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技術 ダイヤモンドの表層加工方法

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 茶谷原昭義杢野由明山田英明藤森直治上塚洋
出願日 2008年9月9日 (11年5ヶ月経過) 出願番号 2008-230522
公開日 2010年3月25日 (9年11ヶ月経過) 公開番号 2010-064909
状態 特許登録済
技術分野 結晶、結晶のための後処理 ウェットエッチング
主要キーワード 最低面 ダイヤモンド加工 はじき出し ダイヤモンド部分 ダイヤモンド基材 放射線デバイス ダイヤモンド板 表面微細加工
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図面 (8)

課題

ダイヤモンドの表面を任意の形状に加工できるダイヤモンドの表層加工方法であって、比較的簡易な方法によって、平坦性に優れた加工部分を形成できる方法を提供する。

解決手段

下記(1)〜(3)の工程を含むダイヤモンドの表層加工方法:(1)処理対象のダイヤモンドの表面に、目的とするダイヤモンド加工面の凸部に対応する形状の遮蔽層を形成する工程、(2) 上記(1)工程で遮蔽層を形成したダイヤモンドの表面からイオン注入を行い、その後、加熱してダイヤモンドの表面近傍グラファイト化した非ダイヤモンド層を形成する工程、(3) グラファイト化した非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より表層部分を分離する工程。

概要

背景

ダイヤモンドは、砥石工具のみならず、次世代半導体材料パワーデバイス高温デバイス、耐放射線デバイス)、電子放出材料蛍光管電子線源)、光学材料マイクロレンズアレイ)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systemあるいはマイクロマシン)用
材料などとして注目されている。近年、気相合成法により多結晶および単結晶の大型ダイヤモンド板が製造されるようになり、上述の応用は現実性増している。これらの応用は、ダイヤモンドのもつ優れた物性、たとえば5.5eVという大きなバンドギャップ電子
よび正孔の大きな移動度負性電子親和力水素終端表面)、物質最高硬度化学的定性などの特性を利用しようとするものである。

ダイヤモンドを上記した各種のデバイス材料として用いるためには、その用途に応じて、ダイヤモンドの表面微細加工が必要となる。通常、ダイヤモンドの微細加工方法としては、従来のシリコン半導体製造技術を改良した方法が適用されており、リソグラフィーによるマスク形成ドライエッチングが主要な方法である。しかしながら、エッチングによって微細加工を行う方法では、エッチング面に意図しない表面突起表面荒れが発生しやすく、より平滑な加工面を形成できる方法が望まれている。

例えば、下記特許文献1には、エッチング工程とエッチング面のクリーニング工程の処理条件を選択することによって平坦なエッチング面を形成する方法が開示されている。更に、下記特許文献2には、ダイヤモンド表面にダイヤモンドと異なる材料からなる平坦な被膜を形成した後、イオン注入を行ってダイヤモンド変質層を形成し、この変質層をエッチングして除去することによって、ダイヤモンドを平坦化する方法が記載されている。しかしながら、これらの方法では、最終的には表面層を最表面から順次エッチングして除去するため、エッチングプロセス中に発生しやすい突起などを抑制することは困難である。
特開2007−258242号公報
特開平7−41388号公報

概要

ダイヤモンドの表面を任意の形状に加工できるダイヤモンドの表層加工方法であって、比較的簡易な方法によって、平坦性に優れた加工部分を形成できる方法を提供する。下記(1)〜(3)の工程を含むダイヤモンドの表層加工方法:(1)処理対象のダイヤモンドの表面に、目的とするダイヤモンド加工面の凸部に対応する形状の遮蔽層を形成する工程、(2) 上記(1)工程で遮蔽層を形成したダイヤモンドの表面からイオン注入を行い、その後、加熱してダイヤモンドの表面近傍グラファイト化した非ダイヤモンド層を形成する工程、(3) グラファイト化した非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より表層部分を分離する工程。

目的

本発明は上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ダイヤモンドの表面を任意の形状に加工できるダイヤモンドの表層加工方法であって、比較的簡易な方法によって、平坦性に優れた加工部分を形成できる方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記(1)〜(3)の工程を含むダイヤモンド表層加工方法:(1)処理対象のダイヤモンドの表面に、目的とするダイヤモンド加工面の凸部に対応する形状の遮蔽層を形成する工程、(2)上記(1)工程で遮蔽層を形成したダイヤモンドの表面からイオン注入を行い、その後、加熱してダイヤモンドの表面近傍グラファイト化した非ダイヤモンド層を形成する工程、(3)グラファイト化した非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より表層部分を分離する工程。

請求項2

遮断層を形成する材料が、セラミック材料ガラス材料又は金属材料であり、非ダイヤモンド層をエッチングする方法が、電気化学エッチング法である請求項1に記載の方法。

請求項3

下記の工程を含むダイヤモンド成長層分離方法:(1)表面に凸部が形成されたダイヤモンドにイオン注入を行い、その後加熱してダイヤモンドの表面近傍にグラファイト化した非ダイヤモンド層を形成する工程、(2)非ダイヤモンド層を形成したダイヤモンドの表面に気相合成法によってダイヤモンドを成長させる工程、(3)上記(2)工程でダイヤモンドを成長させた後、非ダイヤモンド層をエッチングして、ダイヤモンド成長層を含む表層部分を分離する工程。

請求項4

請求項3に記載のダイヤモンド成長層の分離方法において、(2)工程でダイヤモンドを成長させる際に、(1)工程における非ダイヤモンド層をグラファイト化するための加熱を同時に行う、ダイヤモンド成長層の分離方法。

請求項5

請求項3又は4に記載のダイヤモンド成長層の分離方法において、(1)工程で用いる表面に凸部が形成されたダイヤモンドが、請求項1又は2の方法で得られたダイヤモンドである、ダイヤモンド成長層の分離方法。

技術分野

0001

本発明は、ダイヤモンド表層加工方法に関する。

背景技術

0002

ダイヤモンドは、砥石工具のみならず、次世代半導体材料パワーデバイス高温デバイス、耐放射線デバイス)、電子放出材料蛍光管電子線源)、光学材料マイクロレンズアレイ)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systemあるいはマイクロマシン)用
材料などとして注目されている。近年、気相合成法により多結晶および単結晶の大型ダイヤモンド板が製造されるようになり、上述の応用は現実性増している。これらの応用は、ダイヤモンドのもつ優れた物性、たとえば5.5eVという大きなバンドギャップ電子
よび正孔の大きな移動度負性電子親和力水素終端表面)、物質最高硬度化学的定性などの特性を利用しようとするものである。

0003

ダイヤモンドを上記した各種のデバイス材料として用いるためには、その用途に応じて、ダイヤモンドの表面微細加工が必要となる。通常、ダイヤモンドの微細加工方法としては、従来のシリコン半導体製造技術を改良した方法が適用されており、リソグラフィーによるマスク形成ドライエッチングが主要な方法である。しかしながら、エッチングによって微細加工を行う方法では、エッチング面に意図しない表面突起表面荒れが発生しやすく、より平滑な加工面を形成できる方法が望まれている。

0004

例えば、下記特許文献1には、エッチング工程とエッチング面のクリーニング工程の処理条件を選択することによって平坦なエッチング面を形成する方法が開示されている。更に、下記特許文献2には、ダイヤモンド表面にダイヤモンドと異なる材料からなる平坦な被膜を形成した後、イオン注入を行ってダイヤモンド変質層を形成し、この変質層をエッチングして除去することによって、ダイヤモンドを平坦化する方法が記載されている。しかしながら、これらの方法では、最終的には表面層を最表面から順次エッチングして除去するため、エッチングプロセス中に発生しやすい突起などを抑制することは困難である。
特開2007−258242号公報
特開平7−41388号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ダイヤモンドの表面を任意の形状に加工できるダイヤモンドの表層加工方法であって、比較的簡易な方法によって、平坦性に優れた加工部分を形成できる方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、処理対象のダイヤモンドの表面上に、目的とする加工面の凸部に対応するパターン遮蔽層を形成した後、この面上からイオン注入してダイヤモンド中非ダイヤモンド層を形成する方法によれば、遮蔽層が形成されたダイヤモンド表面と同様の形状を有する非ダイヤモンド層がダイヤモンドの表面近傍に形成されることを見出した。そして、非ダイヤモンド層を加熱してグラファイト化させた後、エッチングすることによって、非ダイヤモンド層より表層部分がダイヤモンドの本体から容易に分離され、遮蔽層が形成されたダイヤモンド表面に対応する形状に分離面のダイヤモンドを加工できることを見出した。そして、この様にして加工されたダイヤモンドの加工面は、表面から順次エッチングして加工された面と比較
すると、非常に平坦性に優れたものとなり、各種の用途に有効に利用できることを見出した。更に、このような方法で加工したダイヤモンドについては、イオン注入及び加熱を行ってグラファイト化した非ダイヤモンド層を形成した後、その表面にダイヤモンドを成長させ、その後、非ダイヤモンド層をエッチングすることによって、成長したダイヤモンドを含む表層部分を容易に分離することができ、分離された表層部分の分離面は、基板となるダイヤモンド表面の形状を反転した形状であって、平坦性に優れたものとなり、各種の用途に有効に利用できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。

0007

即ち、本発明は、下記のダイヤモンドの表層加工方法を提供するものである。
1. 下記(1)〜(3)の工程を含むダイヤモンドの表層加工方法:
(1)処理対象のダイヤモンドの表面に、目的とするダイヤモンド加工面の凸部に対応する形状の遮蔽層を形成する工程、
(2) 上記(1)工程で遮蔽層を形成したダイヤモンドの表面からイオン注入を行い、その後、加熱してダイヤモンドの表面近傍にグラファイト化した非ダイヤモンド層を形成する工程、
(3) グラファイト化した非ダイヤモンド層をエッチングして、該非ダイヤモンド層より表層部分を分離する工程。
2.遮断層を形成する材料が、セラミック材料ガラス材料又は金属材料であり、非ダイヤモンド層をエッチングする方法が、電気化学エッチング法である上記項1に記載の方法。
3. 下記の工程を含むダイヤモンド成長層分離方法
(1) 表面に凸部が形成されたダイヤモンドにイオン注入を行い、その後加熱してダイヤモンドの表面近傍にグラファイト化した非ダイヤモンド層を形成する工程、
(2) 非ダイヤモンド層を形成したダイヤモンドの表面に気相合成法によってダイヤモンドを成長させる工程、
(3) 上記(2)工程でダイヤモンドを成長させた後、非ダイヤモンド層をエッチングして、ダイヤモンド成長層を含む表層部分を分離する工程。
4. 上記項3に記載のダイヤモンド成長層の分離方法において、(2)工程でダイヤモンドを成長させる際に、(1)工程における非ダイヤモンド層をグラファイト化するための加熱を同時に行う、ダイヤモンド成長層の分離方法。
5. 上記項3又は4に記載のダイヤモンド成長層の分離方法において、(1)工程で用いる表面に凸部が形成されたダイヤモンドが、請求項1又は2の方法で得られたダイヤモンドである、ダイヤモンド成長層の分離方法。

0008

以下、本発明の加工方法について具体的に説明する。

0009

処理対象とするダイヤモンド
本発明の加工方法の処理対象となるダイヤモンドは、特に限定されるものではなく、例えば、天然のダイヤモンド、高圧合成法によって人工的に製造されたバルク単結晶からなるダイヤモンド、気相合成法によって基板等の上に形成された多結晶ダイヤモンドまたは単結晶ダイヤモンドナノダイヤモンド等の各種のダイヤモンドを処理対象とすることができる。更に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)も本発明の処理対象のダイヤモンド
に含まれる。

0010

(1)ダイヤモンドの表層加工方法
以下、本発明の表層加工方法の概略を示す図1を参照して、本発明方法について詳細に説明する。

0011

(i)遮断層の形成工程:
まず、図1(a)に示す様に、処置対象とするダイヤモンドの表面上に、目的とする加工面の表面形状に対応するパターンで遮蔽層を形成する。即ち、最終的に目的とするダイヤモンド加工面の表面形状に応じて、凸部となる部分について遮蔽層を形成すればよい。

0012

遮蔽層を形成する材料としては、イオン注入によって飛散、減量、変形等を生じない材料であれば良く、例えば、SiO2 、Al2O3等のガラス材料、セラミックス材料;Fe、Ni、Au、Ptなどの金属材料等を用いることができる。特に、イオン注入深さ(飛程と呼ばれる)がダイヤモンドと同一の材料を用いれば、後述するイオン注入工程において、遮蔽層と同一形状の非ダイヤモンド層を形成することが可能となる。 更に、ダイヤモンド自
体を遮蔽層の材料として用いることも可能である。

0013

遮蔽層を形成する方法については特に限定的ではなく、使用する遮蔽層の材料に応じて、目的とする形状、及び厚さの遮蔽層を形成できる方法を採用すればよい。例えば、真空蒸着スパッタリングプラズマCVDスピンコートディップコートなどの薄膜作製
法を用いて薄膜を作製し、一般的なフォトリソグラフィー方法を用いてパターニングする等の方法を適用できる。

0014

遮蔽層の厚さについては、後述するイオン注入の際に、使用する材料に応じて決まる注入イオンの飛程に基づいて決めればよい。即ち、遮断層の材料としてダイヤモンドを用いる場合には、遮断層を形成した部分の注入イオンの飛程は、遮断層を形成していない部分と同一であることから、後述する方法でイオン注入を行うことによって、遮断層を形成したダイヤモンド表面の形状と同一の形状の非ダイヤモンド層を形成することができる。また、遮断層を形成した部分の注入イオンの飛程が、遮断層を形成していない部分と比較して短くなる材料を用いて遮断層を形成する場合には、イオン注入によって形成される非ダイヤモンド層の凸部の高さは、遮断層によって形成された凸部と比較すると高くなる。これらの点を考慮して、使用する遮断層の材料の種類に応じて、目的とする形状の非ダイヤモンド層が形成されるように遮断層の厚さを決定すればよい。

0015

(ii)非ダイヤモンド層の形成工程:
次いで、遮断層を形成したダイヤモンド面上からイオン注入を行う。イオン注入法は、試料高速イオン照射する方法であり、一般的には所望の元素イオン化して取り出し、これに電圧印加して電界により加速した後、質量分離して所定のエネルギーを持ったイオンを試料に照射することにより行うが、プラズマの中に試料を浸漬し、試料に負の高電圧パルスを加えることによりプラズマ中の正イオン誘引するプラズマイオン注入法により行ってもよい。注入イオンとしては、例えば炭素酸素アルゴンヘリウムプロトンなどを用いることができる。

0016

イオンの注入エネルギーは、一般的なイオン注入で用いられる10 keV〜10 MeV程度の範囲でよい。注入イオンは、イオンの種類とエネルギー、およびイオン注入される材料の種類によって決まる注入深さ(飛程)を中心に一定の幅を持って分布する。試料の損傷はイオンが停止する飛程近傍が最大になるが、飛程近傍より表面側でもイオンが通過することにより一定程度の損傷を受ける。これら飛程や損傷の度合いは、SRIMコードのようなモンテカルロシミュレーションコードによって計算・予測することができる。

0017

遮断層を形成したダイヤモンドにイオン注入を行うことにより、照射量がある一定量を超えると、イオンの飛程近傍より表面側で結晶構造変質し、ダイヤモンド構造破壊されて非ダイヤモンド層が形成される。

0018

形成される非ダイヤモンド層の深さや厚さは、使用するイオンの種類、注入エネルギー、照射量、イオン注入される材料の種類などによって異なるので、これらの条件について
は、イオンの飛程近傍において分離可能な非ダイヤモンド層が形成されるように決めればよい。通常は、注入されたイオンの原子濃度が最も高い部分について、原子濃度が1x1020
atoms/cm3程度以上であることが好ましく、確実に非ダイヤモンド層を形成するためには1x1021 atoms/cm3程度、すなわちはじき出し損傷量で1 dpa以上であることが好ましい。

0019

例えば、炭素イオンを注入エネルギー3 MeVで注入する場合には、イオンの照射量は、1x1016 ions/cm2〜1x1017 ions/cm2程度とすればよい。この場合、イオンの照射量が多くなりすぎると、表面の結晶性が悪化し、一方、照射量が少なすぎると、非ダイヤモンド層が十分に形成されず、表層部分の分離が困難となる。

0020

上記した方法でイオン注入を行うことによって、図1(b)に示すように、遮蔽層が形成されたダイヤモンド表面と同様の凹凸形状を有する非ダイヤモンド層が、処理対象のダイヤモンドの表面近傍に形成される。

0021

次いで、イオン注入後、ダイヤモンドを真空中、還元性雰囲気、酸素を含まない不活性ガス雰囲気等の非酸化性雰囲気中で600℃以上の温度で熱処理することによって、非ダイヤモンド層のグラファイト化を進行させる。これにより、次工程でのエッチングが速く進行する。熱処理温度の上限はダイヤモンドがグラファイト化しはじめる温度となるが、通常、1200℃程度とすればよい。熱処理時間については、熱処理温度などの処理条件により異なるが、例えば、5分〜10時間程度とすればよい。

0022

(iii)非ダイヤモンド層のエッチング工程:
上記した方法で非ダイヤモンド層をグラフィト化した後、非ダイヤモンド層をエッチングして非ダイヤモンド層より表層部分を分離する。これにより、図1(c)に示すように、遮蔽層が形成されたダイヤモンド表面に対応する表面形状を有するダイヤモンドを得ることができる。この際、表層部分を分離した後のダイヤモンド表面において凸部が形成される位置は、遮断層が形成された位置と同じ位置になるが、凸部の高さについては、遮断層を形成する材料に応じて決まる注入イオンの飛程に対応するものとなる。即ち、遮断層を形成した部分の注入イオンの飛程が、遮断層を形成していない部分の飛程より短くなる場合には、表層を分離したダイヤモンド表面の凸部の高さは、遮断層が形成されたダイヤモンド表面の凸部の高さより大きくなり、遮断層を形成した部分の注入イオンの飛程が、遮断層を形成していない部分の飛程より長い場合には、加工後のダイヤモンド表面の凸部の高さは、遮断層が形成されたダイヤモンド表面の凸部の高さより小さくなる。

0023

非ダイヤモンド層より表層部分を除去する方法については、特に限定的ではないが、例えば、電気化学エッチング、熱酸化放電加工などの方法を適用できる。

0024

電気化学エッチングによって非ダイヤモンド層を取り除く方法としては、例えば、電解液の中に2個の電極一定間隔を置いて設置し、非ダイヤモンド層を形成した単結晶ダイヤモンドを電解液中の電極間に置き、電極間に直流電圧を印加する方法を採用できる。電解液としては、純水が望ましい。電極材料導電性を有するものであれば特に制限はないが、化学的に安定な白金グラファイトなどの電極が望ましい。電極間隔隔および印加電圧は、最もエッチングが速く進むように設定すればよい。電解液の中の電界強度は通常100〜300 V/cm程度であればよい。

0025

また、電気化学エッチングによって非ダイヤモンド層を取り除く方法において、交流電圧を印加してエッチングを行う方法によれば、大型の単結晶ダイヤモンドであっても、非ダイヤモンド層においてエッチングが結晶の内部にまで極めて速く進行し、非ダイヤモンド層より表面側のダイヤモンドを短時間に分離することが可能となる。

0026

交流電圧を印加する方法についても、電極間隔および印加電圧は、最もエッチングが速く進むように設定すればよいが、通常、印加電圧を電極間隔で割った電解液の中の電界強度は通常50〜10000V/cm程度とすることが好ましく、500〜10000V/cm程度とすることがよ
り好ましい。

0027

交流としては、商用の周波数60または50Hzの正弦波交流を用いるのが簡単であるが、同様の周波数成分をもてば、波形は特に正弦波に限るものではない。

0028

電解液として用いる純水は、比抵抗が高い(即ち、導電率が低い)ほうが高電圧を印加できるので都合がよい。一般の超純水装置を用いて得られる超純水は、18MΩ・cm程度と
いう十分に高い比抵抗を有するので、電解液として好適に使用できる。液温低温のほうが高電圧を印加できるので都合がよい。実際上は室温でエッチングをはじめ、冷却しなければ80°程度まで昇温しても問題はない。

0029

また、熱酸化で非ダイヤモンド層を取り除く方法としては、例えば、酸素雰囲気中で500〜900℃程度の高温に加熱し、酸化によって非ダイヤモンド層をエッチングすればよい。この際、エッチングがダイヤモンド内部まで進むと、結晶の外周から酸素が透過しにくくなるため、非ダイヤモンド層を形成するためのイオンとして酸素イオンを選択し、かつエッチングが起こるのに必要な照射量より十分に多量の酸素イオンを注入しておけば、エッチング時に酸素が非ダイヤモンド層の内部からも供給され、非ダイヤモンド層のエッチングをより速く進行させることができる。

0030

さらに、グラファイト化が進んだ非ダイヤモンド層は導電性があるため、放電加工により切断(エッチング)することもできる。

0031

以上の方法によれば、非ダイヤモンド層より表層部分が容易に分離され、加工後のダイヤモンド表面は、上記(1)工程において遮断層を形成したダイヤモンド表面に対応する形状を有するものとなる。この方法によれば、ダイヤモンドの表層を加工する際に、加工部分に表面突起や表面荒れが生じ難く、平坦性に優れた加工面を形成できる。

0032

(2)ダイヤモンド成長層の分離加工方法
上記した方法で表層部分が加工されたダイヤモンドについては、更に、この表面からイオン注入を行って、ダイヤモンドの表面近傍に非ダイヤモンド層を形成した後、気相合成法によってダイヤモンド表面にダイヤモンドを成長させ、その後、非ダイヤモンド層をエッチングすることによって、気相合成によって成長したダイヤモンドを含む表層部分のダイヤモンドを、下層部分のダイヤモンドから分離することができる。

0033

以下、この方法について、図2を参照して具体的に説明する。
(i)非ダイヤモンド層の形成工程:
処理対象とするダイヤモンドは、表面に凸部が形成されたダイヤモンドである。この様なダイヤモンドとしては、上記(1)項に記載した表層加工方法によって得られたダイヤモンドを使用できるが、これに限定されず、例えば、フォトリソグラフィー法によって所定のパターンを有するマスクを形成した後、ドライエッチング法等によって表面を微細加工したダイヤモンドなども使用できる。この場合、凸部とは、表面の最低面に対して相対的に高い部分をいう。従って、表面をエッチングして凹部を形成した場合には、非エッチング面は、凹部の底面に対して凸部となり、これも凸部を形成したダイヤモンドに含まれる。

0034

まず、図2(a)及び(b)に示す様に、表面に凸部が形成されたダイヤモンドに対してイオン注入を行って非ダイヤモンド層を形成する。イオン注入の方法は、上記(1)(
ii)項に記載した方法と同様とすればよい。これにより、表面の凸部の形状と同様の形状を有する非ダイヤモンド層がダイヤモンドの表面近傍に形成される。

0035

次いで、上記(1)(ii)項に記載した方法と同様にして熱処理を行い、非ダイヤモンド層をグラファイト化させる。この熱処理は、例えば、後述するダイヤモンド成長用の気相合成装置を使って行うこともできる。この場合、例えば、ダイヤモンドの合成に通常用いられる水素ガス雰囲気中で、上記条件に従って熱処理を行えばよい。

0036

或いは、後述するダイヤモンド成長工程におけるダイヤモンド合成条件が十分高温であれば、ダイヤモンド合成中に非ダイヤモンド層のグラファイト化が進行するので、独立した加熱処理によるグラファイト化工程は不要である。

0037

(ii)ダイヤモンド成長工程:
次いで、図2(c)に示すように、処理対象のダイヤモンドの表面に、ダイヤモンドを成長させる。ダイヤモンドの成長方法としては、気相合成法を採用することができる。気相合成法としては、特に限定はなく、例えば、マイクロ波プラズマCVD法、熱フィラメン
ト法、直流放電法などの公知の方法を適用できる。

0038

特に、マイクロ波プラズマCVD法によれば、高純度ダイヤモンド膜を成長させること
ができる。具体的な製造条件については特に限定はなく、公知の条件に従って、ダイヤモンドを成長させればよい。原料ガスとしては、例えば、メタンガス水素ガス混合ガスを用いることができ、更に、これに窒素ガスを加えることによって、成長速度が飛躍的に上昇するとともに、特に単結晶成長の場合は異常成長粒子成長丘の発生を皆無にすることができる。

0039

具体的なダイヤモンド成長条件の一例を示すと、反応ガスとして用いる水素メタン及び窒素混合気体では、メタンは、水素供給量モルに対して、0.01〜0.33モル程度となる比率で供給し、窒素は、メタン供給量1モルに対して、0.0005〜0.1モル程度となる比率で供給することが好ましい。また、プラズマCVD装置内の圧力は、通常、13.3〜40kPa程度とすればよい。マイクロ波としては、通常、2.45GHz、915MHz等の工業および科学用に許可された周波数のマイクロ波が使用される。マイクロ波電力は、特に限定的ではないが、通常、0.5〜5kW程度とればよい。この様な範囲内において、例えば、ダイヤモンド基板の温度が900〜1300℃程度となるように各条件を設定すればよい。また、このような温度に基板を保つことより、イオン注入により形成した非ダイヤモンド層のグラファイト化が促進される。

0040

(iii)非ダイヤモンド層のエッチング工程:
次いで、非ダイヤモンド層をエッチングして非ダイヤモンド層より表層部分を分離する。これにより、図2(d)及び(e)に示すように、非ダイヤモンド層より表層側ダイヤモンド部分と気相合成によって成長したダイヤモンド部分を、非ダイヤモンド層より下層部分のダイヤモンドから分離することができる。非ダイヤモンド層のエッチング方法としては、上記(1)(iii)項に記載した方法と同様の方法を採用できる。

0041

この方法によれば、図2(e)に示す非ダイヤモンド層より下層部分のダイヤモンドは、気相合成法によってダイヤモンドを成長させる前のダイヤモンドと同様の表面形状を有するものとなる。このダイヤモンドは、工具、砥石、電子デバイス用基板等の各種の用途に使用できるが、更に、上記(2)項に示すダイヤモンド成長層の分離方法における基板として繰り返し使用することもできる。

0042

また、図2(d)に示す下層部分から分離されたダイヤモンド、即ち、非ダイヤモンド
層より表層側のダイヤモンド部分と気相合成によって成長したダイヤモンド部分を含むダイヤモンドについては、分離面の表面形状は、加工前のダイヤモンドの表面形状が反転したものとなる。この様にして得られるダイヤモンドについても、エッチング法によって表面を直接加工したダイヤモンドと比較すると加工面の平坦性に優れたものとなり、上記した各種の用途に有効に使用できる。

発明の効果

0043

本発明のダイヤモンドの表層加工方法によれば、表面に遮断層を形成した後、イオン注入及び加熱を行い、形成された非ダイヤモンド層をエッチングするという比較的簡単な処理方法によって、ダイヤモンドの表面を任意の形状に加工することができる。また、加工面は良好な平坦性を有するものとなる。

0044

また、本発明のダイヤモンド成長層の分離方法によれば、任意の表面形状を有するダイヤモンドを基板として、この表面に形成されたダイヤモンド成長層を簡単な方法で分離することができる。分離されたダイヤモンド成長層を含む表層部分は、平滑な分離面を形成すると共に、ダイヤモンド基板の形状を反転した表面形状を有するものとなる。

0045

本発明の方法によって加工されたダイヤモンドは、工具、光学部品半導体素子電子部品モールド等の各種の用途に有効に用いることができる。

発明を実施するための最良の形態

0046

以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。

0047

実施例1
平坦に研磨された高温高圧合成の単結晶ダイヤモンド基材(3×3mm、厚さ0.5mm)上
フォトリソグラフィー技術を用いて直径20μm、厚さ130nmの円柱状の複数のSiO2層を形成した。図3は、複数のSiO2層が形成されたダイヤモンド基板を模式的に示す平面と正面図である。図4は、SiO2層が形成された部分の断面形状をレーザー顕微鏡を用いて測定した結果を示すグラフである。

0048

次いで、SiO2層を形成したダイヤモンド基材に、タンデム加速器を用いて、エネルギ
ー3MeVの炭素イオンをドーズ量2×1016個/cm2、室温にてイオン注入した。その後、こ
の基板をマイクロ波プラズマCVD装置内に配置し、水素プラズマによって1100℃に加熱し
イオン注入層をグラファイト化させた。

0049

次いで、超純水400ccを入れたガラスビーカー中に、直径0.5mmの二本の白金電極を約5mm間隔で設置し、上記した試料を電極間にガラス板テフロン登録商標テープを用いて固定し、印加電圧4kV(交流60Hz)の条件で電解エッチングを行ってグラファイト層
エッチングすることにより、SiO2およびダイヤモンドからなる表層部分を分離した。液
温はエッチング開始時の25℃からエッチング中に上昇し、一時間後約80℃に達し、以降一定であった。

0050

表層部分を分離した後のダイヤモンド基材の分離面では、SiO2層が形成されていた位置に対応する部分に凸部が形成されていた。図5は、ダイヤモンド基材の凸部が形成された部分の断面形状をレーザー顕微鏡を用いて計測した結果を示すグラフである。図5から明らかなように、加工後のダイヤモンド基材の表面では、SiO2層が形成されていた位置に対応する部分にSiO2層と同じ直径約20μmの凸部が形成されていることが確認できた。また、加工面の粗さは、加工前のダイヤモンド表面の粗さとほぼ同様であり、平坦な加工面が形成されていることが確認できた。

0051

実施例2
実施例1において凸部が形成されたダイヤモンド基材に対して、タンデム加速器を用いて、エネルギー3MeVの炭素イオンをドーズ量2×1016個/cm2、室温にてイオン注入した

0052

この基材をマイクロ波プラズマCVD装置内に配置し、水素500sccmを供給し、圧力を160Torrに調整し、マイクロ波電力を印加してプラズマ化し、基材を1150℃に加熱して、イオ
注入層をグラファイト化し、さらに、メタン60sccm、窒素0.6sccmの原料ガスを導入し
、ダイヤモンドエピタキシャル成長を行った。ダイヤモンドエピタキシャル成長層の厚さは0.3mmであった。

0053

次いで、この試料に対して、実施例1と同様にして、純水中にて電解エッチング法によってグラファイト層をエッチングして、グラファイト層より表層部分を分離した。

0054

分離された表層部分では、下層部との分離面は、ダイヤモンド基材の凸部に対応する部分が凹部となっていた。図6は、分離された表層部分の凹部が形成された部分の断面形状をレーザー顕微鏡を用いて計測した結果を示すグラフである。図6から明らかなように、ダイヤモンド基材の凸部に対応する部分に、凸部と同様の直径20μmの凹部が形成されていることが確認できた。また、表層部分を分離した後のダイヤモンド基材の分離面では、処理対象のダイヤモンド表面に凸部が形成されていた位置に対応する部分に、同様の形状の凸部が形成されていた。図7は、分離後のダイヤモンド基材の分離面の凸部が形成された部分の断面形状をレーザー顕微鏡を用いて計測した結果を示すグラフである。図7から明らかなように、処理対象のダイヤモンド表面に凸部が形成されていた位置に対応する部分に、直径約20μmの凸部が形成されていることが確認できる。また、分離面については、分離された表層部分及びダイヤモンド基材部分のいずれについても、加工前のダイヤモンド表面の粗さとほぼ同様であり、平坦な加工面が形成されていることが確認できた。

図面の簡単な説明

0055

本発明の表層加工方法の概略を示す説明図。
本発明のダイヤモンド成長層の分離加工方法の概略を示す説明図。
実施例1で用いたSiO2層が形成されたダイヤモンド基板を模式的に示す平面と正面図。
実施例1で用いたSiO2層が形成されたダイヤモンド基板について、SiO2層が形成された部分の断面形状をレーザー顕微鏡を用いて測定した結果を示すグラフ。
実施例1において、ダイヤモンド基材の凸部が形成された部分の断面形状をレーザー顕微鏡で計測した結果を示すグラフ。
実施例2において、分離された表層部分の凹部が形成された部分の断面形状をレーザー顕微鏡で計測した結果を示すグラフ。
実施例2において、ダイヤモンド基材の分離面の凸部が形成された部分の断面形状をレーザー顕微鏡で計測した結果を示すグラフ。

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