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技術 内燃機関の失火診断装置

出願人 日立オートモティブシステムズ株式会社
発明者 清村章
出願日 2008年12月24日 (11年1ヶ月経過) 出願番号 2008-327741
公開日 2010年7月8日 (9年7ヶ月経過) 公開番号 2010-150953
状態 拒絶査定
技術分野 内燃機関に供給する空気・燃料の電気的制御 内燃機関の複合的制御
主要キーワード 出力変化幅 欠落箇所 欠落パターン 出力積算値 角度ばらつき 変化量積算値 経験フラグ 増量状態
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年7月8日)のものです。
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図面 (19)

課題

排気空燃比の検出結果に基づいて失火の有無を診断させる失火診断装置において、燃料供給量補正に伴って失火の有無が誤診断されることを抑制できるようにする。

解決手段

空燃比センサの出力VAFの変化量の積算値DVAFSが判定値を超える場合に、失火発生を診断する失火診断装置において、燃料増量補正係数KFULLの変化量の積算値SUMKFULが閾値を超える場合に失火診断中止させ、また、空燃比センサの応答診断を行うために燃料噴射量を周期的に補正する場合に失火診断を中止させる。また、前記積算値SUMKFULに基づいて前記積算値DVAFSを減少補正し、更に、前記応答診断のための燃料補正量の変化量の積算値に基づいて前記積算値DVAFSを減少補正し、補正後の積算値DVAFSに基づいて失火診断を行わせる。

概要

背景

特許文献1には、気筒毎に機関回転速度を検出し、燃焼行程気筒の機関回転速度と、当該気筒の前回燃焼行程時の機関回転速度との差である差回転演算し、該差回転に基づいて失火診断を行う一方、排気空燃比を検出する空燃比センサの出力に基づいて失火診断を行い、両方の失火診断で共に失火の発生が診断された場合に、失火発生を最終的に診断する失火診断装置が開示されている。
特開平10‐213058号公報

概要

排気空燃比の検出結果に基づいて失火の有無を診断させる失火診断装置において、燃料供給量補正に伴って失火の有無が誤診断されることを抑制できるようにする。空燃比センサの出力VAFの変化量の積算値DVAFSが判定値を超える場合に、失火発生を診断する失火診断装置において、燃料増量補正係数KFULLの変化量の積算値SUMKFULが閾値を超える場合に失火診断を中止させ、また、空燃比センサの応答診断を行うために燃料噴射量を周期的に補正する場合に失火診断を中止させる。また、前記積算値SUMKFULに基づいて前記積算値DVAFSを減少補正し、更に、前記応答診断のための燃料補正量の変化量の積算値に基づいて前記積算値DVAFSを減少補正し、補正後の積算値DVAFSに基づいて失火診断を行わせる。

目的

本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、排気空燃比の検出結果に基づいて失火の有無を診断させる失火診断装置において、燃料供給量の補正に伴って失火の有無が誤診断されることを抑制できるようにすることを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

燃料供給量補正する燃料補正手段を備えた内燃機関に適用される失火診断装置であって、内燃機関の排気空燃比を検出する排気空燃比検出手段と、前記排気空燃比検出手段の出力に基づいて失火診断に用いる失火パラメータを算出する失火パラメータ算出手段と、前記失火パラメータに基づいて失火の有無を診断する失火診断手段と、前記燃料補正手段による燃料供給量の補正状態に応じて、前記失火診断手段による失火の有無の診断を中止させる失火診断中止手段と、を含むことを特徴とする内燃機関の失火診断装置。

請求項2

燃料供給量を補正する燃料補正手段を備えた内燃機関に適用される失火診断装置であって、内燃機関の排気空燃比を検出する排気空燃比検出手段と、前記排気空燃比検出手段の出力に基づいて失火診断に用いる失火パラメータを算出する失火パラメータ算出手段と、前記燃料補正手段による燃料供給量の補正状態に応じて、前記失火パラメータを補正する失火パラメータ補正手段と、前記失火パラメータ補正手段で補正された失火パラメータに基づいて失火の有無を診断する失火診断手段と、を含むことを特徴とする内燃機関の失火診断装置。

請求項3

前記失火診断手段が、前記失火パラメータと閾値との比較に基づいて失火の有無を診断し、前記失火パラメータ補正手段が、前記燃料補正手段による燃料供給量の補正状態に応じて、前記失火パラメータを、前記閾値から遠ざける方向に補正することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項4

前記燃料補正手段が、前記内燃機関の排気管介装される触媒コンバータの温度が許容温度を超えて上昇しないように、前記燃料供給量を増量補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項5

前記燃料補正手段が、前記内燃機関の出力要求条件で、前記燃料供給量を増量補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項6

前記燃料補正手段が、排気空燃比の変化に対する前記排気空燃比検出手段の出力変化に基づいて前記排気空燃比検出手段の故障診断を行うために、前記燃料供給量を補正して排気空燃比を変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項7

前記失火診断中止手段が、前記燃料補正手段が燃料供給量を繰り返し変化させる場合に、前記失火診断手段による失火の有無の診断を中止させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項8

前記失火診断中止手段が、前記燃料補正手段により燃料供給量が補正される状態と補正されない状態とが繰り返される場合に、前記失火診断手段による失火の有無の診断を中止させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項9

前記失火診断中止手段が、前記燃料補正手段による燃料供給量の補正量の変化量を積算し、該積算値と閾値との比較に基づいて、前記失火診断手段による失火の有無の診断を中止させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項10

前記失火診断中止手段が、前記燃料補正手段による燃料供給量の補正量の変化幅と閾値との比較に基づいて、前記失火診断手段による失火の有無の診断を中止させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項11

前記燃料補正手段が、排気空燃比の変化に対する前記排気空燃比検出手段の出力変化に基づいて前記排気空燃比検出手段の故障診断を行わせるために、前記燃料供給量を補正して排気空燃比を変化させ、前記失火診断中止手段が、前記燃料補正手段による前記故障診断のための補正状態において、前記失火診断手段による失火の有無の診断を中止させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項12

前記失火パラメータ補正手段が、前記燃料補正手段による燃料供給量の補正量の変化量を積算し、該積算値に基づいて前記失火パラメータを補正するための補正値を設定することを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項13

前記失火パラメータ補正手段が、前記燃料補正手段による燃料供給量の補正量の変化幅に基づいて前記失火パラメータを補正するための補正値を設定することを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項14

前記燃料補正手段が、排気空燃比の変化に対する前記排気空燃比検出手段の出力変化に基づいて前記排気空燃比検出手段の故障診断を行わせるために、前記燃料供給量を補正して排気空燃比を変化させ、前記失火パラメータ補正手段が、前記燃料補正手段による前記故障診断のための燃料供給量の補正量の変化量を積算し、該積算値に基づいて前記失火パラメータを補正するための補正値を設定することを特徴とする請求項2又は3記載の内燃機関の失火診断装置。

請求項15

前記失火診断中止手段が、前記失火パラメータの算出、前記失火パラメータに基づく失火の有無の診断、失火診断の実行条件成立判断のうちの少なくとも1つを中止することを特徴とする請求項1,4〜10のいずれか1つに記載の内燃機関の失火診断装置。

技術分野

0001

本発明は、内燃機関排気空燃比に基づいて失火の有無を診断する失火診断装置に関する。

背景技術

0002

特許文献1には、気筒毎に機関回転速度を検出し、燃焼行程気筒の機関回転速度と、当該気筒の前回燃焼行程時の機関回転速度との差である差回転演算し、該差回転に基づいて失火診断を行う一方、排気空燃比を検出する空燃比センサの出力に基づいて失火診断を行い、両方の失火診断で共に失火の発生が診断された場合に、失火発生を最終的に診断する失火診断装置が開示されている。
特開平10‐213058号公報

発明が解決しようとする課題

0003

ところで、上記のように、排気空燃比の検出結果に基づいて失火の有無を診断させる失火診断装置において、燃料供給量補正によって排気空燃比が失火発生時近似する変化を示すことで、失火の有無が誤診断されることがあるという問題があった。

0004

本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、排気空燃比の検出結果に基づいて失火の有無を診断させる失火診断装置において、燃料供給量の補正に伴って失火の有無が誤診断されることを抑制できるようにすることを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

そのため、請求項1,4〜11,15に記載の発明では、排気空燃比検出手段の出力に基づいて失火診断に用いる失火パラメータを算出し、前記失火パラメータに基づいて失火の有無を診断する失火診断装置において、燃料供給量の補正状態に応じて、前記失火の有無の診断を中止させるようにした。

0006

また、請求項2〜6,12〜14に記載の発明では、排気空燃比検出手段の出力に基づいて失火診断に用いる失火パラメータを算出し、前記失火パラメータに基づいて失火の有無を診断する失火診断装置において、内燃機関における燃料供給量の補正状態に応じて前記失火パラメータを補正し、該補正された失火パラメータに基づいて失火の有無を診断させるようにした。

発明の効果

0007

請求項1,4〜11,15に記載の発明によると、燃料供給量が補正されることで排気空燃比が変化しても失火の有無が誤診断されることを抑制できる。
また、請求項2〜6,12〜14に記載の発明によると、失火診断に用いる失火パラメータが燃料供給量の補正に影響されて変化しても、失火の有無が誤診断されることを抑制できる。

発明を実施するための最良の形態

0008

以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本願発明に係る失火診断装置が適用される車両用内燃機関のシステム図であり、図1に示す内燃機関の出力軸は、図外の変速機を介して車両の駆動輪に連結されている。

0009

図1において、内燃機関1は水平対向型の4気筒内燃機関である。
但し、内燃機関1を水平対向型に限定するものではなく、気筒数を4気筒に限定するものでもない。

0010

前記内燃機関1のシリンダブロック1aの左右バンクには、シリンダヘッド2がそれぞれ設けられ、各シリンダヘッド2には、シリンダに連通する吸気ポート2aと排気ポート2bとが形成されている。

0011

前記各吸気ポート2aには、インテークマニホルド3が連通され、このインテークマニホルド3の上流側は集合して、エアチャンバ4を介してスロットルチャンバ5に連通されている。

0012

そして、前記スロットルチャンバ5の上流側に、吸気管6を介してエアクリーナ7が取り付けられ、このエアクリーナ7がエアインテークチャンバ8に連通されている。
また、スロットルチャンバ5には、モータ等のアクチュエータ開閉動作する電制スロットル弁10が設けられている。

0013

更に、吸気ポート2aの上流のインテークマニホルド3に、インジェクタ11が配設されている。
インジェクタ11は、燃料供給路12を介して燃料タンク13に連通されており、燃料タンク13には、インタンク式の燃料ポンプ14が設けられている。

0014

そして、燃料ポンプ14から吐出される燃料が、燃料供給路12に介装された燃料フィルタ15を経てインジェクタ11及びプレッシャレギュレータ16に圧送され、プレッシャレギュレータ16から燃料タンク13にリターンさせる燃料量を調整することで、インジェクタ11に圧送される燃料の圧力が所定の圧力に調圧される。

0015

一方、シリンダヘッド2の気筒毎に、先端の放電電極燃焼室露呈する点火プラグ17が取り付けられ、この点火プラグ17に、各気筒毎に配設された点火コイル18を介してイグナイタ19が接続されている。

0016

また、シリンダヘッド2の各排気ポート2bに連通するエキゾーストマニホルド20が設けられる。
前記エキゾーストマニホルド20の集合部には排気管21が連通され、この排気管21に触媒コンバータ22及びマフラ23が介装されている。

0017

次に、内燃機関1の運転状態を検出するための各種センサについて説明する。
前記エアクリーナ7直下の吸気管6に、内燃機関1の吸入空気流量QAを検出するホットワイヤ或いはホットフィルム等を用いた熱式吸入空気量センサ24が介装されている。

0018

更に、スロットルチャンバ5に設けられた電制スロットル弁10には、スロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ25aと、電制スロットル弁10の全閉を含む低開度領域でONとなるアイドルスイッチ25bとを含んでなるスロットルセンサ25が設けられている。

0019

また、内燃機関1のシリンダブロック1aには、ノッキング発生時の振動圧電素子などによって感知するノックセンサ26が取り付けられている。
また、シリンダブロック1aの左右バンクを連通する冷却水通路27に、冷却水の温度TWを検出する冷却水温センサ28が設けられ、更に、上記触媒コンバータ22の上流には、排気中の酸素濃度に基づいて排気空燃比AFを検出する空燃比センサ29(排気空燃比検出手段)が配設されている。

0020

また、内燃機関1のクランクシャフト30に軸着するクランクロータ31の外周に、クランク角センサ32が対設され、更に、クランクシャフト30に対して1/2回転する左右バンクの吸気カムシャフト33それぞれにカムロータ34が連設され、各カムロータ34の外周に、それぞれ気筒判別用のカム角センサ35A,35Bが対設されている。

0021

前記クランクロータ31及びカムロータ34の外周には突起が形成され、前記クランク角センサ32及びカム角センサ35A,35Bは、前記突起を検出する毎にパルス信号を発生する。

0022

図2は、前記クランク角センサ32、及び、左右バンクのカム角センサ35A,35Bから出力されるパルス信号を示す。
尚、本実施形態の4気筒内燃機関1では、点火が、第1気筒,第3気筒,第2気筒,第4気筒の順で行われるものとする。

0023

前記クランク角センサ32が、単位クランク角度(本実施形態では10deg)毎のポジション信号POSを出力するように、クランクロータ31の外周に単位クランク角度毎に突起部が形成されるが、前記ポジション信号POSは、各気筒の上死点TDC直前欠落が生じるように予め設定されている。

0024

具体的には、図2に示すように、第1気筒及び第2気筒の上死点TDC前では、BTDC50deg、BTDC60degの計2箇所で、ポジション信号POSが出力されずに欠落を生じるように設定される。

0025

また、第3気筒及び第4気筒の上死点TDC前では、BTDC20deg、BTDC30deg、BTDC50deg、BTDC60degの計4箇所で、ポジション信号POSが出力されずに欠落を生じるように設定される。

0026

一方、カム角センサ35Aは、図2に示すように、第1気筒及び第3気筒の上死点TDC直前(BTDC50deg〜40deg付近)で気筒判別信号PHASEaを発生し、カム角センサ35Bは、図2に示すように、第2気筒及び第4気筒の上死点TDC直前(BTDC30deg〜20deg付近)で気筒判別信号PHASEbを発生する。

0027

上記のように、第1気筒及び第2気筒の上死点TDC前では、ポジション信号POSが同じパターンで欠落し、欠落パターンでは、第1気筒の上死点TDC前であるか第2気筒の上死点TDC前であるかを区別することができない。

0028

しかし、第1気筒の上死点TDC前であれば、カム角センサ35Aが気筒判別信号PHASEaを出力し、第2気筒の上死点TDC前であれば、カム角センサ35Bが気筒判別信号PHASEbを出力する。

0029

従って、ポジション信号POSが2パルスだけ欠落してから10deg毎の出力に復帰した場合には、第1気筒又は第2気筒の上死点TDC前であると判断でき、更に、前記ポジション信号POSの欠落が生じた領域付近で、カム角センサ35Aが気筒判別信号PHASEaを出力した場合には、第1気筒の上死点TDC前であると判断でき、また、前記ポジション信号POSの欠落が生じた領域付近で、カム角センサ35Bが気筒判別信号PHASEbを出力した場合には、第2気筒の上死点TDC前であると判断できる。

0030

同様に、ポジション信号POSが2パルスだけ欠落してから1パルスだけ出力され、その後再度2パルスだけ欠落した場合には、第3気筒又は第4気筒の上死点TDC前であると判断でき、前記ポジション信号POSの欠落が2回連続して生じた領域付近で、カム角センサ35Aが気筒判別信号PHASEaを出力した場合には、第3気筒の上死点TDC前であると判断でき、また、前記ポジション信号POSの欠落が2回連続して生じた領域付近で、カム角センサ35Bが気筒判別信号PHASEbを出力した場合には、第4気筒の上死点TDC前であると判断できる。

0031

更に、ポジション信号POSの欠落位置は、前述のように既知であるから、例えば、ポジション信号POSの欠落後に初めて出力されるポジション信号POSからのポジション信号POSの発生数に基づいて、各気筒の上死点TDC、更に、上死点TDCを基点とするクランク角位置を検出することができる。

0032

本実施形態では、ポジション信号POSの欠落を検出することで、上死点TDCの候補気筒となる2気筒を特定すると共に、上死点TDCを検出する一方、上死点TDCからポジション信号POSを計数することでBTDC100degの位置を検出する。

0033

そして、BTDC100deg毎に最近の180deg間における気筒判別信号PHASEa又は気筒判別信号PHASEbの出力から、前記候補として特定した2気筒から次に上死点TDCとなる気筒を特定する気筒判別を行い、判別結果に基づいて気筒判別値CYLを切り替えるようになっている。

0034

前記ポジション信号POSの欠落は、ポジション信号POSの発生周期計測し、発生周期が長くなった部分を欠落箇所として検出できる。
より具体的には、例えば、最新のポジション信号POS発生周期TPOS(n)と前々回に発生周期TPOS(n−2)との比RPOS(RPOS=TPOS(n)/TPOS(n−2))を算出し、前記比RPOSが閾値以上である場合に、最新の周期計測部分が欠落部分(ポジション信号POSが30deg間隔で出力される部分)であると判断する。

0035

尚、クランク角センサ32及びカム角センサ35A,35Bの出力信号のパターンを、図2に示すものに限定するものではなく、気筒判別を行う手段は、公知の種々の手段を適宜採用でき、例えば、気筒判別信号PHASEの出力数や、気筒判別信号PHASEのパルス幅などから気筒判別を行わせることができる。

0036

後述する電子制御装置40は、クランク角センサ32及びカム角センサ35A,35Bからの信号を入力し、前述のようにして気筒判別を行うと共に、前記BTDC100degの周期などから機関回転速度NEを算出する。

0037

前記インジェクタ11、点火プラグ17,電制スロットル弁10等のアクチュエータ類に対する制御信号の演算・出力、即ち、燃料噴射制御点火時期制御アイドル回転速度制御等の機関制御は、電子制御装置(ECU)40によって行われる。

0038

前記ECU40は、図3に示すように、CPU41、ROM42、RAM43、バックアップRAM44、カウンタタイマ群45、及び、I/Oインターフェイス46がバスライン40aを介して互いに接続されるマイクロコンピュータを中心として構成され、更に、各部に安定化電源を供給する定電圧回路47、前記I/Oインターフェイス46に接続される駆動回路48及びA/D変換器49等の周辺回路が内蔵されている。

0039

尚、前記カウンタ・タイマ群45には、フリーランカウンタ、カム角センサ信号(気筒判別信号PHASE)の入力計数用カウンタ等の各種カウンタ、燃料噴射用タイマ、点火用タイマ、定期割り込みを発生させるための定期割り込み用タイマ、クランク角センサ信号(ポジション信号POS)の入力間隔計時用タイマ、及び、システム異常監視用ウオッチドッグタイマ等の各種タイマなどが含まれる。

0040

前記定電圧回路47は、2回路リレー接点を有する電源リレー50の第1のリレー接点を介してバッテリ51に接続され、バッテリ51に、上記電源リレー50のリレーコイルイグニッションスイッチ52を介して接続されている。

0041

また、前記定電圧回路47は、直接バッテリ51に接続されており、イグニッションスイッチ52がONされて電源リレー50の接点が閉となると、ECU40内の各部へ電源を供給する一方、前記イグニッションスイッチ52のON・OFFに拘らず、常時、上記バックアップRAM44にバックアップ用の電源を供給する。

0042

更に、上記バッテリ51には、燃料ポンプリレー53のリレー接点を介して燃料ポンプ14が接続されている。
尚、前記電源リレー50の第2のリレー接点には、前記バッテリ51から各アクチュエータに電源を供給するための電源線が接続されている。

0043

前記I/Oインターフェイス46の入力ポートには、アイドルスイッチ25b、ノックセンサ26、クランク角センサ32、カム角センサ35A,35B、内燃機関1が搭載されている車両の走行速度(車速VSPを検出するための車速センサ36、及び、内燃機関1の始動状態を検出するためにスタータスイッチ37が接続されている。

0044

更に、上記A/D変換器49を介して、吸入空気量センサ24、スロットル開度センサ25a、冷却水温センサ28、及び、空燃比センサ29が接続されると共に、バッテリ電圧VBが入力されてモニタされる。

0045

一方、前記I/Oインターフェイス46の出力ポートには、燃料ポンプリレー53のリレーコイル、電制スロットル弁10、インジェクタ11、及び、図示しない車両のインストルメントパネルに配設され各種警報を表示する警報ランプ38が、前記駆動回路48を介して接続されると共に、イグナイタ19が接続されている。

0046

前記CPU41では、ROM42に記憶されている制御プログラムに従って、I/Oインターフェイス46を介して入力されるセンサスイッチ類からの検出信号、及び、バッテリ電圧のデータ等を処理し、RAM43に格納される各種データ、及び、バックアップRAM44に格納されている各種学習値データ,ROM42に記憶されている固定データ等に基づき、燃料噴射量、点火時期、電制スロットル弁10に対する駆動信号等を演算し、燃料噴射制御、点火時期制御、吸入空気量制御等の機関制御を行う。

0047

前記燃料噴射制御(燃料供給量制御)においては、吸入空気量センサ24で検出される内燃機関1の吸入空気流量QAと、クランク角センサ32から出力されるポジション信号POSに基づいて算出される機関回転速度NEと、インジェクタ11における単位開弁時間当たりの噴射量などに基づき予め設定されている定数Kとから、一定の時間周期毎(例えば10ms毎)に基本噴射パルス幅TPを演算する。

0048

TP=K*QA/NE
また、前記冷却水温センサ28で検出される冷却水温度TWに基づき、低水温時(冷機時)に燃料噴射量を増量補正するための水温増量補正係数KTWを演算し、始動直後燃焼が不安定な状態で燃料噴射量を増量するための始動後増量補正係数KASを演算する。

0049

更に、機関負荷を示す前記基本噴射パルス幅TPと、機関回転速度NEとに基づき判別される高負荷高回転領域空燃比リッチ化させるための空燃比補正係数MRを、予め前記基本噴射パルス幅TPと機関回転速度NEとに応じて空燃比補正係数KMRを記憶したマップから検索して求める。

0050

前記空燃比補正係数KMRは、高負荷・高回転領域であって出力要求条件であるときに空燃比をリッチ化させることで、機関出力を増大させ、また、触媒コンバータ22が温度上昇する高負荷・高回転領域で空燃比をリッチ化させることで排気温度の上昇を抑制し、触媒コンバータ22の温度が耐熱限界許容温度)を超えることを回避するための補正係数である。

0051

また、内燃機関1の加減速運転時における壁流燃料量の変化による空燃比変化を抑制するための壁流補正量KOTHOSを、スロットル開度TVOの変化速度などから演算し、空燃比センサ29で検出される実際の空燃比を目標空燃比に近づけるように、実際の空燃比と目標空燃比との偏差に基づいて空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを演算する。

0052

また、そのときのバッテリ電圧VBによるインジェクタ11の無効噴射時間の変化に対応するための電圧補正分TSを演算する。
そして、前記水温増量補正係数KTW,始動後増量補正係数KAS,空燃比補正係数KMRなどから、各種補正係数CO(CO=1+KTW+KAS+KMR+・・・)を演算し、前記各種補正係数CO,壁流補正量KOTHOS,空燃比フィードバック補正係数LAMBDA,電圧補正分TSによって、前記基本噴射パルス幅TPを補正し、該補正結果を最終的な燃料噴射パルス幅TIとする。

0053

TI=(TP+KOTHOS)×CO×LAMBDA+TS
そして、各気筒の吸気行程に合わせた噴射タイミングにおいて、そのときの燃料噴射パルス幅TIの噴射パルス信号を、対応するインジェクタ11に出力し、有効噴射パルス幅TE=(TP+KOTHOS)×CO×LAMBDAに比例する量の燃料を噴射させる。

0054

尚、前記各種補正係数COによって燃料噴射量が増量補正される場合には、前記空燃比フィードバック補正クランプされる。
また、上記の基本噴射パルス幅TP(基本燃料供給量)を、前記各種補正係数COで増量補正する前記ECU40機能が、本実施形態における燃料補正手段に相当する。

0055

一方、点火時期制御においては、前記基本噴射パルス幅TP(機関負荷)と機関回転速度NEとに基づいて点火時期(圧縮上死点から点火時期までの進角量)を算出し、該点火時期及び点火エネルギを得るための通電時間とから、前記点火コイル18の通電開始時期及び通電遮断時期を決定し、該通電開始時期及び通電遮断時期に対応する点火制御信号で点火コイル18の通電を制御して、前記点火時期での火花点火を気筒毎に実行させる。

0056

更に、アイドル回転速度制御においては、冷却水温度TWや変速機のレンジ位置などから、目標アイドル回転速度TNEを演算し、内燃機関1のアイドル運転時において、実際の機関回転速度NEが前記目標アイドル回転速度TNEに近づくように、前記電制スロットル弁10の開度フィードバック制御する。

0057

また、前記ECU40は、内燃機関1における失火の有無を診断する失火診断装置を構成し、機関回転速度NEの変化と空燃比センサ29の出力値とに基づいて失火診断を行うようになっている。

0058

図4フローチャートは、前記失火診断の第1実施形態における診断処理の流れを示すものであり、図4のフローチャートに示されるルーチンは所定微小時間毎(例えば10ms毎)に割り込み実行されるようになっている。

0059

まず、ステップS100では、内燃機関1が回転中であるか否かを、クランク角センサ32からのポジション信号POSの出力、又は、前記ポジション信号POSに基づいて算出される機関回転速度NEなどから判断する。

0060

そして、内燃機関1が回転中であれば、ステップS200へ進む。
ステップS200では、失火診断を実行する条件が成立しているか否かを判断する。
前記失火診断の実行条件としては、例えば、機関トルクが、ポジティブトルク+N/L(ノー・ロード)の範囲内であることを、前記基本噴射パルス幅TPや吸気管負圧などから判断し、また、急激なトルク変動が発生する運転中(急加速急減速、燃料カット状態、点火時期の遅角補正状態)でない(例えば定常状態)ことを判断し、機関トルクが実行条件の範囲内であり、かつ、急激なトルク変動が発生する運転中でない場合に、失火診断の実行条件が成立していると判断する。

0061

尚、ポジティブトルク+N/Lとは、機関正トルクを発生している状態であり、換言すれば、駆動輪に機関トルクが加わっている状態である。
但し、失火診断の実行条件は、上記のものに限定されず、診断精度や運転性への影響を考慮して適宜設定することができる。

0062

機関回転中であってかつ失火診断の実行条件が成立していれば、ステップS300へ進み、内燃機関1の停止状態、又は、機関回転中であるが診断実行条件が成立していない場合には、ステップS100に戻ってステップS100及びステップS200の判断を繰り返す。

0063

ステップS300では、気筒別の回転速度NEの変動に基づく失火診断において用いる失火パラメータである差回転DELNEnを算出する。
図2に示すように、本実施形態では、上死点前70deg(BTDC70deg)から上死点前10deg(BTDC10deg)までを、気筒別の回転速度を検出するためのクランク角範囲として定め、BTDC70degからBTDC10degにまで(クランク角で60degだけ)回転するのに要した時間MTXnを、前記クランク角範囲毎に順次計測する。

0064

前記気筒別の回転速度を検出するためのクランク角範囲は、ノック判定のための信号分析区間と重ならないようにすることが好ましく、本実施形態では、ノック信号分析区間上死点後となるため、上死点前に回転速度の検出範囲を設定することで、電子制御装置40の演算負荷が軽減されるようにしている。

0065

ここで、BTDC70degからBTDC10degまでのクランク角範囲は、クランク角センサ32のポジション信号POSに基づいて検出するため、クランクロータ31の外周に形成される突起部の位置ばらつきなどによって、実際には60degで一定ではなくばらつきを生じる場合があり、係る角度ばらつきによって気筒間での回転速度の差が見かけ上生じ、これによって失火の有無が誤診断されてしまう可能性がある。

0066

そこで、前記角度ばらつきを補正するための学習補正値MFX12,KMFX34を学習し、該学習値KMFX12,KMFX34で前記時間MTXnの測定結果を補正するようにしてある。

0067

尚、第3気筒の上死点TDCを含む回転測定区間と、第4気筒の上死点TDCを含む回転測定区間とは、クランクロータ31の同じ角度範囲を用いて計測され、角度誤差がある場合には、双方に同じ角度誤差が発生するので、共通の学習補正値KMFX34で時間MTXnの測定結果を補正する。

0068

同様に、第1気筒の上死点TDCを含む回転測定区間と、第2気筒の上死点TDCを含む回転測定区間とは、クランクロータ31の同じ角度範囲を用いて計測され、角度誤差がある場合には、双方に同じ角度誤差が発生するので、共通の学習補正値KMFX12で時間MTXnの測定結果を補正する。

0069

前記学習補正値KMFX12,KMFX34は、失火発生が検出されなかった機関1の定常運転状態において、第1気筒又は第2気筒の上死点TDCを含む回転測定区間での時間MTXnと、第3気筒又は第4気筒の上死点TDCを含む回転測定区間での時間MTXnとを比較し、学習補正値KMFX12,KMFX34で時間MTXnを補正することで、時間MTXnが一定乃至許容範囲内で安定するように更新され、該更新結果を記憶するようになっている。

0070

換言すれば、第1気筒又は第2気筒の上死点TDCを含む回転測定区間での時間MTXnを学習補正値KMFX12で補正した結果と、第3気筒又は第4気筒の上死点TDCを含む回転測定区間での時間MTXnを学習補正値KMFX34で補正した結果とが一致乃至許容範囲内となるように学習される。

0071

次いで、時間MTXnを、前記学習補正値KMFX12又は学習補正値KMFX34で補正した後の時間MTXAnから機関回転速度MNXnを算出し、この気筒毎に算出される機関回転速度MNXnの最新値MNXnから前回値MNX(n−1)を減算した結果を、前記差回転DELNEnとする。

0072

DELNEn=MNXn−MNX(n−1)
更に、前記差回転DELNEnの気筒別の平均値DNAVE1〜DNAVE4を算出するようになっている。

0073

図5のフローチャートは、前記ステップS300における前記差回転DELNEnの算出を詳細に示し、一定時間毎の判断で、BTDC10deg又はそれ以降の例えば上死点TDCのクランク角位置であると判断された場合に実行されるものとする。

0074

まず、ステップS301では、前述のように、ポジション信号POSの欠落の検出と、気筒判別信号PHASEa,PHASEbとに基づく気筒判別の結果から、現在の燃焼行程気筒nを特定する。

0075

ステップS302では、直前のBTDC70degからBTDC10degまでの間の時間MTXnから求めた機関回転速度NEを、現在の燃焼行程気筒に対応する機関回転速度MNXnとする。

0076

ステップS303では、ステップS302で求めた現在の燃焼行程気筒に対応する機関回転数MNXnから、前回のルーチン実行時に設定され記憶されている1燃焼行程前の気筒に対応する機関回転速度MNX(n−1)を減算し、気筒間における機関回転速度NEの変化、即ち、現在の燃焼行程気筒に対する差回転DELNEnを算出する(DELNEn←MNXn−MNX(n−1))。

0077

そして、ステップS304では、前記差回転DELNEnを気筒別に積算して、当該気筒の差回転積算値ΣDELNEnとする(ΣDELNEn←ΣDELNEn+DELNEn)。

0078

ステップS305では、点火回数CIGNをカウントアップする(CIGN←CIGN+1)。
ここで、本ルーチンは、ATDC20deg毎、即ち、クランク角で180deg毎に実行され、本実施形態における内燃機関1は、クランク角で180deg毎に点火される4気筒機関であるから、本ルーチンの実行毎にカウンタCIGNをカウントアップすることで、点火回数をカウントすることになる。

0079

そして、ステップS306では、次の燃焼行程気筒に対する差回転DELNEnの算出に備え、今回求めた機関回転速度MNXnを前回の機関回転速度MNX(n−1)として記憶させ(MNX(n−1)←MNXn)、本ルーチンを終了させる。

0080

図4のフローチャートに戻って説明を続けると、ステップS300で差回転DELNEnを求めると、次のステップS400では、空燃比センサ29(排気空燃比検出手段)が活性化しているか否かを判断する。

0081

前記空燃比センサ29が活性化しているか否かは、冷却水温度TW,機関始動からの経過時間、空燃比センサ29の出力変化幅最大出力),センサ素子内部抵抗などから判断できる。

0082

空燃比センサ29が活性化しておらず、実際の排気空燃比に対応する出力を発生しない状態では、空燃比センサ29で検出される排気空燃比に基づく失火診断は行えないので、ステップS500〜ステップS1200を迂回することで、排気空燃比に基づく失火診断をキャンセルして、ステップS1300へ進む。

0083

一方、空燃比センサ29が活性化していれば、空燃比センサ29で検出される排気空燃比に基づく失火診断が可能であるので、ステップS500へ進む。
ステップS500では、空燃比センサ29の出力に基づいて、失火判断に用いる失火パラメータを算出する。

0084

従って、ステップS500の機能が、失火パラメータ算出手段に相当する。
上記ステップS500における空燃比センサ29の出力に基づく失火パラメータの算出処理は、図6のフローチャートに詳細に示してある。

0085

ステップS501では、最新の空燃比センサ29の出力値VAFnを読み込み、該出力値VAFnを、前回までの出力積算値ΣVAFに加算し、該加算結果を今回の出力積算値ΣVAFとして、出力値VAFnを所定時間毎に順次積算する(ΣVAF←ΣVAF+VAFn)。

0086

ステップS502では、空燃比センサ29の最新出力値VAFnから、前回値(所定時間だけ前の値)VAF(n−1)を減算し、この減算結果(変化量)の絶対値を、前回までの変化量積算値DVAFSに加算し、該加算結果を今回の変化量積算値DVAFSとして、変化量の絶対値を順次積算する(DVAFS←DVAFS+|VAFn−VAF(n−1)|)。

0087

その後、ステップS503で、空燃比センサ29の出力値VAFのサンプリング回数CVAFをカウントアップし(CVAF←CVAF+1)、続くステップS504では、次回の本ルーチンの実行時における変化量積算値DVAFSの算出に備え、空燃比センサ29の最新出力値VAFnを、前回値VAF(n−1)として記憶させ(VAF(n−1)←VAFn)、本ルーチンを終了させる。

0088

図4のフローチャートに戻って説明を続けると、ステップS500で空燃比センサ29の出力に基づき失火パラメータ(ΣVAF,DVAFS)を算出すると、次のステップS600では、前記失火パラメータ(ΣVAF,DVAFS)に基づく失火診断をキャンセルするか否かの判断に用いる失火キャンセルパラメータを、前記燃料噴射制御における燃料増量係数に基づいて算出する。

0089

ステップS600における失火キャンセルパラメータの算出処理は、図7のフローチャートに詳細に示してある。
ステップS601では、最新に演算された燃料増量係数KFULLnから、所定時間前に演算された燃料増量係数KFULL(n−1)を減算し、この減算結果(変化量)の絶対値を、前回までの増量変化積算値SUMKFULに加算し、該加算結果を今回の増量変化積算値SUMKFULとして、燃料増量係数KFULLnの変化量の絶対値を所定時間毎に順次積算する(SUMKFUL←SUMKFUL+|KFULLn−KFULL(n−1)|)。

0090

ステップS602では、次回の本ルーチンの実行時における増量変化積算値SUMKFULの算出に備え、燃料増量係数KFULLnを、前回(1回前)の値KFULL(n−1)として記憶させ(KFULL(n−1)←KFULLn)、本ルーチンを終了させる。

0091

前記燃料増量係数KFULLnは、前記燃料噴射パルス幅TIの演算に用いる各種補正係数CO(CO=1+KTW+KAS+KMR+・・・)、又は、空燃比補正係数KMRとする。

0092

前記失火キャンセルパラメータは、燃料増量によって排気空燃比が変化し、係る排気空燃比の変化が失火に因るものであると誤診断されることを抑制するために、前記失火パラメータ(ΣVAF,DVAFS)に基づく失火診断を中止させるか否かの判断指標となる値である。

0093

そして、前記失火キャンセルパラメータに基づき、燃料増量によって失火時に近似する排気空燃比の変動が発生するか否かを判断し、失火時に近似する排気空燃比の変動が発生する場合には、排気空燃比の変化に基づく失火診断が中止されるようになっている。

0094

従って、前記燃料増量係数KFULLnの対象とする燃料供給量の補正係数は、失火時に近似する排気空燃比の変化を発生させ得る補正係数とすることが好ましい。
ここで、前記空燃比補正係数KMRは、高負荷・高回転域で出力要求及び/又は触媒昇温の抑制を目的として燃料噴射量を増量する補正係数であって、高負荷・高回転域と低中負荷・低中回転域との境界付近で運転が行われ、周期的に高負荷・高回転域になったり、低中負荷・低中回転域になったりを繰り返すと、空燃比補正係数KMRによる増量状態と増量停止状態とが繰り返されたり、空燃比補正係数KMRによる補正レベル増減が繰り返されたりことで(燃料供給量を繰り返し変化させることで)、排気空燃比が繰り返し変動し、これを失火による排気空燃比の変動として誤診断する可能性がある。

0095

そこで、本実施形態では、前記燃料増量係数KFULLnに、少なくとも前記空燃比補正係数KMRを含めるようにしてある。
一方、前記水温増量補正係数KTWや始動後増量補正係数KASは、内燃機関1の冷機始動時に燃料噴射量を増量するものであり、その増量補正量漸減してゼロにまで低下すると、その後、再度増量状態に戻ることはなく、排気空燃比を繰り返し変動させる可能性は低く、燃料増量係数KFULLnの対象として、前記水温増量補正係数KTWや始動後増量補正係数KASを含める必要性は低い。

0096

換言すれば、前記水温増量補正係数KTWや始動後増量補正係数KASによる増量補正では、排気空燃比がリッチ状態から徐々に目標空燃比に戻ることになり、排気空燃比を失火時のように周期的に変動させることにはならず、前記失火パラメータ(ΣVAF,DVAFS)に基づく失火診断における誤診断の要因になることはない。

0097

また、燃料噴射量の補正として、本実施形態では、壁流補正量KOTHOSによる補正を行うが、前記壁流補正量KOTHOSは、過渡運転時の壁流燃料量の変化による空燃比の変動を抑制するための補正値であり、壁流補正量KOTHOSは排気空燃比を変化させるための補正ではなく、排気空燃比の変化を抑制することを目的とするものであり、壁流補正量KOTHOSによる補正を施すことによって、失火時に近似する排気空燃比の周期的な変動を招き難い。

0098

同様に、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAは、排気空燃比が目標空燃比からずれた場合に、目標空燃比付近に戻す働きのものであり、失火時に近似する排気空燃比の周期的な変動を招き難い。

0099

従って、燃料増量係数KFULLnの対象として、前記壁流補正量KOTHOS及び空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを含める必要性は低い。
更に、電圧補正分TSは、燃料噴射量を変化させることを目的とするものではなく、インジェクタ11の開弁遅れによって本来の燃料量よりも少なくなってしまうことを抑制すべく、噴射時間を補正するものであるので、燃料増量係数KFULLnの対象として含める必要性は低い。

0100

以上のような理由で、本実施形態では、前記燃料増量係数KFULLnを、前記燃料噴射パルス幅TIの演算に用いる各種補正係数CO(CO=1+KTW+KAS+KMR+・・・)、又は、空燃比補正係数KMRとしている。

0101

また、空燃比補正係数KMR及び空燃比の変動により失火の誤判定に影響が小さい各種補正係数付加した前記燃料噴射パルス幅TIの演算に用いる各種補正係数CO(CO=1+・・・)としても良い。

0102

尚、本実施形態では、基本噴射パルス幅TPを補正する補正項として、上記の水温増量補正係数KTW、始動後増量補正係数KAS、空燃比補正係数KMR、壁流補正量KOTHOS、空燃比フィードバック補正係数LAMBDA、電圧補正分TSを用いたが、こられによる補正処理に限定するものではない。

0103

また、燃料増量係数KFULLnには、失火時に近似する排気空燃比の変動(排気空燃比の繰り返し変動)を招く可能性がある補正項が含まれていればよく、更に、空燃比補正係数KMRと同様な目的(高負荷・高回転域での出力要求に基づくリッチ化、高負荷・高回転域での触媒昇温抑制のためのリッチ化)で燃料噴射量を補正する値であれば、その名称に関わらず燃料増量係数KFULLnに含めるようにすることが好ましい。

0104

更に、出力要求や触媒昇温の抑制以外要求に基づく補正項であっても、例えば機関負荷と機関回転速度とに応じて補正レベルが切り替わる補正項であれば、補正レベルが切り替わる境界付近で運転された場合に、補正レベルが繰り返し変化することで、失火時に近似する排気空燃比の変動を示す場合があるので、このような補正項についても、前記燃料増量係数KFULLnに含めることが好ましい。

0105

ところで、図7のフローチャートでは、燃料増量係数KFULLの変化量の絶対値を積算させることで、燃料増量係数KFULLが繰り返し変化し、これに連動して排気空燃比が繰り返し変化する状態を判断させるようにしたが、前記燃料増量係数KFULLの最大振幅変化幅)を前記失火キャンセルパラメータとして算出させることができる。

0106

図8のフローチャートは、前記燃料増量係数KFULLの最大振幅(変化幅)KFULMXMNを前記失火キャンセルパラメータとして算出させる処理を示す。
ステップS651では、最新に算出された燃料増量係数KFULLが、前回までの最大値KFULMXよりも大きいか否かを判断する。

0107

尚、前記最大値KFULMXの初期値は、例えば、乃至零付近の値に設定される。
そして、最新の燃料増量係数KFULLが、前回までの最大値KFULMXよりも大きい場合には、ステップS652へ進んで、前記最大値KFULMXの値を、最新の燃料増量係数KFULLに書き換え更新させて、更新後の最大値KFULMXを記憶し、その後ステップS653へ進む。

0108

一方、現時点での燃料増量係数KFULLが、前回までの最大値KFULMX以下である場合には、ステップS652を迂回してステップS653に進むことで、最大値KFULMXを更新せずに前回までの値を保持させるようにする。

0109

ステップS653では、最新に算出された燃料増量係数KFULLが、前回までの最小値KFULMNよりも小さいか否かを判断する。
尚、最小値KFULMNの初期値は、例えば、燃料増量係数KFULLの設計上の最大値或いは該最大値の近傍の値に設定される。

0110

そして、現時点での燃料増量係数KFULLが、前回までの最小値KFULMNよりも小さい場合には、ステップS654へ進んで、前記最小値KFULMNの値を、最新に算出された燃料増量係数KFULLに書き換え更新させて、更新後の最小値KFULMNを記憶し、その後ステップS655へ進む。

0111

一方、現時点での燃料増量係数KFULLが、前回までの最小値KFULMN以上である場合には、ステップS654を迂回してステップS655に進むことで、最小値KFULMNを更新せずに前回までの値を保持させるようにする。

0112

ステップS655では、前記最大値KFULMXから最小値KFULMNを減算した値を、前記燃料増量係数KFULLの最大振幅値KFULMXMN(変化幅)に設定する。
KFULMXMN=KFULMX−KFULMN
前記最大振幅値KFULMXMNは、前記最大値KFULMX及び最小値KFULMNの初期値からの更新を開始した時点から現時点までの間における燃料増量係数KFULLの最大値と最小値との偏差(変化幅)に相当する。

0113

図4のフローチャートのステップS600で、前記燃料増量係数KFULLに基づき失火キャンセルパラメータ(増量変化積算値SUMKFUL又は最大振幅KFULMXMN)を算出すると、次のステップS700では、空燃比センサ29の応答診断を実行したか否かを判断する。

0114

そして、空燃比センサ29の応答診断を実行した場合には、ステップS800へ進んで、応答診断経験フラグに1をセットし、空燃比センサ29の応答診断を実行していない場合には、ステップS800を迂回してステップS900に進んで、応答診断経験フラグを零に保持させる。

0115

尚、後述するように、失火診断のタイミング毎に前記応答診断経験フラグは零にリセットされるようになっているから、失火診断周期の間、即ち、失火パラメータを演算している間に応答診断が実行されたか否かを、前記応答診断経験フラグで判断できるようにしてある。

0116

前記空燃比センサ29の応答診断とは、応答診断条件が成立したとき、例えば、定常運転でかつ空燃比変動が運転性に大きく影響しない場合に、排気空燃比がベース空燃比を中心にリッチ及び/又はリーンを周期的に繰り返すように燃料噴射量を強制的に補正し(燃料補正手段)、係る燃料噴射量の補正による排気空燃比の変動に対する、空燃比センサ29の出力の変化をモニタし、排気空燃比の変動に対する空燃比センサ29の反応の遅れ出力レベル劣化故障)を診断するものである。

0117

本実施形態では、前記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを周期的に増減補正することで、燃料噴射量を周期的に増減変化させ、排気空燃比が周期的に変化するようにするが、応答診断のために燃料噴射量を補正して排気空燃比を変化させる方法を、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAの補正に限定するものではない。

0118

前記応答診断では、前述のように、排気空燃比を強制的に変動させることになり、これが失火による変動と誤診断される可能性があるため、空燃比センサ29の出力に基づいて失火パラメータを算出している間に、前記応答診断が行われたか否かを判断するようにしてある。

0119

尚、前記応答診断は、例えば、1トリップイグニションスイッチ52のONからOFFまでの間)に1回だけ行わせる構成とすることができ、また、応答診断の実行条件に対応する運転状態になる毎に行わせる構成とすることができる。

0120

そして、空燃比センサ29の応答診断(故障診断)で、例えば、実際の排気空燃比の変化に対して空燃比センサ29の出力変化応答初期状態よりも遅くなる異常の発生が診断された場合には、空燃比センサ29の出力に基づく空燃比フィードバックにおけるゲインを小さくしたり、空燃比フィードバック制御を中止させるなどのフェイルセーフ制御を実行させる。

0121

ステップS900では、内燃機関1の200回転(点火回数400回)毎の失火診断タイミングであるか否かを判断し、失火診断タイミングでない場合にはステップS100に戻り、失火診断タイミングになると、ステップS1000へ進む。

0122

即ち、前回の失火診断タイミングから次の失火診断タイミングなるまでの間、ステップS100〜ステップS800の処理を繰り返すことで、失火パラメータや失火キャンセルパラメータの更新を行い、失火診断タイミングになると、ステップS900からステップS1000に進む。

0123

但し、失火診断タイミングの間隔を、200回転(点火回数400回)に限定するものではない。
ステップS1000では、前記燃料増量係数KFULLに基づき算出した失火キャンセルパラメータ(増量変化積算値SUMKFUL及び/又は最大振幅KFULMXMN)が、失火診断のキャンセル判定値以下であるか否かを判断する。

0124

前記失火キャンセルパラメータは、後述するように、失火診断タイミング毎にクリアされるようになっており、前回の失火診断タイミングから今回の失火診断タイミングまでの間(最近の200回転の間)における燃料増量係数KFULLの変動、換言すれば、増量補正の変化による排気空燃比の変化を示し、前記失火キャンセルパラメータが大きいほど、増量補正の変化が大きく、これに伴って排気空燃比が大きく(繰り返し)変化したことになる。

0125

一方、本実施形態では、後述するように、空燃比センサ29の出力に基づく失火パラメータから、失火に伴う排気空燃比のリーン化及び周期的な変動を判断して、失火診断を行うが、上記のように、増量レベルが変動することで排気空燃比が変動する条件下では、増量レベルの変動による排気空燃比の変化を空燃比センサ29が検出することになるので、失火パラメータが増量レベルの変動に影響を受け、失火の有無を誤診断する可能性がある。

0126

そこで、前記燃料増量係数KFULLに基づき算出した失火キャンセルパラメータ(増量変化積算値SUMKFUL及び/又は最大振幅KFULMXMN)が、失火診断のキャンセル判定値を超えて大きい場合には、増量補正の変化が大きく、これに伴って排気空燃比が大きく(繰り返し)変化し、排気空燃比に基づく失火診断が誤診断する可能性があるので、ステップS1100〜ステップS1400の失火診断を迂回して、ステップS1600に進むことで、最近の200回転間において算出した失火パラメータに基づく失火診断を中止させ、失火の有無を診断させないようにする。

0127

燃料供給量の補正状態を示す失火キャンセルパラメータ(増量変化積算値SUMKFUL及び/又は最大振幅KFULMXMN)と、キャンセル判定値との比較に基づいて、ステップS1100〜ステップS1400の失火診断を迂回してステップS1600に進ませる処理が、失火診断中止手段に相当する。

0128

一方、前記燃料増量係数KFULLに基づき算出した失火キャンセルパラメータ(増量変化積算値SUMKFUL又は最大振幅KFULMXMN)が、失火診断のキャンセル判定値以下であれば、増量レベルの変化が失火診断に影響しない程度に小さく、最近の200回転間において算出した、排気空燃比に基づく失火パラメータに基づいて失火診断を行っても、失火の有無を誤診断することはないものと判断し、ステップS1100へ進む。

0129

即ち、前記キャンセル判定値は、失火の発生を誤診断する程に増量レベルの変化が大きいか否かを判断するための値であり、失火の発生を誤診断する程に増量レベルの変化が大きい場合に、失火キャンセルパラメータ(増量変化積算値SUMKFUL又は最大振幅KFULMXMN)が、前記キャンセル判定値を超えるように予め適合されている。

0130

尚、失火キャンセルパラメータとして、増量変化積算値SUMKFULと最大振幅KFULMXMNとのいずれか一方のみを算出し、キャンセル判定値と比較させることができる。

0131

また、増量変化積算値SUMKFULがキャンセル判定値以下で、かつ、最大振幅KFULMXMNがキャンセル判定値以下である場合に、失火診断を許可するようにできる。
更に、増量変化積算値SUMKFUL及び最大振幅KFULMXMNから失火キャンセルパラメータを設定させ、該失火キャンセルパラメータとキャンセル判定値との比較から、失火診断を許可するか中止させることを判断させることもできる。

0132

前記燃料増量係数KFULLに基づき算出した失火キャンセルパラメータ(増量変化積算値SUMKFUL及び/又は最大振幅KFULMXMN)が、失火診断のキャンセル判定値以下である場合、ステップS1100へ進み、空燃比センサ29の応答診断経験フラグに1がセットされているか否かを判断する。

0133

前記応答診断経験フラグに1がセットされている場合には、最近の200回転間において空燃比センサ29の応答診断が行われたことになる。
そして、前記応答診断においては、前述のように排気空燃比を変動させる燃料補正がなされ、これによって、排気空燃比に基づく失火パラメータによる失火診断に誤りを生じさせる可能性がある。

0134

そこで、応答診断経験フラグに1がセットされている場合には、ステップS1200〜ステップS1400の失火診断を迂回して、ステップS1600に進むことで、最近の200回転間において算出した失火パラメータに基づく失火診断を中止させ、失火の有無を診断させないようにする。

0135

燃料供給量の補正状態を示す応答診断経験フラグに基づいて、ステップS1200〜ステップS1400の失火診断を迂回してステップS1600に進ませる処理が、失火診断中止手段に相当する。

0136

一方、応答診断経験フラグに零がセットされていて、最近の200回転間において空燃比センサ29の応答診断が行われていない場合には、失火パラメータに基づく失火診断を許可して、ステップS1200へ進む。

0137

ステップS1200では、空燃比センサ29の出力VAFに基づく失火パラメータに基づいて、失火の有無を診断させる。
このステップS1200における失火診断の詳細を、図9のフローチャートに従って説明する。

0138

ステップS1201では、空燃比センサ29の出力値VAFの積算値ΣVAF、及び、空燃比センサ29の出力値VAFのサンプリング回数CVAFを読み出し、積算値ΣVAFをサンプリング回数CVAFにより除算して、最近の200回転間における空燃比センサ29の出力平均値AFAVEを算出する(AFAVE←ΣVAF/CVAF)。

0139

次いで、ステップS1202へ進み、前記出力平均値AFAVEと、該出力平均値AFAVEにより失火を診断するための判定値LVLAFAVEとを比較する。
尚、空燃比センサ29の出力VAFは、排気空燃比がリッチになるほど大きくなるものとする。

0140

そして、上記出力平均値AFAVEが判定値LVLAFAVE未満である場合には、所定気筒(1気筒又は複数気筒)に連続失火が発生しているために、排気空燃比が平均的にリーンになっているものと判断し、ステップS1204へ進んで、失火診断フラFNGに1をセットする。

0141

即ち、連続失火している気筒があると、当該気筒からは、排気行程毎に空気がそのまま排出され、排気中の酸素濃度を高くするから、排気空燃比としては平均的にリーン状態として検出されることになる。

0142

前記判定値LVLAFAVEは、そのときの目標空燃比よりもリーンである空燃比に相当する値として設定され、前記目標空燃比よりもリーンである空燃比とは、少なくとも1気筒で連続失火が発生している場合に、排気空燃比の平均値が上回る値として予め適合されている。

0143

尚、上記では、空燃比センサ29の出力の平均値AFAVEと判定値LVLAFAVEとを比較させたが、空燃比センサ29の出力を空燃比のデータに変換して、該空燃比データの平均値を求めるか、前記平均値AFAVEを空燃比のデータに変換し、これらの空燃比データと空燃比判定値とを比較させて、平均的な空燃比データが空燃比判定値を上回る場合(平均的な空燃比データが空燃比判定値よりもリーンである場合)に、失火発生を判断させることができる。

0144

ステップS1202で、出力平均値AFAVEが判定値LVLAFAVE以上であると判断され、排気空燃比の平均的なリーン化が発生していない場合には、ステップS1203へ進む。

0145

ステップS1203では、変化量積算値DVAFSを読み出し、この変化量積算値DVAFSを、該変化量積算値DVAFSにより失火を診断するための判定値LVLDVAFSと比較する。

0146

そして、変化量積算値DVAFSが判定値LVLDVAFSよりも大きい場合には、所定気筒(1気筒又は複数気筒)に連続失火が発生しているために、排気空燃比が繰り返し変化し、これによって空燃比センサ29の出力値VAFが繰り返し変動したため、変化量積算値DVAFSが、判定値LVLDVAFSよりも大きくなったものと判断して、ステップS1204へ進んで、失火診断フラグFNGに1をセットする。

0147

従って、出力平均値AFAVEが連続失火に伴う空燃比の平均的なリーン化を示していない場合であっても、変化量積算値DVAFSが判定値LVLDVAFSよりも大きく、排気空燃比が繰り返しの変動を示している場合には、失火の発生を診断するようにしてある。

0148

上記の出力平均値AFAVE及び変化量積算値DVAFSと判定値との比較に基づいて失火の有無を診断する機能が失火診断手段に相当する。
一方、変化量積算値DVAFSが判定値LVLDVAFS以下である場合には、連続失火による排気空燃比の変動は発生しなかったために、排気空燃比が比較的安定していて、空燃比センサ29の出力値VAFも繰り返しの変動を示さなかったものと判断し、ステップS1205へ進んで、失火診断フラグFNGに零をセットする。

0149

即ち、失火診断フラグFNGに1がセットされている場合には、連続失火している気筒があることを示し、失火診断フラグFNGに零がセットされている場合には、少なくとも連続失火している気筒がないと判断されていることを示す。

0150

前記判定値LVLDVAFSは、失火発生時に変化量積算値DVAFSが超える値として予め設定されるが、例えば機関負荷と機関回転速度とから可変に設定させることができる。
以上のように、本実施形態では、空燃比センサ29の出力値VAFの平均値AFAVE及び変化量積算値DVAFSに基づいて失火診断を行うが、平均値AFAVEと変化量積算値DVAFSとのいずれか一方に基づいて失火診断を行わせることができ、更に、出力平均値AFAVEが判定値LVLAFAVE未満で、かつ、変化量積算値DVAFSが判定値LVLDVAFSよりも大きい場合に失火診断を行わせることができる。

0151

図4のフローチャートのステップS1200で、空燃比センサ29の出力値VAFの平均値AFAVE又は変化量積算値DVAFS(失火パラメータ)に基づいて失火の発生が診断され、失火診断フラグFNGに1が設定された場合には、ステップS1200からステップS1300へ進み、機関回転速度変化に基づく失火気筒判別を行う。

0152

一方、ステップS1200で、失火の発生が診断されず、失火診断フラグFNGに零が設定された場合には、ステップS1200からステップS1600へ進む。
ステップS1300における失火気筒判別処理の詳細を、図10のフローチャートに従って説明する。

0153

ステップS1301では、最近の200回転の間で求められた気筒毎の差回転積算値ΣDELNEn(n=1〜4)を、サンプル数(400点火/4気筒=100)でそれぞれに除算することで、気筒毎の差回転DELNEnの平均値DNAVEnをそれぞれ算出する。

0154

そして、次のステップS1302では、気筒毎の平均値DNAVEn(n=1〜4)を相互に比較することで、平均値DNAVEnのうちの最大値DNAVEMAXを求める。
次いで、ステップS1303へ進み、上記最大値DNAVEMAXから気筒毎の差回転平均値DNAVEnをそれぞれ減算して、この最大値DNAVEMAXに対する各気筒毎の平均値差SDNAVEnを算出する(SDNAVEn←DNAVEMAX−DNAVEn)。

0155

ステップS1304では、空燃比センサ29が活性状態であって、ステップS1200で、空燃比センサ29の出力VAFに応じた失火パラメータに基づく失火診断がなされたか否かを判断する。

0156

空燃比センサ29が活性状態であって、ステップS1200において空燃比センサ29の出力VAFに応じた失火パラメータに基づく失火診断がなされる場合には、空燃比センサ29で検出される排気空燃比から失火の発生が診断された場合に、更に、ステップS1300での差回転に基づく失火診断がなされるため、高い診断精度が得られる。

0157

これに対し、空燃比センサ29が非活性状態である場合には、ステップS400からステップS1300に進み、ステップS1200での失火診断を行わず、差回転のみから失火診断を行うことになるため、空燃比センサ29の活性状態での失火診断に比べて、診断精度が低下する。

0158

そこで、ステップS1304で空燃比センサ29の非活性状態であると判断された場合には、ステップS1305へ進み、気筒毎の平均値差SDNAVEnと比較される失火判定値LVLMISを、予め記憶された一定の補正係数AFNOACTHOS(>1.0)で増大補正し(LVLMIS←LVLMIS×AFNOACTHOS)、平均値差SDNAVEnと失火判定値LVLMISとの比較に基づく失火診断において、失火発生が診断され難くする。

0159

即ち、空燃比センサ29が非活性状態であって、差回転のみから失火の有無を診断させる場合には、差回転がより明確に失火時に対応する値を示す場合に、失火の発生を診断させるようにして、実際には失火していない状態で失火発生が誤診断されてしまうことを抑制する。

0160

尚、失火診断値LVLMISの増大補正は、補正係数AFNOACTHOSの乗算によって行う方法に限定されず、補正値AFNOACTHOSを加算することで増大補正することができる。

0161

前記失火判定値LVLMISは、失火発生によって平均値差SDNAVEnが越えるようになる値に予め設定され、固定値であっても良いし、機関負荷及び機関回転速度から可変に設定したり、前記平均値差SDNAVEnの移動平均値に基づいて設定したりすることができる。

0162

一方、空燃比センサ29が活性状態であって、空燃比センサ29で検出される排気空燃比に基づいて失火の発生が診断されてからステップS1300に進んだ場合には、失火診断の精度が上がるので、ステップS1305を迂回して進むことで、失火診断値LVLMISを増大補正せずに初期値のままとする。

0163

従って、空燃比センサ29が活性状態で失火診断に用いる失火診断値LVLMISと、空燃比センサ29の非活性状態で失火診断に用いる失火診断値LVLMISとは、活性時の失火診断値LVLMIS<非活性時の失火診断値LVLMIS、という相関を示すことになる。

0164

そして、ステップS1306では、気筒毎の平均値差SDNAVEnを、それぞれ失火判定値LVLMISと比較し、失火判定値LVLMISよりも平均値差SDNAVEnの大きい気筒を、連続失火中の失火気筒と判別し、ステップS1307で、該当気筒の連続失火を表す気筒別失火フラグFMISnに1をセットする。

0165

上記のように、SDNAVEn>LVLMISである場合に、失火発生(連続失火)を判定するので、空燃比センサ29の非活性時に、失火判定値LVLMISを増大補正することで、失火発生が診断され難くなる。

0166

また、平均値差SDNAVEnが失火診断値LVLMIS以下である気筒については、少なくとも恒常的な連続失火は生じていないと判断して、ステップS1308で、該当気筒に対応する気筒別失火フラグFMISnに零をセットする。

0167

図4のフローチャートのステップS1300において、差回転に基づく失火診断を上記のようにして行うと、次のステップS1400では、失火発生気筒を特定したか否か、即ち、気筒別失火フラグFMISn(n=1〜4)のうち、1がセットされたフラグが存在するか否かを判断する。

0168

そして、失火発生気筒を特定したと判断した場合(気筒別失火フラグFMISn(n=1〜4)のうち、1がセットされたフラグが存在する場合)には、ステップS1500へ進み、警報ランプ38を点灯させて(警告手段を動作させて)、失火の発生(機関異常の発生)を車両の運転者に警告する。

0169

一方、失火発生気筒を特定しなかったと判断した場合(気筒別失火フラグFMISn(n=1〜4)が全て零である場合)には、ステップS1600へ進み、前記警報ランプ38を消灯させて(警告手段の動作を停止させて)、失火の発生(機関異常の発生)がないことを車両の運転者に認識させる。

0170

また、前記警報ランプ38の点灯又は消灯処理を行った後は、ステップS1700へ進み、診断結果(前記気筒別失火フラグFMISn(n=1〜4)の値)をバックアップRAM44などに時系列的に記憶させ、整備工場などで失火診断結果の履歴を後から読み出せるようにする。

0171

更に、次のステップS1800では、空燃比センサ29の出力VAFに基づく失火パラメータである積算値ΣVAF及び変化量積算値DVAFSを零にリセットし、また、回転変動による失火パラメータである差回転積算値ΣDELNEを零にリセットし、次の200回転間におけるデータが新たに積算されるようにする。

0172

また、次のステップS1900では、燃料増量係数に基づく失火キャンセルパラメータである増量変化積算値SUMKFUL(及び最大振幅KFULMXMN)を零にリセットし、次の200回転間におけるデータが新たに積算されるようにする。

0173

また、次のステップS2000では、空燃比センサ29の応答診断経験フラグを零にリセットし、次の200回転間に応答診断が行われた場合に、新たに応答診断経験フラグに1がセットされるようにする。

0174

上記図4のフローチャートに示した実施形態では、空燃比補正係数KMRなどの燃料増量係数による燃料増量補正によって排気空燃比が変動する条件において、また、空燃比センサ29の応答診断が実行された(応答診断用の燃料補正が行われた)場合に、空燃比センサ29の出力に応じて設定した失火パラメータに基づく失火診断を中止させたが、失火診断を中止させる代わりに、空燃比センサ29の出力VAFに基づく失火パラメータを、燃料増量係数による燃料増量補正や応答診断の実行に応じて補正することで、誤診断を抑制することが可能である。

0175

以下では、空燃比センサ29の出力に基づく失火パラメータを、燃料増量係数による燃料増量補正や応答診断の実行に応じて補正する第2実施形態を、図11のフローチャートに従って説明する。

0176

図11のフローチャートに示すルーチンにおいて、ステップS3100では、前記ステップS100と同様に、内燃機関1が回転中であるか否かを判断する。
そして、内燃機関1が回転中であれば、ステップS3200へ進む。

0177

ステップS3200では、前記ステップS200と同様に、失火診断を実行する条件が成立しているか否かを判断する。
そして、内燃機関1の回転中であって、かつ、失火診断を実行する条件が成立している場合に、ステップS3300へ進み、内燃機関1の停止中である場合、又は、内燃機関1の回転中であるものの失火診断を実行する条件が成立していない場合には、ステップS3100に戻る。

0178

ステップS3300では、前記ステップS300と同様に、図5のフローチャートに従って、内燃機関1の回転変動に基づく失火診断において用いる失火パラメータである、差回転DELNEn及び差回転積算値ΣDELNEnを演算する。

0179

ステップS3400では、前記ステップS400と同様に、空燃比センサ29が活性化しているか否かを判断する。
そして、空燃比センサ29が活性化していない場合には、ステップS3500〜ステップS4100を迂回して、ステップS4200に進む。

0180

一方、空燃比センサ29が活性化している場合には、ステップS3500へ進む。
ステップS3500では、前記ステップS500と同様に、空燃比センサ29の出力VAFに基づいて、失火パラメータとしての出力積算値ΣVAF及び変化量積算値DVAFSを算出する。

0181

この出力積算値ΣVAF及び変化量積算値DVAFSの算出処理は、前述のように、図6のフローチャートに従って行われる。
次のステップS3600では、前記空燃比センサ29の出力に基づく失火パラメータとしての変化量積算値DVAFSを補正するための補正値KFULDECを算出する。

0182

以下では、前記補正値KFULDECの算出処理を、図12のフローチャートに従って説明する。
図12のフローチャートにおいて、ステップS3601では、最新の燃料増量係数KFULLnから、所定時間前に演算された燃料増量係数KFULL(n−1)を減算し、この減算結果(変化量)の絶対値を、前回までの増量変化積算値SUMKFULに加算し、該加算結果を今回の増量変化積算値SUMKFULとして、燃料増量係数KFULLnの変化量の絶対値を順次積算する(SUMKFUL←SUMKFUL+|KFULLn−KFULL(n−1)|)。

0183

ステップS3602では、前記増量変化積算値SUMKFULに基づいて補正値KFULDEC(≧0)を算出する。
前記増量変化積算値SUMKFULを補正値KFULDECに変換する変換テーブルが予め記憶されており、該変換テーブルを用いて増量変化積算値SUMKFULに対応する補正値KFULDECを求める。

0184

ここで、前記補正値KFULDECは、前記変化量積算値DVAFSから減算される値であり、図13に示すように、増量変化積算値SUMKFULが大きいほどより大きな値、換言すれば、変化量積算値DVAFSをより大きく減少させる値に設定される。

0185

ステップS3603では、次回の本ルーチンの実行時における増量変化積算値SUMKFULの算出に備え、燃料増量係数KFULLnを、前回(1回前)の値KFULL(n−1)として記憶させ(KFULL(n−1)←KFULLn)、本ルーチンを終了させる。

0186

前記燃料増量係数KFULLnは、第1実施形態と同様に、前記燃料噴射パルス幅TIの演算に用いた各種補正係数CO(CO=1+KTW+KAS+KMR+・・・)、又は、空燃比補正係数KMRとする。

0187

前記補正値KFULDECは、燃料増量によって排気空燃比が変化し、係る排気空燃比の変化が失火に因るものであると誤診断されることを抑制するために、変化量積算値DVAFSを補正するための値であり、燃料増量補正が変動することで排気空燃比が繰り返し変動する場合には、前記変化量積算値DVAFSを減少補正する。

0188

変化量積算値DVAFSに基づく失火診断においては、後述するように、変化量積算値DVAFSが判定値LVLDVAFSよりも大きい場合に、失火の発生を診断するから、変化量積算値DVAFSを減少補正することで、失火発生が診断され難くなり、結果、燃料増量補正によって排気空燃比が繰り返し変動し、これに影響されて変化量積算値DVAFSが大きくなっている場合に、失火の発生が診断されることを抑制することになる。

0189

従って、前記燃料増量係数KFULLnの対象とする燃料噴射量の補正係数は、失火時に近似する排気空燃比の変化を発生させ得る補正係数とすることが好ましく、第1実施形態と同様な理由によって、前記燃料噴射パルス幅TIの演算に用いた各種補正係数CO(CO=1+KTW+KAS+KMR+・・・)、又は、空燃比補正係数KMRとする。

0190

尚、前記ステップS3601において、増量変化積算値SUMKFULの算出に代えて、既述した図8のフローチャートに従って、前記燃料増量係数KFULLの最大振幅(変化幅)KFULMXMNを演算させ、ステップS3602において、前記最大振幅(変化幅)KFULMXMNに基づいて補正値KFULDECを演算させることができる。

0191

この場合、前記最大振幅(変化幅)KFULMXMNが大きいほど、これに影響されて増量変化積算値SUMKFULが大きくなるから、前記最大振幅(変化幅)KFULMXMNが大きいほど補正値KFULDECをより大きな値に設定し、前記最大振幅(変化幅)KFULMXMNが大きいほど前記変化量積算値DVAFSをより小さく補正するようにする。

0192

ステップS3600で、変化量積算値DVAFSを補正するための補正値KFULDECを、燃料増量係数KFULLnに基づいて算出すると、次のステップS3700では、空燃比センサ29の応答診断中であるか否かを判断する。

0193

前記空燃比センサ29の応答診断とは、前述のように、応答診断条件が成立したときに、排気空燃比がベース空燃比を基点として周期的に変動するように燃料噴射量を強制的に補正し、係る燃料噴射量の補正による排気空燃比の変動に対する、空燃比センサ29の出力の変化をモニタし、排気空燃比の変動に対する空燃比センサ29の反応の遅れや出力レベルの劣化(故障)を診断するものである。

0194

ここで、空燃比センサ29の応答診断中でない場合には、応答診断による排気空燃比の変動に対応するために、前記変化量積算値DVAFSを補正する必要はないので、ステップS3800を迂回してステップS3900へ進む。

0195

一方、空燃比センサ29の応答診断中である場合には、応答診断による排気空燃比の変動に影響されて前記変化量積算値DVAFSが大きくなり、これによって失火発生が誤診断される可能性があるので、ステップS3800へ進み、前記誤診断を抑制するために、変化量積算値DVAFSを補正するための補正値LMDDECを設定する。

0196

上記の応答診断中における補正値LMDDECの演算処理を、図14のフローチャートに従って詳細に説明する。
まず、ステップS3801では、空燃比センサ29の応答診断中であるか否かを判断し、応答診断中であれば、ステップS3802に進む。

0197

ステップS3802では、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAの最新値LAMBDAnから、所定時間前の値LAMBDA(n−1)を減算し、この減算結果(変化量)の絶対値を、前回までの空燃比補正積算値SUMLMDに加算し、該加算結果を今回の空燃比補正積算値SUMLMDとして、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAの変化量の絶対値を順次積算する(SUMLMD←SUMLMD+|LAMBDAn−LAMBDA(n−1)|)。

0198

応答診断においては、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAの補正によって燃料噴射量を補正し、排気空燃比を変動させるので、前記空燃比補正積算値SUMLMDは、燃料噴射量の補正量の変化を積算した値に相当する。

0199

ステップS3803では、前記空燃比補正積算値SUMLMDに基づいて補正値LMDDEC(≧0)を算出する。
前記空燃比補正積算値SUMLMDを補正値LMDDECに変換する変換テーブルが予め記憶されており、該変換テーブルを用いて空燃比補正積算値SUMLMDに対応する補正値LMDDECを求める。

0200

ここで、前記補正値LMDDECは、前記変化量積算値DVAFSから減算される値であり、図15に示すように、空燃比補正積算値SUMLMDが大きいほどより大きな値、換言すれば、変化量積算値DVAFSをより大きく減少させる値に設定される。

0201

ステップS3804では、次回の本ルーチンの実行時における空燃比補正積算値SUMLMDの算出に備え、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAnを、前回(1回前)の値LAMBDA(n−1)として記憶させ(LAMBDA(n−1)←LAMBDAn)、本ルーチンを終了させる。

0202

ステップS3800において、前記補正値LMDDECを算出すると、ステップS3900では、内燃機関1の200回転(点火回数400回)毎の失火診断タイミングであるか否かを判断し、失火診断タイミングでない場合にはステップS3100に戻り、失火診断タイミングになると、ステップS4000へ進む。

0203

ステップS4000では、前記変化量積算値DVAFSから、前記補正値KFULDEC及び補正値LMDDECを減算し、該減算結果を最終的な失火パラメータDVAFSSとする補正演算を行う。

0204

DVAFSS=DVAFS−KFULDEC−LMDDEC
上記ステップS4000における演算機能が、失火パラメータ補正手段に相当する。
そして、次のステップS4100では、空燃比センサ29の出力VAFに基づく失火パラメータに基づいて、失火の有無を診断させる。

0205

このステップS4100における失火診断の詳細を、図16のフローチャートに従って説明する。
ステップS4101では、空燃比センサ29の出力値VAFの積算値ΣVAF、及び、空燃比センサ29の出力値VAFのサンプリング回数CVAFを読み出し、積算値ΣVAFをサンプリング回数CVAFにより除算して、最近の200回転間における空燃比センサ29の出力平均値AFAVEを算出する(AFAVE←ΣVAF/CVAF)。

0206

次いで、ステップS4102へ進み、前記出力平均値AFAVEと、該出力平均値AFAVEにより失火を診断するための判定値LVLAFAVEとを比較する。
尚、空燃比センサ29の出力VAFは、排気空燃比がリッチになるほど大きくなるものとする。

0207

そして、上記出力平均値AFAVEが判定値LVLAFAVE未満である場合には、所定気筒(1気筒又は複数気筒)に連続失火が発生しているために、排気空燃比が平均的にリーンになっているものと判断し、ステップS4104へ進んで、失火診断フラグFNGに1をセットする。

0208

即ち、連続失火している気筒があると、当該気筒からは、排気行程毎に空気がそのまま排出され、排気中の酸素濃度を高くするから、排気空燃比としては平均的にリーン状態として検出されることになる。

0209

前記判定値LVLAFAVEは、そのときの目標空燃比よりもリーンである空燃比に相当する値として設定され、前記目標空燃比よりもリーンである空燃比とは、少なくとも1気筒で連続失火が発生している場合に、排気空燃比の平均値が上回る値として予め適合されている。

0210

尚、上記では、空燃比センサ29の出力の平均値AFAVEと判定値LVLAFAVEとを比較させたが、空燃比センサ29の出力を空燃比のデータに変換して、該空燃比データの平均値を求めるか、前記平均値AFAVEを空燃比のデータに変換し、これらの空燃比データと空燃比判定値とを比較させて、平均的な空燃比データが空燃比判定値を上回る場合(平均的な空燃比データが空燃比判定値よりもリーンである場合)に、失火発生を判断させることができる。

0211

一方、ステップS4102で、出力平均値AFAVEが診断値LVLAFAVE以上であると判断され、排気空燃比の平均的なリーン化が発生していない場合には、ステップS4103へ進む。

0212

ステップS4103では、前記変化量積算値DVAFSS(DVAFSS=DVAFS−KFULDEC−LMDDEC)を読み出し、この変化量積算値DVAFSSを、該変化量積算値DVAFSSにより失火を診断するための判定値LVLDVAFSと比較する。

0213

そして、変化量積算値DVAFSSが判定値LVLDVAFSよりも大きい場合には、所定気筒(1気筒又は複数気筒)に連続失火が発生しているために、排気空燃比が繰り返し変化し、これによって空燃比センサ29の出力値VAFが繰り返し変動したため、変化量積算値DVAFSSが、判定値LVLDVAFSよりも大きくなったものと判断して、ステップS4104へ進んで、失火診断フラグFNGに1をセットする。

0214

従って、出力平均値AFAVEが連続失火に伴う空燃比のリーン化を示していない場合であっても、変化量積算値DVAFSSが判定値LVLDVAFSよりも大きく、排気空燃比が繰り返しの変動を示している場合には、失火の発生を診断するようにしてある。

0215

一方、変化量積算値DVAFSSが判定値LVLDVAFS以下である場合には、連続失火による排気空燃比の変動は発生しなかったために、排気空燃比が比較的安定していて、空燃比センサ29の出力値VAFも繰り返しの変動を示さなかったものと判断し、ステップS4105へ進んで、失火診断フラグFNGに零をセットする。

0216

ここで、燃料噴射量の増量補正による排気空燃比の変動や、空燃比センサ29の応答診断に伴う排気空燃比の変動が発生する場合には、前記変化量積算値DVAFSSが、これらの影響分に応じて判定値(閾値)LVLDVAFSから遠ざかる方向に減少補正される。

0217

従って、燃料噴射量の増量補正による排気空燃比の変動や、空燃比センサ29の応答診断に伴う排気空燃比の変動によって、変化量積算値DVAFSが大きな値に算出され、これによって、実際には失火が発生していないのに失火発生が誤診断されることを抑制できる。

0218

尚、上記のように、前記出力平均値AFAVEと判定値LVLAFAVEとの比較に基づく失火診断においては、前記燃料噴射量の増量補正による排気空燃比の変動や、空燃比センサ29の応答診断に伴う排気空燃比の変動に応じた補正は行っていない。

0219

これは、前記出力平均値AFAVEと判定値LVLAFAVEとの比較に基づく失火診断は、平均空燃比がリーン化した場合に失火の発生を診断する構成であるのに対し、前記燃料噴射量の増量補正や空燃比センサ29の応答診断によっては、平均空燃比がリーン化することはなく、失火の発生を誤診断することがないためである。

0220

但し、空燃比センサ29の応答診断において、周期的に空燃比をリーン化させ、該リーン化に対する空燃比センサ29の応答をモニタする場合には、平均空燃比がリーン化して失火発生を誤診断する可能性があるので、前記出力平均値AFAVEを、前記リーン化に応じて空燃比のリッチ方向に補正する(増大補正する)ことが好ましい。

0221

図11のフローチャートのステップS4100で失火の発生が診断され、失火診断フラグFNGに1が設定された場合には、ステップS4100からステップS4200へ進み、機関回転変化に基づく失火気筒判別を行う。

0222

一方、ステップS4100で、失火の発生が診断されず、失火診断フラグFNGに零が設定された場合には、ステップS4100からステップS4500へ進む。
ステップS4200における失火気筒の判別処理の詳細は、先に説明した図10のフローチャートに従って行われるので、ここでは、詳細な説明は省略する。

0223

ステップS4200において、差回転に基づく失火診断を行うと、次のステップS4300では、失火発生気筒を特定したか否か、即ち、気筒別失火フラグFMISn(n=1〜4)のうち、1がセットされたフラグが存在するか否かを判断する。

0224

そして、失火発生気筒を特定したと判断した場合(気筒別失火フラグFMISn(n=1〜4)のうち、1がセットされたフラグが存在する場合)には、ステップS4400へ進み、警報ランプ38を点灯させて(警告手段を動作させて)、失火の発生(機関異常の発生)を車両の運転者に警告する。

0225

一方、失火発生気筒を特定しなかったと判断した場合(気筒別失火フラグFMISn(n=1〜4)が全て零である場合)には、ステップS4500へ進み、前記警報ランプ38を消灯させて(警告手段の動作を停止させて)、失火の発生(機関異常の発生)がないことを車両の運転者に認識させる。

0226

また、前記警報ランプ38の点灯又は消灯処理を行った後は、ステップS4600へ進み、診断結果(前記気筒別失火フラグFMISn(n=1〜4)の値)をバックアップRAM44などに時系列的に記憶させ、整備工場などで失火診断結果の履歴を後から読み出せるようにする。

0227

更に、次のステップS4700では、空燃比センサ29の出力VAFに基づく失火パラメータである積算値ΣVAF及び変化量積算値DVAFSを零にリセットし、また、差回転積算値ΣDELNEを零にリセットし、次の200回転間におけるデータが新たに積算されるようにする。

0228

また、次のステップS4800では、増量変化積算値SUMKFUL(又は最大振幅KFULMXMN)を零にリセットし、次の200回転間におけるデータが新たに積算されるようにする。

0229

また、次のステップS4900では、空燃比補正積算値SUMLMDを零にリセットし、次の200回転間におけるデータが新たに積算されるようにする。
図17は、燃料増量係数KFULLによって周期的な排気空燃比の変動が発生する様子、及び、該排気空燃比の変動に対する各種パラメータの変化を示すタイムチャートである。

0230

図17において、事象を分かり易くするために、スロットル開度TVOが、空燃比補正係数KMRによる増量が行われる領域と増量が行われない領域との境界を中心に、一定周期で変化する場合を示してある。

0231

上記スロットル開度TVOの周期的な変動に伴って、空燃比補正係数KMR(燃料増量係数KFULL)による増量補正が周期的に行われ、空燃比補正係数KMR(燃料増量係数KFULL)による増量補正状態と増量補正停止状態とを繰り返すことで、空燃比センサ29の出力VAF(排気空燃比)は、周期的に変動する。

0232

一方、前述のような周期的な増量補正、及び、これに伴う排気空燃比の周期的な変動によって、増量補正係数KFULLの変化量を積算する増量変化積算値SUMKFUL、及び、空燃比センサ29の出力VAFの変化量を積算する変化量積算値DVAFSは、失火診断タイミング後に逐次増大変化することになる。

0233

ここで、失火診断タイミングになった時点での増量変化積算値SUMKFULが、キャンセル診断値を超えていれば、増量補正量の繰り返しの変化によって、増量変化積算値SUMKFULがキャンセル診断値を超えるほどに大きくなったものと推定でき、更に、前記増量補正量の繰り返しの変化に伴って空燃比センサ29の出力VAFが変動したものと判断できる。

0234

従って、400点火毎の失火診断タイミングにおいて、増量変化積算値SUMKFULがキャンセル診断値を超えている場合には、変化量積算値DVAFSに基づく失火診断をキャンセルすることで、増量補正量の繰り返しの変化による排気空燃比の変化を、失火による排気空燃比の周期的な変化と誤診断することがないようにする。

0235

また、増量変化積算値SUMKFULが大きくなるほど、変化量積算値DVAFSを減少補正すれば、変化量積算値DVAFSに含まれる増量補正量の繰り返し変化による分が除かれるように補正されることとなり、増量補正量の繰り返しの変化による排気空燃比の変化を、失火による排気空燃比の周期的な変化と誤診断することが抑制される。

0236

図18は、空燃比センサ29の応答診断における排気空燃比の変化、及び、該排気空燃比の変動に対する各種パラメータの変化を示すタイムチャートである。
図18に示す例では、空燃比センサ29の応答診断条件(定常運転など)が成立すると、排気空燃比がそのときの目標空燃比を中心にリッチ・リーンを繰り返すように、空燃比フィードバック補正係数LMBDAを周期的に変動させる補正が行われる。

0237

そして、前記補正によって燃料噴射量が増減変化し、排気空燃比が変動するときに、この排気空燃比を検出する空燃比センサ29の出力の応答変化がモニタされ、応答の劣化など故障を診断する。

0238

ここで、排気空燃比がリッチ・リーンを繰り返すことで、空燃比センサ29の出力VAFも周期的に変動し、変化量積算値DVAFSは漸増することになり、変化量積算値DVAFSに基づき失火の発生が誤診断されてしまう。

0239

そこで、前記失火診断タイミング間で、空燃比センサ29の応答診断がなされた場合には、変化量積算値DVAFSが応答診断に影響されて大きくなっているものと推定し、変化量積算値DVAFSに基づく失火診断をキャンセルして、応答診断に伴う排気空燃比の変化を、失火による排気空燃比の周期的な変化と誤診断することがないようにする。

0240

そこで、応答診断中の空燃比フィードバック補正係数LAMBDAの変化量を積算する空燃比補正積算値SUMLMDを演算させ、応答診断のための燃料補正量の変化量の積算値である前記空燃比補正積算値SUMLMDに基づいて変化量積算値DVAFSを減少補正することで、変化量積算値DVAFSに含まれる応答診断に伴う排気空燃比の変動分が除かれるように補正されることになり、応答診断に伴う排気空燃比の変化を、失火による排気空燃比の周期的な変化と誤診断することを抑制する。

0241

尚、上記実施形態では、変化量積算値DVAFSを、前記補正値KFULDEC及び補正値LMDDECで減算補正することで、増量補正又は応答診断に伴う排気空燃比の変動で失火発生が誤診断されることを抑制するようにしたが、変化量積算値DVAFSの減少補正に代えて、又は、変化量積算値DVAFSの減少補正と共に、前記変化量積算値DVAFSと比較させる失火判定値LVLDVAFSを、増量補正量の変動時や空燃比センサ29の応答診断時に増大補正させることで、誤診断の抑制を図ることができる。

0242

また、失火診断の中止は、変化量積算値DVAFS(失火パラメータ)と失火判定値との比較に基づき失火の有無を判断する処理を行わないことの他、変化量積算値DVAFS(失火パラメータ)の積算を中止すること、変化量積算値DVAFS(失火パラメータ)をリセットしてしまうこと、失火診断の実行条件に、増量補正量の変動時でないことや空燃比センサ29の応答診断時でないことを含めることなどが含まれ、更に、これらの処理を複数組み合わせることができる。

0243

更に、本実施形態では、排気空燃比の検出結果に基づく失火診断と、機関回転速度に基づく失火診断とを組み合わせる構成としたが、排気空燃比の検出結果(空燃比センサ29の出力)のみに基づいて失火診断を行う構成の失火診断装置であってもよい。

0244

また、空燃比センサ29は、排気空燃比を広域に検出するセンサの他、理論空燃比に対するリッチ・リーンを検出する所謂リッチ・リーンセンサであってもよく、また、リッチ・リーンセンサの出力を、空燃比データに変換する構成であってもよい。

0245

また、失火気筒が特定された場合には、当該失火気筒に対する燃料噴射を中止し、未燃焼成分が排気系に多く排出されることを抑止することが好ましい。
また、燃料増量による失火診断の中止又は失火パラメータの補正と、応答診断時の失火診断の中止又は失火パラメータの補正とのいずれか一方のみを行わせることができ、更に、燃料増量レベル切り換る境界付近の運転領域(エンジン負荷エンジン回転速度領域)で失火診断を行わせないことは、燃料増量による失火診断の中止に含まれるものとする。

0246

更に、失火診断タイミング毎の診断結果の履歴から最終的な失火診断を行う構成において、燃料増量レベルの変動状態で算出された変化量積算値DVAFS(失火パラメータ)に基づく診断結果や、応答診断中に算出された変化量積算値DVAFS(失火パラメータ)に基づく診断結果に対する重み付けを軽くして、最終的な失火診断への影響度合いを低下させることで、失火発生が誤診断されることを抑制することができる。

0247

また、失火診断と空燃比センサ29の応答診断とが同時に実行されないように、例えば、失火診断中は応答診断の開始を延期させたり、応答診断の実行間隔が過剰に長くなった場合に、失火診断(失火パラメータの積算)を中断させて応答診断を行わせたりすることができる。

図面の簡単な説明

0248

実施形態における車両用内燃機関のシステム図である。
実施形態におけるクランク角センサ及びカム角センサの出力信号の特性を示すタイムチャートである。
実施形態における電子制御装置の詳細を示すブロック図である。
実施形態における失火診断のメインルーチンを示すフローチャートである。
実施形態における差回転DELNEの算出処理を示すフローチャートである。
実施形態における空燃比センサの出力に基づく失火パラメータの算出処理を示すフローチャートである。
実施形態における燃料増量係数KFULLの変化量の積算値SUMKFULの算出処理を示すフローチャートである。
実施形態における燃料増量係数KFULLの変化幅KFULMXMNの算出処理を示すフローチャートである。
実施形態における空燃比センサの出力に応じた失火パラメータに基づく失火診断を示すフローチャートである。
実施形態における差回転DELNEに基づく失火気筒の判別処理を示すフローチャートである。
実施形態における失火診断のメインルーチンを示すフローチャートである。
実施形態における燃料増量係数KFULLの変化量の積算値SUMKFULの算出、及び、前記積算値SUMKFULに基づく補正値KFULDECの算出を示すフローチャートである。
実施形態における燃料増量係数KFULLの変化量の積算値SUMKFULと補正値KFULDECとの相関を示す線図である。
実施形態における空燃比フィードバック補正係数LAMBDAの変化量の積算値SUMLMDの算出、及び、前記積算値SUMLMDに基づく補正値LMDDECの算出を示すフローチャートである。
実施形態における空燃比フィードバック補正係数LAMBDAの変化量の積算値SUMLMDと補正値LMDDECとの相関を示す線図である。
実施形態における空燃比センサの出力に応じて設定した失火パラメータの補正、及び、補正後の失火パラメータに基づく失火診断を示すフローチャートである。
実施形態において周期的な燃料増量補正が行われる場合の各パラメータの変化を示すタイムチャートである。
実施形態において空燃比センサの応答診断が行われる場合の各パラメータの変化を示すタイムチャートである。

符号の説明

0249

1…内燃機関、11…インジェクタ、22…触媒コンバータ、29…空燃比センサ、32…クランク角センサ、35A,35B…カム角センサ、38…警報ランプ、40…電子制御装置(ECU)

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