図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
情報記録媒体として、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクが広く利用されている。最近は、照射光として青色又は青紫色のレーザ光を用いることで、一層高密度で大容量の情報を記録可能としたBD(Blue−lay Disc)が普及されつつある。
BDは、例えば、ディスク基板5上に、ベースコート層61、ピットコート層62、カバーコート層63、ハードコート層64等が積層された構造を有している(図4参照)。他の光ディスクも概ね同様の構造を有している。上記各層61〜64は、ディスク基板5の円形中心孔51の周囲に環状に形成された凸状のスタックリング52より外周側に積層形成される。これら各層61〜64を形成するには、スピンコート法やスパッタ法等が用いられる。
例えば、上記ベースコート層61等は、量産に最適なスピンコート法が用いられることがある。このスピンコート法を行うスピンコート装置は、図6、図7に示すように、ディスク基板5を略水平な状態で保持して回転駆動する回転部102と、塗布液dを点状に吐出する吐出口を有するノズル部103とを備えている。
そして、図6のスピンコート装置では、ディスク基板5を回転しながらディスク基板5上のスタックリング52の外周にディスペンス液等の塗布液dを吐出して円形状に塗布し、次いで遠心力によりディスク基板5の表面に塗布液dを塗り広げて塗布膜を形成している(特許文献1)。また、図7のスピンコート装置では、ディスク基板5の中心孔51にセンターカバー107を装着してこのセンターカバー107上の中心部に塗布液dを吐出し、遠心力によりディスク基板5の表面に塗布液dを塗り広げて塗布膜を形成することも行われている(特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
特開2005−193149号公報
特開2007−226859号公報
特開2004−95108号公報
特開2003−59131号公報
概要
スピンコートによる塗布膜を均一な膜厚で且つ気泡を含む等しない高品質に形成するスピンコート装置を提供する。 スピンコート装置1は、中心孔51を有するディスク基板5を略水平な状態で保持して回転駆動する回転部2と、塗布液dを吐出するノズル部3とを備え、上記ノズル部3は、ディスク基板5の中心孔51近傍に、中心孔51と同心円の連続した円環状に塗布液dを滴下する吐出口31を有する。上記吐出口31は、円形スリット32で構成するか、微小径孔34を円形状に多数並設して構成する。
目的
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スピンコートによる塗布膜を均一な膜厚で且つ気泡を含む等しない高品質に形成できるスピンコート装置を提供することを課題とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
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技術分野
背景技術
0002
情報記録媒体として、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクが広く利用されている。最近は、照射光として青色又は青紫色のレーザ光を用いることで、一層高密度で大容量の情報を記録可能としたBD(Blue−lay Disc)が普及されつつある。
0003
BDは、例えば、ディスク基板5上に、ベースコート層61、ピットコート層62、カバーコート層63、ハードコート層64等が積層された構造を有している(図4参照)。他の光ディスクも概ね同様の構造を有している。上記各層61〜64は、ディスク基板5の円形中心孔51の周囲に環状に形成された凸状のスタックリング52より外周側に積層形成される。これら各層61〜64を形成するには、スピンコート法やスパッタ法等が用いられる。
0004
例えば、上記ベースコート層61等は、量産に最適なスピンコート法が用いられることがある。このスピンコート法を行うスピンコート装置は、図6、図7に示すように、ディスク基板5を略水平な状態で保持して回転駆動する回転部102と、塗布液dを点状に吐出する吐出口を有するノズル部103とを備えている。
0005
そして、図6のスピンコート装置では、ディスク基板5を回転しながらディスク基板5上のスタックリング52の外周にディスペンス液等の塗布液dを吐出して円形状に塗布し、次いで遠心力によりディスク基板5の表面に塗布液dを塗り広げて塗布膜を形成している(特許文献1)。また、図7のスピンコート装置では、ディスク基板5の中心孔51にセンターカバー107を装着してこのセンターカバー107上の中心部に塗布液dを吐出し、遠心力によりディスク基板5の表面に塗布液dを塗り広げて塗布膜を形成することも行われている(特許文献2、特許文献3、特許文献4)。
特開2005−193149号公報
特開2007−226859号公報
特開2004−95108号公報
特開2003−59131号公報
発明が解決しようとする課題
0006
上述の特許文献1では、ノズル部103から塗布液dを吐出する時、ディスク基板5には中心孔51やスタックリング52が設けられているため、スタックリング52の外周に塗布液dを吐出しディスク基板5を回転させて円形に塗布せざるを得ない。そのため、図8に示すように、ディスク基板5が1周して円形に塗布された塗布液dが重なったところ(k)で液量が多くなり、塗布液dをディスク基板面上に一様に広げるには限界があり、塗布膜を高度に均一な膜厚に形成するのが困難であった。また、円形の塗布液dが重なることにより空気が塗布液d中に取り込まれて塗布膜中に気泡が発生する問題もあった。
0007
上述の特許文献2−4では、塗布膜を均一な膜厚に形成するのは比較的に容易であるが、塗布液dがセンターカバー107からディスク基板5上へ移動する際に空気が塗布液d中に取り込まれて塗布膜中に気泡が発生し易いという問題があった。また、スピンコート終了後にセンターカバー107を取り外す際に、センターカバー107に付着する塗布液dがディスク基板5上に液だれしたり、ディスク基板5上の塗布膜が表面張力で引っ張られる等し、塗布膜を崩すという問題があった。
0008
以上の各問題が起こると、後工程のコーティング等でも高品質な層を形成することが出来ず、歩留まりを向上するのが困難となる。例えば、BDのような薄く且つ高度に均一な膜厚の形成が要求される場合には、層形成プロセスの歩留まりを向上させるには、とりわけ最下層のベースコート層61を高品質(均一な膜厚、気泡を含まない、塗布膜の崩れがない等)に形成することが極めて重要である。
0009
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スピンコートによる塗布膜を均一な膜厚で且つ気泡を含む等しない高品質に形成できるスピンコート装置を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
0010
本発明に係るスピンコート装置は、
中心孔を有するディスク基板を略水平な状態で保持して回転駆動する回転部と、塗布液を吐出するノズル部とを備えるスピンコート装置であって、
上記ノズル部は、ディスク基板の中心孔近傍に、中心孔と同心円の連続した円環状に塗布液を滴下する吐出口を有するものである。
0011
これにより、ディスク基板の中心孔の近傍には、塗布液を重なりや途切れのない連続した円環状に滴下することができる。従って、この円環状に滴下した塗布液をディスク基板を回転させて塗り広げることにより、塗布液がディスク基板面上に一様に塗り広げられる。よって、塗布膜の膜厚を高度に均一に形成することができる。
0012
また、円環状に滴下された塗布液には重なりが生じないので、塗布液中に空気が取り込まれて塗布膜中に気泡が形成されることも防止され、また、塗布液の使用量を必要以上に消費することも防止できる。
さらに、ディスク基板の中心孔の近傍に一度に塗布液を円環状に滴下することができ、塗布液の塗布時間の短縮を図ることができる。
0013
上記吐出口は、円形スリットで構成するのが好ましい。
これにより、円形スリットの吐出口からは全周にわたってほぼ等しい液量の塗布液が円環状に吐出される。従って、ディスク基板の中心孔の近傍には、重なりや途切れのない一様に連続した円環状に塗布液を滴下することができる。
0014
上記吐出口は、微小径孔を円形状に多数並設して構成するのが好ましい。
これにより、各微小径孔から吐出される塗布液の液量が等しくなるように設定することで上記吐出口から全周にわたってほぼ等しい液量の塗布液を吐出させることができる。従って、ディスク基板の中心孔の近傍には、重なりや途切れのない一様に連続した円環状に塗布液を滴下することができる。
発明の効果
0015
以上のように、本発明に係るスピンコート装置によれば、スピンコートによる塗布膜を均一な膜厚で且つ気泡を含む等しない高品質に形成することができる。しかも、塗布液を必要以上に使用することもなく、且つ塗布時間の短縮により層形成プロセス時間を短縮することができる。従って、ディスク基板の層形成プロセスの歩留まりが向上され、高品質の光ディスク等の生産効率を向上することができる。
発明を実施するための最良の形態
0016
以下に、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、スピンコート装置1は、円形の中心孔51を有するディスク基板5を略水平な状態で保持して回転駆動する回転部2と、塗布液dを吐出するノズル部3と、このスピンコート装置1の動作を制御する制御部4とを備える。ここで、ディスク基板5は、円形の中心孔51を設けた円板形のディスク基板5であればよく、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blue−lay Disc)等の光ディスクとなるディスク基板5が例示される。また、光ディスクは、例えば、図4に示すように、ディスク基板5上に、ベースコート層61、ピットコート層62、カバーコート層63、ハードコート層64等が積層された構造を有しており、これら各層61〜64の全部又は一部を上記スピンコート装置1により形成することができる。
0017
また、図1を参照して、回転部2は、ディスク基板5を載置する回転テーブル21と、回転テーブル21の中心に設けられてディスク基板5の中心孔51を嵌め込む嵌合凸部22と、回転テーブル21を回転駆動するモータ等の駆動部23とを備えている。回転テーブル21は、図示しない真空源に接続された吸引孔が多数設けられ、ディスク基板5の下面を負圧にすることによってディスク基板5を回転テーブル21上に確実に固定させる。嵌合凸部22の中心は、回転テーブル21の回転中心と一致している。従って、ディスク基板5の中心孔51を回転テーブル21の嵌合凸部22に挿入配置させることによりディスク基板5の中心が回転テーブル21の回転中心と一致される。また、回転テーブル21は、駆動部23により回転テーブル21の回転速度を任意に設定変更することができる。
0018
ノズル部3は、ディスク基板5の中心孔51より大径の円筒体30に形成されており、ディスク基板5の中心孔51近傍のスタックリング52の外周囲に対して中心孔51と同心円形状に塗布液dを吐出する吐出口31を有する。図2に示すように、吐出口31は、円筒体30の側壁下端に設けられ、円形スリット32により構成されている。ノズル部3には、吐出口31の円形スリット32と同形状の空間からなる円形管路33が円筒体30の側壁内に形成され、この円形管路33は、図示しない塗布液dの貯留部と連通されている。ノズル部3は、図示しない移動機構が設けられており、ディスク基板5を回転テーブル21上に取り付け取り外しするに際して上昇又は回転テーブル21の横方へ退避させるようになっている。
0019
次に、スピンコート装置1を用いた塗布膜形成について説明する。以下の動作制御は、制御部4の指令により行われる。
まず、ノズル部3を上方又は横方に退避させ、ディスク基板5を回転テーブル21上に載置させる。このとき、ディスク基板5の中心孔51を回転テーブル21の嵌合凸部22に挿入させる。これにより、ディスク基板5の中心が回転テーブル21の回転中心と一致され、ディスク基板5が回転テーブル21上に保持される。
0020
次いで、ノズル部3を移動させ、回転テーブル21の回転中心とノズル部3の円筒体30の中心とが一致するようにノズル部3を回転テーブル21上へ配置させる。これにより、回転テーブル21上に保持するディスク基板5の中心とノズル部3の円筒体30の中心とが一致され、同時にノズル部3の吐出口31を構成する円形スリット32がディスク基板5の中心孔51近傍に設けるスタックリング52の外周囲に対向される。
0021
そして、ディスク基板5を回転させない状態で、ノズル部3の円形スリット32からなる吐出口31から所定量の塗布液dを吐出する。すると、図3に示すように、ディスク基板5のスタックリング52の外周部に、一度に塗布液dが円環状に滴下される。このとき、円形スリット32の吐出口31からは全周にわたってほぼ等しい液量の塗布液dが円環状に吐出される。これにより、ディスク基板5の中心孔51の外周囲には、重なりや途切れのない一様に連続した円環状に塗布液dが滴下される。
0022
次いで、駆動部23により回転テーブル21を所定の回転数で回転させてディスク基板5を回転させる。すると、円環状に滴下された塗布液dがディスク基板5の外側縁までディスク基板5面上に一様に塗り広げられる。これにより、ディスク基板5面上には塗布膜の膜厚を均一に形成することができる。しかも、ノズル部3から滴下された塗布液dは、重なりや途切れのない一様に連続した円環状となっているので、塗布液d中に空気が取り込まれて塗布膜中に気泡が形成されることも防止される。さらには、ノズル部3からの滴下時に塗布液dの重なりを生じさせないので、塗布液dの使用量を必要以上に消費されることも防止できる。
0025
以上の実施の形態によるスピンコート装置1によれば、円形スリット32からなる吐出口31を有するノズル部3を備えるので、円形スリット32の吐出口31からは全周にわたってほぼ等しい液量の塗布液dが円環状に吐出される。従って、ディスク基板5の中心孔51の外周囲には、重なりや途切れのない一様に連続した円環状に塗布液dを滴下することができる。よって、この円環状に滴下した塗布液dをディスク基板5を回転させて塗り広げることにより、塗布液dがディスク基板5面上に一様に塗り広げられ、塗布膜の膜厚を高度に均一に形成することができる。
0026
しかも、円環状に滴下された塗布液dには重なりが生じないので、塗布液d中に空気が取り込まれて塗布膜中に気泡が形成されることも防止される。さらには、塗布液dの重なりを生じさせないので、塗布液dの使用量を必要以上に消費することも防止できる。
0027
また、ディスク基板5の中心孔51の外周囲に一度に上記の円環状に塗布液dを滴下することができ、塗布液dの塗布時間の短縮を図ることができる。
0028
以上のように実施の形態のスピンコート装置1によれば、スピンコートによる塗布膜を均一な膜厚で且つ気泡を含んだり等しない高品質に形成することができる。従って、ディスク基板5の層形成プロセスの歩留まりが向上され、高品質の光ディスクの生産効率を向上することができる。しかも、塗布液dを必要以上に使用することもなく、且つ塗布時間の短縮により層形成プロセス時間を短縮することができる。
0029
例えば、BDのような薄く且つ高度に均一な膜厚の形成が要求されるディスク基板5においては、その最下層のベースコート層61を高品質(均一な膜厚、気泡を含まない、塗布膜の崩れがない等)に形成することができ、後工程の層形成プロセスの歩留まりを向上させるができる。
0030
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されない。
例えば、図5に示すように、ノズル部3’の吐出口31は、微小径孔34を円形状に多数並設して構成することができる。これにより、各微小径孔34から吐出される塗布液dの液量が等しくなるように設定することで上記吐出口31から全周にわたってほぼ等しい液量の塗布液dを吐出させることができる。従って、ディスク基板5の中心孔51の外周囲には、重なりや途切れのない一様に連続した円環状に塗布液dを滴下することができる。
また、回転部2は、ディスク基板5を回転テーブル21に載置して保持するのではなく、嵌合凸部22を備えたスピンドルによりディスク基板5を浮かした状態で保持するものでもよい。
図面の簡単な説明
0031
実施の形態によるスピンコート装置の全体構成を示す模式図である。
ノズル部の円形スリットからなる吐出口を示す平面図である。
ノズル部より塗布液をディスク基板上に円環状に滴下した状態を示す斜視図である。
光ディスクの層構造を示す断面図である。
吐出口が多数の微小径孔からなるノズル部の例を示す平面図である。
従来のスピンコート装置の構成を示す模式図である。
従来の他のスピンコート装置の構成を示す模式図である。
従来のスピンコート装置により塗布液をディスク基板上に滴下した状態を示す平面図である。
符号の説明
0032
1スピンコート装置
2 回転部
3ノズル部
4 制御部
5ディスク基板
23 駆動部
30円筒体
31吐出口
32円形スリット
33円形管路
34微小径孔
51中心孔
52スタックリング
d 塗布液