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課題
解決手段
概要
背景
X線は、物質を透過する能力(透過力)が高い性質を有し、物体を破壊することなく透視するために、医療分野、非破壊検査等、様々な分野で利用されている。X線透視画像におけるコントラスト(濃淡)は、物体のX線を吸収する度合いの違いによって現れる。例えば、生体の軟部組織のように軽元素で構成される低密度の物体は十分なコントラストが得られない。
そこで、近年、X線の波としての性質を利用して、被写体を透過するX線の位相を検出することで、コントラストおよび解像度が高い透過像を得ようとする試みがなされている。そのような試みの1つに、X線タルボ干渉を利用したX線撮影方法がある(たとえば、特許文献1等)。
タルボ干渉とは、以下のような現象である。光源と被写体との間、もしくは光源から見て被写体の後方に、光源から出射された光の波長よりも充分大きな周期を有する回折格子を置くと、回折格子の表面から所定距離(タルボ長)離れた位置において、被写体の屈折率と光が被写体を透過する光路の長さ(透過光路長)とで決まる被写体を透過する光の位相情報を反映した縞模様の像を検出することができる。この縞模様から被写体を透過する光の位相情報を得ることによって、被写体の内部情報を得ることが可能となる。
この現象をX線撮影に利用する意義は以下のとおりである。X線でいわゆるタルボ効果を生じさせるために、光源として20keVのX線源を用いた場合を考える。このような条件では、空気中をX線が透過する場合と水中をX線が透過する場合とで、2πの位相差を得るためには、X線が空気および水を透過する長さ(透過長)が0.1mm程であればよい。従って、X線が水を透過する場合には、透過長が、0.1mmもあれば、十分な位相のずれが得られ、コントラストが高い画像を得ることができる。
一方、0.1mmの厚さの水においては、X線の透過率は99.9%以上になる。このため、空気および水に対するX線の吸収率の差によって得られるX線の検出強度差によっては、画像においてほとんどコントラストを得ることができない。
また、タルボ干渉を起こすために必要な回折格子(以下、タルボ干渉用回折格子と称する)のピッチは、光源から出射された光の波長よりも充分大きい。その一方で、分解能を上げるためには、ピッチが大き過ぎると好ましくなく、光源がX線源の場合、回折格子のピッチは数百nmから数μm程度が望ましい。
しかし、タルボ干渉で得られる縞模様(以下、タルボ干渉縞と称する)はタルボ干渉用の回折格子のピッチと略同一であるために、タルボ干渉縞を正確に撮像するためには非常に高い空間分解能を有するX線画像検出器を準備する必要がある。特に、蛍光体(X線用シンチレーター)を介して可視光に変換した後、CCD等の電子撮像素子で撮影する方式の場合、タルボ干渉縞を正確に撮像可能な程度まで電子撮像素子の画素を細かくすることは、現時点ではコスト面や製造歩留まり等の観点より実用的ではない。
これらの問題を解決するために、いわゆるモアレ縞を利用する方法が一般には行われている。具体的には、タルボ干渉縞が現れる場所に、このタルボ干渉縞とほぼ同じ周期で、反射部材(または吸収部材)と透過部材とが並べられた回折格子(以下、モアレ縞発生用回折格子と称する)をタルボ干渉縞に対して若干傾けて配置することでモアレ縞を生じさせることができる。そして、モアレ縞の間隔はタルボ干渉縞の周期よりもはるかに大きい。このため、一般的なX線画像検出器を用いてもモアレ縞を正確に撮像することが可能となる(たとえば、非特許文献1等)。
概要
回折格子のずれに拘わらず、高精度の撮影画像を得ることが可能なX線撮影装置およびX線撮影方法を提供する。X線撮影装置は、X線を出射するX線源と、照射されたX線においてタルボ効果を生じさせる第1回折格子と、所定面に沿って配置され、第1回折格子によって回折されたX線を回折するとともに、画像情報に係る画像にモアレ縞を発生させる第2回折格子と、第2回折格子と近接して配置され、第2回折格子によって回折されたX線の強度の2次元分布を示す画像情報を得るX線検出手段と、第2回折格子が配置される所定の基準位置に対して、該第2回折格子が所定面に沿って傾いている傾き度合いを検知する傾き検知手段とを備える。
目的
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、回折格子のずれに拘わらず、高精度の撮影画像を得ることが可能なX線撮影装置およびX線撮影方法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 2件
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請求項1
X線を出射するX線源と、第1回折格子と、所定面に沿って配置され、前記第1回折格子によって回折されたX線を回折する第2回折格子と、前記第2回折格子と近接して配置され、前記第2回折格子によって回折されたX線の強度の2次元分布を示す画像情報を得るX線検出手段と、前記第2回折格子が配置される所定の基準位置に対して、該第2回折格子が前記所定面に沿って傾いている傾き度合いを検知する傾き検知手段と、を備え、前記第1回折格子が、該第1回折格子に照射された前記X線においてタルボ効果を生じさせ、前記第2回折格子が、前記画像情報に係る画像に、モアレ縞を発生させることを特徴とするX線撮影装置。
請求項2
請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記傾き検知手段が、被写体を透過しないX線に応じて前記第2回折格子によって発生されるモアレ縞の状態に基づいて、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とするX線撮影装置。
請求項3
請求項2に記載のX線撮影装置であって、前記第1回折格子に近接して配置され、且つ前記被写体を近接させて設置するための被写体設置用プレート、を更に備え、前記被写体設置用プレートが、被写体を透過していないX線が照射される確認用面領域を含み、前記傾き検知手段が、前記確認用面領域を透過し、且つ前記第2回折格子によって回折されたX線に応じたモアレ縞に基づいて、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とするX線撮影装置。
請求項4
請求項5
請求項4に記載のX線撮影装置であって、前記間仕切り部が、重金属を含んで構成されていることを特徴とするX線撮影装置。
請求項6
請求項2に記載のX線撮影装置であって、ユーザの操作に応じて、前記画像上において前記被写体を透過していないX線に応じた基準画像領域を指定する領域指定手段、を更に備え、前記傾き検知手段が、前記基準画像領域に含まれるモアレ縞の状態に基づいて、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とするX線撮影装置。
請求項7
請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記傾き検知手段が、所定の基準面と前記第2回折格子の端面との位置関係を測定する測定手段を含み、該位置関係に基づいて、前記傾き度合いを検知することを特徴とするX線撮影装置。
請求項8
請求項9
請求項7に記載のX線撮影装置であって、前記測定手段が、静電容量型測長器を含むことを特徴とするX線撮影装置。
請求項10
X線を出射するX線源と、該X線においてタルボ効果を生じさせる第1回折格子と、所定面に沿って配置され、且つ前記第1回折格子によって回折されたX線を回折する第2回折格子とを有し、該第2回折格子と近接して配置され、且つ該第2回折格子によって回折されたX線の強度の2次元分布を示す画像情報を得るX線撮影装置を用いたX線撮影方法であって、被写体を設置して、前記X線源からX線を出射させつつ、前記第1および第2回折格子によって順次に回折されたX線の強度の2次元分布を示す画像情報を得る被写体撮影工程と、前記第2回折格子が配置される所定の基準位置に対して、該第2回折格子が前記所定面に沿って傾いている傾き度合いを検知する傾き検知工程と、を備えることを特徴とするX線撮影方法。
請求項11
請求項10に記載のX線撮影方法であって、前記傾き検知工程において、前記被写体を透過していないX線に応じて、前記画像情報に係る画像において前記第2回折格子によって発生されるモアレ縞の状態に基づき、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とするX線撮影方法。
請求項12
請求項11に記載のX線撮影方法であって、ユーザの操作に応じて、前記画像上において前記被写体を透過していないX線に応じた基準画像領域を指定する領域指定工程、を更に備え、前記傾き検知工程において、前記基準画像領域に含まれるモアレ縞の状態に基づいて、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とするX線撮影方法。
請求項13
請求項11に記載のX線撮影方法であって、前記被写体を設置することなく、前記X線源からX線を出射させつつ、前記第1および第2回折格子によって順次に回折されたX線の強度の2次元分布を示す画像情報を得る基準撮影工程、を更に備え、前記傾き検知工程において、前記基準撮影工程において得られた前記画像情報に係る画像のモアレ縞に基づいて、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とするX線撮影方法。
技術分野
0001
本発明は、X線撮影技術に関する。
背景技術
0002
X線は、物質を透過する能力(透過力)が高い性質を有し、物体を破壊することなく透視するために、医療分野、非破壊検査等、様々な分野で利用されている。X線透視画像におけるコントラスト(濃淡)は、物体のX線を吸収する度合いの違いによって現れる。例えば、生体の軟部組織のように軽元素で構成される低密度の物体は十分なコントラストが得られない。
0003
そこで、近年、X線の波としての性質を利用して、被写体を透過するX線の位相を検出することで、コントラストおよび解像度が高い透過像を得ようとする試みがなされている。そのような試みの1つに、X線タルボ干渉を利用したX線撮影方法がある(たとえば、特許文献1等)。
0004
タルボ干渉とは、以下のような現象である。光源と被写体との間、もしくは光源から見て被写体の後方に、光源から出射された光の波長よりも充分大きな周期を有する回折格子を置くと、回折格子の表面から所定距離(タルボ長)離れた位置において、被写体の屈折率と光が被写体を透過する光路の長さ(透過光路長)とで決まる被写体を透過する光の位相情報を反映した縞模様の像を検出することができる。この縞模様から被写体を透過する光の位相情報を得ることによって、被写体の内部情報を得ることが可能となる。
0005
この現象をX線撮影に利用する意義は以下のとおりである。X線でいわゆるタルボ効果を生じさせるために、光源として20keVのX線源を用いた場合を考える。このような条件では、空気中をX線が透過する場合と水中をX線が透過する場合とで、2πの位相差を得るためには、X線が空気および水を透過する長さ(透過長)が0.1mm程であればよい。従って、X線が水を透過する場合には、透過長が、0.1mmもあれば、十分な位相のずれが得られ、コントラストが高い画像を得ることができる。
0006
一方、0.1mmの厚さの水においては、X線の透過率は99.9%以上になる。このため、空気および水に対するX線の吸収率の差によって得られるX線の検出強度差によっては、画像においてほとんどコントラストを得ることができない。
0007
また、タルボ干渉を起こすために必要な回折格子(以下、タルボ干渉用回折格子と称する)のピッチは、光源から出射された光の波長よりも充分大きい。その一方で、分解能を上げるためには、ピッチが大き過ぎると好ましくなく、光源がX線源の場合、回折格子のピッチは数百nmから数μm程度が望ましい。
0008
しかし、タルボ干渉で得られる縞模様(以下、タルボ干渉縞と称する)はタルボ干渉用の回折格子のピッチと略同一であるために、タルボ干渉縞を正確に撮像するためには非常に高い空間分解能を有するX線画像検出器を準備する必要がある。特に、蛍光体(X線用シンチレーター)を介して可視光に変換した後、CCD等の電子撮像素子で撮影する方式の場合、タルボ干渉縞を正確に撮像可能な程度まで電子撮像素子の画素を細かくすることは、現時点ではコスト面や製造歩留まり等の観点より実用的ではない。
0009
これらの問題を解決するために、いわゆるモアレ縞を利用する方法が一般には行われている。具体的には、タルボ干渉縞が現れる場所に、このタルボ干渉縞とほぼ同じ周期で、反射部材(または吸収部材)と透過部材とが並べられた回折格子(以下、モアレ縞発生用回折格子と称する)をタルボ干渉縞に対して若干傾けて配置することでモアレ縞を生じさせることができる。そして、モアレ縞の間隔はタルボ干渉縞の周期よりもはるかに大きい。このため、一般的なX線画像検出器を用いてもモアレ縞を正確に撮像することが可能となる(たとえば、非特許文献1等)。
先行技術
発明が解決しようとする課題
0012
撮像によって得られたモアレ縞を用いて、元のタルボ干渉縞を精度良く復元するためには、モアレ発生用回折格子をタルボ干渉縞の周期の数分の1の距離だけタルボ干渉縞の縞が並ぶ方向(周期方向)に若干移動させつつ撮影する、という動作を数回行い、複数枚のモアレ縞の撮影画像を得る必要がある。
0013
しかしながら、モアレ発生用回折格子を移動させる際に、モアレ発生用回折格子が所望の位置からずれると、元のタルボ干渉縞を精度良く復元することはできない。すなわち、被写体に係る高精度の撮影画像を得ることができない。
0014
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、回折格子のずれに拘わらず、高精度の撮影画像を得ることが可能なX線撮影装置およびX線撮影方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0015
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、X線を出射するX線源と、第1回折格子と、所定面に沿って配置され、前記第1回折格子によって回折されたX線を回折する第2回折格子と、前記第2回折格子と近接して配置され、前記第2回折格子によって回折されたX線の強度の2次元分布を示す画像情報を得るX線検出手段と、前記第2回折格子が配置される所定の基準位置に対して、該第2回折格子が前記所定面に沿って傾いている傾き度合いを検知する傾き検知手段と、を備え、前記第1回折格子が、該第1回折格子に照射された前記X線においてタルボ効果を生じさせ、前記第2回折格子が、前記画像情報に係る画像に、モアレ縞を発生させることを特徴とするX線撮影装置である。
0016
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記傾き検知手段が、被写体を透過しないX線に応じて前記第2回折格子によって発生されるモアレ縞の状態に基づいて、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とする。
0017
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のX線撮影装置であって、前記第1回折格子に近接して配置され、且つ前記被写体を近接させて設置するための被写体設置用プレート、を更に備え、前記被写体設置用プレートが、被写体を透過していないX線が照射される確認用面領域を含み、前記傾き検知手段が、前記確認用面領域を透過し、且つ前記第2回折格子によって回折されたX線に応じたモアレ縞に基づいて、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とする。
0019
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のX線撮影装置であって、前記間仕切り部が、重金属を含んで構成されていることを特徴とする。
0020
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載のX線撮影装置であって、ユーザの操作に応じて、前記画像上において前記被写体を透過していないX線に応じた基準画像領域を指定する領域指定手段、を更に備え、前記傾き検知手段が、前記基準画像領域に含まれるモアレ縞の状態に基づいて、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とする。
0021
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のX線撮影装置であって、前記傾き検知手段が、所定の基準面と前記第2回折格子の端面との位置関係を測定する測定手段を含み、該位置関係に基づいて、前記傾き度合いを検知することを特徴とする。
0023
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載のX線撮影装置であって、前記測定手段が、静電容量型測長器を含むことを特徴とする。
0024
請求項10に記載の発明は、X線を出射するX線源と、該X線においてタルボ効果を生じさせる第1回折格子と、所定面に沿って配置され、且つ前記第1回折格子によって回折されたX線を回折する第2回折格子とを有し、該第2回折格子と近接して配置され、且つ該第2回折格子によって回折されたX線の強度の2次元分布を示す画像情報を得るX線撮影装置を用いたX線撮影方法であって、被写体を設置して、前記X線源からX線を出射させつつ、前記第1および第2回折格子によって順次に回折されたX線の強度の2次元分布を示す画像情報を得る被写体撮影工程と、前記第2回折格子が配置される所定の基準位置に対して、該第2回折格子が前記所定面に沿って傾いている傾き度合いを検知する傾き検知工程と、を備えることを特徴とする。
0025
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載のX線撮影方法であって、前記傾き検知工程において、前記被写体を透過していないX線に応じて、前記画像情報に係る画像において前記第2回折格子によって発生されるモアレ縞の状態に基づき、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とする。
0026
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のX線撮影方法であって、ユーザの操作に応じて、前記画像上において前記被写体を透過していないX線に応じた基準画像領域を指定する領域指定工程、を更に備え、前記傾き検知工程において、前記基準画像領域に含まれるモアレ縞の状態に基づいて、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とする。
0027
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載のX線撮影方法であって、前記被写体を設置することなく、前記X線源からX線を出射させつつ、前記第1および第2回折格子によって順次に回折されたX線の強度の2次元分布を示す画像情報を得る基準撮影工程、を更に備え、前記傾き検知工程において、前記基準撮影工程において得られた前記画像情報に係る画像のモアレ縞に基づいて、前記第2回折格子の傾き度合いを検知することを特徴とする。
発明の効果
0028
請求項1から請求項9の何れに記載の発明によっても、モアレ縞の状態に影響を与える第2回折格子の傾きが検知されるため、高精度の撮影画像を得ることが可能となる。
0029
請求項2に記載の発明によれば、第2回折格子の傾きが正確に検知されるため、撮影時における第2回折格子の傾きに応じた適切な補正を行うことが可能となる。
0030
請求項3に記載の発明によれば、被写体の存在の影響を受けていないモアレ縞の状態に基づいて前記第2回折格子の傾きを正確に検知することができる。
0031
請求項4に記載の発明によれば、被写体設置用プレートにおいて、間仕切り部の存在により、被写体を設置すべきでない場所が明確となるため、被写体の影響を受けていないモアレ縞の状態を容易に認識することができる。
0032
請求項5に記載の発明によれば、X線の吸収量が大きい重金属の存在によって、画像上で、被写体の影響を受けていないモアレ縞の領域を容易に認識することができる。
0033
請求項6に記載の発明によれば、被写体の位置に応じて基準画像領域を設定しつつ、被写体の存在を受けていないモアレ縞の状態に基づいて第2回折格子の傾きを正確に検知することができる。
0034
また請求項7から請求項9の何れに記載の発明によっても、第2回折格子の傾きを実測に基づいて容易且つ正確に検知することができる。
0035
請求項10に記載の発明によれば、請求項1と同様の効果を得ることができる。
0036
請求項11に記載の発明によれば、請求項2と同様の効果を得ることができる。
0037
請求項12に記載の発明によれば、請求項6と同様の効果を得ることができる。
0038
請求項13に記載の発明によれば、より確実に第2回折格子の傾きを検知することができる。
図面の簡単な説明
0039
本発明の第1実施形態に係るX線撮影装置の概略構成を示す模式図である。
X線源からX線検出器に至るまでの構成を上方から見た模式図である。
X線源用回折格子、第1回折格子および第2回折格子の構造の一例を示す図である。
第2回折格子の回転角度αを示す模式図である。
間仕切り部を備える被写体設置用プレートを例示する図である。
表示部に表示された撮影画像上に指定された基準画像領域を示す図である。
本発明の第3実施形態であるX線撮影装置の概略構成を示す模式図である。
レーザ測長器に係る概略構成図を示す図である。
タルボ干渉を利用したX線撮影装置の概略構成を例示する模式図である。
被写体設置用プレートに備えられた間仕切り部を示す図である。
静電容量型測長器の概略構成を示す図である。
実施例
0040
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
0041
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るX線撮影装置50Aの概略構成を示す模式図である。X線撮影装置50Aは、X線源1の近傍にマルチスリットの回折格子を配置するタルボロー干渉を利用している。
0042
図1に示すように、X線撮影装置50Aは、X線源1と、X線源制御部2と、X線源用回折格子15と、被写体設置用プレート5Aと、第1回折格子6と、第2回折格子7と、X線検出器8と、検出器制御部10および傾き検知部11を有し、装置全体を制御する制御部9と、記憶部12と、操作部13と、表示部14とを備える。なお、ここでは、被写体設置用プレート5Aの近傍に被写体4が設けられる。
0043
X線源1は、X線をX線検出器8に向けて出射する。
0044
X線源制御部2は、後述する制御部9からの信号に応じてX線源1によるX線の出射を制御する。図1では、X線源1から出射されるX線が通過する空間領域(X線通過領域)の外縁が矢印16で示されている。
0045
X線源用回折格子15は、X線源1のX線が出射される側の近傍に設けられ、マルチスリットの回折格子が配置されて構成される。このX線源用回折格子15によって、X線源1が線状のX線源が並んだ状態に変換される。
0047
そして、X線源1から出射されたX線は、X線源用回折格子15のスリットを通過して第1回折格子6に向けて放射される。
0048
第1回折格子6は、X線源1から出射され、X線源用回折格子15のスリットを通過したX線を回折する。第1回折格子6は、所定の周期で配置された複数の層を有し、第1回折格子6に照射されるX線の分布においてタルボ効果による干渉縞を生じさせる。
0049
被写体設置用プレート5Aは、例えば、シリコン、ガラス、樹脂等によって構成され、第1回折格子6に近接して配置されている。この被写体設置用プレート5Aは、撮影時に被写体4を近接させて設置することで、被写体4の位置合わせを行う基準として使用される。
0050
第2回折格子7は、所定面、具体的には第1回折格子6によって生じるタルボ効果に係る干渉縞が発生する面に沿って配置され、第1回折格子6によって回折されたX線をさらに回折する。第2回折格子7は、第1回折格子6と同様に所定の周期で配置された複数の層を有する。また、第2回折格子は、タルボ干渉縞が現れる場所に、タルボ効果に係る干渉縞(タルボ干渉縞)に対して若干傾けて配置されることによって、X線検出器8によって得られる画像情報(X線の強度の2次元分布を示す画像情報)に係る画像にモアレ縞を発生させる。
0051
図2は、X線源1からX線検出器8に至るまでの構成を上方(+Z方向)から見た模式図である。図3は、X線源用回折格子15、第1回折格子6および第2回折格子7の構造の一例を示す図である。図2以降の図では、方位関係を明確化するためにXYZの直交する3軸が適宜付されている。
0052
図2では、「R1」は、X線源用回折格子15から第1回折格子6までの距離(単位はメートル[m])を表し、「R2」は、X線源用回折格子15から第2回折格子7までの距離(単位はメートル[m])を表す。
0053
図3に示されるX線源用回折格子15、第1回折格子6および第2回折格子7は、X線の吸収率が高い素材(例えば、金、白金、イリジウム、鉛、タングステン等の重金属)によって構成されるX線吸収層22と、X線の吸収率が低い素材(例えば、シリコン、ガラス、樹脂等)によって構成されるX線非吸収層23とが交互に配置されて、基板21の−X側端面上に、X線吸収層22およびX線非吸収層23の層長が該−X側端面の法線方向と平行になるように密着して形成されている。
0054
ここでは、X線吸収層22とX線非吸収層23とが繰り返して配置される周期、すなわち「ピッチ」は、1層のX線吸収層22の厚みと1層のX線非吸収層23の厚みとを加算した厚みとなっている。また、基板21の上面からX線吸収層22およびX線非吸収層23の上面までの距離を「層長」と称する。そして、ピッチについては、表1では、X線源用回折格子15のピッチをd1、第1回折格子6のピッチをd2、第2回折格子7のピッチをd3と表している。
0055
表1は、X線源用回折格子15、第1回折格子6、および第2回折格子7に係るピッチ、層長、および距離の具体例を示す。
0056
0057
表1で示されるように、例えば、X線源用回折格子15のピッチd1が35μm、層長が100μmであり、第1回折格子6のピッチd2が5μm、層長が3μmであり、第2回折格子7のピッチd3が6μm、層長が50μmである場合には、R1は2.2m、R2は2.6mに設定される。
0058
図1に戻って説明を続ける。
0059
X線検出器8は、第2回折格子7と近接して配置され、第2回折格子7によって回折されたX線の強度分布を電気信号に変換する。X線検出器8は、いわゆるX線シンチレータと撮像素子を用いて構成され、平面状にマトリックス状に並べられた複数の画素によって、2次元平面上でX線の強度をサンプリングする。そして、X線検出器8は、画素ごとにX線量に比例した電荷値を電気信号に変換し、順次走査によって電気信号を出力しつつ、該電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換(A/D変換)して画像情報として記憶部12に出力する。
0060
制御部9は、例えばCPUによって構成され、記憶部12に記憶される制御プログラムを実行することで、X線撮影装置50A全体の動作を制御する。具体的には、制御部9は、X線撮影装置50A全体に各種指令を与え、さらに後述する表示部14に表示の指示を出す。そして、制御部9は、後述する検出器制御部10および傾き検知部11の機能も実現する。
0061
検出器制御部10は、X線検出器8の動作を制御する。
0062
傾き検知部11は、第2回折格子7が配置される所定の基準位置に対して、該第2回折格子7が第1回折格子6によって生じるタルボ効果に係る干渉縞が発生する面に沿って傾いている度合い(傾き度合い)を検知する。具体的には、傾き検知部11は、X線検出器8によって得られた画像情報を取得し、被写体4を透過しないX線に応じて第2回折格子7によって発生されるモアレ縞の状態(例えば、モアレ縞の間隔、およびその単位長さあたりの本数等)に基づいて、第2回折格子7の傾き度合いを検知する。
0063
ここで、第2回折格子7の傾き度合いは、図2および図3を参照して、例えば、第2回折格子7が配置される所定の基準位置を基準として、第2回折格子7に垂直な直線(すなわちX軸に平行な直線)を中心軸とした回転角度αで表される。ここで、第2回折格子7の所定の基準位置は、第1回折格子6によって生じるタルボ干渉縞が発生する面に沿って、第2回折格子7に垂直な直線(すなわちX軸に平行な直線)を中心軸として、YZ面上のタルボ干渉縞と平行な線との回転角度が0度の位置である。
0064
図4は、第2回折格子7を−X側の面から見た回転角度αを示す模式図である。第2回折格子7は、X線検出器8によって得られる画像情報に係る画像にモアレ縞を発生させるために、所定の基準位置から第1回折格子6によって生じるタルボ干渉縞が発生する面に沿って、第2回折格子7に垂直な直線(すなわちX軸に平行な直線)を中心軸として、回転角度がα度(望ましくは0度を除く5度以下、更に望ましくは1度前後)の位置に設定される。しかし、モアレ縞の撮影のために第2回折格子を移動させた場合等において、該回転角度がα’度に変動してしまう場合があり、このときに生じた回転角度のずれΔα度は、回転角度α’度とα度との差で表されることになる。
0065
図1の記憶部12は、例えば半導体メモリ、ハードディスク等の記憶装置によって構成され、制御部9で実行されるプログラム、該プログラムを実行する際に必要なデータ、X線検出器8によって得られた画像情報等を記憶する。
0067
表示部14は、例えば液晶表示ディスプレイ等を備えて構成され、制御部9で生成される動画像データ等を可視的に出力する。
0068
被写体4を設置して、X線源1からX線を出射させつつ、最初に第1回折格子6によってタルボ効果に基づく干渉縞を発生させる際、このタルボ干渉縞の周期はμmオーダーであるため、直接撮像素子で観察するのが難しい。
0069
そこで、X線撮影装置50Aでは、干渉縞が発生する面において、干渉縞のピッチと略同一ピッチ(周期)を有する第2回折格子7を干渉縞に対して斜めに傾けて配置する。そして、第2回折格子7によってX線を回折させて、X線検出器8によってX線の強度の2次元分布を示す画像情報からモアレ縞の画像を得て、間接的にタルボ干渉縞を観察する。
0070
このような構成において、モアレ縞から元の干渉縞を精度良く復元するには、第2回折格子7を移動させつつモアレ縞を複数枚撮影する必要がある。但し、第2回折格子7の傾き度合いによってモアレ縞の発生の状態が変化するため、第2回折格子7の傾き度合いを把握する必要がある。
0071
そこで、X線撮影装置50Aでは、モアレ縞を取得する撮影毎に、第2回折格子7を配置すべき所定の基準位置を基準として、第1回折格子6によって生じるタルボ効果に係る干渉縞が発生する面に沿って該第2回折格子7が傾いている度合い(傾き度合い)を検知する。
0072
第2回折格子7の傾き度合いによって単位長さあたりのモアレ縞の本数が異なる。このため、傾き検知部11は、X線検出器8によって得られた画像情報から、モアレ縞が単位長さあたり何本あるのかを検出して、第2回折格子7の傾き度合い、すなわち第2回折格子7の回転角度αを算出する。
0073
第1回折格子6によって発生するタルボ効果による干渉縞のピッチと第2回折格子7のピッチはが略同一であるため、両者のピッチをPとすると、第2回折格子7の回転角度αとモアレ縞の周期P’は以下のようになる。
0074
P’≒P/α(本式でのαをラジアンに変換)
0075
例えば、第2回折格子7のピッチPを5μmとすると、α=1.1度の場合は、P’≒260μmとなり、α=1.09度の場合は、P’≒263μmとなり、α=1.08度の場合は、P’≒265μmとなる。そして、周期P’は公知の画像処理技術を利用することにより測定可能である。このため、周期P’を測定することで、第2回折格子7の回転角度αを算出することが可能となる。
0076
ここで、第2回折格子7の傾き度合いを検知するにあたっては、被写体4を透過することによって位相差が生じたX線に対応するモアレ縞では、第2回折格子7の傾き度合いを正確に検知することができない。
0077
そこで、被写体設置用プレート5Aは、被写体4が覆ってはいけない面領域(確認用面領域)と他の面領域との境界を可視的に分断する間仕切り部を備える。図5は、間仕切り部20Aを備える被写体設置用プレート5Aを例示する図である。例えば、被写体設置用プレート5Aの確認用面領域18と他の面領域との境界は、X線を吸収する金、白金、イリジウム、鉛、タングステン等の重金属で構成されたインクによって区分けされる。
0078
傾き検知部11は、被写体4を透過することなく被写体設置用プレート5Aの確認用面領域18を透過し、第2回折格子7によって回折されたX線によって生じたモアレ縞に基づいて、第2回折格子7の傾き度合いを検知する。そのため、被写体4による影響を避けて、第2回折格子7の傾き度合いを正確に検知することが可能になる。
0079
このように、本実施形態では、モアレ縞の状態に影響を与える第2回折格子の傾きが正確に検知されるため、撮影時における第2回折格子7の傾き度合いに応じた適切な補正を行うことが可能となる。その結果、高精度の撮影画像を得ることが可能となる。
0080
そして、第2回折格子7の傾きに応じた補正をするにあたっては、例えば、このときに生じた回転角度のずれΔαが、±0.02度以下となるように第2回折格子7の傾き度合いを補正することが望ましい。
0081
一般に撮影装置では、装置の精度として±0.1度内の回転角度αのずれΔαが生じる。例えば、第2回折格子7のピッチPを5μm、回転角度αを1度とすると、装置の精度的には回転角度αの範囲は1.1度〜0.9度(Δαは±0.1度)となる。これに対して、本実施形態においては、第2回折格子7の傾き度合いが正確に検知されるため、回転角度αが1.02〜0.98度(Δαは±0.02度)の範囲内に入るようにフィードバック制御を行うことで、高精度の撮影画像を得ることが可能となる。
0082
なお、得られた撮影画像に対して、第2回折格子7の傾き度合いに応じた画像処理を施すことによっても高精度の撮影画像を得ることが可能である。
0083
また、上述したように、被写体4の存在の影響を受けていないモアレ縞の状態に基づいて第2回折格子7の傾き度合いを正確に検知することができる。そして、被写体設置用プレート5Aでは、X線の吸収量が大きい重金属で構成される間仕切り部20Aの存在により、被写体4を設置すべきでない場所が明確となる。このため、被写体4の影響を受けていないモアレ縞の状態を容易に認識することができる。
0084
<第2実施形態>
第2実施形態では、画像上で被写体4の影響を受けていない画像領域が指定されて、モアレ縞の解析が行われる。例えば、表示部14の画面上に、モアレ縞が示される画像が表示された状態で、ユーザによる操作部13の操作によって、画像上において被写体4を透過していないX線に応じた画像領域(基準画像領域)が指定される。そして、基準画像領域が指定された後に、傾き検知部11が、基準画像領域に含まれるモアレ縞の状態に基づいて、第2回折格子7の傾き度合いを検知する。
0085
図6は、表示部14に表示された画像上で指定された基準画像領域25を例示する図である。
0086
以上のように、第2実施形態によれば、被写体4の位置に応じて基準画像領域25を設定しつつ、被写体4の存在を受けていないモアレ縞の状態に基づいて、第2回折格子7の傾き度合いを正確に検知することができる。
0087
<第3実施形態>
第3実施形態では、第2回折格子7の傾き度合いを検知する手段として、予め定められる基準面と第2回折格子7の端面との位置関係を測定するレーザ測定器および傾き検知部11が用いられる。そして、傾き検知部11が、レーザ測定器によって測定された位置関係に基づいて、第2回折格子7の傾き度合いを検知する。
0088
図7は、本発明の第3実施形態に係るX線撮影装置50Bの概略構成を示す模式図である。第3実施形態の機能構成は、前述の第1実施形態と類似しているため、同様の構成については同じ符号を付して重複説明を省略し、異なる構成について説明する。
0089
図7に示されるように、第3実施形態では、レーザ測長器30が備えられている。そして、制御部9の制御下で、該レーザ測長器30によって定める基準面と第2回折格子7の端面との位置関係が測定される。
0091
レーザ測長器30では、2つのセンサヘッド31,32を備えている。また、ミラー33,34が第2回折格子7を保持する外枠の一端面の両端部付近に設置されている。そして、センサヘッド31からミラー33へ、また、センサヘッド32からミラー34へレーザ光が照射される。このとき、レーザ測長器30では、ミラー33,34によって反射されたレーザ光と、元の入射光と重ね合わせたときの光路差によって生じるビート信号の位相差を利用して、基準面から第2回折格子7の一辺の両端部付近までの距離a,bを測定する。その後、傾き検知部11が、レーザ測長器30による測定値(具体的には、距離a,b)から第2回折格子7の傾き度合いを検知する。
0092
本実施形態によれば、第2回折格子7の傾きを実測に基づいて容易且つ正確に検知することができる。すなわち、前述の実施形態と同様の効果が得られる。
0093
<変形例>
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
0094
◎例えば、上記第1〜3実施形態では、タルボロー干渉を利用したX線撮影装置50AおよびX線撮影方法であったが、これに限られない。例えば、X線源1の近傍にX線源用回折格子15を配置せず、X線源1からX線源用回折格子15を介することなく、X線を出射させる構成とし、該構成によって生じるタルボ干渉を利用したX線撮影装置およびX線撮影方法としてもよい。図9は、タルボ干渉を利用したX線撮影装置50Cの概略構成を例示する模式図である。本変形例の機能構成は、前述の第1実施形態と類似しているため、同様の構成については同じ符号を付している。
0095
◎また、上記第1および第2実施形態では、被写体4が被写体設置用プレート5A全面を覆っている場合には、被写体4の位相情報を含んでいないモアレ縞を得ることができない。したがって、被写体4を設置することなく撮影を行ってX線の強度の2次元分布を示す画像情報を得て、該画像情報に基づいて第2回折格子7の傾き度合いを検知してもよい。具体的には、被写体4が設置さていない基準状態で撮影を行う(基準撮影工程)と、被写体4が設置された状態撮影を行う工程(被写体撮影工程)とを、前後を問わず、順次に行うようにしてもよい。本変形例によれば、より確実に第2回折格子7の傾きを検知することが可能となる。
0096
◎また、上記実施形態では、被写体4が、X線源用回折格子15と第1回折格子6との間に設置されていたが、被写体設置用プレート5Aおよび被写体4を第1回折格子6と第2回折格子7との間に設置してもよい。さらに、被写体設置用プレート5Aは、第1回折格子6あるいは第2回折格子7の前に設置してもよいし、第1回折格子6あるいは第2回折格子7と一体となるように設置してもよい。
0097
◎また、上記第1実施形態では、被写体設置用プレート5Aにおいて、被写体4が覆ってはいけない領域(確認用面領域)18と他の面領域との境界を可視的に分断するために、間仕切り部20Aとして、重金属で構成されたインクによって区分けがされていたが、これに限られない。例えば、同様な機能を有する間仕切り部として、重金属で構成された壁(分断壁)、または、ポールを被写体設置用プレートに設けてもよい。図10は、分断壁からなる間仕切り部20Bが設けられた被写体設置用プレート5Bを例示する図である。
0098
◎また、上記第3実施形態では、レーザ測長器30が所定の基準面から第2回折格子7の一端面の2箇所までの距離a,bを測定し、該測定値から第2回折格子7の傾き度合いを検知していたが、これに限られない。例えば、所定の基準面から第2回折格子7の一端面の3箇所以上までの距離を測定して、第2回折格子7の傾き度合いを検知してもよい。
0099
◎また、上記第3実施形態では、第2回折格子7の傾き度合いを検知する手段として、予め定められる基準面と第2回折格子7の端面との位置関係を測定するレーザ測定器を用いたが、これに限られず、静電容量型測長器を用いてもよい。
0100
図11は、静電容量型測長器40の概略構成を示す図である。図11においても、図8と同様に、第2回折格子7の移動方向がRで示されており、第2回折格子7は、ガイドレール45に沿って矢印Rで示される方向に移動する。
0101
静電容量型測長器40では、2つのプローブ41,42を備える。また、参照電極43,44が第2回折格子7を保持する外枠の一端面の両端部に絶縁体を介して設置されている。このため、プローブ41と参照電極43とが静電容量を形成するとともに、プローブ42と参照電極44とが静電容量を形成する。
0102
このような構成では、第2回折格子7の移動に伴って、プローブ41,42と参照電極43,44との距離の変化によって各静電容量が変化する。このため、図示しない静電容量−電圧変換回路において、基準面から第2回折格子7の一端部までの距離a,bに比例した電圧が出力されることで、距離a,bが測定される。そして、傾き検知部11によって、該測定値から第2回折格子7の傾き度合いを検知することが可能となる。
0103
◎なお、第2回折格子7の傾き度合いを検知する手段として、所定の基準面から第2回折格子7の一端部までの距離をカメラ等の撮像機器によって撮像して測定し、測定値から第2回折格子7の傾き度合いを検知するようにしてもよい。
0104
1X線源
2 X線源制御部
5A,5B被写体設置用プレート
6 第1回折格子
7 第2回折格子
8X線検出器8
9 制御部
11傾き検知部
12 記憶部
13 操作部
14 表示部
15 X線源用回折格子
18確認用面領域
20A,20B間仕切り部
25基準画像領域
30レーザ測長器
40静電容量型測長器
50A,50B,50C X線撮影装置
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