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技術 薄膜トランジスタのオン電流低下度を予測する方法

出願人 カシオ計算機株式会社
発明者 山口道也
出願日 2008年9月30日 (11年2ヶ月経過) 出願番号 2008-255823
公開日 2010年4月15日 (9年8ヶ月経過) 公開番号 2010-087311
状態 特許登録済
技術分野 薄膜トランジスタ 半導体等の試験・測定
主要キーワード イオン放出量 分析チャンバ内 予測手順 帯電状況 Si強度 相関曲線 プロファイル毎 静電偏向板
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

SIMSにおける積層膜の深さ方向測定時に積層膜界面の帯電による強度低下を利用し薄膜トランジスタの特性を予測する方法を提供。

解決手段

薄膜トランジスタの積層構造と同じ積層構造で、それぞれ、オン電流が異なる複数の試料に対し、表面帯電状態を非中和にした状態で1次イオン照射飛散した2次イオンにより深さ方向プロファイルを作成する第1工程と、プロファイルに基づいてシリコンの2次イオン強度低下率を求める第2工程と、2次イオン強度の低下率とオン電流低下度相関曲線を作成する第3工程と、第1及び第2工程の手順により半導体層面前後におけるシリコンの2次イオン強度の低下率を求める第4工程(S2,S5)と、第4工程において求められた試料の2次イオン強度の低下率を、シリコンの2次イオン強度の低下率とオン電流低下度の相関曲線に照らして試料のオン電流低下度を求める(S6)。

概要

背景

積層構造でなる試料に対して、2次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)により試料深さ方向に対する各元素濃度分布を示すプロファイルを得て、プロファイルの分散等から積層界面急峻性を判断し、試料の電気的な特性を予測することが行われている。
このような、2次イオン質量分析法により積層構造で成る試料の界面を評価するシステムが、特許文献1に開示されている。
特開平6−186764号公報

概要

SIMSにおける積層膜の深さ方向測定時に積層膜界面の帯電による強度低下を利用し薄膜トランジスタの特性を予測する方法を提供。薄膜トランジスタの積層構造と同じ積層構造で、それぞれ、オン電流が異なる複数の試料に対し、表面帯電状態を非中和にした状態で1次イオン照射飛散した2次イオンにより深さ方向プロファイルを作成する第1工程と、プロファイルに基づいてシリコンの2次イオン強度低下率を求める第2工程と、2次イオン強度の低下率とオン電流低下度相関曲線を作成する第3工程と、第1及び第2工程の手順により半導体層面前後におけるシリコンの2次イオン強度の低下率を求める第4工程(S2,S5)と、第4工程において求められた試料の2次イオン強度の低下率を、シリコンの2次イオン強度の低下率とオン電流低下度の相関曲線に照らして試料のオン電流低下度を求める(S6)。

目的

従来のSIMSによる積層膜界面の評価法には、以下(A)〜(C)の問題点がある。
(A)予め電気的な特性が判明している試料を多数個準備し、データベース構築する必要がある。
(B)積層厚みとSIMSの深さ方向の分解能はSLSモデル(Hofman,Benning-hoven)ではΔz=2(a・z)1/2となる。ここで、aは単原子層の厚さ、zは表面からの距離、Δzは元素Mの深さ方向のプロファイルにおいて最大84%と16%の間の距離である。そのため、厚みが増加すると深さ方向の分解能Δzは大きくなり、各種の積層膜厚の試料があると、厚みによる分解能の低下を考慮しなければならない。
(C)SIMSによる分析では、主成分の組成比により低濃度の元素の2次イオン放出量が大きく変わるので、組成の異なる積層膜サンプルを比較する場合、注目する元素強度正規化等を考慮する必要がある。
このように、従来におけるSIMSを利用した積層膜界面の評価法では、多くの計算が必要であり、そのため評価結果を算出にも長い時間を要しており、多くの計算を行わずに、短時間で電気特性を予測することが望まれていた。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

薄膜トランジスタオン電流の低下を2次イオン質量分析装置を用いて予測する方法であって、上記薄膜トランジスタの積層構造と同じ積層構造を有し、それぞれ、オン電流が異なる複数の試料に対し、当該試料の表面帯電状態を非中和にした状態で1次イオン照射し、この照射により飛散した2次イオンを検出して当該試料の深さ方向のプロファイルを作成する第1工程と、上記第1工程で作成したプロファイルに基づいて、前記積層構造における半導体層界面の前後におけるシリコンの2次イオン強度低下率を求める第2工程と、シリコンの2次イオン強度の低下率とオン電流低下度相関曲線を作成する第3工程と、前記第1工程及び前記第2工程の手順により試料の前記積層構造における半導体層界面前後におけるシリコンの2次イオン強度の低下率を求める第4工程と、上記第4工程において求められた前記試料の2次イオン強度の低下率を、前記シリコンの2次イオン強度の低下率とオン電流低下度の相関曲線に照らして、当該試料のオン電流低下度を求める第5工程とを含む、薄膜トランジスタのオン電流低下度予測方法

請求項2

前記第1工程が、前記試料における異なる大きさの第1領域と第2領域に対し、各領域毎にプロファイルを作成する工程を含み、前記第2工程が、上記第1及び第2領域毎に前記低下率を求める工程を含み、前記第3工程が、上記第1領域の低下率と上記第2領域の低下率との相対比率とオン電流低下度の相関曲線を作成する工程を含み、前記第5工程が、前記第3工程で求めた前記相関曲に基づいて、前記試料のオン電流低下度を求める、請求項1に記載の薄膜トランジスタのオン電流低下度予測方法。

請求項3

前記試料の表面帯電状態を非中和にした状態では、当該表面帯電状態を中和にした状態時の中和からの電子線の照射量の70〜90%である、請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタのオン電流低下度予測方法。

請求項4

前記1次イオンがO2+イオンである、請求項1〜3の何れかに記載の薄膜トランジスタのオン電流低下度予測方法。

請求項5

前記試料は、ガラス層の上に、ゲート電極層ゲート絶縁膜層、前記半導体層、前記コンタクト層エッチングストッパ層ソースドレイン電極層オーバーコート層順番に積層されている、請求項1〜4の何れかに記載の薄膜トランジスタのオン電流低下度予測方法。

技術分野

0001

本発明は2次イオン質量分析係り、特に薄膜トランジスタ半導体層上の酸化膜の影響によるオン電流の低下度を2次イオン質量分析装置を用いて予測する方法に関する。

背景技術

0002

積層構造でなる試料に対して、2次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)により試料深さ方向に対する各元素濃度分布を示すプロファイルを得て、プロファイルの分散等から積層界面急峻性を判断し、試料の電気的な特性を予測することが行われている。
このような、2次イオン質量分析法により積層構造で成る試料の界面を評価するシステムが、特許文献1に開示されている。
特開平6−186764号公報

発明が解決しようとする課題

0003

従来のSIMSによる積層膜界面の評価法には、以下(A)〜(C)の問題点がある。
(A)予め電気的な特性が判明している試料を多数個準備し、データベース構築する必要がある。
(B)積層厚みとSIMSの深さ方向の分解能はSLSモデル(Hofman,Benning-hoven)ではΔz=2(a・z)1/2となる。ここで、aは単原子層の厚さ、zは表面からの距離、Δzは元素Mの深さ方向のプロファイルにおいて最大84%と16%の間の距離である。そのため、厚みが増加すると深さ方向の分解能Δzは大きくなり、各種の積層膜厚の試料があると、厚みによる分解能の低下を考慮しなければならない。
(C)SIMSによる分析では、主成分の組成比により低濃度の元素の2次イオン放出量が大きく変わるので、組成の異なる積層膜サンプルを比較する場合、注目する元素強度正規化等を考慮する必要がある。
このように、従来におけるSIMSを利用した積層膜界面の評価法では、多くの計算が必要であり、そのため評価結果を算出にも長い時間を要しており、多くの計算を行わずに、短時間で電気特性を予測することが望まれていた。

0004

上記課題に鑑み、本発明は、SIMSにおける積層膜の深さ方向の測定時に積層膜界面の帯電による強度低下を利用することで薄膜トランジスタの特性を予測する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

上記目的を達成するため、本発明は、薄膜トランジスタのオン電流の低下を2次イオン質量分析装置を用いて予測する方法であって、薄膜トランジスタの積層構造と同じ積層構造を有し、それぞれ、オン電流が異なる複数の試料に対し、当該試料の表面帯電状態を非中和にした状態で1次イオン照射し、この照射により飛散した2次イオンを検出して当該試料の深さ方向のプロファイルを作成する第1工程と、第1工程で作成したプロファイルに基づいて、積層構造における半導体層界面の前後におけるシリコンの2次イオン強度低下率を求める第2工程と、シリコンの2次イオン強度の低下率とオン電流低下度相関曲線を作成する第3工程と、第1工程及び第2工程の手順により測定対象の試料の前記積層構造における半導体層界面前後におけるシリコンの2次イオン強度の低下率を求める第4工程と、第4工程において求められた試料の2次イオン強度の低下率を、前記シリコンの2次イオン強度の低下率とオン電流低下度の相関曲線に照らして、当該試料のオン電流低下度を求める第5工程とを含む。

0006

本発明の薄膜トランジスタのオン電流低下度予測方法では、第1工程が、前記試料における異なる大きさの第1領域と第2領域に対し、各領域毎にプロファイルを作成する工程を含み、第2工程が、上記第1及び第2領域毎に前記低下率を求める工程を含み、第3工程が、上記第1領域の低下率と上記第2領域の低下率との相対比率とオン電流低下度の相関曲線を作成する工程を含み、第5工程が、前記第3工程で求めた前記相関曲に基づいて、前記試料のオン電流低下度を求める。

0007

本発明の薄膜トランジスタのオン電流低下度予測方法において、前記試料の表面帯電状態を非中和にした状態では、当該表面帯電状態を中和にした状態時の中和からの電子線の照射量の70〜90%である。

発明の効果

0008

本発明によれば、多くの計算を行わずに短時間で薄膜トランジスタの電気特性、即ちオン電流の低下度を予測することができる。

発明を実施するための最良の形態

0009

以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。各図において同一又は対応する部材には同一符号を用いる。

0010

〔1〕概要
図1は本発明の実施形態に係るオン電流低下度予測装置(以下、予測装置という)1を示すブロック図である。予測装置1は、薄膜トランジスタの半導体層上の酸化膜の影響によるオン電流の低下度を2次イオン質量分析装置を用いて予測するものである。
具体的には、予測装置1は、薄膜トランジスタの2次イオン質量分析法において、積層膜界面の酸化状態により当該積層膜界面の帯電状況が変化し、この帯電状況に起因してスパッタリングで飛散する2次イオンの強度が変化することを利用して、2次イオンの強度を測定し、測定した2次イオンの強度に基づいてオン電流を予測する。
本実施形態では、薄膜トランジスタそのものを対象に測定を行うのではなく、後述するように、薄膜トランジスタと同じ積層パターンを有する試料を対象に測定を行う。
この予測装置1は、2次イオン質量分析装置(以下、SIMSという)10から成り、SIMS10は試料100を分析して、得られた試料100のデータを処理してオン電流を推定する。
以下、先ずSIMS10で分析する試料100について説明し、次にSIMS10について説明する。

0011

〔2〕試料について
試料100は、図2に示す積層膜構造で成る。具体的には、下から順にガラス基板110と、例えば厚み200nmのアルミニウムで成るゲート電極層120と、例えば厚み300nmの水素アモルファスシリコンナイトライドで成るゲート絶縁膜層130と、例えば厚み50nmの水素化アモルファスシリコンで成る半導体層140と、リンドープ水素化アモルファスシリコンで成るコンタクト層150と、エッチングストッパ層160と、例えば厚み200nmのクロムで成るソース電極層171及びドレイン電極層172(以下、ソース電極層171とドレイン電極層172とを総称してソース・ドレイン電極層という)と、例えば厚み200nmの水素化アモルファス・シリコンナイトで成るオーバーコート層180とが積層されている。
この積層膜構造は、図3に示す薄膜トランジスタ200と同じプロセスを経て構成されるため、図3の薄膜トランジスタ200の電気特性は、図2の積層膜構造をSIMS10で分析することで推測することが可能である。

0012

〔3〕SIMSについて
SIMS10は、図1に示すように、試料100を分析する分析部20と、この分析部20で得た分析結果を処理してオン電流の低下度、即ち、良品の薄膜トランジスタのオン電流に対する当該試料に対応した薄膜トランジスタにおけるオン電流の低下の度合いを推定する処理部30と、から構成されている。

0013

〔3−1〕分析部について
分析部20は、図1に示すように、デュプラズマトロン21と、エクストラクションレンズ22と、コンデンサーレンズ23と、静電偏向板24と、対物レンズ25と、エネルギーフィルター26と、四重極質量分析器27と、検出器28と、中和銃29と、から成る。これらの分析部の構成部材は、チャンバ40内に収容されている。

0014

デュオプラズマトロン21は、酸素ガスイオン化室に導入し、高周波印加によってO2+イオンを発生させる。デュオプラズマトロン21のイオン化室は、余剰の酸素ガスが分析チャンバ内に流れ込むので真空ポンプ真空引きを行う差動排気構造として構成されている。ここで、イオン化室の圧力は、後述のコンピュータによって制御が可能である。

0015

エクストラクションレンズ22は、デュオプラズマトロン21で発生したO2+イオンを引出し、接地電位である試料100に向けて所望の電圧加速させる。

0016

コンデンサーレンズ23は、試料100に照射するイオン電流(1次イオンビーム量)を制御する。

0017

静電偏向板24はビームの試料100に対する位置を変える。この静電偏向板24によって、ビームが最適な位置に照射される。

0018

対物レンズ25はO2+イオンビーム焦点及びビーム形状の最適化を行う。この対物レンズ25の走査によってスパッタ面積が決められる。

0019

この対物レンズ25によってO2+イオンビームの焦点及び形状が調整されて、試料100の表面をO2+イオンビームがスパッタする。この際、中性原子分子及びプラス及びマイナス原子イオン分子イオンが発生する。発生した2次イオンはエネルギーフィルター26に取り込まれ、静電場の中で最適なエネルギーを持った2次イオンがエネルギーフィルター26を通過して、四重極質量分析器27に到達する。四重極質量分析器27は2次イオンを質量分析する。検出器28は2次イオンの強度、すなわち個数計測する。

0020

以上のように構成された分析部20によれば、最終的に検出器28が2次イオンの個数(強度)を計測することで、後述の処理部30が、図4に示すような、試料深さ方向に対する各元素の濃度分布を示すプロファイルを得ることができる。

0021

〔3−2〕処理部について
次に、処理部30について説明する。
処理部30は、分析部20で得た分析結果、即ち検出器28での2次イオンの個数(強度)の計測結果を処理して、オン電流を推定する。

0022

処理部30は、図1に示すように、プロファイル作成手段31、低下率算出手段32、オン電流低下度算出手段33を有する。
プロファイル作成手段31は、2次イオンを取得した検出器28の出力から当該試料100の深さ方向のプロファイルを作成する。
低下率算出手段32は、以下詳述するように、プロファイル作成手段31により作成されたプロファイルに基づいて、コンタクト層150と半導体層140との間に形成される界面の前後におけるシリコンの2次イオン強度の低下率を求める。
オン電流低下度算出手段33は、低下率算出手段32において求められた低下率を、予め作成しておいた低下率とオン電流低下度との関係を含む参考データに照らして、当該試料のオン電流低下度を求める。

0023

この処理部30は、前述の分析部20と例えば通信ケーブル等の有線或いは無線で接続されたコンピュータで構成される。このコンピュータは、前もってインストールされたソフトウェアを実行することで、上記の分析部20の制御を行う他、上記のプロファイル作成手段31、低下率算出手段32、オン電流低下度算出手段33として機能する。

0024

コンピュータは、従来公知の構成のものを使用することができ、RAM,ROM,ハードディスクなどの記憶装置と、キーボードポインティングデバイスなどの操作装置と、操作装置等からの指示により記憶装置に格納されたデータやソフトウェアを処理する中央処理装置(CPU)と、処理結果等を表示するディスプレイなどを備えている。このコンピュータは汎用の装置であっても、専用の装置であってもよい。

0025

本実施形態に係る処理部30での処理に関し、先ず、処理対象の試料100、即ち薄膜トランジスタの特性について説明し、次に、SIMSの分析部20で得た試料100のプロファイル、続いてオン電流を推定する際に利用する参照データ等について、以下、順を追って詳説する。

0026

〔3−2−1〕トランジスタの特性について
図5は、横軸ゲート電圧VG〔V〕で縦軸がソース・ドレイン間電流ID〔A〕とした薄膜トランジスタの電気特性を示す図であり、図中の矢印Aのグラフはゲート電圧20ボルト、ソース・ドレイン間に20ボルトを印加したときの正常な薄膜トランジスタ(以下、試料Aという)のソース・ドレイン間電流、即ちオン電流を示す。この試料Aのオン電流を100%であるとすると、矢印Bのグラフはオン電流が不足している薄膜トランジスタ(以下、試料Bという)の特性を示し、矢印Cのグラフは著しくオン電流が不足している薄膜トランジスタ(以下、試料Cという)の特性を示している。試料Bの電流値は試料Aのオン電流の85%であり、試料Cは試料Aのオン電流の6%である。

0027

〔3−2−2〕プロファイルについて
前述の図4のプロファイルと図6のプロファイルとは、図5の矢印Cに示す試料CのSIMS10における深さ方向の元素濃度を示すプロファイルである。
図4図6とは同一の試料Cのプロファイルであり、SIMS10における測定において条件を変えて分析したプロファイルを表している。具体的な測定上の違いは、図4では試料帯電防止のための中和銃29(図1参照)の電流量を最適化して、即ち帯電状態を中和させた状態で測定し、図6では最適化条件よりも若干電子線の電流量を低下させて、即ち帯電状態が非中和な状態(以下、チャージアンバランスという)で測定を行っている。

0028

図4図6とを比較すると、両プロファイルの違いは、図6のプロファイルではコンタクト層150と半導体層140界面付近の前後(図6中でスパッタ時間の12分半)で各元素に強度の落ち込みが測定されている。図4図6の比較結果から、図6のプロファイルを取得した際の条件、試料Cをチャージアンバランス条件で測定した際にコンタクト層150と半導体層140界面付近に帯電が生じ、その結果、各元素の強度低下が生じている。

0029

図6のように、中和銃29による電子線量を中和状態から若干ずらした非中和の状態、即ちチャージアンバランス条件で、他の試料、即ち試料A、試料Bを測定して、図7及び図8に示すプロファイルを得た。試料Cよりもオン電流値が大きい試料A、試料Bにおいても、試料Cの場合よりも落ち込み具合は小さいが、試料Aではスパッタ時間の11分半頃(図7参照)に、試料Bではスパッタ時間の12分前頃(図8参照)に、各元素の強度低下が生じている。

0030

O2+イオンビームのスキャンエリアが150μm×150μmであり、+2次イオンの取り込みエリアはスキャンエリアの50%である。試料面上では、O2+イオンビームは試料面より30°の角度で入射させるので、スキャンエリア150μm×300μmの矩形となり、+2次イオンの取り込みも75μm×150μmとなる。なお、O2+イオンビームの電流量は100nA、中和銃は2kV、電子線電流量は最適条件で1.87uA、チャージアンバランス条件で1.50uAとした。
このように、コンタクト層150と半導体層140界面における帯電状態に応じて、プロファイルにおいて強度の低下がプロファイルに現れる。

0031

〔3−2−3〕オン電流予測に利用する参照データの作成
オン電流予測を行う事前準備として、良品の試料100と、良品でない試料100とを分析処理してデータを抽出し、それらの抽出データから実際の製品のオン電流を予測するときに利用する参照データを作成する。
例えば、上述のように、予め3つの試料A〜Cに対しチャージアンバランス条件で、試料深さ方向の各プロファイルを作成し、プロファイル毎にコンタクト層150と半導体層140の界面付近での電流の低下率を測定する。即ち、図9に示すように、コンタクト層150と半導体層140の界面付近でシリコンのコンタクト層150側の最大強度をI maxとし、半導体層140側の低下した強度をI downとする。

0032

低下率は下記の式(1)で定義される。

0033

ここで下記表1が各試料A〜Cの低下率である。
なお、各試料面上では、スキャン面積を250×250ミクロンの領域と、150×150ミクロンの領域とをそれぞれ対象として、低下率Iratio 1,2を求めた。

0034

下記表2は、正常のトランジスタである試料Aのオン電流の低下度を0%として、上記表1を変換した、トランジスタのオン電流の低下度Iratio 1’,2’を示す表である。



ここで、図10は表2をグラフ化したものであり、横軸がオン電流の低下度、縦軸がSIMS10による深さ方向の試料のプロファイルから求めたSi強度の低下度である。図10では、スパッタ面積の異なる低下度毎に近似曲線(相関曲線)が描かれている。

0035

この近似曲線(相関曲線)を描いた結果、スパッタ面積毎に異なる低下度のグラフf(x)は、下記の式2の形になる。



式(2)においてa,b,cは定数で、cはx=0の初期値の形になる。150ミクロン、250ミクロンの曲線において曲率を表すbは同一(=15)、縦軸の幅を表すaの値が変わる(それぞれa=0.88,0.29)。すなわち、照射1次イオンビーム電流量と帯電防止の電子線電流量を変更せずに、1次イオンビームの照射面積だけを広げると、イオンビームの電流密度が少なくなり、プラスの帯電量が少なくなる。そのため、Siの強度低下が小さくなる。しかし強度の低下率の度合いは変わらない。

0036

下記表3は、正常のトランジスタである試料Aのオン電流の低下率Iratio 1’,2’を1に正規化して変換した、トランジスタのオン電流の低下率Iratio 1”,2”を示す表である。



ここで、図11は表3をグラフ化したものであり、横軸がオン電流の低下度、縦軸がSIMS10による深さ方向の試料のプロファイルから求めたSi強度の低下度である。図11では、スパッタ面積の異なる低下度毎に近似曲線(相関曲線)が描かれている。

0037

この近似曲線(相関曲線)を描いた結果、スパッタ面積毎に異なる低下度のグラフF(x)は、下記の式(3)の形になる。



ここで、a,bは定数(a=0.88, 0.29)である。

0038

さらに、図11における2つの近似曲線(相関曲線)において、2つの値の比を取る。即ち、(Iratio 1”)/(Iratio 2”)を計算すると、図12のグラフを得る。
このようにして得たグラフ12に示す数値が、参照データとして利用される。

0039

〔3−2−4〕オン電流予測方法
先ず、検査対象の薄膜トランジスタを用意する。ここで、薄膜トランジスタとしては、前述の試料A〜Cと同様に、検査対象の薄膜トランジスタと同じ基板に形成されたTEG(Test Element Group)を試料として分析し、分析結果を処理する。
以下、SIMS10における試料の分析とその結果についての処理を、図13に示すオン電流予測の手順に従って説明する。
先ず、試料に対して検出器28の最大感度を計測する(ステップS1)。その際、試料の位置の調整、中和銃29の設定、検出器28の位置の調整などを行う。また、試料表面の帯電を中和させた状態で検出器28の最大感度を計測する。このときの中和銃29の電流量を、試料表面を中和させるための最適条件とする。その後、試料のプロファイルを作成する(ステップS2)。そして、このプロファイルを確認して、コンタクト層150と半導体層140間の界面前後にSi元素の強度の落ち込みが生じているか確認する(ステップS3)。ここで、Si元素の強度の落ち込みが生じていなければ、中和銃29の電流量を調整する(ステップS4)。具体的には、Si元素の強度の落ち込みが生ずるよう、例えば、中和銃29の電流量を最適条件時の電流量の80%に設定し、再びプロファイルを作成する(ステップS4からステップS2へ)。このチャージアンバランス条件でもコンタクト層150と半導体層140間の界面前後にSi元素の強度の落ち込みが得られなければ、中和銃29の電流量を再調整する。

0040

処理部30は、プロファイルから、分析対象である試料の式(1)の強度の低下率Iratio 1,2を領域毎、即ち250ミクロンの領域と150ミクロンの領域毎に算出し(ステップS5)、さらに低下率Iratio 1,2に基づいて低下度Iratio 1”と低下度Iratio 2”とを求める。

0041

そして、それらの比(Iratio 1”)/(Iratio 2”)を計算し、その比の値に基づいて、図12のグラフからオン電流の低下度を求める(ステップS6)。
このように薄膜トランジスタのオン電流の低下度を算出することができる。

0042

本発明の実施形態によれば、薄膜トランジスタ積層膜の深さ方向における界面強度の低下から薄膜トランジスタのオン電流値の予測を行うことにより、実際にトランジスタ特性を測定せずに、薄膜トランジスタの特性の良否を判定できる。
また、本実施形態では、一つの試料から二つの低下度Iratio 1”,2”を求め、それらの相対比率からオン電流値の低下度を予測するので、精度良く予測できる。
O2+イオンビームを用いることで、Cs+イオンビームを用いる場合に比べて、試料表面の帯電がやや起こりにくい。

0043

以上説明したが、本発明は発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施をすることができる。
上記説明では、一つの試料から二つの低下度Iratio 1”,2”を求めて、図12の曲線上で相対比率の合致した点が正常のトランジスタからのオン電流低下度と予測したが、試料から得るSi元素の強度の低下率は一つでもよく、即ち、Iratio 1”及びIratio 2”の一方(或いはIratio 1’及びIratio 2’の一方)だけを利用して検査対象の薄膜トランジスタにおけるオン電流の低下度を求めることもできる。この場合、図10又は図11から合致する点を抽出して、この点を正常のトランジスタからのオン電流低下度と予測する。
上記説明では、O2+イオンビームを用いたが、他にCs+イオンビームも利用することは可能である。
上記実施形態では、チャージアンバランス条件として、試料表面の帯電を中和させた状態(最適状態)から若干ずらしているが、その際の中和銃29の電流量は、例えば最適状態時の70〜90%程度するのが望ましい。

0044

上記実施形態では、測定対象を薄膜トランジスタとしたが、電気的に接続を行うパネル端子部ゲートライン、ソース・ドレインライン積層酸化膜による導電性評価としてもよい。

図面の簡単な説明

0045

本発明の実施形態に係るオン電流低下度予測装置を示すブロック図である。
図1のオン電流低下度予測装置で分析する試料の断面図である。
図2の試料と等価の薄膜トランジスタの断面図である。
図1のオン電流低下度予測装置で図2の試料を分析して得た試料のプロファイルを示すグラフである。
図3の薄膜トランジスタの電気特性を示すグラフである。
図1のオン電流低下度予測装置で図2の試料を分析して得た試料のプロファイルを示すグラフである。
図1のオン電流低下度予測装置で図2の試料を分析して得た試料のプロファイルを示すグラフである。
図1のオン電流低下度予測装置で図2の試料を分析して得た試料のプロファイルを示すグラフである。
本発明の実施形態に係るオン電流低下度予測装置の処理部の処理を説明するための図である。
本発明の実施形態に係るオン電流低下度予測装置の処理部の処理を説明するための図である。
本発明の実施形態に係るオン電流低下度予測装置の処理部の処理を説明するための図である。
本発明の実施形態に係るオン電流低下度予測装置の処理部の処理を説明するための図である。
本発明の実施形態に係るオン電流低下度予測装置におけるオン電流予測手順フローチャートである。

符号の説明

0046

1予測装置
10SIMS
20分析部
21デュオプラズマトロン
22エクストラクションレンズ
23コンデンサーレンズ
24静電偏向板
25対物レンズ
26エネルギーフィルター
27四重極質量分析器
28検出器
29中和銃
30 処理部
31プロファイル作成手段
32低下率算出手段
33オン電流低下度算出手段
40チャンバ
100試料
110ガラス基板
120ゲート電極層
130ゲート絶縁膜層
140半導体層層
140 半導体層
150コンタクト層
160エッチングストッパ層
171ソース電極層
172ドレイン電極層
180オーバーコート層
200薄膜トランジスタ
IDソース−ドレイン間電流
VG ゲート電圧

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