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技術 光電変換素子、及び光化学電池

出願人 宇部興産株式会社
発明者 青木崇岩佐貴文角田剛久
出願日 2008年12月4日 (12年0ヶ月経過) 出願番号 2008-310222
公開日 2010年6月17日 (10年6ヶ月経過) 公開番号 2010-135184
状態 特許登録済
技術分野 染料 光起電力装置 混成電池
主要キーワード 高波長域 酸化亜鉛系化合物 単核金属錯体 酸化インジウム系化合物 同一金属 複合酸化物半導体 ヨウ化ピリジニウム 橋かけ配位子
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年6月17日)のものです。
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図面 (4)

課題

高い光電変換効率を有する光電変換素子、及び光化学電池を提供する。

解決手段

光化学電池は、ガラス1、透明導電層2、白金層3、電解液4、色素吸着多孔質酸化物半導体膜5で構成される。色素吸着多孔質酸化物半導体膜5は、特定構造を有する非対称二核金属錯体色素と、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物とが吸着している半導体微粒子を含み、この半導体微粒子が、二核金属錯体色素を吸着させた後にステロイド系化合物を吸着させて得られたものであるか、ステロイド系化合物を吸着させた後に二核金属錯体色素を吸着させて得られたものである。

概要

背景

太陽電池クリーン再生型エネルギー源として大きく期待されており、単結晶シリコン系、多結晶シリコン系アモルファスシリコン系の太陽電池や、テルル化カドミウムセレン化インジウム銅などの化合物からなる太陽電池の実用化をめざした研究がなされている。しかし、家庭用電源として普及させるためには、いずれの電池製造コストが高いことや、原材料の確保が困難なことやリサイクルの問題、また大面積化が困難であるなど克服しなければならない多くの問題を抱えている。そこで、大面積化や低価格化を目指し、有機材料を用いた太陽電池が提案されてきたが、いずれも変換効率が1%程度と実用化にはほど遠いものであった。

こうした状況の中、1991年にグレッツェルらによりNatureに色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子および太陽電池、ならびにこの太陽電池の作製に必要な材料および製造技術が開示された。(例えば、Nature、第353巻、737頁、1991年(非特許文献1)、特開平1−220380号公報(特許文献1)など)。この電池は、ルテニウム色素によって増感された多孔質チタニア薄膜作用電極とする湿式太陽電池である。この太陽電池の利点は、安価な材料を高純度に精製する必要がなく用いられるため、安価な光電変換素子として提供できること、さらには用いられる色素の吸収がブロードであり、広い可視光波長域にわたって太陽光電気に変換できることである。しかしながら、実用化のためにはさらなる変換効率の向上が必要であり、より高い吸光係数を有し、より高波長域まで光を吸収する色素の開発が望まれている。

本出願人による特開2003−261536号公報(特許文献2)には、光電変換素子として有用な金属錯体色素であるジピリジル配位子含有金属単核錯体が開示されている。

また、色素増感太陽電池最新技術(株式会社シーエムシー、2001年5月25日発行、117頁)(非特許文献2)には、多核β−ジケトナート錯体色素が開示されている。

また、特開2004−359677号公報(特許文献3)には、光などの活性光線エネルギーを受けて電子を取り出す光電変換機能の優れた新規複核錯体として、複数の金属と複数の配位子を有し、その複数の金属に配位する橋かけ配位子BL)が複素共役環を有する配位構造と複素共役環を有しない配位構造を有する複核錯体が開示されている。

さらに、国際公開第2006/038587号パンフレット(特許文献4)には、高い光電変換効率を有する光電変換素子が得られる金属錯体色素として、複素共役環を有する配位構造を有する二核金属錯体が開示されている。しかし、さらに高い光電変換効率を有する光電変換素子および太陽電池が望まれている。
特開平1−220380号公報
特開2003−261536号公報
特開2004−359677号公報
国際公開第2006/038587号パンフレット
Nature、第353巻、737頁、1991年
色素増感太陽電池の最新技術(株式会社シーエムシー、2001年5月25日発行、117頁)

概要

高い光電変換効率を有する光電変換素子、及び光化学電池を提供する。光化学電池は、ガラス1、透明導電層2、白金層3、電解液4、色素吸着多孔質酸化物半導体膜5で構成される。色素吸着多孔質酸化物半導体膜5は、特定構造を有する非対称二核金属錯体色素と、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物とが吸着している半導体微粒子を含み、この半導体微粒子が、二核金属錯体色素を吸着させた後にステロイド系化合物を吸着させて得られたものであるか、ステロイド系化合物を吸着させた後に二核金属錯体色素を吸着させて得られたものである。

目的

本発明の目的は、高い光電変換効率を有する光電変換素子、及び光化学電池を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

下記一般式(1)で示される非対称二核金属錯体色素と、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオン置換されていてもよい。)とが吸着している半導体微粒子を含み、前記半導体微粒子が、前記ステロイド系化合物を吸着させた後に、前記二核金属錯体色素を吸着させて得られたものであることを特徴とする光電変換素子。(式中、M1及びM2は、遷移金属であって、同一でも異なっていてもよく、L1及びL2は、多座配位可能なキレート型配位子であって、L1とL2は異なるものであり、二つのL1は異なるものであってもよく、二つのL2も異なるものであってもよく、Xは対イオンであり、nは錯体電荷中和するのに必要な対イオンの数を表し、BLヘテロ原子を含む環状構造を少なくとも二つ有する架橋配位子であって、M1及びM2に配位する配位原子がこの環状構造に含まれるヘテロ原子であり、L1が半導体微粒子に固定され得る置換基を有する。)

請求項2

上記一般式(1)で示される非対称な二核金属錯体色素と、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)とが吸着している半導体微粒子を含み、前記半導体微粒子が、前記二核金属錯体色素を吸着させた後に、前記ステロイド系化合物を吸着させて得られたものであることを特徴とする光電変換素子。

請求項3

前記二核金属錯体色素が、主に(L1)2M1にLUMOが分布する構造であることを特徴とする請求項1または2記載の光電変換素子。

請求項4

前記ステロイド系化合物が、コール酸デオキシコール酸およびケノデオキシコール酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子。

請求項5

前記半導体微粒子が、酸化チタン酸化亜鉛、または酸化錫であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。

請求項6

導電性支持体上に、前記二核金属錯体色素と前記ステロイド系化合物とが吸着している半導体微粒子を含む半導体層が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。

請求項7

請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光化学電池

請求項8

電極として請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換素子と対極とを有し、その間に電解質層を有することを特徴とする光化学電池。

請求項9

上記一般式(1)で示される非対称な二核金属錯体色素を含む溶液に半導体微粒子を浸漬して、二核金属錯体色素を半導体微粒子に吸着させる工程と、二核金属錯体色素を吸着させた半導体微粒子を、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)を含む溶液に浸漬して、ステロイド系化合物を半導体微粒子に吸着させる工程とを有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。

請求項10

ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)を含む溶液に半導体微粒子を浸漬して、ステロイド系化合物を半導体微粒子に吸着させる工程と、ステロイド系化合物を吸着させた半導体微粒子を、上記一般式(1)で示される非対称な二核金属錯体色素を含む溶液に浸漬して、二核金属錯体色素を半導体微粒子に吸着させる工程とを有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。

請求項11

導電性支持体上に、半導体微粒子を含む半導体層を形成する工程と、この半導体層を、上記一般式(1)で示される非対称な二核金属錯体色素を含む溶液に浸漬する工程と、二核金属錯体色素を含む溶液に浸漬した半導体層を、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)を含む溶液に浸漬する工程とを有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。

請求項12

導電性支持体上に、半導体微粒子を含む半導体層を形成する工程と、この半導体層を、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)を含む溶液に浸漬する工程と、ステロイド系化合物を含む溶液に浸漬した半導体層を、上記一般式(1)で示される非対称な二核金属錯体色素を含む溶液に浸漬する工程とを有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、光電変換素子、及びそれを用いた光化学電池に関する。

背景技術

0002

太陽電池クリーン再生型エネルギー源として大きく期待されており、単結晶シリコン系、多結晶シリコン系アモルファスシリコン系の太陽電池や、テルル化カドミウムセレン化インジウム銅などの化合物からなる太陽電池の実用化をめざした研究がなされている。しかし、家庭用電源として普及させるためには、いずれの電池製造コストが高いことや、原材料の確保が困難なことやリサイクルの問題、また大面積化が困難であるなど克服しなければならない多くの問題を抱えている。そこで、大面積化や低価格化を目指し、有機材料を用いた太陽電池が提案されてきたが、いずれも変換効率が1%程度と実用化にはほど遠いものであった。

0003

こうした状況の中、1991年にグレッツェルらによりNatureに色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子および太陽電池、ならびにこの太陽電池の作製に必要な材料および製造技術が開示された。(例えば、Nature、第353巻、737頁、1991年(非特許文献1)、特開平1−220380号公報(特許文献1)など)。この電池は、ルテニウム色素によって増感された多孔質チタニア薄膜作用電極とする湿式太陽電池である。この太陽電池の利点は、安価な材料を高純度に精製する必要がなく用いられるため、安価な光電変換素子として提供できること、さらには用いられる色素の吸収がブロードであり、広い可視光波長域にわたって太陽光電気に変換できることである。しかしながら、実用化のためにはさらなる変換効率の向上が必要であり、より高い吸光係数を有し、より高波長域まで光を吸収する色素の開発が望まれている。

0004

本出願人による特開2003−261536号公報(特許文献2)には、光電変換素子として有用な金属錯体色素であるジピリジル配位子含有金属単核錯体が開示されている。

0005

また、色素増感太陽電池最新技術(株式会社シーエムシー、2001年5月25日発行、117頁)(非特許文献2)には、多核β−ジケトナート錯体色素が開示されている。

0006

また、特開2004−359677号公報(特許文献3)には、光などの活性光線エネルギーを受けて電子を取り出す光電変換機能の優れた新規複核錯体として、複数の金属と複数の配位子を有し、その複数の金属に配位する橋かけ配位子BL)が複素共役環を有する配位構造と複素共役環を有しない配位構造を有する複核錯体が開示されている。

0007

さらに、国際公開第2006/038587号パンフレット(特許文献4)には、高い光電変換効率を有する光電変換素子が得られる金属錯体色素として、複素共役環を有する配位構造を有する二核金属錯体が開示されている。しかし、さらに高い光電変換効率を有する光電変換素子および太陽電池が望まれている。
特開平1−220380号公報
特開2003−261536号公報
特開2004−359677号公報
国際公開第2006/038587号パンフレット
Nature、第353巻、737頁、1991年
色素増感太陽電池の最新技術(株式会社シーエムシー、2001年5月25日発行、117頁)

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の目的は、高い光電変換効率を有する光電変換素子、及び光化学電池を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明は以下の事項に関する。

0010

1. 下記一般式(1)で示される非対称二核金属錯体色素と、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオン置換されていてもよい。)とが吸着している半導体微粒子を含み、
前記半導体微粒子が、前記ステロイド系化合物を吸着させた後に、前記二核金属錯体色素を吸着させて得られたものであることを特徴とする光電変換素子。

0011

(式中、M1及びM2は、遷移金属であって、同一でも異なっていてもよく、L1及びL2は、多座配位可能なキレート型配位子であって、L1とL2は異なるものであり、二つのL1は異なるものであってもよく、二つのL2も異なるものであってもよく、Xは対イオンであり、nは錯体電荷中和するのに必要な対イオンの数を表し、BLはヘテロ原子を含む環状構造を少なくとも二つ有する架橋配位子であって、M1及びM2に配位する配位原子がこの環状構造に含まれるヘテロ原子であり、L1が半導体微粒子に固定され得る置換基を有する。)
2. 上記一般式(1)で示される非対称な二核金属錯体色素と、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)とが吸着している半導体微粒子を含み、
前記半導体微粒子が、前記二核金属錯体色素を吸着させた後に、前記ステロイド系化合物を吸着させて得られたものであることを特徴とする光電変換素子。

0012

3. 前記二核金属錯体色素が、主に(L1)2M1にLUMOが分布する構造であることを特徴とする上記1または2記載の光電変換素子。

0013

4. 前記ステロイド系化合物が、コール酸デオキシコール酸およびケノデオキシコール酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の光電変換素子。

0014

5. 前記半導体微粒子が、酸化チタン酸化亜鉛、または酸化錫であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。

0015

6.導電性支持体上に、前記二核金属錯体色素と前記ステロイド系化合物とが吸着している半導体微粒子を含む半導体層が形成されていることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。

0016

7. 上記1〜6のいずれかに記載の光電変換素子を備えることを特徴とする光化学電池。

0017

8.電極として上記1〜6のいずれかに記載の光電変換素子と対極とを有し、その間に電解質層を有することを特徴とする光化学電池。

0018

9. 上記一般式(1)で示される非対称な二核金属錯体色素を含む溶液に半導体微粒子を浸漬して、二核金属錯体色素を半導体微粒子に吸着させる工程と、
二核金属錯体色素を吸着させた半導体微粒子を、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)を含む溶液に浸漬して、ステロイド系化合物を半導体微粒子に吸着させる工程と
を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。

0019

10.ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)を含む溶液に半導体微粒子を浸漬して、ステロイド系化合物を半導体微粒子に吸着させる工程と、
ステロイド系化合物を吸着させた半導体微粒子を、上記一般式(1)で示される非対称な二核金属錯体色素を含む溶液に浸漬して、二核金属錯体色素を半導体微粒子に吸着させる工程と
を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。

0020

11.導電性支持体上に、半導体微粒子を含む半導体層を形成する工程と、
この半導体層を、上記一般式(1)で示される非対称な二核金属錯体色素を含む溶液に浸漬する工程と、
二核金属錯体色素を含む溶液に浸漬した半導体層を、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)を含む溶液に浸漬する工程と
を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。

0021

12.導電性支持体上に、半導体微粒子を含む半導体層を形成する工程と、
この半導体層を、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)を含む溶液に浸漬する工程と、
ステロイド系化合物を含む溶液に浸漬した半導体層を、上記一般式(1)で示される非対称な二核金属錯体色素を含む溶液に浸漬する工程と
を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。

発明の効果

0022

本発明の光電変換素子は、上記一般式(1)で示される二核金属錯体色素と共に、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)が半導体微粒子に吸着しているものである。この光電変換素子を用いた光化学電池は、ステロイド系化合物を含まないものと比べて、高い光電変換効率が得られる。

0023

また、本発明では、二核金属錯体色素を含む溶液に半導体微粒子を浸漬して、二核金属錯体色素を半導体微粒子に吸着させた後に、ステロイド系化合物を含む溶液に浸漬して、ステロイド系化合物を半導体微粒子に吸着させる。あるいは、ステロイド系化合物を含む溶液に半導体微粒子を浸漬して、ステロイド系化合物を半導体微粒子に吸着させた後に、二核金属錯体色素を含む溶液に浸漬して、二核金属錯体色素を半導体微粒子に吸着させる。二核金属錯体色素とステロイド系化合物とを含む溶液に半導体微粒子を浸漬して、二核金属錯体色素とステロイド系化合物とを同時に半導体微粒子に吸着させることもできるが、上記のように二核金属錯体色素とステロイド系化合物とを別個に半導体微粒子に吸着させた方が、ステロイド系化合物の選択的吸着を抑制でき、色素吸着量を制御できるという点で有利である。

発明を実施するための最良の形態

0024

本発明の光電変換素子は、上記一般式(1)で示される非対称な二核金属錯体色素と、ステロイド骨格を有し、カルボキシル基を持つステロイド系化合物(但し、カルボキシル基(−COOH)のプロトンは1価のカチオンで置換されていてもよい。)と、半導体微粒子を含む。

0025

まず、本発明において用いる二核金属錯体色素について説明する。

0026

本発明の一般式:(L1)2M1(BL)M2(L2)2(X)nで示される非対称な二核金属錯体において、M1及びM2は、遷移金属であり、好ましくは第VIII族〜第XI族の遷移金属であり、具体的には、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)または鉄(Fe)が好ましい。中でも、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)が好ましく、ルテニウム(Ru)が特に好ましい。

0027

M1及びM2は、同一金属でも異なった金属であってもよい。

0028

L1及びL2は、多座配位可能なキレート型配位子であり、好ましくは二座もしくは三座もしくは四座配位可能なキレート型配位子、さらに好ましくは二座配位可能なキレート型配位子である。具体的には、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、2−(2−ピリジニルキノリンまたは2,2’−ビキノリンなどの誘導体などが挙げられる。L1とL2は、異なるものである。また、二つのL1は異なるものであってもよく、二つのL2も異なるものであってもよい。

0029

また、L1は、半導体微粒子に固定され得る置換基を少なくとも一つ有している。

0030

L1の半導体微粒子に固定され得る置換基としては、カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH2)、水酸基(−OH)、硫酸基(−SO3H)、燐酸基(−PO3H2)、ニトロ基(−NO2)などが挙げられる。中でも、カルボキシル基(−COOH)が好ましい。カルボキシル基の水素は、テトラブチルアンモニウムなどの4級アンモニウムナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオンなどのカチオンで交換されていてもよい。また、水素は脱離していてもよい。

0031

さらに、L1は、半導体微粒子に固定され得る置換基以外の置換基を有しても、有してなくてもよい。このような置換基としては、アルキル基メチル基エチル基など)、アルコキシ基メトキシ基エトキシ基など)などが挙げられる。

0032

また、本発明の二核金属錯体色素においては、L1は、主に(L1)2M1部分にLUMOが分布するような配位子であることが好ましい。「主に(L1)2M1部分にLUMOが分布する」とは、(L2)2M2部分よりも(L1)2M1部分にLUMOが多く分布していることを意味する。主に(L1)2M1が太陽光などの光照射により電子が励起するLUMOを有する構造であることによって、この二核金属錯体により増感された半導体微粒子を含む光電変換素子を用いて光化学電池を製造したときに、電解質から光電変換素子(負極)へのスムーズな電子移動を起こすことができ、効率のよい光化学電池を構成することができる。

0033

LUMOの算出は、ソフトウェアはCerius2あるいはMaterial Studioを用いた。その方法は、DMol3モジュールを用いて、DFT密度汎関数法)によって金属錯体構造最適化を行った。そのときの交換相関関数は特に限定はしないが、VWN法またはBLYP法が好適に用いられる。基底関数は特に限定はしないが、DNPが好適に用いられる。

0034

エネルギー状態計算は得られた構造を用い、交換相関関数としては特に限定はしないがBLYP,PBEが用いられ、基底関数系としては特に限定はしないがDNPが好適に用いられる。

0035

L1としては、下式(L1−A)で表される配位子が挙げられる。

0036

0037

式中、−COOHのHは脱離していてもよく、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は水素原子、アルコキシ基または置換もしくは無置換の炭化水素基を表すか、または、これらの二つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素環を形成している。

0038

R1〜R6は好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、水素原子、アルキル基であることがより好ましい。アルキル基としては、炭素数6以下のものが好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。また、アルコキシ基としては、炭素数6以下のものが好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。

0039

また、R2とR3、R4とR5、R1とR6が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環(置換基を有していてもよい)を形成していることも好ましい。芳香族炭化水素環の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)などが挙げられる。

0040

R1〜R6は水素原子であることが特に好ましい。

0041

L1の具体例としては、下式(L1−1)〜(L1−4)で表される配位子が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0042

2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸(H2dcbpy)

0043

1,10−フェナントロリン−4,7−ジカルボン酸(H2dcphen)

0044

2−(2−(4−カルボキシピリジル))−4−カルボキシキノリン(H2dcpq)

0045

2,2’−ビキノリン−4,4’−ジカルボン酸(H2dcbiq)

0046

但し、式(L1−1)〜(L1−4)中の複素環およびベンゼン環は置換基を有していてもよく、また、−COOHのHは脱離していてもよい。置換基としては、メチル基、エチル基などの炭素数6以下のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などの炭素数6以下のアルコキシ基などが挙げられる。

0047

前述の通り、L2は、多座配位可能なキレート型配位子であり、好ましくは二座もしくは三座もしくは四座配位可能なキレート型配位子、さらに好ましくは二座配位可能なキレート型配位子である。具体的には、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、2−(2−ピリジニル)キノリンまたは2,2’−ビキノリンなどの誘導体などが挙げられる。

0048

L2は、置換基を有しても、有してなくてもよい。L2の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基など)、アリール基フェニル基トリル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、および水酸基(−OH)などが挙げられる。特に、電子供与性を示す基が好ましい。

0049

L2としては、下式(L2−A)で表される配位子が挙げられる。

0050

0051

式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は水素原子、アルコキシ基、水酸基または置換もしくは無置換の炭化水素基を表すか、または、これらの二つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素環を形成している。

0052

R11〜R18は好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、水素原子、アルキル基であることがより好ましい。アルキル基としては、炭素数18以下のものが好ましく、メチル基、t−ブチル基、ノニル基がより好ましい。また、アルコキシ基としては、炭素数6以下のものが好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。

0053

また、R11〜R18の隣接する二つ、またはR11とR18が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環(置換基を有していてもよい)を形成していることも好ましい。芳香族炭化水素環の置換基としては、アルキル基(メチル基、t−ブチル基、ノニル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)などが挙げられる。

0054

R11〜R18は水素原子またはメチル基、t−ブチル基、ノニル基であることが特に好ましい。また、R11とR18が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環(メチル基などの置換基を有していてもよい)を形成しており、R12〜R17は水素原子またはメチル基、より好ましくは水素原子であることも特に好ましい。

0055

L2の具体例としては、下式(L2−1)〜(L2−4)で表される配位子が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0056

2,2’−ビピリジン(bpy)

0057

1,10−フェナントロリン(phen)

0058

2−(2−ピリジニル)キノリン(pq)

0059

2,2’−ビキノリン(biq)

0060

但し、式(L2−1)〜(L2−4)中の複素環およびベンゼン環は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数18以下のアルキル基、炭素数6以下のアルコキシ基、メチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基、水酸基などが挙げられる。

0061

BLは架橋配位子であって、ヘテロ原子を含む環状構造を有するものである。そして、この環状構造(複素共役環)に含まれるヘテロ原子がM1及びM2に配位する配位原子である。ヘテロ原子としては、窒素酸素硫黄、燐などが挙げられる。

0062

BLは、四座配位子であることが好ましく、さらに好ましくはアニオン性である。また、BLは、環状構造(複素共役環)上に置換基を有しても、有しなくてもよい。

0063

BLとしては、下式(BL−A)で表されるものが挙げられる。

0064

0065

式中、R31、R32及びR33は水素原子または置換もしくは無置換の炭化水素基を表すか、または、これらの二つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素環を形成しており、R34、R35及びR36は水素原子または置換もしくは無置換の炭化水素基を表すか、または、これらの二つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素環を形成している。

0066

R31〜R36は好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、水素原子、アルキル基であることがより好ましい。アルキル基としては、炭素数18以下のものが好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。また、アルコキシ基としては、炭素数6以下のものが好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。

0067

また、R31〜R36の隣接する二つが一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環(置換基を有していてもよい)を形成していることも好ましい。芳香族炭化水素環の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)などが挙げられる。

0068

R31〜R36は水素原子またはメチル基であることが特に好ましく、R31〜R36は水素原子であることがさらに好ましい。

0069

また、BLとしては、下式(BL−B)で表されるものも挙げられる。

0070

0071

式中、R41及びR42は水素原子または置換もしくは無置換の炭化水素基を表すか、または、これらが一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素環を形成しており、R43及びR44は水素原子または置換もしくは無置換の炭化水素基を表すか、または、これらが一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素環を形成している。

0072

R41〜R44は好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、水素原子、アルキル基であることがより好ましい。アルキル基としては、炭素数18以下のものが好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。また、アルコキシ基としては、炭素数6以下のものが好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。

0073

また、R41とR42、R43とR44が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環(置換基を有していてもよい)を形成していることも好ましい。芳香族炭化水素環の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)などが挙げられる。

0074

R41〜R44は水素原子またはメチル基であることが特に好ましく、R41〜R44は水素原子であることがさらに好ましい。また、R41とR42、R43とR44が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環(メチル基などの置換基を有していてもよい)を形成していることも特に好ましい。

0075

上式(BL−B)で表されるものの中では、下式(BL−C)で表されるものが好ましい。

0076

0077

式中、R51、R52、R53及びR54は水素原子または置換もしくは無置換の炭化水素基を表すか、または、これらの二つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素環を形成しており、R55、R56、R57及びR58は水素原子または置換もしくは無置換の炭化水素基を表すか、または、これらの二つ以上が一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に置換もしくは無置換の芳香族炭化水素環または置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素環を形成している。

0078

R51〜R58は好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、水素原子、アルキル基であることがより好ましい。アルキル基としては、炭素数18以下のものが好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。また、アルコキシ基としては、炭素数6以下のものが好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。

0079

また、R51〜R58の隣接する二つが一緒になってそれらが結合する炭素原子と共に6員の芳香族炭化水素環(置換基を有していてもよい)を形成していることも好ましい。芳香族炭化水素環の置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基など)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)などが挙げられる。

0080

R51〜R58は水素原子またはメチル基であることが特に好ましく、R51〜R58は水素原子であることがさらに好ましい。

0081

BLの具体例としては、下式(BL−1)〜(BL−4)で表されるものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0082

2,2’−ビピリミジン(bpm)

0084

2,2’−ビイミダゾラト(BiIm)

0085

2,2’−ビベンズイミダゾラト(BiBzIm)

0086

但し、式(BL−1)〜(BL−4)中の複素環およびベンゼン環は置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数18以下のアルキル基、炭素数6以下のアルコキシ基などが挙げられ、また、式(BL−4)中のベンゼン環上の隣接する二つの炭素原子が一緒になって新たなベンゼン環(置換基を有していてもよい)を形成していてもよい。

0087

光電変換素子に用いる金属錯体色素である場合、BLが上式(BL−3)、または(BL−4)で表される配位子であることが好ましい。

0088

また、(L1)2M1(BL)M2(L2)2(X)nは、水または有機溶媒結晶溶媒として含んでいてもよい。有機溶媒としては、DMSO、アセトニトリルDMFDMAC、メタノールなどが挙げられる。尚、結晶溶媒の数は特に規定されない。

0089

Xは対イオンであり、錯体[(L1)2M1(BL)M2(L2)2]がカチオンであれば対イオンはアニオン、錯体[(L1)2M1(BL)M2(L2)2]がアニオンであれば対イオンはカチオンである。ここにnは、錯体の電荷を中和するのに必要な対イオンの数を表す。

0091

Xの具体例として、対イオンがカチオンの場合、アンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、ナトリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、およびプロトンなどが挙げられる。

0092

金属錯体色素としては、特に、L1が上式(L1−1)で表される配位子(−COOHのHが脱離しているもの、複素環およびベンゼン環がさらに置換基を有しているものも含む)であり、L2が上式(L2−1)または(L2−2)で表される配位子(複素環およびベンゼン環が置換基を有しているものも含む)であり、BLが上式(BL−3)または(BL−4)で表される配位子(複素環およびベンゼン環が置換基を有しているものも含む)であり、M1及びM2がルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)または鉄(Fe)であるものが好ましい。

0093

本発明の(L1)2M1(BL)M2(L2)2(X)nで示される非対称な二核金属錯体の具体例としては、下式(D−1)〜(D−18)で表されるものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、式(D−1)〜(D−18)中の−COOHのHは脱離していてもよい。

0094

[(H2dcbpy)2Ru(BiIm)Ru(bpy)2](ClO4)2

0095

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiIm)Ru(bpy)2](PF6

0096

[(H2dcbiq)(Hdcbiq)Ru(BiIm)Ru(bpy)2](PF6)

0097

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy)2](PF6)

0098

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy)2](BF4)

0099

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy)2](BPh4)

0100

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy)2](OSO2CF3)

0101

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy)2](ClO4)

0102

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy)2](NO3)

0103

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy)2](I)

0104

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(phen)2](PF6)

0105

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(biq)2](PF6)

0106

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(dmbpy)2](PF6)

0107

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(TMBiBzIm)Ru(bpy)2](PF6)

0108

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Os(bpy)2](PF6)

0109

[(Hdcbpy)2Ru(bpm)Ru(bpy)2](PF6)2

0110

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(dtbbpy)2](PF6)

0111

[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(dnbpy)2](PF6)

0112

本発明において用いる金属錯体色素は、公知の方法、例えば国際公開第2006/038587号パンフレット、Inorganic Chemistry、第17巻、第9号、第2660〜2666頁、1978年、Journal of the American Chemical Society、第115巻、第6382〜6390頁、1993年等の文献中に引用された方法を参考にして製造することができる。

0113

本発明の金属錯体(L1)2M1(BL)M2(L2)2(X)nは、例えば、次のようにして二つの単核金属錯体(L1)2M1Cl2と(BL)M2(L2)2を合成し、これらを反応させることにより合成することができる。

0114

L1が上式(L1−1)であり、M1がRuである単核金属錯体(L1)2M1Cl2(M1C−1)は次の合成スキームに従って合成することができる。

0115

0116

上式において、L1がカルボキシル基以外の置換基を有するもの、M1がRu以外の遷移金属であるものも同様にして合成することができる。

0117

また、L1が上式(L1−4)であり、M1がRuである単核金属錯体(L1)2M1Cl2(M1C−2)は次の合成スキームに従って合成することができる。

0118

0119

上式において、L1がカルボキシル基以外の置換基を有するもの、M1がRu以外の遷移金属であるものも同様にして合成することができる。

0120

一方、単核金属錯体(BL)M2(L2)2は次の合成スキームに従って合成することができる。

0121

0122

スキーム中のH2BLはBL中の二つのヘテロ原子(窒素原子など)がプロトン化された状態を示す。

0123

尚、BLが上式(BL−1)〜(BL−4)で表されるもの(置換基を有しているものも含む)、L2が上式(L2−1)〜(L2−4)で表されるもの(置換基を有しているものも含む)は何れも、この合成スキームに従って合成することができる。但し、BLが上式(BL−1)で表されるもの(置換基を有しているものも含む)については、後段塩基による反応工程は不要で、M2(L2)2Cl2とBLを反応させると(BL)M2(L2)2が得られる。

0124

この反応において使用する塩基はナトリウムを含まない塩基、例えばカリウムマグネシウムカルシウムまたは鉄を含む塩基、あるいは有機塩基であることが好ましく、特にリチウムを含む塩基が好ましい。中でも、リチウムのアルコキシドが好ましく、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウム−t−ブトキシドがさらに好ましく、リチウムメトキシドが特に好ましい。塩基の使用量は適宜決めることができる。

0125

このようにして合成した(L1)2M1Cl2(M1C)と(BL)M2(L2)2(M2C)を次の合成スキームに従って反応させ、(L1)2M1(BL)M2(L2)2(X)nを合成することができる。

0126

0127

この反応において使用する塩基はナトリウムを含まない塩基、例えばカリウム、マグネシウム、カルシウムまたは鉄を含む塩基、あるいは有機塩基であることが好ましく、特にリチウムを含む塩基が好ましい。中でも、リチウムの水酸化物およびリチウムのアルコキシドが好ましく、水酸化リチウム、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウム−t−ブトキシドがさらに好ましく、水酸化リチウムが特に好ましい。塩基の使用量は適宜決めることができる。

0128

塩基の存在下で(L1)2M1Cl2(M1C)と(BL)M2(L2)2(M2C)を反応させた後、酸(HX)を加えて(L1)2M1(BL)M2(L2)2(X)nで示される二核金属錯体を単離させる。このとき、必要に応じて溶液を冷却する。また、酸を加える前または同時に、硝酸リチウムなどのリチウムを含む塩(LiX)を加えてもよい。

0129

また、本発明では、初期光電変換効率の点から、二核金属錯体を単離させるときのpHを2.5を超えて、好ましくは2.7以上に調整することが好ましい。pHは2.8以上が好ましく、得られる光化学電池の耐久性の点からは、pHは3.3以上が好ましく、3.5以上がより好ましく、3.7以上が特に好ましく、3.8以上がさらに好ましい。また、半導体微粒子に本発明の二核金属錯体色素を十分に担持させるためには、pHは5以下が好ましく、4.5以下がより好ましく、4.2以下が特に好ましい。

0130

また、本発明では、適当なpHで単離させて(L1)2M1(BL)M2(L2)2(X)nで示される二核金属錯体を得た後、これを水に懸濁させ、塩基を加えてpHを10程度に調整して再溶解させ、この溶液に酸を加えてpHを上記の範囲にし、(L1)2M1(BL)M2(L2)2(X)nで示される二核金属錯体を単離させることもできる。

0131

本発明では、上記の金属錯体を金属錯体色素として用い、この金属錯体色素により増感された半導体微粒子を用いて光化学電池を製造する。

0132

本発明においては、上記一般式(1)で示される二核金属錯体色素と共に、ステロイド系化合物を用いる。ステロイド系化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。

0133

本発明において用いるステロイド系化合物は、下記式(A)で示されるステロイド骨格を有し、且つカルボキシル基を持つものである。

0134

0135

但し、式(A)で示されるステロイド骨格は、例えば炭素数1〜10程度の置換もしくは無置換の炭化水素基(側鎖)や、水酸基(−OH)などの置換基を有していてもよい。また、ステロイド骨格中に不飽和結合を含んでいてもよい。

0136

カルボキシル基で置換される位置はステロイド骨格のどの位置であってもよいし、側鎖がカルボキシル基を有していてもよい。カルボキシル基(−COOH)のプロトンは、ナトリウムイオンなどの1価のカチオンで交換されていてもよい。

0137

本発明において用いるステロイド系化合物としては、下記式(A−1)で示される構造を有するものが好ましい。

0138

0139

中でも、下記式(A−2)で示されるコール酸、下記式(A−3)で示されるデオキシコール酸、下記式(A−4)で示されるケノデオキシコール酸が好ましく、ケノデオキシコール酸が特に好ましい。

0140

0141

0142

0143

本発明の光電変換素子は、上記のような二核金属錯体色素とステロイド系化合物と半導体微粒子を含むものである。二核金属錯体色素とステロイド系化合物とは半導体微粒子表面に吸着されており、半導体微粒子は金属錯体色素により増感されている。

0144

より具体的には、本発明の光電変換素子は、上記の金属錯体色素により増感された半導体微粒子を導電性支持体(電極)上に固定したものである。

0145

導電性電極は、透明基板上に形成された透明電極であることが好ましい。導電剤としては、金、銀、銅、白金パラジウムなどの金属、錫をドープした酸化インジウム(ITO)に代表される酸化インジウム系化合物フッ素をドープした酸化錫(FTO)に代表される酸化錫系化合物酸化亜鉛系化合物などが挙げられる。

0146

半導体微粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、または酸化錫などが挙げられる。また、酸化インジウム、酸化ニオブ酸化タングステン酸化バナジウムや、チタン酸ストロンチウムチタン酸カルシウムチタン酸バリウムニオブ酸カリウムなどの複合酸化物半導体カドミウムまたはビスマス硫化物、カドミウムのセレン化物またはテルル化物ガリウムリン化物またはヒ素化物なども挙げられる。半導体微粒子としては、酸化物が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛、または酸化錫、およびこれらのいずれか1種以上を含む混合物が特に好ましい。

0147

半導体微粒子の一次粒子径は特に限定されないが、通常、1〜5000nm、好ましくは2〜500nm、特に好ましくは5〜300nmである。

0148

半導体微粒子に二核金属錯体色素とステロイド系化合物とを吸着させる方法としては、導電性支持体上に半導体微粒子を含む半導体層(半導体微粒子膜)を形成した後、これを二核金属錯体色素を含む溶液に浸漬し、次に、ステロイド系化合物を含む溶液に浸漬する方法が挙げられる。また、導電性支持体上に半導体微粒子を含む半導体層(半導体微粒子膜)を形成した後、これをステロイド系化合物を含む溶液に浸漬し、次に、二核金属錯体色素を含む溶液に浸漬する方法が挙げられる。本発明においては、二核金属錯体色素を先に半導体微粒子に吸着させてもよいし、ステロイド系化合物を先に半導体微粒子に吸着させてもよい。

0149

半導体層は、導電性支持体上に半導体微粒子のペーストを塗布し、加熱焼成して形成することができる。そして、この半導体層が形成された導電性支持体を二核金属錯体色素の溶液に浸漬し、必要に応じて洗浄、乾燥した後、次いでステロイド系化合物の溶液に浸漬する。または、ステロイド系化合物の溶液に浸漬し、必要に応じて洗浄、乾燥した後、次いで二核金属錯体色素の溶液に浸漬する。そして、この二核金属錯体色素とステロイド系化合物とが吸着している半導体微粒子を含む半導体層が形成された導電性支持体を洗浄、乾燥する。

0150

色素溶液およびステロイド系化合物溶液の溶媒としては、メタノール、エタノールイソプロピルアルコールt−ブチルアルコールエチレングリコール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン等の尿素類ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類が挙げられるが、好ましくはイソプロピルアルコールやt−ブタノール、アセトニトリルが用いられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。

0151

溶液中の色素の濃度は適宜決めることができるが、短時間で色素を吸着させることができるので高濃度の方が好ましく、飽和溶液であることが好ましい。

0152

溶液中のステロイド系化合物の濃度は適宜決めることができるが、0.0001〜10mol/lであることが好ましく、0.001〜1mol/lであることがより好ましい。ステロイド系化合物の濃度が上記の範囲内である時に、より高い光電変換効率が得られる。

0153

色素を吸着させる際の温度は、通常、0〜80℃とすればよく、好ましくは20〜40℃である。色素を吸着させる時間(色素溶液に浸漬する時間)は適宜決めることができ、例えば30分間〜48時間、好ましくは1〜24時間程度である。吸着時間がこれより長くなってくると、色素の吸着量は余り変わらなくなる一方で、光電変換効率が低下してくることがある。

0154

ステロイド系化合物を吸着させる際の温度は、通常、0〜80℃とすればよく、好ましくは20〜40℃である。ステロイド系化合物を吸着させる時間(ステロイド系化合物溶液に浸漬する時間)は適宜決めることができ、例えば30分間〜48時間、好ましくは30分間〜20時間程度である。

0155

本発明の光化学電池は、上記のような本発明の光電変換素子を用いたものである。より具体的には、電極として上記の本発明の光電変換素子と対極とを有し、その間に電解質層を有するものである。本発明の光電変換素子を用いた電極と対極の少なくとも片方は透明電極である。

0156

対極は、光電変換素子と組み合わせて光化学電池としたときに正極として作用するものである。対極としては、上記導電性電極と同様に導電層を有する基板を用いることもできるが、金属板そのものを使用すれば、基板は必ずしも必要ではない。対極に用いる導電剤としては、白金や炭素などの金属、フッ素をドープした酸化錫などの導電性金属酸化物が挙げられる。

0157

電解質(酸化還元対)としては特に限定されず、公知のものをいずれも用いることができる。例えば、ヨウ素とヨウ化物(例えば、ヨウ化リチウムヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物、またはヨウ化テトラブチルアンモニウムヨウ化テトラプロピルアンモニウムヨウ化ピリジニウム、ヨウ化イミダゾリウム等の4級アンモニウム化合物のヨウ化物)の組み合わせ、臭素臭化物の組み合わせ、塩素塩化物の組み合わせ、アルキルビオローゲンとその還元体の組み合わせ、キノンハイドロキノン、鉄(II)イオン/鉄(III)イオン、銅(I)イオン/銅(II)イオン、マンガン(II)イオン/マンガン(III)イオン、コバルトイオン(II)/コバルトイオン(III)等の遷移金属イオン対、フェロシアンフェリシアン四塩化コバルト(II)/四塩化コバルト(III)、四臭化コバルト(II)/四臭化コバルト(III)、六塩化イリジウム(II)/六塩化イリジウム(III)、六シアノ化ルテニウム(II)/六シアノ化ルテニウム(III)、六塩化ロジウム(II)/六塩化ロジウム(III)、六塩化レニウム(III)/六塩化レニウム(IV)、六塩化レニウム(IV)/六塩化レニウム(V)、六塩化オスミウム(III)/六塩化オスミウム(IV)、六塩化オスミウム(IV)/六塩化オスミウム(V)等の錯イオンの組み合わせ、コバルト、鉄、ルテニウム、マンガン、ニッケル、レニウムといった遷移金属とビピリジンやその誘導体、ターピリジンやその誘導体、フェナントロリンやその誘導体といった複素共役環及びその誘導体で形成されているような錯体類、フェロセンフェロセニウムイオン、コバルトセン/コバルトセニウムイオン、ルテノセンルテノセウムイオンといったシクロペンタジエン及びその誘導体と金属の錯体類、ポルフィリン系化合物類等が使用できる。好ましい電解質は、ヨウ素とヨウ化リチウムや4級アンモニウム化合物のヨウ化物とを組み合わせた電解質である。電解質の状態は、有機溶媒に溶解した液体であっても、溶融塩ポリマーマトリックス含浸漬したいわゆるゲル電解質や、固体電解質であってもよい。

0158

本発明の光化学電池は、従来から適用されている方法によって製造することができる。

0159

例えば、前述のように、透明電極上に酸化物等の半導体微粒子のペーストを塗布し、加熱焼成して半導体微粒子の薄膜を作製する。半導体微粒子の薄膜がチタニアの場合、例えば、温度450℃、反応時間30分で焼成する。この薄膜の付いた透明電極を、本発明の二核金属錯体色素を含む溶液と、ステロイド系化合物を含む溶液に浸漬し(先に二核金属錯体色素の溶液に浸漬してもよいし、先にステロイド系化合物の溶液に浸漬してもよい。)、色素とステロイド系化合物を吸着させて光電変換素子を作製する。さらに、この光電変換素子と対極として白金あるいは炭素を蒸着した透明電極を合わせ、その間に電解質溶液を入れることにより本発明の光化学電池を製造することができる。

0160

本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。

0161

(参考例1)
二核金属錯体色素[(H2dcbpy)(Hdcbpy)Ru(BiBzIm)Ru(bpy)2](PF6)(D−4)の合成
1.単核金属錯体(H2dcbpy)2RuCl2(M1C−1)の合成
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに、市販のRuCl3・3H2O(2.53g,9.68mmol)、H2dcbpy(4.50g,18.4mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミドを300ml加え、2.45GHzのマイクロ波照射下45分間還流した。放冷後ろ過し、得られたろ液減圧乾固した。得られた残留物アセトンジエチルエーテル(1:4)で洗浄後、2mol/l塩酸300mlを加え、20分間超音波攪拌、さらに超音波攪拌を止め2時間攪拌した。攪拌終了後、不溶物をろ取し、2mol/l塩酸、アセトン/ジエチルエーテル(1:4)およびジエチルエーテルで洗浄した。真空乾燥後、5.75gのM1C−1を得た。

0162

0163

2.単核金属錯体(BiBzIm)Ru(bpy)2(M2C−2)の合成
窒素雰囲気下、300ml三口フラスコに、Ru(bpy)2Cl2(4.02g,7.7mmol)、Inorg.Chem.,34,5979(1995)を参照して合成した2,2’−ビベンズイミダゾール(BiBzImH2)(2.18g,9.3mmol)、およびエチレングリコールを100ml加え、2.45GHzのマイクロ波照射下5分間還流した。放冷後、10%のリチウムメトキシドメタノール溶液を35ml加え、60℃で10分間2.45GHzのマイクロ波照射した。放冷後、200mlの水を加え、攪拌し、析出物をろ過した。析出物を水、冷メタノール、およびジエチルエーテルで洗浄、真空乾燥後、M2C−2を5.7708g得た。さらに、この析出物5.77gを窒素雰囲気下でメタノール200mlに加え、さらにここへ10%のリチウムメトキシドメタノール溶液を10ml加え、1時間還流した。放冷後、析出物をろ過し、冷メタノール、水、およびジエチルエーテルで洗浄、真空乾燥後、M2C−2を5.02g得た。

0164

0165

3.D−4の合成
窒素雰囲気下、500ml三口フラスコに、M1C−1(1.50g,2.16mmol)、およびエタノール/水(1:1)を300ml加え、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液を8.7ml滴下し溶解させた。この溶液にM2C−2(1.55g,2.27mmol)を加え、2.45GHzのマイクロ波照射下30分間還流した。放冷後、微量の不溶解物をろ別後、ろ液のエタノールを減圧留去した。得られた懸濁液をろ過し、ろ液に0.5mol/lヘキサフルオロリン酸水溶液をpH2.8になるまで滴下した。一晩4℃で冷却後、析出した錯体をろ取し、pH2.8ヘキサフルオロリン酸水溶液、アセトン/ジエチルエーテル(4:1)、およびジエチルエーテルで洗浄した。真空乾燥後、二核金属錯体色素(D−4)を2.61g得た。

0166

(実施例1)
<色素吸着後、ステロイド系化合物吸着>
1.多孔質チタニア電極の作製
触媒化成製のチタニアペーストPST−18NRを透明層に、PST−400Cを拡散層に用い、旭硝子株式会社製透明導電性ガラス電極上にスクリーン印刷機を用いて塗布した。得られた膜を25℃、60%の雰囲気下で5分間エージングし、このエージングした膜を450℃で30分間焼成した。冷却した膜に対し、同じ作業を所定の厚みになるまで繰り返し、16mm2の多孔質チタニア電極を作製した。

0167

2.色素およびステロイド系化合物を吸着した多孔質チタニア電極の作製
二核金属錯体色素(D−4)の飽和色素溶液(溶媒:t−ブタノール/アセトニトリルの1:1混合溶媒)に多孔質チタニア電極を30℃で20時間浸漬し、乾燥して色素吸着多孔質チタニア電極を得た。次に、ケノデオキシコール酸を0.01mol/l含む溶液(溶媒:アセトニトリル)に色素吸着多孔質チタニア電極を30℃で1時間、もしくは20時間浸漬し、アセトニトリルで洗浄後、乾燥して色素・ステロイド系化合物吸着多孔質チタニア電極を得た。

0168

3.光化学電池の作製
以上のようにして得られた色素・ステロイド系化合物吸着多孔質チタニア電極と白金板(対極)を重ね合わせ、電解質溶液(3−メトキシプロピオニトリルにヨウ化リチウム、ヨウ素、4−t−ブチルピリジン、および1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイドをそれぞれ0.1、0.05、0.5、および0.6mol/lとなるように溶解したもの)を両電極の隙間に毛細管現象を利用して染み込ませることにより光化学電池を作製した。図3に本実施例で作製した光化学電池の構造を示す。

0169

4.変換効率の測定
得られた光化学電池の光電変換効率を英弘精機株式会社製のソーラーシュミレーターを用い、100mW/cm2の擬似太陽光を照射して測定した。

0170

5.色素吸着量の測定
色素・ステロイド系化合物吸着多孔質チタニア電極の色素吸着量を次のようにして測定した。

0171

色素・ステロイド系化合物吸着多孔質チタニア電極を0.01mol/l水酸化ナトリウムのエタノール/水(1:1)溶液に一晩浸漬することにより色素を脱着させた。そして、この脱着液吸収スペクトルを日本分光社製V−570を用いて測定し、その測定結果から1cm2当たりの色素吸着量を算出した。

0172

図1に、ステロイド系化合物の溶液に浸漬する時間が1時間のものの変換効率と色素吸着量の測定結果を示す。図2に、ステロイド系化合物の溶液に浸漬する時間が20時間のものの変換効率と色素吸着量の測定結果を示す。

0173

(実施例2)
<ステロイド系化合物吸着後、色素吸着>
実施例1と同様にして作製した多孔質チタニア電極を用い、次のようにして色素およびステロイド系化合物を吸着した多孔質チタニア電極を作製した。

0174

ケノデオキシコール酸を0.01mol/l含む溶液(溶媒:アセトニトリル)に多孔質チタニア電極を30℃で1時間、もしくは20時間浸漬し、アセトニトリルで洗浄後、乾燥してステロイド系化合物吸着多孔質チタニア電極を得た。次に、二核金属錯体色素(D−4)の飽和色素溶液(溶媒:t−ブタノール/アセトニトリルの1:1混合溶媒)にステロイド系化合物吸着多孔質チタニア電極を30℃で20時間浸漬し、乾燥して色素・ステロイド系化合物吸着多孔質チタニア電極を得た。

0175

そして、この色素・ステロイド系化合物吸着多孔質チタニア電極を用い、実施例1と同様にして光化学電池を作製し、光電変換効率と色素吸着量を測定した。

0176

図1に、ステロイド系化合物の溶液に浸漬する時間が1時間のものの変換効率と色素吸着量の測定結果を示す。図2に、ステロイド系化合物の溶液に浸漬する時間が20時間のものの変換効率と色素吸着量の測定結果を示す。尚、図1および図2には、変換効率と色素吸着量を、比較例1の値を1に規格化して示してある。

0177

(比較例1)
<色素のみ吸着、ステロイド系化合物吸着せず>
ケノデオキシコール酸を含む溶液に色素吸着多孔質チタニア電極を浸漬しなかった以外は実施例1と同様にして、つまり実施例1と同様にして作製した色素吸着多孔質チタニア電極を用いて光化学電池を作製し、光電変換効率と色素吸着量を測定した。

0178

図1および図2に、変換効率と色素吸着量の測定結果を示す。尚、図1および図2には、変換効率と色素吸着量を、比較例1の値を1に規格化して示してある。

0179

図1および図2の結果から分かるように、色素を半導体微粒子に吸着させる前、または後にケノデオキシコール酸を半導体微粒子に吸着させることにより、光電変換効率が高くなり、光化学電池の性能が向上した。

0180

以上のように、本発明によれば、高い光電変換効率を有する光電変換素子、及び光化学電池を得ることができる。

図面の簡単な説明

0181

図1は、ステロイド系化合物の溶液に浸漬する時間が1時間のものの変換効率と色素吸着量の測定結果を示した図である。
図2は、ステロイド系化合物の溶液に浸漬する時間が20時間のものの変換効率と色素吸着量の測定結果を示した図である。
図3は、本発明で作製した光化学電池の構成を示す断面図である。

符号の説明

0182

(1)ガラス
(2)透明導電層
(3)白金層
(4)電解液
(5)色素吸着多孔質酸化物半導体膜(色素・ステロイド系化合物吸着多孔質チタニア電極)

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