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技術 浮動ブッシュ軸受式の軸受装置及びこれを備える内燃機関の過給機

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 住範彦
出願日 2008年11月11日 (11年4ヶ月経過) 出願番号 2008-288927
公開日 2010年5月27日 (9年9ヶ月経過) 公開番号 2010-116944
状態 特許登録済
技術分野 過給機 すべり軸受
主要キーワード 接触断 変動グラフ 基準溝 オイルホイップ オイルホワール 中間通路 両ブッシュ 油膜厚
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

自励振動に起因する回転軸不安定振動を十分に抑制することのできる浮動ブッシュ軸受式軸受装置及びこれを備える内燃機関過給機を提供する。

解決手段

この浮動ブッシュ軸受式の軸受装置4は、流体が供給される第1油室33Aまたは第2油室34Aを有する装置本体であるベアリングハウジング31と、同第1油室33Aまたは第2油室34A内においてロータシャフト35の周りに設けられる第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44とを備え、ベアリングハウジング31と第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44のそれぞれとの間に流体の膜が形成され、且つロータシャフト35と第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44のそれぞれとの間に流体の膜が形成される状態にてロータシャフト35を支持するものであって、第1ブッシュの表面形状と第2ブッシュの表面形状とが互いに異なる。

概要

背景

内燃機関過給機などの高速回転機械に用いられる軸受構造として、すべり軸受一種である浮動ブッシュ軸受が提案されている。浮動ブッシュ軸受においては、ハウジング回転軸との間に円環状のブッシュが設けられる。

この軸受を備える軸受装置においては、ハウジングの油室内潤滑油で満たされた状態にて使用される。すなわち、ブッシュと回転軸とのクリアランス、ブッシュとハウジングとのクリアランスのそれぞれに潤滑油が浸透して油膜が形成されるとともに、この油膜よって回転軸及びブッシュが支えられる。そして、回転軸の回転にともないブッシュは油膜の間で浮動し、ブッシュ内側の油膜の駆動トルクによって回転する。ブッシュはさらにブッシュ外側の油膜によって制動されるため、ブッシュ回転速度は内側及び外側の油膜から受ける力によって決定される。

ところで、このようなすべり軸受においては、油膜の流体力学挙動に基づいて回転軸を旋回させる不安定振動が発生することもある。これはオイルホイップオイルホワールと呼ばれるような自励振動に起因する振動を含む。一方、浮動ブッシュ軸受ではブッシュ外側の油膜によって制動力が発生するもの、すなわち自励振動を抑制することが可能なものであるため、高速回転機械への採用に適している。しかし、浮動ブッシュ軸受であっても、自励振動をはじめとする不安定振動の発生が十分に抑制されないこともある。

そこで、不安定振動を抑制する効果をより高めるため、例えば特許文献1には、2つのブッシュによって回転軸を支持する浮動ブッシュ軸受において、2つのブッシュの内側及び外側のクリアランスを異なるものにすることが提案されている。
特開2006−177487号公報

概要

自励振動に起因する回転軸の不安定振動を十分に抑制することのできる浮動ブッシュ軸受式の軸受装置及びこれを備える内燃機関の過給機を提供する。この浮動ブッシュ軸受式の軸受装置4は、流体が供給される第1油室33Aまたは第2油室34Aを有する装置本体であるベアリングハウジング31と、同第1油室33Aまたは第2油室34A内においてロータシャフト35の周りに設けられる第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44とを備え、ベアリングハウジング31と第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44のそれぞれとの間に流体の膜が形成され、且つロータシャフト35と第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44のそれぞれとの間に流体の膜が形成される状態にてロータシャフト35を支持するものであって、第1ブッシュの表面形状と第2ブッシュの表面形状とが互いに異なる。

目的

本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、自励振動に起因する回転軸の不安定振動を十分に抑制することのできる浮動ブッシュ軸受式の軸受装置及びこれを備える内燃機関の過給機を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

流体が供給される室を有する装置本体と、同室内において回転軸周りに設けられる第1ブッシュ及び第2ブッシュとを備え、前記装置本体と前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュのそれぞれとの間に前記流体の膜が形成され、且つ前記回転軸と前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュのそれぞれとの間に前記流体の膜が形成される状態にて前記回転軸を支持する浮動ブッシュ軸受式軸受装置において、前記第1ブッシュの表面形状と前記第2ブッシュの表面形状とが互いに異なることを特徴とする浮動ブッシュ軸受式の軸受装置。

請求項2

請求項1に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記第1ブッシュと前記第2ブッシュとの表面形状の相違は、前記第1ブッシュの外周面または内周面または側面の形状と前記第2ブッシュの外周面または内周面または側面の形状との相違によりもたらされることを特徴とする浮動ブッシュ軸受式の軸受装置。

請求項3

請求項2に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記外周面または内周面または側面の形状の相違は、前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュのいずれか一方のみに形成される溝によりもたらされることを特徴とする浮動ブッシュ軸受式の軸受装置。

請求項4

請求項2に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記外周面または内周面または側面の形状の相違は、前記第1ブッシュの外周面上または内周面上または側面上に形成される溝の形状と前記第2ブッシュの外周面上または内周面上または側面上に形成される溝の形状との相違によりもたらされることを特徴とする浮動ブッシュ軸受式の軸受装置。

請求項5

請求項2に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記外周面または内周面または側面の形状の相違は、前記第1ブッシュの外周面上または内周面上または側面上に形成される溝の数と前記第2ブッシュの外周面上または内周面上または側面上に形成される溝の数との相違によりもたらされることを特徴とする浮動ブッシュ軸受式の軸受装置。

請求項6

請求項3〜5のいずれか一項に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記溝として周方向に延びるものが形成されることを特徴とする浮動ブッシュ軸受式の軸受装置。

請求項7

請求項3〜5のいずれか一項に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記溝として軸方向に延びるものが形成されることを特徴とする浮動ブッシュ軸受式の軸受装置。

請求項8

請求項5に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュの少なくとも一方はその外周面上または内周面上に軸方向に延びる前記溝が複数形成されるものであり、この複数の溝のうちの一つを基準溝として、この基準溝と周方向の一方側においてこれに隣り合う溝との間隔と、前記基準溝と周方向の他方側においてこれに隣り合う溝との間隔が異なることを特徴とする浮動ブッシュ軸受式の軸受装置。

請求項9

タービンホイールの回転をコンプレッサホイールに伝達する回転軸を軸受装置により支持する内燃機関過給機において、前記軸受装置として請求項1〜8のいずれか一項に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置を備えることを特徴とする内燃機関の過給機。

技術分野

0001

本発明は、流体が供給される室を有する装置本体と、同室内において回転軸周りに設けられる第1ブッシュ及び第2ブッシュとを備える浮動ブッシュ軸受式軸受装置、及びこれを備える内燃機関過給機に関する。

背景技術

0002

内燃機関の過給機などの高速回転機械に用いられる軸受構造として、すべり軸受一種である浮動ブッシュ軸受が提案されている。浮動ブッシュ軸受においては、ハウジングと回転軸との間に円環状のブッシュが設けられる。

0003

この軸受を備える軸受装置においては、ハウジングの油室内潤滑油で満たされた状態にて使用される。すなわち、ブッシュと回転軸とのクリアランス、ブッシュとハウジングとのクリアランスのそれぞれに潤滑油が浸透して油膜が形成されるとともに、この油膜よって回転軸及びブッシュが支えられる。そして、回転軸の回転にともないブッシュは油膜の間で浮動し、ブッシュ内側の油膜の駆動トルクによって回転する。ブッシュはさらにブッシュ外側の油膜によって制動されるため、ブッシュ回転速度は内側及び外側の油膜から受ける力によって決定される。

0004

ところで、このようなすべり軸受においては、油膜の流体力学挙動に基づいて回転軸を旋回させる不安定振動が発生することもある。これはオイルホイップオイルホワールと呼ばれるような自励振動に起因する振動を含む。一方、浮動ブッシュ軸受ではブッシュ外側の油膜によって制動力が発生するもの、すなわち自励振動を抑制することが可能なものであるため、高速回転機械への採用に適している。しかし、浮動ブッシュ軸受であっても、自励振動をはじめとする不安定振動の発生が十分に抑制されないこともある。

0005

そこで、不安定振動を抑制する効果をより高めるため、例えば特許文献1には、2つのブッシュによって回転軸を支持する浮動ブッシュ軸受において、2つのブッシュの内側及び外側のクリアランスを異なるものにすることが提案されている。
特開2006−177487号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、ブッシュの内側及び外側のクリアランスの大きさは、ブッシュ周囲に形成すべき油膜厚さやブッシュ加工精度からの制約等を受けて設定せざるを得ないものであり、このことは、特許文献1のように2つのブッシュのクリアランスに差をもたせる構造を採用した場合においても同様のものとなる。従って、特許文献1の軸受装置において、回転軸の不安定振動を抑制する観点から2つのブッシュのクリアランスに十分な差をもたせようにも、上記制約のためにそうしたクリアランスの差を設定することが困難となることもある。そしてこの場合には、クリアランスに差をもたせない浮動ブッシュ軸受との比較においては回転軸の不安定振動の抑制が図られるとはいえ、その効果としては未だ十分なものとはいえない。

0007

本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、自励振動に起因する回転軸の不安定振動を十分に抑制することのできる浮動ブッシュ軸受式の軸受装置及びこれを備える内燃機関の過給機を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、流体が供給される室を有する装置本体と、同室内において回転軸の周りに設けられる第1ブッシュ及び第2ブッシュとを備え、前記装置本体と前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュのそれぞれとの間に前記流体の膜が形成され、且つ前記回転軸と前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュのそれぞれとの間に前記流体の膜が形成される状態にて前記回転軸を支持する浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記第1ブッシュの表面形状と前記第2ブッシュの表面形状とが互いに異なることを要旨としている。

0009

第1ブッシュ及び第2ブッシュを備える浮動ブッシュ軸受式の軸受装置においては、第1ブッシュの回転抵抗と第2ブッシュの回転抵抗とを異ならせることにより、各ブッシュの回転抵抗が実質的に同一となる場合と比較して回転軸の不安定振動を抑制する度合が大きくなる傾向にある。その理由としては、回転抵抗の相違により、第1ブッシュ周囲の流体の流体力学的な挙動と第2ブッシュ周囲の流体の流体力学的な挙動とが互い異なるものとなり、このことが回転軸に不安定振動を生じさせる流体の挙動を妨げることによるものと考えられる。

0010

上記発明ではこれに鑑み、第1ブッシュ及び第2ブッシュの表面形状を互いに異ならせることにより、第1ブッシュの回転抵抗と第2ブッシュの回転抵抗との間に差をもたせるようにしている。従って、自励振動に起因する回転軸の不安定振動を抑制することができるようになる。また、第1ブッシュ及び第2ブッシュの間に回転抵抗の差をもたせるうえで、これらの表面形状を異ならせるようにしているため、各ブッシュのクリアランスを異ならせる場合と比較して、設計上の制約がより少ない条件のもとで各ブッシュ間の回転抵抗の差を設定することが許容される。従って、回転軸の不安定振動を抑制する効果として十分なものを得ることができるようになる。

0011

(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記第1ブッシュと前記第2ブッシュとの表面形状の相違は、前記第1ブッシュの外周面または内周面または側面の形状と前記第2ブッシュの外周面または内周面または側面の形状との相違によりもたらされることを要旨としている。

0012

(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記外周面または内周面または側面の形状の相違は、前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュのいずれか一方のみに形成される溝によりもたらされることを要旨としている。

0013

上記発明では、第1ブッシュ及び第2ブッシュのいずれか一方のブッシュ表面に溝を形成するようにしているため、溝を形成するブッシュの最大外径または最小内径すなわちクリアランスを従来の設計から変更することなく、第1ブッシュと第2ブッシュとの、外周面または内周面または側面の形状を相違させることができるようになる。また、いずれか一方のブッシュにのみ溝を形成するようにしているため、第1ブッシュと第2ブッシュとを区別することが容易となり、組み付け工程において作業効率の向上を図ることができるようになる。

0014

(4)請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記外周面または内周面または側面の形状の相違は、前記第1ブッシュの外周面上または内周面上または側面上に形成される溝の形状と前記第2ブッシュの外周面上または内周面上または側面上に形成される溝の形状との相違によりもたらされることを要旨としている。

0015

上記発明では、第1ブッシュ及び第2ブッシュのブッシュ表面に溝を形成するようにしているため、ブッシュの最大外径または最小内径すなわちクリアランスを従来のものから変更することなく、第1ブッシュと第2ブッシュとの、外周面または内周面または側面の形状を相違させることができるようになる。また、第1ブッシュと第2ブッシュとに形成される溝の形状を異なるようにしている。このため、第1ブッシュと第2ブッシュとを区別することが容易となり、組み付け工程において作業効率の向上を図ることができるようになる。

0016

(5)請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記外周面または内周面または側面の形状の相違は、前記第1ブッシュの外周面上または内周面上または側面上に形成される溝の数と前記第2ブッシュの外周面上または内周面上または側面上に形成される溝の数との相違によりもたらされることを要旨としている。

0017

上記発明では、第1ブッシュ及び第2ブッシュのブッシュ表面に溝を形成するようにしているため、ブッシュの最大外径または最小内径すなわちクリアランスを従来のものから変更することなく、第1ブッシュと第2ブッシュとの、外周面または内周面または側面の形状を相違させることができるようになる。また、第1ブッシュと第2ブッシュとに形成される溝の数を異なるようにしている。このため、第1ブッシュと第2ブッシュとを区別することが容易となり、組み付け工程において作業効率の向上を図ることができるようになる。

0018

(6)請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記溝として周方向に延びるものが形成されることを要旨としている。

0019

上記発明では、ブッシュ表面の溝を周方向に延びるものとしている。ブッシュは、周方向に回転するものであるので、形成する溝を周方向のものとすることで、軸方向に延びる溝を形成するときと比較して、ブッシュの溝が形成される内周面または外周面側の流体の膜を形成する流体を、クリアランス内部に保持することができるようになる。

0020

(7)請求項7に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記溝として軸方向に延びるものが形成されることを要旨としている。

0021

この発明では、ブッシュ表面の溝を軸方向に延びるものとしているため、溝は周方向と直交する態様で形成されている。ブッシュは周方向に回転するものであるため、表面に溝を形成しないときのブッシュとの回転抵抗の差を、周方向に延びる溝を形成するときと比較して、大きくすることができるようになる。

0022

(8)請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置において、前記第1ブッシュ及び前記第2ブッシュの少なくとも一方はその外周面上または内周面上に軸方向に延びる前記溝が複数形成されるものであり、この複数の溝のうちの一つを基準溝として、この基準溝と周方向の一方側においてこれに隣り合う溝との間隔と、前記基準溝と周方向の他方側においてこれに隣り合う溝との間隔が異なることを要旨としている。

0023

この発明では、ブッシュ表面の軸方向に形成された溝と隣り合う溝との間隔と、他方側の隣り合う溝との間隔を異なるようにしているため、溝が形成される表面側が流体の膜に与える影響力変動グラフ周期ピーク高さが、一定間隔で溝を形成する場合と比較して、1周期において不均一となる。このように1周期おいて不均一な影響を流体の膜に与えることで、溝を形成しないブッシュまたは一定間隔で溝を形成するブッシュとの回転状態の差を大きくすることができるようになる。回転状態は、ブッシュ周囲の流体の流体力学的な挙動に影響を与えるものであるため、このような間隔で溝を形成することで、回転軸に不安定振動を生じさせる流体の挙動を妨げることによるものと考えられる。

0024

(9)請求項9に記載の発明は、タービンホイールの回転をコンプレッサホイールに伝達する回転軸を軸受装置により支持する内燃機関の過給機において、前記軸受装置として請求項1〜8のいずれか一項に記載の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置を備えることを要旨としている。

0025

過給機において自励振動に起因する回転軸の不安定振動が生じたとき、これにともない発生する音が車両運転者不快感を与えることもある。上記発明では、回転軸の不安定振動の発生が抑制されることによりこれにともなう音の発生も低減されるため、過給機を搭載する車両としての実用性をより高めることができるようになる。

発明を実施するための最良の形態

0026

(第1実施形態)
図1図3を参照して、本発明浮動ブッシュ軸受式の軸受装置について、これを備える内燃機関の過給機を具体化した第1実施形態について説明する。

0027

図1に示されるターボチャージャ1は、排気エネルギによりタービンホイール15を回転させ、このホイール15の回転をロータシャフト35によりコンプレッサホイール25に伝達し、このホイール25の回転により吸気圧縮する。タービンホイール15は、タービンハウジング11内に設けられている。ロータシャフト35は、ベアリングハウジング31内に設けられている。コンプレッサホイール25は、コンプレッサハウジング21内に設けられている。タービンホイール15及びコンプレッサホイール25の回転中心とロータシャフト35の回転中心は同一の中心軸C上にある。

0028

タービンハウジング11には、内燃機関の上流側排気管に接続されて排気をターボチャージャ1内に取り入れ排気入口通路12と、この通路12を流れる排気をタービンホイール15に向けて流通させる排気中間通路13と、内燃機関の下流側排気管に接続されて排気をターボチャージャ1外に送り出す排気ポート14とが設けられている。また、タービンホイール15の外周部分には、らせん形状をなす複数のブレード15Aが設けられている。

0029

そして、排気入口通路12に供給された排気は、排気中間通路13を通過してタービンホイール15のブレード15Aに衝突し、これにより同ホイール15を回転させる。その後、タービンホイール15からその軸方向下流側(ベアリングハウジング31側とは逆側)に流出し、排気ポート14を介して下流側排気管に流れ込む。

0030

コンプレッサハウジング21には、内燃機関の上流側吸気管に接続されて吸気をターボチャージャ1内に取り入れる吸気ポート22と、コンプレッサホイール25により送出された吸気をその径方向外側に向けて流通させる吸気中間通路23と、内燃機関の下流側吸気管に接続されて吸気をターボチャージャ1外に送り出す吸気出口通路24とが設けられている。また、コンプレッサホイール25の外周部分には、らせん形状をなす複数のブレード25Aが設けられている。

0031

吸気ポート22に供給された吸気は、タービンホイール15に連動して回転するコンプレッサホイール25のブレード25Aにより径方向外側に送り出され、吸気中間通路23を介して吸気出口通路24から下流側吸気管に流れ込む。この吸気管へと戻される過程で吸気は圧縮されることになる。なお、ロータシャフト35の回転速度は20〜30万rpmに及ぶこともある。

0032

ロータシャフト35は、ベアリングハウジング31に設けられた軸受装置4と、ベアリングハウジング31とコンプレッサハウジング21との接続部に設けられたスラストベアリング48とにより支持されている。また軸受装置4は、ロータシャフト35のタービンホイール15側を支持する第1浮動ブッシュ軸受41、及びロータシャフト35のコンプレッサホイール25側を支持する第2浮動ブッシュ軸受43により構成されている。

0033

図2を参照して、軸受装置4の詳細について詳述する。
第1浮動ブッシュ軸受41は、ベアリングハウジング31の第1ハウジング部33と円筒形状の2つの第1ブッシュ42とにより構成されている。第1ハウジング部33には、ベアリングハウジング31の給油通路32を介して供給される潤滑油について、これを滞留させる第1油室33Aが設けられている。

0034

第1ブッシュ42には、軸方向において同ブッシュ42を貫通する中心孔42Aと、径方向において同ブッシュ42を貫通する複数の給油孔42Bと、外周面において周方向に延びる周溝42Cとが形成されている。

0035

第1油室33Aにおいては、中心孔42Aにロータシャフト35が挿入された状態にて各第1ブッシュ42が配置されている。また第1油室33Aには、これらブッシュ42を軸方向の両側から挟み込む態様で設けられて、同ブッシュ42の軸方向の位置を規制する一対のスナップリング47が設けられている。このスナップリング47は、第1ハウジング部33に固定されて軸方向についての自身の移動が規制されていることにより、各ブッシュ42の位置を規制するものとなっている。

0036

そして、給油通路32を介して第1油室33Aに対して潤滑油が供給されるとき、この供給された潤滑油は各第1ブッシュ42の外周面と第1ハウジング部33の内周面との隙間(以下、「外周クリアランス45」)に流れ込み、この外周クリアランス45にて油膜を形成する。また、上記供給される潤滑油は、給油孔42Bを介して各第1ブッシュ42の内周面とロータシャフト35の外周面との隙間(以下、「内周クリアランス46」)に流れ込み、この内周クリアランス46にて油膜を形成する。

0037

すなわち、第1ブッシュ42の外周側及び内周側のそれぞれに油膜が形成されることにより、同ブッシュ42はロータシャフト35の周囲において潤滑油内に浮いた状態にある。これにより、ロータシャフト35の回転にともない内周クリアランス46の油膜を介して第1ブッシュ42に同シャフト35のトルクが伝達されたとき、同ブッシュ42はロータシャフト35と同方向に回転する。一方、外周クリアランス45の油膜は、そうした第1ブッシュ42の回転を制動するものとして作用する。従って、ロータシャフト35の回転にともなう第1ブッシュ42の回転速度は、同ブッシュ42の内周側及び外周側にある内周クリアランス46の油膜と外周クリアランス45の油膜との関係により決定されるようになる。

0038

第2浮動ブッシュ軸受43は、ベアリングハウジング31の第2ハウジング部34と円筒形状の2つの第2ブッシュ44とにより構成されている。第2ハウジング部34には、ベアリングハウジング31の給油通路32を介して供給される潤滑油について、これを滞留させる第2油室34Aが設けられている。

0039

第2ブッシュ44には、軸方向において同ブッシュ44を貫通する中心孔44Aと、径方向において同ブッシュ44を貫通する複数の給油孔44Bと、外周面において周方向に延びる周溝44Cとが形成されている。

0040

第2油室34Aにおいては、中心孔44Aにロータシャフト35が挿入された状態にて各第2ブッシュ44が配置されている。また第2油室34Aには、これらブッシュ44を軸方向の両側から挟み込む態様で設けられて、同ブッシュ44の軸方向の位置を規制するスナップリング47及びスラストベアリング48が設けられている。スナップリング47は、第2ハウジング部34に固定されて軸方向についての自身の移動が規制されていることにより、各ブッシュ44の位置を規制するものとなっている。またスラストベアリング48は、第2ハウジング部34の側面を支持し、これにより各ブッシュ44の位置を規制するものとなっている。

0041

そして、給油通路32を介して第2油室34Aに対して潤滑油が供給されるとき、この供給された潤滑油は各第2ブッシュ44の外周面と第2ハウジング部34の内周面との隙間である外周クリアランス45に流れ込み、この外周クリアランス45にて油膜を形成する。また、上記供給される潤滑油は、給油孔44Bを介して各第2ブッシュ44の内周面とロータシャフト35の外周面との隙間である内周クリアランス46に流れ込み、この内周クリアランス46にて油膜を形成する。

0042

すなわち、第2ブッシュ44の外周側及び内周側のそれぞれに油膜が形成されることにより、同ブッシュ44はロータシャフト35の周囲において潤滑油内に浮いた状態にある。これにより、ロータシャフト35の回転にともない内周クリアランス46の油膜を介して第2ブッシュ44に同シャフト35のトルクが伝達されたとき、同ブッシュ42はロータシャフト35と同方向に回転する。一方、外周クリアランス45の油膜は、そうした第2ブッシュ44の回転を制動するものとして作用する。従って、ロータシャフト35の回転にともなう第2ブッシュ44の回転速度は、同ブッシュ44の内周側及び外周側にある内周クリアランス46の油膜と外周クリアランス45の油膜との関係により決定されるようになる。

0043

図3に示されるように、第1ブッシュ42には、4つの給油孔42Bが周方向において等間隔に形成されている。またその外周面には、周方向に延びて同外周面を1周する2つの周溝42Cが形成されている。これら周溝42Cは、4つの給油孔42Bを軸方向の両側から挟み込む態様で形成されている。

0044

また第2ブッシュ44には、4つの給油孔44Bが周方向において等間隔に形成されている。またその外周面には、周方向に延びて同外周面を1周する1つの周溝44Cが形成されている。この周溝44Cは、4つの給油孔44Bの開口部を通過する態様で形成されている。

0045

このように、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44は外周面形状すなわち表面形状が互いに異なるものとして形成されている。またこの表面形状の相違は、それぞれの外周面における周溝の形成態様の相違によりもたらされるものとなっている。なお、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44は周溝の形成態様が上記のように異なる点においてのみ相違し、それ以外の部分については同様の構成が採用されている。

0046

これにより、第1ブッシュ42の回転抵抗と第2ブッシュ44の回転抵抗との間に差が生じるため、自励振動に起因する回転軸の不安定振動を抑制することができるようになる。ちなみに、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44を備える浮動ブッシュ軸受式の軸受装置4においては、第1ブッシュ42の回転抵抗と第2ブッシュ44の回転抵抗とを異ならせることにより、各ブッシュの回転抵抗が実質的に同一となる場合と比較してロータシャフト35の不安定振動を抑制する度合が大きくなる傾向がある。その理由としては、回転抵抗の相違により、第1ブッシュ42周囲の流体の流体力学的な挙動と第2ブッシュ44周囲の流体の流体力学的な挙動とが互い異なるものとなり、このことがロータシャフト35に不安定振動を生じさせる流体の挙動を妨げることによるものと考えられる。

0047

本実施形態の内燃機関の過給機によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44を備える浮動ブッシュ軸受式の軸受装置4においては、第1ブッシュ42の回転抵抗と第2ブッシュ44の回転抵抗とを異ならせることにより、各ブッシュの回転抵抗が実質的に同一となる場合と比較してロータシャフト35の不安定振動を抑制する度合が大きくなる傾向にある。その理由としては、回転抵抗の相違により、第1ブッシュ42周囲の流体の流体力学的な挙動と第2ブッシュ44周囲の流体の流体力学的な挙動とが互い異なるものとなり、このことがロータシャフト35に不安定振動を生じさせる流体の挙動を妨げることによるものと考えられる。

0048

本実施形態ではこれに鑑み、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44の外周面の表面形状を互いに異ならせることにより、第1ブッシュ42の回転抵抗と第2ブッシュ44の回転抵抗との間に差をもたせるようにしている。従って、自励振動に起因するロータシャフト35の不安定振動を抑制することができるようになる。また、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44の間に回転抵抗の差をもたせるうえで、これらの表面形状を異ならせるようにしているため、各ブッシュの外周クリアランス45を異ならせる場合と比較して、設計上の制約がより少ない条件のもとで各ブッシュ間の回転抵抗の差を設定することが許容される。従って、ロータシャフト35の不安定振動を抑制する効果として十分なものを得ることができるようになる。

0049

(2)本実施形態では、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44のブッシュ表面の外周面にそれぞれ周溝42Cまたは44Cを形成するようにしているため、ブッシュの最大外径すなわち外周クリアランス45を従来のものから変更することなく、第1ブッシュ42と第2ブッシュ44との、外周面の形状を相違させることができるようになる。また、第1ブッシュ42と第2ブッシュ44とに形成される周溝42C及び44Cの数を異なるようにしている。このため、第1ブッシュ42と第2ブッシュ44とを区別することが容易となり、組み付け工程において作業効率の向上を図ることができるようになる。

0050

(3)本実施形態では、ブッシュ表面の周溝42C及び44Cを周方向に延びるものとしている。ブッシュは、周方向に回転するものであるので、形成する周溝42C及び44Cを周方向のものとすることで、軸方向に延びる溝を形成するときと比較して、ブッシュの溝が形成される外周面側の流体の膜を形成する流体を、外周クリアランス45内部に保持することができるようになる。

0051

(4)ターボチャージャにおいて自励振動に起因するロータシャフト35の不安定振動が生じたとき、これにともない発生する音が車両運転者に不快感を与えることもある。本実施形態では、ロータシャフト35の不安定振動の発生が抑制されることによりこれにともなう音の発生も低減されるため、ターボチャージャ1を搭載する車両としての実用性をより高めることができるようになる。

0052

(第2実施形態)
図4を参照して、本発明の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置について、これを備える内燃機関の過給機を具体化した第2実施形態について説明する。

0053

本実施形態は、先の第1実施形態の一部を次のように変更したものとなっている。すなわち前記第1実施形態では、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44の表面形状を互いに異ならせるための構成として、各ブッシュの外周面にそれぞれ異なる数の周方向の溝である周溝を備える構成を採用している。これに対して本実施形態では、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44の表面形状を互いに異ならせるための構成として、上記のものに代えて、各ブッシュの外周面にそれぞれ異なる数の軸方向の溝である軸溝を備える構成を採用している。以下、前記第1実施形態からの変更点の詳細について説明する。なお、前記第1実施形態と共通する構成についてはこれに関する説明を適宜省略する。

0054

図4に示されるように、第1ブッシュ42には、4つの給油孔42Bが周方向において等間隔に形成されている。また、外周面には、径方向に延びる4つの軸溝42Dが形成されている。これら軸溝42Dは、外周面の一方の縁から外周面の他方の縁までにわたり第1ブッシュ42の径方向に沿う態様、且ついずれかの給油孔42Bの開口部を通過する態様で形成されている。

0055

また第2ブッシュ44には、4つの給油孔44Bが周方向において等間隔に形成されている。また、外周面には、径方向に延びる4つの軸溝42Dが形成されている。これら軸溝42Dは、外周面の一方の縁から外周面の他方の縁までにわたり第1ブッシュ42の径方向に沿う態様、且つ径方向において対向する給油孔44Bのいずれかの開口部を通過する態様で形成されている。

0056

このように、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44は外周面形状すなわち表面形状が互いに異なるものとして形成されている。またこの表面形状の相違は、それぞれの外周面における軸溝の形成態様の相違によりもたらされるものとなっている。なお、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44は軸溝の形成態様が上記のように異なる点においてのみ相違し、それ以外の部分については同様の構成が採用されている。

0057

本実施形態の内燃機関の過給機によれば、先の第1実施形態による(1)、(2)及び(4)に準じた効果に加えて、以下に示す効果をさらに奏することができる。
(5)本実施形態では、ブッシュ表面の軸溝42D,44Dを軸方向に延びるものとしている。軸溝42D,44Dは周方向と直交する態様で形成されている第1ブッシュ42または第2ブッシュ44はいずれも周方向に回転するものであるため、表面に軸溝42D,44Dを形成しないときのブッシュとの回転抵抗の差を、周方向に延びる溝を形成するときと比較して、大きくすることができるようになる。

0058

(第3実施形態)
図5を参照して、本発明の浮動ブッシュ軸受式の軸受装置について、これを備える内燃機関の過給機を具体化した第3実施形態について説明する。

0059

本実施形態は、先の第2実施形態の一部を次のように変更したものとなっている。すなわち前記第2実施形態では、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44の表面形状を互いに異ならせるための構成として、各ブッシュの外周面に複数の軸溝を形成するとともにこれを周方向において等間隔に形成する構成を採用している。これに対して本実施形態では、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44の表面形状を互いに異ならせるための構成として、上記のものに代えて、第1ブッシュ42については複数の軸溝を周方向において不等間隔に形成する構成を採用している。以下、前記第2実施形態からの変更点の詳細について説明する。なお、前記第2実施形態と共通する構成についてはこれに関する説明を適宜省略する。

0060

図5に示されるように、第1ブッシュ42には、4つの給油孔42Bが周方向において等間隔に形成されている。また、外周面には、径方向に延びる3つの軸溝42Dが形成されている。これら軸溝42Dは、外周面の一方の縁から外周面の他方の縁までにわたり第1ブッシュ42の径方向に沿う態様で形成されている。また各軸溝42Dのうちの2つは、周方向において隣り合う給油孔42Bのいずれかの開口部を通過する態様で形成されている。また残りの1つの軸溝42Dは、給油孔42Bの開口部を通過しない態様すなわち隣り合う給油孔42Bの間に形成されている。

0061

ここで、3つの軸溝42Dの円周方向の間隔は次のように設定されている。すなわち、給油孔42Bの開口部を通過する2つの軸溝42Dの間隔θ1は90°に、また同2つの軸溝42Dの一方及び給油孔42Bの開口部を通過しない軸溝42Dの間隔θ2は120°に、また上記2つの軸溝42Dの他方及び給油孔42Bの開口部を通過しない軸溝42Dの間隔θ3は150°にそれぞれ設定されている。

0062

このように、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44は側面形状すなわち表面形状が互いに異なるものとして形成されている。またこの表面形状の相違は、それぞれの外周面における軸溝の形成態様の相違によりもたらされるものとなっている。なお、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44は軸溝の形成態様が上記のように異なる点においてのみ相違し、それ以外の部分については同様の構成が採用されている。

0063

本実施形態の内燃機関の過給機によれば、先の第2実施形態による前記(1)、(2)、(4)及び(5)に準じた効果に加え、以下に示す効果をさらに奏することができる。
(6)本実施形態では、第1ブッシュ42の表面の軸方向に形成された軸溝42Dと隣り合う軸溝42Dとの間隔と、他方側の隣り合う軸溝42Dとの間隔を異なるようにしているため、軸溝42Dが形成される表面側が流体の膜に与える影響力の変動グラフの周期とピーク高さが、一定間隔で溝を形成する場合と比較して、1周期において不均一となる。このように1周期おいて不均一な影響を流体の膜に与えることで、一定間隔で溝を形成する第2ブッシュ44との回転状態の差を大きくすることができるようになる。回転状態は、ブッシュ周囲の流体の流体力学的な挙動に影響を与えるものであるため、このような間隔で溝を形成することで、回転軸に不安定振動を生じさせる流体の挙動を妨げることによるものと考えられる。

0064

(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示す態様をもって実施することもできる。

0065

・上記第1実施形態では、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44のそれぞれに周溝42C及び44Cを形成し、そのうえでこれら周溝の数を互いに異ならせることにより、各ブッシュの回転抵抗に差をもたせるようにしたが、そうした差をもたせるための周溝の形成態様はここで例示した内容に限られるものではない。例えば、第2ブッシュ44の周溝44Cの数を第1ブッシュ42の周溝42Cの数よりも多く設定し、これにより各ブッシュの回転抵抗に差をもたせることもできる。または、第1ブッシュ42の外周面については周溝42Cを形成する一方、第2ブッシュ44の外周面については、第1ブッシュ42とは異なり周溝の存在しない平滑な周面として形成し、これにより各ブッシュの回転抵抗に差をもたせることもできる。またあるいは、外周面に周溝を形成するブッシュと外周面に周溝を形成しないブッシュとの関係を上記のものと入れ替えることもできる。また、これは上記第2実施形態の軸溝についても、同様のことが言える。

0066

・上記第1実施形態では、第1ブッシュ42と第2ブッシュ44との間において周溝の形成態様を除いては同一の構造を採用したが、これらブッシュの回転抵抗に差が生じる構造であれば、周溝の形成態様以外の部分についても異なる構造を採用することはできる。

0067

・上記第2または第3実施形態では、第1ブッシュ42と第2ブッシュ44との間において軸溝の形成態様を除いては同一の構造を採用したが、これらブッシュの回転抵抗に差が生じる構造であれば、軸溝の形成態様以外の部分についても異なる構造を採用することはできる。例えば、各ブッシュにおける給油孔42B及び給油孔44Bの数を6つやそれ以外の数に変更しても良い。

0068

・上記第3実施形態では、3つの軸溝42Dの間隔を図5に示すものに設定したが、軸溝42Dの間隔の設定態様はこれに限られるものではない。すなわち、例えば給油孔42Bの開口部を通過しない軸溝42Dを基準としたとき、この軸溝42Dと周方向の一方側においてこれに隣り合う軸溝42Dとの間隔と、前記基準溝と周方向の他方側においてこれに隣り合う溝との間隔が異なる構成であれば、各軸溝42Dの間隔の設定態様は適宜変更することができる。また、軸溝42Dが複数形成されるものであれば、その数がいずれであれば上記と同様の態様をもって間隔の設定をすることはできる。

0069

・上記第3実施形態では、第1ブッシュ42のみに直近の軸溝42Dの間隔がそれぞれ周上にて不均等となるように軸溝42Dを形成した。しかし、これは第2ブッシュ44の軸溝44Dも軸溝44Dの間隔がそれぞれ周上にて不均等となるように軸溝44Dを形成してもよい。また、第2ブッシュの軸溝44Dのみ周上にて不均等となるように形成しても良い。

0070

・上記各実施形態では、いずれもブッシュの表面の溝をブッシュの外周面に形成した。これに代えて、溝をブッシュの内周面に形成するようにしても良い。このときは、ブッシュの内周面と内周クリアランス46の油膜との接触断面の形状が異なるようになる。すると、ブッシュに伝達される内周クリアランス46の油膜の回転トルクがそれぞれのブッシュで異なるようになり、それぞれのブッシュの回転数も異なるために、外周クリアランス45の油膜に与える影響も異なるようになる。すなわち、両ブッシュ近傍の内周クリアランス46及び外周クリアランス45の油膜の流体力学的挙動が異なるようになる。従って、第1ブッシュ42と第2ブッシュ44とで溝の数や位置を内周面、外周面の少なくとも一方を互いに異なるものになるようにさえすれば、両ブッシュの回転抵抗が互いに異なるようになる。また、一方のブッシュには外周に溝を形成し、他方のブッシュには内周に溝を形成することも考えられる。あるいは、1つのブッシュについて、外周面と内周面の両方に溝を形成するようにしても良い。これらのような構成であっても、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44との回転抵抗に差が生じれば、少なくとも上記(1)〜(2)及び(4)に準じた効果を奏することはできる。

0071

・上記各実施形態では、いずれも第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44に、それぞれ同方向の溝を形成し、溝の数や位置を互いに異なるものとなるようにして、回転抵抗を異なるものになるようにした。しかし、第1ブッシュ42と第2ブッシュ44とで一方には周方向の溝を、一方には軸方向の溝を形成するようにしても良い。また、1つのブッシュについて、周方向の溝と軸方向の溝とを備える構成としても良い。これらのような構成であっても、第1ブッシュ42及び第2ブッシュ44との回転抵抗に差が生じれば、少なくとも上記(1)〜(2)及び(4)に準じた効果を奏することはできる。

0072

・上記第1実施形態では、周溝42C,44Cをブッシュの周上において連続したものとした。しかし、これは連続していなくても同様の効果が得られると考えられる。
・上記第1または第2実施形態では、軸溝42D,44Dを軸方向においてブッシュの一方の縁から他方の縁にまで連続したものとした。しかし、これは連続していなくても、ブッシュの外周上に軸方向に沿った溝であれば、同様の効果が得られると考えられる。

0073

・上記各実施形態では、溝の数と位置によって第1ブッシュ42と第2ブッシュ44との回転抵抗の差を異ならせるようにしたが、これは溝の深さや幅、長さ、方向、あるいは形状などを変化させることでそれぞれのブッシュの回転抵抗の差を異ならせるようにしても良い。

0074

・上記各実施形態では、溝の形成によって、第1ブッシュと第2ブッシュとの回転抵抗を互いに異なるものになるようにした。しかし、溝ではなく、例えば第1ブッシュ42の給油孔と第2ブッシュ44の給油孔とで大きさや形状、もしくは数を互いに異なるものとすることで、表面形状の相違を実現することができるようになる。また、ブッシュの角部の面取り形状を第1ブッシュ42と第2ブッシュ44とで、不安定振動を抑制するに十分な回転抵抗の差が十分生じる大きさになるようにそれぞれ設計するようにしても良い。

0075

・本発明を実施するうえでの浮動ブッシュ軸受は、上記各実施形態にて例示した装置に限られるものではない。また、過給機に適用されるものに限られるものでもない。要するに、回転抵抗が互いに異なる2つのブッシュを第1ブッシュ及び第2ブッシュとして用いる構造であれば、浮動ブッシュ軸受としての構造は適宜変更可能であり、高速回転機械であれば、過給機に限らず適用可能なものである。その場合にも上記各実施形態による効果に準じた効果を奏することはできる。

図面の簡単な説明

0076

本発明の浮動ブッシュ軸受を用いた内燃機関の過給機を具体化した第1実施形態について、同過給機の断面構造を示す断面図。
同実施形態の内燃機関の過給機について、図1における部分Aを拡大して示す部分断面図。
(a)同実施形態の内燃機関の過給機について、図1における部分Aを拡大して示す部分断面図。(b)同過給機について、図3(a)のDA−DAに沿った断面構造を示す断面図。(c)同過給機について、図3(b)のDB−DBに沿った断面構造を示す断面図。
(a)本発明の浮動ブッシュ軸受を用いた内燃機関の過給機を具体化した第2実施形態について、同過給機の断面構造を示す部分断面図。(b)同過給機について、図4(a)のDC−DCに沿った断面構造を示す断面図。(c)同過給機について、図4(b)のDD−DDに沿った断面構造を示す断面図。
(a)本発明の浮動ブッシュ軸受を用いた内燃機関の過給機を具体化した第3実施形態について、同過給機の断面構造を示す部分断面図。(b)同過給機について、図5(a)のDE−DEに沿った断面構造を示す断面図。(c)同浮過給機について、図5(b)のDF−DFに沿った断面構造を示す断面図。

符号の説明

0077

1…ターボチャージャ、11…タービンハウジング、12…排気入口通路、13…排気中間通路、14…排気ポート、15…タービンホイール、15A…ブレード、21…コンプレッサハウジング、22…吸気ポート、23…吸気中間通路、24…吸気出口通路、25…コンプレッサホイール、25A…ブレード、31…ベアリングハウジング、32…給油通路、33…第1ハウジング部、33A…第1油室、34…第2ハウジング部、34A…第2油室、35…ロータシャフト、4…軸受装置、41…第1浮動ブッシュ軸受、42…第1ブッシュ、42A…中心孔、42B…給油孔、42C…周溝、42D…軸溝、43…第2浮動ブッシュ軸受、44…第2ブッシュ、44A…中心孔、44B…給油孔、44C…周溝、44D…軸溝、45…外周クリアランス、46…内周クリアランス、47…スナップリング、48…スラストベアリング。

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