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技術 調湿性を有する吹付け断熱材

出願人 クリオン株式会社
発明者 植松純
出願日 2008年9月30日 (12年3ヶ月経過) 出願番号 2008-255064
公開日 2010年4月15日 (10年8ヶ月経過) 公開番号 2010-083718
状態 未査定
技術分野 建築環境 セメント、コンクリート、人造石、その養正 セメント、コンクリート、人造石、その養生
主要キーワード 機能性無機材料 合否判定基準 コンテナバック スレート波板 水分補正 パーライト粒子 初期含水率 炭酸化前
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

断熱性および調湿性を備え、吹付け材としての付着性軽量性、柔軟性を備え、吹付け性能にも優れ、吹付け塗膜タレ剥離、亀裂などを生じない調湿性を有する吹付け断熱材を提供する。

解決手段

構造体表面に吹付る調湿性を有する吹付け断熱材であって、炭酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム水和物起源とする非晶質シリカを主成分とし、最大粒径が1.2mm以下の調湿性物質20〜25重量%、セメント20〜25重量%、軽量骨材30〜40重量%及び補強繊維20〜35重量%を含有し、かつ前記軽量骨材と前記補強繊維の合計が55〜60重量%である調合原料100重量部に対し、2%水溶液の20℃における粘度範囲が12000〜18000mPa・sのメチルセルロース1.0〜1.5重量部及び水130〜160重量部を添加し、2〜6分間攪拌混合する。

概要

背景

近年の建築物は、高気密・高断熱化が進んでおり、建物内には多くの断熱材が使用されている。代表的なものとしては、グラスウールロックウールウレタンフォームなどが挙げられる。
しかし、グラスウールはマット状の成型体であるため、例えばスレート波板折板屋根鉄骨周りなど複雑な形状をした箇所に設置するには不向きであり、下地との間に隙間を生じたり、特別な加工や施工を要してコストが嵩んだりするなどの問題がある。また、マット間に継ぎ目が生じ、そこから熱が伝わって逃げるため、材料自身の断熱性が良くても、全体的として見ると断熱性に劣る場合がある。
そのため、このような用途の場合、成型体ではなく吹付け材を使用するのが好ましい。そして、ウレタンフォームや吹付けロックウールなどの吹付け断熱材も広く利用されている。

一方、近年の高気密化された建築物では、室内で発生した水分が壁面や壁内で結露したり、不快な蒸し暑さを感じたり、逆に極端乾燥状態になったりするなど、温湿度の変化に伴う様々な問題が発生している。
そこで、特許文献1に示すような調湿材の利用が広まってきている。しかし、こうした調湿材は、調湿性特化したものであるため、断熱材とは別に設ける必要があり、新たな手間とコストが必要となってくる。
そのため、調湿性を持たせた断熱材(一般に調湿系断熱材と呼ばれる)が市販され、こうした課題に対応している。しかし、そうしたものの殆どは、セルロースファイバーのような吹き込みタイプか機能性無機材料を使用した成型体であるため、既述した問題が生じてしまう。
ウレタンフォームや吹付けロックウールなどの吹付け断熱材に調湿性を持たすことができれば望ましいが、それは非常に困難である。

その理由としては、
(1)吹付け時に壁面や天井面に強固に付着し、厚塗りしても剥落しないようにするためには、多くのバインダー補強材が必要となるため、調湿性物質添加量を少なくせざるを得ないこと、
(2)吹付け材の課題である収縮亀裂を低減するには、収縮力に耐え得るように補強材の量を多くしたり、靭性の低い柔らかい材料にするために軽量骨材の量を多くしたりする必要があるため、調湿性物質の添加量を少なくせざるを得ないこと、
(3)高い断熱性を得ようとすると、軽量骨材を多量に入れるなどして比重を低くする必要があるため、調湿性物質の添加量を少なくせざるを得ないこと
などが挙げられる。

すなわち、調湿性を有する吹付け断熱材における調湿性、断熱性、吹付け材時の付着性、材料の柔軟性等は、互いに相反する特性であるため、そのバランスを取るのが非常に困難であることから、十分な断熱性に加えて調湿性を確保するのが難しくなっていたのである。

吹付け材に関する従来技術としては、岩綿などの鉱物繊維毛玉状粒に成形した副資材セメントなどに混合した左官用資材(例えば、特許文献2参照)が知られており、この資材は鉱物繊維の毛細管現象により調湿性を発揮し、吹付け材として用いることもできるとされている。

しかし、この左官用資材においては、鉱物繊維からなる毛玉状粒を多量に添加することで結露を防止しており、吹付け材としての利用にも言及されてはいるものの、実際に吹付け材として使用する場合には、粒状物粒を多量に含んでいるためにポンプでの搬送性に優れているとはいい難く、ノズル詰まりが生じやすいという問題があった。

そればかりか、調湿性についても、鉱物繊維間の毛細管現象を利用するものであるため、珪藻土などの細孔を利用したものに比べて空隙サイズが大きく、発生した結露を吸収するには十分であっても、高湿度時に空気中の水蒸気捕捉したり、低湿度時に水蒸気を排出したりする調湿性は十分とは言い難いものであった。

本発明者らは、かかる実情を打開するために検討した結果、非晶質シリカを主成分とする調湿性物質、セメント、軽量骨材及び補強繊維特定割合で含有する調合原料を水に分散させた調湿性を有する吹付け断熱材が、調湿性、断熱性及び難燃性に優れており、吹付け材として必要な付着性、軽量性、柔軟性をも備えたものであることを見出し、この調湿性を有する吹付け断熱材について、特許文献3を先に出願した。

しかし、本発明者らは、上記調湿性を有する吹付け断熱材についてさらに検討を継続した結果、本発明者らが先に提案した調湿性を有する吹付け断熱材は、調湿性を重視した「吹付け材」に断熱性を付与したものであるため、調湿性については非常に優れているものの、断熱性については必ずしも十分ではない点でやや性能が不十分であることが判明した。
すなわち、代表的な断熱材であるグラスウール、ロックウール、ウレタンフォームなどの熱伝導率が概ね0.025〜0.06W/mKであるのに対し、上記調湿性を有する吹付け断熱材は、密度が0.35〜0.45g/cm3と高いため、熱伝導率が最良でも0.07W/mK強となるため、高い調湿性を要する特殊用途で用いることはできても、一般的な断熱材に調湿性を付加したものとして、断熱材の代替に利用することが困難であった。
一方、上記用途で利用する場合には、調湿性については十分過ぎる性能を有しているため、調湿性を若干犠牲にしても、より高い断熱性を持ち、しかも、より密度の低い調湿性を有する吹付け断熱材の実現が求められていた。
また、上記調湿性を有する吹付け断熱材は、吹付け性能にも若干の問題が残されており、吹付けて形成した材料にタレ剥離、亀裂などの不具合を生じることも問題視されていたため、これら問題点の改良が当面の課題であった。
特開平7−25679号公報
特開平6−80450号公報
特願2007−231020

概要

断熱性および調湿性を備え、吹付け材としての付着性、軽量性、柔軟性を備え、吹付け性能にも優れ、吹付けた塗膜にタレ、剥離、亀裂などを生じない調湿性を有する吹付け断熱材を提供する。構造体表面に吹付る調湿性を有する吹付け断熱材であって、炭酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム水和物起源とする非晶質シリカを主成分とし、最大粒径が1.2mm以下の調湿性物質20〜25重量%、セメント20〜25重量%、軽量骨材30〜40重量%及び補強繊維20〜35重量%を含有し、かつ前記軽量骨材と前記補強繊維の合計が55〜60重量%である調合原料100重量部に対し、2%水溶液の20℃における粘度範囲が12000〜18000mPa・sのメチルセルロース1.0〜1.5重量部及び水130〜160重量部を添加し、2〜6分間攪拌混合する。なし

目的

したがって、本発明の目的は、優れた断熱性に加えて調湿性を兼備すると共に、吹付け材として必要な付着性、軽量性、柔軟性をも備え、さらには吹付け性能にも優れるばかりか、吹付けた材料にタレ、剥離、亀裂などの不具合を生じることがない調湿性を有する吹付け断熱材を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

構造体表面に吹付けて、該表面に断熱性に加えて調湿性を付与するために使用する調湿性を有する吹付け断熱材であって、炭酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム水和物起源とする非晶質シリカを主成分とし、最大粒径が1.2mm以下の調湿性物質20〜25重量%、セメント20〜25重量%、軽量骨材30〜40重量%及び補強繊維20〜35重量%を含有し、かつ前記軽量骨材と前記補強繊維の合計が55〜60重量%である調合原料100重量部に対し、2%水溶液の20℃における粘度範囲が12000〜18000mPa・sのメチルセルロース1.0〜1.5重量部及び水130〜160重量部を添加し、2〜6分間攪拌混合してなることを特徴とする調湿性を有する吹付け断熱材。

請求項2

前記調湿性物質が、軽量気泡コンクリート炭酸化して得られた炭酸カルシウム及び非晶質シリカを主成分とし、かつ炭酸カルシウムの形態がバテライトまたはアラゴナイトを主とする粉粒体であることを特徴とする請求項1記載の調湿性を有する吹付け断熱材。

請求項3

前記軽量骨材が、単位容積重量0.10〜0.25kg/Lのパーライトであることを特徴とする請求項1または2記載の調湿性を有する吹付け断熱材。

請求項4

請求項1〜3記載の調湿性を有する吹付け断熱材の絶乾密度は、0.20〜0.35g/cm3であることを特徴とする調湿性を有する吹付け断熱材。

技術分野

0001

本発明は、主に建築物内装面天井面、鉄骨周りなどの構造体表面に吹付けて、該表面に断熱性調湿性を加えるとともに、不燃性などの特性を付与するために使用する調湿性を有する吹付け断熱材に関するものであり、より詳しくは、断熱性に加えて調湿性を兼備すると共に、吹付け材として必要な付着性軽量性、柔軟性をも備え、さらには吹付け性能にも優れるばかりか、吹付けた材料にタレ剥離、亀裂などの不具合を生じることがない調湿性を有する吹付け断熱材に関するものである。

背景技術

0002

近年の建築物は、高気密・高断熱化が進んでおり、建物内には多くの断熱材が使用されている。代表的なものとしては、グラスウールロックウールウレタンフォームなどが挙げられる。
しかし、グラスウールはマット状の成型体であるため、例えばスレート波板折板屋根、鉄骨周りなど複雑な形状をした箇所に設置するには不向きであり、下地との間に隙間を生じたり、特別な加工や施工を要してコストが嵩んだりするなどの問題がある。また、マット間に継ぎ目が生じ、そこから熱が伝わって逃げるため、材料自身の断熱性が良くても、全体的として見ると断熱性に劣る場合がある。
そのため、このような用途の場合、成型体ではなく吹付け材を使用するのが好ましい。そして、ウレタンフォームや吹付けロックウールなどの吹付け断熱材も広く利用されている。

0003

一方、近年の高気密化された建築物では、室内で発生した水分が壁面や壁内で結露したり、不快な蒸し暑さを感じたり、逆に極端乾燥状態になったりするなど、温湿度の変化に伴う様々な問題が発生している。
そこで、特許文献1に示すような調湿材の利用が広まってきている。しかし、こうした調湿材は、調湿性に特化したものであるため、断熱材とは別に設ける必要があり、新たな手間とコストが必要となってくる。
そのため、調湿性を持たせた断熱材(一般に調湿系断熱材と呼ばれる)が市販され、こうした課題に対応している。しかし、そうしたものの殆どは、セルロースファイバーのような吹き込みタイプか機能性無機材料を使用した成型体であるため、既述した問題が生じてしまう。
ウレタンフォームや吹付けロックウールなどの吹付け断熱材に調湿性を持たすことができれば望ましいが、それは非常に困難である。

0004

その理由としては、
(1)吹付け時に壁面や天井面に強固に付着し、厚塗りしても剥落しないようにするためには、多くのバインダー補強材が必要となるため、調湿性物質添加量を少なくせざるを得ないこと、
(2)吹付け材の課題である収縮亀裂を低減するには、収縮力に耐え得るように補強材の量を多くしたり、靭性の低い柔らかい材料にするために軽量骨材の量を多くしたりする必要があるため、調湿性物質の添加量を少なくせざるを得ないこと、
(3)高い断熱性を得ようとすると、軽量骨材を多量に入れるなどして比重を低くする必要があるため、調湿性物質の添加量を少なくせざるを得ないこと
などが挙げられる。

0005

すなわち、調湿性を有する吹付け断熱材における調湿性、断熱性、吹付け材時の付着性、材料の柔軟性等は、互いに相反する特性であるため、そのバランスを取るのが非常に困難であることから、十分な断熱性に加えて調湿性を確保するのが難しくなっていたのである。

0006

吹付け材に関する従来技術としては、岩綿などの鉱物繊維毛玉状粒に成形した副資材セメントなどに混合した左官用資材(例えば、特許文献2参照)が知られており、この資材は鉱物繊維の毛細管現象により調湿性を発揮し、吹付け材として用いることもできるとされている。

0007

しかし、この左官用資材においては、鉱物繊維からなる毛玉状粒を多量に添加することで結露を防止しており、吹付け材としての利用にも言及されてはいるものの、実際に吹付け材として使用する場合には、粒状物粒を多量に含んでいるためにポンプでの搬送性に優れているとはいい難く、ノズル詰まりが生じやすいという問題があった。

0008

そればかりか、調湿性についても、鉱物繊維間の毛細管現象を利用するものであるため、珪藻土などの細孔を利用したものに比べて空隙サイズが大きく、発生した結露を吸収するには十分であっても、高湿度時に空気中の水蒸気捕捉したり、低湿度時に水蒸気を排出したりする調湿性は十分とは言い難いものであった。

0009

本発明者らは、かかる実情を打開するために検討した結果、非晶質シリカを主成分とする調湿性物質、セメント、軽量骨材及び補強繊維特定割合で含有する調合原料を水に分散させた調湿性を有する吹付け断熱材が、調湿性、断熱性及び難燃性に優れており、吹付け材として必要な付着性、軽量性、柔軟性をも備えたものであることを見出し、この調湿性を有する吹付け断熱材について、特許文献3を先に出願した。

0010

しかし、本発明者らは、上記調湿性を有する吹付け断熱材についてさらに検討を継続した結果、本発明者らが先に提案した調湿性を有する吹付け断熱材は、調湿性を重視した「吹付け材」に断熱性を付与したものであるため、調湿性については非常に優れているものの、断熱性については必ずしも十分ではない点でやや性能が不十分であることが判明した。
すなわち、代表的な断熱材であるグラスウール、ロックウール、ウレタンフォームなどの熱伝導率が概ね0.025〜0.06W/mKであるのに対し、上記調湿性を有する吹付け断熱材は、密度が0.35〜0.45g/cm3と高いため、熱伝導率が最良でも0.07W/mK強となるため、高い調湿性を要する特殊用途で用いることはできても、一般的な断熱材に調湿性を付加したものとして、断熱材の代替に利用することが困難であった。
一方、上記用途で利用する場合には、調湿性については十分過ぎる性能を有しているため、調湿性を若干犠牲にしても、より高い断熱性を持ち、しかも、より密度の低い調湿性を有する吹付け断熱材の実現が求められていた。
また、上記調湿性を有する吹付け断熱材は、吹付け性能にも若干の問題が残されており、吹付けて形成した材料にタレ、剥離、亀裂などの不具合を生じることも問題視されていたため、これら問題点の改良が当面の課題であった。
特開平7−25679号公報
特開平6−80450号公報
特願2007−231020

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。

0012

したがって、本発明の目的は、優れた断熱性に加えて調湿性を兼備すると共に、吹付け材として必要な付着性、軽量性、柔軟性をも備え、さらには吹付け性能にも優れるばかりか、吹付けた材料にタレ、剥離、亀裂などの不具合を生じることがない調湿性を有する吹付け断熱材を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

上記の目的を達成するために本発明によれば、構造体表面に吹付けて、該表面に断熱性に加えて調湿性を付与するために使用する調湿性を有する吹付け断熱材であって、炭酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム水和物起源とする非晶質シリカを主成分とし、最大粒径が1.2mm以下の調湿性物質20〜25重量%、セメント20〜25重量%、軽量骨材30〜40重量%及び補強繊維20〜35重量%を含有し、かつ前記軽量骨材と前記補強繊維の合計が55〜60重量%である調合原料100重量部に対し、2%水溶液の20℃における粘度範囲が12000〜18000mPa・sのメチルセルロース1.0〜1.5重量部及び水130〜160重量部を添加し、2〜6分間攪拌混合してなることを特徴とする調湿性を有する吹付け断熱材が提供される。

0014

なお、本発明の調湿性を有する吹付け断熱材においては、
前記調湿性物質が、軽量気泡コンクリート炭酸化して得られた炭酸カルシウム及び非晶質シリカを主成分とし、かつ炭酸カルシウムの形態がバテライトまたはアラゴナイトを主とする粉粒体であること、
前記軽量骨材が、単位容積重量0.10〜0.25kg/Lのパーライトであること、
そして、調湿性を有する吹付け断熱材の絶乾密度は、0.20〜0.35g/cm3であること
が、いずれも好ましい条件としてとして挙げられ、これらの条件を満たす場合には、より性能バランスが優れた調湿性を有する吹付け断熱材を得ることができる。

発明の効果

0015

本発明によれば、以下に説明するとおり、優れた断熱性に加えて調湿性を兼備すると共に、吹付け材として必要な付着性、軽量性、柔軟性をも備え、さらには吹付け性能にも優れるばかりか、吹付けた材料にタレ、剥離、亀裂などの不具合を生じることがない調湿性を有する吹付け断熱材を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0016

以下、本発明を実施するための形態について、具体的に説明する。
本発明の調湿性を有する吹付け断熱材は、炭酸カルシウムおよびケイ酸カルシウム水和物を起源とする非晶質シリカとを主成分とし、最大粒径が1.2mm以下の調湿性物質20〜25重量%、セメント20〜25重量%、軽量骨材30〜40重量%及び補強繊維20〜35重量%を含有し、かつ前記軽量骨材と前記補強繊維の合計が55〜60重量%である調合原料100重量部に対し、2%水溶液の20℃における粘度範囲が12000〜18000mPa・sのメチルセルロース1.0〜1.5重量部及び水130〜160重量部を添加し、2〜6分間攪拌混合してなる。

0017

本発明で使用する調湿性物質は、ケイ酸カルシウム水和物を炭酸化処理することで得られるものであり、主に炭酸カルシウムと非晶質シリカとからなる。この物質細孔径分布を調べると、平均細孔径の大小両側にそれぞれピークを持つという特徴がある。
この調湿性物質の細孔径分布を調べると、平均細孔径の両側にそれぞれピークを持つという特徴がある。そして、平均より大きな細孔(マクロ孔)が湿気伝導性を大きくし、平均より小さな細孔(ミクロメソ孔)が比表面積を大きくして吸着放出性能を向上させる。
すなわち、この調湿性物質の調湿原理は、大きな細孔で材料の内部奥深くにまで湿気を取り込み、小さな細孔で湿気を補足するというものであって、大きさの異なる二種類の細孔の相乗効果によるものである。これにより、珪藻土などにも引けを取らない、非常に高い調湿性を持った材料となる。
しかも、この調湿性物質は、1.2mm以下の粉粒状にしても比較的軽量であり、球形に近い形状のものを容易に得ることができるため、吹付け材の原料としても高い適性を持っている。さらに、主成分の炭酸カルシウムを700℃以上の高温に加熱すると、吸熱反応を起こし二酸化炭素酸化カルシウムに分解するため、不燃性にも優れている。

0018

また、本発明で使用する調湿性物質は、炭酸カルシウムの形態を限定することによって、調湿性をより高くすることが可能である。
炭酸カルシウムは、一般にカルサイト、アラゴナイト、バテライトの三つの形態を取ることが知られている。この調湿性物質においてもケイ酸カルシウム水和物の成分や炭酸化の条件を変えることによって、これらが単独または混合して存在し得る。
また、炭酸カルシウムは、主に比表面積の増大に寄与するため、特に比表面積の大きいバテライト、またはそれに次ぐアラゴナイトを中心とすることで、カルサイト中心のものよりも高い調湿性を得ることができる。

0019

炭酸化処理を行うケイ酸カルシウム水和物としては、低結晶質ケイ酸カルシウム水和物(CSH)、ゾノトライトなども使用可能であるが、品質の安定性や炭酸化のしやすさなどを考慮すると、トバモライトを主成分としたものであることが望ましい。
トバモライトは、本調湿性物質用に純合成したものを用いても良いが、リサイクルの観点から軽量気泡コンクリート(ALC)の端材廃材粉砕したものを用いるのが最も望ましい。

0020

このようにして得られた調湿物質は、嵩密度が0.45〜0.80kg/Lで、かつ前述の細孔構造を有するものとなり、優れた調湿性が発揮されるようになる。

0021

以下に、軽量気泡コンクリート(以下、ALCと呼ぶ)の廃材を用いた場合の調湿性物質の製造方法を説明する。
まず、ALCの廃材を、ロールクラッシャーを用いて粗粉砕し、内在されている補強鉄筋などを取り除く。それをハンマークラッシャー振動ミル等を用いて微粉砕し、目開き1.2mmのいに通して粒度を整える。この粉粒体を炭酸ガス充満したに入れ、炭酸化反応を起こさせることにより、炭酸カルシウムと非晶質シリカを得ることができる。

0022

ここで、炭酸ガスとしては、純度100%の二酸化炭素を用いても良く、他のガスと混合されたものを用いても良い。具体的には、市販の液化炭酸ガスまたはドライアイス気化したもの、燃焼ガス排気ガス等を用いることができる。混合ガスを用いる場合には、炭酸ガス濃度が高いほど反応が早く進行するため、二酸化炭素濃度が高いほど好ましく、30%以上であることがより好ましい。また排気ガスを使用する場合には、脱硫脱硝集塵処理を行ったものを使用するのが好ましい。

0023

反応温度は特に限定しないが、粉粒体中に水分が存在する状態、すなわち0℃以上100℃以下とすることが好ましい。特に炭酸化反応が促進されるのは反応温度30〜80℃であるが、炭酸化反応は発熱を伴い、これにより釜内温度が上昇するため、反応開始時における釜内温度をおおよそ60℃以下とすることが望ましい。また、炭酸養生中の圧力も反応に影響を及ぼす。圧力が高いほど反応は促進するが、工業的には2MPa以下で行うのが好ましい。

0024

さらに、炭酸化反応を効率的に行うには、釜内への炭酸ガスの流入に先立ち、予め容器内を真空にする「真空工程」を設け、処理する粉粒体中の空気を抜いた後、高濃度の炭酸ガスを釜内へ流入させるといった方法が適用できる。

0025

この炭酸化反応により、ALCを構成するケイ酸カルシウム水和物(主にトバモライトで、一部CSHを含む)のカルシウム成分は、炭酸カルシウムとなって溶出する。これによって、トバモライト結晶においてカルシウム成分が存在していた部分に小さな細孔(ミクロ/メソ孔)が形成される。また、その一方で、カルシウム成分が溶出しても、炭酸化前のケイ酸カルシウム水和物におけるトバモライト結晶同士の重なり(骨格)は維持された状態となっているので、それらの隙間は大きな細孔(マクロ孔)として残存することになる。このようにして、大きさの異なる二種類の細孔が存在するようになる。

0026

なお、この工程において、調湿物質中の炭酸カルシウムの形態をある程度制御することが可能である。炭酸カルシウムの形態制御は非常に複雑で様々な要因が絡み合うため、ここでその全てを述べることはできないが、例えば、軽量気泡コンクリートを構成するケイ酸カルシウム水和物がCaO/SiO2モル比で0.95〜1.15の範囲内であると比較的バテライトができやすく、0.95未満であるとカルサイトとなりやすい。
また、炭酸化時の粉粒体の初期含水率が15〜55重量%程度であるとバテライトとなりやすい。

0027

次に、この調湿性物質の配合量について説明する。
上述したように、吹付け材に調湿性物質を多量に添加するのは困難である。多量に添加しようとすると、他の原料を減らすことになるため、吹付け時の跳ね返り量の増加、吹付け後の剥落、収縮亀裂の発生、断熱性の低下を招く。
したがって、調湿性物質の配合量は、最大でも25重量%に抑える必要がある。ただし、少なすぎると十分な調湿性が確保できないため、調湿性物質の配合量は20〜25重量%の範囲とするのが望ましい。
調湿性物質の配合量を25重量%以下に抑え、かつ十分な調湿性を得るには、比較的少量でも高い調湿性を発揮する物質を用いなければならない。また、幾ら調湿性が高くても、吹付けに適していないものは使用できない。
例えば、珪藻土は非常に優れた調湿性を有しており、市販の調湿製品に広く用いられているが、比重が高いのが難点である。比重の高い原料を用いると、吹付け材自体の比重も高くなるため、吹付け後に自重支えきれずに剥落したり、或いは断熱性が低下したりする。

0028

また、本発明で使用する調湿性物質は、配合量ばかりではなく、その粒径や形状も重要である。粒径が大きいと、粒子間の隙間が大きくなって最密充填からより遠ざかるため、付着力が低くなる。それにより、吹付け時の跳ね返りが多くなったり、吹付け後の剥落の危険性が増したりする。
特に、低比重化のために比較的粒径の大きい軽量骨材を多量に添加する必要のある条件では、軽量骨材の隙間に調湿性物質が入り込み、繋ぎの役目を担うようにしないと、十分な付着力が得られない。したがって、調湿性物質の粒径は、1.2mm以下にする必要がある。
また、粒径が1.2mm以下であったとしても、球形から大きく外れるような偏った形状は好ましくない。
例えば、ガラスセラミックのような硬質のものを砕くと、先の鋭くった針状の形状となりやすいが、こうした形状のものは吹付け時に尖った部分が下地に当たると付着せずに跳ね返ってしまうため、吹付け材の原料としては不適である。

0029

本発明で使用するセメントは、バインダーとして機能するものである。吹付け材のバインダーについては、無機系と有機系とに大別されるが、本発明においては、耐火性や安全性などを考慮して無機系であること、特にセメントを使用することが望ましい。その中でも、調湿性物質との相性が良いポルトランドセメントを使用するのが望ましい。

0030

セメントの種類は特に限定されるものではなく、施工現場の条件や必要となる硬化速度に応じて使い分けることが可能である。具体的には、普通ポルトランドセメント早強ポルトランドセメントアルミナセメントジェットセメントなどであり、通常はコスト面で有利な普通ポルトランドセメントが用いられる。
配合量については、十分な強度を得るために最低でも20重量%は必要であり、それより少ないと特に初期段階での強度発現が不十分となり、工期遅れに繋がってしまう。
一方、他原料との兼ね合いからあまり多く入れることもできないため、配合量は20〜25重量%の範囲が好適である。なお、必要に応じ、凝固促進剤遅延剤を加え、セメントの硬化速度をコントロールすることも可能ではある。

0031

本発明で用いる軽量骨材は、吹付け材の比重を低くし、断熱性を向上させることを主な目的として配合される。

0032

そのため、断熱性を重視する条件においては、軽量骨材の配合量をより多くすることが望ましい。しかし、軽量骨材を増やして密度を低くしすぎると、単位体積辺りの固形分が極端に減少し、結果的にバインダーが不足で材料がダレたり、剥離したりすることになる。
したがって、軽量骨材の配合量は30〜40重量%とするのが望ましい。このように、軽量骨材の配合量には上限に制限があることから、なるべく少ない量で軽量性を付与せねばならず、できるだけ比重が低いものを用いる必要がある。

0033

しかし、軽量である軽量骨材は得てして脆く強度が低いために、原料調合時または吹付け工事での混練時に粒子が壊れて粉状になってしまい、期待した軽量性を付与できないことが多い。
そのためには、軽量でありながらも、ある程度の強度を持っている必要がある。具体的には、パーライト、バーミキュライト発泡樹脂発泡セラミックなどを使用することができる。

0034

なお、上記の軽量骨材の中でも、バーミキュライトは一部の鉱床アスベスト汚染の懸念があるため、特に材料が飛散しやすい吹付け材の原料として用いる場合には細心の注意が必要となる。
また、発泡樹脂は有機物であるため熱に弱く、特別な処理を施しても、難燃性までが限界で不燃性を得られないことが多い。発泡セラミックについは、吹付けに適したサイズまで細かくすると軽量骨材としては重くなりがちで、他の材料と比べて高価でコスト的に不利になりやすい。

0035

以上のことから、本発明においては、軽量骨材としてパーライト、とりわけ黒曜石系あるいは真珠岩系の中でも製造方法に工夫を凝らして黒曜石系並に品質を改良したパーライトを用いるのが望ましい。
具体的には、単位容積質量0.10〜0.25kg/L、吸水率70重量%以下であることが望ましい。単位容積質量が大きすぎると軽量性が不十分となるし、小さすぎると強度的が不十分となりやすい傾向になる。

0036

また、軽量骨材は、それ自体の吸水率も非常に重要なファクターである。強度の低い材料を混練時に壊れにくくする対策として、水/固体比を高くして流動性を良くし、粒子同士を擦れにくくする方法が考えられる。
しかし、吸水率の高いパーライトを用いると、混練初期の段階でパーライトが多量に吸水し、流動性が急激に低下してしまう。すると、パーライト粒子激しく擦れ合って粒子が破壊され、パーライトの持つ空隙が潰れて粉状になってしまう。
その結果、期待した軽量性が得られなくなるだけでなく、パーライトが潰れて全体の体積縮小する一方で、一度吸水したパーライトから再び水が放出されるため、水分過多の状態となって吹付け時にダレを生じてしまうことがある。

0037

本発明で使用する補強繊維については、特に限定されるものではなく、吹付け材の補強用に一般的に使用されているロックウールやグラスウールなどを使用することができ、粉体原料を混練して調合する際の分散性が良く、取り扱いも容易な粒状ロックウールを用いるのが望ましい。補強繊維は、吹付け材を補強し、ダレや亀裂を抑制する働きがあるが、本発明においては添加水を増やす役割をも担っている。
密度を下げるには水を多く入れることが望ましいが、繊維を増やすことで攪拌混練時の粘度が上がるため、水を大幅に増やすことが可能となる。また、水や軽量骨材を増やしたことによる付着性の低下、強度の低下に対しても、補強の効果がある。
補強繊維の配合量は最低でも25重量%は必要であるが、他材料との兼ね合いからあまり増やすこともできず、また入れすぎるとポンプ搬送性も低下しやすくなるので、25〜35重量%の範囲にするのが望ましい。

0038

軽量骨材と補強繊維との合計は、55〜60重量%にする必要がある。合計が55重量%未満では、密度が高くなり、十分な断熱性が得られない。逆に、60重量%超では、調湿性物質またはバインダーの量を減らさざるを得なくなるため、十分な調湿性が得られないか、付着力不足で吹付けが困難となるか、あるいは吹付け後の強度不足となるため好ましくない。

0039

上記した調湿性物質、セメント、軽量骨材、補強繊維、増粘剤等のその他添加剤は、予め攪拌混合して調合原料となし、これを袋やコンテナバック等に詰め、施工現場へと納入される。原料の混合は、均一に混ぜられればどのような方法を用いても良いが、一般的には粉体混合機が用いられる。
ただし、ヘンシェルミキサーなどで高速攪拌すると、軽量骨材であるパーライト粒子が潰れて粉状になったり、補強繊維が大きなダマになったりするので、あまり高速での攪拌は好ましくない。また、同様の理由で、攪拌時間を長くしすぎるのも好ましくない。パーライトや補強繊維の量にもよるが、概ね5〜15分程度攪拌すれば十分である。

0040

このようにして調製された調合原料は、付着性や均一性を考慮すると湿式工法で吹付ける必要があり、その際には、調合原料100重量部に対し、2%水溶液の20℃における粘度範囲が12000〜18000mPa・sであるメチルセルロースを1.0〜1.5重量部、水を130〜160重量部加え、攪拌して吹付け材を調合し、それから吹付けに使用することが重要である。
なお、ここでいう粘度とは、Brookfild型の粘度計を使用して測定したもので、2%水溶液を作成する際には水分補正を行っている。

0041

水の量を130重量部以上とする理由として第一に挙げられるのは、混練時の軽量骨材の粒子潰れを防ぐためである。水が少ないと、それだけ粒子間距離が短くなるため、粒子同士が接触する回数が増える。また、摩擦力も大きくなるため、軽量骨材が壊れて比重が高くなる危険性が増す。
第二の理由は、水を少なくすること自体が比重を高くしたり、調湿性を低くしたりするからである。吹付け時に水であった部分は、乾燥すると空隙となる。そのため、水が多いほど空隙が多くなり、吹付けられた材料の比重は低くなる。
また、上記空隙は、粒子間を縫うように細かく配置され、所謂毛細管現象を起こす空隙となる。そのため、調湿性物質が補足した水分を蓄えておく場所として有用な場所となる。このように、水の量が多いほど比重や調湿性の面で有利となるが、水が多すぎると十分な付着力が得られず、吹付け時にダレてしまうため、添加する水の量は、他の原料、特に補強繊維の量との兼ね合いが大事であり、単独で変更できるものではないが、130〜160重量部の範囲とすることが望ましい。

0042

また、水を130重量部以上添加すると、簡単にブリージングを起こしてしまい、ポンプを用いて材料をノズルまで運ぶ際に、水分だけが先に送られてしまい、残った固形分がホース内で詰まってしまうため好ましくない。
そこで、本発明においては、さらにメチルセルロースを添加し、ブリージングを防ぐことが重要であるが、原料の性質上、効きの強いメチルセルロースを多めに入れないと十分な効果は得られない。そのため、2%水溶液の20℃における粘度範囲が12000〜18000mPa・sであるメチルセルロースを使用することが必須となる。ここで、メチルセルロースとは、水溶性セルロースエーテルのことであり、一般のメチルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロース等がある。

0043

また、本発明においては、上記調合原料に対し、メチルセルロース及び水を添加した後の撹拌時間を2〜6分間とすることが必須となる。ここで、撹拌時間を2〜6分間にすることにより原材料、特に補強繊維が均一に分散され、かつ軽量骨材の潰れが少なくなるからである。
調合原料とメチルセルロース及び水を攪拌混合すると、調湿性物質及び軽量骨材が吸水する。すると、自由水が少なくなり、粒子間距離が短縮、粒子同士が接触する回数が増える。また、摩擦力も大きくなるため、軽量骨材が破壊される。軽量骨材が破壊されると、内部に蓄えていた水を再び放出して自由水が増えるため、粘度が極端に低下して、吹付け後の材料がダレる原因となるため、撹拌時間を2〜6分間とすることにより、これらの不具合の生起を未然に防ぐのである。また、メチルセルロースの添加は、この際に軽量骨材の潰れを防ぐのに有効である。
なお、ここでいう2〜6分の攪拌時間については、一般的なモルタルミキサーグラウトミキサー)を用いて、その回転数が70〜80回転/分の場合は2〜4分の攪拌時間とし、40回転/分程度の低速回転の場合は、2〜6分とすると良い。

0044

本発明の調湿性を有する吹付け断熱材においては、上記の混合物からなる主原料以外にも、吹付け材で一般的に使用されている添加剤、例えばスラリー性状を改善するための増粘剤などを加えることもできる。

0045

また、本発明の調湿性を有する吹付け断熱材は、その絶乾密度が0.20〜0.35g/cm3であることが望ましい。
絶乾密度を0.35g/cm3以下とするのは、熱伝導率0.06W/mK以下を満足しやすくするためと、自重が高くなることによって吹付け材を厚く付着させようとした時にダレたり、剥離したりするのを防ぐためである。絶乾密度を0.20g/cm3以上とするのは、それ以下にすると空隙が大きくなりすぎ、付着が不十分で、吹付け材を厚く付着させようとした時にダレたり、剥離したりするのを防ぐためである。

0046

かくして構成される本発明の調湿性を有する吹付け断熱材は、優れた断熱性に加えて調湿性を兼備すると共に、吹付け材として必要な付着性、軽量性、柔軟性をも備え、さらには吹付け性能にも優れるばかりか、吹付けた材料にタレ、剥離、亀裂などの不具合を生じることがないことから、建築物の内装面、天井面、鉄骨周りなどの構造体表面に吹付けて、該表面に断熱性に加えて調湿性を付与し、不燃性や結露防止性等を具備した材料として有効に使用することができる。

0047

以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述する。
なお、以下の実施例においては、所定の配合に調整した調湿性を有する吹付け断熱材の調合原料に、吹付け性が良く、タレや剥離・剥落を生じにくいスラリーになるよう適量の水とメチルセルロースを加え、太平洋機工社製ターボミキサーTM−55(容量55リットル電動機出力2.2kw、回転数76回転/分)で約2分半混練を行った。
得られたスラリーをホッパーで受けた後、岡三機工製のポンプOKG−35Eでノズルまで搬送し、φ4mmの吹付けガンを用いてフレキシブルボードへと吹付けを行った。吹付け厚さは、25mmを目標とした。

0048

吹付け性の合否判定基準は、搬送時・吹付け時に詰まりがないか、吹付け時および吹付け後にタレないか、28日養生時に剥離がないか、可視亀裂が生じていないかの4点とした。物性の合否判定は、絶乾密度が0.20〜0.80g/cm3の範囲であること、熱伝導率が0.06W/mK以下であること、調湿性がJIS A 1470−1湿度応答法の24h吸湿量で50g/m2以上であることとした。

0049

[実施例1]
ALCの端材を粉砕して粉末とした後、105℃に調整した送風乾燥機含水率を20重量%に調整した。この粉末を密閉容器に入れ、容器内を真空ポンプ脱気した後、市販の純度99.5%の炭酸ガスを圧力0.2MPaとなるまで導入し、炭酸化を行った。
初期温度は25℃、保持時間は18時間とした。この炭酸化反応に伴う発熱により、容器内の温度は最終的に60〜70℃となった。得られた粉体X線回折分析したところ、炭酸カルシウムの形態はバテライトとアラゴナイトとが中心であった。この粉体を目開き1.2mmの篩いに通して粒度を1.2mm以下に整え、調合原料用の調湿性物質とした。

0050

この調湿性物質を20重量%、普通ポルトランドセメント20重量%、単位容積重量0.15kg/Lの黒曜石パーライト(軽量骨材)40重量%、微粒状ロックウール(補強繊維)20重量%の合計100重量部に対し、2%水溶液の20℃における粘度範囲が15000mPa・sであるメチルセルロースを1.0重量部、水120重量部をモルタルミキサーに入れ、2分半混練した後、フレキシブルボードへと吹付けを行った。吹付け厚さは25mmとした。

0051

その結果、ポンプ搬送中に詰まりを起こすことなく、厚さ25mm以上吹付けてもタレを生じることはなかった。また、28日間養生後に外観を調べたが、剥離や亀裂等は生じていなかった。
また、吹付け材を40×40×15cmの木箱内に吹付けにより満充填させて、それをビニール袋に入れて水分の蒸発を防いだ上で、60℃に調整した乾燥機で24時間促進養生させた。その後、内部から10cm角のキューブを3個切り出し、それを105℃で恒量になるまで乾燥させた後、絶乾重量を測定、絶乾密度を算出した。
その結果、吹付け材の絶乾密度は0.27g/cm3、熱伝導率は0.047W/mK、吸湿量は62g/m2で、全ての条件を満足した。
調湿性を有する吹付け断熱材の配合組成を表1に、また評価結果を表2に取りまとめて示した。なお、表1における調湿性物質、セメント、軽量骨材及び補強繊維の数値は重量%を示し、メトセル(メチルセルロース)及び水の数値は、調湿性物質、セメント、軽量骨材及び補強繊維の合計100部に対する重量部を示す。

0052

[実施例2〜9]
軽量骨材の構成成分の配合割合を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で調湿性物質を作成し、実施例1と同様に吹付けを行った結果を表2に併せて示した。
なお、実施例8、実施例9における炭酸カルシウムの主な形態は、それぞれカルサイト、バーミキュライトとした。

0053

[比較例1〜10]
軽量骨材の構成成分の配合割合を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で調湿性物質を作製し、実施例1と同様に吹付けを行った結果を表2に併せて示した。
なお、比較例9では、炭酸化したALC粉体を目開き1.2mmの篩いを通して、その篩い残分が50%となるようにするとともに、その最大粒径が2.4〜4.8mmとなる調合原料用の調湿性物質を用い、それ以外は実施例1と同じ条件とした。また、比較例10では攪拌混合時間を7分とした以外は実施例1と同じ条件とした。

0054

0055

以上説明したように、本発明の調湿性を有する吹付け断熱材は、優れた断熱性に加えて調湿性を兼備すると共に、吹付け材として必要な付着性、軽量性、柔軟性をも備え、さらには吹付け性能にも優れるばかりか、吹付けた材料にタレ、剥離、亀裂などの不具合を生じることがないことから、建築物の内装面、天井面、鉄骨周りなどの構造体表面に吹付けて、該表面に調湿性、及び断熱性と不燃性、結露防止性などを付与するための材料として有効に使用することができる。

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