図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
エアシリンダや油圧シリンダ,ゴム人工筋などの流体アクチュエータは、他の種類のアクチュエータ、例えば電磁アクチュエータに比較して、出力/重量比が大きいという特長を持つ。
ゴム人工筋は、加圧流体の給排による膨張・収縮を利用したアクチュエータである。このゴム人工筋は、その簡素な構造により、他の流体シリンダと比較しても著しく軽量にすることが可能である。また、ゴム人工筋は、流体シリンダのピストンのような擦動部をもたないため、スティックスリップを起こさない。そのため、ゴム人工筋は、流体シリンダの代わりに用いられる他、ロボット・マニピュレータやリハビリテーション装置、動作補助装具などの用途に好適であると考えられている。
ゴム人工筋としては、流体圧として空気圧を用いるものが、空気圧ゴム人工筋として良く知られている。空気圧ゴム人工筋の原理は、管状弾性体の膨張を、軸方向の収縮に変換するというものである。以下、空気圧ゴム人工筋の従来技術について説明する。
(編組繊維被覆型ゴム人工筋)
編組繊維被覆型としては、マッキベン(McKibben)型人工筋がよく知られており、その原理は例えば特許文献1(米国特許2,844,126号)に示されている。これは管状弾性体と、それを覆う、編組繊維でできた管状被覆体と、管状弾性体と被覆体の両端どうしを固定しながら封止する固定部材とから構成されている。
この技術では、空気圧の供給によって管状弾性体が膨張すると、その外側の管状被覆体も膨張する。すると、管状被覆体の編組構造におけるパンタグラフ機構によって、管状被覆体の膨張が、その軸方向の収縮に変換される。そして、管状被覆体の両端を介して、収縮力を外部に伝達することができる。マッキベン型人工筋については、その基本動作が、特許文献2(特開昭48-24175号)に、理論収縮率が、特許文献3及び4(特開昭50-52872号及び特公昭52-40378号)に、管状被覆体の編目構造の例が、特許文献5(特開2003-301807号)に、弾性体と被覆体の間における摩擦低減の例が、特許文献6(特願2005-504001号)に示されている。
(軸方向繊維強化型ゴム人工筋)
軸方向繊維強化型としては、ワルシャワ型人工筋がよく知られている。これは、管状弾性体と、管状弾性体の軸方向に沿ってこの弾性体に埋め込まれた繊維と、繊維を含む管状弾性体の両端を封止する固定部材とから構成される。この技術では、空気圧を管状弾性体の内部に供給すると、軸方向に強化された管状弾性体は、球状に膨張するとともに軸方向の長さを狭める。したがって、この技術では、封止された両端を介して収縮力を外部に伝達することができる。このタイプのゴム人工筋の例は、特許文献7(特開2001-355608号)に示されている。
(交差繊維強化型ゴム人工筋)
交差繊維強化型のゴム人工筋は、特許文献8(米国特許6,349,746号)に示されている。このゴム人工筋は、管状弾性体と、管状弾性体の軸方向に対して角度を持ってこの弾性体に埋め込まれた交差繊維と、管状弾性体の両端を封止する固定部材から構成される。この技術では、管状弾性体の内部に空気圧が供給されると、管状弾性体が膨張する。すると、管状弾性体に埋め込まれた交差繊維によるパンタグラフ機構が、膨張力を、軸方向の収縮力に変換する。これにより、この技術では、管状弾性体における、封止された両端を介して、収縮力を外部に伝達することができる。
(従来型ゴム人工筋の理論収縮率)
前記した従来のゴム人工筋における、解析的に算出される収縮率について以下に説明する。ここで、収縮率とは、ゴム人工筋の最大伸長時の長さ(図13における長さL1)に対する、能動的な収縮ストローク(図13における長さL2)の長さの割合である。
図13(従来例)は、編組繊維被覆型または交差繊維強化型のゴム人工筋における動作を示している。その最大収縮率は、管状弾性体の膨張力とそれを覆う編組繊維の張力との力学的釣合から
と算出される。
一方、図14(従来例)は、軸方向繊維強化型のゴム人工筋における動作を示している。その最大収縮率は、管状弾性体の内圧とこの弾性体を強化する軸方向繊維の張力の間における力学的釣合から、約54%と算出される。
米国特許2,844,126号公報
特開昭48-24175号公報
特開昭50-52872号公報
特公昭52-40378号公報
特開2003-301807号公報
特願2005-504001号公報
特開2001-355608号公報
米国特許6,349,746号公報
概要
大きな収縮率と、それによる大きなストロークを実現することが可能な、流体アクチュエータを提供する。インナー部材1は、収納空間12の内部における流体の圧力の上昇/下降に従って、インナー部材1の径方向において拡大/縮小する。アウター部材2は、筒状に構成されている。インナー部材1は、アウター部材2の内部に収容されている。アウター部材2は、インナー部材1が径方向に拡大したときに、インナー部材1に押圧されて、アウター部材2自体がその径方向外側に変位する。アウター部材2が径方向外側に変位することによって、アウター部材2における軸方向の長さが縮小する。軸方向におけるインナー部材1の少なくとも一端は、アウター部材2に対して、軸方向において、相対的に変位可能とされている。
目的
したがって、本発明における第1の課題は、大きな収縮率と、それによる大きなストロークを実現することである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
インナー部材とアウター部材とを備えており、前記インナー部材は、その内部に、流体を収納できる収納空間を備えており、かつ、前記インナー部材は、前記収納空間の内部における前記流体の圧力の上昇/下降に従って、少なくとも前記インナー部材の一方向において拡大/縮小する構成となっており、前記アウター部材は、筒状に構成されており、前記インナー部材は、前記アウター部材の内部に収容されており、前記アウター部材は、前記インナー部材が前記一方向に拡大したときに、前記インナー部材に押圧されて、前記アウター部材自体がその径方向外側に変位する構成となっており、かつ、前記アウター部材は、それ自体が径方向外側に変位することによって、前記アウター部材における軸方向の長さが縮小する構成となっており、さらに、前記軸方向における前記インナー部材の少なくとも一端は、前記アウター部材に対して、前記軸方向において、相対的に変位可能とされていることを特徴とする流体アクチュエータ。
請求項2
前記インナー部材は、筒状部を備えており、前記筒状部は、可撓性を有する非弾性材料により構成されており、さらに、前記筒状部の軸方向は、前記アウター部材の軸方向とほぼ一致させられており、前記収納空間は、前記筒状部の内側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体アクチュエータ。
請求項3
さらに柱部材を備えており、前記柱部材は、前記インナー部材の両端を支持することによって、前記インナー部材における前記軸方向の変位を規制する構成となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体アクチュエータ。
請求項4
さらに、前記インナー部材の他端も、前記アウター部材に対して、前記軸方向において、相対的に変位可能とされている請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体アクチュエータ。
請求項5
前記インナー部材の他端は、前記アウター部材に対して、前記軸方向において相対的に変位しないように固定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体アクチュエータ。
請求項6
前記アウター部材は、繊維を用いた編組構造とされている請求項1〜5のいずれか1項に記載の流体アクチュエータ。
請求項7
前記インナー部材は弾性材料により構成されている請求項1に記載の流体アクチュエータ。
請求項8
さらにワイヤー部材を備えており、前記インナー部材は、筒状部と封止具とを備えており、前記筒状部の少なくとも一端の内側には、前記封止具が配置されており、前記筒状部における前記少なくとも一端の外側には、前記ワイヤー部材が、このワイヤー部材自体に張力がかかった状態で巻き付けられており、前記筒状部と前記封止具とは、前記ワイヤー部材における前記張力によって、相互に固定されている請求項1に記載の流体アクチュエータ。
請求項9
さらにワイヤー部材を備えており、前記インナー部材は、筒状部と封止具とを備えており、前記筒状部の他端の内側には、前記封止具が配置されており、前記筒状部における前記他端の外側であって、かつ、前記アウター部材の外側となる位置には、前記ワイヤー部材が、このワイヤー部材自体に張力がかかった状態で巻き付けられており、前記筒状部と前記封止具と前記アウター部材とは、前記ワイヤー部材における前記張力によって、前記インナー部材の他端側において、相互に固定されている請求項1に記載の流体アクチュエータ。
請求項10
請求項11
請求項12
請求項13
技術分野
背景技術
0003
ゴム人工筋は、加圧流体の給排による膨張・収縮を利用したアクチュエータである。このゴム人工筋は、その簡素な構造により、他の流体シリンダと比較しても著しく軽量にすることが可能である。また、ゴム人工筋は、流体シリンダのピストンのような擦動部をもたないため、スティックスリップを起こさない。そのため、ゴム人工筋は、流体シリンダの代わりに用いられる他、ロボット・マニピュレータやリハビリテーション装置、動作補助装具などの用途に好適であると考えられている。
0004
ゴム人工筋としては、流体圧として空気圧を用いるものが、空気圧ゴム人工筋として良く知られている。空気圧ゴム人工筋の原理は、管状弾性体の膨張を、軸方向の収縮に変換するというものである。以下、空気圧ゴム人工筋の従来技術について説明する。
0005
(編組繊維被覆型ゴム人工筋)
編組繊維被覆型としては、マッキベン(McKibben)型人工筋がよく知られており、その原理は例えば特許文献1(米国特許2,844,126号)に示されている。これは管状弾性体と、それを覆う、編組繊維でできた管状被覆体と、管状弾性体と被覆体の両端どうしを固定しながら封止する固定部材とから構成されている。
0006
この技術では、空気圧の供給によって管状弾性体が膨張すると、その外側の管状被覆体も膨張する。すると、管状被覆体の編組構造におけるパンタグラフ機構によって、管状被覆体の膨張が、その軸方向の収縮に変換される。そして、管状被覆体の両端を介して、収縮力を外部に伝達することができる。マッキベン型人工筋については、その基本動作が、特許文献2(特開昭48-24175号)に、理論収縮率が、特許文献3及び4(特開昭50-52872号及び特公昭52-40378号)に、管状被覆体の編目構造の例が、特許文献5(特開2003-301807号)に、弾性体と被覆体の間における摩擦低減の例が、特許文献6(特願2005-504001号)に示されている。
0007
(軸方向繊維強化型ゴム人工筋)
軸方向繊維強化型としては、ワルシャワ型人工筋がよく知られている。これは、管状弾性体と、管状弾性体の軸方向に沿ってこの弾性体に埋め込まれた繊維と、繊維を含む管状弾性体の両端を封止する固定部材とから構成される。この技術では、空気圧を管状弾性体の内部に供給すると、軸方向に強化された管状弾性体は、球状に膨張するとともに軸方向の長さを狭める。したがって、この技術では、封止された両端を介して収縮力を外部に伝達することができる。このタイプのゴム人工筋の例は、特許文献7(特開2001-355608号)に示されている。
0008
(交差繊維強化型ゴム人工筋)
交差繊維強化型のゴム人工筋は、特許文献8(米国特許6,349,746号)に示されている。このゴム人工筋は、管状弾性体と、管状弾性体の軸方向に対して角度を持ってこの弾性体に埋め込まれた交差繊維と、管状弾性体の両端を封止する固定部材から構成される。この技術では、管状弾性体の内部に空気圧が供給されると、管状弾性体が膨張する。すると、管状弾性体に埋め込まれた交差繊維によるパンタグラフ機構が、膨張力を、軸方向の収縮力に変換する。これにより、この技術では、管状弾性体における、封止された両端を介して、収縮力を外部に伝達することができる。
0009
(従来型ゴム人工筋の理論収縮率)
前記した従来のゴム人工筋における、解析的に算出される収縮率について以下に説明する。ここで、収縮率とは、ゴム人工筋の最大伸長時の長さ(図13における長さL1)に対する、能動的な収縮ストローク(図13における長さL2)の長さの割合である。
0011
一方、図14(従来例)は、軸方向繊維強化型のゴム人工筋における動作を示している。その最大収縮率は、管状弾性体の内圧とこの弾性体を強化する軸方向繊維の張力の間における力学的釣合から、約54%と算出される。
米国特許2,844,126号公報
特開昭48-24175号公報
特開昭50-52872号公報
特公昭52-40378号公報
特開2003-301807号公報
特願2005-504001号公報
特開2001-355608号公報
米国特許6,349,746号公報
発明が解決しようとする課題
0012
(第1の課題…収縮率)
前記した通り、従来のゴム人工筋における理論的な収縮率は、編組繊維被覆型および交差繊維強化型において42%、軸方向繊維強化型で54%であった。しかしながら、実際に製作されたゴム人工筋では、管状弾性体の弾性変形や摩擦に伴う損失のため、理論値よりも低い収縮率しか得られない。実際の製品における収縮率は、編組繊維被覆型および交差繊維強化型において、最大で32%程度、軸方向繊維強化型において、最大で41%程度であると考えられる。
0013
したがって、本発明における第1の課題は、大きな収縮率と、それによる大きなストロークを実現することである。
0015
また、編組繊維被覆型の人工筋において知られている問題として、
・繰り返される伸縮動作にともなって、管状弾性体との摩擦により、編組繊維の目が崩れること、
・管状弾性体が膨出した状態では、広がった網目の間から、管状弾性体が突出して、編組繊維への負荷が増える場合があること
・管状弾性体と編組繊維被覆との間の摩擦により、管状弾性体に摩耗を生じる可能性があり、管状弾性体の対摩耗性を高めるために、コストがかかってしまうこと
がある。
0016
管状弾性体と強化繊維を一体化した交差繊維強化型および軸方向繊維強化型の人工筋においては、耐久性が改善されているものの、管状弾性体として、機械的強度が非弾性材料に劣る弾性材料を用いているため、疲労による劣化が避けられない。
0017
すなわち、本発明における第2の課題は、繰り返し動作における耐久性を向上させることである。
0018
(第3の課題…効率)
編組繊維被覆型および交差繊維強化型の人工筋において知られている他の問題は、管状弾性体の摩擦や弾性変形によるエネルギ損失である。これは、ヒステリシス特性の劣化や、低圧動作における収縮率低下の原因となる。
0019
本発明における第3の課題は、摩擦やエネルギ損失を低減することにより、高効率化を図ることである。
0020
(第4の課題…耐圧力)
軸方向繊維強化型の人工筋においては、強化繊維が軸方向のみに配置されているため、伸縮動作中における、管状弾性体と管状被覆体との摩擦や、弾性体の軸方向への弾性変形を抑えることができる。しかしながら、軸方向繊維強化型の人工筋においては、軸方向以外には強化繊維が入っていない。このため、円周方向への力については、弾性体である膜の弾性力によって耐えなければならない。すると、このタイプの人工筋では、耐圧力を高めることが難しいという問題がある。例えば、このタイプにおける実際の耐圧力は、編組繊維被覆型および交差繊維強化型の人工筋に比べて、およそ1/3以下であると考えられる。
0021
すなわち、本発明における第4の課題は、耐圧力を向上させることである。
0022
(第5の課題…出力と体積)
従来型のゴム人工筋では、内圧が加わる管状弾性体の端を封止するとともに、出力端を取り付けるため、管状弾性体とその外側の管状被覆体との端部どうしをまとめて封止している。さらに、出力端を管状被覆体に堅固に取り付けるために、封止手段としては、金属製のボルトナット機構のような、比較的に大型でかつ重量のある機構を用いている。このため、従来のゴム人工筋は、サイズが大きく、さらに重量が重くなりがちであるという不都合がある。
0023
多様な装置への応用を考えると、流体アクチュエータは、占有体積が少なく、かつ、配置しやすい形状であることが望ましい。編組繊維被覆型および交差繊維強化型の人工筋は、最大収縮時の外形状が円筒状である点において、配置しやすいという面を持つが、伸縮においては、長さ方向の変形を生じるため、占有体積の形状は複雑である。一方、軸方向線強化型の人工筋は、最大収縮時の外形状が球状で、その直径は最大伸長時の3倍にもなりうるため、占有体積が大きい。
0024
すなわち、本発明における第5の課題は、省スペースな形状を実現することである。
0025
本発明は、実施態様に応じて、前記した課題のいずれか又は全てに対応するためになされたものである。
課題を解決するための手段
0026
本発明は、下記のいずれかの項目に記載の構成を備えている。
0027
(項目1)
インナー部材とアウター部材とを備えており、
前記インナー部材は、その内部に、流体を収納できる収納空間を備えており、
かつ、前記インナー部材は、前記収納空間の内部における前記流体の圧力の上昇/下降に従って、少なくとも前記インナー部材の一方向において拡大/縮小する構成となっており、
前記アウター部材は、筒状に構成されており、
前記インナー部材は、前記アウター部材の内部に収容されており、
前記アウター部材は、前記インナー部材が前記一方向に拡大したときに、前記インナー部材に押圧されて、前記アウター部材自体がその径方向外側に変位する構成となっており、
かつ、前記アウター部材は、それ自体が径方向外側に変位することによって、前記アウター部材における軸方向の長さが縮小する構成となっており、
さらに、前記軸方向における前記インナー部材の少なくとも一端は、前記アウター部材に対して、前記軸方向において、相対的に変位可能とされている
ことを特徴とする流体アクチュエータ。
0028
この発明では、軸方向におけるインナー部材の少なくとも一端を、アウター部材に対して、軸方向において、相対的に変位可能としている。このため、インナー部材の一端側においては、インナー部材の膨張による、アウター部材への力が、アウター部材の径方向にのみ作用し、軸方向においては実質的に作用しない。
0029
この構成により、この発明では、収縮率を向上させることが可能になる。すなわち、この項目の発明は、前記した第1の課題に対応している。
0030
(項目2)
前記インナー部材は、筒状部を備えており、
前記筒状部は、可撓性を有する非弾性材料により構成されており、
さらに、前記筒状部の軸方向は、前記アウター部材の軸方向とほぼ一致させられており、
前記収納空間は、前記筒状部の内側に形成されている
ことを特徴とする項目1に記載の流体アクチュエータ。
0031
本発明におけるインナー部材は、軸方向に伸縮する必要はないので、筒状部を非弾性材料により構成することが可能である。ただし、本発明のインナー部材は、繰り返しの膨張/収縮が可能である必要があるため、この項目の発明では、筒状部の材質として可撓性材料を採用している。
0032
この項目の発明では、インナー部材の筒状部を、可撓性を有する非弾性材料により構成することによって、インナー部材の耐久性及び耐圧性を向上することが可能になる。
0033
また、この項目の発明では、インナー部材の筒状部を、非弾性材料により構成したので、インナー部材を弾性材料で構成した場合に比較して、エネルギ損失を低く抑えることが可能になる。
0034
すなわち、この項目の発明は、第2〜第4の課題に対応している。
0035
(項目3)
さらに柱部材を備えており、
前記柱部材は、前記インナー部材の両端を支持することによって、前記インナー部材における前記軸方向の変位を規制する構成となっている
ことを特徴とする項目1又は2に記載の流体アクチュエータ。
0036
柱部材を用いているために、この項目の発明では、インナー部材における耐圧性を向上させることが可能になる。すなわち、この項目の発明は、第4の課題に対応している。
0037
(項目4)
さらに、前記インナー部材の他端も、前記アウター部材に対して、前記軸方向において、相対的に変位可能とされている
項目1〜3のいずれか1項に記載の流体アクチュエータ。
0038
この項目の発明においても、インナー部材における膨張力を、アウター部材における収縮力に変換することができる。
0039
(項目5)
前記インナー部材の他端は、前記アウター部材に対して、前記軸方向において相対的に変位しないように固定されている
項目1〜3のいずれか1項に記載の流体アクチュエータ。
0040
この項目の発明においても、インナー部材における膨張力を、アウター部材における収縮力に変換することができる。また、この項目の発明においても、項目1に記載したように、インナー部材の一端側をアウター部材に対して、軸方向に移動可能としているので、前記したとおり、高い収縮率を得ることが可能である。
0041
(項目6)
前記アウター部材は、繊維を用いた編組構造とされている
項目1〜5のいずれか1項に記載の流体アクチュエータ。
0042
編組構造を用いることにより、いわゆるパンタグラフ機構を構成することができる。このパンタグラフ機構を用いて、インナー部材における膨張力を、アウター部材における軸方向の収縮力に変換することができる。ただし、編組構造を用いることは必須ではない。
0043
(項目7)
前記インナー部材は弾性材料により構成されている
項目1に記載の流体アクチュエータ。
0044
(項目8)
さらにワイヤー部材を備えており、
前記インナー部材は、筒状部と封止具とを備えており、
前記筒状部の少なくとも一端の内側には、前記封止具が配置されており、
前記筒状部における前記少なくとも一端の外側には、前記ワイヤー部材が、このワイヤー部材自体に張力がかかった状態で巻き付けられており、
前記筒状部と前記封止具とは、前記ワイヤー部材における前記張力によって、相互に固定されている
項目1に記載の流体アクチュエータ。
0045
この項目の発明では、ワイヤー部材を用いてインナー部材の筒状部を封止しているので、インナー部材の端部における外径を、封止具の外径と同等か、それよりやや大きい程度に抑えることができる。このため、この項目の発明では、省スペースな外径形状を実現することが可能になる。すなわち、この発明は、前記した第5の課題に対応している。
0046
(項目9)
さらにワイヤー部材を備えており、
前記インナー部材は、筒状部と封止具とを備えており、
前記筒状部の他端の内側には、前記封止具が配置されており、
前記筒状部における前記他端の外側であって、かつ、前記アウター部材の外側となる位置には、前記ワイヤー部材が、このワイヤー部材自体に張力がかかった状態で巻き付けられており、
前記筒状部と前記封止具と前記アウター部材とは、前記ワイヤー部材における前記張力によって、前記インナー部材の他端側において、相互に固定されている
項目1に記載の流体アクチュエータ。
0047
この項目の発明では、インナー部材の他端側において、ワイヤー部材を用いて、インナー部材とアウター部材とをまとめて封止しているので、封止箇所におけるアウター部材の外径を、封止具の外径と同等か、それよりやや大きい程度に抑えることができる。このため、この項目の発明では、省スペースな外径形状を実現することが可能になる。すなわち、この発明は、前記した第5の課題に対応している。
0050
(項目11)
前記インナー部材の外面と前記アウター部材の内面との間には、両者の間の摩擦抵抗を低減することが可能な潤滑剤が配置されている
項目1〜10のいずれか1項に記載の流体アクチュエータ。
0051
潤滑剤を配置することにより、インナー部材とアウター部材との間における摩擦抵抗を低減することができ、摩擦に起因するエネルギ損失を低減することが可能になる。すなわち、この項目の発明は、前記した第3の課題に対応している。
0052
(項目12)
前記インナー部材は、前記収納空間の内圧上昇によって膨出する複数の分岐部を備えており、
前記アウター部材は、前記複数の分岐部をそれぞれ覆っている
項目1〜11のいずれか1項に記載の流体アクチュエータ。
0053
インナー部材に複数の分岐部を形成し、それぞれの分岐部をアウター部材で個別に覆う構成とすることにより、一つの流体アクチュエータにおいて、それぞれの分岐部に対応した出力端を得ることができる。例えば、この発明によれば、一つのアクチュエータにおいて、三つ以上の出力端を得ることが可能である。
0054
(項目13)
項目1〜12のいずれか1項に記載の流体アクチュエータと、流体圧供給源とを備えており、
前記流体圧供給源は、前記流体アクチュエータにおける前記インナー部材の内部に流体を供給することによって、前記インナー部材内部における流体圧を上昇させる構成となっている
ことを特徴とする駆動装置。
0055
インナー部材の内部における流体圧を上昇させることにより、アウター部材における収縮力を得ることができる。なお、インナー部材の内圧を下げる手段としては、流体圧供給源によって流体を逆流させる手段、インナー部材にバルブを設けて外部に放出する手段など、適宜な手段を用いることができる。
発明の効果
0056
本発明によれば、大きな収縮率と、それによる大きなストロークを実現することが可能な、流体アクチュエータを提供することができる。
発明を実施するための最良の形態
0058
本実施形態に係る流体アクチュエータは、インナー部材1とアウター部材2とを、基本的な構成要素として備えている。
0059
インナー部材1は、適宜な封止手段によって両端が閉じられた筒状部11を備えている。筒状部11の内部は、流体を収納できる収納空間12となっている(図2参照)。この実施形態では、筒状部11の内部における収納空間12の内部に、適宜な流体圧供給源5によって、流体圧を供給することができるようになっている。流体供給源5は、筒状部11に流体を供給するためのホースあるいは管を備えていることが好ましい。また、筒状部11には、流体供給源5のホースあるいは管を接続するための継ぎ手を備えていることが好ましい。この継ぎ手は、ワンタッチでホースあるいは管の着脱ができる機構であることが好ましい。
0060
筒状部11は、この実施形態では、可撓性を有する非弾性材料により構成されている。非弾性材料としては、例えば、薄膜のフッ素樹脂(PTFE)が、低摩擦でかつ機械的特性が良いために、特に好適である。
0061
また、筒状部11は、この実施形態では、筒状に形成されており、その軸方向は、アウター部材2の軸方向と一致させられている。
0062
インナー部材1は、収納空間12の内部における流体の圧力の上昇/下降に従って、インナー部材1の一方向(この例ではインナー部材の径方向)において拡大/縮小する構成となっている。
0063
この実施形態で使用される流体は、空気となっている。ただし、流体としては、空気に限らず、液体やゲル状材料とすることも可能である。具体的には、例えば、取り扱いが容易な水や、市販ボンベが利用できる二酸化炭素ガスの利用が考えられる。
0064
アウター部材2は、筒状に構成されている。インナー部材1は、アウター部材2の内部に収容されている(図1参照)。
0065
アウター部材2は、インナー部材1がその径方向に拡大したときに、インナー部材1に押圧されて、アウター部材2自体がその径方向外側に変位する構成となっている。かつ、アウター部材2は、それ自体が径方向外側に変位することによって、アウター部材における軸方向の長さが縮小する構成となっている。
0066
さらに、軸方向におけるインナー部材1の一端(図1において左端)は、アウター部材2に対して、その軸方向において、相対的に変位可能とされている。つまり、インナー部材1の一端側は、アウター部材2に対して、非拘束の状態となっている。
0067
具体的には、この実施形態におけるアウター部材2は、繊維を用いた編組構造により構成されている。ここで用いる繊維としては、伸縮率の低いものが、収縮率を上げるという観点から好ましい。編組構造を用いることにより、いわゆるパンタグラフ作用によって、径方向への膨張を収縮力に変換することができる。ただし、編組構造を用いることは必須ではなく、例えば、アウター部材2として、可撓性を有し、かつ、軸方向に伸縮しない材料を用いることも可能である。
0068
また、本実施形態では、インナー部材1の他端(図1において右端)は、アウター部材2に対して、適宜な固定具によって固定されている。また、この固定具は、インナー部材1の端部を封止しているとともに、流体圧供給源5からの流体を受け入れることができるようになっている。
0069
(第1実施形態の動作)
次に、本実施形態に係る流体アクチュエータの動作を、図3を参照しながら説明する。まず、初期状態(図3(a)参照)では、インナー部材1の筒状部11の内部は減圧状態(例えば1気圧あるいはそれ以下)であるとする。
0071
すると、アウター部材2の全長が収縮する。このようにして、この実施形態の流体アクチュエータでは、流体圧を収縮力に変換することができる。したがって、例えば、アウター部材の端部22(図3参照)を出力端とすることにより、収縮力を取り出して、適宜な装置、例えばロボットの動力源として利用することができる。
0072
また、筒状部11の内部における圧力を初期状態に戻すことにより、筒状部11の形状は、初期状態に戻る。その後、流体圧を再び筒状部11に供給することにより、前記と同様の動作が可能である。したがって、この流体アクチュエータは、周期的な収縮動作を行うことができる。
0073
(収縮率の向上)
本実施形態では、インナー部材1の一端を、アウター部材2に対して、軸方向において、相対的に変位可能としている。このため、インナー部材1の一端側においては、インナー部材1の膨張による、アウター部材2への押圧力が、アウター部材2の径方向にのみ作用し、軸方向においては実質的に作用しない。
0074
すなわち、本実施形態では、インナー部材1が径方向に変形したとしても、アウター部材2に対して軸方向の力が加わらない構造となっている。このため、この実施形態では、インナー部材1とアウター部材2との間に起きる、軸方向における力学的な干渉を回避できる。その結果、この実施形態における収縮率は、理論上、100%に近づけることが可能と考えられる。
0075
一方、従来の技術においては、管状弾性体と管状被覆体との端部どうしを固定するか、または、管状弾性体が管状被覆体の内部にすき間無く広がる構造であった。そのため、従来の技術では、管状弾性体と管状被覆体との間における、軸方向の力の釣合が、収縮率を限定していた。
0076
なお、本実施形態におけるインナー部材1の軸方向長さは、動作中のいかなる時点においても、アウター部材2の軸方向長さを超えないことが好ましい。インナー部材1の長さが、アウター部材2の長さを超えると、力学的干渉が生じ、収縮率を悪化させる可能性があるためである。
0077
(高効率化および耐久性の向上)
さらに、本実施形態では、インナー部材1の筒状部11として、可撓性を有する非弾性材料を用いたので、筒状部として弾性材料を用いた場合に比較して、耐久性及び耐圧性の向上を図ることができるという利点がある。
0078
また、従来の技術のように、インナー部材の両端をアウター部材に固定した場合には、筒状部も、アウター部材の伸縮に対応して伸縮する必要があるため、筒状部として非弾性材料を用いることは難しい。これに対して、本実施形態では、前記したように、インナー部材1の一端をアウター部材2に対して移動可能としたので、インナー部材1が軸方向に伸縮する必要はない。このため、この実施形態では、軸方向にはほとんど伸縮せず、径方向にのみ実質的に伸縮する非弾性材料を用いて、インナー部材1の筒状部11を構成することができる。さらには、この実施形態では、筒状部11の変形を径方向に限定することができるので、筒状部11が軸方向にも変形する場合に比較して、変形エネルギを低減することが可能になる。また、筒状部11が軸方向にも変形すると、筒状部11とアウター部材2との摩擦を生じることになるが、この実施形態では、このような摩擦を低減することができるという利点もある。
0079
また、インナー部材として弾性体を用いた場合には、インナー部材が膨出した状態において、アウター部材の網目の間から、インナー部材が突出するおそれがあった。これに対して、この実施形態では、インナー部材として非弾性材料を用いたので、編組繊維を用いたアウター部材への負荷を減らすことができる。
0081
なお、本実施形態において、インナー部材1の外面とアウター部材2の内面との間に、両者の間の摩擦抵抗を低減するための潤滑剤を配置することが可能である。好適な潤滑剤の一例は、特性が安定していて、様々な特性を持たせられるシリコンオイルである。さまざまな物性の潤滑剤(例えばシリコンオイル)を選択することによって、摩擦を低減するばかりでなく、振動的な動きを抑制する機能的な粘性も付加することが可能である。
0082
(第2実施形態)
次に、図4及び図5を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る流体アクチュエータを説明する。なお、この実施形態の説明においては、前記した第1実施形態で説明した流体アクチュエータと共通する要素については、同一符号を用いることで、説明の重複を避ける。
0083
この第2実施形態では、インナー部材1の筒状部11の材質として、非弾性材料に変えて、弾性材料が用いられている。弾性材料としては、例えば、柔軟な天然ゴム、温度変化に強いシリコーンゴム、機械的強度にすぐれたポリウレタンなどが好適であると考えられる。
0084
本実施形態における筒状部11は、断面円形であって、かつ、両端が閉鎖された円柱状に形成されている(図5参照)。また、この実施形態においても、流体圧供給源5によって、筒状部11の内部における流体圧を増減させることができるようになっている。
0085
第2実施形態の流体アクチュエータにおいても、インナー部材1における径方向の膨張を、アウター部材2における軸方向の変位(収縮)に変換することができる。
0086
なお、インナー部材1の筒状部11を弾性材料により構成した場合には、非弾性材料を用いた場合に比較して、耐久性、耐圧性あるいはエネルギ効率が低下する可能性がある。このため、弾性材料を用いて筒状部11を構成する場合には、必要とされる耐久性等の要件に見合った材質が選択される。
0087
ただし、筒状部11として弾性材料を用いた場合であっても、筒状部11における軸方向の変形を制約する構成とすれば、機能的には、非弾性材料を用いた場合に近づけることが可能である。軸方向の変形を制約する方法としては、例えば、弾性材料の内部や表面に、軸方向に延長された繊維を配置し、この繊維の張力を用いて、弾性材料の軸方向変位を制約することが考えられる。
0088
前記以外の他の構成及び利点は、前記した第1実施形態と同様なので、第2実施形態についてのこれ以上詳しい説明は省略する。
0089
(第3実施形態)
次に、図6を参照しながら、本発明の第3実施形態に係る流体アクチュエータを説明する。なお、この実施形態の説明においては、前記した第1実施形態で説明した流体アクチュエータと共通する要素については、同一符号を用いることで、説明の重複を避ける。
0090
この第3実施形態では、第2実施形態と同様に、インナー部材1の筒状部11の材質として、非弾性材料に変えて、弾性材料が用いられている。
0091
また、本実施形態における筒状部11も、第2実施形態と同様に、断面円形であって、かつ、両端が閉鎖された円柱状に形成されている。ただし、この第3実施形態では、第2実施形態と異なり、筒状部11の他端側(図6において右端側)も、一端側(図6における左端側)と同様に、アウター部材2に対して、軸方向に相対移動が可能となっている。具体的には、この実施形態では、筒状部11の他端側は、アウター部材2に対して非拘束となっている。
0092
また、この実施形態においても、流体圧供給源5によって、筒状部11の内部における流体圧を増減させることができるようになっている。
0093
第3実施形態の流体アクチュエータにおいても、インナー部材1における径方向の膨張を、アウター部材2における軸方向の変位(収縮)に変換することができる。
0094
前記以外の他の構成及び利点は、前記した第2実施形態と同様なので、第3実施形態についてのこれ以上詳しい説明は省略する。
0095
(第4実施形態)
次に、図7を参照しながら、本発明の第4実施形態に係る流体アクチュエータを説明する。なお、この実施形態の説明においては、前記した第1実施形態で説明した流体アクチュエータと共通する要素については、同一符号を用いることで、説明の重複を避ける。
0096
この第4実施形態における流体アクチュエータは、柱部材3を備えている(図7参照)。柱部材3は、インナー部材1の筒状部11の両端を支持することによって、インナー部材1における軸方向の変位を規制する構成となっている。より具体的には、筒状部11の両端は、柱部材3の両端に固定されると共に、柱部材3の両端によって封止されている。
0097
さらに、第4実施形態における筒状部11の他端側(図7において右端側)は、第3実施形態の場合と同様に、アウター部材2に対して、軸方向に移動可能とされている。
0098
この実施形態では、インナー部材1に対して、その軸方向の力が外部から作用した場合でも、柱部材3により、軸方向の変形を防ぐことができる。このため、この実施形態では、インナー部材1における耐圧性をさらに向上させることができるという利点がある。
0099
また、第1実施形態の構成において、インナー部材1の内圧が上昇したときは、半径方向の膨張については、アウター部材2が拘束する。しかしながら、インナー部材1の内圧が過大になったり、インナー部材1が経時変化で弱化した場合には、内圧上昇によってインナー部材1が軸方向に伸びる可能性がある。これに対してこの第4実施形態では、柱部材3により、軸方向におけるインナー部材1の変形を防ぐことが可能になる。
0100
前記以外の他の構成及び利点は、前記した第1実施形態と同様なので、第4実施形態についてのこれ以上詳しい説明は省略する。
0101
(第5実施形態)
次に、図8及び図9を参照しながら、本発明の第5実施形態に係る流体アクチュエータを説明する。なお、この実施形態の説明においては、前記した第1実施形態で説明した流体アクチュエータと共通する要素については、同一符号を用いることで、説明の重複を避ける。
0102
この第5実施形態では、インナー部材1の筒状部11の両端を封止するための部材として、封止具13とワイヤー部材4とが用いられている。
0103
封止具13は、筒状部11の両端にそれぞれ配置されている。これらの封止具は、いずれも同様に構成されているので、以下の説明においては、一方の封止具について主に説明する。
0105
ワイヤー部材4は、封止具13の溝13aに対応する位置において、筒状部11の外側から、張力をかけられた状態で周回されている。これにより、この実施形態では、筒状部11と封止具13とが、ワイヤー部材4における張力によって、相互に固定されている。そして、この構成により、筒状部11の収納空間12から外部へ流体が漏れることを防ぐことができる。
0106
ワイヤー部材4を筒状部11に固定する方法の一例を、図9を参照しながら説明する。まず、ワイヤー部材4を筒状部11の周囲に巻き付ける。図示の例では、2周分、ワイヤー部材4を周回させている。ついで、ワイヤー部材4の端部近傍を合わせて、強くねじる(図9参照)。これにより、ワイヤー部材4に対して強い張力を与えることができる。その後、図8に示されるように、ねじられた部分を横に倒す。
0107
この実施形態では、ワイヤー部材4を用いてインナー部材1の筒状部11を封止しているので、インナー部材1の端部における外径を、封止具13の外径と同等か、それよりやや大きい程度に抑えることができる。このため、この実施形態の流体アクチュエータによれば、省スペースな外径形状を実現することが可能になる。
0108
本実施形態では、さらに、封止具13に溝13aを設けているので、流体アクチュエータの外径形状を一層小さく押さえることができる。
0109
なお、この第5実施形態では、インナー部材1の筒状部11の外周からワイヤー部材4を周回させている。しかしながら、インナー部材の他端側においては、アウター部材2の外周から、筒状部11を挟んで、封止具13にワイヤー部材4を周回させることもできる。このようにすれば、筒状部11の封止を行うことができるだけでなく、インナー部材1の他端とアウター部材2とを固定することができる。したがって、流体アクチュエータについての一層の小型化を図りうる。また、この場合であっても、前記したとおり、インナー部材1の一端側をアウター部材2に対して移動可能とすることによって、収縮率の向上を図ることができる。
0110
前記以外の他の構成及び利点は、前記した第1実施形態と同様なので、第5実施形態についてのこれ以上詳しい説明は省略する。
0111
(第6実施形態)
次に、図10及び図11を参照しながら、本発明の第6実施形態に係る流体アクチュエータを説明する。なお、この実施形態の説明においては、前記した第5実施形態で説明した流体アクチュエータと共通する要素については、同一符号を用いることで、説明の重複を避ける。
0112
この第6実施形態では、ワイヤー部材4の側面に、隣接するワイヤー部材4自体の側面とかみ合う凹凸部41が形成されている。
0113
本実施形態では、凹凸部41を設けることにより、隣接して周回されたワイヤー部材4どうしの位置ずれを防止することができ、ワイヤー部材4による固定強度を向上させることができるという利点がある。
0114
また、本実施形態では、凹凸部41を設けたので、ワイヤー部材4をねじり合わせた部分を除去しても、ワイヤー部材4における張力を保持することができる。このため、この実施形態では、アクチュエータの外径を一層コンパクトにすることができる。
0115
(第7実施形態)
次に、図12を参照しながら、本発明の第7実施形態に係る流体アクチュエータを説明する。なお、この実施形態の説明においては、前記した第1実施形態で説明した流体アクチュエータと共通する要素については、同一符号を用いることで、説明の重複を避ける。
0116
本実施形態におけるインナー部材1は、二つの分岐部111及び112を備えている。これらの分岐部111及び112は、収納空間12の内圧上昇によって膨出する構成となっている。より具体的には、分岐部111及び112の内部にも、収納空間12が連続して形成されており、流体圧供給源5から供給された流体によって、内圧が上昇するようになっている。
0118
本実施形態では、インナー部材1に分岐部111及び112を形成し、それぞれの分岐部をアウター部材2で個別に覆う構成とすることにより、一つの流体アクチュエータにおいて、それぞれの分岐部に対応した出力端を得ることができる。例えば、この実施形態では、第1出力端221と第2出力端222を、図12において左側に形成することができる。図12における右端も出力端と見れば、この実施形態では、一つのアクチュエータにおいて、三つ出力端を得ることができる。したがって、この実施形態のアクチュエータでは、上腕二頭筋を模した構成とすることも可能になる。
0119
なお、分岐部の数は、三つ以上でもよい。分岐部の数を増やした場合には、それぞれの分岐部をアウター部材で覆うことによって、分岐部の数に応じた出力端を得ることができる。
0120
前記以外の他の構成及び利点は、前記した第5実施形態と同様なので、第6実施形態についてのこれ以上詳しい説明は省略する。
0121
前記した各実施形態の流体アクチュエータと、流体圧供給源5とにより、流体圧を用いた駆動装置を構成することができる。
0122
なお、前記実施形態及び実施例の記載は単なる一例に過ぎず、本発明に必須の構成を示したものではない。各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、上記に限らない。
図面の簡単な説明
0123
本発明の第1実施形態に係る流体アクチュエータを示す、一部を破断した説明図である。
図1におけるインナー部材の横断面図である。
図1に示される流体アクチュエータの動作を説明するための説明図である。図(a)は、筒状部の収縮状態を示す。図(b)は、筒状部の膨張状態を示す。
本発明の第2実施形態に係る流体アクチュエータを示す、一部を破断した説明図である。
図4におけるインナー部材の横断面図である。
本発明の第3実施形態に係る流体アクチュエータを示す、一部を破断した説明図である。
本発明の第4実施形態に係る流体アクチュエータを示す、一部を破断した説明図である。
本発明の第5実施形態に係る流体アクチュエータを示す、一部を破断した説明図である。
図8の流体アクチュエータについての作製方向を説明するための説明図である。
本発明の第6実施形態に係る流体アクチュエータを示す、一部を破断した説明図である。
図10の流体アクチュエータについての作製方向を説明するための説明図である。
本発明の第7実施形態に係る流体アクチュエータを示す、一部を破断した説明図である。
従来の人工筋の一例を示す説明図である。
従来の人工筋の一例を示す説明図である。
符号の説明
0124
1インナー部材
11 筒状部
111・112分岐部
12収納空間
13封止具
13a 封止具の溝
2アウター部材
21固定具
22出力端
221 第1出力端
222 第2出力端
3柱部材
4ワイヤー部材
41凹凸部
5 流体圧供給源