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技術 Ni基単結晶超合金

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構三菱重工業株式会社
発明者 原田広史横川忠晴小泉裕小林敏治坂本正雄川岸京子正田淳一郎塚越敬三小薮豪通岡田郁生伊藤栄作鳥越泰治小熊英隆種池正樹
出願日 2009年1月15日 (8年6ヶ月経過) 出願番号 2009-006746
公開日 2010年7月29日 (6年11ヶ月経過) 公開番号 2010-163659
状態 特許登録済
技術分野 タービンロータ・ノズル・シール タービンの細部・装置 ガスタービン、高圧・高速燃焼室 非鉄金属または合金の熱処理 タービンロータ・ノズル・シール
主要キーワード ひずみ範囲 ガスタービン機関 ガンマ相 硫化腐食 高温機器 タービン翼表面 Cl成分 運用条件

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以下の情報は公開日時点(2010年7月29日)のものです。

課題

高温・高応力下で使用される高温部材として好適な、TMF特性とクリープ特性および耐硫化腐食に優れたNi基単結晶超合金を提供すること。

解決手段

質量%で、 Co:8〜12%、Cr:5〜7.5%、Mo:0.2〜1.2%、 W:5〜7%、Al:5〜6.5%、Ta:8〜12%、 Hf:0.01〜0.2%、Re:2〜4%、Si:0.005〜0.1%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、単結晶である。

この項目の情報は公開日時点(2010年7月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

背景

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Ni基超合金が、ジェットエンジンガスタービンなどのタービンブレードタービンベーン基材に使用される場合、初期のジェットエンジンではさほど燃焼ガス温度が高くなかったため、タービンブレードやタービンベーンは無冷却で使用されていた。しかし、近年のジェットエンジンなどに代表されるガスタービン機関では、出力および効率向上のために、タービン入口ガス温度がより高温化されている。これにともない、特に大型発電用ガスタービンのタービンブレードやタービンベーンは、高温強度の保持のために、中空翼構造を有し、内部を強制的に空気蒸気を用いて冷却し、基材の温度上昇を防いでいる。このようなタービンブレードやタービンベーンでは、翼表面温度は900℃を超える一方、翼内部は600℃程度となっている。こうした翼表面と内部の温度差は、熱疲労(Thermo-mechanicalfatigue:TMF)を発生させる。

また、特にタービンブレードは、高温の燃焼ガスにさらされるのと同時に、高速回転するため、遠心力による高い応力に耐えなければならず、この要求に対しては、高温でのクリープ特性もTMFと同様に重要である。

従来、耐熱疲労特性を目的にしたNi基超合金が知られている(特許文献1、2)。また、クリープ特性の優れたNi基超合金(特許文献3)は、多くの高温機器使用実績が多い。

概要

高温・高応力下で使用される高温部材として好適な、TMF特性とクリープ特性および耐硫化腐食に優れたNi基単結晶超合金を提供すること。質量%で、 Co:8〜12%、Cr:5〜7.5%、Mo:0.2〜1.2%、 W:5〜7%、Al:5〜6.5%、Ta:8〜12%、 Hf:0.01〜0.2%、Re:2〜4%、Si:0.005〜0.1%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、単結晶である。なし

目的

特許第2841970号公報
特許第3214330号公報
米国特許第4643782号公報






近年のジェットエンジンやガスタービンの進歩にともない燃焼ガス温度が高温化される中、より優れた熱疲労特性とクリープ特性および耐硫化腐食に優れたNi基超合金の出現が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項

以下の情報は公開日時点(2010年7月29日)のものです。

請求項1

質量%で、Co:8〜12%、Cr:5〜7.5%、Mo:0.2〜1.2%、W:5〜7%、Al:5〜6.5%、Ta:8〜12%、Hf:0.01〜0.2%、Re:2〜4%、Si:0.005〜0.1%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、単結晶であることを特徴とするNi基単結晶超合金。

請求項2

質量%で、Co:8〜11%、Cr:5〜7%、Mo:0.2〜1%、W:5.5〜7%、Al:5〜6%、Ta:9〜12%、Hf:0.05〜0.2%、Re:2.5〜4%、Si:0.005〜0.08%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、単結晶であることを特徴とする請求項1に記載のNi基単結晶合金

請求項3

質量%で、Co:8〜10%、Cr:6〜7%、Mo:0.5〜1%、W:5.5〜6.5%、Al:5〜6%、Ta:9〜11%、Hf:0.05〜0.15%、Re:2.5〜3.5%、Si:0.005〜0.08%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、単結晶であることを特徴とする請求項2に記載のNi基単結晶合金。

詳細

以下の情報は 公開日時点 (2010年7月29日)のものです。

技術分野

0001

本発明は、Ni基単結晶超合金に関する。


背景技術

0002

Ni基超合金が、ジェットエンジンやガスタービンなどのタービンブレードやタービンベーンの基材に使用される場合、初期のジェットエンジンではさほど燃焼ガス温度が高くなかったため、タービンブレードやタービンベーンは無冷却で使用されていた。しかし、近年のジェットエンジンなどに代表されるガスタービン機関では、出力および効率向上のために、タービンの入口ガス温度がより高温化されている。これにともない、特に大型発電用ガスタービンのタービンブレードやタービンベーンは、高温強度の保持のために、中空翼の構造を有し、翼内部を強制的に空気や蒸気を用いて冷却し、基材の温度上昇を防いでいる。このようなタービンブレードやタービンベーンでは、翼表面温度は900℃を超える一方、翼内部は600℃程度となっている。こうした翼表面と内部の温度差は、熱疲労(Thermo-mechanicalfatigue:TMF)を発生させる。

0003

また、特にタービンブレードは、高温の燃焼ガスにさらされるのと同時に、高速回転するため、遠心力による高い応力に耐えなければならず、この要求に対しては、高温でのクリープ特性もTMFと同様に重要である。

0004

従来、耐熱疲労特性を目的にしたNi基超合金が知られている(特許文献1、2)。また、クリープ特性の優れたNi基超合金(特許文献3)は、多くの高温機器で使用実績が多い。


先行技術

0005

特許第2841970号公報
特許第3214330号公報
米国特許第4643782号公報


発明が解決しようとする課題

0006

近年のジェットエンジンやガスタービンの進歩にともない燃焼ガス温度が高温化される中、より優れた熱疲労特性とクリープ特性および耐硫化腐食に優れたNi基超合金の出現が望まれている。

0007

そこで、本発明は、900℃/392MPaにおけるクリープ特性が600時間以上、1000℃/245MPaにおけるクリープ特性が160時間以上、TMF特性は、温度範囲:400〜900℃の範囲、ひずみ範囲:±0.64%、周波数66min/サイクル波形三角波台形波位相逆位相条件で200回以上であり、かつ耐硫化腐食が、75%Na2SO4+25%NaCl成分の塩を900℃に加熱し、20時間浸漬したときの腐食減量が、0.001mm以下であることを具体的な目標としている。

0008

そして、本発明は、大型発電用ガスタービンのタービンブレードやタービンベーンなどの高温・高応力下で使用される高温部材として好適な、TMF特性とクリープ特性および耐硫化腐食に優れたNi基単結晶超合金を提供することを課題としている。


課題を解決するための手段

0009

本発明は、上記の課題を解決するために、以下の特徴を有している。

0010

第1の発明は、質量%で、
Co:8〜12%、
Cr:5〜7.5%、
Mo:0.2〜1.2%、
W:5〜7%、
Al:5〜6.5%、
Ta:8〜12%、
Hf:0.01〜0.2%、
Re:2〜4%、
Si:0.005〜0.1%
を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、単結晶であることを特徴としている。

0011

第2の発明は、上記第1の発明の特徴において、
質量%で、
Co:8〜11%、
Cr:5〜7%、
Mo:0.2〜1%、
W:5.5〜7%、
Al:5〜6%、
Ta:9〜12%、
Hf:0.05〜0.2%、
Re:2.5〜4%、
Si:0.005〜0.08%
を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、単結晶である
ことを特徴としている。

0012

第3の発明は、上記第2の発明の特徴において、
質量%で、
Co:8〜10%、
Cr:6〜7%、
Mo:0.5〜1%、
W:5.5〜6.5%、
Al:5〜6%、
Ta:9〜11%、
Hf:0.05〜0.15%、
Re:2.5〜3.5%、
Si:0.005〜0.08%
を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、単結晶である
ことを特徴としている。


発明の効果

0013

本発明によれば、TMF特性とクリープ特性および耐硫化腐食に優れたNi基単結晶超合金が提供され、このNi基単結晶合金は、大型発電用ガスタービンのタービンブレードやタービンベーンなどの高温・高応力下で使用される高温部材として好適である。


図面の簡単な説明

0014

表1に示した化学組成を有する合金の900℃/392MPaでのクリープ特性とTMF特性(60分の圧縮保持)を示した図である。
表1に示した化学組成を有する合金の1000℃/245MPaでのクリープ特性とTMF特性(60分の圧縮保持)を示した図である。
実施例における本発明合金比較合金6の硫化腐食試験の結果を示した図である。


実施例

0015

本発明のNi基単結晶超合金における化学組成の限定の理由は、以下のとおりである。

0016

Coは、ガンマ相のNiと置換し、マトリックスを固溶強化する元素である。また、ガンマプライムソルバス温度下げることにより溶体化温度幅を広げ、熱処理特性を向上させる効果のある元素である。含有量は、8〜12質量%とする。8質量%より少ないと溶体化温度幅が小さく、12質量%より多いとガンマプライム量が少なくなり、強度を低下させる。Coの含有量は、好ましくは、8〜11%であり、より好ましくは、8〜10%である。

0017

Crは、高温耐食性を向上させる元素である。含有量は、5〜7.5質量%とする。5質量%より少ないと耐食性を低下させ、7.5質量%を超えると有害相を生成し高温強度が低下する。Crの含有量は、好ましくは、5〜7%であり、より好ましくは、6〜7%である。

0018

Moは、ガンマ/ガンマプライムミスフィットを負として高温での強化メカニズム一つであるラフト効果を促進させる元素である。含有量は、0.2〜1.2質量%とする。Moは、素地中に固溶して高温強度を上昇させるとともに、析出硬化によって高温強度に寄与する。0.2質量%より少ないと高温強度が低下し、4質量%を超えると有害相を生成し高温強度が低下する。Moの含有量は、好ましくは、0.2〜1%であり、より好ましくは、0.5〜1%である。

0019

Wは、Moと同様に、固溶強化と析出硬化の作用がある。含有量は、5〜7質量%とする。要求されるクリープ強度やTMF強度を得るには最低でも5質量%が必要であり、また、7質量%を超える添加は有害相を生成し、強度が低下する。Wの含有量は、好ましくは、5.5〜7%であり、より好ましくは、5.5〜6.5%である。

0020

Alは、Niと化合し、ガンマ母相中析出するガンマプライム相を構成するNi3Alで表される金属間化合物を、体積分率で50〜70%の割合で形成し、TMF強度およびクリープ強度を向上させる。含有量は、5〜6.5質量%とする。Alが5質量%より少ないとガンマプライム相量が少なく要求されるTMF強度およびクリープ強度が得られず、6.5質量%を超えても要求されるTMF強度およびクリープ強度が得られない。Alの含有量は、好ましくは、5〜6%である。

0021

Taは、ガンマプライム相を強化してクリープ強度を向上させる有効な元素である。含有量は、8〜12質量%とする。Taが8質量%未満では要求されるTMF強度およびクリープ強度が得られず、12質量%を超えると共晶ガンマプライム相の生成を促し、溶体化熱処理を困難にさせる。Taの含有量は、好ましくは、9〜12%であり、より好ましくは、9〜11%である。

0022

Hfは、耐酸化性を向上させる効果があるので、化学組成成分として添加することが有効である。添加量は、0.01〜0.2質量%とする。Hfが0.01質量%未満では耐酸化性の効果が得られず、0.2質量%を超えると有害相の生成を助長するのでTMF強度およびクリープ強度を低下させる。Hfの添加量は、好ましくは、0.05〜0.2%であり、より好ましくは、0.05〜0.15%である。

0023

Reは、ガンマ相に固溶し、固溶強化により高温強度を向上させる。またReは耐食性を向上させる効果もある。一方、Reを多量に添加すると、高温時にTCP相が析出してTMF強度およびクリープ強度を低下させるおそれがある。そこで、添加量は、2〜4質量%とする。2質量%未満では強度が低下し、4質量%を超える添加ではTCP相の析出によりのクリープ強度が低下する。Reの添加量は、好ましくは、2.5〜4%であり、より好ましくは、2.5〜3.5%である。

0024

Siは、耐酸化性を向上させるのに有効な元素である。含有量は、0.005〜0.1質量%とする。0.005質量%未満では耐酸化性の効果が得られない。0.1質量%を超えると要求されるクリープ強度が得られない。Siの含有量は、好ましくは、0.005〜0.08%である。

0025

上記のとおり化学組成を有する本発明のNi基単結晶合金は、たとえば以下のようなプロセスによって製造することができる。

0026

上記化学組成を有する原料溶解し、鋳造して単結晶鋳造物を得た後、この単結晶鋳造物に対して溶体化処理−1次時効処理−2次時効処理を施すことにより、本発明のNi基単結晶合金は製造される。溶体化処理の条件としては、真空中において1250〜1350℃の温度範囲に1〜20時間保持し、次いで空冷することが例示される。1次時効処理の条件としては、真空中において1000〜1200℃の温度範囲に1〜10時間保持し、次いで空冷することが例示される。2次時効処理の条件としては、真空中において850〜900℃の温度範囲に15〜30時間保持し、次いで空冷することが例示される。

0027

なお、各処理に採用される条件は、Ni基単結晶超合金の化学組成に応じて適当なものに設定される。

0028

以下に実施例を示す。
<実施例>

0029

0030

表1に示した化学組成を有するNi基超合金を、真空中において200mm/hの凝固速度で溶解、鋳造して単結晶鋳造物を得た。次に、得られた単結晶鋳造物を真空中において1300℃(10℃単位。以下同じ)で1時間予熱した後、1330℃で10時間保持してから空冷する溶体化処理を行い、その後、真空中において1100℃で4時間保持してから空冷する1次時効処理と、真空中において870℃で20時間保持してから空冷する2次時効処理とを行った。

0031

そして、単結晶合金鋳造物平行部直径4mm、平行部長さ20mmのクリープ試験片加工し、900℃、392MPaおよび1000℃、245MPaの条件でクリープ試験を行った。

0032

また、TMF試験は高周波試験片を加熱して実施した。TMF試験において、温度を下限の400℃から上限の900℃まで変動させ、ひずみを±0.64%で加え、温度変動とひずみとは連動させた。周波数は1サイクルで66min、波形は三角波であり、圧縮時に60分保持した。これらの試験条件はガスタービンの運用条件模擬するものであり、タービン翼表面温度が定常時900℃、停止時400℃と仮定して実施した。また、昇降温速度:166.7℃/minである。

0033

図1および図2にクリープ試験とTMF試験の結果を示した。

0034

図3には75%Na2SO4+25%NaCl成分の塩を900℃に加熱溶融し、溶融した塩中に20時間試料を浸漬して硫化腐食試験を実施した。図3図中の縦軸に硫化腐食減量を長さに換算して示した。

0035

以上の結果を表2にまとめて示す。

0036

0037

本発明合金は、900℃/392MPaにおけるクリープ特性が600時間以上、1000℃/245MPaにおけるクリープ特性が160時間以上であり、TMF特性は、上記条件で200回以上であり、かつ腐食減量が、0.001mm以下である。TMF特性とクリープ特性および耐硫化腐食に優れたNi基単結晶超合金が得られていることが確認される。


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