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技術 圧電磁器およびそれを用いた圧電素子

出願人 京セラ株式会社
発明者 岩下修三
出願日 2008年8月28日 (11年9ヶ月経過) 出願番号 2008-219239
公開日 2010年3月11日 (10年3ヶ月経過) 公開番号 2010-052977
状態 特許登録済
技術分野 酸化物セラミックスの組成1 酸化物セラミックスの組成2 圧電、電歪、磁歪装置
主要キーワード 度ドメイン 測定用素子 ニオブ酸アルカリ 圧電基体 飽和電界 構造相転移 業会標準規格 流量制御用
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

分極処理時の電界強度を低くできる非鉛の圧電磁器および圧電素子を提供する。

解決手段

ニオブ酸アルカリを主成分とするとともにビスマスを含み、平均粒子径が2μm以下であり、かつ内部に存在するドメインウォール2が略平行である粒子1の割合が全体の80%以上である焼結体からなる圧電磁器を用いる。ドメインサイズが小さく、かつ粒子内のドメインウォール2が1方向に整列している粒子1の割合が高いため、低い電界強度で分極処理を行なうことができる。

概要

背景

圧電磁器を利用した製品としては、例えば、フィルタ位置決め、光学装置光路長制御、流量制御用バルブ超音波モータあるいは自動車ブレーキ装置等に使用されるアクチュエータなどがある。

従来、アクチュエータとしては、圧電性の高い、PZTチタン酸ジルコン酸鉛系材料やPT(チタン酸鉛)系材料が使用されていた。しかしながら、PZT系材料やPT系材料は、鉛を約60質量%の割合で含有しているため、酸性雨により鉛の溶出が起こり、環境汚染を招く危険性が指摘されている。そこで、鉛を含有しない圧電材料へ高い期待が寄せられている。

そのような非鉛圧電材料としては、ニオブ酸カリウム(KNbO3)とニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)とを主成分とした圧電磁器が提案されている(例えば特許文献1を参照。)。
特開2000−313664号公報

概要

分極処理時の電界強度を低くできる非鉛の圧電磁器および圧電素子を提供する。ニオブ酸アルカリを主成分とするとともにビスマスを含み、平均粒子径が2μm以下であり、かつ内部に存在するドメインウォール2が略平行である粒子1の割合が全体の80%以上である焼結体からなる圧電磁器を用いる。ドメインサイズが小さく、かつ粒子内のドメインウォール2が1方向に整列している粒子1の割合が高いため、低い電界強度で分極処理を行なうことができる。

目的

したがって、本発明は、分極処理時に飽和分極に達する電界強度を低くできる非鉛の圧電磁器およびそれを用いた圧電素子を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ニオブ酸アルカリを主成分とするとともにビスマスを含む圧電磁器であって、前記ニオブ酸アルカリを主成分とするとともに前記ビスマスを含む粒子平均粒子径が2μm以下であり、かつ前記粒子のうち、内部に存在するドメインウォールが略平行である粒子の割合が80%以上であることを特徴とする圧電磁器。

請求項2

Na、K、Li、NbおよびBiを含み、組成式で(NaaK1−a)1−bLibNbO3+x(Na0.5Bi0.5)Bi2Nb2O9と表したとき、Na、K、Li、NbおよびBiの元素の割合が0.42≦a≦0.58、0.03≦b≦0.06、0.001≦x≦0.005の関係を満足することを特徴とする請求項1記載の圧電磁器。

請求項3

前記組成式でxが0.001≦x≦0.0025である成分100質量部に対して、MnをMnO2換算で0.05〜2質量部含有することを特徴とする請求項2記載の圧電磁器。

請求項4

前記組成式でbが0.04≦b≦0.06である成分100質量部に対して、MnをMnO2換算で0.05〜2質量部含有することを特徴とする請求項2または3記載の圧電磁器。

請求項5

請求項1〜4のいずれかに記載の圧電磁器からなる基体の対向する一対の表面に電極を備えたことを特徴とする圧電素子

技術分野

0001

本発明は、圧電磁器および圧電素子に関し、位置決め、光学装置光路長制御、流量制御用バルブ超音波モータあるいは自動車ブレーキ装置等に使用されるアクチュエータなどに好適に用いられる圧電磁器および圧電素子に関するものである。

背景技術

0002

圧電磁器を利用した製品としては、例えば、フィルタ、位置決め、光学装置の光路長制御、流量制御用バルブ、超音波モータあるいは自動車のブレーキ装置等に使用されるアクチュエータなどがある。

0003

従来、アクチュエータとしては、圧電性の高い、PZTチタン酸ジルコン酸鉛系材料やPT(チタン酸鉛)系材料が使用されていた。しかしながら、PZT系材料やPT系材料は、鉛を約60質量%の割合で含有しているため、酸性雨により鉛の溶出が起こり、環境汚染を招く危険性が指摘されている。そこで、鉛を含有しない圧電材料へ高い期待が寄せられている。

0004

そのような非鉛圧電材料としては、ニオブ酸カリウム(KNbO3)とニオブ酸ナトリウム(NaNbO3)とを主成分とした圧電磁器が提案されている(例えば特許文献1を参照。)。
特開2000−313664号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、KNbO3やNaNbO3といったニオブ酸アルカリを主成分とした圧電磁器は、比較的高い圧電定数を示すものの、圧電磁器として使用する前の分極処理時に飽和分極とするために高い強度の電界印加する必要があり、その際に発生する圧電磁器の絶縁破壊により、圧電磁器の歩留りが低いという問題があった。また、そのために圧電素子の歩留りが悪いという問題があった。

0006

したがって、本発明は、分極処理時に飽和分極に達する電界強度を低くできる非鉛の圧電磁器およびそれを用いた圧電素子を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の圧電磁器は、ニオブ酸アルカリを主成分とするとともにビスマスを含む圧電磁器であって、前記ニオブ酸アルカリを主成分とするとともに前記ビスマスを含む粒子平均粒子径が2μm以下であり、かつ前記粒子のうち、内部に存在するドメインウォールが略平行である粒子の割合が80%以上であることを特徴とする。

0008

また、Na、K、Li、NbおよびBiを含み、組成式で(NaaK1−a)1−bLibNbO3+x(Na0.5Bi0.5)Bi2Nb2O9と表したとき、Na、K、Li、NbおよびBiの元素の割合が0.42≦a≦0.58、0.03≦b≦0.06、0.001≦x≦0.005の関係を満足することが好ましい。

0009

またさらに、前記組成式でxが0.001≦x≦0.0025である成分100質量部に対して、MnをMnO2換算で0.05〜2質量部含有することが好ましい。

0010

さらにまた、前記組成式でbが0.04≦b≦0.06である成分100質量部に対して、MnをMnO2換算で0.05〜2質量部含有することが好ましい。

0011

本発明の圧電素子は、前記圧電磁器からなる基体の対向する一対の表面に電極を備えたことを特徴とする。

発明の効果

0012

本発明の圧電磁器は、ニオブ酸アルカリを主成分とするとともにビスマスを含む圧電磁器であって、前記ニオブ酸アルカリを主成分とするとともに前記ビスマスを含む粒子の平均粒子径が2μm以下であり、かつ前記粒子のうち、内部に存在するドメインウォールが略平行である粒子の割合が80%以上であることにより、ドメインサイズが小さく、かつ粒子内のドメインウォールが1方向に整列している粒子の割合が高いため、低い電界強度で分極処理を行なうことができる。

0013

また、前記組成式でxが0.001≦x≦0.0025である成分100質量部に対して、MnをMnO2換算で0.05〜2質量部含有する場合、室温付近(−20〜100℃)の圧電特性の温度に対する変化が緩やかになる。

0014

またさらに、前記組成式でbが0.04≦b≦0.06である成分100質量部に対して、MnをMnO2換算で0.05〜2質量部含有する場合、圧電定数をより高くできる。

0015

さらにまた、前記組成式の成分100質量部に対して、MnをMnO2換算で0.05〜2質量部含有するとともに、0.04≦b≦0.06である場合、圧電定数をより高くできる。

0016

本発明の圧電素子によれば、前記圧電磁器からなる基体の対向する一対の表面に電極を備えたことを特徴とするにより、圧電素子の製造工程中で、圧電素子に欠け割れなどが生じにくく、それらに起因する不良が少なくなり、歩留りの良い圧電素子ができる。

発明を実施するための最良の形態

0017

本発明の圧電磁器は、ニオブ酸アルカリを主成分とするとともにビスマスを含む圧電磁器であって、前記ニオブ酸アルカリを主成分とするとともに前記ビスマスを含む粒子の平均粒子径が2μm以下であり、かつ前記粒子のうち、内部に存在するドメインウォールが略平行である粒子の割合が80%以上であることが重要である。

0018

ここで、ニオブ酸アルカリを主成分とするとは、化学量論的なニオブ酸アルカリ、すなわちMをアルカリ金属元素としたときにMNbO3の比率で含まれるM(アルカリ金属元素)、NbおよびOの割合が、全体の80質量%以上、または90質量%以上、さらには95質量%以上であることをいう。また、圧電磁器にはビスマスが含まれる。ビスマスはこれに限定されるわけではないが、概ねBi2O3の組成比でOを伴って含まれる。これ以外に含まれるものとしては、MnO2やCr2O3などの焼結助剤不純物、化学量論的な比率からずれたアルカリ金属元素、Nbなどが挙げられる。

0019

本発明の圧電磁器に含まれる、前記ニオブ酸アルカリを主成分とするとともに前記ビスマスを含む粒子の平均粒子径は2μm以下である。詳細は後述するが、これにより粒子に含まれるドメインウォールの方向が一方方向に揃っているものが多くなり、分極処理時に飽和分極に達する電界強度を低くするができる。また、平均粒子径が小さくなるとドメインのサイズが小さくなり、圧電特性を向上させることができる。なお、後述の90度ドメイン集合が効率よく形成されるためには、平均粒子径は0.1μm以上であるのが好ましく、焼成後の粒子が原料粉末より大きくなることを考えれば、原料の取りあつかいを容易にするため、0.3μm以上であるのが好ましい。
圧電磁器に含まれる粒子の平均粒子径は、例えば、後述のように、圧電磁器の断面を研磨して、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、インターセプト法により求めることができる。

0020

本発明の圧電磁器に含まれるニオブ酸アルカリを主成分とするとともにビスマスを含む粒子の80%以上は、粒子内部に存在するドメインウォールが略平行になっている。これは、粒子内にドメインの自発分極の方向が90度違うドメインが交互に並んでおり(これを90度ドメインという)、その交互に並んだドメインの集合体が粒子内にひとつであるため、ドメインの境界であるドメインウォールが略平行になっているということである。このような状態のドメインウォールは分極電圧が加わった際に、粒子内に複数の方向のドメインウォールが存在するいわゆるマルチドメインのものに比べ、印加される電界によりドメインウォールが揃いやすく、そのような粒子は低い電界強度で飽和分極に達する。なお、ドメインウォールは基本的に平行に移動するため、分極処理を施した後の粒子のドメインウォールも略平行になっている。

0021

このように低い電界強度で飽和分極に達する粒子、すなわち粒子内部に存在するドメインウォールが略平行になっている粒子が80%以上であることにより圧電磁器全体としても低い電界強度で飽和分極に達する。ドメインウォールが略平行になっていない粒子が80%より少ない、つまりドメインウォールが略平行になっていない粒子、すなわち次に説明するマルチドメインの粒子の割合が高いと、それらの粒子ではドメインウォールが移動して飽和分極に達する電界強度が高いため、圧電磁器全体としても高い強度の電界を加えないと飽和分極に達しない。

0022

1つの粒子内のドメインウォールが略平行になっている場合、すなわち90度ドメインの集合体が1つの粒子内に1つである場合に対して、1つの粒子内に90度ドメインが複数ある場合、それぞれの90度ドメインの集合体内部のドメインウォールは略平行になるが、異なる90度ドメインの集合体の間ではドメインウォールが違った方向に形成され、また、90度ドメインの集合体同士の間にもドメインウォールが存在する、いわゆるマルチドメイン構造を呈する。そのためこのような粒子の中には方向の異なるドメインウォールが存在し、このため、あるいは90度ドメインの集合体の間のドメインウォールも移動させるエネルギーが必要になるため、分極する際に飽和分極に達するまでに高い電界が必要になる。このような構造はマルチドメインといわれる。

0023

上述のドメインの構造は、圧電磁器を薄片に加工し、透過型電子顕微鏡TEM)で観察することで確認できる。図1(a)は、本発明の一実施例である圧電磁器のTEM像であり、後述の実施例の試料No.3を観察したものある。組成としては(NaaK1−a)1−bLibNbO3+x(Na0.5Bi0.5)Bi2Nb2O9と表したとき、x=0.0025、a=0.5、b=0.05である主成分100質量部に対して、MnO2を0.5質量部含有するものである。図1(b)は、図1(a)のTEM像の中の粒子1と粒子1内に観察されるドメインウォール2を模式的に表したものである。なお、図1(b)に示したドメインウォール2を表す破線は、ドメインウォール2の観察される範囲と方向を模式的に示したもので、図1(a)のドメインウォール2の1つ1つとは必ずしも一致しない。

0024

図1(a)、(b)では粒子1内の1aの付近に90度ドメインの集合体があり、ドメインウォール2が略平行に存在しているのが観察できる。図1(a)、(b)では、1b付近には明確なドメインウォールが見えないが、試料の角度を変えて観察すると、1b付近にも1a付近のドメインウォール2と略平行なドメインウォール2が確認できる。同様に、図1(a)、(b)では粒子1の左右および下に位置する粒子にドメインウォール2が見えないが、それらの粒子にも略平行なドメインウォールが存在している。なお、圧電特性を高くするにはドメインウォールの効果をより導入するためにドメイン密度を向上させた方がよいため、ドメインのサイズ(ドメインウォール2の間隔)は狭い方が好ましく、50nm以下であることが好ましい。

0025

図2(a)は、本発明の範囲外の圧電磁器のTEM像であり、後述の実施例の試料No.1を観察したものある。組成としては(NaaK1−a)1−bLibNbO3と表したとき、a=0.5、b=0.05である主成分100質量部に対して、MnO2を0.5質量部含有するものである。図2(b)は、図2(a)のTEM像の中の粒子5と粒子5内に観察されるドメインウォール6を模式的に表したものである。なお、図2(b)に示したドメインウォール6を表す破線は、ドメインウォール6の観察される範囲と方向を模式的に示したもので、図2(a)のドメインウォール6の1つ1つとは必ずしも一致しない。

0026

図2(a)、(b)では粒子5の中に90度ドメインの集合体が複数存在する。そのうちの2つの90度ドメインの集合体5a、5bを観察すると、それぞれの中に存在するドメインウォール6は略平行であるが、90度ドメインの集合体5a内のドメインウォール6と90度ドメインの集合体5b内のドメインウォール6とは異なる角度になっている。また、90度ドメインの集合体5aと90度ドメインの集合体5bの間にもドメインウォール6があり、このドメインウォール6は、90度ドメインの集合体5a内のドメインウォール6および90度ドメインの集合体5b内のドメインウォール6と違う角度になっている。

0027

なお、本発明の圧電磁器は、典型的には、断面において各粒子1内のほぼ全体にドメイン(90度ドメイン)が観察されるが、組成によっては、ドメインの存在する領域が少なくなっている場合もある。その場合は、断面において、1つの粒子1内でドメインの存在する領域が半分以上となっているものについて、ドメインウォール6が略平行になっているか調べ、ドメインウォール6が略平行になっている粒子が粒子全体の80%以上かどうかで判定すればよい。

0028

図3は、後述の実施例の試料No.3の圧電磁器および試料No.1の圧電磁器に分極処理を行なった際の、加えた電界と圧電定数d33の関係を示したグラフである。いずれの試料も加わる電界が高くなるとともに圧電定数d33が大きくなっていくが、しだいに圧電定数d33の変化は少なくなり、飽和する。本発明の一実施例の圧電磁器である試料No.3では、4MV/mの電界で飽和するのに対して、本発明の範囲外の圧電磁器である試料No.1では9MV/mまで電界を加えないと飽和しない。試料No.1のように高い電界を加えた場合、圧電磁器が絶縁破壊を起こしてしまうことがあり、分極時飽和電界強度は6MV/m以下であることが好ましい。

0029

また、圧電磁器はNa、K、Li、NbおよびBiを含み、これらの元素の割合が、組成式(NaaK1−a)1−bLibNbO3+x(Na0.5Bi0.5)Bi2Nb2O9で表したとき、0.42≦a≦0.58、0.03≦b≦0.06、0.001≦x≦0.005であることが好ましい。

0030

組成式で(NaaK1−a)1−bLibNbO3、a=0.5、b=0.05で表される圧電磁器はペロブスカイト構造をもち、室温付近の結晶構造斜方晶であり、100℃程度での結晶構造は正方晶である。そのため、室温から100℃程度の間にある相転移点で圧電特性、例えば、圧電定数に急激な変化がある。この相転移点は、Na、K、Liの元素比率を少し変えても、室温付近になり、やはり圧電特性の急激な変動を生じる。また、前述のa=0.5、b=0.05の元素比率は、圧電定数の高くなる、いわゆるMPB(Morphotoropic Phase Boundary)領域となる比率であり、この組成の近傍である0.42≦a≦0.58、0.03≦b≦0.06の範囲では高い圧電特性を示す。例えば、Liの比率を高くすることにより相転移点を低くすることはできるが、a=0.5、b=0.08程度にしても相転移点は0℃あるいはこれを少し下回る程度であり、この比率では圧電定数はあまり高くはならない。

0031

これに対して、(NaaK1−a)1−bLibNbO3組成に対して(Na0.5Bi0.5)Bi2Nb2O9を添加することにより、斜方晶から正方晶への相転移緩慢になる。具体的には、組成比を(NaaK1−a)1−bLibNbO3+x(Na0.5Bi0.5)Bi2Nb2O9と表したとき、0.001≦x≦0.005とすれば、室温付近(−20〜80℃)での圧電特性の急激な変動を抑制できるので好ましい。また、aおよびbについては、前述したように圧電特性の高くなるMPBの近傍領域である0.42≦a≦0.58、0.03≦b≦0.06であることが好ましい。

0032

図4(a)は、後述の実施例の試料No.1の圧電磁器と試料No.3の圧電磁器の共振周波数温度依存性を測定した結果である。共振周波数の温度変化は圧電磁器の弾性定数の変化により起こるものであり、50℃付近に存在する共振周波数の谷間は、結晶構造の相転移により弾性定数が変わることに起因している。試料No.1と3とでは相転移温度自体に大きな差はないが、試料No.3では温度変化率が低くなっている。これは、構造相転移が緩慢となっていることを示している。

0033

図4(b)は、同試料の径方向広がり振動電気機械結合係数Krの温度依存性を測定した結果である。圧電磁器の共振周波数の温度依存性の変化に対応して電気機械結合係数Krの温度依存性が小さくなっていることがわかる。つまり、(NaaK1−a)1−bLibNbO3組成に対して(Na0.5Bi0.5)Bi2Nb2O9を0.001≦x≦0.005の範囲で添加することにより、圧電定数を低くすることなく、室温付近の圧電特性の温度依存性を少なくすることができる。添加量を0.001≦x≦0.0025の範囲にすれば、圧電定数を高くすることができるため、より好ましい。

0034

また、上述の組成式(NaaK1−a)1−bLibNbO3+x(Na0.5Bi0.5)Bi2Nb2O9の成分100質量部に対して、MnO2およびCr2O3から選ばれる少なくとも1種を合量で0.05〜2質量部含有すると圧電磁器が緻密になり圧電定数も高くなるためより好ましい。ただし、含有する量が2質量部を超えると、絶縁性が低くなることがある。なお、同量含有量の場合MnO2の方が圧電磁器が緻密になるため添加するのはMnO2が好ましい。

0035

そして、MnO2およびCr2O3から選ばれる少なくとも1種を合量で0.05〜2質量部含有して、圧電磁器が緻密になった状態では、xの範囲を0.001≦x≦0.0025とすることにより、より圧電定数を高くできる。

0036

また、MnO2およびCr2O3から選ばれる少なくとも1種を合量で0.05〜2質量部含有して、圧電磁器が緻密になった状態では、bの範囲を0.04≦b≦0.06とすることにより、圧電定数をより高くすることができる。

0037

本発明の圧電磁器は、粉砕時のZrO2ボールからZr等が混入する場合もあるが、微量であれば特性上問題ない。組成式(NaaK1−a)1−bLibNbO3+x(Na0.5Bi0.5)Bi2Nb2O9の成分、MnO2およびCr2O3が合計で99質量%以上を占め、それ以外の組成は1質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満であるのがよい。

0038

本発明の圧電磁器は、例えば、原料として、Na2CO3、K2CO3、Li2CO3、Nb2O5、Bi2O3、MnO2、Cr2O3からなる各種酸化物あるいはその塩を用いることができる。原料はこれに限定されず、焼成により酸化物を生成する炭酸塩硝酸塩等の金属塩を用いても良い。

0039

これらの原料を、ニオブ酸アルカリが主成分となりビスマスを含む所望の割合で量し、混合後の平均粒度分布(D50)が0.3〜1μmの範囲になるように粉砕する。この混合物を850〜1000℃で仮焼し、仮焼後の平均粒度分布(D50)が0.3〜1μmの範囲になるように粉砕し、再度所定の有機バインダを加え湿式混合造粒する。

0040

このようにして得られた粉体を、公知のプレス成形等により所定形状に成形し、大気中等の酸化性雰囲気において1000〜1200℃の温度範囲で2〜5時間焼成し、本発明の圧電磁器が得られる。

0041

図5(a)に、本発明の圧電素子の実施形態の一例であるアクチュエータの概略縦断面図を示す。このアクチュエータは、上述の圧電磁器からなる6つの圧電基体11が積層されている。各圧電基体11の一方の主面に電極12が形成され、他方の主面には電極13が形成されている。アクチュエータ内で電極12、13は積層方向に交互に形成されている。分極は各圧電基体11の主面に垂直に電極13から電極12の方向に施してある。このようなアクチュエータは、電極12と電極13との間に電圧を加えることにより圧電基体11がd33方向に変位する、すなわち、厚みが変化する方向に変形し、アクチュエータとして働く。

0042

図5(b)に、本発明の圧電素子の実施形態の一例である圧力センサ素子の概略斜視図を示す。この圧力センサは、上述の圧電磁器からなる圧電基体21の対向する一対の主面に、それぞれに電極22、23を形成され、互いに対向させた一対の電極22、23を備えている。また、分極は主面と垂直な方向に施してある。このような圧力センサでは、主面間に加わる圧力により、各主面に電荷が生じるため、この電荷を測定することにより、主面間に加わっている圧力を測定することができる。

0043

出発原料として純度99.9%のNa2CO3粉末、K2CO3粉末、Li2CO3粉末、Nb2O5粉末、Bi2O3粉末を、モル比による組成式(NaaK1−a)1−bLibNbO3+x(Na0.5Bi0.5)Bi2Nb2O9と表したとき、x、a、bが表1に示す量の成分と、この成分100質量部に対して、MnO2粉末を表1に示す質量部となるように秤量し混合した。なお、アルカリ炭酸塩は通常の大気中の環境では、吸湿した状態になるので正確に秤量ができないため、高温下で水分を飛ばした後、ドライ窒素ブース内で手早く秤量した。
炭酸アルカリ常温常湿の環境下では、吸湿した状態になるため、高温化で水分を飛ばした後、湿度を低く保ったブース内で手早く秤量した。

0044

秤量した原料粉末を、純度99.9%のZrO2ボール、イオン交換水と共に500mlポリポット投入し、16時間回転ミルで混合した。

0045

混合後のスラリーを大気中で乾燥し、#40メッシュを通し、その後、大気中900℃、3時間保持して仮焼し、この合成粉末を純度99.9%のZrO2ボールとイオン交換水と共に500mlポリポットに投入し、20時間粉砕して評価粉末を得た。

0046

この粉末に適量の有機バインダを添加して造粒し、金型プレスで150MPaの圧力で成形し、大気中において3時間本焼成し、直径13mm、厚み2mmの円柱状の圧電磁器を得た。焼成では、焼成ピーク温度を1040から1160℃まで間20℃毎に7条件で焼成して圧電磁器を作製し、後述の評価では圧電定数d33のもっとも高い圧電磁器の結果を示した。

0047

圧電磁器は、厚さ1.5mmに研磨した後、両主面(円柱の上下面)にAg電極を形成して、100℃で厚み方向に分極処理を行ない、圧電素子を得た。分極をする際には、加えた電界と圧電定数d33との関係を測定しながら行ない、分極が飽和する際の電界強度を測定した。

0048

得られた測定用素子はd33メーターで圧電定数d33を測定した。また、圧電素子を恒温槽に入れ、温度を変化させながら静電容量、広がり振動モードの共振周波数、反共振周波数共振抵抗反共振抵抗を測定した。続いて、共振周波数、反共振周波数より日本電子材料工業会標準規格EMAS−6100に準拠して、電気機械結合定数krを算出した。

0049

また、圧電磁器は断面を研磨して、粒径に応じて1000〜10000倍のSEMで観察し、インターセプト法により平均粒子径を算出した。さらに、圧電磁器を薄片に加工し、粒径に応じて1000〜10000倍のTEMで観察し、任意に選んだ粒子20個について観察し、1つの粒子内に存在するドメインウォールが略平行にないっている粒子の割合を評価した。なお、この際には、粒子内のドメインを見逃さないよう試料の角度を調整しながら観察した。なお、全ての試料において、観察されたドメインはほとんど90度ドメインであった。以上の結果を表1示す。

0050

0051

表1から明らかなように、本発明の範囲内の試料No.2〜4および6〜〜23の圧電磁器は、ニオブ酸アルカリを主成分とするとともにビスマスを含み、平均粒子径が2μm以下であり、かつ内部に存在するドメインウォールが略平行である粒子の割合が全体の80%以上であるため、分極処理時の電界強度を6MV/m以下と低くなった。

0052

また、試料No.2〜4、7〜10、13〜15および18〜23の圧電磁器は、Na、K、Li、NbおよびBiを含み、組成式で(NaaK1−a)1−bLibNbO3+x(Na0.5Bi0.5)Bi2Nb2O9と表したとき、Na、K、Li、NbおよびBiの元素の割合が0.42≦a≦0.58、0.03≦b≦0.06、0.001≦x≦0.005の関係を満足することにより、−20〜+80℃の範囲での電気機械結合定数krの変化率が10%以下と低くなった。

0053

またさらに、試料No.2〜3、7〜10、13〜15および19〜23の圧電磁器は、xが0.001≦x≦0.0025である前記組成式の成分100質量部に対して、MnをMnO2換算で0.05〜2質量部含有することにより、圧電定数d33が132pC/N以上と高くなった。

0054

さらにまた、試料No.2〜3、7〜10、14、15および19〜23の圧電磁器は、さらに0.04≦b≦0.06であることにより、圧電定数d33が141pC/N以上と高くなった。

0055

これに対して、本発明の範囲外の試料No.1、5および24〜26では、ドメインウォールが略平行である粒子の割合が全体の80%に達していないか、平均粒径が大きいため、分極処理時の電界強度が6MV/mより高くなったか、分極中に絶縁破壊し分極が十分できなかった。

0056

なお、本発明の範囲外の試料No.1は、x<0.001であるため、電気機械結合定数krの変化率が−16%と大きくなった。これは、この試料の相転移点が約50℃にあり、この相転移点付近での急激な結晶構造変化により電気機械結合定数krが変わるためである。このため変化率が高温側で大きくなった。

0057

また、本発明の範囲外の試料No.25および26は、x<0.001であるため、電気機械結合定数krの変化率が20%以上と大きくなった。これは、これら試料の相転移点がLiの添加により低温側に移動し、低温側の変化率が大きくなってためである。図6に、これらの試料の電気機械結合係数Krの温度依存性を示す。

0058

また、実施例で作製した試料を、蛍光X線分析装置組成分析した。その結果、各試料の磁器の組成は、調合した原料組成と同じであった。

図面の簡単な説明

0059

(a)は本発明の一実施例である圧電磁器のTEM像であり、(b)はその模式図である。
(a)本発明の範囲外の圧電磁器のTEM像であり、(b)はその模式図である。
本発明の一実施例である圧電磁器および本発明の範囲外の圧電磁器の分極電界と圧電定数の関係を比較したグラフである。
(a)本発明の一実施例である圧電磁器および本発明の範囲外の圧電磁器の共振子の共振周波数の温度依存性を比較したグラフである。(b)同圧電磁器の電気機械結合係数Krの温度依存性を比較したグラフである。
(a)は、本発明の圧電素子の実施形態の一例であるアクチュエータの概略縦断面図であり、(b)は、本発明の圧電素子の実施形態の他の例である圧力センサ素子の概略斜視図である。
本発明の範囲外の圧電磁器の電気機械結合係数Krの温度依存性を示したグラフである。

符号の説明

0060

1、5・・・粒子
2、6・・・ドメインウォール
11、21・・・圧電基体(圧電磁器)
12、13、22、23・・・電極
P・・・分極方向

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