30日発行の「軽金属の研究と技術の歩み」)を採用でき、例えば、短冊圧延を行う粗圧延工程や、コイル圧延を行う仕上圧延工程があげられる。熱間圧延工程において本発明の熱間圧油を存在させる方法としては、従来採用されている圧延油供給システム(例えば、軽金属学会、1991年11月30日発行の「軽金属の研究と技術の歩み」)を採用でき、具体的には、熱間圧延油をエマルションにして、スプレーなどにより圧延ロールに塗布する方法が挙げられる。即ち、本発明の熱間圧延板の製造方法は、本発明のアルミニウム板用熱間圧延油の存在下、アルミニウム板を熱間圧延する工程を有する熱間圧延板の製造方法である。本発明のアルミニウム板用熱間圧延油を熱間圧工程に存在させる方法は前述の通りである。

0037

実施例1〜8、比較例1〜6
表1に示す組成を有する各種熱間圧延油用潤滑油と水を用い、濃度が2質量%の熱間圧延油(O/W型乳化エマルション)を後記条件に従い調製した。なお、比較例3は特許文献1の実施例の発明品No.3の配合に相当する熱間圧延油である。

0038

(熱間圧延油エマルション作製条件
液温度:60℃
撹拌機M型ホモミキサー(特殊機化工業社製)
回転数:8000r/min

0039

(熱間圧延油エマルション粒子の体積平均粒子径の測定条件
測定器コールターカウンターマルチサイザー(BECKMANCOULTER社製)
測定温度:25℃
希釈条件:調整した各種熱間圧延油をそれぞれ30μlとり、血液希釈溶液和光純薬工業社製)で100mlに希釈して体積平均粒子径を測定した。

0040

また、前記熱間圧延油について、以下に示す試験例によって、アルミニウム合金板の圧延潤滑性、板表面品質性、耐鉄防食性、かみ込み性を評価した。

0041

<試験例1>
調製した各種熱間圧延油について、二段圧延機(200mmφ×200mm幅、SUJ−2、Hs=60)を用い、下記条件で短冊圧延工程(単パス)を行った。なお、熱間圧延油エマルションは、圧延ロールにスプレーして熱間圧延工程に供した。

0042

(圧延条件)
圧延材:合金アルミニウム材(A5182,40mm幅×700mm長×3.3mm厚)
ロール粗度研磨紙により圧延方向に研磨し、板幅方向の粗度がRa=0.3〜0.4μm(Rz=3.5〜4.0μm)に調整する。
板温度:510℃
圧延速度:40m/min
圧下率:45%(4枚の平均値
予備圧延:予め純アルミニウム材(A1100,40mm幅×700mm長×3.5mm厚)を圧下率70%で圧延する。

0043

(熱間圧延油エマルション供給条件
スプレー量:2L/min×上下各1本、200kPa

0044

《圧延潤滑性(圧延試験)》
圧下率=45%時の圧延荷重により圧延潤滑性を評価した。各熱間圧延油について4回試験を行いその平均値を圧延潤滑性とした。圧延荷重が430MPa以下であれば圧延潤滑性は良好である。結果を表1に示す。なお、圧延荷重は二段圧延機に組込まれたロードセルにより測定した荷重の圧延時平均値と圧延前後の板厚から算出される接触面積から計算される面圧を示している。

0045

《かみ込み性(圧延試験)》
予備圧延時の摩擦係数により純アルミニウム板の「かみ込み性」を評価した。各熱間圧延油について4回試験を行いその平均値をかみ込み性とした。摩擦係数が0.16以上であればかみ込み性は良好である。結果を表1に示す。

0046

なお、摩擦係数は、疵を着けたワークロールを用い、圧延後の材料(圧延板表面)に転写された疵のピッチ(疵から疵までの距離)を測定し、圧延ロールに付けた特定疵間の距離L1から先進率を計算することにより、下記式から求めた。
μ=0.5×[(h1−h2)/R2]0.5/{1−2×[(1−r)×δ/r]0.5}
(μは摩擦係数を、h1は圧延前板厚(mm)、h2は圧延後板厚(mm)、R2は扁平ロール径(mm)、rは圧下率、δは先進率を示す)
R2=R×{1+16×(1−ν2)×P/[π×E×b×(h1−h2)]}
(Rはロール径、νはポアソン比、Pは圧延荷重、Eはヤング率、bは板幅を示す。)
r=(h1−h2)/h1
δ=(L1−L2)/L1
(L1は圧延ロールに付けた疵(マーク)間の距離(mm)、L2は圧延板への転写したマーク間の距離(mm)を示す)
本発明では具体的に以下の値を用いて実施した。
h1=3.5mm、r=0.7、R=100mm、b=40mm、である。
ロールの材質は鉄であるので、νとEは鉄の値、ν=0.3、E=20000である。

0047

<試験例2:板表面品質性(アルマイト試験)>
試験例1で得られた圧延板について、下記条件でアルマイト処理を行い、アルマイト処理した圧延版表面の白色度を測定し、板表面品質を評価した。各熱間圧延油について4回試験を行いその平均値を板表面品質とした。下記白色度判定が4点以上であれば板表面品質性は良好である。結果を表1に示す。

0048

試験条件
処理溶液:15w/v%硫酸水溶液
処理温度:20℃
電流密度:2A/dm2
処理時間:20min
洗浄方法水道水リットル/分の流水中に10min間浸漬後、イオン交換水洗浄した。

0049

(測定条件)
測定機器分光色彩計SE−2000(日本電色工業社製)
測定項目:白色度WB
判定方法(A5182の場合)
判定は下記基準による。白色度WBは、値が大きいほど板表面品質性がよい。
5:白色度WBが34以上
4:白色度WBが30以上34未満
3:白色度WBが24以上30未満
2:白色度WBが20以上24未満
1:白色度WBが20未満

0050

<試験例3(耐鉄腐食性)>
調製した各種熱間圧延油について、下記条件で腐食試験を行い、腐食速度(mg/m2・day)により耐鉄防食性を評価した。各熱間圧延油について4回試験を行いその平均値を耐鉄腐食性とした。腐食速度が200mg/m2・day以下であれば鉄防食性は良好である。結果を表1に示す。なお、腐食速度は試験前後の試験片質量を精密天秤で測定し、減少した質量と試験片面積から算出する。

0051

(試験条件)
試験片:SS−400板(3mm厚×50mm×50mm)
前処理:#240研磨紙にて研磨後溶剤にて脱脂する。
浸漬方法:M型ホモミキサー6000r/min撹拌中に全浸漬
試験温度:60℃
試験時間:3日間

0052

0053

なお、前記表1中の鉱物油、脂肪酸、油脂、エステル、極圧剤、防食剤、共重合体の有機酸塩、その他添加剤は次のものを意味する。
鉱物油A…パラフィン系鉱物油(動粘度30mm2/s,40℃)(新日本石油社製、スーパーオイルK32)
鉱物油B…ナフテン系鉱物油(動粘度30mm2/s,40℃)(出光興産社製ダイアフレシアN−28)
脂肪酸A…オレイン酸(花王社製、ルナックO−P)
油脂A…パーム油(植田製油社製、RPOエース)
油脂B…豚脂(キシダ化学社製試薬
エステルA…ステアリン酸ブチル(花王社製、エキセパールBS
エステルB…フタル酸ジラウレート(花王社製、ビニサイザー124)
エステルC…トリメチロールプロパン椰子脂肪酸トリエステル(花王社製、アドルーブE−124)
極圧剤A…トリクレジルホスフェート(味の素社製、デュラッドTCP)
極圧剤B…トリイソオクチルホスファイト(化学工業社製、JP−308E)
防食剤A…ポリオキシエチレンラウリルアミン(平均EO=5モル付加、HLB=10.4)(花王社製、アミート 105)
共重合体の有機酸塩A…ジメチルアミノプロピルアクリルアミド/アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム=80/5/15の共重合体の酢酸中和物(重量平均分子量=100,000)(和光純薬工業社製モノマー重合開始剤を用いて実験室にて合成、反応温度は50℃)
共重合体の有機酸塩B…ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム=84/1/15の共重合体のグリコール酸中和物(重量平均分子量=50,000)(和光純薬工業社製モノマーと重合開始剤を用いて実験室にて合成、反応温度は50℃)
添加剤A…防錆剤(ヘキサデセニルコハク酸)(花王社製、L−ASA)
添加剤B…酸化防止剤(2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール)(エーピーアイコポレーション社製、ヨシノクスHT
添加剤C…ポリオキシエチレンラウリルエーテル(平均EO=7モル付加、HLB=12.1)(花王社製、エマルゲン707)
添加剤D…トリエタノールアミン(和光純薬工業社製、試薬)
添加剤E…椰子油還元アルコール(花王社製、カルコール2455)

0054

表1から明らかなように、本発明の熱間圧延油用潤滑油を用いて調製した熱間圧延油エマルションは、アルミニウム合金板の圧延潤滑性、板表面品質性、耐鉄防食性、純アルミニウム板のかみ込み性の全てを満足することができ、一方、本発明の構成を満足できていない比較品は、前記の少なくとも1つの性能に問題を有することがわかる。以上のことから、本発明の熱間圧延油用潤滑油は、純アルミニウム板の圧延潤滑性、板表面品質性、耐鉄防食性についても、また、アルミニウム合金版のかみ込み性についても有効と考えられる。

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