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技術 塩基性水溶液からのポリ硫化物イオンの除去方法

出願人 日鉄鉱業株式会社国立大学法人東北大学
発明者 松本博道岸本章高橋英志林亜実田路和幸
出願日 2008年10月10日 (12年1ヶ月経過) 出願番号 2008-264205
公開日 2010年4月22日 (10年7ヶ月経過) 公開番号 2010-089052
状態 特許登録済
技術分野 酸化・還元による水処理
主要キーワード 可視紫外吸収スペクトル 混合フラーレン 六角柱形状 フラーレン溶液 固体硫黄 純トルエン 副生産物 フラーレン混合物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年4月22日)のものです。
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図面 (5)

課題

石油精製プラントなどからの硫化水素を処理した際に生成するポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を処理することにより、イオウ分固体回収できる処理方法を提供する。

解決手段

ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を処理してポリ硫化物イオンを除去する処理方法において、ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を炭素クラスター溶液と接触させて処理して、ポリ硫化物イオンを元素状硫黄に変換させ、元素状硫黄を含有する前記処理した水溶液と炭素クラスター溶液とを分離するか、又はポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液に炭素クラスターを分散させて、炭素クラスターの懸濁液を形成させるとともに、ポリ硫化物イオンを元素状硫黄に変換させ、前記懸濁液を固液分離することを特徴とするポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液からのポリ硫化物イオンの除去方法

概要

背景

石油精製プラント下水処理場などの様々な設備から極めて大量の硫化水素(H2S)ガスが放出されており、その無害化には主にクラウス法が用いられている。このクラウス法は、硫化水素を反応炉で空気により部分燃焼させてその1/3を二酸化硫黄に変え、硫化水素2容量に対し1容量の二酸化硫黄の混合ガスを生成させ、活性アルミナなどの触媒充填した触媒反応塔にこの混合ガスを通し、蒸気状の元素硫黄を生成し、さらに冷却操作により蒸気状の硫黄溶融硫黄として回収するもので、硫黄の回収率は高いものでは98%以上である。しかしながら、クラウス法は効率的に処理できるものの、極めて大量のエネルギーを必要とする。
一方、硫化水素の分解に必要なエネルギーは、水の分解エネルギーより少なく、且つ次式に示されるように、放出される気体成分水素のみであり、以降の精製工程を必要としないことから、電気化学的手法及び光化学的手法により硫化水素を分解し、水素を回収する研究が精力的に行われている。

即ち、硫化水素は次世代エネルギーである水素の効率的な供給源として有効利用することができる。さらに、電気化学的手法及び光化学的手法により硫化水素を分解することは、現状の処理方法(クラウス法)で大量に消費されているエネルギーを抑制することができる利点をも有する。

また、H2Sを含む原ガスアルカリ吸収液で接触させてH2Sを除去する方法において、アルカリ吸収液を容易かつ効率的に再生して循環再使用すると共に、H2Sを硫酸にまで酸化することなく、Sとして効率的に回収するという課題を次のようにして解決している(特許文献1)。
この方法では、硫化水素ガスを吸収したアルカリ吸収液を電気分解して再生し、再生液を前記原ガスの硫化水素ガス除去処理工程に循環使用する手段を採用している。処理全体の反応機構は、原ガス中のH2SはNaOH等のアルカリ吸収液にS2−として固定される。反応式:2NaOH+H2S→Na2S+2H2O このS2−は電気分解により陽極元素Sとなる。反応式:S2−→S+2e− 電気分解したSは液中で多硫化アルカリの形で溶解する。その際、陰極ではH2が生成する。反応式:2H++2e−→H2 この2つの式を合わせると、結果的に次の式となる。反応式:Na2S+2H2O→2NaOH+S+H2 となって、アルカリ度の再生がなされる。アルカリ吸収液の一部を引き抜き、酸で中和することにより、固体Sが容易に回収され、再資源化される。

特開平5−171482号公報

概要

石油精製プラントなどからの硫化水素を処理した際に生成するポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を処理することにより、イオウ分を固体で回収できる処理方法を提供する。ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を処理してポリ硫化物イオンを除去する処理方法において、ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を炭素クラスター溶液と接触させて処理して、ポリ硫化物イオンを元素状硫黄に変換させ、元素状硫黄を含有する前記処理した水溶液と炭素クラスター溶液とを分離するか、又はポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液に炭素クラスターを分散させて、炭素クラスターの懸濁液を形成させるとともに、ポリ硫化物イオンを元素状硫黄に変換させ、前記懸濁液を固液分離することを特徴とするポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液からのポリ硫化物イオンの除去方法

目的

特許文献1は、陽極を一般的な電極炭素極)とした電解による硫化水素の分解であり、陽極と溶液中の硫化物イオンもしくは水硫化物イオンとの間の電子移動の効率が悪く、すなわち、硫黄酸化反応の効率が悪い。
本発明は、電気分解、光触媒による分解等による硫化水素の分解・水素回収プロセスにおいて、副産物として生成するポリ硫化物イオンを元素イオウとして分離回収することができるポリ硫化物イオンの除去方法を提供することを課題とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を処理してポリ硫化物イオンを除去する処理方法において、ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を炭素クラスター溶液と接触させて処理して、ポリ硫化物イオンを元素状硫黄に変換させ、元素状硫黄を含有する前記処理した水溶液と炭素クラスター溶液とを分離することを特徴とするポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液からのポリ硫化物イオンの除去方法

請求項2

ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を処理してポリ硫化物イオンを除去する処理方法において、ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液に炭素クラスターを分散させて、炭素クラスターの懸濁液を形成させるとともに、ポリ硫化物イオンを元素状硫黄に変換させ、元素状硫黄を含有する前記懸濁液を固液分離することを特徴とするポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液からのポリ硫化物イオンの除去方法。

請求項3

前記固液分離により分離された元素状硫黄と炭素クラスターを加熱して元素状硫黄を昇華させ、炭素クラスターを回収し、回収した炭素クラスターを前記処理に再使用することを特徴とする請求項2記載のポリ硫化物イオンの除去方法。

技術分野

0001

本発明は、ポリ硫化物イオンを含有する塩基性水溶液からのポリ硫化物イオンの除去方法に関するもので、詳細には石油精製プラント下水処理場などの様々な設備から放出された硫化水素アルカリ吸収により処理する際に生成するポリ硫化物イオンを含有する塩基性水溶液からポリ硫化物イオンを除去する方法に関するものであり、特に、ポリ硫化物イオンを含有する塩基性水溶液からポリ硫化物イオンを固体硫黄として除去することができる、ポリ硫化物イオンを含有する塩基性水溶液からのポリ硫化物イオンの除去方法に関するものである。

背景技術

0002

石油精製プラントや下水処理場などの様々な設備から極めて大量の硫化水素(H2S)ガスが放出されており、その無害化には主にクラウス法が用いられている。このクラウス法は、硫化水素を反応炉で空気により部分燃焼させてその1/3を二酸化硫黄に変え、硫化水素2容量に対し1容量の二酸化硫黄の混合ガスを生成させ、活性アルミナなどの触媒充填した触媒反応塔にこの混合ガスを通し、蒸気状の元素硫黄を生成し、さらに冷却操作により蒸気状の硫黄溶融硫黄として回収するもので、硫黄の回収率は高いものでは98%以上である。しかしながら、クラウス法は効率的に処理できるものの、極めて大量のエネルギーを必要とする。
一方、硫化水素の分解に必要なエネルギーは、水の分解エネルギーより少なく、且つ次式に示されるように、放出される気体成分水素のみであり、以降の精製工程を必要としないことから、電気化学的手法及び光化学的手法により硫化水素を分解し、水素を回収する研究が精力的に行われている。

0003

0004

即ち、硫化水素は次世代エネルギーである水素の効率的な供給源として有効利用することができる。さらに、電気化学的手法及び光化学的手法により硫化水素を分解することは、現状の処理方法(クラウス法)で大量に消費されているエネルギーを抑制することができる利点をも有する。

0005

また、H2Sを含む原ガスアルカリ吸収液で接触させてH2Sを除去する方法において、アルカリ吸収液を容易かつ効率的に再生して循環再使用すると共に、H2Sを硫酸にまで酸化することなく、Sとして効率的に回収するという課題を次のようにして解決している(特許文献1)。
この方法では、硫化水素ガスを吸収したアルカリ吸収液を電気分解して再生し、再生液を前記原ガスの硫化水素ガス除去処理工程に循環使用する手段を採用している。処理全体の反応機構は、原ガス中のH2SはNaOH等のアルカリ吸収液にS2−として固定される。反応式:2NaOH+H2S→Na2S+2H2O このS2−は電気分解により陽極元素Sとなる。反応式:S2−→S+2e− 電気分解したSは液中で多硫化アルカリの形で溶解する。その際、陰極ではH2が生成する。反応式:2H++2e−→H2 この2つの式を合わせると、結果的に次の式となる。反応式:Na2S+2H2O→2NaOH+S+H2 となって、アルカリ度の再生がなされる。アルカリ吸収液の一部を引き抜き、酸で中和することにより、固体Sが容易に回収され、再資源化される。

0006

特開平5−171482号公報

発明が解決しようとする課題

0007

前記式1に示したように、硫化水素を用いた場合には副生産物としてポリ硫化物イオン(Sx2−,式1ではx=2)が生成し、その生成量の増加に伴い、光吸収効率の低下や更なる副反応が進行するため、分解効率が低下する。従って、ポリ硫化物イオンを系から除去することが必要となり、一般的には酸化により硫酸に転化する手法が考えられる。しかしながら、溶液中に硫化水素が残留している場合、溶液が酸性となると猛毒の硫化水素ガスを放出するため、安全性を考慮すると常に塩基性(pH=13程度)溶液を用いる必要がある。さらに、発生する水素エネルギーと、溶液を塩基性とするために用いる塩基性源(NaOH等)を製造するために要するエネルギーの比較から、中和反応を伴う硫酸の生成は好ましくない。

0008

従って、副生成物のポリ硫化物イオンは、固体吸着剤等を用いた吸着法で回収除去する必要があるが、(1)ポリ硫化物イオンは陰イオンであること、(2)塩基性水溶液中では固体吸着剤の表面電位は一般的に負であることから、通常用いられる吸着法による回収は困難であった。
即ち、硫化水素を水素供給源として用いる場合、これまで無害化に要していた大量のエネルギーを抑制できると同時に次世代エネルギーを容易に製造することが可能であり、環境に配慮した革新的な技術となりうるものでなければならない。その為には、副産物として生成するポリ硫化物イオンを除去できないという唯一障害を取り除く必要がある。

0009

特許文献1は、陽極を一般的な電極炭素極)とした電解による硫化水素の分解であり、陽極と溶液中の硫化物イオンもしくは水硫化物イオンとの間の電子移動の効率が悪く、すなわち、硫黄酸化反応の効率が悪い。
本発明は、電気分解、光触媒による分解等による硫化水素の分解・水素回収プロセスにおいて、副産物として生成するポリ硫化物イオンを元素イオウとして分離回収することができるポリ硫化物イオンの除去方法を提供することを課題とするものである。

課題を解決するための手段

0010

本発明は、下記の手段により上記の課題を解決した。
(1)ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を処理してポリ硫化物イオンを除去する処理方法において、ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を炭素クラスター溶液と接触させて処理して、ポリ硫化物イオンを元素状硫黄に変換させ、元素状硫黄を含有する前記処理した水溶液と炭素クラスター溶液とを分離することを特徴とするポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液からのポリ硫化物イオンの除去方法。
(2)ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液を処理してポリ硫化物イオンを除去する処理方法において、ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液に炭素クラスターを分散させて、炭素クラスターの懸濁液を形成させるとともに、ポリ硫化物イオンを元素状硫黄に変換させ、元素状硫黄を含有する前記懸濁液を固液分離することを特徴とするポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液からのポリ硫化物イオンの除去方法。
(3)前記固液分離により分離された元素状硫黄と炭素クラスターを加熱して元素状硫黄を昇華させ、炭素クラスターを回収し、回収した炭素クラスターを前記処理に再使用することを特徴とする前記(2)記載のポリ硫化物イオンの除去方法。

0011

イオン的相互作用が無い有機溶媒に炭素クラスター(フラーレン類)と硫黄を溶解させた場合、硫黄の溶解度より十分に低い溶液からでも結晶(C60S16やC70S16など)が生成する。また、炭素クラスター(フラーレン類)を溶解できる溶媒は構造中にベンゼン環若しくはシクロヘキサン環を有しているが、二硫化炭素だけはそれらを有していないにも拘らず極めて高い溶解度を示す。これらの結果は、炭素クラスター(フラーレン類)と硫黄の間には相互作用が存在することを示唆している。
この示唆を利用して、炭素クラスター(フラーレン類)、もしくは有機溶媒に炭素クラスター(フラーレン類)を溶解した液に、塩基性ポリ硫化物イオン水溶液を接触させることで、塩基性ポリ硫化物イオン水溶液からポリ硫化物イオンを除去し、回収することができる。炭素クラスターを有機溶媒に溶解して形成した溶液は、塩基性ポリ硫化物イオン水溶液と接触させた場合、前記水溶液と非混和性であるため、接触混合の後、静置するだけで相互に分離するので、デカンテーションで容易に分離することができる。

0012

本発明で用いる炭素クラスターは、最近急激に発展した技術分野であって、炭素クラスターは、「フラーレン類」あるいは「カーボンノナチューブ類」のような、多数の炭素原子で構成されるクラスターの総称である。そのうちの「フラーレン類」は多数の炭素原子で構成される。その代表的な物質フラーレン60であり、その他フラーレン70などの炭素原子の数が60個を越えているクラスターも存在し、フラーレン76以上は高次フラーレンと呼ばれている。炭素クラスターは、最近アーク法により大量に生産できる技術が開発され、トン単位で生産されているため、市場で容易に入手することができる。フラーレン類は、その製造法の関係で、各種フラーレンの混合物として得られる関係で、市場では分離精製してそれぞれの純度を高めたフラーレン60、フラーレン70の他に未精製の混合フラーレンで出ている。

発明の効果

0013

本発明によれば、ポリ硫化物イオンを含有する塩基性水溶液からポリ硫化物イオンを効率よく除去することができる。ポリ硫化物イオンを含有する塩基性水溶液に有機フラーレンを接触させると、ポリ硫化物イオンから固体硫黄を得ることができ、前記水溶液から固体硫黄を分離して収得することができる。有機フラーレンを有機溶媒に溶解した溶液として接触させる場合には、有機溶媒の非混和性のために、前記水溶液と容易に分離させることができる。また、有機フラーレンを前記水溶液に直接投入して接触させるようにした場合でも、固体硫黄を有機フラーレンと一緒に分離して、有機フラーレンを固体硫黄と分離した後、再度前記塩基性水溶液と接触させてポリ硫化物イオンの除去に使用することができ、それを何回でも繰り返すことができる。
さらに、本発明では、フラーレンとして純度の高いものでも、また純度の低いものであっても同様な分離を行うことができるので、純度の低いものを用いることにより経済的に実施することができる。

発明を実施するための最良の形態

0014

本発明においては、ポリ硫化物イオンを含有する塩基性水溶液に炭素クラスターの有機溶液を接触させると、ポリ硫化物イオンを元素状硫黄に変換されるので、ポリ硫化物イオンから固体硫黄を得ることができ、元素状硫黄を含有する前記処理した水溶液と炭素クラスター溶液とを、例えば、分液漏斗を用いた静置分離や、遠心分離フィルター分離、クロマトグラフィー等の液液分離によって分離させることができる。
また、ポリ硫化物イオンを含む塩基性水溶液に炭素クラスター(フラーレン類)を分散させて、炭素クラスター(フラーレン類)の懸濁液を形成させ、前記懸濁液を例えばろ過により固液分離することにより、ポリ硫化物イオンを除去することができる。この場合、ろ過物として炭素クラスターと固体硫黄とが一緒になっているが、この固体を約230℃に加熱すると、固体硫黄は昇華して除かれるので炭素クラスターを分離、回収することができる。炭素クラスターはこの程度の温度では安定であり、再使用することができる。
その他、種々の分離方法によって分離することができる。

0015

実施例1
(フラーレンの製造)
フラーレン類は、Heガス100torr環境下での直流アーク放電により合成した。生成物トルエンを用いて抽出した後、抽出液からトルエンを蒸発させて濃縮し、濃縮溶液メタノール投入することで粉体化し、ろ過して回収を行った。必要に応じて、C60及びC70の精製を高速クロマトグラフィーにて行い、純度99%以上とした。
フラーレン溶液の調製)
0.5mg/ml及び1.0mg/mlの濃度の未精製フラーレン(未精製の混合物、C60:65%、C70:30%、高次フラーレン5%)、C60及びC70の各トルエン溶液20mlをそれぞれ調製した。

0016

(ポリ硫化物イオン溶液の処理)
調製した各溶液に0.1Mの濃度のK2S水溶液(塩基性ポリ硫化物イオン溶液)を投入し、マクネチックスターラーを用いて攪拌した。所定時間の攪拌後、水相ポリ硫化物イオン濃度可視紫外吸収スペクトルにて分析した。6時間の攪拌後、水溶液部を完全に除去し、再度0.1Mの濃度のK2S水溶液20mlを投入し、同様の操作を行った。繰り返し試行回数は5回とした。なお、水相及びトルエン相に生成した物質は、XRD(X線回折)により評価した。

0017

(結果)
図1フラーレン混合物(0.5mg/ml(○)、1.0mg/ml(◆))を用いた場合の水溶液中のポリ硫化物イオン濃度の経時変化を示す。試行回数1回目の場合、0.1Mの初期濃度に対し、3時間及び6時間の処理でポリ硫化物イオン濃度はそれぞれ約0.03M及び0Mとなった。試行回数の増加に伴い、3時間の処理によるポリ硫化物イオンの除去量は減少したが、6時間の処理では、ほぼすべてのポリ硫化物イオンを除去できた。

0018

試行1回目から、水相中には白色生成物が確認された。図2に示すXRD分析結果から、本白色生成物は元素硫黄(S8リングを構成する一般的な硫黄、PDF#42−1278)であることが確認された。
また、試行4〜5回目において、トルエン相中に黒色の結晶が生成していることが確認された。この結晶の形状は、六角柱形状デンドライト形状の2種類、若しくは両者が混在した形状であった。これは参考文献(H.Takahasi,et.al,Co-deposition of fullerenes and sulfur from diluted solution,“Fullerenes,Nanotubes,and Carbon Nanostructures”第10巻、第3号、第217〜226頁(2002年))で報告されているC60S16及びC70S16の形状と一致する。

0019

図3に、フラーレン混合物を用いた場合に得られた黒色結晶XRD回折結果と、参考文献1で報告されているC60S16結晶及びC70S16結晶のXRD回折結果を示す。図3から明らかなように、フラーレン混合物を用いた場合に得られた黒色結晶のXRD測定結果は、C60S16結晶及びC70S16結晶のXRD回折結果の足し合わせであることが判る。これは研究に用いたフラーレン混合物がC60やC70の混合物であるためである。精製したC60及びC70を用いた場合に得られた黒色結晶のXRD測定結果は、C60S16結晶及びC70S16結晶のXRD回折結果と同一であった。しかし、これらの反応は、フラーレンを含まない純トルエン等の有機溶剤を用いた場合には進行しなかった。

0020

以上により、有機溶媒に炭素クラスターを溶解した有機溶液と、ポリ硫化物イオンを含む水溶液とを接触させることで、水溶液中のポリ硫化物イオンを硫黄若しくは炭素クラスター−硫黄化合物として回収することが可能である。
0.5mg/mlフラーレン混合物/トルエン溶液20ml中には10mgのフラーレン混合物を含んでおり、その炭素次数凡そ64であるから、0.013mmolのフラーレン(C64は合成できないが、炭素次数としてはC64に相当)を含んでいることになる。従って、フラーレン1個当り凡そ675個の硫黄原子(フラーレン中の炭素原子1個当り凡そ10.5個の硫黄原子)が水溶液中から除去されていることを示している。この値は5回の試行が終了した時点の値であり、図で示したとおり、依然反応が終了していないため、最終的にはさらに多くのS原子を水溶液中から回収・除去できる。

0021

なお、反応初期段階で硫黄結晶が水相中で生成することが明らかに観測されたこと、硫黄の溶解度はトルエン等の有機溶媒で高いのに対し、水では低いこと(トルエン相で硫黄が合成された場合、わざわざ水相には移動し得ないこと)、水相中で硫黄が生成した後の段階で炭素クラスター−硫黄化合物が合成されたことを考慮すると、水相中のポリ硫化物イオンは水−フラーレンを含む有機溶媒界面において元素硫黄へと変化し、その後トルエン相に移動することでフラーレン−硫黄化合物を形成したものである。

0022

実施例2
(ポリ硫化物イオン溶液の調製)
0.1MNa2S水溶液150mlに光触媒粒子(ストラティフイドCdS粒子)100mgを投入し、光量15Wで約6時間光照射することでポリ硫化物イオン(Sx2−)水溶液を調製した。

0023

(ポリ硫化物イオン溶液の処理)
理論上、0.1Mの濃度のポリ硫化物イオンを含むまで光触媒反応を十分に進行させた溶液を用いた。この水溶液10ml中に次に示す炭素類(20mg〜100mg)を超音波で良く分散し、1〜12時間の静置後、メンブランフィルターを用いて固体成分を除去し、溶液の着色の程度をUV−Vis(紫外可視分光法)にて測定した。
(1)活性炭(110℃真空環境処理済み、及び未処理)
(2)Raw soot(He1000torr雰囲気下でグラファイトアーク放電により得られたフラーレン類を約20%含む
(3)C60(純度99%以上、実施例1で用いた物と同じもの)
(4)C70(純度99%以上、実施例1で用いた物と同じもの)
(5)フラーレン混合物(実施例1で用いた物と同じもの)
(6)Residue(フラーレン抽出後の煤)

0024

(活性炭を用いた場合)
真空処理の有無に拘らず、活性炭を用いた処理前後では、水溶液中のポリ硫化物イオン濃度に変化は観測されなかった。従って、活性炭にはSx2−吸収能が無い、若しくは吸収には長時間を要することが明らかとなった。
(炭素クラスター(フラーレン類)を含む炭素材料を用いた場合)
図4に(a)精製C60、(b)精製C70、(c)フラーレン混合物、及び(d)Residueを用いた場合の水溶液中のポリ硫化物イオン濃度の経過時間変化を示す。図4によれば、いずれの場合でも水溶液中のポリ硫化物イオン濃度が減少しており、その速度及び吸着量はC60>C70>フラーレン混合物>Residueの序列であることが示された。
Raw sootを用いた場合もポリ硫化物イオンの濃度は低下し、上記の中間的な吸着速度及び吸着量であった。

0025

上より、フラーレン類を含む炭素成分は、水溶液中のポリ硫化物イオンを水相から回収除去することが可能であることが示された。Residueはフラーレンを抽出した残渣であるが、その中には、抽出しきれなかった炭素次数の極めて高い高次フラーレン類や、フラーレンを構成するコランレン基を含んでいることが知られている。活性炭のポリ硫化物イオンを回収除去する能力が低いことを考慮すると、曲率を持った炭素成分が、ポリ硫化物イオンの回収除去性能に大きく係わっている。

0026

本発明のポリ硫化物イオンの除去方法は、炭素クラスターを用いることにより、簡単に処理することができ、しかもポリ硫化物イオンを固体硫黄に変換できるために後処理が簡単であり、かつ処理に用いた炭素クラスターは容易に分離、回収できて、繰り返し使用できるので、経済的であり、しかも操作が簡単であるので、本発明による処理方法は多くの面での利用が期待される。

図面の簡単な説明

0027

本発明のフラーレン混合物を用いた場合の水溶液中のポリ硫化物イオン濃度の経時変化を示す図である。
実施例1における白色生成物のXRD分析結果を示す。
実施例1でフラーレン混合物を用いた場合に得られた黒色結晶のXRD分析結果を示す。
実施例2でフラーレン等各種物質を用いた場合に得られた、水溶液中のポリ硫化物イオン濃度の経過時間変化を示す。

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