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課題
解決手段
概要
背景
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話からコンピューター用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。この液晶ディスプレイには表示特性向上のために多くの光学フィルムが用いられる。
液晶ディスプレイは光源として偏光特性が制御された光を必要とする。
従来より特定の偏光を得る技術には、例えば、光学部品としてプリズムによる反射と透過により光の偏光成分の分波を利用するBrewsterの法則として知られる方法や、複屈折性を示す方解石を利用して常光屈折と異常光屈折により偏光成分を分波するGlan−Foucault偏光子やGlan−Thomson偏光子などが、またプリズムと複屈折性素子を組合わせて2つの偏光成分を分割して出射できるWollastonプリズムなどのビームスプリッターが知られている。また、光の成分のうち特定の偏光成分だけを吸収しこれと直交する偏光成分を透過させる二色性物質を利用した光吸収型偏光子が液晶ディスプレイなどの偏光板などに利用されており良く知られている。
これら偏光子として、大きな面積にて表示機能を担うディスプレイへの利用を考えた場合、従来のガラス製の偏光子などは大型化と薄型化が難しく、利用できない。そこで、分子の配向した状態において特定偏光の吸収を示す二色性材料としてヨウ素系化合物や有機色素を樹脂フィルム中に分散、配向させた偏光フィルムが利用されている。
しかし、二色性材料を利用する偏光子は、光を入射した際に二色性分子の分子鎖配向に平行な偏光成分を吸収し、これと直交する偏光成分のみを通過させる。即ち、光の表面反射、散乱成分を無視しても概ね50%の偏光成分を利用せずに吸収しており、無駄なエネルギーを消費している。
例えばエネルギー利用効率の観点から見ると、液晶ディスプレイなどへの偏光子の利用において二色性材料を用いる場合は光源のエネルギーを約50%使用せずに捨てていることになり、一定の明るさ、輝度を確保するためには余剰の明るさの光源が必要となってしまう。
そこで、このような二色性の偏光子を利用するディスプレイにおいてはエネルギー損失を少なくする省エネルギー化技術が期待される。
光源の光を有効に活用するためには吸収損失が小さい偏光制御を必要であり、屈折制御型や散乱制御型などの手法が挙げられる。
散乱型偏光子は、光透過する側の偏光と直交する偏光成分は内部で散乱されるために偏光子内部或いはその背面において、光散乱体や拡散体などによって散乱した偏光を非偏光の光に戻して再利用することで利用効率を高めることが可能と考えられる。
例えば、異方性光散乱を利用した偏光制御技術の原理は古く、ヨウ化銀の針状結晶粒子を利用したものに端を発するものとして報告されている(例えば非特許文献1参照)。また、マイカ上に硝酸ナトリウム単結晶を晶析させた板状物を挟みこむ側のガラス板を粗く磨いたものとして一定の空隙を保持して挟み込んだ偏光子が報告されている(例えば非特許文献2参照)。
非特許文献2における偏光子は光学異方性を有しており、ガラス板の屈折率と内部の板状物の常光屈折率が一致する場合に光が通過し、ガラス板の屈折率と内部の板状物の異常光屈折率が一致しない場合に光が内部で反射、散乱してしまうために光が通過しないことを利用する偏光制御法を報告している。
光散乱を利用した偏光の制御技術としては、この他に、複屈折性を示す棒状アラゴナイト系炭酸カルシウムと複屈折性の樹脂からなるフィルム部材を延伸加工してなる方法を報告している(例えば特許文献1参照)。特許文献1の方法においては粒子の屈折率と樹脂の屈折率との整合性を発現させる方向と不整合性を発現させる方向を制御することで、整合した軸方向の偏光成分のみを通過させて不整合軸方向の偏光成分を反射・散乱させて光源側へ戻す方法を報告しているが、粒子の形状特性として棒状でなくともよい旨の記述が明細書中にあり、発現する性能に関する具体的な実施例および粒子と樹脂との屈折率の整合性を得るための施策の記述がない。
その他、樹脂ブレンド系材料のモルホロジーを制御して散乱型偏光制御する方法が報告されている(例えば非特許文献3、4参照)。この非特許文献3、4においてもマトリックスとなる樹脂と分散相を構成する樹脂との屈折率の整合性と不整合性を両立させることで機能を発現することを報告している。また、ブレンドされる物質がコアーシェル型のゴム粒子となる場合のものについて樹脂基材との屈折率の整合性と不整合性を制御する方法について報告している(例えば非特許文献5参照)。
更に、樹脂基材中に針状物質を配列させて基材との屈折率の整合性と不整合性を発現させる方法が報告されている(例えば特許文献2参照)。
樹脂基材に対して複屈折性を示す無機粒子として粒子の長さが10nmから使用する光の波長より小さいサイズ粒子を0.01〜30重量%配合した光学材料の製法について報告されている(例えば特許文献3参照)。特許文献3において、粒子を配合した樹脂組成物が光に対して均一な媒質として作用し、その複屈折性が複屈折性結晶(ここでいう粒子)の複屈折性と樹脂の複屈折性との和と見なせるようにするためには複屈折性結晶の大きさは光の波長よりも小さくなければならないと記載している。
この他、500nm以下の粒子として負の複屈折性を示す炭酸ストロンチウムを配合することで非複屈折性を示す樹脂材料が報告されている(例えば特許文献4参照)。特許文献4において、光学樹脂材料として透明性を保つためには500nm以下の粒子が望まれるとして、500nm以下の粒子の製造法ならびにこれを用いた樹脂の光学特性として、正の複屈折性を有する樹脂に対して負の複屈折性を示す炭酸ストロンチウムを配合する方法として同樹脂の透明性を損なわないように粒子サイズとして500nm以下の平均長さを有し、微量(5重量%以下)配合することで高い透明性を有することができることを示しているが、
粒子の短軸径と長軸径の関係および配合量などとの関係を明確に示して折らず、更に光源の光をより拡散させる特徴および輝度を向上させる作用などについては何ら記載していない。
ここに挙げた非特許文献1〜5と特許文献1〜2はいずれもが基材物質と内部に配置される物質との間で光が透過または散乱する散乱型偏光制御の報告であるが、更に光源の光をより拡散させる特徴および輝度を向上させる作用などについては何ら記載していない。
非特許文献3〜5と特許文献1〜2においては基材物質と内部に配置される光学異方性物質との屈折率差の整合性を操作することによって、偏光成分に応じた光の透過と散乱の異方性を発現させることを提案しているが、特に散乱型偏光制御においてはいずれもその物質間の屈折率差の制御が重要な構成要件になっているが、制御が非常に難しく実用化に至っておらず、また更に光源の光をより拡散させる特徴および輝度を向上させる作用などについては何ら記載していない。
特許文献3と特許文献4は正または負の複屈折性を示す樹脂に対してこれと反対の複屈折性を示す特定のサイズの粒子を配合することで透明性を保持しつつ複屈折を減殺する効果を示しているが、樹脂と粒子を共に同じ正の複屈折性とする場合、或いは共に負の複屈折性とする場合については目的の対象外であって、更に光源の光をより拡散させる特徴および輝度を向上させる作用などについては何ら記載していない。
特開2002−258039号公報
再公表2005−008302号公報
特開2004−109355号公報
特開2004−035347号公報
E.H.Land,J.Opt.Soc.Am.,Vol.41,No.21,957−963(1951)
T.Yamaguti,J.Opt.Soc.Am.,Vol.45,No.10,p891−892(1955)
H.Jagt,C.Bastiaansen etal,Adv.Mater.,Vol.10,No.12,934−937(1998)
T.Koyano,I.Akiba,SEN‘I GAKKAISHI,Vol.60,No.6,179−182(2004)
Y.Dirix etal,J.Appl.Phys.,Vol.83,No.6,2927−2933(1998)
概要
本発明は、偏光した光の選択透過性に優れた光学フィルム用樹脂組成物、詳細には光学特性を利用する機器に対して利用できる偏光散乱型光学部材と同部材を組合わせた光利用機構部品に利用可能な樹脂組成物を提供する。 少なくとも1種類以上の針状または柱状の微粒子であって微粒子の短軸径の平均寸法が1〜70nmであり、長軸径の平均寸法が100〜500nmである微粒子1〜30重量%と透明性高分子70〜99重量%とからなる光学フィルム用樹脂組成物において、ヘーズが10%以上及び輝度向上率が1%以上であることを特徴とする光学フィルム。
目的
本発明の目的は、上述の事実に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、特定の粒子サイズの針状または柱状の粒子と透明性高分子からなり、透明性高分子の光透過性と微粒子の形状およびその配向と配列によって生じる光透過と光散乱の異方性に由来する偏光成分の選択的な透過と散乱によって光拡散効果及び輝度向上効果を有する光学フィルムを提供することにある。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
- レンズ以外の光学要素
- 回折格子、偏光要素、ホログラム光学素子
- 偏光要素
- ナノ構造物
- 高分子物質の処理方法
- 高分子成形体の製造
- 高分子組成物
請求項1
少なくとも1種類以上の針状または柱状の微粒子であって微粒子の短軸径の平均寸法が1〜70nmであり、長軸径の平均寸法が100〜500nmである微粒子1〜30重量%と透明性高分子70〜99重量%とからなる光学フィルム用樹脂組成物において、ヘーズが10%以上及び輝度向上率が1%以上であることを特徴とする光学フィルム。
請求項2
請求項3
針状または柱状の微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸コバルト、炭酸マンガン、ケイ酸カルシウム、塩基性硫酸カルシウム、水酸化酸化アルミニウム、イモゴライト、炭化ケイ素よりなる無機結晶粒子からなる群より選ばれる1種類以上の微粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルム。
請求項4
透明性高分子が、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、ポリフマル酸ジエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、環状ポリオレフィン、マレイミド系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートからなる群より選ばれる1種類以上の透明性高分子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
請求項5
少なくとも1種類以上の針状または柱状の微粒子と透明性高分子からなる光学フィルム用樹脂組成物とを調整するのに際して、予め微粒子を溶剤中において剪断速度500〜50,000sec−1にて分散混合し、透明性高分子と混合攪拌した後に溶媒の除去して行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
請求項6
少なくとも1種類以上の針状または柱状の微粒子と透明性高分子からなる光学フィルム用樹脂組成物を調整する方法として、予め微粒子を溶媒中において分散混合したものと透明性高分子とを更に混合攪拌した後に溶媒の除去して行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム。
請求項7
少なくとも1種類以上の針状または柱状の微粒子と透明性高分子からなる光学フィルム用樹脂組成物を溶媒に溶解させ、溶液キャスティング法により成膜することでフィルム化することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
請求項8
延伸することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルム。
請求項9
請求項10
請求項11
請求項10に記載の光学フィルムよりなることを特徴とする光拡散フィルム。
請求項12
請求項10に記載の光学フィルムよりなることを特徴とする輝度向上フィルム。
技術分野
背景技術
0002
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話からコンピューター用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。この液晶ディスプレイには表示特性向上のために多くの光学フィルムが用いられる。
0003
液晶ディスプレイは光源として偏光特性が制御された光を必要とする。
0004
従来より特定の偏光を得る技術には、例えば、光学部品としてプリズムによる反射と透過により光の偏光成分の分波を利用するBrewsterの法則として知られる方法や、複屈折性を示す方解石を利用して常光屈折と異常光屈折により偏光成分を分波するGlan−Foucault偏光子やGlan−Thomson偏光子などが、またプリズムと複屈折性素子を組合わせて2つの偏光成分を分割して出射できるWollastonプリズムなどのビームスプリッターが知られている。また、光の成分のうち特定の偏光成分だけを吸収しこれと直交する偏光成分を透過させる二色性物質を利用した光吸収型偏光子が液晶ディスプレイなどの偏光板などに利用されており良く知られている。
0005
これら偏光子として、大きな面積にて表示機能を担うディスプレイへの利用を考えた場合、従来のガラス製の偏光子などは大型化と薄型化が難しく、利用できない。そこで、分子の配向した状態において特定偏光の吸収を示す二色性材料としてヨウ素系化合物や有機色素を樹脂フィルム中に分散、配向させた偏光フィルムが利用されている。
0006
しかし、二色性材料を利用する偏光子は、光を入射した際に二色性分子の分子鎖配向に平行な偏光成分を吸収し、これと直交する偏光成分のみを通過させる。即ち、光の表面反射、散乱成分を無視しても概ね50%の偏光成分を利用せずに吸収しており、無駄なエネルギーを消費している。
0007
例えばエネルギー利用効率の観点から見ると、液晶ディスプレイなどへの偏光子の利用において二色性材料を用いる場合は光源のエネルギーを約50%使用せずに捨てていることになり、一定の明るさ、輝度を確保するためには余剰の明るさの光源が必要となってしまう。
0010
散乱型偏光子は、光透過する側の偏光と直交する偏光成分は内部で散乱されるために偏光子内部或いはその背面において、光散乱体や拡散体などによって散乱した偏光を非偏光の光に戻して再利用することで利用効率を高めることが可能と考えられる。
0011
例えば、異方性光散乱を利用した偏光制御技術の原理は古く、ヨウ化銀の針状結晶粒子を利用したものに端を発するものとして報告されている(例えば非特許文献1参照)。また、マイカ上に硝酸ナトリウム単結晶を晶析させた板状物を挟みこむ側のガラス板を粗く磨いたものとして一定の空隙を保持して挟み込んだ偏光子が報告されている(例えば非特許文献2参照)。
0012
非特許文献2における偏光子は光学異方性を有しており、ガラス板の屈折率と内部の板状物の常光屈折率が一致する場合に光が通過し、ガラス板の屈折率と内部の板状物の異常光屈折率が一致しない場合に光が内部で反射、散乱してしまうために光が通過しないことを利用する偏光制御法を報告している。
0013
光散乱を利用した偏光の制御技術としては、この他に、複屈折性を示す棒状アラゴナイト系炭酸カルシウムと複屈折性の樹脂からなるフィルム部材を延伸加工してなる方法を報告している(例えば特許文献1参照)。特許文献1の方法においては粒子の屈折率と樹脂の屈折率との整合性を発現させる方向と不整合性を発現させる方向を制御することで、整合した軸方向の偏光成分のみを通過させて不整合軸方向の偏光成分を反射・散乱させて光源側へ戻す方法を報告しているが、粒子の形状特性として棒状でなくともよい旨の記述が明細書中にあり、発現する性能に関する具体的な実施例および粒子と樹脂との屈折率の整合性を得るための施策の記述がない。
0014
その他、樹脂ブレンド系材料のモルホロジーを制御して散乱型偏光制御する方法が報告されている(例えば非特許文献3、4参照)。この非特許文献3、4においてもマトリックスとなる樹脂と分散相を構成する樹脂との屈折率の整合性と不整合性を両立させることで機能を発現することを報告している。また、ブレンドされる物質がコアーシェル型のゴム粒子となる場合のものについて樹脂基材との屈折率の整合性と不整合性を制御する方法について報告している(例えば非特許文献5参照)。
0016
樹脂基材に対して複屈折性を示す無機粒子として粒子の長さが10nmから使用する光の波長より小さいサイズ粒子を0.01〜30重量%配合した光学材料の製法について報告されている(例えば特許文献3参照)。特許文献3において、粒子を配合した樹脂組成物が光に対して均一な媒質として作用し、その複屈折性が複屈折性結晶(ここでいう粒子)の複屈折性と樹脂の複屈折性との和と見なせるようにするためには複屈折性結晶の大きさは光の波長よりも小さくなければならないと記載している。
0017
この他、500nm以下の粒子として負の複屈折性を示す炭酸ストロンチウムを配合することで非複屈折性を示す樹脂材料が報告されている(例えば特許文献4参照)。特許文献4において、光学樹脂材料として透明性を保つためには500nm以下の粒子が望まれるとして、500nm以下の粒子の製造法ならびにこれを用いた樹脂の光学特性として、正の複屈折性を有する樹脂に対して負の複屈折性を示す炭酸ストロンチウムを配合する方法として同樹脂の透明性を損なわないように粒子サイズとして500nm以下の平均長さを有し、微量(5重量%以下)配合することで高い透明性を有することができることを示しているが、
粒子の短軸径と長軸径の関係および配合量などとの関係を明確に示して折らず、更に光源の光をより拡散させる特徴および輝度を向上させる作用などについては何ら記載していない。
0018
ここに挙げた非特許文献1〜5と特許文献1〜2はいずれもが基材物質と内部に配置される物質との間で光が透過または散乱する散乱型偏光制御の報告であるが、更に光源の光をより拡散させる特徴および輝度を向上させる作用などについては何ら記載していない。
0019
非特許文献3〜5と特許文献1〜2においては基材物質と内部に配置される光学異方性物質との屈折率差の整合性を操作することによって、偏光成分に応じた光の透過と散乱の異方性を発現させることを提案しているが、特に散乱型偏光制御においてはいずれもその物質間の屈折率差の制御が重要な構成要件になっているが、制御が非常に難しく実用化に至っておらず、また更に光源の光をより拡散させる特徴および輝度を向上させる作用などについては何ら記載していない。
0020
特許文献3と特許文献4は正または負の複屈折性を示す樹脂に対してこれと反対の複屈折性を示す特定のサイズの粒子を配合することで透明性を保持しつつ複屈折を減殺する効果を示しているが、樹脂と粒子を共に同じ正の複屈折性とする場合、或いは共に負の複屈折性とする場合については目的の対象外であって、更に光源の光をより拡散させる特徴および輝度を向上させる作用などについては何ら記載していない。
0021
特開2002−258039号公報
再公表2005−008302号公報
特開2004−109355号公報
特開2004−035347号公報
E.H.Land,J.Opt.Soc.Am.,Vol.41,No.21,957−963(1951)
T.Yamaguti,J.Opt.Soc.Am.,Vol.45,No.10,p891−892(1955)
H.Jagt,C.Bastiaansen etal,Adv.Mater.,Vol.10,No.12,934−937(1998)
T.Koyano,I.Akiba,SEN‘I GAKKAISHI,Vol.60,No.6,179−182(2004)
Y.Dirix etal,J.Appl.Phys.,Vol.83,No.6,2927−2933(1998)
発明が解決しようとする課題
0022
本発明の目的は、上述の事実に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、特定の粒子サイズの針状または柱状の粒子と透明性高分子からなり、透明性高分子の光透過性と微粒子の形状およびその配向と配列によって生じる光透過と光散乱の異方性に由来する偏光成分の選択的な透過と散乱によって光拡散効果及び輝度向上効果を有する光学フィルムを提供することにある。
課題を解決するための手段
0023
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の粒子サイズの針状または柱状の微粒子と透明性高分子からなる樹脂組成物が上記の課題を解決することを見出した。
0024
すなわち、本発明は、少なくとも1種類以上の針状または柱状の微粒子であって粒子の短軸径の平均寸法が1〜70nmであり、長軸径の平均寸法が100〜500nmである微粒子1〜30重量%と透明性高分子70〜99重量%からなる光学フィルム用樹脂組成物において、ヘーズが10%以上及び輝度向上率が1%以上であることを特徴とする光学フィルムに関するものである。
0025
以下に、本発明を詳細に説明する。
0026
本発明で用いる針状または柱状の微粒子は、得られる光学フィルムが特に偏光成分を選択的に透過または散乱させる効果がより広い波長範囲において高くなる効果を発現し、液晶ディスプレイなどの偏光制御において光拡散特性及び輝度向上を必要とする装置などにおいて性能向上のために有用に用いることを可能となることから、短軸径の平均寸法が1〜70nmであり、特に1〜60nmが好ましく、長軸径の平均寸法が100〜500nmであり、特に100〜350nmが好ましい。更に粒子の短軸径の平均寸法が1nm未満であると実質的な粒子合成が困難であり、70nmを越えると光学フィルム用樹脂組成物を光学フィルムとした場合に、短軸方向に平行な偏光成分が散乱されてしまう。粒子の長軸径の平均寸法が100nm未満であると長軸方向に平行な偏光成分が透過してしまう。また、粒子の長軸径の方向に平行な偏光成分を拡散させる効果と光源側へ反射させるのに十分な大きさとして長軸径の平均寸法が500nm以下であり、かつ平均粒子径3μm以上の凝集粒子を含まないことが好ましい。長軸径の平均寸法が500nm以下として特に100〜350nm以下の粒子の場合、光散乱能はその大きさに依存し、長軸径が大きいほど光散乱能を有するため、長軸径の方向に平行な偏光成分は光反射作用によって光学フィルム内部または光源側への光反射を生じさせるが、かつ凝集粒子として平均粒度3μm以上を含まない限り光透過率を大きく損なうことがない。
0027
本発明の光学フィルムに好ましい針状または柱状の微粒子において凝集粒子として平均粒子径3μm以上を含まないようにする方法としては如何なる方法を用いても良く、例えば、針状または柱状の微粒子として凝集しにくいものを用いる方法;該微粒子を得るために表面処理を施す方法;該微粒子が溶剤に分散混合した状態において得られるように分散剤処方および攪拌混合条件を最適化する方法;該攪拌混合した後に凝集粒子を沈降除去する方法、遠心除去する方法、ろ過する方法;該微粒子と透明性高分子とを含む溶液をろ過する方法などが挙げられ、その中でも特に微粒子が溶剤に分散混合した状態で攪拌混合した後にろ過する方法が好ましい。
0028
本発明の針状または柱状の微粒子としては、本発明の目的を損なうことなく、本発明において規定した形状と粒子サイズの範囲内のものであれば、如何なるものを用いてもよく、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸コバルト、炭酸マンガン、ケイ酸カルシウム、塩基性硫酸カルシウム、水酸化酸化アルミニウム、イモゴライト、炭化ケイ素等の無機結晶粒子が挙げられ、特に酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸ストロンチウム、炭化ケイ素等が好ましい。これらの針状または柱状の微粒子は1種以上用いることができる。
0029
但し、本発明の目的を損なう恐れのある紫外線領域から可視光域に渡る光吸収などにより発色する粒子は用いることができない。針状または柱状の微粒子は結晶状態に起因した光学的異方性(複屈折)の有無に関わらず、本発明の目的と効果を発現することができれば上述したもの以外の種類の微粒子も用いることができる。
0030
本発明の透明性高分子としては本発明の効果を損なわないものであれば如何なるものでもよく、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体、ポリフマル酸ジエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、環状ポリオレフィン、N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体等のマレイミド系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられ、特にポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、環状ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、マレイミド系重合体等が好ましい。また、本発明の透明性高分子としてその複屈折の有無、複屈折の正負ならびにその大きさを問うことなく用いることができる。
0031
また、針状または柱状の微粒子と透明性高分子の組合せとしてそれぞれが複屈折を有するものである場合、それぞれを組合わせた結果として複屈折の相殺などを考慮することなく自由に組合せて利用することができ、例えば、酸化チタンなどの正の複屈折性を示す粒子とポリカーボネートや環状ポリオレフィンなどの正の複屈折性を示す樹脂を組合せて用いることができる。また、酸化亜鉛などの複屈折を示さな粒子とポリカーボネートや環状ポリオレフィンを組合わせることや、炭酸ストロンチウムなどの負の複屈折性を示す粒子とポリカーボネートや環状ポリオレフィンを組合わせること、或いはこれらとは逆にポリスチレンやポリメチルメタクリレートなどの負の複屈折性を示す樹脂に正または負の複屈折性を示す粒子更には複屈折性を示さない粒子を組み合わせることができる。
0032
本発明の光学フィルムにおける少なくとも1種類以上の針状または柱状の微粒子と透明性高分子の配合割合は、少なくとも1種類以上の針状または柱状の微粒子1〜30重量%、透明性高分子70〜99重量%であり、好ましくは針状または柱状の微粒子5〜30重量%、透明性高分子70〜95重量%、特に好ましくは針状または柱状の微粒子10〜30重量%、透明性高分子70〜90重量%である。針状または柱状の微粒子が1重量%未満である場合、光学フィルムとして偏光した光の透過と散乱を生じさせるのに不十分であり、30重量%を超える場合には、フィルム加工性が劣る。
0033
針状または柱状の微粒子と透明性高分子を混合する光学フィルム用樹脂組成物の製造方法としては、特に制限はなく、例えば予め針状または柱状の微粒子を溶媒中において分散混合したものと透明性高分子とを更に混合攪拌した後に溶媒の除去して行う方法が挙げられる。
0034
微粒子を溶媒中にて分散混合する際に用いる溶媒として、特に制限はなく、微粒子及び次ぎの操作の混合攪拌に混合する透明性高分子に親和性を示すものであればよく、例えば塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトン、N−メチルピロリドン、酢酸エチルエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル等が挙げられる。また、針状または柱状の微粒子と透明性高分子の一方あるいは両方が親和性の乏しくなるような貧溶剤を前記溶媒と共に併用してもよい。
0035
また分散混合する際、個々の微粒子が安定に孤立して均一に溶媒中に分散した状態にあることが好ましく、高い剪断速度において分散混合を行うことが好ましく、特に剪断速度が500〜50,000sec−1で行うことが好ましく、特に1,000〜25,000sec−1で行うことが好ましい。
0036
分散混合する装置としては、剪断下にて分散混合することができる装置であれば如何なるものでもよく、既知の攪拌混合装置を用いることができ、具体的な攪拌混合装置としては、例えばディスク型攪拌混合装置、円筒ローター型攪拌混合装置、ホモジナイザーなどが挙げられる。
0037
微粒子を溶媒中において分散混合したものと透明性高分子とを混合攪拌する際には、針状または柱状の微粒子は透明性高分子中にあって個々に孤立して均一に分散させた状態にあることが好ましく、高い剪断速度において分散混合を行うことが好ましい。また、混合攪拌する際の装置としては、針状または柱状の微粒子を分散混合した際に用いた同じ装置を用いることができる。
0038
また、針状または柱状の微粒子を溶媒中へ分散混合の際、及び同微粒子を分散した溶媒と透明性高分子とを分散混合する場合、より均一な分散性を可能とするために粒子の表面処理剤および分散剤として既知のものを用いても良い。例えば、針状または柱状の微粒子の表面を予め表面処理剤などで処理したものを用いる方法、針状または柱状の微粒子を溶媒中に分散混合する際に分散剤を配合する方法、また、更に微粒子を透明性高分子と分散混合する際に表面処理剤或いは分散剤を配合する方法があり、いかなる方法で行っても良い。
0039
針状または柱状の微粒子の表面処理剤または分散剤としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば如何なるものでも用いることができ、例えば脂肪酸塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、酸性海面活性剤、塩基性界面活性剤、塩型界面活性剤などが挙げられ、さらにこれらの分子量を操作した高分子型界面活性剤などが利用できる。酸型界面活性剤としては、例えばリン酸エステル、脂肪酸エステル、スルホン酸エステルおよびこれらの誘導体などが挙げられる。また、塩基性界面活性剤としては、例えばアルキルアミン型の誘導体などが挙げられる。塩型界面活性剤としては、例えば酸型と塩基型の両者が混在するような塩型のものと酸と塩基が中和されたタイプのものが挙げられる。粒子の表面エネルギー、官能基および比表面積などの知見に応じて適宜表面処理して用いてよく、本発明の目的と効果を損なわない範囲で如何なる表面処理を施しても良い。
0040
上記のようにして針状また柱状の微粒子と透明性高分子を溶液中に均一に分散させたものから溶媒を除去することにより光学フィルム用樹脂組成物を得ることができる。
0041
本発明の光学フィルムに用いる光学フィルム用樹脂組成物は、その熱安定性を高めるために酸化防止剤などを配合してもよい。該酸化防止剤としては、公知のものを用いることができ、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、その他の酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独または併用して用いてもよく、相乗的に酸化防止作用が向上することからヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用することが好ましい。
0042
本発明の光学フィルムに用いる光学フィルム用樹脂組成物は、フィルムの熱着色および光劣化抑制のために光安定剤を配合しても良い。光安定剤として公知のものを用いることができ、例えばヒンダードアミン系光安定剤などがあり、熱着色および光安定化に優れるものとして分子量1,000以上のものが好ましい。
0043
更に、本発明の光学フィルムに用いる光学フィルム用樹脂組成物は、フィルムの紫外線劣化を抑制するために紫外線安定剤を配合してもよい。紫外線安定剤としては公知のものを用いることができ、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を用いることができる。
0044
本発明の光学フィルムにおけるフィルム製造方法としては、特に制限はなく、例えば針状または柱状の微粒子と透明性高分子とを分散混合した溶液(ドープ)を溶液キャスティング法により直接、成膜して、溶媒を除去し、フィルムを製造する方法;ドープを乾燥固化させた後、粉砕し、これを加熱溶融押出し装置を用いてペレットを作成し、これに続くTダイ押出し成形によってフィルムを製造する方法;等が挙げられる。
0045
なお、ドープの製造は、例えば針状または柱状の微粒子と透明性高分子と混合攪拌した後に溶媒を除去して得た光学フィルム用樹脂組成物を再度、微粒子を分散した溶媒に分散し製造する方法;針状または柱状の微粒子と溶媒中に分散混合した後、透明性高分子を混合攪拌したものをそのまま用いる方法;等が挙げられる。
0046
溶液キャスティング法によりフィルムを作成する場合には、例えばドープを支持基板上に流延した後に、加熱などにより溶媒を除去しフィルムを得る方法を挙げることができる。ドープを流延する方法としては、これによりフィルム化を可能とする方法であれば如何なる方法でもよく、例えばTダイ法、ドクターブレード法、バーコーター法、ロールコーター法、リップコーター法などが挙げられる。用いる支持基板としては、フィルム化した際のフィルム表面平滑性、光学的均一性を可能とするものであれば如何なるものでもよく、例えばガラス基板、金属基板、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムなどを用いることができる。
0047
本発明の光学フィルムは、より偏光した光の選択透過性に優れた光学フィルムとなることから、延伸することが好ましい。該延伸を行うことにより、針状または柱状の微粒子を特定方向へ配向させることができる。該配向によって短軸径に平行な偏光成分は光学フィルム面外方向へ透過され、長軸径に平行な偏光成分は光学フィルム内部及び光源側へ反射散乱することにより光拡散作用を示す。またこの際に光透過率が増えることから輝度向上作用を示す。特に該配向効果が大きいほどその光拡散作用並びに輝度向上作用が大きくなることから好ましい。
0048
該延伸方法としては、特に制限はなく、例えば射出成形法、押出し成形法、ブロー成形法、圧空成形法、力学的延伸加工法等の剪断応力場において配向させる方法;電場或いは磁場を印加して配向させる方法等を挙げることができ、その中でも剪断応力場において配向させる方法が好ましく、特に力学的延伸加工法、押出し成形法が好ましい。
0050
以下に延伸加工方法の一例を紹介する。フィルムの一軸延伸方法としては、例えばテンターにより延伸する方法、カレンダーにより圧延して延伸する方法、ロール間で延伸する方法などが挙げられる。また、一軸延伸を可能とする実験用の小型延伸装置を用いることもできる。
0051
延伸する際の加工条件としては、透明性高分子のガラス転移温度(Tg)+10℃〜Tg+40℃にて延伸配向させることが好ましく、特にTg+10℃〜Tg+30℃で配向させることが好ましい。延伸倍率は延伸方向長さとして原寸法を上回るサイズであれば良く、1.1倍以上であることが好ましく、更に高倍率延伸であることが好ましい。
0052
本発明の光学フィルムは上述したような方法によって得ることができ、またその機能は光学的特性として評価できる。
0053
従来の二色性材料を用いた偏光子では一方の偏光を通過させ、もう一方の偏光を吸収する(図1)。
0054
本発明によれば、該光学フィルム中の針状または柱状の微粒子を配向させたものに対して、等方性の光(即ち非偏光)が入射した場合、針状または柱状の微粒子の短軸径に相当する方向に平行な全ての偏光成分は光学フィルムを透過するのに対して、長軸径に相当する方向に平行な全ての偏光成分は光学フィルム内部へ反射、散乱することでフィルムの濁度が上がることで光拡散作用を示すようになる。この光拡散作用はフィルムのヘーズ値の測定並びにこのときの輝度を評価することで確認することができる。
0055
また、この光拡散作用を生じた際に、光学フィルム内部及び光源側への反射・散乱光を反射板などを用いて再び光学フィルムへ出射させた場合には該光学フィルムを通過する光量が増加するような輝度向上効果を発現する。この輝度向上効果は光学フィルム通過後の偏光成分の輝度を測定することで確認することができる。
0056
この原理を図2において説明する。
a)光源からの光が光学フィルムへ入射される。
b)該光学フィルムにおいて、針状または柱状の微粒子の短軸径と平行な偏光成分が該光学フィルムを通過する。
c)該光学フィルムにおいて、針状または柱状の微粒子の長軸径と平行な偏光成分は反射、散乱させられることにより該光学フィルム内における散乱及び光源側へ戻される。
d)光源側へ戻された光は反射板などにより再び該光学フィルム(以下、光リサイクルという。)へ入射される。光リサイクルされた成分は再びb)工程により光学フィルムを通過する成分と工程c)及び本工程d)により光リサイクルされて光学フィルムから出射する透過光量を増すことができる。
0057
本発明の光学フィルムは、優れた光拡散効果を有した光学フィルムとなることから、ヘーズが10%以上であり、好ましくは10〜70%であり、特に好ましくは10〜50%である。また、輝度向上率が1%以上である。
0058
本発明の光学フィルムは、偏光子または保護層を有する偏光板と積層して用いることができる。また、導光板および偏光板とを組合せて積層した部材として用いることができる。
0059
さらに、本発明の光学フィルムに偏光子または保護層を有する偏光板と積層された光学フィルムは、光拡散フィルムおよび輝度向上フィルムとして用いることができる。特に偏光板と光源の間に該光学フィルムを設置することで、光源の光利用効率を高めることができる。
発明の効果
0060
特定の粒子サイズの針状または柱状の微粒子と透明性高分子からなる光学フィルムであって、該光学フィルム中において針状または柱状の微粒子が配向した状態を形成したものに対して光源から光を入射させた場合、該粒子の短軸径の方向に平行な全ての偏光成分は光学フィルムを通過し、一方、該粒子の長軸径の方向に平行な全ての偏光成分は光学フィルム内にて反射、散乱することで、光拡散作用を示し、また光源側へ反射して戻された光を光リサイクルすることで光学フィルムによる短軸径の方向の偏光成分量を増やすことができるため輝度向上作用を示すことから、液晶ディスプレイなどの拡散フィルムとして均一明るさの面光源の形成、省エネルギー化対策及び高輝度化に有用である。
0061
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
0062
以下、実施例の評価・測定に用いた方法を示す。
0063
〜凝集粒子サイズとその測定〜
粒度分布計(日機装製、商品名マイクロトラックMT3000)を用いて、分散混合した後の微粒子スラリー溶液を更に透明性高分子と分散混合した後の溶液の粒度分布により平均粒子サイズを測定して、3μm以上の凝集粒子の有無及び含有量を測定した。
0065
〜数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、ジメチルホルムアミドを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
0067
〜全光線透過率の測定方法〜
JIS K7361−1(1997年)に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業社製、商品名NDH5000)を用い、測定した。
0068
〜輝度評価による輝度向上効果の測定〜
サイズ50×50mmの透明導光板に対して側面の4方向に各8個の白色LEDを有する平面光源を用い、光源の背面に光反射板を設置し、白色LED光源の光出射側の表面に該光学フィルムを固定し、更にこの上に二色性偏光フィルムを、光学フィルム中の該粒子の長軸径の配向方向と偏光フィルムの吸収軸とが一致するように積層して、京立電機製の輝度計(製品名:BM−3000)を用いてを出射光の輝度をすることで輝度向上効果を判定した。
0069
尚判定には下記式(1)を用いた。式(1)中、Lu1は本発明の光学フィルムと偏光フィルムにおける輝度、Lu2は本発明の光学フィルムを用いず偏光フィルムのみを通過した場合の輝度を示す。
0071
合成例1(N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の製造例)
1リッターオートクレーブ中に溶媒としてトルエン400ml、重合開始剤としてパーブチルネオデカノエート0.001モル、N−フェニルマレイミド0.42モル、イソブテン0.67モルとを仕込み、重合温度60℃、重合時間5時間の重合条件にて重合反応を行い、N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体(重量平均分子量(Mw)=220,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で示される分子量分布(Mw/Mn)=2.6)を得た。ガラス転移温度(Tg)は188℃であった。
0072
実施例1
針状または柱状の炭酸ストロンチウム粒子(粒子重量あたり10重量%のアシドホスホキシエチルメタクリレートにて処理したもの、平均粒子径としてそれぞれ短軸径の平均寸法50nm、長軸径の平均寸法300μm、平均屈折率1.67、長軸方向の屈折率1.52)12重量%を含有する塩化メチレンスラリー溶液をφ50mmラボ円筒ロータ型攪拌混合装置を用いて剪断速度20,000sec−1にて5min.分散・混合させた後、3μmフィルターにより同スラリー溶液をろ過し、透明性高分子としてポリカーボネート(帝人化成製、商品名パンライト、Tg=141℃、平均屈折率1.55)を配合し、溶液中の炭酸ストロンチウム粒子とポリカーボネートとの組成比が7重量%:93重量%となり、かつ溶液中の不揮発性成分の濃度が27重量%となるように調整してφ30mm小型ホモジナイザーを用いて3,000rpmにて60min.溶解・混合した。この溶液を支持基板としてポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム上に製膜して、一昼夜静置した後に、160℃にて乾燥しフィルム状の光学フィルム用樹脂組成物を得た。得られたフィルムのTgは160℃であった。
0073
次に、得られたフィルムを二軸延伸装置(井元製作所製、型式16A1)を用いて自由幅一軸延伸モードにおいて、175℃にて2.0倍に延伸して光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの外観は良好であった。この光学フィルムの全光線透過率は91%、ヘーズ値は20%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0074
また、この輝度向上率は+2%であった。
0075
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0076
実施例2
実施例1において光学フィルム中に含まれる針状または柱状の炭酸ストロンチウム粒子とポリカーボネート樹脂との組成比が12重量%:88重量%となるように調整した以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。
0077
得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られた光学フィルムのTgは165℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は90%、ヘーズ値は27%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0078
また、この輝度向上率は+3%であった。
0079
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0080
実施例3
実施例1において光学フィルム中に含まれる針状または柱状の炭酸ストロンチウム粒子とポリカーボネート樹脂との組成比が25重量%:75重量%となるように調整した以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。
0081
得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られた光学フィルムのTgは170℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は90%、ヘーズ値は48%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0082
また、この輝度向上率は+2.2%であった。
0083
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0084
実施例4
実施例1において光学フィルム中に含まれる針状または柱状の微粒子として炭酸ストロンチウム粒子の長軸径の平均寸法が260nmであること以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。
0085
得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られた光学フィルムのTgは152℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は91%、ヘーズ値は36%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0086
また、この輝度向上率は+1.1%であった。
0087
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0088
実施例5
実施例1において光学フィルム中に含まれる針状または柱状の微粒子として炭酸ストロンチウム粒子の代わりに酸化亜鉛粒子(粒子重量あたり10重量%のアシドホスホキシエチルメタクリレートにて処理したもの、短軸径の平均寸法40nm、長軸径の平均寸法300nm、平均屈折率1.95)を用いて、溶液中の酸化亜鉛とポリカーボネートとの組成比が2重量%:98重量%となるように調整した以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。
0089
得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られた光学フィルムのTgは152℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は91%、ヘーズ値は38%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0090
また、この輝度向上率は+1.2%であった。
0091
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0092
実施例6
実施例1において光学フィルム中の透明性高分子としてポリカーボネート樹脂の代わりにポリアリレート(ユニチカ製、商品名UポリマーP−3001、Tg=160℃)を用いて溶液中の酸化亜鉛とポリアリレートとの組成比が10重量%:90重量%とし、フィルム延伸配向させる温度を185℃とした以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。
0093
得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られたフィルムのTgは177℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は90%、ヘーズ値は22%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0094
また、この輝度向上率は+1.8%であった。
0095
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0096
実施例7
実施例1のポリカーボネートの代わりにポリスチレン(東ソー製、標準ポリスチレン、Tg=100℃)を用いて溶液中の炭酸ストロンチウムとポリスチレンとの組成比が20重量%:80重量%とした以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。
0097
得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られたフィルムのTgは120℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は90%、ヘーズ値は30%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0098
また、この輝度向上率は+1.8%であった。
0099
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0100
実施例8
実施例1においてフィルムを延伸配向させる倍率を2.0倍から1.5倍へ変更した以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。
0101
得られた光学フィルムの外観は良好であった。この光学フィルムの全光線透過率は92%、ヘーズ値は17%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0102
また、この輝度向上率は+1.2%であった。
0103
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0104
実施例9
実施例1における透明性高分子としてポリカーボネート樹脂の代わりに環状ポリオレフィン樹脂(JSR製、商品名アートンF4520、Tg=164℃、屈折率1.51)を用いて、フィルムの延伸配向温度を180℃とした以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。製膜前段階でのこの原料溶液中に3μm以上の凝集粒子はなかった。
0105
得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られた光学フィルムのTgは183℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は92%、ヘーズ値は20%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0106
また、この輝度向上率は+2.2%であった。
0107
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0108
実施例10
実施例1において光学フィルム中に含まれる針状または柱状の微粒子として炭酸ストロンチウム粒子の代わりに酸化チタン粒子(粒子重量あたり10重量%のアシドホスホキシエチルメタクリレートにて処理したもの、短軸径の平均寸法30nm、長軸径の平均寸法400nm、平均屈折率2.71)を用いて、溶液中の酸化チタンとポリカーボネートとの組成比が2重量%:98重量%となるように調整した以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。
0109
得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られた光学フィルムのTgは155℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は91%、ヘーズ値は43%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0110
また、この輝度向上率は+1.5%であった。
0111
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0112
実施例11
実施例1における透明性高分子としてポリカーボネート樹脂の代わりにポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン製、商品名アクリペットV001、Tg=100℃、屈折率1.49)を用いた以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られた光学フィルムのTgは115℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は92%、ヘーズ値は20%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0113
また、この輝度向上率は+2.3%であった。
0114
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0115
実施例12
実施例1における透明性高分子としてポリカーボネート樹脂の代わりに合成例1のN−フェニルマレイミドイソブテン共重合体を用いた以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られた光学フィルムのTgは205℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は92%、ヘーズ値は27%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0116
また、この輝度向上率は+1.0%であった。
0117
よって、得られた光学フィルムは、ヘーズ値及び輝度向上率が大きく光拡散効果と輝度向上効果に優れたものであったことから、光拡散フィルム、輝度向上フィルムに好適に用いることができる。
0118
比較例1
実施例1において光学フィルム中に含まれる針状または柱状の炭酸ストロンチウム粒子とポリカーボネート樹脂との組成比が0.2重量%:99.8重量%となるように調整した以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。
0119
得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られた光学フィルムのTgは143℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は92%、ヘーズ値は0.7%であり、非常に低ヘーズであり透明度が高いために光拡散効果はなく、個々のLED光源を識別できるため光源としては不均一な面内輝度分布になっていた。
0120
また、この輝度向上率は+0.0%であった。
0121
よって、得られた光学フィルムは、微粒子の配合割合が少なく光拡散効果及び輝度向上効果はなかった。
0122
比較例2
実施例1において光学フィルム中に含まれる針状または柱状の炭酸ストロンチウム粒子とポリカーボネート樹脂との組成比が35重量%:65重量%となるように調整してフィルムを作成した。得られたフィルムのTgは178℃であった。微粒子の配合割合が多くフィルムの延伸配向を行ったが非常に脆く、いずれの温度においても延伸することができないため光学フィルムを得ることができなかった。
0123
比較例3
実施例1において光学フィルム中に含まれる針状または柱状の炭酸ストロンチウム粒子として粒子重量あたり10重量%のアシドホスホキシエチルメタクリレートにて処理したものであり、平均粒子径としてそれぞれ短軸径の平均寸法150nm、長軸径の平均寸法350μmであること以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られた光学フィルムのTgは143℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は92%、ヘーズ値は42%であり、平面LED全体が均一に明るく、個々のLED光源を識別できない程度の光拡散効果を確認した。
0124
しかし、このフィルムの輝度向上率は+0.0%であった。
0125
よって、得られた光学フィルムは、微粒子の短軸径の平均寸法が大きく輝度向上効果はなかった。
0126
比較例4
実施例1において光学フィルム中に含まれる針状または柱状の炭酸ストロンチウム粒子として粒子重量あたり10重量%のアシドホスホキシエチルメタクリレートにて処理したものであり、平均粒子径としてそれぞれ短軸径の平均寸法40nm、長軸径の平均寸法70μmであること以外は実施例1と同様の操作を実施して光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの外観は良好であった。得られた光学フィルムのTgは143℃であった。この光学フィルムの全光線透過率は92%、ヘーズ値は0.3%であり、非常に低ヘーズであり透明度が高いために光拡散効果はなく、個々のLED光源を識別できるため光源としては不均一な面内輝度分布になっていた。
0127
また、この輝度向上率は+0.0%であった。
0128
よって、得られた光学フィルムは、微粒子の長軸径の平均寸法が小さく光拡散効果及び輝度向上効果はなかった。
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