図面 (/)

技術 高周波電磁誘導装置を用いたヒンダードアミン系光安定剤分析方法

出願人 DIC株式会社
発明者 栗原建二土屋文代
出願日 2008年11月21日 (11年5ヶ月経過) 出願番号 2008-297943
公開日 2010年6月3日 (9年11ヶ月経過) 公開番号 2010-122151
状態 未査定
技術分野 化学的手段による非生物材料の調査、分析 特有な方法による材料の調査、分析
主要キーワード 蒸気圧上昇 高周波電磁誘導加熱装置 高周波電磁誘導加熱 測定用試料管 樹脂キャップ パイロホイル フェノール樹脂製 装置汚染
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年6月3日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題

塩酸ガス等の熱分解ガスを発生させず、且つ樹脂中に含有される可塑剤によって分析機器汚染することのない塩化ビニル樹脂中のヒンダードアミン光安定剤HALS)の定性又は定量分析方法を提供する。

解決手段

高周波電磁誘導装置を用いた、塩ビ樹脂中に含有されるHALSの分析方法であって、塩ビ樹脂と、抽出溶媒(S)とを測定用試料管中に入れ、電磁誘導発熱性金属体で覆い、高周波電磁誘導装置中で電磁誘導発熱性金属体の表面温度が160〜220℃になるように高周波電磁誘導加熱することによりHALSを含む有機成分を抽出する工程(A)を行ない、次いで、抽出溶媒(S)中の有機成分を、メタノール又はエタノールの存在下で270〜360℃になるように高周波電磁誘導加熱することにより、抽出されたHALSを変性する工程(B)を行ない、その後、変性物質分析を行なう塩化ビニル樹脂中に含有されるHALSの分析方法。

概要

背景

高分子量ヒンダードアミン光安定剤HALS)の分析方法としては、熱分解(特許1参照)、TMAH加熱分解法(非特許文献1参照)、アルコール加熱抽出法等(非特許文献2参照)が用いられている。

ところでPEやPP樹脂等にヒンダードアミン系光安定剤が添加される場合があるが、その際には柔軟性を付与するための高沸点化合物であるDOP(ジオクチルフタレート)等の可塑剤を併用しないのが一般的である。一方、塩化ビニルシート等では柔軟性を最優先するため、多量の可塑剤が添加される。特にDOPの含有率は40〜50%に相当する。したがって、塩化ビニルシートに添加されている0.1%程度のHALSをGCMS分析するとき、多量のDOPが機器汚染を引き起こすことが懸念される。又、熱分解法では塩ビ樹脂からの多量の分解した塩酸ガスが発生し、機器を痛める懸念が大きい。更に、アルコール添加熱抽出法等(非特許文献文献2)では加熱時に発生する塩ビ樹脂の熱分解に伴う多量の塩酸ガスの発生により、内圧急上昇し、ガラス管密封しているゴム栓外れ、抽出ができない等の不都合があった。

特開2000−321258号公報
第5回高分子分討論会要旨集、p37(2000年11月) 田口 他
分析化学51,647(2002)原、土屋、東海林

概要

塩酸ガス等の熱分解ガスを発生させず、且つ樹脂中に含有される可塑剤によって分析機器を汚染することのない塩化ビニル樹脂中のヒンダードアミン系光安定剤(HALS)の定性又は定量分析方法を提供する。高周波電磁誘導装置を用いた、塩ビ樹脂中に含有されるHALSの分析方法であって、塩ビ樹脂と、抽出溶媒(S)とを測定用試料管中に入れ、電磁誘導発熱性金属体で覆い、高周波電磁誘導装置中で電磁誘導発熱性金属体の表面温度が160〜220℃になるように高周波電磁誘導加熱することによりHALSを含む有機成分を抽出する工程(A)を行ない、次いで、抽出溶媒(S)中の有機成分を、メタノール又はエタノールの存在下で270〜360℃になるように高周波電磁誘導加熱することにより、抽出されたHALSを変性する工程(B)を行ない、その後、変性物質分析を行なう塩化ビニル樹脂中に含有されるHALSの分析方法。

目的

したがって、本発明の目的は、高周波電磁誘導装置を用いた塩化ビニル樹脂中に含有されるヒンダードアミン系光安定剤の分析方法であって、塩化ビニル樹脂による塩酸ガス等の熱分解ガスを発生させず、且つ塩化ビニル樹脂中に含有される可塑剤によって分析機器を汚染することのないヒンダードアミン系光安定剤の定性又は定量分析方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

高周波加熱コイルを備えた高周波電磁誘導装置を用いた、塩化ビニル樹脂中に含有されるヒンダードアミン光安定剤分析方法であって、ヒンダードアミン系光安定剤を含有する塩化ビニル樹脂サンプルと、該ヒンダードアミン系光安定剤の抽出溶媒(S)とを測定用試料管中に入れ、該測定用試料管を電磁誘導発熱性金属体で覆い、その後、高周波電磁誘導装置内の高周波加熱コイル近傍に装着し、該電磁誘導発熱性金属体をその表面温度が160〜220℃になるように高周波電磁誘導加熱することにより該塩化ビニル樹脂サンプル中からヒンダードアミン系光安定剤を含む有機成分を抽出する工程(A)を行ない、次いで、該塩化ビニル樹脂サンプルとは分離して、該抽出溶媒(S)中に含まれる有機成分を、メタノール又はエタノールの存在下で該電磁誘導発熱性金属体の表面温度が270〜360℃になるように高周波電磁誘導加熱することにより、抽出された該ヒンダードアミン系光安定剤を変性する工程(B)を行ない、その後、該ヒンダードアミン系光安定剤の変性物質分析を行なうことを特徴とする塩化ビニル樹脂中に含有されるヒンダードアミン系光安定剤の分析方法。

請求項2

前記ヒンダードアミン系光安定剤が式(1)(式中、Xは下記式(2)で表される基である。)で表される化合物である請求項1記載のヒンダードアミン系光安定剤の分析方法。

請求項3

前記抽出溶媒(S)が、n−ヘキサンシクロヘキサン、メタノール又はエタノールである請求項1又は2記載のヒンダードアミン系光安定剤の分析方法。

技術分野

0001

本発明は、高周波電磁誘導加熱装置を用いた塩化ビニル樹脂中に含有されるヒンダードアミン光安定剤分析方法に関する。

背景技術

0002

高分子量ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)の分析方法としては、熱分解(特許1参照)、TMAH加熱分解法(非特許文献1参照)、アルコール加熱抽出法等(非特許文献2参照)が用いられている。

0003

ところでPEやPP樹脂等にヒンダードアミン系光安定剤が添加される場合があるが、その際には柔軟性を付与するための高沸点化合物であるDOP(ジオクチルフタレート)等の可塑剤を併用しないのが一般的である。一方、塩化ビニルシート等では柔軟性を最優先するため、多量の可塑剤が添加される。特にDOPの含有率は40〜50%に相当する。したがって、塩化ビニルシートに添加されている0.1%程度のHALSをGCMS分析するとき、多量のDOPが機器汚染を引き起こすことが懸念される。又、熱分解法では塩ビ樹脂からの多量の分解した塩酸ガスが発生し、機器を痛める懸念が大きい。更に、アルコール添加熱抽出法等(非特許文献文献2)では加熱時に発生する塩ビ樹脂の熱分解に伴う多量の塩酸ガスの発生により、内圧急上昇し、ガラス管密封しているゴム栓外れ、抽出ができない等の不都合があった。

0004

特開2000−321258号公報
第5回高分子分討論会要旨集、p37(2000年11月) 田口 他
分析化学51,647(2002)原、土屋、東海林

発明が解決しようとする課題

0005

したがって、本発明の目的は、高周波電磁誘導装置を用いた塩化ビニル樹脂中に含有されるヒンダードアミン系光安定剤の分析方法であって、塩化ビニル樹脂による塩酸ガス等の熱分解ガスを発生させず、且つ塩化ビニル樹脂中に含有される可塑剤によって分析機器を汚染することのないヒンダードアミン系光安定剤の定性又は定量分析方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは種々検討した結果、以下の二工程を順次行なうことにより上記課題を解決できることを見出した。
(1)第一ステップとして、比較的低温で塩化ビニル樹脂中のヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を溶媒抽出することにより、塩酸ガス等の熱分解ガスを発生させずにHALSを抽出する。その際、同時にDOP等の可塑剤が抽出される。
(2)次いで、第二ステップとして、塩化ビニル樹脂と抽出液を分離して、HALS及び同時に抽出された可塑剤をメタノール溶液中高温エステル分解することにより低分子量化合物変性物)とし、その低分子化合物分析する。

0007

塩化ビニル樹脂の可塑剤として頻繁に使用されるDOPは、高温メタノールにより2-エチルヘキサノールフタル酸ジメチル等の低分子の低極性化合物変性し、装置に対する吸着性が低下し、装置汚染を少なくすることが可能となる。一方、HALSも特徴的な低分子量成分に変性されることから、その特徴的成分を測定することにより、定性・定量分析が可能となる。

0008

即ち、本発明は、高周波加熱コイルを備えた高周波電磁誘導装置を用いた、塩化ビニル樹脂中に含有されるヒンダードアミン系光安定剤の分析方法であって、ヒンダードアミン系光安定剤を含有する塩化ビニル樹脂サンプルと、該ヒンダードアミン系光安定剤の抽出溶媒(S)とを測定用試料管中に入れ、該測定用試料管を電磁誘導発熱性金属体で覆い、その後、高周波電磁誘導装置内の高周波加熱コイル近傍に装着し、該電磁誘導発熱性金属体をその表面温度が160〜220℃になるように高周波電磁誘導加熱することにより該塩化ビニル樹脂サンプル中からヒンダードアミン系光安定剤を含む有機成分を抽出する工程(A)を行ない、次いで、該塩化ビニル樹脂サンプルとは分離して、該抽出溶媒(S)中に含まれる有機成分を、メタノール又はエタノールの存在下で該電磁誘導発熱性金属体の表面温度が270〜360℃になるように高周波電磁誘導加熱することにより、抽出された該ヒンダードアミン系光安定剤を変性する工程(B)を行ない、その後、該ヒンダードアミン系光安定剤の変性物質の分析を行なうことを特徴とする塩化ビニル樹脂中に含有されるヒンダードアミン系光安定剤の分析方法を提供するものである。

発明の効果

0009

本発明の方法にかかる手間と時間は従来の方法に比較して極めて単純作業、短時間であり、作業効率が優れている。又、溶液として回収できることから、他の分析機器測定にも有用できるメリットがある。

発明を実施するための最良の形態

0010

本発明で使用する測定用試料管としては、例えば、図1に示す試料セルキットを用いることができる。図1は、試料セル・キットを組み立てたときの概略図であって、1は下端封管したガラスチューブ(A)である。ガラスチューブ(A)の上端は開口部となっており、該開口部は封止部材(B)により密封されている。

0011

封止部材(B)は、2の樹脂パッキン(b1)と、3のポリプロピレン製フィルム(b2)と、4の樹脂キャップ(b3)とからなり、樹脂パッキン(b1)は、樹脂パッキン(b1)中に含有される化学成分を該ガラスチューブ内に抽出させないためのポリプロピレン製フィルム(b2)により包まれる。したがって、3のポリプロピレン製フィルム(b2)は、4の樹脂キャップ(b3)が露出しないように完全に包み込むために必要な十分な大きさを有している。また、ガラスチューブ(A)はポリプロピレン製フィルム(b2)に包まれた樹脂パッキン(b1)により密封され、該樹脂パッキン(b1)は樹脂キャップ(b3)によりガラスチューブの開口部に固定されている。

0012

樹脂キャップ(b3)による固定方法は公知の種々の手段を用いることができるが、樹脂キャップ(b3)の内側と、該樹脂キャップ(b3)が接触するガラスチューブの外壁部分ネジが切られ、そのネジの締め付けにより前記樹脂パッキン(b1)を開口部に圧着するような機構となっていることが好ましい。

0013

試料セル・キットを用いて分析する際には、ガラスチューブ(A)中に分析試料である塩化ビニル樹脂と該試料中からヒンダードアミン系光安定剤を含む有機成分を抽出するための有機溶剤(S)を入れた後に、図1の如く試料セル・キットを組み立て、その後、該試料セルを図1中5で示した電磁誘導発熱性金属体で覆い、これを高周波加熱コイルを備えた高周波電磁誘導装置内に装填して、該電磁誘導発熱性金属体のキューリー温度まで高周波電磁誘導加熱することにより該試料から有機成分を抽出する。

0014

ガラスチューブ(A)の大きさは、長さ3〜20cm、外径3〜12mm(内径2〜10mm)の範囲が好ましい。また形状は円筒形であることが好ましい。もちろん、高周波電磁誘導加熱装置の大きさや能力、試料の使用量などにより異なる大きさとなることもある。

0015

樹脂パッキン(b1)の大きさは、ガラスチューブ(A)の大きさにより種々のサイズのものを使用するが、ガラスチューブ(A)の開口部を覆うのに十分な直径を有する円柱形状のものが好ましい。厚さ(円柱形状の場合の高さに相当する)は、2mm〜5mmであることが好ましい。また、材質シリコンゴムアクリルゴムポリブタジエンゴムブタジエンアクリロニトリルゴムクロロプレンゴムウレタンゴムエチレンプロピレンゴムスチレンブタジエンゴム等、種々のものが使用可能であるが、本発明ではシリコンゴムを使用することが好ましい。シリコンゴムの市販品としては、セプタムゴムを使用することが好ましい。

0016

ポリプロピレン製フィルム(b2)の厚さは、4μm〜10μmであることが好ましく、6μm〜7μmであることがより好ましい。この範囲の厚さであると、樹脂パッキン(b1)の柔軟性が損なわれずガラスチューブの密封性が良好であり好ましい。また、大きさは、樹脂パッキン(b1)を包むのに十分な大きさであれば良い、
樹脂キャップ(b3)としては、ポリエチレンポリプロピレンポリエステルポリウレタンアクリル樹脂、特殊フェノール樹脂等、公知のものを使用することができるが、特殊フェノール樹脂製の樹脂キャップを使用することが好ましい。特殊フェノール樹脂製でガラスチューブを密封すると充填した溶媒の加熱時の損失を極力防ぐ事ができ、効率的な抽出が可能となる。また、特殊フェノール樹脂製キャップ耐熱性にも優れており、溶媒抽出には高すぎる温度でも変形は全く無く、何回でも再使用が可能であり、コストも廉価で良好である。

0017

樹脂パッキン(b1)としてシリコンゴム(セプタムゴム)を使用し、厚さは6μm〜7μmのポリプロピレン製フィルム(b2)を使用し、ポリプロピレン製樹脂キャップ(b3)を組み合わせて使用することが好ましい。このような組み合わせであると、シリコンゴム(セプタムゴム)の柔軟性がポリプロピレン製フィルムとの密着、並びにガラスチューブの開口部との密着のバランス最良となり、溶媒の高温加熱時におこる溶媒蒸気、内部の高圧化にも耐え得る密着を実現できて好ましい。

0018

本発明では、上記の試料セル・キットに限定されず、上部に開口部を有するガラス管も用いることができる。但し、抽出溶媒(S)の沸点以上に加熱する場合や、工程(B)においてはガラス管の開口部を加熱溶融して封管する必要がある。

0019

本発明で使用する電磁誘導発熱性金属体5は、高周波照射を受けて高周波電磁誘導発熱し、しかも試料セルを覆うことのできる金属体であればよく、通常、昇温が早く短時間で安定的に抽出を終了させることができることから、強磁性金属体からなる厚さ0.01〜0.5mm程度の金属箔ホイル)や金属板を適宜選択して用いる。

0020

そのような強磁性金属体としては、強磁性金属を有しており、高周波電磁誘導加熱によりキューリー温度(磁性転移点)まで急速に発熱し、その後は高周波電磁誘導加熱を続けることによりキューリー温度を保持する金属体であって、例えば、ニッケル、鉄、コバルトなどの強磁性金属の1種もしくは2種以上からなる金属体、またはこれらと銅、クロム亜鉛マンガンアルミニウムなどのその他の金属との合金からなる金属体が挙げられる。

0021

これら強磁性金属体のキューリー温度は、金属の種類や配合組成により大きく異なり、例えばニッケルと銅の合金のキューリー温度は150〜200℃程度であるが、ニッケルのキューリー温度は358℃、ニッケルと鉄の合金のキューリー温度は500〜650℃程度、鉄のキューリー温度は770℃と高温である。本発明では、高周波電磁誘導加熱時の高温加熱により試料の分解や試料の蒸気圧上昇による試料セルの破損を防止するため、これら強磁性金属体の中からキューリー温度が50〜400℃、なかでもキューリー温度が100〜350℃の強磁性金属体を適宜選択して用いることが好ましい。

0022

そのような強磁性金属体の市販品としては、例えば、日本分析工業株式会社製のパイロホイルF160、F170、F220、F235、F255、F280、F358(キューリー温度160〜1040℃)などが挙げられる。

0023

ガラスチューブに配する電磁誘導発熱性金属体6の位置は、試料セル・キットを高周波電磁誘導加熱装置にセットした時に高周波の発生位置と電磁誘導発熱性金属体6の位置とが一致するように設定することが好ましい。また、効率的に加熱するために、図1に示したように、試料セル・キットに採取された試料が、電磁誘導発熱性金属体6と隣接するようにセットすることが好ましい。

0024

本発明の分析方法に使用する抽出溶媒(S)は、塩化ビニル樹脂を溶解せず、樹脂中に含まれるヒンダードアミン系光安定剤等を溶解するものを選択する。抽出溶剤(S)としては、例えば、n−ヘキサンシクロヘキサン、メタノール、エタノール、アセトンクロロホルムアセトニトリル等が挙げられる。中でもn−ヘキサン、シクロヘキサン、メタノール、エタノールを使用することが好ましく、特にn−ヘキサン、メタノールが好ましい。溶剤の使用量は、先に推奨した大きさ(長さ3〜20cm、内径2〜10mm)のガラスチューブを用いた場合、0.5〜1.5mlの範囲が好ましいが、この範囲に限定されるものではない。

0025

本発明の分析方法で用いる高周波電磁誘導加熱装置は、高周波の照射により電磁誘導発熱性金属体を高周波電磁誘導加熱できるものであればよく、特に限定されない。また、高周波の照射による高周波電磁誘導加熱時間は、特に限定されないが、通常10〜120分間の範囲が好ましく、60〜120分間の範囲が特に好ましい。

0026

本発明の分析方法により定性又は定量分析可能なHALSとしては、公知の化合物がある。例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシルエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物ポリ〔1,6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕、〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、(ミックスド1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートテトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等である。

0027

本発明の分析方法は、下記式(1)で表されるHALSを定性又は定量分析するのに適している。

0028

(式中、Xは下記式(2)

0029

で表される基である。)

0030

本発明の分析方法は以下の工程順に行なう。
(1)ヒンダードアミン系光安定剤を含有する塩化ビニル樹脂サンプルと、該ヒンダードアミン系光安定剤の抽出溶媒(S)とを測定用試料管中に入れ、該測定用試料管を電磁誘導発熱性金属体で覆い、その後、高周波電磁誘導装置内の高周波加熱コイル近傍に装着し、
該電磁誘導発熱性金属体をその表面温度が160〜220℃になるように高周波電磁誘導加熱することにより該塩化ビニル樹脂サンプル中からヒンダードアミン系光安定剤を含む有機成分を抽出する工程(A)を行ない、
(2)次いで、該塩化ビニル樹脂サンプルとは分離して、該抽出溶媒(S)中に含まれる有機成分を、メタノール又はエタノールの存在下で該電磁誘導発熱性金属体の表面温度が270〜360℃になるように高周波電磁誘導加熱することにより、抽出された該ヒンダードアミン系光安定剤を変性する工程(B)を行ない、
(3)その後、該ヒンダードアミン系光安定剤の変性物質の定性又は定量分析を行なう。

0031

工程(A)において塩化ビニル樹脂中からHALSを抽出する際の温度は、電磁誘導発熱性金属体の表面温度が160〜220℃であるが、160〜200℃であることがより好ましく、160〜180℃であることが特に好ましい。

0032

また、工程(B)のメタノール又はエタノールの存在下において塩化ビニル樹脂中から抽出したHALS及びDOP等の可塑剤をエステル分解する際の温度は、電磁誘導発熱性金属体の表面温度が270〜360℃であるが、280〜340℃であることがより好ましく、300〜340℃であることが特に好ましい。尚、工程(B)で使用する測定用試料管は外径5〜3mm(内径3.5〜2.0)、長さ30〜70mmが適切で、最も好ましいのは外径4mm、長さ50mmである。

0033

なお、工程(B)においては、工程(A)で用いた抽出溶媒(S)がメタノール又はエタノールであれば、塩化ビニル樹脂を測定用試料管中から取り出すだけで、そのまま昇温して工程(B)を行なうことができる。その際に、塩化ビニル樹脂を工程(A)で使用した測定用試料管中から取り出さずに、HALSと可塑剤が溶出した抽出溶媒を他の測定用試料管に移すことにより工程(B)を行なっても良い。更に、工程(A)で用いた抽出溶媒(S)がメタノール又はエタノール以外の場合は、その抽出溶媒(S)を蒸発させて減量してからメタノール又はエタノールを添加して工程(B)を行なっても、蒸発による減量工程を行なわずに工程(A)で使用した抽出溶媒(S)にメタノール又はエタノールを追加して工程(B)を行なっても良い。

0034

工程(B)においては、メタノール又はエタノールによりHALSは変性され低分子化合物に分解される。例えば、上記式(1)の化合物は、下記式(3)、(4)、(5)等の低分子化合物に分解される。

0035

(3):C15H28O6

0036

(4):C12H18O8

0037

(5):C10H21N1O1

0038

また、塩化ビニル樹脂に使用される可塑剤や添加剤としては、DOP、脂肪酸金属塩等があるが、例えば、DOPは2−エチルヘキサノール、フタル酸ジメチル等の低分子化合物に分解される。

0039

このようにしてメタノール又はエタノールにより分解された低分子化合物は、ガスクロマトグラフィー(GC)、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)、高速液体クロマトグラフィーHPLC)、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)などの分析機器を用いた定性分析あるいは定量分析に供される。

0040

以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。

0041

(式(1)で示したHALSのメタノール変性後のGC/MS分析)
式(1)で示したHALS(アデカスタブLA-63)0.5mgとメタノール40μlを外径4mm、内径2mmの測定用試料管中に入れ、該測定用試料管を電磁誘導発熱性金属体で覆い、その後、高周波電磁誘導装置(DIC株式会社製、QUICKER1010)内の高周波加熱コイル近傍に装着して、該電磁誘導発熱性金属体の表面温度が333℃となる条件にて1時間の加熱処理(工程(B)の温度範囲に相当)を行なった。得られた溶液のGC/MS測定トータルイオンクロマトグラム分析(日本電子製GCMS装置k9)を行なった結果を図2に示す。

0042

マススペクトルデータから主な分解物は成分1(式(5)の化合物、m/z=156)、成分2(式(4)の化合物、m/z=198)、成分3(式(3)の化合物、m/z=231)に相当することが分かった。

0043

(実施例1)
本発明の分析方法の優位性を確認するため、含有成分があらかじめ分かっている市販の塩化ビニルシートを用いて以下の実験を行なった。

0044

式(1)で示したHALSを0.15%、DOPを40%、脂肪酸金属塩であるステアリン酸亜鉛を0.8%含有する塩化ビニルシート30mgと、メタノール200μlを図1の形状のガラス製の測定用試料管中に入れ、該測定用試料管を電磁誘導発熱性金属体で覆い、その後、高周波電磁誘導装置(DIC株式会社製、QUICKER1010)内の高周波加熱コイル近傍に装着して、該電磁誘導発熱性金属体の表面温度が170℃となる条件にて、塩化ビニルシート中の有機成分を抽出した(工程(A))。その後、その抽出溶液の一部を別の測定用試料管に移し、上記装置にて高温加熱処理(電磁誘導発熱性金属体の表面温度333℃/1時間(工程(B)))した時に得られた溶液のGC/MS測定のトータルイオンクロマトグラム分析(日本電子製GCMS装置k9)を行なった。

0045

工程(A)においては、塩化ビニルシートの熱分解による塩酸ガス等の発生がなく、また、工程(B)によりDOPがメタノールにより変性されたので、GC/MS測定において分析機器を汚染することもなかった。

0046

結果を図3及び図4に示す。図3は全体図、図4図2で示した式(1)のHALSの低分子量変性物を確認するためのトータルイオン強度の拡大図である。尚、DOPの変性物を細線矢印で示し、変性物の構造も記載した。HALS変性物はピーク強度が極めて小さいため、保持時間相当の位置を太線矢印で示した。図4ではHALSの低分子量変性物を明確に示すために、各変性物のマススペクトルの特徴イオンマスクロマトグラムも示した。

0047

尚、170℃での抽出液(工程(A))のGC/MS測定のトータルイオンクロマトグラムは示さなかったが、図3に示したクロマトグラムから主成分のDOPが変性し、DOPが明らかに減少していることが明確に分る。以上から高沸点成分であるDOPを大幅に減少させることが可能となり、測定機器の汚染を防ぐ事ができる。一方、HALS添加量0.15%でもHALS特有の分解変性物(式(3)〜式(5))が明確に確認できたことから、定性分析は容易に可能であることが分かる。

図面の簡単な説明

0048

本発明の試料セル・キットの一例に固形分析用試料及び溶剤を入れた状態を示す断面図である。
式(1)で示したHALS工業品のみのメタノール加熱処理(333℃/1時間)により得られた溶液のGC/MS測定のトータルイオンクロマトグラムである。
実施例1におけるGC/MS測定のトータルイオンクロマトグラムの全体図である。
図3で示した式(1)のHALSの低分子量変性物を確認するためのトータルイオン強度の拡大図である。

符号の説明

0049

1ガラスチューブ(A)
2樹脂パッキン(b1)
3ポリプロピレン製フィルム(b2)
4樹脂キャップ(b3)
5 電磁誘導発熱性金属体

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社荏原製作所の「 オゾン水の濃度測定装置及び濃度測定方法」が 公開されました。( 2020/02/13)

    【課題】オゾン水のオゾン濃度を測定可能な装置および方法を提供する【解決手段】ヨウ化カリウムが溶解された、所定量のオゾン水を含む第1容器と、第1容器の重さを測定するロードセルと、第1容器内への硫酸の滴下... 詳細

  • 東レ株式会社の「 処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評価方法」が 公開されました。( 2020/02/13)

    【課題】バイオフィルムの形成から、バイオフィルム剥離・回収、バイオフィルム由来成分の定量までの一連の工程における手作業の必要性を低減するのに適した、処理装置の被検水のバイオフィルム形成ポテンシャルの評... 詳細

  • 出光興産株式会社の「 金属材の洗浄度評価方法」が 公開されました。( 2020/02/13)

    【課題】作業現場等でも容易に実施し得るほどに簡易的であるが、洗浄度を適切に評価し得る、金属材の洗浄度評価方法が求められている。【解決手段】下記工程(1)〜(2)を有する、金属材の洗浄度評価方法。・工程... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ