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技術 回転砥石の研磨方法および研磨装置、並びに研削砥石およびこれを用いた研削装置

出願人 富士フイルム株式会社株式会社クリスタル光学
発明者 木村晋太郎桐野宙治
出願日 2008年9月24日 (10年11ヶ月経過) 出願番号 2008-244655
公開日 2010年4月8日 (9年5ヶ月経過) 公開番号 2010-076013
状態 未査定
技術分野 研削機械のドレッシング及び付属装置 研磨体及び研磨工具
主要キーワード 実用速度 圧縮付勢 微小凹面 インコーナー 接線角 工具費用 逃げ機構 逆すり鉢状
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2010年4月8日)のものです。
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図面 (13)

課題

硬脆材料を小径で且つ高接線角度を持つ形状に鏡面研削加工する際に、数μmの切り込み加工を可能とし、その研削加工時工具摩耗が抑制される安定した研削加工を可能にする。

解決手段

多数の砥粒を有する回転砥石11に対して、回転砥石11表面の砥粒に切れ刃を形成する際に、石英研磨工具13の石英研磨面13aと回転砥石11とを相互に押し当てて摺動させるとともに、石英研磨面13aと回転砥石11との接触部位に、紫外線Lを照射することで、回転砥石表面から突出したダイヤモンド砥粒の先端部を平滑化して切れ刃を形成するようにした。

概要

背景

高画素数撮像素子が搭載された携帯端末撮像レンズや、青色光を利用する光ピックアップレンズレンズは、ガラスレンズが用いられ、そのレンズ形状は、小径円筒端面に高接線角光軸と直交する面と、レンズ曲面とのなす角度)で接続される微小な凸面となっている。このような形状のレンズを量産するには、一般にガラスモールド技術が用いられる。ガラスモールドで使用される金型は硬脆材料であり、そのため、この硬脆材料の表面に小径で高接線角を有する凹曲面形状鏡面加工する必要がある。

一般に、ワークがガラスなどの硬脆材料である場合は、深い切り込みを入れると工具やワークが割れてしまい、鏡面加工ができないことが知られている。また、微少すぎる切り込みは、工具とワークとの間に滑りが生じて加工ができない。そのバランスから、大凡100nm以下の微小な切り込み量に留めることで鏡面加工が可能とされている。一般にこれを「延性モード加工」と呼んでいる。

この延性モード加工を粒度の大きな砥粒を用いた場合には、砥粒の突き出し量バラツキがある為、最も突き出した砥粒のみで加工することになり、研削加工平均化効果を得ることができずに、加工面の平坦化が著しく困難となる。

そこで、砥粒のサイズを小さくして砥粒突き出し量のバラツキを軽減させることで、均一な面加工を行う研削方法がある。例えば、高メッシュ砥石を用いた大量の刃先を有する工具を用い、実切り込みを100nm以下の微小切り込みにすることで、延性モード加工で硬脆材料の鏡面加工が実現できる。しかし、延性モード加工となる最大切り込み厚さを保持するため、送り速度が遅く、しかも切り込みが小さい条件でしか加工が行えず、多大な加工時間を要し、さらに加工後の刃先のダメージが大きくなる。しかも、加工後に工具を再研磨する必要が生じ、コスト高となることが避けられない。

一般的に、この種の硬脆材料の加工には小径の砥石を用いる場合が多く、その場合、切れ刃として有効な砥粒の数も少なくなる。しかも、ワーク表面を円滑な面に仕上げるためには、前述したように高メッシュの砥粒を用いる必要があり、砥粒一個一個の体積も小さくなる。その結果、砥粒が摩耗脱落しやすくなり、安定した加工が困難になっていた。

一方、特許文献1のように、硬脆材料を旋削ダイヤモンドカッタで加工する例もあるが、これは高価な刃を摩耗させながら加工する方法であり、延性モード加工を行うためには、微小切り込み加工を余儀なくされ、加工効率が著しく低下する。例えば、高精度スピンドルにダイヤモンドカッタを搭載した単刃のエンドミルでの加工では、回転数が実質5万回転程度に制限されてしまうため、見かけ切り込みは数μmとなるが、工具の送り速度が数μm/分程度となって、日単位の加工が必要となる。この加工時間では、段取りにも影響を及ぼし、作業効率を大きく低下させることになる。また、単刃のエンドミルは、十分な輪郭精度を有する工具が市販されておらず、加工後のワーク形状の精度にも問題が残される。さらに、この場合も工具使用後に工具を再研磨する必要があり、工具費用の上に再研磨コストがかかり、実用的ではない。

ところで、高精度にワークを研削加工するには、砥石の調整が不可欠となる。この砥石の調整には、砥石を研削盤に取り付ける際に生じる振れを除去して形状を修正するツルーイングと、砥石を目直しして切れ味回復させるドレッシングとがある。これらは通常同時に行われるので、本明細書においては両者をあえて区別せず、ツルーイング・ドレッシングと呼ぶ。
従来、ダイヤモンド砥石のツルーイング・ドレッシングには、ダイヤモンド砥石よりもはるかに柔らかい酸化アルミニウム系の砥石や炭化珪素系の砥石を使用し、徐々にダイヤモンド砥石を削りながら行うのが一般的であった。また、酸化アルミニウム系の砥石や炭化珪素系の砥石のツルーイング・ドレッシングの場合は、工具の先端に1個のダイヤモンドを取り付けた単石ダイヤモンドドレッサ、あるいはダイヤモンド粒焼結してメタルで結合したボンドドレッサを使用していた。ところが、高メッシュの砥粒を用いた砥石に対しては、上記のドレッサを使用すると砥石はかえって切れ味を失ってしまうことになる。つまり、長時間ツルーイング・ドレッシングしても砥石の切れ味は必ずしも向上せず、いたずらに工程を長引かせるのみの結果に終っていた。そのため、高能率でかつ有効なツルーイング・ドレッシング方法の実現が望まれていた。

また、特許文献2には、砥石表面をツルーイング・ドレッシングし、砥粒先端の高さのバラツキを矯正した後、砥石表面に導電性膜を形成し、放電加工により砥粒表面を粗面化することで、砥粒表面に微細切刃を形成する技術が記載されている。これによれば、切れ味や研削効率を向上することはできるが、硬脆材料からなるワークを鏡面加工することはできない。

上記のように、硬脆材料の研削加工において、所望の形状精度平滑性を同時に満足させるためには、砥石の粒度を順次細かくし、かつ微小な切り込み量で加工することが必要になる。その結果、指数関数的に増大する加工時間を必要とし、しかも砥石の調整に対しては有効な術がなかった。
特に、ガラスモードプレスGMP)用の小径で小曲率光学面を有するレンズ成形用金型は、耐熱性の観点から、金型素材バインダレス超硬質合金(タングステンカーバイト:WC等)とする必要があり、小径の砥石によって研削加工が行われている。しかし、レンズの光学機能面の要求は、より小径化、小曲率化に向かっており、その加工のためには、目的とする小径で小曲率のレンズ面よりも小さいサイズの砥石が必要となる。しかし、小径で小曲率の砥石を用いて加工する場合、例えば直径φ1.0mmの砥石では理論砥粒数は100個以下となり、刃先を有する砥粒の摩耗や脱落は深刻な問題となって、ワークの鏡面性が低下し、加工精度再現性が得られない。

特開2004−223700号公報
特開平7−96461号公報

概要

硬脆材料を小径で且つ高接線角度を持つ形状に鏡面研削加工する際に、数μmの切り込み加工を可能とし、その研削加工時の工具の摩耗が抑制される安定した研削加工を可能にする。多数の砥粒を有する回転砥石11に対して、回転砥石11表面の砥粒に切れ刃を形成する際に、石英研磨工具13の石英研磨面13aと回転砥石11とを相互に押し当てて摺動させるとともに、石英研磨面13aと回転砥石11との接触部位に、紫外線Lを照射することで、回転砥石表面から突出したダイヤモンド砥粒の先端部を平滑化して切れ刃を形成するようにした。

目的

本発明は、硬脆材料を小径で且つ高接線角度を持つ形状に鏡面研削加工する際に、数μmの切り込み加工を可能とし、その研削加工時の工具の摩耗が抑制される安定した研削加工が可能な回転砥石の研磨方法および研磨装置、並びに研削砥石およびこれを用いた研削装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

多数のダイヤモンド砥粒を有する回転砥石に対して、回転砥石表面のダイヤモンド砥粒に切れ刃を形成する回転砥石の研磨方法であって、石英研磨工具石英研磨面と前記回転砥石とを相互に押し当てて摺動させるとともに、前記石英研磨面と前記回転砥石との接触部位紫外線照射することで、前記回転砥石表面から突出したダイヤモンド砥粒の先端部を平滑化して切れ刃を形成する回転砥石の研磨方法。

請求項2

請求項1記載の回転砥石の研磨方法であって、前記石英研磨工具と前記回転砥石の少なくともいずれかを回転駆動して研磨を行う回転砥石の研磨方法。

請求項3

請求項1または請求項2記載の回転砥石の研磨方法であって、前記石英研磨工具と前記回転砥石とを一定の圧力で押し当てながら研磨する回転砥石の研磨方法。

請求項4

請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の回転砥石の研磨方法であって、前記石英研磨工具の石英研磨面と前記回転砥石との接触部位を酸素ガス雰囲気にして研磨する回転砥石の研磨方法。

請求項5

多数のダイヤモンド砥粒を有する回転砥石に対して、該回転砥石表面の砥粒に切れ刃を形成する回転砥石の研磨装置であって、石英研磨面を有する石英研磨工具と、前記石英研磨工具に対面して配置され、前記石英研磨工具の石英研磨面に対して前記回転砥石を押し当て可能に保持する保持台と、前記石英研磨工具と前記回転砥石とを相互に摺動させる摺動手段と、前記石英研磨工具と前記回転砥石との接触部位に紫外線を照射する光照射手段と、を備え、前記回転砥石表面から突出したダイヤモンド砥粒の先端部を平滑化して切れ刃を形成する回転砥石の研磨装置。

請求項6

請求項5記載の回転砥石の研磨装置であって、前記石英研磨工具と前記回転砥石との接触状態を、一定の圧力で当接するように維持する接触圧力制御手段を備えた回転砥石の研磨装置。

請求項7

請求項5または請求項6記載の回転砥石の研磨装置であって、前記摺動手段が、前記保持台に保持された回転砥石を、該回転砥石の回転軸を中心に回転駆動する砥石回転駆動部を備えた回転砥石の研磨装置。

請求項8

請求項5〜請求項7のいずれか1項記載の回転砥石の研磨装置であって、前記摺動手段が、前記石英研磨工具を回転駆動する研磨工具回転駆動部を備えた回転砥石の研磨装置。

請求項9

請求項5〜請求項8のいずれか1項記載の回転砥石の研磨装置であって、前記光照射手段が、紫外線を前記石英研磨工具の石英研磨面とは反対側の面から前記回転砥石との接触部位に向けて照射する回転砥石の研磨装置。

請求項10

ダイヤモンド砥粒を基材上に電着または蝋付けした回転砥石であって、請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の回転砥石の研磨方法により回転軸先端外周面が研磨され、該研磨により形成され前記回転軸を中心とする各円周上に存在する前記ダイヤモンド砥粒の切れ刃が、前記回転軸上の各位置で、それぞれ該回転軸からの半径距離の変動量が±100nm以内の範囲に収められている回転砥石。

請求項11

請求項10記載の回転砥石であって、前記回転砥石の回転軸を通る断面において、前記回転砥石が前記回転軸を中心に回転したときの切れ刃の出現領域を表す、前記回転軸先端の外周面に沿った研磨加工帯が、回転砥石表面の法線方向の厚みの変動量で±100nm以下にされた回転砥石。

請求項12

請求項10または請求項11記載の回転砥石であって、前記ダイヤモンド砥粒の切れ刃が、丸棒状のシャンクの一端側に形成された細径部の先端外周に形成された回転砥石。

請求項13

請求項12記載の回転砥石であって、前記細径部の先端が、回転軸を中心に逆すり鉢状凸状面を有する回転砥石。

請求項14

請求項10〜請求項13のいずれか1項記載の回転砥石であって、前記ダイヤモンド砥粒のサイズを表す粒度が、#20〜#1000の範囲である回転砥石。

請求項15

請求項10〜請求項14のいずれか1項記載の回転砥石を用いて研削加工を行う研削装置

技術分野

0001

本発明は、回転砥石研磨方法および研磨装置、並びに研削砥石およびこれを用いた研削装置に関する。

背景技術

0002

高画素数撮像素子が搭載された携帯端末撮像レンズや、青色光を利用する光ピックアップレンズレンズは、ガラスレンズが用いられ、そのレンズ形状は、小径円筒端面に高接線角光軸と直交する面と、レンズ曲面とのなす角度)で接続される微小な凸面となっている。このような形状のレンズを量産するには、一般にガラスモールド技術が用いられる。ガラスモールドで使用される金型は硬脆材料であり、そのため、この硬脆材料の表面に小径で高接線角を有する凹曲面形状鏡面加工する必要がある。

0003

一般に、ワークがガラスなどの硬脆材料である場合は、深い切り込みを入れると工具やワークが割れてしまい、鏡面加工ができないことが知られている。また、微少すぎる切り込みは、工具とワークとの間に滑りが生じて加工ができない。そのバランスから、大凡100nm以下の微小な切り込み量に留めることで鏡面加工が可能とされている。一般にこれを「延性モード加工」と呼んでいる。

0004

この延性モード加工を粒度の大きな砥粒を用いた場合には、砥粒の突き出し量バラツキがある為、最も突き出した砥粒のみで加工することになり、研削加工平均化効果を得ることができずに、加工面の平坦化が著しく困難となる。

0005

そこで、砥粒のサイズを小さくして砥粒突き出し量のバラツキを軽減させることで、均一な面加工を行う研削方法がある。例えば、高メッシュ砥石を用いた大量の刃先を有する工具を用い、実切り込みを100nm以下の微小切り込みにすることで、延性モード加工で硬脆材料の鏡面加工が実現できる。しかし、延性モード加工となる最大切り込み厚さを保持するため、送り速度が遅く、しかも切り込みが小さい条件でしか加工が行えず、多大な加工時間を要し、さらに加工後の刃先のダメージが大きくなる。しかも、加工後に工具を再研磨する必要が生じ、コスト高となることが避けられない。

0006

一般的に、この種の硬脆材料の加工には小径の砥石を用いる場合が多く、その場合、切れ刃として有効な砥粒の数も少なくなる。しかも、ワーク表面を円滑な面に仕上げるためには、前述したように高メッシュの砥粒を用いる必要があり、砥粒一個一個の体積も小さくなる。その結果、砥粒が摩耗脱落しやすくなり、安定した加工が困難になっていた。

0007

一方、特許文献1のように、硬脆材料を旋削ダイヤモンドカッタで加工する例もあるが、これは高価な刃を摩耗させながら加工する方法であり、延性モード加工を行うためには、微小切り込み加工を余儀なくされ、加工効率が著しく低下する。例えば、高精度スピンドルにダイヤモンドカッタを搭載した単刃のエンドミルでの加工では、回転数が実質5万回転程度に制限されてしまうため、見かけ切り込みは数μmとなるが、工具の送り速度が数μm/分程度となって、日単位の加工が必要となる。この加工時間では、段取りにも影響を及ぼし、作業効率を大きく低下させることになる。また、単刃のエンドミルは、十分な輪郭精度を有する工具が市販されておらず、加工後のワーク形状の精度にも問題が残される。さらに、この場合も工具使用後に工具を再研磨する必要があり、工具費用の上に再研磨コストがかかり、実用的ではない。

0008

ところで、高精度にワークを研削加工するには、砥石の調整が不可欠となる。この砥石の調整には、砥石を研削盤に取り付ける際に生じる振れを除去して形状を修正するツルーイングと、砥石を目直しして切れ味回復させるドレッシングとがある。これらは通常同時に行われるので、本明細書においては両者をあえて区別せず、ツルーイング・ドレッシングと呼ぶ。
従来、ダイヤモンド砥石のツルーイング・ドレッシングには、ダイヤモンド砥石よりもはるかに柔らかい酸化アルミニウム系の砥石や炭化珪素系の砥石を使用し、徐々にダイヤモンド砥石を削りながら行うのが一般的であった。また、酸化アルミニウム系の砥石や炭化珪素系の砥石のツルーイング・ドレッシングの場合は、工具の先端に1個のダイヤモンドを取り付けた単石ダイヤモンドドレッサ、あるいはダイヤモンド粒焼結してメタルで結合したボンドドレッサを使用していた。ところが、高メッシュの砥粒を用いた砥石に対しては、上記のドレッサを使用すると砥石はかえって切れ味を失ってしまうことになる。つまり、長時間ツルーイング・ドレッシングしても砥石の切れ味は必ずしも向上せず、いたずらに工程を長引かせるのみの結果に終っていた。そのため、高能率でかつ有効なツルーイング・ドレッシング方法の実現が望まれていた。

0009

また、特許文献2には、砥石表面をツルーイング・ドレッシングし、砥粒先端の高さのバラツキを矯正した後、砥石表面に導電性膜を形成し、放電加工により砥粒表面を粗面化することで、砥粒表面に微細切刃を形成する技術が記載されている。これによれば、切れ味や研削効率を向上することはできるが、硬脆材料からなるワークを鏡面加工することはできない。

0010

上記のように、硬脆材料の研削加工において、所望の形状精度平滑性を同時に満足させるためには、砥石の粒度を順次細かくし、かつ微小な切り込み量で加工することが必要になる。その結果、指数関数的に増大する加工時間を必要とし、しかも砥石の調整に対しては有効な術がなかった。
特に、ガラスモードプレスGMP)用の小径で小曲率光学面を有するレンズ成形用金型は、耐熱性の観点から、金型素材バインダレス超硬質合金(タングステンカーバイト:WC等)とする必要があり、小径の砥石によって研削加工が行われている。しかし、レンズの光学機能面の要求は、より小径化、小曲率化に向かっており、その加工のためには、目的とする小径で小曲率のレンズ面よりも小さいサイズの砥石が必要となる。しかし、小径で小曲率の砥石を用いて加工する場合、例えば直径φ1.0mmの砥石では理論砥粒数は100個以下となり、刃先を有する砥粒の摩耗や脱落は深刻な問題となって、ワークの鏡面性が低下し、加工精度再現性が得られない。

0011

特開2004−223700号公報
特開平7−96461号公報

発明が解決しようとする課題

0012

本発明は、硬脆材料を小径で且つ高接線角度を持つ形状に鏡面研削加工する際に、数μmの切り込み加工を可能とし、その研削加工時の工具の摩耗が抑制される安定した研削加工が可能な回転砥石の研磨方法および研磨装置、並びに研削砥石およびこれを用いた研削装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明は下記構成からなる。
(1) 多数のダイヤモンド砥粒を有する回転砥石に対して、回転砥石表面のダイヤモンド砥粒に切れ刃を形成する回転砥石の研磨方法であって、
石英研磨工具石英研磨面と前記回転砥石とを相互に押し当てて摺動させるとともに、前記石英研磨面と前記回転砥石との接触部位紫外線照射することで、
前記回転砥石表面から突出したダイヤモンド砥粒の先端部を平滑化して切れ刃を形成する回転砥石の研磨方法。

0014

この回転砥石の研磨方法によれば、石英研磨工具の石英研磨面に回転砥石を押し当てて摺動するとともに、石英研磨面と回転砥石との接触部位に紫外線を照射することで、回転砥石の表面が研磨されて砥粒表面が平滑に削れていく。これは、紫外線を照射することで、活性酸素の作用など光化学反応が促進され、表面改質されたダイヤモンドが石英との機械摩擦によって除去されることで研磨が進むと推定される。これにより、回転砥石は各ダイヤモンド砥粒の最大高さが揃えられた状態となり、これらダイヤモンド砥粒の各研磨された面の周囲に切れ刃が形成される。その結果、切れ刃の高さが均一に揃えられた回転砥石が得られることになる。

0015

(2) (1)記載の回転砥石の研磨方法であって、
前記石英研磨工具と前記回転砥石の少なくともいずれかを回転駆動して研磨を行う回転砥石の研磨方法。

0016

この回転砥石の研磨方法によれば、石英研磨工具と回転砥石の少なくともいずれかが回転することで、双方の接触部位が摺動して研磨が行われる。

0017

(3) (1)または(2)記載の回転砥石の研磨方法であって、
前記石英研磨工具と前記回転砥石とを一定の圧力で押し当てながら研磨する回転砥石の研磨方法。

0018

この回転砥石の研磨方法によれば、石英研磨工具と回転砥石とを一定圧力で押し当てることで、高精度の研磨加工が安定して行える。

0019

(4) (1)〜(3)のいずれか1項記載の回転砥石の研磨方法であって、
前記石英研磨工具の石英研磨面と前記回転砥石との接触部位を酸素ガス雰囲気にして研磨する回転砥石の研磨方法。

0020

この回転砥石の研磨方法によれば、接触部位に酸素ガス雰囲気にすることで、研磨がより促進されて、研磨加工速度が速められる。

0021

(5) 多数のダイヤモンド砥粒を有する回転砥石に対して、回転砥石表面の砥粒に切れ刃を形成する回転砥石の研磨装置であって、
石英研磨面を有する石英研磨工具と、
前記石英研磨工具に対面して配置され、前記石英研磨工具の石英研磨面に対して前記回転砥石を押し当て可能に保持する保持台と、
前記石英研磨工具と前記回転砥石とを相互に摺動させる摺動手段と、
前記石英研磨工具と前記回転砥石との接触部位に紫外線を照射する光照射手段と、
を備え、
前記回転砥石表面から突出したダイヤモンド砥粒の先端部を平滑化して切れ刃を形成する回転砥石の研磨装置。

0022

この回転砥石の研磨装置によれば、石英研磨工具の研磨面に、回転砥石を押し当てて摺動させるとともに、石英研磨工具と回転砥石との接触部位に光照射手段により紫外線を照射することで、回転砥石表面が研磨されて各砥粒の表面が平滑状に削れていく。これにより、回転砥石は各ダイヤモンド砥粒の高さが揃えられた状態となり、これらダイヤモンド砥粒の各研磨された面の周囲に切れ刃が形成される。その結果、切れ刃の高さが均一に揃えられた回転砥石が得られることになる。

0023

(6) (5)記載の回転砥石の研磨装置であって、
前記石英研磨工具と前記回転砥石との接触状態を、一定の圧力で当接するように維持する接触圧力制御手段を備えた回転砥石の研磨装置。

0024

この回転砥石の研磨装置によれば、接触圧力制御手段により、石英研磨工具と回転砥石とを一定の圧力で当接させることで、高精度の研磨加工を安定して行える。

0025

(7) (5)または(6)記載の回転砥石の研磨装置であって、
前記摺動手段が、前記保持台に保持された回転砥石を、該回転砥石の回転軸を中心に回転駆動する砥石回転駆動部を備えた回転砥石の研磨装置。

0026

この回転砥石の研磨装置によれば、回転砥石を回転駆動して石英研磨工具と摺動させることで、回転砥石を回転対称形状に研磨加工できる。

0027

(8) (5)〜(7)のいずれか1項記載の回転砥石の研磨装置であって、
前記摺動手段が、前記石英研磨工具を回転駆動する研磨工具回転駆動部を備えた回転砥石の研磨装置。

0028

この回転砥石の研磨装置によれば、石英研磨工具を回転駆動して回転砥石との摺接位置を常に更新することで、石英研磨工具の研磨面の摩耗が抑えられ、高い寸法精度で回転砥石を研磨できる。

0029

(9) (5)〜(8)のいずれか1項記載の回転砥石の研磨装置であって、
前記光照射手段が、紫外線を前記石英研磨工具の石英研磨面とは反対側の面から前記回転砥石との接触部位に向けて照射する回転砥石の研磨装置。

0030

この回転砥石の研磨装置によれば、石英研磨工具の石英研磨面とは反対側から紫外線を導入して、石英研磨工具の回転砥石との接触部位に照射することで、接触部位全体を、影を生じさせることなく、また、回転砥石と干渉することなく紫外線の照射が行える。

0031

(10)ダイヤモンド砥粒を基材上に電着または蝋付けした回転砥石であって、
(1)〜(4)のいずれか1項記載の回転砥石の研磨方法により回転軸先端外周面が研磨され、
該研磨により形成され前記回転軸を中心とする各円周上に存在する前記ダイヤモンド砥粒の切れ刃が、前記回転軸上の各位置で、それぞれ該回転軸からの半径距離の変動量が±100nm以内の範囲に収められている回転砥石。

0032

この回転砥石によれば、回転軸を中心とする円周上に存在する切れ刃が、回転軸上の各位置で、回転軸からの半径距離の変動量が±100nm以内の範囲に収められることにより、各ダイヤモンド砥粒の切れ刃の高さが均一に揃えられている。このため、硬脆材料に対して切り込み量や送り量を極端に落とすことなく延性モード加工を実現でき、高効率で鏡面研削加工が可能な工具にできる。しかも耐摩耗性を向上でき、工具寿命を向上できる。

0033

(11) (10)記載の回転砥石であって、
前記回転砥石の回転軸を通る断面において、前記回転砥石が前記回転軸を中心に回転したときの切れ刃の出現領域を表す、前記回転軸先端の外周面に沿った研磨加工帯が、回転砥石表面の法線方向の厚みの変動量で±100nm以下にされた回転砥石。

0034

この回転砥石によれば、厚みの変動量が±100nm以下の研磨加工帯内に切れ刃が出現するように各砥粒の切れ刃を形成してあるので、硬脆材料に対して回転砥石の外形に沿った領域で高効率な鏡面研削加工を実現できる。

0035

(12) (10)または(11)記載の回転砥石であって、
前記ダイヤモンド砥粒の切れ刃が、丸棒状のシャンクの一端側に形成された細径部の先端外周に形成された回転砥石。

0036

この回転砥石によれば、シャンクの一端側の細径部に砥粒を設けることで、ワークとシャンクが干渉しにくい構造にでき、より微細な研削加工が可能となる。

0037

(13) (12)記載の回転砥石であって、
前記細径部の先端が、回転軸を中心に逆すり鉢状凸状面を有する回転砥石。

0038

この回転砥石によれば、逆すり鉢状の凸状面に砥粒が設けられることで、微小な曲面の研削加工が容易に行え、微細研削加工に適した工具にできる。

0039

(14) (10)〜(13)のいずれか1項記載の回転砥石であって、
前記ダイヤモンド砥粒のサイズを表す粒度が、#20〜#1000の範囲である回転砥石。

0040

この回転砥石によれば、ダイヤモンド砥粒のサイズを、砥粒の脱落を招く程に小さすぎず、かつ研削に寄与する砥粒数が不足する程に大きすぎず、必要十分な砥粒数となるように設定することで、安定した研削加工が可能となる。

0041

(15) (10)〜(14)のいずれか1項記載の回転砥石を用いて研削加工を行う研削装置。

0042

この研削装置によれば、上記回転砥石を用いることで、高精度で安定した研削加工を行うことができ、しかも工具寿命が長い経済的な研削加工が行える。

発明の効果

0043

本発明の回転砥石の研磨方法および装置によれば、硬脆材料を鏡面研削加工する際に、数μmの切り込み加工を可能とし、その研削加工時の工具の摩耗が抑制された安定した研削加工が可能となる研削砥石を得ることができる。また、これにより得られた研削砥石により、硬脆材料からなるワークを小径で且つ高接線角度を持つ形状に高効率で研削加工することができる。

発明を実施するための最良の形態

0044

以下に回転砥石の研磨方法および研磨装置、並びに研削砥石およびこれを用いた研削装置の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本明細書においては、ダイヤモンド砥粒の研磨を行う加工を「研磨加工」、このダイヤモンド砥粒を有するツールにより金型等の被加工品を研削する加工を「研削加工」と区別して記載する。
まず、ダイヤモンド砥粒の研磨方法について説明する。
一般にダイヤモンド砥粒の研磨方法としては種々の方法があるが、砥粒の摩耗として考えると、化学摩耗物理摩耗とがある。
化学摩耗は、砥粒であるダイヤモンドとFe・Co・Si・SiO2等が化学反応を起こして除去されるものである。反応には熱が必要であり、ダイヤモンドは熱伝導率が高く、周り物体の熱伝導率が低い。したがって、ダイヤモンドの周囲は熱抵抗となって、ダイヤモンド全体が反応する。このダイヤモンドの化学反応(摩耗)の速度は、ダイヤモンドの径の三乗に比例して大きくなる(重量(体積)に比例する)ので、大きいダイヤモンドほど摩耗し難いことになる。化学研磨は、通常、SiO2を擦り合わせることで化学的作用により行なわれる。しかし、逆に砥粒のエッジから反応する傾向があり、このため、ダイヤモンドにエッジが形成されにくく、工具の研磨加工方法としては不適切な場合が多いことが知られている。

0045

一方、物理摩耗は、欠損脱粒の2通りが考えられる。一般的に鏡面研削加工では砥粒径が小さいので、脱粒が支配的と考えられている。小さいダイヤモンドは、接着剤との結合面積が小さいため、接着力が弱く(径の二乗に比例)、脱粒し易く、物理摩耗にも弱い。物理研磨は、ダイヤモンドが結晶の方向(原子の重なり方)により研磨加工速度が異なるため、研磨加工し難くなることは必至である。また、平面の研磨加工には適するが、角部の丸み付けや曲面研磨加工においては、場所により研磨方向が異なり、同じように研磨しても、歪な形に研磨されてしまうことがある。また、フラットな板に押し付けて研磨加工する場合には、階段状などのインコーナー形状等の研磨加工ができないとされている。

0046

そのようなことから、上記のダイヤモンド粒子を用いた研磨加工の不具合を解消する新規な研磨装置が提案されている(特開2006−224252号公報参照)。この研磨装置は、工具(砥石)に対面するワーク設置側に石英を配置し、紫外線を研磨加工点に照射しながら、石英と工具とを接触させつつ摺動させ、工具側位置制御ナノオーダで制御することで研磨を行なっている。この研磨方法(以下、紫外線石英研磨と呼称する。)によれば、紫外線を照射していることで石英とダイヤモンドとが積極的に化学反応を起こし、化学研磨でありながら物理研磨のように鋭利エッジ加工を実現できる。

0047

本研磨装置においては、基本的に上記の石英紫外線研磨法を適用して、回転砥石先端の各ダイヤモンド砥粒の高さが均一に揃うように研磨する。特に、石英と回転砥石との間に弾性を持たせ、常に双方の接触状態が一定圧力で押圧されているように維持することで、ダイヤモンド砥粒を高精度で研磨することが可能となっている。

0048

図1に研磨装置のブロック構成図を示した。
この研磨装置100は、多数の砥粒を有する回転砥石11に対して、回転砥石11の表面の砥粒に切れ刃を形成するものであり、研磨面13aが石英で構成された石英研磨工具13を相互に押し当てて摺動させるとともに、石英研磨工具13と回転砥石11との接触部位17に、光化学反応を促進させる紫外線Lを照射することで、回転砥石11の表面を研磨する。

0049

つまり、研磨装置100は石英研磨工具13に対面して配置され、石英研磨工具13に対して回転砥石11を押し当て可能に保持する保持台19と、石英研磨工具13と回転砥石11とを相互に摺動させる摺動手段としての主軸モータ23および砥石回転モータ25と、石英研磨工具13と回転砥石11との接触部位17に紫外線を照射する光照射手段としての光源27およびライトガイド29と、を備えている。

0050

また、保持台19、主軸モータ23、砥石回転モータ25、光源27等は、制御部31に接続され、制御部31はこれらそれぞれを制御する。

0051

保持台19は、図2図1のV方向矢視図を示すように、石英研磨工具13の研磨面13aに対する回転砥石11の当接位置x,y,zおよび傾斜角φなどの各軸の調整が可能となっている。また、回転砥石11は砥石回転モータ25により回転駆動された状態で、主軸モータ23により回転駆動された石英研磨工具13の研磨面13aに摺接する。

0052

この研磨装置100による研磨対象となる回転砥石11は、図3に示すように、丸棒状の超硬素材からなり、シャンク35の一端側に形成された細径部35aの先端外周に、回転砥石11の砥石表面から突出するようにダイヤモンド砥粒37が電着または蝋付けにより固着されている。細径部35aは、例えば直径0.5〜1.0mm程の細径にされ、その先端が逆すり鉢状の凸状面に形成されている。ダイヤモンド砥粒37は、砥粒サイズを表す粒度(ダイヤモンド工業協会規格IDAS001)が#20〜#1000の範囲のものを好適に利用できる。特に#100の砥粒は、平均砥粒径が150μmであり、#3000(平均砥粒径5μm)のものと比較して化学的強度は9000倍、脱粒に対しては600倍強い工具が得られる。ここで、上記化学的強度とは、ダイヤモンドが化学変化するまでの熱上昇する速度が、砥粒の粒度が大きくなることで抑制され、その結果、化学反応の進み具合が鈍ることを意味する。つまり、ダイヤモンドでは熱伝導度が非常に高いため、砥粒表層のみ温度が上昇することはなく、砥粒全体が昇温することになる。このため、砥粒が化学反応を生じる温度に到達するまでの昇温特性は、砥粒の比熱に影響され、砥粒の重さ(体積)によって昇温の速度が異なる。つまり、砥粒サイズに応じて異なる反応速度となる。

0053

そして、上記のように回転砥石11は、丸棒状のシャンクの一端側に形成された細径部35aの先端外周に切れ刃が形成されるので、研削加工時にワークとシャンク35が干渉しにくい構造にできる。また、細径部35aの先端が、回転軸を中心に逆すり鉢状の凸状面を有する形状であるため、微細な研削加工に適した形状となっている。

0054

光源27は、石英とダイヤモンドとの光化学反応を促進させる波長の光を発生する。発光源としては、波長10nm以上で、波長250nm以下、より望ましくは225nm以下の紫外線ランプが用いられる。例えば、ライトガイド29の光出射端照度が1400mW/cm2(波長248nm)のものが利用可能である。その他にも、他の光源に波長選択性を有する適宜なフィルタを組み合わせて構成してもよい。

0055

ライトガイド29は光ファイバ束からなり、光源27からの光を、研磨加工位置である接触部位17まで導いている。ここでは、石英研磨工具13が透明な石英からなるので、研削工具13の研磨面13aとは反対側の面から光を導入させている。このため、接触部位17の正面側斜方から光を供給する場合と比較して、回転砥石11との干渉を考慮することなく、また、接触部位17に影を生じさせることがなく、しかも均一に高強度で光照射が可能となる。

0056

なお、石英研磨工具13に対して紫外光入射する場合の入射光の光量は、研磨面13a側において研磨加工に十分な光量となるように維持される。石英研磨工具13の光透過率は、例えば、合成石英板(住金セラミックアンドクオーツ社製、合成石英ガラスSK−1300、厚み6mm、半径50mm、片面光学研磨、片面すりガラス面)を用いた場合、この合成石英板に光を垂直入射して、測定感度248nmの紫外線照度計により光透過率を測定したところ、光学研磨面に照射した場合の光透過率は58%、すりガラス面に照射した場合の光透過率は36%であった。また、石英研磨工具13への入射光の照射角度は、石英板面の法線方向に対して斜めになる程、研磨加工効率は低下するため、石英板面に垂直な方向とすることが好ましい。

0057

上記構成の研磨装置100は、次のように制御部31からの指令に基づいて動作する。まず、石英研磨工具13を主軸モータ23により回転駆動して、石英研磨工具13を回転させる。一方、回転砥石11を砥石回転モータ25により回転駆動する。そして、光源27を点灯して、光源27からの紫外光をライトガイド29を通じて回転砥石11の近傍に照射する。この状態で保持台19により回転砥石11に送りや切り込みを与えて、石英研磨工具13の研磨面13aに回転砥石11の先端を接触させ、双方を摺動させて研磨を行う。そして、保持台19の各軸を回転砥石11に応じて動作させることで、回転砥石11の砥石表面から突出したダイヤモンド砥粒37の先端部を平滑化して切れ刃を形成する。この平滑化された面は、全周に切れ刃が形成された逃げ面となる。

0058

ここで、保持台19の機構について説明する。
図4逃げ機構付き保持台の概念的な構成例を示した。(a)は加圧前、(b)は加圧後の状態を示している。
保持台19と砥石回転モータ25とは、バネにより一方向へ押圧するスライダ機構を介して接続されている。すなわち、図4(a)に示すように、保持台19の上部には、砥石回転モータ25の下部に形成されたスライド溝51に挿入されるガイド53と、同じく砥石回転モータ25の下部と摺動しつつ支持する支持部55が形成されている。また、砥石回転モータ25の下部に形成された突起57には、支持部55との間に圧縮付勢されたバネ59が配置され、バネ59は、突起57を常に回転砥石11側に押圧している。

0059

上記構成の逃げ機構付き保持台は、図4(b)に示すように、保持台19を石英研磨工具13側に移動させて回転砥石11を石英研磨工具13に押圧すると、バネ59の弾性により砥石回転モータ25は保持台19の送り方向とは逆方向に戻され、これにより、回転砥石11と石英研磨工具13とは、バネ59の弾性に応じた一定圧力で接触する。

0060

このように、石英研磨工具13の研磨面13aを一定圧力で押圧して接触させた状態で、石英研磨工具13を主軸モータ23により回転駆動し、また、回転砥石11を砥石回転モータ25により回転駆動することで、回転砥石11は、自転しながら石英研磨工具13の回転中心から距離rだけ離れた位置で、石英研磨工具13の研磨面13aとの摺動によって研磨される。回転砥石11の自転により、回転砥石11は高い精度で回転対称形状に研磨加工される。

0061

なお、バネ59は、圧縮コイルバネの他、板バネゴムなどの軟性弾性体等を用いることができ、油圧ダンパー等の他の任意のアクチュエータを用いてもよい。
また、紫外線を照射する接触部位に酸素ガスを吹き付けることで、活性酸素の発生量が増加し、石英が化学反応する際の炭素除去が促進されて、研磨加工効率の向上が図られる。また、窒素ガスを吹き付けたり、潤滑油ミスト状に吹き付けたり、冷風を吹き付けることでも、冷却や潤滑効果が得られる。

0062

図5に上記構成の研磨装置100により紫外線石英研磨を行う前後の回転砥石の拡大図を示した。(a)は紫外線石英研磨前の状態、(b)は紫外線石英研磨後の状態を模式的に示している。
図5(a)に示すように、研磨を行う前の回転砥石11のダイヤモンド砥粒37は、ランダムにダイヤモンド砥粒37が付着して、各砥粒の高さはバラバラになっている。この状態の回転砥石11を用いて研削加工しても、加工面はギザギザの粗面となり、鏡面を得ることはできない。一方、図5(b)に示すように、研磨を行った後の回転砥石11のダイヤモンド砥粒37は、各砥粒の高さは、nmオーダーの正確な高さに揃えられている。つまり、研磨により各砥粒に形成されたエッジが全て切れ刃61として作用するようにツルーイング・ドレッシングされている。切れ刃61で囲まれた面は、逃げ面63であり、この逃げ面63の高さ、すなわち、切れ刃61の高さは高い精度で均一揃っている。

0063

図6はダイヤモンド砥粒の研磨後における実際の回転砥石先端の状態を示した。この先端半径が0.5mm程度の回転砥石11の先端に、平均粒径100μm程度のダイヤモンド砥粒を分散させて配置し、工具として利用可能な状態としている。その回転砥石11に対し、石英を相対移動させながら接触させつつ、紫外線を照射して各ダイヤモンド砥粒を研磨した。各ダイヤモンド砥粒は、逃げ面とその周囲の切れ刃が形成され、各逃げ面は、それぞれ回転砥石11の外形に沿った同一の曲面上に略一致する面となる。

0064

ここで、図7図8を用いて、このダイヤモンド砥粒の切れ刃の状態を説明する。
図7に切れ刃の高さのバラツキを回転軸に沿って規定する説明図で、(a)は回転砥石の回転軸を含む断面図、(b)は回転軸上の位置A1を中心とする円周線上の砥粒の高さを示すグラフである。
図7(a)に示すように、ダイヤモンド砥粒37の切れ刃は、回転砥石11の表面に付着したダイヤモンド砥粒37のうち、所定高さ以上の砥粒で研磨により削られて形成される切れ刃が、それぞれの回転軸位置において、回転軸を中心とする円周方向に沿って揃えられている。つまり、研磨により形成され回転軸を中心とする各円周上に存在するダイヤモンド砥粒の切れ刃が、回転軸上の各位置で、それぞれ回転軸からの半径距離の変動量が所定の範囲内に収められている。

0065

つまり、任意の回転軸位置A1に対して、半径raの位置にダイヤモンド砥粒37の切れ刃61が存在するように、回転軸位置A1を中心とする円周上には、他のダイヤモンド砥粒による切れ刃が多数存在する。回転角θ横軸に半径距離rの変化を表す図7(b)に示すように、回転軸位置A1においては、複数のダイヤモンド砥粒による切れ刃が円周上に次々と現れる。そして、切れ刃の高さは、殆ど同じ高さに揃っているが、回転角θが0°のときのraを始め、厳密にはそれぞれのダイヤモンド砥粒毎に異なっている。本実施形態の研磨装置100により研磨したダイヤモンド砥粒37では、円周上の全周にわたる切れ刃の高さの最大値rmaxと最小値rminを求めたときに、その差分ΔHA(rmax−rmin)が±100nmの範囲内に収められている。実験結果によれば、差分ΔHAを±200nm程度とした場合には、研削加工表面にクラックが発生して鏡面性が劣化する場合があったため、±100nmの範囲内にすることが好ましい。

0066

これにより、回転砥石11を回転駆動して研削加工する際に、砥粒の突き出し量が高精度に均一に揃えられているため、切れ刃がワークに接触する位置(研削位置)が高精度で一定とされ、研削加工精度が高くなる。

0067

また、本実施形態の回転砥石11は、ダイヤモンド砥粒37が、粒度を#20〜#1000の範囲、好ましくは#80〜#200とし、回転砥石11の表面に配置されることで、高切り込みが可能となり、しかも砥粒一つ一つの体積が小さくなりすぎず、切れ刃の摩耗が少なくなるので、安定した研磨加工が行える。つまり、回転砥石11に比較的低メッシュサイズのダイヤモンド砥粒を多数ちりばめ、上述した紫外線石英研磨加工を施すことで、砥粒の摩耗や脱落を軽減しつつ回転砥石11を多刃エンドミルのような工具にすることができる。これにより、研削加工時において、高切り込みを実現しながら、送り速度を実用速度とすることが可能となり、短時間でしかも高精度に鏡面研削加工が行える。

0068

その結果、例えば、超硬合金ダイアモンドライクカーボン(DLC)、非晶質カーボングラッシーカーボン商品名) 東海カーボン社製)、光学ガラス、SiC(炭化ケイ素)、タングステン合金アンビロイ(登録商標) 三菱マテリアルシーエムアイ社製)等のセラミック及び耐熱耐食鋼(ステンレス鋼材)からなるワークを、回転砥石11により鏡面状に研削する場合に、比較的大きな切り込み量や送り量であっても延性モードでの研削加工が容易に実現でき、小径で且つ高接線角度を持つ形状に対しても良好な鏡面を形成できるようになる。

0069

次に、図8を参照して回転砥石の切れ刃の高さのバラツキを回転軸方向に沿って規定する。図8は切れ刃の高さを回転軸に沿って規定する説明図で、(a)は回転砥石の回転軸を含む断面図、(b)は回転砥石表面の一部分Pの拡大断面図である。

0070

図8(a)に示すように、回転砥石11の回転軸を通る断面において、回転砥石11が回転軸を中心に回転したときのダイヤモンド砥粒37による切れ刃の出現領域を、研磨加工帯GBとして表している。この研磨加工帯GBは、回転軸を中心とする円周上の各砥粒全体に対する切れ刃に応じて決定され、この研磨加工帯GB内に位置するワークが研削加工対象となることを意味する。この研磨加工帯GBは、回転砥石11の表面の法線方向の最大厚みで±100nm以下にされている。すなわち、図8(b)の断面図に示すように、回転砥石11の回転により円周上の各砥粒の切れ刃61A,61B,・・・が回転軸を含む断面上に現れる。研磨加工帯GBは、これら切れ刃の出現範囲を表しており、回転砥石11の先端形状に沿って存在する。図示例では簡単化して一定厚みΔHBとしているが、実際には厚みΔHBは場所により異なるものである。

0071

いずれの場合も、紫外線石英研磨により、回転砥石11に形成された各ダイヤモンド砥粒37の切れ刃は、正確に回転砥石11の先端形状に沿った曲面上に配置され、各砥粒の逃げ面がその曲面と略一致する。このような切れ刃の高さが揃った回転砥石11によりワークを研削加工することで、ワーク表面を鏡面研削加工することが可能となる。また、全ての砥粒には、回転対称形の曲面にする研磨加工が施されている為、バニッシニング効果も期待でき、光学部材を研削加工する際は、良好な光学面が得られる。そして、刃先の安定性は、化学的にも物理的にも向上し、安定した研削加工が可能となる。

0072

上記のような回転砥石11の砥粒の切れ刃は、紫外線石英研磨によって得られるもので、他の研磨方法ではこれ程の精度で高さを揃えることはできない。例えば、スカイフ盤での研磨加工では±1μm程度までしか揃えることができない。

0073

次に、上記研磨装置の他の実施の形態について説明する。
上記研磨装置では、回転砥石11と石英である石英研磨工具13との接触状態が一定圧力で押圧されているように維持するため、逃げ機構付きの保持台19を用いていたが、その機能を主軸モータ23側に持たせることができる。
図9は主軸モータと接続される側に逃げ機構を設けた研磨装置の構成例を概念的に示す構成図である。図中、図1で示した部材と同じ部材については同じ符号を付与している。

0074

この研磨装置200においては、石英研磨工具13を主軸モータ23により回転駆動し、砥石回転モータ25により回転駆動される回転砥石11に対して石英研磨工具13を押し当てる。この場合の押し当て力は、主軸モータ23を図示しない送り機構により回転砥石11側へ送ることで生じさせる。このときに石英研磨工具13が回転砥石11から受ける力は、図4に示すバネ等の弾性部材によって同様の機構により吸収して、押し当て力を一定に維持する。この場合、回転砥石11側は石英研磨工具13の回転軸に対して傾斜させて回転させる機構とすることで、回転砥石11の形状寸法が管理しやすくなり、研磨加工の精度を向上できる。

0075

図10図9に示す研磨装置における逃げ機構を石英研磨工具に機能させる構成例を概念的に示す構成図である。この研磨装置300においては、石英研磨工具13Aの厚みを弾性変形容易な程度に薄くしている。この場合の回転砥石11からの押し当て力は、石英研磨工具13Aが反りにより変形することで吸収され、押し当て力が一定に維持される。この構成によれば、逃げ機構を設ける必要がなく、装置構造を簡略化できる。

0076

図11は逃げ機構を設けずに、石英研磨工具を削ることで実質的に押し当て力を一定に維持する構成例を概念的に示す構成図である。この場合の研磨装置300に用いる石英研磨工具13Bは砲弾型であり、回転砥石11の外表面に石英研磨工具13Bの曲面を接触させて研磨する。この場合、曲面同士の接触となり、接触面積が狭くなり、回転砥石11と石英研磨工具13Bの双方が削られて研磨加工が進む。このように、回転砥石11の押し当てにより石英研磨工具13Bが削られることで、押し当て力が略一定に保たれる。

0077

次に、上記の各研磨装置により研磨された回転砥石を用いて高脆材料であるワークを研削加工する研削装置の実施の形態を説明する。
図12に研削装置のブロック構成図を示した。
この研削装置500は、基本的には図1に示す研磨装置100の石英研磨工具13をワークWに付け替えた構成としており、共通する部材には同じ符号を付与している。ワークWは硬脆材料からなり、チャックにより主軸モータ23の主軸に取り付けられる。タンク39には研削液65が貯留され、研削液供給ポンプ67により研削液吐出管路69を通じて研削部位に研削液65を供給している。主軸に取り付けられたワークWは、保持台19によるx方向への切り込み、およびy方向への送りによって研削加工される。なお、保持台19は前述の図2に示すように、回転砥石11の傾斜角φ方向への傾斜移動も可能であり、多様な形状の研削を可能としている。

0078

つまり、回転砥石11は、研磨装置100による研磨加工、すなわち、切れ刃の生成を行った後に、研磨装置100の砥石回転モータ25の回転軸から取り外されることなく、石英研磨工具13をワークWに付け替えるのみで、そのまま研削加工に供される。このため、回転軸からの脱着による芯ずれ等が発生せず、安定して高精度な研削加工が行える。
また、回転砥石11の一端側に形成された細径部の先端は、回転軸を中心とする逆すり鉢状の凸状面を有する砲弾型に形成されているので、ワークWの研削加工自由度が高い。例えば、研削加工目標形状が、直径φ0.2〜5.0mmの凹面の任意の場所で部分的に曲面の窪みを有し、この窪みの曲率半径が2.5mmより小さい微小凹面であるような複雑曲面を有する場合でも、その全面を鏡面研削加工することができる。

0079

したがって、この回転砥石11によれば、レンズ等の精密な光学部材の光学面の鏡面研削加工や複雑な形状の鏡面研削加工に好適に適用でき、しかも研削加工時間を短く、かつ、回転砥石11の切れ刃の摩耗を抑えて工具寿命を伸ばすことできる。そして、この回転砥石11を用いて金型の研削加工を行うことで、硬脆材料からなる金型のキャビティ内壁面を高精度、高効率で研削加工でき、金型の製造コストを低減できる。

0080

その他、上記の研磨方法および研磨装置、並びに研削砥石およびこれを用いた研削装置の各実施の形態は、適宜な変更が可能である。例えば、回転砥石は、逆すり鉢状の凸状面を有する形状の他、円盤状の平砥石、ブロック状の角砥石等、種々の形状に適用することができる。また、研削対象についても、レンズ等の光学機能部材に限らず、他の複雑形状の研削加工にも適用できる。

図面の簡単な説明

0081

研磨装置のブロック構成図である
図1のV方向矢視図である。
回転砥石の全体図である。
逃げ機構付き保持台の概念的な構成例で、(a)は加圧前、(b)は加圧後の状態を示す一部断面構成図である。
研磨装置により研磨を行う前後の回転砥石の拡大図で、(a)は紫外線石英研磨前の状態、(b)は紫外線石英研磨後の状態を模式的に示す説明図である。
ダイヤモンド砥粒の研磨後における実際の回転砥石先端の状態を示す説明図である。
切れ刃の高さのバラツキを回転軸に沿って規定する説明図で、(a)は回転砥石の回転軸を含む断面図、(b)は回転軸上の位置A1を中心とする円周線上の砥粒の高さを示すグラフである。
切れ刃の高さを回転軸に沿って規定する説明図で、(a)は回転砥石の回転軸を含む断面図、(b)は回転砥石表面の一部分Pの拡大断面図である。
主軸モータと接続される側に逃げ機構を設けた研磨装置の構成例を概念的に示す構成図である。
図9に示す研磨装置における逃げ機構を石英研磨工具に機能させる構成例を概念的に示す構成図である。
逃げ機構を設けずに押し当て力を一定に維持する研磨装置の構成例を概念的に示す構成図である。
研削装置のブロック構成図である。

符号の説明

0082

11回転砥石
13石英研磨工具(石英)
17接触部位
19保持台
23主軸モータ
25砥石回転モータ
27光源
29ライトガイド
31 制御部
33チャック
35シャンク
35a細径部
37ダイヤモンド砥粒
39タンク
51スライド溝
53ガイド
55 支持部
57突起
59バネ
61切れ刃
63逃げ面
65研削液
100,200,300,400研磨装置
500研削装置
L紫外線
GB研磨加工帯
W ワーク

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